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特開2022-115880ペットフードレコメンド装置および、ペットフードレコメンド方法、サプリメントレコメンド装置、サプリメントレコメンド方法ならびに腸年齢算出式決定方法および腸年齢算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115880
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】ペットフードレコメンド装置および、ペットフードレコメンド方法、サプリメントレコメンド装置、サプリメントレコメンド方法ならびに腸年齢算出式決定方法および腸年齢算出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220802BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20220802BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20220802BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20220802BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220802BHJP
   G16H 20/60 20180101ALI20220802BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
A23K10/16
A23K50/40
C12Q1/04
C12M1/34 B
G16H20/60
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070827
(22)【出願日】2022-04-22
(62)【分割の表示】P 2021108798の分割
【原出願日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2019077644
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス: https://tamateba.en-jine.com/projects/cyoh-katsu https://tamateba.en-jine.com/projects/cyoh-katsu/rewards/5524 https://tamateba.en-jine.com/projects/cyoh-katsu/rewards/5525 ウェブサイトの掲載日: 2020年3月26日 公開者名: 株式会社Relic ウェブサイトのアドレス: https://chokatsu.jpn.panasonic.com/oc/top ウェブサイトの掲載日: 2020年3月26日 公開者名: パナソニック株式会社 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社 実施した場所:パナソニック株式会社内 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社内 実施日: 2020年3月26日以降 実施者名: パナソニック株式会社 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス: https://chokatsu.jpn.panasonic.com/oc/top ウェブサイトの掲載日: 2020年3月26日 公開者名: パナソニック株式会社 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社 実施した場所:パナソニック株式会社内 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社内 実施日: 2020年3月26日以降 実施者名: パナソニック株式会社 パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(71)【出願人】
【識別番号】515099908
【氏名又は名称】株式会社サイキンソー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】池田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】古平 陽子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 典文
(72)【発明者】
【氏名】萩野 泉
(72)【発明者】
【氏名】沢井 悠
(72)【発明者】
【氏名】竹田 綾
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 諭史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド装置及び方法を提供する。
【解決手段】ペットフードレコメンドシステムは、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属に基づいて、ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備える、レコメンド装置。
【請求項2】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属の数に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項1に記載のレコメンド装置。
【請求項3】
ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有する菌に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備える、レコメンド装置。
【請求項4】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の数に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項3に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の種類に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項3に記載のレコメンド装置。
【請求項6】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の数および種類に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項3に記載のレコメンド装置。
【請求項7】
前記菌は、乳酸菌、酪酸菌、ファーミキューテス門、バクテロイーデス門、プロテオバクテリア門、放線菌門、フソバクテリア門、フィーカリバクテリウム属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属、ビフィズス菌属、オシロスピラ属、ブラウティア属、SMB53属、フソバクテリウム属、プレボテーラ属、ルミノコッカス属、ツリシバクター属、連鎖球菌属、02d06属、ステッテレラ属、ローズブリア属、ドレアおよび真正細菌属の1以上を含む、請求項3乃至6のいずれかに記載のレコメンド装置。
【請求項8】
前記レコメンド手段は、前記ヒトの属性情報も考慮して、前記ヒトに適したフードをレコメンドする請求項1乃至7のいずれかに記載のレコメンド装置。
【請求項9】
レコメンド手段が、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドする、レコメンド方法。
【請求項10】
レコメンド手段が、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有する菌に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドする、レコメンド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットに適したフードをレコメンドするペットフードレコメンド装置およびペットフードレコメンド方法、ヒトに適したサプリメントをレコメンドするサプリメントレコメンド装置およびサプリメントレコメンド方法、ならびに、腸年齢算出式決定方法および腸年齢算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々なペットフードが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、あらゆるペットに共通して適したペットフードを作製するのは容易ではない。同様に、様々なヒト用サプリメントが提案されているが、あらゆるヒトに共通して適したサプリメントを作製するのは容易ではない。
また、特許文献2には、ヒトを対象としてサプリメント(機能性素材)をレコメンドする技術が開示されている。しかし、特許文献2では、ユーザに対するアンケートを主として用いるため、ユーザの主観に因るところが大きく、必ずしも適切なサプリメントがレコメンドされるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-2053号公報
【特許文献2】特許第6245487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ペットに適したフードをレコメンドするペットフードレコメンド装置およびペットフードレコメンド方法、ヒトに適したサプリメントをレコメンドするサプリメントレコメンド装置およびサプリメントレコメンド方法を提供することである。また、本発明の別の課題は、菌の分布から腸年齢を推定するための腸年齢算出方法および腸年齢算出式の決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ペットの便の検査結果と、前記ペットの属性情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備える、ペットフードレコメンド装置が提供される。
【0006】
前記検査結果は、前記ペットの腸内フローラの情報を含み、前記レコメンド手段は、前記腸内フローラの情報と、前記ペットの属性情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドしてもよい。
【0007】
本発明の一態様によれば、ペットの属性情報と、前記ペットが摂取したフードの情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備える、ペットフードレコメンド装置が提供される。
【0008】
前記レコメンド手段は、前記ペットの属性情報と、前記ペットが摂取したフードの情報と、から前記ペットの腸内フローラの情報を推定し、前記腸内フローラの情報と、前記ペットの属性情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドしてもよい。
【0009】
前記レコメンド手段は、前記腸内フローラの情報に応じて前記ペットを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、前記複数のグループのそれぞれには、レコメンドされるフードが予め設定されていてもよい。
【0010】
前記レコメンド手段は、前記腸内フローラの情報に基づき、前記ペットが保有する腸内細菌の多様性、乳酸菌の多寡、酪酸菌の多寡、FB比の高低を基準として分類を行ってもよい。
【0011】
前記基準は、前記ペットの属性情報に応じたものであってもよい。
【0012】
前記フードは、前記ペットの属性情報に応じたベースフードと、前記腸内フローラの情報に基づく有用菌と、を含んでもよい。
【0013】
前記有用菌は、前記腸内フローラの情報に基づき、前記ペットに不足している菌を含んでもよい。
【0014】
前記レコメンド手段は、前記腸内フローラの情報に基づき、前記ペットの腸年齢を算出してもよい。
【0015】
本発明の一態様によれば、ペットの便の検査結果と、前記ペットの属性情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドするステップを備える、ペットフードレコメンド方法が提供される。
【0016】
本発明の一態様によれば、ペットの属性情報と、前記ペットが摂取したフードの情報と、に基づいて、前記ペットに適したフードをレコメンドするステップを備える、ペットフードレコメンド方法が提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したサプリメントをレコメンドするレコメンド手段を備える、サプリメントレコメンド装置が提供される。
【0018】
前記腸内フローラの情報は、ヒトの腸に含まれる菌の種類および菌の数についての定量的なデータを含んでもよい。
【0019】
前記レコメンド手段は、前記腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有する腸内細菌の種類が第1基準値を超えるか否か、乳酸菌が第2基準値を超えるか否か、酪酸菌が第3基準値を超えるか否か、および、FB比が第4基準値を超えるか否かに応じて、分類を行ってもよい。
【0020】
前記レコメンド手段は、前記ヒトの属性情報も考慮して、前記ヒトに適したサプリメントをレコメンドしてもよい。
【0021】
本発明の一態様によれば、ヒトの便を検査して腸内フローラの情報を取得し、取得された腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したサプリメントをレコメンドする、サプリメントレコメンド方法が提供される。
【0022】
本発明の一態様によれば、健康な個体における菌叢データを取得することと、各菌の分
布量に基づき、実年齢との相関が高い菌を選定することと、前記選定された菌の分布量を引数として次元圧縮を行って主成分を抽出することと、次元圧縮によって得られた主成分と、前記選定された菌の分布量と、に基づいて中間腸年齢を算出するための第1式を回帰分析によって作成することであって、算出される中間腸年齢から実年齢が予測するための定数を含む第1式を作成することと、作成された第1式から算出される中間腸年齢から実年齢を予測するための第2式を回帰分析によって作成することであって、前記第1式および前記第2式に基づく予測モデル自身が持つ誤差を小さくするための定数を含む第2式を作成することと、を含む腸年齢算出式の決定方法が提供される。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記選定された菌の分布量に対して前記第1式および前記第2式を適用することによって、腸年齢を算出する方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
属性情報を用いるため、そのペットやヒトに適したフードをレコメンドできる。また、菌の分布から腸年齢を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係るペットフードレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図。
図2】ペットの属性情報を入力するためのWebページの画面例を示す図。
図3】レコメンド手段3によるグループ分類を具体的に説明する図。
図4A】Young-F型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図。
図4B】Young-LC型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図。
図4C】Young-N型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図。
図4D】Young-C型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図。
図4E】Young-N型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図。
図5】フードの製造工程図。
図6】第2の実施形態に係るペットフードレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図。
図7】第3の実施形態に係るペットフードレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下ではペットとして犬を例示するが、猫や鳥など他のペットにも適用可能である。
【0027】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の概略は、ペットの便を検査し、その結果とペットの属性情報とに基づいて、ペットフードをレコメンドするものである。
【0028】
図1は、第1の実施形態に係るペットフードレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図である。ペットフードレコメンドシステムは、ペット情報取得手段1と、菌叢分析手段2と、レコメンド手段3と、レコメンド結果提示手段4と、フード受注手段5とを備えている。これらは1台の装置から構成されてもよいし、複数の装置に分散されていてもよい。一例として、ペット情報取得手段1、レコメンド結果提示手段4およびフード受注
手段5はWebサーバ上で実現される。菌叢分析手段2は所定の検査機関に設けられる。レコメンド手段3は本システムの管理者のサーバ(もちろん、このサーバは上記Webサーバと一体でもよい)に設けられる。
【0029】
ペット情報取得手段1はペットの属性情報を取得する。より具体的には、ペット情報取得手段1はWebサイト上の所定フォームから飼い主によって手動入力されたペットの属性情報を取得する。ここでのペットの属性情報とは、犬種、体重、年齢、性別および住環境(室内飼い/室外飼い)の情報を含むのが望ましいが、その一部でもよいし、他の情報でもよく、ペットフードに関連するものであれば特に制限はない。
【0030】
具体例として、ペット情報取得手段1は図2に示すようなWebページを飼い主の端末装置(不図示)のディスプレイに表示させる。そして、飼い主からペットの名前や犬種などの属性情報の入力を受け付ける。そして、「申込」ボタンが選択されると、入力された属性情報がレコメンド手段3に送信される。また、便検査用のキットが飼い主に届けられる。
【0031】
図1に戻り、菌叢分析手段2はペットの便検査を行う。より具体的には、飼い主は便検査用のキットを受け取り、ペットの便を採取して返送する。そして、菌叢分析手段2は便を検査・解析して、腸内フローラの情報などを検査結果として得る。腸内フローラとは、ペットの腸に生息する細菌の生態をいう。そして、腸内フローラの情報には、例えばペットが保有する腸内細菌の多様性、乳酸菌の数、酪酸菌(フィーカリバクテリウム属とクロストリジウム属の両方でもよいし一方でもよい)の数、ファーミキューテスとバクテロイーデスの比率であって太りやすさを示すFB比を含み得るが、これに限られない。例えば、ファーミキューテス門、バクテロイーデス門、プロテオバクテリア門、放線菌門、フソバクテリア門、フィーカリバクテリウム属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属、ビフィズス菌属、オシロスピラ属、ブラウティア属、SMB53属、フソバクテリウム属、プレボテーラ属、ルミノコッカス属、ツリシバクター属、連鎖球菌属、02d06属、ステッテレラ属、ローズブリア属、ドレアおよび真正細菌属の1以上を含んでいてもよい。
【0032】
本実施形態では、便の検査結果から、腸内に含まれる菌の種類および数といった、客観的かつ定量的なデータを含む腸内フローラの情報を取得できるため、適切なサプリメントの提供が可能となる。
【0033】
レコメンド手段3は、ペットの便の検査結果と、ペットの属性情報とに基づいて、ペットに適したフードをレコメンドする。本実施形態では、便の検査結果が腸内フローラの情報を含むものとする。レコメンドするフードは1種類に限られず、テーストが異なる複数のフードをレコメンドしてもよい。具体的なレコメンド手法やレコメンドされるフードについては後述する。
【0034】
レコメンド結果提示手段4はレコメンドされたフードの情報を飼い主に提示する。具体例として、レコメンド結果提示手段4は、飼い主がアクセス可能なWebページにレコメンドフードの情報と、望ましくはペットの検査結果を掲載する。また、レコメンド結果提示手段4はレコメンドフードの情報や検査結果を示す診断書を飼い主に送付してもよい。
【0035】
フード受注手段5は飼い主に提示したレコメンドフードの受注を飼い主から受け付ける。具体例として、フード受注手段5はレコメンドフードを掲載するWebページに、当該フードを購入するためのアイコンを設ける。そのアイコンが選択されたことに応じて、フード受注手段5は必要な決済処理を行う。これにより、飼い主にレコメンドフードが届けられる。その量は、例えばペットの体重を考慮して、一定期間(1か月等)で消費される量とするのがよい。
【0036】
続いて、レコメンド手段3による具体的なレコメンド手法を例示する。
【0037】
レコメンド手段3は、腸内フローラの情報に応じて、ペットを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する。各グループにはレコメンドされるフードが予め設定されている。すなわち、レコメンド手段3はペットを特定のグループに分類し、そのグループに設定されたフードをレコメンドする。
【0038】
図3は、レコメンド手段3によるグループ分類を具体的に説明する図である。レコメンド手段3は、腸内細菌の多様性に基づくグループ分類と、乳酸菌・酪酸菌およびFB比に基づくグループ分類とを行う。
【0039】
まず、レコメンド手段3は、腸内フローラの情報における腸内細菌の多様性に基づき、複数(ここでは、4つの例を示す)のグループに分類する。一般には若齢であるほど腸内細菌が多様であることが多いことから、便宜上、多様性が豊富である順にグループ名をYoung,Adult,Senior,High Seniorとする。腸内細菌の多様性は、例えば腸内に含まれる菌の種類が基準値を超えるか否かによって判断される。
【0040】
続いて、レコメンド手段3は多様性に応じて分類された各グループを、乳酸菌の多寡に応じてさらに2つのグループのいずれかに分類する。具体例として、乳酸菌の数が基準値より多いか否かによって分類できる。
【0041】
そして、レコメンド手段3は、乳酸菌が多いとされたグループを、FB比の高低に応じてさらに2つのグループのいずれかに分類する。具体例として、FB比が基準値より高いか否かによって分類できる。FB比が高いグループをF型とする。一方、FB比が低いグループを、酪酸菌の多寡に応じてさらに2つのグループに分類する。具体例として、酪酸菌の数が基準値より多いか否かによって分類できる。酪酸菌が多いグループをLC型とし、酪酸菌が少ないグループをC型とする。
【0042】
また、レコメンド手段3は、乳酸菌が少ないとされたグループを、酪酸菌の多寡に応じてさらに2つのグループのいずれかに分類する。具体例として、酪酸菌の数が基準値より多いか否かによって分類できる。酪酸菌が多いグループをC型とし、酪酸菌が少ないグループをN型とする。
【0043】
F型は乳酸菌が多いがFB比が高いグループ、LC型は乳酸菌および酪酸菌の両方が多いグループ、L型は乳酸菌は多いが酪酸菌が少ないグループ、C型は酪酸菌は多いが乳酸菌は少ないグループ、N型は乳酸菌および酪酸菌の両方が少ないグループということができる。
【0044】
以上のようにして、腸内細菌の多様性に応じて4グループのいずれかに分類し、乳酸菌・酪酸菌およびFB比に基づいて5グループのいずれかに分類することで、合計20グループのいずれかにペットが分類される。例えば、多様性に応じた分類がYoungであり、乳酸菌・酪酸菌およびFB比に基づく分類がF型である場合、そのペットの分類はYoung-F型となる。
【0045】
なお、グループに分類する際の各基準値を、ペットの犬種、年齢、体重といったペットの属性情報に応じた値とするのが望ましい。また、乳酸菌や酪酸菌の多寡で分類することは、有無に応じて分類することを含むものとする。
【0046】
レコメンドされるフードは、ベースフードに、必要な有用菌フードを数%混合したもの
とすることができる。ベースフードは腸内フローラの情報とは無関係でもよいが、ペットの属性情報に応じたものであるのが望ましく、具体的には、ペットの実年齢に適した種類、ペットの体重に適した重量であるのがよい。一方、有用菌は腸内フローラの情報で分類されたグループに応じたものであり、不足している菌と、その菌を活性化させる(サポートする)物質を含むものが望ましい。
【0047】
F型のグループは乳酸菌を保有している点は好ましいが、FB比が高く太りやすい。そのため、ベースフードに加え、有用菌フードとして水溶性食物繊維および多様性強化のためのオリゴ糖を含むフードがレコメンドされる。
【0048】
LC型は乳酸菌も酪酸菌も多い理想的な菌叢である。したがって、有用菌フードは不要であり、ベースフードがレコメンドされる。
【0049】
L型は乳酸菌は多いが酪酸菌が少ない菌叢である。したがって、ベースフードに加え、有用菌フードとして酪酸菌とこれを活性化させる水溶性食物繊維を含むフードがレコメンドされる。
【0050】
C型は酪酸菌は多いが乳酸菌が少ない菌叢である。したがって、ベースフードに加え、有用菌フードとして乳酸菌とこれを活性化させるオリゴ糖を含むフードがレコメンドされる。
【0051】
N型は酪酸菌も酪酸菌も少ない菌叢である。したがって、ベースフードに加え、有用菌フードとして乳酸菌および酪酸菌を含むフードがレコメンドされる。
【0052】
なお、SeniorおよびHigh Seniorは腸内細菌の多様性が低いため、F型のみならず、LC型、L型、C型およびN型であっても水溶性食物繊維およびオリゴ糖をさらに含む有用菌フードがレコメンドされてもよい。
【0053】
また、Young-F型とAdult-F型とを比較すると、水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含む有用菌フードがレコメンドされることは共通する。しかし、Adult-F型の方が腸内細菌の多様性が乏しいため、より多くの水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含む有用菌フードがレコメンドされる。このように、同じF型であっても、Young,Adult,Senior,High Seniorの順に有用菌フードとしての水溶性食物繊維およびオリゴ糖が多い。この点はLC型、L型、C型およびN型も同様である。
【0054】
また、特定の型であってもペットの属性情報に応じたフードであるのが望ましい。
例えば、犬種の1つであるチワワは、カルシウム(骨が細いため)、オリゴ糖や食物繊維(胃腸がデリケートであるため)、オメガ3脂肪酸(関節の健康維持のため)が他の犬種よりも多く必要である。そのため、例えばYoung-F型に分類されるチワワに対しては、同じくYoung-F型に分類される他の犬種よりも多くのカルシウム、オリゴ糖、食物繊維、オメガ3脂肪酸を含むフードをレコメンドするのが望ましい。
【0055】
別の例として、実年齢が高い犬はエネルギー消費量が落ち、運動不足と腸の働きの低下で便秘になりやすい。そのため、例えばYoung-F型に分類される老犬(例えば8歳以上)に対しては、同じくYoung-F型に分類される幼犬(例えば1歳まで)や成犬(例えば1~8歳)よりも多くの食物繊維を含み、少量高カロリーなフードをレコメンドするのが望ましい。
【0056】
また別の例として、室内飼いの犬は肥満になりやすい。そのため、例えばYoung-F型に分類される室内飼いの犬に対しては、筋肉量を維持して基礎代謝を上げるべく、同
じくYoung-F型に分類される室外飼いの犬よりも高タンパク質かつ低カロリーなフードをレコメンドするのが望ましい。
【0057】
以上のようにしてペットのレコメンドされるフードが決定される。そして、レコメンド結果提示手段4は以下のようなWebページ(以下、レコメンド画面という)を表示させる。
【0058】
図4A~4Eは、それぞれYoung-F型、Young-LC型、Young-N型、Young-C型およびYoung-N型に分類されたペットに対するレコメンド画面の一例を示す図である。図示のように、レコメンド画面は分類された型とその特徴の説明を含む。そして、具体的なフードが表示される。さらに、レコメンド画面は、グループ分類に用いられた腸内細菌の多様性、FB比、乳酸菌、酪酸菌を数値で示し、簡単なコメントや注意事項を表示するのが望ましい。
【0059】
また、レコメンド画面はレコメンド手段3によって算出される「腸年齢」を含んでいてもよい。腸年齢とは、腸内フローラの年齢を示すパラメータであり、腸内フローラの情報や属性情報などに基づいて算出される。腸年齢はペットの種類や性別に応じて算出されてもよい。腸年齢算出法の具体例は第4の実施形態で述べる。
【0060】
ところで、上述したように、レコメンドされるフードはベースフードと有用菌フードから構成される。このようにすることで、製造プロセスを効率化できる。
【0061】
図5は、フードの製造工程図である。ベースフードは以下の工程で製造される。まず、各素材を粉砕加工するなどの原材料下処理を行う(ステップS1a)。続いて、原料を攪拌し(ステップS2a)、エクストルーダーで加熱しながら押出成形する(ステップS3a)。次いで、高温で乾燥する(ステップS4a)。そして、変形粒などを除去し(ステップS5a)、ベースフードが完成する。
【0062】
一方、有用菌フードは以下の工程で製造される。まず、鶏肉焼成、乾燥粉砕、ミンチ加工するなどの原材料下処理を行う(ステップS1b)。続いて、有用菌を投入して原料を攪拌し(ステップS2b)、エクストルーダーで非加熱で押出成形する(ステップS3b)。次いで、有用菌が死なない程度の低温で乾燥する(ステップS4b)。そして、変形粒などを除去し(ステップS5b)、ベースフードが完成する。
【0063】
そして、ベースフードおよび有用菌フードをそれぞれ所望量計量し(ステップS6a,6b)、袋詰めした上でラベルを貼って(ステップS7)フードが完成する。
【0064】
このように、第1の実施形態では、腸内フローラの情報(細菌の多様性、FB比、酪酸菌、乳酸菌など)と、ペットの属性情報(犬種、体重、年齢、性別、住環境など)とを考慮してペットに適切なフードをレコメンドできる。特に、本実施形態では、便を検査することによって、腸内細菌の多様性、乳酸菌や酪酸菌など各菌の数、FB比といった定量的な実測値が得られる。そのため、ペットを客観的に分類でき、適切なフードをレコメンドできる。
【0065】
なお、本実施形態では、腸内フローラの情報およびペットの属性の両方を用いることとしたが、腸内フローラの情報のみを用いる用いることとしてもよい。また、腸内フローラの情報に基づいてレコメンドされるフードを、属性によって補正してもよい。
【0066】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の概略は、第1の実施形態におけるペットの便の検査を省略し、代わり
にペットが摂取したフードの情報を用いるものである。
【0067】
図6は、第2の実施形態に係るペットフードレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に述べる。
【0068】
本ペットフードレコメンドシステムにおけるペット情報取得手段1は、ペットの属性情報に加え、ペットが摂取したフードの情報を取得する。具体例として、ペットが(望ましくは直近に)摂取したフードを入力するためのWebページを飼い主の端末装置に表示させ、飼い主からの入力を受け付ける。
【0069】
そして、レコメンド手段3は、ペットの属性情報と、ペットが摂取したフードの情報とに基づいて、ペットに適したフードをレコメンドする。具体的には、レコメンド手段3は腸内フローラ情報推定手段6を有する。腸内フローラ情報推定手段6はペットの属性情報およびペットが摂取したフードの情報からペットの腸内フローラの情報を推定する。具体例として、腸内フローラ情報推定手段6は、ペットの属性情報およびペットが摂取したフードの情報と、腸内フローラとの関係を示すデータベースを保持しておき、当該データベースを参照することで腸内フローラの情報を推定できる。
【0070】
その他は、菌叢分析による腸内フローラの情報に代えて、推定した腸内フローラの情報を用いる点を除き、第1の実施形態と共通する。
【0071】
第2の実施形態によれば、ペットの便を検査する必要がないので、より簡易にペットに適切なフードをレコメンドできる。
【0072】
(第3の実施形態)
以上の第1および第2の実施形態は、ペット用のフードをレコメンドするものであった。これに対し、次に説明する第3の実施形態は、ヒト用のフード(主にサプリメント)をレコメンドするものである。
【0073】
図7は、第3の実施形態に係るヒト用サプリメントレコメンドシステムの概略構成を示すブロック図である。ヒト用サプリメントレコメンドシステムは、ヒト情報取得手段11と、菌叢分析手段12と、レコメンド手段13と、レコメンド結果提示手段14と、サプリメント受注手段15とを備えている。これらは1台の装置から構成されてもよいし、複数の装置に分散されていてもよい。一例として、ヒト情報取得手段11、レコメンド結果提示手段14およびサプリメント受注手段15はWebサーバ上で実現される。菌叢分析手段12は所定の検査機関に設けられる。レコメンド手段13は本システムの管理者のサーバ(もちろん、このサーバは上記Webサーバと一体でもよい)に設けられる。
【0074】
ヒト情報取得手段11はヒトの属性情報を取得する。より具体的には、ヒト情報取得手段11はWebサイト上の所定フォームからレコメンド対象となるヒト(あるいは、そのヒトを良く知る家族など)から手動入力されたヒトの属性情報を取得する。ここでのヒトの属性情報とは、体重、年齢、性別および食生活の情報を含むのが望ましいが、その一部でもよいし、他の情報でもよく、ヒト用サプリメントに関連するものであれば特に制限はない。
【0075】
具体例として、ヒト情報取得手段11は図2に類似するWebページをディスプレイに表示させる(ただし、「犬種」や「住環境」は不要)。そして、対象となるヒトの属性情報の入力を受け付ける。そして、「申込」ボタンが選択されると、入力された属性情報がレコメンド手段13に送信される。また、便検査用のキットが対象となるヒトに届けられる。
【0076】
菌叢分析手段12は対象となるヒトの便検査を行う。より具体的には、対象となるヒトは便検査用のキットを受け取り、自身の便を採取して返送する。そして、菌叢分析手段12は便を検査・解析して、腸内フローラの情報などを検査結果として得る。腸内フローラとは、ヒトの腸に生息する細菌の生態をいう。そして、腸内フローラの情報には、例えばヒトが保有する腸内細菌の多様性、乳酸菌の数、酪酸菌(フィーカリバクテリウム属とクロストリジウム属の両方でもよいし一方でもよい)の数、ファーミキューテスとバクテロイーデスの比率であって太りやすさを示すFB比を含み得るが、これに限られない。例えば、ファーミキューテス門、バクテロイーデス門、プロテオバクテリア門、放線菌門、フソバクテリア門、フィーカリバクテリウム属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属、ビフィズス菌属、オシロスピラ属、ブラウティア属、SMB53属、フソバクテリウム属、プレボテーラ属、ルミノコッカス属、ツリシバクター属、連鎖球菌属、02d06属、ステッテレラ属、ローズブリア属、ドレアおよび真正細菌属の1以上を含んでいてもよい。
【0077】
本実施形態では、便の検査結果から、腸内に含まれる菌の種類および数といった、客観的かつ定量的なデータを含む腸内フローラの情報を取得できるため、適切なサプリメントの提供が可能となる。
【0078】
レコメンド手段13は、ヒトの便の検査結果と、ヒトの属性情報とに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドする。本実施形態では、便の検査結果が腸内フローラの情報を含むものとする。レコメンドするサプリメントは1種類に限られず、テーストが異なる複数のサプリメントをレコメンドしてもよい。
【0079】
レコメンド結果提示手段14はレコメンドされたサプリメントの情報を対象となるヒト(あるいはその家族等)に提示する。具体例として、レコメンド結果提示手段14は、対象となるヒトがアクセス可能なWebページにレコメンドサプリメントの情報と、望ましくはそのヒトの検査結果を掲載する。また、レコメンド結果提示手段4はレコメンドサプリメントの情報や検査結果を示す診断書をそのヒトに送付してもよい。
【0080】
フード受注手段15は提示したレコメンドサプリメントの受注を受け付ける。具体例として、サプリメント受注手段15はレコメンドサプリメントを掲載するWebページに、当該サプリメントを購入するためのアイコンを設ける。そのアイコンが選択されたことに応じて、サプリメント受注手段15は必要な決済処理を行う。これにより、そのヒトにレコメンドサプリメントが届けられる。
【0081】
なお、レコメンド手段13による具体的なレコメンド手法は、第1の実施形態で説明した手法と同様であってよい。本実施形態でも、便を検査することによって、腸内細菌の多様性、乳酸菌や酪酸菌など各菌の数、FB比といった定量的な実測値が得られる。そのため、ヒトを客観的に分類でき、適切なフードをレコメンドできる。
【0082】
また、第2の実施形態と同様、便の検査を省略し、代わりにヒトが摂取したフードの情報を用いてもよい。すなわち、ヒト情報取得手段11が、ヒトの属性情報に加え、ヒトが摂取したフードの情報を取得する。具体例として、ヒトが(望ましくは直近に)摂取したフードを入力するためのWebページをそのヒトの端末装置に表示させ、入力を受け付ける。
【0083】
そして、レコメンド手段13は、ヒトの属性情報と、ヒトが摂取したフードの情報とに基づいて、そのヒトに適したサプリメントをレコメンドする。具体的には、レコメンド手段13は、ヒトの属性情報およびヒトが摂取したフードの情報からそのヒトの腸内フロー
ラの情報を推定する。具体例として、レコメンド手段13は、ヒトの属性情報およびヒトが摂取したフードの情報と、腸内フローラとの関係を示すデータベースを保持しておき、当該データベースを参照することで腸内フローラの情報を推定できる。
【0084】
その他は、菌叢分析による腸内フローラの情報に代えて、推定した腸内フローラの情報を用いる点を除き、上述した第3の実施形態と共通する。
【0085】
このように、第3の実施形態では、腸内フローラの情報(細菌の多様性、FB比、酪酸菌、乳酸菌など)と、ヒトの属性情報(体重、年齢、性別、食生活など)とを考慮してそのヒトに適切なフードをレコメンドできる。なお、本実施形態では、腸内フローラの情報およびヒトの属性の両方を用いることとしたが、腸内フローラの情報のみを用いる用いることとしてもよい。また、腸内フローラの情報に基づいてレコメンドされるフードを、属性によって補正してもよい。
【0086】
(第4の実施形態)
次に述べる第4の実施形態では、上述した腸年齢算出法の具体例を述べる。腸年齢は、腸内細菌叢の分布データを用いて、実年齢を基準として腸の健康状態を数値化した指標である。腸内細菌の分布量は年齢と一定傾向の相関を持ち、健康な個体では腸年齢と実年齢が一致すると仮定して、腸年齢の予測モデルを述べる。
【0087】
本予測モデルでは、実年齢をy0としたとき、腸年齢yを下式に基づいて算出できるものとする。
y={(y1-y0)+a}/b+y0 ・・・(1)
ここで、y1=k1{f(a1,a2・・・an)}+k2{g(a1,a2・・・an)} ・・・(2)
【0088】
なお、変数y1を便宜上、「中間腸年齢」と呼ぶ。以下、(1),(2)式における引数a1~an、関数f,g、定数k1,k2,a,bについて順に説明する。
【0089】
引数a1~anは、実年齢との相関性が高く、実年齢を予測する可能性が高い菌の分布量および指標であり、統計的手法によって選定される。具体的には、以下のようにして選定できる。
【0090】
まず、既往歴、現病歴、服薬状況、健康状態などから一定の基準を策定し、基準を満たす健康な個体における菌叢データを収集する。そして、各菌の分布量(シーケンサーで解析された全菌量に対する各菌量の割合であり、0~1の間を取る連続値)に対してLogit変換による標準化を実施し、分析用データセットを作成する。そして、ブートストラップ法で得られた寄与率に基づき、実年齢との相関性が高い菌および指標を、腸年齢算出モデルに採用する。
【0091】
発明者らによる解析によれば、ビフィズス菌(k__Bacteria;p__Actinobacteria;c__Actinobacteria;o__Bifidobacteriales;f__Bifidobacteriaceae;g__Bifidobacterium)、乳
酸菌(k__Bacteria;p__Firmicutes;c__Bacilli;o__Lactobacillales;f__Lactobacillaceae;g__Lactobacillus)、酪酸菌(k__Bacteria;p__Firmicutes;c__Clostridia;o__Clostridiales;f__Clostridiaceae;g__Clostridium)などの菌の分布を引数として採用するのが
よいことが分かった。
【0092】
また、菌とは異なる他の指標(多様性指標や、給餌フードに含まれる複数菌種の分布量)を引数として採用してもよい。
【0093】
以上のようにして、引数a1~anが定まる(「n」は、採用する菌の数と、他の指標の数の合計値)。なお、例示した菌以外の菌や、他の指標を引数として採用してもよい。
【0094】
次に、引数a1~anについて主成分分析を行い、引数間の関係性の視覚化と次元圧縮による主成分の抽出を行う。
【0095】
発明者らによる解析によれば、各主成分の説明力に従い、第1主成分および第2主成分を採用すればよいことが分かった。上記(2)式において、第1主成分を算出する関数がfであり、第2主成分を算出する関数がgである。なお、第3主成分以降を採用してもよい。
【0096】
第1主成分および第2主成分を算出した後、菌ごとの平均分布量をもとに第1主成分および第2主成分の調整を行い、上記(2)式における関数f,gを確定させる。
【0097】
また、上記(2)式の中間腸年齢y1から実年齢y0を予測するための定数k1,k2を回帰分析によって確定させる。
【0098】
さらに、中間腸年齢y1から実年齢y0を予測するための定数a,bを回帰分析により確定させる。定数a,bは、この予測モデル自身が持つ誤差が小さくなるよう調整するためのものとも言える。
【0099】
以上のようにして、腸年齢を算出するための引数や定数が定まり、腸内フローラ(a1~an)に対して上記(1)、(2)式を適用することで腸年齢yを算出できる。
【0100】
なお、腸年齢の算出は主としてペットに適用することを想定しているが、ヒトに対して適用することもできる。
【0101】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0102】
1 ペット情報取得手段
2 菌叢分析手段
3 レコメンド手段
4 レコメンド結果提示手段
5 フード受注手段
6 腸内フローラ情報推定手段
11 ヒト情報取得手段
12 菌叢分析手段
13 レコメンド手段
14 レコメンド結果提示手段
15 サプリメント受注手段
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属の割合に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備え
前記フードは、グループに応じた有用菌を含む、レコメンド装置。
【請求項2】
ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有する菌に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドするレコメンド手段を備え
前記フードは、グループに応じた有用菌を含む、レコメンド装置。
【請求項3】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の数に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項に記載のレコメンド装置。
【請求項4】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の種類に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
前記レコメンド手段は、前記ヒトが保有する菌の数および種類に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類する、請求項に記載のレコメンド装置。
【請求項6】
前記菌は、乳酸菌、酪酸菌、ファーミキューテス門、バクテロイーデス門、プロテオバクテリア門、放線菌門、フソバクテリア門、フィーカリバクテリウム属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属、ビフィズス菌属、オシロスピラ属、ブラウティア属、SMB53属、フソバクテリウム属、プレボテーラ属、ルミノコッカス属、ツリシバクター属、連鎖球菌属、02d06属、ステッテレラ属、ローズブリア属、ドレアおよび真正細菌属の1以上を含む、請求項乃至のいずれかに記載のレコメンド装置。
【請求項7】
前記レコメンド手段は、前記ヒトの属性情報も考慮して、前記ヒトに適したフードをレコメンドする請求項1乃至のいずれかに記載のレコメンド装置。
【請求項8】
レコメンド手段が、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有するバクテロイーデス門、ルミノコッカス属、プレボテーラ属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム属、および、ブラウティア属の割合に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドし、
前記フードは、グループに応じた有用菌を含む、レコメンド方法。
【請求項9】
レコメンド手段が、ヒトの便の検査結果によって取得される腸内フローラの情報に基づき、前記ヒトが保有する菌に基づいて、前記ヒトを予め定めた複数のグループのいずれかに分類し、分類されたグループに基づいて、そのヒトに適したフードをレコメンドし、
前記フードは、グループに応じた有用菌を含む、レコメンド方法。