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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011600
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】多段ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 1/08 20060101AFI20220107BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F04D1/08 D
F04D29/60 D
F04D29/60 E
F04D1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112843
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智志
(72)【発明者】
【氏名】松脇 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB68
3H130AB69
3H130AB70
3H130AC06
3H130BA73A
3H130BA73C
3H130BA73Z
3H130CA21
3H130CA27
3H130CA29
3H130CB00
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ00X
3H130EA01A
3H130EA01C
3H130EA01Z
3H130EA06Z
3H130EA07Z
(57)【要約】
【課題】組み立て途中において、ケーシングの位置ずれを抑制し、部品同士の干渉を防止できる多段ポンプを提供すること。
【解決手段】多段ポンプ1は、複数のインペラ42,62、及び、インペラ42,62を収容するとともに、互いに積層される複数のケーシング41、61を含む複数のポンプ部32,33と、複数のポンプ部32,33が積層され、吸込口31a及び吐出口31bを形成する流路カバー31と、最上段のポンプ部33を覆うケーシングカバー35と、複数のポンプ部32,33を締結する複数の仮組ボルト37と、複数のポンプ部32,33、流路カバー31、及び、ケーシングカバー35を締結する複数のメインボルト38と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインペラ、及び、前記インペラを収容するとともに、互いに積層される複数のケーシングを含む複数のポンプ部と、
前記複数のポンプ部が積層され、吸込口及び吐出口を形成する流路カバーと、
最上段の前記ポンプ部を覆うケーシングカバーと、
前記複数のポンプ部を締結する複数の仮組ボルトと、
前記複数のポンプ部、前記流路カバー、及び、前記ケーシングカバーを締結する複数のメインボルトと、
を備える、多段ポンプ。
【請求項2】
前記仮組ボルトは、前記複数のポンプ部及び前記ケーシングカバーを締結する、請求項1に記載の多段ポンプ。
【請求項3】
前記仮組ボルトは、前記複数のポンプ部及び前記流路カバーを締結する、請求項1に記載の多段ポンプ。
【請求項4】
前記仮組ボルトの数は、前記メインボルトの数よりも少ない、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の多段ポンプ。
【請求項5】
前記メインボルトの外径は、前記仮組ボルトの外径以上に形成される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の多段ポンプ。
【請求項6】
前記複数の仮組ボルトは、対称位置に配置され、
前記複数のメインボルトは、対称位置に配置される、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の多段ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインペラ及びケーシングを有する多段ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層ビルやタワーマンション等の給水等を行う給水装置として、多段ポンプを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。多段ポンプは、複数段のポンプ部を有する。ポンプ部は、インペラ及びポンプケーシングにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-74359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した多段ポンプは、複数段のポンプ部を有するが、これら複数のポンプ部の隣り合うケーシング間に、漏水防止用のOリング等のシール部を有する。多段ポンプの組み立て完成時においては、シール部材に隣接するケーシング等は、シール部材が完全に圧縮された位置にあり、このとき、インペラやケーシング等の各部品は他の部品と干渉しない位置となる。
【0005】
しかしながら、シール部材は、ボルトやナット等を締結し、積層したケーシング等を固定することで、高い圧縮力が加わったときに完全に圧縮されるが、多段ポンプの組み立て途中においては、シール部材は完全に圧縮されない。
【0006】
多段ポンプの組み立て途中において、ケーシング等の部材は、圧縮されきらないシール部材によって押圧されることから、多段ポンプの完成時とは異なる位置関係にあり、他の部品と干渉する虞がある。特に、多段ポンプの場合においては、段数が多くなるほど位置ずれが大きくなり、部品同士の干渉が大きくなる。そして、部品同士の干渉が大きくなると、組み立てが困難となる虞や干渉量によっては組み立て不可能となる虞もある。
【0007】
そこで本発明は、組み立て途中において、ケーシング等の位置ずれを抑制し、部品同士の干渉を防止できる多段ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の一態様として、多段ポンプは、複数のインペラ、及び、前記インペラを収容するとともに、互いに積層される複数のケーシングを含む複数のポンプ部と、前記複数のポンプ部が積層され、吸込口及び吐出口を形成する流路カバーと、最上段の前記ポンプ部を覆うケーシングカバーと、前記複数のポンプ部を締結する複数の仮組ボルトと、前記複数のポンプ部、前記流路カバー、及び、前記ケーシングカバーを締結する複数のメインボルトと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み立て途中において、ケーシングの位置ずれを抑制し、部品同士の干渉を防止できる多段ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る多段ポンプの構成を一部断面で示す概略図。
図2】同多段ポンプに用いられる第1ポンプケーシング及び第2ポンプケーシングの構成を示す斜視図。
図3】同多段ポンプに用いられる第1ポンプケーシング及び第2ポンプケーシングの流体の流れ方向で一次側の構成を示す平面図。
図4】同多段ポンプに用いられる第1ポンプケーシング及び第2ポンプケーシングの流体の流れ方向で二次側の構成を示す平面図。
図5】同第1ポンプケーシング及び第2ポンプケーシングの構成を一部断面で示す斜視図。
図6】同多段ポンプに用いられる第1インペラ及び第2インペラの構成を示す断面図。
図7】同多段ポンプに用いられる中央ケーシングの構成を示す斜視図。
図8】同中央ケーシングの構成を一部断面で示す斜視図。
図9】同多段ポンプに用いられるケーシングカバーの構成を示す平面図。
図10】同多段ポンプの製造方法の一例を示す流れ図。
図11】本発明の他の実施形態に係る多段ポンプの構成を一部断面で示す概略図。
図12】同多段ポンプに用いられる流路カバーの構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態に係る多段ポンプ1の構成を、図1乃至図10を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る多段ポンプ1の構成を一部断面で示す概略図である。図2は、多段ポンプ1に用いられる第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61の構成を示す斜視図、図3及び図4は、多段ポンプ1に用いられる第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61の流体の流れ方向で一次側及び二次側の構成をそれぞれ示す平面図である。図5は、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61の構成を一部断面で示す斜視図である。図6は、多段ポンプ1に用いられる第1インペラ42及び第2インペラ62の構成を示す断面図である。図7は、多段ポンプ1に用いられる中央ケーシング34の構成を示す斜視図、図8は、中央ケーシング34の構成を一部断面で示す斜視図である。図9は、多段ポンプ1に用いられるケーシングカバー35の構成を示す平面図である。図10は、多段ポンプ1のポンプ13の製造方法の一例を示す流れ図である。
【0013】
図1に示すように、多段ポンプ1は、モータ11と、主軸12と、ポンプ13と、を備える。例えば、多段ポンプ1は、主軸12が重力方向に延設される立形多段ポンプである。
【0014】
図1に示すように、モータ11は、モータケーシング11aと、モータケーシング11a内に設けられる固定子と、固定子により回転される回転子と、を備える。また、モータ11は、モータ主軸21を備える。
【0015】
モータ主軸21は、回転子に固定される。モータ主軸21は、回転子の回転に伴い回転する。また、モータ主軸21は、モータケーシング内で軸受により支持される。
【0016】
図1に示すように、主軸12は、モータ11により回転可能に構成される。主軸12は、ポンプ13に設けられる複数のインペラを固定可能に重力方向に延設される。主軸12は、例えば、モータ主軸21と、ポンプ主軸22と、軸継手23と、により構成される。
【0017】
ポンプ主軸22は、ポンプ13に配置される。ポンプ主軸22は、ポンプ13に設けられる複数のインペラ42、62が固定可能に形成される。ポンプ主軸22は、ポンプ13の構成品の一部である。
【0018】
軸継手23は、モータ主軸21の回転に伴いポンプ主軸22を回転可能に、モータ主軸21とポンプ主軸22を連結する。
【0019】
図1に示すように、ポンプ13は、インペラ及びケーシングを有するポンプ部を複数有する。具体的には、ポンプ13は、ポンプ主軸22と、吸込口31a及び吐出口31bを形成する流路カバー31と、上方へ向かう流れを形成する第1ポンプ群32Aと、第1ポンプ群32Aの上方に配置され、下方へ向かう流れを形成する第2ポンプ群33Aと、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33A間に設けられた中央ケーシング34と、ケーシングカバー35と、シール部材36と、仮組ボルト37と、メインボルト38と、を備える。また、ポンプ13は、主軸12とポンプ13の後述するケーシングカバー35との間には、主軸12に固定された回転環と、ケーシングカバー35に固定された固定環とが回転摺動可能、且つ、主軸12との間の隙間を密封するメカニカルシール22aが設けられる。
【0020】
図1に示すように、流路カバー31の吸込口31aは、最下段の第1ポンプ部32への流路を形成する。流路カバー31の吐出口31bは、第1ポンプ群32Aの後述する第1ケーシング流路32aに連続する流路を形成する。また、流路カバー31は、設置面に設置するためのベース31cを有し、このベース31cにメインボルト38を固定する固定部31dを複数有する。例えば、固定部31dは、ベース31cに形成された孔である。固定部31dは、吸込口31a及び吐出口31bを避けてベース31cに配置される。固定部31dは、メインボルト38と同数設けられる。複数の固定部31dは、対称配置される。具体例として、複数の固定部31dは、例えば、軸回りに等間隔か、又は、複数の固定部31dの組が対称位置に配置される。例えば、固定部31dは6つ設けられ、60度間隔で配置される。固定部31dは、メインボルト38を固定可能な、孔等である。
【0021】
例えば、メインボルト38の端部に雄ねじ部を有し、固定部31dが雌ねじ部を有することで、メインボルト38が固定部31dに螺合することで、固定部31dがメインボルト38を固定する。なお、固定部31d及びメインボルト38の固定は、メインボルト38の端部が圧入される構成であってもよく、メインボルト38にヘッド部を設けて、このヘッド部を受ける座を固定部31dが有する構成であってもよく、また、メインボルト38の端部が矩形柱状に構成され、固定部31dが矩形柱状の有底の孔とすることで軸方向及び周方向のメインボルト38の移動を規制する構成であってもよい。
【0022】
なお、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aは、収納したインペラ42、62が互いに逆向きに配置されることで、水の圧送方向が軸方向で互いに逆向きに設定される。
即ち、第1ポンプ群32Aは水の流れ方向が上方向に、第2ポンプ群33Aは水の流れ方向が下方向に設定される。
【0023】
第1ポンプ群32Aは、複数の第1ポンプ部32を積層することで構成される。第1ポンプ部32は、下方から吸い込んだ水を上方に圧送する。第1ポンプ部32は、第1ポンプケーシング41と、ポンプ主軸22に固定され、第1ポンプケーシング41に収納される第1インペラ42と、を備える。
【0024】
図2乃至図5に示すように、第1ポンプケーシング41は、内筒部(第1内筒部)51と、内筒部51を覆う外筒部(第1外筒部)52と、内筒部51及び外筒部52を一体に連結する複数のリブ(第1リブ)53と、を備える。第1ポンプケーシング41は、内筒部51の外周面の一部、外筒部52の内周面の一部、及び、隣り合う二つのリブ53の周方向で対向する面により形成される開口54を複数有する。複数の開口54は、等間隔に設けられる。
【0025】
図3及び図5に示すように、第1ポンプケーシング41は、内部に第1インペラ42を収納する収納部41aと、第1ポンプケーシング41の外周側から収納部41aの中心側に向かって形成された戻し流路41bと、一次側に連結された第1ポンプケーシング41の収納部41aに配置される案内羽根41cを備えている。
【0026】
戻し流路41bは、二次側の第1ポンプケーシング41の吸込口に水を誘導する複数の戻し羽根41dを有する。戻し流路41bは、二次側の第1ポンプケーシング41の収納部41a又は中央ケーシング34の収納部41aと連続する水の流れを形成する。
【0027】
また、第1ポンプケーシング41は、上下に隣り合う第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び流路カバー31と連結可能に形成されている。
【0028】
例えば、図2乃至図5に示すように、第1ポンプケーシング41の外筒部52は、上端または下端に係合部(第1係合部)52aを有し、下端または上端に係合部52aと係合する被係合部(第1被係合部)52bを有する。
【0029】
係合部52a及び被係合部52bは、一方に他方を挿入可能に形成される。例えば、係合部52aの外径は、被係合部52bの内径と同一径か、または、被係合部52bよりも若干小径に形成され、係合部52aが被係合部52bに挿入される。
【0030】
また、第1ポンプケーシング41は、第1インペラ42と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22が配置される開口とを備えており、第1インペラ42と対向する開口の内周縁部には、ライナリング41eが設けられる。また、複数の第1ポンプケーシング41のいずれかの開口には、水中軸受41fが配置される。
【0031】
最下段の第1ポンプケーシング41は、仮組ボルト37を挿入するため孔部43を複数有する。例えば、孔部43は、第1ポンプケーシング41の外周面に設けられる。具体例として、複数の孔部43は、第1ポンプケーシング41の外周面の対称位置に設けられ、本実施形態においては、孔部43は二つ設けられる。
【0032】
第1インペラ42は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。図1及び図6に示すように、第1インペラ42は、第1インペラ42の外周側に設けられた吐出部42aと、第1インペラ42の一方の主面側に設けられた吸込部42bと、を備えている。第1インペラ42は、吸込部42bを軸方向で下方に向け第1ポンプケーシング41内に収納される。
【0033】
第1ポンプ群32Aは、複数の第1ポンプケーシング41及び中央ケーシング34が積層されることで、複数の開口54が軸方向に連通した第1ケーシング流路32aを構成する。
【0034】
第2ポンプ群33Aは、複数の第2ポンプ部33を積層することで構成される。第2ポンプ部33は、上方から吸い込んだ水を下方に圧送する。第2ポンプ部33は、上方から吸い込んだ水を下方に圧送可能に構成される。第2ポンプ部33は、第2ポンプケーシング61と、ポンプ主軸22に固定され、第2ポンプケーシング61に収納される第2インペラ62と、を備える。ここで、図2に示すように、第2ポンプケーシング61は、第1ポンプケーシング41と同等の構成である。即ち、第2ポンプ部33は、第1ポンプ部32と比較して、第1ポンプケーシング41及び第1インペラ42に対して第2ポンプケーシング61及び第2インペラ62を逆向きに配置することで水の圧送方向を逆向きに設定される。このため、多段の第1ポンプ群32Aは、水の流れ方向で最下段が一次側、最上段が二次側になり、そして、多段の第2ポンプ群33Aは、水の流れ方向で最上段が一次側、最下段が二次側になる。
【0035】
図2乃至図5に示すように、第2ポンプケーシング61は、内筒部(第2内筒部)71と、内筒部71を覆う外筒部(第2外筒部)72と、内筒部71及び外筒部72を一体に連結する複数のリブ(第2リブ)73と、を備える。第2ポンプケーシング61は、内筒部71の外周面の一部、外筒部72の内周面の一部、及び、隣り合う二つのリブ73の周方向で対向する面により形成される開口74を複数有する。複数の開口74は、等間隔に設けられる。なお、第2ポンプケーシング61は、第1ポンプケーシング41と、同等の構成である。このため、同一図面を用いて説明する。ただし、第2ポンプケーシング61は、第1ポンプケーシング41と、収容するインペラ(第2インペラ62)の向きが異なることから、同等の構成であっても、その詳細な形状や、各構成の位置関係は異なる。
【0036】
図2乃至図5に示すように、第2ポンプケーシング61は、内部に第2インペラ62を収納する収納部61aと、第2ポンプケーシング61の外周側から収納部61aの中心側に向かって形成された戻し流路61bと、一次側に連結された第2ポンプケーシング61の収納部61aに配置される案内羽根61cと、を備えている。
【0037】
戻し流路61bは、二次側の第2ポンプケーシング61の吸込口に水を誘導する複数の戻し羽根61dを有する。戻し流路61bは、二次側の第2ポンプケーシング61の収納部61a又は中央ケーシング34の収納部61aと連続する水の流れを形成する。
【0038】
また、第2ポンプケーシング61は、上下に隣り合う第2ポンプケーシング61及び中央ケーシング34と連結可能に形成されている。
【0039】
例えば、図2乃至図5に示すように、第2ポンプケーシング61の外筒部72は、上端または下端に係合部(第2係合部)72aを有し、下端または上端に係合部72aと係合する被係合部(第2被係合部)72bを有する。
【0040】
係合部72a及び被係合部72bは、一方に他方を挿入可能に形成される。例えば、係合部72aの外径は、被係合部72bの内径と同一径か、または、被係合部72bよりも若干小径に形成され、係合部72aが被係合部72bに挿入される。
【0041】
また、第2ポンプケーシング61は、第2インペラ62と所定の隙間により離間する開口と、ポンプ主軸22が配置される開口とを備えており、第2インペラ62と対向する開口の内周縁部には、ライナリング61eが設けられる。
【0042】
第2インペラ62は、例えばステンレスや樹脂等で形成される。図6に示すように、第2インペラ62は、第2インペラ62の外周側に設けられた吐出部62aと、第2インペラ62の一方の主面側に設けられた吸込部62bと、を備えている。第2インペラ62は、吸込部62bを軸方向で上方に向け第2ポンプケーシング61内に収納される。
【0043】
第2ポンプ群33Aは、複数の第2ポンプケーシング61及び中央ケーシング34が積層されることで、複数の開口54が軸方向に連通した第2ケーシング流路33aを構成する。
【0044】
なお、本実施形態では、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aは、第1インペラ42の枚数と第2インペラ62の枚数を同数としているが、異数であってもよく、また、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33Aは、羽根径、吸込径等の各種設計値を異なる設定としてもよい。
【0045】
図7及び図8に示すように、中央ケーシング34は、内筒部(第3内筒部)81と、内筒部81を覆う外筒部(第3外筒部)82と、内筒部81及び外筒部82を一体に連続する複数のリブ(第3リブ)83と、を備える。中央ケーシング34は、最上段の第1ポンプ部32及び最下段の第2ポンプ部33に連結される。換言すると、中央ケーシング34は、第1ポンプ群32Aの二次側及び第2ポンプ群33Aの二次側に連結される。中央ケーシング34は、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61と形状が異なる。
【0046】
中央ケーシング34は、内部に第1インペラ42及び第2インペラ62を収納する。また、中央ケーシング34は、収納した第1インペラ42から上方に圧送された水を第2ケーシング流路33aに誘導する第1流路101の一部である上昇流路34a、及び、収納した第2インペラ62から下方に圧送された水を第1ケーシング流路32aに誘導する第2流路102の一部である下降流路34bを構成する。
【0047】
内筒部81は、軸方向で中心を区画する板部81aを有する。内筒部81は、板部81aにより区画された下方側に設けられた第1インペラ42を収納する収納部41aと、上方側に設けられた第2インペラ62を収納する収納部61aと、を有する。即ち、中央ケーシング34は、第1ポンプ部32の一部及び第2ポンプ部33の一部を構成する。また、板部81aの中央部には、ポンプ主軸22に設けられたスリーブと微小な隙間を介して相対する円筒状のライナリング部が設けられる。
【0048】
また、図1に示すように、板部81aのライナリング部には、水中軸受81bが設けられる。水中軸受81bは、例えば、第1ポンプ群32Aまたは第2ポンプ群33Aの高圧側から低圧側に向かって挿入される。
【0049】
外筒部82は、複数のリブ83によって内筒部81と一体に連続する。複数のリブ83は、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61と同位置に同数形成される。このような外筒部82は、内筒部81の板部81a及び複数のリブ83によって区画された、内筒部81の上方側及び下方側に連通する複数の開口部91を備える。開口部91は、第1ポンプケーシング41及び第2ポンプケーシング61の開口54、74と同数且つ同形状に形成される。
【0050】
外筒部82は、隣り合う第1ポンプケーシング41の被係合部52bまたは係合部52aに係合する係合部(第3係合部)82aまたは被係合部(第3被係合部)82bと、隣り合う第2ポンプケーシング61の係合部72aまたは被係合部72bに係合する被係合部82bまたは係合部82aと、を有する。
【0051】
係合部82a及び被係合部82bは、一方に他方を挿入可能に形成される。例えば、係合部82aの外径は、被係合部82bの内径と同一径か、または、被係合部82bよりも若干小径に形成され、係合部82aが被係合部82bに挿入される。
【0052】
複数の開口部91は、それぞれ周方向で2つに区画されることで形成された第1開口部91aと、第2開口部91bと、を含む。
【0053】
第1開口部91aは、板部81aで区画された内筒部81の下方側が内筒部81の内周面に開口し、上方側が内筒部81の内周面に対して閉塞する。第1開口部91aは、内筒部81の内周面に対して開口する下方側が収納部41aに連続し、内筒部81の内周面に対して閉塞する上方側が第2ポンプケーシング61の開口74に連続する。
【0054】
第2開口部91bは、板部81aで区画された内筒部81の上方側が内筒部81の内周面に開口し、下方側が内筒部81の内周面に対して閉塞する。第2開口部91bは、内筒部81の内周面に対して開口する上方側が収納部61aに連続し、内筒部81の内周面に対して閉塞する下方側が第1ポンプケーシング41の開口54に連続する。
【0055】
また、中央ケーシング34は、収納部41a及び収納部61aに配置される案内羽根92を備える。案内羽根92は、第1インペラ42及び第2インペラ62から吐き出された水を、収納部41a及び収納部61aから第1開口部91a及び第2開口部91bに誘導する。
【0056】
このような中央ケーシング34は、内筒部81の収納部41a及び複数の第1開口部91aが、第1ポンプ群32Aの二次側と第2ポンプ群33Aの第2ケーシング流路33aを連続する上昇流路34aを構成する。また、中央ケーシング34は、内筒部81の収納部61a及び複数の第2開口部91bが、第2ポンプ群33Aの二次側と第1ポンプ群32Aの第1ケーシング流路32aを連続する下降流路34bを構成する。
【0057】
ケーシングカバー35は、最上段の第2ポンプケーシング61を覆う。ケーシングカバー35は、流路カバー31の吸込口31aから第1インペラ42内を通過し、中央ケーシング34の上昇流路34a及び第2ケーシング流路33aを介して揚水された水を最上段の第2ポンプ部33の第2インペラ62へ誘導する流路を形成する。図1及び図9に示すように、ケーシングカバー35は、例えば、フランジ部35aを有する。図9に示すように、フランジ部35aは、仮組ボルト37が挿入される第1孔部35bと、メインボルト38が挿入される第2孔部35cと、を有する。
【0058】
第1孔部35bは、仮組ボルト37を固定可能に形成される。例えば、第1孔部35bは、内周面に雌ねじが形成されている。第1孔部35bは、仮組ボルト37と同数、本実施形態においては2つ設けられ、対称位置に配置される。具体的に説明すると、2つの第1孔部35bは、180°間隔で配置される。
【0059】
第2孔部35cは、メインボルト38と同数、本実施形態においては6つ設けられる。6つの第2孔部35cは、例えば、フランジ部35aの軸心を中心として対称に配置される。具体的に説明すると、6つの第2孔部35cは、60°間隔で軸心周りに配置される。なお、例えば、第1孔部35bは、第2孔部35cに対して軸心周りに30°ずれて配置される。
【0060】
シール部材36は、例えば、Oリングである。シール部材36は、各部品間で圧縮されることで、各部品間内部の水が漏水することを防止する。具体例として、シール部材36は、隣り合う第1ポンプケーシング41の間、第1ポンプケーシング41及び中央ケーシング34の間、中央ケーシング34及び第2ポンプケーシング61の間、隣り合う第2ポンプケーシング61の間、第1ポンプケーシング41及び流路カバー31の間、並びに、第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35の間に設けられる。
【0061】
仮組ボルト37は、複数、本実施形態においては二本設けられる。仮組ボルト37は、例えば、両端に雄ねじ部37aが形成され、一端がケーシングカバー35の第1孔部35bに螺合することで固定され、他端が最下段の第1ポンプケーシング41の孔部43に挿入され、ナット37bと螺合される。
【0062】
仮組ボルト37は、第1孔部35b及びナット37bと締結されることで、例えば、少なくともポンプ13を構成する中間ケーシングである複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び複数の第2ポンプケーシング61を互いに近接する方向に押圧し、そして固定する。本実施形態においては、仮組ボルト37は、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を固定する。仮組ボルト37は、最下段の第1ポンプケーシング41からケーシングカバー35のフランジ部35aの第1孔部35bまでの長さを有する。
【0063】
メインボルト38は、複数であって、且つ、仮組ボルト37よりも多い数設けられ、本実施形態においては、六本用いられる。また、メインボルト38は、仮組ボルト37と外径が同じか、又は、仮組ボルト37より外径が大きく設定される。
【0064】
メインボルト38は、例えば、両端に雄ねじ部38aが形成され、一端が流路カバー31のベース31cの固定部31dに螺合され、他端がケーシングカバー35の第2孔部35cに挿入され、ナット38bと螺合される。
【0065】
メインボルト38は、例えば、流路カバー31のベース31cからケーシングカバー35のフランジ部35aの第2孔部35cまでの長さを有する。メインボルト38は、第2孔部35c及びナット38bと締結されることで、流路カバー31、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を互いに近接する方向に押圧し、そして固定する。
【0066】
次に、多段ポンプ1の製造方法の一例として、ポンプ13の組立方法を、図10に示す流れ図を用いて説明する。
【0067】
まず、第2ポンプ部33側を下方となる姿勢で、ケーシングカバー35、複数の第2ポンプケーシング61、中央ケーシング34及び複数の第1ポンプケーシング41を順次積層させる(ステップST1)。なお、このとき、ポンプ主軸22にケーシングカバー35及び各ケーシング61、34、41を挿通させるとともに、ケーシングカバー35及び各ケーシング61、34、41の積層時に、順次各インペラ62、42をポンプ主軸22に配置する。また、ケーシングカバー35及び第1ポンプケーシング41間、並びに、各ケーシング61、34、41間にシール部材36を配置して、ケーシングカバー35及び各ケーシング61、34、41を積層する。なお、このとき、第2ポンプ部33側が下方となる姿勢であることから、最下段となる第1ポンプケーシング41が最も上方に位置する。
【0068】
次に、仮組ボルト37を締結し(ステップST2)、最下段となる第1ポンプケーシング41の孔部43から挿入し、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を固定する。これにより、ケーシングカバー35及び各ケーシング61、34,41が軸方向に押圧され、固定されることで、各シール部材36が圧縮される。
【0069】
次に、ポンプ主軸22の第1ポンプケーシング41側の端部を、ナット22b等で締め付けることで、各インペラ42、62をポンプ主軸22に固定する(ステップST3)。このステップST3のときに、ケーシング61、34,41等の部品の位置ずれがないため、インペラ42、62及び各ケーシング61、34,41の干渉が起こらずにナット22bを締結できる。次に、第1ポンプケーシング41に流路カバー31を積層する(ステップST4)。次に、メインボルト38を流路カバー31の固定部31dに螺合し、雄ねじ部38aにナット38bを螺合し、ナット38bを雄ねじ部38aに仮止めする(ステップST5)。
【0070】
次に、流路カバー31が下方となり、ポンプ主軸22が重力方向に延設される姿勢となるように、メインボルト38を仮止めしたポンプ13の上下方向を反転させる(ステップST6)。次に、ナット38bを雄ねじ部38aに本締め(締結)する(ステップST7)。これらの工程により、ポンプ13が組み立てられる。
【0071】
次に、多段ポンプ1の駆動時について説明する。多段ポンプ1は、モータ11の駆動によりモータ主軸21が回転すると、軸継手23を介して連結されたポンプ主軸22が回転する。ポンプ主軸22が回転することで、ポンプ主軸22に固定されている第1インペラ42及び第2インペラ62が追従して回転する。
【0072】
第1インペラ42が回転することで、第1インペラ42の吸込部42bから水が吸い込まれ、第1インペラ42内で吸い込まれた水が増圧して第1インペラ42の吐出部42aから水が吐き出される。このように、第1インペラ42の吸込部42bから吸い込まれた水は、第1インペラ42内部及び第1ポンプケーシング41を介して、順次第1インペラ42内を通過し、流路カバー31の吸込口31aから中央ケーシング34の上昇流路34aへと水が揚水される。
【0073】
続いて、上昇流路34aへ揚水された水は、第2ケーシング流路33a及びケーシングカバー35を介して最上段の第2ポンプ部33へ誘導される。最上段の第2ポンプ部33へ誘導された水は、回転する第2インペラ62の吸込部62bから吸い込まれ、第2インペラ62内で増圧して第2インペラ62の吐出部62aから吐き出される。このように、第2インペラ62の吸込部62bから吸い込まれた水は、第2インペラ62内部及び第2ポンプケーシング61を介して、順次第2インペラ62内を通過し、最下段の第2ポンプ部33から中央ケーシング34の下降流路34bへと下方向に圧送される。
【0074】
そして、下降流路34bへ圧送された水は、第1ケーシング流路32aを介して流路カバー31の吐出口31bへ誘導され、吐出口31bより吐き出される。
【0075】
このように構成された多段ポンプ1によれば、ポンプ13の組立時において、仮組ボルト37によって、少なくともポンプ部32、33を形成する中間ケーシングである複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び複数の第2ポンプケーシング61を固定する。なお、本実施形態においてはこれら中間ケーシングであるケーシング41、34、61に加えてケーシングカバー35を締結する。そして、その後、他の構成、本実施形態においては、流路カバー31を積層して、メインボルト38によって、流路カバー31、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を本締めする構成である。
【0076】
即ち、シール部材36が介在される部品の一部(例えば、ケーシング41、34、61及びケーシングカバー35)をポンプ13の組立途中に仮組ボルト37で仮組してシール部材36を圧縮し、その後、他の部品、例えば、インペラ42、62及びポンプ主軸22や、流路カバー31を組み立て、最後にメインボルト38を締結することでポンプ13を組み立てることができる。このため、ポンプ13の組立途中において、各ケーシング等のシール部材36が介在される一部の部品は、ポンプ13の組立完成時と同じ位置関係となり、組立完成時における位置関係からの位置ずれを防止できる。よって、仮組ボルト37で固定される部品と他の部品、例えば、各インペラ42、62と、これら各インペラ42、62が収容される中間ケーシングである複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び複数の第2ポンプケーシング61が干渉することを防止できる。よって、多段ポンプ1は、組立時に、部品干渉による組立不可能となることを抑制できる。
【0077】
また、仮組ボルト37を用いることで、ポンプ13の組立完成時においては、仮組ボルト37及びメインボルト38によってポンプ13を固定することができることから、高い揚水性能を有する多段ポンプ1であっても、確実に各部品を固定することができる。
【0078】
また、仮組ボルト37がポンプ13の組立完成時にポンプ13の構成に含まれることで、メンテナンス時等にポンプ13を分解し、そして、再組立するときに、同様に、仮組ボルト37で組立途中にシール部材36を圧縮することができる。
【0079】
また、ポンプ13は、仮組ボルト37により、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を仮組し、その後、メインボルト38で流路カバー31を組み立てる構成である。特に、流路カバー31は、吸込口31a及び吐出口31bを有する構成であることから、メインボルト38等を配置する領域に限りがあり、このため、仮組ボルト37を流路カバー31に設けない構成とすることで、メインボルト38を配置する自由度が向上し、メインボルト38を好適な配置関係を設定することが容易となる。
【0080】
また、メインボルト38の外径を仮組ボルト37の外径以上に形成することで、メインボルト38を仮組ボルト37よりも強固に締結可能となり、多段ポンプ1のトルク管理が可能となる。
【0081】
上述したように、本発明の一実施形態に係る多段ポンプ1によれば、組み立て途中において、ケーシング41、34、61の位置ずれを抑制し、部品同士の干渉を防止できる。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、仮組ボルト37は、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を仮組する構成を説明したがこれに限定されず、例えば、仮組ボルト37は、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61を仮組する構成であってもよく、また、流路カバー31、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び複数の第2ポンプケーシング61を仮組する構成であってもよい。
【0083】
また、例えば、仮組ボルト37は、流路カバー31、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35の一部を仮組する構成であってもよい。例えば、複数の第1ポンプケーシング41を仮組する仮組ボルト37と、複数の第2ポンプケーシング61を仮組する仮組ボルト37を設ける構成としてもよい。
【0084】
即ち、仮組ボルト37は、シール部材36が間に設けられるケーシングやカバー等の部品同士を、組立途中において締結して固定することで、シール部材36の一部又は全部をポンプ13の組立途中において圧縮し、いくつかの部品の位置関係をポンプ13の組立完了時の位置関係にすることができれば、位置ずれの量が低減できることから、ポンプ13の形状や構成に応じて、仮組ボルト37が仮組する部品を適宜設定できる。
【0085】
また、上述した例では、多段ポンプ1のポンプ13は、上方へ向かう流れを形成する第1ポンプ群32Aと、下方へ向かう流れを形成する第2ポンプ群33Aと、第1ポンプ群32A及び第2ポンプ群33A間に設けられた中央ケーシング34と、を備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、多段ポンプ1は、第1ポンプ群32Aのみ、または、第2ポンプ群33Aのみを有する構成としてもよい。このような構成とした場合であっても、多段ポンプ1は、仮組ボルト37を設ける構成とすることで、シール部材36をポンプ13の組立途中において圧縮させることができる。
【0086】
また、上述した例では、多段ポンプ1は、立形多段ポンプの例を説明したがこれに限定されず、複数の部品間に圧縮することで漏水を防止するシール部材36を設ける構成であれば、他のポンプであっても適用できる。
【0087】
また、上述した例では、多段ポンプ1は、仮組ボルト37及びメインボルト38を別のボルトとする例を説明したがこれに限定されない。例えば、図11に示す他の実施形態に係る多段ポンプ1Aのように、複数のメインボルト38のうち、いくつかのメインボルト38を仮組ボルト37としての機能を持つ兼用ボルト39とする構成としてもよい。このような構成とする場合には、兼用ボルト39は、仮組ボルト37としての機能を持たせるため、一方の端部の雄ねじの長さを挿入孔31e及び孔部43の両方に届く長さとする。
【0088】
そして、兼用ボルト39及びナット37bで、例えば、少なくともポンプ13を構成する中間ケーシングである複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34及び複数の第2ポンプケーシング61を互いに近接する方向に押圧し、そして固定する。その後、兼用ボルト39及びメインボルト38を、ナット37b、37cと締結させることで、流路カバー31A、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を互いに近接する方向に押圧し、そして固定すればよい。
【0089】
なお、このような多段ポンプ1Aとする場合においては、流路カバー31Aは、図12に示すように、メインボルト38が締結する固定部31dに加えて、兼用ボルト39を挿入可能な挿入孔31eを設け、兼用ボルト39は、二か所において、ナット37b、37cと締結する構成とすればよい。
【0090】
このような多段ポンプ1Aによれば、兼用ボルト39に仮組ボルト37及びメインボルト38の機能、即ち、流路カバー31A、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を固定する機能を持たせることができる。よって、兼用ボルト39及びメインボルト38を等間隔に配置すればよく、設計が容易となるとともに、強固に流路カバー31A、複数の第1ポンプケーシング41、中央ケーシング34、複数の第2ポンプケーシング61及びケーシングカバー35を固定することが可能となる。
【0091】
このように、兼用ボルト39は、仮組ボルト37及びメインボルト38の部品の共用化が可能となる。よって、兼用ボルト39は、仮組ボルト37を設ける箇所に用いることができるだけでなく、兼用ボルト39は、メインボルト38として用いることもできる。このため、メインボルト38に兼用ボルト39を用いることもできる。また、メインボルト38及び仮組ボルト37として、全てのボルトに兼用ボルト39を用いることもできる。このように、兼用ボルト39を用いると、メインボルト38とは別に仮組ボルト37を設ける必要がなく、部品点数も削減できる。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0093】
1、1A…多段ポンプ、11…モータ、11a…モータケーシング、12…主軸、13…ポンプ、21…モータ主軸、22…ポンプ主軸、23…軸継手、22a…メカニカルシール、31、31A…流路カバー、31a…吸込口、31b…吐出口、32A…第1ポンプ群、32…第1ポンプ部、32a…第1ケーシング流路、33A…第2ポンプ群、33…第2ポンプ部、33a…第2ケーシング流路、34…中央ケーシング、34a…上昇流路、34b…下降流路、35…ケーシングカバー、35a…フランジ部、35b…第1孔部、35c…第2孔部、36…シール部材、37…仮組ボルト、37a…雄ねじ部、37b…ナット、38…メインボルト、38a…雄ねじ部、38b…ナット、39…兼用ボルト、41…第1ポンプケーシング、41a…収納部、41b…戻し流路、41c…案内羽根、41d…戻し羽根、41e…ライナリング、41f…水中軸受、42…第1インペラ、42a…吐出部、42b…吸込部、51…内筒部、52…外筒部、52a…係合部、52b…被係合部、53…リブ、54…開口、61…第2ポンプケーシング、61a…収納部、61b…戻し流路、61c…案内羽根、61d…戻し羽根、61e…ライナリング、62…第2インペラ、62a…吐出部、62b…吸込部、71…内筒部、72…外筒部、72a…係合部、72b…被係合部、73…リブ、74…開口、81…内筒部、81a…板部、81b…水中軸受、82…外筒部、82a…係合部、82b…被係合部、83…リブ、91…開口部、91a…第1開口部、91b…第2開口部、92…案内羽根、101…第1流路、102…第2流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12