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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115809
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】静音型燃料ガス電磁弁の構造
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
F16K31/06 305H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002086
(22)【出願日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】202110120338.0
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】タン ジンファン
(72)【発明者】
【氏名】リ ピンユウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン シュジュ
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 太一
(72)【発明者】
【氏名】シェン チェンロ
(72)【発明者】
【氏名】ン カシャ
(72)【発明者】
【氏名】ファン チェンユウ
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA23
3H106DB32
3H106DC05
3H106DD03
3H106EE19
3H106EE20
3H106GC09
3H106KK12
(57)【要約】
【課題】本発明は、静音型燃料ガス電磁弁の構造を提供している。
【解決手段】本発明の静音型燃料ガス電磁弁は、可動鉄心と、固定鉄心と、導管とを備え、前記可動鉄心は、前記導管内に可動に設けられており、前記固定鉄心は、前記導管内に位置されると共に、前記可動鉄心に部分的に突入しており、前記固定鉄心の端部は、前記可動鉄心に整合していて、両者の間に間隔が空けられている。前記固定鉄心と前記導管との間に異型リングが設けられ、前記異型リングは、可動鉄心部とシール部とを備え、前記可動鉄心部は、前記可動鉄心に面していてこの可動鉄心と接触可能となり、前記シール部の内周部が前記固定鉄心内に係止され、前記シール部の外周部が前記導管に接触して導管との密封性を実現している。また、前記シール部の外周部は、テーパ形構造として形成されている。この燃料ガス電磁弁の構造は良好な緩衝性能を提供しており、電磁弁の運行が穏やかで精確である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動鉄心と、
固定鉄心と、
導管と、
を備え、
前記可動鉄心は、前記導管内に可動に設けられており、
前記固定鉄心は、前記導管内に設置されると共に、一部が前記可動鉄心に部分的に延在しており、前記固定鉄心の端部は、前記可動鉄心に整合してなり、両者の間に間隔が空けられており、
前記固定鉄心と前記導管との間に異型リングが設けられ、前記異型リングは、可動鉄心部とシール部とを備えており、前記可動鉄心部は、前記可動鉄心に面するとともに、前記可動鉄心と接触可能であり、前記シール部の内周部が前記固定鉄心に係止され、前記シール部の外周部が前記導管に接触して導管との密封性を実現していることを特徴とする静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項2】
前記固定鉄心に、前記異型リングを係止するための係止用溝が設けられており、前記シール部の内周部は、前記係止用溝の一部の溝壁と接触し、前記係止用溝の残りの部分の溝壁との間に隙間を有することを特徴とする請求項1に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項3】
前記異型リングは、前記可動鉄心に面する端面に通気溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項4】
さらに、ケーシングとゴムパッドとを有し、前記導管は、前記ケーシングに設置されており、前記固定鉄心から遠方の前記可動鉄心の一端は、前記導管および前記ケーシングから突出して前記ゴムパッドに接続されており、前記固定鉄心は、前記可動鉄心の前記一端から遠く離れて前記ケーシングに固定されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項5】
前記シール部の外周部は、テーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項6】
前記固定鉄心の端部は、テーパ形状に形成され、前記可動鉄心は、前記固定鉄心の端部形状に合わせたテーパ溝部を有し、前記テーパ形状と前記テーパ溝部との間に、所定の距離を空けてエアギャップが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項7】
前記可動鉄心は、前記ゴムパッドと前記ケーシングとの間に位置し、復元部材が、さらに介設されていることを特徴とする請求項4に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項8】
前記ケーシングの前記ゴムパッドに面する一端と前記導管との間に、シールリングが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項9】
前記ケーシングにボス部が設けられ、前記シールリングは前記ボス部内に位置し、前記ボス部は円筒形ボス部またはテーパ形ボス部であることを特徴とする請求項8に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【請求項10】
前記導管の前記ケーシング内に位置する部分に補助プレートが外嵌され、前記補助プレートの外側にボビンが外嵌され、前記ボビンの外側にコイルが巻回され、前記コイルの外側に保護材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の静音型燃料ガス電磁弁の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス弁の技術に関し、特に静音型燃料ガス電磁弁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス電磁弁が静音型であった場合、優れた弾力性とクッション性、騒音低減性能を確保するために、一般的に、高質のゴム材料を使用してインナープラグを製作している。例えば、使用されるゴム材料には、次のことが求められている。すなわち、1)耐燃料ガス性が優れており、n-ペンタン浸漬後の膨張率が低い。2)耐高温性がよく、高温後に繰り返して力を受けてもその変形量が少ない。しかし、このような材料は、価格が高いため、市場での評価が比較的に低い。また、静音型燃料ガス電磁弁の可動鉄心に、ゴム製のインナープラグを使用しているため、圧入時に圧力の歪みや圧力不足などの問題が発生しやすく、燃料ガス電磁弁の性能やその安定性が比較的低かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における上記の問題に鑑み、本発明は、インナープラグを1つ減少し、良好なクッション性を有し、可動鉄心構造および製造プロセスを簡略化した静音型燃料ガス電磁弁の構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の静音型燃料ガス電磁弁の構造は、
可動鉄心と、
固定鉄心と、
導管と、
を備え、
前記可動鉄心は、前記導管内に可動に設けられており、
前記固定鉄心は、前記導管内に設置されると共に、一部が前記可動鉄心に部分的に延在しており、前記固定鉄心の端部は、前記可動鉄心に整合してなり、両者の間に間隔が空けられており、
前記固定鉄心と前記導管との間に異型リングが設けられ、前記異型リングは、可動鉄心部とシール部とを備えており、前記可動鉄心部は、前記可動鉄心に面するとともに前記可動鉄心と接触可能であり、前記シール部の内周部が前記固定鉄心に係止され、前記シール部の外周部が前記導管に接触して導管との密封性を実現している。
【0005】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記固定鉄心は、前記異型リングを係止するための係止用溝が設けられており、前記シール部の内周部は、前記係止用溝の一部の溝壁と接触し、前記係止用溝の残りの部分の溝壁との間に隙間を有する。
【0006】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記異型リングは、前記可動鉄心の端面に面する通気溝が設けられている。
【0007】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、さらに、ケーシングとゴムパッドとを有し、前記導管は、前記ケーシングに設置されており、前記固定鉄心から遠方の前記可動鉄心の一端は、前記導管および前記ケーシングから突出して前記ゴムパッドに接続されており、前記固定鉄心は、前記可動鉄心の前記一端から遠く離れて前記ケーシングに固定されている。
【0008】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記シール部の外周部は、テーパ形状に形成されている。
【0009】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記固定鉄心の端部は、テーパ形状に形成され、前記可動鉄心は、前記固定鉄心の端部形状に合わせたテーパ溝部を有し、前記テーパ形状と前記テーパ溝部との間に、所定の距離を空けてエアギャップが形成されている。
【0010】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記可動鉄心は、前記ゴムパッドと前記ケーシングとの間に位置し、復元部材が、さらに介設されている。
【0011】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記ケーシングの前記ゴムパッドに面する一端と前記導管との間に、シールリングが設けられている。
【0012】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記ケーシングにボス部が設けられ、前記シールリングは前記ボス部内に位置し、前記ボス部は円筒形ボス部またはテーパ形ボス部である。
【0013】
上述の静音型燃料ガス電磁弁の構造において、前記導管の前記ケーシング内に位置する部分に補助プレートが外嵌され、前記補助プレートの外側にボビンが外嵌され、前記ボビンの外側にコイルが巻回され、前記コイルの外側に保護材が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造は、固定鉄心と導管との間に異型リングを備えている。異型リングは、可動鉄心部とシール部とを含む。可動鉄心部は、高さが高く、良好な緩衝が提供可能であり、シール部は、導管と接触して導管との密封性を実現し、燃料ガスへの密封性を実現している。
本発明で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造は、可動鉄心部の高さ変化が小さいため、閉弁時のバルブ内の電圧が比較的安定し、電磁弁全体の運転がスムーズかつ正確になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】概略図であり、本発明の第1実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造を示している。
図2】概略図であり、本発明の第1実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の第2構造を示している。
図3】斜視図であり、本発明で提供された異型リングの構造を示している。
図4】概略図であり、本発明の第2実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造を示している。
図5】概略図であり、本発明の第3実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造を示している。
図6】概略図であり、本発明で提供された燃料ガス電磁弁の構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、以下は、実施形態を通じて、添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本明細書に記載されている特定の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されるわけではない。
【0017】
本明細書において、「第1」、「第2」などは、描かれる対象を区別するために使用されており、順序の意味または技術的意味を有する訳ではない。また、本願において言及される「接続」および「連結」は、特に明記しない限り、直接および間接的な接続(連結)を意味する。
【0018】
本発明の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内側」、「外側」、「時計回り」、「反時計回り」などで示される向きまたは位置関係は、図面に示される向きまたは位置関係に基づく。
【0019】
上記の用語は、本発明を説明しやすくし、その説明を簡略化するためだけであって、装置または部品が特定の向き、および特定の構造や操作を有さなければならないことを意味する訳ではない。したがって、上記の用語は、本発明を限定するものではない。
【0020】
本発明において、特に明確な規定および限定がない限り、「第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」」という表現は、「第1および第2の特徴が直接に接触していてもよく、あるいは、第1および第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい」ということを意味している。また、「第1の特徴は、第2の特徴の「上」、「上方」、または「上面」にある」という表現は、「第1の特徴は、第2の特徴の真上または斜め上にある」ということを意味し、或いは「第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高い」ということを意味している。
【0021】
「第1の特徴は、第2の特徴の「下」、「下方」、または「下面」にある」という表現は、「第1の特徴が第2の特徴の直下または斜め下にあり、或いは第1の特徴の水平高さが第2の特徴より低い」ということを意味している。
【0022】
次に、図1から図3を参照しながら説明を行っていく。図1は、本発明の第1実施形態によって提供された静音型燃料ガス電磁弁の第1構造図であり、図2は、第1実施形態によって提供された静音型燃料ガス電磁弁の第2構造図である。図3は、本発明によって提供された異型リングの構造を示す概略図である。本発明における第1実施形態は、静音型燃料ガス電磁弁の構造を示しており、この構造は、ケーシング1と、ゴムパッド2と、可動鉄心3と、固定鉄心4と、導管5とを含む。
【0023】
ケーシング1はハウジング構造であり、一端が固定板15によって塞がれた収容室11を有し、収容室11の他端に収容室11に連通する貫通孔12が形成されている。なお、貫通孔12は、収容室11と同軸に設けられ、収容室11のゴムパッド2に面する側に位置されている。
【0024】
導管5はケーシング1内に設置され、可動鉄心3は導管5内に可動的に設置され、その一端は導管5とケーシング1から突出してゴムパッド2に接続されている。
具体的には、導管5は、収容室11内に位置されて、貫通孔12と同軸に設けられている。
【0025】
さらに、導管5のケーシング1内に位置する部分には、補助プレート91が外嵌され、補助プレート91の外側には、ボビン92が外嵌されている。また、ボビン92の外周にはコイル93が巻回され、コイル93の外周には円筒形の保護材94が外嵌されている。
【0026】
具体的には、本実施形態では、ボビン92は、第1プレート922と第2プレート923とを含み、その管状部921の軸線が導管5の軸線と同一直線上に位置している。第1プレート922は、管状部921のゴムパッド2に近い一端に設けられ、導管5の径方向に位置されている。第2プレート923は管状部921の固定鉄心4に近い一端に設けられ、導管5の径方向に位置されている。
【0027】
補助プレート91は、径方向プレート911とスリーブ912とからなり、補助プレート91における一方の径方向プレート911は、ケーシング1と第1プレート922との間に介在し、スリーブ912は管状部921と導管5との間に介在し、補助プレート91における他方の径方向プレート911は、ケーシング1と第2プレート923との間に介在している。スリーブ912は、管状部921と導管5との間に介在されており、2つのスリーブ912の間に所定の距離が空けられている。
【0028】
コイル93は外部回路に接続されており、通電すると電磁力を発生し、電磁力により可動鉄心3が固定鉄心4へ引き付けられる。
具体的には、可動鉄心3は段付きシャフトの形状であり、一端は導管5に収容され、他端は導管5から延び、ケーシング1の貫通孔12を介して、ゴムパッド2に接続されている。
【0029】
より具体的には、可動鉄心3は、ケーシング1から離れた一端に肩部31を備え、ゴムパッド2は、肩部31の形状に合わせた段差付き穴21を備えている。段差付き穴21のケーシング1に面する部分の穴径は、ケーシング1から遠い部分の穴径より小さくなっている。肩部31は、段差付き穴21に収容されて、ゴムパッド2に固定され、ゴムパッド2から取り外せない。これにより、可動鉄心3とゴムパッド2は互いに固定されて連結されている。
【0030】
さらに、可動鉄心3は、ゴムパッド2とケーシング1との間に位置され、復元部材8も備えている。この復元部材8は、ゴムパッド2および可動鉄心3が電磁力を受けていない場合の復元に使用される。好ましくは、復元部材8は復元バネである。
また、ゴムパッド2に面するケーシング1の端部と導管5との間にシールリング7が設けられている。
【0031】
好ましくは、この実施形態において、ケーシング1はボス部13を備えており、シールリング7はボス部13内に配置されている。ここで、ボス部13はテーパ形部分であり、具体的には、ゴムパッド2に面するボス部13の端部は、平面構造部131として形成されており、貫通孔12は平面構造部131を貫通し、平面構造部131とケーシング1の第1端面14は、テーパ構造部132によって互いに接続されている。
【0032】
固定鉄心4の端部は可動鉄心3と整合しており、両者の間に間隔が空けられている。具体的には、固定鉄心4の一端は、ゴムパッド2とは反対側のケーシング1の端部に固定され、他端は、導管5に位置され、可動鉄心3内に部分的に延びている。ここで固定鉄心4は、固定板15に固定されている。詳しくは、固定鉄心4の端部は、テーパ形構造部41として形成されており、可動鉄心3には、固定鉄心4の端部の形状に整合するテーパ形溝部32が形成されている。テーパ形構造部41とテーパ形溝部32との間に、あらかじめ設定された距離があり、エアギャップ34が形成されている。エアギャップ34に燃料ガスが供給され、可動鉄心3は、電磁力の作用によって固定鉄心4に向かって移動する。
【0033】
固定鉄心4と導管5との間に異型リング6が設けられている。具体的には、異型リング6は、可動鉄心部61とシール部62とを含む。可動鉄心部61は、可動鉄心3に向かって移動して接触するようになっている。
【0034】
シール部62の外周部は、導管5と接触して導管5との密封性を実現している。シール部62は、エアギャップ34内の燃料ガスを密封し、燃料ガスがエアギャップ34から流出するのを防ぐために使用される。好ましくは、異型リング6の可動鉄心部61の高さが電磁弁閉時の電圧に過度に影響を与えないようにするために、テーパ形溝部32およびテーパ形構造部41の傾斜角は5°~18°に設定されている。具体的には、テーパ形溝部32のテーパ面部分とテーパ形構造部41のテーパ面部分の角度は、好ましくは5°~18°である。
【0035】
好ましくは、異型リング6の高さは、2~10mmに設定している。また、可動鉄心3に面する異型リング6の端面には、通気溝611が設けられている。さらに好ましくは、通気溝611は、異型リング6の内周部から外周部まで貫通する。ここで通気溝611は、異型リング6が可動鉄心3を引き付けて開かないのを防ぐために使用される。
【0036】
本実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造は、固定鉄心4と導管5との間に異型リング6を備えている。異型リング6は、可動鉄心部61とシール部62とを含む。可動鉄心部61は、高さが高く、良好な緩衝が提供可能であり、シール部62は、導管5と接触してシーリングを実現し、燃料ガスへの密封を実現している。
【0037】
導管5を設置するとき、シール部62に対する導管5からの半径方向の押圧によって、可動鉄心部61の高さ変化は大きくなる。この大きな変化を回避するために、シール部62の外周部は、テーパ形構造として形成されている。なお、可動鉄心部61の高さ変化が小さいとき閉弁時の電磁弁内の電圧が比較的安定し、電磁弁全体の運転がスムーズかつ正確になる。
【0038】
シール部62の内周部は、固定鉄心4に係止されている。
具体的には、異型リング6の偏移を防止するために、固定鉄心4には、異型リング6を係止するための係止用溝42が形成され、異型リング6の内周部が係止用溝42に係止されている。
【0039】
さらに、シール部62の内周部は、係止用溝42の溝壁の一部と接触しており、係止用溝42の溝壁の残りの部分との間に隙間を残している。例えば、本実施形態では、導管5の軸に沿った係止用溝42の断面は多角形構造であり、シール部62の内周部は円弧状の構造である。これにより、シール部62の内周部と係止用溝42の溝壁の一部との間に隙間が残されている。このように、シール部62の内周部は、係止用溝42の溝壁の一部と接触しており、係止用溝42の溝壁の残りの部分との間に隙間が残されるので、テーパ形構造に似た効果を得ることができる。
【0040】
次に、図4を参照しながら説明を行う。図4は、概略図であり、本発明の第2実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造を示している。本実施形態における静音型燃料ガス電磁弁の構造は、第1実施形態における静音型燃料ガス電磁弁の構造と基本的に同様ではあるが、相違点は、本実施形態のボス部13が円筒形である。第1実施形態のテーパ形ボス部に比べて、円筒型ボス部の密閉信頼性が高い。
【0041】
次に、図5を参照しながら説明を行う。図5は、概略図であり、本発明の第3実施形態で提供された静音型燃料ガス電磁弁の構造を示している。本実施形態における静音型燃料ガス電磁弁の構造は、第1実施形態における静音型燃料ガス電磁弁の構造と基本的に同様ではあるが、相違点は、本実施形態のゴムパッド2に弾性防護層22が設けられている。弾性防護層22の一端はゴムパッド2と一体に接続され、他端は可動鉄心3に外嵌され、ケーシング1の第1端面14に装着されている。
【0042】
好ましくは、弾性防護層22は、ねじ部221とシール部222とを備えている。ねじ部221は、可動鉄心3に外嵌され、シール部222は、ケーシング1の第1端面14に密着して設けられている。これにより、静音型燃料ガス電磁弁の内部空間に外気が流入して内部素子が侵食されるのを防止することができる。また、このような構成により、先の実施形態におけるシールリング7を設ける必要はなくなる。
【0043】
次に、図6を参照しながら説明を行う。図6は、概略図であり、本発明で提供された燃料ガス電磁弁の構造を示している。この燃料ガス電磁弁は、弁体10と、先の実施形態における静音型燃料ガス電磁弁の構造とを含む。弁体10内には、第1ガス室161と第2ガス室162をそれぞれ有する段付き室16が設けられ、第1ガス室161の直径は第2ガス室162の直径より小さくなっている。第2ガス室162が設けられた弁体10の端部は、ケーシング1の対応端部に密封状態で接合されている。ゴムパッド2および可動鉄心3は、部分的に第2ガス室162内に配置されている。可動鉄心3は、電磁力の作用によって、ゴムパッド2を駆動して段付き室16の段差面から離間させて、第1のガス室161と第2のガス室とを連通させることができる。このとき、第2のガス室162内の燃料ガスは、第1のガス室161に入り、燃料ガスの開放流通を実現することができる。
【0044】
好ましくは、ゴムパッド2と可動鉄心3は、復元部材8によって復元可能であり、復元後、ゴムパッド2が段付き室16の段差面に当接して、第1ガス室161と第2ガス室162との遮断を実現する。このとき、第2ガス室162内のガスが第1ガス室161内に入らず、燃料ガスの遮断を実現する。
【0045】
具体的には、本実施形態では、より良好な密封性を実現するために、ゴムパッド2と段付き室16との段差面に突起17を設けている。この突起17は第2ガス室162内に位置し、ゴムパッド2の端面に当接または離間し、間接的にゴムパッド2と段付き室16の段差面との当接または離間を実現している。
【0046】
本実施形態の燃料ガス電磁弁において、固定鉄心4と導管5との間に異型リング6を設けており、異型リング6は可動鉄心部61とシール部62とを備えている。ここで、可動鉄心部61は、良好な緩衝を提供するように必要な高さを有する。シール部62は、導管5と接触して導管との密封性を実現している。これにより、燃料ガスへの密封を実現するとともに、導管5を取り付けるとき、導管5によるシール部62への押圧によって可動鉄心部61の高さを大きく変化させてしまうことを防げる。本実施形態ではテーパ形構造を設けることで上述の問題を回避することができ、可動鉄心部61の高さ変化が小さいから、閉弁時の電磁弁内の電圧が比較的安定し、電磁弁全体の運転がスムーズかつ正確になる。また、シール部62の内周部は、前記係止用溝42の溝壁と部分的に接触しており、係止用溝42の残りの部分の溝壁との間に隙間が残されている。このような構造によって、テーパ形構造の効果を奏することが可能となる。
【0047】
上述した実施形態の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能である。なお、本発明への説明を簡潔にするために、上記実施形態における各技術的特徴の可能な組み合わせの全てを記述しているわけではない。これら技術的特徴の組み合わせに矛盾点がない限り、本明細書に記載の範囲とみなされるべきである。
【0048】
以上の実施形態は本発明のいくつかの実施形態を示しており、その記述は比較的に具体的かつ詳細であるが、これによって本発明の特許範囲を限定するものと理解されるべきではない。本発明の概念から逸脱することなく、いくつかの変形および改良を行うことができ、これらは本発明の範囲に属するということが当業者に理解されるべきである。したがって、本発明の権利範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0049】
1:ケーシング、11:収容室、12:貫通孔、13:ボス部、131:平面部、132:テーパ面、14:第1端面、15:固定板、2:ゴムパッド、21:段付穴、22:弾性防護層、221:ネジ部、22:シール部、3:可動鉄心、31:突起部、32:テ‐パ形溝部、34:エアギャップ間隔、4:固定鉄心、41:テーパ形構造部、42:係止用溝部、5:導管、6:異型リング、61:可動鉄心部、611:通気溝、62:シール部、7:シールリング、8:復元部材、91:補助プレート、911:径方向板、912:スリーブ、92:ボビン、921:管状部、922:第1プレート、923:第2プレート、93:コイル、94:保護材、10:弁体、16:段付き室、161:第1燃料ガス室、162:第2燃料ガス室、17:突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6