(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116148
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】飛翔体発射システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F41F 1/00 20060101AFI20220802BHJP
F41B 11/72 20130101ALI20220802BHJP
F41B 11/68 20130101ALI20220802BHJP
F41B 11/62 20130101ALI20220802BHJP
B64G 1/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
F41F1/00
F41B11/72
F41B11/68
F41B11/62
B64G1/00 200
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084593
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2019551770の分割
【原出願日】2017-12-13
(31)【優先権主張番号】62/433,558
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,マイルズ アール.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、発射システムおよび方法に関する。
【解決手段】発射システムおよび方法は、少なくとも、主加速管システム(MAT)と組み合わせて使用され得る予備加速管システム(PAT)を含み得る。PATは、試験および/またはペイロード送達のために飛翔体を発射させるのに、単独でまたはMATと組み合わせて使用され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体を減速させるためのソフトキャッチシステムであって、前記ソフトキャッチシステムは、
前記飛翔体のそこを通る長手方向の移動のために構成された飛行管と、
前記飛翔体を減速させるように構成された少なくとも1つの構成要素であって、前記少なくとも1つの構成要素は、前記飛行管内に存在する、少なくとも1つの構成要素と、
を備える、ソフトキャッチシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構成要素は、定圧条件における組成、分子量、温度、および密度のうちの1つ以上に基づいて異なる複数のガスで充填された、前記飛行管の複数のセクションを備える、請求項1に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項3】
前記飛行管の複数のセクションは、封止膜によって前記飛行管の低圧セクションから分離される、請求項2に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項4】
少なくとも前記飛行管の複数のセクションを取り囲むベント管をさらに備える、請求項2に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項5】
前記飛行管の複数のセクションは、複数のベントを含む、請求項2に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項6】
前記飛行管の複数のセクションの後ろに位置決めされた受動クッションおよび能動クッションの一方または両方をさらに備える、請求項2に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項7】
前記受動クッションは、可変密度フォームの形態で存在する、請求項6に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項8】
前記能動クッションは、反動ピストンの形態で存在する、請求項6に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項9】
前記受動クッションは、前記飛行管の複数のセクションの後ろに存在し、前記能動クッションは、前記受動クッションの後ろに存在する、請求項6に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素は、前記飛翔体の少なくとも一部の上に存在する気体軸受バンドと相互作用するように構成されたアブレーション材料を備える、請求項1に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項11】
前記アブレーション材料は、前記飛行管の一部の内表面上に存在する、請求項10に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項12】
前記飛行管の一部は、ランプとして構成される、請求項11に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項13】
前記飛翔体が前記飛行管を通って移動する際に前記アブレーション材料を適用する、前記飛翔体の前に配列された構成要素をさらに備える、請求項10に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項14】
前記アブレーション材料は、前記飛行管の長さに沿って形成された少なくとも1つの溝内に位置決めされる、請求項10に記載のソフトキャッチシステム。
【請求項15】
飛翔体の発射のための発射システムであって、前記発射システムは、
そこを通る前記飛翔体の予備加速のために構成された予備加速管(PAT)と、
そこを通る前記飛翔体のさらなる加速のために構成された主加速管(MAT)と、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のソフトキャッチシステムと、
を備える、発射システム。
【請求項16】
前記PATは、
ガスを受容するように構成された前段加速チャンバと、
前記ガスを加熱するように構成された電気ヒータと、
前記前段加熱チャンバの下流にあり、かつ前記前段加熱チャンバと流体連通している弁アセンブリであって、前記弁アセンブリは、少なくとも1つの圧力解放弁を含む、弁アセンブリと、
前記弁アセンブリの下流にあり、かつ前記弁アセンブリと流体連通している前段加速管であって、前記前段加速管は、前記飛翔体を収容するように構成される、前段加速管と、
を含むように配列され、
前記少なくとも1つの圧力解放弁の開放は、前記前段加速管を通して前記飛翔体を加速させるのに十分な圧力波を生み出す、請求項15に記載の発射システム。
【請求項17】
前記前段加速チャンバは、内部加熱システムを備える、請求項16に記載の発射システム。
【請求項18】
前記前段加速チャンバは、外部加熱システムを備える、請求項16に記載の発射システム。
【請求項19】
前記MATは、少なくとも2つの同心状の導電性管で形成された主管を備え、前記主管は、前記飛翔体への電気エネルギーの送達のために構成される、請求項15に記載の発射システム。
【請求項20】
前記発射システムは、前記飛翔体の一部が前記MATを出て、前記飛翔体の一部が前記ソフトキャッチシステムをもって捕捉されるように構成される、請求項19に記載の発射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛翔体発射のためのシステム、方法、および装置に関する。特に、本開示は、飛翔体の急加速のために前段加速管を利用する発射システムおよび方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野においては、既存のライトガスガンシステムおよび関連するソフトキャッチシステムが周知である。その例として、米国特許第3,678,745号、米国特許第3,940,981号、米国特許第7,954,413号、米国特許第8,536,502号、米国特許第8,979,033号、およびDTIC ADA253366(1992年6月)の「Measurement of Acceleration Using an Instrumented Railgun Projectile」が挙げられる。
【0003】
先行技術のシステムおよび方法は、少なくとも以下の制限を被り、これらの多くは相互に関連している:1)高いガン加速度、2)高いガン推進圧力、3)高いチャンバ壁径厚比、4)高い発射管壁径厚比、5)限定された発射管径、6)限定された発射管長さ、7)限定された発射体のサイズおよび質量、8)限定された発射体の速度、9)高いソフトキャッチ減速度、および10)ソフトキャッチの発射体に対する損傷度。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの制限により、非常にコストがかかり、遠隔の長距離測定のみが可能であるロケット推進自由飛行試験による場合を除いて、大きな規模でまたは本格的に極超音速試験を行うことができない。精密な地上測距機器によって可能な詳細な測定の規定がない。さらに、短時間で長距離の場所への高い優先度の荷物の迅速な物流配達のための商業的および軍事的用途が可能である。当技術分野において、上記の1つ以上の問題に対処する発射システムおよび方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発射飛翔体、発射システム、およびペイロード発射方法は、米国特許第9,463,881号明細書および米国特許第9,617,016号明細書に記載されている。これらの開示内容を参照により本願明細書に引用したものとする。本開示は、本明細書に記載されている同じ原理の多くを取り入れた発射システムおよび方法に関する。特に、本開示は、自律飛行または自由飛行発射のための管を通して発射飛翔体を加速させるためのシステムおよび方法を記載している。上述した内容に加えて、本開示は、特に、発射管システムの個々の要素および関連する構成要素に関する。特に、本開示は、飛翔体の発射のために主加速管システム(MAT)と組み合わせて使用され得る予備加速管システム(PAT)について記載している。
【0006】
(例えば、物流配達のための)飛翔体の自由飛行解放に関連する1つ以上の実施形態では、飛翔体は、比較的小さい角度(例えば、水平面から上に約1°~水平面辺りの約20°)で、水平方向に、または比較的小さく下向きの軌道で(例えば、水平面より下に約1°~約10°)発射され得る。さらに別の適切な発射角は、本明細書に記載されている。自由飛行している飛翔体は、このとき、飛行の終了時に望ましい目的地点に到達するのに必要な軌道へと上方および左右にピッチングするために内部の誘導システム、航法システム、および制御システムを使用する。有利には、先行技術のシステムのように、傾斜面もしくは山の面に、または水上に浮いた状態で発射システムを建設する必要がない。水平方向にまたは下方に傾斜して建設するには、自己破壊を防止するために飛翔体が能動的に上昇させる必要があるため、安全な飛行プロファイルを確実にする追加の方法を提供する必要がある。
【0007】
様々な実施形態では、本開示の発射システムおよび方法は、上記の制限に関して十分な改良点を提供する。表1は、本開示の実施形態の発射システムおよび方法によって達成される例示的な改良点およびそのおおよその大きさを示している。しかしながら、表1に示されている例は、必然的に本開示の範囲を限定するものと見なすべきである。むしろ、本開示は、本明細書に含まれる全ての実施形態を包含する。本開示の発射システムおよび方法は、特に、より低コストで、より高頻度で、より最適な試験および物流配達を可能にし得る。
【表1】
【0008】
したがって、1つ以上の実施形態では、本開示は、飛翔体の発射のための発射システムを提供し得る。非限定的な実施例として、発射システムは、ガスを受容するように構成された前段加速チャンバおよびガスを加熱するように構成された電気ヒータを含む予備加速管システム(PAT)と、前段加熱チャンバの下流側に位置し、前段加熱チャンバと流体連通している弁アセンブリであって、少なくとも1つの圧力解放弁を含む弁アセンブリと、弁アセンブリの下流側に位置し、弁アセンブリと流体連通している前段加速管であって、飛翔体を収容するように構成された前段加速管とを備え得、弁アセンブリの少なくとも1つの圧力解放弁の開放は、前段加速管を通して飛翔体を加速するのに十分な圧力波を生み出す。さらに別の実施形態では、発射システムは、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の開示内容の1つ以上に関して定義され得る。
【0009】
前段加速チャンバは、飛翔体が前段加速管を通して加速される方向に対して反対の長手方向に移動するように構成され得る。
【0010】
発射システムはさらに、前段加速チャンバに関連する1つ以上の反動制御要素を備え得る。
【0011】
前段加速チャンバは、前段加速チャンバの長手方向移動を安定させるように構成された1つ以上の支持体の上に位置決めされ得る。
【0012】
請求項1の発射システムでは、前段加速チャンバは、少なくとも外側構造的支持層と、外側構造的支持層の内側の絶縁層とを備え得る。
【0013】
前段加速チャンバは、内部加熱システムを備え得る。
【0014】
前段加速チャンバは、貫通して延在する1つ以上の供給路を備え、供給路内に位置決めされた1つ以上の電気接点を備え得、1つ以上の供給路は、電気的に絶縁され、圧力封止式であり得る。
【0015】
前段加速チャンバは、外部加熱システムを備え得る。
【0016】
弁アセンブリは、入口弁と出口弁とを有する長尺管を備え得、入口弁および出口弁の一方または両方は、圧力解放弁であり得る。
【0017】
弁アセンブリの入口弁および出口弁の一方または両方は、バーストディスクを含み得る。
【0018】
弁アセンブリは、弁アセンブリからのガスの流入および流出の一方または両方のために構成された連絡配管および弁を備える。
【0019】
発射システムはさらに、弁アセンブリの下流側および前段加速管の上流側に位置決めされた前段加速ローダであって、PATに飛翔体を装填するように構成された前段加速ローダを備え得る。
【0020】
前段加速ローダは、弁アセンブリおよび前段加速管と位置合わせされた位置と弁アセンブリおよび前段加速管と位置合わせされていない位置との間で並進可能な少なくとも1つの管セグメントを備え得る。
【0021】
発射システムはさらに、前段加速管の下流側に位置決めされたガスストリッパー管を備え得、ガスストリッパーは、ガスを抜くように構成される。
【0022】
発射システムはさらに、複数のゲート弁を含む出口ポータルを備え得る。
【0023】
出口ポータルはさらに、複数のゲート弁から下流側に位置決めされた膜ユニットを含み得る。
【0024】
発射システムはさらに、PATの下流側に位置決めされた主加速管システム(MAT)を備え得る。
【0025】
MATは、少なくとも2つの同心状の導電性管で形成された主管であって、飛翔体に電気エネルギーを送達するように構成された主管を備え得る。
【0026】
1つ以上の実施形態において、本開示は、飛翔体の発射方法を提供し得る。非限定的な実施例では、該方法は、予備圧力に達するまで加圧ガスを圧力容器に添加することと、ガスが予備圧力の少なくとも2倍である伝播圧力に達するように圧力容器内のガスを加熱することと、少なくとも1つの圧力解放弁を備える弁アセンブリであって、圧力容器の下流側に位置決めされ、圧力解放弁によって圧力容器と流体連通される弁アセンブリ内の圧力を調整することとを含み得、弁アセンブリ内の圧力の調整は、少なくとも1つの圧力解放弁を開放するのに十分に行われ、少なくとも1つの圧力解放弁の開放は、圧力容器からのガスを弁アセンブリに通過させ、弁アセンブリから下流側に位置決めされた飛翔体を加速させる。さらに別の実施形態では、該方法は、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の開示内容の1つ以上に関して定義され得る。
【0027】
予備圧力は、少なくとも2barであり得る。
【0028】
加圧ガスは、圧力容器内で約500K~約3,000Kの温度まで加熱され得る。
【0029】
前記調整前では、弁アセンブリ内の圧力は、圧力容器内の圧力より低い圧力であり得、飛翔体が弁アセンブリから下流側に位置決めされているときの圧力より高い圧力であり得る。
【0030】
飛翔体が弁アセンブリから下流側に位置決めされているときの圧力は、1bar未満であり得る。
【0031】
少なくとも1つの圧力解放弁は、バーストディスクを備え得る。
【0032】
圧力容器から出るガスは、少なくとも1,000m/sの速度まで飛翔体を加速させるのに十分であり得る。
【0033】
該方法はさらに、飛翔体を複数のゲート弁を含む出口ポータルに通過させることを含み得る。
【0034】
出口ポータルはさらに、複数のゲート弁から下流側に位置決めされた膜ユニットを含み得る。
【0035】
該方法はさらに、飛翔体を長手方向に移動させるように構成された飛行管と飛翔体を減速させるように構成された飛行管内の少なくとも1つの構成要素とを備えるソフトキャッチシステムへと飛翔体を移動させることを含み得る
【0036】
該方法は、少なくとも2つの同心状の導電性管で形成された主管であって、飛翔体に電気エネルギーを送達するように構成された主管を含み得る主加速管システム(MAT)に飛翔体を通過させることを含み得る。
【0037】
1つ以上の実施形態において、本開示は、ソフトキャッチシステムに関連し得る。非限定的な実施例として、ソフトキャッチシステムは、飛翔体を長手方向に移動させるように構成された飛行管と、飛翔体を減速させるように構成された飛行管内の少なくとも1つの構成要素とを備え得る。さらに別の実施形態では、ソフトキャッチシステムは、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の開示内容の1つ以上に関して定義され得る。
【0038】
飛翔体を減速させるように構成された飛行管内の少なくとも1つの構成要素は、定圧条件における組成、分子量、温度、および密度の1つ以上に基づいて異なる複数のガスで充填された飛行管の複数のセクションを備え得る。
【0039】
複数のガスで充填された飛行管の複数のセクションは、封止膜によって飛行管の低圧セクションから分離され得る。
【0040】
ソフトキャッチシステムはさらに、少なくとも複数のガスで充填された飛行管の複数のセクションを取り囲むベント管を備え得る。
【0041】
複数のガスで充填された飛行管の複数のセクションは、複数のベントを含み得る。
【0042】
飛翔体を減速させるように構成された飛行管内の少なくとも1つの構成要素は、飛翔体の少なくとも一部に存在する気体軸受バンドと相互作用するように構成されたアブレーション材料を備え得る。
【0043】
アブレーション材料は、飛行管内のランプとして構成され得る。
【0044】
アブレーション材料は、飛行管の長さに沿って形成された少なくとも1つの溝内に位置決めされ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、冷却軽ガスもしくは液体および予熱要素を軽ガス加速器のブリーチ領域に迅速に導入することによって軽ガス加速器を迅速に点火する方法に関連し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示は、後で軽ガス加速器のブリーチ領域に迅速に導入される要素を外部で予熱することによって、軽ガス加速器の速度をさらに高める方法に関連し得る。
【0047】
上記では本開示を大まかに説明したが、以降では、添付図面を参照しながら説明する。添付図面は、必ずしも正確な縮尺率で描かれているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】予備加速管(PAT)システムと主加速管(MAT)システムとを含む本開示の実施形態に従う発射システムの概略図である。水素および窒素の使用の指示は例に過ぎず、アルゴン、ヘリウムなどのような他のガスの使用を除外するものではない。
【
図2】本開示の実施形態に従う発射システム全体の様々な要素を示す概略図である。
【
図3】本開示の実施形態に従うPATの拡大概略図である。
【
図4】本開示の実施形態に従う前段加速チャンバおよび関連要素を示す図である。
【
図4a】前段加速チャンバの端部に接続された反動ピストンを示す
図4の前段加速チャンバの端面図である。
【
図5a】本開示の実施形態に従う前段加速チャンバの部分断面図であり、特に、例示的な壁構造を示す図である。
【
図5b】
図5aに示されている前段加速チャンバの壁の一部の拡大図である。
【
図6a】本開示の実施形態に従う前段加速チャンバを通る水平断面図である。
【
図6b】
図6aの前段加速チャンバを通る鉛直断面図である。
【
図6c】
図6aに示されている前段加速チャンバの壁の一部の拡大図である。
【
図7a】特に弁セクションを示した、本開示に従うPATの部分図である。
【
図7b】開放位置の弁のクランプを示した、本開示の実施形態に従う
図7aの弁セクションの入口弁および/または出口弁を通る断面図である。
【
図7c】閉鎖位置の弁のクランプを示した、本開示の実施形態に従う
図7aの弁セクションの入口弁および/または出口弁を通る断面図である。
【
図8a】本開示の実施形態に従う前段加速ローダの部分図である。
【
図8b】反転機構を示した、
図8aに従う前段加速ローダを通る部分断面図である。
【
図8c】代替の反転機構を示した、
図8aに従う前段加速ローダを通る部分断面図である。
【
図9a】本開示の実施形態に従う出口ポータルを示す図である。
【
図9b】
図9aの出口ポータルの一端の膜クランプの部分断面図である。
【
図10】組み合わせられ得る追加の構成要素を示した、本開示の実施形態に従う別の出口ポータルを示す図である。
【
図11a】押し込みプラグに接続されている間および押し込みプラグから切り離された後の本開示の実施形態に係る発射管内の試験飛翔体の部分断面図である。
【
図12】本開示の実施形態に従うソフトキャッチシステムの部分断面図である。
【
図13】本開示の実施形態に従うソフトキャッチシステムの部分断面図である。
【
図14a】本開示の実施形態に従うソフトキャッチシステムの一部の上面を上方から見た部分断面図である。
【
図15】本開示の実施形態に従うソフトキャッチシステムの様々な構成要素を示す図である。
【
図16a】本開示の実施形態に従うソフトキャッチシステムの上面から見た部分断面図である。
【
図16b】後退位置の減速アームを示した、
図16aのソフトキャッチシステムを通る鉛直断面図である。
【
図16c】伸長位置の減速アームを示した、
図16aのソフトキャッチシステムを通る鉛直断面図である。
【
図17】本開示に従うPATの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示の例示的な実施形態に関して、本開示をより詳細に後述する。本開示が徹底的かつ完全なものになるように、そして当業者に本開示の範囲を十分に伝えるために、これらの例示的な実施形態について説明する。実際に、本開示は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈すべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすために提示されるものである。本明細書および添付の請求項で使用されるとき、文脈が明確に他の意味を示していない限り、単数形(「一」、「一つ」、「その」)は、複数の指示対象を含む。
【0050】
本開示は、飛翔体発射システムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、軽ガス加速器および軽ガス加速器を利用して発射を実施する方法に関連し得る。1つ以上の実施形態によれば、発射体(以降、「飛翔体」もしくは「モデル」と呼ぶ)は、軽ガス加速器(以降、予備加速管ユニット(「PAT」))を通って主加速管ユニット(MAT)へと発射され得る。飛翔体もしくはモデルは、大気圏内発射のためにMATから放出され得る。いくつかの実施形態では、PATは、飛翔体もしくはモデルを試験セクションおよびソフトキャッチセクションへと、または直接、自由大気飛行へと発射するのに使用され得る。
【0051】
図1には、PAT200およびMAT300を含む本開示の実施形態に従う発射システム100の概略図が示されている。
図1に示されているように、PAT200は、前段加速チャンバ205と、入口弁211および出口弁212を有する弁セクション(もしくは弁アセンブリ)210と、前段加速ローダ215と、ローダゲート弁216と、前段加速管220と、ガスストリッパー230とを含み、これらは全て実質的に整列される。
図3にさらに詳細に示されているように、前段加速チャンバ205と弁セクション210への入口弁211との間に、前段加速チャンバゲート弁213が含まれ得る。いくつかの実施形態では、入口弁211および出口弁212の一方または両方は、バーストディスクもしくは急速弁であり得る。第1の液体N
2供給部240が存在し、弁241およびライン242を介して液体N
2を第1のN
2気化器243に供給することにより、N
2ガスはライン244からポンプ245、加圧ライン246、および弁247を通過して、前段加速ローダ215へと流入する。ポンプ245は、N2の前段加速ローダへの注入および前段加速ローダからの送出のために構成され得る。液体H
2供給部250が存在し、H
2気化器254へと流入する前に弁252そしてポンプ253を介してライン251内の液体H
2を供給する。H
2ガスは、弁255を介してH
2気化器254から流出し、ポンプ256内の上昇圧力へと送り込まれる。加圧H
2ガスは、ライン257および弁258を通過して、前段加速チャンバ205へと、好ましくはその上流側部分へと流入する。代替的に、または追加的に、液体H
2供給部250からの液体H
2は、本明細書でさらに詳細に説明するように、発射飛翔体10の燃料タンクの充填のために前段加速ローダ215に流入するようにライン261、弁262、ポンプ263、および弁264を通過する。
【0052】
MAT300は、主管305と、移行管310と、出口ポータル内へと導く第1のゲート弁316および出口ポータルから外へ導く第2のゲート弁317を含む出口ポータル315とを含む。第2の液体N2供給部320が存在し、弁321およびライン322を介して液体N2をN2気化器323へと供給する。N2ガスはライン324およびポンプ325を通過し、ポンプ325から加圧N2ガスがライン326および弁327を通過して移行管310へと流入する。
【0053】
図1に示されている発射システム100はさらに、発射システム内のH
2ガスを必要に応じてシステムから除去することができるガス平衡システムを含む。好ましくは、次の発射を発生させることができるように発射管内部の実質的な真空状態を回復するために、毎発射後にPAT発射管からH
2ガスが除去される。このH
2は、一般に、爆発もしくは火事のような安全上の問題を引き起こすため、空気中に安全に放出することができない。したがって、通常は、H
2は、H
2をH
2Oに変換するために、適切な空気混合物で着火して、一酸化窒素汚染物質を発生させずに、安全に燃焼されなければならない。一般的には、フレア率がH
2ガス除去率とは別個に制御され得るように、PAT発射管から除去されたH
2をバラストタンクに一時的に貯蔵するのが最良の実施例である。このことにより、スケジュール調整の便宜上、そして最も効率的かつ安全な動作のために、また一酸化窒素の発生を避けるために、ガスのフレア率を調整することができる。具体的には、H
2は、H
2バラストタンク110内に貯蔵され、必要に応じて、ライン118を通過してH
2処理ユニット125(例えば、H
2フレア)へと流入する前にライン111、弁112、およびライン113を通過してポンプ115およびポンプ117へと流入する。PATおよび/またはMATの1つ以上のセクションからのH
2は、(ライン142および弁145からの)ポンプ140、(ライン152および弁155からの)ポンプ150、(ライン162および弁165からの)ポンプ160、(ライン172および弁175からの)ポンプ170、および(ライン182および弁185からの)ポンプ180のうちの任意の1つ以上のポンプから共通ライン130を介してH
2バラストタンク110へと流入し得る。弁145は、前段加速管220と流体連通し、弁155は、ガスストリッパー230と流体連通し、弁165は、主管305の上流側部分と流体連通し、弁175は、主管305の中間部分と流体連通し、弁185は、主管305の下流側部分と流体連通している。H
2の燃焼に使用する酸素121は、H
2処理ユニット125へと送達するためにポンプ119に吸い込まれてライン120へと送出され得る。したがって、酸素121は、安全で、実質的に汚染のない燃焼を実現するために、適切な割合でH
2と混合するために圧縮され得る。
【0054】
発射システム100に関して水素および窒素が例として示されているが、これらの物質を限定的なものとして解釈すべきでない。例えば、様々な実施形態では、アルゴン、ヘリウムなどのガスが窒素および水素の一方または両方と組み合わせて、または代替として使用され得る。
【0055】
発射システム100の追加の要素が
図2に示されている。PAT200は、蓄電池群271のようなPAT電源270を含み得る。同様に、MAT300は、MAT電源340を含み得る。図示されている実施形態では、蓄電池群341が使用され得、蓄電池群341は、PAT蓄電池群271と同じ蓄電池群または別個の蓄電池群であり得る。図示されているように、エネルギー貯蔵インダクタ342が、MAT蓄電池群341および爆発スイッチホルダ343(ただし、代替のスイッチの種類も使用され得る)と組み合わされる。
図2はさらに、MAT300内にある発射飛翔体10と、ペイロード準備動作および発射動作に有用な運転建屋90とを示している。発射飛翔体を監視および制御し、発射動作を支援するためのデータを提供するために、射程距離システムユニット80が設けられ得る。
【0056】
本開示の発射システムおよび方法は、既知のシステムに勝る複数の利点を提供する。例えば、本開示は、特に、低圧低重力ガス加速器を提供し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、本開示の発射システムおよび発射方法は、10,000PSI未満、5,000PSI未満、または2,000PSI未満の内圧で動作するように構成され得る。特に、内圧は、約10PSI~約10,000PSI、約20PSI~約5,000PSI、約50PSI~約2,000PSI、約100PSI~約1,000PSI、または約200PSI~約800PSIの範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、発射飛翔体の加速および/または減速時の重力は、2,000G未満、1,500G未満、または1,000G未満であり得る。特に、発射飛翔体の重力は、約2G~約2,000G、約2G~約1,000G、約2G~約500G、または約2G~約200Gであり得る。したがって、このような装置は、少なくとも、低加速度での速度制限、非常に高い長さ対直径比における摩擦損失、および有意に高い圧力および有意に高い温度のガスチャンバを備えることができないという理由から、先行技術に従った形態での実現が不可能であった。
【0057】
PAT200の前段加速チャンバ205は、
図4にさらに詳細に示されている。
図4に示されているように、前段加速チャンバ205は、水素ガスを収容するための開放内部205aを含む。前段加速チャンバからの加圧ガスの放出により、有意な反動(すなわち、発射飛翔体が加速される方向とは逆方向の長手方向移動)を発生させ得、そのため、PAT200は反動を制御するように構成された要素を含み得る。図示されているように、複数の反動ピストン2051が前段加速チャンバ205の後部に取り付けられる。
図4は、反動ピストン2051を含む前段加速チャンバ205の後部を通る部分断面図である。反動ピストン2051の第1の端部は、前段加速チャンバ205に取り付けられ、反動ピストン2051の反対側の第2の端部は、反動バックストップ2052(典型的な建設材料(例えば、鋼鉄および/またはコンクリート)で形成され得る)に取り付けられる。前段加速チャンバ205は、反動時の前段加速チャンバの長手方向移動を安定させるように構成された1つ以上の支持体2053または同様の要素の上に載置され得る。例示的な支持体は、ブッシング、レール・トロリー、揺動支持体、および弾性要素の任意の種類または組み合わせを含み得る。支持体2053は、安定した基部2054(例えば、コンクリートスラブ)上に設けられ得、基部2054自身は地面2056または他の中間支持要素上に直接位置決めされ得る。前段加速チャンバ205のすぐ下流側および前段加速チャンバゲート弁213の上流側に、摺動シール2055が位置決めされる。代替形態では、反動ピストン2051は、弾性反動パッドと置換され(または弾性反動パッドが追加され)得る。
【0058】
前段加速チャンバ205は、高圧ガスを収容するのに適した任意の構造で形成され得る。
図5aおよび
図5bに示されている実施形態では、前段加速チャンバ205は、3層構造(内層205b、中間層205c、および外層205d)を有する。3層構造は、前段加速チャンバ205の開放内部205a内に高温加圧H
2を収容するのに、特に効果的である。好適な実施形態では、内層205bは、ステンレス鋼(例えば、316ss)で形成され、外層205dは、同様に鋼鉄で形成され得る。外層205dは、好ましくは、圧力容器の構造的強度を付与するのに適した材料で、かつ本明細書に記載されているように圧力下の材料を含むことができる材料で形成され得る。したがって、外層205dは、構造的支持層として特徴付けられ得る。2つの鋼鉄製タンク壁を分離する中間層205cは、成型されたアルミナ、ジルコニア、および当分野で周知の高温破壊および高速ガス流の浸食に耐える他の絶縁体であり得る。中間層205cを形成する絶縁体は、多孔質であり、バーストディスクの作動による発射開始時に加圧H
2が絶縁体の下に閉じ込められないように離間され得る。前段加速チャンバ205の開放内部205a内の加圧H
2は、主蓄電池群によって、およそ1500Kまで急速加熱され得る。発射は、その後、開始され、前段加速チャンバ205の外壁205dの有意な加熱が発生する前に高温H
2が放出される。
【0059】
いくつかの実施形態では、前段加速チャンバ205は、内部でH
2を加熱するための内部加熱システムを含み得る。例えば、
図6a~
図6cに示されているように、前段加熱チャンバ205は、開放内部205a内に位置決めされた少なくとも1つの電熱線205gを含み得る。図示されているように、電熱線205gは、螺旋コイル状のタングステン線を備えるが、他の導線が使用される場合もある。前段加速チャンバ205は、外層205dを貫通して延在する複数の供給路205eで形成され得、電気接点205hは供給路205eを貫通して延在する。電気接点205hは、電熱線205gと電気接触させるために前段加速チャンバ205の中間層205cに隣接して位置決めされた、または中間層205c内に位置決めされたバスバー205fに接続される。したがって、PAT蓄電池群271からの電気エネルギーは、膨張およびさらなる加圧のために前段加速チャンバ205の開放空間205a内のH
2を電気加熱するために、電気接点205hを介してバスバー205fおよび電熱線205gに流れる。このような実施形態では、H
2は、非常に高い温度まで加熱され得るが、外側チャンバ壁は、室温で、または室温に近い温度で維持される。このことにより、前段加速チャンバ205の外壁を形成するのに、有意にコストが高くなり得る耐高温性の金属合金の代わりに、低コストの鋼鉄を使用することができる。一方、このような実施形態は、耐高温性であり、H
2にさらされ、急速に繰り返される温度サイクルを受け、発射プロセス時にH
2の高速せん断流を受ける内部加熱器を使用する必要があり得る。このような問題は、前段加速チャンバの中間層205cを形成するのに使用される絶縁材料にも言えることである。さらに、供給路205eは、電気的に絶縁され、圧力封止するものでなければならない。
【0060】
1つ以上の実施形態では、前段加速チャンバ205は、外部加熱システムを利用することができ、そのことにより、内部加熱器および任意で絶縁層205cを使用する必要がなくなる。適切な外部加熱器は、前段加速チャンバ205全体を必要な動作温度まで加熱するように構成された任意のシステムであり得る。温度サイクルおよび過度のエネルギー消費を避けるために、前段加速チャンバ205は、メンテナンスのための不定期の冷却期間または次の発射まで長い期間空いた場合を除いて、所望の動作温度で継続して維持され得る。前段加速チャンバ205の加熱時間および冷却時間は、熱膨張差による内部応力を避けるために、実質的に長い時間(例えば、最大数時間または数日)であり得る。
【0061】
H
2は、前段加速チャンバ内で約300K~約3,000Kの温度まで加熱され得る。加熱温度は、好適なタイプの加熱(内部加熱か外部加熱)に影響を及ぼし得、所望の発射速度に依存し得る。これらの要因は、表2から明らかである。いくつかの実施形態では、外部加熱は、宇宙空間発射(例えば、追加のブーストと組み合わせて適用するには1250m/sの速度で十分であり得る)、短距離弾道発射(例えば、追加のブースト無しで適用するには1250m/sで十分である)、および長距離弾道発射(例えば、追加のブーストと組み合わせて適用するには1250m/sで十分である)に対して好適であり得る。他の実施形態では、内部加熱は、中距離弾道発射(例えば、2020m/sで、追加のブースト無しで中距離に到達する)に対して好適であり得る。
【表2】
【0062】
本開示のシステムおよび方法では、有利には、例えば、有意に高い圧力および有意に高い温度のガスチャンバを利用する必要があるというように、先行技術では制限であると考えられていたことが障害ではない。例えば、本開示は、以下の内容の任意の1つ以上の内容に関して、特徴付けられ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示は、有意に大きいチャンバを利用すると同時に、低い圧力を維持し、比較的低い温度でチャンバを維持する。例えば、前段加速チャンバを形成する圧力容器は、好適な実施形態では、およそ35,000ft3の内部容積を有し得る。例示的な実施形態では、前段加速チャンバを形成する圧力容器の内部容積は、最大で約10,000ft3、最大で約25,000ft3、最大で約50,000ft3、例えば、約20ft3~約50,000ft3、約50ft3~45,000ft3、約100ft3~約40,000ft3、または約1,000ft3~約35,000ft3であり得る。 そのためには、圧力容器の直径は、約10ft~約200ft、約20ft~約150ft、または約40ft~約100ftであり得、圧力容器の長さは、約100ft~約5,000ft、約500ft~約4,500ft、または約1,000ft~約4,000ftであり得る。
【0064】
厚肉の太い管の製造は不可能であるため、有意に大きい直径への拡大は不可能であると考えられる。本開示によれば、本開示のシステムおよび方法に従って達成される低重力では、それに応じて低いチャンバ圧力で十分であるため、厚い壁は必要でない。非限定的な実施例として、80インチの直径を有する前段加速チャンバは、9000lbの発射体に200G加速度を生成するために、360PSIの内圧を有する。比較的低いコストの鉄鋼は、最大圧力10,000PSIの最大圧力に耐えるのに十分な強度を呈し得、安全係数4は、2,500PSIの使用可能な鋼鉄強度をもたらす。このような例示的な条件下では、前段加速チャンバの壁は、およそ6インチの厚さが必要になる。これは、実現可能な妥当な製造厚さである。従来の10,000G加速度を有するガスガンでは、18,000PSIの駆動圧が必要でなり、そのため、壁の厚さは、およそ300インチになる。この過度の厚さのために、実際に必要な厚さが600インチ近くになるように、圧力容器設計内に追加の乗法的因子を含む必要がある。したがって、本開示のシステムおよび方法は、既知の装置と比較して、有益かつ効率的な発射システムおよび方法を実現するために、より単純な製造要件を提供する。
【0065】
圧力容器の動作圧は、発射システムに関して本明細書内で別途記載されている動作圧であり得る。圧力容器の加熱温度は、使用される加熱のタイプに基づいて異なり得る。内部加熱式圧力容器(すなわち、前段加速チャンバ)の場合、動作温度は、特に、チャンバが絶縁され、比較的冷たい温度のまま維持される場合、約300Kまたは周囲の大気温度近くの温度範囲であり得る。必要に応じて、熱を除去するのに外部水冷が利用され得る。外部加熱式チャンバの場合、低コストの鋼鉄が利用され得るので、最大で約700Kの温度が好適であり得る。本開示のシステムおよび方法は、最大で1,000K、最大で1,500K、または表2に別途記載されているいずれかの温度のように、より高いチャンバ温度での動作に適していることに留意することが重要である。しかしながら、より高温では、圧力容器を形成するのに(特に大きいサイズの容器の場合)、耐高温性の金属を使用しなければならないので、コストは桁違いに高くなる可能性がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、前段加速チャンバの内側は、チャンバの高温ガス加熱を最小限に抑えるために絶縁される。このことは、上述したように動作温度を下げるのに有益であり得、本開示のシステムおよび方法の動作を別の方法で改善し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、ガスを急速加熱して、熱が絶縁体を通って移動する前に放熱するために、パルス電気加熱が使用される。好ましくは、電気パルスは、電力供給コストを最小限に抑えるために比較的長いパルスであるが、本開示のシステムおよび方法で利用される電気パルスは、典型的には、チャンバの内部絶縁体の熱伝導時定数より有意に短い。例えば、内部加熱式の実施形態では、電気パルスは、約100秒~約3,000秒、約200秒~約2,500秒、または約500秒~約2,000秒の持続時間を有し得る。好適な実施形態では、電気パルスの電力は、数メガワット(MW)のオーダーであり得る。例えば、パルス電力は、最大で1,000MW、最大で2,000MW、または最大で5,000MW、例えば、約10MW~約5,000MW、約20MW~約4,000MW、または約50MW~約2,000MWであり得る。パルスの電圧および電流は、加熱器設計に依存し得るが、典型的な電圧は、約100V~約5,000V、約250V~約3,000V、または約480V~約2,000Vである。電流は、所望のパルス加熱時間を達成するために所望の電力レベルおよび加熱速度レベルを達成するのに必要な電流であり得る。
【0068】
有利には、大規模な急速加熱のためのエネルギーおよび電力を供給するのに、低コストのバッテリ電源が利用され得る。バッテリ構造は、必要に応じて、本明細書内で別途記載されている電力要件を達成すれば十分である。
【0069】
本明細書に記載されている積層技術(例えば、内部絶縁体を有する圧力容器の外側ハウジングおよびその内側の電気加熱層)の使用は、本明細書内で別途記載されているように低い動作温度を可能にするのに有益であり得る。
【0070】
本明細書内で示されているように、本開示の実施形態において、熱設計制約と機械設計制約とを切り離すために、電気フィードスルーを介する電気加熱の使用が利用される。既知のシステムでは、このように、内層内の化学的燃焼加熱器は切り離すことができず、外側圧力シェル上の化学的燃焼加熱器は冷たい状態を維持できなくなる。このことは、本開示がチャンバ壁および絶縁体を通過する低抵抗のフィードスルーを利用することができるという点において、さらに有益である。さらに、バスバーは、絶縁体によって保護されているので、効率的に電流を分配するために前段加速チャンバの内側で利用され得る。いくつかの実施形態では、例えば、別個のバスバーを利用するのとは対照的に、圧力チャンバを形成する金属自体が電流を分配するのに使用され得る。圧力容器内壁が電流を分配するのに使用されるいくつかの実施形態では、金属製のチャンバ壁はセグメント化され得、1つ以上の絶縁層がセグメント間に存在し得る。いくつかの実施形態では、内側電気加熱層にのみ高い抵抗が使用され得る。好適な実施形態では、前段加熱チャンバと共に使用される加熱器は、耐水素性であり得、タングステン、炭素、または同様の材料製のような超高温加熱器であり得る。特に、ホウ化ハフニウムのような炭素被覆された超高温材料が利用され得る。
【0071】
1つ以上の実施形態では、前段加速チャンバは、レーザまたはマイクロ波のようなビームエネルギー加熱器を使用して加熱され得る。このことは、高温の水素および高速ガス流速、さらに連続的な温度サイクルに耐えなければならない内部電極を必要とせずに、チャンバガスを直接加熱するのに有益であり得る。水素が放射エネルギーを吸収している場合、短波長のUVレーザの周波数および共鳴マイクロ波の周波数が使用され得る。あるいは、水素の吸収率を高めるために、炭素または他のナノ粒子の小さい質量分率が利用され得る。このことは、より広い範囲のレーザ周波数および/またはマイクロ波周波数の使用またはこのような加熱を可能にするのに有益であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示の方法およびシステムは、水素ガスを加熱して原子状水素を発生させるように構成され得る。このことは、原子状水素がガス分子量を2分の1に低減し、その結果、音速および潜在的な発射装置速度をルート2倍上昇させるので、有益であり得る。原子状水素が形成される場合、圧力容器表面から出た原子状水素に対して前段加速チャンバ内の動作を構成するのが有益であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、これは、外側の水素層を旋回させることによって達成され得、その結果、単原子水素(H1)を圧力容器の中央部分に向けて「浮遊」させる。ガスを急速に旋回させることによって、遠心効果が軽いH原子を中央に向けて分離させ、より重いH2分子は外壁に向けて分離する。このH2の外層は、システム要素の内表面を遮蔽して、H原子がチャンバ壁と相互作用しないようにするのに有効であり、この相互作用は、原子を分子状水素へと急速に再結合させ得る。
【0073】
1つ以上の実施形態では、発射管の入口において蒸散、対流、および/または膜冷却によって余分のH2を注入して、発射管の長さの少なくとも一部においてガスを冷却する「塗布」シールド膜を生成するのが有益であり得る。発射飛翔体および気体軸受(本明細書でさらに詳細に記載する)は、チャンバ出口セクションおよび発射管入口セクションのアブレーションおよびエロージョンの防止を助けるために、このように形成されたシールドガスを同伴して発射管へ引き込むのが効果的であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、水素ガスは、プラズマ状態の水素を生成するように加熱され得る。例えば、これは、上述したように、マイクロ波を使用した加熱によって達成され得る。さらに、誘導加熱によってプラズマを加熱して、誘導渦電流相互作用によってプラズマを急速に回転させるために、変動磁場が使用され得る。例えば、外側の水素層を旋回させることによって、プラズマ水素は、前段加速チャンバの内壁との接触が実質的に妨げられ得る。上述した形態と同様に、このような旋回は、プラズマ物質(すなわち、H+とe-)を圧力容器の中央部分へと効果的に「浮遊」させるのに効果的である。プラズマが高温であるほど、密度が低くなり、水素原子および分子状水素より有効分子量が小さくなる。したがって、チャンバは、遠心力によって、プラズマの最内ゾーン、水素原子の中間ゾーン、および分子状水素の外側ゾーンの層へと充填され得る。
【0075】
1つ以上の実施形態では、圧力チャンバは、別途上述したように、有意に大きなチャンバが反動減衰ピストンに対して反動することができるように、レール上の移動車両上に取り付けられ得る。圧力チャンバを長手方向に移動させると同時に、好ましくは、垂直方向または横方向の移動を制限するかまたは妨げることができる同様の方法も利用され得る。
【0076】
(前段加速チャンバ205の下流側に位置決めされた)PAT200の弁セクション210は、
図7a~
図7cにさらに詳細に示されており、弁アセンブリと呼ばれる場合もある。特に、弁セクション210は、対向端部に位置決めされた入口弁211および出口弁212(または同様の要素)を有する実質的に長尺管(例えば、ステンレス鋼などで形成された)である。
図7aに示されているように、弁セクション210は、弁セクション210からのガスの流入および/または流出を制御するために、排気/充填ライン210aと、介在フロー弁210bとを含み得る。例えば、排気/充填ライン210aは、ポンプ245を使用してN2が弁セクション210へと注入され、または弁セクション210から送出され得るように、ライン246または弁247と相互接続され得る。
【0077】
入口弁211および出口弁212の実施形態は、
図7bおよび
図7cにより詳細に示されている。具体的には、各々の弁は、フロント・クランプ・リング2104およびリア・クランプ・リング2105によってそれぞれ摺動可能に係合されるフロントプレート2101およびリアプレート2102を備え得る。
図7bに示されている装填段階で見られるように、フロント・クランプ・リング2104とリア・クランプ・リング2105との間に、バーストディスク2103が位置決めされる。フロント・クランプ・リング2104およびリア・クランプ・リング2105は、その後、
図7cに示されているように、発射準備段階に入るようにバーストディスク2103と係合するように変位される。フロント・クランプ・リング2104およびリア・クランプ・リング2105は、バーストディスクの迅速な交換のために、油圧作動され得る。バーストディスクの使用は、圧力解放弁を備える一実施形態を示す。弁が十分な圧力変化(例えば、弁の片側の圧力の急降下または急上昇)が生じたときに開放または解放されるように、開放または別の方法で解放する任意のタイプの弁が使用され得る。油圧クランプについて言及した全ての場合において、エアークランプ、電磁クランプなどの他の機構が使用されてもよいことを理解されたい。
【0078】
(弁セクション210の下流側に位置決めされた)前段加速ローダ215は、PAT200に発射飛翔体10を装填するように構成され得る。
図8aおよび
図8bに示されているように、前段加速ローダ215は、前段加速ローダが「外部」もしくは装填位置から「内部」もしくは発射位置まで回転され得るように、ヒンジ構造を有し得る。したがって、前段加速ローダ215は、固定セクション215aと可動セクション215bとを備え得、これらの2つのセクションは、反転ヒンジ2151によってまたは任意の別の適切なヒンジ機構によって、互いに対して回転可能に取り付けられる。可動セクション215bは、管セグメントとして特徴付けられ得る。前段加速ローダ215はさらに、発射位置で固定セクション215aおよび可動セクション215bと封止係合するために、上流側クランプ装置および下流側クランプ装置を含み得る。
図8aに示されているように、上流側プレート2152は、上流側クランプリング2154によって可動係合され、下流側プレート2153は、下流側クランプリング2155によって可動係合され得る。各々のクランプリングは、発射飛翔体10の装填のために可動セクションを反転させることができるように、前段加速ローダ215の固定セクション215aおよび可動セクション215bから離され得る。発射飛翔体10が装填され、可動セクション215bが発射位置に反転して戻された後、個々のクランプリングは、固定セクション215aおよび可動セクション215bに向けて移動されて、PATを通して発射飛翔体10を前段加速させるために上記セクションを封止係合し得る。
図8aに示されているように、発射飛翔体10の装填は、可動セクション215bの後端から行われるが、装填は、必要に応じて、前端から行われてもよいことを理解されたい。
【0079】
発射飛翔体10は、前段加速ローダ215へと移動される前に、例えば、装填板上に位置決めされた状態のままで、液体H
2で満たされ、液体H
2で冷却され得る。反転された前段加速ローダ内の装填板から発射飛翔体10を付勢するのに、水圧ラムが使用され得る。
図8bに示されている実施形態では、水圧ラムは、発射飛翔体10を前段加速ローダの可動セクション215bへと付勢する。
図8cに示されている別の実施形態では、固定セクション215aは存在せず、可動セクション215b(すなわち、管セグメント)のみが反転ヒンジ2151に可動に取り付けられる。したがって、前段加速ローダ215が、弁アセンブリ210および前段加速管220と位置合わせされた位置と弁アセンブリおよび前段加速管と位置合わせされていない位置との間で並進可能な少なくとも1つの管セグメントを備え得ることは明らかである。
【0080】
動作時に、液体H2供給部250からの液体H2は、H2気化器254内で気化され、その後、ポンプ256を介して前段加速チャンバ205へと注入される。H2は、予備圧力に達するまで、前段加速チャンバ205を形成する圧力容器に添加される。前段加速チャンバ205内の予備圧力が所望のレベル(少なくとも2bar、少なくとも3bar、少なくとも4bar、少なくとも5bar、または少なくとも6bar、好ましくは、最大限度で約10bar、約15bar、または約20bar、全ての中間の範囲、例えば、約2bar~約20bar、約2bar~約15bar、または約2bar~約10barを含む)に達した後、水素は、約5秒間~約60秒間、約10秒間~約45秒間、または約15秒間~約30秒間にわたって、所望の温度範囲になるまでパルス加熱される。H2ガスは、約225K~約500K、約250K~約400K、または約275K~約350Kの温度で前段加速チャンバ205に流入し得る。H2ガスは、前段加速チャンバ内で、最高で約5000K、最高で約4000K、または最高で3000K、好ましくは、約500K~約3000K、約750K~約2500K、または約1000K~約2000Kの温度範囲内で加熱されるのが好ましい。加熱時に、H2は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍、圧力が上昇し、好ましくは、約20bar~約80bar、約20bar~約60bar、または約25bar~約40barの圧力まで上昇する。この圧力は、発射飛翔体10の加速のためにPAT内を伝播する、前段加速チャンバ205を形成する圧力容器内のガスの圧力であるので、伝播圧力と呼ばれ得る。
【0081】
前段加速チャンバ205、弁セクション210、および前段加速ローダ215内の相対圧力は変化し得る。H2の添加および加熱の間に前段加速チャンバ205が上昇されると、弁セクション210内の圧力は、約2bar~約50bar、約5bar~約30bar、または約10bar~約20barの範囲になり得る。同時に、前段加速ローダ215内の圧力は、2bar未満、1bar未満、または0.1bar未満になり得る。好ましくは、前段加速チャンバ205の加熱の間の前段加速ローダ内の圧力は、真空下にあるように、実質的にゼロ(例えば、約0.001bar)になる。例示的な実施形態では、前段加速チャンバ内の圧力が約30barであるとき、弁セクション210内の圧力は、約15barであり、前段加速ローダ215内の圧力は、約0.001barであり得る。
【0082】
したがって、発射開始は、前段加速チャンバ205内のH
2の加熱、前段加速チャンバ205内の関連する圧力上昇、およびそれに続く弁セクション210内の圧力の急降下によって制御される。
図7aを参照すると、例えば、フロー弁210bは、弁セクション210内の充填ガスを排気/充填ライン210aから抜くために開放され得る。弁セクション210内の圧力は、例えば、約1barまで急降下し、このことが入口弁211内のバーストディスク2103を破裂させる。入口弁211内のバーストディスク2103の破裂により、高圧ガスが前段加速チャンバ205から急速に流出するために、圧力波が生じる。圧力波は、弁セクション210内を伝播し、出口弁212内にあるバーストディスク2103に衝突して、バーストディスク2103を破裂させる。圧力波は、その後、発射飛翔体10と接触している前段加速発射装置へと進み、発射飛翔体10を停止状態から少なくとも1000m/s、少なくとも1500m/s、または少なくとも1800m/s、例えば、約1200m/s~約3500m/s、約1500m/s~約3000m/s、または約1800m/s~約2500m/sの範囲のような第1の段階の速度まで急加速させる。このように加速された発射飛翔体10は、上述した第1の段階の最大速度を達成しながら前段加速管220を通過し、その後、実質的に管であり、前段加速管220と同じ構造および材料で形成され得るガスストリッパー230へと入る。ガスストリッパーを通過している間に、前段加速チャンバ圧力波からのH
2ガスは、ポンプ150を使用して弁155およびライン152を通って抜かれる。ガスストリッパー230は、PATからの背圧がMAT300内のロケットモータの性能を低下させるのを防止するのに有効である。ガスストリッパー230はさらに、極超音速試験のために飛翔体もしくはモデルを飛行管内に投入するのにPAT200が利用される場合のように、空気力学的試験における干渉を防止するのに有効である。
【0083】
ガスストリッパー230を出た発射飛翔体10は、次に、MAT300へと移動する。米国特許第9,463,881号明細書および米国特許第9,617,016号明細書に前もって記載されているように、発射飛翔体10は、主管305を通過する間にさらに加速される。これらの特許の開示内容は、参照によって本願明細書に引用したものとする。 簡単に言えば、主管305は、2本の導電性管と、2本の絶縁管とを備え得る。管は、同心状であり、同一直線状にあり、連続して、内側絶縁管、内側導電性管、外側絶縁管、および外側導電性管を備え得る。外側導電性管の壁および内側導電性管の壁は、1つ以上の摺動接点を受容するように適合された様々な形状の1つ以上の溝穴付きトラックを有し得る。溝穴付きトラックは、外側導電性管と外側摺動接点とを電気的接続させる。内側摺動接点は、内側導電性管と電気的接続する。整列アームは、摺動接点と物理的に接触し、さらに発射飛翔体の電気ヒータと物理的に接触し得る。特定の実施形態では、摺動導体パッドがプラズマブラシとしての機能を果たすように構成され得る。MAT300は、主管305を通して発射飛翔体を推進させるのに、電気加熱を利用する。具体的には、推進剤タンクからのガスは、電気燃焼チャンバ(または電気ロケット)に送られて、主管305を通して発射飛翔体を推進させる燃焼ガスを形成し得る。燃焼に使用される電気エネルギーは、整列アームおよび摺動接点を介して、主管305を形成する導電性管から電気燃焼チャンバに送られる。
【0084】
使用時に、電気エネルギーは、電線を介して電気エネルギー源(例えば、蓄電池群341)から渡される。電気エネルギーは、電線から外側導電性管に移り、プラズマアーク接点を介して摺動接点に移り、整列アームを通って電気ヒータに移る。電気経路は、整列アームおよび摺動接点を通って電気ヒータから、プラズマアーク接点を介して内側導電性管へと移って終了する。飛翔体の推進剤タンクからの推進剤は、電気ヒータ内で加熱され、ノズルを通して膨張され、MAT300の主管305を通して発射装置を加速させる。このような実施形態では、推進は、プラズマの介在による電流の伝導によって駆動する電気ロケット推進によって前進するものとして特徴付けられ得る。具体的には、プラズマの介在による伝導は、導電性管と摺動接点との間のプラズマアーク接点で発生する。
【0085】
発射飛翔体10は、このようにして、管伝導電気エネルギーによって促進された電気加熱によって形成された高温の膨張ガスの力を利用して、MATの主管305を通して加速される。特に、軽ガス、固体、または液体(例えば、最初はガス状、液体状、または固体状であり得る水素)の膨張は、ガスを5,000Kを超える温度まで加熱して、水素の個々の原子から成る放出ガスを発生させることによって得られる。いくつかの実施形態では、加熱温度は、最高で100,000Kであり得、これは、最大で77,000m/sの排気速度をもたらし得る。MATからの発射速度は、150,000m/sもの速い速度、または排気速度の約2倍の速度であり得る。最大速度は、宇宙空間での使用に限定され得る。地表から発射する実際の限界は、その速度において、約1,000,000PSIにまで達し得る空気力により、約100,000m/sであるためである。
【0086】
いくつかの実施形態では、発射装置10は、ペイロード(カーゴホールドを含む飛行飛翔体であり得る、グライダとも呼ばれる)、推進剤タンク、電気ヒータ、および膨張ノズルを備え得る。随意選択で、発射装置は、発射管内で発射装置を位置合わせするのを支援するように構成された1つ以上のベアリングを含み得る。いくつかの実施形態では、発射飛翔体10は、高加速マクスウェルロケット(High Acceleration Maxwell Rocket)(HAMR)を備え得る。
【0087】
MAT内を移動する発射飛翔体10は、主管305を通過した後、移行管310を通過する。そこで、発射飛翔体のための空気力学的制御装置および誘導システムの正常な機能を試験するために予備空気力を発射飛翔体10に作用させるのに、変動圧力のガスが注入され得る。例えば、タンク320からの窒素ガスは、ポンプ325を通って移行管310の1つ以上のポイントへと送出されて、移行管内の所望の圧力を達成し得る。試験機能に加えて、ガスは、十分な圧力で注入されて、グライダを発射飛翔体10の残りの部分(例えば、推進ロケットおよび推進剤タンク)から事前に分離させ得る。
【0088】
発射飛翔体10は、発射システムから出る前に、出口ポータル315を通過する。出口ポータル315は、以下の利点のいずれかの1つ以上の利点を提供するように構成され得る。発射飛翔体の残りの部分からのグライダの円滑かつ確実な分離、主管内部でのグライダの自由飛行試験、飛行計器の提供、主管から大気中への円滑なグライダの移行、グライダに続く発射飛翔体の残りの部分の円滑な排出、水素排出、水素均等化、水素遮断。出口ポータル315は、実質的に管状であり、前段加速管220で使用されるのと同様の構造および材料で形成され得る。例えば、出口ポータル315は、ステンレス鋼管であり得る、または他の金属合金、コンクリートなどの別の構造材料を含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、
図9aおよび
図9bに示されているように、出口ポータル315は、複数の弁、特に、複数のゲート弁を含む。図示されているように、出口ポータル315は、出口ポータル内へと導く第1のゲート弁316および出口ポータルから外へ導く第2のゲート弁317を含む。したがって、第2のゲート弁は、第1のゲート弁から下流側に位置決めされる。出口ポータル315の全長は、約0.1m~約100mであり得る。しかしながら、必要に応じて、出口ポータル315の長さは、100mを超えてもよい。したがって、第1のゲート弁316および第2のゲート弁317は、出口ポータル315を形成する管の両端に、または両端付近に位置決めされ得る。出口ポータル315はさらに、第2のゲート弁317の下流側に、膜外周ホルダ318aと、ディスク状ホルダに伸張された膜318bとで形成された膜ユニット318を含む。好ましくは、膜318bは、出口ポータル315の大気への出口315aに手動でまたは自動的に設置され得るディスク状ホルダに取り付けられる薄い高強度の可撓性膜(例えば、Spectra繊維膜)である。
【0090】
図9aでは、第1のゲート弁316および第2のゲート弁317は共に、例として示すために開放位置にある。発射準備の際に、第1のゲート弁316および第2のゲート弁317の両方は閉鎖位置にされ、各々の弁の上部が各々の弁の下部と係合するように押し下げられる。発射の前に、出口ポータル315内の圧力が大気圧から大気圧と約1mBarの加速管圧力との間の中間圧力まで低減されるように、第2のゲート弁317は開放されるが、第1のゲート弁316は閉鎖されたままで維持される。これは、遠隔制御によって行われ、膜318bの完全性をチェックするのに有効であり得る。具体的には、膜318bが製造欠陥のために不良である場合、比較的短い出口ポータル315のみが大気中に通気される。このような事態が生じた場合、膜318bは、確実な圧力隔離および封止を保証するために、適切な期間十分な圧力隔離が得られるまで交換される。膜318bの完全性が確認されると、第1のゲート弁316が開放され得る。
【0091】
PATおよび/またはMATを通る発射飛翔体の制御を支援するために、発射飛翔体は、テレメトリ信号をPATおよび/またはMATの少なくとも一部に送信するように構成され得る。例えば、発射前に、そして好ましくは発射の間ずっと、発射飛翔体は、少なくともMATから出口ポータルまでの長さ部分にテレメトリ信号を送信している。このテレメトリ信号は、これらに限定されないが、6自由度(6DOF)テレメトリ、6DOFの速度、振動、タンク圧力、エンジン圧力、推進剤の流量、および全ての他の関連する飛翔体のシステムの健全性および状態のデータを含む、完全な飛翔体の健全性および状態のデータを含み得る。テレメトリは、プラズマシースを通過させて発射始点から出口ポータルまでの発射管へと伝送するために、好ましくは、搬送波伝送周波数(GHzまたは光)で、例えば、100kHzレート(少なくとも100MBPSデータレート)で適切に送信される。いくつかの実施形態では、いずれかの点において受信データが能動的に期待値を満たさない場合、出口ポータル制御ユニットは、主発射制御システムに対してシャットダウン手順を、好ましくは、100ミリ秒(10データパケットサイクル)内で開始し得る。主発射制御システム(
図2の要素91を参照)は、発射シャットダウンに等しいデフォルト状態で構成され得、このようなデフォルト設定において、能動的に公称データを受信することは、発射シーケンス全体のシャットダウンを避けるのに必要である。
【0092】
発射飛翔体がMATを通過する間に、飛翔体は、電気ロケットに電流(I)を供給することによって加速される。MATの管セクションがインダクタンス(L)を有する場合、MAT内の貯蔵磁気エネルギーは、以下の数式によって算出され得る。
貯蔵磁気エネルギー=0.5×L×I2
【0093】
典型的な実施形態例では、電流は、約2×E6の範囲内であり、インダクタンスは約3×E-5の範囲内であり得る。上記の数式に基づいて、貯蔵エネルギーは、約60メガジュールの範囲内であり得る。これは、驚くほど低いレベルの貯蔵エネルギーである。それは、本開示のシステムが、特に、発射システムが低インダクタンスを呈するように構成されるためである。一方、先行技術の並列レール構成では、Lは、およそ100倍大きくなることが予想され、その結果、貯蔵エネルギーは、およそ6,000メガジュールの範囲内になることが予想される。
【0094】
本開示のシステムおよび方法は発射管内に有意に低いレベルの貯蔵エネルギーを備えるが、MATの長さに沿った1つ以上の点において貯蔵エネルギーを除去するための要素を備えるのが有益であり得る。例えば、貯蔵磁気エネルギーを発射管の端部で、大規模なアークのように爆発的にではなく、熱のように徐々にかつ制御可能に消散させるために、1つ以上のレジスタ(例えば、マズルスイッチ)が提供され得る。
【0095】
主発射制御システムは、発射飛翔体が出口ポータルに到達する直前に、MATの作動を停止して、MATのマズルスイッチを閉鎖するように構成される。発射飛翔体がMATの動力セクション(例えば、主管305)から飛び出るときに、飛翔体のグライダ部分は、飛翔体の残りの部分から分離される。このような分離は、移行管310および出口ポータル315の一方または両方で生じ得る。
【0096】
出口ポータル315は、上述した発射飛翔体のテレメトリ送信を受信するように構成された1つ以上の受信ステーション3151を含み得る。発射飛翔体に設けられた搭載データシステムは、グライダの状態を正確に計測し、継続して1つ以上の受信ステーション3151にその状態を送信し得る。グライダが出口ポータル315に入ると、1つ以上の受信ステーション3151は、グライダの状態を検証するために詳細な診断データを提供し得る。
【0097】
図9aおよび
図9bに関して上述したように、発射飛翔体のグライダ部分は、出口ポータル315の端部の膜318bを貫通して、出口ポータルの中間圧力から大気圧へと移行する。発射飛翔体のグライダ部分が出た直後に、発射飛翔体の残りの部分(例えば、推進剤タンクおよびロケットモータ)が出口ポータルから排出される。発射飛翔体のこれらの残りの部分の固有の空気力学的不安定性は、空気力および加熱により、約1km以内でこれらの残りの部分を崩壊および分解させる。出口ポータルから発射飛翔体が出た後、一定時間(わずか数秒から数分間)、水素放出が生じ得る。
図10に示されているように、大気出口から出た直後の放出水素を着火および燃焼させるために、1つ以上の火工装置3152が出口ポータル315の大気出口315aに近接して位置決めされ得る。この放出プロセスの終わり間近で、第1のゲート弁316および第2のゲート弁317は、出口ポータル315または主管305への空気の侵入を防止するように閉鎖される。その後、主管305は、約1mBarの望ましい低圧状態にポンプダウンされ得る。ポンプダウンの後に、腔内安全検査システムによって管検査が開始され、任意の必要な修理が完了し、その後、管圧力が約1mBarで維持される。
【0098】
PATおよびMATの長さは、必要に応じて変化し得る。1つ以上の実施形態では、PATは、少なくとも100m、少なくとも500m、または少なくとも1,000mの全長を有し得る。特定の実施形態では、PATの全長は、約100m~約10,000m、約200m~約5,000m、または約500m~約3,000mであり得る。MATは、少なくとも2,000m、少なくとも5,000m、少なくとも10,000m、または少なくとも20,000mの全長を有し得る。特定の実施形態では、MATの全長は、約5,000m~約50,000m、約10,000m~約40,000m、または約15,000m~約35,000mであり得る。
【0099】
発射システム100は、必要な範囲の電流を伝送すると同時に、約1.25テスラ未満、約1テスラ未満、約0.5テスラ未満、約0.25テスラ未満、または約0.2テスラ未満の強度の磁場を生成する、または誘導するように構成され得る。いくつかの実施形態では、磁場は、約0.2テスラ~約1.2テスラの強度に制限され得る。
【0100】
1つ以上の実施形態では、本開示の発射システムは、専用カーゴの発射とは別の試験目的のために利用され得る。例えば、PATから飛行管への飛翔体の発射は、MAT内の電気ロケットによる追加の加速の有無に関係なく、極超音速試験のために行われ得る。電気ロケットブーストによる直接噴射の例が、
図11aに示されている。
図11aに示されているように、飛翔体ホルダ11a内で支持されている飛翔体11は、推進剤タンクおよびロケットモータの代わりに、MAT300を通して発射飛翔体を推進するのに別の形で使用される押し込みプラグ380を利用して前段加速管220を通して加速される。押し込みプラグ380は、空気力学的測定値が押し込みプラグによる影響を受けないように、試験セクションに入るかなり前に、モデル(もしくは試験飛翔体)から分離される。
【0101】
発射飛翔体もしくはモデルは、飛翔体を前方に移動させると同時に、支持支柱の空気力学的効果を妨げるのを防止するために、固定または多関節スティングに取り付けられ得る。多関節スティングは、飛行試験における空中操縦を可能にするために、複数の自由度および複数の関節を有し得る。アクチュエータとガス噴射の相互作用のスラスタおよび当業者に周知の他の既知の制御手段は、飛翔体を全ての自由度で移動させることができる。
図11bに示されているように、飛翔体11は、前段加速管220の内径に実質的に近い外径を有する中空シリンダ13に取り付けられた複数の支柱12によって支持される。例示的な実施例として、前段加速管220は、約2m(例えば、約1m~約10m、約1m~約5m、または約1.5m~約4m))の内径を有し得る。中空シリンダの外径は、好ましくは、前段加速管の内径より約1%~約10%、約1%~約8%、または約2%~約5%小さい。
【0102】
発射飛翔体10は、PAT200を出た後、空気力学的測定が行われる試験管内を飛行する。その後、多くの場合、確実な方法で飛翔体を減速させて、回収するのが望ましい。そのことを達成するのに、様々な方法が使用され得る。例えば、発射システムは、1つ以上の実施形態に従うソフトキャッチシステムを含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、
図12に示されているように、ソフトキャッチシステムの密度勾配は、様々な原子量または分子量を有する冷たい定圧ガスを使用して管を通る所定距離に沿って形成され得る。
図12では、ソフトキャッチシステム500は、大きいベント管510の内部に囲い込まれたソフトキャッチ飛行管505を含む。ソフトキャッチ飛行管505は、定圧における組成、分子量、温度、および密度の1つ以上に基づいて異なる3つのガスセクション(511a、511b、511c)を含む。ソフトキャッチ飛行管505はさらに、ソフトキャッチ飛行管の内部からのガスをベント管510の開放内部空間へと排気することができるように、適切なサイズおよび位置の1つ以上のベント512を含み得る。ベント512は、所望の減速プロファイルを維持するために、衝撃により誘起された過度の圧力を飛翔体11の前から抜くように設けられ得る。このことは、先行技術より減速度が低く、一定であると言う点において、先行技術を改善する。ベント512の数および位置は、所与のセクションに存在するガスに応じて決まり得る。例えば、図示されているように、ガスセクション511cのエリアでは、ガスセクション511bおよびガスセクション511aと比較して、より多い数のベント512が存在する。ガスセクションは、薄い封止膜515により低圧試験セクション511dから分離される。受動クッション520は、ガスセクションの後方に位置決めされ、可変密度フォームのような任意の緩衝材を含み得る。受動クッション520の後方に位置決めされるのは、能動クッション525である。図示されている実施形態では、能動クッション525は、反動ピストンである。能動クッション525は、反動マス、基礎部分、および/または非常停止装置として機能し得るバックストップ530を背にして位置する。ソフトキャッチシステム500内に、飛翔体の回収および/または日常保守点検のために職員が入ることができるように、入口ポータル535が設けられる
【0104】
別の例示的なソフトキャッチシステム600が
図13に示されている。
図13では、ソフトキャッチ飛行管605は、管の長さの一部に沿って存在するアブレーション円錐ランプ607を含む。この場合も、能動クッション625がバックストップ630と共に存在する。必要に応じて、受動クッションが存在する場合もある。この実施形態では、他のソフトキャッチシステムと比べて、飛翔体11の機首および前縁が受ける空気熱加熱および潜在的アブレーションは大幅に小さい。飛翔体ホルダ11aにあるアブレーション円錐ランプ607の縁部および気体軸受バンド609にのみ力が加えられる。飛翔体11は、真空力と減速力のみを受ける。アブレーション円錐ランプ607は、任意の適切な方法を使用してソフトキャッチ飛行管605に適用され得る。
図14aおよび
図14bに示されているように、飛翔体を減速させるのに使用されるアブレーション円錐ランプ607を適用するのに、機械化された方法が使用され得る。アブレーション円錐ランプ607は、1つ以上の所望のアブレーション材料をソフトキャッチ飛行管605の内部に噴霧することによって形成される。アブレーション円錐ランプ607を形成するための適切な物質の非限定的な例は、ポリエチレン、水、アルゴン、およびこれらの組み合わせを含む。ソフトキャッチ飛行管605は、(一つまたは複数の)使用されている材料が接触すると固まるように冷却され得る。図示されている実施形態では、噴霧器640は、1つ以上のガイドレール641に載って、ソフトキャッチ飛行管605に沿って長手方向に移動する。噴霧器は、アブレーション材料をソフトキャッチ飛行管の壁の内表面に噴霧するために回転しながらソフトキャッチ飛行管605の長さに沿って並進する回転腔内噴霧器であり得る。
【0105】
アブレーション材料の機能は、
図15に示されている。具体的には、飛翔体ホルダ11aは、ランプ11bを擦る前縁を含む。各々の気体軸受バンド609は、飛翔体ホルダ11a内に形成された凹部11a’内に配置される。気体軸受バンド609がアブレーション円錐ランプ607に沿って引きずられたときに、アブレーション材料から高圧で高抗力の気体軸受660が形成される。アブレーションランプの材料、厚さ、およびランプ角の選択は、所望の減速プロファイルを達成するように変更され得る。
【0106】
低圧ベアリングを通過することが予想される高い駆動圧力のために、低圧で低抗力の気体軸受の使用は不可能であると思われる。本開示によれば、低い(例えば、下はゼロまで)駆動圧力が利用され、これは低圧ベアリングを通過することが予想されない。上述したように、低圧気体軸受は、プラスチックバンドのような複数の「Oリング」で発射体を取り囲むことによって、および/または加速発射体とMATまたはPAR駆動管との間の領域にガスを注入することによって、PATおよびMAT内の加速物体の周囲に形成され得る。これについては、ソフトキャッチシステムに関して上述したが、気体軸受の形成は、本明細書に記載されているようにPATおよび/またはMATのいずれか1つのセクションもしくはPATおよびMATのセクションの任意の組み合わせを通過する間に発射飛翔体にも適用され得ることを理解されたい。弁セクションの脱圧による前段加速チャンバからの圧力の放出によって形成された圧力波は有意に強い圧力波であり得るが、圧力波は同様に、PATに沿って移動するときに急激に強度が減少し得る。例えば、発射飛翔体がPATの端部に到達するときには、発射飛翔体の後方の圧力は、約2倍だけ、約5倍だけ、約8倍だけ、約10倍だけ、約15倍だけ、または約20倍だけ低下し得る。さらに、PATが非常に長くても、圧力波による発射飛翔体の加速度は、30秒未満、15秒未満、10秒未満、5秒未満、または2秒未満の時間で発射飛翔体がその距離を横断し得るのに十分に高い加速度である。例示的な実施形態として、弁セクションを通って前段加速チャンバから出るガスの典型的な圧力は、およそ360PSIあり得、圧力は、発射飛翔体がおよそ1秒間でPATの距離を横断するときに、およそ40PSIまで低下し得る。
【0107】
さらに別のソフトキャッチシステム700の実施形態について、
図16a~
図16cに関して説明する。ソフトキャッチシステム700は、長さに沿って取り付けられた複数の減速溝770を有するソフトキャッチ飛行管705を含む。別の実施形態では、少なくとも1つの溝770は、飛行管705の長さの少なくとも一部に沿って位置決めされ得る。これらの実施形態では、押し込みプラグ380は、押し込みプラグの基部から急速に伸びて、ソフトキャッチ飛行管705の外側に取り付けられた減速溝770と係合する複数のアーム381を含む。減速溝770は、アブレーション材料707で満たされ得、アーム381は、その上に気体軸受バンド709を含み得る。このことにより、全ての他の試験と同じ気体軸受バンドをこのソフトキャッチシステムで使用することができる。溝は、上記のソフトキャッチシステムと同じように、ポリエチレン、水、および固体アルゴンのような材料で満たされ、同じような形状にされ得る。
図16bにおいて、アーム381は、飛翔体11の飛行試験の間は、後退モードにある。
図16cにおいて、アーム381は、ソフトキャッチ減速のための伸長モードにある。
【0108】
1つ以上の実施形態では、PATは、別途記載されているように代替の構成を有し得る。有利には、本開示のいずれのPATも、迅速な発射速度および/または非常に高い加熱温度をもたらすように構成され得る。
図17に示されている実施形態では、PATは、これらの利点の一方または両方を達成するように構成され得る。
【0109】
図17に示されているように、PAT2000は、少なくとも一部が随意選択の冷却システム2900で取り囲まれた加速管2200を備える。専用の圧力容器を含む代わりに、加速管2200は、発射飛翔体2010の急加速のために、本明細書に別途記載されているように一定の圧力で少なくとも一時的にガスを収容するように構成される。
図17に示されているように、発射管2200の少なくとも後部2201は、急速膨張するガス2903に近い圧力上昇に適応するように増加した厚さを有する。
【0110】
加速管2200は、ガスチャンバ2000aおよび加熱チャンバ2000bを包囲するブリーチセクション2990を含む。ガスチャンバ2000aおよび加熱チャンバ2000bは、随意選択で、易壊性シール2904によって分離され得る。さらに、随意選択で、加熱チャンバ2000bを加速管2200の下流側セクションから分離するために、第2の易壊性シール2905が存在し得る。加熱要素2902は、ガス2903の急速加熱を促進するために、加熱チャンバ2000bの内部または周囲に可動に位置決めされ得る。このように、PAT2000は、最初は冷却軽ガス、液体、または固体2903を含むガスチャンバ2000aと、予熱された後に、ガスチャンバ2000aおよび加熱チャンバ2000bによって画定されたブリーチ領域2990に迅速に導入され得る外部または内部加熱要素2902とを備える。冷却軽ガス、液体、または固体2903は、その後、すぐに加熱要素2902と接触し、そのことにより、飛翔体2010を望ましい高速に加速させるのに十分な温度まで急速加熱される。
【0111】
冷却軽ガス、液体、または固体2903および加熱要素2902は、当業者によって理解されるような様々な方法によって、ブリーチ領域2990に導入され得る。例えば、冷却軽ガス、液体、または固体2903および加熱要素2902の一方または両方は、ブリーチ端部から、ブリーチ領域2990の両側から、またはブリーチ領域の前部から導入され得る。加熱要素2902は、発射プロセスの開始が望まれるまで都合良く非常に冷たい状態のまま保つことができるように、迅速に導入され得る別個の要素である。冷却軽ガス、液体、または固体2903も同様に、発射プロセスの開始が望まれるまでガスチャンバ2000aを都合良く非常に高温の状態で保つことができるように、ガスチャンバ2000aから離した状態で保たれて、後で、迅速に導入され得る。
【0112】
所望の発射の瞬間までのガスチャンバ2000aおよび加熱チャンバ2000bの分離を容易にするために、随意選択の易壊性シール2904が設けられ得る。その後、受動圧力効果による、または電気加熱もしくは爆発作用のような能動的方法による易壊性シール2904の破裂によって発射が開始され得る。所望の発射の瞬間までの加速管2200からブリーチ領域2990の分離を容易にするために、別の随意選択の易壊性シール2905が設けられ得る。その後、受動圧力効果による、または電気加熱もしくは爆発作用のような能動的方法による易壊性シール2905の破裂によって発射が開始され得る。
【0113】
随意選択の冷却システム2900は、特に、ブリーチ領域の温度が所望のレベルを超えるのを防止するために、ブリーチ領域2990を取り囲み、またはブリーチ領域2990の一部として組み込まれ得る。冷却システム2900は、必要に応じて、加速管2200の一部または全体をも冷却するためにブリーチ領域2990を越えて延在し得る。PATに関して本明細書に別途記載されているような動作圧、温度、加速度、重力、および速度が、
図17の実施形態にも適用され得る。同様に、加速管2200を通って加速している飛翔体2010は、本明細書に別途記載されているようなMAT300、本明細書に別途記載されているような出口ポータル315、または本明細書に別途記載されているようなソフトキャッチシステム(500、600、700)へと移動し得る。
【0114】
1つ以上の実施形態では、本開示は、軽ガス、液体、または固体を受容し、軽ガス、液体、または固体を急速加熱するように構成された予熱済み加熱要素を受容するように構成されたブリーチ領域を含む加速管を備えるPATに関する。ブリーチ領域は、1つ以上の易壊性シールを備え得る。ブリーチ領域は、最終的に加圧加熱ガスを供給することができるように軽ガス、液体、または固体が加熱されるガスチャンバと、別個の加熱領域とを備え得る。加熱器は、加熱領域の内部に設置され得る、または加熱領域内の加速管の外部に位置決めされ得る。ガスチャンバは、易壊性シールによって加熱チャンバから分離され得る。加熱チャンバは、易壊性シールによって加速管の下流側部分から分離され得る。冷却システムは、加速管の少なくとも一部の周囲に、好ましくはガスチャンバの領域に、または少なくともブリーチ領域の周囲に、構成され得る。
【0115】
有利には、当業者によって、特定の用途でソフトキャッチシステムの実施形態の様々な組み合わせが使用され得る。さらに、超電導技術を使用して、飛翔体を減速させるのに、流体力学的手段の代わりに電磁的手段が使用され得る。
【0116】
本開示に関係する当業者は、上記説明および関連図面に記載されている技術の利益を有する本開示の多くの修正および他の実施形態を思い付くであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示されている特定の実施形態に限定されず、修正および他の実施形態が添付の請求項の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、これらの用語は、一般的かつ説明的な意味で使用されており、制限することを意図するものではない。