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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115656
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220802BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220802BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012340
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 篤史
(72)【発明者】
【氏名】原山 絢多
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕也
【テーマコード(参考)】
5F004
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA15
5F004DA24
5F004DA26
5F004DB00
5F004DB01
5F004DB02
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB08
5F004EA03
5F004EA05
5F004EA10
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
5F004EB01
5F004FA08
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BE07
5F101BH02
(57)【要約】
【課題】半導体装置を製造する際に、被加工層に凹部を高い加工精度で形成する。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、反応性イオンエッチング法を用いて被加工層に凹部を形成する第1のエッチングを行い、第1のエッチングの後に、凹部にシリル化剤を供給する第1の処理を行い、第1の処理の後に、反応性イオンエッチング法を用いて凹部の少なくとも底面をエッチングする第2のエッチングを行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性イオンエッチング法を用いて被加工層に凹部を形成する第1のエッチングを行い、
前記第1のエッチングの後に、前記凹部にシリル化剤を供給する第1の処理を行い、
前記第1の処理の後に、反応性イオンエッチング法を用いて前記凹部の底面をエッチングする第2のエッチングを行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記被加工層は、シリコン又は金属を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記被加工層は、第1の膜と前記第1の膜と異なる第2の膜とが交互に積層された構造を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の膜は酸化シリコン膜であり、前記第2の膜は窒化シリコン膜である請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1のエッチングの際に、炭素及びフッ素を含むガスを用いる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1のエッチングの際に、酸素を含むガスを用いる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記シリル化剤は炭素及び水素を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記シリル化剤は、メチル基、アミノ基、又はメトキシ基を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1のエッチングを行う前に、前記被加工層の上にパターンを有するマスク層を形成し、前記マスク層をマスクに前記凹部を形成する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2のエッチングの後に、前記凹部にシリル化剤を供給する第2の処理を行い、
前記第2の処理の後に、反応性イオンエッチング法を用いて前記凹部の底面をエッチングする第3のエッチングを行う請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の処理の処理時間と前記第2の処理の処理時間は、異なる請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記シリル化剤は、トリメチルシリルジメチルアミン、ビスターシャリーブチルアミノシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、フェニルジメチルシリルジメチルアミン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、及び、メトキシジメチルフェニルシランからなる群から選ばれる少なくとも一つの薬品を含む請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1のエッチングの際に、前記被加工層が載置されたホルダに、500W以上の電力が印加される請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1のエッチングの後、前記第1の処理の前に、前記凹部に水を供給する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1のエッチングの後、前記第1の処理の前に、前記凹部に酸素を供給する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記シリル化剤は液体で供給する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記シリル化剤は気体で供給する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1のエッチング、前記第1の処理、前記第2のエッチングは、同一のチャンバ内で行われる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化に伴い、被加工層に高いアスペクト比の凹部を高い加工精度で形成することが必要となる。例えば、3次元半導体メモリを製造する際には、高いアスペクト比のメモリホールの形状が、ボーイング形状となることを抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-110275号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ryan J.Gasvoda et al.“Surface prefunctionalization of SiO2 to modify the etch per cycle during plasma-assisted atomic layer etching”,J.Vac.Sci.Technolo.A 37,051003(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態では、半導体装置を製造する際に、被加工層に凹部を高い加工精度で形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、反応性イオンエッチング法を用いて被加工層に凹部を形成する第1のエッチングを行い、前記第1のエッチングの後に、前記凹部にシリル化剤を供給する第1の処理を行い、前記第1の処理の後に、反応性イオンエッチング法を用いて前記凹部の底面をエッチングする第2のエッチングを行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の製造方法で製造される半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の製造方法に用いられる反応性イオンエッチング装置の一例の模式図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の作用の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
【0009】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とは、例えば、図面内での相対的位置関係を示す用語である。「上」、又は、「下」という用語は、必ずしも、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0010】
本明細書中の半導体装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いることが可能である。
【0011】
以下、実施形態の半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、反応性イオンエッチング法を用いて被加工層に凹部を形成する第1のエッチングを行い、第1のエッチングの後に、凹部にシリル化剤を供給する第1の処理を行い、第1の処理の後に、反応性イオンエッチング法を用いて凹部の底面をエッチングする第2のエッチングを行う。
【0013】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法で製造される半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の半導体装置の製造方法で製造される半導体装置は、メモリセルが3次元的に配置された不揮発性メモリ100である。図1は、不揮発性メモリ100のメモリセルアレイの断面図である。
【0014】
不揮発性メモリ100は、シリコン基板10、チャネル層11、複数の層間絶縁層12、ゲート絶縁層13、複数のワード線WL、及び複数のビット線BLを備える。不揮発性メモリ100は、3次元的に配置された複数のメモリセルMCを備える。図1中の点線で囲まれた領域が一個のメモリセルMCに相当する。
【0015】
チャネル層11は、シリコン基板10の表面の法線方向に延びる。チャネル層11は、シリコン基板10に電気的に接続される。チャネル層11は、メモリセルMCのトランジスタのチャネル領域として機能する。チャネル層11は、半導体である。チャネル層11は、例えば、多結晶シリコンである。
【0016】
ワード線WLは、シリコン基板10の表面の法線方向に積層される。ワード線WLは、メモリセルMCのトランジスタのゲート電極として機能する。ワード線WLは、例えば、板状の導電体である。ワード線WLは、例えば、タングステン(W)である。チャネル層11は、複数のワード線WLを貫通する。
【0017】
層間絶縁層12は、ワード線WLとワード線WLとの間に設けられる。層間絶縁層12は、ワード線WLとワード線WLとを電気的に分離する。
【0018】
ビット線BLは、シリコン基板10の表面に平行な方向に延びる。ビット線BLは、チャネル層11に電気的に接続される。
【0019】
ゲート絶縁層13は、チャネル層11とワード線WLとの間に設けられる。ゲート絶縁層13は、例えば、図示しないトンネル絶縁膜、電荷蓄積膜、ブロック絶縁膜を含む。トンネル絶縁膜は、例えば、酸化シリコン膜である。電荷蓄積膜は、例えば、窒化シリコン膜である。ブロック絶縁膜は、例えば、酸化アルミニウム膜である。
【0020】
ゲート絶縁層13の電荷蓄積膜に蓄えられる電荷によって、メモリセルMCがデータを記憶する。電荷蓄積膜に蓄えられる電荷の量で、メモリセルMCのトランジスタの閾値電圧が変化する。トランジスタの閾値電圧に応じて変化する、ワード線WLとビット線BLとの間に流れる電流をモニタすることにより、メモリセルMCに記憶されたデータを読み出す。
【0021】
図2は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法に用いられる反応性イオンエッチング装置の一例の模式図である。図2の反応性イオンエッチング装置(RIE装置)は、二周波型の容量結合プラズマ装置(CCP装置)である。
【0022】
RIE装置は、例えば、チャンバ20、ホルダ22、第1の高周波電源24、第2の高周波電源26、第1のガス供給口30a、第2のガス供給口30b、及び第3のガス供給口30cを備える。
【0023】
ホルダ22は、チャンバ20の中に設けられる。ホルダ22は、例えば、半導体基板Wを載置する。ホルダ22は、例えば、静電チャックである。
【0024】
第1の高周波電源24は、チャンバ20に高周波電力を印加する機能を有する。第1の高周波電源24により、チャンバ20にプラズマが生成される。第1の高周波電源24により印加される高周波電力は、例えば、50W以上5000W以下である。第1の高周波電源24により印加される周波数は、例えば、20MHz以上200MHz以下である。
【0025】
第2の高周波電源26は、ホルダ22に高周波電力を印加する機能を有する。ホルダ22に高周波電力を印加することで、半導体基板Wに衝突するイオンのエネルギーを制御する。ホルダ22に印加される高周波電力は、例えば、100W以上3000W以下である。ホルダ22に印加される周波数は、第1の高周波電源24によりチャンバ20に印加される周波数よりも低い。ホルダ22に印加される周波数は、例えば、0.1MHz以上10MHz以下である
【0026】
半導体基板Wは、チャンバ20の中に生成されるプラズマを用いて、異方性エッチングされる。
【0027】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0028】
図3図4図5、及び図6は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図である。図3図4図5、及び図6は、図1の一つのチャネル層11を含む部分に対応する。
【0029】
最初に、シリコン基板10の上に、積層体40を形成する(図3(a))。積層体40は、絶縁層である。積層体40は被加工層の一例である。
【0030】
積層体40は、酸化シリコン膜40aと窒化シリコン膜40bとが交互に積層された構造を含む。酸化シリコン膜40aは第1の膜の一例である。窒化シリコン膜40bは、第2の膜の一例である。酸化シリコン膜40a及び窒化シリコン膜40bは、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。
【0031】
酸化シリコン膜40aの一部は、最終的に層間絶縁層12となる。
【0032】
次に、積層体40の上に、穴パターン42aを有する炭素層42を形成する(図3(b))。炭素層42は、マスク層の一例である。炭素層42は、例えば、スパッタ法により形成する。穴パターン42aは、例えば、リソグラフィ法及びRIE法を用いて形成する。
【0033】
マスク層として、例えば、レジスト層、絶縁層、又は金属層を用いることも可能である。
【0034】
次に、RIE装置のチャンバ20にシリコン基板10を搬入する。RIE装置のチャンバ20の中で、炭素層42をマスクに第1のエッチングを行う。第1のエッチングにより積層体40に、メモリホールMHを形成する(図3(c))。メモリホールMHは、凹部の一例である。
【0035】
第1のエッチングの際、メモリホールMHは積層体40を貫通しない。第1のエッチングの際、積層体40の途中でエッチングを停止する。第1のエッチングの際の積層体40の第1のエッチング量は、図3(c)中にE1で示される。
【0036】
第1のエッチングの際、例えば、第1のガス供給口30aからチャンバ20の中に、第1のエッチングガスが供給される。第1のエッチングガスを用いて第1のエッチングが行われる。
【0037】
次に、メモリホールMHにトリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)を供給する第1の処理を行う(図3(d))。トリメチルシリルジメチルアミンは、シリル化剤の一例である。
【0038】
第1の処理は、例えば、RIE装置を用いて行われる。第1の処理は、例えば、第1のエッチングと同一のチャンバ20内で行われる。例えば、第1のエッチングを行った後、シリコン基板10を大気中に出さずに、第1のエッチングと第1の処理が連続して行われる。
【0039】
第1の処理は、例えば、RIE装置の第2のガス供給口30bから、TMSDMAをチャンバ20の中に供給することで行われる。第1の処理において、TMSDMAは、メモリホールMHに気体で供給される。
【0040】
第1の処理により、メモリホールMHの側壁に保護膜44aが形成される。保護膜44aは炭素を含む。
【0041】
次に、RIE装置のチャンバ20の中で、炭素層42をマスクに第2のエッチングを行う。第2のエッチングによりメモリホールMHの少なくとも底面をエッチングする(図4(a))。
【0042】
メモリホールMHは、第1のエッチング直後よりも更に深くなる。第2のエッチングの際、メモリホールMHは積層体40を貫通しない。第2のエッチングの際、積層体40の途中でエッチングを停止する。第2のエッチングの際の積層体40の第2のエッチング量は、図4(a)中にE2で示される。
【0043】
例えば、第1のエッチングにおける積層体40の第1のエッチング量E1は、第2のエッチングにおける積層体40の第2のエッチング量E2よりも大きい。なお、第1のエッチング量E1は、第2のエッチング量E2と同じか小さくても構わない。
【0044】
第2のエッチングの際、例えば、第1のガス供給口30aからチャンバ20の中に、第2のエッチングガスが供給される。第2のエッチングガスを用いて第2のエッチングが行われる。
【0045】
次に、メモリホールMHにTMSDMAを供給する第2の処理を行う(図4(b))。TMSDMAは、シリル化剤の一例である。
【0046】
第2の処理は、例えば、RIE装置を用いて行われる。第2の処理は、例えば、第2のエッチングと同一のチャンバ20内で行われる。例えば、第2のエッチングを行った後、シリコン基板10を大気中に出さずに、第2のエッチングと第2の処理が連続して行われる。
【0047】
第2の処理は、RIE装置の第2のガス供給口30bから、TMSDMAをチャンバ20の中に供給することで行われる。TMSDMAは、メモリホールMHに気体で供給される。
【0048】
第2の処理により、メモリホールMHの側壁に保護膜44bが形成される。保護膜44bは炭素を含む。
【0049】
次に、RIE装置のチャンバ20の中で、炭素層42をマスクに第3のエッチングを行う。第3のエッチングによりメモリホールMHの少なくとも底面をエッチングする(図4(c))。
【0050】
メモリホールMHは、第2のエッチング直後よりも更に深くなる。第3のエッチングの際、メモリホールMHは積層体40を貫通しない。第3のエッチングの際、積層体40の途中でエッチングを停止する。
【0051】
第3のエッチングの際、例えば、第1のガス供給口30aからチャンバ20の中に、第3のエッチングガスが供給される。第3のエッチングガスを用いて第3のエッチングが行われる。
【0052】
次に、メモリホールMHにTMSDMAを供給する第3の処理を行う(図4(d))。TMSDMAは、シリル化剤の一例である。
【0053】
第3の処理は、例えば、RIE装置を用いて行われる。第3の処理は、例えば、第3のエッチングと同一のチャンバ20内で行われる。例えば、第3のエッチングを行った後、シリコン基板10を大気中に出さずに、第3のエッチングと第3の処理が連続して行われる。
【0054】
第3の処理は、例えば、RIE装置の第2のガス供給口30bから、TMSDMAをチャンバ20の中に供給することで行われる。TMSDMAは、メモリホールMHに気体で供給される。
【0055】
第3の処理により、メモリホールMHの側壁に保護膜44cが形成される。保護膜44cは炭素を含む。
【0056】
次に、RIE装置のチャンバ20の中で、炭素層42をマスクに第4のエッチングを行う。第4のエッチングによりメモリホールMHの少なくとも底面をエッチングする(図5(a))。
【0057】
メモリホールMHは、第3のエッチング直後よりも更に深くなる。第4のエッチングの際、メモリホールMHは積層体40を貫通し、シリコン基板10に達する。
【0058】
第4のエッチングの際、例えば、第1のガス供給口30aからチャンバ20の中に、第4のエッチングガスが供給される。第4のエッチングガスを用いて第4のエッチングが行われる。
【0059】
積層体40を貫通したメモリホールMHのアスペクト比は、例えば、30以上である。
【0060】
第4のエッチングの後、RIE装置のチャンバ20からシリコン基板10を搬出する。
【0061】
なお、第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、炭素及びフッ素を含む。また、第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、酸素を含む。また、第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、水素を含む。
【0062】
第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、CxHyFz(xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数)を含む。第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、C、C、CHを含む。
【0063】
第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、酸素ガスを含む。
【0064】
第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、C、C、CH、及び酸素ガスの混合ガスである。
【0065】
第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスは、例えば、同一のガスである。また、例えば、第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス、及び第4のエッチングガスの少なくもいずれか一つのガスが他のガスと異なる。
【0066】
シリル化剤は、シリル化を実現する薬品である。シリル化は物質上の活性な水素を三置換シリル基(―SiR)で置換することを意味する。シリル化剤は、シリコンを含む。
【0067】
シリル化剤は、例えば、炭素及び水素を含む。シリル化剤は、例えば、メチル基、アルキル基、又はフェニル基を含む。
【0068】
シリル化剤は、例えば、アミノ基を含む。シリル化剤は、例えば、(R)-Si-N(R)の構造を有する。シリル化剤は、例えば、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(BDMADMS)、又は、フェニルジメチルシリルジメチルアミンである。
【0069】
シリル化剤は、例えば、メトキシ基を含む。シリル化剤は、例えば、R-Si-(O(Me))xの構造を有する。シリル化剤は、例えば、CH-(CH)z-Si-(O-Me)の構造を有する。シリル化剤は、例えば、トリメチルメトキシシラン(TMSOME)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、又は、メトキシジメチルフェニルシランである。
【0070】
第1の処理、第2の処理、及び第3の処理で用いられるシリル化剤は、例えば、同一である。また、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理で用いられるシリル化剤は、例えば、少なくとも一つの処理で用いられるシリル化剤が、他の処理で用いられるシリル化剤と異なる。
【0071】
次に、炭素層42、保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cを除去する(図5(b))。炭素層42、保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cの除去は、例えば、第1ないし第4のエッチングと異なる装置、又は異なる条件を用いて行う。炭素層42、保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cの除去は、例えば、第1ないし第4のエッチングと異なるガスを用いて行う。炭素層42、保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cの除去は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシング処理により行う。
【0072】
次に、メモリホールMHの中に、積層絶縁層46を形成する(図5(c))。積層絶縁層46は、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、及び酸化アルミニウム膜の積層構造を有する。積層絶縁層46は、最終的にゲート絶縁層13となる。
【0073】
次に、メモリホールMHの中に、多結晶シリコン層48を形成する(図5(d))。多結晶シリコン層48は、最終的にチャネル層11となる。
【0074】
次に、窒化シリコン膜40bを選択的に除去する(図6(a))。
【0075】
次に、窒化シリコン膜40bを除去した領域に第1のタングステン層50を形成する(図6(b))。第1のタングステン層50は、最終的にワード線WLとなる。
【0076】
次に、多結晶シリコン層48の上に第2のタングステン層52を形成する(図6(c))。第2のタングステン層52は、最終的にビット線BLとなる。
【0077】
以上の製造方法により、図1に示す不揮発性メモリ100が製造される。
【0078】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の作用及び効果について説明する。
【0079】
メモリセルが3次元的に配置された不揮発性メモリ100では、メモリを大容量化するために、例えば、メモリホールの穴径を縮小し、ワード線WLの積層数を増加させる。メモリホールの穴径を縮小し、ワード線WLの積層数を増加させると、高いアスペクト比(メモリホールの深さ/メモリホールの穴径)のメモリホールの形成が必要となる。
【0080】
メモリホールのアスペクト比が高くなると、メモリホールの形状がボーイング形状になるという問題が生じる。メモリホールのボーイング形状は、メモリホールを形成するエッチングの途中で穴径が広がることにより生ずる。エッチングの途中で穴径が広がる原因として、エッチングの際にメモリホールの側壁に形成される保護膜の一部が消滅することが考えられる。
【0081】
メモリホールのエッチングの際には、プラズマ化したエッチングガスに由来する物質が側壁に付着し、側壁に保護膜が形成される。メモリホールの側壁に保護膜が形成されることで、側壁のエッチングが防止され、穴径が広がることが抑制される。メモリホールの側壁の保護膜が消滅すると、メモリホールの側壁のエッチングが進行し、メモリホールの穴径が広がる。
【0082】
メモリホールの側壁に形成される保護膜は、例えば、炭素及びフッ素を含むフルオロカーボン膜である。
【0083】
メモリホールの側壁に形成される保護膜の厚さは、側壁に付着する物質の量と、側壁に付着した物質のエッチング量とのバランスで決まる。
【0084】
例えば、メモリホールの浅い部分の側壁では、プラズマ化したエッチングガスが到達しやすく、側壁に付着する物質の量も多くなる。一方、メモリホールの浅い部分は、斜めに入射するイオンの量が多く、エッチングに晒される時間も長くなる。このため、側壁に付着した物質のエッチング量も大きくなる。側壁に付着する物質の量よりもエッチング量が上回り、側壁の保護膜が消滅しメモリホールの穴径が広がるおそれがある。
【0085】
また、例えば、メモリホールの深い部分の側壁では、プラズマ化したエッチングガスが到達しにくく、側壁に付着する物質の量が少なくなる。このため、側壁に付着する物質の量よりもエッチング量が上回ると、側壁の保護膜が消滅しメモリホールの穴径が広がるおそれがある。
【0086】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法では、メモリホールMHを形成する際に、被加工層である積層体40のエッチングと、シリル化剤を用いた処理を交互に行う。シリル化剤を用いた処理により、メモリホールの側壁に保護膜を形成する。シリル化剤を用いた処理により、エッチングの際に形成された保護膜が消滅した部分にも、新しい保護膜が形成される。したがって、メモリホールの形状がボーイング形状になることが抑制できると考えられる。
【0087】
図7は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の作用の説明図である。
【0088】
図7(a)に示すように、メモリホールMHの側壁に露出する酸化シリコン膜40a及び窒化シリコン膜40bの表面には、水酸基(-OH)が存在する。図7(b)に示すように、第1の実施形態の不揮発性メモリ100の製造方法では、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理の際に、メモリホールMHの側壁の表面にシリル化剤であるTMSDMAが供給される。
【0089】
図7(c)に示すように、メモリホールMHの側壁の表面に供給されたTMSDMAのSi-N結合が切れ、側壁の表面にトリメチルシリル基が結合する。メモリホールMHの側壁の表面に、シリル化反応によりトリメチルシリル基が結合する。
【0090】
第1の処理、第2の処理、及び第3の処理で形成される保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cは、例えば、シリル化反応により形成されたトリメチルシリル基である。
【0091】
シリル化反応は、反応性が高く低温でも生じやすい。シリル化反応のために、材料をプラズマ化し、イオンやラジカルを形成することは不要である。
【0092】
シリル化反応は、反応性が高いため、メモリホールMHの深い部分でも保護膜が形成されやすい。また、トリメチルシリル基で側壁の表面が完全に覆われると、シリル化反応は終了する。したがって、保護膜の形成はセルフリミッティングなプロセスとなる。よって、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理で側壁に形成される保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cは、均一な厚さで形成されると考えられる。
【0093】
保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cが形成されることで、側壁のエッチングが抑制され、メモリホールMHの形状がボーイング形状になることが抑制できると考えられる。
【0094】
第1の実施形態の不揮発性メモリ100の製造方法では、第1のエッチング、第1の処理、第2のエッチング、第2の処理、第3のエッチング、第3の処理、及び第4のエッチングは、同一のRIE装置の同一のチャンバ20内で連続して行われる。したがって、不揮発性メモリ100の製造時間が短くなり、不揮発性メモリ100の製造コストの増加を抑制できる。
【0095】
第1ないし第4のエッチングガスに酸素が含まれることが好ましい。また、第1ないし第4のエッチングガスに酸素ガスが含まれることが好ましい。
【0096】
第1ないし第4のエッチングガスに酸素又は酸素ガスが含まれることで、メモリホールMHの側壁の窒化シリコン膜40bの表面が酸化される。このため、側壁に露出する酸化シリコン膜40aの表面状態と窒化シリコン膜40bの表面状態とが類似する。このため、酸化シリコン膜40aの表面のシリル化反応と、窒化シリコン膜40bの表面のシリル化反応が同様に進行する。したがって、保護膜44a、保護膜44b、及び保護膜44cが均一な膜となる。よって、側壁の窒化シリコン膜40bが、側壁の酸化シリコン膜40aに対して選択的にエッチングされることが抑制される。
【0097】
第1ないし第4のエッチングガスに水素が含まれることが好ましい。第1ないし第4のエッチングガスに水素が含まれることで、窒化シリコン膜40bのエッチング速度が増加する。よって、第1ないし第4のエッチングのエッチング時間が短くできる。
【0098】
第1のエッチングにおける積層体40の第1のエッチング量E1は、第2のエッチングにおける積層体40の第2のエッチング量E2よりも大きいことが好ましい。仮に、メモリホールMHの深い部分でのシリル化反応が抑制されると、メモリホールMHの深い部分の保護膜44bが薄くなるおそれがある。第2のエッチング量E2を第1のエッチング量E1より少なくすることで、第2のエッチングの際の側壁のエッチングが抑制される。よって、メモリホールMHの形状がボーイング形状になることが抑制できる。なお、第1のエッチング量E1は、第2のエッチング量E2と同じか小さくても構わない。
【0099】
第1ないし第4のエッチングの際に、積層体40が載置されたホルダ22に印加される高周波電力は500W以上であることが好ましく、750W以上であることがより好ましく、1000W以上であることが更に好ましい。ホルダ22に印加される高周波電力が高くなることで、第1ないし第4のエッチングの際に積層体40に衝突するイオンのエネルギーが高くなる。よって、高いアスペクト比のメモリホールMHを形成することが容易となる。
【0100】
以上、第1の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
【0101】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1ないし第3の処理を、第1ないし第4のエッチング処理を行うRIE装置と異なる装置で行う点で、第1の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0102】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1ないし第3の処理を、ウェットエッチング装置を用いて行う。
【0103】
例えば、図3(c)に示した第1のエッチングの後、シリコン基板10をRIE装置のチャンバ20から搬出する。次に、ウェットエッチング装置を用いて第1の処理を行う。
【0104】
例えば、シリコン基板10の表面にTMSDMAを塗布する。例えば、シリコン基板10をTMSDMAの中に漬ける。第1の処理において、TMSDMAは、メモリホールMHに液体で供給される。
【0105】
第1の処理の後、シリコン基板10をRIE装置のチャンバ20に搬入し、第2のエッチングを行う。
【0106】
その後、ウェットエッチング装置を用いて第2の処理、RIE装置を用いて第3のエッチング、ウェットエッチング装置を用いて第3の処理、RIE装置を用いて第4のエッチングを行う。
【0107】
以上、第2の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
【0108】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の処理の処理時間と第2の処理の処理時間は、異なる点で、第1又は第2の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1又は第2の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0109】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、第2の処理の処理時間が第1の処理の処理時間よりも長い。メモリホールMHの深い部分に保護膜44bを形成する第2の処理の処理時間を、第1の処理の処理時間よりも長くする。第2の処理の処理時間を長くすることで、例えば、保護膜44bの均一性が向上する。
【0110】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、第2の処理の処理時間が第1の処理の処理時間よりも短い。メモリホールMHの深い部分では、メモリホールMHの順テーパ形状によりメモリホール径が小さくなる場合がある。第2の処理の処理時間を短くすることで、メモリホール径の小さい部分につく保護膜44bを薄くする。保護膜44bを薄くすることで、例えば、第3のエッチングの際の積層体40のエッチング速度の低下を抑制できる。
【0111】
以上、第3の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1又は第2の実施形態と同様、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
【0112】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1のエッチングの後、第1の処理の前に、凹部に水を供給する点で、第1の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0113】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、第1のエッチングの後、第1の処理の前に、積層体40に形成されたメモリホールMHに水を供給する。
【0114】
例えば、図3(c)に示した第1のエッチングの後、第3のガス供給口30cからチャンバ20の中に、水が供給される。水は、チャンバ20の中に気体として供給される。チャンバ20の中に水蒸気が供給される。
【0115】
次に、図3(d)に示した第1の処理を行う。
【0116】
第1のエッチングの後、メモリホールMHに水を供給することで、例えば、メモリホールMHの側壁の表面の水酸基(-OH)の面密度及び均一性が高くなる。したがって、第1の処理における保護膜44aの形成が促進される。
【0117】
したがって、例えば、保護膜44aの均一性が向上する。また、例えば、第1の処理の処理時間を短くできる。
【0118】
なお、例えば、第2のエッチングと第2の処理との間、第3のエッチングと第3の処理との間に、積層体40に形成されたメモリホールMHに水を供給しても構わない。
【0119】
以上、第4の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
【0120】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置の製造方法は、第1のエッチングの後、第1の処理の前に、凹部に酸素を供給する点で、第1の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0121】
第5の実施形態の半導体装置の製造方法は、例えば、第1のエッチングの後、第1の処理の前に、積層体40に形成されたメモリホールMHに酸素を供給する。
【0122】
例えば、図3(c)に示した第1のエッチングの後、第3のガス供給口30cからチャンバ20の中に、酸素ガスが供給される。高周波電力が印加され、酸素ガスは、チャンバ20の中で酸素プラズマとなる。
【0123】
次に、図3(d)に示した第1の処理を行う。
【0124】
第1のエッチングの後、メモリホールMHに酸素プラズマを供給することで、例えば、メモリホールMHの側壁の窒化シリコン膜40bの表面の酸化が進行する。このため、側壁に露出する酸化シリコン膜40aの表面状態と窒化シリコン膜40bの表面状態とが類似する。このため、第1の処理における酸化シリコン膜40aの表面のシリル化反応と、窒化シリコン膜40bの表面のシリル化反応が同様に進行する。したがって、保護膜44aの均一性が向上する。よって、側壁の窒化シリコン膜40bが、側壁の酸化シリコン膜40aに対して選択的にエッチングされることが抑制される。
【0125】
なお、例えば、第2のエッチングと第2の処理との間、第3のエッチングと第3の処理との間に、積層体40に形成されたメモリホールMHに酸素を供給しても構わない。
【0126】
以上、第5の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1の実施形態と同様、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態の半導体装置の製造方法は、被加工層が単層である点で、第1ないし第5の実施形態の製造方法と異なる。以下、第1ないし第5の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0127】
第6の実施形態の半導体装置の製造方法は、被加工層が単層である。言い換えれば、被加工層が異なる2種以上の膜で形成された積層構造を備えない。
【0128】
被加工層は、例えば、単層の絶縁層である。絶縁層は、例えば、酸化物層、窒化物層、又は酸窒化物層である。
【0129】
被加工層は、例えば、単層の金属層である。
【0130】
また、被加工層は、例えば、単層の半導体層である。半導体層は、例えば、単結晶又は多結晶のシリコン層である。
【0131】
第6の実施形態の半導体装置の製造方法では、形成される凹部のパターンは、例えば、穴パターン又は溝パターンである。
【0132】
以上、第6の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第1ないし第5の実施形態と同様の作用により、メモリホールの形状がボーイング形状になることを抑制でき、メモリホールを高い加工精度で形成できる。
【0133】
第1ないし第5の実施形態では、エッチングを4回、それぞれのエッチングの間にシリル化剤を供給する処理を3回行う場合を例に説明したが、エッチングの回数は4回、シリル化剤を供給する処理の回数は3回に限定されるものではない。エッチングの回数は2回以上、シリル化剤を供給する処理は1回以上であれば、任意の回数とすることが可能である。
【0134】
第1ないし第5の実施形態では、半導体装置が不揮発性メモリである場合を例に説明したが、半導体装置は、不揮発性メモリに限定されるものではない。
【0135】
第1の実施形態では被加工層の第1の膜が酸化シリコン膜、第2の膜が窒化シリコン膜である場合を例に説明したが、第1の膜と第2の膜は、異なる膜であれば酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の組み合わせに限定されない。例えば、絶縁膜と半導体膜、絶縁膜と金属膜の組み合わせであっても構わない。
【0136】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0137】
20 チャンバ
22 ホルダ
40 積層体(被加工層)
40a 酸化シリコン膜(第1の膜)
40b 窒化シリコン膜(第2の膜)
42 炭素層(マスク層)
100 不揮発性メモリ(半導体装置)
E1 第1のエッチング量
E2 第2のエッチング量
MH メモリホール(凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7