(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116251
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】バレリアン組成物及び関連方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/84 20060101AFI20220802BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220802BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220802BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220802BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220802BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220802BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20220802BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K36/84
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K47/38
A61K47/02
A61P25/20
A61P25/22
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089010
(22)【出願日】2022-05-31
(62)【分割の表示】P 2018558279の分割
【原出願日】2017-05-04
(31)【優先権主張番号】62/332,728
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】シャー, サイド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ディオリオ, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン, フレッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バレリアン含有医薬剤形組成物、および貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態(dosage form)の製造方法を提供する。
【解決手段】バレリアン組成物は、その中にバレリアン及び酸性化剤のバレリアン安定性向上量が含まれるポリマーを包含するソリッドコアを有する治療上有効な医薬投与形態を包含する。酸性化剤の前記バレリアン安定性向上量は、前記ポリマーに2~5のpHを与えるのに十分である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中にバレリアン及び酸性化剤の量が含まれるポリマーを包含するソリッドコアを有する治療上有効な医薬投与形態を含む組成物であって、酸性化剤の前記量は、前記ポリマーに2~5のpHを与えるのに十分である、組成物。
【請求項2】
酸性化剤の前記量は、前記医薬投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に前記バレリアンの分解を防止することによって、前記医薬投与形態の貯蔵を安定にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸性化剤の前記量が、前記ポリマーに3~5のpHを付与するのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記医薬投与形態が、
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの5%~50%を包含する迅速放出部分であって、前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、迅速放出部分と;
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの残部を包含する徐放性部分であって、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、徐放性部分と;
包含する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記医薬投与形態が、錠剤、カプセル及び多粒子から選択される少なくとも1つの経口投与形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが、水の吸収時に膨潤するヒドロゲル形成ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記医薬投与形態が、約150mg~約250mgのバレリアンを包含する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
バレリアンは前記医薬投与形態の15%w/w~45%w/wであり;
前記酸性化剤は前記医薬投与形態の1%w/w~20%w/wであり;
前記ポリマーは前記医薬投与形態の1%w/w~15%w/wである;
請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
酸性化されたポリマーマトリックス内にバレリアンを包含するソリッドコアと、
前記バレリアンの第1の画分を包含する迅速放出部分であって、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に前記第1の画分を放出するのに有効である、迅速放出部分と、
前記バレリアンの第2の画分を包含する徐放性部分であって、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内に前記第2の画分を放出するのに有効である、徐放性部分と、
を有する治療上有効な医薬投与形態を含む組成物。
【請求項10】
前記バレリアンの前記第1の画分が、前記バレリアンの5%~50%であり、前記バレリアンの前記第2の画分が、前記医薬投与形態中のバレリアンの残部である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記酸性化されたポリマーマトリックスが2~5のpHを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
酸性化されたポリマーマトリックスが3~5のpHを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸性化されたポリマーマトリックスが、前記医薬投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に、前記バレリアンの分解を防止することによって、前記医薬投与形態の貯蔵を安定にする、酸性化剤のバレリアン安定性向上量を包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記医薬投与形態が、錠剤、カプセル及び多粒子から選択される少なくとも1つの経口投与形態である、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記酸性化されたポリマーマトリックスが、水の吸収時に膨潤するヒドロゲル形成ポリマーである、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
前記医薬投与形態が、約150mg~約250mgのバレリアンを包含する、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
バレリアンは前記医薬投与形態の15%w/w~45%w/wであり;
前記酸性化されたポリマーマトリックス中の酸性化剤は前記医薬投与形態の1%w/w~20%w/wであり;
前記酸性化されたポリマーマトリックスのポリマーは前記医薬投与形態の1%w/w~15%w/wである;
請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法であって、当該方法は、
バレリアン、ヒドロゲル形成ポリマー、ある量の酸性化剤、及び水を組み合わせることによって酸性化されたポリマーマトリックスを形成するステップと、
前記酸性化されたポリマーマトリックスを包含する固体医薬投与形態を作製するステップと、
を含み、
酸性化剤の前記量は、薬学的投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に、前記バレリアンの分解を防止することによって、前記固体医薬投与形態を安定にする、
貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項19】
酸性化剤の前記量が、前記酸性化されたポリマーマトリックスに1~5のpHを付与するのに十分である、請求項18に記載の貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項20】
酸性化剤の前記量が、前記酸性化されたポリマーマトリックスに2~5のpHを付与するのに十分である、請求項18に記載の貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項21】
前記医薬投与形態が、
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの5%~50%を包含する迅速放出部分であって、前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、迅速放出部分と;
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの残部を包含する徐放性部分であって、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、徐放性部分と;
包含する、請求項18に記載の貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項22】
前記医薬投与形態が、錠剤、カプセル及び多粒子から選択される少なくとも1つの経口投与形態である、請求項18に記載の貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項23】
バレリアンは前記医薬投与形態の15%w/w~45%w/wであり;
前記酸性化剤は前記医薬投与形態の1%w/w~20%w/wであり;
前記ポリマーは前記医薬投与形態の1%w/w~15%w/wである;
請求項18に記載の貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態を製造する方法。
【請求項24】
それを必要とする患者に、その中にバレリアン及び酸性化剤の量が含まれるポリマーを包含するソリッドコアを有する医薬投与形態の治療上有効量を投与することを含む治療方法であって、酸性化剤の前記量は、前記ポリマーに2~5のpHを与えるのに十分である、治療方法。
【請求項25】
投与が経口で行なわれる、請求項24に記載の治療方法。
【請求項26】
酸性化剤の前記量は、前記医薬投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に前記バレリアンの分解を防止することによって、前記医薬投与形態の貯蔵を安定にする、請求項24に記載の治療方法。
【請求項27】
酸性化剤の前記量が、前記ポリマーに3~5のpHを付与するのに十分である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項28】
前記医薬投与形態が、
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの5%~50%を包含する迅速放出部分であって、前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、迅速放出部分と;
前記医薬投与形態中の前記バレリアンの残部を包含する徐放性部分であって、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効である、徐放性部分と;
包含する、請求項24に記載の治療方法。
【請求項29】
前記医薬投与形態が、錠剤、カプセル及び多粒子から選択される少なくとも1つの経口投与形態である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項30】
前記ポリマーが、水の吸収時に膨潤するヒドロゲル形成ポリマーである、請求項24に記載の治療方法。
【請求項31】
前記医薬投与形態が、約150mg~約250mgのバレリアンを包含する、請求項24に記載の治療方法。
【請求項32】
バレリアンは前記医薬投与形態の15%w/w~45%w/wであり;
前記酸性化剤は前記医薬投与形態の1%w/w~20%w/wであり;
前記ポリマーは前記医薬投与形態の1%w/w~15%w/wである;
請求項24に記載の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年5月6日に出願された米国仮出願第62/332,738号の優先権を主張する。
【0002】
分野
本願は、サプリメント組成物の分野、及びより詳細には、バレリアン(valerian、カノコソウ)組成物に関する。
【0003】
配列表
本願には、EFS-web経由で米国特許商標庁に「Sequence_Listing.txt」というテキストファイルとして電子的に提出された配列表が含まれる。電子的に提出された配列表は、37CFR§1.821(c)により要求される書類、及び37CFR§1.821(c)により要求されるコンピュータ可読ファイルの両方として機能する。前記配列表に含まれる情報は、本明細書中にその全体が参考により組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
背景
バレリアン(Valeriana officianalis、セイヨウカノコソウ)は何世紀にもわたって薬草療法として使用されてきた植物である。その根抽出物は、鎮静剤、抗不安薬、筋肉弛緩剤、及び抗けいれん剤としての使用が提案されている。バレリアンの根(valerian root、吉草根)及びその抽出物は現在、栄養補助食品として入手可能である。
【0005】
バレリアンには、その治療活性の原因となる可能性のある多くの化合物が含まれているが、どちらが主な寄与者であるかは完全には理解されていない。これらの化合物は、バレレン酸(valerenic acid)及びその誘導体(アセトキシバレレン酸及びヒドロキシバレレン酸を包含する);ケッサン(kessane)誘導体、バレラノン及びバレレナール;吉草酸;バルプロ酸;並びにバレポトリアート化合物を包含する。バレリアンの作用は、神経伝達物質γ-アミノ酪酸に応答する脳のGABA受容体を介して媒介されることが示されている。これらは、ベンゾジアゼピン薬が標的とするのと同じ受容体である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの市販のバレリアン製剤(formulations)について、品質上の懸念が報告されている。ConsumerLab.comはいくつかの製品のバレレン酸含有量について試験したが、試験の時点でそれらの製品の中には検出可能なバレレン酸がないか、又はラベルが記載している量よりも少ないことが判明した。これは、バレレン酸の貯蔵寿命が限られていることを示唆しているかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単な概要
バレリアン含有医薬剤形組成物がここに記載されている。
【0008】
前記組成物の第1の例は、その中にバレリアン及び酸性化剤の量が含まれるポリマーを包含するソリッドコアを有する治療上有効な医薬剤形を含む。酸性化剤の前記量は、前記ポリマーに2~5のpHを与えるのに十分である。
【0009】
前記組成物の第2の例において、組成物は、酸性化されたポリマーマトリックス内にバレリアンを包含するソリッドコアと、迅速放出部分(expedited release portion)と、徐放性部分(sustained release portion)とを含む。前記迅速放出部分は、バレリアンの第1の画分(first fraction)を包含し、且つ、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に前記バレリアンの前記第1の画分を放出するのに有効である。前記徐放性部分は、バレリアンの第2の画分(second fraction)を包含し、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内に前記第2の画分を放出するのに有効である。
【0010】
貯蔵安定性バレリアン医薬投与形態(dosage form)を製造する方法の一例は、
バレリアン、ヒドロゲル形成ポリマー、ある量の酸性化剤、及び水を組み合わせることによって酸性化されたポリマーマトリックスを形成するステップと、
前記酸性化されたポリマーマトリックスを包含する固体医薬投与形態を作製するステップと、
を含む。酸性化剤の前記量は、薬学的投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に、前記バレリアンの分解を防止することによって、前記固体医薬投与形態を安定にする。
【0011】
治療方法の一例は、それを必要とする患者に、その中にバレリアン及び酸性化剤のバレリアン安定性向上量が含まれるポリマーを包含するソリッドコアを有する医薬投与形態の治療上有効量を投与することを含み、酸性化剤の前記バレリアン安定性向上量は、前記ポリマーに2~5のpHを与えるのに十分である。
【0012】
以下の追加の特徴は、組成物及び方法のこれらの例のいずれかに包含され得る。
【0013】
前記組成物は、投与が経口的に行われ得るように経口医薬投与形態であり得る。
【0014】
前記医薬投与形態は、錠剤、カプセル、及び多粒子(multiparticulate)から選択される少なくとも1つの経口剤形であり得る。
【0015】
酸性化剤の前記バレリアン安定性向上量は、前記医薬投与形態が25℃及び相対湿度60%で保存された場合に前記バレリアンの分解を防止することによって、前記医薬投与形態の貯蔵を安定にすることができる。
【0016】
酸性化剤の前記バレリアン安定性向上量が、前記ポリマーに3~5のpHを付与するのに十分であり得る。
【0017】
前記迅速放出部分は、前記医薬投与形態中の前記バレリアンの5%~50%を包含することができ、且つ、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効であり得る。
【0018】
前記徐放性部分は、前記医薬投与形態中の前記バレリアンの残部を包含することができ、且つ、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記バレリアンを放出するのに有効であり得る。
【0019】
前記ポリマーが、水の吸収時に膨潤するヒドロゲル形成ポリマーであり得る。
【0020】
前記医薬投与形態が、約150mg~約250mgのバレリアンを包含することができる。
【0021】
バレリアンは前記医薬投与形態の15%w/w~45%w/wであり得る。
【0022】
前記酸性化剤は前記医薬投与形態の1%w/w~20%w/wであり得る。
【0023】
前記ポリマーは前記医薬投与形態の1%w/w~15%w/wであり得る。
【0024】
前記組成物は、とりわけ、痛み、不眠症、不安、及び/又はメラトニン欠乏などの標的生理学的状態を治療するために使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例示的な実施形態の詳細な説明
本明細書で使用される用語「バレリアン」は、バレリアンの根、バレリアン抽出物、及び/又はバレリアンにおける治療的に活性な化合物、例えばバレレン酸などの、及び/又はバルトラート及びジドロバルトラートなどのバレポトリアートを包含する。バレリアンは、乾燥した根、粉末又は液体の形態であり得る。前記液体形態は、溶媒中に懸濁した前記バレリアンの根の活性成分を含有する。アルコールは、抽出溶媒として典型的に使用されるが、前記液体形態は油であってもよい。
【0026】
バレリアンの従来の水性もしくは水性アルコール抽出物もしくはチンキでは、一次水溶性活性化合物はイソ吉草酸であると報告されている。アンモニウムイソバレレート及びイソバレルアミドは、アンモニア化されたチンキで生成される。バレポトリアート及びモノテルペンイソバレレートエステル、例えばボルニル及びラバンズリルイソバレレート、は、イソ吉草酸、その塩、及びイソバレルアミドのプロドラッグとして作用することが報告されている。
【0027】
前記バレリアンプロダクトの第1の実施形態は、バレリアンが酸性pHを有するポリマーマトリックス中にあるバレリアン含有医薬投与形態を包含する。前記酸性pHは、バレリアンプロダクトの貯蔵安定性を高めるために、バレリアン中の生物活性化合物のいくつかを安定化させるのに役立つ。
【0028】
前記酸性pHは、酸性化剤によって、バレリアン安定性向上量で提供される。バレリアン安定性向上量は、例えば、バレリアン貯蔵安定性の客観的尺度によって測定されるような、前記バレリアンプロダクトの貯蔵安定性を改善するために必要な酸性化剤の量であってもよい。
【0029】
バレリアンの貯蔵安定性を測定するための多くの従来技術が報告されている。GoppelとFranzによって報告されたこのような技術の1つは、「Stability control of valerian ground material and extracts: a new HPLC-method for the routine quantification of valerenic acids and lignans」と題して発表された(Pharmazie Vol. 59 pages 446-452 in 2004)。この報告書によれば、バレリアンの貯蔵安定性は、バレレン酸及びリグナンの含有量を監視することによって測定することができる。ヒドロキシバレレン酸、ピノレジノール及びヒドロキシピノレジノールは、分解生成物として同定された。保存条件は、25℃/60%相対湿度、30℃/60%相対湿度、及び40℃/75%相対湿度であった。Goppel及びFranzは、分光光度計と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技術を用いて貯蔵安定性を測定した。
【0030】
前記試験中のヒドロキシバレレン酸の量の有意な増加は、貯蔵安定性の欠如についてのポジティブな指標であることが示された。
【0031】
バレリアンの貯蔵安定性を測定するための他の技術には、クロマトグラフィーケミカルフィンガープリント法、例えばガスクロマトグラフィー及び分光光度法と組み合わせた薄層クロマトグラフィーなど、が含まれ得る。
【0032】
前記医薬投与形態は、錠剤、カプレット、カプセル、多粒子などのような経口東洋形態であってもよい。そのような場合、前記投与形態は、ポリマーマトリックス内にバレリアンを包含する1つ以上の活性成分を含有するソリッドコアを有する。
【0033】
前記ポリマーマトリックスは、少なくとも1つの医薬的に許容可能なポリマー賦形剤から形成される。ポリマー性賦形剤の例には、セルロース系ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなど;ヒアルロネート;アルギネート;多糖、ヘテロ多糖、ペクチン;ポロキサマー;ポロキサミン;エチレン酢酸ビニル;ポリエチレングリコール;デキストラン;ポリビニルピロリドン;キトサン;ポリビニルアルコール;プロピレングリコール;ポリ酢酸ビニル;ホスファチジルコリン、レシチン;ミグリオール;ポリ乳酸;ポリヒドロキシ酪酸;それらの混合物、それらのコポリマー、それらの誘導体などが含まれる(但し限定されない)。
【0034】
特定の例において、前記少なくとも1つのポリマー賦形剤は、ヒドロゲル形成ポリマーである。ヒドロゲル形成ポリマーは、水を吸収することによって膨潤することができるポリマーである。患者が摂取すると、前記ヒドロゲル形成ポリマーは水を吸収し且つ膨潤する。前記コア中の前記活性成分(複数可)は、前記形成されたヒドロゲルを通って分散し、徐々に前記ヒドロゲルを患者の胃腸(「GI」)管内に放出する。前記ヒドロゲル形成ポリマーは、活性成分を所望の期間にわたって胃腸管に持続放出を提供するため、放出制御ポリマーとして作用することができる。
【0035】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」又は「ヒプロメロース」)は、前記投与形態のある特定の製剤(formulations)において使用される。なぜなら、それがヒドロゲルを形成し、分子量によって異なる多くの異なるバージョンで入手可能であるためである。したがって、前記投与形態の特性は、HPMCの異なる分子量の異なるバージョンを選択することによって変えることができる。
【0036】
前記ポリマーマトリックスは、バレリアンの酸化分解を防止するように機能することができる。貯蔵中に水分及び酸素バリアを提供し、これは、水分及び酸素が前記投与形態に浸透するのを実質的に防止する。
【0037】
前記酸性pHは、酸及び/又は酸性緩衝液などの酸性化剤を前記ポリマー賦形剤と混合することによって、前記ポリマーマトリックスに付与される。酸性化剤の例は、限定されないが、有機及び/又は無機酸性分子を包含する酸性分子を包含する。有機酸性分子は、低分子量カルボン酸、例えばクエン酸、コハク酸、及び酒石酸など、を包含するが、決してこれに限定されない。無機酸性分子は、例えば、リン酸及び塩酸を包含する。酸性緩衝液は、有機又は無機の酸性分子で調製することができる。一ナトリウムクエン酸塩又は一カリウムリン酸(リン酸一カリウム)のような酸性緩衝液が例であるが、酸性緩衝液は決してこれらに限定されない。
【0038】
理論に縛られることを意図するものではないが、バレリアン分解経路の1つは、前記カルボン酸(例えば、バレリン酸)の脱カルボキシル化であると考えられている。カルボン酸ベースの酸性化剤を使用すると、脱カルボキシル化を緩和するのに役立つことができる。脱炭酸は高温で有利になり得るので、カルボン酸系酸性化剤はバレリアンの貯蔵安定性を改善し得ると考えられる。
【0039】
酸性化剤の前記量は、前記ポリマーマトリックスが水を吸収して膨潤するときに酸性pHを前記ポリマーマトリックスに付与するのに十分である。前記ポリマーマトリックスのためのいくつかの適切なpH範囲は、0.1~7,0.1~6,0.1~5,1~6,1~5,2~6,2~5,2.5~5.5,2~4.5,3~6,3~5,3~4.5,3.3~5,又は3.4~4.5を包含する。
【0040】
バレレン酸及びバルプロ酸のpKaは約5であると報告されている。前記プロダクトのいくつかの例では、バレレン酸及びバルプロ酸をそれらのプロトン化形態を維持するために、pH5又はそれ以下を付与するのに十分な酸性化剤を用いることが望ましい。このようなpHを前記ポリマーマトリックスに付与することは、これらの酸に対する酸化分解を防止するのに役立つと考えられている。
【0041】
前記バレリアンプロダクトの第2の実施形態は、今説明したバレリアン含有医薬投与系チアを包含するが、但し、メラトニンがバレリアンを有する前記ポリマーマトリックスに含まれている。この実施形態では、前記ポリマーマトリックスに4.4以下のpHを付与するのに十分な酸性化剤を使用することが望ましい場合がある。そのようなpH範囲の例は、0.1~4.4,1~4.4,2~4.4,3~4.4,4~4.4,1~4,2~4又は3~4を包含する。このpH範囲では、メラトニンの溶解度は、中性pHと比較して増強される。
【0042】
これは、GI管全体にわたるメラトニンの徐放性を得るために有用であり得る。メラトニンは、腸よりも胃においてはるかに溶けやすい。なぜならば、胃のpHが低いのに対して、腸のpHが高いためである。前記酸性化されたポリマーマトリックスは、前記GI管内の前記メラトニンのための制御されたpH担体を形成する。メラトニンは、前記マトリックスが(it)前記GI管の水分を吸収するときに前記マトリックス中に可溶化されたままであり、且つ、前記GI管の局所pH環境にかかわらず、前記投与形態が前記GI管を通過するにつれて前記マトリックスからメラトニンが徐々に放出され得る。
【0043】
この第2の実施形態では、前記投与形態は、バレリアン及びメラトニンの徐放性を提供する。このようなプロダクトは、二重治療機能性を有する睡眠補助剤として有用である。バレリアンは鎮静剤として作用し、患者が眠りに落ちる前にリラックスするのを助ける。メラトニンは、患者が眠りに落ち、且つ夜間眠ったままでいるように助ける。
【0044】
メラトニンは約4.4~4.7のpKaを有することが報告されている。これは、前記メラトニン(it)がpH変化のために前記GI管を通って移動するとき、メラトニンに異なる程度の解離及び異なる溶解度を与える。胃環境では、約1~3のpH範囲で、その溶解度は比較的高い。上部GI管環境では、約4.5~5.5のpH範囲で、その溶解度が低下する。下部GI管環境では、約5.5~7のpH範囲で、その溶解度はさらに低下する。前記GI管pHのこの変動性は、従来の即時放出性メラトニン投与形態の主要な要因ではない。メラトニンが前記胃環境の前記低pHに容易に溶解するためである。残念なことに、これは、健康な若い被験者に見出される内因性メラトニンのパターンを模倣するにはあまりにも迅速に、メラトニンが吸収され、且つ、排除される結果となる。
【0045】
メラトニンを包含する前記投与形態は、連続的に少なくとも3時間から10時間まで腸内に見出される前記pH範囲内のバレリアン及びメラトニンの有効量を放出するように適合される。特定の例では、前記投与形態は、それが通過する前記pH環境にかかわらず、摂取後3~10時間にわたってメラトニンを放出するように適合される。バレリアン及びメラトニンのこの徐放性(sustained release)は、被験者が夜間眠り続けるのを助ける。
【0046】
前記ポリマーマトリックスは、前記メラトニン及びバレリアンを前記GI管の前記pH環境から効果的に絶縁する。前記GI管中に直接溶解する代わりに、前記メラトニン及びバレリアンは、前記ポリマーマトリックス内に溶解し、前記マトリックス全体にわたって濃度勾配を形成する。このようにして、次いでメラトニン及びバレリアンは前記マトリックスの周辺から前記GI管中に放出される。
【0047】
前記バレリアン含有プロダクトの第3の実施形態は、酸性pHを有する前記ポリマーマトリックス中にバレリアン及びメラトニンを一緒に包含するが、前記投与形態はまた、 少なくとも1つの鎮痛成分を包含する。この実施形態は3つの治療上の利点を提供する。なぜなら、前記鎮痛成分が疼痛緩和をさらに提供するためである。
【0048】
鎮痛成分の例は、サリシン、アセチルサリチル酸、サリチル酸ナトリウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、ブロメライン及びナプロキセンを包含するが、これらに限定されない。
【0049】
前記投与形態の特定の例において、前記鎮痛成分は、サルシン源(例えば、ヤナギ樹皮(Salix spp.)又はヤナギ樹皮抽出物)である。サリシンは、アスピリンの有効成分であるアセチルサリチル酸と構造的に類似の疼痛緩和抗炎症性化合物である。ヤナギ樹皮はまた、鎮痛成分である他のフラボノイドを含有してもよい。ヤナギ樹皮は、他の多くの症状のうち、頭痛、筋肉痛、及び関節炎を治療するのに使用されてきた。
【0050】
前記サリシン源は、1つ以上のヤナギ種由来のヤナギ樹皮を含むことができる。セイヨウシロヤナギ(Salix alba)、アメリカポッキリヤナギ(Salix nigra)、ポッキリヤナギ(Salix fragilis)、セイヨウコリヤナギ(Salix purpurea)、及びシダレヤナギ(Salix babylonica)由来の樹皮を包含する、サルシンを含有する様々なタイプのヤナギ樹皮がある。前記ヤナギ樹皮中のサリシンの量は樹木の種類と樹齢によって異なる。セイヨウシロヤナギ樹皮がサリシン源である場合、少なくとも75%、85%、又は95%のサリシンを含有するセイヨウシロヤナギ樹皮抽出物を選択することが望ましい場合がある。
【0051】
前記投与形態は、バレリアンと組み合わせて少なくとも1つの鎮静成分を包含することができる。そのような鎮静成分は、骨格筋リラクサ(relaxer)及び/又はGABAモジュレーターを包含し得る。鎮静成分の例は、L-テアニン、レモンバーム、タツナミソウ属(skullcap)、及びアミノ酸配列Tyr-Leu-Gly-Tyr-Leu-Glu-Gln-Leu-Leu-Arg(SEQ ID NO:1 YLGYLEQLLR)を有するデカペプチド(これはLACTIUM(登録商標)(Ingredia Societe Anonyme、フランス)として市販されており、米国特許第5,846,939号に記載されている)を包含することができるが、これらに限定されない。
【0052】
投与形態がL-テアニンを包含する場合、25~250mg、50~200mg、又は約100mgを使用することができる。
【0053】
投与形態がタツナミソウ属を包含する場合、25~250mg、50~200mg、又は約100mgを使用することができる。
【0054】
投与形態がレモンバームを包含する場合、25~250mg、50~200mg、又は約100mgを使用することができる。
【0055】
投与形態が前記デカペプチドを含む場合、25~250mg、50~200mg、又は約100mgを使用することができる。
【0056】
上記のプロダクトにおいて、前記投与形態は、前記活性成分(複数可)を含有する前記ポリマーマトリックスである徐放性部分を包含する。前記徐放性部分は、前記患者による経口摂取後約3時間~約10時間にわたって、それら由来の活性成分(複数可)を前記患者の下部GI管中に放出するのに有効である。特定の場合においては、前記投与形態は経口摂取後10時間以内又は経口摂取後約8時間以内に前記それら由来の活性成分(複数可)の実質的にすべてを放出する。
【0057】
前記投与形態はまた、迅速放出部分を包含し得る。前記迅速放出部分は、経口摂取後約2時間以内又は経口摂取後約1時間以内に、前記活性成分(複数可)の約50%を下部GI管中に放出するのに有効である。
【0058】
前記投与形態の前記迅速放出部分は、多くの異なる方法で配合され得る。いくつかの例を以下に説明するが、これらの例は多くの可能性の網羅的なリストではない。
【0059】
上述の前記第1、第2及び第3の実施形態において、前記ポリマーマトリックスは、前記迅速放出部分及び徐放性部分の両方として機能することができる。これは、前記投与形態が前記患者の胃に到達すると、前記ポリマーマトリックスが前記胃内の水分を吸収するので、前記投与形態(it)が前記ポリマーマトリックスから前記活性成分のいくつかをほぼ即座に放出し始めるからである。前記ポリマーマトリックスが膨潤すると、前記マトリックス内にpH勾配が形成され、且つ、前記活性成分(複数可)の放出速度が遅くなる。
【0060】
迅速放出部分及び徐放性部分を有する投与形態の別の例は、前記徐放性部分を形成する1つの層と、前記迅速放出部分を形成する別の層とを有する2層錠剤である。
【0061】
迅速放出部分及び徐放性部分を有する投与形態の別の例は、前記徐放性部分及び迅速放出部分を含有するカプセルである。このような例では、前記迅速放出部分は、前記活性成分を所望の迅速時間にわたってその中に放出するのに有効な微粒子を包含し得、且つ、前記徐放性放出部分は、持続時間の間、その中に前記活性成分を放出するのに有効な微粒子の別のセットであり得る。
【0062】
迅速放出部分及び徐放性部分を有する投与形態の別の例は、前記ポリマーマトリックスがソリッドコアを形成し、前記迅速放出部分が前記コア上のコーティング中にある錠剤又はカプセルである。
【0063】
前記迅速放出部分及び徐放性部分の相対的な投与量パーセンテージは変化し得る。いくつかの例では、迅速放出部分は、前記投与形態中の特定の有効成分の5%~50%又は65%までを含有する。他の例において、前記徐放性部分は、前記投与形態中に特定の有効成分を90%まで含有する。別の例では、前記迅速放出部分は約50%の前記活性成分(複数可)を含有する。前記迅速放出部分からの前記活性成分は、摂取後およそ最初の2時間で放出される。前記徐放性部分中の前記活性成分は、およそ次の5~8時間かけて又は摂取後約10時間以内に放出される前記有効成分(複数可)の残部を包含する。
【0064】
放出プロフィールは、0.1N HCl(塩酸)溶液中に前記投与形態を2時間置くこと、次いでそれをpH=6.8のリン酸緩衝液中に12時間置くことによって前記GI管環境をシミュレートすることによって測定することができる。
【0065】
前記投与形態からの前記活性成分(複数可)の放出速度は、いくつかの方法で制御することができる。前記有効成分(複数可)の濃度は調整することができる。ポリマーマトリックスのpHを調節することができる。1つ以上の放出速度制御コーティングが含まれてもよい。このようなコーティングの厚さは調整することができる。前記投与形態のサイズ及び形状はまた、好ましい放出速度を提供するように調節されてもよい。
【0066】
有効量は、体内の疾患又は状態に影響を及ぼす治療上の利益を提供するのに十分な量である。
【0067】
バレリアン、メラトニン、及び/又は鎮痛成分の治療上有効な量は1~1000mg/日であり得、1~25mg/日、25~50mg/日、50~75mg/日、75~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、200~250mg/日、250~300mg/日、300~350mg/日、350~400mg/日、400~450mg/日、500~550mg/日、550~600mg/日、600~650mg/日、650~700mg/日、700~750mg/日、750~800mg/日、800~850mg/日、850~900mg/日、900~950mg/日、950~1,000mg/日を包含する。より高い投与量(1,000~3000mg/日)も有効である可能性がある。重さ(mg)は、前記患者の体重(kg)で較正されることが多いため、これらの例示的投与量は、1日当たり体重1kgあたりのmgに換算して記載することもできる。
【0068】
実際には、前記治療有効量は、年齢、体重、身長、状態の重症度、投与技術を包含する、前記患者に関連する多数の因子、及び他の要因、に依存して変化し得る。患者に投与される前記治療有効量は、関連する状況を考慮して医療関係者によって決定されてもよい。
【0069】
前記治療有効量は、経験的証拠から決定又は予測することができる。特定の投与量は、多くの要因によって変わり得、且つ、実験に基づいて最初に決定され得る。
【0070】
前記プロダクトは、単回投与として、又は投与計画(dosage regimen)の一部として投与することができる。ある投与計画について、前記治療有効量は、所望の治療応答を提供するために、投与量毎に調整可能である。
【0071】
複数の投与量を所定の時間間隔で投与してもよく、その後の投与量を状況に応じて比例して減少又は増加させることができる。
【0072】
表1は、前記バレリアン含有プロダクトのいくつかの例、実施例A~H、における有効成分の可能な治療有効量のいくつかのリストである。ここで、質量(mass)は、一体型投与形態の重量によって報告される。このリストは網羅的なものではない。
表1: 前記バレリアン含有プロダクトの例における活性成分(複数可)の量。
【表1】
【0073】
上述のように、前記投与形態は、典型的には経口投与形態、例えば錠剤、カプレット、カプセル、多粒子などである。所望の投与形態を得、且つそれに所望の特性を与えるため、既に記載したもの以外の1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤を使用することができる。
【0074】
賦形剤の例は、担体、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、溶媒、加工助剤、緩衝剤、着色剤、香味剤、溶剤、コーティング剤、結合剤、担体、流動促進剤、潤滑剤、造粒剤、ゲル化剤、研磨剤、懸濁剤、甘味剤、抗付着剤、防腐剤、乳化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、粘度剤、腸溶剤、湿潤剤、増粘剤、安定化剤、可溶化剤、生体接着剤、フィルム形成剤、皮膚軟化剤、溶解促進剤、分散剤、又はそれらの組み合わせ、を包含するが、それらに限定されない。
【0075】
錠剤及びカプレットは、乾式混合又は湿式造粒などの従来の打錠技術を用いて調製することができる。乾いたブレンド又は造粒は、最終錠剤形態に圧縮されてもよい。
【0076】
カプセルは、異なる技術を用いて調製することができる。例えば、前記成分を湿式造粒することによって製造された乾燥顆粒は、カプセル、例えばゼラチンカプセル、中に充填されてもよい。
【0077】
なお、前記投与形態を調製するのに、噴霧造粒プロセスを用いることもできる。前記噴霧造粒プロセスは、前記活性成分(複数可)、前記ポリマーマトリックス、及び前記酸性化剤を含有する顆粒コアを生成する。前記顆粒コアは、例えば、それらを錠剤に圧縮するか、又はそれらをカプセルに充填するなどして、最終投与形態に組み合わされてもよい。
【0078】
あるいは、前記カプセル又はサシェ(sachets)には、前記成分の湿った塊を形成すること、前記湿った塊を押し出すこと、前記押し出された湿った塊を断片に切断すること、及び前記断片を球形にすることによって調製された、約0.5mm~約4mm又は約0.5mm~約3mmの直径を有する個々の球状多粒子が充填されてもよい。前記個々の粒子は、ここで論じたコーティングのいずれかを包含することができる。
【0079】
前記迅速放出部分及び徐放性部分は、別々に配合され(formulated)、次いで前記最終投与形態に組み合わされてもよい。例えば、前記徐放性部分は、前記酸性化されたポリマーマトリックス及び活性成分を含有する複数の個々の顆粒状粒子から形成することができる。同様に、前記迅速放出部分は、その有効成分を含有する複数の個々の顆粒状粒子から形成することができる。バレリアン及び/又はメラトニンが前記迅速放出部分に含まれる場合、前記迅速放出部分はまた、酸性化されたポリマーマトリックスを包含し得る。
【0080】
前記投与形態を調製する場合、メラトニンが含まれる場合、前記バレリアン及び/又はメラトニンを可溶化するのを助けるための可溶化剤を包含することが望ましい場合がある。可溶化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)系界面活性剤を包含するが、これに限定されない。PEGの分子量は、前記組成物の所望の特性を提供するように選択することができる。ある可溶化剤は、前記投与形態のすべての実施形態において必要とされない場合がある。
【0081】
従来の加工助剤は投与形態を調製するのに使用することができる。加工助剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、及びラウリル硫酸ナトリウムを包含するが、これらに限定されない。
【0082】
前記投与形態は、医薬的に許容可能な充填剤を包含し得る。充填剤の例は、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプン及び粉末糖を包含するが、これらに限定されない。
【0083】
前記投与形態は、医薬的に許容可能な結合剤を包含し得る。結合剤の例は、セルロース系及びポビドン結合剤、例えば微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びクロスポビドンなど、を包含するが、これらに限定されない。
【0084】
前記投与形態は、嚥下を助け、前記成分の味をマスキングし、外観を改善し、前記投与形態を水分から保護し、及び/又は腸溶性コーティングを有するようにコーティングすることができる。前記コーティングは、従来のコーティング技術、例えばスプレーコーティング、ベッドコーティングなど、を用いて適用することができる。
【0085】
前記投与形態は、前記活性成分が胃の中に放出されるのを実質的に防止するために、腸溶コーティングでコーティングされてもよい。腸溶コーティング材料の例は、セラック、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、エチルセルロース/アルギン酸ナトリウム、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、又はメタクリル酸系ポリマーもしくはコポリマー、例えばメタクリル酸-エチルアクリレートコポリマーなど、を包含する。
【0086】
前記投与形態は、シールコーティングでコーティングすることができる。シールコーティング材料の例は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、及びポリビニルアルコールを包含するが、これらに限定されない。前記シールコーティングの特定の例は、HPMC及びポリエチレングリコールを含有するOPADRY Clearである。
【0087】
バレリアンは悪臭と味の両方を持っていると報告されている。所望であれば、前記投与形態は、味及び/又は匂いマスキングコーティングを包含し得る。
【0088】
また、バレリアンは揮発性成分を含有し、前記揮発性成分は蒸発して貯蔵中に前記投与形態を残すことがある。これらの成分の蒸発を最小限に抑えるために、前記コアの上に蒸発防止コーティングを施すことができる。そのような蒸発防止コーティングの一例は、ゼラチンコーティングである。場合によっては、酸処理骨ゼラチンがゼラチンの望ましい供給源であり得る。
【0089】
分散剤の例は、コポリマー系、例えばポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)、ポリエチレングリコール-ポリヒドロキシ酪酸(PEG-PHB)、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアルコール(PVP-PVA)、及び誘導体化コポリマー、例えばN-ビニルプリンもしくはピリミジン誘導体とN-ビニルピロリドンとのコポリマーなど、を包含するが、これらに限定されない。
【0090】
次に、前記バレリアンプロダクトのいくつかの特定の例を説明する。しかしながら、可能な実施形態の範囲はこれらの例に限定されない。これらの実施例は、前記投与形態に対する特定成分の重量%(%w/w)として示される。コーティングが前記投与形態の上に置かれる場合、前記%w/wはプレコーティング%w/wである。以下に列挙する%w/wの前記成分の任意の組み合わせを使用することができる。
【0091】
バレリアンは、10%~50%w/w、15%~45%w/w、15%~40%w/w、15%~35%w/w、15%~25%w/w、18%~24%w/w、又は20%~22%w/wであり得る。
【0092】
前記ポリマー賦形剤は、0.5%~20%w/w、1%~20%w/w、1%~15%w/w、1%~7%w/w、1%~5%w/w、2%~6%w/w、又は2%~4%w/wであり得る。
【0093】
前記酸性化剤は、0.5%~20%w/w、1%~20%w/w、1%~15%w/w、5%~15%w/w、2%~10%w/w、7%~15%w/w、6%~10%w/w、又は7%~9%w/wであり得る。
【0094】
前記結合剤は、0.5%~20%w/w、2%~15%w/w、9%~33%w/w、10%~20%w/w、12%~20%w/w、12%~18%w/w、又は15%~17%w/wであり得る。
【0095】
メラトニンは、0.1%~5%w/w、0.1%~2%w/w、0.1%~1%w/w、又は0.2%~0.7%w/wであり得る。
【0096】
前記鎮痛成分は、15%~60%w/w、15%~50%w/w、20%~60%w/w、20%~55%w/w、25%~35%w/w、又は26%~30%w/wであり得る。
【0097】
前記バレリアンプロダクトの第1の例は、約15%~約45%w/wのバレリアン;約1%~約15%w/wの酸性化剤;約1%~約15%w/wのヒドロゲル形成ポリマー;及び約10%~約20%の結合剤;を包含する。
【0098】
前記バレリアンプロダクトの第2の例は、メラトニンを含有し、且つ、約15%~約45%w/wのバレリアン;約0.1%~約2%w/wのメラトニン;約1%~約15%w/wの酸性化剤;約1%~約15%w/wのヒドロゲル形成ポリマー;及び約10%~約20%の結合剤;を包含する。
【0099】
前記バレリアンプロダクトの第3の例は、メラトニン及びサリシン源を含有し、且つ、約15%~約45%のバレリアン;約0.1%~約2%w/wのメラトニン;約20%w/w~約55%w/wのサリシン源;約1%~約15%w/wの酸性化剤;約1%~約15%w/wのヒドロゲル形成ポリマー;及び約10%~約20%の結合剤;を包含する。
【0100】
第4の実施例では、前記バレリアンプロダクトは、約1~約5、又は約1~約4.4のpHを有する第1の酸性化されたポリマーマトリックス内に分散されたバレリアン包含するソリッドコアを有する医薬投与形態を包含する。前記投与形態の迅速放出部分は、前記投与形態中の前記バレリアンの5%~50%を包含する。前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に、その中の前記バレリアンの実質的に全てを放出するのに有効である。前記投与形態の徐放性部分は、前記医薬投与形態中のバレリアンの残部を包含し、前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記GABA受容体アゴニスト成分の実質的に全てを放出するのに有効である。
【0101】
第5の例では、前記バレリアンプロダクトは、約1~約5又は約1~約4.4のpHを有する第1の酸性化されたポリマーマトリックス内に分散されたバレリアンとメラトニンとの組み合わせを包含するソリッドコアを有する医薬投与形態を包含する。前記投与形態の迅速放出部分は、前記投与形態中の前記バレリアン及び前記メラトニンの5%~50%を包含する。前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に、その中の前記バレリアン及びメラトニンの実質的にすべてを放出するのに有効である。前記投与形態の徐放性部分は、前記投与形態中の前記バレリアン及びメラトニンの残部を包含する。前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内にその中の前記バレリアン及びメラトニンの実質的に全てを放出するのに有効である。
【0102】
以下の特徴は、前記第5の実施例又は前記実施例の他のいずれかに含まれていてもよいです。
【0103】
前記徐放性部分は、その中に前記医薬投与形態で前記バレリアンの残部を持っている個々の顆粒を複数包含することができる。
【0104】
前記組成物は、前記迅速放出部分中に鎮痛成分をさらに包含し得る。
【0105】
前記医薬投与形態は、圧縮錠剤、カプセル、及び多粒子を含有する経口投与形態のうち少なくとも1つであってもよい。
【0106】
前記迅速放出部分において、前記医薬投与形態中の前記GABA受容体アゴニスト成分の前記5%~50%が約1~約5又は約1~約4.4のpHを有する第2の酸性化されたポリマーマトリックス内に配置されてもよい。
【0107】
第6の例において、前記バレリアンプロダクトは、鎮痛成分及びバレリアンを包含するソリッドコアを有する医薬投与形態を包含する。前記バレリアンは、約1~約5又は約1~約4.4のpHを有する第1の酸性化されたポリマーマトリックス内に分散される。前記投与形態の迅速放出部分は、前記投与形態における前記鎮痛成分及びバレリアンの5%~50%を含む。前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に、前記鎮痛成分及びバレリアンの実質的に全てを放出するのに有効である。前記投与形態の徐放性部分は、前記投与形態中の前記鎮痛成分及びバレリアンの残部を包含する。前記徐放性部分は、6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内に、前記鎮痛成分及びバレリアンの実質的に全てを放出するのに有効である。
【0108】
以下の特徴は、前記第6の実施例又は任意の他の実施例に含まれてもよい。
【0109】
前記徐放性部分は、その中に前記医薬投与形態で前記バレリアンの残部を持っている個々の顆粒を複数包含することができる。
【0110】
前記組成物は、前記酸性化されたポリマーマトリックス中にメラトニンをさらに包含することができる。
【0111】
前記鎮痛成分は、サリシン源を包含することができる。前記サリシン源は、少なくとも約75%のサリシンであるセイヨウシロヤナギの樹皮抽出物であってもよい。
【0112】
前記医薬投与形態は、圧縮錠剤、カプセル、及び多粒子を含有する経口投与形態のうち少なくとも1つであってもよい。
【0113】
前記迅速放出部分において、前記投与形態中の前記鎮痛成分の前記5~50%は、約1~約5、又は約1から約4.4のpHを有する第2の酸性化されたポリマーマトリックス内に配置されてもよい。
【0114】
第7の例では、前記バレリアンプロダクトは、鎮痛成分、バレリアン、及びメラトニンを包含するソリッドコアを有する医薬投与形態を包含する。前記バレリアン及びメラトニンは、約1~約5又は約1~約4.4のpHを有する第1の酸性化されたポリマーマトリックス内に分散される。前記投与形態の迅速放出部分は、前記投与形態における前記鎮痛成分、メラトニン及びバレリアンの5%~50%を包含する。前記迅速放出部分は、0.1N HCl溶液中に置いてから約2時間以内に、その中に前記鎮痛成分、メラトニン、及びバレリアンの実質的にすべてを放出するのに有効である。前記投与形態の徐放性部分は、前記投与形態中の前記鎮痛成分、メラトニン、及びバレリアンの残部を包含する。前記徐放性部分は6.8のpHを有するリン酸緩衝液中に置いてから約10時間以内に、その中に前記鎮痛成分、メラトニン、及びバレリアンの実質的にすべてを放出するのに有効である。
【0115】
以下の特徴は第7の実施例又は任意の他の実施例に含まれてもよい。
【0116】
前記鎮痛成分は、サリシン源、例えば少なくとも約75%サリシンであるセイヨウシロナギ樹皮抽出物、であってもよい。
【0117】
前記医薬投与形態は、圧縮錠剤、カプセル、及び多粒子を含有する経口投与形態のうち少なくとも1つであってもよい。
【0118】
前記迅速放出部分において、前記投与形態中の前記バレリアンとメラトニンの前記5%~50%は、約1~約5又は約1~約4.4のpHを有する第2の酸性化されたポリマーマトリックス内に配置されている。
【0119】
前記徐放性部分は、その中に前記医薬投与形態で前記バレリアンとメラトニンの残部を持っている個々の顆粒を複数包含することができる。
【0120】
前記例示的な組成物のいずれかは、前記患者への前記組成物の有効量を投与することにより、それを必要とする患者を治療する方法で使用することができる。
【0121】
上述した形態のいずれかにおける前記バレリアンプロダクトは、1つ以上の症状、例えば疼痛、不眠、不安、メラトニン欠損症、睡眠障害、及び/又は概日リズム障害など、を治療するために使用されてもよい。
【0122】
治療を必要とする患者は、前記患者に上述のバレリアンプロダクトの少なくとも1つを投与することによって治療することができる。前記プロダクトは経口投与することができる。前記患者は、ヒト又は動物の患者であり得る。
【0123】
メラトニン及びサリシン源と組み合わせてバレリアンを含有する前記プロダクトは、複数の症状を治療するために特に有用である。例えば、痛みを経験している人は睡眠に問題があるかもしれない。前記コンビネーションプロダクトは、痛みを軽減することができ、且つ、人が眠るのを助けることができる。
【実施例0124】
このセクションでは、前記組成物のいくつかの特定の例を記載している。これらの実施例は、単なる例示として提示され、可能な実施形態の範囲を限定するものではない。
【0125】
実施例1
この実施例では、前記バレリアンプロダクトは、2つの部分からなる投与形態として調製される。前記投与形態は、迅速放出部分及び徐放部分を包含する。前記バレリアンプロダクトの内容が表2において要約される。SRは、当該成分が前記徐放性部分(sustained release portion)の一部であることを示す。ERは、当該成分が前記迅速放出部分(expedited release portion)の一部であることを示す。
表2 投与形態の内容
【表2】
【0126】
前記徐放性部分は、噴霧造粒プロセス、例えばトップスプレー又はタンジェンシャルスプレー流動床造粒プロセス、によって調製されます。このプロセスでは、前記バレリアン根抽出物、メラトニン及びPHARMACOAT(登録商標)615ヒプロメロースを含有する顆粒を調製される。前記顆粒のpHは3.3~5である。微結晶セルロース(MCC)、METHOCEL(登録商標)K4Mヒプロメロース及び二酸化ケイ素は、顆粒の外部にある。
【0127】
前記徐放性部分において、顆粒内ヒプロメロースは、前記ポリマーマトリックスを提供し、且つ、また前記メラトニン及びバレリアン根抽出物の酸化分解を防止するために、水分及び酸素バリアとしても機能する。
【0128】
前記迅速放出部分は、経口摂取後約1(one)以内に前記バレリアン根抽出物及びメラトニンの約10%~約25%を、及び経口摂取後続く5~7時間にわたって後には残りのメラトニン及びバレリアンを放出するように設計される。
【0129】
前記迅速放出部分は、前記98%サリシンセイヨウシロヤナギ樹皮抽出物、ケイ素化MCC及びステアリン酸マグネシウムを組み合わせることによって調製される。前記迅速放出部分は、経口摂取後約30分~1時間を要することなく(without)、前記セイヨウシロヤナギ樹皮抽出物の実質的にすべてを放出するように設計されている。
【0130】
前記迅速放出及び徐放性部分は、二層錠剤中に一緒に圧縮されるか、又は2つの小さな錠剤を形成するために個々に圧縮される。前記錠剤は、さらなる安定性の保護のため、及び嚥下を助けるために、ヒプロメロース又はポリビニルピロリドンで仕上げ被覆される。
【0131】
実施例2
前記迅速放出部分が、前記バレリアン根抽出物、PHARMACOAT(登録商標)615ヒプロメロース、及びクエン酸を包含する顆粒を包含することを除いて、この例におけるプロダクトは実施例1のものと同様である。このバレリアンプロダクトの内容が表3に要約される。
【0132】
【0133】
実施例1における前記プロダクトと比較すると、このバレリアンプロダクトは、前記迅速放出部に前記バレリアン投与量の半分をシフトさせる。
【0134】
前記迅速放出部分は、経口摂取後約30分~1時間以内に、その中に、前記セイヨウシロヤナギ樹皮抽出物及びバレリアン根抽出物の実質的にすべてを放出するように設計されている。
【0135】
実施例3
この実施例のプロダクトは、徐放性層と迅速放出層とを包含する二層錠剤投与形態の特定の一例である。前記バレリアンプロダクトの内容が表4に要約される。
表4. 投与形態の内容
【表4】
【0136】
表4の右端のカラムは、表4中の前記成分のそれぞれについて可能な範囲のいくつかの例を提供する。
【0137】
実施例4
この実施例のプロダクトは、前記コアの上のゼラチンサブコートと、前記サブコートの上の仕上げコートとを有するバレリアン含有錠剤である。前記バレリアン及びクエン酸は、前記錠剤中の顆粒内にある。前記バレリアンプロダクトの内容が表5に要約される。
表5. 投与形態の内容
【表5】
【0138】
表5の右端のカラムは、表5中の前記成分のそれぞれについて可能な範囲のいくつかの例を提供する。
【0139】
実施例5
この例におけるプロダクトは、前記コアの上のゼラチンサブコートと、前記サブコートの上の仕上げコートとを有するバレリアン含有二層錠剤である。前記バレリアン及び前記クエン酸は、前記錠剤中の顆粒内にある。前記バレリアン及び前記クエン酸はまた、前記迅速放出層及び前記徐放性層の両方に存在する。前記バレリアンプロダクトの内容が表6に要約される。
表6. 投与形態の内容
【表6】
【0140】
表6の右端のカラムは、表6中の前記成分のそれぞれについて可能な範囲のいくつかの例を提供する。
【0141】
本開示は例示的実施形態を説明したが、バレリアンプロダクト又は関連する方法の全てではない。特定の実施形態の文脈において特定の特徴が開示されている場合、その特徴は、可能な限り、他の実施形態と組み合わせて、及び/又は他の実施形態との関連で使用することもできる。バレリアンプロダクト及び関連する方法は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。