(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115827
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】モータおよび空気圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 29/08 20060101AFI20220802BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20220802BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20220802BHJP
【FI】
H02K29/08
H02K5/22
H02K11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009748
(22)【出願日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021012029
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 広之
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆司
(72)【発明者】
【氏名】筒井 智秀
(72)【発明者】
【氏名】小栗 寿巳
【テーマコード(参考)】
5H019
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H019AA10
5H019BB01
5H019BB05
5H019CC04
5H019DD01
5H019EE14
5H605AA08
5H605BB07
5H605BB10
5H605BB19
5H605CC06
5H605DD09
5H605EC20
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB07
5H611BB08
5H611PP05
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】基板の交換を容易に行うことが出来るモータおよび空気圧縮機を提供することである。
【解決手段】モータは、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、前記基板よりも軸方向一方側に位置し、前記ステータを支持するケースと、を有し、前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、前記ケースは、前記基板を固定する固定部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸と、
前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、
前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、
前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、
前記基板よりも軸方向一方側に位置し、前記ステータを支持するケースと、を有し、
前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、
前記ケースは、前記基板を固定する固定部を有し、
前記基板は、前記規制部により周方向位置を規制される被規制部と、前記固定部に固定される被固定部を有する、モータ。
【請求項2】
前記回転位置検出回路は、ホールICを有し、
前記基板は、前記ホールICと外部とを接続するコネクタを実装する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記固定部及び前記被固定部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記固定部は、軸方向に延びるネジ穴を有し、
前記被固定部は、前記ネジ穴と軸方向で対向し、軸方向に貫通する孔を有し、
前記基板は、前記孔を貫通したネジが前記ネジ穴にネジ止めされて前記ケースに固定される、請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記固定部及び前記被固定部は、3つ以上設けられ、
前記規制部及び前記被規制部は、3つ以上の前記固定部及び前記被固定部を頂点とする多角形の中に位置する、請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに固定されたインシュレータと、を有し、
前記規制部は、前記インシュレータの外側面側で径方向外側に突出する凸部を複数有し、
前記被規制部は、前記基板の内側面側で径方向外側に凹む凹部を複数有し、
複数の前記凸部は、複数の前記凹部に嵌まって前記基板の周方向位置を規制する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
複数の前記凹部のうち周方向最も一方側凹部の周方向一方側側面の接線は、複数の前記凹部のうち周方向最も他方側凹部の周方向他方側側面の接線と平行である、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
モータと、
前記モータによって駆動する圧縮機構と、
前記圧縮機構の一部を内蔵するクランクケースと、
を備えた空気圧縮機であって、
前記モータは、
軸方向に延びる中心軸と、
前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、
前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、
前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、を有し、
前記クランクケースは、前記基板を固定する固定部を有し、
前記基板は、前記固定部に固定される被固定部を有する、空気圧縮機。
【請求項9】
前記固定部及び前記被固定部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する、請求項8に記載の空気圧縮機。
【請求項10】
前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、
前記基板は、前記規制部により周方向位置を規制される被規制部を有する、請求項8又は9に記載の空気圧縮機。
【請求項11】
前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに固定されたインシュレータと、を有し、
軸方向に見たときに、前記インシュレータと前記固定部との間に、前記基板の厚みよりも大きい間隙が設けられている、請求項8又は9に記載の空気圧縮機。
【請求項12】
前記回転位置検出回路は、前記基板に表面実装されている、請求項8~11のいずれか1項に記載の空気圧縮機。
【請求項13】
前記基板は、電線を接続可能なコネクタを配置したコネクタ配置部を備え、
前記コネクタ配置部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する、請求項8~12のいずれか1項に記載の空気圧縮機。
【請求項14】
前記コネクタ配置部に複数のコネクタを配置した、請求項13に記載の空気圧縮機。
【請求項15】
前記モータの軸を水平方向に配置するとともに、前記モータの制御回路を備えた制御基板を前記モータの下方に配置し、
前記コネクタ配置部を、前記ロータよりも下方に配置した、請求項13又は14に記載の空気圧縮機。
【請求項16】
前記クランクケースは、前記基板よりも径方向外側に突出する支持部を備える、請求項8~15のいずれか1項に記載の空気圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよびモータを使用した空気圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を有することで、回転制御を行う。回転位置検出回路を実装する基板は、ステータとの位置関係が一定であることが重要である。従来、回転位置検出回路を実装する基板をステータに固定したモータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータの使用環境が、帯電したほこりなどがあるような環境の場合、その影響を抑制するために、回転位置検出回路を実装する基板を交換することがある。特許文献1のように基板をステータに固定した場合、基板を交換する際に、基板の取り付け位置が露出するようにモータを分解する必要があり、交換作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、基板の交換を容易に行うことが出来るモータを提供することである。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、モータを使用した空気圧縮機において、基板の交換を容易に行うことが出来る構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の例示的な第1発明は、モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、前記基板よりも軸方向一方側に位置し、前記ステータを支持するケースと、を有し、前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、前記ケースは、前記基板を固定する固定部を有し、前記基板は、前記規制部により周方向位置を規制される被規制部と、前記固定部に固定される被固定部を有する。
【0008】
また、本願の例示的な第2発明は、モータと、前記モータによって駆動する圧縮機構と、前記圧縮機構の一部を内蔵するクランクケースと、を備えた空気圧縮機であって、前記モータは、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、を有し、前記クランクケースは、前記基板を固定する固定部を有し、前記基板は、前記固定部に固定される被固定部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の例示的な第1発明によれば、基板の交換を容易に行うことが出来るモータを提供することが出来る。
【0010】
また、本願の例示的な第2発明によれば、モータを使用した空気圧縮機において、基板の交換を容易に行うことが出来る構造を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るモータを示し、巻線の図示を省略した斜視図である。
【
図2】
図1に示したモータ100を+Y側から見た背面斜視図である。
【
図3】
図1に示したモータ100を+X側から見た側面図である。
【
図4】
図3に示したモータ100をX軸と直交し、中心軸Jを通る面で切断して示す側断面図である。
【
図5】
図1から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
【
図6】
図1に示したモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
【
図7】
図1に示したモータ100から、ケース500、基板400及びマグネットホルダ330を取り除いた状態を+Y側から見た背面図である。
【
図8】
図5からロータコア310及びロータマグネット320を取り除いて示す斜視図である。
【
図9】
図6からマグネットホルダ330を取り除いて示す斜視図である。
【
図10】基板400を-Y側から見た正面図である。
【
図11】
図2から、シャフト301、ケース500及び基板400を取り除いて示す背面斜視図である。
【
図13】ロータプレート302の背面斜視図である。
【
図14】カバー(図示せず)を取り外した空気圧縮機600の平面図である。
【
図15】圧縮機構およびモータ100の斜視図である。
【
図16】
図15に示した圧縮機構およびモータ100を-Y側から見た正面図である。
【
図17】
図15から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
【
図18】
図15に示した圧縮機構およびモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
【
図19】
図15に示した圧縮機構およびモータ100をZ軸と直交し、中心軸Jを通る面で切断して示す平面断面図である。
【
図21】
図15に示した圧縮機構およびモータ100を+Y側から見た背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータおよび空気圧縮機について説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。Z軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち
図1の上下方向とする。X軸方向は、Z軸方向とY軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0014】
また、以下の説明においては、Y軸方向の正の側(+Y側)を「フロント側」又は「一方側」と呼び、Y軸方向の負の側(-Y側)を「リア側」又は「他方側」と呼ぶ。なお、リア側(他方側)及びフロント側(一方側)とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。周方向の正の側(+θ側)を「一方側」と呼び、周方向の負の側(-θ側)を「他方側」と呼ぶ。
【0015】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0016】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータを示し、巻線の図示を省略した斜視図である。
図2は、
図1に示したモータ100を+Y側から見た背面斜視図である。
モータ100は、軸方向に延びるシャフト301と、ステータ200と、ロータ300と、基板400と、ケース500と、を有する。モータ100は、ステータ200の径方向外側にロータ300を配置したアウターロータ型のモータである。
【0017】
ロータ300は、軸方向一方側にマグネットホルダ330を有する。ロータ300は、軸方向他方側にロータプレート302を有する。ロータプレート302は、非磁性材であり、例えばアルミダイキャストである。ロータプレート302は、軸方向に貫通する貫通孔305を有する。貫通孔305は、周方向に等間隔で10個設けられている。
【0018】
基板400は、ホールIC411、412及び413(
図7参照)、並びにコネクタ402を実装する。ホールIC411、412及び413は、ロータ300の回転位置を検出する回転位置検出回路の一例である。コネクタ402は、ホールIC411、412及び413で検出した信号を外部出力可能な端子を有する。基板400は、軸方向に貫通する貫通孔403、404及び405を有する。
【0019】
ケース500は、基板400よりも軸方向一方側に位置する。ケース500は、ステータ200を支持する。ケース500は、ステータ200を直接支持しないものであってもよい。基板400は、貫通孔403、404及び405を介してケース500のネジ穴513、514及び515にねじ止めされることでケース500に固定される。ケース500のネジ穴513、514及び515は、軸方向一方側端部から軸方向他方側に延びる。ケース500のネジ穴513、514及び515は、固定部の一例である。基板400の貫通孔403、404及び405は、被固定部の一例である。固定部及び被固定部は3つ以上設けられる。基板400がステータ200に固定されずにケース500に固定されることで、基板400の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0020】
基板400の貫通孔403、404及び405は、ロータ300よりも径方向外側に位置する。すなわち、固定部及び被固定部はロータ300よりも径方向外側に位置する。これにより、基板400の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0021】
図3は、
図1に示したモータ100を+X側から見た側面図である。
図4は、
図3に示したモータ100をX軸と直交し、中心軸Jを通る面で切断して示す側断面図である。
図3及び
図4においては、基板400に実装される部品の図示を省略している。
【0022】
シャフト301は、中心軸Jに沿って延びる。ステータ200は、中心軸Jを中心に軸方向に延びる。ロータ300は、ステータ200と径方向外側で対向し、シャフト301を中心に回転する。ロータ300は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって順に、マグネットホルダ330、ロータコア310及びロータプレート302を有する。マグネットホルダ330は、軸方向に貫通する貫通孔331を有する。貫通孔331は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータコア310は、軸方向に貫通する貫通孔311を有する。貫通孔311は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータプレート302、ロータコア310及びマグネットホルダ330は、貫通孔305、311及び331を貫通したボルト等によって固定される。すなわち、ロータコア310は、ロータプレート302と嵌合する。
【0023】
ロータプレート302は、軸方向に貫通する筒孔を有する円筒部304を有する。円筒部304の中心は、中心軸Jに沿って配置される。シャフト301は、円筒部304の筒孔を貫通する。モータ100は、シャフト301の外周面と円筒部304の内周面との間にロータブッシュ306を有する。シャフト301は、ロータブッシュ306を介してロータプレート302に固定される。すなわち、ロータプレート302は、シャフト301と嵌合する。
【0024】
ケース500は、軸方向に貫通する貫通孔501を有する。ケース500は、貫通孔501内に、軸受502及び503を有する。軸受502は、軸受503よりも軸方向一方側に配置される。軸受502及び503の外輪の外周面は、貫通孔501内でケース500に固定される。シャフト301は、軸受502及び503の内輪の内周面に固定される。シャフト301は、軸受502及び503によって、中心軸Jを中心にして回動可能に軸支される。
【0025】
図5は、
図1から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
ロータコア310は、軸方向に延びる円環状部材である。ロータコア310は、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成される。ロータコア310は、その内周面に、径方向内側に突出して軸方向に延びる側壁部312を有する。側壁部312は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータ300は、ロータマグネット320を有する。ロータマグネット320は、直方体である。ロータマグネット320は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312との間に固定される。ロータマグネット320は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータマグネット320は、ステータ200と径方向内側で対向する。
【0026】
図6は、
図1に示したモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
ロータマグネット320の径方向内側の面は、マグネットホルダ330の爪部332と径方向で対向する。ロータマグネット320の軸方向一方側の面は、マグネットホルダ330の爪部332と軸方向で対向する。これにより、爪部332は、ロータマグネット320の軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制する。爪部332は、ホルダ爪部の一例である。
【0027】
図7は、
図1に示したモータ100から、ケース500、基板400及びマグネットホルダ330を取り除いた状態を+Y側から見た背面図である。
ロータマグネット320の径方向内側の面は、ロータプレート302の爪部303と径方向で対向する。これにより、爪部303は、ロータマグネット320の径方向内側への移動を規制する。爪部303は、プレート爪部の一例である。ロータマグネット320の軸方向他方側の面は、ロータプレート302と径方向で対向する。これにより、ロータプレート302は、ロータマグネット320の軸方向他方側への移動を規制する。
【0028】
図8は、
図5からロータコア310及びロータマグネット320を取り除いて示す斜視図である。
ステータ200は、ステータコア210を有する。ステータコア210は、ステータ200の巻線を収容する12個のスロットを有する。ステータコア210は、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成される。ステータ200は、ステータコア210を軸方向他方側から覆うインシュレータ220を有する。ステータ200は、ステータコア210を軸方向一方側から覆うインシュレータ230を有する。インシュレータ220及び230は、ステータコア210に固定される。
【0029】
マグネットホルダ330は、ロータコア310及びロータマグネット320の軸方向一方側に配置された部材である。マグネットホルダ330は、軸方向に平板面を有し、周方向に1周する円環状部材である。マグネットホルダ330は、例えばアルミニウムのような非磁性材で構成される。マグネットホルダ330が非磁性材であることで、ロータマグネット320による磁界に影響を与えないで済む。マグネットホルダ330の軸方向厚さは、ロータコア310を構成する電磁鋼板のうちの1枚の軸方向厚さよりも厚い。これにより、マグネットホルダ330の強度を確保することが出来る。
【0030】
図9は、
図6からマグネットホルダ330を取り除いて示す斜視図である。
インシュレータ230は、その外周側に、径方向の厚さが薄い薄肉部230a、230b及び230cを有する。薄肉部230aは、その径方向外側の面に凸部231を有する。薄肉部230bは、その径方向外側の面に凸部232を有する。薄肉部230cは、その径方向外側の面に凸部233を有する。凸部231、232及び233は、径方向外側に突出して軸方向に延びる。
【0031】
基板400は、凸部231、232及び233に対応した位置に、凸部231、232及び233に対応した形状の凹部421、422及び423を有する。凹部421、422及び423は、基板400の内周面から径方向外側に凹む。
【0032】
凸部231、232及び233は、凹部421、422及び423に嵌め合うことで、基板400の周方向位置を規制する。凸部231、232及び233、並びに凹部421、422及び423の軸方向から見た形状は、円形又は角形など、基板400の周方向位置を規制可能であれば如何なる形状であってもよい。凸部231、232及び233は、規制部の一例である。凹部421、422及び423は、被規制部の一例である。規制部をインシュレータ230の外周面に設けた凹部とし、被規制部を基板400に設けた凸部としてもよい。本実施形態のように、規制部を薄肉部230a、230b及び230cに設けた凸部231、232及び233とすることで、凸部231、232及び233が薄肉部230a、230b及び230cの補強リブとして機能し、インシュレータ230の径方向の変形を抑制することが出来る。インシュレータ230の径方向の変形は、基板400の位置がずれる要因となる。
【0033】
図10は、基板400を-Y側から見た正面図である。
基板400は、周方向に60度の間隔で、ホールIC411、412及び413を実装する。基板400は、周方向に120度の長さを有する。
【0034】
基板400の凹部421、422及び423は、軸方向から見て半円形状である。凹部421、422及び423のうち周方向最も一方側凹部は、凹部421である。凹部421、422及び423のうち周方向最も他方側凹部は、凹部423である。凹部421の周方向一方側側面の接線である線Aは、凹部423の周方向他方側側面の接線である線Bと平行である。これにより、基板400の後付けの際、凹部421、422及び423に凸部231、232及び233をスムーズに嵌めることが出来、基板400の後付けが容易である。凸部231、232及び233は、軸方向から見て三角形でもよい。凸部231、232及び233は、軸方向から見て台形でもよい。
【0035】
凹部421、422及び423は、基板400の貫通孔403、404及び405を頂点とする多角形である三角形Cの中に位置する。これにより、基板400の周方向の位置ずれを少なくすることが出来る。三角形Cは、固定部及び被固定部を頂点とする多角形の一例である。
【0036】
本実施形態では、ステータ200の巻線からの引き出し線は、基板400と繋がっていない。このため、基板400にはモータ100駆動用の電源線はない。基板400には、モータ駆動制御用ICに繋がるホール信号用部品が配置されており、モータ駆動制御用ICなどはない。このため、基板400の後付け、及び交換を容易に行うことが出来る。
【0037】
図11は、
図2から、シャフト301、ケース500及び基板400を取り除いて示す背面斜視図である。
マグネットホルダ330の爪部332は、周方向に等間隔で10個設けられている。
【0038】
ロータマグネット320は、径方向内側の面が平面である。爪部332は、ロータマグネット320の周方向端部に位置する。ロータマグネット320の径方向内側の面が平面であることから、ロータマグネット320とステータ200との間のギャップは、ロータマグネット320の周方向中央部よりも周方向端部が大きい。このようなロータマグネット320の周方向端部に爪部332を設けることで、爪部332が、モータ100の回転の邪魔になることがなく、ロータマグネット320を確実に保持することが出来る。
【0039】
複数の爪部332のうちの1つの爪部332は、複数のロータマグネット320のうち隣接する2つのロータマグネット320の両方の周方向端部を保持する。1つの爪部332が隣接するロータマグネット320の両方を保持するため、爪部332の周方向長さを長くすることが出来、爪部332の強度を高めることが出来る。周方向で隣り合うロータマグネット320は互いに極が異なるため、ステータ200と対向する場合、一方のロータマグネット320に径方向内側への力が働けば、他方のロータマグネット320には径方向外側への力が働く。従って、隣接する両方のロータマグネット320の周方向端部を支える1つの爪部332は、どちらか一方のロータマグネット320だけを支えることが出来ればよい。
【0040】
複数の爪部332のうちの1つは、ロータマグネット320の周方向一方側端部に位置し、この爪部332に隣接する別の1つは、同じロータマグネット320の周方向他方側端部に位置する。ある爪部332とその爪部332に隣接する爪部332とでロータマグネット320の周方向両端を保持することで、ロータマグネット320の径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0041】
爪部332は、マグネットホルダ330の内周部から径方向内側に延びる第1爪部332aと、第1爪部332aから軸方向他方側に延びる第2爪部332cと、を有する。爪部332は、第1爪部332aから第1爪部332aへの屈曲の際に屈曲部332bを形成する。第1爪部332aは、ロータマグネット320の軸方向一方側と対向する。これにより、第1爪部332aは、ロータマグネット320の軸方向一方側への移動を規制する。第2爪部332cは、ロータマグネット320の径方向内側と対向する、これにより、第2爪部332cは、ロータマグネット320の径方向内側への移動を規制する。第2爪部332cの径方向厚さは、ロータコア310を構成する電磁鋼板のうちの1枚の軸方向厚さよりも厚い。これにより、第2爪部332cの強度を確保することが出来る。
【0042】
マグネットホルダ330は、接着剤を介してロータマグネット320を保持する、これにより、接着剤によってマグネットホルダ330とロータマグネット320の間の寸法公差を吸収することが出来る。特に、ロータコア310を構成する積層鋼板は寸法公差が大きく、寸法の違いを吸収する構造が必要である。
【0043】
第2爪部332cは、接着剤を介してロータマグネット320を保持する。これにより、第2爪部332cとロータマグネット320との距離を接着剤で調整出来るので、爪部332の第1爪部332aと第2爪部332cとの間の屈曲部332bの曲率が小さい(Rが緩い)場合でも、爪部332とロータマグネット320とが干渉することなく(ロータマグネット320が屈曲部332bの曲面に影響されることなく)、ロータマグネットを保持することが出来る。
【0044】
図12は、ロータコア310の背面斜視図である。
ロータコア310は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312との間に平面部313を有する。平面部313は、ロータコア310の径方向内側の面である。ロータマグネット320の径方向外側の面は、接着剤を介して平面部313に固定される。すなわち、ロータコア310は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312とその間の平面部313とで形成される収容部314を有する。収容部314は、ロータコア310の径方向内側において、径方向外側に凹む。収容部314は、ロータマグネット320を収容する。
【0045】
図13は、ロータプレート302の背面斜視図である。
ロータプレート302は、ロータコア310の内周側で、ロータコア310の軸方向他方側端部よりも軸方向一方側に延びる爪部303を有する。ロータプレート302の爪部303は、周方向に等間隔で10個設けられている。爪部303は、マグネットホルダ330の爪部332の周方向位置に対応した位置に設けられている。爪部303は、接着剤を介してロータマグネット320を保持する。
【0046】
ロータマグネット320の径方向内側面と対向する爪部332の周方向長さは、ロータマグネット320の径方向内側面と対向する爪部303の周方向長さよりも短い。爪部303とロータマグネット320との対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが長い。爪部332とロータマグネット320との対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが短い。
【0047】
爪部303は、ロータマグネット320の径方向内側面を、主に周方向の長さで保持する。ロータプレート302がアルミダイキャストである場合、爪部303が軸方向に長いと折れやすい。このため、爪部303を軸方向に短く、周方向に長くすることで、爪部303とロータマグネット320との接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。爪部332は、ロータマグネット320の径方向内側面を、主に軸方向の長さで保持する。マグネットホルダ330がアルミ板である場合、爪部332を形成する際、爪部332が軸方向に長く周方向に短いほうが軸方向に曲げやすい。また、爪部332を軸方向に長く、周方向に短くすることで、ロータマグネット320との接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
【0048】
<モータ100の作用・効果>
次に、モータ100の作用・効果について説明する。
【0049】
上述の実施形態に係る発明においては、モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、前記基板よりも軸方向一方側に位置し、前記ステータを支持するケースと、を有し、前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、前記ケースは、前記基板を固定する固定部を有し、前記基板は、前記規制部により周方向位置を規制される被規制部と、前記固定部に固定される被固定部を有する。
基板がケースに固定されることで、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0050】
また、前記回転位置検出回路は、ホールICを有し、前記基板は、前記ホールICと外部とを接続するコネクタを実装する。
ホールICによりロータの回転位置を検出することが出来る。
ステータの巻線からの引き出し線は、基板と繋がっていない。このため、基板にはモータ駆動用の電源線はない。基板にはモータ駆動制御用ICにつながるホール信号用部品が配置されており、モータ駆動制御用のICなどはない。このため、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0051】
また、前記固定部及び前記被固定部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する。
固定部及び被固定部がロータよりも径方向外側であることで、基板の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0052】
また、前記固定部は、軸方向に延びるネジ穴を有し、前記被固定部は、前記ネジ穴と軸方向で対向し、軸方向に貫通する孔を有し、前記基板は、前記孔を貫通したネジが前記ネジ穴にネジ止めされて前記ケースに固定される。
基板の孔とケースのネジ穴で固定することで、基板の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0053】
また、前記固定部及び前記被固定部は、3つ以上設けられ、前記規制部及び前記被規制部は、3つ以上の前記固定部及び前記被固定部を頂点とする多角形の中に位置する。
規制部及び被規制部が、3つ以上の固定部及び被固定部を頂点とする多角形の中に位置することで、基板の周方向の位置ずれを少なくすることが出来る。
【0054】
また、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに固定されたインシュレータと、を有し、前記規制部は、前記インシュレータの外側面側で径方向外側に突出する凸部を複数有し、前記被規制部は、前記基板の内側面側で径方向外側に凹む凹部を複数有し、複数の前記凸部は、複数の前記凹部に嵌まって前記基板の周方向位置を規制する。
凸部が凹部に嵌まることで、正確な基板の位置決めをすることが出来る。
凸部をインシュレータの径方向外側の薄肉部に設けることで、凸部が薄肉部の補強リブとして機能し、インシュレータの径方向への変形を抑制することが出来る。インシュレータの径方向の変形は、基板の位置がずれる要因となる。
【0055】
また、複数の前記凹部のうち周方向最も一方側凹部の周方向一方側側面の接線は、複数の前記凹部のうち周方向最も他方側凹部の周方向他方側側面の接線と平行である。
このため、基板の後付けの際、凹部に凸部をスムーズに嵌めることが出来、基板の後付けが容易である。
凸部は、軸方向から見て半円形状である。凸部は、軸方向から見て三角形でもよい。凸部は、軸方向から見て台形でもよい。
【0056】
上述の実施形態に係る発明においては、モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、を有し、前記ロータは、前記中心軸と嵌合するロータプレートと、前記ロータプレートと嵌合し、径方向内側に径方向外側に凹む収容部を有するロータコアと、前記収容部に収容され前記ステータと径方向内側で対向するロータマグネットと、前記ロータマグネットの軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制するホルダ爪部を備えたマグネットホルダと、を有する。
このため、マグネットホルダによって、ロータマグネットの径方向内側への脱落を防ぐことが出来る。
【0057】
また、前記ホルダ爪部は、内周部から径方向内側に延びる第1爪部と前記第1爪部から軸方向他方側に延びる第2爪部とを有し、前記第1爪部は、前記ロータマグネットの軸方向一方側と対向し、前記第2爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する。
このため、ロータコア、ロータプレート及びマグネットホルダによってロータマグネットを6方向から保持することが出来、ロータマグネットの脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0058】
また、前記ロータマグネットは、径方向内側の面が平面であり、前記ホルダ爪部は、前記ロータマグネットの周方向端部に位置する。
ロータマグネットの径方向内側の面が平面であることから、ロータマグネットとステータとの間のギャップは、ロータマグネットの周方向中央部よりも周方向端部が大きい。このようなロータマグネットの周方向端部にホルダ爪部を設けることで、ホルダ爪部が、モータの回転の邪魔になることがなく、ロータマグネットを確実に保持することが出来る。
【0059】
また、前記ロータは、周方向に隣接する複数の前記ロータマグネットを有し、前記ホルダ爪部は、隣接する前記ロータマグネットの両方の周方向端部を保持する。
ホルダ爪部が隣接するロータマグネットの両方を保持するため、ホルダ爪部の周方向長さを長くすることが出来、ホルダ爪部の強度を高めることが出来る。
隣り合うロータマグネットは互いに極が異なるため、ステータと対向する場合、一方のロータマグネットに径方向内側への力が働けば、他方のロータマグネットには径方向外側への力が働く。従って、隣接する両方のロータマグネットの周方向端部を支える1つのホルダ爪部は、どちらか一方のマグネットだけを支えることが出来ればよい。
【0060】
また、前記マグネットホルダは、周方向に隣接する複数の前記ホルダ爪部を有し、複数の前記ホルダ爪部の1つは、前記ロータマグネットの周方向一方側端部に位置し、前記ホルダ爪部に隣接する別の1つは、前記ロータマグネットの周方向他方側端部に位置する。
ロータマグネットの周方向両端を保持することで、ロータマグネットの径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0061】
また、前記マグネットホルダは、非磁性材である。
マグネットホルダが非磁性材であることで、ロータマグネットの極に影響を与えないで済む。また、隣り合うロータマグネットの極が異なっていても、磁力がショートすることがない。また、ホールICに向かう磁力への影響もない。
【0062】
また、前記ロータコアは、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成され、前記マグネットホルダの軸方向厚さは、1枚の前記電磁鋼板の軸方向厚さよりも厚い。
このため、マグネットホルダの強度を確保することが出来る。
また、第2爪部の径方向厚さは、1枚の電磁鋼板の軸方向厚さよりも厚い。
【0063】
また、前記マグネットホルダは、接着剤を介して前記ロータマグネットを保持する。
このため、接着剤によりマグネットホルダとロータマグネットの間の寸法公差を吸収することが出来る。特に、積層鋼板は寸法公差が大きく、寸法の違いを吸収する構造が必要である。
また、ホルダ爪部の第1爪部と第2爪部の間の屈曲の曲率が小さい(Rが緩い)場合でも、ホルダ爪部とロータマグネットとが干渉することなく(ロータマグネットが屈曲の曲面に影響されることなく)、ロータマグネットを保持することが出来る。
【0064】
また、前記ロータプレートは、前記ロータマグネットの軸方向他方側及び径方向内側への移動を規制するプレート爪部を備えたロータプレートと、を備える。
ロータプレートによって、ロータマグネットの径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0065】
また、前記プレート爪部は、前記ロータプレートの内周部から軸方向一方側に延び、前記プレート爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する。
ロータコア、ロータプレート及びマグネットホルダによってロータマグネットを6方向から保持することが出来、ロータマグネットの脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0066】
また、前記ロータマグネットの内側面と対向する前記ホルダ爪部の周方向長さは、前記ロータマグネットの内側面と対向する前記プレート爪部の周方向長さよりも短い。
プレート爪部はロータマグネットの内側面を、主に周方向の長さで保持する。ロータプレートはアルミダイキャストであり、軸方向に長いと折れやすい。このため、プレート爪部を軸方向に短く、周方向に長くすることで、ロータマグネットとの接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
ホルダ爪部はロータマグネットの内側面を、主に軸方向の長さで保持する。マグネットホルダはアルミ板であり、ホルダ爪部が軸方向に長く周方向に短いほうが軸方向に曲げやすい。また、ホルダ爪部を軸方向に長く、周方向に短くすることで、ロータマグネットとの接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
また、プレート爪部とマグネットとの対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが長い。
また、ホルダ爪部とマグネットとの対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが短い。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態におけるモータ100の基本的構成は第1実施形態と相違しないため、重複する記載を避けて、相違する箇所のみを説明する。言い換えると、本実施形態において特に記載がない場合は、モータ100の構成は第1実施形態と同じである。
【0068】
<全体構成>
図14は、本発明の第2実施形態に係る空気圧縮機600を示し、空気圧縮機600の上面を覆うカバー(図示せず)を取り外した状態の平面図である。この空気圧縮機600は、可搬型コンプレッサであり、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向として、地面に載置されて使用される。
この
図14が示すように、本実施形態に係る空気圧縮機600は、2本のタンク615と、このタンク615の上方に配置された機構部と、を備えている。機構部は、モータ100、ファン601、圧縮機構、制御基板などで構成されている。
【0069】
ファン601は、機構部の内部に冷却風を導入してモータ100や制御基板などの発熱部品を冷却するためのものである。このファン601は、モータ100のシャフト301に固定されており、モータ100が駆動したときに一体的に回転するように構成されている。
【0070】
圧縮機構は、モータ100によって駆動して圧縮空気を生成するためのものであり、ピストンを往復動させることでシリンダ内に導入された空気を圧縮する。本実施形態に係る空気圧縮機600は、一次圧縮機構610と二次圧縮機構611の2つの圧縮機構を備えた多段圧縮機である。
【0071】
図19に示すように、一次圧縮機構610は、一次シリンダ610aと、一次シリンダ610a内に往復動可能に配置された一次ピストン610bと、を備えており、モータ100の駆動力によって一次ピストン610bが往復動することで一次シリンダ610a内の空気を圧縮することができる。また、二次圧縮機構611は、二次シリンダ611aと、二次シリンダ611a内に往復動可能に配置された二次ピストン611bと、を備えており、モータ100の駆動力によって二次ピストン611bが往復動することで二次シリンダ611a内の空気を圧縮することができる。外部から供給された空気は、まず一次圧縮機構610によって圧縮される。一次圧縮機構610によって圧縮された空気は、二次圧縮機構611に導入され、二次圧縮機構611によって更に圧縮される。このように二段階で圧縮された空気は、タンク615に送られて貯留される。
【0072】
タンク615は、圧縮機構で生成された圧縮空気を貯留するためのものである。本実施形態に係る空気圧縮機600は、2本のタンク615を備えている。2本のタンク615は、空気圧縮機600の長手方向に沿って、互いに平行に配置されている。
【0073】
このタンク615に貯留された圧縮空気は、減圧弁616を通過することで任意の圧力に減圧されて、エア取り出し口から外部に取り出すことができる。本実施形態においては、エア取り出し口にエアカプラ617が設けられており、エアホースをワンタッチで着脱することができる。このようにエア取り出し口にエアホースを接続することで、タンク615内の圧縮空気を取り出して使用することができる。
【0074】
なお、特に図示しないが、圧縮機構とタンク615との間には、空気圧縮機600の動作全体を制御する制御基板が設けられている。この制御基板は、地面と略水平に、圧縮機構の下面側に配置されている。この制御基板は、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の入力装置及び出力装置を制御するように構成されている。
【0075】
この制御基板の入力装置としては、例えば、各種の操作スイッチ、圧力センサ、ホールIC(回転位置検出回路)、サーミスタなどである。なお、入力装置としては、これらの入力装置に限定されず、他の入力装置を備えていてもよい。
【0076】
操作スイッチは、ユーザが操作可能な各種のスイッチである。ここでは詳しく説明しないが、例えば、電源のオンオフを行うスイッチや、運転モードの切り替えを行うスイッチなどの複数種類の操作スイッチを設けてもよい。この操作スイッチは、図示しないカバーの表面に設けられた操作パネルに配置される。
【0077】
圧力センサは、タンク615の内圧を計測するためのものである。制御基板は、この圧力センサが検出した圧力値に基づいて、モータ100の駆動開始または停止を制御する。具体的には、圧縮機構の駆動を開始させるための圧力値であるオン圧と、圧縮機構の駆動を停止するための圧力値であるオフ圧とが予め設定されており、例えば、圧縮空気の使用によりタンク615の内圧が下降し、タンク615の内圧が予め設定されたオン圧まで低下した場合には、モータ100を駆動して圧縮空気の充填を行う。また、モータ100の駆動中に、タンク615の内圧が予め設定されたオフ圧に到達したら、モータ100の駆動を停止する。
【0078】
ホールIC(回転位置検出回路)は、第1実施形態ですでに説明したように、モータ100の回転位置を検出するためのものである。制御基板は、このホールICからの信号を解析することでモータ100の回転数(rpm)を算出することができる。
【0079】
サーミスタは、モータ100の温度を検出するためのものである。このサーミスタで検出された温度は、モータ100の制御を補正するために用いられる。
【0080】
また、この制御基板の出力装置としては、モータ100が設けられている。すなわち、上記した入力装置からの入力信号に基づいて、制御基板がモータ100の回転を制御するように構成されている。
【0081】
次に、本実施形態に係る圧縮機構およびモータ100の具体的態様について説明する。
図15は、圧縮機構およびモータ100の斜視図である。
図16は、
図15に示した圧縮機構およびモータ100を-Y側から見た正面図である。
図17は、
図15から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
図18は、
図15に示した圧縮機構およびモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
【0082】
本実施形態に係る圧縮機構およびモータ100は、軸方向に延びるシャフト301と、ステータ200と、ロータ300と、基板650と、ケース680と、を有する。モータ100は、ステータ200の径方向外側にロータ300を配置したアウターロータ型のモータである。ステータ200およびロータ300の基本的態様は、第1実施形態と同様である。
【0083】
本実施形態においては、
図15および
図16に示すように、圧縮機構の前方(-Y側)にモータ100が配置されている。モータ100のシャフト301は、
図19に示すように、圧縮機構の内部を貫通しており、シャフト301の左右両側に圧縮機構のシリンダが突出している。具体的には、シャフト301の-X側に一次圧縮機構610が配置され、シャフト301の+X側に二次圧縮機構611が配置されている。モータ100のシャフト301は、圧縮機構のクランク軸として作用する。クランク軸およびクランク機構は周知の構造である。すなわち、シャフト301(クランク軸)にはクランクアームが取り付けられており、クランクアームにはクランクピンを介してコンロッドが取り付けられている。コンロッドの先端にはピストンが取り付けられている。シャフト301が回転すると、シャフト301(クランク軸)に取り付けられたクランクアームが回転することで、コンロッドが揺動しつつ往復動する。このような作用により、シャフト301の回転運動がピストンの往復動に変換され、シャフト301の両側に配置された圧縮機構が作動するようになっている。
【0084】
基板650は、
図17および
図18に示すように、中心角が約120度の円弧状であり、周方向に120度の長さを有する。この基板650は、第1実施形態と同様に、周方向に60度の間隔で、ホールIC(図示せず)を実装する。ホールICは、ロータ300の回転位置を検出する回転位置検出回路の一例である。なお、特に図示しないが、本実施形態に係るホールICは、表面実装用のものが使用されており、基板650に表面実装されている。表面実装用のホールICを使用することで、軸方向の厚みを抑えることができる。
【0085】
この基板650は、電線670を接続可能なコネクタを配置したコネクタ配置部660を備える。このコネクタ配置部660は、
図18等に示すように、径方向外側に突出して設けられており、ロータ300よりも径方向外側に位置している。本実施形態においては、このコネクタ配置部660の表裏いずれかの面に、複数のコネクタが配置されている。具体的には、
図21および
図22に示すように、コネクタ配置部660の圧縮機構側の面に、制御基板接続用コネクタ661とサーミスタ用コネクタ662が配置されている。サーミスタ用コネクタ662には、リードタイプのサーミスタが接続される。制御基板用コネクタ661は、ホールICで検出した信号と、サーミスタ用コネクタ662を介して基板650に入力されたサーミスタの信号を外部出力可能な端子を有する。これらのコネクタを介して、基板650と制御基板とを電線670で接続することで、基板650から制御基板へと信号を出力し、フィードバック制御に使用することができる。
【0086】
なお、本実施形態においては、モータ100の軸を水平方向に配置するとともに、モータ100の制御回路を備えた制御基板をモータ100の下方に配置している。また、上記したコネクタ配置部660は、
図18等に示すように、ロータ300よりも下方に配置されている。このため、基板650のコネクタにつなげた電線670をそのまま下方に引き回して制御基板につなげることができる。このように、電線670の取り回しがしやすい構造となっている。また、コネクタ配置部660が上面に露出しないので、基板650を損傷しにくい構造となっている。
【0087】
また、この基板650は、径方向外側に突出する突出部656、657及び658を備える。これら突出部656、657及び658は、周方向に60度の間隔で設けられている。それぞれの突出部656、657及び658には、軸方向に貫通する貫通孔653、654及び655が形成されている。
【0088】
ケース680は、圧縮機構の一部を内蔵するクランクケースである。本実施形態に係るケース680は、圧縮機構の一部であるクランク部を内蔵している。クランク部とは、圧縮機構の一部であって、上記したクランクアームを含むクランク軸周辺の機構部である。このケース680は、基板650よりも軸方向一方側に位置する。このケース680は、下方に突出する4つの脚部686を備え、この4つの脚部686によってタンク615の上方に固定されている。なお、この4つの脚部686のうち、前方(-Y側)に配置された一対の脚部686は、基板650の径方向外側に配置されている。
【0089】
このケース680は、ステータ200を支持する。ケース680は、ステータ200を直接支持しないものであってもよい。基板650は、貫通孔653、654及び655を介してケース680のネジ穴683、684及び685にねじ止めされることでケース680に固定される。ケース680のネジ穴683、684及び685は、軸方向一方側端部から軸方向他方側に延びる。ケース680のネジ穴683、684及び685は、固定部の一例である。基板650の貫通孔653、654及び655は、被固定部の一例である。固定部及び被固定部は3つ以上設けられる。基板650がステータ200に固定されずにケース680に固定されることで、基板650の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
また、このケース680は、圧縮機構のクランク軸(シャフト301)を回転自在に支持している。ケース680は、クランク軸を直接支持しないものであってもよい。
【0090】
基板650の貫通孔653、654及び655は、ロータ300よりも径方向外側に位置する。すなわち、固定部及び被固定部はロータ300よりも径方向外側に位置する。これにより、基板650の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0091】
上記したケース680は、基板650よりも径方向外側に突出する支持部を備える。具体的には、
図15および
図16に示すように、ケース680は、基板650の突出部656よりも下方(-Z側)に突出する第1支持部681と、基板650のコネクタ配置部660よりも下方(-Z側)に突出する第2支持部682と、を備える。このように、基板650よりも径方向外側に突出する支持部を備えることで、ケース680を床面に載置したときに、基板650が床面に当たらないようになっている。
【0092】
ところで、本実施形態に係るインシュレータ230は、第1実施形態において説明した凸部231、232及び233を備えておらず、また、本実施形態に係る基板650は、第1実施形態において説明した凹部421、422及び423を備えていない。このため、凸部231、232及び233を、凹部421、422及び423に嵌め合うことで、基板400の周方向位置を規制するようには構成されていない。本実施形態に係る基板650は、インシュレータ230に接触しないようにケース680に取り付けられる。
【0093】
また、
図20に示すように、軸方向に見たときに、インシュレータ230とケース680の固定部との間に、基板650の厚みTよりも大きい間隙Gが設けられている。このため、基板650をX軸方向またはY軸方向に水平にスライドさせたとしても、基板650がインシュレータ230に接触しないようになっている。このように設定することで、インシュレータ230と重なるように基板650を奥に移動させることができるため、基板650を比較的自由に移動させることができる。
【0094】
ここで、本実施形態においては、
図15に示すように、基板650の径方向外側に脚部686が配置されている。このため、基板650をそのまま径方向外側にスライドさせることはできない。また、基板650の突出部653、654の間に脚部686が配置されている。このため、基板650をそのまま周方向にスライドさせると、突出部653、654が脚部686に干渉してしまう。このような配置においては、第1実施形態のように凸部231、232及び233を凹部421、422及び423に嵌め合う構成にすると、脚部686が障害となって基板650が交換できない場合がある。この点、本実施形態においては、インシュレータ230とケース680の固定部との間に、基板650の厚みTよりも大きい間隙Gを設けているので、基板650を周方向に回転させることができ、脚部686を避けて基板650を交換することができる。なお、本実施形態においては、ケース680の固定部が、軸方向に見てモータ100側に突出して形成されている。このため、固定部の径方向内側に、軸方向に見て固定部よりも反モータ100側に陥没した凹陥部687が設けられている(
図19参照)。この凹陥部687は、ステータ200に臨むように周方向に延設されている。このため、基板650を交換時に周方向に回転させるときに、このケース680の凹陥部687を使用して基板650を回転させることができ、基板650がインシュレータ230に接触しにくくなっている。
【0095】
なお、本実施形態に係る基板650の内側の角は、面取り形状663(本実施形態ではC面)となっている。このため、基板650をスライドさせて交換するときに、基板650の内側の角がインシュレータ230などに接触したとしても、破損や傷が生じにくくなっている。
【0096】
<空気圧縮機600の作用・効果>
次に、空気圧縮機600の作用・効果について説明する。
【0097】
上述の実施形態に係る発明においては、モータと、前記モータによって駆動する圧縮機構と、前記圧縮機構の一部を内蔵するクランクケースと、を備えた空気圧縮機であって、前記モータは、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータよりも軸方向一方側に位置し、前記ロータの回転位置を検出する回転位置検出回路を実装した基板と、を有し、前記クランクケースは、前記基板を固定する固定部を有し、前記基板は、前記固定部に固定される被固定部を有する。
基板がクランクケースに固定されることで、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0098】
また、前記固定部及び前記被固定部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する。
固定部及び被固定部がロータよりも径方向外側であることで、基板の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0099】
また、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに固定されたインシュレータと、を有し、軸方向に見たときに、前記インシュレータと前記固定部との間に、前記基板の厚みよりも大きい間隙が設けられている。
インシュレータと固定部との間に、基板の厚みよりも大きい間隙が設けられることで、基板とインシュレータとが干渉しにくく、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0100】
また、前記回転位置検出回路は、前記基板に表面実装されている。
回転位置検出回路を基板に表面実装することで、軸方向の厚みを薄くすることができるので、基板とインシュレータとが干渉しにくく、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0101】
また、前記基板は、電線を接続可能なコネクタを配置したコネクタ配置部を備え、前記コネクタ配置部は、前記ロータよりも径方向外側に位置する。
コネクタ配置部がロータよりも径方向外側に位置することで、コネクタへの電線の着脱が容易であり、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0102】
また、前記コネクタ配置部に複数のコネクタを配置した。
このように複数のコネクタを一か所のコネクタ配置部に配置することで、コネクタへの電線の着脱が容易であり、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0103】
また、前記モータの軸を水平方向に配置するとともに、前記モータの制御回路を備えた制御基板を前記モータの下方に配置し、前記コネクタ配置部を、前記ロータよりも下方に配置した。
制御基板をモータの下方に配置し、コネクタ配置部を、ロータよりも下方に配置することで、制御基板とコネクタ配置部とが近くにあるので、両者を接続する電線の取り回しがしやすくなり、基板の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0104】
また、前記クランクケースは、前記基板よりも径方向外側に突出する支持部を備える。
基板よりも径方向外側に突出する支持部を備えることで、モータ100や圧縮機構を床置きしたときに基板が当たらず、基板の損傷を防止することができる。
【0105】
なお、上記した第2実施形態においては、インシュレータ230が凸部231、232及び233を備えず、基板650が凹部421、422及び423を備えない態様について説明したが、これに限らず、インシュレータ230に第1実施形態と同様の凸部231、232及び233を設け、基板650に第1実施形態と同様の凹部421、422及び423を設けてもよい。そして、凸部231、232及び233を、凹部421、422及び423に嵌め合うことで、基板400の周方向位置を規制するようには構成してもよい。 すなわち、前記ステータは、前記基板の周方向位置を規制する規制部を有し、前記基板は、前記規制部により周方向位置を規制される被規制部を有するようにしてもよい。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
100 モータ
200 ステータ
300 ロータ
400 基板
500 ケース
600 空気圧縮機
650 基板
680 ケース