(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115741
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】固定シート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B65D5/50 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012490
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(71)【出願人】
【識別番号】506328468
【氏名又は名称】日本製紙ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 真人
(72)【発明者】
【氏名】小出 大成
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060CC12
3E060CC18
3E060CC22
3E060CC43
3E060DA23
(57)【要約】
【課題】収納物の形状等によらず、包装箱内で収納物を確実に固定することができる固定シートを提供する。
【解決手段】固定シート1は、1枚の矩形状の厚紙からなり、包装箱10の内部に収納した収納物を上方から抑えて固定する。固定シート1は、一方向の長さが包装箱10底部の一方向の内寸以下であり、他方向の長さが包装箱10底部の他方向の内寸よりも長い抑え部2と、抑え部2の一方向の両端縁及び他方向の両端縁に折目線L
A~L
Dを介してそれぞれ連設され、包装箱10の内側壁に係止される係止片3~6を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の矩形状の厚紙からなり、包装箱の内部に収納した収納物を上方から抑えて固定する固定シートであって、
一方向の長さは前記包装箱底部の一方向の内寸以下であり、他方向の長さは前記包装箱底部の他方向の内寸よりも長い抑え部と、
前記抑え部の前記一方向の両端縁及び前記他方向の両端縁に折目線を介してそれぞれ連設され、前記包装箱の内側壁に係止される係止片と、
を有することを特徴とする固定シート。
【請求項2】
請求項1に記載の固定シートにおいて、
前記一方向の両端縁に設けられた前記係止片は、隙間を介して前記他方向に複数隣接され、独立して折り曲げ自在な複数のフラップを形成していることを特徴とする固定シート。
【請求項3】
請求項2に記載の固定シートにおいて、
前記一方向のうち一方側縁に形成された前記隙間から、前記一方向の他方側縁に形成された前記隙間に向かって、前記一方向に平行に引かれた仮想線を有することを特徴とする固定シート。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の固定シートにおいて、
前記抑え部の前記一方向の長さは、前記包装箱底部の一方向の内寸と一致することを特徴とする固定シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱の内部に収納された収納物の移動を規制し、固定することができる固定シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬中に箱内の物品が内部で移動し、破損しないようにするため、当該物品の隙間に充填するクッション材、当該物品を上方から抑えるシート材等が用いられている。
例えば、下記の特許文献1の移動規制部材(段ボール紙)は、その両端縁の中央に該両端縁と平行な第一折目線が形成された第一シート部と、一対の第二シート部とを備えている。
【0003】
移動規制部材を箱内に配置する際には、当該移動規制部材の第一折目線を山折りにし、第二折目線を谷折りにして、略W形状に折り曲げた状態で箱内の収納物に覆い被せる。これにより、移動規制部材は、第1折目線及び第2折目線の復元力により広がり、第二シート部の各側端縁が収納用箱の内側壁に係止されることで箱内で固定され、収納物の移動を規制することができる(特許文献1/段落0024,0026,0039、
図1-2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の移動規制部材は段ボール紙からなり、第一折目線、第二折目線でしか折り曲げることができない。そのため、移動規制部材は、特定の形状及び数量の収納物でなければ、収納物を固定することができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の移動規制部材は、第二シート部の各側端縁で包装用箱の内側壁に係止させるものであるため、固定力が弱いという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、収納物の形状等によらず、包装箱内で収納物を確実に固定することができる固定シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1枚の矩形状の厚紙からなり、包装箱の内部に収納した収納物を上方から抑えて固定する固定シートであって、一方向の長さは前記包装箱底部の一方向の内寸以下であり、他方向の長さは前記包装箱底部の他方向の内寸よりも長い抑え部と、前記抑え部の前記一方向の両端縁及び前記他方向の両端縁に折目線を介してそれぞれ連設され、前記包装箱の内側壁に係止される係止片と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の固定シートは厚紙からなり、且つ、抑え部の他方向の長さは、包装箱底部の他方向の内寸よりも長い。そのため、収納物の形状に合わせて固定シートを変形させ、収納物を上方から抑えることができる。
【0010】
また、本発明の固定シートは、抑え部の一方向の両端縁及び他方向の両端縁に、それぞれ係止片が形成されているため、抑え部の周囲を該係止片によって、包装箱の内側壁に係止することができる。従って、固定シートは、包装箱内で収納物を確実に固定することができる。
【0011】
本発明の固定シートにおいて、前記一方向の両端縁に設けられた前記係止片は、隙間を介して前記他方向に複数隣接され、独立して折り曲げ自在な複数のフラップを形成していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、抑え部の他方向を、収納物の形状に合わせて変形させたときに、複数のフラップが独立して折り曲げできるため、谷折りされた係止片が突っ張って、この変形を阻害することがない。よって、この構成を備える固定シートは、収納物の形状等に対応させて抑え部を変形させることができると共に、複数のフラップで収納物を確実に固定することができる。
【0013】
また、上記構成を備える固定シートにおいて、前記一方向のうち一方側縁に形成された前記隙間から、前記一方向の他方側縁に形成された前記隙間に向かって、前記一方向に平行に引かれた仮想線を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、仮想線に沿って抑え部がより変形し易くなるため、さらに収納物の形状等に対応させて、抑え部で収納物を確実に固定することができる。
【0015】
また、本発明の固定シートにおいて、前記抑え部の前記一方向の長さは、前記包装箱底部の一方向の内寸と一致することが好ましい。
【0016】
この構成を備える固定シートは、一方向の両端縁に形成された係止片の裏面全体により、包装箱の内側壁に係止することができるため、収納物を確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】
図2の包装箱のIII-III線による断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る固定シートの詳細を説明する。
図1は、本実施形態の固定シート1を上方から見たときの平面図である。また、
図2は、本実施形態の固定シート1を含む包装箱10の全体斜視図である。
【0019】
図1に示す固定シート1は厚紙からなり、収納物を上方から抑える矩形状の抑え部2と、抑え部2の周縁に折目線L
A~L
Dを介してそれぞれ連設された係止片3~6とを有している。係止片3~6は、包装箱10(
図2参照)の内側壁に係止され、位置を固定するための部材である。
【0020】
本実施形態の抑え部2は、本発明の「一方向」である短手方向の長さ(幅S)が242mmである。また、本発明の「他方向」である長手方向の長さ(幅T)が342mmとなっている。
【0021】
図示するように、抑え部2の短手方向の両端縁、及び長手方向の両端縁には、高さ(幅U)が10mmの係止片3~6がそれぞれ形成されている。係止片3~6は、それぞれ折目線LA~LDに沿って、抑え部2の平面に対して立ち上る向きに折り曲げることができる。これにより、抑え部2の周囲を係止片3~6によって、包装箱10の内側壁に係止することができるため、固定シート1は、包装箱内で収納物を確実に固定することができる。なお、抑え部2、係止片3~6の各サイズは、包装箱10のサイズに応じて適宜変更することができる。
【0022】
また、係止片3には4つの隙間7が設けられているため、係止片3は5つのフラップ3a~3eで構成される。互いに隣接して形成されたフラップ3a~3eは、折目線LAに対して独立して折り曲げ自在となっている。
【0023】
同様に、係止片4は5つのフラップ4a~4eで構成され(折目線はLB)、係止片5は5つのフラップ5a~5eで構成され(折目線はLC)、係止片6は5つのフラップ6a~6eで構成される(折目線はLD)。本実施形態では、係止片3~6がそれぞれ5つのフラップを備えるが、フラップの数は適宜変更可能である。
【0024】
抑え部2の長手方向を収納物の形状に合わせて変形させたとき、フラップ3a~3e,5a~5eを独立して折り曲げることができる。このため、谷折りされた係止片3,5が突っ張って、この変形を阻害することがない。従って、固定シート1は、収納物の形状等に対応させて係止片3,5を変形させることができると共に、複数のフラップで収納物を確実に固定することができる。
【0025】
また、固定シート1の1辺に設けられたフラップは、大きな隙間を隔てて設けられていてもよい。例えば、係止片3であれば、1つおきにフラップが設けられる(
図1のフラップ3a,3c,3eで構成される)態様であってもよい。
【0026】
図示するように、隙間7は、固定シート1の対向する辺(例えば、係止片3と係止片5)の同じ位置に設けられている。すなわち、固定シート1の長手方向に延びる辺のうち、一方(係止片3が形成された辺)側縁に形成された隙間7から、他方(係止片5が形成された辺)側縁に形成された隙間7に向かって、短手方向に平行な仮想線M(破線)を引くことができる。
【0027】
このため、隙間7の間を結ぶ仮想線Mが、抑え部2を変形させたときの屈曲点となり易く、より変形が容易となる。なお、仮想線Mを引くことができれば、固定シート1の対向する辺のフラップの数や間隔は任意である。仮想線Mに沿って抑え部2がより変形し易くなるため、さらに収納物の形状等に対応させて、抑え部2で収納物を確実に固定することができる。
【0028】
抑え部2の短手方向の長さ(242mm)は、包装箱10底部の短手方向の内寸(
図2の幅s)以下のサイズとなっているが、少なくとも係止片3の先端から係止片5の先端までの距離は、包装箱10底部の短手方向の内寸(
図2の幅s)を超えている。そのため、係止片3,5の各先端は、それぞれ包装箱10の短手方向の内側壁に係止される。
【0029】
抑え部2の短手方向の長さは、包装箱10底部の短手方向の内寸と一致することが望ましい。このようにすることで、抑え部2の短手方向の両端縁に形成された係止片3,5が立ち上った状態となり、係止片3,5の裏面全体により包装箱10の内側壁に係止する。従って、固定シート1は、包装箱10内の収納物を確実に固定することができる。
【0030】
また、抑え部2の長手方向の長さ(342mm)は、包装箱10底部の長手方向の内寸(
図2の幅t)よりも長いサイズとなっている。抑え部2の長手方向は、包装箱10の端部底面と合わせて、長手方向で天板の高さまで曲げてアーチを描いたときの長さが上限となる。
【0031】
さらに、係止片4,6を有しているため、固定シート1を包装箱10に収めたとき、固定シート1を収納物の高さや凹凸に応じて変形させ、係止片4,6が包装箱10の長手方向の内側壁に確実に係止される。
【0032】
このように、抑え部2の何れか一辺は、固定シート1が収納物の形状に応じて変形するように、包装箱10底部の対応する方向に対して上述の上限を超えない十分な長さとなっている。例えば、抑え部2の当該一辺の長さは、包装箱10底部の対応する方向の内寸の1.2倍以上となっているとさらに好ましい。これにより、当該方向の両端縁において、固定シート1の係止片4,6と包装箱10の内側壁がある程度深い位置で接触する。従って、固定シート1によって収納物を確実に固定することができる。
【0033】
また、固定シート1の抑え部2の長手方向に延びる直線(中心線)上には、穴部8a,8b(直径20mm)が設けられている。穴部8a,8bは、作業者が固定シート1を包装箱10内に収めるときに、手指で湾曲形状を作って収納物の形状に合わせることを容易にする。穴部8a,8bは、固定シート1を取り外すことなく、収納物の種類を確認する際にも役立つ。
【0034】
また、作業者は、穴部8a,8bに手指を入れることで、固定シート1を容易に取り外すことができる。穴部は円形穴に限られず、例えば、多角形でもよい。穴部の数は2個に限られず、穴部の直径も目的に合わせて変更することができる。
【0035】
図2の包装箱10は、例えば段ボール製であり、固定シート1の形状に対応する短手方向、長手方向を有する直方体の箱である。なお、包装箱10は立方向体であってもよく、材料についても段ボール以外の紙製やアクリル製であってもよい。
【0036】
包装箱10の内部に収納物P1~P3を収納した後、作業者は、固定シート1を上方から押し付け、その位置を固定する。上述した通り、固定シート1(抑え部2)の長手方向は、包装箱10底部の長手方向の内寸(幅t)よりも長く作られているため、収納物の高さや凹凸に応じて固定シート1を自由に変形させることができる。
【0037】
包装箱10の内部に収納物P1~P3を収納した後、収納物P1~P3の上面に固定シート1を載置し、押圧装置(図示省略)により予め設定した圧力になるまで固定シート1を押し付け、固定してもよい。
【0038】
この場合、押圧装置が押圧部を目的の位置に移動させる機能を有するか、又はコンベア装置で包装箱10を移動させて、押圧することが好ましい。このように、固定シート1を用いることで、包装箱10の内部での収納物P1~P3の移動を規制し、確実に固定することができる。
【0039】
図3は、
図2の包装箱10のIII-III線(長手方向)による断面図を示している。
【0040】
包装箱10の内部には、高さの異なる収納物P1~P3が収納されている。図示するように、固定シート1は収納物P1~P3の高さ、凹凸に合わせて変形し、収納物P1~P3を上方から抑えて固定する。
【0041】
収納物P1~P3の上面は、固定シート1の抑え部2により覆われる形となり、包装箱10の長手方向の両端は、それぞれ係止片4,6により係止される。また、包装箱10の短手方向(奥側)は、係止片3により係止されるので、収納物P1~P3を確実に固定することができる。
【0042】
収納物として、缶やペットボトルのような円筒状容器を包装箱10の中央に倒して置いた場合、抑え部2の長手方向の両端部を包装箱10の端部底面と合わせて固定シート1をアーチ状とする。これにより、円筒状容器を包装箱10の中央で、上方から押さえて固定することができる。
【0043】
また、2つの円筒状容器を包装箱10の長手方向の端部に倒して置いた場合、抑え部2の長手方向の両端部は、係止片4,6で包装箱10の内側壁(円筒状容器の上方位置)で係止される。このとき、抑え部2の長手方向の中央部は、包装箱10の底板に一部分を接触させることで、2つの円筒状容器を上方から押さえて固定することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…固定シート、2…抑え部、3,4,5,6…係止片、3a~3e,4a~4e,5a~5e,6a~6e…フラップ、7…隙間、8a,8b…穴部、10…包装箱。