IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシーの特許一覧

特開2022-115919熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯
<>
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図1
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図2
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図3
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図4
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図5
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図6
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図7A-7B
  • 特開-熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115919
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】熱可塑性義歯フレーム、熱可塑性義歯フレームの製造方法および熱可塑性義歯フレームを含有する義歯
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/01 20060101AFI20220802BHJP
   A61K 6/35 20200101ALI20220802BHJP
   A61K 6/78 20200101ALI20220802BHJP
   A61K 6/60 20200101ALI20220802BHJP
   A61K 6/17 20200101ALI20220802BHJP
【FI】
A61C13/01
A61K6/35
A61K6/78
A61K6/60
A61K6/17
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074112
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2018544923の分割
【原出願日】2017-02-27
(31)【優先権主張番号】62/299,657
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16171913.3
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/421,532
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シェンパー, ビアンカ サディコフ
(72)【発明者】
【氏名】シャリー, ティモシー ジェームズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】著しく改善された寿命ならびに快適さを有する熱可塑性義歯フレームを提供する。
【解決手段】義歯フレーム102は、少なくとも1種のポリ(エーテルエーテルケトン)(「PEEK」)ポリマーと少なくとも1種のポリフェニルスルホン(「PPSU」)ポリマーとを含むポリマー組成物を含む。ポリマー組成物が、ポリマー組成物の唯一のポリマー成分としてPEEKポリマーを含む相当するポリマー組成物に対して、著しく改善された色安定性を有する。さらに、ポリマー組成物は、著しく改善された靱性、柔軟性および寸法安定性を有する。ポリマー組成物の美学的特性と機械的特性との組み合わせは、改善された寿命および快適さを有する義歯フレームを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物を含む義歯フレームであって、
ポリマー組成物が、
(iv)前記ポリマー組成物の総重量に対して、約30重量%~約80重量%の少なくとも1種のポリ(エーテルエーテル)ケトン(「PEEK」)ポリマーと;
(v)前記ポリマー組成物の総重量に対して、約10重量%~約60重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホン(「PPSU」)ポリマーと;
(vi)顔料を含む約30重量%未満の粒状充填材と
を含む義歯フレーム。
【請求項2】
前記粒状充填材が、100nm~5μmの平均一次粒子径を有する、請求項1に記載の義歯フレーム。
【請求項3】
前記粒状充填材がTiOを含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が繊維充填材を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項5】
実質的に平坦な内面を含む少なくとも1つのフィニッシュラインをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項6】
前記フィニッシュラインが、前記フィニッシュラインの長さに垂直の平面において非対称横断面を有する、請求項5に記載の義歯フレーム。
【請求項7】
約10mm未満の面積を有する少なくとも1つの保持穴を含む保持グリッドをさらに含む、請求項5および6のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項8】
架台をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項9】
締め具をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の義歯フレーム。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の義歯フレームを含む義歯であって、前記義歯が、前記保持グリッド上に配置され、そして前記フィニッシュラインの前記内面と接触した人造歯肉を含む義歯。
【請求項11】
前記人造歯肉と接触して少なくとも1つの人工歯をさらに含む、請求項10に記載の義歯。
【請求項12】
義歯フレームの形成方法であって、前記方法が、
ポリマー組成物を含む素材からの義歯フレームをミリングする工程を含み、前記ポリマー組成物が、
(i)前記ポリマー組成物の総重量に対して、約30重量%~約80重量%の少なくとも1種のポリ(エーテルエーテル)ケトン(「PEEK」)ポリマーと;
(ii)前記ポリマー組成物の総重量に対して、約10重量%~約60重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホン(「PPSU」)ポリマーと;
(iii)顔料を含む約30重量%未満の粒状充填材と
を含む方法。
【請求項13】
前記素材が円筒形素材を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記円筒形素材が、約10mm~約70mmの厚さおよび直径約20mm~約100mmを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記素材を二次加工する工程をさらに含む、請求項13および14のいずれか一項に記載の方法であって、前記二次加工する工程が、前記ポリマー組成物を約20mm~約100mmの直径を有する棒へと押し出すこと、および前記棒を切断して円筒形素材を形成することを含む方法。
【請求項16】
前記ミリング工程が、コンピュータ支援製造(「CNC」)機を用いて前記素材をミリングして前記義歯フレームを形成することを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記CNC機が、メモリーと電子的に連通しているコンピュータプロセッサを含み;
前記コンピュータプロセッサが前記メモリーにアクセスして患者の口のデジタル表現を含むデジタルファイルを読み取り;そして
前記CNCが、前記患者の口の前記デジタル表現に従って刃具を導いて前記素材から材料を取り除き、前記義歯フレームを形成する
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記患者の口のデジタル表現を創出する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法であって、前記創出する工程が、前記患者の口の光学読み取りを行うことを含む方法。
【請求項19】
前記患者の口のデジタル表現を創出する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法であって、前記創出する工程が、前記患者の口のモールドの光学読み取りを行うことを含む方法。
【請求項20】
前記刃具がドリルビットまたはレーザーを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月25日出願の、米国仮特許出願第62/299,657号;2016年11月14日出願の、米国仮特許出願第62/421,532号;および2016年2月25日出願の、米国仮特許出願第62/299,657号に対する優先権を主張する、2016年5月30日出願の、欧州特許出願第16171913.3号に対する優先権を主張するものであり、それらのそれぞれは、その全体を本明細書に参照により援用される。
【0002】
本発明は、少なくとも1種のポリ(エーテルエーテル)ケトンポリマーと少なくとも1種のポリフェニルスルホンポリマーとを含む義歯フレームに関する。本発明はさらに、義歯フレームの製造方法に関する。さらに本発明は、義歯フレームを組み込む義歯に関する。
【背景技術】
【0003】
義歯は、喪失歯に取って代わるために設計される。義歯は一般に、1つ以上の歯を保持する取り外し可能なプレート(またはフレーム)からなる。伝統的に、義歯は、材料の耐ストレス性、耐久性、および汚染抵抗のために望ましい、金属フレームを含む。しかしながら、金属の使用は、望ましくない美学、剛性、および重量、ならびに不十分なフィットおよび患者の不快感または不満足につながり得る設計および製造限界などの多数の欠点を有する。ポリ(エーテルエーテルケトン)ポリマーなどの熱可塑性ポリマーから歯科プロテーゼを製造することによって金属の欠陥のいくつかに対処する試みが行われてきたが、改善された製品寿命につながる、改善された靱性、柔軟性、色安定性および寸法安定性を持った歯科プロテーゼが依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】下顎の部分取り外し可能な義歯のトップダウンビューの略図である。
図2】下顎の部分取り外し可能な義歯フレームのトップダウンビューの略図である。
図3】患者の口に置かれる図2の下顎の部分取り外し可能な義歯フレームのトップダウンビューの略図である。
図4】フィニッシュラインを示す義歯フレームの部分のトップダウンビューの略図である。
図5】フィニッシュラインを示す義歯フレームの領域の透視図の略図である。
図6】フィニッシュラインの横断面の略図である。
図7A-7B】カップ状内面のフィニッシュラインおよび人造歯肉の部分を示す義歯の部分の横断面の略図であり、ここで、図7Aは、曲げなしの義歯を描き、図7Bは、屈曲下の義歯を描く。
図8】対称横断面を有するフィニッシュラインを示す義歯フレームの部分の横断面の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
著しく改善された寿命ならびに快適さを有する熱可塑性義歯フレームが本明細書に記載される。義歯フレーム(および義歯)の一般的な寿命は、その美学的特性およびその機械的特性の両方の関数である。本明細書に記載される義歯フレームは、少なくとも1種のポリ(エーテルエーテルケトン)(「PEEK」)ポリマーと少なくとも1種のポリフェニルスルホン(「PPSU」)ポリマーとを含むポリマー組成物を含む。美学的には、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の唯一のポリマー成分として少なくとも1種のPEEKポリマーを含む相当するポリマー組成物と比べて、著しく改善された色安定性を有することが意外にも発見された。機械的には、本ポリマー組成物はさらに、著しく改善された靱性、柔軟性および寸法安定性を有する。本ポリマー組成物の美学的特性と機械的特性との組み合わせは、改善された寿命および快適さを有する義歯フレームを可能にする。
【0006】
義歯フレームの一般的な寿命は、その美学的特性およびその機械的特性の両方の関数である。美学に関して、隠れた使用についての願望を考えると、本明細書に記載される義歯フレームは、唯一のポリマーとして少なくとも1種のPEEKポリマーを含む相当するポリマー組成物を含む義歯フレームと比べて、著しく改善された美学的特性を有する。義歯は、生体力学的な便益(例えば、咬む能力の増加)を提供するが、義歯の美学的性質は、その消費者アピールに著しく影響を及ぼす。例えば、義歯フレームがその中に挿入される口腔環境中でより自然な外観を呈する義歯フレームは、それらが義歯フレームそれ自体の存在を隠すのに役立つので、非常に好ましい。他の特性の中でも、カラーマッチング、フレーム厚さおよび装備品などの義歯設計要素は、口腔中に置かれたときに義歯を隠すのに役立つ。しかしながら、口腔は、化学的に厳しい環境である。いくつかのタイプの一般の食品および飲み物(例えば、コーヒーおよびワイン)は、それらの意図されるおよび普通の使用コース中に義歯(および、もちろん、義歯フレーム)と接触する、厳しい汚染剤であり得る。クリーニングにもかかわらず、義歯は最終的には、望ましいカラーマッチングを維持するのに十分きれいにできない程度に汚れ、それは、義歯をより目立って明らかにする(より少なく隠される)。上に指摘されたように、本明細書に記載されるポリマー組成物は、意外にも改善された色安定性(例えば、抗汚染能力)を有し、それは、義歯フレームの使用できる寿命を延ばし、義歯フレームの汚れに基づいて義歯が取り替えられる度合いを低下させることができる。
【0007】
機械的性能に関して、口腔環境は、さらに、非常に要求の厳しいアプリケーション設定である。食品のお決まりの咀嚼中に発生する咀嚼力は、食品のタイプおよび筋肉サイズ/密度に依存して約70ニュートン(「N」)~150N、および500N~700Nまでであり得る。この力は、歯によって形成されるアーチの前部部分、全面的(全体アーチを覆う)部分および後部部分に沿って分布する。義歯の人工歯の場所で、力はまた、義歯フレームに少なくとも部分的に移される。さらに、義歯フレーム上の水平力が、咀嚼中の咬合接触によっておよび義歯を取り囲む口腔筋肉組織によって咀嚼中に発生する。そのような力は、前部-後部後および横方向の両方に義歯および義歯フレームを移動させ、ならびに義歯フレームにものすごい衝撃力をかける。繰り返し使用後に、義歯フレームは、機械的破損を受け得る。唯一のPEEKポリマーを含むポリマー組成物と比べて、本ポリマー組成物は、改善された靱性および柔軟性を有し、機械的性能の高まりによる増加した寿命を有する義歯フレームを可能にする。
【0008】
もっとさらに、本明細書に記載される義歯フレームは、PEEKポリマーだけを含むポリマー組成物を有する義歯フレームと比べて、改善された快適さを有する。上に記載された改善された機械的特性と併せて、本明細書に記載されるポリマー組成物は、望ましい機械的特性を維持しながら、より薄い構成要素を有する義歯フレームを可能にする。結果として生じた義歯フレームはより軽いだけではなく、より薄い構成要素は、感触に関して着用者にとってあまり目立たない義歯フレームを可能にする。さらに、以下に詳細に考察されるように、本明細書に記載される義歯フレームは、選択ミリング法を用いて製造される場合に、射出成形法で製造された相当する義歯フレームと比べて、著しく改善された寸法安定を有することが意外にも分かった。したがって、患者装備品問題が低減される。
【0009】
ポリマー組成物
義歯フレームは、少なくとも1種のPEEKポリマーと少なくとも1種のPPSUポリマーとを含有するポリマー組成物を含む。いくつかの実施形態において、本ポリマー組成物は、1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物中の(または義歯フレーム中の)ポリマーのそれぞれは、PEEKポリマーまたはPPSUポリマーである。
【0010】
上に述べられたように、本ポリマー組成物は、意外な色保持特性を有する。特に、PPSUを含まない相当するポリマー組成物と比べて、本明細書に記載されるポリマー組成物は、改善された色保持を有する。明確にするために、相当するポリマー組成物は、PPSUポリマーがPEEKポリマーで取り替えられているものである。例えば、ポリマー組成物が少なくとも1種のPEEKポリマーと、少なくとも1種のPPSUポリマーと添加剤とを含む場合、相当するポリマー組成物は、少なくとも1種のPPSUポリマーが少なくとも1種のPEEKポリマーで取り替えられているものである。
【0011】
いくつかの実施形態において、義歯フレームは、色安定性または寸法安定性に関して、本ポリマー組成物から本質的になる。
【0012】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のPEEKポリマー対少なくとも1種のPPSUポリマーの濃度の比は、40/60~90/10、好ましくは50/50~80/20、好ましくは55/45~75/25、好ましくは58/42~70/30、最も好ましくは63/37であり得る。
【0013】
ポリ(エーテルエーテルケトン)ポリマー
本ポリマー組成物は、少なくとも1種のPEEKポリマーを含む。本明細書で用いるところでは、PEEKポリマーは、繰り返し単位の総モル数に対して、少なくとも50モル%の次式:
(ここで、Rは、場合ごとに、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、および第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;iは、場合ごとに、0~4の独立して選択される整数である)で表される繰り返し単位(RPEEK)を有する任意のポリマーを意味する。いくつかの実施形態において、各iはゼロである。明確にするために、式(1)中、ベンゼン環のそれぞれは、水素原子に結合した4-i(ここで、iは、式(1)中の各iについて独立して選択される、0~4である)個の環炭素を有する。例えば、式(1)を参照すると、最も左のベンジル環についてi=1である場合、それらのベンジル炭素の3個は水素に結合しており、1個はRに結合している。類似の表記法が、本明細書での他の式についても用いられる。いくつかの実施形態において、繰り返し単位(RPEEK)は、次式:
で表される。
いくつかのそのような実施形態において、各iはゼロである。
【0014】
いくつかの実施形態において、PAEKポリマーは、PEEKポリマー中の繰り返し単位の総モル数に対して、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%または少なくとも約99モル%の繰り返し単位(RPEEK)を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のPEEKポリマーは、繰り返し単位(RPEEK)に加えて、1種以上の繰り返し単位(R*PEEK)を含む。1種以上の繰り返し単位(R*PEEK)のそれぞれは、式(1)または(2)で表され、ポリマー中の他の繰り返し単位のそれぞれとは異なる。そのような実施形態において、1種以上の繰り返し単位(R*PEEK)および繰り返し単位(RPEEK)の総濃度は、PEEKポリマー中の繰り返し単位の総モル数に対して、約50モル%超、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%または少なくとも約99モル%である。
【0015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のPEEKポリマーの濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%または少なくとも約55重量%である。さらにまたはあるいは、少なくとも1種のPEEKポリマーの濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下または約65重量%以下である。当業者は、はっきりと開示された範囲内の追加のPEEKポリマー濃度が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。明確にするために、少なくとも1種のPEEKポリマーが複数のPEEKポリマーを含む実施形態において、ポリマー組成物中のPEEKポリマーの総濃度は、上に記載された範囲内である。
【0016】
ポリフェニルスルホンポリマー
本ポリマー組成物は、少なくとも1種のPPSUポリマーを含む。本明細書で用いるところでは、PPSUポリマーは、繰り返し単位の総モル数に対して、少なくとも50モル%の次式:
(ここで、Rは、場合ごとに、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、および第四級アンモニウムから独立して選択され;jは、場合ごとに、0~4の独立して選択される整数である)
で表される繰り返し単位(RPPSU)を有する任意のポリマーを意味する。好ましくは、各jはゼロである。いくつかの実施形態において、繰り返し単位(RPPSU)は、次式:
で表される。
いくつかのそのような実施形態において、各jはゼロである。
【0017】
いくつかの実施形態において、PPSUポリマーは、PPSUポリマー中の繰り返し単位の総モル数に対して、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%または少なくとも約99モル%の繰り返し単位(RPPSU)を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のPPSUポリマーは、繰り返し単位(RPPSU)に加えて、1種以上の繰り返し単位(R*PPSU)を含む。1種以上の繰り返し単位(R*PPSU)のそれぞれは、式(1)または(2)で表され、ポリマー中の他の繰り返し単位のそれぞれとは異なる。そのような実施形態において、1種以上の繰り返し単位(R*PPSU)および繰り返し単位(RPEEK)の総濃度は、PPSUポリマー中の繰り返し単位の総モル数に対して、約50モル%超、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%または少なくとも約99モル%である。
【0018】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のPPSUポリマーの濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%または少なくとも約30重量%である。さらにまたはあるいは、少なくとも1種のPPSUポリマーの濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、約60重量%以下、約50重量%以下、約55重量%以下、約50重量%以下、約45重量%以下または約40重量%以下である。当業者は、はっきりと開示された範囲内の追加のPPSUポリマー濃度範囲が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。明確にするために、少なくとも1種のPEEKポリマーが複数のPEEKポリマーを含む実施形態において、ポリマー組成物中のPEEKポリマー総濃度は、上に記載された範囲内にある。
【0019】
添加剤
上に指摘されたように、いくつかの実施形態において、本ポリマー組成物は、1種以上の添加剤を含むことができる。添加剤は、紫外線安定剤、酸化防止剤、顔料、加工助剤、潤滑剤、および放射線不透過性化合物(硫酸バリウム、ビスマス三酸化物、ビスマスオキシクロリド、およびビスマス次炭酸塩を含むが、それらに限定されない)からなる群から選択することができる。
【0020】
顔料は、望ましい美学的品質を義歯フレームに付与するための、ポリマー組成物において特に望ましい添加剤であり得る。秘密の使用への要望に鑑みて、美学は、義歯フレームに関して重要な考慮事項である。義歯フレームが無頓着な視覚(casual sight)から隠し得れば隠し得るほど、かつ、フレームが口腔環境に溶け込めば溶け込むほど、義歯フレーム(そして究極的な義歯)の使用はより多く隠される。口腔環境での使用を隠すのに役立つための美学的品質を付与するために義歯フレームのポリマー組成物中へ組み込まれる顔料は、TiO(例えば、ルチル、アナターゼまたはブルッカイト)(白色)、クマリン(黄色)、ラピス・ラズル(青色)またはそれらの2種以上の任意の組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。ポリマー組成物が顔料を含む実施形態において、顔料の総濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、百重量当たり少なくとも約0.1部(「pph」)、少なくとも約1pph、少なくとも約1pph、少なくとも約2pphまたは少なくとも約3pphであり得る。いくつかの実施形態において、顔料の総濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、約25pph以下、約15pph以下、約10pph以下または約7pph以下である。当業者は、はっきりと開示された範囲内の追加範囲の総顔料濃度が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。
【0021】
重要なことに、出願者らは、比較的高いローディングレベルでの粒状添加剤の包含が、フレームの時期尚早の破損を引き起こし得ることを発見した。粒状添加剤の一クラスは、TiOを含むが、それに限定されない100の平均一次粒子径を有する無機粒子である。粒状添加剤は、概略球形の外観を有する。厳密な検査時に、無機粒子などの、結晶性粒状添加剤は、基礎をなす結晶格子に相当する小平面を有するが、それにもかかわらず、幾何学的中心から大まかに等価の空間寸法を有する。以下に記載されるように、本明細書で興味のある義歯フレームの部分は、比較的薄い(例えば、5mm未満または2mm未満さえの幅を有する)。普通の使用中の、義歯フレームの頻繁な挿入および口腔からの義歯フレームの取り外し、ならびに咀嚼は、かなりの量の曲げ応力を義歯フレームにかける。出願人は、比較的高いローディングレベルでの粒状添加剤の包含が義歯フレームの機械的完全性を危うくし、義歯フレームの寿命を著しく低下させることを見いだした。本明細書で興味のある義歯フレームについて、粒状充填材の総濃度は、ポリマー組成物の総重量に対して、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満である。当業者は、はっきりと開示された範囲内の追加の粒状充填材濃度が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。
【0022】
いくつかの実施形態において、粒状添加剤は、約100nm(「nm」)~約5マイクロメートル(「μm」)の平均一次粒子径(粒子の最長寸法での長さ)を有する。そのような実施形態において、粒状添加剤は、一次粒子の少なくとも約80%、少なくとも約95%、または少なくとも99%が平均径の約40%大きい、そして平均径の約700%未満の直径を有するような粒子径の分布を有することができる。さらなる実施形態において、粒状添加剤は、一次粒子の少なくとも約80%、少なくとも約95%、または少なくとも99%が平均径の約40%大きい、そして平均径の約300%未満の直径を有するような一次粒子径の分布を有することができる。代わりのまたは追加の実施形態において、粒状添加剤は、一次粒子の少なくとも約95%または少なくとも99%が平均径の約45%大きい、そして平均径の約200%未満の直径を有するような一次粒子径の分布を有することができる。当業者は、上にはっきりと開示された範囲内の追加範囲の平均一次粒子径および一次粒子径分布が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。一次粒子サイズ(ならびに平均一次粒子サイズおよび相当する分布)は、透過電子顕微鏡写真(TEM)によって測定することができる。明確にするために、「一次」粒子は、非凝集粒子を意味する。それらの小さいサイズのために、一次粒子は、ファドデルワールス(vad der Waals)力のために凝集体を形成する傾向がある。それにもかかわらず、一次粒子は、TEM画像において明らかに見ることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は繊維充填材を含まない。繊維充填材は、ガラス繊維および炭素繊維を含むか、それらに限定されない。口腔アプリケーション設定における繊維充填材の存在は、健康問題を提起し得る。したがって、いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に対して、約10重量%未満、好ましくは5重量%未満の繊維充填材を有する。
【0024】
義歯フレームの製造
本明細書に記載される義歯フレームは望ましくは、ミリングアプローチを用いて製造される。望ましいミリングアプローチは、ポリマー組成物を含む素材(blank)を切断して義歯フレームを製造する工程を含む(減法製造または機械ミリングとしても知られる)。望ましくは、素材は、ポリマー組成物を基本形状(例えば、棒)へと押し出し、その後所望の厚さを有するようにこの形状を切断することによって形成される。有利には、製造方法は、素材または義歯フレーム製造に関して射出成形アプローチを含まない。
【0025】
上に述べられたように、本明細書に記載されるポリマー組成物を含む義歯フレームは、選択ミリング法を用いて製造された場合に、射出成形法で製造された相当する義歯フレームと比べて、著しく改善されて寸法安定性を有することが意外にも見いだされた。射出成形において、融解ポリマー組成物は、意図される義歯フレーム設計のネガを形成する内部キャビティを有するモールド中へ射出されるか、または素材を形成する内部キャビティを有するモールド中へ射出成形され、その後義歯フレームへとミリングされる(以下に詳細に記載される)。射出成形技術で製造された義歯フレームのポリマー組成物は、著しく危うくなった寸法安定性と、相応して、その元の、意図される設計の義歯フレームの寸法厳守とを示すことが意外にも分かった。少なくともいくつかの場合には、厳守の喪失は、それが患者の口での使用を受け入れられない程度に義歯フレームの最終的な不適切な装備品をもたらした。他方では、ミリングアプローチを用いて製造された義歯フレームは、著しく増加した寸法安定性と、相応して義歯フレームの設計厳守とを有した。
【0026】
望ましいミリングアプローチは、義歯フレームを製造するためにポリマー組成物から形成された(以下に記載されるような)押出素材を切断することを含む。ミリング中に、刃具が、素材から材料を取り除いて義歯フレームを形成するために使用される。一実施形態において、刃具は、義歯フレームのネガ設計に相当する素材から材料を取り除くために素材と接触する刃先(例えば、ルータービットを含むが、それに限定されないドリルビット)を有する。本明細書での開示に基づいて、当業者は、具体的な義歯フレーム特徴およびポリマー組成物に応じて適切な刃具ならびに回転数およびルーティング速度などの使用パラメータを選択する方法を知るであろう。他の実施形態において、レーザーを刃具として使用することができる。本明細書での開示に基づいて、当業者は、具体的な義歯フレーム特徴およびポリマー組成物に応じてレーザーならびにパルス繰り返し数およびラスター速度などの使用パラメータを適切に選択することを知るであろう。
【0027】
いくつかの実施形態において、刃具は、コンピュータプロセッサを用いて望ましくは制御することができる。そのような実施形態において、コンピュータプロセッサは、刃具を移動させ、そしてその使用パラメータ(例えば、ドリルビットの回転速度)を制御する1つ以上の制御装置と電子的に連通していることができる。コンピュータプロセッサはまた、義歯フレームのデジタル表現を含有するメモリー(例えば、プロセッサキャッシュ、ランダムアクセスメモリーまたはハードドライブ、ソリッドステートドライブ、およびユニバーサルシリアルバス記憶装置を含むが、それらに限定されない他の物理メモリー)と電子的に連通していることができる。コンピュータプロセッサは、メモリーにアクセスし、位置決め、ならびに刃具の使用パラメータを制御して、素材からポリマー組成物を取り除き、所望の義歯フレームを形成することができる。そのようなコンピュータ支援ミリングアプローチの例としては、コンピュータ支援設計(「CAD」)ソフトウェアが、コンピュータプロセッサによって読み取り可能な、義歯フレームのデジタル表現を含有するデジタルファイルを創出するために用いられ、そしてコンピュータ支援製造(「CAM」)がデジタルファイルを読み取り、刃具を制御してデジタル表現に従って上に記載されたような義歯フレームを製造するために用いられる、CAD/CAMが挙げられるが、それに限定されない。CAM法を実施するための機械は、様々な方向に刃具またはミリングされるべき物体を移動させる。CAM機は、3軸(3つの並進軸に相当する)、4軸~6軸(3つの並進軸+1~3つの回転軸)または7軸装置であり得る。5軸および7軸CAM機が、義歯フレームの複雑な設計特徴に鑑みて特に望ましいものであり得る。いくつかの実施形態において、デジタル表現は、例えば、患者の口の直接光学読み取りまたは患者の口のモールドの光学読み取りによって得られる、患者の口のデジタル表現を含有するデジタルファイルを用いて得ることができる。この読み取りを用いると、義歯フレーム設計(例えば、義歯フレームの物理的寸法および特徴)、ならびに相当するデジタルファイルが、CADを用いることによって生み出すことができる。
【0028】
素材は、ポリマー組成物の固体ブロックである。素材は、ミリング機での使用に好適な任意の形状またはサイズであり得る。いくつかの実施形態において、円筒形素材(パックとしても知られる)を望ましくは使用することができる。いくつかのそのような実施形態において、円筒形素材は、約10ミリメートル(「mm」)~約70mmまたは約15mm~60mmの範囲の厚さ、および約20mmから、約40mmからまたは約70mmから約100mmまでの範囲の直径を有する。当業者は、はっきりと開示された範囲内の追加範囲の厚さおよび直径が考えられ、本開示の範囲内であることを認めるであろう。素材は、ポリマー組成物を押し出すことによって製造することができる。いくつかのそのような実施形態において、ポリマー組成物は、円筒形素材の所望の直径を有する棒へと押し出され、棒はその後、所望の厚さ(押し出された素材)を有するパックを形成するために押出の方向に垂直に切断される。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、それが押出機を出るときに切断することができる。他の実施形態において、素材よりも長い長さを有する棒を形成し、その後円筒形素材を形成するために切断することができる。上に指摘されたように、素材はまた、所望の素材寸法に相当する内部キャビティを有するモールド中へポリマー組成物を射出成形することによって形成されてもよく、そのような素材からミリングされた義歯フレームは、著しい寸法安定性を有する。
【0029】
義歯フレームおよび義歯
いくつかの実施形態において、義歯フレームは、義歯中へ組み込まれる。義歯は、シングルアーチ(例えば、上顎(上部)もしくは下顎(下部)アーチで患者の歯のすべてに取って代わる完全義歯、またはシングルアーチで患者の歯のすべて未満に取って代わる、部分義歯であってもよい。したがって、義歯が部分義歯である場合、それは、患者の既存の歯または差し歯を収容するように設計される。いくつかの態様において、義歯は、クリーニングのために患者の口から定期的に取り外されるように設計されている部分取り外し可能な義歯である。
【0030】
図1を参照すると、義歯100の構成要素には、義歯フレーム102と,義歯フレーム102によって支持された人造歯肉104と、人造歯肉104によって支持された人口歯106とが含まれる。人造歯肉104は好ましくは、少なくとも1種のアクリルポリマーを含み、患者の歯肉にマッチするために着色されてもよく、天然歯肉をまねていてもよい。同様に、人工歯106は、天然歯の形状および色をまねている。
【0031】
いくつかの態様において、歯科プロテーゼは、義歯フレーム、好ましくは部分取り外し可能な義歯フレームである。義歯フレームは、プラスチックの単一片から形成されてもよく、金属を含まなくてもよい。本明細書で用いるところでは、金属を含まない義歯フレームは、義歯フレームの1重量%未満の金属を含む。本明細書で用いるところでは、「金属」は、例えば、金、銀、白金、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼などの元素金属またはそれらの合金を意味する。
【0032】
いくつかの実施形態において、義歯フレーム中のポリマー組成物の少なくとも部分は、21%よりも大きい結晶化度を有し、ポリマー組成物は、ポリマー材料の総重量を基準として63重量%未満のPAEKを含み、ここで、結晶化度は、ASTM D3418-03、E1356-03、E793-06、およびE794-06に従って示差走査熱量測定法(DSC)による第2加熱サイクルからの融解エンタルピーの測定によって求められる。図2および3を参照すると、義歯フレーム200は、人造歯肉(示されていない)の取り付けに合わせられた義歯フレームの部分である、保持グリッド202を含む。保持グリッドは、人造歯肉の取り付けに役立つために義歯フレーム200を通って伸びる1つ以上の保持穴204を含む。穴は、10平方ミリメートル(mm)未満、7mm未満、または5mm未満の面積(例えば、開口径)を有することができる。義歯フレームは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも6つ、好ましくは少なくとも8つまたはそれ以上の穴を含んでもよい。穴は、人造歯肉材料を義歯フレーム上へ固定するために保持グリッド内に位置してもよい。言い換えれば、人造歯肉が義歯フレームに取り付けられる場合に、人造歯肉の材料は、義歯フレームへの人造歯肉の機械的接着に役立つために保持グリッド中の穴を通って伸びてもよい。患者のニーズに応じて、保持グリッドは、患者の既存の天然歯肉組織の形状に接着するために平坦であるかまたは湾曲していることができる。
【0033】
義歯フレームは、フィニッシュラインをさらに含んでもよい。図2および3を参照すると、フィニッシュライン206は、保持グリッド202の1つ以上の側面上で保持グリッド202に結合している義歯フレーム200における尾根である。人造歯肉(示されていない)が義歯フレーム200に取り付けられる場合、フィニッシュライン206は、人造歯肉が義歯フレーム200と接触している人造歯肉の縁に沿って伸び、この縁とインターフェイスをとる。
【0034】
出願人は、改善された柔軟性および耐久性を有するポリマー組成物と併せて、実質的に平坦な内面を持ったフィニッシュラインを有する義歯フレームは、人造歯肉を含む義歯中へ組み込まれた場合に、著しく改善された構造的完全性を有することを見いだした。上に記載されたように、義歯は、人造歯肉と接触したフィニッシュラインを有する義歯フレームを含む。フィニッシュラインは、義歯フレームのトップに向けて配置された、先端と、義歯フレームのボトムに向けて配置された、基部とを有する。フィニッシュラインのトップと基部との間の2つの表面は、内面(義歯フレームが義歯へと組み立てられる場合に人造歯肉と接触するように配置構成された表面)および外面と言われる。本明細書で興味のあるフィニッシュラインは、口で使用される場合に人造歯肉とともに曲がる、実質的に平坦な内面を有する。義歯フレーム中で人造歯肉を保持するのに役立つために内面がカップ状であるフィニッシュライン設計と比べて、屈曲から生じる本明細書で興味のあるフィニッシュラインにかかるストレスは、以下により詳細に記載されるように、実質的な平坦な内面のために、著しく減少する。本明細書で用いるところでは、実質的に平坦な内面は、(i)基部におよび(ii)フィニッシュラインの方向に垂直である軸(「基準軸(Reference Axis)」)の20度以内に配向している表面を意味する。内面は、先端を含み、そして基部に向かって伸びる表面にわたって少なくとも85%を上回って基準軸の20度以内に配向している。いくつかの実施形態において、内面は、先端を含み、そして基部に向かって伸びる表面にわたって少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を上回って基準軸の20度以内に配向している。いくつかの実施形態において、フィニッシュラインは、フィニッシュラインの長さの少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%を上回って、約0.5mm~約1.5mmのフィニッシュラインの横断面における先端から基部までの直線距離を有する。いくつかの実施形態において、フィニッシュラインは、フィニッシュラインの長さの少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%に沿って実質的に平坦な内面を有する。フィニッシュラインの長さは、端点から端点まで(例えば、出発点から終点まで)先端に沿ったその長さである。
【0035】
実質的に平坦な表面は、その方向に垂直のフィニッシュラインの横断面を見ることによってさらに理解することができる。フィニッシュラインの方向は、トップダウン配向で義歯フレームを見ることによって決定することができる。そのような観点で、フィニッシュラインの先端は、曲線を図示する。フィニッシュラインに沿った任意の点(例えば、横断面がとられる点)で、その方向は、当該点において接線に沿って配向している。図4は、フィニッシュラインを示す義歯フレームの部分のトップダウンビューを示す略図である。図4を参照すると、フィニッシュライン402は、保持グリッド404に隣接している。点406でのフィニッシュライン402の配向は、方向408に沿っている。同様に、点410でのフィニッシュライン402の配向は、方向412に沿っている。フィニッシュライン402の長さは、端点414から端点416までのその長さである。
【0036】
フィニッシュラインの横断面に関して、図5は、フィニッシュラインを示す義歯フレームの領域の透視図の略図である。義歯フレーム領域500は、保持グリッド504に隣接したフィニッシュライン502を有する。点506において、フィニッシュライン502は、フィニッシュライン軸510の方向に垂直である、横断面508を有する。軸512は、横断面508の平面にあり、フィニッシュライン502の基部509を外面514上の点511においておよび内面(表示されていない)上で点513において横切る。
【0037】
図6を参照すると、フィニッシュライン502は、外面514および内面516を有する。外面514は、保持グリッド504から離れて配向しており、内面516は、保持グリッド504に向けて配向している。内面516は、実質的に平坦な表面である。内面516は、先端520から、基部509に向けて伸びる内面516の領域にわたって少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を上回って基準軸518の20度以内に配向している。いくつかの実施形態において、内面516は、フィニッシュライン502の長さの少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%に沿って実質的に平坦である。
【0038】
実質的に平坦な内面は、代わりのフィニッシュライン設計と比べて、破壊なしにフィニッシュラインのより大きい屈曲を可能にする。特に、カップ状内面を有する代わりのフィニッシュラインは、少なくとも(a)それらが、人造歯肉を適所に保持するのに役立つ、および(b)それらが、口中で食品および他のデブリが人造歯肉とフィニッシュラインとの間に捕捉されるのを防ぐのに役立つので、熱可塑性義歯フレームにおいて幅広く使用されている。図7は、カップ状内面を持ったフィニッシュラインを示す義歯の部分および人造歯肉の部分の横断面の略図である。図7Aを参照すると、フィニッシュライン702は、人造歯肉706を保持するのに役立つ、カップ状内面704を有する。カップ状内面704は、(保持グリッド710とは反対の)方向708での歯肉706の移動を制限するのに役立つ、ならびにデブリ(例えば、食品)が人造歯肉706とフィニッシュライン702との間に捕捉されることになるのを防ぐのに役立つ。しかしながら、口に使用される場合、人造歯肉706およびフィニッシュライン702は曲がることができる(義歯フレームの他の構成要素もまた曲がることができる)。そのような屈曲は、破損を引き起こす可能性がある、かなりのストレスをフィニッシュライン702にかけ得ることが分かった。図7Bは、先に記載されたような、屈曲下のフィニッシュライン702を描く。カップ状内面704のために、人造歯肉706が曲がるにつれて、人造歯肉706およびフィニッシュライン702は、押し開かれ、空洞714を創出し、そして領域712によって図式的に描かれるように、フィニッシュライン702を印加ストレス下に著しく変形させる。印加ストレスは、フィニッシュライン702を、その比較的薄い設計のために、例えば領域712において、破壊させ得る。
【0039】
実質的に平坦な内面を組み込んだフィニッシュラインは、保持ラインおよび義歯フレーム破損のリスクを著しく減らすことができる。実質的に平坦な内面は、カップ状内面を有する設計と比べて、人造歯肉の屈曲時のフィニッシュラインへのストレスを減らす。内面は人造歯肉を適所に保持するのに役立たない(例えば、少なくとも部分的に、表面が実質的に平坦であるという事実のために)ので、人造歯肉の屈曲でのフィニッシュラインの屈曲は、著しく減らされ、フィニッシュラインにかかるストレスを減らす。言い換えれば、保持グリッドへの結合の不在では、人造歯肉は、保持グリッドとは反対の方向(例えば、図6において方向522、基準軸518に平行に)に義歯フレームからスライド可能なように剥離し得るし、それは、フィニッシュラインが人造歯肉を屈曲中に適所に保持するのを妨げるのに役立つ。さらに、改善された柔軟性を有するポリマー組成物と組み合わせて、屈曲下の構造的完全性は、もっとさらに改善される。
【0040】
フィニッシュラインの外面は一般に、基部から人造歯肉まで平滑な移行を形成するために造形される。いくつかの実施形態において、基準軸に対する外面の角度大きさ(の絶対値)は、先端からそして基部に向かって伸びる内面の領域の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%にわたって、内面のそれ未満である。そのような実施形態において、フィニッシュラインは、フィニッシュラインの長さに垂直の平面において非対称横断面を有する(例えば、横断面は、基準軸に平行な対称軸を欠く)。例えば、図5および6を再び参照すると、外面514は、基部509から(点511での)先端520までの円滑な移行を提供する。外面514と基準軸518との間の角度の大きさは、先端520から位置524までの内面516の領域(先端からそして基部に向けて伸びる内面の領域の少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%)にわたって内面516と基準軸518との間の角度の大きさよりも大きい。さらに、描かれるフィニッシュライン502の横断面508は、基準軸518に平行の対称軸を欠く。他の実施形態において、基準軸に対する外面の角度の大きさは、先端から基部までの内面のそれと実質的に同じもの(10°以内)である。そのような実施形態において、フィニッシュラインは、フィニッシュラインの長さに垂直の平面において対称横断面を有する(例えば、横断面は基準軸に平行の対称軸を有する)。例えば、図8は、対称横断面を有するフィニッシュラインを示す義歯フレームの部分の横断面の略図である。フィニッシュライン802は、実質的に平坦な内面804および外面806を有する。基準軸808との外面806の角度の大きさは、基準軸808との内面804の角度と実質的に同じ大きさである。さらに、フィニッシュライン802の横断面は、基準軸808に沿って対称軸を有する。基準軸808は、軸810に垂直である。
【0041】
義歯フレームはまた、部分的に取り外し可能な義歯フレームとの関連で、義歯フレームを患者の既存の天然歯または差し歯に摩擦フィットさせること(friction fitting)によって患者の口において義歯フレームを固定する架台または締め具を含んでもよい。出願人は、本ポリマー組成物から製造された義歯フレームが、義歯フレームのフィットおよび保持を向上させる締め具および架台の使用を可能にする増加した靱性、柔軟性、および寸法安定性を示すことを意外にも見いだした。
【0042】
図2および3を再び参照すると、いくつかの実施形態において、義歯フレーム200は、義歯フレーム200から、患者の天然歯210または差し歯(示されていない)の巻きコート(wrap around)およびグリップアンダーカット214まで伸びる少なくとも1つの締め具208を含んでもよく、それによって患者の口212において義歯フレーム200を摩擦嵌合させる。
【0043】
ポリマー組成物の増加した柔軟性および減少した脆弱性は、例えば、金属義歯フレームまたはポリマー組成物の唯一のポリマー成分としてPEEKを含有する相当するポリマー組成物を有する義歯フレームで以前に可能であったものよりも良好なフィットおよび保持を提供するために、より耐久性があり、かつ、患者の既存の歯または差し歯のアンダーカット中へさらにフィットする締め具の設計を可能にすることが発見された。
【0044】
図2および3を再び参照すると、いくつかの実施形態において、義歯フレーム200は、義歯フレーム200を患者の口212において適所に保持するのに役立つ架台216を含む。架台は、患者の天然歯または差し歯の咬合表面上へ伸びる義歯フレームの部分である。架台は噛む間に対合歯と接触し得るので、それは、耐衝撃性でなければならず、すり減ることになり得る。本ポリマー組成物が、その靱性および柔軟性のために架台での使用に特に好適であることが分かった。
【実施例0045】
本発明はこれから、その目的が例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図されない、以下の実施例に関連してより詳細に説明される。
【0046】
出発材料
実施例を調製するために次の原材料を使用した:
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.から入手可能なKetaSpire(登録商標)PEEK KT-820 NL Q
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.から入手可能なRadel(登録商標)PPSU R-5000 NTおよびR-5100 P NT
二酸化チタン(TiO2)-銘柄:Chemoursから入手可能なTiPure(登録商標)R105
【0047】
ブレンド調製
各調合物を、48:1のL/D比を有する26mm直径Coperion(登録商標)ZSK-26共回転部分噛合二軸スクリュー押出機を用いて溶融配合した。
【0048】
各場合に、樹脂および添加剤を、30~40ポンド/時の範囲の押出量で重量測定フィーダーを用いてバレル区域1に供給した。押出機を約200RPMのスクリュー速度で運転した。真空を、約27インチの水銀の真空レベルでバレルゾーン10に適用した。シングルホールダイをコンパウンドすべてについて使用し、ダイを出る溶融ポリマーストランドを水トラフ中で冷却し、次にペレタイザで切断して、長さおよそ3.0mm×直径2.7mmのペレットを形成した。
【0049】
射出成形
実施例調合物を射出成形して機械的特性試験用の厚さ3.2mm(0.125インチ)ASTM引張および曲げ検体を生み出した。タイプI引張ASTM検体および5インチ×0.5インチ×0.125インチ曲げ検体を射出成形した。
【0050】
機械的試験
機械的特性を、1)ISO試験片80×10×4mm、および2)2×3×0.125インチ・プラークからなる射出成形試験検体を使用して試験した。以下の試験方法を、組成物の評価に用いた。
ASTM D-638:引張特性:引張降伏点強度、引張弾性率および引張降伏点伸び
ASTM D790:曲げ特性
ASTM D792:密度および比重
ASTM D256:ノッチ付きアイゾット耐衝撃性
機械的試験の結果を表1に下で示す。
【0051】
【0052】
寸法安定性試験
実施例3の組成物の押出および射出成形円筒形素材から製造された義歯フレームの寸法安定性を評価した。
【0053】
実施例3の組成物を、直径98mmおよび厚さ18mmである円筒形素材(すなわち、素材)へと射出成形した。同一サイズの素材をまた、実施例3の組成物の棒を押し出し、棒を切断して押出素材を形成することによって調製した。
【0054】
下顎印象を患者の口から取り、それから石膏像を調製した。石膏像を3Shape D750 Lab Scannerを用いて読み取って患者の歯の電子モデルを創出した。義歯フレームを、CAD/CAM技術を用いるコンピュータを用いて設計し、同一造形義歯フレームを各素材からミリングした。ミリングの後に、各義歯フレームのフィットを目視検査によってキャストモデルに関して評価した。義歯フレーム上のすべての架台がキャストモデル上のそれらの架台台座とフルコンタクトしたときに、フレームワークはしっかりと据え付けられたと考えた。各義歯フレームは、ミリング直後にキャストモデルに十分にフィットする。おおよそ24時間後に、各義歯フレームのフィットを目視検査によって再評価した。押出素材からミリングされた義歯フレームは良好なフィットを示し続けたが、射出成形素材からミリングされた義歯フレームは、フレームを使用できないようにする、それらの元の寸法から2mmを上回るひずみを有することが分かった。
【0055】
したがって、義歯フレームが射出成形素材と比べて押出素材からミリングされる場合に寸法安定性が増加し、フィットが維持されることが意外にも発見された。
【0056】
色安定性試験
コーヒー(口腔環境において見いだされる典型的な汚染剤)への暴露後の実施例3および比較例C1の組成物の色安定性を、修正AL-PCL-MEC-LTM-077試験方法を用いて評価した。
【0057】
色チップの形態での6つの試験検体を、射出成形によって材料のそれぞれから調製した。
【0058】
コーヒー汚染液を、Nestleから入手可能な、20gのNescafe Clasico(商標)深煎りコーヒーを1000mlの沸騰蒸留水に添加することによって調製した。
【0059】
各検体についての色変化を、XRite(登録商標)Color i7800分光光度計を用いて評価した。分光光度反射率を、各試験検体に関する測定を三通り行って、360から750nmまで測定した。
【0060】
各検体を、分光光度データをベースライン測定として集める前に、それを37±1℃で24時間蒸留水中に入れることによって順化させた。順化後に、37±1℃で30日間、各材料の3つの試験検体をコーヒー汚染液中に浸漬し、残りの3つの検体を対照として蒸留水中に浸漬した。試験検体を30日後に取り出し、分光光度計で分析した。各試験検体を、室温(21℃)で10分間それをNey Ultrasonic 28Bクリーナー中に入れることによってきれいにした。このクリーニング液は、Quala Dental Productsから入手可能なUltrasonic Solution #4 TartarおよびStain Removerであった。スペクトル分析をまたクリーニング後に行った。
【0061】
色は、L*座標が明度(黒から白)スケールを表し、a*座標が緑-赤色度を表し、b*スケールが青-黄色度を表す、CIE 1976 L-a-b座標標準に従って測定した。デルタE[ΔE=((ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2)1/2]値は、各読みと順化後および汚染前に測定されたベースラインとの間の差として分光光度計結果から計算した。ΔE値を用いて色安定性を評価し、より高い値はより高いレベルの汚染を示す。
【0062】
色安定性試験の結果を表2に下で示す。
【0063】
【0064】
表2に示されるように、実施例3および比較例1の組成物は、それぞれ、17.557および5.861のΔEによって示されるようにコーヒー汚染液中での30日後に汚染の増加をそれぞれ示した。しかしながら、クリーニング後に、実施例3の組成物は、比較例1の組成物よりも著しく大きい汚染の減少および低いΔEを意外にも示した。
【0065】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0066】
さらなる発明コンセプト:
1.ポリマー組成物を含む義歯フレームであって、
ポリマー組成物が、
(i)ポリマー組成物の総重量に対して、約30重量%~約80重量%の少なくとも1種のポリ(エーテルエーテル)ケトン(「PEEK」)ポリマーと;
(ii)ポリマー組成物の総重量に対して、約10重量%~約60重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホン(「PPSU」)ポリマーと;
(iii)顔料を含む約30重量%未満の粒状充填材と
を含む義歯フレーム。
2.粒状充填材が、100nm~5μmの平均一次粒子径を有する、発明コンセプト1に記載の義歯フレーム。
3.粒状充填材がTiOを含む、発明コンセプト1または2のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
4.ポリマー組成物が繊維充填材を含まない、発明コンセプト1~3のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
5.実質的に平坦な内面を含む少なくとも1つのフィニッシュラインをさらに含む、発明コンセプト1~4のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
6.フィニッシュラインが、フィニッシュラインの長さに垂直の平面において非対称横断面を有する、発明コンセプト5に記載の義歯フレーム。
7.約10mm未満の面積を有する少なくとも1つの保持穴を含む保持グリッドをさらに含む、発明コンセプト1~6のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
8.発明コンセプト1~7のいずれか一つに記載の義歯フレームを含む義歯であって、義歯が、保持グリッド上に配置され、そしてフィニッシュラインの内面と接触した人造歯肉を含む義歯。
9.人造歯肉と接触して少なくとも1つの人工歯をさらに含む、発明コンセプト8に記載の義歯。
10.架台をさらに含む、発明コンセプト1~9のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
11.締め具をさらに含む、発明コンセプト1~10のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
12.発明コンセプト1~11のいずれか一つに記載の義歯フレームであって、
少なくとも1種のPEEKポリマーが、次式:
(ここで、Rは、場合ごとに、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、および第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;iは、場合ごとに、0~4の独立して選択される整数であり、好ましくは、各iはゼロである)
のいずれか一つで表され、
少なくとも1種のPPSUポリマーが、次式:
(ここで、Rは、場合ごとに、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、および第四級アンモニウムから独立して選択され;jは、場合ごとに、0~4の独立して選択される整数であり、好ましくは、jはゼロである)
のいずれか一つで表される義歯フレーム。
13.少なくとも1種のPEEKポリマーの濃度が、ポリマー組成物の総重量に対して、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%または少なくとも約55重量%であり、そして約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下または約65重量%以下である、発明コンセプト~12のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
14.少なくとも1種のPPSUポリマーの濃度が、ポリマー組成物の総重量に対して、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%または少なくとも約30重量%であり、そして約60重量%以下、約50重量%以下、約55重量%以下、約50重量%以下、約45重量%以下または約40重量%以下である、発明コンセプト1~13のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
15.顔料の総濃度が、ポリマー組成物の総重量に対して、百重量部当たり少なくとも約0.1部(「pph」)、少なくとも約1pph、少なくとも約1pph、少なくとも約2pph、少なくとも約3pphおよび約25pph以下、約15pph以下、約10pph以下または約7pph以下である、発明コンセプト1~14のいずれか一つに記載の義歯フレーム。
16.義歯フレームの形成方法であって、この方法が、
ポリマー組成物を含む素材から発明コンセプト1~16のいずれか一つに記載の義歯フレームをミリングする工程
を含む方法。
17.素材が円筒形素材を含む、方法発明コンセプト16。
18.円筒形素材が、約10mm~約70mmの厚さおよび直径約20mm~約100mmを有する、発明コンセプト17に記載の方法。
19.素材を二次加工する工程をさらに含む、発明コンセプト18に記載の方法であって、二次加工する工程が、ポリマー組成物を約20mm~約100mmの直径を有する棒へと押し出すこと、および棒を切断して円筒形素材を形成することを含む方法。
20.ミリング工程が、コンピュータ支援製造(「CNC」)機を用いて素材をミリングして義歯フレームを形成することを含む、発明コンセプト16~19のいずれか一つに記載の方法。
21.CNC機が、メモリーと電子的に連通しているコンピュータプロセッサを含み;
コンピュータプロセッサがメモリーにアクセスして患者の口のデジタル表現を含むデジタルファイルを読み取り;そして
CNCが、患者の口のデジタル表現に従って刃具を導いて素材から材料を取り除き、義歯フレームを形成する
発明コンセプト20に記載の方法。
22.患者の口のデジタル表現を創出する工程をさらに含む、発明コンセプト21に記載の方法であって、創出する工程が、患者の口の光学読み取りを行うことを含む方法。
23.患者の口のデジタル表現を創出する工程をさらに含む、発明コンセプト21に記載の方法であって、創出する工程が、患者の口のモールドの光学読み取りを行うことを含む方法。
24.刃具がドリルビットまたはレーザーを含む、発明コンセプト21~23のいずれか一つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-7B】
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】