(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115864
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】ウェブキャンペーンの実施方法
(51)【国際特許分類】
G06K 17/00 20060101AFI20220802BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20220802BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20220802BHJP
B65D 25/20 20060101ALN20220802BHJP
B65D 25/36 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
G06K17/00 022
G06K19/06 028
G06K7/14 013
B65D25/20 P
B65D25/36
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068390
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2018089856の分割
【原出願日】2018-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 高志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物品に付与された証印やロゴマークを画像認識により読み取ることで実施するウェブキャンペーンにおいて、安価に証印やロゴマークを隠蔽可能とするウェブキャンペーンの実施方法を提供する。
【解決手段】物品に付与された情報体を画像認識により読み取る手段を使用するウェブキャンペーンの実施方法であって、パターンが形成された梱包フィルムで、物品を梱包して梱包体を作製するステップと、梱包体を梱包しているフィルムを剥がし、物品に付与された情報体をスマートフォンにより撮像した画像の特徴点データBを取得するステップと、特徴点データBと、クラウド上に保存してある特徴点データAとを照合し、特徴点データBと特徴点データAを照合した結果、それらが一致した場合はキャンペーンに参加可能とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付与されたバーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる情報体を画像認識により読み取る手段を使用するウェブキャンペーンの実施方法であって、
前記物品に付与された前記情報体を撮像した画像の特徴点データAを取得するステップと、
取得した前記特徴点データAをクラウド上に保存するステップと、
任意のパターンが形成された梱包フィルムで、前記物品を梱包して梱包体を作製するステップと、
前記梱包体を運搬し、販売するステップと、
前記梱包体を梱包している梱包フィルムを剥がし、前記物品に付与された前記情報体をスマートフォンにより撮像した画像の特徴点データBを取得するステップと、
前記特徴点データBと、クラウド上に保存してある特徴点データAとを照合し、判定するステップと、を備えており、
判定するステップは、前記特徴点データBと特徴点データAを照合した結果、それらが一致した場合はキャンペーンに参加可能とし、一致しなかった場合はキャンペーンに参加不可能とすることを特徴とするウェブキャンペーンの実施方法。
【請求項2】
前記梱包フィルムがシュリンクフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のウェブキャンペーンの実施方法。
【請求項3】
前記情報体がバーコードであり、前記バーコードは、印刷方法により、印刷インキを用いて、形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のウェブキャンペーンの実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を梱包フィルムで梱包した梱包体とそれを使用したウェブキャンペーンに関する。
【背景技術】
【0002】
マーケティングの1つの手法として、インターネットを使用したウェブキャンペーンがある。
【0003】
ウェブキャンペーンは、インターネット上のサイトにおいて、ファン数を増やし、購買行動を促すためにおこなう懸賞キャンペーンなどのマーケティング活動である。ウェブキャンペーンにより、ファン数を増やすだけでなく、ファン獲得以上のリアル店舗の来店者数を増やしたり、資料請求者を増やしたり、実際の購買を増やすなどの目的がある。具体的には、抽選、ポイント付与、全員当選などの様々な取組みがなされている。
【0004】
現状では、スマートフォンで、一つ一つ異なる情報を搭載することが可能なユニークQRコード(登録商標)を読み取らせ、サーバ上で当選判定やポイント管理を行うウェブキャンペーンが主流となっている。なお、QRコード(登録商標)はデンソーウェーブ社の登録商標である。
【0005】
このウェブキャンペーンにおいては、ユニークQRコード(登録商標)を盗み見され不正な申込みを防止するため、2層ラベルやスクラッチ印刷でユニークQRコード(登録商標)を隠蔽している。しかしながら、ラベルの貼り付けやスクラッチ印刷はコストが高いため、飲料や酒類など大量販売される商品以外への採用が進んでいない。
【0006】
また、紙器のバーコードを切り取って葉書に貼るというキャンペーンの方法も、一定の利用が継続しているが、消費者の手間と葉書郵送代がかかり、キャンペーンを主催する企業においては、個人情報が記載された葉書を管理するコストが発生するデメリットがある。
【0007】
一方、商品やパッケージの画像を撮影し、その特徴点を照合することが可能な画像認識技術の進歩に伴い、その技術を使用した商品識別や個体識別技術の開発や実用化が進んでいる。
【0008】
例えば、製品・部品の製造過程で自然発生的に生じる個体固有の表面紋様(物体指紋)を画像として撮影し、それらの画像を照合することで、個体識別や認証を実現する物体指紋認証技術(NEC社)や商品に記載されたバーコードをスマートフォンで撮影するだけで、印刷の微細な差異を見分け、真正品照合が可能な個体認証サービス(米・Systech社)などを挙げることができる。
【0009】
このような画像認識技術を使用したウェブキャンペーンにおいて、JANコード、QRコード(登録商標)、ロゴマークなどの印刷物を画像認識して照合する場合も、やはり画像認識する対象物を何らかの方法で隠蔽する事が必須となる。
なお、JANコードのJANは、Japanese Article Numberの略で、商品と商品を製造した事業者を識別する世界共通の商品識別番号である。通常は、バーコードリーダーで読取可能とするため、JANシンボルと呼ばれるバーコードによって表示されている。
【0010】
この様な技術に最も類似した先行技術としては、例えば特許文献1に、JANコード、二次元コードおよびロゴマークなどの固定パターン上にランダムパターンを組み合わせた画像認証技術が開示されているが、JANコードやロゴマークなどの証印や印を隠蔽し、不正読取を防止する技術とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の事情に鑑み、本発明は、物品に付与された証印やロゴマークを画像認識により読み取ることで実施するウェブキャンペーンにおいて、安価に証印やロゴマークを隠蔽可能とするウェブキャンペーンの実施方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する手段として、本発明の一側面は、ウェブキャンペーンに使用する物品の梱包体であって、
物品と、物品を梱包する梱包フィルムと、を備えており、
物品は、バーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる情報体を備えており、
梱包フィルムは、任意のパターンを備えており、且つ少なくとも情報体の一部に備えられていることを特徴とする梱包体である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記梱包フィルムがシュリンクフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のウェブキャンペーンの実施方法である。
【0015】
また、請求項1に記載の発明は、物品に付与されたバーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる情報体を画像認識により読み取る手段を使用するウェブキャンペーンの実施方法であって、
物品に付与された情報体を撮像した画像の特徴点データAを取得するステップと、
取得した特徴点データAをクラウド上に保存するステップと、
任意のパターンが形成された梱包フィルムで、物品を梱包して梱包体を作製するステップと、
梱包体を運搬し、販売するステップと、
梱包体を梱包しているフィルムを剥がし、物品に付与された情報体をスマートフォンにより撮像した画像の特徴点データBを取得するステップと、
特徴点データBと、クラウド上に保存してある特徴点データAとを照合し、判定するステップと、を備えており、
判定するステップは、特徴点データBと特徴点データAを照合した結果、それらが一致した場合はキャンペーンに参加可能とし、一致しなかった場合はキャンペーンに参加不可能とすることを特徴とするウェブキャンペーンの実施方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の梱包体を用いたウェブキャンペーンの実施方法は、物品に付与されたバーコードと二次元コードと文字と絵柄などの組合せからなる情報体を、任意のパターンを備えた梱包フィルムで被覆するため、梱包フィルムを除去しない限り、スマートフォンなどを用いて情報体を読み取っても、情報体と梱包フィルムのパターンが合成された画像情報を読み取る事となり、情報体としての画像情報を取得することができないため、ウェブキャンペーンに参加することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の梱包体の梱包フィルムと情報体の断面を例示する断面説明図。
【
図3】本発明の梱包体が、梱包フィルムで梱包された状態(開梱前)と、梱包フィルムが除去された状態(開梱後)と、を例示する説明図。
【
図4】本発明のウェブキャンペーンの実施方法の例を概念的に説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<梱包体>
本発明の梱包体を
図1と
図2を用いて説明する。
本発明の梱包体1は、ウェブキャンペーンに使用する物品の梱包体であって、物品2と、物品2を梱包した梱包フィルム4と、を備えている。
【0019】
物品2は、バーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる情報体3を備えている。
【0020】
梱包フィルム4は、任意のパターン5を備えており、且つ少なくとも情報体1の一部を被覆している。
【0021】
図1に例示した様に、物品2としては、例えば段ボール箱の様なものであって良い。梱包フィルム4は、そのダンボール箱の一部を梱包した形であっても良いし、段ボール箱の全ての面を被覆した形であっても良い。しかしながら、
図1に示す様に、梱包フィルム4は情報体3の少なくとも一部を被覆している必要がある。
【0022】
図2は、物品2の表面に備えられた情報体3の上に、梱包フィルム4が被覆した状態を例示した梱包体1の一部の断面説明図である。梱包フィルム4に備えられたパターン5は、情報体3と重なる様に備えられている必要がある。その状態を作るために、梱包フィルム4は情報体3の少なくとも一部を被覆している必要がある。
【0023】
本発明の梱包体1は、まず梱包体1の表面に情報体3を付与し、次にその情報体3を必ず被覆し、情報体のパターン5が重なるように、梱包フィルム4により梱包する事によって得ることができる。
【0024】
(物品)
物品2は、特に限定されない。例えば、何らかの品物を内包した段ボール箱や紙箱であっても良い。紙器以外であっても構わない。例えば、プラスチック容器や金属製容器およびセラミック製容器などであっても構わない。また品物そのものであっても構わない。
【0025】
(梱包フィルム)
梱包フィルム4としては、シュリンクフィルムを好適に使用することができる。
シュリンクフィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどを挙げることができる。また、これらの樹脂フィルムと他の材料との複合フィルムを使用する事ができる。用途に応じて適切なものを使い分けることが望ましい。
シュリンクフィルムの厚さは、フィルムとして使用可能であれば特に限定する必要は無いが、30~100μm程度のものが好適に使用することができる。
また、シュリンクフィルム以外のフィルムであっても構わない。
【0026】
(情報体)
情報体3は、バーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる。例えば、JANコード(商品識別)やQRコード(登録商標)(URL)からなる情報体3であっても良い。そのため、それらのコードを使用したウェブキャンペーンを実施することが可能であり、物理的に印刷物を切り取る作業やハガキなどによる申込みなどの手間がかからない。これらにより、ラベルの貼り付けやスクラッチ印刷などのコストがかかる工程を不要とすることができるため、従来、ウェブキャンペーンが実施できなかった食品など、幅広い価格帯の商品への展開が可能となる。
【0027】
これらバーコードなどは、各種の印刷方法により、印刷インキを用いて、各種の被印刷体に形成することができる。印刷方法としては、無版印刷であるインクジェット印刷を好適に使用することができる。インクジェット印刷と、通常の版を使用して印刷する平版印刷、凹版印刷、オフセット印刷などの高速印刷可能な印刷技術と、を組合せて実施しても構わない。
【0028】
ここで被印刷体とは、情報体3の本体とも言える基材である。基材としては、各種の紙やフィルム、金属箔およびそれらを組み合わせたフィルム状またはシート状のものを好適に使用することができる。
【0029】
この基材の一方の面には情報体3が形成されており、もう一方の面である接着面には、物品2などの被貼着体に貼り付けるための接着層を備えていることが好ましい。備えていない場合には、情報体3の接着面に接着剤を塗布し、貼り付ければ良い。
【0030】
また、基材の被印刷面には、例えばインクジェットインクの受容層が備えられていても良い。また、基材が樹脂からなる場合は、印刷インクが印刷され易くなるコロナ放電処理などの各種の表面処理を施しても良い。
【0031】
(パターン)
梱包フィルム4は、パターン5を備えている。パターン5は、任意の形状と大きさを持つ図形が複数個備えられている。個々の図形の配置の仕方も任意であって良い。
【0032】
<ウェブキャンペーンの実施方法>
次に、本発明のウェブキャンペーンの実施方法について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0033】
本発明のウェブキャンペーンの実施方法は、物品に付与されたバーコードと二次元コードと文字と絵柄のいずれか1つまたはそれら2つ以上の組合せからなる情報体を画像認識により読み取る手段を使用するウェブキャンペーンの実施方法である。
【0034】
図3に例示した様に、本発明のウェブキャンペーンの実施方法は、物品に付与された情報体を撮像装置により撮像した画像の特徴点データAを取得するステップ1(S1)と、取得した特徴点データAをクラウド上の記憶装置に保存するステップ2(S2)と、任意のパターンが形成された梱包フィルムで、物品を梱包し、梱包体を作製するステップ3(S3)と、梱包体を発送・販売するステップH(SH)と、梱包体を購入した購入者が梱包体を梱包しているフィルムを剥がし、物品に付与された情報体をスマートフォンにより撮像した画像の特徴点データBを取得するステップ4(S4)と、特徴点データBと、クラウド上の記憶装置に保存してある特徴点データAと、を照合し、判定するステップ5(S5)と、を備えている。
【0035】
ここで、特徴点データA、Bとは、パターン5を印刷などによって形成する時に発生するパターン5の欠けやエッジ部の変形、パターン5を形成する網点の形状、配置、サイズ、文字やパターンの輪郭などを例として挙げることができるが、これらに限定されない。
【0036】
また、特徴点データA、Bを取得する抽出ロジックも限定されない。例えば、情報体を撮影し、その画像を二値化して得られるデータであっても良い。画像データはCMYKカラーモデルのデータであっても良いし、RGBカラーモデルのデータであっても構わない。また、情報体を撮影する際の光学的な倍率は特に限定されない。また、撮影した情報体の画像全体を照合することであっても良いし、また複数のブロックに区分して照合することであっても良い。
【0037】
判定するステップ5(S5)は、特徴点データBと特徴点データAを照合した結果、それらが一致した場合はキャンペーンに参加可能とし、一致しなかった場合はキャンペーに参加不可能とすることが特徴である。
【0038】
図4のステップ6(S6)において、物品が梱包フィルムにより梱包された状態で、物品に付与された情報体をスマートフォンにより撮像して取得した特徴点データbは、特徴点データAと一致しないため、キャンペーンに参加することはできない。
【0039】
(S1)
本発明のウェブキャンペーンの実施方法は、まず、物品に情報体を付与した段階で、撮像装置を用いて、情報体を撮像し、情報体の特徴点データAを取得する。
【0040】
(S2)
撮像装置が取得した特徴点データAは、通信装置を介して、クラウド上に備えられている記憶装置に保存される。撮像装置と通信装置とは有線接続されていても良いし、無線接続されていても良い。通信装置とクラウド上の記憶装置とは、同様に、有線接続されていても良いし、無線接続されていても良い。
【0041】
(S3)
物品を梱包フィルムで梱包し、梱包体を作製する。物品に付与された情報体が任意のパターンを備えた梱包フィルムにより、少なくともその一部が被覆される様に梱包する。物品全体を被覆しても構わない。
【0042】
(SH)
作製された梱包体を消費地または販売する場所に運搬し、消費者に販売する。運搬の手段は特に限定する必要はない。例えば、貨物トラックなどにより目的の場所に運搬し、消費者に販売される。
【0043】
(S4)
梱包体を購入した消費者は、梱包フィルムを剥離・除去した後、情報体をスマートフォンにて撮像することにより、特徴点データBを取得する。
【0044】
(S5)
スマートフォンにより取得された特徴点データBを、クラウド上の記憶装置に保存されている特徴点データAと照合することで比較する。その結果、それらが一致していればウェブキャンペーンに参加可能となり、不一致であればウェブキャンパーンに参加する事ができない。そのため、情報体にラベルの貼り付けをおこなったり、スクラッチ印刷をおこなったりするのと同等に、情報体を隠蔽可能である。
【0045】
(S6)
物品が梱包フィルムにより梱包された梱包体では、物品に付与された情報体をスマートフォンで撮像してもウェブキャンペーンに参加することはできない。
図4に例示したように、物品が梱包フィルムで梱包された状態(開梱前)においては、情報体と梱包フィルムのパターンが重なった状態となっている。この様な状態で情報体を撮像して取得した特徴点データbは、梱包フィルムのパターンが加わった画像データとなっており、特徴点データAとは明らかに異なる。一方、梱包フィルムが除去された状態(開梱後)で情報体を撮像して取得した特徴点データBは、梱包フィルムで梱包する前に取得し、クラウド上に保管しておいた特徴点データAと同一のものであるため一致する。
【符号の説明】
【0046】
1・・・梱包体
2・・・物品
3・・・情報体
4・・・梱包フィルム
5・・・(任意の)パターン
S1・・・ステップ1
S2・・・ステップ2
S3・・・ステップ3
S4・・・ステップ4
S5・・・ステップ5
S6・・・ステップ6
SH・・・ステップH