(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115668
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/13 20060101AFI20220802BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220802BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B41J29/13
G03G21/16 133
B65H5/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012359
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 文哉
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
3F101
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB11
2C061CD01
2H171FA03
2H171GA06
2H171GA12
2H171HA23
2H171KA18
2H171KA22
2H171KA23
2H171SA11
2H171SA19
2H171SA31
2H171WA17
3F101FB02
3F101FC07
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】カバーの取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとって容易な記録装置を提供する。
【解決手段】カバー30は、カバー30の凹部39と筐体の凸部との嵌合と、カバー30のフック35と筐体の壁部との係合とにより、筐体の開口を塞ぐように筐体に取り付けられている。フック35は、延在部35aと突出部35bとを繋ぐリブ36を含む。リブ36は、下方に向かうにつれて左右方向に沿って開口の外側に張り出した傾斜面36sを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録を行う記録部と、
前記記録部を収容しかつ第1開口が形成された筐体と、
前記第1開口を塞ぐように前記筐体に取り付けられたカバーと、を備え、
前記筐体は、
前記第1開口の第1端部に配置された凸部と、
前記第1開口の前記第1端部と交差する第2端部に配置された壁部と、を有し、
前記カバーは、
前記第1端部に配置され、前記凸部に嵌合する凹部であって、前記第2端部に沿って前記第1端部に近づく第1方向に開口した凹部と、
前記第2端部に配置され、前記第1方向に延びる延在部及び前記延在部から前記第1端部に沿って前記第2端部に近づく第2方向に向けて突出した突出部を含むフックと、を有し、
前記フックは、
前記突出部が前記壁部と接触することで前記延在部が前記第1端部に沿って前記第2端部から離れる第3方向に撓み、その後前記延在部が前記第2方向に復帰することで、前記フックの少なくとも一部が前記第1方向及び前記第2方向と直交する第4方向に前記壁部と重なるように構成されており、
前記延在部と前記突出部とを繋ぐリブであって、前記第1方向に向かうにつれて前記第2方向に張り出した第1傾斜面を有するリブをさらに含むことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
記録媒体に対して記録を行う記録部と、
前記記録部を収容しかつ第1開口が形成された筐体と、
前記第1開口を塞ぐように前記筐体に取り付けられたカバーと、を備え、
前記筐体は、
前記第1開口の第1端部に配置された凹部と、
前記第1開口の前記第1端部と交差する第2端部に配置された壁部と、を有し、
前記カバーは、
前記第1端部に配置され、前記凹部に嵌合する凸部と、
前記第2端部に配置され、前記第2端部に沿って前記第1端部に近づく第1方向に延びる延在部及び前記延在部から前記第1端部に沿って前記第2端部に近づく第2方向に向けて突出した突出部を含むフックと、を有し、
前記凹部は、前記第1方向と逆の方向に開口し、
前記フックは、
前記突出部が前記壁部と接触することで前記延在部が前記第1端部に沿って前記第2端部から離れる第3方向に撓み、その後前記延在部が前記第2方向に復帰することで、前記フックの少なくとも一部が前記第1方向及び前記第2方向と直交する第4方向に前記壁部と重なるように構成されており、
前記延在部と前記突出部とを繋ぐリブであって、前記第1方向に向かうにつれて前記第2方向に張り出した第1傾斜面を有するリブをさらに含むことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記第1開口に対して前記第1方向に、第2開口が形成されており、
前記第2開口を閉鎖する閉鎖位置と前記第2開口を開放する開放位置とを選択的に取り得るように前記筐体に取り付けられた開閉部材をさらに備え、
前記筐体は、記録媒体を収容する収容トレイから前記記録部に向けて記録媒体を搬送するためのUターン経路に沿って記録媒体をガイドするガイド部材をさらに収容し、
前記開閉部材が前記閉鎖位置にあるとき、前記開閉部材と前記ガイド部材との間に前記Uターン経路が形成され、
前記開閉部材が前記開放位置にあるとき、前記第2開口を介して前記ガイド部材が露出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2端部は、前記第1方向の上流側の一端と、前記第1方向の下流側の他端とを有し、
前記フックは、前記一端に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記フックは、前記第4方向に並ぶ複数の前記リブを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1傾斜面は、前記カバーにおける前記第2端部に沿った外面から前記第2方向に向けて突出していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記壁部は、前記第1方向に向かうにつれて前記第3方向に張り出した第2傾斜面を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1傾斜面の前記第2端部と直交する方向に対する鋭角側の角度は、45°以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録部を収容する筐体と筐体に取り付けられたカバーとを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録部を収容する筐体に対し、手差しトレイが回動可能に取り付けられた構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体に対し、カバーを、特許文献1の手差しトレイのように回動可能ではなく、ユーザが容易に取り外しできないように取り付ける場合がある。ただし、記録装置の修理時には、筐体内部の点検や分解修理等のため、サービスマンがカバーを容易に取り外しできることが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、カバーの取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとって容易な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る記録装置は、記録媒体に対して記録を行う記録部と、前記記録部を収容しかつ第1開口が形成された筐体と、前記第1開口を塞ぐように前記筐体に取り付けられたカバーと、を備え、前記筐体は、前記第1開口の第1端部に配置された凸部と、前記第1開口の前記第1端部と交差する第2端部に配置された壁部と、を有し、前記カバーは、前記第1端部に配置され、前記凸部に嵌合する凹部であって、前記第2端部に沿って前記第1端部に近づく第1方向に開口した凹部と、前記第2端部に配置され、前記第1方向に延びる延在部及び前記延在部から前記第1端部に沿って前記第2端部に近づく第2方向に向けて突出した突出部を含むフックと、を有し、前記フックは、前記突出部が前記壁部と接触することで前記延在部が前記第1端部に沿って前記第2端部から離れる第3方向に撓み、その後前記延在部が前記第2方向に復帰することで、前記フックの少なくとも一部が前記第1方向及び前記第2方向と直交する第4方向に前記壁部と重なるように構成されており、前記延在部と前記突出部とを繋ぐリブであって、前記第1方向に向かうにつれて前記第2方向に張り出した第1傾斜面を有するリブをさらに含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2観点に係る記録装置は、記録媒体に対して記録を行う記録部と、前記記録部を収容しかつ第1開口が形成された筐体と、前記第1開口を塞ぐように前記筐体に取り付けられたカバーと、を備え、前記筐体は、前記第1開口の第1端部に配置された凹部と、前記第1開口の前記第1端部と交差する第2端部に配置された壁部と、を有し、前記カバーは、前記第1端部に配置され、前記凹部に嵌合する凸部と、前記第2端部に配置され、前記第2端部に沿って前記第1端部に近づく第1方向に延びる延在部及び前記延在部から前記第1端部に沿って前記第2端部に近づく第2方向に向けて突出した突出部を含むフックと、を有し、前記凹部は、前記第1方向と逆の方向に開口し、前記フックは、前記突出部が前記壁部と接触することで前記延在部が前記第1端部に沿って前記第2端部から離れる第3方向に撓み、その後前記延在部が前記第2方向に復帰することで、前記フックの少なくとも一部が前記第1方向及び前記第2方向と直交する第4方向に前記壁部と重なるように構成されており、前記延在部と前記突出部とを繋ぐリブであって、前記第1方向に向かうにつれて前記第2方向に張り出した第1傾斜面を有するリブをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバーの取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとって容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る複合機を示す斜視図である。
【
図2】
図1の複合機のプリンタ部を示す断面図である。
【
図4】複合機の筐体の後面に設けられたカバーの正面図である。
【
図6】
図4及び
図5に示す方向VIから見たカバーの側面図である。
【
図7】
図3に示す領域VIIに設けられた筐体の壁部とカバーのフックとの関係を示す概略図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る複合機の
図3に対応する図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る複合機の
図6に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
先ず、本発明の第1実施形態に係る複合機100について説明する。
【0011】
なお、以下の説明では、
図1に示す上下方向、前後方向及び左右方向を、複合機100の上下方向、前後方向及び左右方向とする。
【0012】
複合機100は、プリント機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するものであり、
図1に示すように、略直方体形状の筐体10を備えている。筐体10の下部には、プリンタユニット50が設けられている。
【0013】
プリンタユニット50は、
図2に示すように、用紙P(記録媒体)を収容する収容トレイ51と、用紙Pを搬送経路Rに沿って搬送する搬送機構52と、用紙Pに対して記録を行うインクジェット方式のヘッド53(記録部)と、ヘッド53の下方に配置されたプラテン54と、記録後の用紙Pを受容する受容トレイ55とを含む。
【0014】
収容トレイ51は、上方に開口した箱形状を有し、筐体10(
図1参照)に対して着脱可能である。収容トレイ51は、筐体10に対して前方に移動することで筐体10から引き出され、筐体10に対して後方に移動することで筐体10内に装着される。
【0015】
受容トレイ55は、収容トレイ51の上方であって、筐体10(
図1参照)の前部に設けられている。
【0016】
搬送機構52、ヘッド53及びプラテン54は、筐体10(
図1参照)の内部に収容されている。
【0017】
搬送経路Rは、収容トレイ51からヘッド53に向けて用紙Pを搬送するためのUターン経路R1と、ヘッド53から受容トレイ55に向けて用紙Pを搬送するためのストレート経路R2とを含む。Uターン経路R1は、収容トレイ51から後方に向かった後、上方に向かい、その後、前方に向かう経路である。ストレート経路R2は、後方から前方に向かう経路である。
【0018】
搬送機構52は、収容トレイ51に設けられた給紙ローラ521と、Uターン経路R1に沿って用紙Pをガイドするガイド板522(ガイド部材)と、搬送経路Rにおいてガイド板522とプラテン54との間に配置されたローラ対523と、搬送経路Rにおいてプラテン54と受容トレイ55との間に配置されたローラ対524とを含む。
【0019】
給紙ローラ521は、収容トレイ51内で最も上方にある用紙Pの表面と接触するように配置されている。複合機100の制御部(図示略)により搬送モータが駆動されると、給紙ローラ521が回転し、当該用紙Pが搬送経路Rに送り出される。
【0020】
ローラ対523及びローラ対524は、それぞれ、搬送モータの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとを含む。複合機100の制御部(図示略)により搬送モータが駆動され、ローラ対523,524が用紙Pを挟持しつつ回転することで、用紙Pが搬送経路Rに沿って搬送される。
【0021】
ヘッド53は、下面に形成された複数のノズル(図示略)と、ドライバIC(図示略)とを含む。搬送機構52によって搬送された用紙Pがヘッド53の下方を通過するときに、複合機100の制御部(図示略)によりドライバICが駆動され、ノズルからインクが吐出されることで、用紙Pに画像が形成される。なお、ヘッド53は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、左右方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。
【0022】
プラテン54は、ヘッド53の下方において用紙Pを支持する。ヘッド53により記録(画像の形成)が行われた用紙Pは、受容トレイ55に受容される。
【0023】
次いで、
図2~
図7を参照し、筐体10の後面に設けられたカバー30及び開閉部材40について説明する。
【0024】
筐体10の後面には、
図3に示すように、2つの開口11,12が形成されている。開口11は、本発明の「第1開口」に該当する。開口12は、開口11に対して下方(第1方向)に位置し、本発明の「第2開口」に該当する。
【0025】
開閉部材40は、開口12を閉鎖する閉鎖位置(
図2に実線で示す位置)と開口12を開放する開放位置(
図2に破線で示す位置)とを選択的に取り得るように筐体10に取り付けられている。具体的には、開閉部材40は、一対の軸部41を有し、軸部41を中心として回動可能に筐体10に取り付けられている。軸部41は、
図3に示すように、開閉部材40の下辺の左右両端に設けられており、左右方向に沿った軸心を有する。
【0026】
開閉部材40が閉鎖位置(
図2に実線で示す位置)にあるとき、開閉部材40とガイド板522との間に、Uターン経路R1が形成される。開閉部材40が開放位置(
図2に破線で示す位置)にあるとき、開口12を介してガイド板522が露出される。
【0027】
ユーザは、開閉部材40の表面に設けられた摘み45(
図3参照)を摘みながら開閉部材40を筐体10に対して後方に移動させることで、開閉部材40を軸部41を中心として回動させて閉鎖位置(
図2に実線で示す位置)から開放位置(
図2に破線で示す位置)に移行させることができる。例えば、Uターン経路R1で用紙Pのジャムが生じたときに、開閉部材40を開放位置にすることで、ジャムした用紙PをUターン経路R1から取り出すことができる。
【0028】
カバー30は、開口11を塞ぐように筐体10に取り付けられている。
【0029】
図3に示すように、開口12は矩形状であるのに対し、開口11はT字状である。カバー30は、開口11の形状(T字状)に合わせて、左右方向の長さが互いに異なる上部31及び下部32を有する。上部31の左右方向の長さは、下部32の左右方向の長さよりも長い。
【0030】
開口11は、下辺111(第1端部)と、上辺112と、一対の側辺113(第2端部)とを有する。上辺112の左右方向の長さは、下辺111の左右方向の長さよりも長い。一対の側辺113は、それぞれ、カバー30の上部31に対応する上端113xと、カバー30の下部32に対応する下端113yとを有する。側辺113の上端113x及び下端113yは、共に、下辺111及び上辺112と交差する。
【0031】
筐体10は、開口11の下辺111の左右両端に配置された一対の凸部19を有する。一対の凸部19は、それぞれ、左右方向に沿った軸心を有し、筐体10における開口11の各側辺113の下端113yを画定する壁から開口11の内側に向けて突出している。
【0032】
カバー30は、下部32の左右両端に配置された一対の凹部39(
図5及び
図6参照)を有する。一対の凹部39は、開口11の下辺111(
図3参照)に配置され、一対の凸部19に嵌合する。各凹部39は、
図6に示すように、下方に開口している。
【0033】
下方(第1方向)は、側辺113(第2端部)に沿って下辺111(第1端部)に近づく方向である。また、第1方向の上流側は上方であり、側辺113の上端113xが「第1方向の上流側の一端」に該当する。第1方向の下流側は下方であり、側辺113の下端113yが「第1方向の下流側の他端」に該当する。
【0034】
カバー30は、さらに、上部31の左右両端に配置された一対のフック35(
図5参照)を有する。一対のフック35は、開口11の一対の側辺113の上端113x(
図3参照)にそれぞれ配置される。
【0035】
一対のフック35は、それぞれ、
図5~
図7に示すように、下方に延びる延在部35aと、延在部35aから左右方向に沿って開口11の外側(第2方向)に向けて突出した突出部35bとを含む。第2方向は、開口11(
図3参照)の下辺111に沿って側辺113に近づく方向である。
図5において左側のフック35の突出部35bは左方(第2方向)に向けて突出し、
図5において右側のフック35の突出部35bは右方(第2方向)に向けて突出している。
【0036】
一対のフック35は、それぞれ、複合機100の製造過程においてカバー30が筐体10に取り付けられるときに、突出部35bが筐体10の壁部16と接触することで、延在部35aが左右方向に沿って開口11の内側(第3方向)に撓み、その後延在部35aが左右方向に沿って開口11の外側(第2方向)に復帰することで、フック35の少なくとも一部(
図7では突出部35bの先端)が前後方向(第4方向)に壁部16と重なるように構成されている。第3方向は、開口11(
図3参照)の下辺111に沿って側辺113から離れる方向である。
図5において左側のフック35の延在部35aは右方(第3方向)に撓み、
図5において右側のフック35の延在部35aは左方(第3方向)に撓む。
【0037】
壁部16は、開口11の各側辺113の上端113xに配置されている。
【0038】
一対のフック35のうち、複合機100において左側の(
図3及び
図4は複合機100を後側から見た図であり、これらの図では右側の)フック35は、
図5~
図7に示すように、延在部35a及び突出部35bに加え、延在部35aと突出部35bとを繋ぐ2つのリブ36を含む。2つのリブ36は、
図6に示すように、前後方向に並んでいる。
【0039】
各リブ36は、前後方向と直交する平面に沿った板状の部材である。各リブ36は、
図5及び
図7に示すように、前後方向から見て三角形状であり、下方に向かうにつれて左右方向に沿って開口11の外側(第2方向)に張り出した傾斜面36s(第1傾斜面)を有する。傾斜面36sの左右方向(側辺113と直交する方向)に対する鋭角側の角度θ(
図7参照)は45°以上である。突出部35bの先端及びリブ36の先端(傾斜面36sを含む部分)は、
図4及び
図5に示すように、カバー30における開口11の側辺113の上端113xに沿った外面31xから、左右方向に沿って開口11の外側(第2方向)に向けて突出している。
【0040】
筐体10の壁部16は、
図7に示すように、下方に向かうにつれて左右方向に沿って開口11の内側(第3方向)に張り出した傾斜面16s(第2傾斜面)を有する。
【0041】
なお、
図7は、
図3と同様に複合機100を後側から見て、カバー30の上部31を構成する壁を省略した図である。
図7において、壁部16はフック35よりも後方に位置する。
【0042】
複合機100の製造過程において、カバー30を筐体10に取り付ける際には、先ず、カバー30の下端を筐体10の開口11の下辺111に沿って配置し、一対の凹部39を一対の凸部19に嵌合させる。その後、カバー30の下端の凹部39を中心としてカバー30を回動させ、カバー30の上部31を前方に移動させて、開口11を塞ぐ。このとき、一対のフック35のそれぞれにおいて、突出部35bが筐体10の壁部16と接触することで、延在部35aが左右方向に沿って開口11の内側に撓み、その後突出部35bが壁部16よりも前方に配置されることで、延在部35aが左右方向に沿って開口11の外側に復帰する。これにより、
図7に示すように、突出部35bの先端と壁部16とが前後方向に重なり、フック35と壁部16とが係合する。このとき、壁部16がフック35よりも後方に位置することで、カバー30の後方への移動が禁止され、カバー30が筐体10に対して固定される。
【0043】
複合機100の修理時等において、カバー30を筐体10から取り外す際には、例えば、先ず、工具を開口11の一方の側辺113(複合機100において左側の側辺113であって、
図3では右側の側辺113)の上方から上端113xに沿って挿入し、工具を壁部16の傾斜面16sに沿って移動させ(
図7参照)、さらにリブ36の傾斜面36s(
図4~
図7参照)に当てながら下方に移動させる。これにより、複合機100において左側の(
図3及び
図4は複合機100を後側から見た図であり、これらの図では右側の)フック35が左右方向に沿って開口11の内側に撓み、当該一方の側辺113において、突出部35bの先端と壁部16とが前後方向に重ならなくなり、フック35と壁部16との係合が解除される。このように開口11の一方の側辺113においてフック35と壁部16との係合が解除されることで、ガタが生じ、開口11の他方の側辺113(複合機100において右側の側辺113であって、
図3では左側の側辺113)においても、フック35と壁部16との係合が解除される。その後、カバー30の下端の凹部39を中心としてカバー30を回動させ、カバー30の上部31を後方に移動させてから、カバー30全体を上方かつ後方の斜め方向に移動させることで、凹部39と凸部19との嵌合が解除されると共に、カバー30が筐体10から取り外される。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態によれば、カバー30は、凹部39と凸部19との嵌合とフック35と壁部16との係合とにより、筐体10に取り付けられている。ここで、フック35は、延在部35aと突出部35bとを繋ぐリブ36(
図5~
図7参照)を含み、リブ36により補強されて撓み難くなっているため、ユーザにとっては、カバー30の取り外しが困難である。一方、サービスマンは、工具をリブ36の傾斜面36sに当てながら開口11の側辺113(複合機100において左側の側辺113であって、
図3では右側の側辺113)に沿って移動させることでフック35を撓ませ、フック35と壁部16との係合を解除できる。さらに、凹部39が下方に開口しており(
図6参照)、フック35と壁部16との係合を解除した後、カバー30を筐体10に対して上方に移動させることで、凹部39と凸部19との嵌合が解除され、カバー30を筐体10から容易に取り外すことができる。したがって、本実施形態によれば、カバー30の取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとっては容易である。
【0045】
カバー30の下方に、開閉部材40が設けられている(
図3参照)。開閉部材40が開放位置(
図2に破線で示す位置)にあるとき、開口12を介してガイド板522が露出される。したがって、Uターン経路R1で用紙Pのジャムが生じたときに、開閉部材40を開放位置にすることで、ジャムした用紙PをUターン経路R1から取り出すことができる。
【0046】
フック35は、開口11の側辺113の上端113xに配置されている(
図3~
図5参照)。フック35が開口11の側辺113の下端113y(
図3に示す開口12に近い側の端部)に配置された場合、開閉部材40を開放位置とした際に、ユーザがフック35に触れて、フック35の係合が解除され、カバー30が取り外され得る。この点、本実施形態では、フック35が開口11の側辺113の上端113x(
図3に示す開口12から遠い側の端部)に配置されているため、開閉部材40を開放位置とした際にも、ユーザがフック35に触れ難く、カバー30が取り外され難い。
【0047】
フック35は、前後方向に並ぶ2つのリブ36を含む(
図6参照)。フック35が1つのリブ36を含む場合、工具をリブ36の傾斜面36sに当てながら開口11の側辺113に沿って移動させる作業を行うときに、工具が回転し、安定した作業が困難になり得る。この点、本実施形態では、フック35が前後方向に並ぶ2つのリブ36を含むため、工具の回転が抑えられ、安定して作業を行える。また、リブ36によるフック35の補強効果が高まり、ユーザによるカバー30の取り外しをより困難にできる。
【0048】
リブ36の傾斜面36sは、カバー30における開口11の側辺113の上端113xに沿った外面31xから、左右方向に沿って開口11の外側(第2方向)に向けて突出している。この場合、工具を開口11の側辺113に沿って挿入すると、工具がリブ36の傾斜面36sに当たることとなり、フック35を撓ませてフック35と壁部16との係合を解除することを容易に実現できる。
【0049】
筐体10の壁部16は、下方に向かうにつれて左右方向に沿って開口11の内側に張り出した傾斜面16sを有する(
図7参照)。この場合、工具を開口11の側辺113に沿って挿入すると、工具が壁部16の傾斜面16sに沿ってリブ36の傾斜面36sへと案内される。したがって、工具をリブ36の傾斜面36sに容易に当てることができ、フック35を撓ませてフック35と壁部16との係合を解除することを容易に実現できる。
【0050】
リブ36の傾斜面36sの左右方向に対する鋭角側の角度θは、45°以上である(
図7参照)。この場合、工具をリブ36の傾斜面36sに当てながら開口11の側辺113に沿って移動させる作業において、工具に作用する摩擦力が抑えられるため、小さな力で、工具を移動させ、フック35を撓ませること(ひいては、フック35と壁部16との係合を解除し、カバー30を筐体10から取り外すこと)ができる。
【0051】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係る複合機200について説明する。
【0052】
第1実施形態では、カバー30の凹部39(
図5及び
図6参照)が筐体10の凸部19(
図3参照)に嵌合するのに対し、本実施形態では、カバー230の凸部239(
図10参照)が筐体210の凹部219(
図8及び
図9参照)に嵌合する。
【0053】
筐体210は、開口11の下辺111の左右両端に配置された一対の凹部219を有する(
図8参照)。各凹部219は、
図9に示すように、上方(第1方向と逆の方向)に開口している。
【0054】
カバー230は、下部32の左右両端に配置された一対の凸部239(
図10参照)を有する。一対の凸部239は、開口11の下辺111(
図8参照)に配置され、一対の凹部219に嵌合する。一対の凸部239は、それぞれ、左右方向に沿った軸心を有し、下部32の側壁から開口11の外側に向けて突出している。
【0055】
複合機200の製造過程において、カバー230を筐体210に取り付ける際には、先ず、カバー230の下端を筐体210の開口11の下辺111に沿って配置し、一対の凸部239を一対の凹部219に嵌合させる。その後、カバー230の下端の凸部239を中心としてカバー230を回動させ、カバー230の上部231を前方に移動させて、開口11を塞ぐ。このとき、第1実施形態と同様、一対のフック35のそれぞれにおいて、突出部35bが筐体10の壁部16と接触することで、延在部35aが左右方向に沿って開口11の内側に撓み、その後突出部35bが壁部16よりも前方に配置されることで、延在部35aが左右方向に沿って開口11の外側に復帰する。これにより、
図7に示すように、突出部35bの先端と壁部16とが前後方向に重なり、フック35と壁部16とが係合する。このとき、壁部16がフック35よりも後方に位置することで、カバー230の後方への移動が禁止され、カバー230が筐体210に対して固定される。
【0056】
複合機200の修理時等において、カバー230を筐体210から取り外す際には、第1実施形態と同様、例えば、先ず、工具を開口11の一方の側辺113(複合機100において左側の側辺113であって、
図8では右側の側辺113)の上方から上端113xに沿って挿入し、工具を壁部16の傾斜面16sに沿って移動させ(
図7参照)、さらにリブ36の傾斜面36s(
図4~
図7参照)に当てながら下方に移動させる。これにより、複合機200において左側の(
図8は複合機200を後側から見た図であり、これらの図では右側の)フック35が左右方向に沿って開口11の内側に撓み、当該一方の側辺113において、突出部35bの先端と壁部16とが前後方向に重ならなくなり、フック35と壁部16との係合が解除される。このように開口11の一方の側辺113においてフック35と壁部16との係合が解除されることで、ガタが生じ、開口11の他方の側辺113(複合機200において右側の側辺113であって、
図8では左側の側辺113)においても、フック35と壁部16との係合が解除される。その後、カバー230の下端の凸部239を中心としてカバー230を回動させ、カバー230の上部31を後方に移動させてから、カバー230全体を上方かつ後方の斜め方向に移動させることで、凸部239と凹部219との嵌合が解除されると共に、カバー230が筐体210から取り外される。
【0057】
以上に述べたように、本実施形態によれば、凹部と凸部との関係が第1実施形態と逆であるが、それ以外は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と同様の効果が得られる。即ち、フック35がリブ36により補強されて撓み難くなっているため、ユーザにとっては、カバー230の取り外しが困難である。一方、サービスマンは、工具をリブ36の傾斜面36sに当ててフック35を撓ませ、フック35と壁部16との係合を解除できる。さらに、本実施形態では凹部219が上方に開口しており(
図9参照)、フック35と壁部16との係合を解除した後、カバー230を筐体210に対して上方に移動させることで、凸部239と凹部219との嵌合が解除され、カバー230を筐体210から容易に取り外すことができる。したがって、本実施形態によれば、カバー230の取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとっては容易である。
【0058】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0059】
第1開口は、上述の実施形態ではT字状であるが、これに限定されず、矩形状等であってもよい。第2開口は、上述の実施形態では矩形状であるが、これに限定されず、T字状等であってもよい。
【0060】
上述の第1実施形態において、凸部19(
図3参照)は、左右方向に沿った軸心を有し、筐体10における開口11の側辺113を画定する壁から突出しているが、これに限定されず、例えば、上下方向に沿った軸心を有し、筐体10における開口11の下辺111を画定する壁から突出してもよい。同様に、上述の第2実施形態において、凸部219(
図8参照)は、左右方向に沿った軸心を有し、カバー230における開口11の側辺113を画定する壁から突出しているが、これに限定されず、例えば、上下方向に沿った軸心を有し、カバー230における開口11の下辺111を画定する壁から突出してもよい。つまり、本発明において、凸部は、開口の第1端部(上述の実施形態の下辺111)に配置されればよく、突出方向や突出の基端がどこにあるかは特に限定されない。
【0061】
第1傾斜面の第2端部と直交する方向に対する鋭角側の角度は、45°未満であってもよい。
【0062】
筐体の壁部は、第2傾斜面を有さなくてもよい。また、リブの第1傾斜面は、カバーにおける第2端部に沿った外面から第2方向に向けて突出しなくてもよい。これらの場合においても、工具を第1傾斜面に当てることができれば、フックと壁部との係合を解除し、カバーを筐体から取り外すことができる。
【0063】
フックは、2つのリブを含むことに限定されず、3つ以上のリブを含んでもよい。或いは、フックは、1つのリブを含んでもよい。
【0064】
フックは、第1開口の第2端部の他端に配置されてもよい。
【0065】
第2開口及び開閉部材を省略してもよい。
【0066】
記録部は、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)を吐出してもよい。また、記録部は、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0067】
記録媒体は、用紙に限定されず、例えば布、樹脂部材等であってもよい。
【0068】
本発明は、複合機に限定されず、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、コピー機等、カバーの取り外しがユーザにとって困難かつサービスマンにとって容易にすることが望まれる任意の記録装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10;210 筐体
11 開口(第1開口)
111 下辺(第1端部)
113 側辺(第2端部)
113x 上端(一端)
113y 下端(他端)
12 開口(第2開口)
16 壁部
16s 傾斜面(第2傾斜面)
19;219 凸部
30;230 カバー
31x 外面
35 フック
35a 延在部
35b 突出部
36 リブ
36s 傾斜面(第1傾斜面)
39;239 凹部
40 開閉部材
50 プリンタユニット
51 収容トレイ
522 ガイド板(ガイド部材)
53 ヘッド(記録部)
100;200 複合機(記録装置)
P 用紙(記録媒体)
R1 Uターン経路