(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115923
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】逐次ハイブリダイゼーションバーコーディングによる分子の多重標識化
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6876 20180101AFI20220802BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20220802BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20220802BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/34
【審査請求】有
【請求項の数】58
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074240
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2019189650の分割
【原出願日】2014-04-30
(31)【優先権主張番号】61/971,974
(32)【優先日】2014-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/817,651
(32)【優先日】2013-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.トライトン
2.MATLAB
3.Python
(71)【出願人】
【識別番号】508032284
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ローン ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】エリック リューベック
(72)【発明者】
【氏名】ティムール ジーエンタエフ
(72)【発明者】
【氏名】アフメト コスクン
(72)【発明者】
【氏名】ティーン‐ファーン ホーァ
(72)【発明者】
【氏名】チャーン ホ ソン
(72)【発明者】
【氏名】シェール シャー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単一細胞についての細胞中の転写物又はDNA遺伝子座をプロファイリングする有効な新たな技術を提供する。
【解決手段】本発明は、とりわけ、細胞、組織、臓器又は生物における核酸を検出し、且つ/又は定量化するための技術を提供する。また、いくつかの実施形態において、逐次バーコーディングにより、本発明は、転写物及び/又はDNA遺伝子座のような多数の標的の高処理プロファイリングの方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物が少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されている、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む組成物。
【請求項2】
キットが少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと、
(iii)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1、第2又は第3の検出可能な部分により標識されており、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチドと、
(iv)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1、第2、第3又は第4の検出可能な部分により標識されており、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4オリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4オリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方である、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含むキット。
【請求項3】
各オリゴヌクレオチドがフルオロフォアにより標識されている、請求項1又は2に記載の組成物又はキット。
【請求項4】
第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、異なる転写物又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項5】
第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項6】
複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項5に記載の組成物又はキット。
【請求項7】
第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、異なるオリゴヌクレオチド配列を有する、請求項5に記載の組成物又はキット。
【請求項8】
第1及び第2の検出可能な部分が異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項9】
第1及び第2の検出可能な部分が同じである、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項10】
第1及び第2のオリゴヌクレオチドが、68%未満の配列同一性を共有している、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項11】
各オリゴヌクレオチドが他のいずれのオリゴヌクレオチドとも50%未満の配列同一性を共有している、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項12】
各オリゴヌクレオチドの長さが29塩基対未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項13】
複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも10種の転写物又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項14】
少なくとも2つの検出可能な部分を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項15】
(iii)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(iv)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4オリゴヌクレオチド
をさらに含み、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4オリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
第3のオリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドと配列が同じである、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項17】
第3のオリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項18】
第4のオリゴヌクレオチドが、第2のオリゴヌクレオチドと配列が同じである、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項19】
第4のオリゴヌクレオチドが、第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物又はキット。
【請求項20】
(a)組成物が少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の核酸を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、複数の核酸を含む細胞を、オリゴヌクレオチドのそれぞれが核酸を標的とし、検出可能な部分により標識されている、第1の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第1の接触ステップを実施するステップと、
(b)第1の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との相互作用が検出されるように第1の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(c)第2の複数のオリゴヌクレオチドが少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の核酸を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ核酸を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているという点が第2の複数のオリゴヌクレオチドが第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なるように、また第2の複数のオリゴヌクレオチドにおいて、
(iii)第3のオリゴヌクレオチドが、第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分又は第3の検出可能な部分により標識されており、
(iv)第4のオリゴヌクレオチドが、第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分、第3の検出可能な部分又は第4の検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方であるように、
細胞を、第1の複数のオリゴヌクレオチドにより標的とされる重複核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含む、第2の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第2の接触ステップを実施するステップと、
(d)第2の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との相互作用が検出されるように第2の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(e)同じ核酸を標的とするオリゴヌクレオチドの検出可能な部分の標識の少なくとも1つの差のため、それぞれの用いられる複数のオリゴヌクレオチドが他の用いられる複数のオリゴヌクレオチドとそれぞれと異なる、第1及び第2の複数のオリゴヌクレオチドにより標的にされる重複核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含む新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを毎回用いて、接触及びイメージングステップを場合によって反復するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
(a)組成物が少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチド
を含むように、複数の転写物及びDNA遺伝子座を含む細胞を、それぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されている、第1の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第1の接触ステップを実施するステップと、
(b)第1の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的とのハイブリダイゼーションが検出されるように第1の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(c)第2の複数のオリゴヌクレオチドが少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているという点が第2の複
数のオリゴヌクレオチドが第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なるように、また第2の複数のオリゴヌクレオチドにおいて、
(iii)第3のオリゴヌクレオチドが第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分又は第3の検出可能な部分により標識されており、
(iv)第4のオリゴヌクレオチドが、第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分、第3の検出可能な部分又は第4の検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方であるように、
細胞を、第1の複数のオリゴヌクレオチドにより標的とされる重複転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む、第2の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第2の接触ステップを実施するステップと、(d)第2の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的とのハイブリダイゼーションが検出されるように第2の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(e)同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドの検出可能な部分の標識の少なくとも1つの差のため、それぞれの用いられる複数のオリゴヌクレオチドが他の用いられる複数のオリゴヌクレオチドとそれぞれと異なる、第1及び第2の複数のオリゴヌクレオチドにより標的にされる重複転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを毎回用いて、接触及びイメージングステップを場合によって反復するステップと
を含む、方法。
【請求項22】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、F個の検出可能な部分を含み、Fが少なくとも2である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
N回の接触ステップを含み、Nが少なくとも2である、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、(F)Nの転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、(F)N未満の転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする、請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
イメージングステップの後に、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを場合によって含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
各イメージングステップの後に、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを含む、請求項20から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
除去するステップが、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを消化する酵素と接触させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
除去するステップが、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをDNアーゼと接触させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
除去するステップが、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをRNアーゼと接触させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
除去するステップが光退色を含む、請求項20から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
それぞれの複数のオリゴヌクレオチドが、同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項20から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じ色をもたらすフルオロフォアにより標識されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じフルオロフォアにより標識されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが他のオリゴヌクレオチドと異なる、請求項20から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されており、第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと同じ検出可能な部分により標識されているか、又は第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと同じ検出可能な部分により標識されており、第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている、請求項20から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されており、第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている、請求項20から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドによるそれらの標的とのハイブリダイゼーションが検出されるようにイメージングステップが、接触ステップ後の細胞をイメージングすることを含む、請求項20から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
HCR、光シート顕微鏡法、CLARITY又はそれらの組合せをさらに含む、請求項20から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
それぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの標的があらかじめ決定されている、請求項1から40のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項42】
それぞれの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量があらかじめ決定されている、請求項1から41のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項43】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、標的にハイブリダイズした中間オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする、請求項1から42のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項44】
中間オリゴヌクレオチドが、標的の配列と相補的な配列及び検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと相補的なオーバーハング配列を含む、請求項43に記載の組成物、キッ
ト又は方法。
【請求項45】
標的にハイブリダイズした2つ以上の中間オリゴヌクレオチドが存在する、請求項1から44のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項46】
それぞれの中間オリゴヌクレオチドが、同じオーバーハング配列を含む標的にハイブリダイズした、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが5’-リン酸化を含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項48】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが1つ又は複数のウラシルを含む、請求項1から47のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項49】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、中間オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションの後に陥凹3’末端を有する、請求項43から46のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項50】
(f)複数の核酸を含む細胞を、それぞれが
(i)核酸を標的とし、検出可能な部分により場合によって標識されており、
(ii)標的とのハイブリダイゼーションの後にオーバーハング配列を含む、
複数の中間オリゴヌクレオチドと接触させることを含む接触ステップを実施するステップと、
(g)中間オリゴヌクレオチドとそれらの標的との相互作用が検出されるように細胞を場合によってイメージングするステップと
をさらに含む、請求項20から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
中間オリゴヌクレオチドが、検出可能な部分により標識されていない、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(g)が存在しない、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(f)及び場合によるステップ(g)をステップ(a)の前に実施する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
除去するステップが中間オリゴヌクレオチドを破壊しない、請求項20から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
核酸が転写物又はDNA遺伝子座である、請求項50から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
細胞がヒト細胞である、請求項20から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
細胞が組織又は臓器内に存在する、請求項20から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドがHCRにより標識されている、請求項1から57のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項59】
少なくとも1つの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、転写物又はDNA遺伝子座とハイブリダイズする中間オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする、請求項1から
58のいずれか一項に記載の組成物、キット又は方法。
【請求項60】
エキソヌクレアーゼIII、ラムダエキソヌクレアーゼ又はウラシル特異的切除試薬の使用を含む除去するステップを含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
試料をその側面から照射する、光シート顕微鏡。
【請求項62】
試料をその側面から照射し、光シートが試料ステージと平行である、請求項61に記載の顕微鏡。
【請求項63】
光シートが検出対物レンズ対して垂直である、請求項61又は62に記載の顕微鏡。
【請求項64】
試料がz軸に沿って走査される、請求項61から63のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項65】
1)ニッキングエンドヌクレアーゼ部位が両端に隣接している、第1の配列を含む第1の核酸を準備するステップと、
2)第1の核酸又は第1の核酸の一部を増幅して、第1の配列及びフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位を含む第2の核酸を得るステップと、
3)第2の核酸をフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位に対応する1つ又は複数のニッキングエンドヌクレアーゼと接触させるステップと
を含む、第1の配列を含む標的核酸を調製する方法。
【請求項66】
2つのフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位が同じである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
同じニッキングエンドヌクレアーゼ部位に対応する1つのニッキングエンドヌクレアーゼを用いる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
2つのフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位が異なる、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
それぞれが独立にニッキングエンドヌクレアーゼ部位に対応する、2つのニッキングエンドヌクレアーゼを用いる、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
2本鎖核酸が一本鎖核酸に変換される変性ステップを含む、請求項65から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
1)少なくとも1つの制限部位が両端に隣接している、第1の配列又はその相補的配列を含む第1の核酸を準備するステップと、
2)第1の核酸又は第1の核酸の一部を増幅して、第1の配列及び少なくとも1つのフランキング制限部位を含む第2の核酸を得るステップと、
3)第2の核酸を少なくとも1つのフランキング制限部位に対応する制限酵素と接触させて、陥凹末端を含む第3の核酸を得るステップと、
4)第3の核酸をヌクレアーゼと接触させて、第1の配列を含む鎖を保持しながら、もしあれば、相補的配列を含む鎖を選択的に消化するステップと
を含む、第1の配列を含む標的核酸を調製する方法。
【請求項72】
第1の配列又はその相補的配列の両端に制限部位が独立に隣接している、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
第2の核酸を少なくとも1つのフランキング制限部位のそれぞれに対応する制限酵素と接触させる、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
相補的配列を含む鎖が制限消化後に3’陥凹末端を有する、請求項71から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
第1の配列を含む鎖が制限消化後に5’陥凹末端を有する、請求項71から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼIIIである、請求項71から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
標的核酸がDNAである、請求項65から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
標的核酸が第1の配列と同じ配列を有する、請求項65から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
第2及び/又は第3の核酸が次の接触ステップの前に場合により独立に修飾される、請求項65から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
標的核酸が、標的にハイブリダイズする第1の配列、及びHCRにより標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする第2の配列を含む、中間オリゴヌクレオチドである、請求項65から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
標的核酸が架橋プローブである、請求項65から79のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、2013年4月30日に出願した米国仮特許出願第61/817,651号及び2014年3月28日に出願した第61/971,974号の優先権を主張するものである。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
米国政府は、国立衛生研究所により授与された助成金第R01HD075605号に基づき本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
細胞の転写プロファイリングは、多くの目的のために必須のものである。単一細胞中の複数のmRNAsを解像し得る顕微鏡イメージングは、細胞の同定(cell identify)の分子的基礎を理解し、疾患の治療法を開発するために重要である、転写物量及び局在化に関する貴重な情報を提供し得る。したがって、例えば、顕微鏡イメージングにより細胞中の転写物をプロファイリングするための新規で、改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特に単一細胞について、細胞中の転写物又はDNA遺伝子座をプロファイリングするための既存の技術に関連する課題又は欠陥への一定の洞察を提供する。さらに、本発明は、単一細胞についてのそれを含む、有効なそのようなプロファイリングを達成するための新たな技術を提供する。提供される技術は、例えば、単離細胞、組織における細胞、臓器における細胞及び/又は生物における細胞のプロファイリングに広く有用である。
【0005】
例えば、本発明は、単一細胞RNA-seq又はqPCRのような既存の技術が単一細胞を単離し、多ウェル構成に導入することを必要とするものであり、これが法外な費用がかかり、労働集約的であり、アーチファクトを起こしやすい多段階過程であるという洞察を提供する。さらに、本発明は、最初にmRNAをDNA鋳型に変換するために酵素反応を用いる既存のin situ配列決定技術が非常に非効率的であり(例えば、mRNAのDNAへの変換過程において)、そのため、わずかな割合のRNAsが変換され、検出されることがあり得ることを認識するものである。本発明は、RTについて1%、PLAについて10%と推定される、そのような低い効率の1つの主な不利な面は、それが遺伝子発現測定におけるかなりのノイズとバイアスを導入し得ることであるという個別的な洞察を提供する。本発明は、単一分子蛍光in situハイブリダイゼーション法(smFISH)を用いる既存のスペクトルmRNAバーコーディング技術が、大規模化のために異なるフルオロフォアを必要とし、発生させることができるバーコードの数が制限され得ることをさらに認識する。smFISHは、ハイブリダイゼーション中にプローブをバーコーディングサブセットに分割することも必要とする。smFISHでは、しばしば標的について2種以上の色を用いるため、これが画像における高密度の対象を生じさせ、これがデータ解析の複雑さを増大させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
とりわけ、本発明は、本発明に先行する方法に関連する1つ若しくは複数又は全ての問題を克服する、例えば、転写物及び/又はDNA遺伝子座をプロファイリングするための
新たな技術を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、異なる標的の多重化を可能にする逐次バーコーディングスキームにより細胞中の複数の標的、例えば、転写物又はDNA遺伝子座を検出する方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)組成物が少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の核酸を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、複数の核酸を含む細胞を、オリゴヌクレオチドのそれぞれが核酸を標的とし、検出可能な部分により標識されている、第1の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第1の接触ステップを実施するステップと、
(b)第1の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との相互作用が検出されるように第1の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(c)第2の複数のオリゴヌクレオチドが少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の核酸を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ核酸を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているという点が第2の複数のオリゴヌクレオチドが第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なるように、また第2の複数のオリゴヌクレオチドにおいて、
(iii)第3のオリゴヌクレオチドが第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分又は第3の検出可能な部分により標識されており、
(iv)第4のオリゴヌクレオチドが第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分、第3の検出可能な部分又は第4の検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方であるように、
細胞を、第1の複数のオリゴヌクレオチドにより標的とされる重複核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含む、第2の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第2の接触ステップを実施するステップと、
(d)第2の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との相互作用が検出されるように第2の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(e)同じ核酸を標的とするオリゴヌクレオチドの検出可能な部分の標識の少なくとも1つの差のため、それぞれの用いられる複数のオリゴヌクレオチドが他の用いられる複数のオリゴヌクレオチドとそれぞれと異なる、第1及び第2の複数のオリゴヌクレオチドにより標的にされる重複核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含む新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを毎回用いて、接触及びイメージングステップを場合によって反復するステップと
を含む方法を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明(例えば、
図1に示すような)は、
(a)組成物が少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標
識されている第2のオリゴヌクレオチド
を含むように、複数の転写物及びDNA遺伝子座を含む細胞を、それぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されている、第1の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第1の接触ステップを実施するステップと、
(b)第1の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との認識が検出されるように第1の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(c)第2の複数のオリゴヌクレオチドが少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているという点が第2の複数のオリゴヌクレオチドが第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なるように、また第2の複数のオリゴヌクレオチドにおいて、
(iii)第3のオリゴヌクレオチドが第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分又は第3の検出可能な部分により標識されており、
(iv)第4のオリゴヌクレオチドが第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分、第3の検出可能な部分又は第4の検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方であるように、
細胞を、第1の複数のオリゴヌクレオチドにより標的とされる重複転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む、第2の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第2の接触ステップを実施するステップと、(d)第2の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的との認識が検出されるように第2の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(e)同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドの検出可能な部分の標識の少なくとも1つの差のため、それぞれの用いられる複数のオリゴヌクレオチドが他の用いられる複数のオリゴヌクレオチドとそれぞれと異なる、第1及び第2の複数のオリゴヌクレオチドにより標的にされる重複転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを毎回用いて、接触及びイメージングステップを場合によって反復するステップと
を含む方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにより標的とされる核酸は、転写物及び/又はDNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにより標的とされる核酸は、転写物であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにより標的とされる核酸は、転写物である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにより標的とされる核酸は、DNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにより標的とされる核酸は、DNA遺伝子座である。いくつかの実施形態において、接触ステップにおいて用いるそれぞれの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする。
【0010】
いくつかの実施形態において、接触ステップにおいて用いる複数の検出可能に標識され
たオリゴヌクレオチドは、一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと呼ばれる。いくつかの実施形態において、一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの標的は、一組の標的と呼ばれる。いくつかの実施形態において、一組における標的は、転写物であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、一組における標的は、転写物である。いくつかの実施形態において、一組における各標的は、転写物であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、一組における各標的は、転写物である。いくつかの実施形態において、一組における標的は、DNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、一組における標的は、DNA遺伝子座である。いくつかの実施形態において、一組における各標的は、DNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、一組における各標的は、DNA遺伝子座である。
【0011】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、イメージングステップの後に複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを場合によって含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、毎回のイメージングステップの後に複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを含む。いくつかの実施形態において、除去ステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを消化する酵素と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、除去ステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをDNアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態において、除去ステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをRNアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態において、除去ステップは、光退色を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、各組は、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする一組における2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能なシグナルを発生させる。いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする一組における全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能なシグナルを発生させる。検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドがフルオロフォアにより標識されている、いくつかの実施形態において、検出可能なシグナルは、特定の色である。いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする一組における全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能な色をもたらすフルオロフォアにより標識されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする一組における2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能な標識を有する。いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする一組における全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能な標識を有する。いくつかの実施形態において、同じ転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じフルオロフォアを有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は、提供する方法を実施するために有用な組成物を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明は、組成物が少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の核酸を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが核酸を標的とし、検出可能な部分により
標識されている、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、キットが少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の核酸を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと、
(iii)第1の核酸を標的とし、第1、第2又は第3の検出可能な部分により標識されており、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチドと、
(iv)核酸を標的とし、第1、第2、第3又は第4の検出可能な部分により標識されており、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4オリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが核酸を標的とし、検出可能な部分により標識されていて、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4オリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方である、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、フルオロフォアであるか又はそれを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上の核酸(「標的」)を標的とする。いくつかの実施形態において、標的は、転写物であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、標的は、転写物である。いくつかの実施形態において、標的は、RNAである。いくつかの実施形態において、標的は、mRNAである。いくつかの実施形態において、標的は、tRNAである。いくつかの実施形態において、標的は、rRNAである。いくつかの実施形態において、標的は、非コーディングRNAである。いくつかの実施形態において、標的は、DNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、転写物は、DNA遺伝子座である。いくつかの実施形態において、標的は、転写物の遺伝子座である。いくつかの実施形態において、遺伝子のスプライシング変異体のような、DNA配列の異なる転写物は、異なる標的を構成し、1つ又は複数の変異体は、独立に標的とし、検出し、又は定量化することができる。いくつかの実施形態において、本発明は、個々のスプライシング変異体を検出するための方法、組成物又はキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、一塩基多型(SNPs)を検出するための方法、組成物又はキットを提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、標的、例えば、転写物及び/又はDNA遺伝子座を定量化する。
【0020】
いくつかの実施形態において、同じ標的を標的とするオリゴヌクレオチドは、同じ組の配列を有する。すなわち、異なるステップにおいて適用される場合、オリゴヌクレオチド間の差は、部分内にあって、配列にはない。
【0021】
定義
動物: 本明細書で用いているように、「動物」という用語は、動物界の任意の構成員を意味する。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の発育段階のヒトを意味する。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の発育段階の非ヒト動物を意味する
。特定の実施形態において、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類及び/又はブタ)である。いくつかの実施形態において、動物は、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、魚及び/又は虫を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、動物は、遺伝子導入動物、遺伝子組換え動物及び/又はクローンであり得る。
【0022】
およそ: 本明細書で用いているように、数に関する「およそ」又は「約」という用語は、特に述べない限り又は文脈から明らかでない限り(そのような数が0%未満であるか又は可能な数の100%を超える場合を除く)、数のいずれかの方向の5%、10%、15%又は20%(より大きい又はより小さい)の範囲内に入る数を含むと一般的に解釈される。いくつかの実施形態において、用量に関する「約」という用語の使用は、±5mg/kg/日を意味する。
【0023】
相同性: 「相同性」又は「同一性」又は「類似性」は、2つの核酸分子の間の配列類似性を意味する。相同性及び同一性は、比較の目的のために整列させることができる各配列における位置を比較することによってそれぞれ決定することができる。比較される配列における等価位置が同じ塩基によって専有されている場合、分子は、その位置において同一であり、等価部位が同じ又は類似の核酸残基(例えば、立体的及び/又は電子的性質が類似)によって専有されている場合、分子は、その位置において相同(類似)と呼ぶことができる。相同性/類似性又は同一性の百分率としての表現は、比較される配列によって共有される位置における同一又は類似核酸の数の関数を意味する。「非関連」又は「非相同」である配列は、本明細書で述べる配列と40%未満の同一性、35%未満の同一性、30%未満の同一性又は25%未満の同一性を共有する。2つの配列を比較するに際して、残基(アミノ酸若しくは核酸)の非存在又は余分の残基の存在も同一性及び相同性/類似性を低下させる。
【0024】
いくつかの実施形態において、「相同性」という用語は、類似の機能又はモチーフを有する遺伝子を同定するために用いられる配列の類似性の数学的比較を表す。本明細書で述べる核酸配列は、例えば、他のファミリーメンバー、関連配列又は相同体を同定するための公的データベースに対する検索を行うために「問い合わせ配列」として用いることができる。いくつかの実施形態において、そのような検索は、Altschulら(1990)、J.Mol.Biol.215巻、403~10頁のNBLAST及びXBLASTプログラム(version2.0)を用いて行うことができる。いくつかの実施形態において、BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子と相同的なヌクレオチド配列を得るためのNBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。いくつかの実施形態において、比較の目的のためのギャップ入りアライメントを得るために、Altschulら、(1997)Nucleic Acids Res.25巻(17号)、3389~3402頁に記載されているようにGapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる(www.ncbi.nlm.nih.gov参照)。
【0025】
同一性: 本明細書で用いているように、「同一性」は、配列対応付けを最大限にするように配列を整列させる、すなわち、ギャップ及び挿入を考慮に入れる場合に2つ以上の配列における対応する位置における同一のヌクレオチド残基の百分率を意味する。同一性は、Computational Molecular Biology、Lesk A.M.編、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith D.W.編、Academic Press、New
York、1993;Computer Analysis of Sequence Data、PartI、Griffin A.M.及びGriffin H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje G.、Academic Press、1987;並びにSequence Analysis Primer、Gribskov M.及びDevereux J.編、M Stockton Press、New York、1991;並びにCarillo H.及びLipman D.、SIAM J. Applied Math.、48巻1073頁(1988)に記載されているものを含むが、これらに限定されない、公知の方法により容易に計算することができる。同一性を決定する方法は、供試配列間の最大の対応をもたらすようにデザインされる。さらに、同一性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムでコード化する。2つの配列間の同一性を決定するコンピュータプログラムの方法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux J.ら、Nucleic Acids Research 12巻(1号)、387頁(1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul S.F.ら、J.Molec.Biol.215巻、403~410頁(1990)及びAltschulら、Nuc.Acids Res.25巻、3389~3402頁(1997))を含むが、これらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他の情報源(BLAST
Manual、Altschul S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894;Altschul S.ら、J.Mol.Biol.215巻、403~410頁(1990)から公的に入手できる。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために用いることができる。
【0026】
in vitro: 本明細書で用いているように、「in vitro」という用語は、生物(例えば、動物、植物及び/又は微生物)体内でなく、人工的環境、例えば、試験管又は反応容器内、細胞培養中で起こる事象を意味する。
【0027】
in vivo: 本明細書で用いているように、「in vivo」という用語は、生物(例えば、動物、植物及び/又は微生物)体内で起こる事象を意味する。
【0028】
オリゴヌクレオチド: 「オリゴヌクレオチド」という用語は、核酸塩基、修飾核酸塩基、糖、修飾糖、リン酸架橋又は修飾架橋のいずれかの組合せを含む、ヌクレオチドモノマーのポリマー又はオリゴマーを意味する。
【0029】
本発明のオリゴヌクレオチドは、様々な長さのものであり得る。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが約2~約200ヌクレオチドの範囲にあり得る。様々な関連実施形態において、一本鎖、二本鎖及び三本鎖オリゴヌクレオチドは、長さが約4~約10ヌクレオチド、約10~約50ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約15~約30ヌクレオチド、約20~約30ヌクレオチドの範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが約9~約39ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも4ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも5ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも6ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも7ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも8ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも9ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも10ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも11ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも12ヌクレオチドである。いく
つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも15ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも20ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも25ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも30ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも18ヌクレオチドの相補鎖の二重らせんである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも21ヌクレオチドの相補鎖の二重らせんである。
【0030】
あらかじめ定められた: あらかじめ定められたとは、例えば、ランダムに発生又は達成されることに対立するものとして、意図的に選択されたことを意味する。特定の個別のオリゴヌクレオチドを含み得る組成物は、それらが、特定のオリゴヌクレオチドを意図的に発生させるように制御することができない過程を経て期せずして発生したため、「あらかじめ定められた」組成物ではない。いくつかの実施形態において、あらかじめ定められた組成物は、意図的に再生することができるもの(例えば、制御された過程の繰り返しにより)である。
【0031】
試料: 本明細書で用いているように、「試料」という用語は、本明細書で述べるように、対象の源から得られた又はそれに由来する生物学的試料を意味する。いくつかの実施形態において、対象の源は、動物又はヒトなどの生物を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、生物組織又は体液を含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、骨髄;血液;血液細胞;腹水;組織又は細針生検試料;細胞含有体液;浮遊性核酸;痰;唾液;尿;脳脊髄液、腹膜液;胸水;糞便;リンパ液;婦人科体液;皮膚スワブ;膣スワブ;口腔スワブ;鼻スワブ;管洗浄液又は気管支肺胞洗浄液などの洗液又は洗浄液;吸引物;剥離物;骨髄検体;組織生検材料;外科標本;糞便、他の体液、分泌物、及び/又は排泄物;並びに/或いはそれらからの細胞等であるか、又はこれらを含む。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、個体から得られる細胞であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態において、試料は、適切な手段により対象の源から直接得られる「一次試料」である。例えば、いくつかの実施形態において、一次生物学的試料は、生検(例えば、細針吸引又は組織生検)、手術、体液(例えば、血液、リンパ液、糞便等)の採取等からなる群から選択される方法により得られる。いくつかの実施形態において、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理することにより(例えば、その1つ若しくは複数の成分を除去することにより、且つ/又はそれに1つ若しくは複数の物質を加えることにより)得られる調製物を意味する。例えば、半透膜を用いてろ過すること。そのような「処理試料」は、例えば、試料から抽出された或いは一次試料をmRNAの増幅又は逆転写、特定の成分の単離及び/又は精製等のような技術に供することにより得られる核酸又はタンパク質を含み得る。
【0032】
対象: 本明細書で用いているように、「対象」又は「試験対象」という用語は、例えば、実験、診断、予防及び/又は治療の目的のために提供される化合物又は組成物を本発明に従って投与する生物を意味する。一般的な対象は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類及びヒトなどの哺乳動物;昆虫;虫;等)並びに植物を含む。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害及び/又は状態に罹患し且つ/又は罹りやすいことがあり得る。
【0033】
実質的に: 本明細書で用いているように、「実質的に」という用語は、完全又はほぼ完全な程度又は度合いの対象の特性又は性質を示す定性的な状態を意味する。生物学の技術分野における技術者は、生物学的及び化学的現象がたとえ完結まで進み且つ/又は完全になるまで進み或いは絶対的結果を達成又は回避するとしても極めてまれであることを理解する。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び/又は化学的現象
に固有な完全性欠如の可能性を捕捉するために本明細書で用いられている。
【0034】
に罹患する: 疾患、障害及び/又は状態「に罹患して」いる個人は、疾患、障害及び/又は状態と診断され、且つ/又はその1つ若しくは複数の症状を示す。
【0035】
に罹りやすい: 疾患、障害及び/又は状態「に罹りやすい」個人は、一般公衆の構成員よりも疾患、障害及び/又は状態を発現する高いリスクを有する者である。いくつかの実施形態において、疾患、障害及び/又は状態に罹りやすい個人は、疾患、障害及び/又は状態と診断されなかったことがあり得る。いくつかの実施形態において、疾患、障害及び/又は状態に罹りやすい個人は、疾患、障害及び/又は状態の症状を示し得る。いくつかの実施形態において、疾患、障害及び/又は状態に罹りやすい個人は、疾患、障害及び/又は状態の症状を示さないことがあり得る。いくつかの実施形態において、疾患、障害及び/又は状態に罹りやすい個人は、疾患、障害及び/又は状態を発現する。いくつかの実施形態において、疾患、障害及び/又は状態に罹りやすい個人は、疾患、障害及び/又は状態を発現しない。
【0036】
治療する: 本明細書で用いているように、「治療する」、「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患、障害及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状若しくは特徴を部分的若しくは完全に緩和し、改善し、軽減し、抑制し、予防し、その発症を遅延させ、その重症度を低減し、且つ/又はその発生率を低下させるために用いられる方法を意味する。治療は、疾患、障害及び/又は状態の徴候を示さない対象に施すことができる。いくつかの実施形態において、治療は、例えば、疾患、障害及び/又は状態に関連する病変を発現するリスクを低減する目的のために疾患、障害及び/又は状態の初期の徴候のみを示す対象に施すことができる。
【0037】
野生型: 本明細書で用いているように、「野生型」という用語は、「正常」(変異体、罹患、改変等と対比される)状態又は状況で天然に見いだされる構造及び/又は活性を有する存在物を意味する当技術分野で理解されている意味を有する。当業者は、野生型遺伝子及びポリペプチドが複数の異なる形態(例えば、対立遺伝子)でしばしば存在することを十分に理解する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示によって提供される方法論を示す図である。
【
図2】提供される方法の例示的な連続的バーコード化を示す図である。(a)連続的バーコード化の略図。それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションにおいて、多数のプローブ(例えば、24個)を、それぞれの転写物上でハイブリダイズさせてイメージングした後、DNアーゼI処置によって剥離させた。同じプローブ配列を、プローブを異なるフルオロフォアに連結させて、異なるラウンドのハイブリダイゼーションで使用することができる。(b)多数の酵母細胞における3ラウンドのハイブリダイゼーションからの複合4色FISHデータ。12個の遺伝子を、2ラウンドのハイブリダイゼーションの後に、ハイブリダイゼーション1と同じプローブを使用した第3のハイブリダイゼーションによって符号化した。枠内の領域を、それぞれの画像の右下隅で拡大した。マッチするスポットが示され、バーコードを抽出した。理論に拘束されることを意図しないが、蛍光の共局在を示さないスポットは、細胞におけるプローブの非特異的結合並びにミスハイブリダイゼーションによるものであり得る。それぞれのバーコードの数を定量して、1つの細胞における対応する転写物の量を得た。(c)例示的なバーコード。mRNA1:黄-青-黄;mRNA2:緑-紫-緑;mRNA3:紫-青-紫;及びmRNA4:青-紫-青。
【
図3】連続的ハイブリダイゼーション及びバーコード化の略図である。(a)連続的ハイブリダイゼーション及びバーコード化の略図。(b)細胞のFISH画像の略図。それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションにおいて、同じスポットが検出されたが、転写物に関連する色素は変化する。mRNAの同一性を、ハイブリダイズした色素の時間的順序によって符号化した。
【
図4】DNアーゼIが、mRNAに結合したsmFISHプローブを効率よく除去する図である。DNアーゼIは、mRNAに結合したsmFISHプローブを効率よく除去する。抗退色緩衝液中で4時間のDNアーゼI処置の前後でスポットをイメージングした。処置後の強度比の平均値、中央値、及びSTDは、11.5%、8.3%、及び11%であった。DNアーゼI処置の前後でのスポット強度の比を、それぞれのスポット、n=1084のスポットに関してプロットした。
【
図5】光退色がDNアーゼI処置後の残留強度を除去する図である。光退色はDNアーゼI処置後の残留強度を除去した。スポットを、4時間のDNアーゼI処置後に10秒間の励起によって退色させた。退色後の強度比の平均値、中央値、及びSTDは、0.03%、0.01%、及び0.049%であった。DNアーゼI処置の前後のスポット強度比を、n=1286スポットのそれぞれのスポットに関してプロットした。
【
図6】mRNAが複数のラウンドの再ハイブリダイゼーションにおいて安定である図である。mRNAは複数のラウンドの再ハイブリダイゼーションにおいて安定であった。smFISHスポットの強度分布を6回のハイブリダイゼーションに対してプロットした。2回のハイブリダイゼーションを3回繰り返して、全体で6回のハイブリダイゼーションとした。スポットを、次の同一のハイブリダイゼーションのスポットとの共局在により同定した。それぞれの四角の区画に関して、計数されたスポット数は、191~1337個であった。
【
図7】最初の2回のラウンドのハイブリダイゼーションで同定され、次のラウンドのハイブリダイゼーションで再度出現する、細胞当たりのバーコードの分画の図である。最初の2回のラウンドのハイブリダイゼーションで同定され、次のラウンドのハイブリダイゼーションで再度出現する、細胞当たりのバーコードの分画。バーコードを、3回全てのハイブリダイゼーションを通しての共局在によって同定した。バーコードの77.9±5.6%が、n=37の細胞において再出現する。
【
図8】ハイブリダイゼーション1及び3におけるFISHポイント間のポイント毎の変位の図である。ハイブリダイゼーション1及び3におけるFISHポイント間のポイント毎の変位。ハイブリダイゼーション1及び3のCy5画像におけるFISHドットを抽出して、二次元ガウス分布にフィットさせた。ポイント毎の変位を3次元ヒストグラムで示す。標準偏差は105.8nmであり、mRNAが2ラウンドのハイブリダイゼーションにおいて、n=1199スポットで100nmに局在できることを示した。
【
図9】同じプローブセットの繰り返しハイブリダイゼーション(ハイブリダイゼーション1及び3)において同定されたバーコードの図である。同じプローブセットの繰り返しハイブリダイゼーション(ハイブリダイゼーション1及び3)において同定されたバーコード。バーコードをハイブリダイゼーションにおける共局在によって同定した。それぞれの縦列は、個々の細胞に対応する。それぞれの横行は、ハイブリダイゼーション1及び3において同定された特異的バーコードに対応する。太字の行の名称はハイブリダイゼーション1及び3において共局在するはずの反復カラーバーコードに対応する。太字でない行の名称は偽陽性バーコードに対応する。例えば、(Alexa 532、Alexa 532)では多数のバーコードが検出され、Alexa 532チャンネルにおけるスポットの共局在を示している。細胞数n=37、Al532=Alexa 532。Al594=Alexa 594。Al647=Alexa 647。
【
図10】バーコード抽出による1つの細胞のmRNAレベルの図である。バーコード抽出による1つの細胞のmRNAレベル。バーコードを、ハイブリダイゼーション1及び2における共局在によって同定した。それぞれの縦列は、個々の細胞、n=37に対応する。Al532=Alexa 532。Al594=Alexa 594。Al647=Alexa 647。上から下に:YLR194c、CMK2、GYP7、PMC1、NPT1、SOK2、UIP3、RCN2、DOA1、HSP30、PUN1、及びYPS1。
【
図11】マウス胚幹細胞(mESC)におけるNanog Alexa 647プローブのDNアーゼIによる剥離の図である。マウス胚幹細胞(mESC)におけるNanog Alexa 647プローブのDNアーゼIによる剥離。Nanogを標的とする48個のプローブをmESCにおいてハイブリダイズさせた。プローブを、濃度3単位/μLのDNアーゼIと共に30分インキュベートすることによって剥離させた。
【
図12】マウス胚幹細胞(mESC)におけるNanog mRNAの再ハイブリダイゼーション。マウス胚幹細胞(mESC)におけるNanog mRNAの再ハイブリダイゼーション。プローブを、濃度3単位/μLのDNアーゼIと共に30分インキュベートすることによって剥離させた。Nanog Alexa647プローブを、12時間再ハイブリダイズさせて、イメージングした。画像は、1.5μm毎に撮影した11の画像のzスタックにより作製した二次元最大値投影であった。
【
図13】100μm冠状切片において逆行性トレーサー(フルオロゴールド(Fluorogold)、緑色)によって可視化した皮質におけるβ-アクチン(赤色)のHCR検出の図である。冠状切片全体を10倍及び60倍(拡大画像の挿入図)でイメージングした。倍率60倍の画像では、個々の赤色のドットは、1つのβ-アクチンmRNA分子に対応する。β-アクチンの発現は、逆行性トレーサー(緑色)によってタグ付けされたニューロンの遠位亜集団を同時に検出しながら蛍光輝点を計数することによって定量することができる。
【
図14】HCRによって標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、20μmの脳切片におけるRNA1分子の検出においてフルオロフォアによって直接標識されたsmFISHプローブと同程度に特異的であったことを示す図である。β-アクチンを標的とするHCRプローブ(左)及びsmFISHプローブは、同時に共局在した。HCRの改善されたS/Nに注目されたい。
【
図15】HCRによって標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが20μmの脳切片に良好に再ハイブリダイズした図である。hyb1及びhyb2におけるHCRスポットは、2回のハイブリダイゼーションの間にDNアーゼ処置を行ったが共局在した。このことは、HCRをseqFISHプロトコールに完全に組み込むことができることを示した。
【
図16】ニッスル染色を伴うCLARITYの図である:Thy-1-eYFPマウス脳の厚さ1mmの冠状切片(前頂AP、2.3~1.3mm)を、NeuroTrace蛍光ニッスル染色液(1:100希釈、48時間、室温)によって透明化して染色した。左側、運動皮質の三次元冠状レンダリング。右、第V層運動野の厚さ100μmの切片。矢印は、錐体ニューロン(赤色-蛍光ニッスル、緑色-eYFP)の尖端樹状突起を示す。
【
図17】例示的な光シート顕微鏡の概略表示である。
【
図18】SPIMがCLARITY処理した100μmの脳切片において1つのmRNAを検出する図である。切片を100μmにわたって走査した。画像を登録して三次元再構成を作成した。画像における回折制限点は、HCRによって検出された1つのβ-アクチンmRNAに対応した。スケールバーは15μmである。
【
図19】アレン脳アトラス(Allen Reference Atlas)の連続冠状レベルにおける体性感覚運動野サブネットワークの神経結合マップである。これは体性感覚運動野の4つの主成分、すなわちSSp、SSs、MOp、及びMOsのそれぞれが、4つの機能的ドメインに分割されることを示している。これらの機能的に相関するドメインは、他の全てと広く相互結合して、4つの主要な体性感覚運動野サブネットワークを形成する:口顔咽頭(orf、青色)、上肢(ul、緑色)、下肢及び体幹(ll/tr、赤色)、並びにひげ(bfd.cm&w、黄色)。数字は、前頂に対する切片の位置を示す(mm)。提供される方法は、異なるサブネットワーク内でのこれらの別個のドメインのそれぞれにおいて投影ニューロンの結合及び分子同一性を特徴付けすることができる。
【
図20】逆行性標識ニューロンを自動的に検出及びマップするための例示的な情報ワークフロー並びに遺伝子バーコード化情報の図である。CTb標識(ピンク色)、及びニッスル染色(青色)を有する未加工画像。枠内の領域は、CTb標識ニューロンの拡大図を示す。B.マルチチャンネル未加工画像を領域分割するためにグレースケールに変換する。C.個々のトレーサーチャンネル画像を、標識細胞から組織バックグラウンドを明確に分離するセグメンテーションパイプラインによって処理する。白いドットは、標識された細胞体の再構成である。D.再統合したマルチピクチャーtiffを、登録するためにARAにおける冠状断面に関連させる。E.提供された開発された登録ソフトウェアを使用して、マルチピクチャーtiffを再投影させて、組織のシルエットと神経細胞層構築輪郭の両方を、その対応するARAレベルに整列させる。F.セグメンテーションプロセスによって抽出した細胞を、空間的に正規化してARA内の神経層又は亜核特異的ROIに関連させることができる。G.領域分割されて登録された標識再構成画像は、その付随するseqFISHデータと共にiConnectome FISHビューワで公開される。解析タブは、注入部位、トレーサーのタイプ、ROIごとの標識細胞数に関する情報を提供し、これらをさらに神経層特異的細胞数、及び細胞ごとの遺伝子発現へと曖昧性を解消させることができる。
【
図21】エキソヌクレアーゼIII(ExoIII)を使用したハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)の再ハイブリダイゼーションの図である。(a)架橋鎖及びHCRポリマーのexoIII消化の略図。ExoIIIは、架橋鎖及びHCRポリマーを3’から5’方向にdNMPへと消化して、標的、例えばmRNAに結合した中間プローブ鎖が後に残る。新しい架橋鎖を次に、異なる蛍光色素を有する異なるヘアピンセットの重合化を開始する異なるイニシエーター配列を有する標的結合プローブにハイブリダイズさせることができる。(b)β-アクチン(Actb)転写物に対するプローブを使用した、T3Tマウス線維芽細胞株における(a)に示した略図の使用を説明する未加工データ。
【
図22】ラムダエキソヌクレアーゼ(λ-exo)を使用するハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)の再ハイブリダイゼーションの図である。(a)架橋鎖のλ-exo消化の略図であり、λ-exoは5’リン酸化架橋鎖を5’から3’方向に選択的に消化して、標的、例えばmRNAに結合した中間プローブ鎖からHCRポリマーを放出する。放出されたポリマーを洗浄緩衝液で洗浄する。次に、新しい架橋鎖を、異なる蛍光色素を有する異なるヘアピンセットの重合化を開始する異なるイニシエーター配列を有する標的結合プローブにハイブリダイズさせることができる。(b)β-アクチン(Actb)転写物に対するプローブを使用したT3Tマウス線維芽細胞株における(a)に示した略図の使用を説明する未加工データ。
【
図23】ウラシル特異的切断試薬(USER)を使用するハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)の再ハイブリダイゼーションの図である。(a)架橋鎖のUSER消化の略図。USERは、架橋鎖中のデオキシウリジンヌクレオチドを選択的に消化して、架橋鎖を断片化させる。次に、断片を中間プローブ鎖から解離させて、標的、例えばmRNAに結合したプローブからHCRポリマーを放出させる。放出されたポリマーを洗浄緩衝液によって洗浄する。次に、新しい架橋鎖を、異なる蛍光色素を有する異なるヘアピンセットの重合化を開始する異なるイニシエーター配列を有する標的結合プローブにハイブリダイズさせることができる。(b)β-アクチン(Actb)転写物に対するプローブを使用した、T3Tマウス線維芽細胞株における(a)に示した略図の使用を説明する未加工データ。
【
図24】相補的オリゴヌクレオチド(cTOE)を使用した、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの例示的な除去の図である。
【
図25】例示的なオリゴヌクレオチドの調製の図である。当初のオリゴヌクレオチド(この図で例示される、プローブ)ライブラリは、いくつかのプローブサブライブラリを含む。それぞれのサブライブラリは、PCRを使用してサブライブラリを増幅するために使用することができる特異的なプライマーの組を有する。所望のサブライブラリが増幅された後、産物をニッキング酵素と共にインキュベートする。酵素は、プローブ鎖上のホスホジエステル結合をその認識部位で切断する。得られた産物を変性させて、変性ゲル上で泳動させると、所望のプローブ配列が放出される。次に、プローブのバンドをゲルから切り出して抽出することができる。抽出された産物をハイブリダイゼーションのために使用することができる。
【
図26】例示的なオリゴヌクレオチドの調製の図である。産物はゲル上の三番目のバンドであった。ライブラリは、それに関連する多くの異なるプライマーを有し、プローブのそれぞれのサブセットに関して1つのプライマーセットを有する。例示的なプライマーは、GC含有量45~55%及びTm約55℃を有するランダムな20ヌクレオチドの配列であった。ニッキングエンドヌクレアーゼ部位はGTCTCNNであった;対応するニッキングエンドヌクレアーゼは、Nt.BsmAIである。産物プローブは、45~55%のGC含有量を有する関心対象mRNAと相補的な20量体のDNA配列であった。
【発明を実施するための形態】
【0039】
とりわけ、本発明は、細胞における核酸(例えば、転写物及び/又はDNA遺伝子座)をプロファイリングするための新たな方法、組成物及び/又はキットを提供する。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞における核酸(例えば、転写物及び/又はDNA遺伝子座)をプロファイリングするための方法を提供する。いくつかの実施形態において、単一細胞における複数の標的をプロファイリングする方法を提供する。提供する方法は、とりわけ、逐次バーコーディングにより限られた数の検出可能な標識を用いて多数の標的(転写物、DNA遺伝子座又はそれらの組合せ)をプロファイリングすることができる。
【0041】
図1に本発明による方法を示す。示すように、本発明は、標識プローブを用いた複数のラウンドのハイブリダイゼーション(接触ステップ)により細胞中に存在する核酸(例えば、mRNAs)をプロファイリングする方法を提供する。具体的には、
図1に示すように、細胞中の核酸標的とハイブリダイズする複数の組のプローブを提供し、プローブ(すなわち、異なる標的とハイブリダイズする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド)は、単一の組の中で標識されており、さらに、少なくとも1つのプローブは、異なる組において異なって標識されている。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明(例えば、
図1に示すような)は、
(a)組成物が少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチド
を含むように、複数の転写物及びDNA遺伝子座を含む細胞を、それぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されている、第1の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第1の接触ステップを実施するステップと、
(b)第1の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的とのハイブリダイゼーションが検出されるように第1の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(c)第2の複数のオリゴヌクレオチドが少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4のオリゴヌクレオチド
を含み、
第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているという点が第2の複数のオリゴヌクレオチドが第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なるように、また第2の複数のオリゴヌクレオチドにおいて、
(iii)第3のオリゴヌクレオチドが、第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分又は第3の検出可能な部分により標識されており、
(iv)第4のオリゴヌクレオチドが、第1の検出可能な部分、第2の検出可能な部分、第3の検出可能な部分又は第4の検出可能な部分により標識されており、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4のオリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方であるように、
細胞を、第1の複数のオリゴヌクレオチドにより標的とされる重複転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む、第2の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させることを含む第2の接触ステップを実施するステップと、(d)第2の複数のオリゴヌクレオチドによるそれらの標的とのハイブリダイゼーションが検出されるように第2の接触ステップの後に細胞をイメージングするステップと、
(e)同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドの検出可能な部分の標識の少なくとも1つの差のため、それぞれの用いられる複数のオリゴヌクレオチドが他の用いられる複数のオリゴヌクレオチドとそれぞれと異なる、第1及び第2の複数のオリゴヌクレオチドにより標的にされる重複転写物又はDNA遺伝子座を標的とするオリゴヌクレオチドを含む新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを毎回用いて、接触及びイメージングステップを場合によって反復するステップと
を含む方法を提供する。
【0043】
本明細書で用いているように、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、検出可能な部分により標識されている。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、1つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上の検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、1つの検出可能な部分を有する。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上の検出可能な部分を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、フルオロフォアであるか又はそれを含む。具体的としての、フルオロフォアにより標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)用のプローブを含むが、これらに限定されない。当業者によって広く知られ、実施されるFISHは、とりわけ、特定のDNA配列又はRNA標的の存在又は非存在を検出し、その位置を特定するために用いられる。標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを設計し、調製する方法は、当技術分野で広く知られており、米国特許出願公開US20120142014に記載されているものを含むが、これに限定されない。しかし、フルオロフォアの入手可能性のような制約のため、FISHは、所定の実験における限られた数の標的をプロファイリングするために用いることができるに過ぎない。異なる標的を多重化するための逐次バーコーディングにより、本発明の提供する方法は、FNまでの多数の標的をプロファイリングすることができる。ここで、Fは、検出可能な部分(FISHの場合、フルオロフォア)の種類の数であり、Nは、接触ステップ(FISHの場合、ハイブリダイゼーション)の数である。例えば、Fが4で、Nが8である場合、ほぼ全体のトランスクリプターゼ(48=65536)をプロファイリングすることができる。いくつかの実施形態において、Fは、少なくとも2である。いくつかの実施形態において、Fは、3である。いくつかの実施形態において、Fは、4である。いくつかの実施形態において、Fは、
5である。いくつかの実施形態において、Fは、6である。いくつかの実施形態において、Fは、7である。いくつかの実施形態において、Fは、8である。いくつかの実施形態において、Fは、9である。いくつかの実施形態において、Fは、10である。いくつかの実施形態において、Fは、11である。いくつかの実施形態において、Fは、12である。いくつかの実施形態において、Fは、13である。いくつかの実施形態において、Fは、14である。いくつかの実施形態において、Fは、15である。いくつかの実施形態において、Fは、15より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、2である。いくつかの実施形態において、Nは、2より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、3である。いくつかの実施形態において、Nは、3より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、4である。いくつかの実施形態において、Nは、4より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、5である。いくつかの実施形態において、Nは、5より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、6である。いくつかの実施形態において、Nは、6より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、7である。いくつかの実施形態において、Nは、7より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、8である。いくつかの実施形態において、Nは、8より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、9である。いくつかの実施形態において、Nは、9より大きい。いくつかの実施形態において、Nは、10である。いくつかの実施形態において、Nは、10より大きい。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも100個の標的を標的とする。
【0045】
接触ステップにおいて、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、その標的へのその結合の前に、それと同時に又はその後に標識することができる。いくつかの実施形態において、フルオロフォア標識オリゴヌクレオチドのような、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、その標的へのその結合の前に標識される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、その標的へのその結合と同時に標識される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、その標的へのその結合の後に標識される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)(Choi、HM.、Nat Biotechnol.、2010年11月、28巻(11号)、1208~12頁)によるオルソゴナル増幅によるハイブリダイゼーションの後に標識される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、部分、例えば、核酸配列を含み、イメージングステップにおいてシグナルをもたらし得る1つ又は複数の部分は、オリゴヌクレオチドに直接的又は間接的に結合させることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、同じ種類の標識を、異なる標的に対する異なるプローブに結合させることができる。いくつかの実施形態において、同じ標的に対するプローブは、接触ステップで用いる複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド(一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド)における同じ標識を有する。標的について情報、例えば、定量的及び/又は空間的情報を得ることができるように、各標的は、接触及びイメージングのラウンドの後に、それ自体の標識の固有の組合せを有する(逐次バーコーディング)。例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを標識するためにフルオロフォアを用いる場合、Nステップの後に、標的は、F1F2...FNの逐次バーコードを有することとなる。ここで、Fnは、第n番目のイメージングにおける標的について用いられるフルオロフォアの色である。1つの標的は、それらのバーコードの差異(例えば、赤赤青赤を赤赤赤青と比較した)によって他のものと区別することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の標識は、フルオレセイン、ローダミン、Alexa Fluors、DyLight fluors、ATTO Dyes又はそれらのいずれかの類似体若しくは誘導体を含むが、これらに限定されない、1つ又は複数の蛍光色素であるか又はそれを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明の標識は、フルオレセイン及びフルオレセインの化学的誘導体;エオシン;カルボキシフルオレセイン;フルオレセインイソチオシアネート(FITC);フルオレセインアミダイト(FAM);エリスロシン;ローズベンガル;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)により分泌されるフルオレセイン;メチレンブルー;レーザー色素;ローダミン色素(例えば、ローダミン、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123、オーラミンO、スルホローダミン101、スルホローダミンB及びテキサスレッド)を含むが、これらに限定されない。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の標識は、ATTO色素;アクリジン色素(例えば、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー);Alexa Fluor;7-アミノアクチノマイシンD;8-アニリノナフタレン-1-スルホネート;オーラミン-ローダミン染色;ベンズアントロン;5,12-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン;9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン;ブラックライトペイント;ブレインボウ;カルセイン;カルボキシフルオロセイン;カルボキシフルオロセイン二酢酸スクシンイミジルエステル;カルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル;1-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン;2-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン;2-クロロ-9,10-ジフェニルアントラセン;クマリン;シアニン色素(例えば、Cy3及びCy5、DiOC6、SYBR Green Iなどのシアニン);DAPI、Dark quencher、DyLight Fluor、Fluo-4、FluoProbes;フルオロン色素(例えば、カルセイン、カルボキシフルオロセイン、カルボキシフルオロセイン二酢酸スクシンイミジルエステル、カルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル、エオシン、エオシンB、エオシンY、エリスロシン、フルオロセイン、フルオロセインイソチオシアネート、フルオロセインアミダイト、インディアンイエロー、メルブロミン);フルオロジェード染色;Fura-2;Fura-2-アセトキシメチルエステル;緑色蛍光タンパク質、ヘキスト染色、インディアンイエロー、Indo-1、ルシファーイエロー、ルシフェリン、メロシアニン、蛍光増白剤、オキサジン色素(例えば、クレシルバイオレット、ナイルブルー、ナイルレッド);ペリレン;フェナントリジン色素(臭化エチジウム及びヨウ化プロピジウム);フロキシン、フィコビリン、フィコエリスリン、フィコエリスロビリン、ピラニン、ローダミン、ローダミン123、ローダミン6G、RiboGreen、RoGFP、ルブレン、SYBR Green I、(E)-スチルベン、(Z)-スチルベン、スルホローダミン101、スルホローダミンB、Synapto-pHluorin、テトラフェニルブタジエン、四ナトリウムトリス(バソフェナントロリンジスルホネート)ルテニウム(II)、テキサスレッド、TSQ、ウンベリフェロン又は黄色蛍光タンパク質を含むが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明の標識は、Alexa Fluor系列の蛍光色素(Molecular Probes、Oregon)を含むが、これらに限定されない。Alexa Fluor色素は、蛍光顕微鏡法及び細胞生物学において細胞及び組織標識として広く用いられている。Alexa Fluor系列の励起及び発光スペクトルは、可視スペクトルを対象範囲として含み、赤外に及ぶ。系列の個々のメンバーは、ほぼそれらの最大励起波長(nm単位)に従って番号付けされている。特定のAlexa Fluor色素は、クマリン、ローダミン、キサンテン(フルオレセインなど)及びシアニン色素のスルホン化により合成される。いくつかの実施形態において、スルホン化は、Alexa Fluor色素を負に荷電させ、親水性にする。いくつかの実施形態において、Alexa Fluor色素は、同等の励起及び発光の一般的な色素(例えば、フルオレセイン、ローダミン)よりも、またより新しいシアニン系列よりある程度、安定であり、輝度が高く、pH感受性が低い。具体的としてのAlexa Fluor色素は、Alexa-350、Alexa-405、Alexa-430、Alexa-488、Al
exa-500、Alexa-514、Alexa-532、Alexa-546、Alexa-555、Alexa-568、Alexa-594、Alexa-610、Alexa-633、Alexa-647、Alexa-660、Alexa-680、Alexa-700又はAlexa-750を含むが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の標識は、1つ又は複数のDyLight Fluor系列の蛍光色素(Dyomics and Thermo Fisher Scientific)を含む。具体的としてのDyLight Fluor系列の色素は、DyLight-350、DyLight-405、DyLight-488、DyLight-549、DyLight-594、DyLight-633、DyLight-649、DyLight-680、DyLight-750又はDyLight-800を含むが、これらに限定されない。
【0052】
いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、ナノ材料であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、ナノ粒子であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、量子ドットであるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、量子ドットである。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、量子ドットを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、金ナノ粒子であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、金ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、金ナノ粒子を含む。
【0053】
当業者は、いくつかの実施形態において、特定のサイクルにおける特定のプローブの標識の選択は、例えば、サイズ、発生するシグナルの種類、プローブに結合する又は組み込まれる態様、細胞内のそれらの位置を含む細胞成分の特性、細胞の特性、解析される相互作用の種類などを含む様々な因子に基づいて決定することができることを理解する。
【0054】
例えば、いくつかの実施形態において、プローブは、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS-エステル)反応性基を有するように合成されたCy3又はCy5で標識されている。NHS-エステルは、脂肪族アミン基と容易に反応するので、ヌクレオチドは、アミノアルキル基で修飾することができる。これは、合成反応中にアミノアルキル修飾ヌクレオチドを組み込むことによって行うことができる。いくつかの実施形態において、消光効果を避けるために標識を60塩基ごとに用いる。
【0055】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的、例えば、転写物又はDNA遺伝子座とハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、標的は、転写物であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、標的は、転写物である。いくつかの実施形態において、転写物は、RNAである。いくつかの実施形態において、転写物は、mRNAである。いくつかの実施形態において、転写物は、tRNAである。いくつかの実施形態において、転写物は、rRNAである。いくつかの実施形態において、転写物は、snRNAである。いくつかの実施形態において、RNAは、非コーディングRNAである。具体的としての非コーディングRNAタイプは、当技術分野で広く知られており、長鎖非コーディングRNA(lncRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖干渉性RNA(siRNA)、piwi相互作用性RNA(piRNA)、核小体内低分子RNA(snoRNA)及び他の短鎖RNAsを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、RNAは、lncRNAである。いくつかの実施形態において、RNAは、miRNAである。いくつかの実施形態において、RNAは、piRNAである。いくつかの実施形態において、RNAは、snoRNAである。
【0056】
いくつかの実施形態において、標的は、DNA遺伝子座であるか又はそれを含む。いく
つかの実施形態において、標的がDNA遺伝子座である場合、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、1つ若しくは複数のRNAヌクレオチド又はRNAセグメントを場合によって含む。検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、RNA配列を含み、これは、DNA標的を分解せずにイメージングの後に、例えば、RNA特異的酵素消化により、選択的に除去することができる。RNAを特異的に分解するが、DNAを分解しない具体例としての酵素は、RNアーゼA及びRNアーゼHなどの様々なRNアーゼを含むが、これらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、その標的、例えば、転写物又はDNA遺伝子座と直接ハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的に結合している、ハイブリダイズしている又は他の仕方で特異的に結合している1つ又は複数の中間物、例えば、オリゴヌクレオチドへの結合又はハイブリダイゼーションによりその標的と特異的に相互作用する(認識する)。いくつかの実施形態において、中間オリゴヌクレオチドは、相補的配列を有する第2のオリゴヌクレオチド(「架橋オリゴヌクレオチド」又は「架橋プローブ」)がそれに結合することができるようなオーバーハングによりその標的に対してハイブリダイズしている。いくつかの実施形態において、中間物は、核酸を標的とし、検出可能な部分により場合によって標識されており、標的とのハイブリダイゼーションの後にオーバーハング配列を含む。いくつかの実施形態において、中間物は、標的とハイブリダイズする配列、オーバーハング配列及び場合による検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、中間物は、標的とハイブリダイズする配列及びオーバーハング配列を含む。いくつかの実施形態において、中間物は、検出可能な部分を含まない。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、色素により標識される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、HCRポリマーにより標識される。いくつかの実施形態において、標的に結合した中間オリゴヌクレオチドは、複数の接触、除去及び/又はイメージングステップを経て保存され、接触及びイメージングステップにおいて架橋プローブを介して中間オリゴヌクレオチドに連結されている検出可能な標識の組合せにより逐次バーコードがもたらされる。例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを架橋プローブとして用いる場合、バーコードは、それらのオーバーハング配列を介して中間オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドによってもたらされる。イメージングステップの後に、架橋オリゴヌクレオチドは、本明細書で述べたように場合によって除去される。いくつかの実施形態において、1つの中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、2つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、3つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、4つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、5つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、6つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、7つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、8つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、9つ以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、10以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、11以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、12以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、13以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、13以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、15以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、16以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、17以上
の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、18以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、19以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、20以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、21以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、22以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、23以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、24以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、25以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、30以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、40以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、50以上の中間オリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。
【0058】
いくつかの実施形態において、各中間オリゴヌクレオチドは、標的の異なる配列とハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、標的の各中間オリゴヌクレオチドは、同じオーバーハング配列を含む。いくつかの実施形態において、標的に対する各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的の全ての中間オリゴヌクレオチドによって共有される同じオーバーハング配列に対して相補的な同じ配列を含む。いくつかの実施形態において、中間オリゴヌクレオチドは、標的と相補的な配列及び検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと相補的な配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、
(f)複数の核酸を含む細胞を、それぞれが
(i)核酸を標的とし、検出可能な部分により場合によって標識されており、且つ
(ii)標的とのハイブリダイゼーションの後にオーバーハング配列を含む、複数の中間オリゴヌクレオチドと接触させることを含む接触ステップを実施するステップと、
(g)中間オリゴヌクレオチドとそれらの標的との間の相互作用が検出されるように細胞を場合によってイメージングするステップと
をさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、ステップ(f)及び場合によるステップ(g)は、ステップ(a)の前に実施する。いくつかの実施形態において、ステップ(f)は、実施されたステップ(a)である。いくつかの実施形態において、除去ステップは、中間オリゴヌクレオチドを保存する。
【0061】
いくつかの実施形態において、提供する技術は、スプライシング変動、RNAエディティング、オリゴヌクレオチド修飾又はそれらの組合せの結果として形成される異なる転写物をプロファイリングするために用いる。いくつかの実施形態において、標的は、RNAスプライシング変異体である。いくつかの実施形態において、提供する技術は、遺伝子の1つ又は複数のスプライシング変異体、例えば、遺伝子の1つ又は複数のスプライシング変異体の位置及び量をプロファイリングする。いくつかの実施形態において、提供する方法又は組成物は、異なるスプライシング変異体をプロファイリングする。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の変異体を含むエキソンは、逐次ハイブリダイゼーション及びバーコーディングにより標的にされ、バーコード化される。いくつかの実施形態において、スプライシング変異体は、スプライシングに起因する1つ又は複数の区別できる配列を含み、そのような配列が標的とされる。いくつかの実施形態において、エキソン及び/又は区別できる配列を標的とすることによって、提供する技術は、1つ又は複数の特定のスプライシング変異体又はmRNAの全スプライシングレパートリーをプロファイリングすることができる。当技術分野で広く知られているように、mRNAスプライシングは、多くの生物学的過程及び疾患、例えば、自閉症又はダウン症候群のような神経系の疾患に
対して重要である。細胞間接着及びシナプス形成に関与する分子がスプライシングされ、それらの欠陥が脳内の誤配線を生じさせ、疾患を引き起こすことが公知である。
【0062】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、配列エディティング、化学修飾及び/又はそれらの組合せによってもたらされた配列修飾体を標的とする。いくつかの実施形態において、修飾核酸標的は、場合によって変換過程の後に、非修飾標的と比較すると、1つ又は複数の異なる相補的配列とハイブリダイズするので、修飾核酸と選択的にハイブリダイズする1つ又は複数のオリゴヌクレオチドを用いてプロファイリングする。いくつかの実施形態において、標的は、RNAエディティングによるRNAである(Brennicke A.、A. Marchfelderら、(1999)「RNA editing」、FEMS Microbiol Rev 23巻(3号)、297~316頁)。いくつかの実施形態において、提供する技術は、RNAエディティングにより形成された異なるRNA変異体をプロファイリングする。いくつかの実施形態において、提供する技術は、修飾オリゴヌクレオチドをプロファイリングする。いくつかの実施形態において、提供する技術は、メチル化RNAをプロファイリングする(Song CX、Yi C、He C.、Mapping recently identified nucleotide variants in the genome
and transcriptome、Nat Biotechnol.、2012年11月、30巻(11号)、1107~16頁)。いくつかの実施形態において、提供する技術は、メチル化DNAをプロファイリングする。いくつかの実施形態において、標的は、一塩基多型(SNP)である。
【0063】
いくつかの実施形態において、標的をプロファイリングすることにより、提供する技術は、とりわけ、場合によっては、単一細胞、組織、臓器又は生物における標的の定量的及び/又は位置決め情報を提供する。いくつかの実施形態において、転写物のプロファイリングは、細胞、組織、臓器又は生物内の遺伝子発現の時空間パターンを定性的に、且つ/又は定量的に定義するために用いることができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、一組における各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、異なる標的、例えば、転写物又はDNA遺伝子座を有する。いくつかの実施形態において、一組における2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を有する。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ転写物を標的とする。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じDNA遺伝子座を標的とする。いくつかの実施形態において、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90又は100の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、5つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、10以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、15以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、20以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、25以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、30以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、35以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、40以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、45以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いく
つかの実施形態において、50以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、60以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、70以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、80以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、90以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、100以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約1~10の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約5~15の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約10~20の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約15~25の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約20~30の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約25~35の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約30~40の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約35~45の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約40~50の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約45~55の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約50~70の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約60~80の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約70~90の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、約80~100の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。
【0065】
いくつかの実施形態において、とりわけ、同じ標的に対して複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを用いることにより、シグナル強度が増大する。いくつかの実施形態において、同じ標的を標的とする一組における各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、標的の異なる部分と相互作用する。
【0066】
いくつかの実施形態において、一組における標的に対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じ検出可能な部分を有する。いくつかの実施形態において、全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じ方法で標識されている。いくつかの実施形態において、標的に対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、同じフルオロフォアを有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、標的に対する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的の標的領域内に位置決めされる。標的領域は、種々の長さを有し得る。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約20bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約30bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約40bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約50bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約60bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約80bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約100bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約150bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約200bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約250bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約300bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約350bpである。いくつかの実施形態において、
標的領域は、長さが約400bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約450bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約500bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約600bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約700bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約800bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約900bpである。いくつかの実施形態において、標的領域は、長さが約1,000bpである。いくつかの実施形態において、標的に対する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的上に互いに近接して位置決めされる。
【0068】
当業者により理解されるように、種々の技術をイメージングステップに用いることができる。具体例としての方法は、落射蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、種々の種類の超解像顕微鏡法(PALM/STORM、SSIM/GSD/STED)及び光シート顕微鏡法(SPIMなど)を含むが、これらに限定されない。
【0069】
具体例としての超解像技術は、I5M及び4Pi-顕微鏡法、誘導放射抑制顕微鏡法(STEDM)、基底状態抑制顕微鏡法(GSDM)、空間構造化照明顕微鏡法(SSIM)、光活性化局在顕微鏡法(PALM)、可逆的飽和性光学蛍光遷移(RESOLFT)、全反射照明蛍光顕微鏡法(TIRFM)、蛍光-PALM(FPALM)、確率的光学再構築顕微鏡法(STORM)、1ナノメートル精度の蛍光イメージング(FIONA)及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。例えば、Chi、2009、「Super-resolution microscopy:breaking the limits」、Nature Methods 6巻(1号)、15~18頁、Blow 2008、「New ways to see a smaller world」、Nature 456巻、825~828頁、Hellら、2007、「Far-Field Optical Nanoscopy」、Science 316巻、1153頁、R.Heintzmann及びG.Ficz、2006、「Breaking the resolution limit in light microscopy」、Briefings in Functional Genomics and Proteomics 5巻(4号)、289~301頁、Gariniら、2005、「From micro to nano:recent advances in high-resolution microscopy」、Current Opinion in Biotechnology 16巻、3~12頁、並びにBewersdorfら、2006、「Comparison of I5M and 4Pi-microscopy」、222巻(2号)、105~117頁、並びにWells、2004、「Man the Nanoscopes」、JCB 164巻(3号)、337~340頁。
【0070】
いくつかの実施形態において、電子顕微鏡(EM)を用いる。
【0071】
いくつかの実施形態において、イメージングステップは、標的を検出する。いくつかの実施形態において、イメージングステップは、標的の位置を特定する。いくつかの実施形態において、イメージングステップは、標的の3次元空間的情報を提供する。いくつかの実施形態において、イメージングステップは、標的を定量化する。複数の接触及びイメージングステップを用いることにより、提供する方法は、驚くほどに高速大量処理で多数の標的に関する空間的及び/又は定量的情報を提供することができる。例えば、F個の検出可能に異なる種類の標識を用いる場合、N回の接触及びイメージングステップの後に最大FNの標的の空間的及び/又は定量的情報を得ることができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、接触及び/又はイメージングステップの前又は後のさらなるステップを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、
各イメージングステップの後の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを含む。いくつかの実施形態において、除去するステップは、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを分解することを含む。いくつかの実施形態において、所望ならば標的を次の接触及び/又はイメージングステップに用いることができるように、除去するステップは、標的を大幅に分解しない。いくつかの実施形態において、除去するステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを消化する酵素と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、除去するステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをDNアーゼ又はRNアーゼと接触させることを含む。例えば、いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、DNA配列を含み、DNアーゼをその分解のために用いる。いくつかの他の実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、RNA配列を含み、RNアーゼをその分解のために用いる。いくつかの実施形態において、除去するステップは、検出可能な部分を分解することを含む。いくつかの実施形態において、除去するステップは、光退色を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、1つの組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの標的は、他の組の標的でもある。いくつかの実施形態において、一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの標的は、他の組のものと重複している。いくつかの実施形態において、重複は、10%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、20%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、30%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、40%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、50%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、60%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、70%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、80%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、90%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、91%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、92%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、93%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、94%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、90%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、95%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、96%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、97%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、98%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99.5%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99.6%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99.7%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99.8%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、99.9%以上である。いくつかの実施形態において、重複は、100%である。いくつかの実施形態において、一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの標的は、他の組の標的と同じである。いくつかの実施形態において、各組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ標的を標的とする。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1の転写物又はDNA遺伝子座(第1の標的)を標的とする第2の接触ステップにおける第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とする第1の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと場合によって同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、配列は、同一である。いくつかの実施形態において、配列は、異なる。同様に、いくつかの実施形態において、第2の転写物又はDNA遺伝子座(第1の標的)を標的とする第2の接触ステップにおける第4の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とする第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと場合によって同一の配列を有する。いくつかの実施形態において、配列は、同一である。いくつかの実施形態において、配列は、異なる。
【0075】
いくつかの実施形態において、第2の複数のオリゴヌクレオチドは、第2の複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、第1の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている点が第1の複数のオリゴヌクレオチドと異なる。いくつかの実施形態において、各複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、複数のオリゴヌクレオチドに存在するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、他の複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ転写物又はDNA遺伝子座を標的とする対応するオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている点が他のものと異なる。
【0076】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、[S]-[L]の構造を有し、[S]は、オリゴヌクレオチド配列であり、[L]は、検出可能な部分又は検出可能な部分の組合せである。いくつかの実施形態において、[L]は、それぞれが、オリゴヌクレオチド配列、例えば、[S]の1つ又は複数のヌクレオチド部分に独立に結合している検出可能な標識、例えば、フルオロフォアの複数の単位を含む。いくつかの実施形態において、同じ検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドに結合したそれぞれの検出可能な標識は、同じ検出可能なシグナルをもたらす。いくつかの実施形態において、同じオリゴヌクレオチド配列に結合した全ての検出可能な標識は、同じである。
【0077】
いくつかの実施形態において、同じ標的を標的とするオリゴヌクレオチドは、2つ以上の組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドのうちの同じ組の配列を有する。すなわち、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの間の差異は、たとえあったとしても、検出可能な部分内にあるのであって、配列にはない。例えば、1つの組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、第1の標的を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは全て、同じ検出可能な部分又は検出可能な部分の組合せ[L]1を有する:[S]1-[L]1、[S]2-[L]1、...、[S]n-[L]1、ここで、nは、標的に対する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数、例えば、3~50の整数である。同じ標的を標的とするオリゴヌクレオチドが異なって標識されている、他の組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、同じ標的を標的とするオリゴヌクレオチドは、同じ組のオリゴヌクレオチド配列([S]1、[S]2、...、[S]n)を有するが、異なる[L]2を有する:[S]1-[L]2、[S]2-[L]2、...、[S]n-[L]2、ここで、[L]1は、[L]2と検出可能に異なる。
【0078】
本発明の特定の実施形態を例示するために、各組における同じ標的を標的とする全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ検出可能な部分を独立に有する、2ステップ、2標識、4標的(FN=22=4)法を以下に示す。
ステップ1:標的を第1の複数(P1)の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させるステップ:
標的T1:[S]P1-T1-1[L]1、[S]P1-T1-2[L]1、[S]P1-T1-3[L]1、...、[S]P1-T1-P1T1[L]1、ここで、P1T1は、第1の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT1を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数であり、[L]1は、第1の検出可能な標識である;
標的T2:[S]P1-T2-1[L]1、[S]P1-T2-2[L]1、[S]P1-T2-3[L]1、...、[S]P1-T2-P1T1[L]1、ここで、P1T2は、第1の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT2を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である;
標的T3:[S]P1-T3-1[L]2、[S]P1-T3-2[L]2、[S]P1-T3-3[L]2、...、[S]P1-T3-P1T3[L]2、ここで、P1T3は、第1の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT3を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数であり、[L]2は、[L]1と検出可能に異なる標識である;
標的T4:[S]P1-T4-1[L]2、[S]P1-T4-2[L]2、[S]P1-T4-3[L]2、...、[S]P1-T4-P1T4[L]2、ここで、P1T4は、第1の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT4を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である。
ステップ2:イメージングステップ;
ステップ3:P1を標的から除去するステップ;
ステップ4:標的を第2の複数(P2)の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと接触させるステップ:
標的T1:[S]P2-T1-1[L]1、[S]P2-T1-2[L]1、[S]P2-T1-3[L]1、...、[S]P2-T1-P2T1[L]1、ここで、P2T1は、第2の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT1を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である;
標的T2:[S]P2-T2-1[L]2、[S]P2-T2-2[L]2、[S]P2-T2-3[L]2、...、[S]P2-T2-P2T2[L]2、ここで、P2T2は、第2の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT2を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である;
標的T3:[S]P2-T3-1[L]1、[S]P2-T3-2[L]1、[S]P2-T3-3[L]1、...、[S]P2-T3-P2T3[L]1、ここで、P2T3は、第2の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT3を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である;
標的T4:[S]P2-T4-1[L]2、[S]P2-T4-2[L]2、[S]P2-T4-3[L]2、...、[S]P2-T4-P2T4[L]2、ここで、P2T4は、第2の複数のオリゴヌクレオチドにおけるT4を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの数である。
ステップ5:イメージングステップ。
【0079】
2つのイメージングステップの後に、各標的は、以下のようなそれ自体の固有の逐次バーコードを有する:
T1:[L]1[L]1;
T2:[L]1[L]2;
T3:[L]2[L]1;及び
T4:[L]2[L]2
いくつかの実施形態において、さらなるバーコードT1--、T2--、--T1、--T2も用いることができ、--は当ステップについて無シグナルを示す。
【0080】
上に例示した方法において、P1T1、P1T2、P1T3、P1T4、P2T1、P2T2、P2T3及びP2T4のそれぞれは、独立に自然数(0より大きい整数)である。いくつかの実施形態において、P1T1=P2T1である。いくつかの実施形態において、P1T2=P2T2である。いくつかの実施形態において、P1T3=P2T3である。いくつかの実施形態において、P1T4=P2T4である。いくつかの実施形態において、1つの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを標的に対して用いる。
【0081】
いくつかの実施形態において、同じ標的を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、各複数のオリゴヌクレオチドにおける同じ組の配列を有する。例えば、上の例における標的T1について、[S]P1-T1-1~[S]P1-T1-P1T1のそれぞれは、[S]P2-T1-1~[S]P2-T1-P2T1の1つと独立に同じ配列を有し、[S]P2-T1-1~[S]P2-T1-P2T1のそれぞれは、[S]P1-T1-1~[S]P1-T1-P1T1の1つと独立に同じ配列を有する。いくつかの
実施形態において、同じ標的を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、各複数のオリゴヌクレオチドにおける異なる組の配列を有する。
【0082】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、イメージングステップの後に複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するステップを場合によって含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、イメージングステップの後の除去ステップを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、最終イメージングステップを除く各イメージングステップの後の除去ステップを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、各イメージングステップの後の除去ステップを含む。
【0083】
提供する方法における除去ステップは、1つ又は複数の様々な目的を果たし得る。いくつかの実施形態において、除去ステップは、標的が他の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドとの相互作用に利用可能であるように、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを標的から除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、1つの複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの検出可能な部分が標的に結合した他の複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの検出を妨げないように、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも80%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも85%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも90%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも91%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも92%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも93%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも94%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも95%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも96%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも97%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも98%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.1%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.2%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.3%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.4%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.5%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも80%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも85%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも90%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも91%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも92%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも93%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも94%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも95%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実
施形態において、除去ステップは、少なくとも96%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも97%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも98%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、少なくとも99.5%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、100%の検出可能なシグナルを除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップの後にイメージングステップによってシグナルを検出することができない。
【0084】
除去ステップは、さらなる使用のために、例えば、さらなる接触及び/又はイメージングステップによるさらなる検出又は定量化のために標的(例えば、転写物又はDNA遺伝子座)を場合によって保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも80%の標的を保存する。保存された標的の百分率は、例えば、同じ接触及びイメージングプロトコールを場合によって用いて、除去ステップの前及び後に収集したデータを比較することにより測定することができる。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも85%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも90%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも91%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも92%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも93%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも94%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも95%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも96%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも97%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも98%の標的を保存する。いくつかの実施形態において、除去ステップは少なくとも99%の標的を保存する。
【0085】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する方法は、当技術分野で広く知られている。いくつかの実施形態において、除去ステップは、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを分解することを含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、酵素消化により除去する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを消化する酵素と接触させることを含む。
【0086】
適切な酵素は、当技術分野で広く用いられている。例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド及び/又は標的の種類によって、DNアーゼ又はRNアーゼのいずれかを用いることができる。いくつかの実施形態において、RNA標的を検出/定量化するためのDNA配列を含む検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、DNアーゼ、例えば、DNアーゼIにより消化される。いくつかの実施形態において、DNA標的を検出/定量化するためのRNA配列を含む検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、RNアーゼにより消化される。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたRNAオリゴヌクレオチドは、DNA遺伝子座を標的とするために用いられる。
【0087】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的に結合している、ハイブリダイズしている又は他の仕方で連結しているオリゴヌクレオチドのような、1つ又は複数の中間物への結合又はハイブリダイゼーションを介してその標的と相互作用する。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイズした中間オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを介して標的と相互作用し、中間オリゴヌクレオチドは、標的と相補的な配列及び検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと相補的な配列(オーバーハング)を含む。いくつかの実
施形態において、除去ステップは、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去し、中間オリゴヌクレオチドを場合によって完全な状態に維持する。いくつかの実施形態において、除去ステップは、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去し、中間オリゴヌクレオチドを完全な状態に維持する。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを選択的に除去することができるように、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、化学的又は酵素的観点で中間物と異なる。
【0088】
いくつかの実施形態において、中間DNAオリゴヌクレオチドは、RNA配列を含み、相補的配列を有する架橋オリゴヌクレオチド(例えば、RNA架橋プローブ)が結合できるようなオーバーハング(例えば、20nt)により、DNA遺伝子座に対してハイブリダイズするために用いる。RNA架橋プローブは、色素又はHCRポリマー(DNAでもあり得る)により直接標識することができる。イメージングの後、DNAプローブがDNA遺伝子座上に完全な状態でハイブリダイズされたままにすると同時に、RNアーゼを用いてRNA架橋プローブを消化除去することができる。そのような方法は、多くの利点がある。例えば、後の接触ステップは、RNA架橋プローブがオーバーハングによりDNAオリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズすることのみを含み、二本鎖DNAが融解することを回避し、困難な過程であり得る、DNAオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする。さらに、ハイブリダイゼーションのラウンド当たり、遺伝子当たり、1つの種類のRNA架橋プローブのみが必要であるように、同じ遺伝子を標的とする全てのDNAオリゴヌクレオチド(例えば、20~40)について同じであるようにオーバーハングを作ることができる。異なるハイブリダイゼーション(接触ステップ)における色を切り替えるために、異なる標識又は異なるHCRポリマーを有するRNA架橋プローブを変更することができる。例えば、架橋又はHCRヘアピン上のEcoRIのような特異酵素制限部位により特異的に除去することができるDNA架橋プローブも用いることができる。細胞を適切なヌクレアーゼとともにインキュベートすることにより、それらにハイブリダイズしていたDNA遺伝子座及び/又はプローブに影響を与えずに全ての検出可能な部分を消化除去することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、5’リン酸化を含み、ラムダエキソヌクレアーゼにより分解することができるが、中間オリゴヌクレオチドは、5’リン酸化されず、ラムダエキソヌクレアーゼにより分解することができない。
【0090】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、ウラシルを含む。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、ウラシルを含み、USER(商標)酵素(New England BioLabs、Ipswich、Massachusetts、MA、US)により分解することができるが、中間オリゴヌクレオチドは、ウラシルを含まず、USER(商標)酵素により分解することができない。
【0091】
いくつかの実施形態において、中間オリゴヌクレオチドのオーバーハングに対してハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは、オーバーハングに対してハイブリダイズしたとき陥凹3’末端を有する。中間オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズしたとき陥凹3’末端を有する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼIIIにより選択的に消化することができる。陥凹3’末端を有さない、又はその3’末端がRNA-DNA二本鎖体である中間オリゴヌクレオチドは、それらに対するエキソヌクレアーゼIIIの活性がはるかに弱いため、完全なままに維持することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、酵素を含める場合、除去ステップは、最適な結果をもたらす温度で実施する。いくつかの実施形態において、除去ステップを約37℃で実施する
。いくつかの実施形態において、ラムダエキソヌクレアーゼによる消化を約37℃で行う。いくつかの実施形態において、USER(商標)酵素による消化を約37℃で行う。いくつかの実施形態において、USER(商標)酵素による消化を室温で行う。いくつかの実施形態において、エキソヌクレアーゼIIIによる消化を約37℃で行う。いくつかの実施形態において、エキソヌクレアーゼIIIによる消化を室温で行う。
【0093】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの結合のための中間オリゴヌクレオチド及びオーバーハング配列の使用は、様々な利点をもたらす。いくつかの実施形態において、オーバーハング配列と検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションの反応速度が中間オリゴヌクレオチドと標的との間のそれより速い。いくつかの実施形態において、標的に対する全ての中間オリゴヌクレオチドは、同じオーバーハング配列を含み、標的に対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じオーバーハング配列への結合のための同じ相補的配列を含む。いくつかの実施形態において、一組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと一組の中間オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションは、一組の中間オリゴヌクレオチドと一組の標的との間のそれより最大約20~40倍速い。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと中間オリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションは、30分で行わせることができるのに対して、中間オリゴヌクレオチドと標的との間のハイブリダイゼーションについては、場合によって、最大約12時間である。
【0094】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去するための除去ステップに鎖置換を用いる。いくつかの実施形態において、除去ステップにおいて熱を用いて検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを解離させる。
【0095】
いくつかの実施形態において、除去ステップは、光退色を含む。いくつかの実施形態において、光退色は、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドのフルオロフォアのような色素を破壊する。
【0096】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の組の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、各標的の異なる配列を標的とし、第1のイメージングステップの後の除去ステップは、任意選択である。例えば、1つの戦略は、第1の複数のプローブがRNA上の1つの組の配列を標的とすることができ、第2の複数のプローブが同じRNA上の異なる組の配列を標的とするような、異なるDNAプローブ(検出可能に標識されたDNAオリゴヌクレオチド)により同じRNAを標的とすることである。第1のハイブリダイゼーション(接触)時に、第1の複数のプローブを用いる。それらは、次にイメージングし、場合によって光退色するか或いはDNアーゼにより又はオリゴ若しくは色素を破壊する他の方法により消化することができる。第1の組のプローブによる妨げなしに、第2の組のプローブをハイブリダイズさせ、イメージングすることができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、HCR、光シート顕微鏡法、CLARITY又はそれらの組合せを場合によって含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、組織、臓器又は生物における標的の直接的なプロファイリングを可能にする。いくつかの実施形態において、臓器は、脳である。いくつかの実施形態において、提供する方法は、完全な脳又は組織における転写物の直接イメージングを可能にする。いくつかの実施形態において、提供する方法は、HCRをさらに含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、光シート顕微鏡法をさらに含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、CLARITYをさらに含む。
【0098】
提供する方法は、本発明に先行する方法と比べて多くの利点がある。例えば、いくつか
の実施形態において、提供する方法は、妥当な費用で大量処理を可能にする。いくつかの実施形態において、提供する方法は、標的を変換又は増幅することなく、標的の直接的プロービングを可能にする。いくつかの実施形態において、提供する方法は、多数の検出可能な標識を必要とすることなく速やかな規模の拡大を可能にする。いくつかの実施形態において、提供する方法は、同じ標的に複数の標識を加えることができ、したがって、シグナル強度を増大させることができる。いくつかの実施形態において、提供する方法は、利点の組合せをもたらす。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、提供する方法に使用するための複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。具体的としての組成物は、本明細書における具体的としての方法の実施形態で述べたものを含むが、それらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明は、組成物が少なくとも
(i)第1の核酸を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の核酸を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが核酸を標的とし、検出可能な部分により標識されている、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明は、組成物が少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されている、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明は、キットが少なくとも
(i)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1の検出可能な部分により標識されている第1のオリゴヌクレオチドと、
(ii)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第2の検出可能な部分により標識されている第2のオリゴヌクレオチドと、
(iii)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1、第2又は第3の検出可能な部分により標識されており、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第3のオリゴヌクレオチドと、
(iv)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、第1、第2、第3又は第4の検出可能な部分により標識されており、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同じである、第4オリゴヌクレオチドと
を含むように、オリゴヌクレオチドのそれぞれが転写物又はDNA遺伝子座を標的とし、検出可能な部分により標識されていて、第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は第4オリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか、又は両方である、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。
【0103】
いくつかの実施形態において、組成物中の同じ標的(転写物又はDNA遺伝子座)を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能なシグナル又はイメ
ージングステップで区別することができない検出可能なシグナルをもたらす部分により標識されている。いくつかの実施形態において、組成物中の同じ標的を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ検出可能な部分により標識されている。
【0104】
いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、フルオロフォアであるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、検出可能な部分は、フルオロフォアである。具体的としてのフルオロフォアは、当技術分野で広く知られ、用いられているが、例えば、フルオレセイン、ローダミン、Alexa Fluors、DyLight fluors、ATTO Dyes又はそれらのいずれかの類似体若しくは誘導体に限定されない。
【0105】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、異なる標的を標的とする。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、同じ標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上の標的、例えば、転写物及び/又はDNA遺伝子座を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上の転写物を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、2つ以上のDNA遺伝子座を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも4つの標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも9つの標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも16の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも25の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも36の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも50の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも100の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも200の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも500の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1,000の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも5,000の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも10,000の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも50,000の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも100,000の標的を標的とする。いくつかの実施形態において、組成物又はキット中の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1,000,000の標的を標的とする。
【0106】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、異なるオリゴヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能な部分は、異なる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の検出可能な部分は、同じである。
【0107】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、5%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは
、10%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、20%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、30%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、40%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、50%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、60%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、65%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、68%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、70%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、80%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2のオリゴヌクレオチドは、90%未満の配列同一性を共有する。
【0108】
いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと5%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと10%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと20%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと30%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと40%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと50%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと55%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと60%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと65%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと68%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと70%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと80%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、各オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチドと90%未満の配列同一性を共有する。
【0109】
いくつかの実施形態において、組成物又はキットは、同じ標的を標的とする2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、5、10、20、30、40、50又はそれ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが同じ標的を標的とする。
【0110】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、様々な適切な長さのものであり得る。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが15塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが16塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが17塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが18塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが19塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが20塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが21塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが22塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが23塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能
に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが24塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが25塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが26塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが27塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが28塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが29塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが30塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも15塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも16塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも17塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも18塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも19塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも20塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも21塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも22塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも23塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも24塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも25塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも26塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも27塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも28塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも29塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも30塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも35塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも40塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも50塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約15~25塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約20~30塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約25~35塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約30~40塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約35~45塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約40~50塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約15~30塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約20~30塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約15~35塩基対である。いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、長さが約20~35塩基対である。
【0111】
いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが2つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが3つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが4つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが5つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが6つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが7つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが8つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが9つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが10の検出可能な部分を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも2つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも3つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも4つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも5つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも6つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも7つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも8つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも9つの検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが少なくとも10の検出可能な部分を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、組成物は、
(iii)第1の転写物又はDNA遺伝子座を標的とする、第1のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同一である、第3のオリゴヌクレオチドと、
(iv)第2の転写物又はDNA遺伝子座を標的とする、第2のオリゴヌクレオチドと配列が場合によって同一である、第4のオリゴヌクレオチドと
をさらに含み、
第3のオリゴヌクレオチドが第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか又は第4オリゴヌクレオチドが第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されているか又は両方である。
【0114】
いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドと配列が同一である。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドと重複した配列を含む。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドと50%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドとの40%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドとの30%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドとの20%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドとの10%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドとの5%未満の配列同一性を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドと配列が同一である。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドと重複した配列を含む。いくつかの実施形態において、第4のオ
リゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの50%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの40%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの30%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの20%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの10%未満の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドとの5%未満の配列同一性を有する。
【0116】
いくつかの実施形態において、第3のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている。いくつかの実施形態において、第4のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドと異なる検出可能な部分により標識されている。
【0117】
いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における5%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における10%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における20%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における30%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における40%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における50%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における60%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における70%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における80%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における90%の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。
【0118】
いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも5つの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも10の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも20の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも30の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも40の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態
において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも50の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも60の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも70の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも80の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくとも90の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法における少なくともそれぞれの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの量は、あらかじめ定められている。
【0119】
いくつかの実施形態において、2つ以上の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが1つの標的に対して提供される。いくつかの実施形態において、標的に対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの総量は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、標的に対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの総量は、あらかじめ定められており、標的に対する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドのそれぞれの量は、独立に且つ場合によってあらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数の標的のそれぞれに対する全ての検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの総量は、独立にあらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも2種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも5種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも10種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも50種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも100種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも500種の標的を有する。いくつかの実施形態において、複数の標的は、少なくとも1000種の標的を有する。
【0120】
いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の標的は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の少なくとも10種の標的は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の少なくとも50種の標的は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の少なくとも100種の標的は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の少なくとも1000種の標的は、あらかじめ定められている。いくつかの実施形態において、複数のオリゴヌクレオチド、組成物、キット又は方法の最大FN種の標的は、あらかじめ定められており、Fは、複数のオリゴヌクレオチドにおける検出可能な部分の数であり、Nは、イメージングステップの数である。
【0121】
検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを合成する方法は、当技術分野で広く知られ、実施されている。例えば、Lubeck E.& Cai L.、Nat.Methods 9巻、743~48頁(2012)を参照のこと。オリゴヌクレオチドは、様々な供給業者から商業的に入手することもできる。いくつかの実施形態において、本発明は、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを調整する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、中間オリゴヌクレオチドを調製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、架橋オリゴヌクレオチドを調製する方法を提供する。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明は、
1)ニッキングエンドヌクレアーゼ部位が両端に隣接している、第1の配列を含む第1の核酸を準備するステップと、
2)第1の核酸又は第1の核酸の一部を増幅して、第1の配列及びフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位を含む第2の核酸を得るステップと、
3)第2の核酸をフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位に対応する1つ又は複数のニッキングエンドヌクレアーゼと接触させるステップと
を含む、第1の配列を有する標的核酸を調製する方法を提供する。
【0123】
いくつかの実施形態において、第1の配列を有する標的核酸は、一本鎖である。いくつかの実施形態において、増幅ステップは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、二本鎖の第2の核酸を変性させ、2つの鎖が一本鎖になる、変性するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、第1の配列を有する核酸を単離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸は、ニッキングエンドヌクレアーゼと接触させる前に場合によって修飾する。いくつかの実施形態において、提供する方法は、第1の配列を有する核酸を標識することをさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、2つのフランキングエンドヌクレアーゼ部位は、同じである。いくつかの実施形態において、同じニッキングエンドヌクレアーゼ部位に対応する1つのニッキングエンドヌクレアーゼを用いる。いくつかの実施形態において、2つのフランキングニッキングエンドヌクレアーゼ部位は、異なる。いくつかの実施形態において、それぞれがニッキングエンドヌクレアーゼ部位に独立に対応する、2つのニッキングエンドヌクレアーゼを用いる。
【0125】
いくつかの実施形態において、提供する技術のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドプールから生成される。いくつかの実施形態において、そのようなプールは、市販されている。いくつかの実施形態における最初のDNAオリゴヌクレオチドプールは、サブセットに組織化された最大12000以上の異なる一本鎖配列からなっている。各配列は、ニッキングエンドヌクレアーゼ部位並びにフォーワード及びリバースプライマー配列が所望の配列(例えば、プローブ配列)の両端に隣接するように設計されている。フォーワード及びリバースプライマー配列が所望の配列を含むどのサブセットに属するかを指定する。プライマー対は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてサブセットを増幅するために用いることができる。PCR反応の生成物を単離し、ニッキングエンドヌクレアーゼにより消化する。ニッキング酵素とのインキュベーション時間は、用いる酵素の量及び回収されるDNAの量によって異なる。いくつかの実施形態において、約10単位の酵素は、約1μgのDNAを約1時間で消化する。次いで試料を精製し、緩衝液、例えば、2x負荷緩衝液(96%ホルムアルデヒド/20mM EDTA)及び水で再構成して、最終負荷緩衝液(48%ホルムアルデヒド/10mM EDTA)を調製し、例えば、95℃に加熱することにより変性して、DNAを完全に変性する。変性DNAを精製し、所望の生成物を単離する。いくつかの実施形態において、精製及び/又は単離は、電気泳動を含む。具体的としての方法を
図25に示す。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明は、
1)少なくとも1つの制限部位が両端に隣接している、第1の配列又はその相補的配列を含む第1の核酸を準備するステップと、
2)第1の核酸又は第1の核酸の一部を増幅して、第1の配列及び少なくとも1つのフランキング制限部位を含む第2の核酸を得るステップと、
3)第2の核酸を少なくとも1つのフランキング制限部位に対応する制限酵素と接触させて、陥凹末端を含む第3の核酸を得るステップと、
4)第3の核酸をヌクレアーゼと接触させて、第1の配列を含む鎖を保持しながら、もしあれば、相補的配列を含む鎖を選択的に消化するステップと
を含む、第1の配列を有する標的核酸を調製する方法を提供する。
【0127】
いくつかの実施形態において、第1の配列又はその相補的配列の両端に制限部位が独立に隣接している。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明は、
1)制限部位が両端に隣接している、第1の配列又はその相補的配列を含む第1の核酸を準備するステップと、
2)第1の核酸又は第1の核酸の一部を増幅して、第1の配列及びフランキング制限部位を含む第2の核酸を得るステップと、
3)第2の核酸をフランキング制限部位に対応する制限酵素と接触させて、陥凹末端を含む第3の核酸を得るステップと、
4)第3の核酸をヌクレアーゼと接触させて、第1の配列を含む鎖を保持しながら、もしあれば、相補的配列を含む鎖を選択的に消化するステップと
を含む、第1の配列を有する標的核酸を調製する方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態において、第1の配列を含む標的核酸は、一本鎖である。いくつかの実施形態において、増幅ステップは、PCRを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、第1の配列を有する核酸を単離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸は、制限酵素と接触させる前に場合によって修飾する。いくつかの実施形態において、第3の核酸は、ヌクレアーゼと接触させる前に場合によって修飾する。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼは、3’陥凹末端を有する鎖を優先的に分解し、5’陥凹末端を有する鎖を保存することができる、エキソヌクレアーゼIIIである。いくつかの実施形態において、制限酵素は、5’陥凹末端を生じせる。いくつかの実施形態において、制限酵素は、3’陥凹末端を生じせる。いくつかの実施形態において、相補的配列は、制限消化の後に3’陥凹末端を有する。いくつかの実施形態において、相補的配列を含む鎖は、制限消化の後に3’陥凹末端を有し、第1の配列を含む鎖は、制限消化の後に5’陥凹末端を有する。いくつかの実施形態において、提供する方法は、第1の配列を有する核酸を標識することをさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、一本鎖オリゴヌクレオチド、例えば、seqFISHに対するプローブ又は中間オリゴヌクレオチドは、exoIIIヌクレアーゼ消化のようなヌクレアーゼ消化を用いて生成させることができる。増幅(例えば、PCR)生成物上の2つのニック部位の代わりに、プローブ及び/又はアダプター配列の両端に隣接する2つの制限部位を用いることができる。いくつかの実施形態において、1つの制限部位は、3’陥凹末端を残すが、もう一方のものは、5’陥凹末端を残す。例えば、EcoRI及びBamHIは、5’陥凹末端を残すが、BmtI及びPacIは、3’陥凹末端を残す。そのような制限酵素は、当技術分野で広く知られ、用いられている。エキソヌクレアーゼIIIは、3’陥凹末端を優先的に分解し、5’陥凹末端を有する鎖を保存する。これは、PCR及び制限ヌクレアーゼを用いてオリゴヌクレオチドプールから一本鎖プローブを生成させる他のメカニズムを提供する。
【0131】
いくつかの実施形態において、提供する標的核酸は、DNAである。いくつかの実施形態において、標的核酸は、第1の配列と同じ配列を有する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、標的、例えば、転写物又はDNA遺伝子座とハイブリダイズする第1の配列、及び第2のオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする第2の配列を含む、中間オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的核酸は、標的とハイブリダイズする第1の配列、及びHCRにより
標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする第2の配列を含む、中間オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、標的核酸は、架橋プローブである。
【0132】
いくつかの実施形態において、提供する方法は、転写物又はDNA遺伝子座の異常な数に関連する、疾患の診断のために用いられる。いくつかの実施形態において、提供する方法は、治療のために対象を選択するために用いられる。いくつかの実施形態において、提供する方法は、治療計画をモニタリングするために用いられる。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、対象に由来する。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、哺乳類細胞である。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、対象に由来する。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、動物に由来する。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、ヒト対象に由来する。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、ヒト対象から単離される。いくつかの実施形態において、提供する方法における細胞は、罹患組織又は疾患に罹りやすい組織に由来する。多数の標的を同時に検出し、定量化することができる、提供する方法は、診断、治療モニタリング及び患者層別化に関する意味のある利点を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態において、提供する技術は、タンパク質、神経活動及び/又は構造配置をプロファイリングすることを場合によって含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、同じ試料中のタンパク質をプロファイリングすることを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、同じ試料中の神経活動をプロファイリングすることを含む。いくつかの実施形態において、提供する方法は、構造配置をプロファイリングすることを含む。
【0134】
本明細書で例示するように、提供する技術は、多種多様な試料を対象とする。例えば、HCR-seqFISHは、脳薄片で機能し、SPIMsは、CLARITY脳薄片における単一mRNAsを頑健に検出することができる。いくつかの実施形態において、提供する技術は、神経変性疾患のマウスモデル又はヒト脳における標的をプロファイリングするのに有用である。本発明に先行する他の技術は、同じ質及び量のデータを提供することはできない。
【実施例0135】
例示
前述は、本発明の特定の非制限的な実施形態の説明であった。したがって、本明細書において記述した本発明の実施形態は、本発明の原理の応用を単に説明しているに過ぎないと理解される。本明細書において説明される実施形態の詳細に言及することは、特許請求の範囲を制限しないと意図される。
【0136】
連続的ハイブリダイゼーション及びバーコード化による核酸のインサイチュープロファイリング
本明細書における非制限的な実施例に記述されるように、細胞中の核酸、例えばmRNAのプロファイルを、提供される方法によって接触、イメージング、及び除去ステップ(
図2(a)及び3)の連続ラウンドを通して調べた。転写物は、細胞に固定されることから、対応する蛍光スポットは、多数のラウンドのハイブリダイゼーションの間その場に留まり、フルオロフォア配列を読み出しするために整列させることができる。この連続的バーコードは、mRNAをユニークに同定するために設計される。
【0137】
それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションにおいて、それぞれの転写物は、検出可
能に標識されたオリゴヌクレオチドの組、この場合1つのタイプのフルオロフォアによって標識されたFISHプローブの標的であった。試料をイメージングした後、DNアーゼIによって処置して、FISHプローブを除去した。その後のラウンドにおいて、mRNAを、同じオリゴヌクレオチド配列の組を有するが、異なる色素で標識されたFISHプローブとハイブリダイズさせた。利用可能なバーコードの数はFNに比例して、式中Fはフルオロフォアの数であり、Nはハイブリダイゼーションのラウンド数である。例えば、4つの色素によって、8ラウンドのハイブリダイゼーションを行うと、ほぼ全てのトランスクリプトーム(48=65,536)をカバーすることができる。
【0138】
例証として、1つの酵母細胞における12個の遺伝子を、4つの色素と2ラウンドのハイブリダイゼーションでバーコード化した(4
2=16、4つのバーコードが残る;それぞれのハイブリダイゼーションを3サイクル行った)。細胞をガラス表面に固定した。DNAプローブをハイブリダイズさせて、イメージングした後、DNアーゼI処置によって除去した(効率88.5±11.0%(SE)、
図4)。残りのシグナルを光退色させた(
図5)。6回のハイブリダイゼーション後であっても、mRNAは当初の強度の70.9±21.8%(SE)で観察された(
図6)。最初の2回のハイブリダイゼーションにおいて共局在したスポットの77.9±5.6%(SE)が、3回目のハイブリダイゼーションでも共局在することが観察された(
図7及び8)。細胞中の対応するバーコードの出現を計数することによりmRNAの量を定量した(
図9及び10、細胞n=37)。mRNAは、哺乳動物細胞において剥離させて、効率よく再ハイブリダイズさせることができることが示された(
図11及び12)。本明細書において証明したように、提供される方法は、本発明より前に公知である方法と比較して多くの利点を有する。例えば、提供される方法は、たとえ2つの色素であってもコード化能が原則的に制限されないことから(2
N)、速やかにスケールアップする。それぞれの接触ステップの際に、シグナルの輝度を増加させる、標的に対する検出可能に標識された利用可能な全てのオリゴヌクレオチド、この例においてFISHプローブを使用することができる。提供される方法の読み出しもまたロバストであり、ネイティブの試料において完全なZスタックを可能にする。提供される方法は、FISHプローブなどの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの高いハイブリダイゼーション効率(mRNAの>95%が検出される;Lubeck, E.
& Cai, L. Nat. Methods 9, 743-48 (2012))を利用することができる。本出願人は、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、例えば、FISHプローブをまた、1つの細胞における多数のスプライスアイソフォーム、SNP、並びに染色体座を解像するために設計できることにも注目する(Levesque, M. J. & Raj, A. Nat Meth 10, 246-248 (2013))。超解像法(Lubeck, E. & Cai, L. Nat. Methods 9, 743-48 (2012))と組み合わせると、提供される方法により、脳などの複雑な試料中の多数の標的、例えばトランスクリプトームを、単細胞の解像度で直接イメージングすることができる。
【0139】
方法及び技法
試料の調製:MDN1-GFP酵母細胞を、50mM CaCl2をOD0.3となるように添加したYPDにおいて増殖させた。細胞を、1%ホルムアルデヒド、5%酢酸中で5分間固定した後、緩衝液Bで3回すすぎ、30℃で1時間、スフェロプラストにした。細胞を、-20℃の70%エタノール中で最長2週間保存した。
【0140】
カバーガラスを、1M NaOH及び100%エタノールの交互の溶液によって3回超音波処理した後、アセトン中での最後の超音波ラウンドにより調製した。(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(Sigma 440140)の2%溶液をアセトン中で調製して、きれいにしたカバーガラスをその中に直ちに2分間沈めた。アミン修飾カバーガラスをすすいで、室温の超純水中に保存した。
【0141】
固定された酵母細胞を0.5U/μL溶液のDNアーゼI(Roche 04716728001)によって23℃で30分間前処置した。処置後、酵母の希釈溶液を2つのアミン修飾カバーガラスの間で物理的に押しつけることによって、酵母細胞を、コーティングしたカバーガラスに接着させた。次に、カバーガラスを注意深く剥がして、直ちに1%ホルムアルデヒド溶液に2.5分間沈めた。固定後、カバーガラスを乾燥させて、接着剤コーティングフローセルをカバーガラス(GraceBio Labs SA84-0.5-SecureSeal)に接着させることによって、フローセルを構築した。フルオスフェア(FluoSphere)365nm蛍光ビーズをカバーガラスに添加して、多数のハイブリダイゼーションに対するドリフトを測定した(Life F8805)。フローセルをパラフィルムで覆って4℃で保存した。
【0142】
検出可能に標識したオリゴヌクレオチドの調製:プローブを、Lubeck, E. & Cai, L. Nat. Methods 9, 743-48 (2012)の方法に従って調製した。それぞれの標的に関してプローブ24個を使用した。それぞれの組の遺伝子に関する全ての24のプローブを、使用される4つの色素、Alexa 532、594、Cy5、及びCy7の1つに連結させた。
【0143】
ハイブリダイゼーション:フローセルを、10%硫酸デキストラン(Sigma D8906)、10%ホルムアミド、及び2×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液において2nM/プローブの濃度で一晩ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、試料を、室温の試料に添加する前にあらかじめ37℃に加温した30%ホルムアミド、0.1%トライトン-X 100緩衝液によって10分間洗浄した。試料を2×SSCによって数回洗浄して拡散するプローブを除去した。
【0144】
イメージング:試料を、抗退色緩衝液(Swoboda, M.ACS Nano 6, 6364-69 (2012)):20mM Tris-HCL、50mM NaCl、0.8%グルコース、飽和Trolox(Sigma:53188-07-1)、OD405nm 0.05のピラノースオキシダーゼ(Sigma P4234)、及び1/1000希釈のカタラーゼ(Sigma:9001-05-2)に浸した。
【0145】
プローブの変位:イメージング後、細胞をDNアーゼI緩衝液(Roche)で洗浄して、0.5U/μL DNアーゼI(Roche)中で4時間放置した。DNアーゼを阻害するために、細胞を30%ホルムアミド、0.1%トライトン-X 100、2×SSCで2回洗浄した。DNアーゼ処置後、細胞を抗退色緩衝液中でもう一度イメージングして、DNアーゼIによるプローブ剥離率を決定した。残っているプローブシグナルを除去するために、試料を全てのイメージングチャンネルにおいて10秒間の励起によって退色させて、標準的な励起時間でもう一度イメージングし、残留シグナルを記録した。
【0146】
再ハイブリダイゼーション:試料を、既に概要した条件に従って、顕微鏡において再ハイブリダイズさせた。顕微鏡上でのハイブリダイゼーションの間、蒸発を防止するために、試料をパラフィルムで覆った。
【0147】
少なくとも6ラウンドのハイブリダイゼーションを同じ試料について行った。それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションは顕微鏡上で夜間に行い、昼間の間DNアーゼ処置及びイメージングを行った。この対応で適用される反復ハイブリダイゼーションスキームにおいて、2ラウンドのハイブリダイゼーションを使用して、mRNAをバーコード化した。次に、hyb1及びhyb3が同じプローブを使用して行われ、hyb2及びhyb4が別のプローブの組を使用して行われるように、バーコードスキームを繰り返した。hyb1とhyb3が共局在すれば、検出された転写物の較正を与え、hyb1とhyb2
が共局在すれば、バーコード化データを生じた。
【0148】
データ分析:データ分析をImageJ、Python、及びMatlabによって行った。実験の間試料のドリフトが見られたことから、未加工画像を、それぞれのイメージング位置のDAPIチャンネルから決定された相互相関に基づく登録法を使用して整列させた。次に、ドリフト補正を、同じ位置に対応する他の4色チャンネルに拡大した。画像を逆畳み込みして、隣接するFISHスポット間の重なりを減少させた。個々のチャンネルにおけるスポットの重なりは、ほとんど観察されなかったが、異なるチャンネルのスポットは、画像を重ねた場合にその点拡がり関数(PSF)で重なり合う。未加工データを、反復ルーシー・リチャードソンアルゴリズム(Lucy, L.B. The Astronomical Journal. 79, 745 (1974) and Richardson, W.H. J. Opt. Soc. Am. 62, 55-59 (1972))に基づいて処理した。顕微鏡のPSFを、顕微鏡のDAPIチャンネルにおいて測定されたビーズ画像(直径約200nm)を平均することによって推定した。ルーシー・リチャードソンアルゴリズムによって測定されたこの点拡がり関数を使用して、本発明者らは、このプロセスを約20回以上反復して計算した後、FISH画像の蛍光放射分布の最尤推定を行った。このデコンボリューション法の結果は、解像されたFISHデータを提供し、バーコード割付信頼度を増加させる。
【0149】
画像におけるFISHシグナルに対応するドットを、極大値関数を使用して同定した。閾値より下のドットを、さらなる分析に使用しなかった。同じプローブの組にハイブリダイズしたhyb1及びhyb3画像における共局在を最適化することにより閾値の値を決定した。それぞれのPSFに関する最大強度ピクセルを、そのmRNA分子の位置のプロキシとして使用した。
【0150】
hyb1及びhyb2におけるmRNAに対応するドットからバーコードを自動的に抽出した。アルゴリズムは、hyb1において同定されたそれぞれの点とhyb2において同定された全ての点との間の対応のある距離を計算した。hyb1におけるそれぞれの点に関して、hyb2における最近傍を同定した。その距離が0又は1ピクセルで、hyb2における点の最近傍もまた、hyb1における当初の点であった場合、バーコード対であることが確認された。対称最近傍の必要条件は、バーコードの偽割付を減少させた。cy7における偽陽性を減少させるため、hyb1 cy7において検出された点は、cy7のhyb3において再出現する必要があった。
【0151】
この非制限的な例において、本出願人は、その低い費用及び迅速な活性により、DNアーゼIによってプローブを除去した。本出願人は、mRNAからプローブを除去して、それを無傷のままにする任意の方法、例えば、これらに限定されないが、鎖置換(Duose, D. Y. Nucleic Acids Research, 40, 3289-3298 (2012))、及び高温又はホルムアミドでの洗浄を、提供されたバーコード化アプローチにおいて使用できることに注目する。本出願人はDNアーゼIが、標準的なsmFISHプローブからのプローブの再設計を必要とせず、過酷な洗浄によって試料を不安定にしないことに注目する。
【0152】
いくつかの実施形態において、dsDNAからのDAPIシグナルの数秒以内の急速な喪失が観察されたが、smFISHプローブは、分解するためには実質的により長い時間(数十分)を要した。理論に拘束されたくはないが、DNアーゼIによるプローブ除去の効率は、dsDNA切断率と比較して低くなり得る。除去プロセスはそれでもなおも短時間で観察された。
【0153】
特定の実験において、蛍光シグナルの11.5%がDNアーゼI処置後にmRNA上に
残っていた。残っているシグナルは、退色によってほぼゼロまで減少した。本出願人は、シグナル及び/又はプローブのより完全な除去を、光退色の前に達成することができ、それによってより多くのmRNAをその後のラウンドのハイブリダイゼーションに利用できることに注目する。本出願人は、光退色は必ずしもバーコード化に必要ではないが、いくつかの実施形態において、光退色は、さらなるラウンドのバーコード化において偽陽性を生じ得る残留シグナルを除去することによってプロセスを単純化する。mRNAに結合した残留プローブの11.5%の一部は、さらなるラウンドのハイブリダイゼーションを阻害し得る。提示されるデータは、5回ハイブリダイゼーションを行ってもハイブリダイゼーション効率の軽微な減少を示したに過ぎないことから、本出願人は、残留プローブはハイブリダイゼーションの後の段階のラウンドを有意に阻害していなかったことに注目する。
【0154】
脳組織における核酸のプロファイリング
無傷の脳切片における細胞の転写プロファイリングは、細胞の同一性の分子的基礎を理解する上で必須である。しかし、本発明の前では、ネイティブの神経ネットワークの解剖学的状況で1つの細胞における転写物の量及び位置のプロファイルを定量的に調べることは技術的に困難であった。体性感覚野のサブネットワークを例として使用して、例えば異なる機能的ドメイン内の別個のニューロン集団、例えば一次体性感覚野(SSp)、一次体性運動野(MOp)、二次体性運動野(MOs)、及び補足体性感覚野(SSs)におけるニューロン集団、における多数の遺伝子のプロファイルを調べるために、FISHによるインサイチューシークエンシング(seqFISH)及びコネクトミクスを使用して、例として提供される技術の実現可能性及び有用性を証明する。
【0155】
本明細書において広く記述されるように、いくつかの実施形態において、本発明は、例えば
図1及び2に例証されるように、FISHによるインサイチュー「シークエンシング」により1つの細胞における遺伝子発現のプロファイルを調べる技術を提供する。個々のmRNAを検出するために、単分子蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(smFISH)を、mRNA配列に対して相補的な20量体オリゴヌクレオチドプローブと共に使用した(Fan, Y., Braut, SA, Lin, Q., Singer, RH, Skoultchi, AI. Determination of transgenic loci by expression FISH. Genomics. 2001 Oct 2; 71(1): 66-9; Raj A, Peskin CS, Tranchina D, Vargas DY, Tyagi S. Stochastic mRNA synthesis in mammalian cells. PLoS Biol. 2006 Oct;4(10):e309)。そのようなフルオロフォア標識プローブ24個をmRNAに結合させることにより、細胞中の1つの転写物がインサイチューで容易に検出可能となる。検出することができるほぼ全てのmRNAが、smFISHによって観察されることが示された(Lubeck, E.
L. Cai. Single cell systems biology by super-resolution imaging and combinatorial labeling. Nature Methods 9, 743-48 (2012))。提供される方法は、非常に定量的であり、1つの細胞を物理的に単離することなく、又はホモジネートを使用することなく、組織試料内の空間的情報を保存する。
【0156】
いくつかの実施形態において、異なるmRNA種を識別するために、mRNAを、連続ラウンドのハイブリダイゼーションを使用してFISHプローブなどの検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドによってバーコード化する。ハイブリダイゼーションのラウンドにおいて、それぞれの転写物は、1つのタイプのフルオロフォアによって標識された多数の、例えば24個のFISHプローブの組の標的となる。試料をイメージングして、FISHプローブを、酵素消化によって除去する。次に、mRNAを、同じFISHプローブ
であるが、いくつかの場合において異なる色素によって標識されたプローブによって、その後のラウンドでハイブリダイズさせる。転写物が細胞に固定されていることから、1つのmRNAに対応する蛍光スポットは、多数のラウンドのハイブリダイゼーションの間その場に留まり、色の配列を読み出しするために整列させることができる。したがって、それぞれのmRNA種にユニークバーコードが割付される。所定の細胞におけるそれぞれの転写物の数は、対応するバーコードの数を計数することによって決定することができる。例示的なプロセスを
図1、2、又は3に説明する。
【0157】
提供される技術はFISHの高いハイブリダイゼーション効率(>95%のmRNAが検出される)を利用することができる。いくつかの実施形態において、塩基対の解像は、望ましければ行ってもよいが、転写物を同定するために必要ではない。提供される方法で利用可能なバーコードの数はFNに比例し、式中Fは別個のフルオロフォアの数であり、Nは、ハイブリダイゼーションのラウンド数である。別個の色素5個と3ラウンドのハイブリダイゼーションにより、125個のユニークな核酸のプロファイルを調べることができる。例えば、1つの細胞中の転写物の全てを解像する超解像顕微鏡を使用して、ほぼ全てのトランスクリプトームを、6ラウンドのハイブリダイゼーションによってカバーすることができる(56=15,625)。いくつかの実施形態において、実行が単純でロバストである従来の落射蛍光顕微鏡などの従来の顕微鏡は、より少ないがなおも多数の標的、例えば100個の遺伝子の多重処理を検出するために使用される。
【0158】
多数のサイクルのハイブリダイゼーションにおいて、プローブを剥離させて、同じmRNAに再ハイブリダイズさせることができる(
図2)。多くの市販のフルオロフォア、例えばAlexafluor 488、532、594、647、700、750、及び790は、ロバストに作用して、バーコード化のために少なくとも7色を生じる。6ラウンドのハイブリダイゼーション終了時であっても、プローブは、剥離させたmRNAに、元の強度の70.9±21.8%で再ハイブリダイズすることができる(
図6)。例証として、バーコード化される12個の遺伝子は、1つの酵母細胞において、4つの色素と2ラウンドのハイブリダイゼーションによってバーコード化された(4
2=16、
図3c)。
【0159】
12個の遺伝子の多重処理画像は、それぞれの蛍光チャンネルにおける光学的空間のわずか5%を占めるに過ぎないことから、多数の、例えば100個の遺伝子の多重処理を実施するには十分な光学的空間が細胞には存在する。
図3における4つ全ての蛍光チャンネルの合成画像は、濃く見えるが、それぞれの蛍光チャンネルのスポットはまばらに分布している。それぞれのスポットを二次元ガウスプロファイルにフィットさせて、その中心位置を抽出し、他の蛍光チャンネルのスポットとの重なりをさらに減少させることができる。同じスポットが異なるラウンドのハイブリダイゼーションにおいて100nmに再整列することが示された(
図8)。
【0160】
いくつかの実施形態において、100個の遺伝子の多重処理を、3ラウンドのハイブリダイゼーションによって迅速に行うことができる。いくつかの実施形態において、それぞれのハイブリダイゼーションサイクルは、約4時間のハイブリダイゼーション、約1時間のイメージング、及び約1時間のDNアーゼ処置及び洗浄を必要とし、それぞれの時間の長さは任意で及び独立して変更することができる。いくつかの実施形態において、3ラウンドのハイブリダイゼーションは、およそ18時間を要する。いくつかの実施形態において、同じ顕微鏡上の別の切片がハイブリダイズしている間に、1つの脳切片をイメージングできることから、イメージング時間は、ハイブリダイゼーション時間より律速段階である。いくつかの実施形態において、1つの顕微鏡は、8個までの切片を同時に多重処理することができ、18時間の3サイクルのハイブリダイゼーションの終了時に8個全ての切片において100個の遺伝子データを得ることができる。
【0161】
いくつかの実施形態において、細胞106個を含む10mm×5mm×10μmの脳切片を、複数の顕微鏡において、35分でイメージング及び分析することができる。いくつかの実施形態において、顕微鏡における1つの実視野(FOV)は、20倍の乾燥系対物レンズ及び13mm×13mmカメラチップの場合、0.5mm×0.5mm×2μmである。いくつかの実施形態において、それぞれのFOVは、100ミリ秒露出されて読み出される。いくつかの実施形態において、xyz及び異なるカラーチャンネルにおける試料の走査により、スナップショットの間に200ミリ秒の遅延が導入される。いくつかの実施形態において、脳全体の切片を、2000秒又は35分でイメージングすることができる。遺伝子100個の多重処理にとって必要な3ラウンドのハイブリダイゼーションでは、総イメージング時間は105分である。いくつかの実施形態において、マウス脳全体は、顕微鏡1つの場合30日でイメージングすることができる。複数の顕微鏡を使用する場合、時間枠をさらに短縮することができる。いくつかの実施形態において、提供される方法は、マウス脳全体を500個の切片にして25,000ドル未満の費用でイメージングすることができる。
【0162】
本発明より前の公知の他の技術と比較すると、提供される技術は、多様な利点を提供する。とりわけ、提供される技術は、定量的であり、空間情報を保存して、組織、臓器、及び/又は生物全体へと安価にスケールアップすることができる。
【0163】
本発明より前の単細胞RNA-seqとの比較。単細胞を単離して96ウェルフォーマットに添加することが必要な単細胞RNA-seq又はqPCRとは異なり、seqFISHなどの提供される方法は、多数の細胞を、そのネイティブの解剖学的状況で自動化された顕微鏡によって少しの追加の費用で走査することができる。流体工学装置で同レベルの処理能力を達成することは、経済学的に不可能であり、多大な労力を必要とするであろう。いくつかの実施形態において、提供される技術の主な費用は、プローブ合成の初回費用であるが、これは、一度プローブを合成すると、それらを多くの、例えば1000~10,000回又はそれ以上の反応で使用することができるという事実により相殺される。
【0164】
seqFISHなどの提供される方法は単分子FISHに基づき、低コピー数の転写物を絶対量の定量で測定することができる。この方法で得られるデータは、非常に定量的であり、高い品質の統計分析を可能にする。比較すると、現行の単細胞qPCR及びRNA-seq実験は、逆転写(RT)及びPCR増幅エラーによるバイアスにより定量力に限界がある。
【0165】
本発明より前の他のインサイチューシークエンシング法との比較
smFISHアプローチの1つの主要な利点は、標的とするほぼ全てのmRNAを観察できる点である。mRNAに結合したそれぞれのFISHプローブの効率は、50~60%であると決定された(Lubeck, E. & Cai, L. Nat. Methods 9, 743-48 (2012); Levesque, M. J. &
Raj, A. Nat Meth 10, 246-248 (2013))。mRNA当たり多数の、例えば24~48個のプローブを標的とすることにより、少なくとも10個のプローブがほぼあらゆるmRNAに確実にハイブリダイズして、非特異的バックグラウンドを超える良好なシグナルを提供する。FISHプローブによるmRNAの直接プロービングは、非常に特異的であり、それによって全ての転写物が確実に検出される。
【0166】
これに対し、他の多くのインサイチューシークエンシング法は、mRNAを直接標的とするのではなく、酵素反応を利用して、最初にmRNAをDNA鋳型へと変換した後、シークエンシング反応によりDNA鋳型を検出する。しかし、mRNAからDNAへの変換プロセスは、非常に効率が悪く、RNAのごく小さい分画が変換及び検出されるに過ぎない。他の例示的な主な欠点は、逆転写(RT)に関して1%及びパドロックライゲーショ
ン(PLA)に関して10%と推定される低い効率であり、これによって、遺伝子発現測定に有意なノイズ及びバイアスが導入され得る。
【0167】
典型的な細胞サイズが(10~20μm3)であるとすると、細胞にはおよそ25,000の回折限界点が存在する。いくつかの実施形態において、これが、1つの細胞での転写物検出に利用できる現状である。seqFISHでは、転写因子(TF)及び細胞接着分子(CAM)などの選択された遺伝子セットを、高い精度でイメージング及び定量することができる。遺伝子当たり転写物100個の平均コピー数を有する標的遺伝子を選択すれば、非常に定量的な100~200個の遺伝子プロファイリング実験を行うことができる。これに対し、他の多くのインサイチューシークエンシング法では、その現状のほとんどが、リボソームRNA並びにハウスキーピング遺伝子をシークエンシングするために使用される。神経細胞同一性にとって特異的な遺伝子などの関心対象遺伝子は、きわめて過小評価されて検出が不良である。
【0168】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、FISHシグナルを増幅するためにハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)(Choi, et al., Programmable in situ amplification for multiplexed imaging of mRNA expression Nature Biotechnol, 28, 1208-1212, (2010))を使用し、これにより20倍の乾燥系対物レンズで大きいFOVイメージングが可能となると同時にsmFISHの高い検出効率は保持される。
【0169】
本発明より前のRNA多重処理のための超解像バーコード化方法との比較。いくつかの実施形態において、提供される方法は、本発明より前のsmFISH(Femino et al, Visualization of single RNA transcripts in situ. Science. 1998 Apr 24;280(5363):585-90; Kosman et al., Multiplex detection of RNA expression in Drosophila
embryos. Science. 2004 Aug 6;305(5685):846; Levsky et al, Single-cell gene expression profiling. Science. 2002 Aug 2; 297(5582):836-40; Lubeck et al, Single cell systems biology by super-resolution imaging and combinatorial labeling. Nature Methods 9, 743-48 (2012); and Levesque
et al., Nat Meth 10,246-248 (2013))によるmRNAのスペクトルバーコード化と比較して多くの利点を有し、本発明より前の方法では、特定のmRNAに対するプローブをサブセットに分割して、これを異なる色素によって標識する。とりわけ、提供される技術は、スケールアップのために多くの別個のフルオロフォアを必要としない;たった2つの色素によっても、コード化能は膨大であり、繰り返しバーコード(例えば、赤-赤-赤)を使用することができる。比較すると、本発明より前のRNAのスペクトルバーコード化は、生成することができるバーコードの数に限界がある(約30個)。提供される方法では、それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションの間、転写物に対するFISHプローブなどの検出可能に標識された全てのオリゴヌクレオチドを、プローブをサブセットに分割するのではなく一度に使用することができる。とりわけ、提供される技術は、それぞれのmRNA上のシグナルがより強いことからバーコード読み出しのロバストネスの改善をもたらす。本発明より前の方法と比較すると、それぞれのmRNAが、ハイブリダイゼーションのそれぞれのラウンドでより少ない色、いくつかの実施形態において1つの色を有し得ることから、画像における対象物の密度は低いが、本発明より前のスペクトルバーコード化スキームでは少なくとも3色である。望まし
ければ、より低い画像密度は、データ解析を大きく単純化して、超解像顕微鏡が必要となる前により多くの遺伝子を多重処理することができる。本出願人は、特定のスペクトルバーコード化法、プローブ、及び/又は超解像顕微鏡を使用することができ、提供される実施形態において有用な実施形態であり得ることに注目する。いくつかの実施形態においてseqFISHなどの提供される技術によってトランスクリプトームのプロファイルを調べる場合、細胞における何百万もの転写物を解像するために超解像顕微鏡が使用される。
【0170】
転写のプロファイリングの他に、提供される技術は、同じmRNA分子における多数の選択的スプライシングの選択及びRNA編集を解像することができる。シークエンシングリードはたいていの場合、短すぎて同じ転写物内のエキソンの選択を相関させることができないことから、選択的スプライシングされたアイソフォームをシークエンシング法によってプロービングすることは難しい。seqFISHなどの提供される方法では、脳切片における個々の細胞内のスプライスアイソフォームの全レパートリーを直接可視化することができる。同様に、一ヌクレオチド多形(SNP)を検出するsmFISH法を、ニューロン又は他の細胞タイプにおける編集された転写物をイメージングするseqFISHに適合させることができる。
【0171】
いくつかの実施形態において、提供される技術は、連続的FISH(seqFISH)によるインサイチューでの遺伝子プロファイリングにとって、効率的で費用効果の高いパイプラインを提供し、細胞同一性に対応する組み合わせ分子マーカーを同定するために皮質における体性運動ニューロンのプロファイルを調べるために、seqFISHとコネクトミクスを統合する。
【0172】
脳における定量的インサイチュー遺伝子発現マッピング
CLARITY透明化脳切片を直接イメージングするために光シート顕微鏡を適用する。いくつかの実施形態において、マウス脳は、1つの機器当たり1カ月でマップされる。いくつかの実施形態において、マウス脳は、4~5個の機器であれば1週間でマップされる。
【0173】
増幅:FISHシグナルの増幅により、倍率20倍の低開口数対物レンズによる脳切片の大きいFOVイメージングが可能となる。いくつかの実施形態において、提供される方法は、シグナル対バックグラウンドを増加させるため及び/又はFISH法の特異性及び多重処理能力を保存するために、ハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)(Choi
et al., 2010)によって標識された検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用する。このアプローチによって、mRNA標的と相補的な核酸プローブは、準安定なフルオロフォア標識核酸ヘアピンが、繋がれた蛍光増幅ポリマーへと自己アセンブルする連鎖反応を誘発する。スペクトルが異なるフルオロフォアを有する直交HCR増幅因子を使用して、インサイチュー増幅を、全てのチャンネルに関して同時に行うことができる。
【0174】
いくつかの実施形態において、HCR(HCRプローブ)により検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、標的mRNAと相補的な20ヌクレオチドドメインに加えて40ヌクレオチドのHCRイニシエーターを含む。プローブのハイブリダイゼーションを、10%ホルムアミドのストリンジェンシーで行った後、許容性の条件で増幅ステップを行う。最適な結果を得るために、ヘアピンの濃度のような条件を最適化することができる。本出願人は、特定の場合において、より高濃度のヘアピンが反応速度を増加させることに注目している。あらゆるHCRプローブを回折限界点まで増幅することができる。いくつかの実施形態において、FISHシグナルは、回折限界点の大きさ内でおよそ10~20倍増幅される。スポットの輝度は、例えばそれぞれのプローブ内に多数のHCRイニシエーターを組み入れることにより、及び/又は多数のフルオロフォアによってそれぞれのHC
R増幅ヘアピンを標識することにより、回折限界点の大きさを維持しながらさらに増強することができる。
【0175】
HCRで増幅されたシグナルを、脳切片において直接mRNAから観察した。同じmRNAを標的とする場合、HCRプローブは、smFISHドットと90%の割合で共局在するが、10~20倍明るい(
図14)。これによってHCRプローブは、脳の自家蛍光を超えて容易に検出することができる(
図13)。高い共局在率は、HCRがsmFISHと同程度に特異的であり、ほとんどの転写物が検出されることを証明している。
【0176】
HCRプローブは、容易に剥離して再ハイブリダイズし、本明細書において記述されるseqFISHプロトコールに完全に組み込むことができる。
図15は、異なる2ラウンドのハイブリダイゼーションでの脳切片においてHCRが標的とする同じ遺伝子を示した。2回のハイブリダイゼーションにおいて良好に共局在することは、HCR-seqFISHが、脳においてmRNAをバーコード化するためにロバストに作用することを示している。
【0177】
HCRプロトコールは、smFISHハイブリダイゼーションと同じ時間の尺度で作用し、アッセイのサイクル時間を増加させない。HCRにおける初回ハイブリダイゼーションステップの時間は、smFISHと類似であるが、第2の増幅ステップは30分から1時間で起こる。シグナルを増幅するために別のタイプのヘアピンを任意で使用して、RNAプローブを転写物にハイブリダイズさせる代替法は、サイクル時間をさらに減少させることができる。いくつかの実施形態において、HCRにより、アミン標識オリゴプローブを購入する必要がなくなる。とりわけ、HCRは、おそらく試薬の費用をおよそ半分、例えば脳1つ当たり10,000ドルに減少させることができる。
【0178】
自動化。効率よくスケールアップするために、例えば遺伝子100個をマップするため並びに/又は人の労力及び/若しくはエラーを減少させるために、ハードウェア及びソフトウェアの両面の自動化を適用することができる。いくつかの実施形態において、技術の重要な部分を統合して、脳切片のイメージングなどの組織及び/又は臓器のイメージングのためのパイプラインを作製する及び/又はワークフローを最適化する。とりわけ、自動流体工学、画像獲得、及び/又は総合解析を、個々に及び任意で、迅速なハイブリダイゼーションサイクル時間及びイメージング時間と組み合わせることができる。
【0179】
ハードウェア。いくつかの実施形態において、自動システムでは、必要なユーザーの介入は最少であり、ユーザーが実験を設定した後は、画像獲得を自動で行うことができる。いくつかの実施形態において、それぞれのシークエンサーは、イメージングを行うための自動落射蛍光顕微鏡、及び連続的ハイブリダイゼーションを行うための自動流体工学系からなるか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態において、圧縮空気を使用して、細胞及び組織が底部のカバーガラスに固定された1cm×1cmのウェルに試薬を入れる。理論に拘束されたくはないが、本出願人は、いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション緩衝液の粘度が高いことにより、圧縮空気駆動システムがデッドボリュームを放出して、同様に規定量の試薬を送達するように正確に制御することができることに注目する。いくつかの実施形態において、個別の減圧ラインを使用して、チャンバー内の空気を除去する。いくつかの実施形態において、提供されるプロトコールのワークフローは、本発明の時点で当技術分野において周知である既存のDNAシークエンサーと類似である。
【0180】
いくつかの実施形態において、それぞれのサイクルのハイブリダイゼーションにおいて、機器は、試料をプローブと自動的にハイブリダイズさせて、緩衝液によって洗浄して過剰のプローブを取り除き、及び/又はイメージングのために脳切片を走査する。いくつかの実施形態において、除去ステップにDNアーゼを使用する場合、イメージング後に、D
Nアーゼを流入させてプローブを除去する。十分に洗浄した後、別のラウンドのハイブリダイゼーションをその後進行させることができる。ハイブリダイゼーション時間の間、顕微鏡は、ステージ上の異なる位置に移動して、既にハイブリダイズして洗浄されている別の脳切片をイメージングする。そのようにして、ステージ上の他の試料がハイブリダイズしている間に、カメラはほとんどの場合、画像を獲得している。
【0181】
ソフトウェア。いくつかの実施形態において、例えば、制御プロセス及びデータ解析を自動化するためにソフトウェアを使用する。いくつかの実施形態において、コードは、顕微鏡並びに流体工学要素を制御するために、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)によってサポートされる無料のソフトウェアであるMicromanagerで書かれている。いくつかの実施形態において、バルブ、ステージ、光源、カメラ、及び/又は顕微鏡は、Micromanagerを通して制御される。
【0182】
いくつかの実施形態において、密度の高い画像に関しては圧縮センシング(Zhu et al, Faster STORM using compressed sensing. Nat. Methods. 2012, 9(7):721-3)を使用し、デコンボリューション法を使用して、密度の高いクラスタにおけるスポットを分離する。いくつかの実施形態において、画像分析の改善により、提供される方法、例えばseqFISHの多重処理能力が増加する(例えば、100個を超える遺伝子の多重処理では約4~5倍)。いくつかの実施形態において、Illumina GAIIシークエンサーからHiSeq機器への改善と同様に効率は改善され、HiSeq機器では、シークエンシングチップ上の密に充填されたクラスタを分析するために画像処理方法を使用することで処理能力が増加する。いくつかの実施形態において、データ獲得及び解析は使いやすいパッケージに統合される。
【0183】
いくつかの実施形態において、提供される技術は、データ解析のためのソフトウェアパッケージを提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、Python及びMatlabのデータ解析のためのソフトウェアパッケージを提供する。提供される技術の画像は、多様なサイズであり得て、望ましければ任意で最適化することができる。いくつかの実施形態において、それぞれのFOVは、深さ14ビットで6メガピクセルであり、画像当たり1.5MBのデータに対応する。いくつかの実施形態において、1回の解析当たり約100GBのデータが生成される。いくつかの実施形態において、提供される技術は、データを処理する方法及び/又はデータログの停止を軽減する方法を提供する。いくつかの実施形態において、データログの停止は、それぞれの画像からスポットを領域分割すること、それを2次元ガウス分布にフィットさせて、フィットの中心位置を記録することによって軽減される。いくつかの実施形態において、提供される技術は、未加工データを廃棄して、処理データを保存することによってコンピュータのスペースを節約する。
【0184】
CLARITY透明化脳切片の光シート顕微鏡検査。いくつかの実施形態において、提供される技術は、組織、臓器、及び/又は生物をイメージングするための方法を提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、厚みのある組織又は臓器を測定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、厚みのある組織又は臓器は、厚さ約100μmであるか又はそれより厚い。いくつかの実施形態において、提供される技術は、1つの細胞内を超える長距離投影及び形態を保存する。いくつかの実施形態において、光シート顕微鏡検査は厚みのある組織又は臓器を測定するために使用される。いくつかの実施形態において、組織、臓器、及び/又は生物は、CLARITY(Chung et al., Structural and molecular interrogation of intact biological systems, Nature,
2013, doi: 10.1038/naturel2107)によって透明化される。
【0185】
いくつかの実施形態において、長距離投影及び形態をより良好に保存するより厚みのある脳切片(>100μm)をイメージングする場合、選択的平面照射顕微鏡検査(SPIM)としても知られる光シート顕微鏡検査をCLARITY透明化脳組織に適用する。いくつかの実施形態において、CLARITY方法論は、ニューロンの成分及びその分子的同一性を可視化及び同定するために脳を透明にする。いくつかの実施形態において、CLARITYは、光散乱性の脂質を除去して、脳組織の形態を保存するために多孔性のハイドロゲルに置換することにより、脳組織を光学的に透明にして高分子を透過性にし、それによって脳の薄切片を作製することなく試験を行うことができ、関心対象のニューロン並びに長距離のシナプス結合を可視化することができる。本出願人は、理論に拘束されたくはないが、本発明の前までは、これまで培養又は薄切片で行われていたFISHと比較して、提供される技術は、より厚みのある組織を使用して、個々のニューロン又は3次元ニューロンネットワークのトランスクリプトームのより正確な再構成を可能にすることに注目する。
図16は、FISH染色と両立する光学的に透明な厚みのある切片を調製するための、成功したバリデートされたClarityに基づくプロトコールを例示する:(1)2mLエッペンドルフチューブ中の100ミクロンの冠状脳切片を、4%アクリルアミド、2%ホルムアルデヒド、0.25%サーモイニシエーター、1×PBSを含む1.5mL中で4℃で一晩インキュベートした;(2)窒素ガスをハイドロゲル溶液の中に10秒間通気した;(3)脱気した試料を42℃で2時間インキュベートして重合化させた;(4)試料をPBSで3回洗浄して、10%SDS、1×PBS中で37℃で4時間インキュベートして透明にして;及び(5)試料をPBS中で3回洗浄して、seqFISHのために使用する準備が整った。
【0186】
いくつかの実施形態において、提供される技術は、焦点が外れたバックグラウンドを最小限にするか又は防止する方法を提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、焦点が外れたバックグラウンドを最小限にするか又は防止するイメージング技術を利用する。いくつかの実施形態において、焦点の外れたバックグラウンドがより高い、より厚みのある切片に関してはSPIMを使用する。いくつかの実施形態において、共焦点顕微鏡は、このバックグラウンドを拒絶することができるが、これは走査が遅く、試料の下層をイメージングする間に試料の上層を光退色させる。いくつかの実施形態において、SPIMではイメージング中の層のみに励起光を照射する。いくつかの実施形態において、提供される技術にとって有用なSPIM設定において、互いに垂直に配置した2つの対物レンズを試料の上で約55°で吊す。いくつかの実施形態において、円柱状のレンズを使用して、高さおよそ10μm、及び有効幅又はFOVが約200μmの範囲に光線の1つの軸を集中させて光シートを作製する。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明は、提供される方法のための顕微鏡設定を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、試料が側面から照射される光シート顕微鏡を提供する。いくつかの実施形態において、光シートは試料のステージと平行である。いくつかの実施形態において、光シートは、検出対物レンズに対して垂直である。光シート顕微鏡の例示的な設定を、
図17に例示する。2つの鏡及び円柱状のレンズを調整することによって、光シートの平面を作製し、試料を、検出対物レンズ(中央)に対して垂直である側面から照射する。底部の鏡を円柱状のレンズに接続して、対物レンズの同じ基部に直接載せる。この構成により、対物レンズは照射シートと同期して移動し、試料をz軸(右、上)に沿って走査することができる。右(下)の図も同様に、ハイブリダイゼーションチャンバー内部に試料を入れて、下の乾燥系対物レンズによってイメージングすることを示す。
【0188】
図18に示されるように、CLARITYによって透明にして、β-アクチンに対するHCRプローブにハイブリダイズさせた100μmの脳切片について、SPIM画像を得た。間隔0.5μmの200個の光学的切片を得て、再構成を行った。20倍の水浸対物レンズによって透明なHCRシグナルを観察した。β-アクチンmRNAは高度に発現され、細胞体における多数のドットを説明する。しかし、透明な回折限界点も同様に軸索に観察された。
【0189】
いくつかの実施形態において、CLARITY透明化脳に対するHCR-seqFISHプロトコールと、SPIM顕微鏡とを適合させることができる。100μmの切片が4~5時間で効率的にハイブリダイズし、このことは検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブが、厚さが100μmであるが透明な切片の中を容易に拡散できることを示している。加えて、DNアーゼ酵素も同様に容易に拡散して、HCRシグナルを切片から剥離させた(
図15)。いくつかの実施形態において、提供される技術は、FISH及びHCRプローブなどの、当業者がルーチンとして厚さ1mmの冠状切片に拡散させる抗体より小さい、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを提供し、組織全体又は臓器全体に関する標的のプロファイリング、例えばCLARITY透明化全脳におけるseqFISHの成績を提供する。
【0190】
いくつかの実施形態において、提供される技術は、顕微鏡の配置を提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、厚みのある脳切片(>100μm)及びおそらくCLARITY透明化脳全体を、長作動距離対物レンズを有する落射蛍光顕微鏡に載せることができる、SPIMの代替配置を提供する。いくつかの実施形態において、光シートは、イメージング軸に対して垂直に作製され、顕微鏡上に角度をつけて載せた試料を、200~300μmに対して幅10μmで切片にする。いくつかの実施形態において、提供される配置により、作製されたフローチャンバーの直接持ち越し及び自動化設計が可能となる。いくつかの実施形態において、脳切片における基準マーカーを使用して、連続的切片を登録する。いくつかの実施形態において、切片作製の前に脳の中にナノスケールの棒を注入すると、異なる切片の間を良好に位置合わせすることができる。
【0191】
速度。いくつかの実施形態において、イメージング速度は、最終的な処理能力を制限する。いくつかの実施形態において、提供されるHCR増幅は、イメージングに十分な数より多くの光子を提供し、より安価なカメラを使用して試料をイメージングすることができる。いくつかの実施形態において、集光対物レンズからの光を多数、例えばイメージング平面二色性及びフィルターを有する6個の別個の光路(例えば、5個の蛍光及び1つのDAPI)に分割することができる。これは、インサイチュー「シークエンサー」の処理能力を劇的に増加させ、これにより、脳全体を1つの顕微鏡において1週間で完了することができる。
【0192】
標的遺伝子の選択。いくつかの実施形態において、本発明は、転写物及び/又はDNA座のセット(例えば、例示される100個の標的セット)などの標的セットを選択及びイメージングするための技術を提供する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、アレン脳アトラス(ABA)のインサイチューデータベースから選択される。多数の基準を使用して、関心対象の遺伝子、例えば皮質領域における細胞同一性を表す可能性がある遺伝子を選択することができる。重なり合う基準によって最適な遺伝子セットをコンピュータによって選択することは周知である(2.
Alon, N; Moshkovitz, Dana; Safra, Shmuel
(2006), ”Algorithmic construction of sets for k-restrictions”, ACM Trans. Algorithms (ACM) 2 (2): 153-177, ISSN 1549-6325; 8.
Cormen, TH.; Leiserson, Charles E.; Rivest, Ronald L.; Stein, Clifford (2001), Introduction to Algorithms, Cambridge, Mass.: MIT Press and McGraw-Hill, pp. 1033-1038, ISBN 0-262-03293-7; 12. Feige, U (1998), ”A threshold of In n for approximating set cover”, Journal of the ACM (ACM) 45 (4): 634-652,, ISSN 0004-5411)。いくつかの実施形態において、1.サブ細胞タイプを定義することが知られている;2.ABAにおいて「ごま塩」発現パターンを示す;3.転写因子、イオンチャンネル、GPCR、及びニューロトロピンなどの遺伝子ファミリーに属する;並びに4.皮質試料のRNA-seq実験から除かれた、遺伝子を選択するためにセットカバーヒューリスティクス(Pe’er, 2002)を使用する。例えば、SLC1A3は、グリア細胞のマーカーであるが、SLC6A1は抑制性ニューロンのマーカーであり、SLC17A7は興奮性ニューロンのマーカーである。いくつかの実施形態において、PVALB、SST、及びCALB2などの不均一な発現パターンを有する遺伝子は、抑制性ニューロンのサブセットのマーカーである。例示的な100個の遺伝子セットを以下に示す:
遺伝子の名称 発現プロファイル
SLC6A1 全て抑制性(I)
SLC17A7 全て興奮性(E)
SLC1A3 グリア
PVALB サブセットI
SST サブセットI
CALB2 サブセットI
LER5 同皮質
TNNC1 同皮質
MYL4 同皮質
SATB2 同皮質
CCL27a 同皮質
BOC 一次運動ニューロンL1
DACT2 一次運動ニューロンL1
LHX1 一次運動ニューロンL1
PVRL3 一次運動ニューロンL1
SLC44a3 一次運動ニューロンL2/L3
KLK5 一次運動ニューロンL2/L3
TNNC1 一次運動ニューロンL2/L3
WNT6 一次運動ニューロンL2/L3
ZMAT4 一次運動ニューロンL5
STARD8 一次運動ニューロンL5
TCF21 一次運動ニューロンL5
MYL4 一次運動ニューロンL5
KRT80 一次運動ニューロンL6a
OLFR19 一次運動ニューロンL6a
TBCld30 一次運動ニューロンL6a
OLF16 一次運動ニューロンL6b
EAR6 一次運動ニューロンL6b
CHIT1 一次運動ニューロンL6b
SLN 二次運動ニューロンL1
ADAMTS8 二次運動ニューロン L1
EPYC 二次運動ニューロンL1
KCNV1 二次運動ニューロンL1
遺伝子の名称 発現プロファイル
pcdh7 二次運動ニューロンL2/L3
GLT8d2 二次運動ニューロンL2/L3
HKDC1 二次運動ニューロンL2/L3
SRPX 二次運動ニューロンL3
ZFP458 二次運動ニューロンL3
SLC30a8 二次運動ニューロンL3
GK5 二次運動ニューロンL5
TEX28 二次運動ニューロンL5
MS4alO 二次運動ニューロンL5
KRT16 二次運動ニューロンL6a
KRT42 二次運動ニューロンL6a
DOC2a 二次運動ニューロンL6a
KRT33b 二次運動ニューロンL6b
YBX 二次運動ニューロンL6b
PNPLA5 二次運動ニューロンL6b
TMEM215 一次体性感覚ニューロンL1
SDC1 一次体性感覚ニューロンL1
PREX1 一次体性感覚ニューロンL1
DIEXF 一次体性感覚ニューロンL1
DHRS7c 一次体性感覚ニューロンL2/L3
DDIT41 一次体性感覚ニューロンL2/L3
TDG 一次体性感覚ニューロンL2/L3
EPSTI1 一次体性感覚ニューロンL2/L3
RORb 一次体性感覚ニューロンL4
GSC2 一次体性感覚ニューロンL4
KRTIO 一次体性感覚ニューロンL4
GCA 一次体性感覚ニューロンL4
DCBLD2 一次体性感覚ニューロンL5
ABCD2 一次体性感覚ニューロンL5
GTDC1 一次体性感覚ニューロンL5
IL17RA 一次体性感覚ニューロンL6a
TBR1 一次体性感覚ニューロンL6a
PPID 一次体性感覚ニューロンL6a
IGHM 一次体性感覚ニューロンL6b
MMGT1 一次体性感覚ニューロンL6b
CPLX3 一次体性感覚ニューロンL6b
ART2b 二次体性感覚ニューロンL1
GNB4 二次体性感覚ニューロンL1
B3GAT2 二次体性感覚ニューロンL1
PDC 二次体性感覚ニューロンL2/L3
ADIG 二次体性感覚ニューロンL2/L3
FPR1 二次体性感覚ニューロンL2/L3
INHBC 二次体性感覚ニューロンL4
RUFY4 二次体性感覚ニューロンL4
HGFAC 二次体性感覚ニューロンL4
EFCAB4b 二次体性感覚ニューロンL5
SSTR2 二次体性感覚ニューロンL5
ZFP395 二次体性感覚ニューロンL5
CCDC36 二次体性感覚ニューロンL6a
遺伝子の名称 発現プロファイル
ST14 二次体性感覚ニューロンL6a
MYL12b 二次体性感覚ニューロンL6b
RSP02 二次体性感覚ニューロンL6b
NDNF L1(I)
RASGRF2 L2/3(I)
CUX2 L2/3/4
RORB L4
SCNN1A L4
ETV1 L5
FEZF2 L5
BCL6 L5
TRIB2 L5a
FOXP2 L6
TLE4 L6/L6b
CTGF L6b
CYLD L2/3
CMTM3 L2/3
ANKRD6 L2/3
【0193】
seqFISHとタンパク質検出、オルガネラマーカー及び活性の測定との統合。いくつかの実施形態において、提供される技術、例えばseqFISHは、インサイチューで同じ試料中のRNA、並びにタンパク質、神経活動、及び構造的配置の単細胞解像度での多重解析を可能にする。特異的標的に対する抗体を、1つの追加のラウンドのハイブリダイゼーションにおいて試料にハイブリダイズさせることができる。いくつかの実施形態において、提供される方法は任意で、免疫染色ステップを含む。いくつかの実施形態において、連続ラウンドのハイブリダイゼーションにおいて多くのタンパク質標的を検出するために、多数の抗体を使用する(Schubert W et al. Analyzing proteome topology and function by automated multidimensional fluorescence microscopy. Nat Biotechnol (2006) 24(10): 1270-1278)。本出願人は、細胞においてmRNAと比較してタンパク質が約100~1000倍まで又はそれより多くの量で存在することに注目する。標的となるタンパク質は、ミトコンドリア、ER、輸送小胞、細胞骨格、並びにシナプス接合部などの細胞オルガネラのマーカーであり得る。例えば、MAP2抗体を使用して、軸索と樹状突起の領域分割を助けるために細胞境界を示すことができる。
【0194】
脳切片の生きた状態での観察を、提供される方法(例えば、seqFISH)による転写プロファイリングの前に落射蛍光顕微鏡及び光シート顕微鏡においてイメージングすることができる。カルシウム(Nakai J, Ohkura M, Imoto K (February 2001). ”A high signal-to-noise
Ca(2+) probe composed of a single green
fluorescent protein”. Nat. Biotechnol. 19 (2): 137-41; Akerboom et al, ”Optimization of a GCaMP calcium indicator for neural activity imaging.” J Neurosci. 2012 Oct 3;32(40): 13819-40; Stosiek et al,
”In vivo two-photon calcium imaging of neuronal networks.” Proceedings of the N
ational Academy of Sciences 100 (12): 7319)及び電位センサー(Cohen, et al., ”Optical Measurement of Membrane Potential” in Reviews of Physiology.” Biochemistry and Pharmacalogy, vol. 83, pp. 35-88, 1978 (June); Mutoh et al, Genetically Engineered Fluorescent Voltage Reporters ACS Chem Neurosci. 2012 August 15; 3(8): 585-592; Peterka et al, Imaging voltage in neurons.
Neuron. 2011 Janl3;69(l):9-21)を、脳切片においてイメージングすることができる。SPIMにより、脳切片におけるこれらのセンサーの効率的で迅速なイメージングが可能となる。脳切片を顕微鏡に固定して、seqFISHプロトコールなどの提供されるプロトコールを、自動流体工学によって行うことができる。いくつかの実施形態において、生きた状態での測定に加えて、activity dependent immediate early genes(IEGs)のmRNAが、ニューロンにおける統合された神経活動の測定値として検出される。例えば、CamKII及びcFosは、ニューロンにおいて不均一な発現レベルで容易に検出された。それらを、遺伝子セット、例えば例示的な100個の遺伝子の多重処理に組み入れることができるか、又は量に応じて追加のサイクルで個別にFISHを行うことができる。
【0195】
異なる体性感覚運動ニューロンネットワークにおける別個のニューロンの分子的同一性を同定するためのコネクトミクスとseqFISHの統合。
提供される技術を使用して、体性感覚運動ニューロンネットワーク内の別個のニューロン集団の分子的同一性を系統的に特徴付けする。いくつかの実施形態において、同じ機能的サブネットワーク内のニューロン集団は、共通のマーカー遺伝子セットを共有するが、同様に、細胞レベルで同一性を定義する他の遺伝子の不均一な発現も有する。いくつかの実施形態において、異なるサブネットワークの細胞は、その発現パターンがより異なる。それぞれが基本クラスの感覚運動機能を制御する例示的な皮質-皮質体性サブネットワークは:(1)食べたり飲んだりするための口顔咽頭、(2)手を伸ばしたりものをつかんだりするための上肢、(3)移動のための下肢、及び(4)律動的なひげの運動のためのひげ、である。いくつかの実施形態において、提供される技術は、別個のニューラルネットワークを有する皮質ニューロンの分子同一性を特徴付けするための新規で厳密なアプローチを提供し、哺乳動物の脳の配線図の基礎となる遺伝的回路を理解するための貴重な情報を提供する。
【0196】
神経経路の集団を使用して、デジタル皮質結合アトラスを作製して、神経線維連絡解析試験の未加工画像を表示することができる。大規模データの解析を助けるための皮質-皮質結合マップを作成するために、経路をグラフで再構築することができる。皮質内の結合に基づいて、そのそれぞれが基本クラスの感覚運動機能を制御する4つの別個の皮質-皮質体性サブネットワークを確立することができる。これらのサブネットワークのそれぞれは、一次体性感覚野(SSp)、一次体性運動野(MOp)、二次体性運動野(MOs)、及び補足体性感覚野(SSs)における4~5個の別個の機能的ドメインを含み、それらを、体の特異的亜領域に対応する他の体性感覚運動野とのその結合強度に従ってさらに細分した。いくつかの実施形態において、口顔咽頭サブネットワークは、5つの主要なノード:(1)SSp口及び鼻ドメイン(SSp-m/n);(2)MOp口顔ドメイン(MOp-orf);(3)MOs吻側背外側ドメイン(MOs-rdl);(4)SSpバレル野前外側ドメイン(SSp-bfd.al);及び(5)SSs吻側尾腹側ドメイン(SSs-r&cv)を含む。いくつかの実施形態において、上肢サブネットワークの4つの主要なノードは、(1)SSp上肢(SSp-ul);(2)MOp-ul;(3)吻背側MOs(MOs-rd);及び(4)尾背側SSs(SSs-cd)を含む。い
くつかの実施形態において下肢/体幹サブネットワークは、SSp下肢/体幹野(SSp-ll/tr)、MOp-11/tr、及び吻側背内側MOs(MOs-rdm)(
図10B~D)を含む。いくつかの実施形態において、ひげのサブネットワークは、尾内側SSp-bfd(SSp-bfd.cm)、ひげの一次運動野(vMl)に対応するMOp-w、及び尾背側SSs(SSs-cd;
図19を参照されたい)を含む。例示的なデータは、マウスコネクトームプロジェクト(www.mouseconnectome.org)によって記述される。
【0197】
これらの体性感覚運動サブネットワークのそれぞれにおける別個のニューロン集団の分子的同一性を決定するために、マルチ蛍光逆行性トレーサーを使用してニューロンを標識し、seqFISHなどの提供される技術を適用して、逆行性に標識された集団の遺伝子発現プロファイルを単細胞の解像度で決定することができる。ニューロン集団を標識するために、多数の(例えば、5個)の逆行性トレーサーを、同じ動物のそれぞれの感覚運動サブネットワークの主なノードの1つの主要な標的の5つに注入する(トレーサー情報を下記に示す)。例えば、1匹の動物において、回路トレーサーを、口顔咽頭サブネットワークの主要な皮質ノードの2つ(SSp-bfd.al及びSSs-r&cv)、及び皮質下ノードの3つ(尾状核被殻腹外側ドメイン、CP-vl;腹側後内側視床核、VPM;及び腹側三叉神経脊髄路核、SPV)に注入する。これは、口顔咽頭サブネットワークの他のノードの全てにおける5つの異なるニューロン集団を同時に逆行性に標識する。この例において、標識されたニューロンは、SSp-m/nドメイン及びMOp-oroに存在する。
【0198】
一方、トレーサーを、そのそれぞれが、別個の体性サブネットワークに属する4つの異なるSSp体亜領域(すなわち、SSp-m/n、SSp-ul、SSp-ll/tr、及びSSp-bfd.cm)に注入することができる。これは、異なるサブネットワークに関連する皮質野における別個のニューロン集団を同時に標識する。この場合、例えば逆行性標識されたニューロンが、それぞれのサブネットワークに関連するMOpドメイン、すなわちMOp-orf、MOp-ul、MOp-11/tr、及びMOp-wで観察される。4つの体性感覚運動サブネットワークのそれぞれの主要ノード及び皮質下標的の全てに適用されるこの注入戦略は、サブネットワークのそれぞれの別個のニューロン集団を標識する。
【0199】
トレーサーの注入後(例えば、トレーサーの注入後1週間)、動物を屠殺して、その脳を回収して、逆行性標識ニューロンのseqFISH分析のために厚さ20μm又は100μmの冠状切片を作製する。体性感覚運動野(SSp、MOp、MOs、SSs)において多量に発現される例示的なおよそ100個の遺伝子などの遺伝子を、例えばアレン脳アトラスプロジェクトのオンラインデジタル遺伝子発現データベース(www.Brian-Map.org)(Lein et al, 2007 Genome-wide atlas of gene expression in the adult mouse brain. Nature, 11; 445(7124): 168-76)を使用してプロファイリングのためにあらかじめ選択することができる。
【0200】
注入戦略と注入後処理。4週齢の雄性C57BL/5マウス300匹を使用する。1匹の動物において、5つの蛍光逆行性トレーサーを、同じ体性感覚運動サブネットワーク内のいずれかの異なるノードに、又は上記の異なる体性サブネットワークの異なるノードに注入する(
図19)。トレーサーは、フルオロゴールド(FG、黄色)、488又は647コンジュゲートコレラ毒素b(CTb-488[緑色]、CTb-647[ピンク])、赤色レトロビーズ(RR、赤色)、及び655コンジュゲート小麦胚芽凝集素(WGA-Qdot655、白色)である。Qdot655は、Ctb647とは異なる励起波長を有することから、これを異なるチャンネルで捉えて、独自の色相で擬似発色させること
ができる。トレーサーは、定位脳手術を通して注入する(イオントフォレーシスによって、又は加圧注入のいずれかにより)。手術及び還流の詳細は、例えば、Hintiryan et al., Comprehensive connectivity of the mouse main olfactory bulb:analysis and online digital atlas. Front Neuroanat. 2012 Aug 7;6:30. eCollection 2012に記述されている。いくつかの実施形態において、対にした2匹のマウスに、正確に同じ座標で使用した同じトレーサーを注入する。動物の1匹を、標識細胞及び注入部位の位置を確認するために使用し、他の動物を、提供される、例えばseqFISH方法に供する。1匹をトレーサー輸送後に還流して、脳を、厚さ50μmの冠状切片にして、4つのシリーズで採取する。4シリーズの切片の1つを、蛍光ニッスル染色液(NeuroTrace Blue[NTB])で対比染色して、スライドガラスに載せて、オリンパスVS120バーチャル顕微鏡システムを使用してイメージングする。いくつかの実施形態において、ニッスル染色は、逆行性標識細胞の正確な解剖学的位置を可視化するための神経細胞層構築のバックグラウンドを提供する。これらの画像を、インフォマティクスパイプラインを通して処理して、あらゆる個々の画像を、アレン脳アトラス(ARA)のその対応するレベルに忠実に登録する。このニッスル染色により、提供されたインフォマティクスツールと共に、それぞれのROI(この場合、体性感覚運動野の異なるドメイン)におけるそれぞれのトレーサー標識ニューロン集団の概数を自動で正確に計数することができる。分布パターンは、その結合マップを作成するために対応するアトラスレベルに自動的にプロットされる。
【0201】
対を形成したマウスを同時に屠殺して、その脳を、seqFISH分析のために厚さ20μm又は100μmの切片にする。これらの切片を最初に、20倍(又は10倍)の対物レンズでイメージングして、異なるトレーサーを有する逆行性標識ニューロンを明らかにする。体性感覚運動野を含む全ての冠状レベルを通しての脳切片を使用して、例示的な100個の遺伝子セットに関してseqFISHを行う。この方法は、あらゆるトレーサー標識ニューロンにおける遺伝子発現を明らかにする。全ての画像を最初に、それぞれの個々のトレーサー標識ニューロンの遺伝子発現プロファイルに関して分析する。対を形成した脳からのほぼ同じ冠状レベルの切片をコネクトームビューワで並べて表示することができるように、それぞれの切片をその対を形成した脳の最も厳密にマッチする切片となるように登録し直す。それによって、異なるニューロン集団の分子プロファイルが、その最も厳密にマッチする解剖学的バックグラウンドで表示される。いくつかの実施形態において、遺伝子発現プロファイルは、それぞれの逆行性標識ニューロン集団において相関する。
【0202】
結果。いくつかの実施形態において、異なる体性感覚運動野内の別個の逆行性標識ニューロン集団は、異なるトランスクリプトームプロファイルを示す:異なるトレーサーで標識された同じドメイン(例えば、SSp-m)内のニューロン集団であっても、異なる結合プロファイルを有するその隣接するニューロンからの別個の遺伝子発現プロファイルを示す。いくつかの実施形態において、同じサブネットワーク内(例えば、SSp-m、MOp-orf、SSp-bfd.al、及びSSs-r)の異なる体性感覚運動ノード内の異なるニューロン集団は、共通のネットワーク特異的遺伝子を共有するが、異なるニューラルネットワーク(例えば、口顔咽頭及び下肢/体幹サブネットワーク)内のニューロン集団は、非常に異なるトランスクリプトームプロファイルを示す。いくつかの実施形態において、領域(例えば、SSP又はMOp)、又は層(異なる層)特異的遺伝子が、異なる皮質野及び異なる層のそれらのニューロンに関して同定される。
【0203】
例示されるように、提供される技術は、別個の体性感覚運動ネットワーク内の結合に基づくニューロン集団(細胞タイプ)の分子的同一性を、ニューロン下の解像能及び忠実な
解剖学的バックグラウンドで特徴付けするために、蛍光神経線維連絡解析とseqFISH技術との独自の組合せを提供する。例えば、例示的な結果に関して
図3及び9を参照されたい。いくつかの実施形態において、提供される技術は、他のパラメーター(すなわち、抗体及びオルガネラの染色、並びにIEG発現レベル)を同時に測定することを含み、新皮質又は脳全体に応用することができる。
【0204】
データをオンラインで解析及び提示するためのハイスループットパイプライン及びインフォマティクスツール。いくつかの実施形態において、提供される技術は、例えば、www.MouseConnectome.orgなどの公開されたデータベースを通してデータをオンラインで分析及び提示するためのハイスループットパイプライン及びインフォマティクスツールを提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術は、試験の広い範囲及びマルチ蛍光イメージングの使用により、コネクトミクス領域における貴重なツールとなり、マウス脳における長距離結合を研究するために特に適している、マウスコネクトームプロジェクトとの統合を提供する。例えば、これはその自身の神経細胞層構築上のバックグラウンド及び対応するARAアトラスレベル上で、ユーザーが多数の蛍光標識経路を可視化することができるオンライン可視化ツールを提供する。いくつかの実施形態において、seqFISH情報をその対応する逆行性標識体細胞に忠実に関連させるために、標識された細胞体を、組織バックグラウンドから、及び同じ切片であるが、異なるラウンド(例えば、最初は逆行性トレーサーのイメージング、次はseqFISHにおける異なるmRNA)で獲得した画像から個別に領域分割して、スライドガラス及び/又は組織における解剖学的指標のいずれかにおける固定された基準点と比較したその座標によって空間的なインデックスをつける。いくつかの実施形態において、ARAにおいて定義された定位固定座標にデータを関連させるために、本発明は、登録の精度を劇的に増加させる(すなわち、それぞれの走査された顕微鏡画像をARAの対応するレベルの形状に再投影させる)新規登録パイプライン、及び所定のROI(例えば、SSp-m、MOp-11)における蛍光標識されたニューロンを自動で正確に計数する画像の領域分割を提供する。いくつかの実施形態において、提供される技術により、脳内の及び多数の脳の間での多数のトレーサーによる標識及びseqFISHデータを、可視化及び注釈の目的で1つの解剖学的枠組みの中に照合することができる。
【0205】
いくつかの実施形態において、画像を、アレン脳アトラス(Dong, H. W. (2008). The Allen Reference Atlas: A Digital Color Brain Atlas of C57BL/6J Male Mouse, John Wiley & Sons)の対応するアトラスレベルで登録する。登録プロセスから得られた変形マトリクスを当初の解像画像に適用して、高解像度再投影画像を得る。登録及び登録の微調整を行った後、NeuroTrace(登録商標)蛍光ニッスル染色を明視野画像に変換する。次に、あらゆる画像のそれぞれのチャンネルを、輝度及びコントラストに関して調節して、ツール、例えばiConnectomeにおける標識可視性及び品質を最大限にする。修正(すなわち、歪み、角度)及びJPEG2000ファイルフォーマットへの変換後、画像をiConnectomeのビュー(www.MouseConnectome.org)に公表することができる。
【0206】
FISH可視化ツール。いくつかの実施形態において、生成された全ての結合データを、MCPインフォマティクスパイプラインを通して処理して、新しいiConnectome FISHビューワ(www.MouseConnectome.org)を通してオンラインで提示する。2つの順行性標識(PHAL及びBDA)及び2つの逆行性標識(FG及びCTb)を表示する利用可能なiConnectomeビューワとは異なり、iConnectome FISHは、逆行性蛍光色素を有する5個までの異なるニューロン集団を表示することができる。先に述べたように、それぞれの注入セットをマウス対に与えることができる。1匹のマウスを通常のMCPパイプラインに従って処理して、i
Connectome FISHビューワに提示して、そのニッスル染色神経細胞層構築バックグラウンド内及びその対応するARAレベル内の多数の蛍光標識ニューロン集団を示すことができる。これらは、脳全体に及ぶ蛍光標識ニューロン集団のそれぞれに関する正確な解剖学的情報を提供することができる。seqFISH後のその対形成パートナーからの脳切片を、その対形成パートナーが登録された最も近いARAレベルに登録して、異なるウィンドウで並べて表示することができる。ニューロンにおいて発現される遺伝子のリストをサイドパネルに記載することができる。遺伝子をクリックすると、この遺伝子を発現する蛍光標識ニューロンが光って、その発現位置を示すことができる。これは、全体的な結合状況及び解剖学的バックグラウンド内でのニューロン集団の分子的同一性を示すための実際的な方法を提供する。
【0207】
いくつかの実施形態において、ユーザーがこれらのデータを解析して神経結合をその分子的同一性に相関させることができる、対応するデータベースが開発されている。このインフォマティクスツールは、遺伝子バーコード化を有するそれぞれの逆行性標識ニューロン集団に関連する情報(例えば、細胞数、解剖学的位置)を保存するデータベースの上に構築される。このデータベースは、ユーザーが、同じニューラルネットワーク又は別個のニューラルネットワーク内のニューロンの対応する遺伝子バーコードを同定するために役立ち得る。
【0208】
全脳のマッピング。いくつかの実施形態において、提供される技術は、1つのニューロンレベルで、全ての脳の逆行性標識ニューロンにおける遺伝子発現のハイスループット分析にとって十分な感度、選択性、自動化、及び/又は空間時間的解像度を有する。
【0209】
除去ステップのための追加の例示的な方法
いくつかの実施形態において、本発明は、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを標的から除去するための多様な方法を提供する。いくつかの実施形態において、エキソヌクレアーゼIII(ExoIII)を使用して、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。
図21は、ExoIIIを使用するHCR再ハイブリダイゼーションの例示的なプロセスを示す。
図21において、ExoIIIは、架橋鎖及びHCRポリマーを消化するが、中間オリゴヌクレオチドを、新しい架橋鎖とのハイブリダイゼーションのために無傷のままで維持する。T3Tマウス線維芽細胞においてβ-アクチン(Actb)転写物を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用する例示的なデータを、
図21(b)に示した。左の画像は、Alexa488色素を使用したActb転写物の最初のハイブリダイゼーション及び増幅を示した。中央の画像は、室温でexoIIIと1時間インキュベーション後にAlexa488チャンネルのシグナルが完全に失われることを示した。右の画像は、新しい架橋鎖及びAlexa647色素をタグ付けした対応するヘアピンを添加した後に限ってActb転写物が再増幅されることを示した。方法の特定の特色を例証するために、画像のコントラスト比を調節した。
【0210】
いくつかの実施形態において、ラムダエキソヌクレアーゼ(λ-exo)を使用して、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去する。
図22は、λ-exoを使用したHCR再ハイブリダイゼーションの例示的なプロセスを示す。
図22においてλ-exoは、5’リン酸化架橋鎖を消化して、標的、例えばmRNAに結合した中間体オリゴヌクレオチドからHCRポリマーを放出し、放出されたポリマーを洗浄して除去した後、新しい架橋鎖とのハイブリダイゼーションのために中間体オリゴヌクレオチドを無傷のまま維持する。T3Tマウス線維芽細胞においてβ-アクチン(Actb)転写物を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用する例示的なデータを、
図22(b)に示した。左の画像は、Alexa488色素を使用したActb転写物の最初のハイブリダイゼーション及び増幅を示した。中央の画像は、37℃でλ-exoと共に1時間インキュベーション後にAlexa488チャンネルのシグナルが失われることを示した。右
の画像は、洗浄緩衝液によって洗浄後で、Alexa647色素をタグ付けした対応するヘアピンと共に新しい架橋鎖を添加した後に限ってActb転写物が再増幅されることを示した。方法の特定の特色を例証するために、画像のコントラスト比を調節した。
【0211】
いくつかの実施形態において、ウラシル特異的切除試薬(USER)を使用して、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを除去した。
図23は、USERを使用したHCR再ハイブリダイゼーションの例示的なプロセスを示す。
図23において、USERは、架橋鎖におけるデオキシウリジンヌクレオチドを消化して、標的、例えばmRNAに結合した中間体オリゴヌクレオチドからHCRポリマーを放出させて、断片及び放出されたポリマーを洗浄して除去した後、新しい架橋鎖とのハイブリダイゼーションにとって中間体オリゴヌクレオチドを無傷のままで維持する。T3Tマウス線維芽細胞においてβ-アクチン(Actb)転写物を標的とする検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを使用する例示的なデータを、
図23(b)に提示した。左の画像は、Alexa488色素を使用したActb転写物の最初のハイブリダイゼーション及び増幅を示した。中央の画像は、37℃でUSER中で1時間インキュベーション後にAlexa488チャンネルのシグナルが失われることを示した。右の画像は、洗浄緩衝液による洗浄後で、Alexa647色素をタグ付けした対応するヘアピンと共に新しい架橋鎖を添加した後に限ってActb転写物が再増幅されることを示した。方法の特定の特色を例証するために、画像のコントラスト比を調節した。
【0212】
いくつかの実施形態において、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドは、相補的オリゴヌクレオチド(cTOE)を使用する置換によって除去される。いくつかの実施形態において、置換は、デキストラン又はその誘導体、塩、及び/又は有機溶媒の使用を含む。いくつかの実施形態において、置換は、デキストラン又はその誘導体の使用を含む。いくつかの実施形態において、置換は、硫酸デキストランの使用を含む。いくつかの実施形態において、置換は塩の使用を含む。いくつかの実施形態において、塩はMgCl
2である。いくつかの実施形態において、置換は有機溶媒の使用を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒はホルムアミドである。多様な要因、例えばcTOE濃度、インキュベーション時間、緩衝液の組成、並びに有機溶媒のタイプ及び/濃度など、ただしこれに限定されない要因を、個々に又は組み合わせて最適化することができる。
図24は、cTOEを使用したsmFISHプローブの置換に関する例示的なデータを示した。置換されるsmFISHプローブ(Alexa647)と、共局在するsmFISHプローブ(Alexa532)の間の蛍光強度比の平均値を示す。cTOE濃度、ハイブリダイゼーション緩衝液組成、及び置換時間を比較する様々な処理を行った。全ての置換プローブの条件により、細胞を10%DS中に入れてcTOEを添加しない対照と比較して、有意により多くの置換が起こった。理論に拘束されたくはないが、本出願人は、とりわけ、cTOE濃度の増加、cTOEプローブをハイブリダイズさせる時間の増加、緩衝液を10mM MgCl
2又は10%>ホルムアミドに調節することの全てにより、置換の増加が起こったことに注目する。10%硫酸デキストラン(DS)中の2.5μM cTOEで2時間処置することにより、残留Alexa647 smFISHシグナルは最小となるが、cTOEを添加せずにAlexa647の代わりにAlexa594(A594)をハイブリダイズさせることによって決定したベースラインシグナルと比較すると軽微な増加が起こる。
【0213】
オリゴヌクレオチド調製の追加の実施例
1つの配列セットをPCRによって増幅した(
図25)。産物を単離して、例えば5倍量の沈殿緩衝液(30:1のEtOH:1M NaOAc)を使用することにより-20℃で少なくとも10分間沈殿させた。沈殿混合物を10分間遠心分離した。上清を廃棄して、オリゴヌクレオチドペレットを、酵素約10単位がDNA約1μgを1時間で消化することに基づいて適切な単位の酵素を有するニッキング酵素緩衝液中に再溶解した。イン
キュベーション時間が経過した後、試料を再度沈殿させて2×ローディング緩衝液(96%ホルムアミド/20mM EDTA)及び水に再溶解し、最終的なローディング緩衝液(48%ホルムアミド/10mM EDTA)を作製した。試料を95℃に加熱してDNAを完全に変性させた。変性したDNAを、変性アクリルアミドゲル(8Mウレア、10~12%アクリルアミド)にロードした。ゲルを250Vで1時間、又は必要に応じて最適化して泳動させた。電気泳動後、ゲルを1×sybrゴールドを使用して15分間染色した後、可視化した。適切なバンドを切り出して、破砕し、DI水中で2時間インキュベートした。インキュベーション後、試料を再度沈殿させた後、減圧カラムを使用して精製した。カラムを、RNアーゼを含まない水30μLで溶出させると、
図26に示されるように、最終産物が得られた。
【0214】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、ニッキングエンドヌクレアーゼ部位の代わりに制限部位を使用する。
図25における増幅ステップと同様に5’末端に隣接するBamHI部位、3’末端に隣接するAatII部位を有する配列セットをPCRによって増幅する。PCR産物を5倍量の沈殿緩衝液(30:1のEtOH:1M NaOAc)によって-20℃で少なくとも10分間沈殿させた後単離し、BamHI及びAatIIによって消化した。産物を再度精製してexoIII消化に供する。消化した核酸を除去するとオリゴヌクレオチド産物が得られる。
【0215】
均等物
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、単なる例として提示してきたことから、前述が単なる例示に過ぎず、制限するものではないことは当業者に明らかとなるはずである。多数の修飾及び他の例示的な実施形態が当業者の範囲内であり、本発明の範囲に含まれると企図される。特に、本明細書において提示した例の多くは、方法の実行又はシステムの要素の特定の組合せを必要とするが、それらの実行及びそれらの要素を、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わせてもよいと理解されるべきであり、1つの実施形態のみに関連して考察された実行、要素、及び特徴は、他の実施形態における類似の役割から除外されないと意図される。さらに、以下の特許請求の範囲において詳述される1つ又は複数のミーンズプラスファンクションの制限に関して、手段は、本明細書において開示される、詳述された機能を行うための手段に限定されないと意図され、現在公知の又は今後開発される、詳述された機能を行うための任意の手段をその範囲に含むと意図される。
【0216】
特許請求の範囲において、請求項の要素を修飾するための「第1」、「第2」、「第3」等の序詞の使用は、単独で他の請求項の要素に対する1つの請求項の要素の任意の優先権、先行性、若しくは順序、又は方法の実行が行われる時間的順序を内包するものではなく、請求項の要素を区別するために、特定の名称を有する1つの請求項の要素を、同じ名称(序詞が使用されていることを除き)を有するもう1つの要素から区別するための表示として単に使用される。同様に、a)、b)等又はi)、ii)等の使用は、単独で、特許請求の範囲におけるステップの任意の優先性、先行性、又は順序を内包するものではない。同様に、本明細書におけるこれらの用語の使用は、単独で、任意の必要な優先性、先行性、又は順序を内包するものではない。
【0217】
前述の明細書は、当業者が本発明の実践を行うことができるために十分であると考えられる。実施例は、本発明の1つの態様の1つの例示として意図され、他の機能的に同等な実施形態が本発明の範囲に含まれることから、本発明は、提供される実施例の範囲に限定されない。前述の説明から、本明細書において示され、説明された実施形態に加えて本発明の様々な変化形が当業者に明らかとなるであろうが、それらも添付の特許請求の範囲に含まれる。本発明の利点及び対象物は、本発明のそれぞれの実施形態に必ずしも包含されない。
各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、検出可能な部分を含み、少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる検出可能な部分を有することによって、他の接触ステップと異なる、請求項1に記載の方法。
少なくとも2つの異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第1の標的核酸と相互作用し、少なくとも2つの異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第2の標的核酸と相互作用する、請求項1に記載の方法。
少なくとも5つの接触ステップが、第1の標的核酸の標識において互いに異なり、少なくとも5つの接触ステップが、第2の標的核酸の標識において互いに異なる、請求項2に記載の方法。
少なくとも5つの異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第1の標的核酸と相互作用し、少なくとも5つの異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第2の標的核酸と相互作用する、請求項5に記載の方法。
各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、その標的核酸と、それぞれ標的核酸にハイブリダイズしている1つ以上の中間オリゴヌクレオチドを介して相互作用する、請求項2に記載の方法。
各反復されたイメージングステップが、新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションが検出されるように、反復された接触ステップの後に試料をイメージングすることを含む、請求項2に記載の方法。
除去するステップが、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを消化する酵素と接触させることを含む、請求項19に記載の方法。
除去するステップが、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをDNアーゼと接触させること、複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドをRNアーゼと接触させること、光退色、鎖置換、ホルムアミド洗浄、熱変性、又はそれらの組合せを含む、請求項19に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つに関してシグナルを有さないことによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項2に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項2に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる中間オリゴヌクレオチドを有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項2に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる標識を有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項2に記載の方法。
各検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、その標的核酸と、それぞれ標的核酸にハイブリダイズしている1つ以上の中間オリゴヌクレオチドを介して相互作用する、請求項1に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つに関してシグナルを有さないことによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項38に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項38に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる中間オリゴヌクレオチドを有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項38に記載の方法。
少なくとも1つの接触ステップが、第1の標的核酸に関して又は第2の標的核酸に関して異なる標識を有することによって、第1の標的核酸及び第2の標的核酸の少なくとも1つの標識において、他の接触ステップと異なる、請求項38に記載の方法。
ある新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第1の標的核酸と相互作用する、第1の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと異なる、新たな検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含み、ある新たな複数の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、第2の標的核酸と相互作用する、第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドと異なる、他の新たな検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項4に記載の方法。