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特開2022-115679情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法
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  • 特開-情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115679
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20220802BHJP
   A01M 29/10 20110101ALI20220802BHJP
【FI】
A01M29/16
A01M29/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012383
(22)【出願日】2021-01-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.oki.com/jp/AIedge/event/contest2020/#contents1 https://www.oki.com/jp/AIedge/event/contest2020/solutions.html#tab04 2020年9月23日付で株式会社ミライトが、「事業/居住地・人里周辺における害獣対策」と題し、AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテストにて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000207894
【氏名又は名称】株式会社ミライト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100192924
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】高堂 博司
(72)【発明者】
【氏名】野原 彰仁
(72)【発明者】
【氏名】本多 淳子
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121DA33
2B121DA52
2B121DA59
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA24
2B121EA26
2B121FA13
2B121FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】害獣の撃退可能性を向上することができる情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法を提供する。
【解決手段】サーバと、サーバと通信可能に接続された端末装置2と、を含む情報処理システムであって、端末装置2は、第1の撮像画像を取得することと、サーバから撃退パターンリストを受信することと、第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、動物の撃退を試みることと、撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、第2の撮像画像から、動物が留まっていると判定した場合、撃退パターンの構成を変更することと、構成が変更された後の撃退パターンを実行して動物の撃退を再度試みることと、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバと通信可能に接続された端末装置と、を含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
第1の撮像画像を取得することと、
前記サーバから撃退パターンリストを受信することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を実行する、情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記撃退パターンは、音及び光の少なくとも一方を出力することを含む、情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、前記第1の撮像画像から人を検出した場合、前記撃退パターンを実行しない、情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、動物の種類と、前記動物に対して実行された撃退パターンと、前記撃退パターンによる撃退の成否とを含む成否データを前記サーバに送信する、情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバは、前記端末装置から前記成否データを受信すると、
前記成否データから教師データを作成し、
前記教師データを用いて学習モデルを強化し、
前記学習モデルから、各動物の撃退パターンごとの撃退の成否に応じて重みが付与された新たな撃退パターンリストを生成し、
前記新たな撃退パターンリストを前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記新たな撃退パターンリスト内の前記重みに基づいて撃退パターンを実行する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、
前記端末装置は、前記第1の撮像画像から複数の動物種を検出すると、害獣リストにおいて最大の重みが付与された動物種に対応する撃退パターンを前記撃退パターンリストから抽出し、抽出された前記撃退パターンを実行する、情報処理システム。
【請求項7】
サーバと、前記サーバと通信可能に接続された端末装置と、を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、
前記端末装置により、
第1の撮像画像を取得することと、
前記サーバから撃退パターンリストを受信することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
端末装置であって、
第1の撮像画像を取得することと、
撃退パターンリストを記憶することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を実行する、端末装置。
【請求項9】
端末装置による端末制御方法であって、
第1の撮像画像を取得することと、
撃退パターンリストを記憶することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を含む、端末制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニホンジカによる農林業被害を低減するために、スピーカーからニホンジカへ11種類の周波数の純音を発する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】堂山宗一郎、他2名、「ニホンジカの超音波周波数域を含む純音刺激に対する行動」、[online]、平成29年、農研機構西日本農業研究センター 畜産・鳥獣害研究領域、[令和3年1月4日検索]、インターネット <URL:https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/warc_report17-2.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の非特許文献では、どの周波数の音に対しても警戒又は忌避反応を示すニホンジカがいなかったことが記載されている。上記の非特許文献には、ニホンジカを撃退する有効な方法は提示されていない。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、害獣の撃退可能性を向上することができる情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理システムは、
サーバと、前記サーバと通信可能に接続された端末装置と、を含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
第1の撮像画像を取得することと、
前記サーバから撃退パターンリストを受信することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を実行する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、
サーバと、前記サーバと通信可能に接続された端末装置と、を含む情報処理システムによる情報処理方法であって、
前記端末装置により、
第1の撮像画像を取得することと、
前記サーバから撃退パターンリストを受信することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係る端末装置は、
第1の撮像画像を取得することと、
撃退パターンリストを記憶することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を実行する。
【0009】
本開示の一実施形態に係る端末制御方法は、
端末装置による端末制御方法であって、
第1の撮像画像を取得することと、
撃退パターンリストを記憶することと、
前記第1の撮像画像から特定の動物を検出すると、前記撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行して、前記動物の撃退を試みることと、
前記撃退を試みた後に第2の撮像画像を取得することと、
前記第2の撮像画像から、前記動物が留まっていると判定した場合、前記撃退パターンの構成を変更することと、
前記構成が変更された後の撃退パターンを実行して前記動物の撃退を再度試みることと、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態による情報処理システム、情報処理方法、端末装置、及び端末制御方法によれば、害獣の撃退可能性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の情報処理システムの概略図である。
図2】端末装置による撃退を示すブロック図である。
図3】撃退パターンリストのデータ構造を示す図である。
図4】害獣リストのデータ構造を示す図である。
図5】成否データDB(database)のデータ構造を示す図である。
図6】端末装置の動作を示すフローチャートである。
図7図6の続きのフローチャートである。
図8】サーバと端末装置とによって実行される処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の情報処理システムSの概略図である。情報処理システムSは、ネットワークNWを介して互いに通信可能に接続されたサーバ1と1以上の端末装置(端末装置2から端末装置nまで)とを含む。ネットワークNWは、例えば移動体通信網又はインターネットを含む。
【0013】
図1では説明の簡便のため、サーバ1は1つ図示される。しかし、サーバ1の数はこれに限られない。例えば、サーバ1が実行する処理は、分散配置された複数のサーバによって実行されてよい。
【0014】
サーバ1は、例えば、事業者専用の施設、又はデータセンタを含む共用の施設に設置されてよい。
【0015】
サーバ1の内部構成が詳細に説明される。
【0016】
サーバ1は制御部11と通信部12と記憶部13とを含む。サーバ1の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。
【0017】
制御部11は例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む1つ以上の汎用プロセッサを含む。制御部11は、特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを含んでよい。制御部11は、プロセッサを含む代わりに、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。
【0018】
通信部12は、ネットワークNWに接続するための、1つ以上の有線又は無線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールを含む。通信部12は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)を含む1つ以上の移動体通信規格に対応するモジュールを含んでよい。通信部12は、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、又はRFIDを含む1つ以上の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュール等を含んでよい。通信部12は、ネットワークNWを介して任意の情報を送信及び受信する。
【0019】
記憶部13は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれるが、これらに限られない。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは例えば、EEPROMである。記憶部13は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、制御部11によって分析又は処理された結果の情報を記憶してよい。記憶部13は、サーバ1の動作又は制御に関する各種情報等を記憶してよい。記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してよい。記憶部13は、後述する成否データDBを含む。
【0020】
端末装置2の内部構成が詳細に説明される。
【0021】
端末装置2は、制御部21と通信部22と記憶部23と撮像部24と出力部25とを含む。端末装置2の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。
【0022】
制御部21と通信部22と記憶部23とのハードウェア構成は、サーバ1の制御部11と通信部12と記憶部13とのハードウェア構成と同一であってよい。ここでの説明は省略される。
【0023】
撮像部24はカメラを含む。撮像部24は周囲を撮像することができる。撮像部24は画像解析のために、撮像した画像を記憶部23に記録し又は制御部21に送信してよい。
【0024】
出力部25は例えば、超音波又は衝撃音を出力する音響装置(スピーカ)を含んでよい。出力部25は光のフラッシュ又はレーザを出力する照明装置(ライト)を含んでよい。
【0025】
図2に示されるように撮像部24及び出力部25は、端末装置2に備えられる代わりに、外部の入力機器として端末装置2に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。図2に示されるように制御部21と通信部22と記憶部23とは、撮像部24及び出力部25と別体の装置、例えばAI(Artificial Intelligence:人工知能)エッジコンピューター「AE2100」であってよい。
【0026】
図1に示されるように、サーバ1に複数の端末装置が接続される。端末装置2以外の端末装置のハードウェア構成は、端末装置2のハードウェア構成と同一であってよい。ここでの説明は省略される。
【0027】
端末装置2による害獣ANの撃退方法が詳細に説明される。
【0028】
サーバ1、端末装置2又は他の任意の端末は、動物の普通名詞で分類された画像データを教師データとして用いる。サーバ1、端末装置2又は他の任意の端末は、教師データを一般的な機械学習アルゴリズムに入力して、有害な事象を引き起こす動物(すなわち害獣)を識別するための害獣学習モデルを作成する。機械学習アルゴリズムは、従来周知の任意の物体検出アルゴリズム(例えばYOLO)であってよい。害獣ANは、猪、猿、鹿、熊、狼、狸、狐、猫、犬、又はカラス等の任意の動物であってよい。
【0029】
サーバ1、端末装置2又は他の任意の端末は、画像から人を識別するための人間学習モデルを作成する。
【0030】
害獣学習モデル及び人間学習モデルは端末装置2に記憶される。
【0031】
[端末装置2が実行する端末制御方法]
端末装置2は例えば1日に1回、サーバ1から、図3に示されるような撃退パターンリストを受信する。撃退パターンリストでは、害獣種(動物種)に対し、撃退パターンと重みとが対応付けられる。「撃退パターン」は動物ごとに異なる可聴域に対応した音であってよいし、動物ごとに効果の異なる光であってよい。「重み」は、後述されるように、いずれの撃退パターンが採用されるかの判断のための指標である。
【0032】
端末装置2は撮像部24を用いて、例えば毎秒、画像を撮像する。端末装置2は取得した撮像画像に任意の人間学習モデルを適用して、人がいるか否かを判定する。端末装置2は、撮像画像に任意の害獣学習モデルを適用して、害獣(特定の動物)がいるか否かを判定する。
【0033】
端末装置2は、人がいない且つ害獣がいると判定すると、害獣種の数が1を超えるか否かを判定する。端末装置2は、害獣種の数が1を超えないと判定すると、検出された害獣を撃退対象に設定する。
【0034】
端末装置2は複数の害獣種を検出すると、図4に示されるような害獣リストを記憶部23から読み込む。害獣リストは端末装置2にて生成されてよいし、サーバ1から取得されてもよい。端末装置2は、検出された害獣種のうち、害獣リストにて最大の重みが付与された害獣種を撃退対象に設定する。
【0035】
端末装置2は撃退パターンリストを読み込んで、撃退対象に設定された害獣種に対応する撃退パターンを抽出する。例えば害獣種が猪である例では、図3において最大の重み「0.9」が付与された「音A」が撃退パターンとして抽出される。
【0036】
端末装置2はカウンタを有してよい。端末装置2はカウンタを0に設定する。
【0037】
端末装置2は、抽出された撃退パターンを実行して害獣ANの撃退を試みる。具体的には図2に示されるように、端末装置2は、出力部25から音及び光の少なくとも一方(符号SL)を害獣ANへ出力する。
【0038】
端末装置2は所定時間待機した後、撮像部24を用いて同一の場所の画像を撮像する。所定時間は任意に変更可能である。端末装置2は撮像画像を取得すると、撮像画像に任意の害獣学習モデルを適用して、同一の害獣がその場に留まっているか否か(すなわち、同一の害獣が検出されたか否か)を判定する。
【0039】
端末装置2は、同一の害獣がその場に留まっていないと判定すると、撃退は成功したと判定する。端末装置2は、撃退が成功したことを示す成否データをサーバ1に送信する。図5に示されるように、成否データでは、撃退パターンを実行した日時に対応付けて、撃退パターンを実行した端末装置の識別子(ID)と、撃退対象の害獣種と、撃退のために害獣種に対して実行された撃退パターンと、撃退パターンによる撃退の成否(すなわち成功又は失敗)とが記憶される。
【0040】
端末装置2は、撃退が成功すると、害獣リストで重みが次に大きい害獣の撃退を実行してよい。
【0041】
他方で端末装置2は、同一の害獣がその場に留まっていると判定すると、撃退は失敗したと判定する。端末装置2は、撃退が失敗したことを示す成否データをサーバ1に送信する。
【0042】
撃退が失敗すると、端末装置2は例えば、カウンタを1増加させる。端末装置2は、カウンタが、設定された上限値より小さいと判定すると、撃退パターンの構成を変更する。例えば端末装置2は、出力された音の構成(周波数、振動数、波長、及び音量の少なくとも1つ)、又は、出力された光の構成(明滅頻度、発光方向、強度、調光、及び波長の少なくとも1つ)を基準値だけ変更する。代替例として端末装置2は、撃退が失敗すると、検出された害獣種に対する撃退パターンのうち次に大きな重みが付与された撃退パターンを実行してよい。
【0043】
端末装置2は、変更後の音又は光を出力して、撃退を再度試みる。
【0044】
他方で端末装置2は、カウンタが、設定された上限値に達したと判定すると、実行された撃退パターンの重みを書き換える。例えば端末装置2は、現在の重みに1未満の係数をかける。代替例として端末装置2は、現在の重みから基準値を減算してよい。端末装置2は、撃退パターンリストから、検出された害獣種に対する撃退パターンのうち重みが最大ものを抽出する。端末装置2は、抽出された撃退パターンを実行して、撃退を再度試みる。
【0045】
代替例として端末装置2は、初回の撃退が失敗したとき、カウンタが上限値に達したか否かを判定せずに、実行された撃退パターンの重みを書き換えてよい。その後に端末装置2は、最大の重みが付与された撃退パターンを実行する。
【0046】
[サーバ1が実行する処理]
サーバ1が成否データを端末装置2から受信した後に実行する処理が説明される。
【0047】
サーバ1は1以上の端末装置から成否データを受信すると、図5に示されるように成否データを成否データDBに格納する。サーバ1は、成否データを成否データDBから読み出すと、教師データを作成する。具体的にはサーバ1は、害獣種ごとに撃退の成否を集計する。追加的にサーバ1は、害獣種に加えて端末装置ごとに撃退の成否を集計してよい。
【0048】
成否データには、端末装置の設置環境(例えば、都道府県、都市部又は山間部、等)が含まれてよい。この場合、サーバ1は、害獣種に加えて設置環境ごとに撃退の成否を集計してよい。
【0049】
サーバ1は、教師データを用いて、害獣撃退用の学習モデルを強化する。学習モデルの強化には任意のツール(例えばMicrosoft(登録商標)社のAzure IoT Edge)を使用可能である。
【0050】
サーバ1は、集計後、各動物の撃退パターンごとの撃退の成否に応じて、各撃退パターンに重みを付与する。例えばサーバ1は、成功率の高い撃退パターンほど高い重みを付与してよい。代替例としてサーバ1は、直近の撃退パターンリスト内の各撃退パターンに対し、成功率の高さに応じた係数をかけてよい。
【0051】
サーバ1は、各撃退パターンに重みを付与すると、新たな撃退パターンリストを生成する。サーバ1は、端末装置2からの要求に応じて又は任意のタイミングにて、新たな撃退パターンリストを端末装置2に送信する。
【0052】
本実施形態において、成否データを用いて撃退パターンリストを生成する処理はサーバ1によって実行される。しかし代替例として、そのような生成処理は、端末装置2の制御部21によって実行されてよい。この場合、最初の撃退パターンリストはユーザによって端末装置2に設定される。端末装置2は、撃退パターンを実行すると、成否データをサーバ1に送信せずに、端末装置2にて新たな撃退パターンリストを生成する。端末装置2は、新たな撃退パターンリストに基づいて撃退パターンを実行する。
【0053】
図6及び図7を参照して端末装置2において実行される情報処理方法が説明される。
【0054】
ステップS1にて端末装置2はサーバ1から撃退パターンリストを受信する。
【0055】
ステップS2にて端末装置2は撃退パターンリストを読み込む。ステップS3にて端末装置2は撮像部24を用いて第1の撮像画像を取得する。ステップS4にて端末装置2は人が検出されたか否かを判定する。
【0056】
ステップS4にてYesのとき端末装置2はステップS6にて所定時間待機して、ステップS3を再度実行する。
【0057】
ステップS4にてNoのとき端末装置2はステップS5にて、害獣が検出されたか否かを判定する。ステップS4とステップS5とは逆の順番で実行されてよい。
【0058】
ステップS5にてNoのとき、端末装置2はステップS6にて所定時間待機して、ステップS3を再度実行する。
【0059】
ステップS5にてYesのとき、端末装置2はステップS7にて、第1の撮像画像において検出される害獣種の数が1を超えるか否かを判定する。
【0060】
ステップS7にてNoのとき、端末装置2はステップS8にて、検出された害獣種を撃退対象に設定する。
【0061】
ステップS7にてYesのとき、端末装置2はステップS9にて、害獣リストで最大の重みが付与された害獣種を撃退対象に設定する。
【0062】
ステップS10にて端末装置2は、撃退パターンリストから、検出された害獣種に対応する撃退パターンを抽出する。
【0063】
ステップS11にて端末装置2は、カウンタを0に実行する。ステップS11の実行タイミングは、ステップS15より前の任意のタイミングでよい。
【0064】
ステップS12にて端末装置2は、撃退パターンを実行して撃退を試みる。ステップS13にて端末装置2は所定時間待機する。
【0065】
待機の後、ステップS14にて端末装置2は第2の撮像画像を取得する。
【0066】
ステップS15にて端末装置2は、同一の害獣が検出されたか否かを判定する。
【0067】
ステップS15にてYesのとき端末装置2はステップS16にて、撃退失敗を示す成否データをサーバ1に送信する。
【0068】
ステップS17にて端末装置2は、カウンタを1増加させる。
【0069】
ステップS18にて端末装置2は、カウンタが上限値より小さいか否かを判定する。
【0070】
ステップS18にてYesのとき、端末装置2はステップS19にて、撃退パターンの構成を変更する。その後、端末装置2は、ステップS12を実行する。
【0071】
ステップS18にてNoのとき、端末装置2はステップS20にて、実行された撃退パターンの重みを書き換える。その後、端末装置2はステップS10を実行する。
【0072】
ステップS15にてNoのとき、端末装置2はステップS21にて、撃退成功を示す成否データをサーバ1に送信する。
【0073】
ステップS22にて端末装置2は、所定時間待機する。その後、端末装置2はステップS3を実行する。
【0074】
図8を参照して、サーバ1において実行される情報処理方法が説明される。
【0075】
ステップS31にてサーバ1は、端末装置2から成否データを受信する。
【0076】
ステップS32にてサーバ1は、成否データを記憶部13に格納する。ステップS33にてサーバ1は、成否データを記憶部13から読み出す。
【0077】
ステップS34にてサーバ1は、成否データから教師データを作成し、教師データを用いて学習モデルを強化する。
【0078】
ステップS35にてサーバ1は、学習モデルから、成否に応じた重みを各撃退パターンに付与する。
【0079】
ステップS36にてサーバ1は、各撃退パターンリストに重みが付与された状態の撃退パターンリストを生成する。
【0080】
ステップS37にてサーバ1は、撃退パターンリストの送信要求を端末装置2から受信する。
【0081】
ステップS38にてサーバ1は、撃退パターンリストを端末装置2に送信する。
【0082】
以上述べたように本実施形態によれば、端末装置2は、撃退を試みた後に撮像画像を取得する。端末装置2は撮像画像から、同一の害獣が留まっていると判定した場合、撃退パターンの構成を変更する。端末装置2は、構成が変更された後の撃退パターンを実行して害獣の撃退を再度試みる。このように端末装置2は、同一の害獣が留まっている場合(すなわち撃退が失敗した場合)には、撃退パターンの構成を変更して再度の撃退を試みる。この構成により端末装置2は、事業地、住宅地、人里エリア等に侵入する鳥獣類等の害獣の撃退可能性を向上させることができる。また、撃退パターンの構成が変更されるので、撃退パターンに対する害獣の慣れを回避することができる。
【0083】
また本実施形態によれば、撃退パターンは、音及び光の少なくとも一方を出力することを含む。この構成により、端末装置2は、害獣を傷つけること無く撃退することができる。
【0084】
また本実施形態によれば、端末装置2は、第1の撮像画像から人を検出した場合、撃退パターンを実行しない。この構成により端末装置2は、撃退処理が人に驚き又は不快感を与えることを回避することができる。
【0085】
また本実施形態によれば端末装置2は、動物(害獣)の種類と、動物に対して実行された撃退パターンと、撃退パターンによる撃退の成否とを含む成否データをサーバ1に送信する。サーバ1は成否データを受信すると、成否データから教師データを作成し、教師データを用いて学習モデルを強化し、学習モデルから、各動物の撃退パターンごとの撃退の成否に応じて重みが付与された新たな撃退パターンリストを生成する。サーバ1は、新たな撃退パターンリストを端末装置2に送信する。端末装置2は、新たな撃退パターンリスト内の重みに基づいて撃退パターンを実行する。このように端末装置2は、AIを用いて撃退パターンリストを生成し、害獣の撃退可能性を有効に向上させることができる。
【0086】
本開示が諸図面及び実施例に基づき説明されるが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0087】
例えば、上記の実施形態において、サーバ1又は端末装置2の機能又は処理の全部又は一部を実行するプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを任意のサーバのストレージに格納しておき、任意のサーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0088】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【符号の説明】
【0089】
S 情報処理システム
NW ネットワーク
1 サーバ
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
2 端末装置
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 撮像部
25 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8