(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115771
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】墓石用風吹き込み対応回動型ローソク立て
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
E04H13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021047922
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】509138682
【氏名又は名称】日商トレーディング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 正
(57)【要約】
【課題】墓参時に容易にローソクへの着火ができ、かつ視覚上も良好なるローソク立てを提供する。
【解決手段】墓石上に固着立設するための基台と、該基台上に、切除部を有する主体を固着し、この切除部を湾曲部を有するものとし、該切除部と反対側位置上部の主体に排気口を設け、この主体上面に固着される冠体を設け、主体内に位置するとともに主体に対し回動可能なる中空の回動体を設け、該回動体側面的所に装飾空隙を設けるとともに、該回動体の装飾空隙以外に箇所に着火用空隙を設け、ローソク立て保持台を基台内に立設固定するとともに、該ローソク立て保持台にローソク立て金具を設け、回動体の回動停止位置を選択可能として、ローソクに着火時の回動体位置と着火後の回動体位置の選択を可能となるよう構成したことを特徴とする。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
墓石上に固着立設するための基台と、該基台上に、切除部を有する主体を固着し、この切除部を湾曲部を有するものとし、該切除部と反対側位置主体の上部に排気口を設け、この主体上面に固着される冠体を設け、主体内に位置するとともに主体に対し回動可能なる中空の回動体を設け、該回動体側面的所に装飾空隙を設けるとともに、該回動体の装飾空隙以外の箇所に着火用空隙を設け、ローソク立て保持台を基台内に立設固定するとともに、該ローソク立て保持台にローソク立て金具を設け、回動体の回動停止位置を選択可能として、ローソクに着火時の回動体位置と着火後の回動体位置の選択を可能となるよう構成したことを特徴とする、墓石用風吹き込み対応回動型ローソク立て。
【請求項2】
ローソク立て保持台および基台に水抜き孔を設けてなる請求項1記載の墓石用風吹き込み対応回動型ローソク立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、墓石上に装備する風吹き込み対応回動型ローソク立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、墓石用のローソク立てはあるが、本発明にて示すような風吹き込み対応回動型ローソク立ては見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、墓参時にはローソクと線香に着火して行うが、風が吹くとこの着火に手間取り、ローソクの場合は消火してしまう恐れがあるために、風よけ対策としての風防が利用されている。例えば、墓石に専用金具とピンを装備し、ピンにローソクの下部を挿入して立てた後、ローソクの芯に着火し、すばやく透明筒を専用金具に差し込み固定するものなどがある。通常のローソク立ては、石材にてその主要部を形成し、窓部を設け、この窓部に金属枠を設けて、この金属枠にガラスをはめ込んだものがあるが、石材に合わせるために、100R程度にしないと隙間ができてしまうのである。
しかしこの従来型のものでは、ローソクへの着火時に風が吹くと、この風をよけることが難しく、やはり着火に手間取ることがたびたびあった。
本発明は以上に鑑み、ローソク着火時の風よけを可能とするとともに、着火後の風対応にも優れてなる新規かつ有用なる手段を提供するべく発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。すなわち、墓石上に固着立設するための基台と、該基台上に、切除部を有する主体を固着し、この切除部を湾曲部を有するものとし、該切除部と反対側位置主体の上部に排気口を設け、この主体上面に固着される冠体を設け、主体内に位置するとともに主体に対し回動可能なる中空の回動体を設け、該回動体側面的所に装飾空隙を設けるとともに、該回動体の装飾空隙以外の箇所に着火用空隙を設け、ローソク立て保持台を基台内に立設固定するとともに、該ローソク立て保持台にローソク立て金具を設け、回動体の回動停止位置を選択可能として、ローソクに着火時の回動体位置と着火後の回動体位置の選択を可能となるよう構成する。本発明は以上の構成による墓石用風吹き込み対応回動型ローソク立てである。
【発明の効果】
【0005】
1.主体と回動体にてローソク炎を取り囲む構造のため、風によるローソク炎消火の恐れがない。
2.回動体の正面を装飾空隙に、裏面を切除部とすることにて、回動体を回動させて裏面切除部を正面として、ローソクへの着火が容易となり、回動体の装飾空隙を正視位置として、良好な視覚性を得ることができる。また、風雨がある場合は、裏面からローソクをセットした後、回転させて正面に戻し、装飾空隙より細口の着火用具(例えば市販の通称チャッカマンなど)を挿入して着火させることで、風雨の影響を防ぐことができる。
3.基台等に水抜き孔を設けることにて、内部へ侵入した雨水の自然排出を行うことができる。
4.主体前面に曲面を形成することにて、ローソク炎への風吹き込みを緩和するとともに、良好な視覚性を得ることができる。
5.主材に石材を用いて構成し、墓石上適所に固着立設することにて、その耐候性から長期にわたる使用が可能であり、墓参毎のローソク用風防の持参を不要とし、また盗難を 防止することができる。
6.通常のローソク立ては防風雨の影響を受けないように、金物およびガラス等の既製品を使用するため、ローソク立ての型は制限されるが、本発明は既製品を使用しないため、使用用途に適した設計が自由にできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】本発明の基台斜視図(ローソク立て保持台込み)
【
図12】本発明の主体の拡大平面図(風向説明付き)
【
図14】本発明の内部構成説明図(中央縦断面・一部略)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は基台で、角柱形石材の中央上部に円形凹部2を設け、該角柱形石材下端に半円形凹部3を一方の側面から反対側の側面に至る直線状に設け、上記円形凹部下面から上記半円形凹部に至る一対の水抜き孔4を基台に穿設して形成される。
5は主体で、石材により形成される角柱の側面上縁から下縁に至る一部を、後述する所定形状に切除して形成される。また、この切除した箇所の反対側側面適所には排気口6が穿設される。7は角柱形の冠体で、その下部は水平面を有し、この水平面中央に平面視円形の回動体挿入部8を有しており、この回動体挿入部の中央には後述の回動金具の上部を挿入するための孔9が設けられる。
上記の基台の上面に主体が固着され、主体上面に冠体が固着されて非回動部分が形成される。10は回動体である。この回動体は、石材により形成される上部非開放下部開放の筒状体で、該回動体側部の一部に装飾空隙11を形成し、該装飾空隙と対称の側面位置に側面視四角形切除部よりなる着火用空隙12が形成される。また、回動体上部中央に孔13が形成される。
【0008】
14はローソク立て保持台で、上方に外径を違えた段部を有する円柱体である。このローソク立て保持台の中央上部と中央下部に孔が穿設される。中央上部の孔には、その中央にピンを有する金属性のローソク立て金具15が挿入される。なお、ローソク立て保持台の上に円柱体を追加して筒から出して着火することもできる。
また中央下部の孔には、以下に示す回動金具20の一方(内金具22)が挿入固着される。この回動金具は以下の構成による。21は外金具で、上部に鍔部を有する有底円筒体である。22は内金具で、中央に鍔部を有する円柱体である。
以上の金具において、鍔部外径は互いに同一であるとともに、内金具外径は外金具内径よりわずかに小さく、従って内金具は外金具内に挿入可能である。
この二つの金具は組み合わされて使用される。
【0009】
ローソク立て保持台には上記した内金具の一部が挿入固着され、基台に設けた孔には外金具が挿入固着される。なお、基台同様の水抜き孔23がローソク立て保持台にも設けられる。このローソク立て保持台外径は回動体外径と同一であり、このローソク立て保持台上に回動体が載置される。
次ぎに主体の切除部について説明する。
図12にて示すように、主体の平面視において、回動体に近接する箇所には等幅の開口部30が主体の上端から下端に至るまで切除して設けられ、この等幅開口部に連続して凹状湾曲部31が、この凹状湾曲部に連続して凸状湾曲部32が形成される。
この湾曲部に風が当たると、その風の方向は回動体に向かわない方向へと変えられ、従って、内部の着火ローソクへの風の影響は緩和され、着火時においても同様となる。
例えば、
図12の仮想線にて示すように、等幅だけでは風の吹き込みは少なくなるものの回動体の一部しか露出せず、狭苦しい印象を与えることとなって視覚上好ましくない。
また、湾曲部がないと上記に比べて良好な視覚となるが、風を集めることとなって防風効果は減ずることとなる。ゆえに、前記のように連続する湾曲部を形成すれば、防風効果と視覚効果の双方を満足させることができる。また、回動体を回動させて隙間を調整し、さらに防風効果を高めることもできる。
【0010】
本発明品は、墓石適所に一対が固着立設される。本発明使用に際してはまず、回動体正面の装飾空隙に指を当てて、この回動体を回動させ、裏面の着火用空隙部を正面に持ってくる。このとき、ローソク立て金具は露出しており、ここにローソクを立てて芯に着火する。この着火時において、着火用空隙部以外は主体にて囲まれており、風による消火は防止される。ローソクへの着火後は、再び回動体を回動させて装飾空隙を正面に持ってくる。この装飾空隙は本例ではX形の七宝模様の連続的組み合わせ形状である。
従って、この空隙部分に指を当てて容易に回動させることができ、この装飾空隙を通してローソク炎を視認することができ、良好な視覚性を得ることができる。墓参後は、既述と逆の手順にてローソクを消火して除去することができる。
【0011】
本例では、基台とローソク立て保持台に水抜き孔を用いている。従って、雨天時に装飾空隙より主回動体内に侵入した雨水は、これら双方の水抜き孔を通って基台下部の半円形凹部に至り、この半円形凹部は基台下面に一方の端から他方の端に至る直線状のため、外部に水を自然排出することができる。
また、主体には排気口を設けている。これは、ローソク燃焼のための空気供給を配慮したものである。装飾空隙下部より主回動体内に空気が流入し、燃焼後の空気はこの排気口より外部に排気されて、燃焼に必要な空気の流れが確保されて、ローソク燃焼は維持される。この空気流保持のために、排気口は主体平面視において、装飾空隙と反対側に設けられる。なお、基台と主体、主体と冠体、ローソク立て保持台側面と基台は各々目地材にて固着される。また、ローソク立て保持台下方の一部と基台は排水通過のために目地材は用いられない。
【0012】
以上、本発明について記したが、本発明は墓参時に点火したローソクの風による消火を防止し、またその視覚良好性を演出するものである。従来は既述のように、墓参の度に風防等を持参し、またローソクへの着火時に風雨によりその着火に手間取り、あるいは着火したローソク炎の消火も懸念されたが、本発明にてこれが解消されるものとなったのである。また、主体湾曲部にてローソク炎への風の吹き込みを緩和するとともに、回動体を回動させて風量の調節もでき、その視覚性も良好なものとなる。また、用途に合わせた制限のない設計が可能となる。つまり、ローソクの長いものや太いものに対応するためには、回動体の幅や長さ等を自由に設計することが必要であり、またローソク立てサイズがある程度ないと墓石との視覚的バランスが取り難いのである。
本発明例示では石材にて主要部を構成したが、他の素材を用いてもよく、また、主回動体の装飾空隙のデザインは、適度の通気性を有するものであれば自由である。
以上のごとく、本発明によって墓参時に便利なる物品を得ることができる。
【符号の説明】
【0013】
1 基台
2 円形凹部
3 半円形凹部
4 水抜き孔
5 主体
6 排気口
7 冠体
8 回動体挿入部
9 孔
10 回動体
11 装飾空隙
12 着火用空隙
13 孔
14 ローソク立て保持台
15 ローソク立て金具
20 回動金具
21 外金具
22 内金具
23 水抜き孔
30 開口部
31 凹状湾曲部
32 凸状湾曲部
33 目地材
40 ローソク