(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011573
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】足用トレーニング器具、フィットネスバイク、歩行トレーニング装置及びストレッチボード
(51)【国際特許分類】
A63B 23/10 20060101AFI20220107BHJP
A63B 21/05 20060101ALI20220107BHJP
A63B 22/06 20060101ALI20220107BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A63B23/10
A63B21/05
A63B22/06 G
A63B23/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112794
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】520238417
【氏名又は名称】佐々木 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝文
(72)【発明者】
【氏名】田中 真
(57)【要約】
【課題】足の指や足裏の筋肉を効果的にトレーニングできるようにする。
【解決手段】足用トレーニング器具1は、足の指よりも踵寄りの部分を置く載置部2と、載置部2よりも前に配置され、足の指で握る握り部3と、載置部2と握り部3との間に設けられ、握り部3の後方及び下方への変位を許容するとともに、握り部3の変位時に変位前の位置へ向けて付勢する付勢力を当該握り部3に対して付与する弾性材で構成された弾性変形部4、5とを備えている。
【選択図】
図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の指や足裏の筋肉をトレーニングするための足用トレーニング器具において、
足の指よりも踵寄りの部分を置く載置部と、
前記載置部よりも前に配置され、足の指で握る握り部と、
前記載置部と前記握り部との間に設けられ、前記握り部の後方及び下方への変位を許容するとともに、前記握り部の変位時に変位前の位置へ向けて付勢する付勢力を当該握り部に対して付与する弾性材で構成された弾性変形部とを備えていることを特徴とする足用トレーニング器具。
【請求項2】
請求項1に記載の足用トレーニング器具において、
前記載置部の上面は、足の土踏まずに対応する部位に、上方へ膨出する膨出面を有していることを特徴とする足用トレーニング器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の足用トレーニング器具と、
フィットネスバイク本体とを備えており、
前記載置部には、前記フィットネスバイク本体が有するクランクに取り付けられるクランク取付部が設けられていることを特徴とするフィットネスバイク。
【請求項4】
請求項1または2に記載の足用トレーニング器具と、
歩行トレーニング装置本体とを備えており、
前記載置部には、前記歩行トレーニング装置本体が有する可動軸に取り付けられる可動軸取付部が設けられていることを特徴とする歩行トレーニング装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の足用トレーニング器具と、
ストレッチボード本体とを備えており、
前記載置部の前側が後側に比べて上に位置した状態で前記載置部を支持する支持部を備えていることを特徴とするストレッチボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の指や足裏の筋肉をトレーニング可能な足用トレーニング器具、フィットネスバイク、歩行トレーニング装置及びストレッチボードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、足の指や足裏の筋肉が弱かったり、動きが悪かったりする等、筋肉の状態が悪いと、足に関連する様々な症状が現れることが知られている。その症状としては、例えば、直立時に足指が浮いて地面に接しない浮き指、足裏が平たく土踏まずの殆ど認められない扁平足、母趾の付け根が飛び出し、その先が小趾側へ曲がってしまう外反母趾、小趾が外側へ曲がる内反小趾、指が倒れて爪が外へ向いてしまう寝指等がある。
【0003】
また、足指や足裏の筋肉の状態が悪いと、上述した症状の原因になるだけでなく、足のむくみ、疲労、足の冷え性、O脚、X脚、猫背、肩こり、腰痛、膝痛の原因になることもあり、足指や足裏の筋肉のトレーニングの重要性が認識されつつある。
【0004】
また、足裏には、足の指の付け根からかかとの骨に達する足底腱膜と呼ばれる線維がある。この足底腱膜が立ち仕事やスポーツなどによって大きな負荷を長期間受けると、炎症を起こして足底腱膜炎になることがある。足底腱膜炎に対しては、例えば足のストレッチや筋力トレーニング等のリハビリによって症状の改善を図ろうとする場合がある。
【0005】
足のトレーニングに用いられる器具としては、例えば特許文献1に開示されているように、自転車等に取り付けて使用される足踏みペダル構造体が知られている。この足踏みペダル構造体の一方の面には、足指の付け根の凹部を当接させる凸形状部と、足指や中足骨頭部近傍部の屈曲を許容する逃がし部とが形成されている。足踏みペダル構造体を使用する際には、足指の付け根を凸形状部に位置させてペダルをこぐことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の足踏みペダル構造体を使用する際には、足指の付け根を足踏みペダル構造体の凸形状部に位置付けてペダルをこぐだけなので、足の指を自分が意識して曲げるというよりも、ペダルに加える下向きの力によって足指が自然に曲がった状態になるだけである。
【0008】
一方、筋肉のトレーニングを効果的に行う場合には、単に器具を用いるだけではなく、トレーニングの対象部位を意識して動かすことが重要であるとともに、トレーニングの目的に合った負荷を適度に与えることも重要である。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、足の指や足裏の筋肉を効果的にトレーニングできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の開示は、足の指や足裏の筋肉をトレーニングするための足用トレーニング器具において、足の指よりも踵寄りの部分を置く載置部と、前記載置部よりも前に配置され、足の指で握る握り部と、前記載置部と前記握り部との間に設けられ、前記握り部の後方及び下方への変位を許容するとともに、前記握り部の変位時に変位前の位置へ向けて付勢する付勢力を当該握り部に対して付与する弾性材で構成された弾性変形部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、トレーニングを行う者が、足の指よりも踵寄りの部分を載置部に置いた状態としたまま、足の指で握り部を握ることが可能になる。握り部を握る動作を行う際には、足の指及び裏の筋肉を使うとともに、足底腱膜が伸縮する。足の指で握り部を強く握ると、握り部に対して載置部へ引き寄せられる方向、即ち後方へ向かう力が作用するとともに、下方へ向けても力が作用する。載置部と握り部との間に弾性変形部が設けられているので、握り部に対して後方及び下方への力が作用すると、弾性変形部の変形により握り部が後方及び下方へ変位する。弾性変形部は、握り部が変位した時、変位前の位置へ向けて付勢力を付与しているので、トレーニングを行う者は、弾性変形部の付勢力に抗するように、意識して握り部を握る必要がある。また、弾性変形部の付勢力が足指や足裏の筋肉や足底腱膜をトレーニングするための適度な負荷になる。
【0012】
第2の開示では、前記載置部の上面は、足の土踏まずに対応する部位に、上方へ膨出する膨出面を有していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、足の土踏まずを膨出面に当てることで足を安定させることができる。
【0014】
第3の開示はフィットネスバイクであり、このフィットネスバイクは足用トレーニング器具とフィットネスバイク本体とを備えており、前記載置部には、前記フィットネスバイク本体が有するクランクに取り付けられるクランク取付部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、足用トレーニング器具をフィットネスバイク本体のクランクに取り付けて使用することができる。すなわち、載置部のクランク取付部をクランクに取り付けて載置部に足を置くと、載置部がフィットネスバイクのペダルのように機能するので、足の踏む力によってクランクを回転させて通常のフィットネスバイクによるトレーニングを行いながら、足の指で握り部を握るトレーニングも行うことが可能になる。つまり、2種類のトレーニングを一度に行えるので、トレーニングの効率がより一層高まるとともに、トレーニングを飽きずに継続できる。
【0016】
握り部を握るタイミングは、例えば足の踏む力をかけたタイミングとすることができる。例えば、上にある載置部を下に踏み込むタイミングに握り部を握り、下にある載置部が上に移動する間は握る力を弱めてもよい。これにより、クランクが1回転する都度、握り部を1回握ることができ、クランクの回転運動と握り部を握る運動とを同期させることができる。
【0017】
第4の開示は歩行トレーニング装置であり、歩行トレーニング装置は足用トレーニング器具と歩行トレーニング装置本体とを備えており、前記載置部には、前記歩行トレーニング装置本体が有する可動軸に取り付けられる可動軸取付部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、足用トレーニング器具を歩行トレーニング装置の可動軸に取り付けて使用することができる。すなわち、載置部の可動軸取付部を可動軸に取り付けて載置部に足を置くと、載置部が歩行トレーニング装置の足を載せる板部のように機能するので、足の踏む力によって可動軸を動かして通常の歩行トレーニング装置によるトレーニングを行いながら、足の指で握り部を握るトレーニングも行うことが可能になる。つまり、2種類のトレーニングを一度に行えるので、トレーニングの効率がより一層高まるとともに、トレーニングを飽きずに継続できる。
【0019】
握り部を握るタイミングは、例えば足の踏む力をかけたタイミングとすることができる。例えば、上にある載置部を下に踏み込むタイミングに握り部を握り、下にある載置部が上に移動する間は握る力を弱めてもよい。これにより、歩行運動と握り部を握る運動とを同期させることができる。
【0020】
第5の開示はストレッチボードであり、ストレッチボードは足用トレーニング器具とストレッチボード本体とを備えており、前記載置部の前側が後側に比べて上に位置した状態で前記載置部を支持する支持部を備えていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、載置部に足を載置すると、載置部の前側が後側に比べて上に位置しているので、例えばアキレス腱やふくらはぎの裏をストレッチすることができる。したがって、ストレッチを行いながら、足の指で握り部を握るトレーニングも行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本開示によれば、足の載置部と、足の指で握る握り部との間に弾性変形部を設けることにより、握り部を足の指で握った状態で後方及び下方へ変位可能にしたので、トレーニングを行う者が意識して足の指や足裏の筋肉を使って効果的にトレーニングできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態1に係るフィットネスバイクの斜視図である。
【
図2A】上記足用トレーニング器具の側面図である。
【
図2B】上記足用トレーニング器具の平面図である。
【
図5A】足を載置部に載置し、足の指を握り部に載せた状態を示す側面図である。
【
図5B】握り部を握り始めた状態を示す側面図である。
【
図5C】握り部を握り終えた状態を示す側面図である。
【
図6】変形例1に係る握り部を後から見た斜視図である。
【
図8】変形例3に係る着脱部の構造を示す分解図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る歩行トレーニング装置の斜視図である。
【
図13】実施形態2の変形例2に係る
図9相当図である。
【
図14】本発明の実施形態3に係るストレッチボードの側面図である。
【
図19】実施形態5に係る足用トレーニング器具を前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る足用トレーニング器具1を備えたフィットネスバイク30の斜視図である。フィットネスバイク30は、フィットネスバイク本体31と、左右の足用トレーニング器具1(
図1では左側のもののみ示す)とを備えている。フィットネスバイク本体31は従来から周知のものであり、トレーニングを行う者が自転車に乗ってベダリングする運動を屋内で移動することなく、その場に留まったままで行えるように構成されている。このような運動器具は、自転車型運動器具、エアロバイク(登録商標)、フィットネスバイク等と呼ばれているが、基本的な構造はどれも同じである。また、従来から使用されているフィットネスバイクのペダルを取り外して足用トレーニング器具1を取り付けることもできる。
【0026】
尚、本実施形態において、「前」とはトレーニングを行う者の前であり、「後」とはトレーニングを行う者の後であり、「左」とはトレーニングを行う者の左であり、「右」とはトレーニングを行う者の右である。これは説明の便宜を図るために特定するだけであり、本発明の限定するものではない。
【0027】
フィットネスバイク本体31は、台部32と、カバー部33と、ハンドル部34と、クランク35と、サドル部36とを備えているが、例えばカバー部33等は必要に応じてもうければよく、図示した構造のものに限られない。台部32は、フィットネスバイク本体31の下部に設けられており、トレーニングを行う部屋の床等に置いてフィットネスバイク30を安定させるための部分である。
【0028】
ハンドル部34は、フィットネスバイク本体31の前部に設けられており、トレーニングを行う者が手で持って主に上半身を安定させるための部分である。サドル部36は、フィットネスバイク本体31の後部に設けられており、トレーニングを行う者が着座する部分である。ハンドル部34やサドル部36は、高さ調整可能に構成されている。
【0029】
クランク35は、左右方向に延びる回転軸35aを有している。この回転軸35aは、カバー部33の内部に設けられているフレーム部材(図示せず)によって回転可能に支持されている。図示しないが、カバー部33の内部には、負荷付与構造が設けられている。この負荷付与構造は従来から周知のものであり、回転軸35aの回転を重くするような負荷を当該回転軸35aに対して付与する。負荷の度合いは調整可能である。
【0030】
図1では左側のみ示しているが、左側及び右側のクランク35の先端部に足用トレーニング器具1がそれぞれ設けられている。左側の足用トレーニング器具1と右側の足用トレーニング器具1とは左右対称構造であり、基本的な構造は同一であるため、以下、
図2A、
図2B、
図3、
図4等を用いて右側の足用トレーニング器具1について詳細に説明する。
【0031】
足用トレーニング器具1は、主に足の指や足裏の筋肉をトレーニングするための器具であり、載置部2と、握り部3と、前側弾性変形部4と、後側弾性変形部5と、中間部6とを備えている。載置部2は、足の指よりも踵寄りの部分を置く板状またはブロック状に形成されており、例えば硬質樹脂や金属等の容易に変形しない材料を用いて高剛性に構成されている。載置部2は、フィットネスバイク本体31が有するクランク35の先端部に取り付けられるクランク取付部7を有しており、このクランク取付部7は載置部2の前部に設けられている。クランク取付部7は、左右方向に延びる支軸7aと、支軸7aを回転可能に支持する軸受部7bとを有している。支軸7aの左端部は、クランク35の先端部に形成されたネジ孔(図示せず)にねじ込まれて固定されている。従来から使用されているフィットネスバイクを用いる場合には、クランク35の先端部からペダル軸を外した後、支軸7aをねじ込んで固定することができる。支軸7aの固定方法はねじに限られるものではない。
【0032】
載置部2の下部には、当該載置部2に対して後側弾性変形部5を着脱可能にするための着脱構造を構成している着脱部8が設けられている。着脱部8は、載置部2に固定された本体部8aと、ボルト8bと、後側弾性変形部5に固定された離脱部8dとを備えている。
図2Aに示すように、本体部8aには、前後方向に貫通する貫通孔8cが形成されている。この貫通孔8cには、後側からボルト8bが挿通される。貫通孔8cに挿通されたボルト8cは、離脱部8dに形成されたねじ孔(図示せず)に後方からねじ込まれる。ボルト8cを離脱部8dの後側部分にねじ込むことで、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2に固定することができる。一方、ボルト8cを緩めていくことで、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2から取り外すことができる。
【0033】
尚、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2に着脱可能にする構造は必須なものではなく、省略してもよい。また、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2に着脱可能にする構造は上述した構造に限られるものではなく、ネジ及びボルト等の締結部材を使用する構造であってもよい。
【0034】
上記着脱構造としては、例えば磁力を用いた構造であってもよい。具体的には、ON/OFF切替レバーを備えたマグネット内蔵型吸着装置(図示せず)を載置部2の下部に固定しておき、また、離脱部8dを磁性体で構成しておく。吸着装置のレバーをOFF位置にすることで、吸着力が低下または殆ど無くなって離脱部8dを容易に離脱させることができる一方、レバーをON位置にすることで、吸着力を高めて離脱部8dを吸着装置に吸着固定することができる。
【0035】
着脱構造が設けられている場合、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2から取り外した状態にしてから、握り部3を足で握るか、握り部3を足に固定しておき、その後、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2に取り付けることができる。握り部3を足に固定する際、後述する
図6のように高い凸部3dを握り部3に設けておき、この凸部3dを指で挟むようにして固定することもできる。
【0036】
図4に示すように、載置部2の上面は、足の土踏まずに対応する部位に、上方へ膨出する前側膨出面2a及び後側膨出面2bを有している。前側膨出面2aは、載置部2の前端部から前後方向中間部までの範囲に形成されており、足の土踏まずの前側に対応する部位に接触する面である。後側膨出面2bは、載置部2の前端部から前側膨出面2aの後端部までの範囲に形成されており、足の土踏まずの後側に対応する部位に接触する面である。
【0037】
前側膨出面2aは、前後方向の中央部が最も高くなるように形成されており、前端部に近づくほど、及び後端部に近づくほど低くなっている。また、前側膨出面2aは、左右方向の中央部が最も高くなるように形成されており、左端部に近づくほど、及び右端部に近づくほど低くなっている。後側膨出面2bも同様に、前後方向の中央部及び左右方向の中央部が最も高くなるように形成されている。
【0038】
前側膨出面2a及び後側膨出面2bを上述したように形成することで、載置部2の上面の形状が足の裏に自然に沿う形状になる。これにより、トレーニングを行う者に違和感を与え難くなるとともに、前側膨出面2a及び後側膨出面2bが足の裏にフィットするようになり、足が載置部2の所定位置からずれにくくなる。
【0039】
載置部2の上面における前側膨出面2aと後側膨出面2bとの間は、両膨出面2a、2bが上方へ膨出していることから、窪んでいる。この窪み部2cの深さは必要に応じて設定することができる。また、窪み部2cを省略することもできる。窪み部2cを省略する場合には、膨出面を1つにし、載置部2の前端部から後端部まで連続した膨出面にすればよい。また、膨出面は、3つ以上設けることもできる。膨出面は、前後方向に並んでいてもよいし、左右方向に並んでいてもよい。図示しないが、載置部2の上面には、複数の凸部を設けることもできる。載置部2の上面は平坦面であってもよいし、また凹面を有していてもよい。
【0040】
図2A及び
図2Bに示すように、握り部3は、載置部2よりも前に配置され、足の指で握る部分である。この握り部3は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材で構成されていてもよいし、硬質樹脂で構成されていてもよい。また、硬質樹脂の芯材を弾性材で被覆した構造の握り部3を用いることもできる。この握り部3と前側弾性変形部4とは一体成形されていてもよいし、別々に成形したものを一体化してもよい。
【0041】
図2Aに示すように、握り部3の上部には、上方へ向けて湾曲する湾曲面3aが形成されている。握り部3の上部の前後方向の寸法は、トレーニングを行う者の指の長さよりも短く設定されており、握り部3の上部を容易に握ることができるようになっている。また、握り部3の上部には、前側へ突出して左右方向に延びる前側突条部3bと、後側へ突出して左右方向に延びる後側突条部3cとが形成されている。前側突条部3b及び後側突条部3cは必要に応じて形成すればよく、いずれか一方または両方を省略することもできる。
【0042】
図2Bに示すように、握り部3は平面視で右端部に近づくほど後に位置するように緩やかに湾曲している。これは、足の各指の先端位置に対応した形状である。すなわち、親指及び人差し指の先端が他の指に比べて前に位置しているので、握り部3の左側が最も前に位置している。一方、小指の先端は最も後に位置しているので、握り部3の右端部が最も後に位置している。握り部3の形状は一例であり、図示した形状に限られるものではなく、左右方向に直線状に延びる形状であってもよい。
【0043】
握り部3の湾曲面3aには、上方へ突出する複数の凸部3dが左右方向に間隔をあけて設けられている。各凸部3dは前後方向に長い形状とされており、隣合う指の間に位置付けられている。例えば親指と人差し指の間、人差し指と中指との間、中指と薬指との間、薬指と小指との間にそれぞれ凸部3dを設けることができる。凸部3dを設けることで、凸部3dの数は、4つに限られるものではなく、3つ以下であってもよい。また、凸部3dは省略してもよい。
【0044】
図5Aに示すように、握り部3の湾曲面3aが足の指の中節骨の真下に配置されるように、握り部3と載置部2との前後方向の離間距離が設定されている。握り部3の湾曲面3aの真上に足の指の中節骨が配置されることで、指を下に曲げて握り込む動作を行うと、握り部3の湾曲面3aを全ての指で自然に握り込むことができる。このとき、前側突条部3b及び後側突条部3cも同時に握り込むことができる。握り部3が弾性材で構成されている場合、足の指で握り込んだときに握り部3が弾性変形するので、より握りやすくなるとともに、指から外れ難くなる。
【0045】
図2Aに示すように、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6は、握り部3と載置部2との間に設けられている。中間部6は必要に応じて設けることができるものであり、必須なものではない。中間部6は、例えば載置部2と同様な硬質樹脂材等で構成された板状またはブロック状の部材である。中間部6は、載置部2の前側膨出面2a及び後側膨出面2bの最も高い部分よりも下に配置されており、握り部3の湾曲面3aよりも下に配置されている。
【0046】
中間部6の前面6aは、下へ行くほど後に位置するように形成されている。一方、中間部6の後面6bは略鉛直に延びている。このため、中間部6の前後方向の寸法は、下へ行くほど短くなっている。中間部6も前側弾性変形部4と同様な弾性材で構成されていてもよい。
【0047】
前側弾性変形部4は、握り部3の下部から中間部6の前面6aまで延びる板状またはブロック状に形成されている。前側弾性変形部4の前端部は握り部3の下部に固定され、また、前側弾性変形部4の後端部は中間部6の前面6aの上下方向中間部に固定されている。これにより、握り部3が前側弾性変形部4を介して中間部6に連結されることになる。前側弾性変形部4の固定の際には、接着剤等を用いてもよいし、握り部3や中間部6との一体成形法を用いてもよいし、各種締結部材等を用いてもよい。
【0048】
後側弾性変形部5は、中間部6の後面6bから載置部2のクランク取付部7の前面まで延びる板状またはブロック状に形成されている。後側弾性変形部5の前端部は中間部6の後面6bの上下方向中間部に固定され、また、後側弾性変形部5の後端部はクランク取付部7の軸受部7bの前面に固定されている。これにより、中間部6が後側弾性変形部5を介して載置部2に連結されることになる。後側弾性変形部5の固定の際には、接着剤等を用いてもよいし、中間部6や軸受部7bとの一体成形法を用いてもよいし、各種締結部材等を用いてもよい。後側弾性変形部5の後端部は載置部2に固定してもよい。
【0049】
前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5は、握り部3の上部の後方及び下方への変位を許容するとともに、握り部3の上部の変位時に変位前の位置へ向けて付勢する付勢力を当該握り部3に対して付与する弾性材で構成されている。すなわち、握り部3に対して足の力が殆ど作用していないときには、
図5Aに示すように、握り部3の載置部2に対する高さが設定されており、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5によって握り部3の重さが支えられている。
【0050】
一方、
図5Bに示すように、足の指で握り部3の上部を握り込むと、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5が弾性変形して握り部3の下部が後方へ変位するとともに、下方へも変位する。握り部3が変位した時、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5は弾性変形しているので、握り部3を元の位置に向けて付勢する付勢力を当該握り部3に対して付与する。前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5の付勢力に抗して握り部3を握り込んで行くと、
図5Cに示すように、握り部3が更に大きく変位する。握り部3に対する力を緩めると、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5の形状が復元して握り部3が元の位置に戻る。
図5B、Cでは握り部3の変位量及び変位方向の一例を示しており、トレーニングを行う者の足の癖等によって握り部3の変位量や変位方向は異なる場合があり、握り部3を下方へ大きく変位させることもできる。
【0051】
前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5を構成する弾性材は、例えばゴム、熱可塑性エラストマー等で構成することができる。ゴムと熱可塑性エラストマーを一緒に用いて上記弾性材を構成してもよいし、一方のみを用いて上記弾性材を構成してもよい。また、中間部6を省略し、1つの弾性変形部のみを備えていてもよい。この場合、1つの弾性変形部が握り部3から載置部2まで連続して存在することになる。前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5の内部に、弾性変形可能な樹脂材等からなる芯材が埋め込まれていてもよい。
【0052】
握り部3の前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5による付勢力は、握り部3を握る際の足の指の筋肉や足の裏の筋肉に対する負荷に相当する。握り部3を足の指で握る動作は、トレーニングを行う者が意識しないとできない動作であるため、上述した
図5A~
図5Cに示す一連の動作を一サイクルとした運動を繰り返すことで、足の指の筋肉や足の裏の筋肉を効率よくトレーニングすることができる。また、足の指で握り部3を握る動作は、足底腱膜の伸縮動作でもあるので、足底腱膜もトレーニングすることができる。
【0053】
トレーニング時の負荷の大きさは、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5の構造や、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5を構成する弾性材の弾性率によって任意に設定することができる。例えば、足の筋力が弱い者の場合には、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5を軟らかくして弾性変形しやすくし、足の筋力が強い者の場合には、前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5を硬くして弾性変形し難くする。また、トレーニングが進むにつれて前側弾性変形部4及び後側弾性変形部5を硬くしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、足用トレーニング器具1をフィットネスバイク本体31のクランク35に取り付けて使用するので、載置部2に足を置くと、載置部2がフィットネスバイク30のペダルのように機能する。載置部2に置いた足の踏む力によってクランク35を回転させて通常のフィットネスバイク30によるトレーニングを行うことができる。クランク35の回転負荷はトレーニングを行う者に合わせて調整すればよい。
【0055】
クランク35を回転させながら、足の指で握り部3を握るトレーニングも行うことが可能になる。つまり、2種類のトレーニングを一度に行えるので、トレーニングの効率がより一層高まるとともに、トレーニングを飽きずに継続できる。
【0056】
握り部3を握るタイミングは、例えば足の踏む力をかけたタイミングとすることができる。例えば、上にある載置部2を下に踏み込むタイミングに握り部3を握り、下にある載置部2が上に移動する間は握る力を弱めてもよい。これにより、クランク35が1回転する都度、握り部3を1回握ることができ、クランク35の回転運動と握り部3を握る運動とを同期させることができる。また、クランク35を回転させようと力を加えた時に、握り部3を握る力を同時に加えることになり、両方のトレーニングを容易に行うことができる。
【0057】
(実施形態1の作用効果)
以上説明したように、この実施形態1によれば、足の載置部2と、足の指で握る握り部3との間に弾性変形部4、5を設けることにより、握り部3を後方だけでなく、下方へも変位可能にしている。これにより、握り部3を足の指で握った状態で後方及び下方へ変位させて負荷をかけることができるので、トレーニングを行う者が意識して足の指や足裏の筋肉を使って効果的にトレーニングできる。
【0058】
また、握り部3は弾性変形部4、5によって空中に浮いた状態で支持されているので、握り部3を前後方向だけでなく上下方向にも容易に変位させることができる。これにより、握り部3を載置部2に接近する方向に引き寄せる運動だけでなく、下方へ変位させる運動も同時に行うことができる。
【0059】
(実施形態1の変形例)
図6は、実施形態1の変形例1を示すものである。変形例1では、凸部3dの突出高さが高く設定されている。これにより、凸部3dが、親指と人差し指の間、人差し指と中指との間、中指と薬指との間、薬指と小指との間にそれぞれ入り込むことになり、握り部3を握った時に凸部3dも一緒に握ることができるようになっている。これにより、握り部3が指から外れ難くなる。凸部3dは、例えば硬質樹脂材等で構成されていてもよいし、弾性材で構成されていてもよい。
【0060】
図7は、実施形態1の変形例2を示すものである。変形例2では、後側弾性変形部がコイルバネ51で構成されている。コイルバネ51は、左右方向に間隔をあけて設けられている。コイルバネ51の前端部に中間部6の後面6aが固定され、コイルバネ51の後端部にクランク取付部7が固定されている。コイルバネ51の本数は1本でもよいし、2本以上の任意の本数であってもよい。前側弾性変形部4及び中間部6は省略することもできる。
【0061】
図8は、実施形態1の変形例3に係る着脱部8の構造を示す分解図である。着脱部8は、載置部2の下面に固定された固定部8eを備えている。固定部8eは、載置部2の前端部に配置されている。固定部8eには、前方に開口する差込孔8fが形成されている。差込孔8fは左右方向に長い形状とされており、前後方向に所定の深さを有している。差込孔8fの形状は特に限定されるものではないが、例えば矩形断面や円形断面を有していてもよい。また、差込孔8fの数は2つ以上であってもよい。差込孔8fを複数設ける場合には、左右方向に並べて設けてもよいし、上下方向に並べて設けてもよい。
【0062】
一方、後側弾性変形部5の後端部には、固定部8eの差込孔8fに差し込まれる差込部材10が固定されている。差込部材10の左右方向の寸法は、差込孔8fの左右方向の寸法に比べて僅かに短く設定されており、また、差込部材10の上下方向の寸法は、差込孔8fの上下方向の寸法に比べて僅かに短く設定されている。これにより、差込部材10を差込孔8fに容易に差し込み可能にしながら、差込部材10を差込孔8fに差し込んだ状態で当該差込部材10のがたつきが極小化される。がたつきとは、上下方向及び左右方向のがたつきである。
【0063】
差込部材10の後端面が差込孔8fの内面に当接することによって差込部材10の差し込み深さが所定深さに規定される。尚、差込孔8fの形状及びそれに対応した差込部材10の形状は任意に設定することができる。差込部材10を差込孔8fに差し込んだ後、ボルト8b等の締結部材によって差込部材10を固定部8eに固定しておくことができる。差込部材10を固定する際には、上記マグネット内蔵型吸着装置を用いることができる。この変形例3の着脱構造は、他の実施形態にも適用することができる。
【0064】
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係る歩行トレーニング装置60の斜視図である。歩行トレーニング装置60は、足用トレーニング器具1を備えている点で実施形態1と共通しているが、歩行運動を行う点で実施形態1とは相違している。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0065】
歩行トレーニング装置60は、足踏み運動を繰り返し行うための運動器具であり、例えばステッパとも呼ばれている。歩行トレーニング装置60は、装置本体61と、左右の足用トレーニング器具1とを備えている。装置本体61は、台部62と、可動軸63と、ハンドル部64とを備えている。台部62は、装置本体61の下部に設けられており、トレーニングを行う部屋の床等に置いて歩行トレーニング装置60を安定させるための部分である。
【0066】
ハンドル部64は、装置本体61の前部に設けられており、トレーニングを行う者が手で持って主に上半身を安定させるための部分である。ハンドル部64は、省略することもできる。可動軸63は、左右それぞれ設けられている。左側の可動軸63は左側へ向けて延び、また、右側の可動軸63は右側へ向けて延びている。足用トレーニング器具1は左右の可動軸63にそれぞれ取り付けられた状態で、上下方向に揺動自在となっている。装置本体61には、図示しないが従来から周知の負荷付与構造が設けられており、可動軸63には負荷が付与されるようになっている。負荷の度合いは調整可能である。可動軸63は回動する軸であってもよいし、揺動または上下動する軸であってもよい。この構造は、従来から周知の構造を用いることができる。
【0067】
図10A及び
図10Bに示す実施形態2の足用トレーニング器具1は、基本的には実施形態1のものと同様に構成されているが、実施形態1のクランク取付部7の代わりに、可動軸63に取り付けられる可動軸取付部9が載置部2に設けられている点で異なっている。可動軸取付部9は、可動軸63に対して例えばブラケット等(図示せず)を介して相対回動不能に固定されている。また、握り部3、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を載置部2に着脱可能にするための着脱部8が設けられている。
【0068】
また、載置部2の上面の前側には、前側膨出面2aが形成されている。載置部2の上面における前側膨出面2aよりも後側は平坦面2dで構成されている。尚、図示しないが、平坦面2dではなく、実施形態1と同様な膨出面を形成してもよい。
【0069】
(実施形態2の作用効果)
実施形態2によれば、足用トレーニング器具1を歩行トレーニング装置60の可動軸63に取り付けて使用することができる。すなわち、載置部2の可動軸取付部9を可動軸63に取り付けて載置部2に足を置くと、載置部2が歩行トレーニング装置60の足を載せる板部のように機能するので、足の踏む力によって可動軸63を動かして通常の歩行トレーニング装置60によるトレーニングを行いながら、足の指で握り部3を握るトレーニングも行うことが可能になる。つまり、2種類のトレーニングを一度に行えるので、トレーニングの効率がより一層高まるとともに、トレーニングを飽きずに継続できる。
【0070】
握り部3を握るタイミングは、例えば足の踏む力をかけたタイミングとすることができる。例えば、上にある載置部2を下に踏み込むタイミングに握り部3を握り、下にある載置部2が上に移動する間は握る力を弱めてもよい。これにより、歩行運動と握り部3を握る運動とを同期させることができる。
【0071】
(実施形態2の変形例)
図12は、実施形態2の変形例1を示すものである。変形例1では、後側弾性変形部がコイルバネ52で構成されている。変形例1のコイルバネ52は、左右方向に間隔をあけて設けられている。コイルバネ52の前端部に中間部6の後面6aが固定され、コイルバネ52の後端部に離脱部8dが固定されている。コイルバネ52の本数は1本でもよいし、2本以上の任意の本数であってもよい。
【0072】
図13は、実施形態2の変形例2を示すものである。変形例2は、可動軸63が左右に延びている歩行トレーニング装置60に本発明を適用した例である。台部62や可動軸63等は従来から周知のものである。左側の可動軸63は、台部62に対して右端部近傍と揺動中心として上下方向に揺動可能に取り付けられている。また、右側の可動軸63は、台部62に対して左端部近傍と揺動中心として上下方向に揺動可能に取り付けられている。左側の可動軸63の左端部には、左側の足用トレーニング器具1が着脱可能に取り付けられている。また、右側の可動軸63の右端部には、右側の足用トレーニング器具1が着脱可能に取り付けられている。この変形例2では、可動軸63が足用トレーニング器具1の側方に配置されることになるので、トレーニング時に足の前方が空いた状態になり、トレーニングしやすい。
【0073】
(実施形態3)
図14は、本発明の実施形態3に係るストレッチボード70の側面図である。ストレッチボード70は、アキレス腱やふくらはぎの後側をストレッチするための運動器具であり、左右にそれぞれ足用トレーニング器具1を備えている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0074】
ストレッチボード70は、ストレッチボード本体71と、左右の足用トレーニング器具1と、支持部72とを備えている。ストレッチボード本体71は、トレーニングを行う部屋の床等に置いてストレッチボード70を安定させるための部分である。
【0075】
ストレッチボード本体71の上面の後側には、左右方向に延びる支軸70aが設けられている。足用トレーニング器具1の載置部2の後端部は支軸70aによって回動可能に支持されている。
図15A及び
図15Bに示すように、実施形態3の足用トレーニング器具1は、1つの弾性変形部40を備えており、この弾性変形部40の前端部に握り部3が固定されている。1つの弾性変形部40を設けた場合も、
図16A~16Cに示すように、握り部3の上部を後方及び下方へ変位させることができる。尚、実施形態3においても実施形態1や2と同様に、前側弾性変形部4、後側弾性変形部5及び中間部6を設けてもよい。
【0076】
図14に示すように、支持部72は、載置部2の前側が後側に比べて上に位置した状態で当該載置部2を支持するための部材である。この支持部72は、例えば高剛性な棒材等で構成することができる。支持部72の上端部は左右方向に延びる回動軸72a周りに回動可能に載置部2の前側部分に支持されている。ストレッチボード本体71の上面の前側には、複数の係止部71aが前後方向に互いに間隔をあけて設けられている。支持部72の下端部を係止部71aに係止させることで、支持部72の下端部が前方へずれなくなり、これにより、載置部2の前側が後側に比べて上に位置した状態で当該載置部2を支持できる。支持部72の下端部を係止させる係止部71aを変えることで、載置部2の傾斜角度を変更できる。
【0077】
(実施形態3の作用効果)
実施形態3によれば、トレーニングを行う者が載置部2に足を載置すると、載置部2の前側が後側に比べて上に位置しているので、例えばアキレス腱やふくらはぎの裏をストレッチすることができる。したがって、ストレッチを行いながら、足の指で握り部3を握るトレーニングも行うことが可能になる。
【0078】
(実施形態3の変形例)
図17は、実施形態3の変形例を示すものである。変形例では、足の5本の指に対して別々に負荷をかけることができるとともに、5本の指を別々に動かすことが可能に構成されている。すなわち、
図17に示すように、握り部は5つに分割されており、左右方向に並ぶ第1~第5握り部31~35で構成されている。第1握り部31は、親指によって握られる部材で構成されており、また、第2握り部32は、人差し指によって握られる部材で構成されており、また、第3握り部33は、中指によって握られる部材で構成されており、また、第4握り部34は、薬指によって握られる部材で構成されており、また、第5握り部35は、小指によって握られる部材で構成されている。
【0079】
前側弾性変形部も5つに分割されており、第1~第5前側弾性変形部43~47で構成されている。第1前側弾性変形部43は第1握り部31の後に配置され、また、第2前側弾性変形部44は第2握り部32の後に配置され、また、第3前側弾性変形部45は第3握り部33の後に配置され、また、第4前側弾性変形部46は第4握り部34の後に配置され、また、第5前側弾性変形部47は第5握り部35の後に配置されている。
【0080】
後側弾性変形部も5つに分割されており、第1~第5後側弾性変形部53~57で構成されている。第1後側弾性変形部53は第1前側弾性変形部43の後に配置され、また、第2後側弾性変形部54は第2前側弾性変形部44の後に配置され、また、第3後側弾性変形部55は第3前側弾性変形部45の後に配置され、また、第4後側弾性変形部56は第4前側弾性変形部46の後に配置され、また、第5後側弾性変形部57は第5前側弾性変形部47の後に配置されている。この変形例では、足の5本の指に対して別々に負荷をかけることができる。
【0081】
尚、第1~第5前側弾性変形部43~47と、第1~第5後側弾性変形部53~57とのうち、一方を省略してもよい。また、握り部は2以上5以下の任意の数に分割することができる。前側弾性変形部及び後側弾性変形部も握り部と同様に分割することができる。また、実施形態1、2に、実施形態3の変形例のように各指に別々に負荷をかける構成を適用することもできる。
【0082】
(実施形態4)
図18A、
図18B及び
図18Cは、本発明の実施形態4に係る足用トレーニング器具1を示すものである。この実施形態4では、弾性変形部として板バネ45を備えている点で実施形態1のものと異なっている。実施形態4において、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態4の板バネ45は、左右方向に延びるとともに前後方向にも延びており、従来から周知のバネ材で構成されている。板バネ45の後端部が離脱部8dに固定されており、また、板バネ45の前端部が握り部3に固定されている。板バネ45は、その前後方向中間部が前端部及び後端部よりも下に位置するように下へ湾曲ないし屈曲するように成形されている。板バネ45の反力によってトレーニングの負荷を得ることができる。板バネ45の形状は、図示した形状に限られるものではなく、例えばプリーツ状に折り曲げられた形状であってもよい。また、板バネ45の厚みや形状によってトレーニングの負荷を調整することができる。板バネ45と実施形態1の弾性材とを組み合わせてもよい。板バネ45は、例えばガラス繊維強化プラスチック(FRP)やカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)等で構成することもできる。また、FRPやCFRPと金属製の板バネとを組み合わせてもよい。また、FRPやCFRPとゴム、エラストマーとを組み合わせてもよい。
【0084】
(実施形態5)
図19は、本発明の実施形態5に係る足用トレーニング器具1を示すものである。この実施形態5では、弾性変形部として巻きバネ46を備えている点で実施形態1のものと異なっている。実施形態5において、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
実施形態5の巻きバネ46は、例えばバネ鋼等からなる線材で構成されており、中間部には線材を1周ないし数周巻いた形状を有している。巻きバネ46の後端部が離脱部8dに固定されており、また、巻きバネ46の前端部が握り部3に固定されている。巻きバネ46は、その前後方向中間部が前端部及び後端部よりも下に位置するように下へ湾曲ないし屈曲するように成形されている。巻きバネ46の反力によってトレーニングの負荷を得ることができる。巻きバネ46の巻き数や線材の太さ等によってトレーニングの負荷を調整することができる。巻きバネ46はFRPやCFRPであってもよい。巻きバネ46は左右両側に設けてもよいし、左右方向中央部に設けてもよい。
【0086】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明は、例えば足の指や足裏の筋肉をトレーニングする場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 足用トレーニング器具
2 載置部
2a 前側膨出面
2b 後側膨出面
3 握り部
4 前側弾性変形部
5 後側弾性変形部
7 クランク取付部
9 可動軸取付部
30 フィットネスバイク
31 フィットネスバイク本体
35 クランク
60 歩行トレーニング装置
63 可動軸
70 ストレッチボード
72 支持部