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特開2022-115951気管支拡張症の処置のための特定の(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-フェニルエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115951
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】気管支拡張症の処置のための特定の(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-フェニルエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/553 20060101AFI20220802BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K31/553
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075836
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2019504932の分割
【原出願日】2017-07-28
(31)【優先権主張番号】62/368,400
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513204012
【氏名又は名称】インスメッド インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ライニルド・ヘイルマン
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・サリバン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ローランド・レン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・コノリー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・スワロウ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】気管支拡張症、例えば非嚢胞性線維症気管支拡張症を処置する方法を提供する。
【解決手段】ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)活性を阻害する式(I)で示される特定の(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-フェニルエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド化合物(それらの薬学的に許容される塩を含む)の有効量を含む組成物を用いて、気管支拡張症、例えば非嚢胞性線維症気管支拡張症を処置する方法に関する。本明細書で提供される方法は、予防、患者における肺機能の増大、および/またはおよび/または患者における肺増悪率の低下に有用である。一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドである。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管支拡張症の処置を必要とする患者における気管支拡張症を処置するための方法であって、該患者に、式(I):
【化1】
[式中、
1は、
【化2】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成し;
6は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
1が、
【化3】
である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
XがOであり;R6がC1-3アルキルであり;R7が水素である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
式(I)で示される化合物が、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
4'-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イル・メタンスルホン酸塩;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3',4'-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-2-(4'-カルバモイル-3'-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4'-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;または
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
およびその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
式(I)で示される化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
式(I)で示される化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
組成物が、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体を含む、請求項1~6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
投与が、経口投与を含む、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
患者への投与が1日1回行われる、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
患者への投与が1日2回行われる、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
患者への投与が1日おきに行われる、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
患者への投与が2日おきに行われる、請求項1~8いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
処置することが、非処置の気管支拡張症患者と比較して、最初の肺増悪までの時間の長さを増加させることを含む、請求項1~12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
増加させることが、約1日間、約3日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間または約6週間増加させることを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
増加させることが、約20日間~約100日間、または約30日間~約100日間、または約20日間~約75日間、または約20日間~約50日間、または約20日間~約40日間増加させることを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
処置することが、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪率を低下させることを含む、請求項1~15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
率が、約1週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間、約9か月間、約12か月間、約15か月間、約18か月間、約21か月間または約24か月間にわたって算出される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
患者における肺増悪率が、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%または約50%低下する、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
患者における肺増悪率が、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%低下する、請求項16または17記載の方法。
【請求項20】
処置することが、処置前に患者が経験した肺増悪の期間と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪の期間を減少させることを含む、請求項1~19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
肺増悪期間減少が、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、または少なくとも約168時間の期間減少である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
肺増悪期間減少が、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の期間減少である、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
肺増悪が、患者が少なくとも48時間示す下記の症状のうち3つ以上によって特徴付けられる、請求項13~22いずれか1項記載の方法:(1)咳の増加;(2)痰の量の増加または痰のコンシステンシーの変化;(3)痰の化膿性の増加;(4)息切れの増加および/または運動耐性の低下;(5)疲労および/または倦怠感;(6)喀血。
【請求項24】
処置することが、処置前の患者の肺機能と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺機能を改善することを含む、請求項1~23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
肺機能の改善が、1秒量(forced expiratory volume in one second)(FEV1)の増加である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
FEV1の増加が、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%の増加である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
FEV1の増加が、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%または少なくとも約50%の増加である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
FEV1の増加が、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%または約25%~約50%の増加である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
FEV1の増加が、少なくとも約5%の増加である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
FEV1の増加が、約5%~約50%、または約10%~約50%、または約15%~約50%である、請求項25記載の方法。
【請求項31】
FEV1の増加が、約25mL~約500mLの増加である、請求項25~30いずれか1項記載の方法。
【請求項32】
FEV1の増加が、約25mL~約250mLである、請求項25~30いずれか1項記載の方法。
【請求項33】
患者における肺機能の改善が、処置前の患者の肺機能と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの努力肺活量(FVC)の増加である、請求項24記載の方法。
【請求項34】
FVCの増加が、処置前の患者のFVCと比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの、約1%の増加、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%または約90%の増加である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
処置することが、処置前の患者のQOLと比較して、患者の生活の質(QOL)を改善することを含む、請求項1~34いずれか1項記載の方法。
【請求項36】
QOLが、生活の質-気管支拡張症(QOL-B)質問票によって評価される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
QOLが、レスター咳質問票(LCQ)によって評価される、請求項35記載の方法。
【請求項38】
QOLが、セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)によって評価される、請求項35記載の方法。
【請求項39】
処置することが、処置前の活性NE痰濃度と比較して、患者における活性好中球エラスターゼ(NE)痰濃度を減少させることを含む、請求項1~38いずれか1項記載の方法。
【請求項40】
活性NE痰濃度を減少させることが、約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%減少させることを含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
活性NE痰濃度を減少させることが、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少させることを含む、請求項39記載の方法。
【請求項42】
処置することが、患者の痰の色が、マレー(Murray)の痰カラーチャートによって測定したとき、処置前の患者の痰の色と比較して、明るくなることを含む、請求項1~41いずれか1項記載の方法。
【請求項43】
患者の痰の色が薄くなることが、患者の痰の色が1階調明るくなることを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
患者の痰の色が明るくなることが、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)へ明るくなることを含む、請求項42または43記載の方法。
【請求項45】
患者の痰の色が明るくなることが、粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)から粘液性(透明)へ明るくなることを含む、請求項42または43記載の方法。
【請求項46】
患者の痰の色が明るくなることが、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液性(透明)へ明るくなることを含む、請求項42記載の方法。
【請求項47】
患者が肺感染症を呈する、請求項1~46いずれか1項記載の方法。
【請求項48】
肺感染症がマイコバクテリア感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
マイコバクテリア感染症が、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
マイコバクテリア感染症が非結核性抗酸菌(NTM)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項51】
NTM感染症が、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウム・サブスピーシス・ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、マイコバクテリウム・アブセサス(M. abscessus)、マイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae)、マイコバクテリウム・ボルレティイ(M. bolletii)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ウルセランス(M. ulcerans)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare))、マイコバクテリウム・コンスピクム(M. conspicuum)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ペレグリヌム(M. peregrinum)、マイコバクテリウム・イムノゲヌム(M. immunogenum)、マイコバクテリウム・ゼノピ(M. xenopi)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・マルモエンス(M. malmoense)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・ムコゲニクム(M. mucogenicum)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、マイコバクテリウム・シミアエ(M. simiae)、マイコバクテリウム・スメグマチス(M. smegmatis)、マイコバクテリウム・ツルガイ(M. szulgai)、マイコバクテリウム・テラエ(M. terrae)、マイコバクテリウム・テラエコンプレックス(M. terrae complex)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M. haemophilum)、マイコバクテリウム・ゲナベンス(M. genavense)、マイコバクテリウム・アジアチクム(M. asiaticum)、マイコバクテリウム・シモイデイ(M. shimoidei)、マイコバクテリウム・ゴルドナエ(M. gordonae)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・トリプレックス(M. triplex)、マイコバクテリウム・レンチフラバム(M. lentiflavum)、マイコバクテリウム・セラツム(M. celatum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)とマイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae))またはこれらの組合せである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
肺感染症がマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare))感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項53】
肺感染症がヘモフィルス・エンフルエンザエ(Haemophilus influenzae)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項54】
肺感染症がシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項55】
肺感染症がストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項56】
肺感染症がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項57】
肺感染症が、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)感染症である、請求項47記載の方法。
【請求項58】
患者が非嚢胞性線維症(CF)気管支拡張症患者である、請求項1~57いずれか1項記載の方法。
【請求項59】
処置することが予防を含む、請求項1~58いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/368,400号に基づく優先権を主張する(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)。
【背景技術】
【0002】
気管支拡張症は、異常な粘液産生によって引き起こされる閉塞性の呼吸につながり得る気管支および細気管支の限局性の不可逆的拡張によって特徴付けられる。気管支拡張症の症状としては、典型的には、慢性の乾性咳または湿性咳が挙げられる。他の症状としては、息切れ、喀血および胸痛が挙げられる。喘鳴およびばち爪が生じることもある。当該疾患を有する人は、しばしば、頻繁に肺感染症にかかる。
【0003】
気管支拡張症は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群および嚢胞性線維症(CF)とともに、大規模な炎症反応に起因する重度の肺機能障害のすべての病態(condition)である。これらの炎症性肺疾患の組織学的特徴は、肺の間質および肺胞における好中球の蓄積である。好中球活性化は、活性酸素種およびプロテアーゼ(セリン、システインおよびメタロプロテアーゼ)を含む複数の細胞傷害性産物の放出をもたらす。
【0004】
気管支拡張症の患者は、平均1.5~6回/年の範囲で肺増悪(pulmonary exacerbation)を経験する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。現在、気管支拡張症の標準治療(SOC)薬理学的治療はない。治療の主な目的は、根本的な原因を治療し、疾患の進行を防ぎ、肺機能を維持または改善し、症状および生活の質を改善することである。
【0005】
本発明は、例えば非嚢胞性線維症患者における、気管支拡張症の治療に有効な治療法の必要性に取り組む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Goeminne et al. Respir Med. 2014;108(2):287-96
【非特許文献2】Kelly et al. Eur J Intern Med 2003; 14(8):488-92
【非特許文献3】Chalmers et al. Am J Respir Crit Care Med. 2014; 189(5):576-85
【発明の概要】
【0007】
一の態様において、気管支拡張症患者を処置するための方法が提供される。該方法は、一の実施態様において、該処置を必要とする患者に、式(I):
【化1】
[式中、
1は、
【化2】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成し;
6は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物、または式(I)で示される化合物の薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0008】
一の実施態様における気管支拡張症患者は、嚢胞性線維症患者に存在する。別の実施態様において、本明細書で提供される方法のうちの1つで処置される患者は、嚢胞性線維症に罹っていない(本明細書では「非CF気管支拡張症」と称する)。
【0009】
気管支拡張症の処置を必要とする患者における気管支拡張症を処置するための方法の一の実施態様において、医薬組成物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【化3】
またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む。
【0010】
当該方法の一の実施態様において、患者は、該組成物の投与を1日1回受ける。別の実施態様において、患者は、該組成物の投与を1日2回、または1日おき、または週1回受ける。投与は、一の実施態様において、経口経路による。
【0011】
気管支拡張症を処置するための方法の一の実施態様において、処置することとは、非処置の気管支拡張症患者と比較して、最初の肺増悪までの時間の長さを増加させることを含む。さらなる実施態様において、この増加させることとは、約1日、約3日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間もしくは約6週間増加させること、または少なくとも約1日、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間もしくは少なくとも約6週間増加させることを含む。別の実施態様において、この増加させることとは、約20日間~約100日間、または約30日間~約100日間、または約20日間~約75日間、または約20日間~約50日間、または約20日間~約40日間増加させることを含む。
【0012】
気管支拡張症を処置するための方法の別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。処置することとは、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪率を低下させることを含む。さらなる実施態様において、該率は、約1週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間、約9か月間、約12か月間、約15か月間、約18か月間、約21か月間または約24か月間にわたって算出される。さらなる実施態様において、患者における肺増悪率は、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%または約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約70%低下する。
【0013】
気管支拡張症を処置するための方法の別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。この実施態様において、処置することとは、処置前に患者が経験した肺増悪の期間と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪の期間を減少させることを含む。さらなる実施態様において、肺増悪期間減少は、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約120時間、少なくとも約144時間、または少なくとも約168時間の期間減少である。別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の期間減少である。さらに別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約1日~約1週間、約2日間~約1週間、約3日間~約1週間、約4日間~約1週間、約5日間~約1週間、または約6日間~約1週間の期間減少である。さらに別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約1日~約2週間、約2日間~約2週間、約4日間~約2週間、約6日間~約2週間、約8日間~約2週間、または約10日間~約2週間の期間減少である。
【0014】
気管支拡張症を処置するための方法の別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。この実施態様において、処置することとは、処置前の患者の肺機能と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺機能を改善することを含む。
【0015】
一の実施態様において、肺機能の改善は、処置前の患者のFEV1と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの、1秒量(forced expiratory volume in one second)(FEV1)の増加である。さらなる実施態様において、FEV1の増加は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%の増加である。別の実施態様において、FEV1の増加は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%の増加である。さらに別の実施態様において、FEV1の増加は、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%、または約25%~約50%の増加である。さらに別の実施態様において、FEV1の増加は、約25mL~約500mL、または約25mL~約250mLの増加である。
【0016】
別の実施態様において、患者における肺機能の改善は、処置前の患者の肺機能と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの、努力肺活量(forced vital capacity)(FVC)の増加である。さらなる実施態様において、FVCの増加は、処置前の患者のFVCと比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約1%の増加、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%または約90%の増加である。
【0017】
気管支拡張症を処置するための方法の別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。処置することとは、処置前の患者の生活の質(QOL)と比較して、患者のQOLを改善することを含む。QOLは、レスター咳質問票(Leicester Cough Questionnaire)(LCQ)、セントジョージ呼吸器質問票(St. George's Respiratory Questionnaire)(SGRQ)、または生活の質-気管支拡張症(QOL-B)質問票によって評価される。
【0018】
気管支拡張症を処置するための方法のさらに別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。この実施態様において、処置することとは、処置前の活性NE痰濃度と比較して、患者における活性好中球エラスターゼ(NE)の痰濃度を減少させることを含む。さらなる実施態様において、活性NE痰濃度を減少させることとは、約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%減少させることを含む。別の実施態様において、本明細書で提供される方法のうちの1つにより処置される患者は、非処置の患者と比較して、NE痰濃度が低い。さらなる実施態様において、活性NE痰濃度は、非処置患者の活性NE濃度よりも約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%低い。
【0019】
気管支拡張症を処置するための方法のさらに別の実施態様において、処置を必要とする患者は、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を受ける。この実施態様において、処置することとは、マレー(Murray)の痰カラーチャートによって測定したとき、患者の痰の色が、処置前の患者の痰の色と比較して、明るくなることを含む。さらなる実施態様において、患者の痰の色が明るくなることとは、患者の痰の色が1階調明るくなることを含む。さらなる実施態様において、明るくなることとは、化膿性(暗黄色(dark yellow)および/または深緑色(dark green))から粘液膿性(淡黄色(pale yellow)および/または淡緑色(pale green))へである。別の実施態様において、明るくなることとは、粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)から粘液性(透明)へである。さらに別の実施態様において、明るくなることとは、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液性(透明)へである。
【0020】
発明の詳細な説明
好中球は、4つの主要なタイプの顆粒:(i)アズール親和性顆粒または一次顆粒、(ii)特異顆粒または二次顆粒、(iii)ゼラチナーゼまたは三次顆粒、および(iv)分泌顆粒を含む。アズール親和性顆粒は、骨髄中での好中球成熟の間に最初に形成されると考えられ、関連する好中球セリンプロテアーゼ(NSP):好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3およびカテプシンGの発現によって特徴付けられる。リソソームシステインジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)は、アズール親和性顆粒構築の間それらの前駆体からN末端ジペプチド配列を除去することによってこれら3つのNSPを活性化するプロテイナーゼである(Pham et al. (2004). J Immunol. 173(12), pp. 7277-7281)。DPP1は、組織において幅広く発現するが、好中球のような造血系統の細胞において高発現する。
【0021】
炎症性サイト(inflammatory sight)で好中球が活性化すると細胞外環境に豊富に分泌されるこれら3つのNSPは、ファゴリソソーム内部での貪食された微生物の分解を助けるために活性酸素種と組み合わせて作用すると考えられている。放出されたプロテアーゼの一部は原形質膜の外表面にて活性形態で結合したままであるので、可溶性NSPおよび膜結合型NSPは両者とも、ケモカイン、サイトカイン、増殖因子および細胞表面受容体などの種々の生体分子の活性を調節することができる。調節は、個々の生体分子を活性形態に変換することによって、またはタンパク質分解的切断により生体分子を分解することによって生じると考えられる。分泌されたプロテアーゼは、粘液分泌を刺激し、粘液線毛クリアランスを阻害することができるが、リンパ球を活性化し、アポトーシス分子および接着分子を切断することもできる(Bank and Ansorge (2001). J Leukoc Biol. 69, pp. 197-206;Pham (2006). Nat Rev Immunol. 6, pp. 541-550;Meyer-Hoffert (2009). Front Biosci. 14, pp. 3409-3418;Voynow et al. (2004). Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 287, pp. L1293-302(各記載内容は、全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0022】
プロテアーゼと抗プロテアーゼとの生理学的バランスは、肺の結合組織の維持に必要である。例えば、プロテアーゼが有利な不均衡は、肺損傷を引き起こすことがある(Umeki et al. (1988). Am J Med Sci. 296, pp. 103-106;Tetley (1993). Thorax 48, pp. 560-565(各記載内容は、全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0023】
本明細書で提供される方法は、DPP1の可逆性阻害剤を使用する。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で提供される方法によって投与された式(I)で示される化合物は、炎症および粘液分泌過多を減少させることにより有益な効果をもたらし、これは次に気管支拡張症患者における、肺増悪の減少、肺増悪率の低下、ならびに/または咳、痰産生および/もしくは肺機能の改善(例えば、1秒量[FEV1])を引き起こすと考えられる。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で提供される方法は、肺機能低下および/または肺組織破壊の加速速度を低下させることによって気管支拡張症進行を改変すると考えられる。
【0024】
本明細書において基が「上記で定義された」によって条件付けられる場合、該基は、最初に存在する最も広い定義、ならびにその基についての他の定義の各々および全てを包含すると解されるべきである。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「C1-3」とは、1、2または3個の炭素原子を有する炭素基を意味する。
【0026】
用語「アルキル」は、他に特記しない限り、直鎖と分枝鎖の両方のアルキル基を包含し、置換されていても非置換であってもよい。「アルキル」基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「薬学的に許容される」とは、他に特記しない限り、健全な医学的判断に従って使用するのに適切であるとして部分(例えば、塩、投与形態または賦形剤)を特徴付けるために使用される。一般に、薬学的に許容される部分は、該部分が有し得るいかなる有害な効果を上回る1つの以上の利益を有する。有害な効果としては、例えば、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、ならびに他の問題点および合併症が包含される。
【0028】
本明細書では、式(I):
【化4】
[式中、
1は、
【化5】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキル、またはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成し;
6は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物の投与により気管支拡張症患者を処置する方法が提供される。
【0029】
気管支拡張症は、嚢胞性線維症患者に存在し得る。別の実施態様において、気管支拡張症は、嚢胞性線維症を伴わない(非CF気管支拡張症)。
【0030】
一の実施態様において、R1は、
【化6】
であり;R2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキル、またはC1-3アルキルであり;R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0031】
さらなる実施態様において、R1は、
【化7】
であり;R2は、水素、F、ClまたはC1-3アルキルであり;R3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルである。
【0032】
さらなる実施態様において、R1は、
【化8】
であり;R2は、水素、FまたはC1-3アルキルであり;R3は、水素、FまたはCNである。
【0033】
別の実施態様において、R1は、
【化9】
であり;Xは、O、SまたはCF2であり;Yは、OまたはSであり;Qは、CHまたはNであり;R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよく;R7は、水素、F、ClまたはCH3である。
【0034】
さらなる実施態様において、R1は、
【化10】
であり;Xは、O、SまたはCF2であり;Yは、OまたはSであり;R6は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;R7は、水素、F、ClまたはCH3である。
【0035】
さらなる実施態様において、R1は、
【化11】
であり;Xは、O、SまたはCF2であり;R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく;R7は、水素、F、ClまたはCH3である。
【0036】
さらなる実施態様において、R1は、
【化12】
であり;Xは、Oであり;R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく;R7は水素である。
【0037】
一の実施態様において、R2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルである。
【0038】
さらなる実施態様において、R2は、水素、F、ClまたはC1-3アルキルである。
【0039】
さらなる実施態様において、R2は、水素、FまたはC1-3アルキルである。
【0040】
一の実施態様において、R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0041】
さらなる実施態様において、R3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルから選択される。
【0042】
さらなる実施態様において、R3は、水素、FまたはCNから選択される。
【0043】
一の実施態様において、R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1個の置換基によって置換されていてもいなくてもよい。
【0044】
さらなる実施態様において、R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよい。さらなる実施態様において、R6は、メチルまたはエチルである。さらなる実施態様において、R6は、メチルである。
【0045】
一の実施態様において、R7は、水素、F、ClまたはCH3である。さらなる実施態様において、R7は、水素である。
【0046】
一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化13】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0047】
一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
4'-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イル・メタンスルホン酸塩、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3',4'-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-2-(4'-カルバモイル-3'-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4'-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、または
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
または上記化合物のうちの1つの薬学的に許容される塩である。
【0048】
本明細書で提供される方法は、該処置を必要とする気管支拡張症患者に式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む。式(I)で示される化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)活性の阻害剤である。気管支拡張症は、嚢胞性線維症に罹患している患者におけるもの、または嚢胞性線維症に罹患していない患者におけるもの(しばしば、「嚢胞性線維症と無関係の気管支拡張症」もしくは「非CF気管支拡張症」と称する)であり得る。投与経路は、経口投与を含む。投与スケジュールは、該方法の利用者、例えば処方医が決定することができる。一の実施態様において、投与は1日1回である。別の実施態様において、投与は1日2回である。別の実施態様において、投与は、1日おき、週3回または週4回である。
【0049】
非CF気管支拡張症は、遺伝性疾患から気道異物滞留(retained airway foreign body)まで多数の病因によって引き起こされるかまたはそれに関連すると報告されており、また、全身性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような一般的な呼吸器疾患、およびサルコイドーシスのような稀な疾患の患者に存在することが報告されている(Chang and Bilton (2008). Thorax 63, pp. 269-276(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0050】
気管支拡張症は、多くの疾患過程から生じる病理学的終点と考えられ、拡張した厚壁気管支によって特徴付けられる持続性または進行性の病態である。症状は、喀痰および冒されている肺の領域に局在する感染の断続的なエピソードから頻繁に大量の化膿性痰の持続性の連日喀痰までさまざまである。気管支拡張症は、他の非特異的呼吸器症状と関連し得る。理論に束縛されることを望まないが、気管支拡張症の根本的な病理過程は、炎症がその過程の中心である一事象または一連の事象から生じる気道への損傷として報告されている(Guideline for non-CF Bronchiectasis, Thorax, July 2010, V. 65(Suppl 1)(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0051】
一の実施態様における用語「処置すること」とは、(1)状態(state)、障害または病態に罹患しているかまたは罹患しやすいが、状態、障害または病態の臨床的または無症候性の症状をまだ経験していないかまたは該症状がまだ現れていない患者において発症している状態、障害または病態の臨床的症状の出現を予防するかまたは遅延させること;(2)状態、障害または病態を抑制すること(すなわち、疾患の発症、または少なくとも1つのその臨床的もしくは無症候性の症状の維持療法の場合にはその再発を阻止すること、軽減することまたは遅延させること);(3)病態を緩和すること(すなわち、状態、障害または病態、またはその臨床的または無症候性の症状のうちの少なくとも1つを退縮させること)を包含する。一の実施態様において、該臨床的症状は、肺増悪および/または(4)気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の予防である。
【0052】
予防は、気管支拡張症の以前のエピソードを経験したことがあるか、またはそうでなければ気管支拡張症のリスクが高いと考えられる人の処置に特に関連すると予想される。したがって、本発明の一の実施態様において、気管支拡張症の予防を必要とする患者において気管支拡張症の予防を提供する方法が提供される。該予防を必要とする患者は、一の実施態様において、気管支拡張症の以前のエピソードを経験したことがあるか、または気管支拡張症と診断されるリスクが高い。該方法は、患者に式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である。理論に拘束されることを望むものではないが、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量の投与は、好中球エラスターゼ活性を阻害することにより、気管支拡張症患者において観察される感染/炎症/粘液線毛クリアランス不全および組織破壊のサイクルを中断すると考えられる。
【0053】
本明細書で用いられる場合、「肺増悪」とは、患者が少なくとも48時間示す下記の症状のうちの3つ以上である:(1)咳の増加;(2)痰の量の増加または痰のコンシステンシーの変化;(3)痰の化膿性の増加;(4)息切れの増加および/または運動耐性の低下;(5)疲労および/または倦怠感;(6)喀血。一の実施態様において、この3つ以上の症状は、該症状を示す患者に抗生物質を処方するという医師の決定をもたらす。
【0054】
一の実施態様において、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物を投与することにより処置することとは、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、肺増悪までの時間の長さを増加させることを含む。例えば、いくつかの実施態様において、肺増悪までの時間の長さは、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、少なくとも約20日間増加する。他の実施態様において、肺増悪までの時間の長さは、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約20日間~約100日間増加する。別の実施態様において、肺増悪までの時間の長さは、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約25日間~約100日間、約30日間~約100日間、約35日間~約100日間、または約40日間~約100日間増加する。他の実施態様において、該増加は、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約25日間~約75日間、約30日間~約75日間、約35日間~約75日間、または約40日間~約75日間である。他の実施態様において、肺増悪までの時間の増加は、非処置の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約30日間~約60日間である。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0055】
一の実施態様において、肺増悪間の時間を増加させることとは、約1日間、約3日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間もしくは約6週間増加させること、または少なくとも約1日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間もしくは少なくとも約6週間増加させることを含む。別の実施態様において、この増加させることとは、約20日間~約100日間、または約30日間~約100日間、または約20日間~約75日間、または約20日間~約50日間、または約20日間~約40日間増加させることを含む。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0056】
さらに別の実施態様において、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む方法が提供される。一の実施態様において、該化合物は、1日1回経口投与される。処置することとは、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、肺増悪率を低下させることを含む。肺増悪率は、増悪の数を特定の期間、例えば1日間、1週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間、約9か月間、約12か月間、約15か月間、約18か月間、約21か月間または約24か月間で割ることによって算出され得る。増悪率の低下は、一の実施態様において、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%または約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%、少なくとも約70%の低下である。
【0057】
別の実施態様において、増悪率の低下は、一の実施態様において、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%の低下である。一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0058】
さらに別の実施態様において、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む方法が提供される。一の実施態様において、該化合物は、1日1回経口投与される。該方法は、処置前に患者が経験した肺増悪の期間と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、肺増悪の期間を減少させることを含む。肺増悪期間減少は、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約120時間、少なくとも約144時間または少なくとも約168時間の期間減少である。別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の期間減少である。さらに別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約1日間~約1週間、約2日間~約1週間、約3日間~約1週間、約4日間~約1週間、約5日間~約1週間、または約6日間~約1週間の期間減少である。さらに別の実施態様において、肺増悪期間減少は、約1日間~約2週間、約2日間~約2週間、約4日間~約2週間、約6日間~約2週間、約8日間~約2週間、または約10日間~約2週間の期間減少である。
【0059】
期間減少は、別の実施態様において、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の減少である。
【0060】
一の実施態様における期間減少は、処置の間に経験した増悪の平均減少である。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0061】
別の実施態様において、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に式(I)で示される化合物を投与することを含む方法が提供される。一の実施態様において、該化合物は、1日1回経口投与される。この実施態様において、処置することとは、処置前の患者の肺増悪関連入院の回数と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺増悪関連入院の回数を減少させることを含む。一の実施態様における入院回数は、処置期間にわたって測定され、処置前または非処置の気管支拡張症患者における同じ時間の長さと比較される。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0062】
本明細書で提供される方法の一の実施態様において、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む方法であり、処置前の患者における肺機能と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺機能を増強させることを含む、方法が提供される。一の実施態様における式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0063】
一の実施態様における肺機能の増強は、肺活量測定法によって測定される。
【0064】
肺機能を増加させることとは、一の実施態様において、処置前のそれぞれの値と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、気管支拡張薬投与後の1秒量(FEV1)を増加させること、努力肺活量(FVC)を増加させること、最大呼気流量(peak expiratory flow rate)(PEFR)を増加させること、または25%~75%のFVCの努力呼気流量(forced expiratory flow)(FEF25-75)を増加させることを含む。増加させることとは、一の実施態様において、それぞれの値の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%増加させることである。増加させることとは、一の実施態様において、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%または少なくとも約50%増加させることである。さらに別の実施態様において、増加は、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、または約5%~約20%である。さらに別の実施態様において、増加させることとは、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%、または約25%~約50%増加させることである。
【0065】
例えばFEV1、PEFRまたはFEF25-75測定による、肺機能の評価は、一の実施態様において、処置前、例えば処置直前の患者における肺機能を、処置の間のある時点、処置の間の測定値の平均、または処置が完了した後と比較することを含む。
【0066】
本明細書で提供される場合、本発明による処置は、一の実施態様において、患者における肺機能を改善することを含む(ここで、該肺機能は肺活量測定法によって測定される)。肺活量測定法は、個人がどのくらいの量の空気を吸ったり吐いたりするかを測定する生理学的検査である。肺活量測定法で測定される一次シグナルは、体積または流速であり得る。本明細書に記載の方法について、肺活量測定法(例えば、FEV1、FVC、PEFRおよびFEF25-75)による肺機能検査(PFT)は、例えばMillerらによって記載されているような、米国胸部学会(American Thorasic Society)(ATS)/欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)(ERS)の基準に従って行われる(Miller et al. (2005). Standardization of Spirometry. Eur. Respir. J. 26, pp. 319-38(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0067】
一の実施態様において、肺活量計は、15秒以上、例えば、≧20秒、≧25秒、≧30秒、≧35秒の体積を蓄積することができる。一の実施態様における肺活量計は、0~14L・s-1の流速で、読みの少なくとも±3%または±0.050Lのどちらか大きい精度で、≧8L(BTPS)の体積を測定することができる。一の実施態様において、14L・s-1における肺活量計の気流に対する全抵抗は、<1.5cmH2O/L-1・s-1(0.15kPa?L-1・s-1)である。一の実施態様において、肺活量計の全抵抗は、患者と肺活量計との間に挿入され得る、含まれる任意のチューブ、バルブ、プレフィルタなどを用いて測定される。水蒸気凝縮による抵抗の変化示す装置に関して、一の実施態様において、肺活量計精度要件は、装置からの吸気なしで10分間行われる最大8つの連続するFVC手技(maneuver)についてのBTPS(体温、環境気圧、水蒸気による飽和)条件下で満たされる。
【0068】
本明細書に記載の努力呼気手技(forced expiratory maneuvers)に関して、一の実施態様において、Millerらの表6に記載されるような範囲および精度推奨が満たされる(Miller et al. (2005). Standardization of Spirometry. Eur. Respir. J. 26, pp. 319-38(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0069】
一の実施態様において、肺機能の改善は、努力肺活量(FVC)、すなわち、最大限の吸気から最大限の努力で吐き出される最大空気量の改善である。この測定値は、体温および水蒸気で飽和された環境気圧(BTPS)下でリットルで表される。
【0070】
「努力肺活量」(FVC)は、十分な吸気の位置から始まり完全な呼気で終わる努力呼気の間に吐き出される気体の量を示し、処置効果の一尺度である。本明細書で提供される方法の一の実施態様において、患者の肺機能を改善することとは、処置前の患者のFVCと比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者のFVCを改善することを含む。一の実施態様において、処置された患者のFVCは、処置前の患者のFVCと比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約1%多いか、約2%多いか、約3%多いか、約4%多いか、約5%多いか、約6%多いか、約7%多いか、約8%多いか、約9%多いか、約10%多いか、約11%多いか、約12%多いか、約13%多いか、約14%多いか、約15%多いか、約16%多いか、約17%多いか、約18%多いか、約19%多いか、約20%多いか、約25%多いか、約30%多いか、約35%多いか、約40%多いか、約45%多いか、約50%多いか、約55%多いか、約60%多いか、約65%多いか、約70%多いか、約75%多いか、約80%多いか、約85%多いか、または約90%多い。
【0071】
FVC手技は、当業者に公知の手順に従って行うことができる。簡潔には、FVC手技の3つの異なる段階は、(1)最大限に吸い込むこと;(2)「勢いよく」(blast)吐き出すこと、および(3)検査終了(EOT)まで完全に吐き出し続けることである。該手技は、閉回路法または開回路法によって行うことができる。どちらの場合も、対象体は、急速かつ完全に吸い込み、総肺気量(TLC)で1秒未満止める。次いで、該対象体は、直立姿勢を保ちながら、これ以上空気を吐き出すことができなくなるまで最大限に吐き出す。吐き出しは、肺から「勢いよく」息を吐き出すことで始まり、次いで、十分に吐き出すよう促される。該対象体の熱心なコーチングは最低3つの手技のために続く。
【0072】
肺機能の改善は、一の実施態様において、処置直前の肺機能と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの改善である。さらなる実施態様において、肺機能を改善することとは、処置前の患者のFEV1と比較して、または非処置の気管支拡張症患者の1秒量(FEV1)と比較して、FEV1を増加させることである。FEVは、努力肺活量手技の開始から特定時間内に吐き出された気体の体積(典型的には1秒間、すなわち、FEV1)である(Quanjer et al. (1993). Eur. Respir. J. 6, Suppl. 16, pp. 5-40(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。
【0073】
FEV1の増加は、一の実施態様において、少なくとも約5%の増加、例えば、約5%~約50%、または約10%~約50%、または約15%~約50%の増加である。別の実施態様において、処置された患者のFEV1は、処置前の患者のFEV1と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約1%多いか、約2%多いか、約3%多いか、約4%多いか、約5%多いか、約6%多いか、約7%多いか、約8%多いか、約9%多いか、約10%多いか、約11%多いか、約12%多いか、約13%多いか、約14%多いか、約15%多いか、約16%多いか、約17%多いか、約18%多いか、約19%多いか、約20%多いか、約25%多いか、約30%多いか、約35%多いか、約40%多いか、約45%多いか、約50%多いか、約55%多いか、約60%多いか、約65%多いか、約70%多いか、約75%多いか、約80%多いか、約85%多いか、または約90%多い。
【0074】
別の実施態様において、肺機能を改善することとは、処置前の患者のFEV1と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者のFEV1を約25mL~約500mL、または約25mL~約250mL、または約50mL~約200mL増加させることを含む。
【0075】
一の実施態様において、肺機能を改善することとは、処置前の患者のFEF25-75と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者のFVCの25%~75%の平均努力呼気流量(FEF25-75)(最大中央呼気フローとも称される)を改善することを含む。該測定値は、FVC測定値の妥当性および呼気努力のレベルに依存する。FEF25-75インデックスは、FEV1とFVCの最大合計を有する一吹き(blow)から得られる。
【0076】
一の実施態様において、肺機能を改善することとは、患者の最大呼気流量(PEFR)を改善することを含む。この改善は、処置直前のPEFRと比較した改善または非処置の気管支拡張症患者と比較した改善である。PEFRは、対象体が吐き出すことができる最速の空気を測定する。一の実施態様において、処置された患者のPEFRは、処置前の患者のPEFRと比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約1%多いか、約2%多いか、約3%多いか、約4%多いか、約5%多いか、約6%多いか、約7%多いか、約8%多いか、約9%多いか、約10%多いか、約11%多いか、約12%多いか、約13%多いか、約14%多いか、約15%多いか、約16%多いか、約17%多いか、約18%多いか、約19%多いか、約20%多いか、約25%多いか、約30%多いか、約35%多いか、約40%多いか、約45%多いか、約50%多いか、約55%多いか、約60%多いか、約65%多いか、約70%多いか、約75%多いか、約80%多いか、約85%多いか、または約90%多い。
【0077】
本発明のさらに別の実施態様において、気管支拡張症を処置するための方法であって、該処置を必要とする患者に式(I)で示される化合物の有効量を投与することを含む方法であり、処置することが、処置前の患者の生活の質(QOL)、例えばベースライン値と比較して、生活の質を上昇させることを含む、方法が提供される。一の実施態様における式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0078】
一の実施態様において、患者のQOLは、生活の質-気管支拡張症(QOL-B)質問票により評価される。QOL-B質問票は、気管支拡張症に罹患している対象体の症状、機能および健康関連QOLを評価する有効な自己記入患者報告アウトカム(PRO)である(Quittner et al. (2014). Chest 146(2), pp. 437-448;Quittner et al. (2015) Thorax 70(1), pp. 12-20(それぞれ、全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。QOL-Bは、8つのドメイン(呼吸器症状(Respiratory Symptoms)、身体機能(Physical Functioning)、日常役割機能(Role Functioning)、情緒的機能(Emotional Functioning)、社会生活機能(Social Functioning)、活力(Vitality)、健康認識(Health Perceptions)および治療負荷(Treatment Burden))について37の項目を含んでいる。
【0079】
別の実施態様において、患者のQOLは、レスター咳質問票(LCQ)によって評価される。QOLの改善は、一の実施態様において、患者のLCQスコアのベースライン(処置前)からの変化である。LCQは、気管支拡張症および咳が一般的な症状である他の状態に罹患している対象体におけるQOLに対する咳を評価する有効な質問票である(Murray et al. (2009). Eur Respir J. 34: 125-131(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。LCQは、19の項目を含んでおり完了するためには5~10分を要する。各項目は、過去2週間にわたる症状または症状の影響を7段階リッカート尺度(seven-point Likert scale)で評価する。3つのドメイン(身体的、心理的および社会的)におけるスコアは、各ドメインについての平均として算出される(1~7の範囲)。総スコア(3~21の範囲)は、また、ドメインスコアを合計することによって算出される。より高いスコアは、より良好なQOLを示します。
【0080】
別の実施態様において、患者のQOLは、セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)によって評価される。QOLの改善は、一の実施態様において、患者のSGRQスコアのベースライン(処置前)からの変化である。セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)は、慢性的な気流制限のある対象体の健康関連の健康状態を測定および定量化するように設計された50の質問で自己記入される(Jones et al. (1991). Respir Med. 85 Suppl B 25-31; discussion 33-7(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))。SGRQは、下記の3つの健康ドメインを評価することによって健康関連の生活の質を評価する:(1)症状(呼吸器症状によって引き起こされる窮迫)、(2)活動(運動性および身体活動に対する妨害の影響)、および(3)衝撃(雇用、個人の健康管理、および薬物療法の必要性などの要因に対する疾患の影響)。喘息およびCOPDを有する対象体における3つのドメインの確立された尺度をよく相関することが示されている。NCFBEにおける使用も実証されている。複合総スコアは、可能な範囲での最高のスコア0および可能な範囲で最低のスコア100による症状、活動および衝撃に関するドメインスコアの合計として導き出される。4単位のスコアの減少は、一般的に、QOLの臨床的に意味のある改善として認識される。
【0081】
本明細書で提供される気管支拡張症を処置するための方法の別の実施態様において、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物が該処置を必要とする患者に投与され、当該方法は、処置前の患者のNE痰濃度と比較して、活性好中球エラスターゼ(NE)痰濃度を減少させることを含む。一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、経口投与により投与される。さらなる実施態様において、投与は、1日1回、1日おき、週2回、週3回または週4回である。一の実施態様における式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0082】
活性NE痰濃度を減少させることとは、一の実施態様において、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%減少させることを含む。別の実施態様において、活性NE痰濃度を減少させることとは、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約80%減少させることを含む。
【0083】
本明細書で提供される気管支拡張症を処置するための方法のさらなる別の実施態様において、式(I)で示される化合物の有効量が該処置を必要とする患者に投与され、当該方法は、Murray 2009の痰カラーチャート(Murray et al. (2009). Eur Respir J. 2009; 34:361-364(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する))によって測定したとき、患者の痰の色が、処置前の患者の痰の色と比較して、明るくなることを含む。一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、経口投与により投与される。さらなる実施態様において、投与は、1日1回、1日おき、週2回、週3回または週4回である。一の実施態様における式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0084】
色が明るくなることとは、一の実施態様において、1階調明るくなることである。例えば、一の実施態様において、明るくなることとは、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)へである。別の実施態様において、明るくなることとは、粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)から粘液性(透明)である。
【0085】
色の変化は、別の実施態様において、2階調明るくなることである、すなわち、明るくなることとは、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液性(透明)へである。
【0086】
痰の誘導は、患者自身が痰を産生することができない場合に行われる。痰の誘導は、一の実施態様において、患者によるセイライン溶液のネブライゼーションにより開始される。セイラインのパーセンテージ、例えば、3%または7%または10%または13%は、この方法の好みの使用者に基づいて決定される。選択されたセイラインはネブライザーに入れられ、対象体は座位またはセミファウラー位である。一の実施態様における対象体は、ネブライゼーションの間じゅう、ノーズクリップを装着する。対象体は、ネブライザーマウスピースを介してゆっくりと深く呼吸し、該塩水ミストを吸入する。対象体は、素早く呼吸するのではなく、ゆっくりと深呼吸し、粒子を沈着させるためにピークで吸い込みを小休止するよう注意喚起される。一の実施態様におけるネブライゼーション時間は10分間である。
【0087】
ネブライゼーションの終わりに、対象体は、数回深呼吸し、口の中の余分な唾液を飲み込み、痰試料を喀出するよう指示される。対象体は、深く咳をする方法および/または「ハフィング」咳法を用いて強制的に咳をするよう勧められる。痰はすべて、検体容器に入れられる。採取した痰の量、例えば1mL未満、2mL未満または3mL未満が十分ではない場合、この手順を繰り返すことができる。
【0088】
本明細書で提供される方法は、肺感染症を呈する気管支拡張症患者(例えば、非CF気管支拡張症患者)を処置するために利用することができる。一の実施態様において、肺感染症は、マイコバクテリア感染症である。マイコバクテリア感染症は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)感染または非結核性抗酸菌(NTM)であり得る。本明細書で提供される方法によって処置可能な患者が呈し得るNTM感染症の例としては、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウム・サブスピーシス・ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、マイコバクテリウム・アブセサス(M. abscessus)、マイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae)、マイコバクテリウム・ボルレティイ(M. bolletii)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ウルセランス(M. ulcerans)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare))、マイコバクテリウム・コンスピクム(M. conspicuum)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ペレグリヌム(M. peregrinum)、マイコバクテリウム・イムノゲヌム(M. immunogenum)、マイコバクテリウム・ゼノピ(M. xenopi)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・マルモエンス(M. malmoense)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・ムコゲニクム(M. mucogenicum)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、マイコバクテリウム・シミアエ(M. simiae)、マイコバクテリウム・スメグマチス(M. smegmatis)、マイコバクテリウム・ツルガイ(M. szulgai)、マイコバクテリウム・テラエ(M. terrae)、マイコバクテリウム・テラエコンプレックス(M. terrae complex)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M. haemophilum)、マイコバクテリウム・ゲナベンス(M. genavense)、マイコバクテリウム・アジアチクム(M. asiaticum)、マイコバクテリウム・シモイデイ(M. shimoidei)、マイコバクテリウム・ゴルドナエ(M. gordonae)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・トリプレックス(M. triplex)、マイコバクテリウム・レンチフラバム(M. lentiflavum)、マイコバクテリウム・セラツム(M. celatum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)とマイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae))またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
気管支拡張症患者が呈し得る他の肺感染症としては、ヘモフィルス・エンフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)およびモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施態様において、該肺細菌感染症は、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)感染症である。
【0090】
式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載の方法のうちの1つによって気管支拡張症の処置に使用される他の化合物と併せて投与することもできる。
【0091】
該第2の活性成分は、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の処置のために、式(I)で示される化合物と同時に、連続して、または混合して投与される。
【0092】
該第2の活性成分は、一の実施態様において、グルココルチコイド受容体アゴニスト(ステロイド系または非ステロイド系)、例えば、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、フロ酸モメタゾン、エタボン酸ロテプレドノール、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フルオシノロンアセトニド、シペシル酸デキサメタゾン、デスイソブチリルシクレソニド、プロピオン酸クロベタゾール、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、2,2,2-トリフルオロ-N-[(1S,2R)-2-[1-(4-フルオロフェニル)インダゾール-5-イル]オキシ-2-(3-メトキシフェニル)-1-メチル-エチル]アセトアミド、または3-[5-[(1R,2S)-2-(2,2-ジフルオロプロパノイルアミノ)-1-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)プロポキシ]インダゾール-1-イル]-N-[(3R)-テトラヒドロフラン-3-イル]ベンズアミドである。
【0093】
該第2の活性成分は、別の実施態様において、p38アンタゴニスト、例えば、PH797804(3-[3-ブロモ-4-(2,4-ジフルオロ-ベンジルオキシ)-6-メチル-2-オキソ-2H-ピリジン-1-イル]-4,N-ジメチル-ベンズアミド)、ロスマピモド、PF03715455(1-[5-tert-ブチル-2-(3-クロロ-4-ヒドロキシ-フェニル)ピラゾール-3-イル]-3-[[2-[[3-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)フェニル]-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-6-イル]スルファニル]フェニル]メチル]ウレア)またはN-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-[3-[[1-[2-[2-(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]シクロプロピル]アミノ]-2-オキソ-ピラジン-1-イル]ベンズアミドである。
【0094】
該第2の活性成分は、さらに別の実施態様において、テオフィリンおよびアミノフィリンを包含するメチルキサンタニン(methylxanthanine)のようなホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、またはテトミラスト、ロフルミラスト、オグレミラスト、イブジラスト、GPD-1116(3-ベンジル-5-フェニル-1H-ピラゾロ[4,3-c][1,8]ナフチリジン-4-オン)、ロノミラスト(ronomilast)、NVP ABE 171(4-[8-(2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-イル)-1,7-ナフチリジン-6-イル]安息香酸)、RPL554(2-[(2E)-9,10-ジメトキシ-4-オキソ-2-(2,4,6-トリメチルフェニル)イミノ-6,7-ジヒドロピリミド[6,1-a]イソキノリン-3-イル]エチルウレア)、CHF5480([(Z)-2-(3,5-ジクロロ-4-ピリジル)-1-(3,4-ジメトキシフェニル)ビニル](2S)-2-(4-イソブチルフェニル)プロパノエート)もしくはGSK256066(6-[3-(ジメチルカルバモイル)フェニル]スルホニル-4-(3-メトキシアニリノ)-8-メチル-キノリン-3-カルボキサミド)のような選択的PDEアイソザイム阻害剤(PDE4阻害剤またはアイソフォームPDE4Dの阻害剤を包含する)である。
【0095】
さらに別の実施態様において、該第2の活性成分は、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えば、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10またはCCR11(C-Cファミリーのため)のアンタゴニスト、例えば、CCR1、CCR2BまたはCCR5受容体アンタゴニスト;CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4またはCXCR5(C-X-Cファミリーのため)、例えばCXCR2またはCXCR3受容体アンタゴニスト;またはC-X3-CファミリーのためのCX3CR1である。例えば、一の実施態様における該第2の活性成分は、PS-031291(ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[(4-クロロ-ベンジル)-メチル-アミド]1-[(4-トリフルオロメチル-フェニル)-アミド])、CCX-354(1-[4-(4-クロロ-3-メトキシ-フェニル)ピペラジン-1-イル]-2-[3-(1H-イミダゾール-2-イル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]エタノン)、ビクリビロク、マラビロク、セニクリビロク、ナバリキシン(2-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-3-[[2-[[(1R)-1-(5-メチル-2-フリル)プロピル]アミノ]-3,4-キオキソ-シクロブテン-1-イル]アミノ]ベンズアミド)、SB656933(1-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-3-(4-クロロ-2-ヒドロキシ-3-ピペラジン-1-イルスルホニル-フェニル)ウレア)、N-[2-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチルスルファニル]-6-[(1R,2S)-2,3-ジヒドロキシ-1-メチル-プロポキシ]ピリミジン-4-イル]アゼチジン-1-スルホンアミド、N-[6-[(1R,2S)-2,3-ジヒドロキシ-1-メチル-プロポキシ]-2-[(4-フルオロフェニル)メチルスルファニル]ピリミジン-4-イル]-3-メチル-アゼチジン-1-スルホンアミドまたはN-[2-[(2,3-ジフルオロフェニル)メチルスルファニル]-6-[[(1R,2R)-2,3-ジヒドロキシ-1-メチル-プロピル]アミノ]ピリミジン-4-イル]アゼチジン-1-スルホンアミドである。
【0096】
別の実施態様において、該第2の活性成分は、ロイコトリエン生合成阻害剤、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)阻害剤または5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば、TA270(4-ヒドロキシ-1-メチル-3-オクチルオキシ-7-シナピノイルアミノ-2(1H)-キノリノン)、PF-4191834(2H-ピラン-4-カルボキサミド、テトラヒドロ-4-[3-[[4-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)フェニル]チオ]フェニル]-)、セチロートン、CMI977(1-[4-[(2S,5S)-5-[(4-フルオロフェノキシ)メチル]テトラヒドロフラン-2-イル]ブタ-3-イニル]-1-ヒドロキシ-ウレア)、フィボフラポン(3-[3-tert-ブチルスルファニル-1-[[4-(6-エトキシ-3-ピリジル)フェニル]メチル]-5-[(5-メチル-2-ピリジル)メトキシ]インドール-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸)、GSK2190915(1H-インドール-2-プロパン酸、3-[(1,1-ジメチルエチル)チオ]-1-[[4-(6-メトキシ-3-ピリジニル)フェニル]メチル]-α,α-ジメチル-5-[(2-ピリジニル)メトキシ]-)、リコフェロン、キフラポン(3-[3-tert-ブチルスルファニル-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-5-(2-キノリルメトキシ)インドール-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸)、ベリフラポン((2R)-2-シクロペンチル-2-[4-(2-キノリルメトキシ)フェニル]酢酸)、ABT080(4,4-ビス[4-(2-キノリルメトキシ)フェニル]ペンタン酸)、ジロートン、ザフィルルカストまたはモンテルカストである。
【0097】
さらに別の実施態様において、該第2の活性成分は、CRTh2アンタゴニストまたはDP2アンタゴニスト、例えば、ACT129968(2-[2-[(5-アセチル-2-メトキシ-フェニル)メチルスルファニル]-5-フルオロ-ベンゾイミダゾール-1-イル]酢酸)、AMG853(2-[4-[4-(tert-ブチルカルバモイル)-2-[(2-クロロ-4-シクロプロピル-フェニル)スルホニルアミノ]フェノキシ]-5-クロロ-2-フルオロ-フェニル]酢酸)、AM211(2-[3-[2-[[ベンジルカルバモイル(エチル)アミノ]メチル]-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メトキシ-フェニル]酢酸)、2-[4-アセトアミド-3-(4-クロロフェニル)スルファニル-2-メチル-インドール-1-イル]酢酸、(2S)-2-[4-クロロ-2-(2-クロロ-4-エチルスルホニル-フェノキシ)フェノキシ]プロパン酸、2-[4-クロロ-2-[2-フルオロ-4-(4-フルオロフェニル)スルホニル-フェニル]フェノキシ]酢酸、または(2S)-2-[2-[3-クロロ-4-(2,2-ジメチルピロリジン-1-カルボニル)フェニル]-4-フルオロ-フェノキシ]プロパン酸である。
【0098】
レスベラトロール、ピセタノール、または1-(2-イソプロポキシエチル)-2-シオキソ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-オンのようなミエロペルオキシダーゼアンタゴニストは、別の実施態様において、併用療法実施態様における第2の活性成分である。
【0099】
さらに別の併用療法実施態様において、第2の活性成分は、toll様受容体アゴニスト(例えば、TLR7またはTLR9アゴニスト);アデノシンアンタゴニスト;グルココルチコイド受容体アゴニスト(ステロイド系または非ステロイド系);p38アンタゴニスト;PDE4アンタゴニスト;ケモカイン受容体機能のモジュレーター(例えば、CCR1、CCR2B、CCR5、CXCR2またはCXCR3受容体アンタゴニスト);および/またはCRTh2アンタゴニストである;
【0100】
一の併用療法実施態様において、開示の化合物またはその薬学的に許容される塩は、上記で提供されたもののうちの1つ以上から選択される1つ以上のさらなる活性成分と同時にまたは連続して投与される。例えば、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の処置要の医薬として用いるためのさらなる医薬組成物と同時にまたは連続して投与され得る。このさらなる医薬組成物は、患者にすでに処方されている可能性がある医薬(例えば、既存の標準的薬剤または治療薬剤(existing standard or care medication))であり得、それ自体が上記で定義されたものから選択される1つ以上の活性成分を含む組成物であり得る。
【0101】
投与される投与量は、使用される化合物、投与様式、望まれる処置および指示された障害によって変わる。例えば、一の実施態様において、式(I)で示される化合物の日用量は、吸入される場合、0.05μg/体重kg(μg/kg)~100μg/体重kg(μg/kg)の範囲内であり得る。別法として、一の実施態様において、化合物が経口投与される場合、本開示の化合物の日用量は、0.01μg/体重kg(μg/kg)~100mg/体重kg(mg/kg)の範囲内であり得る。
【0102】
一の実施態様において、式(I)で示される化合物は、機構投与剤形で投与される。さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、10mg~50mg投与剤形、例えば、10mg投与剤形、15mg投与剤形、20mg投与剤形、25mg投与剤形、30mg投与剤形または50mg投与剤形として投与される。さらなる実施態様において、投与剤形は10mgまたは25mgである。さらなる実施態様において、投与剤形は、1日1回投与される。さらにさらなる実施態様において、化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0103】
式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、単独で使用され得るが、一般に、式(I)化合物/塩(活性成分)が薬学的に許容される補助剤、希釈剤および/または担体を含む組成物中にある医薬組成物の形態で投与される。適切な医薬製剤の選択および調製のための慣用的手順は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 2nd Ed. 2002(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されている。
【0104】
投与様式に依存して、医薬組成物は、0.05~99%w(重量%)、例えば、0.05~80%w、または0.10~70%w、または0.10~50%wの活性成分を含む(すべての重量%は組成物全体に基づく)。
【0105】
一の経口投与実施態様において、経口投与剤形は、フィルムコーティング経口錠剤である。さらなる実施態様において、投与剤形は、インビトロ試験条件下で急速溶出特性を有する即時放出投与剤形である。
【0106】
一の実施態様において、経口投与剤形は、1日1回投与される。さらなる実施態様において、経口投与剤形は、毎日ほぼ同じ時間に、例えば朝食前に、投与される。別の実施態様において、式(I)の有効量を含む組成物は、1日2回投与される。さらに別の実施態様において、式(I)の有効量を含む組成物は、週1回、週2回、週3回、週4回または週5回投与される。
【0107】
経口投与のために、開示の化合物は、補助剤、希釈剤または担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、ナンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、コーンスターチまたはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、セルロース誘導体、および/または滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックスおよびパラフィンなどと混合され、次いで、錠剤に圧縮され得る。コーティング錠剤が必要な場合は、上記のように調製したコアを、水または易揮発性有機溶媒に溶解または分散した適切なポリマーでコーティングされ得る。別法として、錠剤は、例えばアラビアガム、ゼラチン、タリカムおよび二酸化チタンを含有し得る濃縮糖用液でコーティングされ得る。
【0108】
ソフトゼラチンカプセル剤の調製のために、開示の化合物は、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合され得る。ハードゼラチンカプセルは、錠剤用の上記賦形剤のような医薬賦形剤を使用した化合物の顆粒を含有し得る。本開示の化合物の液体または半固体製剤をハードゼラチンカプセルに充填することもできる。
【0109】
一の実施態様において、該組成物は、口腔内崩壊錠剤(ODT)である。ODTは、全体が飲み込まれるよりもむしろ舌の上で溶解されるように設計されているという点で伝統的な錠剤とは異なる。
【0110】
一の実施態様において、組成物は、口腔薄膜または口腔内崩壊フィルム(ODF)である。このような製剤は、舌の上に置かれると、唾液との相互作用により水和し、投与剤形から活性化合物を放出する。ODFは、一の実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、デンプン、ポリビニルアセテート(PVA)またはアルギン酸ナトリウムのようなフィルム形成ポリマーを含有する。
【0111】
経口投与用液体製剤は、シロップ剤、液剤または懸濁剤の剤形であり得る。液剤は、例えば、開示の化合物を含有し得、残部は、糖、ならびにエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物である。場合により、このような液体製剤は、着色剤、矯味矯臭剤、サッカリンおよび/または増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースを含有し得る。さらにまた、経口使用のための製剤を調製するときに、当業者に知られている他の賦形剤を使用し得る。
【0112】
当業者は、開示の化合物が公知の方法で様々な方法で調製され得ることを認識する。下記の経路は、式(I)で示される化合物の合成に用いることができるいくつかの方法の単なる例示である。
【0113】
本開示は、また、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、式(II):
【化14】
[式中、R1は式(I)における定義と同じである]
で示される化合物を、式(III):
【化15】
[式中、PGは保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物と反応させ、所望により、その後、以下の手順:
・式(I)で示される化合物を式(I)で示される別の化合物に変換すること;
・保護基を除去すること;および/または
・薬学的に許容される塩を形成すること
のうちの1つ以上を行うことを含む方法を提供する。
【0114】
当該方法は、好都合には、DiPEAまたはTEAのような塩基およびEDCI、2-ピリジノール-1-オキシドまたはT3Pのような1つ以上の活性化剤の存在下で行われる。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に室温(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒中にて行われる。
【0115】
式(II)で示される化合物は、式(IV):
【化16】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を好適な試薬と反応させて、保護基PGを除去することによって製造され得る。好適な試薬の一例はギ酸である。
【0116】
式(IV)で示される化合物は、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、式(V):
【化17】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表し、Halは、ハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物を式(VI):
【化18】
[式中、R1は式(I)における定義と同じである]
で示される化合物またはそのエステルと反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に75℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0117】
式(V)で示される化合物は、アミドの脱水のための標準的な文献手順を用いて、例えば、-20℃~100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にて、バージェス試薬を使用して、またはDiPEAのような塩基を用いるかもしくは用いずにT3Pのような試薬を使用して、式(VII):
【化19】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表し、Halは、ハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物から製造され得る。
【0118】
式(VII)で示される化合物は、アミドの形成のための標準的な文献手順を用いて、例えばN-エチル-モルホリンまたはDiPEAのような塩基およびTBTUまたはT3Pのような活性化剤の存在下で、式(VIII):
【化20】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表し、Halは、ハロゲン(例えば、IまたはBr)を表す]
で示される化合物をアンモニア水溶液と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、-20℃~100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DMFのような有機溶媒中にて行われる。
【0119】
式(VIII)で示される化合物は、市販されているか、または文献公知(例えば、Tetrahedron:Asymmetry, 1998, 9, 503(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)から)であるか、または公知技術を用いて製造され得る。
【0120】
また、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、アミドの脱水のための標準的な文献手順を用いて、例えば、-20℃~100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にて、バージェス試薬を使用して、またはDiPEAのような塩基を用いるかまたは用いずにT3Pのような試薬を使用して、式(IX):
【化21】
[式中、R1は、上記定義と同じであり、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を反応させ、その後、好適な試薬と反応させて保護基PGを除去することを含む、方法が提供される。好適な試薬の一例はギ酸である。
【0121】
式(IX)で示される化合物は、ビス[ビス(1,2-ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0)またはPd(dppf)Cl2・DCMのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、式(X):
【化22】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を式(XI):
【化23】
[式中、R1は、式(I)における定義と同じである]
で示されるハロゲン化物と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に80℃でジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0122】
式(X)で示される化合物は、60℃~100℃の範囲内の温度で、例えば85℃で、DMSOのような溶媒中にて、Pd(dppf)Cl2・DCMのような好適な触媒の存在下で、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンまたは1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドを用いるかまたは用いずに、酢酸カリウムのような好適な塩を用いて、式(XII):
【化24】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物をB2Pin2と反応させることによって製造され得る。
【0123】
式(XII)で示される化合物は、DiPEAまたはTEAのような塩基およびEDCI、2-ピリジノール-1-オキシドまたはT3Pのような活性化剤の存在下にて、式(XIII):
【化25】
で示される化合物を式(III):
【化26】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に室温(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒中にて行われる。
【0124】
式(XIII)で示される化合物は、アミドの形成のための標準的な文献手順を用いて、例えば、N-エチル-モルホリンまたはDiPEAのような塩基および「ウロニウム」試薬(例えば、TBTU)またはT3Pのような活性化剤の存在下で、式(XIV):
【化27】
[式中、PGは、式(VII)における定義と同じである]
で示される化合物をアンモニア水溶液と反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、-20℃~100℃の範囲内の温度で、例えば0℃で、DMFのような有機溶媒中にて行われる。
【0125】
式(IX)で示される化合物は、ビス[ビス(1,2-ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0)またはPd(dppf)Cl2・DCMのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、PGが保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す式(XII)で示される化合物を式(VI)で示される化合物またはそのボロン酸エステルと反応させることによって製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に80℃で、ジオキサン/水またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われる。
【0126】
また、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、式(XV):
【化28】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物を、R1が式(I)における定義と同じである式(VI)で示される化合物またはそのエステルと反応させることを含む、方法が提供される。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に75℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われ、その後、好適な試薬と反応させて保護基PGを除去する。好適な試薬の一例はギ酸である。
【0127】
式(XV)で示される化合物は、アミドの脱水のための標準的な文献手順を用いて、例えば、-20℃~100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、DCMまたはDMFのような溶媒中にてDiPEAのような塩基を用いるかまたは用いずに、バージェス試薬、またはTBTUもしくはT3Pのような試薬を用いて式(XII)で示される化合物から製造され得る。
【0128】
また、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、好都合には、DiPEAまたはTEAのような塩基およびEDCI、2-ピリジノール-1-オキシドまたはT3Pのような1つ以上の活性化剤の存在下で行われ、次いで、T3Pのような脱水試薬の存在下で行われる、式(XVI):
【化29】
[式中、R1は式(I)における定義と同じである]
で示される化合物と式(III)で示される化合物との反応を含む、方法が提供される。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に室温(25℃)で、DMFまたはDCMのような有機溶媒中にて行われる。
【0129】
式(XVI)で示される化合物は、Pd(dppf)Cl2・DCMまたは1,1-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドのような触媒および炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、式(VII)で示される化合物を、R1が式(I)における定義と同じである式(VI)で示される化合物またはそのエステルと反応させることにより製造され得る。該反応は、好都合には、例えば20℃~100℃の範囲内の温度で、特に75℃で、ジオキサン/水混合物またはACN/水混合物のような溶媒中にて行われ、次いで、PGが脱保護される。
【0130】
式(III):
【化30】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物は、市販されているか、または、穏やかなエステル加水分解のための文献手順(例えば、Tetr. Lett., 2007, 48, 2497(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)から)を用いて、例えば、例えば25℃で、ACN/水混合物のような溶媒中にて、LiBr、およびTEAのような塩基を用いて、式(XVII):
【化31】
で示される化合物から製造され得る。
【0131】
PGが保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す式(XVII)で示される化合物は、0~40℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、THFのような溶媒中にて、還元剤、例えば、BH3-DMSを使用して、式(XVIII):
【化32】
で示される化合物から製造され得る。
【0132】
PGが保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す式(XVIII)で示される化合物は、化学選択的ラクタム形成のための生体触媒変換を使用して、例えば、0~80℃の範囲内の温度で、例えば55℃で、エーテルのような溶媒、例えばジオキサン中にて、Novozym 435のようなリパーゼを使用し、次いで、保護基PGの導入のための条件下で、式(XIX):
【化33】
で示される化合物から製造され得る。
【0133】
式(XIX)で示される化合物は、水素添加のための条件を用いて、例えば、25~80℃の範囲内の温度で、例えば40℃で、例えば10バールの圧力下にて、メタノールまたはジオキサンのような溶媒中にて、H2(g)、および二水酸化パラジウム-炭素のような試薬を使用して、式(XX):
【化34】
[式中、PG1およびPG2は、保護基(例えば、ベンジル)である]
で示される化合物から製造され得る。
【0134】
PG1およびPG2が保護基(例えば、ベンジル)である式(XX)で示される化合物は、オキサ-マイケル反応のための条件を使用し、0~100℃の範囲内の温度で、例えば25℃でトルエンのような溶媒中にて、4-メチルモルホリンのような塩基の存在下にて、メチルプロピノエート(methyl propynoate)と反応させて、式(XXI):
【化35】
[式中、PG1およびPG2は、保護基(例えば、ベンジル)である]
で示される化合物から製造され得る。
【0135】
PG1およびPG2が保護基(例えば、ベンジル)である式(XXI)で示される化合物は、0~78℃の範囲内の温度で、例えば70℃で、エタノールのような溶媒中にて、二保護(diprotected)ベンジルアミン(例えば、ジベンジルアミン)を(S)-オキシラン-2-カルボン酸メチルと反応させることにより製造され得る。
【0136】
別法として、式(III):
【化36】
[式中、PGは、保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す]
で示される化合物は、例えば、0~100℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、DCM/水のような溶媒中にてNaHCO3のようなバッファーおよびテトラブチルアンモニウム重硫酸塩のような相転移触媒の存在下で、所望により臭化ナトリウムのような塩の存在下で、TEMPOおよび次亜塩素酸ナトリウムのような試薬を使用して、式(XXII):
【化37】
で示される化合物の酸化により製造され得る。
【0137】
PGが保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)を表す式(XXII)で示される化合物は、0~60℃の範囲内の温度で、例えば25℃で、THFのような溶媒中にて、水素化ナトリウムのような塩基と反応させ、次いで、式(XXII)および(XXIII)において定義された保護基PG、PG1およびPG2を相互変換して、式(XXIII):
【化38】
[式中、PG1およびPG2は、保護基(例えば、ベンジル)である]
で示される化合物から製造され得る。
【0138】
PG1およびPG2が保護基(例えば、ベンジル)である式(XXIII)で示される化合物は、0~70℃の範囲内の温度で、例えば40℃で、エタノールまたはプロパノールのような溶媒中にて、保護3-アミノプロパノール(例えば、N-ベンジル-3-アミノプロパノール)を(S)-2-((ベンジルオキシ)メチル)オキシランと反応させ、次いで、-10~25℃の範囲内の温度で、例えば-5℃で、DCMのような溶媒中、DiPEAのような塩基の存在下で、粗生成物をメタンスルホニルクロリドと反応させることにより製造され得る。
【0139】
式(VI)で示される化合物またはそのエステル、ならびに式(VIII)、(XI)および(XIV)で示される化合物は、市販されているか、または文献公知であるか、または公知技術を用いて製造され得る。
【0140】
本開示の製造方法において試薬におけるヒドロキシル基またはアミノ基のような特定の官能基は保護基によって保護されることが必要になる場合があることは、当業者に理解される。かくして、式(I)で示される化合物の製造は、適切な段階で、1つ以上の保護基を除去することを含み得る。
【0141】
当業者は、式(I)で示される化合物の製造のいずれの段階でも、式(II)~(V)、(VII)~(X)および(XXII)-(XVI)のいずれかで示される化合物の異性体の混合物(例えば、ラセミ体)が利用され得ることを認識する。該製造のいずれの段階でも、単一の立体異性体は、例えば、キラルクロマトグラフィー分離を使用して、異性体の混合物(例えば、ラセミ体)からそれを単離することによって得られる。
【0142】
官能基の保護および脱保護は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 4th Ed, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley (2006)および‘Protecting Groups’, 3rd Ed P.J. Kocienski, Georg Thieme Verlag (2005)(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に記載されている。
【0143】
全体を通して提供されるように、本明細書で提供される方法によれば、式(I)で示される化合物は、薬学的に許容される塩として投与され得る。式(I)で示される化合物の薬学的に許容される塩は、異なる温度および湿度における安定性、またはH2O、油もしくは他の溶媒への望ましい溶解度などのその化学的または物理的特性のうちの1つ以上のために有利であり得る。いくつかの場合、塩は、式(I)で示される化合物の単離または精製を助けるために使用され得る。
【0144】
式(I)で示される化合物が十分に酸性である場合、薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えばNaまたはK、アルカリ土類金属塩、例えばCaまたはMg、または有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。式(I)で示される化合物が十分に塩基性である場合、薬学的に許容される塩としては、無機または有機酸付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
荷電官能基の数および陽イオンまたは陰イオンの価数に応じて、複数の陽イオンまたは陰イオンが存在し得る。
【0146】
適切な塩、および本明細書における使用に適した薬学的に許容される塩に関する総説については、Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19または“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, selection and use”, P.H. Stahl, P.G. Vermuth, IUPAC, Wiley-VCH, 2002(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照。
【0147】
式(I)で示される化合物は、その塩および共結晶形態の混合物を形成し得る。本明細書で提供される方法は、式(I)で示される化合物のこのような塩/共結晶混合物を使用し得ることも理解されるべきである。
【0148】
塩および共結晶は、周知技術、例えば、X線粉末回折、単結晶X線回折(例えば、プロトン位置、結合長または結合角を評価するため)、固相NMR(例えば、C、NまたはP化学シフトを評価するため)または分光学的技術(例えば、O-H、N-HまたはCOOHシグナルおよび水素結合によって生じるIRピークシフトを測定するため)を用いて特徴付けることができる
【0149】
式(I)で示される特定の化合物は、式(I)で示される化合物の薬学的に許容される塩の溶媒和物を包含する溶媒和形態、例えば水和物で存在し得ることもまた理解されるべきである。
【0150】
一の実施態様において、式(I)で示される特定の化合物は、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として存在し得る。本開示は、このような異性体をすべて包含することが理解されるべきである。式(I)で示される特定の化合物は、また、結合回転がその特定の結合の周りに制限される結合(例えば、炭素-炭素結合、アミド結合のような炭素-窒素結合)、例えば環結合または二重結合の存在により生じる制限を含み得る。したがって、本明細書で提供される方法はこのような異性体を用いることができることが理解されるべきである。式(I)で示される特定の化合物は、また、複数の互変異性体を含有し得る。本開示は、このような互変異性体をすべて包含することが理解されるべきである。立体異性体は、慣用技術、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶法を用いて分離することができるか、または立体異性体は、立体選択的合成法によって製造することができる。
【0151】
さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、式(I)で示される化合物のいかなる同位体標識(または「放射性標識」)誘導体を包含する。このような誘導体は、1個以上の原子が、自然界に典型的に見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換えられている式(I)で示される化合物の誘導体である。取り込まれ得る放射性核種の例としては、2H(重水素のために「D」とも記載される)が挙げられる。したがって、一の実施態様において、1個以上の水素原子が1個以上の重水素原子によって置き換えられている式(I)で示される化合物が提供される;重水素化合物は、気管支拡張症を処置するための本明細書で提供される方法のうちの1つにおいて使用される。さらなる実施態様において、気管支拡張症は非CF気管支拡張症である。
【0152】
さらなる実施態様において、式(I)で示される化合物は、ヒトまたは動物の体内で分解されて式(I)で示される化合物を与えるプロドラッグの形態で投与され得る。プロドラッグの例としては、式(I)で示される化合物のインビボ加水分解性エステルが挙げられる。
【0153】
カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式(I)で示される化合物のインビボ加水分解性エステルは、例えば、ヒトまたは動物の体内で加水分解して親酸またはアルコールを生成する薬学的に許容されるエステルである。エステルプロドラッグ誘導体の例については、Curr. Drug. Metab. 2003, 4, 461(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照。
【0154】
プロドラッグの種々の他の形態が当該技術分野において知られており、本明細書で提供される方法に使用され得る。プロドラッグ誘導体の例について、Nature Reviews Drug Discovery 2008, 7, 255(その開示内容は、全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照。
【実施例0155】
以下の実施例を参照して本発明をさらに例示する。しかしながら、この実施例は、上記の実施態様と同様に、例示であり、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0156】
実施例 - 非嚢胞性線維症気管支拡張症を有する被験体において24週間1日1回投与した(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドの効力、安全性および忍容性、ならびに薬物動態
非嚢胞性線維症(CF)気管支拡張症(NCFBE)を有する被験体において24週間1日1回(QD)投与した、本実施例において「INS1007」と称される、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化39】
の効力を評価する。被験体は、3つの処置群に対して1:1:1の比率で無作為化して、(i)INS1007 10mg;(ii)INS1007 25mgまたは(iii)適合プラセボのいずれかを受けるようにする。
【0157】
スクリーニング来院(来院1)および最長4週間のスクリーニング期間の後、被験体は、来院2(1日目、「ベースライン」)に無作為化され、その後2週間(来院3)、4週間(来院4)、8週間(来院5)、12週間(来院6)、16週間(来院7)、20週間(来院8)、24週間(来院9)および28週間(来院10)で研究来院のために戻る。各来院中に、下記の基準の評価を可能にするために評価および手順が行われる。研究処置は来院2~9の間に行われる。
【0158】
28週目(来院10)に、バイオマーカー評価のために血液および痰の試料を採取する。
【0159】
24週間の処置期間にわたる最初の肺増悪までの時間を評価する。
【0160】
以下のさらなる基準が評価される。
1.24週間の処置期間にわたる生活の質-気管支拡張症(QOL-B)呼吸器症状ドメインスコアのベースラインからの変化。
2.24週間の処置期間にわたる気管支拡張薬投与後FEV1のスクリーニングからの変化。
3.処置前(スクリーニングおよび1日目の濃度の平均として定義される)から処置中(12週目および24週目の濃度の平均として定義される)までの痰中の活性好中球エラスターゼ(NE)の濃度の変化。
4.24週間の処置期間にわたる肺増悪率(1人当たりの事象の数/時間)。
5.24週間の処置期間にわたるQOL-Bスコア(呼吸器症状ドメインを除くすべてのドメイン)のベースラインからの変化。
6.24週間の処置期間にわたるレスター咳質問票(LCQ)スコアのベースラインからの変化。例えば、Murray et al. (2003). Thorax 58(4), pp. 339-343(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照。
7.24週間の処置期間にわたるセントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)総スコアのベースラインからの変化。
8.処置前から2週目、4週目および28週目までの痰中の活性NE濃度の変化。
9.処置前から2週目、4週目、12週目、24週目および28週目までの試薬刺激血液中の活性NEの濃度の変化。
10.2週目、4週目、12週目、24週目および28週目の痰の色(痰カラーチャートによって評価された)のベースラインからの変化。
11.2週目、4週目、12週目、24週目および28週目の尿中のデスモシンのベースラインからの変化。
12.12週目および24週目の努力肺活量(FVC)のスクリーニングからの変化。
13.12週目および24週目の最大呼気流量(PEFR)のスクリーニングからの変化。
14.12週目および24週目の努力呼気流量25%-75%(FEF25-75)のスクリーニングからの変化。
15.24週間の処置期間にわたる1人当たりの増悪の総期間(日数)。
16.24週間の処置期間にわたる救急薬(rescue medication)の使用頻度。救急薬としては、短時間作用性βアゴニスト(SABA)、短時間作用性ムスカリンアンタゴニスト(SAMA)、新たに処方された長時間作用性βアゴニスト(LABA)、長時間作用性ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、および酸素が挙げられる。
17.24週間の処置期間の終わりまでに気管支拡張症の増悪に起因して入院した被験体の数。
【0161】
肺機能試験(PFT)
肺活量測定法(FEV1、FVC、PEFR、およびFEF25-75)による肺機能試験(PFT)は、来院1(スクリーニング)、来院6および来院9の時に米国胸部学会(American Thoracic Society)(ATS/欧州呼吸器学会[ERS])基準に従って実施される。肺活量測定基準は、Miller et al. (2005). Standardization of Spirometry. Eur. Respir. J. 26, pp. 319-38に記載されている(全ての目的のために出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)。被験体には、試験を実行する前にATS/ERS肺活量測定標準化に従ってFVC手技を行う方法に関する詳細な説明が提供される。
【0162】
被験体は、試験前6時間以内に短時間作用性吸入薬(例えば、βアゴニストアルブテロール/サルブタモールまたは抗コリン作用薬イプラトロピウムブロミド)を差し控えるようにアドバイスされる。長時間作用性βアゴニスト気管支拡張薬(例えば、サルメテロールまたはフォルモテロール)もしくは長時間作用性ムスカリン気管支拡張薬(例えば、チオトロピウム)、またはアミノフィリンもしくは徐放性βアゴニストによる経口療法は、試験前に、制限された薬物のリストについて最小時間使用される薬物に応じて12~24時間差し控えるべきである。
【0163】
被験体は、試験前の少なくとも24時間、吸入コルチコステロイドの使用を差し控えるようアドバイスされる。被験体が、試験前の特定期間中に、制限された薬物を服用した場合、試験は、プロトコルで特定された来院枠内で別の来院にスケジュールが変更される。来院のスケジュール変更が被験者にとって実行不可能である場合には、試験は、ソースドキュメントに適切な注記を付して通常通り行われる。
【0164】
痰の採取
患者が自身で痰試料を産生することができない場合、以下の手順が用いられる。誘導手順は、被験者によるセイライン溶液のネブライゼーションにより開始される。セイラインの量、例えば3%または7%は、研究者の好みに基づいて決定される。選択されたセイライン約3~6mLはネブライザーに入れられ、被験者は座位またはセミファウラー位である。被験者は、ネブライゼーションの間じゅう、ノーズクリップを装着することができる。被験者は、ネブライザーマウスピースを介してゆっくりと深く呼吸し、該塩水ミストを吸入する。被験者は、素早く呼吸するのではなく、ゆっくりと深呼吸し、粒子を沈着させるためにピークで吸い込みを小休止するよう注意喚起される。ネブライゼーション時間は10分間である。
【0165】
ネブライゼーションの終わりに、被験者は、数回深呼吸し、自身の口の中の余分な唾液を飲み込み、痰試料を喀出するよう指示される。対象体は、深く咳をする方法および/または「ハフィング」咳法を用いて強制的に咳をするよう勧められる。痰はすべて、検体容器に入れられる。容器は、検体を入れる準備ができるまで開けない。容器は、試料を入れた直後に閉める。
【0166】
痰試料は、約3mL - 採取容器のボトムライン(5mL)よりわずかに下であるべきである。十分な痰試料が採取されず、被験者が誘導手順に十分に耐えているように思われる場合、被験者は、さらに10分間のネブライゼーション期間を遂行することができる。2回目の10分間のネブライゼーション期間が必要な場合、塩化ナトリウム濃度を上げることが推奨される(すなわち、最初に3%を使用した場合、次のネブライゼーションには7%を使用すべきである;最初に7%を使用した場合、次のネブライゼーションには10%を使用すべきである)。完了したら、痰試料は、さらなる分析のために微生物研究室に送られるまで冷蔵される。
【0167】
気管支拡張症の重症度インデックス(BSI)
BSIスコアは、下記の表1に記載されるようなベースラインで計算される。
【表1】

* * * * * * *
【0168】
本出願全体にわたって引用されている全ての文書、特許、特許出願、刊行物、製品説明書およびプロトコルは、全ての目的のために出典明示によりそれらの全体として本明細書の一部を構成する。
【0169】
本明細書に例示および説明されている実施態様は、本発明を製造および使用することが発明者らに知られている最良の方法を当業者に教示することだけを意図している。上記の教示に照らして当業者に理解されるように、本発明を逸脱することがない本発明の上記実施態様の変更およびバリエーションは可能である。したがって、特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたものとは別の方法で実施され得ることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書または図面に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0169】
本明細書に例示および説明されている実施態様は、本発明を製造および使用することが発明者らに知られている最良の方法を当業者に教示することだけを意図している。上記の教示に照らして当業者に理解されるように、本発明を逸脱することがない本発明の上記実施態様の変更およびバリエーションは可能である。したがって、特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたものとは別の方法で実施され得ることが理解される。
本発明には、次の実施態様が含まれる。
1. 気管支拡張症の処置を必要とする患者における気管支拡張症を処置するための方法であって、該患者に、式(I):
【化1】
[式中、
1 は、
【化2】
であり;
2 は、水素、F、Cl、Br、OSO 2 1-3 アルキルまたはC 1-3 アルキルであり;
3 は、水素、F、Cl、Br、CN、CF 3 、SO 2 1-3 アルキル、CONH 2 またはSO 2 NR 4 5 であり、ここで、R 4 およびR 5 は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成し;
6 は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC 1-3 アルキル、N(C 1-3 アルキル) 2 、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C 1-3 アルキルであり;
7 は、水素、F、ClまたはCH 3 であり;
Xは、O、SまたはCF 2 であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
2. R 1 が、
【化3】
である、項1記載の方法。
3. XがOであり;R 6 がC 1-3 アルキルであり;R 7 が水素である、項1または2記載の方法。
4. 式(I)で示される化合物が、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
4'-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イル・メタンスルホン酸塩;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3',4'-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-2-(4'-カルバモイル-3'-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4'-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;または
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド;
およびその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される、項1記載の方法。
5. 式(I)で示される化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である、項1記載の方法。
6. 式(I)で示される化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドである、項1記載の方法。
7. 組成物が、薬学的に許容される補助剤、希釈剤または担体を含む、項1~6いずれか1項記載の方法。
8. 投与が、経口投与を含む、項1~8いずれか1項記載の方法。
9. 患者への投与が1日1回行われる、項1~8いずれか1項記載の方法。
10. 患者への投与が1日2回行われる、項1~8いずれか1項記載の方法。
11. 患者への投与が1日おきに行われる、項1~8いずれか1項記載の方法。
12. 患者への投与が2日おきに行われる、項1~8いずれか1項記載の方法。
13. 処置することが、非処置の気管支拡張症患者と比較して、最初の肺増悪までの時間の長さを増加させることを含む、項1~12いずれか1項記載の方法。
14. 増加させることが、約1日間、約3日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間または約6週間増加させることを含む、項13記載の方法。
15. 増加させることが、約20日間~約100日間、または約30日間~約100日間、または約20日間~約75日間、または約20日間~約50日間、または約20日間~約40日間増加させることを含む、項13記載の方法。
16. 処置することが、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪率を低下させることを含む、項1~15いずれか1項記載の方法。
17. 率が、約1週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間、約9か月間、約12か月間、約15か月間、約18か月間、約21か月間または約24か月間にわたって算出される、項16記載の方法。
18. 患者における肺増悪率が、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%または約50%低下する、項16または17記載の方法。
19. 患者における肺増悪率が、処置前に患者が経験した肺増悪率と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%低下する、項16または17記載の方法。
20. 処置することが、処置前に患者が経験した肺増悪の期間と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者における肺増悪の期間を減少させることを含む、項1~19いずれか1項記載の方法。
21. 肺増悪期間減少が、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、または少なくとも約168時間の期間減少である、項20記載の方法。
22. 肺増悪期間減少が、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の期間減少である、項20または21記載の方法。
23. 肺増悪が、患者が少なくとも48時間示す下記の症状のうち3つ以上によって特徴付けられる、項13~22いずれか1項記載の方法:(1)咳の増加;(2)痰の量の増加または痰のコンシステンシーの変化;(3)痰の化膿性の増加;(4)息切れの増加および/または運動耐性の低下;(5)疲労および/または倦怠感;(6)喀血。
24. 処置することが、処置前の患者の肺機能と比較して、または非処置の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺機能を改善することを含む、項1~23いずれか1項記載の方法。
25. 肺機能の改善が、1秒量(forced expiratory volume in one second)(FEV1)の増加である、項24記載の方法。
26. FEV1の増加が、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%の増加である、項25記載の方法。
27. FEV1の増加が、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%または少なくとも約50%の増加である、項25記載の方法。
28. FEV1の増加が、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%または約25%~約50%の増加である、項25記載の方法。
29. FEV1の増加が、少なくとも約5%の増加である、項25記載の方法。
30. FEV1の増加が、約5%~約50%、または約10%~約50%、または約15%~約50%である、項25記載の方法。
31. FEV1の増加が、約25mL~約500mLの増加である、項25~30いずれか1項記載の方法。
32. FEV1の増加が、約25mL~約250mLである、項25~30いずれか1項記載の方法。
33. 患者における肺機能の改善が、処置前の患者の肺機能と比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの努力肺活量(FVC)の増加である、項24記載の方法。
34. FVCの増加が、処置前の患者のFVCと比較したとき、または非処置の気管支拡張症患者と比較したときの、約1%の増加、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%または約90%の増加である、項33記載の方法。
35. 処置することが、処置前の患者のQOLと比較して、患者の生活の質(QOL)を改善することを含む、項1~34いずれか1項記載の方法。
36. QOLが、生活の質-気管支拡張症(QOL-B)質問票によって評価される、項35記載の方法。
37. QOLが、レスター咳質問票(LCQ)によって評価される、項35記載の方法。
38. QOLが、セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)によって評価される、項35記載の方法。
39. 処置することが、処置前の活性NE痰濃度と比較して、患者における活性好中球エラスターゼ(NE)痰濃度を減少させることを含む、項1~38いずれか1項記載の方法。
40. 活性NE痰濃度を減少させることが、約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%減少させることを含む、項39記載の方法。
41. 活性NE痰濃度を減少させることが、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少させることを含む、項39記載の方法。
42. 処置することが、患者の痰の色が、マレー(Murray)の痰カラーチャートによって測定したとき、処置前の患者の痰の色と比較して、明るくなることを含む、項1~41いずれか1項記載の方法。
43. 患者の痰の色が薄くなることが、患者の痰の色が1階調明るくなることを含む、項42記載の方法。
44. 患者の痰の色が明るくなることが、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)へ明るくなることを含む、項42または43記載の方法。
45. 患者の痰の色が明るくなることが、粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)から粘液性(透明)へ明るくなることを含む、項42または43記載の方法。
46. 患者の痰の色が明るくなることが、化膿性(暗黄色および/または深緑色)から粘液性(透明)へ明るくなることを含む、項42記載の方法。
47. 患者が肺感染症を呈する、項1~46いずれか1項記載の方法。
48. 肺感染症がマイコバクテリア感染症である、項47記載の方法。
49. マイコバクテリア感染症が、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)感染症である、項47記載の方法。
50. マイコバクテリア感染症が非結核性抗酸菌(NTM)感染症である、項47記載の方法。
51. NTM感染症が、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウム・サブスピーシス・ホミニスイス(M. avium subsp. hominissuis)(MAH)、マイコバクテリウム・アブセサス(M. abscessus)、マイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae)、マイコバクテリウム・ボルレティイ(M. bolletii)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ウルセランス(M. ulcerans)、マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare))、マイコバクテリウム・コンスピクム(M. conspicuum)、マイコバクテリウム・カンサシ(M. kansasii)、マイコバクテリウム・ペレグリヌム(M. peregrinum)、マイコバクテリウム・イムノゲヌム(M. immunogenum)、マイコバクテリウム・ゼノピ(M. xenopi)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・マルモエンス(M. malmoense)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、マイコバクテリウム・ムコゲニクム(M. mucogenicum)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(M. scrofulaceum)、マイコバクテリウム・シミアエ(M. simiae)、マイコバクテリウム・スメグマチス(M. smegmatis)、マイコバクテリウム・ツルガイ(M. szulgai)、マイコバクテリウム・テラエ(M. terrae)、マイコバクテリウム・テラエコンプレックス(M. terrae complex)、マイコバクテリウム・ヘモフィルム(M. haemophilum)、マイコバクテリウム・ゲナベンス(M. genavense)、マイコバクテリウム・アジアチクム(M. asiaticum)、マイコバクテリウム・シモイデイ(M. shimoidei)、マイコバクテリウム・ゴルドナエ(M. gordonae)、マイコバクテリウム・ノンクロモゲニカム(M. nonchromogenicum)、マイコバクテリウム・トリプレックス(M. triplex)、マイコバクテリウム・レンチフラバム(M. lentiflavum)、マイコバクテリウム・セラツム(M. celatum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタムコンプレックス(M. fortuitum complex)(マイコバクテリウム・フォーチュイタム(M. fortuitum)とマイコバクテリウム・ケロネー(M. chelonae))またはこれらの組合せである、項50記載の方法。
52. 肺感染症がマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(M. avium complex)(MAC)(マイコバクテリウム・アビウム(M. avium)とマイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare))感染症である、項47記載の方法。
53. 肺感染症がヘモフィルス・エンフルエンザエ(Haemophilus influenzae)感染症である、項47記載の方法。
54. 肺感染症がシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)感染症である、項47記載の方法。
55. 肺感染症がストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)感染症である、項47記載の方法。
56. 肺感染症がスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)感染症である、項47記載の方法。
57. 肺感染症が、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)感染症である、項47記載の方法。
58. 患者が非嚢胞性線維症(CF)気管支拡張症患者である、項1~57いずれか1項記載の方法。
59. 処置することが予防を含む、項1~58いずれか1項記載の方法。

【外国語明細書】