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特開2022-115937ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維並びにそれからの繊維及び不織布材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115937
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維並びにそれからの繊維及び不織布材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 2/00 20060101AFI20220802BHJP
   D21H 11/18 20060101ALI20220802BHJP
   D21H 17/67 20060101ALI20220802BHJP
   C08B 15/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
D01F2/00 Z
D21H11/18
D21H17/67
C08B15/00
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075188
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2018548136の分割
【原出願日】2017-04-21
(31)【優先権主張番号】62/326,180
(32)【優先日】2016-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フィップス,ジョナサン,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】アイルランド,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】スクセ,デイヴィッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維、及び該繊維を製造するための方法を提供する。
【解決手段】繊維及び不織布材料であって、ミクロフィブリル化セルロース並びに任意に無機粒子状材料及び/又は追加の添加剤並びに任意に水溶性又は分散性ポリマーを含む、繊維及び不織布材料。繊維から作製される不織布材料であって、ミクロフィブリル化セルロース並びに任意に無機粒子状材料及び/又は水溶性若しくは分散性ポリマーを含む、繊維から作製される不織布材料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維であって、(a)ミクロフィブリル化セルロース及び(b)少なくとも1種類の無機粒子状材料を含み、
(1)ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を含む組成物を製造する工程を含み、前記ミクロフィブリル化セルロースが、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
前記ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において無機粒子状材料の存在下で粉砕すること及び(ii)前記セルロースを含む粉砕繊維性基材及び前記無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得られ、;前記粉砕が、粉砕媒体の存在下又は非存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、前記無機粒子状材料以外の媒体を意味し、前記粉砕媒体が、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)押出機を通して工程(1)からの前記ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を押出加工する工程;
(3)前記押出加工されたミクロフィブリル化セルロース及び前記粒子状無機材料を微細化ガスで微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む方法によって得られる、繊維。
【請求項2】
(a)ミクロフィブリル化セルロース及び(b)少なくとも1種類の無機状材料を含む繊維の製造方法であって、本方法が、
(1)ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機状材料を含む組成物を製造する工程を含み、前記ミクロフィブリル化セルロースが、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
前記ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において無機粒子状材料の存在下で粉砕すること及び(ii)前記セルロースを含む粉砕繊維性基材及び前記無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質化するか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得られ、;前記粉砕が、粉砕媒体の存在下又は非存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)押出機を通して工程(1)からの前記ミクロフィブリル化セルロースを押出加工する工程;
(3)前記押出加工されたミクロフィブリル化セルロースを微細化ガスで微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む、製造方法。
【請求項3】
前記ミクロフィブリル化セルロースが、100μm未満のメジアン径(d50)を有する、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、0.1μm~1mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記粉砕が、前記粉砕媒体の存在下において水性環境で実施される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記粉砕が、前記粉砕媒体の非存在下において水性環境で実施される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記微細化ガスが、1つ以上の高温空気流である、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波装置が、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンからなる群から選択される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記粉砕容器が、スクリーン粉砕機(screened grinder)である、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記粉砕容器が、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)である、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維が、約80℃~約100℃の温度で押出加工される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維が、張力計によって決定した場合、約5GPa~約20GPaの弾性率を有する、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維が、張力計で決定した場合、約40MPa~約200MPaの繊維強度を有する、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維が、スパンレイド繊維である、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記スパンレイド繊維が、スパンボンディングによって形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記回収工程が、前記繊維が小孔のある表面に堆積し、不織布ウェブを形成する、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記小孔のある表面が、動くスクリーン又はワイヤーである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記不織布ウェブが、水流交絡によって結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記不織布ウェブが、スルーエアーサーマルボンディング法によって結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記不織布ウェブが、機械的に結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記無機粒子状材料が、炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、含水カンダイトクレー、無水焼成カンダイトクレー又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記無機粒子状材料が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、カオリン、ハロイサイト、ボールクレー、メタカオリン、完全に焼成されたカオリン、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、すりガラス、パーライト、珪藻土、ウォラストナイト、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物、石灰、グラファイト又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、分散剤、殺生物剤、懸濁化剤、酸化剤及び木材分解酵素からなる群から選択される1種類以上の添加剤を更に含む、請求項1に記載の繊維または請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にミクロフィブリル化セルロース含有繊維を含む繊維及び不織布材料を形成する、かかるミクロフィブリル化セルロースの組成物、製造プロセス及び使用に関する。繊維は、任意にミクロフィブリル化セルロースの加工に使用してよい、少なくとも1種類の無機粒子状材料を追加的に含んでよい。ミクロフィブリル化セルロース又はミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料の組成物は、組成物がまた、繊維を含む、かかる繊維及び不織布材料の形成に使用してよい水溶性又は分散性ポリマーを追加的に含んでよい。
【背景技術】
【0002】
ミクロフィブリル化セルロースは、組成物について別の構成成分の使用を減少させ、その結果費用を減少させるために様々な組成物及び生成物に添加してよく、それらは、最終製品の物理的、機械的及び/又は視覚的必要条件と釣り合いがとれていなければならない。これらの繊維を含む繊維及び不織布材料の製造に使用するためにミクロフィブリル化セルロースの組成物並びにミクロフィブリル化セルロース及び水溶性又は分散性ポリマーを含む組成物を利用することが望ましい。ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料から作製される繊維及び不織布製品の製造において、それらの使用に関連した利点として、高い鉱物の配合、高いミクロフィブリル化セルロースの配合、繊維の弾性率及び/又は引張り強度の実質的な低下がないこと;繊維の弾性率及び/又は引張り強度の改善;耐温度性の改善、生分解性及び/又は水で流すことが可能な並びに生分解性組成物;並びに水性(非溶媒系)組成物が、挙げられる。ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料から作製された繊維及び不織布製品の製造において、それらの使用に関係した追加の利点として、かかる繊維及び不織布材料が、堆肥できること及びその繊維及び不織布材料が、持続可能な供給減から得られることが、挙げられる。
【0003】
本発明は、一般に繊維から作製され、それを含むかかる繊維及び不織布材料を製造するために、ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる組成物、及びかかるミクロフィブリル化セルロースの組成物を利用する方法に関する。
【0004】
本発明の組成物に適したミクロフィブリル化セルロース及び方法は、例えば、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、粉砕容器内において0.5mm超の寸法の粉砕材料で加工し、続いて、リファイナー、ホモジナイザーにおいて第2の段階の加工を行うか又は超音波装置で超音波処理を行ってよく、本発明の方法によって、100μm未満のメジアン径(d50)を有し、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下したミクロフィブリル化セルロースをもたらす。前述の2段階の加工によって得られるか又は得ることのできるミクロフィブリル化セルロースは、押出機を通して容易に押出加工し、1つ以上の高温空気流などの微細化ガスによって乾燥し、繊維として回収してよい。回収された繊維は、不織布接着布地及び物品を含む、様々な不織布材料を作製するために使用してよい。
【0005】
本発明の組成物に適したミクロフィブリル化セルロース及び方法は、例えば、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、粉砕容器内において0.5mm超の寸法の粉砕材料で加工し、続いて、リファイナー、ホモジナイザーにおいて第2の段階の加工を行うか又は超音波装置で超音波処理を行ってよく、本発明の方法によって、100μm未満のメジアン径(d50)を有し、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下したミクロフィブリル化セルロースをもたらす。前述の2段階の加工によって得られるか又は得ることのできるミクロフィブリル化は、水溶性又は分散性ポリマーと混合してよく、押出機を通して容易に押出加工し、1つ以上の高温空気流などの微細化ガスによって乾燥し、繊維として回収してよい。回収された繊維は、不織布接着布地及び物品を含む、様々な不織布材料を作製するために使用してよい。
【0006】
同様に、本発明のミクロフィブリル化セルロースは、粉砕容器内において、0.5mm超の寸法である粉砕材料の存在下又は非存在下で、少なくとも1種類の無機粒子状材料とともに粉砕(同時加工)してよく、続いて、リファイナー、ホモジナイザーにおいて第2の段階の加工を行うか又は超音波装置で超音波処理を行ってよく、本発明の方法によって、100μm未満のメジアン径(d50)を有し、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下したミクロフィブリル化セルロースをもたらす。ミクロフィブリル化セルロースは、高い引張り強度性能を示す場合があり、それによってかかるミクロフィブリル化セルロース組成物が、押出機を通して容易に押出加工され、1つ以上の高温空気流などの微細化ガスによって乾燥され、繊維として回収されることが可能になる。回収された繊維は、不織布接着布地及び物品を含む、様々な不織布材料を作製するために使用してよい。
【0007】
本発明のミクロフィブリル化セルロースは、粉砕容器内において0.5mm超の寸法である粉砕材料の存在下又は非存在下で、少なくとも1種類の無機粒子状材料と粉砕(同時加工)し、続いて、リファイナー、ホモジナイザーにおいて第2の段階の加工を行うか又は超音波装置で超音波処理を行ってよく、本発明の方法によって、100μm未満のメジアン径(d50)を有し、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下したミクロフィブリル化セルロースをもたらす。ミクロフィブリル化セルロースは、高い引張り強度性能を示す場合があり、それによってかかるミクロフィブリル化セルロース組成物が、押出機を通して容易に押出加工され、1つ以上の高温空気流などの微細化ガスによって乾燥され、繊維として回収されることが可能になる。前述の2段階の加工によって得られるか又は得ることのできるミクロフィブリル化は、水溶性又は分散性ポリマーと任意に混合してよく、押出機を通して容易に押出加工し、1つ以上の高温空気流などの微細化ガスによって乾燥し、繊維として回収してよい。回収された繊維は、不織布接着布地及び物品を含む、様々な不織布材料を作製するために使用してよい。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維が提供され、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕すること及び(ii)ミクロフィブリル化セルロースを含む粉砕繊維性基材をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である。
【0009】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0010】
第1の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0011】
第1の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナーであってよい。
【0012】
第1の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0013】
本発明の第2態様によれば、(a)ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維で、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕すること及び(ii)セルロースを含む繊維性基材をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法であり、;(b)水溶性又は分散性ポリマーを含む繊維が提供される。
【0014】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0015】
第2の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0016】
第2の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナーであってよい。
【0017】
第2の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0018】
第2の態様のうち特定の実施形態では、水溶性又は分散性ポリマーとして、水溶性ポリマー、天然及び合成ラテックス、ポリマー粒子のコロイド状分散体、エマルション、ミニエマルション、マイクロエマルション又は分散重合体が挙げられる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維が提供され、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕し、セルロースを含む繊維性基材を粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である。
【0020】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0021】
第3の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0022】
第3の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)、スクリーン粉砕機(screened grinder)、タワーミル、SAM又はIsaMillであってよい。
【0023】
第3の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維が提供され、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕し、セルロースを含む繊維性基材を粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の非存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である。
【0025】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0026】
第4の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナーであってよい。
【0027】
第4の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0028】
第4の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0029】
本発明の第5の態様によれば、:(a)ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維で、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕し、セルロースを含む繊維性基材を粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である繊維、及び;(b)水溶性又は分散性ポリマーを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維、が提供される。
【0030】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0031】
第5の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナーであってよい。
【0032】
第5の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0033】
第5の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0034】
第5の態様のうち特定の実施形態では、水溶性又は分散性ポリマーとして、水溶性ポリマー、天然及び合成ラテックス、ポリマー粒子のコロイド状分散体、エマルション、ミニエマルション、マイクロエマルション又は分散重合体が挙げられる。
【0035】
本発明の第6の態様によれば、:(a)ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維で、ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;ミクロフィブリル化セルロースは、(i)セルロースを含む繊維性基材を粉砕容器内において粉砕し、セルロースを含む繊維性基材を粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;粉砕は、粉砕媒体の非存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である繊維、及び(b)水溶性又は分散性ポリマーを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維、が提供される。
【0036】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0037】
第6の態様のうち特定の実施形態では、リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナーであってよい。
【0038】
第6の態様のうち特定の実施形態では、粉砕容器は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器であってよい。
【0039】
第6の態様のうち特定の実施形態では、超音波装置は、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンであってよい。
【0040】
第6の態様のうち特定の実施形態では、水溶性又は分散性ポリマーとして、水溶性ポリマー、天然及び合成ラテックス、ポリマー粒子のコロイド状分散体、エマルション、ミニエマルション、マイクロエマルション又は分散重合体が挙げられる。
【0041】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、無機粒子状材料以外の粉砕媒体は、0.5mm以上の最小寸法を有する。粉砕媒体は、存在する場合、天然又は合成材料であってよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質の鉱物、セラミック又は金属用物質のボール、ビーズ又はペレットを含んでよい。かかる材料として、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム又は約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリン質粘土を焼成することによって、製造されるムライト高含有材料を挙げてよい。例えば、幾つかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒径の、天然の砂の粒子を使用してよい。
【0042】
その他の実施形態では、広葉樹粉砕媒体(例えば、木粉)を使用してよい。
【0043】
一般に、本方法で使用するために選択される粉砕媒体の種類及び粒径は、例えば、粉砕される材料による供給原料の懸濁液の粒径及び化学的組成物などの特性に依存し得る。幾つかの実施形態では、粒子状粉砕媒体は、約0.5mm~約6.0mmの範囲又は約0.5mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(又は媒体)は、充填物の約70体積%までの量で存在してよい。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、充填物の少なくとも約30体積%、充填物の少なくとも約40体積%、充填物の少なくとも約50体積%又は充填物の少なくとも約60体積%の量で存在してよい。
【0044】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、Malvern(Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱)又は本質的に同一の結果を示すその他の方法によって測定した際に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有する。
【0045】
セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、Malvern(Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱)又は本質的に同一の結果を示すその他の方法によって測定した際に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維勾配(fibre steepness)(すなわち、繊維における粒径分布の勾配)は、以下の式によって決定される。: 勾配=100x(d30/d70
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下又は約50以下又は約40以下又は約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50、約25~約40、約25~約35、約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0046】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下、約50以下、約40以下、約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有する。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50又は約25~約40又は約25~約35又は約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0047】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径を有する。
【0048】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径及び0.25~20μmの範囲の、最頻無機粒子状材料の粒径を有する。
【0049】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、第1の粉砕段階におけるミクロフィブリル化セルロースは、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器で得られるか又は得ることができる。
【0050】
第1~第6の態様のうち特定の実施形態では、第2の精製段階におけるミクロフィブリル化は、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナー、例えば、12インチ(30cm)のシングルディスクを有するシングルディスクリファイナー(Sprout製)で得られるか又は得ることができる。
【0051】
本発明の第7の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕すること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材を、リファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)押出機を通して工程(1)からのミクロフィブリル化セルロースを押出加工する工程;
(3)押出加工されたミクロフィブリル化セルロースを微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0052】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0053】
本発明の第8の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕すること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材を、リファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)ミクロフィブリル化セルロースの組成物をポリマーと混合し、第2の混合物を形成する工程;
(3)押出機を通して第2の混合物を押出加工する工程;
(4)押出加工された第2の混合物を微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(5)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0054】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0055】
本発明の第9の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で粉砕容器内において粉砕すること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)工程(1)からのミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を、押出機を通して押出加工する工程;
(3)押出加工されたミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0056】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0057】
本発明の第10の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で粉砕すること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の非存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)工程(1)からのミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を、押出機を通して押出加工する工程;
(3)押出加工されたミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0058】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0059】
本発明の第11の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の有機粒子状材料の組成物をポリマーと混合し、第2の混合物を形成する工程;
(3)押出機を通して第2の混合物を押出加工する工程;
(3)押出加工された第2の混合物を微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0060】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0061】
本発明の第12の態様によれば、ミクロフィブリル化セルロースを含む繊維の製造方法が提供され、本方法は、
(1)ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物を製造する工程を含み、
ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50の範囲の繊維勾配(fibre steepness)を有し、;
ミクロフィブリル化セルロースは、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工によって得ることができ、;
粉砕は、粉砕媒体の非存在下において水性環境で実施され、;
用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法であり、;
(2)ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料の組成物をポリマーと混合し、第2の混合物を形成する工程;
(3)押出機を通して第2の混合物を押出加工する工程;
(4)押出加工された第2の混合物を微細化ガス、例えば、高温空気で微細化する工程;及び
(4)押出加工された繊維を回収する工程を含む。
【0062】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、100μm未満のメジアン径(d50)を有する。
【0063】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、無機粒子状材料以外の粉砕媒体は、0.5mm以上の最小寸法を有する。粉砕媒体は、存在する場合、天然又は合成材料であってよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質の鉱物、セラミック又は金属用物質のボール、ビーズ又はペレットを含んでよい。かかる材料として、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム又は約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリン質粘土を焼成することによって、製造されるムライト高含有材料を挙げてよい。例えば、幾つかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒径の、天然の砂の粒子を使用してよい。
【0064】
その他の実施形態では、広葉樹粉砕媒体(例えば、木粉)を使用してよい。
【0065】
一般に、本方法で使用するために選択される粉砕媒体の種類及び粒径は、例えば、粉砕される材料による供給原料の懸濁液の粒径及び化学的組成物などの特性に依存し得る。幾つかの実施形態では、粒子状粉砕媒体は、約0.5mm~約6.0mmの範囲又は約0.5mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(又は媒体)は、充填物の約70体積%までの量で存在してよい。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、充填物の少なくとも約30体積%、充填物の少なくとも約40体積%、充填物の少なくとも約50体積%又は充填物の少なくとも約60体積%の量で存在してよい。
【0066】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、Malvern(Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱)又は本質的に同一の結果を示すその他の方法によって測定した際に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有する。あるいは、セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、Malvern(Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱)又は本質的に同一の結果を示すその他の方法によって測定した際に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維勾配(fibre steepness)(すなわち、繊維における粒径分布の勾配)は、以下の式によって決定される。:
勾配=100x(d30/d70
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下又は約50以下又は約40以下又は約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50又は約25~約40又は約25~約35又は約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0067】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下又は約50以下又は約40以下又は約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有する。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50又は約25~約40又は約25~約35又は約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0068】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径を有する。
【0069】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径及び0.25~20μmの範囲の、最頻無機粒子状材料の粒径を有する。
【0070】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、第1の粉砕段階におけるミクロフィブリル化セルロースは、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器で得られるか又は得ることができる。
【0071】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、第2の精製段階におけるミクロフィブリル化は、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナー、例えば、12インチ(30cm)のシングルディスクを有するシングルディスクリファイナー(Sprout製)で得られるか又は得ることができる。
【0072】
第1~第12の態様のうち特定の実施形態では、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理することの2段階の加工を用いない方法と比較して、本発明の方法によって、メジアン径(d50)は、100μm未満であり、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下した。
【0073】
第1~第12の態様のうち特定の実施形態では、(i)繊維性基材を粉砕容器内において粉砕することが、少なくとも1種類の無機粒子状材料の存在下で行われること及び(ii)セルロースを含む粉砕繊維性基材及び少なくとも1種類の無機粒子状材料をリファイナー内において精製するか又はホモジナイザー内において均質にするか又は超音波装置で超音波処理し、粉砕は、粉砕媒体の存在下において水性環境で実施され、;用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法である、2段階の加工を用いない方法と比較して、本発明の方法によって、メジアン径(d50)は、100μm未満であり、25μmよりも微細な材料の比率が増加し、300μmより粗い材料の比率が低下した。
【0074】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、本方法は、押出加工された繊維を微細化ガス、好ましくは、1つ以上の高温空気流で微細化するか又は乾燥することによって、ミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる組成物を押出加工することを含む。
【0075】
第9~第12の態様のうち更なる実施形態では、本方法は、押出加工された繊維を微細化ガス、好ましくは、1つ以上の高温空気流で微細化するか又は乾燥することによって、ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を含むか、それらから本質的になるか又はそれらからなる組成物を押出加工することを含む。
【0076】
第11~第12の態様のうち更に別の実施形態では、本方法は、押出加工された繊維を微細化ガス、好ましくは、1つ以上の高温空気流で微細化するか又は乾燥することによって、ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料並びに水溶性又は分散性ポリマーを含むか、それらから本質的になるか又はそれらからなる組成物を押出加工することを含む。
【0077】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、微細化ガスは、1つ以上の高温空気流を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む押出加工された繊維を乾燥させる。第9~第12の態様のうちその他の実施形態では、微細化ガスは、1つ以上の高温空気流を含み、ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料を含む押出加工された繊維を乾燥させる。
【0078】
第11及び第12の態様のうち特定の実施形態では、微細化ガスは、1つ以上の高温空気流を含み、ミクロフィブリル化セルロース及び少なくとも1種類の無機粒子状材料並びにポリマーを含む押出加工された繊維を乾燥させる。
【0079】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、押出速度は、約0.3g/分~約2.5g/分であり、あるいはその他の実施形態では、押出速度は、約0.4g/分~0.8g/分であってよい。
【0080】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、繊維を100℃以下の温度で押出加工してよい。
【0081】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、繊維は、約0.1μm~約1mmの平均直径を有する。その他の実施形態では、繊維は、約0.1μm~約180μmの平均直径を有する。
【0082】
第1~第12の態様のうち特定の実施形態では、繊維は、約5GPa~約20GPaの弾性率を有する。更に別の実施形態では、繊維は、約40MPa~約200MPaの繊維強度を有する。幾つかの実施形態では、繊維は、本発明における第2の態様のうち本方法の2段階の加工によって製造されたミクロフィブリル化していない組成物から作製される繊維の弾性率が増加してよい。
【0083】
特定の実施形態では、繊維は、スパンレイド繊維である。更に別の実施形態では、スパンレイド繊維は、スパンボンディングによって形成される。更なる実施形態では、スパンボンディング工程は、フラッシュ紡糸、ニードルパンチ及びウォーターパンチからなる群から選択してよい。
【0084】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、回収工程では、小孔のある表面に繊維が堆積し、不織布ウェブを形成する。更に別の実施形態では、小孔のある表面は、動くスクリーン又はワイヤーである。
【0085】
第7~第12の態様のうち特定の実施形態では、不織布ウェブは、水流交絡によって結合する。更に別の実施形態では、不織布ウェブは、スルーエアーサーマルボンディング法によって結合する。特定の実施形態では、不織布ウェブは、機械的に結合する。
【0086】
本発明の先行する態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの組成物を製造するために使用される無機粒子状材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウなどの炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、カオリン、ハロサイト又はボールクレーなどの含水カンダイトクレー、メタカオリン又は完全に焼成されたカオリンなどの無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、すりガラス、パーライト又は珪藻土又はウォラストナイト又は二酸化チタン又は水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、石灰、グラファイト又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0087】
本発明の先行する態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの組成物は、デンプン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素、ポリエチレンオキシド及び両性カルボキシメチルセルロースからなる群から選択される1種類以上の添加剤を更に含む。
【0088】
本発明の先行する態様のうち特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの組成物は、分散剤、殺生物剤、懸濁化剤及び酸化剤からなる群から選択される1種類以上の添加剤を更に含む。
【0089】
本発明の第13の態様では、不織布製品を製造するために、第7~第12の態様のうち、本方法の繊維の使用が、検討される。
【0090】
特定の実施形態では、おむつ、女性用衛生製品、成人用失禁製品、梱包材料、拭き取り用品、タオル、ダストモップ、工業用衣類、医療用ドレープ、医療用ガウン、フットカバー、殺菌ラップ、テーブルクロス、刷毛、ナプキン、ゴミ袋、様々なパーソナルケア物品、グラウンドカバー及び濾材からなる群から選択される不織布製品を製造するために、本発明における第13の態様の使用が、検討される。更なる実施形態では、本発明の第13の態様によって製造される不織布製品は、生分解性である。
【0091】
本発明の第14の態様によれば、本明細書に記載される本発明のうち前述の態様又は更なる実施形態のいずれかの、布地の作製方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、ウェブが形成されるように、本発明における態様又は実施形態のいずれかの、1つ以上の繊維を分散させること及び1つ以上の繊維をそれらが交差する点で結合させることを含む。特定の実施形態では、本方法は、本発明における態様又は実施形態いずれかの、1つ以上の繊維を織ることを含む。
【0092】
本発明の特定の実施形態は、1つ以上の以下の利点を提供し得る。:高い鉱物の配合;高いMFCの配合;組成物の弾性率及び/又は引張り強度の実質的な低下がないこと;耐温度性、組成物の弾性率及び/又は引張り強度の改善;生分解性及び/又は水で流すことが可能な組成物;及び水性(非溶媒系)組成物。
【0093】
任意で特定の1種類以上の記載された、本発明の態様に関連して提供される詳細、実施例及び選好は、本発明の全ての態様に等しく適用される。本明細書に記載される実施形態、実施例及び選好の任意の組合せは、それらの可能な変形形態の全てにおいて、特に指示がないか又は別に明らかに前後関係が矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム材料を含む乾燥組成物に関して、シングルディスクリファイナーの使用効果の概要を示す。
図2】MFCの粘度に関して、超音波浴への暴露効果を示す。
図3】FLT指数(Nm/g)に関して、超音波プローブへの暴露効果を示す。
図4】MFCの粘度に関して超音波プローブへの暴露効果を示す。
図5】MFCに関して、パルス超音波への暴露効果を示す。
図6】超音波処理にさらしたMFCに関して、セラミック媒体混入の影響を示す。
図7】50%POPのプレスされたケーキに関する超音波処理の効果を示す。
図8】鉱物を含まないベルトプレスされたケーキに関する、高せん断及び超音波処理の効果を示す。
図9】高固形分で乾燥ミルされ、ベルトプレスされたケーキに関する、超音波処理の効果を示す。
図10】高固形分で乾燥ミルされ、ベルトプレスされたケーキに関する、超音波処理の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明は、一般に繊維から作製された様々なかかる繊維及び不織布製品におけるミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。本発明はまた、一般に成形又は堆積によって作製された様々な不織布製品におけるフィラーとしてのミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。
【0096】
ミクロフィブリル化セルロースは、WO 2010/131016及びWO 2012/066308に記載されたミクロフィブリル化セルロースにおける任意の1つ以上の特徴を有してよく、参考として本明細書に組み込まれる。あるいは又は更に、ミクロフィブリル化セルロースは、これらの文献に記載される任意の1つ以上の方法によって作製してよい。
【0097】
ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、粉砕媒体の存在下において水性環境で、セルロースを含む繊維性基材を粉砕することによって作製してよく、用語「粉砕媒体」は、無機粒子状材料以外の媒体を意味し、0.5mm以上の寸法である。セルロースを含む繊維性基材は例えば、無機粒子状材料の存在下で粉砕してよく、同時加工ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料組成物を形成する。
【0098】
本明細書で使用する場合、「同時加工ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料組成物」は、本明細書に記載されるようにセルロースを含む繊維性基材を無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化するためのプロセスによって生成される組成物を意味する。
【0099】
セルロースを含む繊維性基材は、例えば、粉砕することが可能な無機粒子状材料の非存在で粉砕してよい。
【0100】
セルロースを含む繊維性基材は、例えば、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器、好ましくは攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)内において粉砕してよい。
【0101】
ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、約10~約100又は約20~約50の繊維勾配(fibre steepness)の範囲を有してよい。
ミクロフィブリル化セルロース及びミクロフィブリル化セルロースの作製方法
無機粒子状材料の存在下におけるミクロフィブリル化
【0102】
特定の実施形態では、セルロースのパルプは、炭酸カルシウムなどの無機粒子状材料の存在下で叩解してよい。
【0103】
ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、無機粒子状材料の存在下でセルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化工程を含む方法によって作製してよい。ミクロフィブリル化工程は、ミクロフィブリル化剤として作用する無機粒子状材料の存在下で実施してよい。
【0104】
ミクロフィブリル化は、セルロースのミクロフィブリルが、プレミクロフィブリル化パルプの繊維と比較して、個々の種又はより小さい凝集体に解離又は部分的に解離するプロセスを意味する。ミクロフィブリル化セルロースは、本明細書に記載されるプロセスを含むがこれらに限定されない、セルロースのミクロフィブリル化によって得てよい。かかる繊維からの繊維及び不織布材料の作製に使用するために適した典型的なセルロース繊維(すなわち、プレミクロフィブリル化パルプ)として、セルロースの個々のミクロフィブリルである、数百又は数千の大きな凝集体が挙げられる。セルロースのミクロフィブリル化によって、本明細書に記載される性質及び特性を含むがこれらに限定されない特定の性質及び特性が、ミクロフィブリル化セルロース及びミクロフィブリル化セルロースを含む組成物に付与される。
【0105】
繊維からのかかる繊維及び不織布材料を作製するために有用なミクロフィブリル化セルロースを製造するために、セルロースを含む繊維性基材は、好ましくは2段階のフィブリル化プロセスで処理してよい。繊維性基材は、粉砕容器に乾燥状態で添加してよい。粉砕は、回転ミル(例えば、ロッド、ボール及び自生)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)、又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器内において達成してよい。好ましくは、粉砕は、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)などのスクリーン粉砕機(screened grinder)内で実施される。例えば、繊維性基材は、粉砕容器に直接添加してよい。次に粉砕容器内の水性環境は、パルプの形成を促進する。繊維性基材のミクロフィブリル化における第2の段階は、任意のリファイナー若しくはホモジナイザー又は超音波装置、例えば、超音波プローブ、超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンを用いた音波処理によって実施してよい。リファイナーは、シングルディスク、コニカル、ツインディスク又はプレートリファイナー、例えば、12インチ(30cm)のシングルディスクを有するシングルディスクリファイナー(Sprout製)であってよい。
【0106】
一実施形態では、ミクロフィブリル化工程は、湿式粉砕条件のもと粉砕容器内で実施される。
湿式粉砕
【0107】
粉砕は、従来方式で適切に実施される。粉砕は、0.5mm以上の寸法である粒子状粉砕媒体の存在下における摩擦粉砕プロセス又は自生粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体の非存在におけるプロセスであってよい。粉砕媒体は、0.5mm以上の寸法である無機粒子状材料以外の媒体を意味し、これはセルロースを含む繊維性基材と同時粉砕される。
【0108】
粒子状粉砕媒体は、存在する場合、天然又は合成材料であってよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質の鉱物、セラミック又は金属用物質のボール、ビーズ又はペレットを含んでよい。かかる材料として、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム又は約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリン質粘土を焼成することによって、製造されるムライト高含有材料を挙げてよい。例えば、幾つかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒径の、天然の砂の粒子を使用してよい。その他の実施形態では、広葉樹粉砕媒体(例えば、木粉)を使用してよい。
【0109】
一般に、本方法で使用するために選択される粉砕媒体の種類及び粒径は、例えば、粉砕される材料による供給原料の懸濁液の粒径及び化学的組成物などの特性に依存し得る。幾つかの実施形態では、粒子状粉砕媒体は、約0.5mm~約6.0mmの範囲又は約0.5mm~約4.0mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。粉砕媒体(又は媒体)は、充填物の約70体積%までの量で存在してよい。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、充填物の少なくとも約30体積%、充填物の少なくとも約40体積%、充填物の少なくとも約50体積%又は充填物の少なくとも約60体積%の量で存在してよい。
【0110】
粉砕は、1つ以上の段階で実施されてよい。例えば、粗い無機粒子状材料は、所定の粒径分布まで粉砕容器内で粉砕してよく、その後セルロースを含む繊維性材料が添加され、所望の水準のミクロフィブリル化が得られるまで粉砕を続ける。
【0111】
粗い無機粒子状材料は、最初は粒子の約20重量%未満が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の約15重量%未満又は約10重量%未満が、2μm未満のe.s.d.を有する粒径分布を有してよい。別の実施形態では、粗い無機粒子状材料は、Malvern Mastersizer S装置を使用して測定した際、最初は粒子の約20体積%未満が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の約15体積%未満又は約10体積%未満が、2μm未満のe.s.d.を有する粒径分布を有してよい。
【0112】
粗い無機粒子状材料は、粉砕媒体の非存在又は存在下で湿式粉砕又は乾燥粉砕してよい。湿式粉砕段階については粗い無機粒子状材料は、粉砕媒体の存在下において水性懸濁液中で粉砕してよい。このような懸濁液中では、粗い無機粒子状材料は、好ましくは懸濁液の約30%~約70重量%の量で存在してよい。幾つかの実施形態では、無機粒子状材料は存在しなくてよい。上記のように、粗い無機粒子状材料は、粒子の少なくとも約10重量%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%又は約100重量%が、2μm未満のe.s.dを有するような粒径分布に粉砕してよく、その後、セルロースパルプが添加され、2種類の構成成分が、同時粉砕され、セルロースパルプの繊維にミクロフィブリル化される。
【0113】
別の実施形態では、粗い無機粒子状材料は、Malvern Mastersizer S装置を使用して測定した際、粒子の少なくとも約10体積%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約70体積%、少なくとも約80体積%、少なくとも約90体積%、少なくとも約95体積%又は約100体積%が、2μm未満のe.s.dを有するような粒径分布に粉砕され、その後セルロースパルプが添加され、2種類の構成成分が、同時粉砕され、セルロースパルプの繊維にミクロフィブリル化される。
【0114】
一実施形態では、無機粒子状材料の平均粒径(d50)が、同時粉砕プロセス中に減少する。例えば、無機粒子状材料のd50は、(Malvern Mastersizer S装置によって測定した際)少なくとも約10%減少してよく、例えば、無機粒子状材料のd50は、少なくとも約20%減少、少なくとも約30%減少、少なくとも約50%減少、少なくとも約50%減少、少なくとも約60%減少、少なくとも約70%減少、少なくとも約80%減少か又は少なくとも約90%減少してよい。例えば、同時粉砕の前に2.5μmのd50及び同時粉砕後に1.5μmのd50を有する無機粒子状材料は、粒径が40%減少する。実施形態では、無機粒子状材料の平均粒径は、同時粉砕プロセス中に有意に減少しない。「有意に減少しない」は、無機粒子状材料のd50が、約10%未満減少し、例えば、無機粒子状材料のd50が、約5%未満減少することを意味する。
【0115】
セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、レーザー光散乱によって測定した際、約5μm~約500μmの範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルローが得られる。セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、約400μm以下、例えば約300μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約125μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下、約50μm以下、約40μm以下、約30μm以下、約20μm以下又は約10μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。好ましくは、セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、約100μm以下、より好ましくは約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下又は約60μm以下のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0116】
セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径及び0.25~20μmの範囲の、最頻無機粒子状材料の粒径を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm又は少なくとも約400μmの、最頻繊維状粒子の径を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0117】
セルロースを含む繊維性基材は、無機粒子状材料の存在下でミクロフィブリル化してよく、Malvern(Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱)又は本質的に同一の結果を示すその他の方法によって測定した際に約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維勾配(fibre steepness)(すなわち、繊維における粒径分布の勾配)は、以下の式によって決定される。:
勾配=100x(d30/d70
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下又は約50以下又は約40以下又は約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50又は約25~約40又は約25~約35又は約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0118】
粉砕は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器などの粉砕容器内において適切に実施される。
【0119】
一実施形態では、粉砕容器はタワーミルである。タワーミルは、1つ以上の粉砕域上に静止域を備えてよい。静止域は、タワーミルの内部の最上部に向かって位置する領域であり、最小限の粉砕が生じるか又は粉砕が生じず、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む。静止域は、粉砕媒体の粒子が、タワーミルの1つ以上の粉砕域へと沈降する領域である。
【0120】
タワーミルは、1つ以上の粉砕域上に分級機を備えてよい。一実施形態では、分級機は、上部に取り付けられ、静止域に隣接して配置される。分級機は、液体サイクロンであってよい。
【0121】
タワーミルは、1つ以上の粉砕域上にスクリーンを備えてよい。一実施形態では、スクリーンは、静止域及び/又は分級機に隣接して配置される。スクリーンは、粉砕媒体を、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の生成物から分離し、粉砕媒体の沈降を増大させるために、寸法決めしてよい。
【0122】
一実施形態では、粉砕は、栓流条件のもとで実施される。栓流条件のもとでタワーを通る流れは、タワーを通る粉砕材料の混合が制限されるようなものである。これはタワーミルの長さに沿った異なる位置において、ミクロフィブリル化セルロースの粉末度が上昇するにつれて水性環境の粘度が変化することを意味する。したがって、事実上、タワーミル内の粉砕領域は、特有の粘度を有する1つ以上の粉砕域を含むとみなすことができる。当業者なら、隣接する粉砕域間における粘度について、はっきりとした境界はないことがわかる。
【0123】
一実施形態では、ミル内の、これらの区域でのミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の粘度を低下させるために、1つ以上の粉砕域上の静止域、分級機又はスクリーンに近接したミルの最上部で水が加えられる。ミルにおけるこの位置でミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料の生成物を希釈することによって、静止域及び/又は分級機及び/又はスクリーンへの、粉砕媒体のキャリーオーバーの防止が、改善されることが見いだされた。更に、タワーを通した混合が制限されることによって、タワー下部の高固形分加工が可能になり、希釈水がタワーを下って1つ以上の粉砕域内に逆流するのを抑えて、最上部での希釈を行うことが可能になる。ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の生成物の粘度を希釈するために効果的な任意の適切な量の水を添加してよい。水は、粉砕プロセス中に連続的に加えるか又は規則的な間隔若しくは不規則な間隔で加えてよい。
【0124】
別の実施形態では、水は、タワーミルの長さに沿って位置決めされる1つ以上の注水点を経由して1つ以上の粉砕域に加えてよく、あるいはそれぞれ注水点が、1つ以上の粉砕域に対応した位置に配置されている。有利には、タワーに沿った様々な位置での注水能によって、ミルに沿った任意の又は全ての位置における粉砕条件の更なる調節が可能になる。
【0125】
タワーミルは、一連のインペラローターディスクをその長さ全体にわたって備えた、垂直インペラーシャフト(vertical impeller shaft)を備えてよい。インペラローターディスクの作動によって、ミル全体にわたって一連の個々の粉砕域が形成される。
【0126】
別の実施形態では、粉砕は、スクリーン粉砕機(screened grinder)、例えば攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)内で実施される。スクリーン粉砕機(screened grinder)は、少なくとも約250μmの公称開口寸法を有する1つ以上のスクリーンを備えてよく、例えば、1つ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、少なくとも約350μm、少なくとも約400μm、少なくとも約450μm、少なくとも約500μm、少なくとも約550μm、少なくとも約600μm、少なくとも約650μm、少なくとも約700μm、少なくとも約750μm、少なくとも約800μm、少なくとも約850μm、少なくとも約900μm又は少なくとも約1000μmの公称開口寸法を有してよい。
【0127】
直前に述べたスクリーン寸法は、上記のタワーミルの実施形態に適用可能である。
【0128】
前述したように、粉砕は、粉砕媒体の存在下で実施してよい。一実施形態では、粉砕媒体は、約0.5mm~約6mmの範囲、例えば約2mm、約3mm、約4mm又は約5mmの平均直径を有する粒子を含む粗い媒体である。
【0129】
別の実施形態では、粉砕媒体は、少なくとも約2.5、例えば、少なくとも約3、少なくとも約3.5、少なくとも約4.0、少なくとも約4.5、少なくとも約5.0、少なくとも約5.5又は少なくとも約6.0の比重を有する。
【0130】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約1mm~約6mmの範囲の平均直径を有する粒子を含み、少なくとも約2.5の比重を有する。
【0131】
別の実施形態では、粉砕媒体は、約3mmの平均直径及び約2.7の比重を有する粒子を含む。
【0132】
上記のように、粉砕媒体(又は媒体)は、充填物の約70体積%までの量で存在してよい。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、充填物の少なくとも約30体積%、充填物の少なくとも約40体積%、充填物の少なくとも約50体積%又は充填物の少なくとも約60体積%の量で存在してよい。
【0133】
一実施形態では、粉砕媒体は、充填物の約50体積%の量で存在する。
【0134】
「充填物」は、粉砕容器に供給される供給原料である組成物を意味する。充填物には、水、粉砕媒体、セルロースを含む繊維性基材及び無機粒子状材料、並びに任意に本明細書に記載されるその他の任意の添加剤が含まれる。
【0135】
比較的粗い及び/又は高密度な媒体の使用には、改善された(すなわちより速い)沈降速度並びに静止域及び/又は分級機及び/又はスクリーンを通る媒体のキャリーオーバーの軽減という利点がある。
【0136】
比較的粗い粉砕媒体の使用における更なる利点は、粉砕システムに付与されるエネルギーが主にセルロースを含む繊維状基材のミクロフィブリル化に費やされるように、粉砕プロセス中に無機粒子状材料の平均粒径(d50)が著しく低下しない可能性があることである。
【0137】
比較的粗いスクリーンを使用する更なる利点は、ミクロフィブリル化工程で比較的粗い又は高密度の粉砕媒体を使用できることである。加えて、比較的粗いスクリーン(すなわち、少なくとも約250μmの公称開口を有する)の使用によって、比較的高固形分の生成物が、加工され、粉砕機から取り除かれることが可能になり、比較的高固形分の供給原料(セルロースを含む繊維性基材及び無機粒子状材料を含む)が、経済的に実行可能なプロセスにおいて加工されることが可能になる。高い初期固形分含有量を有する供給原料が、エネルギー効率の点から望ましいことが見いだされた。更に、低固形分(所定のエネルギーで)で製造された生成物は、粗い粒径分布を有することも見いだされた。
【0138】
一実施形態によれば、セルロースを含む繊維性基材及び無機粒子状材料は、少なくとも約4重量%の初期固形分含有量の水性環境で存在し、そのうち、少なくとも約2重量%が、セルロースを含む繊維性基材である。初期固形分含有量は、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%又は少なくとも約40重量%であってよい。初期固形分含有量の少なくとも約5重量%が、セルロースを含む繊維性基材であってよく、例えば、初期固形分含有量の少なくとも約10%、少なくとも約15%又は少なくとも約20重量%が、セルロースを含む繊維性基材であってよい。
【0139】
別の実施形態では、粉砕は粉砕容器のカスケードにおいて実施され、その1つ以上が1つ以上の粉砕域を備えてよい。例えば、セルロースを含む繊維性基材及び無機粒子状材料は、2つ以上の粉砕容器のカスケード、例えば、直列の、3つ以上の粉砕容器のカスケード、4つ以上の粉砕容器のカスケード、5つ以上の粉砕容器のカスケード、6つ以上の粉砕容器のカスケード、7つ以上の粉砕容器のカスケード、8つ以上の粉砕容器のカスケード、9つ以上の粉砕容器のカスケード、又は10個の粉砕容器までを備えるカスケードにおいて粉砕してよい。粉砕容器のカスケードは、直列若しくは並列又は直列と並列の組合せで動作可能に連結してよい。カスケードにおける粉砕容器の1つ以上からの産出物及び/又はそれらへの投入物は、1つ以上の選別工程及び/又は1つ以上の分級工程にかけてよい。
【0140】
循環路は、1つ以上の粉砕容器及びホモジナイザーの組合せを備えてよい。
【0141】
ミクロフィブリル化プロセスに費やされる総エネルギーは、カスケードにおけるそれぞれの粉砕容器に均等に分配してよい。あるいは、投入エネルギー量は、カスケードにおける粉砕容器の幾つか又は全ての間で変化してよい。
【0142】
容器ごとに費やされるエネルギーが、カスケードにおける容器間でそれぞれ容器においてミクロフィブリル化される繊維性基材の量、任意にそれぞれの容器における粉砕速度、それぞれ容器における粉砕時間、それぞれ容器における粉砕媒体の種類並びに無機粒子状材料の種類及び量に応じて変化してよいことは、当業者によって理解されるであろう。粉砕条件は、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料の双方の粒径分布を制御するために、カスケードにおけるそれぞれ容器で変えてよい。例えば、粉砕媒体の寸法は、無機粒子状材料の粉砕を減少させ、セルロースを含む繊維性基材の粉砕を目標とするためにカスケードにおける連続する容器間で変えてよい。
【0143】
一実施形態では、粉砕は、閉じた循環路で実施される。別の実施形態では、粉砕は、開いた循環路で実施される。粉砕は、バッチ式で実施してよい。粉砕は、再循環バッチ式で実施してよい。
【0144】
粉砕循環路には、予備粉砕工程を含んでよく、その工程において、粗い無機粒子は、粉砕容器において所定の粒径分布まで粉砕され、その後、セルロースを含む繊維性材料は、予備粉砕された無機粒子状材料と混ぜ合わせられ、粉砕は、所望の水準のミクロフィブリル化が得られるまで同一又は異なる粉砕容器内において継続される。
【0145】
粉砕される材料の懸濁液が、比較的高粘度になる恐れがあるので、粉砕前に適切な分散剤を懸濁液に添加してよい。分散剤は、例えば、水溶性縮合リン酸塩、ポリケイ酸若しくはその塩又は高分子電解質、例えば、80,000以下の数平均分子量を有するポリ(アクリル酸)又はポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であってよい。分散剤の量は、一般に乾燥無機粒子固形材料の重量を基準にして、0.1~2.0重量%の範囲で使用される。懸濁液は、4℃~100℃の範囲の温度で適切に粉砕されてもよい。
【0146】
ミクロフィブリル化工程中に含まれてよいその他の添加剤として、カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース及び酸化剤が挙げられる。
【0147】
粉砕される材料の懸濁液のpHは、約7以上(すなわち、塩基性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは、約8、約9、約10又は約11であってよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、約7未満(すなわち、酸性)であってよく、例えば、懸濁液のpHは、約6、約5、約4又は約3であってよい。粉砕される材料の懸濁液のpHは、適切な量の酸又は塩基の添加によって調整してよい。適切な塩基として、例えばNaOHなどのアルカリ金属水酸化物が含まれる。その他の適切な塩基は、炭酸ナトリウム及びアンモニアである。適切な酸として、塩酸及び硫酸などの無機酸及び有機酸が含まれる。例示的な酸は、オルトリン酸である。
【0148】
同時粉砕される混合物中における無機粒子状材料及びセルロースパルプの量は、無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、約0:100~約30:70の比率、又は無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、50:50の比率で変えてよい。
所望の水性懸濁組成物を得るための、典型的な粉砕プロセスにおける総投入エネルギー量は、無機粒子フィラーの総乾燥重量を基準にして、典型的には、約100と1500kWht-1の間であってよい。総投入エネルギー量は、約1000kWht-1未満、例えば約800kWht-1未満、約600kWht-1未満、約500kWht-11未満、約400kWht-1未満、約300kWht-1未満又は約200kWht-1未満であってよい。よって、セルロースパルプは、無機粒子状材料の存在下で同時粉砕されるとき、驚くべきことに比較的低投入エネルギー量でミクロフィブリル化できることが見いだされた。明らかになるように、セルロースを含む繊維性基材における乾燥繊維の1トンあたりの総投入エネルギー量は、約10,000kWht-1未満、例えば、約9000kWht-1未満、約8000kWht-1未満、約7000kWht-1未満、約6000kWht-1未満、約5000kWht-1未満、例えば約4000kWht-1未満、約3000kWht-1未満、約2000kWht-1未満、約1500kWht-1未満、約1200kWht-1未満、約1000kWht-1未満、又は約800kWht-1未満になる。総投入エネルギー量は、ミクロフィブリル化されている繊維性基材における乾燥繊維の量並びに任意に粉砕速度及び粉砕時間に応じて変える。
【0149】
同時粉砕される混合物中における無機粒子状材料及び存在する場合、セルロースパルプの量は、最上部の層のスラリー又は層のスラリーとして使用するために適したスラリーを製造するために変えてよく、あるいは、それを例えば、更に最上部の層のスラリー又は層のスラリーとして使用するために適したスラリーを製造するために、更に無機粒子状材料を添加して改質してよい。
均質化
【0150】
セルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化は、湿潤条件のもと無機粒子状材料の存在下でセルロースパルプ及び無機粒子状材料の混合物が、(例えば、約500barの圧力まで)加圧され、次に低圧力域に送られる方法によって実施してよい。混合物を低圧力域に送る速度は十分に速く、低圧力域の圧力は、セルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすために十分に低い。例えば、混合物を、狭い入口オリフィスとはるかに広い出口オリフィスを有する環状開口部に押し込むことによって圧力低下をもたらし得る。混合物が、広い容積(すなわち、低圧力域)へと加速するときの急激な圧力低下によって、ミクロフィブリル化を引き起こすキャビテーションが誘発される。一実施形態では、セルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化は、ホモジナイザー内で湿潤条件のもと無機粒子状材料の存在下で行ってよい。ホモジナイザー内においてセルロースパルプ-無機粒子状材料の混合物は(例えば、約500barの圧力まで)加圧され、小さなノズル又はオリフィスに押し込まれる。混合物は、約100~約1000barの圧力まで、例えば300bar以上、約500以上、約200bar以上、又は約700bar以上の圧力まで加圧してよい。加圧されたセルロースパルプが、ノズル又はオリフィスに存在するときに、キャビテーションが、パルプ中のセルロース繊維のミクロフィブリル化を引き起こすように、均質化では、繊維が高せん断力にさらされる。ホモジナイザーを通る懸濁液の流動性を改善するために、追加の水を添加してよい。得られた、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、ホモジナイザーに複数回通過させるために、ホモジナイザーの注入口に戻してよい。好ましい実施形態では、無機粒子状材料は、カオリンなどの天然で板状の鉱物である。よって、均質化によって、セルロースパルプのミクロフィブリル化が促進されるだけでなく、板状粒子状材料の剥離が促進される。例示的ホモジナイザーは、Manton Gaulin(APV)ホモジナイザーである。任意に無機粒子状材料を含むミクロフィブリル化セルロース組成物を製造するために適した実験室規模のホモジナイザーは、GEA ANiro Soavi(Via A.M.Da Erba Edoari,29-1,43123Parma,イタリア)のGEA Mechanical Equipmentから入手可能なGEA ANiro Soavi Technical Datasheet Ariete NS3030である。その他の商業規模のホモジナイザーは、(Leacroft Road,Birchwood,Warrington,Cheshire UK WA3 6JF)のGEA Niro Soavi,GEA UnitedKingdomから入手可能である。これらには、3030モデルに加えてArieteシリーズ-2006、3006、3011、3015、3037、3045、3055、3075、3090、3110*、5132、5180、5250、5355が挙げられる。ホモジナイザーはまた、Microfluidizer、700シリーズ及びModels-M-7125、M-7250という名称で、MA02090(米国)、Westwood、90 Glacier Drive Suite 1000のMicrofluidics社から入手可能である。
【0151】
カオリンなどの板状粒子状材料は、少なくとも約10、例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90又は少なくとも約100の形状係数を有すると理解される。形状係数は、本明細書で使用する場合、参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,576,617号に記載される電気伝導度法、装置及び式を使用して測定される、寸法及び形状が変化する粒子の集団に対する、粒径対粒子の、厚みの比の尺度である。
【0152】
カオリンなどの板状無機粒子状材料の懸濁液は、ホモジナイザー内においてセルロースを含む繊維性基材の非存在下で所定の粒径分布まで処理してよく、その後、セルロースを含む繊維性材料は、無機粒子状材料の水性スラリーに添加され、混合懸濁液は、上記のようにホモジナイザー内で加工される。1回以上のホモジナイザーの通過を含む均質化プロセスは、所望の水準のミクロフィブリル化が得られるまで続く。同様に、板状無機粒子状材料は、粉砕機において所定の粒径分布まで処理し、次にセルロースを含む繊維性材料と組み合わせて、続いてホモジナイザーにおいて加工してよい。例示的ホモジナイザーは、Manton Gaulin(APV)ホモジナイザーである。
【0153】
ミクロフィブリル化工程を実施した後、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液をふるいにかけて、特定の寸法を超える繊維を取り除き、任意の粉砕媒体を取り除いてよい。例えば、懸濁液は、ふるいを通過しない繊維を取り除くために選択された公称開口寸法を有するふるいを使用したふるいにかけることができる。公称開口寸法とは、矩形の開口部の対向する辺の公称中心距離又又は円形の開口の公称直径を意味する。ふるいは、150μmの公称開口寸法、例えば、125μm、106μm、90μm、74μm、63μm、53μm、45μm又は38μmの公称開口寸法を有する(BS1796に従う)BSSふるいであってよい。一実施形態では、水性懸濁液は、75μmの公称開口を有するBSSふるい使用してふるいにかけられる。水性懸濁液は、次に任意に脱水してよい。
【0154】
したがって粉砕又は均質化後の水性懸濁液中におけるミクロフィブリル化セルロースの量(すなわち、重量%)は、粉砕又は均質化された懸濁液が、処理され、選択された寸法を超える繊維が取り除かれる場合、パルプ中の乾燥繊維の量未満であり得ると理解されるであろう。したがって、粉砕機又はホモジナイザーに供給されるパルプ及び無機粒子状材料の相対量は、選択された寸法を超える繊維が取り除かれれた後に、水性懸濁液中で必要であるミクロフィブリル化セルロースの量に応じて調整できる。
粉砕することが可能な無機粒子状材料の非存在におけるミクロフィブリル化
【0155】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、水性環境において粉砕媒体の存在下での粉砕による、セルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化工程を含む方法(本明細書に記載される)によって、製造してよく、粉砕は、無機粒子状材料の非存在で実施される。特定の実施形態では、粉砕媒体は、粉砕後に取り除かれる。その他の実施形態では、粉砕媒体は、粉砕後に保持され、無機粒子状材料又は少なくともその一部として機能してよい。
【0156】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の製造方法は、水性環境において、粉砕完了後に取り除かれる、0.5mm以上の寸法である粉砕媒体の存在下での粉砕による、セルロースを含む繊維性基材のミクロフィブリル化工程(本明細書に記載される)を含んでよく、粉砕は、タワーミル内又はスクリーン粉砕機(screened grinder)内で実施され、粉砕は、粉砕することが可能な無機粒子状材料の非存在下で実施される。
【0157】
粉砕することが可能な無機粒子状材料は、粉砕媒体の存在下で粉砕される材料である。粉砕は、従来方式で適切に実施される。粉砕は、粒子状粉砕媒体の存在下における摩擦粉砕プロセス又は、自生粉砕プロセス、すなわち、粉砕媒体の非存在におけるプロセスであってよい。粉砕媒体は、粉砕することが可能な無機粒子以外の媒体を意味する。
【0158】
上述したように、粒子状粉砕媒体は、天然又は合成材料であってよい。粉砕媒体は、例えば、任意の硬質の鉱物、セラミック又は金属用物質のボール、ビーズ又はペレットを含んでよい。かかる材料として、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム又は約1300℃~約1800℃の範囲の温度でカオリン質粘土を焼成することによって、製造されるムライト高含有材料を挙げてよい。例えば、幾つかの実施形態では、Carbolite(登録商標)粉砕媒体が好ましい。あるいは、適切な粒径の、天然の砂の粒子を使用してよい。その他の実施形態では、広葉樹粉砕媒体(例えば、木粉)を使用してよい。
【0159】
一般に、本明細書で開示された方法で使用するために選択される粉砕媒体の種類及び粒径は、例えば、粉砕される材料による供給原料の懸濁液の粒径及び化学的組成物などの特性に依存し得る。幾つかの実施形態では、粒子状粉砕媒体は、約0.5mm~約6mm、例えば約0.2mm~約4mmの範囲の平均直径を有する粒子を含む。一実施形態では、粒子は、少なくとも約3mmの平均直径を有する。
【0160】
粉砕媒体は、少なくとも約2.5の比重を有する粒子を含んでよい。粉砕媒体は、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくと約5又は少なくとも約6の比重を有する粒子を含んでよい。
【0161】
粉砕媒体(又は媒体)は、充填物の約70体積%までの量で存在してよい。粉砕媒体は、充填物の少なくとも約10体積%、例えば、充填物の少なくとも約20体積%、充填物の少なくとも約30体積%、充填物の少なくとも約40体積%、充填物の少なくとも約50体積%又は充填物の少なくとも約60体積%の量で存在してよい。
【0162】
セルロースを含む繊維性基材は、ミクロフィブリル化してよく、レーザー光散乱によって測定した際、約5μm~約500μm(約200μm以下、約150μm以下、約125μm以下、好ましくは約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、より好ましくは約60μm以下、約50μm以下、約40μm以下又は約30μm以下)の範囲のd50を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0163】
セルロースを含む繊維性基材は、ミクロフィブリル化してよく、約0.1~500μmの範囲の、最頻繊維状粒子の径を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。セルロースを含む繊維性基材は、ミクロフィブリル化してよく、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm又は少なくとも約400μmの、最頻繊維状粒子の径を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。
【0164】
セルロースを含む繊維性基材は、ミクロフィブリル化してよく、Malvernで測定した際、約10以上の繊維勾配(fibre steepness)を有するミクロフィブリル化セルロースが得られる。繊維勾配(fibre steepness)(すなわち、繊維における粒径分布の勾配)は、以下の式によって決定される。:
勾配=100x(d30/d70
ミクロフィブリル化セルロースは、約100以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約75以下又は約50以下又は約40以下又は約30以下の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。ミクロフィブリル化セルロースは、約20~約50又は約25~約40又は約25~約35又は約30~約40の繊維勾配(fibre steepness)を有してよい。
【0165】
粉砕は、回転ミル(例えば、ロッドミル、ボールミル及び自生ミル)、攪拌ミル(例えば、SAM又はIsaMill)、タワーミル、攪拌媒体デトライター(stirred media detritor:SMD)又は回転平行粉砕プレート(これらの間に粉砕するための供給原料が供給される)を備えた粉砕容器などの粉砕容器内において実施してよい。
【0166】
一実施形態では、粉砕容器は、上述したように既に説明した条件下のタワーミルである。
【0167】
別の実施形態では、粉砕は、無機粒子状材料の存在下でセルロースを含む繊維性物質の粉砕に関して、スクリーン粉砕機(screened grinder)、例えば攪拌媒体デトライター(stirred media detritor)内で、本明細書で既に明記した方式及び条件のもとで実施される。
ミクロフィブリル化セルロースを製造するために使用されるセルロースを含む繊維性基材
【0168】
ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材に由来する。セルロースを含む繊維性基材は、木材、草(例えば、サトウキビ、タケ)又は布きれ(例えば、織物くず、綿、ヘンプ又は亜麻)などの任意の適切な原料に由来してよい。セルロースを含む繊維性基材は、パルプの形態(すなわち、水中におけるセルロース繊維の懸濁液)であってよく、任意の適切な化学的若しくは機械的処理又はそれらの組合せによって製造してよい。例えば、パルプは、化学的パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、機械パルプ、再生パルプ、製紙工場の損紙、製紙工場の廃棄物流(papermill waste stream)、製紙工場からの廃棄物又はそれらの組合せであってよい。セルロースパルプは、当該技術分野においてcmでのカナダ標準形ろ水度(CSF)として報告される任意の所定のろ水度まで、(例えば、Valley beater内で)叩解するか、及び/又はそうでなければ(例えば、コニカル又はプレートリファイナー内における加工で)精製してよい。CSFは、パルプの懸濁液が排水され得る速度によって測定される、パルプのろ水度又は排水速度に対する値を意味する。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に約10cm以上のカナダ標準形ろ水度を有してよい。セルロースのパルプは、約700cm以下、例えば、約650cm以下、約600cm以下、約550cm以下、約500cm以下、約450cm以下、約400cm以下、約350cm以下、約300cm以下、約250cm以下、約200cm以下、約150cm以下、約100cm以下又は約50cm以下のCSFを有してよい。次にセルロースパルプは、当該技術分野において周知の方法によって脱水してよく、例えば、パルプは、少なくとも約10%固形分、例えば少なくとも約15%固形分、少なくとも約20%固形分、少なくとも約30%固形分又は少なくとも約40%固形分を含む湿潤シートを得るためにスクリーンを通してろ過してよい。パルプは、未精製の状態、すなわち叩解若しくは脱水又は別の精製なしで利用してよい。
【0169】
セルロースを含む繊維性基材は、粉砕容器又はホモジナイザーに乾燥状態で添加してよい。例えば、乾燥損紙は、粉砕容器に直接添加してよい。次に粉砕容器内の水性環境は、パルプの形成を促進する。
ミクロフィブリル化プロセスにおいて使用してよい無機粒子状材料
【0170】
無機粒子状材料は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウなどの炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、カオリン、ハロサイト又はボールクレーなどの含水カンダイトクレー、メタカオリン又は完全に焼成されたカオリンなどの無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、すりガラス、パーライト又は珪藻土又はウォラストナイト又は二酸化チタン又は水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、石灰、グラファイト又はそれらの組合せであってよい。
【0171】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、無水カンダイトクレー、パーライト、珪藻土、ウォラストナイト、水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、二酸化チタン又はそれらの組合せを含むか又はそれらである。
【0172】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、表面処理された無機粒子状材料であってよい。例えば、無機粒子状材料は、脂肪酸又はその塩などの疎水化剤で処理してよい。例えば、無機粒子状材料は、ステアリン酸処理炭酸カルシウムであってよい。
【0173】
本明細書で開示されたミクロフィブリル化の方法に使用するための好ましい無機粒子状材料は、炭酸カルシウムである。以後、本発明は、炭酸カルシウムに関して、並びに炭酸カルシウムが加工され、及び/又は処理される場合の態様に関連して議論される傾向がある場合がある。本発明は、かかる実施形態に制限されると解釈されるべきではない。
【0174】
本発明で使用される粒子状炭酸カルシウムは、粉砕によって天然原料から得てよい。粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、通常白亜、大理石又は石灰石などの鉱物原料を破砕し、次に粉砕することによって得られ、続いて所望の粉末度を有する生成物を得るために粒径分級工程を行ってよい。また、所望の粉末度及び/又は色を有する生成物を得るために、漂白、浮選及び磁気分離などのその他の技術を使用してもよい。粒子固形材料は、自生的に、すなわち、固形材料そのものの粒子間の摩砕によって粉砕するか、あるいは粉砕される炭酸カルシウムと異なる材料の粒子を含む粒子状粉砕媒体の存在下で粉砕してよい。これらのプロセスは、プロセスの任意の段階で添加してよい分散剤及び殺生物剤の存在の有無にかかわりなく実施してよい。
【0175】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明の粒子状炭酸カルシウムの原料として使用してよく、当該技術分野においてにおいて利用できる任意の既知の方法によって生成される。TAPPI Monograph Series No30の「Paper Coating Pigments」、pp.34-35では、沈降炭酸カルシウムを生成するための3つの主要な商業的プロセスを記載しており、製紙工業において使用するための生成物の製造で使用するために適しているが、また本発明の実施において使用してもよい。3つの全てのプロセスにおいては、最初に石灰石などの炭酸カルシウム供給材料は、焼成され、生石灰が生成され、次に生石灰は、水で消和され水酸化カルシウム又は石灰乳が得られた。第一のプロセスでは、石灰乳は、二酸化炭素ガスで直接炭酸塩化される。このプロセスは、副生成物が生成されないという利点を有し、炭酸カルシウム生成物の特性及び純度を調節することが比較的容易である。第二のプロセスでは、石灰乳をソーダ灰と接触させ、複分解によって、炭酸カルシウムの沈降及び水酸化ナトリウムの溶液を生成する。このプロセスが、商業的に使用される場合、水酸化ナトリウムは、炭酸カルシウムから実質的に完全に分離し得る。第三の主要な商業的プロセスでは、最初に石灰乳を塩化アンモニウムと接触させ、塩化カルシウム溶液及びアンモニアガスが得られる。次に塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させ、複分解によって、沈降炭酸カルシウム及び塩化ナトリウム溶液が生成する。様々な異なる形状及び寸法の結晶が、使用される特異的な反応プロセスに応じて生成し得る。PCC結晶の3つの主要な形態は、アラゴナイト、菱面体及び偏三角面体であり、それらの混合物を含む全てが、本発明で使用するために適している。
【0176】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの生成プロセス中にPCCを形成してよい。
【0177】
炭酸カルシウムの湿潤粉砕は、次に、任意に適切な分散剤の存在下で粉砕し得る、炭酸カルシウムの水性懸濁液の形成を伴う。炭酸カルシウムの湿潤粉砕に関する詳細については、例えば、EP-A-614948(その内容全体が参考として組み込まれる)を参照してもよい。
【0178】
状況次第では、その他の鉱物の微量添加を含んでもよく、例えば、1種類以上のカオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルク又は雲母もまた存在できる。
【0179】
無機粒子状材料が、天然に生じる原料から得られるとき、幾つかの鉱物の不純物が、粉砕材料に混入する恐れがある。例えば、天然に生じる炭酸カルシウムは、その他の鉱物と関連して存在できる。したがって、幾つかの実施形態では、無機粒子状材料は、ある量の不純物を含む。しかし一般的には、本発明で使用される無機粒子状材料は、その他の鉱物不純物の約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満を含む。
【0180】
本明細書で開示された方法のミクロフィブリル化工程中に使用される無機粒子状材料は、粒子の少なくとも約10重量%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%又は約100%が、2μm未満のe.s.dを有する粒径分布を好ましくは有する。
【0181】
特に指定のない限り、無機粒子状材料に関して本明細書で言及される粒径特性は、「Micromeritics Sedigraph 5100 unit」として本明細書に言及され、米国、Georgia、NorcrossのMicromeritics Instruments 社(電話:+1770 662 3620;ウェブサイト:www.micromeritics.com)によって供給されるSedigraph 5100装置を使用し、水性媒体中に完全に分散した条件における粒子状材料の沈降による周知の方式で測定される。かかる装置によって、当該技術分野において「球相当径(e.s.d)」と呼ばれ、所定のe.s.d値未満の寸法を有する粒子の測定値及び累積重量%のプロットが得られる。平均粒径d50は、このようにして決定される、粒子のe.s.d値であり、その値で、d50値未満の球相当径を有する粒子が50重量%存在する。
【0182】
あるいは、無機粒子状材料に関して本明細書に関連する粒径特性は、規定される場合、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱の、当該技術分野において用いられる周知の従来の方法(又は本質的に同一の結果が得られるその他の方法)によって測定される。レーザー光散乱技術では、粉末、懸濁液及びエマルションの粒子寸法は、Mie理論の適用に基づき、レーザービームの回折を使用して測定してよい。かかる装置によって、当該技術分野において「球相当径(e.s.d)」と呼ばれ、所定のe.s.d値未満の寸法を有する粒子の測定値及び累積体積%のプロットが得られる。平均粒径d50は、このようにして決定される、粒子のe.s.d値であり、その値で、d50値未満の球相当径を有する粒子が50重量%存在する。
【0183】
別の実施形態では、本明細書で開示された方法のミクロフィブリル化工程中で使用される無機粒子状材料は、Malvern Mastersizer S装置を使用して測定した際、粒子の少なくとも約10体積%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子体積の少なくとも約20体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約70体積%、少なくとも約80体積%、少なくとも約90体積%、少なくとも約95体積%又は約100%が、2μm未満のe.s.dを有するような粒径分布を好ましくは有する。
【0184】
特に指定のない限り、ミクロフィブリル化セルロース材料の粒径特性は、Malvern Instruments Ltdによって供給されるMalvern Mastersizer S装置を使用したレーザー光散乱の、当該技術分野において用いられる周知の従来の方法(又は本質的に同一の結果が得られるその他の方法)によって測定される。
【0185】
Malvern Mastersizer S装置を使用し、無機粒子材料とミクロフィブリル化セルロース混合物の粒径分布を特徴づけるために使用した手順の詳細を以下に示す。
【0186】
本明細書で開示したミクロフィブリル化の方法に使用するための別の好ましい無機粒子状材料は、カオリン粘土である。以後、本明細書のこの項では、カオリンに関して、並びにカオリンが加工され、及び/又は処理される場合の態様に関連して議論される傾向がある場合がある。本発明は、かかる実施形態に制限されると解釈されるべきではない。したがって、幾つかの実施形態では、カオリンは、未加工の形態で使用される。
【0187】
カオリン粘土は、天然原料、すなわち未加工の天然カオリン粘土鉱物に由来する加工済み材料であってよい。加工済みカオリン粘土は通常、少なくとも約50重量%カオリナイトを含有してよい。例えば、大分部分の商業的な加工済みカオリン粘土は、約75重量%超のカオリナイトを含有し、約90%超、場合によっては約95重量%超のカオリナイトを含有してよい。
【0188】
カオリン粘土は、当業者に周知の1つ以上のその他のプロセス、例えば、既知の精製又は選鉱工程によって、未加工の天然カオリン粘土の鉱物から製造してよい。
【0189】
例えば、粘土鉱物は、ヒドロ亜硫酸ナトリウムなどの還元漂白剤で漂白してよい。ヒドロ亜硫酸ナトリウムが使用される場合、漂白された粘土鉱物は、ヒドロ亜硫酸ナトリウムの脱色工程後に任意に脱水、並びに任意に洗浄及び再び任意に脱水してよい。
【0190】
粘土鉱物は、当該技術分野において周知の、例えば凝集、浮選又は磁気分離技術によって、処理して、不純物を取り除いてよい。あるいは粘土鉱物は、固形の形態又は水性懸濁液として処理しなくてもよい。
【0191】
粒子状カオリン粘土を製造するためのプロセスはまた、1つ以上の細粒化工程、例えば、粉砕又は摩砕を含んでよい。粗いカオリンの軽い細粒化は、その適切な剥離を得るために使用される。細粒化は、プラスチック(例えば、ナイロン)のビーズ又は細粒、砂又はセラミックの粉砕又は摩砕助剤を使用することによって実施してよい。粗いカオリンは、精製して、不純物を取り除き、周知の手順を使用して物理的特性を改善してよい。カオリン粘土は、既知の粒径分級手順、例えば、選別及び遠心分離(又は双方)によって処理してよく、所望のd50値又は粒径分布を有する粒子が得られる。
水性懸濁液
【0192】
本明細書で記載される方法に従って生成される水性懸濁液は、繊維からこれらのかかる繊維及び不織布材料を作製するための様々な組成物、繊維及び方法において使用するために適している。
【0193】
水性懸濁液は、例えば、ミクロフィブリル化セルロース及び任意の添加剤を含むか、それからなるか又はそれから本質的になってよい。水性懸濁液は、ミクロフィブリル化セルロース、無機粒子状材料及びその他の任意の添加剤を含むか、それからなるか又はそれから本質的になってよい。その他の任意の添加剤として、粉砕中又はその後に鉱物粒子と繊維の相互作用を促進し得る、分散剤、殺生物剤、懸濁助剤、塩及びその他の添加剤、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース又はポリマーが挙げられる。
【0194】
無機粒子状材料は、粒子の少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約20重量%、例えば少なくとも約30重量%、例えば少なくとも約40重量%、例えば少なくとも約50重量%、例えば少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約70重量%、例えば少なくとも約80重量%、例えば少なくとも約90重量%、例えば少なくとも約95重量%又は例えば約100%が、2μm未満のe.s.dを有するような粒径分布を有してよい。
【0195】
別の実施形態では、無機粒子状材料は、Malvern Mastersizer S装置で測定した際、粒子の少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%又は例えば約100体積%が、2μm未満のe.s.dを有するような粒径分布を有してよい。
【0196】
同時粉砕される混合物中における無機粒子状材料及びセルロースパルプの量は、無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、約0:100~約30:70の比率、又は無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、50:50の比率で変えてよい。
【0197】
一実施形態では、組成物は、150μmの公称開口寸法、例えば、125μm、106μm、90μm、74μm、63μm、53μm、45μm又は38μmの公称開口寸法を有する(BS1796に従う)BSSふるいを通過するには大きすぎる繊維を含まない。一実施形態では、水性懸濁液は、75μmの公称開口を有するBSSふるいを使用してふるいにかけられる。
【0198】
したがって粉砕又は均質化後の水性懸濁液中におけるミクロフィブリル化セルロースの量(すなわち、重量%)は、粉砕又は均質化された懸濁液が、処理され、選択された寸法を超える繊維が取り除かれる場合、パルプ中の乾燥繊維の量未満であり得ると理解されるであろう。したがって、粉砕機又はホモジナイザーに供給されるパルプ及び無機粒子状材料の相対量は、選択された寸法を超える繊維が取り除かれれた後に、水性懸濁液中で必要であるミクロフィブリル化セルロースの量に応じて調整できる。
【0199】
一実施形態では、無機粒子状材料は、炭酸アルカリ土類金属、例えば、炭酸カルシウムである。無機粒子状材料は、粉砕炭酸カルシウム(GCC)若しくは沈降炭酸カルシウム(PCC)又はGCCとPCCの混合物であってよい。別の実施形態では、無機粒子状材料は、天然板状鉱物、例えば、カオリンである。無機粒子状材料は、カオリン及び炭酸カルシウムの混合物、例えば、カオリン及びGCCの混合物、カオリン及びPCCの混合物又はカオリン、GCC及びPCCの混合物であってよい。
乾燥及び半乾燥組成物
【0200】
別の実施形態では、水性懸濁液は、処理され、少なくとも一部又は実質的に全ての水が取り除かれ、部分的に乾燥した生成物又は本質的に完全に乾燥した生成物を形成する。例えば、少なくとも水性懸濁液中における水の約10体積%を水性懸濁液から取り除いてよく、例えば、水性懸濁液中における水の少なくとも約20体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約70体積%、少なくとも約80体積%、少なくとも約90体積%、又は少なくとも約100体積%を取り除いてよい。例えば、加圧を伴うか若しくは伴わない、重力若しくは真空補助排水、蒸発、ろ過、又はこれらの技術の組合せを含む、任意の適切な技術を使用して、水性懸濁液から水を取り除くことができる。部分的に乾燥した生成物又は本質的に完全乾燥した生成物は、ミクロフィブリル化セルロース、無機粒子状材料及び乾燥前に水性懸濁液に添加し得るその他の任意の、添加剤のいずれかを含む。部分的に乾燥した生成物又は本質的に完全乾燥した生成物は、販売用に保存又は梱包してよい。部分的に乾燥した生成物又は本質的に完全乾燥した生成物は、本明細書で開示した任意の組成物又は生成物を使用してよい。部分的に乾燥した生成物又は本質的に完全乾燥した生成物は、任意に再水和させ、本明細書で開示した任意の組成物又は生成物に混合させてよい。
【0201】
特定の実施形態では、同時加工ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料組成物は、本明細書に記載されるプロセスによって生成されるか又は当該技術分野において既知の任意のその他の乾燥プロセス(例えば、凍結乾燥)によって、乾燥又は少なくとも部分的な乾燥形態、再分散可能な組成物であってよい。乾燥した同時加工ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料組成物は、水性又は非水性媒体(例えば、ポリマー)に容易に分散し得る。
【0202】
乾燥した及び少なくとも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロース組成物は、例えば、任意に本明細書に記載される無機粒子及び/又はその他の添加剤の存在下で、機械的な脱水、任意に続いてミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の乾燥(事前に決して乾燥していない)によって作製してよい。これによって、例えば、再分散するとミクロフィブリル化セルロースの1つ以上の特性が向上又は改善し得る。すなわち、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースと比較して、再分散したミクロフィブリル化したものの1つ以上の特性は、それ/それらの脱水及び乾燥の組合せを実施しなかったものより、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、1つ以上の特性に近い。無機粒子状材料の混合、無機粒子状材料の組合せ及び/又は本明細書に記載されるその他の添加剤によって、初期乾燥に続くミクロフィブリル化セルロースの再分散性を向上できる。
【0203】
したがって、特定の実施形態では、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロース形成する方法又は乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースの分散性を改善する方法は、
(i)1つ以上の、
(a)ベルトプレス、例えば、高圧自動ベルトプレスによって脱水、(b)遠心分離による脱水、(c)チューブプレスによる脱水、(d)スクリュープレスによる脱水、及び(e)ロータリープレスによる脱水による水性組成物の脱水、;続いて乾燥又は
(ii)水性組成物の脱水、続いて1つ以上の:
(f)流動層乾燥機内の乾燥、(g)マイクロ波及び/又は高周波乾燥機による乾燥、(h)高温空気掃引ミル若しくは乾燥機内の乾燥、例えば、セルミル又はAtritor(登録商標)ミル、及び(i)凍結乾燥による乾燥による乾燥;又は
(iii)(i)の脱水と(ii)の乾燥の任意の組合せ、又は
(iv)水性組成物の脱水と乾燥の組合せ
を含む方法による水性組成物の乾燥又は少なくとも部分的な乾燥を含む。
【0204】
特定の実施形態では、凍結乾燥によって乾燥する場合、脱水は、1つ以上の(a)~(e)を含む。
【0205】
続いて再分散すると、例えば、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースを液体媒体で別の設備へ移送した後に、再分散したミクロフィブリル化セルロースは、(i)、(ii)、(iii)又は(iv)の乾燥を実施しなかったものより、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有する。
【0206】
したがって、ミクロフィブリル化セルロースは、再分散してよく、本方法は、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースを液体媒体中に再分散させることを含み、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースは、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物を脱水及び乾燥することによって製造され、それによって、再分散したミクロフィブリル化セルロースは、脱水及び乾燥を実施しなかったものより、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有し、任意に乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースは、(i)無機粒子状材料、(ii)無機粒子状材料の組合せ、及び/又は(iii)無機粒子状材料以外の添加剤を含み、再分散中にその存在によって、再分散したミクロフィブリル化セルロースの機械的及び/又は物理的特性が向上し、;任意に脱水は、1つ以上の
(a)ベルトプレスによる脱水、例えば、高圧自動ベルトプレス;
(b)遠心分離による脱水;
(c)チューブプレスによる脱水;
(d)スクリュープレスによる脱水;並びに
(e)ロータリープレスによる脱水;から選択され、
及び/又は乾燥は、1つ以上の:
(f)流動層乾燥機内の乾燥;
(g)マイクロ波及び/又は高周波乾燥機による乾燥
(h)高温空気掃引ミル又は乾燥機内の乾燥、例えば、セルミル又はAtritor(登録商標)ミル;並びに
(i)凍結乾燥による乾燥から選択される。
【0207】
特定の実施形態では、凍結乾燥によって乾燥した場合、脱水は、1つ以上の(a)~(e)を含む。
【0208】
「乾燥した」又は「乾燥」への言及は、「少なくとも部分的に乾燥した」又は「若しくは少なくとも部分的な乾燥」を含む。
【0209】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、ベルトプレス、例えば、高圧自動ベルトプレスによって脱水され、続いて、例えば、1つ以上の上記(f)~(i)を介した乾燥される。
【0210】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、遠心分離機によって脱水され、続いて、例えば、1つ以上の上記(f)~(i)を介して乾燥される。
【0211】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、チューブプレスによって脱水され、続いて、例えば、1つ以上の上記(f)~(i)を介して乾燥される。
【0212】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、スクリュープレスによって脱水され、続いて、例えば、1つ以上の上記(f)~(i)を介して乾燥される。
【0213】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、ロータリープレスによって脱水され、続いて、例えば、1つ以上の上記(f)~(i)を介して乾燥される。
【0214】
特定の実施形態では、水性組成物は、例えば、1つ以上の上記(a)~(e)を介して脱水され、次に流動層乾燥機内で乾燥される。
【0215】
特定の実施形態では、水性組成物は、例えば、1つ以上の上記(a)~(e)を介して脱水され、次にマイクロ波及び/又は高周波乾燥によって乾燥される。
【0216】
特定の実施形態では、水性組成物は、例えば、1つ以上の上記(a)~(e)を介して脱水され、次に高温空気掃引ミル又は乾燥機、例えば、セルミル又はAtritor(登録商標)ミル内で乾燥される。適切なミル及び乾燥機は、英国、West Midlands、Coventry、Blue Ribbon Park、12 The StampingsのAtritor Limitedから入手可能である。これらのミル及び乾燥機として、Atritor 乾燥機-粉砕機(8Aを含む任意のモデル)、Atritorセルミル、Atritor Extended分級ミル及びAtritor Air Swept Tubular(AST)乾燥機が挙げられ、かかるミルは、ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物を製造するために使用してよく、その組成物は、その後に乾燥され、次に再分散される。
【0217】
特定の実施形態では、水性組成物は、例えば、1つ以上の上記(a)~(e)を介して脱水され、次に凍結乾燥によって乾燥される。特定の実施形態では、脱水は、1つ以上の上記(a)~(e)によるものである。
【0218】
脱水及び乾燥は、任意の適切な期間、例えば、約30分~約12時間、約30分~約8時間、約30分~約4時間又は約30分~約2時間実施してよい。その期間は、例えば、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の固形分含有量、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物のバルク量及び乾燥温度などの要因に依存する。
【0219】
特定の実施形態では、乾燥は、約50℃~約120℃、例えば、約60℃~約100℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃又は少なくとも約80℃の温度で実施される。
【0220】
特定の実施形態では、本方法は、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースを、水性又は非水性液体であり得る液体媒体中に再分散させることを更に含む。特定の実施形態では、液体媒体は、水性液体、例えば、水である。特定の実施形態では、水は、再分散したミクロフィブリル化セルロースが、物品、生成物又は組成物を製造するために使用されている製造プラントに由来する廃水又は再生廃水である。例えば、紙/板紙製造プラントにおいては、水は紙の作製プロセスによる再生白水であるか、それを含んでよい。特定の実施形態では、少なくとも一部の任意の無機粒子状材料及び/又は無機粒子状材料以外の添加剤は、再生白水中に存在する。
【0221】
特定の実施形態では、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子状材料及び/又は添加剤を含み、その存在は、再分散したミクロフィブリル化セルロースの機械的及び/又は物理的特性を向上させる。かかる無機粒子状材料及び添加剤は、以下の本明細書に記載される。
【0222】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、脱水及び乾燥前のミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の総重量を基準にして、含水量を、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.5重量%又は少なくとも99.9重量%減少させるために脱水及び乾燥させてよい。
【0223】
「乾燥した」又は「乾燥」は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の含水量が、少なくとも95重量%ほど減少することを意味する。
【0224】
「部分的に乾燥した」又は「部分的な乾燥」は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の含水量が、95重量%未満の量ほど減少することを意味する。特定の実施形態では、「部分的に乾燥した」又は「部分的な乾燥」は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の含水量が、少なくとも50重量%、例えば、少なくとも75重量%又は少なくとも90重量%ほど減少することを意味する。
【0225】
ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水及び/又は乾燥の前に処理してよい。例えば、以下に明記される1種類以上の添加剤(例えば、以下に明記される塩、糖、グリコール、尿素、グリコール、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、又はそれらの組合せ)は、ミクロフィブリル化セルロースに添加してよい。例えば、(例えば上記の添加剤を含むか又は含まない)1種類以上のオリゴマーをミクロフィブリル化セルロースに添加してよい。例えば、1種類以上の無機粒子状材料は、ミクロフィブリル化セルロースに添加してよく、分散性を改善する(例えば、ステアリン酸表面処理(例えばステアリン酸で処理された炭酸カルシウム)などの疎水性表面処理を施したタルク又は鉱物)。添加剤は、例えば、低誘電率溶媒に懸濁し得る。ミクロフィブリル化セルロースは、脱水及び/又は乾燥の前に、エマルション、例えば、油/水エマルション中にあってよい。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水及び/又は乾燥の前に、マスターバッチ組成物、例えばポリマーのマスターバッチ組成物及び/又は高固形分マスターバッチ組成物中にあってよい。ミクロフィブリル化セルロースは、例えば、脱水及び/又は乾燥の前に、高固形分組成物(例えば、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上又は約99重量%以上の固形分含有量)であってよい。1種類以上の処理剤について任意の組合せは、再分散前又はその間以外で、脱水及び乾燥後において、ミクロフィブリル化セルロースに追加として又は代替的に適用可能である場合がある。
【0226】
再分散したミクロフィブリル化セルロースは、上記の(i)、(ii)、(iii)又は(iv)の乾燥を実施しなかったものより、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有してよい。
【0227】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースは、(i)、(ii)又は(iii)の乾燥を実施しなかったものより、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有する。
【0228】
機械的特性は、ミクロフィブリル化セルロースと関連した、任意の決定できる機械的特性であり得る。例えば、機械的特性は、強度特性、例えば、引張指数であってよい。引張指数は、引張試験機を使用して測定してよい。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの引張指数を比較するために調節した条件で、任意の適切な方法及び装置を使用してよい。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース及び存在し得る任意のその他の添加剤又は無機粒子状材料の等しい濃度で、実施するべきである。引張指数は、例えば、N.m/g又はkN.m/kgなどの任意の適切な単位で示してよい。
【0229】
物理的特性は、ミクロフィブリル化セルロースと関連した、任意の決定できる物理的特性であってよい。例えば、物理的特性は、粘度であってよい。粘度は、粘度計を使用して測定してよい。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの粘土を比較するために調節した条件で、任意の適切な方法及び装置を使用してよい。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース及び存在し得る任意のその他の添加剤又は無機粒子状材料の等しい濃度で、実施するべきである。特定の実施形態では、粘度は、mPa.sの単位を有するブルックフィールド粘度である。
【0230】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの引張指数及び/又は粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物における引張指数及び/又は粘度の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの引張指数及び/又は粘度の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0231】
例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの引張指数が、8N.m/gだった場合、この値の少なくとも50%の引張指数は、4N.m/gとなる。
【0232】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの引張指数は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロース水性組成物における引張指数の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、引張指数の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0233】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物における粘度の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、粘度の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0234】
特定の実施形態では、無機粒子状材料以外の無機粒子状材料及び/又は添加剤は、脱水及び乾燥中に存在する。無機粒子状材料及び/又は添加剤は、脱水及び乾燥の前の任意の段階で添加してよい。例えば、無機粒子状材料及び/又は添加剤は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造中、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造の後で、又はその双方で添加してよい。特定の実施形態では、無機粒子状材料は、(例えば、本明細書に記載される、同時加工、例えば、同時粉砕によって)ミクロフィブリル化セルロースの製造中に混合され、無機粒子状材料以外の添加剤は、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造に続いて添加される。特定の実施形態では、(ミクロフィブリル化セルロースの製造中に添加される無機粒子と同一又は異なっていてよい)追加の無機粒子状材料を、ミクロフィブリル化セルロースの製造に続いて、例えば、無機粒子状材料以外の添加剤の添加と同時に添加してよい。特定の実施形態では、水性組成物のミクロフィブリル化セルロースは、20~50の繊維勾配(fibre steepness)を有する。無機粒子状材料、添加剤及びそれらの量について詳細は、以下に記載する。
【0235】
更なる態様では、再分散したミクロフィブリル化セルロースについて本方法では、液体媒体中、ミクロフィブリル化の機械的及び/又は物理的特性向上させる無機粒子状材料以外の添加剤の存在下で、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースの再分散を含む。乾燥される前又は少なくとも部分的乾燥される前のミクロフィブリル化セルロースは、20~50の繊維勾配(fibre steepness)を有する。
【0236】
更なる別の態様では、再分散したミクロフィブリル化セルロースについて本方法では、液体媒体中、無機粒子状材料の組合せの存在下で、乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースの再分散を含み、無機粒子状材料の組合せによって、再分散したミクロフィブリル化の機械的及び/又は物理的特性が向上する。特定の実施形態では、無機粒子状材料の組合せは、炭酸カルシウム及び板状鉱物、例えば、板状カオリン又はタルクを含む。
【0237】
特定の実施形態では、添加剤は、存在する場合、塩、糖、グリコール、尿素、グリコール、カルボキシメチルセルロース、グアーガム又はそれらの組合せである。
【0238】
特定の実施形態では、添加剤は、存在する場合、塩、糖、グリコール、尿素、グリコール、グアーガム、又はそれらの組合せである。
【0239】
特定の実施形態では、糖は、単糖(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース)、二糖(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)、オリゴ糖(1つ以上の単糖が50以下の単位鎖)、多糖及びそれらの組合せから選択される。
【0240】
特定の実施形態では、塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムである。特定の実施形態では、塩は、塩化ナトリウムを含むか又はそれである。
【0241】
特定の実施形態では、グリコールは、アルキレングリコールであり、例えば、エチレン、プロピレン及びブチレングリコール並びにそれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、グリコールは、エチレングリコールを含むか又はそれである。
【0242】
特定の実施形態では、添加剤は、尿素を含むか又はそれである。
【0243】
特定の実施形態では、添加剤は、グアーガムを含むか又はそれである。
【0244】
特定の実施形態では、添加剤は、カルボキシメチルセルロースを含むか又はそれである。特定の実施形態では、添加剤は、カルボキシメチルセルロースではない。
【0245】
特定の実施形態では、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースは、アセチル化されていない。特定の実施形態では、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースは、アセチル化されない。
【0246】
無機粒子状材料は、1つ以上の以下の段階で添加してよい。:(i)ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造前又は製造中;(ii)ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造に続いて;(iii)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の脱水中;(iv)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の乾燥中;及び(v)乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースの再分散前又は再分散中。
【0247】
再分散したミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子及び/又は添加剤の存在なしで実施したものより、乾燥及び再分散前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有する。換言すれば、無機粒子状材料及び/又は無機粒子状材料以外の添加剤の存在によって、再分散したミクロフィブリル化の機械的及び/又は物理的特性が向上する。
【0248】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子状材料及び/又は添加剤の存在なしで実施したものより、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースに近い機械的及び/又は物理的特性を有する。
【0249】
上記のように、機械的特性は、ミクロフィブリル化セルロースと関連した、任意の決定できる機械的特性であり得る。例えば、機械的特性は、強度特性、例えば、引張指数であってよい。引張指数は、引張試験機を使用して測定してよい。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの引張指数を比較するために調節した条件で、任意の適切な方法及び装置を使用してよい。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース及び存在し得る任意のその他の添加剤又は無機粒子状材料の等しい濃度で、実施するべきである。引張指数は、例えば、N.m/g又はkN.m/kgなどの任意の適切な単位で示してよい。
【0250】
物理的特性は、ミクロフィブリル化セルロースと関連した、任意の決定できる物理的特性であってよい。例えば、物理的特性は、粘度であってよい。粘度は、粘度計を使用して測定してよい。乾燥前と再分散後のミクロフィブリル化セルロースの粘土を比較するために調節した条件で、任意の適切な方法及び装置を使用してよい。例えば、比較は、ミクロフィブリル化セルロース及び存在し得る任意のその他の添加剤又は無機粒子状材料が等しい濃度で、実施するべきである。特定の実施形態では、粘度は、mPa.sの単位を有するブルックフィールド粘度である。
【0251】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの引張指数及び/又は粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物における引張指数及び/又は粘度の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの引張指数及び/又は粘度の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0252】
例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの引張指数が、8N.m/gだった場合、この値の少なくとも50%の引張指数は、4N.m/gとなる。
【0253】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの引張指数は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロース水性組成物における引張指数の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、引張指数の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0254】
特定の実施形態では、再分散したミクロフィブリル化セルロースの粘度は、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物における粘度の少なくとも約25%、例えば、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、粘度の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%である。
【0255】
無機粒子状材料及び/又は添加剤は、存在する場合、ミクロフィブリル化セルロースの再分散性を向上させるために、すなわち、再分散したミクロフィブリル化したものの機械的及び/又は物理的特性を向上させるために十分な量で存在する。
【0256】
乾燥前の(存在する場合、無機粒子を含む)ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の総重量を基準にして、添加剤は、約0.1重量%~約20重量%、約0.25重量%~約15重量%、約0.5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約7.5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4重量%、約9.5重量%~約4重量%又は約1重量%~約3重量%の量で添加してよい。
【0257】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物及び任意の無機粒子状材料は、乾燥前に約50重量%までの、例えば、約40重量%までの、約30重量%までの、約20重量%までの、約15重量%までの、約10重量%までの、約5重量%までの、約4重量%までの、約3重量%までの、約2重量%までの、又は約2重量%までの固形分含有量を有してよい。
【0258】
乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの、水性組成物の固形分含有量を基準にして、無機粒子は、総固形分含有量の約99%まで例えば、総固形分含有量の約90%まで、約80重量%まで、約70重量%まで、約60重量%まで、約50重量%まで、約40%まで、約30%まで、約20%まで、約10%まで、又は約5%までを構成してよい。
【0259】
特定の実施形態では、水性組成物中において無機粒子対ミクロフィブリル化セルロースの重量比が、約10:1~約1:2、例えば、約8:1~約1:1、約6:1~約3:2、約5:1~約2:1、約5:1~約3:1、約4:1~約3:1又は約4:1である。
【0260】
特定の実施形態では、乾燥又は少なくとも部分的に乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物は、約20重量%までの固形分含有量を有し、任意に、固形分の約80%までは、無機粒子状材料である。
【0261】
特定の実施形態では、水性組成物は、乾燥前に無機粒子状材料を実質的に含まない。
【0262】
無機粒子状材料は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウなどの炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、カオリン、ハロサイト又はボールクレーなどの含水カンダイトクレー、メタカオリン又は完全に焼成されたカオリンなどの無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、すりガラス、パーライト又は珪藻土又はウォラストナイト又は二酸化チタン又は水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、石灰、グラファイト又はそれらの組合せであってよい。
【0263】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、無水カンダイトクレー、パーライト、珪藻土、ウォラストナイト、水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、二酸化チタン又はそれらの組合せを含むか又はそれらである。
【0264】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、表面処理された無機粒子状材料であってよい。例えば、無機粒子状材料は、脂肪酸又はその塩などの疎水化剤で処理してよい。例えば、無機粒子状材料は、ステアリン酸処理炭酸カルシウムであってよい。
【0265】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、任意に例えば、炭酸カルシウムなどの別の無機粒子状材料と組み合わせた、板状鉱物、例えば、カオリン及び/又はタルクであるか又はそれらを含む。
【0266】
「板状」カオリンは、高い形状係数を有するカオリン、カオリン生成物を意味する。板状カオリンは、約20~約60未満の形状係数を有する。超板状カオリンは、約60~100又は更に100超の形状係数を有する。「形状係数は」、本明細書で使用する場合、参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,576,617号に記載される電気伝導度法、装置及び式を使用して測定される、寸法及び形状が変化する粒子の集団に対する、粒径対粒子の、厚みの比の尺度である。形状係数を決定するための技術として、‘617の特許に更に記載されており、試験のもとで、配向粒子の水性懸濁液の組成物に関する電気伝導率が、組成物が容器を流動する際に測定される。電気伝導率の測定は、容器の一方向及び第一の方向を横断する容器の別の方向にそって行われる。2つの伝導度について測定値間の違いを使用することで、試験における粒子状材料の形状係数を決定した。
【0267】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、任意に例えば、炭酸カルシウムなどの別の無機粒子状材料と組み合わせたタルクであるか又はそれらを含む。
【0268】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、表面処理され得る炭酸カルシウムであり、水性組成物は、本明細書に記載される無機粒子状材料以外の1種類以上の添加剤を更に含む。
【0269】
無機粒子状材料は、粒子の少なくとも約10重量%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子の少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%又は約100%が、2μm未満のe.s.dを有する粒径分布を有してよい。
【0270】
別の実施形態では、無機粒子状材料は、Malvern Mastersizer S装置を使用して測定した際、粒子の少なくとも約10体積%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば、粒子体積の少なくとも約20体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約70体積%、少なくとも約80体積%、少なくとも約90体積%、少なくとも約95体積%又は約100%が、2μm未満のe.s.dを有する粒径分布を好ましくは有する。
【0271】
特定の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物は、無機粒子状材料を含まず、水性組成物は、本明細書に記載される無機粒子状材料以外の1種類の添加剤を更に含む。
【0272】
本明細書に記載される様々な方法は、有利な特性を有する再分散したミクロフィブリル化セルロース製造するために提供される。
【0273】
したがって、更なる態様では、液体媒体中に分散した、再分散したミクロフィブリル化セルロースを含む組成物が提供され、これは、本明細書に記載される方法の態様においていずれか1つに記載の方法によって得ることができ、比較可能な濃度で、乾燥前のミクロフィブリル化セルロースの水性組成物における引張指数及び/又は粘度の少なくとも50%の引張指数及び/又は粘度を有し、(i)水性組成物のミクロフィブリル化セルロースが、20~50の繊維勾配(fibre steepness)を有するか、及び/又は(ii)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物が、無機粒子状材料を含み、任意に更に無機粒子状材料以外の添加剤を含むかのいずれかである。
【0274】
再分散したミクロフィブリル化セルロースを、物品、製品又は組成物、例えば、紙、板紙、ポリマー物品及び塗料等に使用してよい。
鉱物(GCC又はカオリン)とミクロフィブリル化セルロースパルプ繊維の混合物における粒径分布を特徴づける例示的手順
-炭酸カルシウム
【0275】
3gの乾燥材料を得るために十分な同時粉砕スラリーの試料をビーカーに量り入れ,脱イオン水で60gまで希釈し、有効成分が1.5w/v%のポリアクリル酸ナトリウム溶液5cmで混合する。更に脱イオン水を最終的なスラリー重量が80gになるまで攪拌しながら添加する。
-カオリン
【0276】
5gの乾燥材料を得るために十分な同時粉砕スラリーの試料をビーカーに量り入れ、脱イオン水で60gまで希釈し、1.0重量%炭酸ナトリウムと0.5重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液5cmで混合する。更に脱イオン水を最終的なスラリー重量が80gになるまで攪拌しながら添加する。
【0277】
次にスラリーを、オブスキューレーションが最適水準(通常、10~15%)を示すまでMastersizer Sに取り付けられた試料製造ユニット内の水に1cmの分取で添加する。次に光散乱分析手順を実施する。機器の範囲を、300RF:0.05~900で選択し、ビーム長を2.4mmに設定した。
【0278】
炭酸カルシウム及び繊維を含有する同時粉砕試料に関して、炭酸カルシウムの屈折率(1.596)を使用する。カオリン及び繊維の同時粉砕試料に関して、カオリンのRI(1.5295)を使用する。
【0279】
粒径分布はMie理論から計算され、体積差に基づく分布として出力される。2つの明確なピークの存在は、鉱物(微細なピーク)及び繊維(粗いピーク)から生じると解釈される。
【0280】
微細な鉱物ピークを測定されたデータポイントにフィットさせ、分布から数学的に減じて繊維ピークを残し、これを累積分布に変換する。同様に、繊維ピークを元の分布から数学的に減じて鉱物ピークを残し、これもまた累積分布に変換する。次に、これら双方の累積曲線を使用して平均粒径(d50)及び分布の勾配(d30/d70x100)を計算してよい。示差曲線を使用して鉱物及び繊維部分の双方に関する最頻粒径を求めてよい。
超音波処理プロセス
【0281】
簡潔には、音波処理、超音波処理(ultrasonication)又は超音波処理(ultrasonification)(特に指定のない限り、本明細書で互換的に使用される)は、液体の攪拌をもたらす超音波(>20kHz)による音波を用いた液体試料への照射である。音波は、液体媒体に広がり、高圧(圧縮)及び低圧(希薄化)の交互のサイクルをもたらす。希薄化中、高強度の音波によって、液体中に小さな真空の気泡又は空洞が生じ、次に圧縮中に激しく崩壊(キャビテーション)し、非常に高い局所温度及び攪拌が生じる。これらの事象の組合せによって材料をより小さな成分に破壊するか又は縮小し、材料を本質的に乳化させることができる高いせん断力がもたらさられる。このプロセスでは、選択した動作パラメーターに応じて材料の物理的特性が変化し得る。超音波処理はまた、材料の攪拌を通した材料の混合の助けとなる。本発明は、特定の音波処理装置についていずれの使用も限定しないが、超音波処理は、最も一般的に超音波浴又は超音波プローブ(又はトランスデューサー)の使用によって実施される。当該技術分野において既知の適切な装置もまた含まれ、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル及び超音波ホーンに限定されない。
【0282】
材料に関する、超音波処理で誘導されるキャビテーションによる任意の効果は、異なる周波数、変位又は振動振幅、プロセスへの暴露時間及びプロセスの適用モード(例えば、パルス又は連続的な適用)を含む、パラメーターの組合せを通して調節される。通常使用される周波数は、約25~55kHzの範囲である。通常使用される振幅は、約22~50μmの範囲である。超音波浴、超音波プローブ又はその他の装置の使用における選択はまた、プロセスの最終的な結果に影響し得る。
【0283】
本発明に関して、本発明のミクロフィブリル化セルロース又はミクロフィブリル化セルロースと無機粒子状材料を含む水性懸濁液(「水性懸濁液」と総称される)の超音波処理は、材料の物理的特性を向上させると見いだされた。例えば、ミクロフィブリル化セルロースを含むか又はミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の超音波処理によって、驚くべきことにまた予期せぬことに本明細書の実施例の項に示されるように材料の粘度及び/又は引張り強度が、向上する結果をもたらした。本発明の材料について物理的特性の向上及び向上度合いは、用いられる動作パラメーターに依存する。本明細書の教示を考慮して、当業者は、過度の実験をすることなく所望の結果を達成するための適切なパラメーターを認識できる。
【0284】
一態様では、本発明の水性懸濁液の超音波処理は、粘度及び/又は引張り強度特性が向上した、超音波処理されたミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む懸濁液を生成することを含み、本方法は、水性環境において無機粒子状材料の存在下、セルロースを含む繊維性基材をミクロフィブリル化し、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液を音波処理にかけ、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液を生成させることを更に含む。ミクロフィブリル化工程は、無機粒子状材料の存在下でセルロースを含む繊維性基材を、粉砕することを含んでよく、セルロースを含む繊維性基材の非存在下で無機粒子状材料を粉砕し、所望の粒径を有する無機粒子状材料が得られる初期工程を更に含んでよい。
【0285】
一実施形態では、上で議論されるように、粉砕媒体を、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液生成させるために使用してもよい。
【0286】
ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の超音波処理は、超音波プローブ又は超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル又は超音波ホーンを用いて実施してよい。かかる装置の使用は、当業者に既知である。
【0287】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、音波処理工程前又はその後のいずれかで、1つ以上の高せん断攪拌、均質化又は精製を更に含んでよく、その全てが、当業者によって既知であり、本明細書の教示を考慮して過度な実験をすることなく、本発明の方法に組み込んでよい。
【0288】
本発明の一実施形態では、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の引張り強度は、音波処理にかけていないミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%又は少なくとも200%増加する。
【0289】
本発明の一実施形態では、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の粘度は、音波処理にかけていないミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、又は少なくとも100%ほど増加する。
【0290】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液を音波処理に少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分及び少なくとも20分以上かける。時間の長さは、本明細書の教示を基準にして当業者によって決定してよい。
【0291】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、乾燥微細繊維の1トン当たり1000kwhまで、乾燥微細繊維の1トン当たり2500kwh、乾燥微細繊維の1トン当たり5000kwhまで、乾燥微細繊維の1トン当たり10,000kwhまでのエネルギー補償率で音波処理にかけられる。
【0292】
ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、連続モード若しくはパルスモード又は双方の組合せで超音波処理機にかけることによって超音波処理してよい。すなわち、長パルスと短パルスが交互におこる場合、所望のパターン又はランダムに実施される。
【0293】
ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、音波処理の前に半乾燥生成物へと成形してよい。ベルトプレスされたケーキは、本発明で使用するために適した半乾燥生成物の一例である。例えば、取扱い及び/又は移送の容易さから、生成物を半乾燥生成物に変換させることが多い。出発材料として半乾燥生成物を使用する場合、音波処理によって、材料の物理的特性が向上するだけでなく、再湿潤化と称される、プロセスにおける溶液への材料の分散が促進される。
【0294】
ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液の音波処理は、1つのパラメーターに関する変化が、装置及び超音波処理される材料の物理的及び実用的限界内で別のパラメーターの変化を補い得る場合、特定の又は特有の音波処理パラメーターのいずれも限定されない。例えば、音波処理時間を長くすることによって、減少した振幅を使用することに対する少なくとも一部を補ってよい。
【0295】
好ましい実施形態では、音波処理は、使用される超音波処理機の物理的限界までで、60%まで、80%まで、100%まで及び200%まで又はそれ以上の振幅で実施される。使用される特定の装置について振幅の物理的限界は、当業者に既知である。
【0296】
セルロースを含む繊維性基材は、パルプの形態、例えば、化学的パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、機械パルプ、再生パルプ、損紙パルプ、製紙工場の廃棄物流(papermill waste stream)、製紙工場からの廃棄物又はそれらの組合せであってよい。
【0297】
無機粒子状材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウなどの炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、カオリン、ハロサイト又はボールクレーなどの含水カンダイトクレー、メタカオリン又は完全に焼成されたカオリンなどの無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、パーライト珪藻土又はそれらの組合せであってよい。好ましい実施形態では、無機粒子状材料は、炭酸アルカリ土類金属、例えば、炭酸カルシウム若しくはカオリン又はそれらの組合せである。
【0298】
粉砕容器は、タワーミルであってよい。
【0299】
一実施形態では、本発明の方法によって得られる粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、紙を作製又は紙をコーティングする方法で使用するために適しており、MFCが通常使用される場合のその他のプロセス及び材料におけるその他の使用に適しており、その実施例が、以下の「その他の使用」の表題がついている項で詳しく述べられている。
【0300】
本発明の別の態様では、セルロース懸濁液は、無機粒子状材料を使用することなく生成してよい。これらの場合、上及び以下で議論されるように、粉砕媒体を無機粒子状材料の代わりに使用してよい。これに関しては、本発明のセルロース懸濁液の超音波処理は、粘度及び引張り強度特性が向上した、ミクロフィブリル化セルロース含む水性懸濁液を生成することを含み、本方法は、セルロースを含む繊維性基材を水性環境においてミクロフィブリル化しミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させる工程を含み、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を音波処理にかけ、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を生成させることを更に含む。ミクロフィブリル化工程は、粉砕媒体の存在下でセルロースを含む繊維性基材を、粉砕することを更に含み、粉砕媒体は、所望の粒径を有する。粉砕媒体は、ミクロフィブリル化工程後に、部分的に又は完全に取り除いてよい。
【0301】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の超音波処理は、超音波プローブ又は超音波水浴、超音波ホモジナイザー、超音波ホイル又は超音波ホーンで実施してよい。かかる装置の使用は、当業者に既知である。
【0302】
かかるプローブは、当業者に既知である。本明細書の教示を考慮して、当業者は、過度の実験をすることなく適切なパラメーターを認識できる。
【0303】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、音波処理工程前又はその後のいずれかで、1つ以上の高せん断攪拌、均質化又は精製を更に含んでよく、その全てが、当業者によって既知であり、本明細書の教示を考慮して過度な実験をすることなく、本発明の方法に組み込んでよい。
【0304】
本発明の一実施形態では、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の引張り強度は、音波処理にかけていないミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%又は少なくとも200%増加する。
【0305】
本発明の一実施形態では、粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の粘度は、音波処理にかけていないミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%又は少なくとも100%ほど増加する。
【0306】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液を音波処理に少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分及び少なくとも20分以上かける。時間の長さは、本明細書の教示を基準にして当業者によって決定してよい。
【0307】
本発明の一実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、乾燥微細繊維の1トン当たり1000kwhまで、乾燥微細繊維の1トン当たり2500kwh、乾燥微細繊維の1トン当たり5000kwhまで、乾燥微細繊維の1トン当たり10,000kwhまでのエネルギー補償率で音波処理にかけられる。
【0308】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、連続モード若しくはパルスモード又は双方の組合せで超音波処理機にかけることによって超音波処理してよい。すなわち、長パルスと短パルスが交互におこる場合、所望のパターン又はランダムに実施される。
【0309】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液は、音波処理の前に半乾燥生成物へと成形してよい。ベルトプレスされたケーキは、本発明で使用するために適した半乾燥生成物の一例である。例えば、取扱い及び/又は移送の容易さから、生成物を半乾燥生成物に変換させることが多い。出発材料として半乾燥生成物を使用する場合、音波処理によって、材料の物理的特性が向上するだけでなく、溶液への材料の分散が促進される。
【0310】
ミクロフィブリル化セルロースを含む水性懸濁液の音波処理は、1つのパラメーターに関する変化が、物理的及び実用的限界内で別のパラメーターの変化を補い得る場合、特定の又は特有の音波処理パラメーターのいずれも限定されない。例えば、音波処理時間を長くすることによって、減少した振幅に対する少なくとも一部を補ってよい。
【0311】
好ましい実施形態では、音波処理は、使用される超音波処理機の物理的限界までで、60%まで、80%まで、100%まで及び200%まで又はそれ以上の振幅で実施される。使用される特定の装置について振幅の物理的限界は、当業者に既知である。
【0312】
セルロースを含む繊維性基材は、パルプの形態、例えば、化学的パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、機械パルプ、再生パルプ、損紙パルプ、製紙工場の廃棄物流(papermill waste stream)、製紙工場からの廃棄物又はそれらの組合せであってよい。
【0313】
一実施形態では、本発明の方法によって得られる粘度及び引張り強度特性が向上したミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む水性懸濁液は、紙を作製又は紙をコーティングする方法で使用するために適しており、MFCが通常使用される場合のその他のプロセス及び材料におけるその他の使用に適しており、MFCが通常使用される場合のその他のプロセス及び材料におけるその他の使用に適しており、その実施例が、以下の「その他の使用」の表題がついている項で詳しく述べられている。
ミクロフィブリル化セルロース並びにミクロフィブリル化セルロースを含む組成物及び生成物の使用
【0314】
本明細書で開示し、本明細書で開示した方法で作製されるミクロフィブリル化セルロースは、様々な組成物、物品及び生成物で使用してよい。かかる組成物から製造される繊維を含む。
繊維及び布地
【0315】
本明細書で開示したミクロフィブリル化セルロース又は本明細書で開示した任意の方法によって作製されるミクロフィブリル化セルロースは、それらについてすべての実施形態を含み、繊維を作製するために使用してよい。これらの繊維は、例えば、布地、例えば、織物又は不織布を作製するために使用してよい。
【0316】
ミクロフィブリル化セルロースは、1種類以上の無機粒子状材料を含む組成物として任意に利用してよい。
【0317】
無機粒子状材料は、1つ以上の以下の段階で添加してよい。(i)ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造前又は製造中;(ii)ミクロフィブリル化セルロースを含む水性組成物の製造に続いて;(iii)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の脱水中;(iv)ミクロフィブリル化セルロースの水性組成物の乾燥中;及び(v)乾燥した又は少なくも部分的に乾燥したミクロフィブリル化セルロースの再分散前又は再分散中。
【0318】
同時粉砕される混合物中における無機粒子状材料及びセルロースパルプの量は、無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、約0:100~約30:70の比率、又は無機粒子状材料の乾燥重量及びパルプ中の乾燥繊維の量を基準にして、50:50の比率で変えてよい。
【0319】
無機粒子状材料は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウなどの炭酸アルカリ土類金属又は硫酸アルカリ土類金属、カオリン、ハロサイト又はボールクレーなどの含水カンダイトクレー、メタカオリン又は完全に焼成されたカオリンなどの無水(焼成)カンダイトクレー、タルク、マイカ、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、すりガラス、パーライト又は珪藻土又はウォラストナイト又は二酸化チタン又は水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、石灰、グラファイト又はそれらの組合せであってよい。
【0320】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、セッコウ、無水カンダイトクレー、パーライト、珪藻土、ウォラストナイト、水酸化マグネシウム又はアルミニウム三水和物、二酸化チタン又はそれらの組合せを含むか又はそれらである。
【0321】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、表面処理された無機粒子状材料であってよい。例えば、無機粒子状材料は、脂肪酸又はその塩などの疎水化剤で処理してよい。例えば、無機粒子状材料は、ステアリン酸処理炭酸カルシウムであってよい。
【0322】
特定の実施形態では、無機粒子状材料は、任意に例えば、炭酸カルシウムなどの別の無機粒子状材料と組み合わせた、板状鉱物、例えば、カオリン及び/又はタルクであるか又はそれらを含む。
【0323】
ミクロフィブリル化セルロースは、セルロースを含む繊維性基材に由来する。セルロースを含む繊維性基材は、木材、草(例えば、サトウキビ、タケ)又は布きれ(例えば、織物くず、綿、ヘンプ又は亜麻)などの任意の適切な原料に由来してよい。セルロースを含む繊維性基材は、パルプの形態(すなわち、水中におけるセルロース繊維の懸濁液)であってよく、任意の適切な化学的若しくは機械的処理又はそれらの組合せによって製造してよい。例えば、パルプは、化学的パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、機械パルプ、再生パルプ、製紙工場の損紙、製紙工場の廃棄物流(papermill waste stream)、製紙工場からの廃棄物又はそれらの組合せであってよい。セルロースパルプは、当該技術分野においてcmでのカナダ標準形ろ水度(CSF)として報告される任意の所定のろ水度まで、(例えば、Valley beater内で)叩解するか、及び/又はそうでなければ(例えば、コニカル又はプレートリファイナー内における加工で)精製してよい。CSFは、パルプの懸濁液が排水され得る速度によって測定される、パルプのろ水度又は排水速度に対する値を意味する。例えば、セルロースパルプは、ミクロフィブリル化される前に約10cm以上のカナダ標準形ろ水度を有してよい。セルロースのパルプは、約700cm以下、例えば、約650cm以下、約600cm以下、約550cm以下、約500cm以下、約450cm以下、約400cm以下、約350cm以下、約300cm以下、約250cm以下、約200cm以下、約150cm以下、約100cm以下又は約50cm以下のCSFを有してよい。次にセルロースパルプは、当該技術分野において周知の方法によって脱水してよく、例えば、パルプは、少なくとも約10%固形分、例えば少なくとも約15%固形分、少なくとも約20%固形分、少なくとも約30%固形分又は少なくとも約40%固形分を含む湿潤シートを得るためにスクリーンを通してろ過してよい。パルプは、未精製の状態、すなわち叩解若しくは脱水、又は別の方法で、精製なしで利用してよい。
【0324】
ミクロフィブリル化セルロースは、無機粒子状材料を添加してもしなくても、本明細書において既に記載された水性懸濁液として加工済みであろうとなかろうと、又は乾燥されるか若しくは部分的に乾燥されようと、それ自体で使用されるか若しくは使用する前に液体で戻されようと、繊維の製造において(無機粒子状材料を含むか又は含まない、追加の添加剤を含むか又は含まない、ミクロフィブリル化セルロース組成物として使用してよく、かかる繊維で製造される不織布材料製品は、ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料を含むことを当業者によって理解されるであろう。
したがって、本明細書で開示したミクロフィブリル化セルロース又は本明細書で開示した任意の方法によって作製されたミクロフィブリル化セルロースを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる繊維もまた本明細書で開示され、それらについてすべての実施形態を含む。繊維は、例えば、モノフィラメント繊維であってよい。本明細書で開示したミクロフィブリル化セルロース及び1種類以上の無機粒子状材料又は本明細書で開示した任意の方法で作製されたミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含むか、それらから本質的になるか又はそれらからなる繊維もまた本明細書で開示され、それらについてすべての実施形態を含む。繊維は、例えば、モノフィラメント繊維であってよい。
【0325】
少なくとも1種類のポリマー樹脂は、任意の特定の繊維及び/若しくは不織布製品又は用途に対して所望の特性をもたらす従来のポリマー樹脂から選択してよい。少なくとも1種類のポリマー樹脂は、ポリプロピレン及びポリエチレンホモポリマー並びに1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び1-ヘキサンとのコポリマーを含むコポリマーなどのポリオレフィン、;ナイロンなどのポリアミド;ポリエステル;任意の上記ポリマーのコポリマー;並びにそれらのブレンドが挙げられるがこれらに限定されない熱可塑性ポリマーから選択してよい。
【0326】
少なくとも1種類のポリマー樹脂として適切な市販の製品の実施例として、Exxon Mobil Corporationから入手可能のExxon 3155、約30g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー、;Montell USAから入手可能のPF305、約38g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー、;Union Carbideから入手可能のESD47、約38g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー;
Union Carbideから入手可能の6D43、約35g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレン-ポリエチレンコポリマー;Total Petrochemicalsから入手可能のPPH 9099、約25g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー;Total Petrochemicalsから入手可能のPPH 10099、約35g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー;Lyondell Basellから入手可能のMoplen HP 561R、約25g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0327】
ポリマーは、例えば、バイオポリマー(生分解性ポリマー)であってよい。ポリマーは、例えば、水溶性であってよい。
【0328】
生物医学の技術分野における生分解性のある生態適合性ポリマーの実施例として、生分解性の親水性ポリマーが挙げられる。これらには、多糖、タンパク質系高分子、多糖の可溶性誘導体、タンパク質系高分子の可溶性誘導体、ポリペプチド、ポリエステル、ポリオルトエステル等のようなかかる物質が挙げられる。多糖は、ポリ-1,4-グルカン、例えば、デンプングリコーゲン、アミロース及びアミロペクチン等であってよい。生分解性の親水性ポリマーは、加水分解されたアミロペクチン、ヒドロキシエチルデンプン(HES)などの加水分解されたアミロペクチンのヒドロキシアルキル誘導体、ヒドロキシエチルアミラーゼ及びジアルデヒドデンプン等を含むポリ-1,4-グルカンの水溶性誘導体であってよい。タンパク質系高分子及びそれらの可溶性誘導体として、ゲル化生分解性合成ポリペプチド、エラスチン、アルキル化コラーゲン及びアルキル化エラスチン等が挙げられる。生分解性の合成ポリペプチドとして、ポリ-(N-ヒドロキシアルキル)-L-アスパラギン、ポリ-(N-ヒドロキシアルキル)-L-グルタミン、N-ヒドロキシアルキル-L-アスパラギン及びN-ヒドロキシアルキル-L-グルタミンとその他のアミノ酸のコポリマーが挙げられる。推奨されるアミノ酸として、L-アラニン、L-リジン、L-フェニルアラニン、L-ロイシン、L-バリン及びL-チロシン等が挙げられる。
【0329】
繊維は、例えば、約1重量%まで、約2重量%まで、約3重量%まで、約4重量%まで、約5重量%まで、約6重量%まで、約7重量%まで、約8重量%まで、約9重量%まで、約10重量%まで、例えば繊維は、0重量%のポリマーを含んでよい。
【0330】
繊維は、例えば、約100重量%までのミクロフィブリル化セルロースを含んでよい。例えば、繊維は、約99重量%までのミクロフィブリル化セルロース、約98重量%まで、約97重量%まで、約96重量%まで、約95重量%まで、約94重量%まで、約93重量%まで、約92重量%まで、約91重量%まで、約90重量%まで、約80重量%まで、約70重量%まで、約60重量%まで、約50重量%まで又は約40重量%までのミクロフィブリル化セルロースを含んでよい。
【0331】
繊維は、例えば、約60重量%までの無機粒子状材料を含んでよい。例えば、繊維は、約0.1重量%~約50重量%、約0.5重量%~約45重量%、約1重量%~約40重量%、約5重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%の無機粒子状材料を含んでよい。
【0332】
無機粒子状材料の粒径は、本明細書で開示したポリマー繊維に効果的に混合できる無機粒子状材料の最大量に加えて得られた生成物の審美特性及び強度に影響する場合がある。フィラーの粒径分布は、個々の繊維を著しく弱めず、及び/又は繊維の表面を粗くしないように十分に小さいが、審美的に満足のいく表面の質感を生じさせるために十分に大きくてよい。
【0333】
ミクロフィブリル化セルロース及び任意のポリマーに加えて、繊維は、少なくとも1種類の添加剤を更に含んでよい。少なくとも1種類の添加剤は、追加の鉱物フィラー、例えばタルク、セッコウ、珪藻土、カオリン、アタパルジャイト、ベントナイト、モンモリロナイト及びその他の天然又は合成粘土から選択してよい。少なくとも1種類の添加剤は、無機化合物、例えばシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム及び硫酸バリウムから選択してよい。少なくとも1種類の添加剤は、蛍光増白剤類;熱安定剤;酸化防止剤;帯電防止剤;抗ブロック剤;染料;顔料、例えば二酸化チタン;艶向上剤;界面活性剤;天然油;及び合成油からなる群の1つから選択してよい。
【0334】
繊維は、例えば、押出、成形又は堆積によって作製してよい。例えば、繊維は、押出加工された繊維であってよい。例えば、繊維は、押出加工された繊維であってよく、押出加工された繊維を微細化ガス、好ましくは、1つ以上の高温空気流で微細化又は乾燥することによって作製してよい。
【0335】
ミクロフィブリル化セルロース及び任意の添加剤(例えば無機粒子状材料)は、本明細書に記載される方法を使用してポリマーに混合してよい。例えば、ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料を、押出前の任意の工程中、例えば、加熱工程中又はその前に、ポリマー樹脂に添加してよい。
【0336】
別の実施形態では、少なくとも1種類のポリマー及びミクロフィブリル化セルロースの「マスターバッチ」並びに任意に無機粒子状材料を予備混合してよく、任意に粒状又はペレットを形成してよく、繊維の押出前に少なくとも1種類の追加で未使用のポリマー樹脂と混合してよい。追加の未使用ポリマー樹脂は、マスターバッチを作製するために使用されるポリマー樹脂と同一又は異なっていてよい。特定の実施形態では、マスターバッチは、最終的な生成物において所望されるよりも高濃度、例えば、約20~約75重量%の濃度範囲のミクロフィブリル化セルロースを含み、最終繊維生成物において所望の濃度のフィラーを得るために適切な量でポリマーと混合してよい。例えば、約50重量%のミクロフィブリル化セルロースを含むマスターバッチ及び任意に無機粒子状材料を、等量の未使用のポリマー樹脂と混合してよく、約25重量%ミクロフィブリル化セルロースを含む最終生成物が生成する。ミクロフィブリル化セルロース及び任意のポリマーを例えば、混合し、適切な装置を使用してペレット化してよい例えば、ZSK 30 Twin Extruderを使用して、マスターバッチを混合及び押出してよく、Cumberlandペレタイザーを使用して、任意にマスターバッチをペレットに形成してよい。
【0337】
ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料を形成し、追加の任意の、添加剤のいずれかと混合したら、混合物を少なくとも1つの紡糸口金を通して連続的に押出加工して、長いフィラメントを生成させてよい。押出速度は、所望の用途に従って変化させてよい。一実施形態では、押出速度は、約0.3g/分~約2.5g/分の範囲である。別の実施形態では、押出速度は、約0.4g/分~約0.8g/分の範囲である。
【0338】
押出温度もまた、所望の用途に応じて変えてよい。例えば、押出温度は、約100℃までの範囲であってよい。押出装置は、当該技術分野において通常使用される装置、例えば、Reifenhauser製のReicofil 4装置を選択してよい。Reicofil 4の紡糸口金は、例えば、直径が約0.6mmの、長さ1メートル当たり6800の孔を備える。
【0339】
繊維は、例えば、約0.1μm~約1mmの範囲の平均直径を有してよい。例えば、繊維は、約0.5μm~約0.9mm、約0.5μm~約0.8mm、約0.5μm~約0.7mm、約0.5μm~約0.6mm、約0.5μm~約0.5mm、約0.5μm~約0.4mm、約0.5μm~約0.3mm、約0.5μm~約0.2mm又は約0.5μm~約0.1mmの範囲の平均直径を有してよい。繊維は、例えば、約0.1μm~約200μm、約0.1μm~約190μm、約0.1μm~約180μm、約0.1μm~約170μm、約0.1μm~約160μm又は約0.1μm~約150μmの範囲の平均直径を有してよい。例えば、繊維は、約150μm~約200μm又は約150μm~約180μmの範囲の平均直径を有してよい。
【0340】
繊維は、例えば、約0.5μm~約50μm以上の範囲の平均直径を有してよい。例えば、繊維は、約5μmマイクロメートル~約50μm、約10μm~約50μm又は約20μm~約50μmの範囲の直径を有してよい。
【0341】
押出後、フィラメントを微細化してよい。繊維は、例えば、収束した高温空気流によって微細化し、微細な直径の繊維を形成してよい。
【0342】
微細化後、繊維を動くスクリーン又はワイヤーなどの小孔のある表面上に移送し、不織布を形成してよい。次に、緩やかに結合したウェブ又はシートを形成するように、表面に繊維をランダムに堆積させてよく、幾つかの繊維を交差する方向に位置させる。特定の実施形態では、ウェブは、真空力によって小孔のある表面に保持される。この時点で、ウェブは、その坪量によって特徴づけてよく、ウェブの特定領域の重量であり、平方メートル当たりのグラム(gsm又はg/m)で示す。ウェブの坪量は、約10~約55gsmの範囲であってよい。ウェブの坪量約12~約30gsm範囲であってよい。
【0343】
ウェブが形成されると、それは、従来の方法、例えば、溶融及び/又は水流交絡などの交絡方法、スルーエアーボンディング(through-air bonding)によって結合させてよい。例えば、繊維は、(例えば、のこ歯状の針で絡み合わせることによって)機械的に結合してよい。繊維は、例えば、接着剤で結合してよい。
【0344】
繊維は、例えば、スパンレイド繊維であってよい。スパンレイド繊維は、一般に繊維が、紡糸され、不織布ウェブに分散される連続プロセスによって作製される。スパンレイドプロセスの2つの例が、スパンボンディング又はメルトブローである。特に、スパンボンド繊維は、ポリマー樹脂を繊維の形状へ紡糸すること、例えば、樹脂を少なくともその軟化温度に加熱し、樹脂を、紡糸口金を通して押し出して繊維を形成し、繊維を繊維延伸ユニットに移送してスパンレイドウェブの形態で回収することによって製造してよい。メルトブロー繊維は、樹脂を押し出し、高温空気によって樹脂の流れを微細化し、微細な直径を有する繊維を形成し、繊維を回収してスパンレイドウェブを形成することによって製造してよい。
【0345】
スパンレイドプロセスは、少なくとも1種類のポリマー樹脂を、少なくともその軟化点まで、又はミクロフィブリル化ポリマー樹脂の押出に適した任意の温度まで、加熱することによって開始してよい。ミクロフィブリル化セルロース及びポリマー樹脂は、約100℃まで、好ましくは80℃~100℃の範囲の温度まで加熱してよい。
【0346】
スパンボンド繊維は、一般的なスパンボンディング、フラッシュ紡糸、ニードルパンチ及びウォーターパンチプロセスが挙げられるがこれらに限定されない任意の既知の技術によって製造してよい。例示的なスパンボンディングプロセスは、Spunbond Technology Today 2ーOnstream in the 90’(Miller Freeman(1992))、米国特許第3,692,618号(Dorschnerら)、米国特許第3,802,817(Matuskiら)及び米国特許第4,340,563(Appelら)に記載されており、それぞれは、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
【0347】
繊維は、例えば、短繊維であってよい。短繊維は、紡糸によって作製され、所望の長さに切断し、ベールにしてよい。不織布を形成するために短繊維をコンベヤーベルト上に分散させ(例えば、エアーレイイング、ウェットレイイング又はカーディング/クロスラッピングプロセスによって)均一の又は不均一のウェブに広げてよい。
【0348】
繊維は、例えば、フラッシュ紡糸を行ってよい。

不織布
【0349】
不織布は、熱又は圧力を適用して接着剤又は熱可塑性繊維の適用によって結合したパラレルレイドウェブ、パラレルレイドウェブ又はランダムレイドウェブから作製された製品を含む。換言すれば、不織布は、織るか又は編む以外によって製造される布地である。不織布は、粗いものから柔らかいものにわたって製造でき、引き裂いて弱くすることが非常に困難であり得る。
【0350】
ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料並びに/又はその他の添加剤並びにポリマーを含む本発明の繊維を使用して、フェルト化、接着剤結合、熱接着、ステッチボンディング、ニードルパンチング、水流交絡及びスピンレイイング(spin laying)などの様々な技術によって結合し得るウェブを製造できる。ミクロフィブリル化セルロース及び任意に無機粒子状材料並びに/又はその他の添加剤と混ぜ合わせられたポリマーを使用し、結合して不織布を得ることが可能なウェブを形成し得る繊維を製造できる。
【0351】
不織布材料の製造に適した繊維の物理的特性は、当該技術分野において既知である。これらには、例えば、クリンプ、デニール、長さ及び仕上げが挙げられる。繊維のクリンプの量及び物理的性質は、得られた繊維から製造される不織布の必要条件を決定する。これはまた、フィラメントのデニールに対しても当てはまる微細な繊維によって、不織布の高密度、強度及び柔軟性がもたらされる。重いデニールの繊維は、速い製造速度での均一なウェブの製造に役立つ。これらの特性を調節することによって、当業者が、所望の物理的特性を有する不織布材料を製造することが可能になる。
【0352】
繊維の長さは、不織布を製造するために利用されるウェブ形成装置の種類に依存し得る。したがって、当業者は、繊維の長さを調整して、繊維の破損及び不織布の品質並びに製造速度を管理するウェブ形成装置に適合させてよい。
【0353】
本発明の繊維を用いて製造される不織布によって、回収率、耐熱性、堆肥化可能及び生分解性のような特性を調節してよい。
【0354】
本発明の繊維から製造される不織布は、当該技術分野において既知の様々な方法によって結合してよい。結合材は、繊維を不織布に結合する接着剤として作用する。かかる布地は通常、不織布(nonwoven bonded fabric)として称される。したがって、結合材によって、最終的な不織布(nonwoven bonded fabric)の重要な特性が調節される。これらの特性として、例えば、不織布(nonwoven bonded fabric)における結合繊維の親水性又は疎水性によって例示されるように、強度、弾性、取扱い及びドレープ性、堅牢性、並びに化学物質、酸素、光、熱、難燃性及び溶媒に対する耐性が挙げられる。
【0355】
不織布(nonwoven bonded fabric)用の結合材は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載されるプロセスによって作製される、本発明の繊維を結合するために使用してよい。当業者は、合成ラテックスと称されることが多いブタジエンポリマー、時として不飽和ポリマーと称されるアクリル酸ポリマー、及び酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル及び塩化ビニルなどのビニルポリマーのうちから選択してよい。
【0356】
ミクロフィブリル化セルロース並びに任意に無機粒子状材料及び/又はその他の任意の添加剤と混ぜ合わせられたポリマーは、好ましくはポリビニルアルコール(PVA)、コポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルなどの熱可塑性ポリマーであってよい。幾つかの実施形態では、ポリエチレン及びエチレンビニルアセテートを使用してよい。
【0357】
当業者は、柔軟性又は堅さ、接着性、強度、耐久性、剛性、難燃性、親水性/疎水性、化学物質との適合性、表面張力、寸法安定性及び溶媒への耐性を含む不織布における所望の特性を基準にして利用される結合材を選択するであろう。
【0358】
結合後、得られたシートは任意に配向の管理(direction orientation)、クレーピング、水流交絡及び/又はエンボス加工などの様々な後処理プロセスを行ってよい。次に、任意に後処理されたシートを使用して、様々な不織布製品を製造してよい。不織布製品の製造方法は、一般に当該技術分野において、例えば、The Nonwovens Handbook、The Association of the Nonwoven Industry(1988)及びEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、vol.10、John Wiley and Sons(1987)に記載されている。
【0359】
多数の製造プロセスが、繊維からの不織布の製造に関して当該技術分野において既知である。これらには、乾式結合布地、スパンボンド布地及び湿式結合布地が挙げられる。繊維から形成される布ウェブは、湿式レイドウェブと乾式レイドウェブに分割される場合があり、最近では、パラレルレイドウェブ、クロスレイドウェブ及びランダムレイウェブが挙げられる。繊維が、連続的に押出加工されるとき、スパンレイドウェブ及びメルトブローウェブを形成してよい。湿式レイドウェブは、多くの点で製紙プロセスに類似している。
【0360】
任意に無機粒子状材料及び/又はその他の添加剤並びにポリマーを有するミクロフィブリル化セルロース繊維を水などの水性媒体に分散させ、次にワイヤーメッシュ上で形成してよい。これによって、液体をろ過し、ワイヤー上に湿式ウェブを形成することが可能になる。湿式ウェブを硬化する前のフェルトなどの乾燥段階に移送する。かかるプロセスは本質的に連続である。ウェブは通常、任意に無機粒子状材料及び/又はその他の添加剤並びにポリマーを有する、ミクロフィブリル化セルロース繊維のランダムレイド繊維を含むウェブである。複数の湿式レイドウェブは、重なりあって、湿式レイドパラレルレイドウェブを製造してよい。かかる複数の湿式レイドウェブは、製紙用機械で製造できる。
【0361】
乾式レイドウェブは、通常フィラメントの形態で繊維を製造し、次に繊維を開繊、洗浄及び混合することによって製造される。これは通常、カード上で実施されるカーディング工程が続き、更なるプロセス用に繊維のもつれを解く。カードは、ローラー又はクリヤラーカードであってよい。次に、繊維は通常、平行配列、交差状の配列又はランダム状の配列のいずれかで形成される。
【0362】
連続フィラメントウェブは、当該技術分野において既知のスパンレイドウェブ及びメルトブローウェブから形成してよい。スパンレイドウェブは、上述したようにポリマーと混合されたミクロフィブリル化セルロース並びに任意に無機粒子状材料及び/又はその他の任意の、添加剤の組成物から繊維を押出加工することを伴う。組成物は、ガス、好ましくは空気によって、高速で紡糸口金を通して押出加工される。繊維は、例えば、スクリム又はスクリーンドラムを含む様々な支持体の1つに堆積し、ウェブを形成する。次にウェブを結合して不織布(nonwoven bonded fabric)を形成する。
【0363】
あるいは、ミクロフィブリル化セルロース並びに任意の無機粒子状材料及び/又はその他の、任意の添加剤である組成物から繊維を押出加工する繊維は、上述したように、著しく高速のガスフローを除く、スパンレイド繊維に関して記載した方式において、ポリマーと混合した。
【0364】
不織布は、当該技術分野において既知の多数の方式で結合する。これらには、機械的結合、化学的/接着剤結合、熱接着及びスパンレイドウェブの結合が挙げられる。機械的結合は、ニードルパンチング、ステッチボンディング及び水流交絡を使用して達成してよい。化学的結合は、含浸、スプレーボンディング、発泡体の結合又は粉末の適用及びプリント接着に記載される技術を用いてよい。
【0365】
不織布は、おむつ、女性用衛生製品、成人用失禁製品、梱包材料、拭き取り用品、タオル、ダストモップ、工業用衣類、医療用ドレープ、医療用ガウン、フットカバー、殺菌ラップ、テーブルクロス、刷毛、ナプキン、ゴミ袋、様々なパーソナルケア物品、グラウンドカバー及び濾材を作製するために使用してよい。
【0366】
繊維は、例えば、約5GPa~約20GPaの範囲の弾性率を有してよい。例えば、繊維は、約6GPa~約19GPa、約7GPa~約18GPa、約8GPa~約17GPa、約9GPa~約16GPa又は約10GPa~約15GPaの範囲の弾性率を有してよい。ポリマーを含む繊維は、例えば、ポリマーを含まないことを除いて同一である繊維に相当するものより高い弾性率を有してよい。
【0367】
繊維は、例えば、約40MPa~約200MPaの範囲の繊維強度を有してよい。例えば、繊維は、約50MPa~約180MPa、約60MPa~約160MPa、約50MPa~約150MPa、約70MPa~約140MPa、約80MPa~約120MPa又は約80MPa~約100MPaの範囲の繊維強度を有してよい。ポリマーを含む繊維は、例えば、ポリマーを含まないことを除いて同一である繊維に相当するものより高い繊維強度を有してよい。繊維の弾性率及び繊維強度は、張力計を使用して決定してよい。
実施例
実施例1(比較用)
【0368】
85%のミクロフィブリル化セルロース及び15%のカオリン鉱物からなる組成物は、kraftパルプを鉱物と低固形分含有量にて攪拌媒体ミル内で粉砕することによる、本明細書で記載される方法に従って作製した。組成物は、レーザー回折によって測定される以下の粒径分布を有していた(表1)。

【表1】
【0369】
混合物を加圧ろ過によってペーストの粘稠度まで増粘し、次に水を加えて、ミクロフィブリル化セルロースの固形分含有量を8%に調整した。材料を0.5mmの内径のシリンジ針を通して押出加工するために、幾つかの試みがなされたが、針は、それぞれの場合ですぐさま詰まった。

実施例2
【0370】
85%のミクロフィブリル化セルロース及び15%のカオリン鉱物からなる組成物は、kraftパルプを鉱物と低固形分含有量にて攪拌媒体ミル内で粉砕することによる、本明細書で記載される方法に従って作製した。得られた生成物を1000barの圧力で稼働するホモジナイザーに一旦移送した。
組成物は、レーザー回折によって測定される以下の粒径分布を有していた(表2)。
【表2】
【0371】
混合物をペーストの粘稠度まで増粘し、次に水を加えて、ミクロフィブリル化セルロースの固形分含有量を5%~8%の範囲内に調整した。次に得られた混合物を0.5mmの内径のシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。繊維をシリコーン剥離紙上に形成し、空気で乾燥した。乾燥における繊維の収縮は、幾つかの軸方向の収縮(長さの減少)が、観察されたものの、主に放射状に生じた。それぞれ繊維の直径を複数の位置で測定し、平均値をとった。それらの引張り特性をTinius Olsen 張力計を使用して試験した。繊維の特性を以下の表3に示す。
【表3】
実施例3
【0372】
実施例1のミクロフィブリル化セルロースのペーストを様々な水溶性ポリマーの溶液で、表5に示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。使用した水溶性ポリマーを表4に示す。
【表4】
【0373】
次に混合物を0.5mmの内径のシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果を表5に示す。
【表5】

実施例4(押出オリフィスの寸法の減少)
【0374】
実施例1のミクロフィブリル化セルロースのペーストを水又は様々な水溶性ポリマーの溶液のいずれかで、表6に示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。次に混合物を0.34mmの内径のシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果を表6に示す。
【表6】

実施例5(押出オリフィスの寸法の更なる減少)
【0375】
実施例1のミクロフィブリル化セルロースのペーストを水又は様々な水溶性ポリマーの溶液のいずれかで、表7に示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。次に混合物を0.16mmの内径のシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果を表7に示す。
【表7】

実施例6(更なる鉱物の添加)
【0376】
実施例1のミクロフィブリル化セルロースのペーストを水又は様々な水溶性ポリマーの溶液のいずれかで、表8に示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。微細な粉砕炭酸カルシウム鉱物(Intracarb 60、Imerys)その混合物に添加し、鉱物含有量を示す値まで増加した。次に混合物を0.5mmのシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果を表8に示す。
【表8】

実施例7(更なる鉱物の添加及びオリフィス寸法の減少)
【0377】
85%のミクロフィブリル化セルロース及び15%のカオリン鉱物からなる組成物は、kraftパルプを鉱物と低固形分含有量にて攪拌媒体ミル内で粉砕することによる、本明細書で記載される方法に従って作製した。得られた生成物を1100barの圧力で稼働するホモジナイザーに一旦移送した。
【0378】
組成物は、レーザー回折によって測定される以下の粒径分布を有していた(表9)。
【表9】
【0379】
組成物を加圧ろ過によってペーストまで脱水し、次に水又は水溶性ポリマーのいずれかで表10に示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。微細な粉砕炭酸カルシウム鉱物(Intracarb 60、Imerys)その混合物に添加し、鉱物含有量を示す値まで増加した。次に混合物を0.34mmの内径又は0.16mmの内径であるいずれかのシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果を表10に示す。
【表10】

実施例8(鉱物を含まないミクロフィブリル化セルロース)
【0380】
100%のミクロフィブリル化セルロースからなる組成物は、kraftパルプを鉱物と低固形分含有量にて攪拌媒体ミル内で粉砕することによる、本明細書で記載される方法に従って作製した。得られた生成物を1000barの圧力で稼働するホモジナイザーに一旦移送した。
組成物は、レーザー回折によって測定される以下の粒径分布を有していた(表11)。
【表11】
【0381】
組成物を加圧ろ過によってペーストまで脱水し、次に水溶性ポリマーの溶液でエラー! 参照元が見つかりません。を示すミクロフィブリル化セルロース及びポリマーの固形分含有量の範囲まで希釈した。次に混合物を0.5mmの内径のシリンジ針を通して押出加工し、約30cm長の繊維を形成した。乾燥後、繊維の平均直径を測定し、それらを張力計に取り付け、それらの引張り弾性率及び強度を決定した。結果をエラー! 参照元が見つかりません。を示す。
【表12】

実施例9
【0382】
ミクロフィブリル化セルロース及び無機粒子状材料を含む多数の水性組成物は、本明細書の他の場所で詳細に記載される、無機粒子状材料の存在下でBotniaパルプを同時粉砕することによって製造した。それぞれ組成物の特性を表13にまとめる。POPは、「パルプの割合」を意味し、POPは、無機粒子状材料以外のパルプ又は微細繊維試料の乾燥重量の割合である。
【表13】

実施例10
【0383】
添加剤をそれぞれのスラリーに添加し、1分間混合した。混合物を60分間静置し、次にろ過した。得られたろ過ケーキを80℃の実験室用オーブンに乾燥(<1重量%水分)するまで置いた。次に乾燥組成物を実験室用Silversonミキサーで再分散させた(20 POPまで希釈、1分のSilversonによる混合)。
【0384】
それぞれの組成物1~4に異なる添加剤(塩化ナトリウム、グリコール、尿素、カルボキシメチルセルロース、糖及びグアーガム)を各種濃度で添加し、引張指数を決定した。平均結果を表14にまとめる。
【表14】

実施例11
【0385】
これらの試験の目的は、パイロットプラント設備で利用可能なシングルディスクリファイナーを使用して50重量%POP(パルプの割合)炭酸カルシウム/Botniaパルプの高固形分ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物(すなわち、ミクロフィブリル化セルロース対炭酸カルシウムが1:1の重量比)を再分散させる効果を評価することだった。本発明で使用するために適したシングルディスクリファイナーの一例は、Sprout Waldron製である。リファイナーは、12インチ(30cm)のシングルディスクリファイナーだった。ディスクの回転速度は、1320rpmだった。ディスク周速度は、21.07m/sだった。リファイナーディスクのDesign Bar 幅1.5mm;溝幅1.5mm;バーの刃先長さ1.111Km/rev、1320rpm 24.44Km/秒のバーCEL。同等の規格を有するその他の適切なリファイナーは、当業者に既知である。
供給材料
【0386】
ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)のベルトプレスケーキ100kg、及び試験に利用されるミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物を加工及び乾燥するために、材料を乾燥及び摩砕するための高温空気流を導入する能力を有する空気掃引ミル又は乾燥機である、Atritor乾燥機-粉砕機(英国、West Midlands、Coventry、Blue Ribbon Park、12 The Stampings、Atritor Limitedから入手可能)を利用して作製された4種類の異なる供給材料100kgをパイロットプラント設備に移送した。その他の同等のミルは、当業者に既知である。試験で利用される炭酸カルシウム(IC60L)/Botnia高固形分ミクロフィブリル化セルロース生成物の特性を表15に示す。これらのミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物(1:1重量比)は、所定位置でリジェクターアームを備えるAtritor乾燥機を使用して生成し、20Hz(低供給速度)で供給した。
【表15】

試験の概要
【0387】
それぞれ材料を、大型のパルパー内で「湿潤」させ、ペーパーミル操作における典型的な時間/動作を繰り返す。
【0388】
パルプ化した試料を、シングルディスクリファイナーに送り、試料を総乾燥固形分の、0-20-40-60-80-100kWh/t間の範囲の精製エネルギー入力で得た。
結果
【0389】
50重量%POP炭酸カルシウム(IC60)/Botniaパルプ(31重量%固形分)ベルトプレスケーキ
【0390】
最初は、このミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の30.5重量%固形分のベルトプレスされたケーキを、パルパー内において7重量%固形分で15分間再分散させたこの粘稠度は、ポンプで送るには非常に粘稠であり、そのため、材料を水で6重量%固形分まで1重量%ほど希釈した。次にこの材料をリファイナーに送り、試料を様々な作業入力で得た。
【0391】
以下の表16でミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウムを含むベルトプレスされたケーキの特性に関して、シングルディスクリファイナーの効果を示す。入手したそのままの材料に対して引用した値で、Silversonミキサー(MA 01028、East Longmeadow、55 Chestnut St.のSilverson Machines,Inc.)で1分の混合にかけ、1000~2000kWh/tと同等であった。
【表16】
【0392】
ベルトプレスケーキは、6重量%固形分で精製でき、20kWh/tの入力後、FLT指数が、元に戻ったことがわかる。FLT指数は、ミクロフィブリル化セルロース及び再分散したミクロフィブリル化セルロースの品質を評価するために開発された引張り試験である。試験材料のPOPは、どちらにせよ、ミクロフィブリル化セルロース/無機材料複合材料の生成物内で使用する無機粒子を添加することによって、20%まで調整する。(無機粒子を含まないミクロフィブリル化セルロースについては、次に60重量%の<2umGCC炭酸カルシウムを使用する)。220gsm(g/m)のシートを、特注のろ過装置を使用してこの材料から形成する。得られたシートを調整し、その引張り強度を工業規格の引張試験機を使用して測定した。100kWh/tまでのエネルギー入力は、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物のFLT指数及び粘度の双方を改善できる。1以下の「ニブカウント(nib count)」は許容でき、紙シートの良好な形成を示唆する。当業者に既知であるように、ニブカウント(nib count)は、汚れ計測試験であり(例えばTAPPI汚れ計測試験を参照のこと)、ミクロフィブリル化セルロースが、完全に再分散したことを示す。この場合、FLT指数を測定するために形成されたシートは、破壊される引張り試験の前にライトボックスを使用してニブカウント(nib counting)にかける。低いニブカウント(nib count)は、任意の水性用途における良好な再分散性を示す。
【0393】
表17は、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物の粒径に関して有するシングルディスクリファイナーの効果を示す。粒径分布(「PSD」)を、品質管理された実験設備にある、Malvern Insitec(英国、WR14 1XZ、Malvern、Grovewood Road、Enigma Business ParkのMalvern Instruments Ltd)で測定した。

【表17】
【0394】
PSD値からシングルディスクリファイナーが、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物の粗い粒子を減少させるのに非常に効果的であることがわかる。
【0395】
50重量%POP炭酸カルシウム(IC60)/Botniaパルプのミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)をAtritor乾燥機内で乾燥した(51.4重量%固形分)。
【0396】
Atritor乾燥機を利用して乾燥した、この51.4重量%で1:1の重量比のミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム生成物をパルパー内において7重量%固形分で再分散させた。材料の低粘度によって、それをポンプで送ることが容易にできた。次にこの材料をリファイナーに送り、試料を様々な作業入力で得た。
【0397】
以下の表17は、51.4重量%のミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物の特性に関するシングルディスクリファイナーの効果を示す。入手したそのままの材料に対して引用した値で、Silversonミキサーを用いて1分の混合にかけ、1000~2000kWh/tと同等であった。

【表18】
【0398】
Atritor乾燥機内で乾燥されたこの51.4重量%の乾燥組成物は、60kWh/tを使用して再分散でき、特性は、エネルギー入力が増加するにつれ更に改善するこの材料では、粘度及びFLT指数が回復し、並びにベルトプレスされたケーキに類似した比較的低いニブカウント(nib count)を有する。
【0399】
表18は、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の粒径に関して有するシングルディスクリファイナーの効果を示す。

【表19】
【0400】
PSD値からシングルディスクリファイナーが、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウムが1:1の重量比である組成物の粗い粒子を減少させるのに非常に効果的であることがわかる。
【0401】
50重量%POP炭酸カルシウム(IC60)/Botniaパルプのミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウムが1:1の重量比の組成物をAtritor乾燥機内で乾燥した(58.1重量%固形分)。
【0402】
この58.1重量%固形分のミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物を7、8及び9重量%の固形分で評価した。これに対する理由としては、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウムを含む組成物の粘稠度が「薄く」なりすぎ、リファイナーの金属ディスクがそれ自身でこすれあったため、高エネルギー入力が達成できなかったことにある。以下の表19は、3つの異なる固形分含有量における生成物の全ての特性を示す。入手したそのままの材料及び0kWh/tに対して引用した値で、Silversonミキサーで1分の混合にかけ、1000~2000kWh/tと同等であった。
【表20】
【0403】
58.1重量%の、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物は、7、8及び9重量%固形分で完全に再分散できる。それぞれ粘稠度において、粘度及びニブカウント(nib count)に加えて、対照のFLTを超えた。9重量%固形分において、最も優れた増大が達成される。
【0404】
表20は、3つの固形分含有量の水準全てにおいて、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の粒径に関して有するシングルディスクリファイナーの効果を示す。
【0405】
重ねて、PSDデータは、3つの粘稠度全てにおける、粗いパルプの寸法の変更に関して、シングルディスクリファイナーの有効性を示す。
【表21】
【0406】
50重量%POP炭酸カルシウム(IC60)/Botniaパルプのミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム組成物をAtritor乾燥機内で乾燥した(70.1重量%固形分)。
【0407】
それぞれ作業入力における、この70.1重量%固形分のミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)組成物について表21に示す。入手したそのままの材料及び0kWh/tに対して引用した値で、Silversonミキサーで1分の混合にかけ、1000~2000kWh/tと同等であった。
【表22】
【0408】
重ねて、シングルディスクリファイナーは、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む乾燥組成物を再分散させるのに、Silversonミキサーの使用と比較して、はるかに効果的であることがわかる。100kWh/tのエネルギー入力で、特性がベルトプレスされたケーキに類似する程度まで、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)含む組成物を再分散させた。
【0409】
表22は、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の粒径に関して有するシングルディスクリファイナーの効果を示し、重ねて、リファイナーが、非常に効果的であることを示す。
【表23】
【0410】
50重量%POP炭酸カルシウム(IC60)/Botniaパルプのミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物をAtritor乾燥機内で乾燥した(86.2重量%固形分)。
【0411】
86.2重量%の固形分の、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物のこの材料を非常に乾燥しているとみなし、そのため組成物を残りの材料(0.2J/mの強度)と同一条件下で、のみならず0.1J/mの強度で精製した。0.1J/mは、強度が高くなく、そのため、所望の作業入力を達成するまでより長くかかった。表23を参照。
【0412】
入手したそのままの材料及び0kWh/tに対して引用した値で、Silversonミキサーで1分の混合にかけ、1000~2000kWh/tと同等であった。
【表24】
【0413】
これらの結果は、この非常に高固形分の、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物は、再分散でき、100kWh/tを使用したベルトプレスされたケーキと同一の特性に戻ることを示す。次に、強度を変化させる場合、特性は、80kWh/tより少ないエネルギーを使用して元に戻ることができる。
【0414】
表24は、双方の強度における、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の粒径に関して有するシングルディスクリファイナーの効果を示す。

【表25】
【0415】
図1は、上記検討によるFLTデータをまとめている。データは、試験した全ての試料において対照のFLTを達成でき、中間の固形分生成物において対照のFLTを超えることができることを示している。

6.精製した生成物の更なる加工
【0416】
パイロットプラント設備で生成された多数の生成物に関して、追加のエネルギー、をSilversonミキサーを介して試料に加えた。これらの実験は、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物の物理的特性が追加のエネルギーで改善するかどうかを調査するために行った。以下の表にわかったことを示す(表25)。
【0417】
結果は混在していることがわかる。幾つかの場合は、FLT指数が増加しており、その他ではない。


【表26】
結果
【0418】
結果を示す。;
・パイロットプラント設備におけるシングルディスクリファイナーは、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物を再分散させる非常に効果的な方法である。
・86重量%の固形分まで乾燥されたミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)を含む組成物は、再分散し、その元々の強度特性を達成できる。
・強度の向上が達成できる。
・シングルディスクリファイナーによって、その他の評価された方法よりも低いエネルギー入力を使用して、再分散が達成される。
・固形分含有量は、生成するときに非常に重要であり、全ての試料に対して最適化するべきである。
・リファイナーの強度を低くすることによって結果が改善される。
・シングルディスクリファイナーは、ミクロフィブリル化セルロース及び炭酸カルシウム(1:1重量比)含む組成物のPSDを変更させるのに非常に効果的である。
MFCの超音波処理
実施例12
【0419】
様々なFiberLean(登録商標)のMFC製品の形態に関する超音波浴の効果
第一の検討は、様々なFiberLean(登録商標)のMFC製品の形態に関する、実験室用FisherブランドFB11005超音波水浴の使用効果を調査することだった。FiberLean(登録商標)のMFCは、スラリー、ベルトプレスされたケーキ及び高固形分で乾燥した50重量%固形分の生成物の形態における、50 POP IC60/Botnia混合物だった。試料を希釈して、6.25重量%の固形分で、20%POP(パルプの割合:POP又はパルプの割合は、無機粒子状材料以外の、パルプ又は微細繊維である試料の乾燥重量での比率である)懸濁液を作成した。それぞれ試料を、様々な回数で超音波浴内にさらし、次に、実験室用Silversonミキサーに7500rpmで1分さらし、;その後、FLT(Nm/g:引張り強度の測定)及び粘度の測定を行った。
【0420】
FLT指数は、ミクロフィブリル化セルロース及び再分散したミクロフィブリル化セルロースの品質評価するために開発された引張り試験である。試験材料のPOPは、どちらにせよ、ミクロフィブリル化セルロース/無機材料複合材料の生成物内で使用する無機粒子を添加することによって、20%まで調整する。(無機粒子を含まないミクロフィブリル化セルロースについては、次に60重量%の<2umGCC炭酸カルシウムを使用する)。220gsmのシートを、特注のろ過装置を使用して、この材料から形成する。得られたシートを調整し、その引張り強度を工業規格の引張試験機を使用して測定した。
【0421】
図2は、示す。FiberLean(登録商標)のMFCスラリーの粘度に関する効果を最初の5分内で、粘度についてわずかな増加が観察されたことがわかる。表26~29は、超音波浴処理後における、FiberLean(登録商標)のMFCの強度特性を示す。FLT指数方法によって測定した材料の強度は、劇的に変化しなかったことがわかる。FiberLean(登録商標)のMFCを再分散させるための、又は品質を改善するための超音波浴の使用は、推奨されない。低いパワー入力では、粘度にわずかに影響する以外は、強度特性に影響しない。

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

実施例13
FiberLean(登録商標)のMFCスラリーに関する超音波プローブの効果
【0422】
この実験は、超音波プローブが、FiberLean(登録商標)のMFCスラリーに関して有する効果を調査するために行った。Imerys Par Moor Centre内で使用した超音波プローブは、「Probe horn CV33」を有する「Sonics Vibracell VCX500 500 Watt model」であり、粒径の測定前に鉱物スラリーを分散させるために使用する。プローブ(Horn)は、この実験及び更なる実験に対して、100%までで動作する以外は、特に40%の振幅で動作するように設計されている。
【0423】
総固形分含有量が1.7重量%の50% POP IC60/Botniaスラリーを20% POP とIC60カーボネート(70重量%固形分)のスラリーに希釈した。これによって、試料の総固形分が4.24重量%になった。
【0424】
超音波プローブをスラリーに浸漬し、様々な回数で様々な振幅の超音波にかけた。図3及び4では、FLT指数(Nm/g:引張り強度の測定)及び粘度の増加が際立つ。図では、高い振幅になれば、引張り強度の増加も大きいことがわかる。100%振幅において、元のスラリーと比較して、FLT指数の20%の増加が、30秒以内で達成できる。元のスラリーと比較して、適用された超音波の2分以内で、33%の増加が、達成できる。65%の減少した振幅において、FLT指数の増加は、供給スラリーと比較して、超音波の2分後に14%だった。
実施例14
FiberLean(登録商標)のMFCスラリーに関するパルス超音波の効果
【0425】
超音波プローブは、連続モード又はパルスモードで操作できる。この実験は、この効果す考察さるために行った。FiberLean(登録商標)のMFCスラリーを上記、実施例13のように製造し、パルス超音波にかけた。図5は、FLT指数が、パルスモード操作を使用して増加できることを示す。FiberLean(登録商標)MFCの品質を向上させるための、超音波プローブの使用は、推奨される。FiberLean(登録商標)のMFCスラリーにおける特性の著しい増加は、好ましくは高振幅及び連続モードの操作を使用して達成できる。
実施例15
FiberLean(登録商標)のMFCスラリーにおける、超音波の有効性に関するセラミック粉砕媒体の効果
【0426】
FiberLean(登録商標)のMFC生成物の製造は、セラミック粉砕媒体の存在下でセルロース及び鉱物の湿式摩砕粉砕によって達成する。この実験は、幾つかのセラミック粉砕媒体の存在下で超音波プロセスの効果を調査するために行った。上記、実施例13及び14で製造される、FiberLean(登録商標)のMFCスラリーを、10種類のセラミック粉砕媒体ビーズ(約3mmの寸法)でドープした。この材料を様々なエネルギー入力で100%振幅にさらした。図6は、試料における媒体の存在が、FLT指数の増加に有害な影響を与えないことを示す。セラミック粉砕媒体の存在は、これらの条件のもとでFiberLean(登録商標)のMFCスラリーの超音波による加工に影響しない。
実施例16
FiberLean(登録商標)のMFCで50%POPのベルトプレスされたケーキに関する超音波プローブの効果
【0427】
Trebalにおいて製造された50%POPのIC60/Botniaベルトプレスケーキは、次の検討用の供給材料だった。ベルトプレスされたケーキを、IC60カーボネートスラリーを使用して、20%POP、6.25重量%固形分に希釈した。試料を作製し、
i)Silversonミキサーでの、1分の高せん断攪拌:対照
ii)様々な回数で100%振幅の超音波にかけた。
図7は、ベルトプレスされたケーキは、超音波プローブを使用して水中で再分散でき、対照のFLT指数に達し、上回ることができることを示す。
実施例17
FiberLean(登録商標)のMFCで鉱物を含まないベルトプレスされたケーキに関する超音波プローブの効果
【0428】
ベルトプレスされたケーキの再分散を更に調査するために、鉱物を含まないバージョンを評価した。ベルトプレスされたケーキを、IC60カーボネートスラリーを使用して、20%POP、6.25重量%固形分に希釈した。試料を作製し、
i)Silversonミキサーでの、1分の高せん断攪拌:対照
ii)様々な回数で100%振幅の超音波にかけた。
重ねて、図8では、超音波のみによって、高せん断混合を用いて製造される試料の特性が達成できることが際立つ。超音波で混ぜ合わせられる高せん断混合によって、引張り強度を改善できる。
実施例17
60重量%の高固形分で、乾燥したFiberLean(登録商標)のMFCに関する超音波プローブの効果
【0429】
ベルトプレスされたケーキの乾燥によって製造された生成物の開発について、超音波を使用して評価した。この50%POPのIC60/Botnia60重量%固形分の材料は、9Nm/gのFLT指数を達成するために3~4分の高せん断であるSilversonの混合を必要とする。
この検討によって、
i)高エネルギー混合に先行して行われる超音波の使用
ii)FLT値を向上させるために追加で行われる超音波の使用を調査した。
図9は、超音波エネルギーの効果について、高せん断混合後の使用が、より効果的であることを示す。図10は、高せん断混合及び超音波を組み合わせることが、有益であることを示す。超音波を使用することは、高せん断混合を用いるか又はそれを用いないいずれかで、乾燥したFiberLean(登録商標)のMFC生成物を再分散させるために効果的な方法である。
実施例5~10の結果は、MFC生成物に超音波処理を加えることによる、少なくとも以下の予想外の結果を示す。
・MFCスラリーの特性(例えば、FiberLean(登録商標)のMFCの特性)は、好ましくはプローブ又は超音波水浴によって適用したとき、超音波処理によって大幅に向上できる。
・高振幅によって、高FLT指数が得られる。
・MFCスラリー(例えば、FiberLean(登録商標)のMFCの特性)内のセラミックの混入は、スラリー特性に有利に影響する、超音波の性能に有害な影響を与えない。
・MFCのベルトプレスケーキ(例えば、FiberLean(登録商標)のMFCのプレスケーキ)は、それを再分散させる方法として、超音波の影響を受けやすい。
・超音波によって、高せん断による再分散に置き換わるか又は手順を向上させることのいずれかができる。
・高固形分含有量の材料は、超音波を使用して再分散できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10