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特開2022-116222ポリイオンコンプレックス粒子と油とを含む組成物
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  • 特開-ポリイオンコンプレックス粒子と油とを含む組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116222
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】ポリイオンコンプレックス粒子と油とを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20220802BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220802BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/92
A61K8/46
A61K8/55
A61K8/49
A61K8/73
A61K8/81
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K8/06
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022087627
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2017115764の分割
【原出願日】2017-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】白谷 俊史
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】河西 毅彦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリイオンコンプレックス粒子を含む安定な組成物、特にエマルジョンの形態の安定な組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩を含む(a)少なくとも1種の粒子と、(b)少なくとも1種の油と、(c)水とを含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物に関する。本発明による組成物は、安定であり、多様な美容機能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む(a)少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の油と、
(c)水と
を含む皮膚化粧用組成物であって、
前記2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩がテレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩、サンセットイエローFCF、フィチン酸及びその塩、及び、それらの混合物からなる群から選択され、
前記2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基がアルギニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン、オルニチン及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記ポリマーの量が組成物の総質量に対して0.001から25質量%であり、
前記(b)油の量が組成物の総質量に対して0.01から50質量%である、皮膚化粧用組成物。
【請求項2】
複数の(a)粒子が、(b)油と(c)水との間の界面に存在する、又は
複数の(a)粒子が、中空を有するカプセルを形成し、(b)油が、中空内に存在する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カチオン性ポリマーが、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、(コ)ポリアミン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、並びにそれらの塩からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
アニオン性ポリマーが、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アニオン性ポリマーが、多糖、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミド酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びに、それらの塩からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
両性ポリマーが、
第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分、
並びに
硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基、及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
両性ポリマーが、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中のポリマーの量が、組成物の総質量に対して0.1から20質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の量が、組成物の総質量に対して0.0001から30質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(a)粒子が、非ポリマー酸又は塩基以外の(d)少なくとも1種の疎水性アミノ酸を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物のpHが、3から9である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(a)粒子の量が、組成物の総質量に対して0.001から60質量%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(b)油が、極性油から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物中の(b)油の量が、組成物の総質量に対して0.1から40質量%である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
0.1質量%以下の界面活性剤を含むエマルジョンの形態である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
(e)少なくとも1種の油ゲル化剤を更に含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
皮膚のための美容方法であって、
請求項1から17のいずれか一項に記載の皮膚化粧用組成物を皮膚に塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させて、皮膚上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む方法。
【請求項19】
皮膚上に化粧皮膜を調製するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の皮膚化粧用組成物の使用であって、
前記化粧皮膜が、pH7以下の水に耐性があり、pH7超の水で除去可能である使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物、及びポリイオンコンプレックス粒子の皮膜、並びにポリイオンコンプレックス粒子を使用することによって皮膜を調製するための方法、及び皮膜を調製するためのポリイオンコンプレックス粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーにより形成されるポリイオンコンプレックスは、既に知られている。
【0003】
美容目的のポリイオンコンプレックス製の皮膜の使用は、例えばWO2013/153678及びJP-A-2014-227389によっても提案されている。WO2013/153678及びJP-A-2014-227389に開示された皮膜は、ある特定の美容効果を提供することができる。
【0004】
しかし、WO2013/153678及びJP-A-2014-227389に開示された皮膜の調製には、基材の高速回転を必要とするスピンコーティングプロセスが必要であり、したがって、皮膚等のケラチン基材上にその場で皮膜を調製することが困難である場合がある。
【0005】
JP-A-2015-107939は、ケラチン物質上に、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーのうちいずれかの第1の溶液をスプレーし、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーのうち他方の第2の溶液をスプレーして、アニオン性及びカチオン性ポリマーを混合し、ポリイオンコンプレックスを含む皮膜を形成することによる、美容目的のポリイオンコンプレックス製の皮膜の調製を開示している。この調製は、皮膚等のケラチン物質上にその場で皮膜を調製することができる。
【0006】
しかし、JP-A-2015-107939に開示されたスプレープロセスによって上記の皮膜を調製することは、慎重な制御なしには困難である場合があり、その理由は、スプレーされる第1及び第2の溶液の量を制御することが容易でない場合があるからである。特に、JP-A-2015-107939に開示されたスプレープロセスを使用することによって比較的厚い皮膜を調製することは、困難である場合がある。
【0007】
ポリイオンコンプレックス製の皮膜を容易に作製するための1つの選択肢は、粒子の形態のポリイオンコンプレックスを使用することでありうる。例えば、JP-A-2005-36190は、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーによって形成されたポリイオンコンプレックス粒子を含む分散体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2013/153678
【特許文献2】JP-A-2014-227389
【特許文献3】JP-A-2015-107939
【特許文献4】JP-A-2005-36190
【特許文献5】欧州特許出願第0080976号
【特許文献6】仏国特許第2077143号
【特許文献7】仏国特許第2393573号
【特許文献8】仏国特許第1492597号
【特許文献9】米国特許第4,131,576号
【特許文献10】米国特許第3,589,578号
【特許文献11】米国特許第4,031,307号
【特許文献12】仏国特許第2162025号
【特許文献13】仏国特許第2280361号
【特許文献14】仏国特許第2252840号
【特許文献15】仏国特許第2368508号
【特許文献16】仏国特許第1583363号
【特許文献17】米国特許第3,227,615号
【特許文献18】米国特許第2,961,347号
【特許文献19】仏国特許第2080759号
【特許文献20】仏国追加特許第2190406号
【特許文献21】仏国特許第2320330号
【特許文献22】仏国特許第2270846号
【特許文献23】仏国特許第2316271号
【特許文献24】仏国特許第2336434号
【特許文献25】仏国特許第2413907号
【特許文献26】米国特許第2,273,780号
【特許文献27】米国特許第2,375,853号
【特許文献28】米国特許第2,388,614号
【特許文献29】米国特許第2,454,547号
【特許文献30】米国特許第3,206,462号
【特許文献31】米国特許第2,261,002号
【特許文献32】米国特許第2,271,378号
【特許文献33】米国特許第3,874,870号
【特許文献34】米国特許第4,001,432号
【特許文献35】米国特許第3,929,990号
【特許文献36】米国特許第3,966,904号
【特許文献37】米国特許第4,005,193号
【特許文献38】米国特許第4,025,617号
【特許文献39】米国特許第4,025,627号
【特許文献40】米国特許第4,025,653号
【特許文献41】米国特許第4,026,945号
【特許文献42】米国特許第4,027,020号
【特許文献43】欧州特許出願第0122324号
【特許文献44】EP-A-0750899
【特許文献45】EP-A-1069172
【特許文献46】EP-A-0173109
【特許文献47】米国特許第3,836,537号
【特許文献48】仏国特許第1,400,366号
【特許文献49】米国特許第5,783,657号
【特許文献50】USP5240975
【特許文献51】米国特許第5,237,071号
【特許文献52】米国特許第5,166,355号
【特許文献53】GB-2,303,549
【特許文献54】DE-19,726,184
【特許文献55】EP-893,119
【特許文献56】WO93/04665
【特許文献57】DE-19855649
【特許文献58】US2004-175338
【特許文献59】EP-A-847752
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering - Macromolecules、2000、第33巻、第10号-3694~3704
【非特許文献2】CTFA辞典(第4版、1991)
【非特許文献3】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press社
【非特許文献4】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献5】ASTM規格445付録C
【非特許文献6】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、第105巻、53~64頁
【非特許文献7】「McCutcheon's Detergents and Emulsifiers」、北米版(2003)、Allured Publishing Corporation社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ポリイオンコンプレックス粒子を含む分散体は、常に安定であるとは限らないことが発見された。分散体が不安定である場合、ポリイオンコンプレックス粒子は、沈殿する傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の第1の目的は、ポリイオンコンプレックス粒子を含む安定な組成物、特にエマルジョンの形態の安定な組成物を提供することである。
【0012】
本発明の上記の目的は、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む(a)少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の油と、
(c)水と
を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物によって達成することができる。
【0013】
複数の(a)粒子は、(b)油と(c)水との間の界面に存在してもよく、又は中空を有するカプセルを形成してもよく、(b)油は、中空内に存在する。
【0014】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。
【0015】
カチオン性ポリマーは、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン及びキトサン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、並びにそれらの塩からなる群から選択することができる。
【0016】
アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基、及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分を有してもよい。
【0017】
アニオン性ポリマーは、多糖、例えばアルギン酸、ヒアルロン酸、及びセルロースポリマー、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミド酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、(コ)ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択することができる。
【0018】
両性ポリマーは、
第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分、
並びに
硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基、及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分
を有してもよい。
【0019】
両性ポリマーは、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0020】
本発明による組成物中のポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001から25質量%、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは0.3から15質量%であってよい。
【0021】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の量は、組成物の総質量に対して0.0001から30質量%、好ましくは0.01から20質量%、より好ましくは0.1から15質量%であってよい。
【0022】
(a)粒子は、非ポリマー酸又は塩基以外の(d)少なくとも1種の疎水性アミノ酸を含んでもよい。
【0023】
本発明による組成物のpHは、3から9、好ましくは3.5から8.5、より好ましくは4から8であってよい。
【0024】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して0.001から60質量%、好ましくは0.1から50質量%、より好ましくは1から40質量%であってよい。
【0025】
(b)油は、極性油から選択されることが好ましい。
【0026】
組成物中の(b)油の量は、組成物の総質量に対して0.01から50質量%、好ましくは0.1から40質量%、より好ましくは1から35質量%であってよい。
【0027】
本発明による組成物は、エマルジョン、より好ましくはO/Wエマルジョン、更に好ましくは、0.1質量%以下の界面活性剤、好ましくは0.01質量%以下の界面活性剤を含み、より好ましくは界面活性剤を含まない、O/Wエマルジョンの形態であることが好ましい。
【0028】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の油ゲル化剤を含むことが好ましい。
【0029】
本発明の第2の目的は、少なくとも1種の油を含む、ポリイオンコンプレックス粒子製の皮膜を容易に調製することができる方法を提供することである。
【0030】
本発明の上記の目的は、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための方法であって、
本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって達成することができる。
【0031】
本発明の第3の目的は、少なくとも1種の油を含む、ポリイオンコンプレックス粒子製の皮膜を提供することである。
【0032】
本発明の上記の目的は、
(1)本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される皮膜、好ましくは化粧皮膜、
又は
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー;
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩;
並びに
少なくとも1種の油
を含む皮膜、好ましくは化粧皮膜
によって達成することができる。
【0033】
本発明はまた、皮膚等のケラチン基材のための美容方法であって、
本発明による組成物をケラチン基材に塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させて、ケラチン基材上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む方法に関する。
【0034】
こうして得られた化粧皮膜は、pH7以下の水に耐性があり、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上の水で除去可能でありうる。
【0035】
本発明はまた、皮膚等のケラチン基材上に化粧皮膜を調製するための本発明による組成物の使用であって、
前記化粧皮膜が、pH7以下の水に耐性があり、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上の水で除去可能である使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施例1によるPGPによる油滴の封入を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
鋭意検討の結果、本発明者等は、ポリイオンコンプレックス粒子及び油を含む安定な組成物、例えば安定なエマルジョンを提供することが可能であることを発見した。したがって、本発明による組成物は、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む(a)少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の油と、
(c)水と
を含む。
【0038】
複数の(a)粒子は、(b)油と(c)水との間の界面に存在する、又は複数の(a)粒子は、中空を有するカプセルを形成し、(b)油は、中空内に存在することが好ましい場合がある。
【0039】
更に、本発明者等は、ポリイオンコンプレックス粒子及び油を含む皮膜を容易に調製することができる方法を提供することが可能であることを発見した。したがって、本発明による方法は、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための方法であって、
本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む方法である。
【0040】
更に、本発明者等は、ポリイオンコンプレックス粒子及び油を含む皮膜を提供することが可能であることを発見した。したがって、本発明による皮膜は、
(1)本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される皮膜、好ましくは化粧皮膜、
又は
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくは塩、並びに
少なくとも1種の油
を含む皮膜、好ましくは化粧皮膜
である。
【0041】
本発明による組成物は、長期間安定であり、組成物を基材、好ましくは皮膚及び毛髪等のケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布し、組成物を乾燥させることによって、少なくとも1種の油を含む、ポリイオンコンプレックスの皮膜を容易に調製するのに使用することができる。
【0042】
本発明によるポリイオンコンプレックス皮膜は、多様な美容機能を有することができる。
【0043】
例えば、本発明による皮膜は、それ自体、油により保湿する、並びに悪臭を吸収若しくは吸着する、皮膚等のケラチン基材の外観を変化させる、ケラチン基材の触感を変化させる、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン基材を保護する等の美容効果を有しうる。
【0044】
皮膜からの油の徐放を実現することも可能である。
【0045】
ポリイオンコンプレックス皮膜が、油以外の少なくとも1種の美容有効成分を含む場合、皮膜は、その美容有効成分によって提供される美容効果を有することができる。例えば、ポリイオンコンプレックス皮膜が、UV遮蔽剤、抗老化剤、皮脂抑制剤、デオドラント剤、発汗抑制剤、美白剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の美容有効成分を含む場合、皮膜は、紫外線を遮蔽し、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の匂いを制御し、皮膚上の発汗を制御し、及び/又は皮膚を美白することができる。
【0046】
本発明による皮膜は、皮膜が比較的厚い場合であっても、透明とすることができ、したがって、知覚することが容易でない場合がある。
【0047】
更に、本発明による皮膜は、耐水性であり、したがって、ケラチン基材の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン基材上に残存することができる。
【0048】
更に、本発明による皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン基材から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0049】
したがって、本発明による皮膜が親水性又は水溶性のUV遮蔽剤を含む場合、本発明による皮膜は、耐水性(防水性)であり長時間持続しうるUVシールド効果を示すことができるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0050】
以下、本発明による組成物、方法、皮膜等をより詳細に説明する。
【0051】
[ポリイオンコンプレックス粒子]
本発明による組成物は、ポリイオンコンプレックス粒子である(a)少なくとも1種の粒子を含む。2つ以上の異なるタイプの(a)粒子を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(a)粒子、又は異なるタイプの(a)粒子の組合せを使用することができる。
【0052】
ポリイオンコンプレックス粒子の粒径は、5nmから100μm、好ましくは100nmから50μm、より好ましくは200nmから30μm、更に好ましくは500nmから20μmであってよい。1μm未満の粒径は、動的光散乱法によって測定することができ、1μm超の粒径は、光学顕微鏡によって測定することができる。この粒径は、数平均直径に基づきうる。
【0053】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0054】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってよい。
【0055】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して0.001から60質量%、好ましくは0.1から50質量%、より好ましくは1から40質量%であってよい。
【0056】
複数の(a)粒子は、(b)油と(c)水との間の界面に存在することができる。したがって、(a)粒子は、エマルジョンを形成することができる。例えば、(c)水が連続相の構成要素となり、(b)油が分散相の構成要素となる場合、(a)粒子は、いわゆるピッカリングエマルジョンに類似しうるO/Wエマルジョンを形成することができる。
【0057】
或いは、複数の(a)粒子は、中空を有するカプセルを形成することができる。(b)油は、中空内に存在することができる。言い換えると、(b)油は、カプセルに組み込むことができる。カプセルの壁は、(a)粒子から形成された連続層又は皮膜から構成されうる。理論に拘泥するつもりはないが、(a)粒子は、(b)油と(c)水との界面で再組織化して、(b)油を含むための中空を有するカプセルを自発的に形成することができると考えられる。例えば、カプセル中の(c)水が構成要素となる連続相及び(b)油が構成要素となる分散相は、いわゆるピッカリングエマルジョンにも類似しうるO/Wエマルジョンを形成することができる。
【0058】
上記は、(a)粒子自体は、両親媒性であり、油又は水に不溶性であることを意味する。
【0059】
(a)粒子は、少なくとも1種のポリマー又はポリマーの組合せを含む。具体的には、(a)粒子は、
(1)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
(3)少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
(4)少なくとも1種の両性ポリマー
を含む。
【0060】
カチオン性、アニオン性及び両性ポリマーのタイプは限定されない。2つ以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用することができる。2つ以上の異なるタイプのアニオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのアニオン性ポリマー、又は異なるタイプのアニオン性ポリマーの組合せを使用することができる。2つ以上の異なるタイプの両性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの両性ポリマー、又は異なるタイプの両性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0061】
上記(1)において、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0であってよい。特に、カチオン性ポリマーのカチオン性基の数/アニオン性ポリマーのアニオン性基の数は、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0062】
上記(2)において、カチオン性ポリマー/両性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0であってよい。特に、カチオン性ポリマーのカチオン性基の数/両性ポリマーのカチオン性及びアニオン性基の数は、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0063】
上記(3)において、アニオン性ポリマー/両性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0であってよい。特に、アニオン性ポリマーのアニオン性基の数/両性ポリマーのカチオン性及びアニオン性基の数は、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更に好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0064】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0065】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0066】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して0.001から25質量%、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは1から15質量%であってよい。
【0067】
(カチオン性ポリマー)
カチオン性ポリマーは、正の電荷密度を有する。カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/gから20meq/g、好ましくは0.05から15meq/g、より好ましくは0.1から10meq/gであってよい。
【0068】
カチオン性ポリマーの分子量は、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であることが好ましい場合がある。
【0069】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味する。
【0070】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。本明細書における(第一級)「アミノ基」という用語は、-NH2基を意味する。
【0071】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得られるコポリマーと、3種類以上のモノマーから得られるコポリマー、例えば3種類のモノマーから得られるターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0072】
カチオン性ポリマーは、天然及び合成のカチオン性ポリマーから選択することができる。カチオン性ポリマーの非限定的な例は、以下の通りである。
【0073】
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、以下の式:
【0074】
【化1】
【0075】
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素及び1から6個の炭素原子を含むアルキル基、例としてメチル及びエチル基から選択され、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選択され、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1から6個の炭素原子、例えば2から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基、及び1から4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され、
R4、R5、及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1から18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基から選択され、少なくとも1つの実施形態では1から6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
Xは、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸アニオン及びハロゲン化物イオン、例として塩化物イオン及び臭化物イオンである)
の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。
【0076】
ファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位を含んでもよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選択することができる。
【0077】
ファミリー(1)のコポリマーの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
アクリルアミドと硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、
例えば欧州特許出願第0080976号に記載されている、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、
例えば仏国特許第2077143号及び第2393573号に記載されている、四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合、又はアクリルアミドと塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合を行い、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー。
【0078】
(2)カチオン性セルロース誘導体、例えば仏国特許第1492597号等に記載されている、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUnion Carbide Corporation社によって名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
【0079】
(3)カチオン性セルロース誘導体、例えば水溶性の第四級アンモニウムモノマーをグラフトした、例えば米国特許第4,131,576号に記載されているセルロースコポリマー及びセルロース誘導体、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選択される塩等をグラフトしたヒドロキシアルキルセルロース、例としてヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシプロピルセルロース。
【0080】
これらのポリマーに相当する市販製品には、例えば、National Starch社によって名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が含まれる。
【0081】
(4)米国特許第3,589,578号及び第4,031,307号に記載されている非セルロース系カチオン性多糖、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸、及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩、例えば塩化物で修飾されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた使用することができる。
【0082】
そのような製品は、例として、MEYHALL社によって商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17、及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
【0083】
(5)ピペラジニル単位と、酸素、硫黄、窒素、芳香族環、及び複素環式環から選択される少なくとも1つの構成体により任意選択で中断された直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基とを含むポリマー、更にはこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。そのようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び第2280361号に記載されている。
【0084】
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される、水溶性ポリアミノアミド、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン;ビスアルキルハライド;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド、及びビス不飽和誘導体から選択される構成体と反応性である二官能性化合物の反応により得られるオリゴマーから選択される構成体で架橋されている場合があり、架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025から0.35molの範囲の量で使用され、これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、四級化されていてもよい。そのようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び第2368508号に記載されている。
【0085】
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用物質でアルキル化することにより得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル、及びプロピル基のようにアルキル基が1から4個の炭素原子を含み、エチレン基のようにアルキレン基が1から4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。そのようなポリマーは、例として仏国特許第1583363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選択することができる。
【0086】
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンを、ジグリコール酸及び3から8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸と反応させることによって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸とのモル比は、0.8:1から1.4:1の範囲であってよく、それにより得られるポリアミノアミドをエピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリン対ポリアミノアミドの第二級アミン基のモル比0.5:1から1.8:1の範囲で反応させる。そのようなポリマーは、例えば、米国特許第3,227,615号及び第2,961,347号に記載されている。
【0087】
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば鎖の主要構成要素として、式(Ia)及び(Ib):
【0088】
【化2】
【0089】
[式中、
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選択され、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1から6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1から5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選択され、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン、及びリン酸イオンである]
の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
【0090】
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択される。
【0091】
そのようなポリマーの例には、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社によって名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低質量平均分子質量のその同族体)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが含まれるがこれらに限定されない。
【0092】
(10)式(II):
【0093】
【化3】
【0094】
[式中、
R13、R14、R15、及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1から20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、及びアリール脂肪族基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選択され、或いは、R13、R14、R15、及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15、及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基、及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選択される少なくとも1つの基で置換された直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基から選択され、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2から20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選択され、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよく、芳香族環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基、及びエステル基から選択される少なくとも1つの構成体を主鎖中に連結又は挿入されて含んでもよく、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13、及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してもよく、
A1が、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基から選択される場合、B1は、
-(CH2)n--CO-E'-OC-(CH2)n-
から選択することができ、式中、E'は、
a)式-O-Z-O-{式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基及び以下の式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1から4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1から4の範囲の数から選択される)
の基から選択される}のグリコール残基、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選択される)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選択される]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー。
【0095】
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0096】
このタイプのポリマーは、例えば仏国特許第2320330号、第2270846号、第2316271号、第2336434号、及び第2413907号、並びに米国特許第2,273,780号、第2,375,853号、第2,388,614号、第2,454,547号、第3,206,462号、第2,261,002号、第2,271,378号、第3,874,870号、第4,001,432号、第3,929,990号、第3,966,904号、第4,005,193号、第4,025,617号、第4,025,627号、第4,025,653号、第4,026,945号、及び第4,027,020号に記載されている。
【0097】
そのようなポリマーの非限定的な例には、式(III):
【0098】
【化4】
【0099】
(式中、R13、R14、R15、及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1から4個の炭素原子を含むアルキル及びヒドロキシアルキル基から選択され、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2から20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが含まれる。
【0100】
(11)式(IV):
【0101】
【化5】
【0102】
[式中、
R18、R19、R20、及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0から6の範囲の整数から選択される)から選択され、ただし、R18、R19、R20、及びR21は、同時に水素ではなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1から6の範囲の整数から選択され、
qは、0から34の範囲の整数から選択され、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライド及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基から選択される]
の単位を含むポリ第四級アンモニウムポリマー。
【0103】
そのような化合物は、例として欧州特許出願第0122324号に記載されている。
【0104】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
【0105】
好適なカチオン性ポリマーの他の例には、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン及びビニルピリジニウム単位から選択される単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が含まれるがこれらに限定されない。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社によって名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例としてCALGON社によって名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550、及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選択される。
【0107】
(13)ポリアミン
カチオン性ポリマーとしては、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーであってよい(コ)ポリアミンを使用することも可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー骨格中、又は存在する場合ペンダント基中に存在してよい。
【0108】
(コ)ポリアミンの例としては、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びそれらの塩を挙げることができる。
【0109】
(コ)ポリアミンとしては、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであってもよい。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであってもよい。ポリリジンは、水、プロピレングリコール及びグリセロール等の極性溶媒に可溶性である高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の様々な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態であってもよい。
【0110】
(14)カチオン性ポリアミノ酸
カチオン性ポリマーとしては、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーであってよいカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー骨格中、又は存在する場合ペンダント基中に存在してよい。カルボキシル基は、カチオン性ポリアミノ酸の存在する場合ペンダント基中に存在してよい。
【0111】
カチオン性ポリアミノ酸の例としては、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
【0112】
カチオン性ポリマーは、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0113】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0114】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0115】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001から25質量%、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは1から15質量%であってよい。
【0116】
(アニオン性ポリマー)
アニオン性ポリマーは、正の電荷密度を有する。アニオン性ポリマーが合成アニオン性ポリマーである場合、アニオン性ポリマーの電荷密度は、0.1meq/gから20meq/g、好ましくは1から15meq/g、より好ましくは4から10meq/gであってよく、アニオン性ポリマーが天然アニオン性ポリマーである場合、アニオン性ポリマーの平均置換度は、0.1から3.0、好ましくは0.2から2.7、より好ましくは0.3から2.5であってよい。
【0117】
アニオン性ポリマーの分子量は、1,000以上、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは1,000,00以上であることが好ましい場合がある。
【0118】
アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基、及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分を有してもよい。
【0119】
アニオン性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得られるコポリマーと、3種類以上のモノマーから得られるコポリマー、例えば3種類のモノマーから得られるターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0120】
アニオン性ポリマーは、天然及び合成のアニオン性ポリマーから選択することができる。
【0121】
アニオン性ポリマーは、少なくとも1つの疎水性鎖を含んでもよい。
【0122】
少なくとも1つの疎水性鎖を含んでもよいアニオン性ポリマーは、α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸(モノマーa')及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマーa")から選択されるモノマー(a)と、(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー(b)、並びに/或いはα,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー又はモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーを、一価の非イオン性両親媒性成分又は第一級若しくは第二級脂肪族アミンと反応させることにより得られるエチレン性不飽和を含むモノマー(c)との共重合によって得ることができる。
【0123】
したがって、少なくとも1つの疎水性鎖を有するアニオン性ポリマーは、2つの合成経路によって、すなわち、
- モノマー(a')及び(c)、若しくは(a')、(b)及び(c)、若しくは(a")及び(c)、若しくは(a")、(b)及び(c)の共重合、
- 又はモノマー(a')、若しくはモノマー(a')及び(b)、若しくは(a")及び(b)から形成されたコポリマーを、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪族アミンで修飾(特に、エステル化若しくはアミド化)すること
のいずれかによって得ることができる。
【0124】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーとしては、特に、論文「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering - Macromolecules、2000、第33巻、第10号-3694~3704」並びに出願EP-A-0750899及びEP-A-1069172に開示されたものを挙げることができる。
【0125】
モノマー(a')の構成要素となるα,β-モノエチレン性不飽和を含むカルボン酸は、多数の酸から、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸から選択することができる。これは、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸である。
【0126】
コポリマーは、界面活性剤特性を有さないモノエチレン性不飽和を含むモノマー(b)を含むことができる。好ましいモノマーは、単独重合したときに水不溶性ポリマーを与えるものである。これらは、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸アルキル(C1~C4)、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は対応するメタクリレートから選択することができる。より特に好ましいモノマーは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルである。使用することができる他のモノマーは、例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル及び塩化ビニリデンである。非反応性モノマーが好ましく、これらのモノマーは、単一のエチレン性基が、重合条件下で反応性を持つ唯一の基であるものである。しかし、熱の作用下で反応する基を含むモノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチルを任意選択で使用することができる。
【0127】
モノマー(c)は、α,β-モノエチレン性不飽和を含むアクリルモノマー、例えば(a)、又はモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートモノマーを、一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪族アミンと反応させることによって得られる。
【0128】
非イオン性モノマー(c)を生成するのに使用される一価の非イオン性両親媒性化合物又は第一級若しくは第二級脂肪族アミンは周知である。一価の非イオン性両親媒性化合物は、一般的に、分子の親水性部分を形成するアルキレンオキシドを含むアルコキシル化疎水性化合物である。疎水性化合物は、一般的に、脂肪族アルコール又はアルキルフェノールから構成され、その化合物中、少なくとも6個の炭素原子を含む炭素性鎖が、両親媒性化合物の疎水性部分の構成要素となる。
【0129】
好ましい一価の非イオン性両親媒性化合物は、以下の式(V):
R-(OCH2CHR')m-(OCH2CH2)n-OH (V)
(式中、Rは、6から30個の炭素原子を含むアルキル又はアルキレン基及び8から30個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルアリール基から選択され、R'は、1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、nは、およそ1から150の範囲の平均数であり、mは、およそ0から50の範囲の平均数であり、ただし、nは、少なくともmと同等である)
を有する化合物である。
【0130】
好ましくは、式(V)の化合物中、R基は、12から26個の炭素原子を含むアルキル基及びアルキル基がC8~C13であるアルキルフェニル基から選択され、R'基は、メチル基であり、m=0であり、n=1から25である。
【0131】
好ましい第一級及び第二級脂肪族アミンは、6から30個の炭素原子を含む1つ又は2つのアルキル鎖から構成される。
【0132】
非イオン性ウレタンモノマー(c)を形成するのに使用されるモノマーは、非常に多様な化合物から選択することができる。共重合性不飽和、例えばアクリル性、メタクリル性又はアリル性不飽和を含む任意の化合物を使用することができる。モノマー(c)は、特に、モノエチレン性不飽和を含むイソシアネート、例えば特にα,α-ジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから得ることができる。
【0133】
モノマー(c)は、特に、オキシエチレン化(1から50EO)C6~C30脂肪アルコールのアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、例えばメタクリル酸ステアレス-20、オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレート、オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネート、オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネート又はポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートから、及びオキシエチレン化(1から50EO)C6~C30脂肪アルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート、例えば特にオキシエチレン化ベヘニルアルコールのジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネートから選択することができる。
【0134】
本発明の特定の実施形態によれば、アニオン性ポリマーは、(a)α,β-エチレン性不飽和を含むカルボン酸、(b)(a)以外のエチレン性不飽和を含む非表面活性モノマー、及び(c)一価の非イオン性両親媒性化合物とモノエチレン性不飽和を含むイソシアネートとの反応生成物である非イオン性ウレタンモノマーから得られるアクリルターポリマーから選択される。
【0135】
少なくとも1つの疎水性鎖を含むアニオン性ポリマーとしては、特に、アクリル酸/アクリル酸エチル/アクリル酸アルキルターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Acusol 823で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 22で販売されている製品;(メタ)アクリル酸/アクリル酸エチル/オキシエチレン化(25EO)ベヘニルメタクリレートターポリマー、例えばRohm & Haas社によって名称Aculyn 28で販売されている水性エマルジョンとしての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノセチルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 3001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリル酸/オキシエチレン化(20EO)モノステアリルイタコネートコポリマー、例えばNational Starch社によって名称Structure 2001で販売されている30%水性分散体としての製品;アクリレート/ポリオキシエチレン化(25EO)C12~C24アルコールで修飾されたアクリレートのコポリマー、例えば3V SA社によって名称Synthalen W2000で販売されている30~32%コポリマーラテックス;又はメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマー、例えば文献EP-A-0173109に開示された40個のエチレンオキシド基を含む24%水性分散体としての製品を挙げることができる。
【0136】
アニオン性ポリマーはまた、ポリエステル-5、例えばEASTMAN CHEMICAL社によってEastman AQ(商標)55S Polymerの名称で販売されている製品であってもよく、下記の化学式を有する。
【0137】
【化6】
【0138】
A:ジカルボン酸部分
G:グリコール部分
SO3 -Na+:ナトリウムスルホ基
OH:ヒドロキシル基
【0139】
アニオン性ポリマーは、多糖、例えばアルギン酸、ヒアルロン酸、及びセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アニオン性(コ)ポリアミノ酸、例えば(コ)ポリグルタミン酸、(コ)ポリ(メタ)アクリル酸、(コ)ポリアミド酸、(コ)ポリスチレンスルホネート、(コ)ポリ(ビニルスルフェート)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、(コ)ポリマレイン酸、(コ)ポリフマル酸、マレイン酸(コ)ポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0140】
マレイン酸コポリマーは、1つ又は複数のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2から20個の炭素原子を含むオレフィン、及びスチレンから選択される1つ又は複数のコモノマーとを含んでもよい。
【0141】
したがって、「マレイン酸コポリマー」は、1つ又は複数のマレイン酸コモノマーと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、2から20個の炭素原子を含むオレフィン、例えばオクタデセン、エチレン、イソブチレン、ジイソブチレン又はイソオクチレン、及びスチレンから選択される1つ又は複数のコモノマーとの共重合によって得られる任意のポリマーを意味すると理解され、マレイン酸コモノマーは、任意選択で部分的に又は完全に加水分解されている。好ましくは、親水性ポリマー、すなわち水溶解度が2g/l以上であるポリマーが使用される。
【0142】
本発明の有利な態様では、マレイン酸コポリマーは、マレイン酸単位のモル分率が、0.1から1の間、より好ましくは0.4から0.9の間であってよい。
【0143】
マレイン酸コポリマーの質量平均モル質量は、1,000から500,000の間、好ましくは1,000から50,000の間であってよい。
【0144】
マレイン酸コポリマーは、スチレン/マレイン酸コポリマー、より好ましくはスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムであることが好ましい。
【0145】
好ましくは、50/50比のスチレンとマレイン酸とのコポリマーが使用される。
【0146】
例えば、Cray Valley社によって参照名SMA1000H(登録商標)で販売されている、水中30%のアンモニウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマー又はCray Valley社によって参照名SMA1000HNa(登録商標)で販売されている、水中40%のナトリウム塩の形態のスチレン/マレイン酸(50/50)コポリマーを使用することができる。
【0147】
スチレン/マレイン酸コポリマー、例えばスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウムの使用は、本発明による組成物によって調製される皮膜の湿潤性を改善することができる。
【0148】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0149】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0150】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001から25質量%、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは1から15質量%であってよい。
【0151】
(両性ポリマー)
両性ポリマーは、正電荷密度及び負電荷密度の両方を有する。
【0152】
両性ポリマーの正電荷密度は、0.01meq/gから20meq/g、好ましくは0.05から15meq/g、より好ましくは0.1から10meq/gであってよい。
【0153】
両性ポリマーの負電荷密度は、0.01meq/gから20meq/g、好ましくは0.05から15meq/g、より好ましくは0.1から10meq/gであってよい。
【0154】
両性ポリマーの分子量は、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であることが好ましい場合がある。
【0155】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味する。
【0156】
両性ポリマーは、
第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分、
並びに
硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボン酸基、及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負電荷を有することができる及び/又は負電荷を有する部分
を有してもよい。
【0157】
両性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得られるコポリマーと、3種類以上のモノマーから得られるコポリマー、例えば3種類のモノマーから得られるターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0158】
本発明に従って使用することができる両性ポリマーは、ポリマー鎖中にランダムに分布したK及びM単位を含有するポリマーから選択することができ、ここで、Kは、少なくとも1個の塩基性窒素原子を含有するモノマーに由来する単位を示し、Mは、1つ又は複数のカルボン酸又はスルホン酸基を含有する酸性モノマーに由来する単位を示し、或いは、K及びMは、カルボキシベタイン又はスルホベタインの双性イオン性モノマーに由来する基を示してもよい。K及びMはまた、第一級、第二級、第三級又は第四級アミン基を含有するカチオン性ポリマー鎖を示してもよく、そのアミン基の少なくとも1つは、炭化水素基を介して連結されたカルボン酸又はスルホン酸基を保有し、或いは、K及びMは、α,β-ジカルボン酸エチレン単位を有するポリマーの鎖の一部を形成し、そのカルボン酸基の1つは、1つ又は複数の第一級又は第二級アミン基を含有するポリアミンと反応させられている。
【0159】
より特に好ましい上記に示した定義に相当する両性ポリマーは、以下のポリマーから選択される。
【0160】
(1)カルボン酸基を保有するビニル化合物に由来するモノマー、例えばより特定するとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アルファ-クロロアクリル酸と、少なくとも1個の塩基性原子を含有する置換ビニル化合物に由来する塩基性モノマー、例えばより特定するとメタクリル酸及びアクリル酸ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミドとの共重合により得られるポリマー。そのような化合物は、米国特許第3,836,537号に記載されている。HENKEL社によって名称POLYQUART KE 3033で販売されているアクリル酸ナトリウム/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーも挙げることができる。ビニル化合物はまた、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドであってもよい。アクリル酸と後者のモノマーとのコポリマーは、Lubrizol社によって名称MERQUAT 280、MERQUAT 295、MERQUAT 2003 PR、MERQUAT 3330 PR、及びMERQUAT PLUS 3330で提供されている。
【0161】
(2)以下に由来する単位を含有するポリマー:
a)窒素がアルキル基で置換されたアクリルアミド又はメタクリルアミドから選択される少なくとも1種のモノマー、
b)1つ又は複数の反応性カルボン酸基を含有する少なくとも1種の酸性コモノマー、並びに
c)少なくとも1種の塩基性コモノマー、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の第一級、第二級、第三級及び第四級アミン置換基を有するエステル、並びにメタクリル酸ジメチルアミノエチルの硫酸ジメチル又はジエチルによる四級化生成物。
【0162】
本発明による最も特に好ましいN-置換アクリルアミド又はメタクリルアミドは、そのアルキル基が2から12個の炭素原子を含有する基、より特定するとN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-デシルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、並びに対応するメタクリルアミドである。
【0163】
酸性コモノマーは、より特定すると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸、並びにマレイン酸若しくはフマル酸又はその無水物の1から4個の炭素原子を有するアルキルモノエステルから選択される。
【0164】
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N'-ジメチルアミノエチル、N-tert-ブチルアミノエチルのメタクリレートである。
【0165】
そのCTFA名(第4版、1991)がオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマーであるコポリマー、例えばNATIONAL STARCH社によって名称AMPHOMER又はLOVOCRYL 47で販売されている製品が特に使用される。
【0166】
(3)以下の一般式のポリアミノアミドに由来する部分的に又は完全にアルキル化され、架橋されたポリアミノアミド:
-[-CO-R4-CO-Z-]-
[式中、R4は、飽和ジカルボン酸、エチレン性二重結合を有する脂肪族モノ若しくはジカルボン酸、これらの酸の1から6個の炭素原子を有する低級アルカノールのエステル、又は前記酸のいずれか1種とビス-第一級若しくはビス-第二級アミンとの付加により得られる基に由来する二価基を表し、Zは、ビス-第一級、モノ又はビス-第二級ポリアルキレン-ポリアミンの基を示し、好ましくは、以下を表す:
a)60から100mol%の割合で、以下の基
-NH-[(CH2)x-NH-]p-
(式中、x=2であり、p=2又は3であり、或いは、x=3であり、p=2であり、この基は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン又はジプロピレントリアミンに由来する)、
b)0から40mol%の割合で、上記の基(IV)(式中、x=2であり、p=1であり、これは、エチレンジアミンに由来する)、又はピペラジンに由来する以下の基:
【0167】
【化7】
【0168】
c)0から20mol%の割合で、ヘキサメチレンジアミンに由来する-NH-(CH2)6-NH-基、これらのポリアミノアミンは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、ビス不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤を添加することによって、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025から0.35molの架橋剤を用いて架橋され、アクリル酸、クロロ酢酸若しくはアルカンスルトン又はそれらの塩の作用によってアルキル化されている]。
【0169】
飽和カルボン酸は、好ましくは、6から10個の炭素原子を有する酸、例えばアジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸及び2,4,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、エチレン二重結合を有する酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸等から選択される。
【0170】
アルキル化において使用されるアルカンスルトンは、好ましくは、プロパン又はブタンスルトンであり、アルキル化剤の塩は、好ましくは、ナトリウム又はカリウム塩である。
【0171】
(4)以下の式の双性イオン性単位を含有するポリマー:
【0172】
【化8】
【0173】
(式中、R5は、重合性不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基を示し、y及びzは、1から3の整数を表し、R6及びR7は、水素原子、メチル、エチル又はプロピルを表し、R8及びR9は、R8及びR9中の炭素原子の和が10を超えないように、水素原子又はアルキル基を表す)。
【0174】
そのような単位を含むポリマーはまた、非双性イオン性モノマー、例えばアクリル酸若しくはメタクリル酸ジメチル若しくはジエチルアミノエチル又はアクリル酸若しくはメタクリル酸アルキル、アクリルアミド若しくはメタクリルアミド又は酢酸ビニルに由来する単位を含んでもよい。
【0175】
例として、メタクリル酸ブチル/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー、例えばSANDOZ社によって名称DIAFORMER Z301で販売されている製品を挙げることができる。
【0176】
(5)以下の式(VI)、(VII)、及び(VIII)に相当するモノマー単位を含有するキトサンに由来するポリマー:
【0177】
【化9】
【0178】
[(VI)単位は、0から30%の割合で存在し、(VII)単位は、5から50%の割合で存在し、(VIII)単位は、30から90%の割合で存在し、この(VIII)単位中、R10は、以下の式:
【0179】
【化10】
【0180】
{式中、
q=0の場合、R11、R12及びR13は、同一であるか又は異なり、それぞれ、水素原子、メチル、ヒドロキシル、アセトキシ若しくはアミノ残基、モノアルキルアミン残基若しくはジアルキルアミン残基(1個若しくは複数の窒素原子によって任意選択で中断され、及び/又は1つ若しくは複数のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオ若しくはスルホン酸基で任意選択で置換されている)、又はそのアルキル基がアミノ残基を保有するアルキルチオ残基を表し、この場合、R11、R12及びR13基のうちの少なくとも1つは、水素原子であり、
或いは、q=1の場合、R11、R12及びR13は、それぞれ、水素原子を表す}の基、並びにこれらの化合物と塩基又は酸によって形成される塩を表すと理解される]。
【0181】
(6)キトサンのN-カルボキシアルキル化により得られるポリマー、例えばJAN DEKKER社によって名称「EVALSAN」で販売されているN-カルボキシメチルキトサン又はN-カルボキシブチルキトサン。
【0182】
(7)例えば仏国特許第1,400,366号に記載されているもの等の一般式(IX)に相当するポリマー:
【0183】
【化11】
【0184】
[式中、R14は、水素原子、CH3O、CH3CH2O又はフェニル基を表し、R15は、水素又は低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを示し、R16は、水素又は低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを示し、R17は、低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチル又は式:-R18-N(R16)2{R18は、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-若しくは-CH2-CH(CH3)-基を表し、R16は、上述の意味を有する}に相当する基、
並びにこれらの基の最大6個の炭素原子を含有する高級同族体を示す]。
【0185】
(8)以下から選択される-D-X-D-X-タイプの両性ポリマー:
a)以下の式の少なくとも1つの単位を含有する化合物に対する、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムの作用によって得られるポリマー:
-D-X-D-X-D- (X)
(式中、Dは、以下の基
【0186】
【化12】
【0187】
を示し、Xは、記号E又はE'を示し、E又はE'は、同一であるか又は異なり、二価基を示し、これは、最大7個の炭素原子を主鎖中に含有する直鎖又は分枝鎖を有するアルキレン基であり、非置換であるか又はヒドロキシル基で置換されており、酸素、窒素又は硫黄原子、1から3個の芳香族及び/又は複素環式環を更に含有してもよく、その酸素、窒素及び硫黄原子は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン若しくはアルケニルアミン基、又はヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第四級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステル及び/若しくはウレタン基の形態で存在する)。
b)以下の式のポリマー:
-D-X-D-X- (XI)
(式中、Dは、以下の基
【0188】
【化13】
【0189】
を示し、Xは、記号E又はE'、少なくとも1回はE'を示し、Eは、上記に示した意味を有し、E'は、二価基であり、これは、最大7個の炭素原子を主鎖中に有する直鎖又は分枝鎖を有するアルキレン基であり、非置換であるか又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で置換されており、1個又は複数の窒素原子を含有し、その窒素原子は、酸素原子によって任意選択で中断されたアルキル鎖で置換されており、1つ若しくは複数のカルボキシル官能基又は1つ若しくは複数のヒドロキシル官能基を必ず含有し、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムとの反応によってベタイン化されている)。
【0190】
(9)N,N-ジメチルアミノプロピルアミン等のN,N-ジアルキルアミノアルキルアミンで半アミド化(semiamidation)することによって又はN,N-ジアルカノールアミンで半エステル化(semiesterification)することによって部分的に修飾された、(C1~C5)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー。これらのコポリマーはまた、他のビニルコモノマー、例えばビニルカプロラクタムを含有してもよい。
【0191】
本発明による特に好ましい両性ポリマーは、ファミリー(1)のもの、特にカチオン性モノマーとしてジアルキルジアリルアンモニウムの塩を含有するものである。
【0192】
両性ポリマーは、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61及びそれらの混合物から選択することができる。ポリクオタニウム-39及びポリクオタニウム-53、例えば、Lubrizol社によって販売されている製品Merquat 3330 PR及びMerquat 2003 PRがより好ましい。
【0193】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0194】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0195】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.001から25質量%、好ましくは0.1から20質量%、より好ましくは1から15質量%であってよい。
【0196】
[油]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の油を含む。2種以上の(b)油を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0197】
本明細書において、「油」は、大気圧(760mmHg)下室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は物質を意味する。油としては、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0198】
油は、非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油等;極性油、例えば植物若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油;又はそれらの混合物であってよい。
【0199】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0200】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0201】
動物油の例としては、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0202】
合成油の例としては、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0203】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は、10以上である。
【0204】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸のうち少なくとも1つは分枝状である。
【0205】
一酸とモノアルコールとのモノエステルのうち、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0206】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0207】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0208】
エステル油としては、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素保持炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0209】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0210】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0211】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0212】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0213】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0214】
挙げることができる例は、Amerchol社によって名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0215】
好ましいエステル油の例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0216】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0217】
シリコーン油の例としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0218】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0219】
これらのシリコーン油はまた、有機修飾されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機修飾シリコーンは、上記に定義したシリコーン油であり、炭化水素系基を介して付着した1つ又は複数の有機官能基をその構造中に含む。
【0220】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press社においてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0221】
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より特定すると、沸点が60℃から260℃の間であるものから、更に特定すると、以下から選択される:
(i)3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によって名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社によって名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によって名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社によって名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によって名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。以下の式:
【0222】
【化14】
【0223】
(式中、D":
【0224】
【化15】
【0225】
であり、D':
【0226】
【化16】
【0227】
である)
のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えばUnion Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることができる。環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物も挙げることができる;並びに
(ii)2から9個のケイ素原子を含有し、粘度が25℃で5×10-6m2/秒以下である直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によって名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文に記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0228】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より特定すると、ポリジアルキルシロキサンから選択され、そのうち、主として、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0229】
これらのポリジアルキルシロキサンのうち、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社によって販売されている47及び70 047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例として油70 047 V 500 000、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60000mm2/秒であるDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)。
【0230】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られているジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0231】
アリール基を含有するシリコーンのうち、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0232】
フェニルシリコーン油は、以下の式:
【0233】
【化17】
【0234】
(式中、
R1からR10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、0以上900以下、好ましくは0以上500以下、より好ましくは0以上100以下の整数であり、
ただし、和n+m+qは、0以外である)
のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0235】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製の70 641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0236】
フェニルシリコーン油としては、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1からR10は、メチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0237】
有機修飾された液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0238】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0239】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0240】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0241】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0242】
脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0243】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0244】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0245】
本明細書における「飽和脂肪アルコール」という用語は、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールのうち、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20脂肪アルコールを好ましくは使用することができる。任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C16~C20脂肪アルコールをより好ましくは使用することができる。分枝状C16~C20脂肪アルコールを更に好ましくは使用することができる。
【0246】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)並びにベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0247】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びそれらの混合物から選択される。
【0248】
(b)油は、極性油から、より好ましくはエステル油、人工トリグリセリド及びそれらの混合物から、更に好ましくは有機親油性UV遮蔽剤、特にメトキシケイ皮酸エチルヘキシル以外のエステル油、人工トリグリセリド及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0249】
本発明によれば、(b)油は、複数の(a)粒子によって取り囲まれていてもよく、又は(b)油は、(a)粒子によって形成されたカプセルの中空内に存在してもよい。言い換えると、(b)油は、(a)粒子によって覆われていてもよく、又は(a)粒子によって形成されたカプセルは、カプセルの中空内に(b)油を含む。
【0250】
(a)粒子によって取り囲まれた又は(a)粒子によって形成されたカプセルの中空内に存在する(b)油は、皮膚等のケラチン物質と直接接触することができない。したがって、(b)油がべたつく又は油っぽい使用感を有する場合であっても、本発明による組成物は、べたつく又は油っぽい使用感をもたらさない場合がある。
【0251】
本発明による組成物中の(b)油の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってよい。
【0252】
本発明による組成物中の(b)油の量は、組成物の総質量に対して50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下であってよい。
【0253】
本発明による組成物中の(b)油の量は、組成物の総質量に対して0.01から50質量%、好ましくは0.1から40質量%、より好ましくは1から35質量%であってよい。
【0254】
[水]
本発明による組成物は、(c)水を含む。
【0255】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってよい。
【0256】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってよい。
【0257】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して40から90質量%、好ましくは50から80質量%、より好ましくは60から70質量%であってよい。
【0258】
(2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、すなわち、少なくとも1種の2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸又はその塩を含みうる。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、一定の温度、例えば25℃で決定すべきである。
【0259】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、(a)粒子に組み入れることができる。2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー及び両性ポリマーの架橋剤として機能しうる。
【0260】
本明細書における「非ポリマー」という用語は、酸が、2つ以上のモノマーを重合することによって得られないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリカルボン酸等の2つ以上のモノマーを重合することによって得られる酸に相当しない。
【0261】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の分子量は、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
【0262】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩のタイプは限定されない。2つ以上の異なるタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は異なるタイプの2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩の組合せを使用することができる。
【0263】
本明細書における「塩」という用語は、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸に好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸と塩基とを反応させることにより得ることができる。塩としては、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
【0264】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩であってもよい。
【0265】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの酸基を有してもよい。
【0266】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、非ポリマー多価酸であってもよい。
【0267】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸、及びジホスホン酸、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0268】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びその塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、及びその塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸又はその塩(Mexoryl SX)、ベンゾフェノン-9;フィチン酸、及びその塩;赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色4号(Yellow 5)(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマゲンタ)、黄色203号(キノリンエローWS)、緑色201号(アリザリンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)、及び黒色401号(ナフトールブルーブラック);葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びその塩;シスチン及びその塩;EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0269】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(Mexoryl SX)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸及びその塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0270】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して0.0001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0271】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0272】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して0.0001から30質量%、好ましくは0.01から20質量%、より好ましくは0.1から15質量%であってよい。
【0273】
(2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基)
本発明による組成物は、少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩、すなわち、少なくとも1種の2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基又はその塩を含んでもよい。pKb値(塩基解離定数)は、当業者に周知であり、一定の温度、例えば25℃で決定すべきである。
【0274】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、(a)粒子に組み入れることができる。2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー及び両性ポリマーの架橋剤として機能しうる。
【0275】
本明細書における「非ポリマー」という用語は、塩基が、2つ以上のモノマーを重合することによって得られないことを意味する。したがって、非ポリマー塩基は、ポリアリルアミン等の2つ以上のモノマーを重合することによって得られる塩基に相当しない。
【0276】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の分子量は、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
【0277】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩のタイプは限定されない。2つ以上の異なるタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、又は異なるタイプの2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の組合せを使用することができる。
【0278】
本明細書における「塩」という用語は、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基に好適な酸を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基と酸とを反応させることにより得ることができる。塩としては、アンモニウム塩、例えば、HCl及びHNO3等の無機酸との塩、並びにカルボン酸及びスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。
【0279】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、有機塩基又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機塩基又はその塩であってもよい。
【0280】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、アミノ基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、ピリジル基及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの塩基性基を有してもよい。
【0281】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、非ポリマージアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、尿素及びその誘導体並びにグアニジン及びその誘導体、非ポリマーポリアミン、例えばスペルミン及びスペルミジン、塩基性アミノ酸、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0282】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、アルギニン、リジン、ヒスチジン、システイン、シスチン、チロシン、トリプトファン、オルニチン、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0283】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、アルギニン、リジン、ヒスチジン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0284】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して0.0001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0285】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
【0286】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して0.0001から30質量%、好ましくは0.01から20質量%、より好ましくは0.1から15質量%であってよい。
【0287】
[疎水性アミノ酸]
本発明による組成物中の(a)粒子は、上記の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は上記の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩以外の(d)少なくとも1種の疎水性アミノ酸を含んでもよい。2種以上の疎水性アミノ酸を組み合わせて使用してもよい。
【0288】
「疎水性アミノ酸」という用語は、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、グリシン、システイン、アラニン及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。(d)疎水性アミノ酸は、ロイシン、フェニルアラニン及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0289】
(d)疎水性アミノ酸は、(b)油のタイプに応じて、(a)粒子の封入能力に影響を及ぼしうる(a)粒子の疎水性を制御するのに有用でありうる。
【0290】
本発明による組成物中の(d)疎水性アミノ酸の量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0291】
本発明による組成物中の(d)疎水性アミノ酸の量は、組成物の総質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
【0292】
本発明による組成物中の(d)疎水性アミノ酸の量は、組成物の総質量に対して0.001から10質量%、好ましくは0.01から5質量%、より好ましくは0.1から1質量%であってよい。
【0293】
[油ゲル化剤]
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の油ゲル化剤を含んでもよい。2種以上の油ゲル化剤を組み合わせて使用してもよい。
【0294】
(e)油ゲル化剤(親油性増粘剤)は、組成物中の油が低極性又は非極性である場合であっても、本発明による組成物の安定性を高めることができる。
【0295】
(e)油ゲル化剤は、グルタミン酸に由来するゲル化剤、ポリマー形態のゲル化剤、及び鉱物形態のゲル化剤から選択することができる。ゲル化剤には、化学的網状化(reticulation)を介してゲル化する作用物質、及び物理的網状化を介してゲル化する作用物質が含まれる。
【0296】
N-アシルグルタミン酸誘導体を、グルタミン酸に由来するゲル化剤として使用することができる。N-アシルグルタミン酸誘導体には、N-アシルグルタミン酸アミド及びN-アシルグルタミン酸エステルが含まれる。一実施形態では、アシル基がC8からC22アルキル鎖を表すN-アシルグルタミン酸アミドが好ましい。
【0297】
挙げることができるN-アシルグルタミン酸誘導体の例には、N-ラウロイル-グルタミン酸ジエチルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジブチルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジヘキシルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジオクチルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジデシルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジドデシルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジテトラデシルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジヘキサデシルアミド、N-ラウロイル-グルタミン酸ジステアリルアミド、N-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジブチルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジヘキシルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジヘプチルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジオクチルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジデシルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジドデシルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジテトラデシルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジヘキサデシルアミド、N-ステアロイル-グルタミン酸ジステアリルアミド及びそれらの混合物が含まれ、N-ラウロイル-グルタミン酸ジブチルアミド、N-ステアリル-グルタミン酸ジヘキシルアミド、及びそれらの混合物がより好ましい。
【0298】
ゲル化剤は、好ましくは、N-アシルグルタミン酸ジアルキルアミドであり、より好ましくは、味の素株式会社によって名称GP-1で製造又は販売されている、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド(INCI:ジブチルラウロイルグルタミド)及び味の素株式会社によって名称EB-21で製造又は販売されている、N-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド(INCI:ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)である。
【0299】
親油性ポリアミドポリマーを、ポリマー形態のゲル化剤として使用することができる。親油性ポリアミドポリマーとしては、12から120個の炭素原子、特に12から68個の炭素原子を含有するペンダント脂肪鎖及び/又は末端脂肪鎖により分枝したポリアミドを挙げることができ、その末端脂肪鎖は、エステル基を介してポリアミド骨格に結合している。これらのポリマーは、とりわけ、Union Camp社の文献米国特許第5,783,657号に記載されているものである。特に、INCI名が「エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマー」及び「エチレンジアミン/ダイマートール油脂肪酸ステアリルコポリマー」であるポリマーを挙げることができる。
【0300】
ゲル化剤の例として、Bush Boake Allen社によって名称Uniclear 80、Uniclear 100、Uniclear 80 V、Uniclear 100 V及びUniclear 100 VGで販売されている市販製品を挙げることができる。これらは、それぞれ、鉱油中(活性材料に関して)80%で及び(活性材料に関して)100%でゲルの形態で販売されている。
【0301】
修飾クレイをゲル化剤として使用することができ、その例には、C10からC22脂肪酸の塩化アンモニウムで修飾されたヘクトライト、例えばクオタニウム-18ベントナイトとしても知られているジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたベントナイト、例えばRheox社によって名称Bentone 34及びBentone 38 VCGで販売又は作製されている製品、Southern Clay社によって販売又は作製されているClaytone XL、Claytone 34及びClaytone 40、クオタニウム-18ベンザルコニウムベントナイトの名称で知られており、Southern Clay社によって名称Claytone HT、Claytone GR及びClaytone PSで販売又は作製されている修飾クレイ、ステアラルコニウムベントナイトとして知られているステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで修飾されたクレイ、例えばSouthern Clay社によって名称Claytone APA及びClaytone AFで販売又は作製されている製品、並びにRheox社によって販売又は作製されているBaragel 24が含まれる。
【0302】
本発明による組成物中の(e)油ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0303】
本発明による組成物中の(e)油ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってよい。
【0304】
本発明による組成物中の(e)油ゲル化剤の量は、組成物の総質量に対して0.001から10質量%、好ましくは0.01から5質量%、より好ましくは0.1から1質量%であってよい。
【0305】
[美容有効成分]
本発明による組成物は、(b)油に加えて少なくとも1種の(追加の)美容有効成分を含んでもよい。追加の美容有効成分は、(b)油でない限り限定されない。2種以上の追加の美容有効成分を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの追加の美容有効成分、又は異なるタイプの追加の美容有効成分の組合せを使用することができる。
【0306】
使用される追加の美容有効成分のうち、疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤、抗酸化剤、クレンジング剤、フリーラジカル捕捉剤、保湿剤、美白剤、脂質調節剤(liporegulator)、抗ニキビ剤、抗フケ剤、抗老化剤、柔軟剤、抗しわ剤、角質溶解剤、フレッシュナー、抗菌剤、抗真菌剤、発汗抑制剤、デオドラント、皮膚コンディショナー、麻酔剤、栄養剤、及び皮脂吸収剤又は水分吸収剤を挙げることができる。
【0307】
本発明による組成物は、追加の美容有効成分を、組成物の総質量に対して0.01から50質量%、好ましくは0.1から40質量%、より好ましくは1から30質量%、更に好ましくは2から20質量%の量で含んでもよい。
【0308】
(疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤)
本発明の好ましい実施形態によれば、追加の美容有効成分は、疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤から選択することができる。
【0309】
疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤のタイプは限定されない。2つ以上のタイプの疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤、又は異なるタイプの疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤の組合せを使用することができる。疎水性又は水不溶性UV遮蔽剤は、無機UV遮蔽剤、疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0310】
(無機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含んでもよい。2種以上の無機UV遮蔽剤を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0311】
本発明に使用される無機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってよい。本発明に使用される無機UV遮蔽剤は、化粧品において一般に使用される水及びエタノール等の溶媒に不溶性であるが、親水性及び/又は親油性であってもよい。
【0312】
無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子直径が1nmから50nm、好ましくは5nmから40nm、より好ましくは10nmから30nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
【0313】
無機UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆されていてもいなくてもよい金属酸化物、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0314】
好ましくは、無機UV遮蔽剤は、金属酸化物で形成された顔料(平均一次粒径:一般的に5nmから50nm、好ましくは10nmから50nm)、例えば、酸化チタン(非晶質又はルチル及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムで形成された顔料等から選択することができ、これらは全て、それ自体が周知のUV光保護剤である。好ましくは、無機UV遮蔽剤は、酸化チタン、酸化亜鉛から選択することができ、より好ましくは酸化チタンである。
【0315】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていてもいなくてもよい。無機UV遮蔽剤は、少なくとも1つのコーティングを有してもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩)、脂肪アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ワックス、例えばビーズワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0316】
コーティングは少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含むことが好ましい。コーティング中の有機UV遮蔽剤としては、ジベンゾイルメタン誘導体、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)及びBASF社によって「TINOSORB M」として市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチル-ブチル)フェノール](メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)が好ましい場合がある。
【0317】
公知のように、コーティング中のシリコーンは、様々な分子量の直鎖状又は環状及び分枝状又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであってよく、これは好適な官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに接合(シロキサン結合)され、任意選択で置換された炭化水素基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接接合されている、主要繰り返し単位から本質的に構成される。
【0318】
「シリコーン」という用語はまた、その調製に必要なシラン、特にアルキルシランを包含する。
【0319】
コーティングに使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択することができる。更に好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択される。
【0320】
当然ながら、金属酸化物で作製された無機UV遮蔽剤は、シリコーンによるその処理の前に、他の表面処理剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0321】
被覆無機UV遮蔽剤は、無機UV遮蔽剤を、上記の化合物のいずれか、並びにポリエチレン、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムアルコキシド)、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及び例えばCosmetics & Toiletries、1990年2月、第105巻、53~64頁に示されたものによる化学的、電子的、機械化学的、及び/又は機械的性質の1種又は複数の表面処理に供することによって調製されていてもよい。
【0322】
被覆無機UV遮蔽剤は、以下であってよい:
シリカで被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil」、
シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば池田物産株式会社製の製品「Sunveil F」、
シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社製の製品「Tioveil」、及びRhodia社製の製品「Mirasun TiW 60」、
アルミナで被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(B)」及び「Tipaque TTO-55(A)」、並びにKemira社製の「UVT 14/4」、
アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z若しくはMT-01」、Uniqema社製の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社製の製品「Eusolex T-AVO」、
アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」、
酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」、
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「BR351」、
シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」、
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-30-DS」、
シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えばKemira社製の製品「UV-Titan X 195」、
アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(S)」若しくはKemira社製の製品「UV Titan M 262」、
トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社製の製品「STT-65-S」、
ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55(C)」、又は
ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えばテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」。
【0323】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、好ましくは、オクチルトリメチルシランで処理され、個々の粒子の平均粒径が25から40nmであるTiO2、例えばDegussa Silices社によって商標「T 805」で市販されているもの、ポリジメチルシロキサンで処理され、個々の粒子の平均粒径が21nmであるTiO2、例えばCardre社によって商標「70250 Cardre UF TiO2Si3」で市販されているもの、及びポリジメチルヒドロシロキサンで処理され、個々の粒子の平均粒径が25nmであるアナターゼ/ルチルTiO2、例えばColor Techniques社によって商標「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」で市販されているものである。
【0324】
好ましくは、以下の被覆TiO2を被覆無機UV遮蔽剤として使用することができる:
ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 TV」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S4」、平均一次粒子直径15nm、
シリカ(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 WP」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」、平均一次粒子直径10nm、
ジメチコン(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えば三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S3」、平均一次粒子直径15nm、
ジメチコン(及び)アルミナ(及び)TiO2、例えばSachtleben社製の製品「UV TITAN M170」、平均一次粒子直径15nm、並びに
シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)アルギン酸(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「MT-100 AQ」、平均一次粒子直径15nm。
【0325】
UV遮蔽能の観点から、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤で被覆されたTiO2がより好ましい。例えば、アボベンゾン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO2、例えばテイカ株式会社製の製品「HXMT-100ZA」、平均一次粒子直径15nmを使用することができる。
【0326】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社によって商標「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」で、Degussa社によって商標「P 25」で、Wacker社によって商標「Oxyde de titane transparent PW」で、三好化成株式会社によって商標「UFTR」で、Tomen社によって商標「ITS」で、及びTioxide社によって商標「Tioveil AQ」で市販されている。
【0327】
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下である:
Sunsmart社によって商標「Z-cote」で市販されているもの、
Elementis社によって商標「Nanox」で市販されているもの、及び
Nanophase Technologies社によって商標「Nanogard WCD 2025」で市販されているもの。
【0328】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば以下である:
Toshiba社によって商標「Oxide Zinc CS-5」で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたZnO)、
Nanophase Technologies社によって商標「Nanogard Zinc Oxide FN」で市販されている[Finsolv TN、安息香酸アルキル(C12~C15)中の40%分散体としての]もの、
大東化成工業株式会社によって商標「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」で市販されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたナノ酸化亜鉛を30%又は50%含む、オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン分散体)、
ダイキン工業株式会社によって商標「NFD Ultrafine ZnO」で市販されているもの(シクロペンタシロキサン分散体としての、ペルフルオロアルキルホスフェート及びペルフルオロアルキルエチルベースのコポリマーで被覆されたZnO)、
信越化学工業株式会社によって商標「SPD-Z1」で市販されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散させた、シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されたZnO)、
ISP社によって商標「Escalol Z100」で市販されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物中に分散させたアルミナ処理ZnO)、
冨士色素株式会社によって商標「Fuji ZnO-SMS-10」で市販されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)、及びElementis社によって商標「Nanox Gel TN」で市販されているもの[ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含む安息香酸アルキル(C12~C15)中に55%で分散させたZnO]。
【0329】
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulenc社によって商標「Colloidal Cerium Oxide」で市販されている。
【0330】
非被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって商標「Nanogard WCD 2002(FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」、及び「Nanogard WCD 2006(FE 45R)」で、又はMitsubishi社によって商標「TY-220」で市販されている。
【0331】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって商標「Nanogard WCD 2008(FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」、及び「Nanogard FE 45 BL」で、又はBASF社によって商標「Oxyde de fer transparent」で市販されている。
【0332】
金属酸化物の混合物、特に、二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、例えば池田物産株式会社によって商標「Sunveil A」で市販されているシリカで被覆された二酸化チタンとシリカで被覆された二酸化セリウムとの等質量混合物、更には二酸化チタンとアルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆された二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社によって市販されている製品「M 261」、又は二酸化チタンとアルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆された二酸化亜鉛との混合物、例えばKemira社によって市販されている製品「M 211」も挙げることができる。
【0333】
無機UV遮蔽剤のUV遮蔽効果を高めることができることから、被覆無機UV遮蔽剤が好ましい。加えて、コーティングは、本発明による組成物中にUV遮蔽剤を均一に又は均質に分散させるのに役立ちうる。
【0334】
微粒子の形態の無機UV遮蔽剤を使用する場合、本発明による組成物から調製することができる本発明による皮膜はまた、白色の外観を与えず透明又はクリアな外観を与えるという効果を有することができ、その理由は、無機UV遮蔽剤の微粒子が凝集せず、皮膜中に均一に又は均質に広がることができるからである。無機UV遮蔽剤の遊離微粒子は、容易に凝集して、皮膚に白色の外観を与えることに留意されたい。
【0335】
(疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤を含んでもよい。2種以上の疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0336】
本発明に使用される疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってよい。疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性であってもよい。
【0337】
疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤は、固体又は液体であってよい。「固体」及び「液体」という用語は、1atm下25℃での固体及び液体をそれぞれ意味する。
【0338】
疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤は、アントラニル酸化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ケイ皮酸化合物;サリチル酸化合物;カンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物;ベンゾイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン;α-アルキルスチレンに由来するダイマー;4,4-ジアリールブタジエン化合物;グアイアズレン及びその誘導体;ルチン及びその誘導体;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0339】
疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤の例としては、下記にそのINCI名で示すもの、及びそれらの混合物を挙げることができる。
- アントラニル酸化合物:Haarmann and Reimer社によって商標「Neo Heliopan MA」で市販されているアントラニル酸メンチル。
- ジベンゾイルメタン化合物:特にHoffmann-La Roche社によって商標「Parsol 1789」で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
- ケイ皮酸化合物:特にHoffmann-La Roche社によって商標「Parsol MCX」で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimer社によって商標「Neo Heliopan E 1000」で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキセート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);メトキシケイ皮酸DEA;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
- サリチル酸化合物:Rona/EM Industries社によって商標「Eusolex HMS」で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimer社によって商標「Neo Heliopan OS」で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;サリチル酸グリコール;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scher社によって商標「Dipsal」で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール;及びHaarmann and Reimer社によって商標「Neo Heliopan TS」で市販されているサリチル酸TEA。
- カンファー化合物、特にベンジリデンカンファー誘導体:Chimex社によって商標「Mexoryl SD」で製造されている3-ベンジリデンカンファー;Merck社によって商標「Eusolex 6300」で市販されている4-メチルベンジリデンカンファー;Chimex社によって商標「Mexoryl SL」で製造されているベンジリデンカンファースルホン酸;Chimex社によって商標「Mexoryl SO」で製造されているカンファーベンザルコニウムメトスルフェート;及びChimex社によって商標「Mexoryl SW」で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
- ベンゾフェノン化合物:BASF社によって商標「Uvinul 400」で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって商標「Uvinul D50」で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって商標「Uvinul M40」で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASF社によって商標「Uvinul MS40」で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム);Norquay社によって商標「Helisorb 11」で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamid社によって商標「Spectra-Sorb UV-24」で市販されているベンゾフェノン-8;BASF社によって商標「Uvinul DS-49」で市販されているベンゾフェノン-9(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸二ナトリウム);ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(BASF社によるUVINUL A+)。
- β,β-ジフェニルアクリレート化合物:特にBASF社によって商標「Uvinul N539」で市販されているオクトクリレン、及び特にBASF社によって商標「Uvinul N35」で市販されているエトクリレン。
- トリアジン化合物:Sigma 3V社によって商標「Uvasorb HEB」で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、CIBA GEIGY社によって商標「TINOSORB S」で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びBASF社によって商標「UVINUL T150」で市販されているエチルヘキシルトリアゾン。
- ベンゾトリアゾール化合物、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、並びにUSP5240975に記載されているもの。
- ベンザルマロネート化合物:ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、及びベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えばHoffmann-LaRoche社によって商標「Parsol SLX」で市販されているポリシリコーン-15。
- ベンゾイミダゾール化合物、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体。
- イミダゾリン化合物:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
- ビス-ベンゾアゾリル化合物:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されている誘導体。
- パラ-アミノ安息香酸化合物:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ジメチルPABAペンチル、特にISP社によって商標「Escalol 507」で市販されているジメチルPABAエチルヘキシル、グリセリルPABA、及びBASF社によって商標「Uvinul P25」で市販されているPEG-25 PABA。
- メチレンビス-(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、例えばFairmount Chemical社によって商標「Mixxim BB/200」で固体形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、BASF社によって商標「Tinosorb M」で、又はFairmount Chemical社によって商標「Mixxim BB/100」で水性分散体中の微粉化形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、並びに米国特許第5,237,071号、第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-19,726,184及びEP-893,119に記載されている誘導体、並びに
下記に示すような、Rhodia Chimie社によって商標「Silatrizole」で、又はL'Oreal社によって商標「Mexoryl XL」で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン。
【0340】
【化18】
【0341】
- ベンゾオキサゾール化合物:Sigma 3V社によってUvasorb K2Aの商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
- 遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン:WO93/04665に記載されているシリコーン。
- α-アルキルスチレンに由来するダイマー:DE-19855649に記載されているダイマー。
- 4,4-ジアリールブタジエン化合物:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0342】
疎水性又は水不溶性有機UV遮蔽剤は、以下からなる群から選択されることが好ましい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン、4-メチルベンジリデンカンファー、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジフェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ターフェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート及びそれらの混合物。
【0343】
(美白剤)
本発明の好ましい実施形態によれば、美容有効成分は、美白剤から選択することができる。
【0344】
美白剤のタイプは限定されない。2つ以上のタイプの美白剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの美白剤、又は異なるタイプの美白剤の組合せを使用することができる。
【0345】
美白剤の例としては、アスコルビン酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体、レゾルシノール又はその誘導体、アルコキシサリチル酸又はその塩、アデノシンリン酸又はその塩、ヒドロキノン若しくはそのグリコシド又はその誘導体、グルタチオン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオール)、カミツレ(chamomilla recutita)等を挙げることができる。
【0346】
アスコルビン酸は、D-配置又はL-配置を有し、L-配置のものが好ましくは用いられる。アスコルビン酸は、ビタミンCとも称され、アスコルビン酸の強力な還元効果によりメラニンの生成を阻害するという効果を有する。アスコルビン酸の誘導体は、アスコルビン酸の塩であってもよく、アスコルビン酸の塩は、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、及びリン酸アスコルビルナトリウムから選択される。アスコルビン酸の誘導体は、アスコルビン酸のグリコシド又はアスコルビン酸のエステルであってもよい。アスコルビン酸のグリコシドの例としては、例えば、アスコルビルグルコシドを挙げることができる。アスコルビン酸のエステルの例としては、例えば、アスコルビン酸シリル、アスコルビン酸トコフェリル、及びアスコルビン酸アルキルを挙げることができる。アスコルビン酸アルキルとしては、アスコルビン酸メチル又はアスコルビン酸エチルが好ましくは使用される。特に、アスコルビルグルコシドが好ましい。アスコルビン酸又はその誘導体は、単独で、又は2つ以上のタイプのそれらと組み合わせて使用することができる。
【0347】
アスコルビン酸の誘導体の詳細な例としては、例えば、Exsymol SAM社からPRO-AAとして市販されている5,6-ジ-O-ジメチルシリルアスコルベート;千寿製薬株式会社からSEPIVITAL EPCとして市販されているdl-α-トコフェリル-2-l-アスコルビルホスフェート;Roche社からStay-C 50として市販されているリン酸アスコルビルナトリウム;株式会社林原生物化学研究所から市販されているアスコルビルグルコシド;3-O-エチルアスコルビン酸等を挙げることができる。
【0348】
アスコルビン酸又はその誘導体は、好ましくは、スチレン及び無水マレイン酸のコポリマーと組み合わせて使用される。特に、前述のコポリマーの無水マレイン酸単位の少なくとも一部は、好ましくは加水分解されている。前述の加水分解された無水マレイン酸単位は、アルカリ塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等の形態であってもよい。前述の無水マレイン酸単位は、好ましくは、コポリマー全体の1mol当たり0.4から0.9molを占め、無水マレイン酸単位とスチレン単位との比は、好ましくは50:50である。特に、無水マレイン酸単位とスチレン単位との比が、好ましくは50:50であり、アンモニウム塩又はナトリウム塩を使用することが好ましい。アスコルビン酸又はその誘導体を前述のコポリマーと組み合わせて用いることによって、アスコルビン酸又はその誘導体の安定性が改善される。前述のコポリマーとしては、例えば、Atofina Chemicals Inc.社から製品番号SMA 1000 H(商標)として市販されている、水中30%の濃度のアンモニウム塩の形態のスチレン及び無水マレイン酸(50/50)のコポリマー;又はAtofina Chemicals Inc.社から製品番号SMA 1000 H Na(商標)として市販されている、水中40%の濃度のナトリウム塩の形態のスチレン及び無水マレイン酸(50/50)のコポリマーを使用することができる。前述のコポリマーは、局所塗布用の美白剤の総質量に対して0.1から20質量%の範囲、好ましくは0.1から10質量%の範囲の濃度で使用される。
【0349】
コウジ酸の誘導体の例としては、例えば、コウジ酸グルコシドを挙げることができる。
【0350】
トラネキサム酸の誘導体の例としては、トラネキサム酸のダイマー[例えば塩酸trans-4-(trans-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸]、トラネキサム酸及びヒドロキノンのエステル(例えば4'-ヒドロキシフェニルtrans-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボキシレート)、トラネキサム酸及びゲンチシン酸のエステル[例えば2-(trans-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸及びその塩]、トラネキサム酸アミド[例えばtrans-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、trans-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、並びにtrans-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩]等を挙げることができる。
【0351】
レゾルシノールの誘導体の例としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール(ルシノール)等を挙げることができる。
【0352】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位、又は5位の水素原子のうちのいずれか1個がアルコキシ基で置換されている化合物である。前述のアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基のうちのいずれか1つであり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。化合物の例としては、例えば、3-メトキシサリチル酸、3-エトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸、4-エトキシサリチル酸、4-プロポキシサリチル酸、4-イソプロポキシサリチル酸、4-ブトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、5-エトキシサリチル酸、5-プロポキシサリチル酸等を挙げることができる。アルコキシサリチル酸の塩は特に限定されない。その例としては、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等、アンモニウム塩、アミノ酸塩等を挙げることができる。4-メトキシサリチル酸のカリウム塩が好ましい。
【0353】
アデノシンリン酸又はその塩の例としては、例えば、アデノシンリン酸二ナトリウム等を挙げることができる。
【0354】
ヒドロキノンのグリコシドの例としては、例えば、ヘキソースグリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルコース、ヒドロキノンβ-D-グルコース、ヒドロキノンα-L-グルコース、ヒドロキノンβ-L-グルコース、ヒドロキノンα-D-ガラクトース、ヒドロキノンβ-D-ガラクトース、ヒドロキノンα-L-ガラクトース、ヒドロキノンβ-L-ガラクトース等;ペントースグリコシド、例えばヒドロキノンα-D-リボース、ヒドロキノンβ-D-リボース、ヒドロキノンα-L-リボース、ヒドロキノンβ-L-リボース、ヒドロキノンα-D-アラビノース、ヒドロキノンβ-D-アラビノース、ヒドロキノンα-L-アラビノース、ヒドロキノンβ-L-アラビノース等;アミノ糖グリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルコサミン、ヒドロキノンβ-D-グルコサミン、ヒドロキノンα-L-グルコサミン、ヒドロキノンβ-L-グルコサミン、ヒドロキノンα-D-ガラクトサミン、ヒドロキノンβ-D-ガラクトサミン、ヒドロキノンα-L-ガラクトサミン、ヒドロキノンβ-L-ガラクトサミン等;ウロカニン酸グリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルクロン酸、ヒドロキノンβ-D-グルクロン酸、ヒドロキノンα-L-グルクロン酸、ヒドロキノンβ-L-グルクロン酸、ヒドロキノンα-D-ガラクツロン酸、ヒドロキノンβ-D-ガラクツロン酸、ヒドロキノンα-L-ガラクツロン酸、ヒドロキノンβ-L-ガラクツロン酸等;等を挙げることができる。これらの化合物のうち、ヒドロキノンβ-D-グルコース(以下、「アルブチン」と称される)が好ましい。ヒドロキノン又はそのグリコシドの誘導体の例としては、例えば、ヒドロキノン又はそのグリコシドの塩を挙げることができる。特に、アルブチン誘導体の例としては、例えば、6-O-カフェオイルアルブチン等を挙げることができる。
【0355】
美白有効成分としては、特に、L-アスコルビン酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、及びルシノールが好ましく、アスコルビン酸誘導体、例えば3-O-エチルL-アスコルビン酸及びL-アスコルビン酸グルコシドがより好ましい。
【0356】
[pH]
本発明による組成物のpHは、3から9、好ましくは3.5から8.5、より好ましくは4から8であってよい。
【0357】
3から9のpHで、(a)粒子は、非常に安定でありうる。
【0358】
本発明による組成物のpHは、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は(a)粒子に組み込まれる(d)酸以外の少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することができる。
【0359】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでもよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用することができる。
【0360】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤は、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩(monohydrogenophosphate)、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0361】
無機アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0362】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、モノアミン及びその誘導体;ジアミン及びその誘導体;ポリアミン及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体;塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体;塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体;尿素及びその誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0363】
有機アルカリ剤の例としては、アルカノールアミン、例えばモノ、ジ及びトリエタノールアミン、及びイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば下記の構造:
【0364】
【化19】
【0365】
(式中、Rは、ヒドロキシル又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)
に記載されているものを挙げることができ、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0366】
アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して0.1から20質量%、好ましくは0.2から10質量%、より好ましくは0.3から5質量%の総量で使用することができる。
【0367】
(酸)
本発明による組成物は、(a)粒子に組み込まれる(d)酸以外の少なくとも1種の酸を含んでもよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用することができる。
【0368】
酸としては、化粧料において一般に使用される任意の無機又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価酸を使用することができる。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用することができる。HClが好ましい。
【0369】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して0.1から15質量%、好ましくは0.2から10質量%、より好ましくは0.3から5質量%の総量で使用することができる。
【0370】
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでもよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用することができる。
【0371】
緩衝剤としては、酢酸緩衝剤(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝剤(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝剤(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝剤[例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、Hepes緩衝剤[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸]を挙げることができる。
【0372】
[任意選択の添加剤]
本発明による組成物は、前述の成分に加えて化粧品に典型的に用いられる成分、具体的には、界面活性剤又は乳化剤、親水性増粘剤、有機不揮発性溶媒、(b)油以外のシリコーン及びシリコーン誘導体、動物又は植物に由来する天然抽出物、ワックス等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0373】
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の脂肪酸を含んでもよい。脂肪酸は、(b)油のタイプに応じて、(a)粒子の封入能力に影響を及ぼしうる(a)粒子の疎水性を制御するのに有用でありうる。
【0374】
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して0.01から50質量%、好ましくは0.05から30質量%、より好ましくは0.1から10質量%の量で含んでもよい。
【0375】
しかし、本発明による組成物は、非常に限られた量の界面活性剤又は乳化剤を含むことが好ましい。本発明による組成物中の界面活性剤又は乳化剤の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下であってよい。本発明による組成物は、界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
【0376】
[組成物]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)油を含むことから、本発明による組成物は、少なくとも1つの脂肪相を含むことができる。
【0377】
一方、本発明による組成物は、(c)水を含むことから、本発明による組成物は、少なくとも1つの水性相を含むことができる。
【0378】
水性相は、少なくとも1種のC2~C6一価アルコールを含んでもよい。2種以上のC2~C6一価アルコールを組み合わせて使用してもよい。
【0379】
本発明に好適なC2~C6一価アルコールは、2から5個の炭素原子、好ましくは2から4個の炭素原子を含んでもよく、例えばエタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノールである。
【0380】
エタノール及びイソプロパノール、好ましくはエタノールが、本発明に非常に特に好適である。
【0381】
本発明による組成物中のC2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。一方、本発明による組成物中のC2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。例えば、C2~C6一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して5質量%から20質量%、好ましくは6質量%から15質量%、より好ましくは7質量%から10質量%であってよい。
【0382】
水性相は、2から8個の炭素原子を含有する多価アルコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びそれらの混合物を含んでもよい。
【0383】
存在する場合、本発明による水性相中の多価アルコール、例えばグリコールの量は、組成物の総質量に対して0.1から15質量%、好ましくは0.5から12質量%、より好ましくは1から8質量%の範囲であってよい。
【0384】
本発明による組成物は、エマルジョン、O/Wエマルジョン又はW/Oエマルジョンの形態であってもよい。本発明による組成物は、O/Wエマルジョンの形態であることが好ましく、その理由は、その外相を形成する(c)水により清涼感をもたらすことができるからである。
【0385】
エマルジョン、特にO/Wエマルジョン中の界面活性剤又は乳化剤の量は、組成物の総質量に対して0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下であることがより好ましく、その理由は、界面活性剤は耐水性に悪影響を与えうるからである。エマルジョン、特にO/Wエマルジョンは、界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
【0386】
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用することを意図したものであってもよい。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への塗布を意図したものであってもよい。本明細書におけるケラチン物質とは、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が含まれる。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質、特に皮膚のための美容方法に使用することが好ましい。
【0387】
したがって、本発明による化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物、特にUV及び/又は空気中の汚染物質から皮膚を保護するための組成物であってもよい。
【0388】
本発明による組成物は、当業者に周知の方法のいずれかに従って、上記の必須及び任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0389】
本発明による組成物は、撹拌機等の従来の混合手段により単純に又は容易に混合することによって調製することができる。したがって、例えばホモジナイザーによる強力な剪断は必要でない。また、加熱は必要でない。
【0390】
[皮膜]
本発明による組成物は、皮膜を容易に調製するのに使用することができる。(a)粒子は、凝集し、合体して連続した皮膜となることができる。
【0391】
したがって、本発明はまた、好ましくは1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更により好ましくは2μm以上の厚さの皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための方法であって、
本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む方法に関する。
【0392】
本発明による皮膜の厚さの上限は限定されない。したがって、例えば、本発明による皮膜の厚さは、1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下であってよい。
【0393】
本発明による皮膜を調製するための方法は、本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、組成物を乾燥させる工程とを含むことから、本発明による方法は、スピンコーティング又はスプレーすることを必要とせず、したがって、比較的厚い皮膜さえ容易に調製することが可能である。したがって、本発明による皮膜を調製するための方法は、スピンコーター及びスプレー機等の特殊な装置を一切用いずに比較的厚い皮膜を調製することができる。
【0394】
本発明による皮膜が比較的厚くても、それでもなお薄く、透明とすることができ、したがって、知覚することが容易でない場合がある。したがって、本発明による皮膜は、好ましくは化粧皮膜として使用することができる。
【0395】
基材が皮膚等のケラチン基材でない場合、本発明による組成物は、ケラチン以外の任意の材料から作製された基材に塗布することができる。非ケラチン基材の材料は限定されない。2種以上の材料を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの材料、又は異なるタイプの材料の組合せを使用することができる。いずれにせよ、基材は、可撓性又は弾性であることが好ましい。
【0396】
基材がケラチン基材でない場合、基材は、水溶性であることが好ましく、その理由は、基材を水で洗浄することによって本発明による皮膜を残すことが可能であるからである。水溶性材料の例としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、酢酸セルロース等を挙げることができる。PVAが好ましい。
【0397】
非ケラチン基材がシートの形態である場合、これは、基材シートに付着した皮膜の取り扱いを容易にするために、本発明による皮膜の厚さを超える厚さを有してもよい。非ケラチン基材シートの厚さは限定されないが、1μmから5mm、好ましくは10μmから1mm、より好ましくは50から500μmであってよい。
【0398】
本発明による皮膜は、非ケラチン基材から取り外し可能であることがより好ましい。取り外し方式は限定されない。したがって、本発明による皮膜は、非ケラチン基材から剥がしてもよく、又は基材シートを水等の溶媒中に溶解することによって取り外してもよい。
【0399】
本発明はまた、
(1)本発明による組成物を基材、好ましくはケラチン基材、より好ましくは皮膚に塗布する工程と、
組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、好ましくは0.1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2μm以上の厚さの皮膜、好ましくは化粧皮膜、
並びに
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩又は
少なくとも1種の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩、
並びに
少なくとも1種の油
を含む、好ましくは0.1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2μm以上の厚さの皮膜、好ましくは化粧皮膜
に関する。
【0400】
カチオン性及びアニオン性ポリマー、並びに上記の油に関する上記の説明は、上記の皮膜(1)及び(2)中のものに適用されうる。
【0401】
上記のこうして得られた皮膜は、自立性とすることができる。本明細書における「自立性」という用語は、皮膜をシートの形態とすることができ、基材又は支持体の補助なしに独立したシートとして取り扱うことができることを意味する。したがって、「自立性」という用語は、「自己支持性」と同じ意味を有することができる。
【0402】
本発明による皮膜は、疎水性であることが好ましい。
【0403】
本明細書における「疎水性」という用語は、20から40℃、好ましくは25から40℃、より好ましくは30から40℃でのポリマーの水(好ましくは1リットルの体積)に対する溶解度が、ポリマーの総質量に対して10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。ポリマーは、水に可溶性でないことが最も好ましい。
【0404】
本発明による皮膜が疎水性である場合、皮膜は、耐水特性を有することができ、したがって、ケラチン基材の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン基材上に残存することができる。したがって、本発明による皮膜が何らかの美容効果を提供する場合、その美容効果は長時間持続することができる。
【0405】
一方、本発明による皮膜は、pH8から12、好ましくは9から11等のアルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン基材から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、そのようなアルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0406】
本発明による皮膜は、少なくとも1種の生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの層を含んでもよい。2種以上の生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマー、又は異なるタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0407】
本明細書における「生体適合性」ポリマーという用語は、ポリマーが、ポリマーと皮膚を含む生体内の細胞との間の過度の相互作用を有さず、ポリマーが、生体によって異物として認識されないことを意味する。
【0408】
本明細書における「生分解性」ポリマーという用語は、ポリマーが、例えば生体自体の代謝又は生体内に存在しうる微生物の代謝により、生体内で分解又は分割されうることを意味する。また、生分解性ポリマーは、加水分解によって分解されうる。
【0409】
本発明による皮膜が生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを含む場合、これは、皮膚への刺激が少ないか又は刺激がなく、発疹を起こさない。加えて、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの使用により、本発明による美容シートは、皮膚によく接着することができる。
【0410】
本発明による皮膜は、ケラチン物質、好ましくは皮膚、特に顔の美容処置に使用することができる。本発明による皮膜は、任意の形状又は形態であってよい。例えば、これは、フルフェイスマスクシート、又は頬、鼻、及び目の周り等の顔の一部用のパッチとして使用することができる。
【0411】
本発明による皮膜が、少なくとも1種の親水性又は水溶性UV遮蔽剤を含む場合、皮膜は、親水性又は水溶性UV遮蔽剤に由来するUVシールド効果を提供することができる。通常、親水性又は水溶性UV遮蔽剤は、汗及び雨等の水によって皮膚等のケラチン基材の表面から除去されうる。しかし、親水性又は水溶性UV遮蔽剤は、本発明による皮膜中に含まれることから、親水性又は水溶性UV遮蔽剤を水によって除去することは困難であり、それにより、長時間持続するUVシールド効果がもたらされる。
【0412】
[美容方法及び使用]
本発明はまた、
皮膚等のケラチン基材のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン基材に塗布する工程と、組成物を乾燥させて、ケラチン基材上に化粧皮膜を形成する工程とを含む方法、及び
皮膚等のケラチン基材上に化粧皮膜を調製するための本発明による組成物の使用
に関する。
【0413】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン基材の表面をケア及び/又はメイクアップするための非治療的美容法を意味する。
【0414】
上記の方法及び使用の両方において、上記の化粧皮膜は、pH7以下の水に耐性があり、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上の水で除去可能である。
【0415】
言い換えると、上記の化粧皮膜は、pH7以下、好ましくは6以上且つ7以下の範囲、より好ましくは5以上且つ7以下の範囲等の中性又は酸性条件下で耐水性でありうるが、上記の化粧皮膜は、pH7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上等のアルカリ性条件下で除去することができる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更に好ましくは11である。
【0416】
よって、上記の化粧皮膜は、耐水性とすることができ、したがって、ケラチン基材の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン基材上に残存することができる。一方、上記の化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン基材から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0417】
上記の化粧皮膜が、本発明による組成物中に存在しうるUV遮蔽剤を含む場合、上記の化粧皮膜は、紫外線から皮膚等のケラチン基材を保護し、それにより、皮膚の黒ずみを抑え、肌の色及び均一性を改善し、並びに/又は皮膚の老化を処置することができる。
【0418】
更に、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、化粧皮膜中のポリイオンコンプレックス粒子の特性により、悪臭を吸収若しくは吸着する、皮膚等のケラチン基材の外観を変化させる、ケラチン基材の触感を変化させる、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン基材を保護する等の美容効果を有しうる。
【0419】
加えて、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、皮膚上の光反射等を変化させることによって皮膚の外観を即座に変化させる又は修正することができる。したがって、上記の化粧皮膜は、毛穴又はしわ等の皮膚の欠陥を隠すことが可能でありうる。更に、上記の化粧皮膜は、皮膚上の表面粗さ等を変化させることによって皮膚の触感を即座に変化させる又は修正することができる。更に、上記の化粧皮膜は、環境ストレス、例えば汚染物質、夾雑物等から、バリアーとして、皮膚の表面を覆い、皮膚をシールドすることによって皮膚を即座に保護することができる。
【0420】
上記の美容効果は、上記の化粧皮膜の化学組成、厚さ及び/又は表面粗さを変化させることによって調整又は制御することができる。
【0421】
上記の化粧皮膜が、(b)油以外の少なくとも1種の追加の美容有効成分を含む場合、化粧皮膜は、その追加の美容有効成分によって提供される美容効果を有することができる。例えば、化粧皮膜が、抗老化剤、皮脂抑制剤、デオドラント剤、発汗抑制剤、美白剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の美容有効成分を含む場合、化粧皮膜は、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の匂いを制御し、皮膚上の発汗を制御し、及び/又は皮膚を美白することができる。
【0422】
皮膚に適用した後に、本発明による美容シートに化粧用メイクアップ組成物を塗布することも可能である。
【実施例0423】
本発明を、実施例によってより詳細に説明する。しかし、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0424】
[ポリイオンコンプレックス粒子の調製1]
ポリアニオンとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の10wt%水溶液1.50g、ポリカチオンとしてのポリリジン(PLYS)の25wt%水溶液16.76g、ポリアニオンとしてのスチレン/マレイン酸コポリマーナトリウム(SMA)の40wt%水溶液0.58g、フェニルアラニン0.30g、フェノキシエタノール0.50g、及び水50.06gを、撹拌機を使用することによって混合した。撹拌しながら、33wt%のテレフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX)を含有する水溶液30.30gを上記の混合物に添加した。こうして得られた混合物のpHの低下に伴い、ポリイオンコンプレックスゲル粒子(PGP)が形成された。こうして、安定なPGP分散体を調製することに成功した。PGP分散体の最終pHは、約4~4.5であった。得られた粒子の数平均粒径は、800nmであった。
【0425】
実施例1によるPGP分散体を調製するのに使用した材料を、表1に示す。表1に示した成分の量の数値は、全て「g」に基づく。
【0426】
【表1】
【0427】
Mexoryl SX:
【0428】
【化20】
【0429】
(エマルジョンの調製)
上記のように調製されたPGP分散体を使用することによって、エマルジョンを調製した。表2に示した油性成分のそれぞれを、PGPの量がエマルジョンの総質量に対して15質量%となる条件下で、PGP分散体に添加し、ホモジナイザーにより2500rpmで20分間混合した。各油性成分の量もまた、表2に示す。表2に示した成分の量の数値は、全て「質量%」に基づく。
【0430】
【表2】
【0431】
(評価1)
実施例1から8によるエマルジョンを、1カ月間貯蔵した。各エマルジョンの外見を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
非常に安定:相分離は観察されなかった。
安定:わずかな相分離が観察されたが、外見は全体としてほぼ均質であった。
【0432】
結果を表2に示す。
【0433】
表2は、PGPを、多様な油とともに安定なエマルジョンを調製するのに使用することができることを示す。PGPを使用することによって、界面活性剤を一切用いずにエマルジョンを調製することができる。少なくとも、最大約30質量%の油を使用することができるが、油の量は、約30質量%以下であることが好ましい場合がある。
【0434】
表2はまた、極性及び非極性油の両方を、エマルジョンを調製するのに使用することができることを示す。エマルジョンの安定性の観点から、イソノナン酸イソノニル及びカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド等の極性油を使用することが好ましい場合がある。しかし、エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマー等の油ゲル化剤と組み合わせることによって、鉱油等の非極性油もまた、非常に安定に乳化することができる。
【0435】
(評価2)
十分な少量のピラニン及びナイルレッドを、実施例1から8によるエマルジョンに添加した。ピラニンは、エマルジョンの水性相用の蛍光マーカーとして使用した。ナイルレッドは、エマルジョンの油相用の蛍光マーカーとして使用した。
【0436】
実施例1から8によるエマルジョンを、蛍光顕微鏡で観察した。油が、PGP製のカプセルで封入されたことが観察された。言い換えると、油滴が、PGP製の薄い皮膜又は層で被覆された。図1は、実施例1によるPGP製のカプセルで封入された油滴を示す。したがって、実施例1から8によるエマルジョンは、O/Wエマルジョンの1種であった。
【0437】
PGPは両親媒性であり、水及び油に不溶性であることから、PGPは水と油との間の界面に位置すること、並びにPGP分散体及び油を加熱又は強力に剪断することなしに単純に混合するプロセスによって、PGP封入を容易に実施することができることが見出された。
【0438】
[ポリイオンコンプレックス粒子の調製2]
(実施例9)
カルボキシメチルセルロース0.02g及び植物性キトサン0.2gを水60gに溶解し、4wt%HCl水溶液によってpHを2.5に調整した。アルギニンの水溶液(10wt%)1.5gを、pHが6.4に達するまで、この混合物に添加した。混合物のpH上昇中に、カルボキシメチルセルロース(ポリアニオン)、キトサン(ポリカチオン)及びアルギニン(カチオン性架橋剤)から構成される、カチオン性ポリイオンコンプレックス粒子(カチオン性PGP)を調製することに成功した。
【0439】
カチオン性PGPの直径は、約15nmであり、カチオン性PGPのζ電位は、30mVであった。
【0440】
実施例9によるカチオン性PGP分散体は、室温で2週間安定であった。したがって、2週間目視で沈殿物は観察されなかった。
【0441】
(実施例10)
カルボキシメチルセルロース0.05g及び植物性キトサン0.2gを水60gに溶解し、4wt%HCl水溶液によってpHを1.8に調整した。アルギニンの水溶液(10wt%)3gを、pHが4.9に達するまで、この混合物に添加した。混合物のpH上昇中に、カルボキシメチルセルロース(ポリアニオン)、キトサン(ポリカチオン)及びアルギニン(カチオン性架橋剤)から構成される、カチオン性PGPの粒子を調製することに成功した。
【0442】
カチオン性PGPの直径は、約370nmであり、カチオン性PGPのζ電位は、6mVであった。
【0443】
実施例1によるカチオン性PGP分散体は、室温で2週間安定であった。したがって、2週間目視で沈殿物は観察されなかった。
【0444】
[架橋高分子両性電解質粒子の調製1]
ポリアニオンとして、カルボキシメチルセルロース(CMC)の10wt%水溶液を使用した。ポリカチオンとして、ポリリジン(PLYS)の25wt%水溶液を使用した。高分子両性電解質として、ポリクオタニウム-53の20.54wt%水溶液を使用した。
【0445】
実施例11~16について、下記に示す表3に示した組成に従って、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX:MSX)を除く表3に示した成分を、成分のそれぞれの量が表3に示す通りとなるように、ビーカーに添加し、70℃で加熱し、撹拌機で混合した。次いで、33wt%のMSXを含有する水溶液を、MSXの量が表3に示す通りとなるように、上記の混合物に添加した。こうして得られた混合物のpHの低下に伴い、架橋高分子両性電解質粒子(CARP)が形成された。こうして、安定なCARP分散体を調製することに成功した。得られた粒子の数平均粒径は、1μmであった。表3に示した数値は、全て各成分中の活性材料の「質量%」に基づく。
【0446】
【表3】
【0447】
[架橋高分子両性電解質粒子の調製2]
ポリアニオンとして、カルボキシメチルセルロース(CMC)の10wt%水溶液を使用した。高分子両性電解質として、ポリクオタニウム-39の9.25wt%水溶液を使用した。
【0448】
実施例17~21について、下記に示す表4に示した組成に従って、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX:MSX)及び/又はフィチン酸を除く表4に示した成分を、成分のそれぞれの量が表4に示す通りとなるように、ビーカーに添加し、70℃で加熱し、撹拌機で混合した。次いで、33wt%のMSX及び/又はフィチン酸を含有する水溶液を、MSX及び/又はフィチン酸の量が表4に示す通りとなるように、上記の混合物に添加した。こうして得られた混合物のpHの低下に伴い、架橋高分子両性電解質粒子(CARP)が形成された。こうして、安定なCARP分散体を調製することに成功した。得られた粒子の数平均粒径は、1μmであった。表4に示した数値は、全て各成分中の活性材料の「質量%」に基づく。
【0449】
【表4】
【0450】
(評価3)
実施例11~21による組成物の外見を顕微鏡法で観察し、以下の基準に従って評価した。
良好:粒子が形成された。
不良:粒子が形成されなかった。
【0451】
結果を、表3及び表4の「CARP形成」の行に示す。
【0452】
[エマルジョンの調製]
上記のように調製されたCARP分散体を使用することによって、エマルジョンを調製した。下記に示した油性成分のそれぞれを、CARPの量がエマルジョンの総質量に対して15質量%となる条件下で、CARP分散体に添加し、ホモジナイザーにより2500rpmで20分間混合した。各油性成分の量もまた、下記に示す。下記に示した成分の量の数値は、全て「質量%」に基づく。
【0453】
【表5】
【0454】
(評価4)
実施例11~21によるCARP分散体を用いて調製されたエマルジョンを、室温で1カ月間貯蔵した。エマルジョンのそれぞれの外見を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
安定:相分離は観察されなかった、又はわずかな相分離が観察されたが、外見は全体としてほぼ均質であった。
不安定:完全な相分離が観察された。
【0455】
結果を、表3及び表4の「エマルジョン安定性」の行に示す。
【0456】
(評価5)
実施例11~21のそれぞれによるCARP分散体で調製したエマルジョン50mgをポリメタクリル酸メチル(PMMA)プレート(HELIOPLATE HD6)の表面に塗布し、室温で1時間乾燥させた。
【0457】
乾燥の後、PMMAプレートを塩化カルシウム溶液(0.14g/l)に室温で15分間浸漬した。
【0458】
浸漬の後、PMMAプレートを引き上げ、1時間乾燥させた。PMMAプレートの表面を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
良好:PMMAプレート上に皮膜が存在した。
不良:PMMAプレート上に皮膜が存在しなかった。
【0459】
結果を、表3及び表4の「耐水性」の行に示す。得られた皮膜の厚さは、1μmであった。
【0460】
[エマルジョンの調製]
高分子両性電解質として、ポリクオタニウム-53の20.54wt%水溶液を使用した。
【0461】
下記に示す表5に示した組成に従って、上記の成分及び水を、成分のそれぞれの量が表5に示す通りとなるように、ビーカーに添加し、70℃で加熱し、撹拌機により混合した。次いで、33wt%のテレフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX)を含有する水溶液を、Mexoryl SXの量が表5に示す通りとなるように、上記の混合物に添加した。こうして得られた混合物のpHの低下に伴い、架橋高分子両性電解質粒子(CARP)が形成された。こうして、安定なCARP分散体を調製することに成功した。表5に示した数値は、全て各成分中の活性材料の「質量%」に基づく。
【0462】
次いで、表5に示した油性成分(網掛けの行参照)をCARP分散体に添加し、ホモジナイザーにより6000rpmで20分間混合して、実施例22によるエマルジョンを調製した。油性成分のそれぞれの量もまた、表5に示す。表5に示した成分の量の数値は、全て各成分中の活性材料の「質量%」に基づく。
【0463】
【表6】
【0464】
(評価6)
十分な少量のピラニン及びナイルレッドを、実施例22によるエマルジョンに添加した。ピラニンは、エマルジョンの水性相用の蛍光マーカーとして使用した。ナイルレッドは、エマルジョンの油相用の蛍光マーカーとして使用した。
【0465】
実施例22によるエマルジョンを、蛍光顕微鏡で観察した。油が、CARP製のカプセルで封入されたことが観察された。言い換えると、油滴が、CARP製の薄い皮膜又は層で被覆された。したがって、実施例22によるエマルジョンは、O/Wエマルジョンの1種である。
【0466】
CARPは両親媒性であり、水及び油に不溶性であることから、CARPは水と油との間の界面に位置すること、並びにCARP分散体及び油を加熱又は強力に剪断することなしに単純に混合するプロセスによって、CARP封入を容易に実施することができることが見出された。
図1
【外国語明細書】