(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116205
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】表示ドライバ、表示装置及びサブピクセルレンダリング処理方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20220802BHJP
G09G 3/30 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G09G3/20 650C
G09G3/30 Z
G09G3/20 R
G09G3/20 631M
G09G3/20 632F
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086597
(22)【出願日】2022-05-27
(62)【分割の表示】P 2017222918の分割
【原出願日】2017-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】皆木 朋夫
(72)【発明者】
【氏名】降旗 弘史
(72)【発明者】
【氏名】能勢 崇
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示ドライバ、表示装置及びサブピクセルレンダリング処理方法に関する。
【解決手段】表示ドライバは、入力画像の入力サブピクセルのうち水平方向に沿った2ライン分に含まれる所定の範囲を参照するサブピクセルレンダリング処理回路と、前記所定の範囲に含まれる複数サブピクセル分の第一のサブピクセルを保持する一対のバッファメモリと、異なるサブピクセル構造を備える表示パネル毎に、前記所定の範囲内における前記第一のサブピクセルの各形状に対応する所定の係数を記憶するレジスタと、を備え、前記サブピクセル構造に応じた前記所定の係数を用いて、前記一対のバッファメモリのそれぞれに保持される前記第一のサブピクセルから出力画像の第二のサブピクセルを算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像の入力サブピクセルのうちの複数の第一のサブピクセルのデータを保持するように構成された一対のバッファメモリであって、前記第一のサブピクセルのそれぞれが、前記入力画像の入力サブピクセルの水平方向に沿った2ライン分に含まれるように規定された複数のひし形の参照範囲に少なくとも部分的に含まれるバッファメモリと、
前記複数の参照範囲内に含まれる前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状に対応する係数を記憶するように構成されたレジスタと、
前記係数を用いて、前記一対のバッファメモリのそれぞれに保持される前記第一のサブピクセルのデータから出力画像の第二のサブピクセルのデータを算出するサブピクセルレンダリング処理を、R、G、Bについて別々に行うように構成されたサブピクセルレンダリング処理回路と、
を備え、
前記複数の参照範囲は、いずれも前記出力画像の前記水平方向に沿った第一のラインの第二のサブピクセルに対応しており、前記水平方向において交互に配置された第一の参照範囲及び第二の参照範囲を含み、
前記第一の参照範囲は、第一の参照パターンが適用されて前記第一の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記第二の参照範囲は、前記第一の参照パターンと異なる第二の参照パターンが適用されて前記第二の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記一対のバッファメモリは、前記第一の参照パターン及び前記第二の参照パターンにそれぞれに対応している、
表示ドライバ。
【請求項2】
サブピクセルレンダリング処理回路は、前記サブピクセルレンダリング処理により、前記第二のサブピクセルの合計数を、前記入力サブピクセルの合計数の三分の二にする
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記第一の参照範囲及び前記第二の参照範囲のそれぞれが、対角線上に位置する前記第一のサブピクセルの複数の部分の面積の合計が、対角線上に位置する前記第一のサブピクセルの他の複数の部分の面積の合計と同じであるように決定され、
前記2つの部分の係数の合計が、前記他の2つの部分の係数の合計と同じである
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記サブピクセルレンダリング処理回路が、前記サブピクセルレンダリング処理において、前記係数と、前記参照範囲に含まれていない前記第一のサブピクセルの部分に対応する第二の係数に基づいて、前記出力画像の第三のサブピクセルのデータを算出するように構成された
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項5】
前記第二の係数は、前記参照範囲に含まれていない前記第一のサブピクセルの部分の面積を用いて決定される
請求項4に記載の表示ドライバ。
【請求項6】
前記複数の参照範囲は、前記出力画像の前記水平方向に沿った前記第一のラインに隣接する第二のラインの第二のサブピクセルに対応しており、前記水平方向において交互に配置された第三の参照範囲及び第四の参照範囲を更に備えており、
前記第三の参照範囲は、第三の参照パターンが適用されて前記第三の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記第四の参照範囲は、前記第三の参照パターンと異なる第四の参照パターンが適用されて前記第四の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定している
請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項7】
前記入力画像のサブピクセルは、Rサブピクセル、Gサブピクセル及びBサブピクセルを含み、
前記Gサブピクセルに基づき算出される前記第二のサブピクセルの重心は、前記Rサブピクセルに基づき算出される前記第二のサブピクセルの重心より前記水平方向右側に位置し、
前記Bサブピクセルに基づき算出される前記第二のサブピクセルの重心は、前記Gサブピクセルに基づき算出される前記第二のサブピクセルの重心より前記水平方向右側に位置する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示ドライバ。
【請求項8】
前記一対のバッファメモリのそれぞれは、6個の第一のサブピクセルのデータを保持するように構成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表示ドライバ。
【請求項9】
表示パネルと、前記表示パネルにサブピクセルレンダリング処理を施した出力画像を出力する表示ドライバとを備える表示装置であって、
前記表示ドライバは、
入力画像の入力サブピクセルのうちの複数の第一のサブピクセルのデータを保持するように構成された一対のバッファメモリであって、前記第一のサブピクセルのそれぞれが、前記入力画像の入力サブピクセルの水平方向に沿った2ライン分に含まれるように規定された複数のひし形の参照範囲に少なくとも部分的に含まれるバッファメモリと、
前記複数の参照範囲内に含まれる前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状に対応する係数を記憶するレジスタと、
前記係数を用いて、前記一対のバッファメモリのそれぞれに保持される前記第一のサブピクセルのデータから前記出力画像の第二のサブピクセルのデータを算出するサブピクセルレンダリング処理を、R、G、Bについて別々に行うように構成されたサブピクセルレンダリング処理回路と、
を備え、
前記複数の参照範囲は、いずれも前記出力画像の前記水平方向に沿った第一のラインの第二のサブピクセルに対応しており、前記水平方向において交互に配置された第一の参照範囲及び第二の参照範囲を含み、
前記第一の参照範囲は、第一の参照パターンが適用されて前記第一の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記第二の参照範囲は、前記第一の参照パターンと異なる第二の参照パターンが適用されて前記第二の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記一対のバッファメモリは、前記第一の参照パターン及び第二の参照パターンにそれぞれに対応している、
表示装置。
【請求項10】
サブピクセルレンダリング処理回路は、前記サブピクセルレンダリング処理により、前記第二のサブピクセルの合計数を、前記入力サブピクセルの合計数の三分の二にする
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記サブピクセルレンダリング処理回路が、前記サブピクセルレンダリング処理において、前記係数と、前記参照範囲に含まれていない前記第一のサブピクセルの部分に対応する第二の係数とを用いて前記出力画像の第三のサブピクセルのデータを算出するように構成された
請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
入力画像の入力サブピクセルのうちの複数の第一のサブピクセルであって、それぞれが、前記入力画像の入力サブピクセルのうち水平方向に沿った2ライン分に含まれるように規定された複数のひし形の参照範囲に少なくとも部分的に含まれる第一のサブピクセルのデータを一対のバッファメモリに保持することと、
前記複数の参照範囲内に含まれる前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状に対応する係数をレジスタに記憶することと、
前記係数を用いて、前記一対のバッファメモリのそれぞれに保持される前記第一のサブピクセルのデータから出力画像の第二のサブピクセルのデータを算出するサブピクセルレンダリング処理をR、G、Bについて別々に行うことと、
を含み、
前記複数の参照範囲は、いずれも前記出力画像の前記水平方向に沿った第一のラインの第二のサブピクセルに対応しており、前記水平方向において交互に配置された第一の参照範囲及び第二の参照範囲を含み、
前記第一の参照範囲は、第一の参照パターンが適用されて前記第一の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記第二の参照範囲は、前記第一の参照パターンと異なる第二の参照パターンが適用されて前記第二の参照範囲内にある前記第一のサブピクセルの部分それぞれの形状を規定しており、
前記一対のバッファメモリは、前記第一の参照パターン及び前記第二の参照範囲にそれぞれに対応している、
サブピクセルレンダリング処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表示ドライバ、表示装置及びサブピクセルレンダリング処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルやOrganic Light Emitting Diode(OLED)表示パネル等の表示パネルは、例えば、ノートブックコンピュータやデスクトップコンピュータ、スマートフォンといった電子機器に用いられている。表示パネルを駆動する表示ドライバは、元画像の画像データに対して画像データ処理を行うことにより、表示パネルの本来の解像度より高い解像度で画像を表示するサブピクセルレンダリング処理を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
一の観点では、表示ドライバは、サブピクセルレンダリング処理において入力画像の入力サブピクセルのうち水平方向に沿った2ライン分に含まれる所定の範囲を参照するサブピクセルレンダリング処理回路と、前記所定の範囲に含まれる複数サブピクセル分の第一のサブピクセルを保持するバッファメモリと、異なるサブピクセル構造を備える表示パネル毎に、前記所定の範囲内における前記第一のサブピクセルの形状のそれぞれに対応する所定の係数を記憶するレジスタと、を備える。前記所定の範囲は、前記水平方向において交互に繰り返され、前記形状により異なる2つのパターンを有する。前記バッファメモリは、前記2つのパターンのそれぞれに対応する一対が設けられる。前記サブピクセルレンダリング処理回路は、前記サブピクセル構造に応じた前記所定の係数を用いて、前記一対のバッファメモリのそれぞれに保持される前記第一のサブピクセルから出力画像の第二のサブピクセルを算出する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態における表示ドライバの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態における入力画像のサブピクセル構造の一例を示す図である。
【
図5】実施形態におけるサブピクセルレンダリング処理後の出力画像のサブピクセル構造の一例を示す図である。
【
図6】実施形態におけるRサブピクセルのみが表示された入力画像のサブピクセル構造の一例を示す図である。
【
図7】実施形態におけるRサブピクセルにRサブピクセルの重心を重ね合わせた一例を示す図である。
【
図8】実施形態におけるRサブピクセルの重心の一例を示す図である。
【
図9】実施形態におけるRサブピクセルの重心が参照する入力画像のRサブピクセルの範囲の一例を示す図である。
【
図10】実施形態におけるRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の条件の一例を示す図である。
【
図11】実施形態におけるRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の条件の一例を示す図である。
【
図12】実施形態におけるRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の条件の一例を示す図である。
【
図13】実施形態におけるRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の一例を示す図である。
【
図14】実施形態におけるRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の一例を示す図である。
【
図15】実施形態におけるGサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の一例を示す図である。
【
図16】実施形態におけるBサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の一例を示す図である。
【
図17A】実施形態におけるRGBタイプのサブピクセル構造の出力画像のサブピクセルとバッファに保持される入力画像のサブピクセルとの対応関係を示す図である。
【
図17B】実施形態におけるRGBタイプのサブピクセル構造の出力画像のサブピクセルとバッファに保持される入力画像のサブピクセルとの対応関係を示す図である。
【
図18A】実施形態におけるサブピクセルに対応するバッファ及びサブピクセルレンダリング処理に用いられる係数の一例を示す図である。
【
図18B】実施形態におけるサブピクセルに対応するバッファ及びバッファに入力する係数の一例を示す図である。
【
図19A】実施形態におけるRGBタイプにおけるバッファに係数を入力する方法の一例を示す図である。
【
図19B】実施形態におけるRGBタイプにおけるバッファに係数を入力する方法の一例を示す図である。
【
図20A】実施形態におけるRGBGタイプのサブピクセル構造の出力画像のサブピクセルとバッファに保持される入力画像のサブピクセルとの対応関係を示す図である。
【
図20B】実施形態におけるRGBGタイプのサブピクセル構造の出力画像のサブピクセルとバッファに保持される入力画像のサブピクセルとの対応関係を示す図である。
【
図20C】実施形態におけるRGBGタイプのサブピクセル構造の出力画像のサブピクセルとバッファに保持される入力画像のサブピクセルとの対応関係を示す図である。
【
図21A】実施形態におけるRGBGタイプにおけるバッファに係数を入力する方法の一例を示す図である。
【
図21B】実施形態におけるRGBGタイプにおけるバッファに係数を入力する方法の一例を示す図である。
【
図22】実施形態におけるRサブピクセルの重心が参照する参照範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、ここに開示された技術がこれら実施形態の詳細説明がなくとも当業者により実施され得ることは明らかである。また、以下において、説明を不要に複雑にすることを避けるため、周知の特徴を詳細には説明していない。
【0007】
現在、表示パネルのサブピクセル構造には様々な種類がある。サブピクセルレンダリング処理を行う回路は、様々なサブピクセル構造のそれぞれに対応する必要がある。例えば、サブピクセル構造毎に一つの回路を設ける場合、実装するサブピクセル構造の数だけ回路が必要となり回路規模が大きくなってしまう。さらに、新たなサブピクセル構造が追加されると、それに対応する回路が追加される必要があるため、回路規模が増大してしまう。また、例えば、全てのサブピクセル構造に対応可能なプログラマブルな回路構成を実現しようとすると、回路規模が膨大になってしまう。そこで、以下に説明するように、一実施形態におけるサブピクセルレンダリング処理によれば、多様なサブピクセル構造に対しても、回路規模を増大させることなく、対応可能な回路を実現する。
【0008】
図1は、一実施形態における表示装置10の構成を示すブロック図である。表示装置10は、表示パネル1及び表示ドライバ2を備える。
【0009】
表示装置10は、ユーザに表示パネル1に表示される情報を提供する表示機能を有する。表示装置10は、表示パネルを備える電子機器の一例である。電子機器は、例えば、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子ブックリーダー、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)といった携帯電子機器に限らない。例えば、電子機器は、表示パネルを備えるデスクトップコンピュータ又は表示パネルが用いられる自動車に搭載される表示機器など、あらゆるサイズ及び形状の機器であってもよい。また、タッチセンサーを備え、指やスタイラス等の入力物体のタッチ検出が可能とされていてもよい。
【0010】
表示パネル1は、例えば、Organic Light Emitting Diode(OLED)表示パネルや液晶表示パネルである。表示パネル1は、ゲート線4、データ線5、画素回路6及びゲート線駆動回路7を備える。
【0011】
それぞれの画素回路6は、ゲート線4とデータ線5とが交差する位置に設けられており、赤、緑、青のいずれかの色を表示する。赤を表示する画素回路6は、Rサブピクセルとして用いられる。同様に、緑を表示する画素回路6はGサブピクセルとして用いられ、青を表示する画素回路6はBサブピクセルとして用いられる。表示パネル1がOLED表示パネルである場合、赤、緑、青を表示する画素回路6はそれぞれ赤色、緑色、青色の光を発光する発光素子を備える。一実施形態において、表示パネル1のサブピクセル構造は、RGBタイプであってもRGBGタイプでもよく、各サブピクセルは任意の位置に配置されてもよい。
【0012】
ゲート線駆動回路7は、表示ドライバ2から受け取ったゲート制御信号31に応答してゲート線4を駆動する。本実施形態では、一対のゲート線駆動回路7が設けられており、一方のゲート線駆動回路7は、奇数番目のゲート線4を駆動し、他方のゲート線駆動回路7は、偶数番目のゲート線4を駆動する。一実施形態では、ゲート線駆動回路7は、Gate-In-Panel(GIP)技術を用いて表示パネル1に集積化されている。
【0013】
表示ドライバ2は、ホスト3から受け取った画像データ32及び制御データ33に応じて表示パネル1を駆動して表示パネル1に画像を表示する。画像データ32は、表示すべき画像(元画像)の各画素の各サブピクセルの階調値を記述している。制御データ33は、表示ドライバ2を制御するためのコマンド及びパラメータを含んでいる。ホスト3は、例えば、アプリケーションプロセッサ、Central Processing Unit(CPU)、Digital Signal Processor(DSP)である。
【0014】
図2は、一実施形態における表示ドライバ2の構成を示すブロック図である。表示ドライバ2は、インターフェース制御回路11、画像処理回路12、ラッチ回路13、階調電圧生成回路14、データ線駆動回路15及びレジスタ16を備える。
【0015】
インターフェース制御回路11は、ホスト3から受け付けた画像データ32を画像処理回路12に転送する。インターフェース制御回路11は、制御データ33に含まれている様々な制御パラメータをレジスタ16に格納し、制御データ33に含まれるコマンドに応答して表示ドライバ2の各回路を制御する。
【0016】
画像処理回路12は、インターフェース制御回路11から受け付けた画像データ32に対して所望の画像データ処理を行って表示パネル1の駆動に用いられる表示データ34を生成する。画像処理回路12において行われる画像データ処理は、サブピクセルレンダリング処理を含む。画像処理回路12において行われる画像データ処理は、サブピクセルレンダリング及び様々な処理(例えば、色調整)を含む。一実施形態におけるサブピクセルレンダリング処理の詳細は後述する。
【0017】
ラッチ回路13は、画像処理回路12から出力される表示データ34をラッチしてデータ線駆動回路15に転送する。
【0018】
階調電圧生成回路14は、表示データ34に記述されている階調値がとり得る値のそれぞれに対応する一組の階調電圧を生成する。
【0019】
データ線駆動回路15は、表示データ34の値に対応する階調電圧で各データ線5を駆動する。詳細には、データ線駆動回路15は、階調電圧生成回路14から供給された階調電圧のうちから表示データ34の値に対応する階調電圧を選択し、その階調電圧になるように各データ線5を駆動する。
【0020】
レジスタ16は、表示ドライバ2の動作を制御するために用いられる様々な制御パラメータを保持する。レジスタ16は、表示ドライバ2の外部から、例えば、ホスト3から書き換え可能である。レジスタ16は、異なるサブピクセル構造を備える表示パネル毎に、後述する参照範囲301内における入力画像のサブピクセルのそれぞれの形状に対応する所定の係数(以下、「係数」という)を記憶する。該係数は、画像処理回路12で行われるサブピクセルレンダリング処理に用いられる入力画像のサブピクセルに対して乗算される。
【0021】
図3は、実施形態における画像処理回路12の構成の一例を示すブロック図である。画像処理回路12は、サブピクセルレンダリング処理回路20と一対のバッファメモリ21A及び21Bとを備える。
【0022】
本実施形態では、入力画像データDINに対応する画像を入力画像といい、出力画像データDOUTに対応する画像を出力画像という。入力画像データDINは、入力画像の各ピクセルの各サブピクセル(Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセル)の階調値が記述されている。一方、出力画像データDOUTは、出力画像の各ピクセルの各サブピクセルの階調が記述されている。
【0023】
画像処理回路12に入力される入力画像データDINは、インターフェース制御回路11から画像処理回路12に供給される画像データ32そのものであってもよいし、画像データ32に対して何らかの画像データ処理を行って得られる画像データが、入力画像データDINとして用いられてもよい。画像処理回路12から出力される出力画像データDOUTが、データ線駆動回路15に供給される表示データ34として用いられてもよいし、また、出力画像データDOUTに対して何らかの画像データ処理を行って得られる画像データが、表示データ34としてデータ線駆動回路15に供給されてもよい。
【0024】
一対のバッファメモリ21A及び21Bのそれぞれは、複数サブピクセル分のバッファを有する。実施形態では、バッファメモリ21A及び21Bのそれぞれは、入力された入力画像データD
INの6サブピクセル分のデータを保持し、サブピクセルレンダリング処理回路20に出力する。なお、バッファメモリ21A及び21Bのそれぞれが保持する入力画像のサブピクセル数は、6サブピクセル分に限らず、参照範囲301内における入力画像のサブピクセル数であれば任意の複数サブピクセル分であってもよい。保持していた6サブピクセルのデータの出力後、各バッファメモリ21A及び21Bに入力画像の次の6サブピクセルが順次入力され、バッファメモリ21A及び21Bは、6サブピクセルを保持する。このような処理は、入力画像に対するサブピクセルレンダリング処理が完了するまで繰り返される。なお、バッファメモリ21A及び21Bの構成については、
図17A及び17Bを用いて後述する。
【0025】
サブピクセルレンダリング処理回路20は、バッファメモリ21A及び21Bのそれぞれから出力される入力画像のサブピクセルに対してサブピクセルレンダリングのための所定の演算処理を行って出力画像データDOUTを生成する。例えば、サブピクセルレンダリング処理回路20は、表示パネル1のサブピクセル構造に応じた、入力画像の6サブピクセルのそれぞれに対応する係数をレジスタ16から読み出し、入力画像の各サブピクセルに対して読み出した係数を乗算し、出力画像のサブピクセルを算出する。つまり、異なるサブピクセル構造を有する表示パネル1毎に係数が切り替わるため、表示パネル1の多様なサブピクセル構造に対して、表示ドライバ2の回路構成を変更することなくサブピクセルレンダリング処理を実行できる。サブピクセルレンダリング処理回路20は、サブピクセルレンダリング処理により、出力画像のサブピクセルの合計数を、入力画像のサブピクセルの合計数の2/3にする。
【0026】
一実施形態では、サブピクセルレンダリング処理において参照される入力画像のサブピクセルの範囲は、入力画像の2ライン分に含まれる。すなわち、バッファメモリ21が保持する6サブピクセルは、入力画像のサブピクセルの2ライン分に含まれる。なお、実施形態におけるラインは、画像データにおいて水平方向に沿ったサブピクセルの行であり、水平方向に垂直な方向を垂直方向という。
【0027】
サブピクセルレンダリング処理は、RGBタイプとRGBGタイプとの二つに分類される。RGBタイプでは、入力画像データに対応する入力画像をサブピクセルレンダリング処理し、R、G、Bそれぞれのサブピクセル数を2/3にし、合計サブピクセル数が2/3となった出力画像データに対応する出力画像を生成する。RGBGタイプでは、入力画像データに対応する入力画像をサブピクセルレンダリング処理し、R及びBのサブピクセル数を1/2にし、Gのサブピクセル数は変えず、合計サブピクセル数が2/3となった出力画像データに対応する出力画像を生成する。
【0028】
一実施形態では、サブピクセルレンダリング処理回路20は、入力画像データDINに対応する入力画像の合計サブピクセル数が出力画像データDOUTに対応する出力画像の合計サブピクセル数の2/3になるように、入力画像のサブピクセルをサブピクセルレンダリング処理する。
【0029】
以下、一実施形態におけるサブピクセルレンダリング処理において参照される入力画像のサブピクセルの範囲及び出力画像のサブピクセルの演算に用いられる係数について説明する。入力画像の水平方向に沿った2ライン分のサブピクセルに含まれるサブピクセルに対してサブピクセルレンダリング処理を施し、出力画像の各サブピクセルを算出する。
【0030】
サブピクセルレンダリング処理により、例えば、
図4に示す入力画像のサブピクセルを
図5に示す出力画像のRGBタイプのサブピクセル構造にマッピングする。
図4に示す入力画像において、水平方向に、Rサブピクセル101A、Gサブピクセル102A、Bサブピクセル103Aが順に並べられ、Rサブピクセル101A、Gサブピクセル102A、Bサブピクセル103Aの並びが繰り返されている。
図4において、垂直方向に、Rサブピクセル101A、Gサブピクセル102A、Bサブピクセル103Aのそれぞれが連続して配置される。
図5に示すサブピクセル構造の例では、水平方向に、Rサブピクセル101B、Gサブピクセル102B、Bサブピクセル103Bの順に並べられ、Rサブピクセル101B、Gサブピクセル102B、Bサブピクセル103Bの並びが繰り返されている。
図5のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B、Gサブピクセル102B、Bサブピクセル103Bそれぞれのサブピクセル数は、
図4のRサブピクセル101A、Gサブピクセル102A、Bサブピクセル103Aそれぞれの2/3である。なお、一実施形態におけるサブピクセル構造は、
図5に示す例に限らず、各サブピクセルは任意に配置されてもよい。
【0031】
以下、説明を簡単にするため、Rサブピクセルに着目して説明する。
図6は、
図5に示した出力画像のサブピクセル構造において、Rサブピクセル101Bのみを示した図である。
【0032】
まず、サブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101Bの重心を算出する。
図7には、Rサブピクセル101Bの位置に基づき算出されたRサブピクセル101Bの重心201が示されている。
図8は、算出されたRサブピクセル101Bの重心201を示す図である。
【0033】
次に、
図9に示すように、Rサブピクセル101Bの重心201を、入力画像のRサブピクセル101Aに重ね合わせ、各重心201が参照する入力画像の参照範囲301を2ラインに収まるように分割する。参照範囲301は、サブピクセルレンダリング処理において出力画像のRサブピクセル101Bを算出するために参照される入力画像のRサブピクセル101Aのうちの所定の範囲である。このように、サブピクセルレンダリング処理において参照される入力画像のサブピクセルの範囲を限定することで、表示ドライバの回路規模を小さくすることができる。
【0034】
図9の例において、参照範囲301のライン毎に2つの参照パターンが交互に繰り返されている。例えば、参照範囲301の奇数ライン及び偶数ライン毎に、参照範囲301が2サブピクセル単位で繰り返されている。入力画像のRサブピクセル101Aは、参照範囲301に含まれるRサブピクセル101Aの形状により、
図10に示す4つの参照パターン3011~3014に分けられる。例えば、
図10の参照パターン3011によれば、Rサブピクセル101Bの重心201は、第一のRサブピクセル101Aの範囲A、第二のRサブピクセル101Aの範囲B、第三のRサブピクセル101Aの範囲C及び第四のRサブピクセル101Aの範囲Dを参照する。同様に、
図10の参照パターン3012、3013及び3014では、それぞれ範囲E~H、I~L及びN~Rが参照される。なお、参照範囲301における範囲A~Rの面積は、正規化された値として表されてもよい。また、参照範囲301における範囲A~Rの面積は、出力画像のRサブピクセル101Bを算出するために用いられる、入力画像のRサブピクセル101Aのそれぞれに対して乗算する係数として表されてもよい。
【0035】
図9の例では、奇数ラインにおける奇数サブピクセルの参照範囲301には、参照パターン3011が適用される。奇数ラインにおける偶数サブピクセルの参照範囲301には、参照パターン3012が適用される。偶数ラインにおける奇数サブピクセルの参照範囲301には、参照パターン3013が適用される。偶数ラインにおける偶数サブピクセルの参照範囲301には、参照パターン3014が適用される。このように、参照範囲301は、水平方向において交互に繰り返され、参照範囲301に含まれるRサブピクセル101Aの形状により異なる2つのパターンを有する。
【0036】
一実施形態において、以下の第一から第三の条件を満たすように、参照範囲301が構成される。
【0037】
(第一の条件)
【0038】
入力画像の輝度のバランスをサブピクセルレンダリング処理後においても維持するため、一実施形態では、参照範囲301に含まれる入力画像のRサブピクセル101Aそれぞれの面積の合計を一定にする。例えば、参照パターン3011~3014のそれぞれに含まれる範囲A~D、E~H、I~L及びM~Rの係数の合計値を同じにする。
図10に示すように、各参照パターン3011~3014に含まれる各範囲の係数A~Rは、A+B+C+D=E+F+G+H=I+J+K+L=M+N+O+P+Q+Rの関係となる第一の条件を満たすように決定される。
【0039】
(第二の条件)
【0040】
入力画像がドット市松のような特別なパターンの場合、サブピクセルレンダリング処理後の出力画像が歪まないようにするため、一実施形態では、参照範囲301に含まれる入力画像のRサブピクセル101Aそれぞれの面積のうち、参照範囲301内で対角線上に位置する入力画像のRサブピクセル101Aの面積の合計を一定にする。例えば、各参照パターン3011~3014における対角線上の範囲毎の係数の合計値をすべて同じにする。すなわち、一実施形態では、
図11に示すように、各参照パターン3011~3014に含まれる範囲の係数A~Rは、A+D=B+C=E+H=F+G=I+L=J+K=M+Q+O=P+N+Rの関係となる第二の条件を満たすように決定される。
【0041】
(第三の条件)
【0042】
例えば、画面をスクロールのような操作により動かした場合、上下左右の参照範囲301が変動し、小さな文字が震える場合がある。一実施形態では、そのような画面スクロール時の文字の震えを回避するため、入力画像の各Rサブピクセル101Aの面積を同じにする。このように、一実施形態では、各Rサブピクセル101Aに含まれる各参照範囲301の係数の合計値を同じにする。例えば、
図12に示すように、それぞれのRサブピクセル101Aに含まれる範囲の係数は、B+K+R=E+L+P=A+F+Q=D+I+O=G+J+M=C+H+Nの関係となる第三の条件を満たすように決定される。
【0043】
上記第一から第三の条件を満たす係数A~Rを
図13に示す。
図13の例では、各参照範囲301に含まれる係数の和は36であり(第一の条件)、各参照範囲301における対角線上の係数の和は18であり(第二の条件)、各Rサブピクセル101Aに含まれる係数の和は18である(第三の条件)。サブピクセルレンダリング処理回路20は、レジスタ16に格納された
図13に示す係数を用いて、バッファメモリ21から出力されるRサブピクセル101Aに対して演算処理を実行する。
【0044】
図13を用いて、サブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101Bの奇数ラインにおいて左から奇数サブピクセル目のRサブピクセル101Bを算出する例を示す。
図13において、3ライン目において3サブピクセル目のRサブピクセル101B R
SPR(3,3)は、次の式により算出される。下記式におけるR
23、R
24、R
33、R
34は、それぞれ
図13に示す入力画像のRサブピクセル101AのうちR23、R24、R33、R34に対応する。
【数1】
【0045】
上記式において、表示パネル1のガンマ特性を考慮し、所望の輝度で表示データを表示するため、ガンマ乗された各入力画像のRサブピクセル101Aの総和に対し、1/ガンマ乗する。
【0046】
同様に、Rサブピクセル101Bの奇数ラインにおいて左から偶数サブピクセル目のRサブピクセル101Bを算出する例を示す。
図13において、3ライン目の4サブピクセル目のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B R
SPR(3,4)は、次の式により算出される。
【数2】
【0047】
同様に、Rサブピクセル101Bの偶数ラインにおいて左から奇数サブピクセル目のRサブピクセル101Bを算出する例を示す。
図13において、2ライン目の1サブピクセル目のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B R
SPR(2,1)は、次の式により算出される。
【数3】
【0048】
同様に、Rサブピクセル101Bの偶数ラインにおいて左から偶数サブピクセル目のRサブピクセル101Bを算出する例を示す。
図13において、2ライン目の2サブピクセル目のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B R
SPR(2,2)は、次の式により算出される。
【数4】
【0049】
図13に示したサブピクセル構造において、参照範囲301に含まれていない入力画像のRサブピクセル101Aの領域が存在する。
図14の例では、矢印の始点に対応するRサブピクセル101Aの一部の領域は、参照範囲301に含まれていない。例えば、参照範囲301に含まれていないRサブピクセル101Aの領域が、サブピクセルレンダリング処理において参照されないならば、画面の上下左右に1本だけの白い線が描かれる入力画像であるとしても、サブピクセルレンダリング処理後の画像は白い線として表示パネル1に表示されず、カラーシフトが発生し得る。そこで、一実施形態では、サブピクセルレンダリング処理において、矢印の始点に対応するRサブピクセル101Aの領域が参照されるようする。
【0050】
図14の例において、サブピクセルレンダリング処理において、参照範囲301に含まれていないRサブピクセル101Aが参照されない場合、Rサブピクセル101Bの4ライン目の2サブピクセル目のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B R
SPR(4,2)は、次の式により算出される。
【数5】
【0051】
一方、
図14の例において、サブピクセルレンダリング処理において参照範囲301に含まれていないRサブピクセル101Aが参照される場合、Rサブピクセル101Bの4ライン目の2サブピクセル目のサブピクセルレンダリング処理後のRサブピクセル101B R
SPR(4,2)は、次の式により算出される。
【数6】
【0052】
上記式では、入力画像のRサブピクセルR42に対して係数「5」が加算され、R43に対して係数「4+4」が加算され、R44に対して係数「5」が加算される。同様に、端に位置する参照範囲301に含まれていないRサブピクセル101Aに、サブピクセルレンダリング処理が行われる。なお、各サブピクセルの階調値が8ビットで表されるとき、サブピクセルレンダリング処理結果が255を超えないようにサブピクセルレンダリング処理結果がクリッピングされてもよい。
【0053】
次に、一実施形態におけるGサブピクセル及びBサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理において参照される入力画像のサブピクセルの範囲について説明する。
図4に示すように、水平方向において、Gサブピクセル102AはRサブピクセル101Aの右に配置され、Bサブピクセル103AはGサブピクセル102Aの右に配置される。
【0054】
したがって、
図15に示すように、出力画像のGサブピクセル102Bの重心202は、Rサブピクセル101Bの重心201より右側に配置される。各重心202が参照する入力画像の参照範囲302は、Gサブピクセル102Aの2ラインに収まるように分割される。Gサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理には、
図6~14を用いて説明したRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理の手順が適用される。Gサブピクセルに対するサブピクセルレンダリング処理において、
図15に示す参照範囲302に含まれるGサブピクセル102Aのデータに、各Gサブピクセル102Aに対応する係数が乗算される。
【0055】
同様に、出力画像のBサブピクセル103Bの重心203は、
図16に示すように、Gサブピクセル102Bの重心202より右側に配置される。各重心203が参照する入力画像の参照範囲303は、Bサブピクセル103Aの2ラインに収まるように分割される。Bサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理には、
図6~14を用いて説明したRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理の手順が適用される。Bサブピクセルに対するサブピクセルレンダリング処理において、
図16に示す参照範囲303に含まれるBサブピクセル103Aのデータに、各Bサブピクセル102Aに対応する係数が乗算される。
【0056】
次に、バッファメモリ21の構成及びサブピクセルレンダリング処理回路20による演算処理の一例を説明する。上述した一実施形態では、例えば
図9に示すように、サブピクセルレンダリング処理において出力画像のサブピクセルが参照する入力画像の最大サブピクセル数は6サブピクセルである。さらに、上述したように、一実施形態における参照範囲301~303のパターンは、奇数ライン及び偶数ラインそれぞれ2サブピクセルの周期で繰り返される。したがって、実施形態におけるバッファメモリ21は、入力画像の6サブピクセル分を保持する2つを備えればよい。実施形態では、入力画像の6サブピクセルのそれぞれに対応する係数を用いてサブピクセルレンダリング処理を行えばよい。
【0057】
例えば、実施形態における出力画像のRサブピクセルの1ライン目の1サブピクセル目を算出する場合、
図17Aに示す破線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルが参照される。
図18Aに示すように、バッファメモリ21は、
図17Aに示す破線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルの各位置に対応するように、上段左から「0」、「0」、「0」、下段左から「0」、「R11」、「R12」を保持する。なお、
図18Aに示されるバッファ内の「0」は、参照される入力画像のサブピクセルが存在しないことを示す。
図18Aにおいて、入力画像の6サブピクセルに対応する係数は、上段左から「4」、「14」、「0」、下段左から「4」、「14」、「0」である。
【0058】
同様に、実施形態における出力画像のRサブピクセルの1ライン目の2サブピクセル目を算出する場合、
図17Aに示す一点鎖線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルが参照される。
図18Aに示すように、バッファメモリ21は、
図17Aに示す一点鎖線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルの各位置に対応するように、上段左から「0」、「0」、「0」、下段左から「R11」、「R12」、「R13」を保持する。
図18Aにおいて、入力画像の6サブピクセルに対応する係数は、上段左から「0」、「14」、「4」、下段左から「0」、「14」、「4」である。
【0059】
実施形態における出力画像のRサブピクセルの1ライン目の3サブピクセル目を算出する場合、
図17Bに示す破線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルが参照される。
図18Aに示すように、バッファメモリ21は、
図17Bに示す破線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルの各位置に対応するように、上段左から「0」、「0」、「0」、下段左から「R13」、「R14」、「R15」を保持する。なお、
図18Aに示されるバッファ内の「0」は、参照される入力画像のサブピクセルが存在しないことを示す。
図18Aにおいて、入力画像の6サブピクセルに対応する係数は、上段左から「4」、「14」、「0」、下段左から「4」、「14」、「0」である。
【0060】
実施形態における出力画像のRサブピクセルの1ライン目の4サブピクセル目を算出する場合、
図17Bに示す一点鎖線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルが参照される。
図18Aに示すように、バッファメモリ21は、
図17Bに示す一点鎖線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルの各位置に対応するように、上段左から「0」、「0」、「0」、下段左から「R14」、「R15」、「R16」を保持する。
図18Aにおいて、入力画像の6サブピクセルに対応する係数は、上段左から「0」、「14」、「4」、下段左から「0」、「14」、「4」である。
【0061】
図18Bは、
図13の例における出力画像のRサブピクセルの2ライン目の1~4サブピクセル目における入力画像の6サブピクセル分のバッファ及び6サブピクセルのそれぞれに対応する係数を示す。
【0062】
図19Aと
図19Bとはそれぞれ、RGBタイプのサブピクセル構造における出力画像の偶数ラインのサブピクセルと奇数ラインのサブピクセルとにおいて参照される入力画像のバッファと6サブピクセルのそれぞれに対応する係数との対応関係を示す図である。
図19A及び19Bでは、出力画像の各ラインの1~8サブピクセル目において参照される入力画像のサブピクセルを模式的に示している。なお、
図19A及び19Bでは、出力画像の8サブピクセル目までのバッファと係数との対応関係を示したが、9サブピクセル目以降も
図19A及び19Bに示した規則性が適用される。
【0063】
以上、RGBタイプのサブピクセル構造においてバッファメモリ21に保持される入力画像のサブピクセルと各サブピクセルに対応する係数の例を説明したが、本実施形態における表示ドライバ2は、RGBGタイプのサブピクセル構造に対しても適用できる。
【0064】
図20A~20Cは、RGBGタイプのサブピクセル構造におけるバッファメモリ21に保持される入力画像のサブピクセルと入力画像のサブピクセルに対応する係数との対応関係の一例を示した図である。
図20A~20Cでは、入力画像のRサブピクセルR11~R16、R21~26、R31~R36及びR46のうち、出力画像のサブピクセルが参照する範囲を破線で示している。各破線で囲まれた範囲には、入力画像のサブピクセルのそれぞれに対応する係数が示されている。レジスタ16は、RGBタイプのサブピクセル構造における係数だけでなく、例えばRGBGタイプのサブピクセル構造における係数も記憶する。サブピクセルレンダリング処理回路20は、表示パネル1のサブピクセル構造に応じて、RGBタイプのサブピクセル構造における係数とRGBGタイプのサブピクセル構造における係数とを切り替える。
【0065】
例えば、
図20Aに示されるように、出力画像のRサブピクセルの1ライン目の1サブピクセル目を算出する場合、破線の範囲内に含まれる入力画像の2ライン分に含まれる6サブピクセルが参照される。
図20Aの例では、バッファメモリ21は、破線の範囲内に含まれる入力画像の6サブピクセルの各位置に対応するように、上段左から「0」、「0」、「0」、下段左から「0」、「R11」、「R12」を保持する。なお、
図20Aに示されるバッファ内の「0」は、参照される入力画像のサブピクセルが存在しないことを示す。
図20Aにおいて、入力画像の6サブピクセルに対応する係数は、上段左から「0」、「1」、「0」、下段左から「0」、「1」、「0」である。
【0066】
同様に、
図20A~20Cでは、出力画像のRサブピクセルの1ライン目の2及び3サブピクセル目並びに2ライン目の1~3サブピクセル目におけるバッファメモリ21に保持される入力画像のサブピクセルと各入力画像のサブピクセルの係数との対応関係を示している。
【0067】
図21Aと
図21Bとはそれぞれ、RGBGタイプのサブピクセル構造における出力画像の奇数ラインのサブピクセルと偶数ラインのサブピクセルとにおいて参照される入力画像のバッファと入力画像の各サブピクセルに対応する係数との対応関係を示す図である。
図21A及び21Bでは、出力画像の各ラインの1~6サブピクセル目において参照される入力画像のサブピクセルを模式的に示している。なお、
図21A及び21Bでは、出力画像の6サブピクセル目までのバッファと係数との対応関係を示したが、7サブピクセル目以降も
図21A及び21Bに示した規則性が適用される。
【0068】
このように、RGBGタイプのサブピクセル構造の場合、
図19A及び19Bに示すRGBGタイプのサブピクセル構造のバッファへの係数の代入方法を、
図19A及び19Bに示すように変更するだけで本実施形態におけるサブピクセルレンダリングの演算処理を適用可能である。
【0069】
上述したように、一実施形態における表示ドライバ2では、サブピクセルレンダリング処理において参照される入力画像のサブピクセルの範囲が2ライン分に含まれるように構成され、かつ表示ドライバ2が入力画像の6サブピクセル分を保持する一対のバッファメモリ21を備え、バッファメモリ21に対応する係数を変更するだけで、様々な態様のサブピクセル構造に対するサブピクセルレンダリング処理を実行できる。
【0070】
図8では、出力画像の重心が参照する参照範囲301がひし形のような四角形である例を示した。しかしながら、参照範囲は、四角形に限らず、例えば、
図22に示すような六角形の参照範囲301Aであってもよい。
図22において、各重心201が参照する入力画像の参照範囲301Aは、Rサブピクセル101Aの2ラインに収まるように分割される。サブピクセルレンダリング処理は、
図6~14を用いて説明したRサブピクセルのサブピクセルレンダリング処理の手順が適用されればよい。
図22に示した各参照範囲301Aの係数は、上述した第1から第3の条件に基づき決定され、レジスタ16により記憶される。
図22における参照範囲301Aは、参照範囲301Aに含まれる前記複数のRサブピクセル101Aの形状毎に異なる参照パターンを有している。これらの参照パターンは、出力画像のRサブピクセル101Bの奇数ライン及び偶数ライン毎に、2サブピクセル周期で繰り返される。なお、本実施形態における参照範囲は、出力画像の重心が参照する入力画像のサブピクセルの2ラインに収まれば、任意の形状であってもよい。
【0071】
以上、限られた数の実施形態に関してのみ説明したが、本開示の利益を有する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく様々な他の実施形態及び変形例が考案され得ることを理解する。実施形態同士又はその変形例が組み合わせされてもよい。したがって、本明細書及び図面は、例示的開示に過ぎない。
【符号の説明】
【0072】
1 :表示パネル
2 :表示ドライバ
3 :ホスト
4 :ゲート線
5 :データ線
6 :画素回路
7 :ゲート線駆動回路
10 :表示装置
11 :インターフェース制御回路
12 :画像処理回路
13 :ラッチ回路
14 :階調電圧生成回路
15 :データ線駆動回路
16 :レジスタ
20 :サブピクセルレンダリング処理回路
31 :ゲート制御信号
32 :画像データ
33 :制御データ
34 :表示データ
101A :入力画像のRサブピクセル
101B :出力画像のRサブピクセル
102A :入力画像のGサブピクセル
102B :出力画像のGサブピクセル
103A :入力画像のBサブピクセル
103B :出力画像のBサブピクセル
201 :出力画像のRサブピクセルの重心
202 :出力画像のGサブピクセルの重心
203 :出力画像のBサブピクセルの重心
301 :Rサブピクセルの重心の参照範囲
301A :Rサブピクセルの重心の参照範囲
302 :Gサブピクセルの重心の参照範囲
303 :Bサブピクセルの重心の参照範囲