(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116272
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】T1DM及び膵島炎の治療に使用するための抗CD40抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220802BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220802BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220802BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220802BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P3/10
C07K16/28
C12P21/08
C12N15/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089946
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2020564868の分割
【原出願日】2020-05-06
(31)【優先権主張番号】62/844,960
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】エスピー,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドファイン,アリソン
(72)【発明者】
【氏名】マスマン,レイナー
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ,ジェイムズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】T1DMを治療するための方法、治療レジメン、使用、キット及び治療法を提供する。
【解決手段】ADCC活性が抑制された抗CD40抗体であって、治療有効量の前記抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、T1DMの治療に使用するためのものであり、負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、抗CD40抗体を提供する。前記負荷投薬は、静脈内注射を介して投与され、且つ前記維持投薬は、皮下注射を介して投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ADCC活性が抑制された抗CD40抗体であって、治療有効量の前記抗体を、それを
必要とする患者に投与することを含む、T1DMの治療に使用するためのものであり、負
荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又
は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、抗CD40抗体。
【請求項2】
前記負荷投薬は、静脈内注射を介して投与され、且つ前記維持投薬は、皮下注射を介し
て投与される、請求項1に記載の使用のための抗体。
【請求項3】
負荷用量は、前記患者の1キログラムあたり約3mg~約60mgの抗体である、請求
項1又は2に記載の使用のための抗体。
【請求項4】
前記患者は、小児患者である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための抗体
。
【請求項5】
前記負荷用量は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgであり、且つ維持用量は
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される、
請求項4に記載の使用のための抗体。
【請求項6】
前記維持用量は、
a.20kg~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30kg~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;
及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量として皮下投与される、請求項
5に記載の使用のための抗体。
【請求項7】
a.前記体重カテゴリーIの患者は、0.9mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなり;及び
b.前記体重カテゴリーIIの患者は、1.3mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなるか;又は
c.前記体重カテゴリーIIIの患者は、2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形
式で各維持用量を受けることとなる、請求項6に記載の使用のための抗体。
【請求項8】
前記治療は、第1日後、52週まで継続される、請求項1~7のいずれか一項に記載の
使用のための抗体。
【請求項9】
前記患者の年齢範囲は、6~21歳である、請求項4~8のいずれか一項に記載の使用
のための抗体。
【請求項10】
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項11】
配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号1
1の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項10に記載の
使用のための抗体。
【請求項12】
CFZ533である、請求項10又は11に記載の使用のための抗体。
【請求項13】
治療有効量の、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための抗体と、1種以上
の薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項14】
ヒト対象におけるT1DMを治療する方法であって、治療有効用量の、ADCC活性が
抑制された抗CD40抗体を前記対象に投与することを含み、前記抗体は、負荷投薬、そ
れに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又は皮下若し
くは静脈内の組み合わせである、方法。
【請求項15】
前記負荷投薬は、第1の用量の静脈内注射を介して投与され、且つ前記維持投薬は、第
1の用量と異なる第2の用量の皮下注射を介して投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
負荷用量は、前記患者の1キログラムあたり約3mg~約60mgの抗体である、請求
項15に記載の方法。
【請求項17】
前記患者は、小児患者である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記負荷用量は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgであり、且つ維持用量は
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記維持用量は、
a.20~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量として皮下投与される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
a.前記体重カテゴリーIの患者は、0.9mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなり;及び
b.前記体重カテゴリーIIの患者は、1.3mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなるか;又は
c.前記体重カテゴリーIIIの患者は、2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形
式で各維持用量を受けることとなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治療は、第1日後、52週までにわたって継続される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の年齢範囲は、6~21歳である、請求項17~21のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項23】
前記抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又
は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項
23に記載の治療方法。
【請求項25】
前記抗体は、CFZ533である、請求項23又は24に記載の治療方法。
【請求項26】
前記患者は、T1DMの診断後、100日以内に治療される、請求項1~25のいずれ
か一項に記載の使用のための抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CFZ533などの抗CD40抗体を用いることによってT1DM又は膵島
炎を治療するための方法、治療レジメン、使用、キット及び治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリン補充は、命を救い、1型糖尿病(T1DM)の症状を治療するが、疾患進行
を変化させることはない。世界中で毎年およそ132,600人の子供及び青年がT1D
Mを発症し(Cho et al 2018)、有病率は、上昇しており、1年あたり3
%の増加であると推定される。欧州におけるT1DMを有する子供の数は、2010年か
ら2050年までに3倍になると推定される(Imperatore et al 20
12)。新規発症T1DMは、いずれの年齢でも起こり得るが、発生率のピークは、5歳
~15歳の年齢に存在する。平均余命は、一般集団と比較して平均で12歳低下する(S
ecrest et al 2010)。長期の微小血管及び大血管合併症は、T1DM
患者、その家族及び社会にとっての負担であり続ける(Secrest et al 2
010)。
【0003】
最初の年にわたるT1DM疾患発症及び進行は、成人患者に対して小児患者で際立って
侵襲性である。新規発症T1DMを有する小児患者は、成人と比較した場合、より低い疾
患発症時の残存するβ細胞機能及び最初の年にわたる残存するβ細胞機能のより迅速な低
下を呈する(Greenbaum et al 2012)。新規発症T1DMを有する
小児患者は、無作為化された対照試験において、リツキシマブ及びテプリズマブなどの免
疫調節介入に対してより応答性が高いように見える(Woittiez and Roe
p 2015)。しかし、T1DMの標準治療の技術的及び臨床的進歩にもかかわらず、
患者、特に小児患者の大多数は、治療(例えば、血糖)目標を達成していない(Mill
er et al 2015)。残存するβ細胞機能を維持する治療法は、血糖コントロ
ールを向上させ、且つT1DMに伴う重篤な短期及び長期合併症を回避する可能性を有す
るが、特に小児患者における、疾患進行を変化させるT1DMの免疫調節介入に基づく満
足のいく治療は、利用可能ではない。したがって、T1DMの効率的な治療の発展、特に
小児患者の治療の必要性が存在する。
【0004】
CFZ533は、ヒトCD40に対して誘導されるヒトモノクローナル抗体である。こ
れは、IgG1アイソタイプサブクラスに属し、FcγR結合並びにADCC及びCDC
のような関連するエフェクター機能を無効にするFc-サイレンシング変異(N297A
)を含む。CFZ533は、米国特許第8828396号明細書及び米国特許第9221
913号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ADCC活性が抑制された(silenced)ヒト抗CD40モノクローナル抗体は、T1D
M及び膵島炎の治療に好適であることが本発明者らによって想定される。特に、抗体CF
Z533は、T1DM及び膵島炎の治療のための新規の治療モダリティにおいて特に有用
であると考えられている。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体であって、治
療有効量の前記抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、T1DMの治療に
使用するためのものであり、負荷投薬(loading dosing)、それに続く維持投薬(mainte
nance dosing)によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又は皮下若しく
は静脈内の組み合わせである、抗CD40抗体が提供される。
【0007】
別の実施形態では、本開示の第1の態様による使用のための抗体は、静脈内注射を介し
て投与される負荷投薬を使用して、且つ皮下注射を介して投与される維持投薬を使用して
提供される。
【0008】
一実施形態では、本開示の第1の態様による使用のための抗体は、第1の用量として静
脈内注射を介して投与される負荷投薬を使用して、且つ第1の用量と異なる第2の用量と
して皮下注射を介して投与される維持投薬を使用して提供される。
【0009】
本開示の一実施形態では、本開示の第1の態様による使用のための抗体は、患者の1キ
ログラムあたり約3mg~約60mgの抗体の負荷用量を使用して投与される。
【0010】
本開示の一実施形態では、本開示の第1の態様による使用のための抗体は、患者の1キ
ログラムあたり約10mg~約30mgの抗体の負荷用量を使用して投与される。
【0011】
別の実施形態では、本開示の第1の態様による使用のための抗体は、小児患者に投与さ
れる。
【0012】
追加の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgの負荷用量を使用して、
且つ第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される
維持用量を使用して投与される。
【0013】
追加の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、
a.20kg~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30kg~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;
及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量として皮下投与される維持投与
を使用して投与される。
【0014】
一実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用の
ための維持用量の抗体は、
a)0.9mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーI;及び
b)1.3mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーII;又は
c)2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式において、体重カテゴリーIII
の患者に投与される。
【0015】
追加の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、第1日後、52週まで持続する治療に使用される。
【0016】
追加の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、6~21歳の範囲の年齢の患者に投与される。
【0017】
一実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用の
ための抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される。
【0018】
追加の一実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる
使用のための抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配
列;又は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0019】
追加の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、CFZ533である。
【0020】
別の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用
のための抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に前記患者に投与
される。別の実施形態では、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態のいずれかによ
る使用のための抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に、ただし
診断後2週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【0021】
本開示の第2の態様は、治療有効量の、本開示の第1の態様の上に記載した実施形態の
いずれかによる使用のための抗体と、1種以上の薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組
成物に関する。
【0022】
本開示の第3の態様では、ヒト対象におけるT1DMを治療する方法であって、治療有
効用量の、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体を前記対象に投与することを含み、
前記抗体は、負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若
しくは静脈内又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、方法が提供される。
【0023】
追加の実施形態では、本開示の第3の態様による方法は、静脈内注射を介して投与され
る第1の用量の抗CD40抗体の負荷投薬と、皮下注射を介して投与される第2の用量で
あって、第1の用量と異なる第2の用量の抗CD40抗体の維持投薬とを含む。
【0024】
一実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法は
、患者の1キログラムあたり約3mg~約30mgの抗体の負荷用量の抗CD40抗体を
含む。
【0025】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかの方法に従
って治療される患者は、小児患者である。
【0026】
追加の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgの負荷用量の抗CD40抗体の投与と
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される維
持用量の抗CD40抗体の投与とを含む。
【0027】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
は、
a.20~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量としての維持用量の抗CD40
抗体の皮下投与を含む。
【0028】
追加の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法は、
a)0.9mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーI;及び
b)1.3mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーII;又は
c)2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式において、体重カテゴリーIII
の患者への抗CD40抗体の投与を含む。
【0029】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
は、第1日後、52週までにわたる抗CD40抗体での患者の治療を含む。
【0030】
一実施形態では、第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法を使用して
治療される患者の年齢範囲は、6~21歳である。
【0031】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
において使用される抗CD40抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される。
【0032】
追加の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法において使用される抗CD40抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号1
0の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖ア
ミノ酸配列を含む。
【0033】
一実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法に
おいて使用される抗CD40抗体は、CFZ533である。
【0034】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
において使用される抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に前記
患者に投与される。
【0035】
別の実施形態では、本開示の第3の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用
のための抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に、ただし診断後
2週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【0036】
本開示の第4の態様は、T1DMの治療のための医薬品の製造のための、ADCC活性
が抑制された抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用
に関し、ここで、抗CD40抗体は、
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免
疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される
高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8の
アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗
CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗C
D40抗体;
v.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体、及
び
vi.CFZ533
からなる群から選択される。
【0037】
追加の実施形態では、本開示の第4の態様は、T1DMの治療のための医薬品の製造の
ための、抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用に関
し、ここで、抗CD40抗体は、
a.第1の負荷投薬で静脈内投与されることとなり;及び
b.その後、第2の維持投薬レジメンで皮下投与されることとなり、
ここで、前記抗CD40抗体は、
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免
疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される
高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8の
アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗
CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗C
D40抗体;
v.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体、及
び
vi.CFZ533
からなる群から選択される。
【0038】
別の実施形態では、本開示の第4の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる医薬
品の製造において使用される抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以
内に前記患者に第1の負荷用量で投与される。
【0039】
別の実施形態では、本開示の第4の態様の上に記載した実施形態による医薬品の製造に
おいて使用される抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に、ただ
し診断後2週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【0040】
第5の態様では、本開示は、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体であって、治療
有効量の前記抗体を、それを必要とする患者に投与することを含む、膵島炎の治療に使用
するためのものであり、負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路
は、皮下若しくは静脈内又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、抗CD40抗体に
関する。
【0041】
一実施形態では、本開示の第5の態様による使用のための抗体は、第1の用量として静
脈内注射を介して投与される負荷投薬を使用して、且つ第1の用量と異なる第2の用量と
して皮下注射を介して投与される維持投薬を使用して提供される。
【0042】
本開示の一実施形態では、本開示の第5の態様による使用のための抗体は、患者の1キ
ログラムあたり約3mg~約60mgの抗体の負荷用量を使用して投与される。
【0043】
本開示の一実施形態では、本開示の第5の態様による使用のための抗体は、患者の1キ
ログラムあたり約10mg~約30mgの抗体の負荷用量を使用して投与される。
【0044】
別の実施形態では、本開示の第5の態様による使用のための抗体は、小児患者に投与さ
れる。
【0045】
追加の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgの負荷用量を使用して、
且つ第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される
維持用量を使用して投与される。
【0046】
追加の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、
a.20kg~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30kg~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;
及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量として皮下投与される維持投与
を使用して投与される。
【0047】
一実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用の
ための維持用量の抗体は、
a)0.9mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーI;及び
b)1.3mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーII;又は
c)2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式において、体重カテゴリーIII
の患者に投与される。
【0048】
追加の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための維持用量の抗体は、第1日後、52週まで持続する治療に使用される。
【0049】
追加の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、6~21歳の範囲の年齢の患者に投与される。
【0050】
一実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用の
ための抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される。
【0051】
追加の一実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる
使用のための抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配
列;又は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0052】
追加の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使
用のための抗体は、CFZ533である。
【0053】
別の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用
のための抗体は、患者における膵島炎の診断後、最初の100日以内に前記患者に投与さ
れる。
【0054】
別の実施形態では、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる使用の
ための抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に、ただし診断後2
週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【0055】
本開示の第6の態様は、治療有効量の、本開示の第5の態様の上に記載した実施形態の
いずれかによる使用のための抗体と、1種以上の薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組
成物に関する。
【0056】
本開示の第7の態様では、ヒト対象における膵島炎を治療する方法であって、治療有効
用量の、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体を前記対象に投与することを含み、前
記抗体は、負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若し
くは静脈内又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、方法が提供される。
【0057】
追加の実施形態では、本開示の第7の態様による方法は、静脈内注射を介して投与され
る第1の用量の抗CD40抗体の負荷投薬と、皮下注射を介して投与される第2の用量で
あって、第1の用量と異なる第2の用量の抗CD40抗体の維持投薬とを含む。
【0058】
一実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法は
、患者の1キログラムあたり約3mg~約60mg(抗体)の負荷用量の抗CD40抗体
を含む。
【0059】
一実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法は
、患者の1キログラムあたり約10mg~約30mg(抗体)の負荷用量の抗CD40抗
体を含む。
【0060】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかの方法に従
って治療される患者は、小児患者である。
【0061】
追加の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgの負荷用量の抗CD40抗体の投与と
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される維
持用量の抗CD40抗体の投与とを含む。
【0062】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
は、
a.20~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量としての維持用量の抗CD40
抗体の皮下投与を含む。
【0063】
追加の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法は、
a)0.9mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーI;及び
b)1.3mlの単回注射の形式において、体重カテゴリーII;又は
c)2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式において、体重カテゴリーIII
の患者への抗CD40抗体の投与を含む。
【0064】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
は、第1日後、52週までにわたる抗CD40抗体での患者の治療を含む。
【0065】
一実施形態では、第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法を使用して
治療される患者の年齢範囲は、6~21歳である。
【0066】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
において使用される抗CD40抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される。
【0067】
追加の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方
法において使用される抗CD40抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号1
0の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖ア
ミノ酸配列を含む。
【0068】
一実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法に
おいて使用される抗CD40抗体は、CFZ533である。
【0069】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
において使用される抗体は、患者における膵島炎の診断後、最初の100日以内に前記患
者に投与される。
【0070】
別の実施形態では、本開示の第7の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる方法
において使用される抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以内に、た
だし診断後2週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【0071】
本開示の第8の態様は、膵島炎の治療のための医薬品の製造のための、ADCC活性が
抑制された抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用に
関し、ここで、抗CD40抗体は、
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免
疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される
高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8の
アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗
CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗C
D40抗体;及び
v.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される。
【0072】
追加の実施形態では、本開示の第8の態様は、膵島炎の治療のための医薬品の製造のた
めの、抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用に関し
、ここで、抗CD40抗体は、
a.第1の負荷投薬で静脈内投与されることとなり;及び
b.その後、第2の維持投薬レジメンで皮下投与されることとなり、
ここで、前記抗CD40抗体は、
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免
疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される
高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8の
アミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗
CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗C
D40抗体;及び
v.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される。
【0073】
別の実施形態では、本開示の第8の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる医薬
品の製造において使用される抗体は、患者における膵島炎の診断後、最初の100日以内
に前記患者に第1の負荷用量で投与される。
【0074】
別の実施形態では、本開示の第8の態様の上に記載した実施形態のいずれかによる医薬
品の製造において使用される抗体は、患者におけるT1DMの診断後、最初の100日以
内に、ただし診断後2週(14日)経過してから前記患者に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】T1DM患者におけるCFZ533についての概念実証研究(CCFZ533X2207)の第1の及び第2のコホートの研究デザインの概略図である。
【
図2】体重(BW)カテゴリーI(≧20~<30kg)、カテゴリーII(≧30~<50kg)及びカテゴリーIII(≧50kg)における、体重カテゴリーごとの予測されるCFZ533血漿中濃度、予測されるPKプロフィールである。各カテゴリーにおいて、体重は、満遍なく標本抽出した。赤い線は、母集団予測値(個別予測値の中央値)であり、影付きの領域は、母集団の90%(個別予測値に対する5及び95パーセンタイル)を網羅する。T1DM患者におけるCFZ533の皮下バイオアベイラビリティは、健康なボランティア~のPKデータ(CCFZ533X2101)を使用して推定した。
【
図3】CFZ533を用いる進行中の又は完了した臨床研究において観察されたCFZ533トラフ濃度と比較した、体重カテゴリーIIIにおけるT1DM対象についての予測される定常状態トラフ血漿中CFZ533濃度(同様のCFZ533血漿Cトラフ,ss値は、3つすべてのカテゴリーについて予測される)を示すグラフである。体重(BW)カテゴリーIIIにおけるT1DM患者/対象についての予測されるトラフ定常状態血漿中CFZ533濃度(Cトラフ,ss)(222μg/mLの中央値;140~344μg/mL 集団の90%;体重カテゴリーI及びIIについての予測される同様のCトラフ,ss値)を、進行中の(予備的なデータ)又は完了した臨床試験からの観察された(及び平均)トラフ濃度と共に示す。(i)重症筋無力症患者における研究CCFZ533X2204(IV)における第141日でのCトラフ、(ii)及び(iii)グレーブス病患者における研究CCFZ533X2205(IV)におけるそれぞれ第29日及び第85日でのCトラフ、(iv)研究CCFZ533X2203-コホート2(IV)における第113日でのCトラフ、(v)及び(vi)原発性シェーグレン症候群患者における研究CCFZ533X2203-それぞれコホート3(第2群)(IV/SC)及びコホート3(第1群)(SC/SC)における第85日でのCトラフ、及び(vii)腎移植患者における研究CCFZ533X2201-パート2(IV)における第337日でのCトラフ。
【
図4】rCD154誘導性の経路活性化のインビトロCFZ533阻害を示すグラフである。
【
図5】インビトロでのCFZ533最小刺激活性を示すグラフである。
【
図6】CFZ533がインビトロで細胞枯渇を媒介しないことを示すグラフである。
【
図7】recCD154又はCFZ533による結合時のCD40受容体の内在化を示す、個々のRI-1 B細胞の代表的な画像である。
【
図8】非ヒト霊長類におけるCFZ533の薬物動態学的及び薬力学的(標的エンゲージメント;非B細胞枯渇)特性)を示すグラフである。
【
図9】
図9Aは、非ヒト霊長類におけるPK/PD及びワクチン接種研究の実験設計の概略図である。
図9Bは、抗KLH IgG及び血漿CFZ533濃度(薬物動態)を示すグラフである。
図9Cは、胚中心の組織学的分析の結果を示す。
【
図10】MR1での10週の治療後のNODマウスの実験結果;唾液腺におけるELSにおけるCD40の特徴及び唾液腺における三次リンパ組織の減少を示す。
【
図11】抗CD154での10週の治療後のNODマウスの実験結果;唾液腺におけるAQP-5陽性細胞の割合の増大を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
理論に拘泥されることは望まないが、本発明者らは、維持レジメン中のADCC活性が
抑制された抗CD40抗体(抗体依存性細胞介在性の細胞傷害性が抑制された抗体;Bo
rrok et al.,2017;例えばCFZ533抗体)の少なくとも40μg/
mLの血漿中濃度の持続が、原発性シェーグレン症候群患者などの自己免疫疾患を患う患
者における標的組織におけるCD40-CD40L経路を遮断するのに必要であることを
明らかにした(PCT/IB2018/058537号明細書、公開されていない)。
【0077】
CD40は、T1DM及び膵島炎における病因的役割を担い、CD40:CD154相
互作用又は活性を阻害することは、本発明者らにより、この障害のための有効な自己免疫
治療戦略であると予想される。T1DMは、病原となる自己反応性免疫細胞が膵島を侵し
、且つインスリン産生β細胞を損傷させる場合に発生する(Katsarou et a
l 2017)。膵島炎は、侵襲性疾患の代表的疾患であり、小児患者においてより高い
有病率を有する(Leete et al 2016)。
【0078】
CD40は、免疫及び非免疫細胞によって発現される腫瘍壊死因子受容体スーパーファ
ミリー内の膜貫通型糖タンパク質である。CD154、すなわちCD40に対するリガン
ドも広範に発現される(Peters et al 2009)。CD40:CD154
相互作用は、T依存性B細胞反応を媒介し、CD4+自己反応性Tリンパ球及びCD8+
細胞溶解性Tリンパ球のプライミング及び活性化にとって重要である。
【0079】
CD40は、抗原提示細胞(APC)活性化時に上方調節され、Bリンパ球などのCD
40+APCとナイーブTリンパ球との間の相互作用は、これらのリンパ球の表面上のC
D154の産生を誘発する。CD40シグナル伝達は、胸腺におけるT細胞選択の段階で
機能し、炎症性サイトカイン(これは、活性なTh17細胞へのT細胞分化にさらに影響
を与えることができる)の産生を亢進することもできる(Iezzi et al 20
09)。非臨床のデータは、自己反応性Tリンパ球における耐性不全、膵島炎及び糖尿病
の発生におけるCD40:CD154共刺激経路の役割を裏付ける(Price et
al 2014)。非肥満糖尿病(NOD)マウス、すなわち突発性の自己免疫性糖尿病
のモデルにおけるデータは、NODマウスにおける膵島炎及び糖尿病の開始におけるCD
40:CD154経路の原因的及び機能的役割を裏付ける(Balasa et al
1997;Eshima et al 2003、Vaitaitis et al 2
014、Vaitaitis et al 2017)。
【0080】
T1DMを有する患者における臨床データも疾患病因におけるCD40:CD154共
刺激経路の役割を裏付ける。新規発症T1DMを有する小児患者は、可溶型CD40(s
CD40)のレベルが2倍上昇している(Chatzigeorgiou et al
2010b)。1~6か月の診断からの疾患期間を有するT1DM患者は、最も高いレベ
ルのsCD40を呈する。新規発症T1DMを有する小児患者におけるsCD40のレベ
ル上昇は、HbA1c、高血糖並びに炎症マーカー、CRP、IL-6及びMMP-9と
正の関連を示す(Chatzigeorgiou et al 2010b、Chatz
igeorgiou et al 2010a)。合わせて、これらの知見は、抗体が、
本明細書に開示した治療及び投薬量レジメンに従って投与されることを条件として、CF
Z533のようなADCC活性が抑制された抗CD40モノクローナル抗体での介入に応
答する可能性がある、一般のT1DMにおける及び小児の新規発症T1DMにおけるCD
40:CD154経路の役割を指し示す。
【0081】
成人の患者と比較して、小児患者は、T1DM、糖尿病性ケトアシドーシス及び重度の
低血糖(インスリンの副作用)の急性合併症;及びこれらの合併症による死亡のリスクが
高い(Wherrett et al 2015)。小児患者は、慢性高血糖及び重度の
低血糖に起因する神経認知変化のリスクも高い(Wherrett et al 201
5)。T1DMを有する子供についての臨床転帰を改善するために、変形療法が緊急に必
要とされる。
【0082】
したがって、持続される且つ薬理学的に有効な血漿中濃度のADCC活性が抑制された
抗CD40抗体(例えば、CFZ533抗体)をもたらす、本明細書に開示した治療レジ
メンを適用することによるCD40-CD154活性化の遮断は、免疫介在性β細胞破壊
及び膵島炎を止め、残存するβ細胞機能の維持をもたらす可能性があることが本発明者ら
によって想定される。
【0083】
さらに、本明細書に開示した通りの、持続され且つ薬理学的に有効な血漿中濃度のAD
CC活性が抑制された抗CD40抗体(例えば、CFZ533抗体)の提供は、新規発症
T1DM及び/又は膵島炎を有する患者の治療に特に有効であり得ることが本発明者らに
よって想定される。
【0084】
したがって、ADCC活性が抑制された、CD40-CD154シグナル伝達を遮断す
ることが可能な任意の抗CD40抗体は、T1DM及び/又は膵島炎の治療に適している
可能性がある。
【0085】
また、CFZ533は、標的介在性の消失(これは、標的の代謝回転及び発現に関連す
る)にさらされ、且つT1DM患者は、体内で高いCD40発現を呈しているため、治療
の開始時により高い用量又はより高頻度のレジメンを必要とする、CD40レベルが亢進
されている状態では、これらの患者においてCD40受容体を十分に飽和させるために治
療の開始時に負荷レジメンが必要であろう。したがって、CD40受容体の迅速な飽和を
治療の開始時に提供する負荷投薬レジメン、それに続く少なくとも40μg/mLの血漿
中濃度の持続を、治療期間全体を通して提供する維持投薬レジメンが、罹患した組織にお
いてCD40発現が亢進されるであろう状況(状態の重症度)において治療効果のために
考慮される。ADCC活性が抑制された抗CD40抗体、例えばCFZ533での以前の
研究では、定常状態での観察される最大血漿中濃度は、約300~400μg/mL(コ
ホート3;研究NCT02291029;CCFZ533X2203)であり、感染症の
リスク増大を示唆する重大なシグナルは存在せずに概ね安全であり且つ良好な耐容性を示
した。血栓塞栓症は、観察されなかった。したがって、本明細書に開示した治療方法は、
特にT1DM及び/又は膵島炎の発症時の小児患者のための、T1DM及び/又は膵島炎
の効果的且つ安全な治療を初めて提供することが本発明者らによって想定される。
【0086】
適切な投薬量は、例えば、用いられることとなる個々の抗CD40抗体若しくはその抗
原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2若
しくはASKP1240)、患者の年齢及び体重、疾患の履歴(例えばT1DM疾患の発
症及び進行)及び治療される状態(例えば膵島炎)の性質及び重症度に応じて変わること
となる。最終的に、担当する医療提供者が、本明細書に記載した通りの薬理学的に有効な
血漿中濃度を実現するために、それぞれ個々の患者を治療する、ADCC活性が抑制され
た抗CD40抗体の量を決定することとなる。いくつかの実施形態では、担当する医療提
供者は、ADCC活性が抑制された低用量の抗CD40抗体を投与し、患者の反応を観察
することができる。他の実施形態では、患者に投与されるADCC活性が抑制された抗C
D40抗体の初回用量は高く、その後、再発の徴候が生じるまで下向きに用量調整される
。患者にとって最適な治療効果が得られるまで、より大きい用量の、ADCC活性が抑制
された抗CD40抗体を投与することができ、この投薬量は、一般にそれ以上増大させな
い。
【0087】
本開示の治療又は使用の想定される方法のいくつかを実施する際、ADCC活性が抑制
された治療有効量の抗CD40抗体(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも
呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)又はその抗原結合断片が、患者、例えば哺乳
類(例えば、ヒト)に投与される。
【0088】
典型的には、抗体又はタンパク質は、注射により、例えば静脈内、腹腔内又は皮下に投
与される。この投与を実行するための方法は、当業者に公知である。当業者によって理解
されるであろう通り、選択された特定の投与経路に対して適切であるような、投与するの
に適したあらゆる手段を使用することができる。
【0089】
可能な投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内(i.v.、I.V.若しくは
IV)、筋肉内、皮内、皮下(s.c.、S.C.若しくはSC)又は注入)、経口及び
肺内(例えば、吸入)、経鼻、経皮(局所)、経粘膜及び直腸内投与が挙げられる。非経
口、皮内又は皮下適用のために使用される液剤又は懸濁剤は、次の構成成分を含むことが
できる:無菌の希釈剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリ
コール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジル
アルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリ
ウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸、クエン酸又は
リン酸及び張度の調整のための薬剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは
、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用いて調整することができる。非経口調
製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は反復投与バイアルに
封入することができる。
【0090】
負荷投薬部分と維持投薬部分とに分けられた治療レジメンを有することの利点は、最適
な治療効果を可能にすることである。本明細書に記載したすべての治療レジメンについて
、負荷投薬の目的は、標的飽和(40μg/mLに近い血漿中濃度)、したがって治療効
果の開始を達成することであり、維持投薬の目的は、有効性を持続させることである。
【0091】
本明細書に記載した通りの抗CD40抗体療法は、抗体又はその抗原結合断片の負荷レ
ジメン又は負荷投薬を、抗CD40抗体療法を必要としている対象に投与することによっ
て開始することができる。「負荷用量」は、対象に1回又は数回投与される抗CD40抗
体又はその抗原結合断片の初回投薬を意図し、ここで、投与される抗体又はその抗原結合
断片の用量は、より高い投薬範囲(すなわち約10mg/kg~約60mg/kg、例え
ば約30mg/kg(静脈内)又は約600mg若しくは約300mg若しくは約150
mg(毎週、隔週、最大4週間))の範囲内にある。「負荷レジメン」は、単回投与又は
反復投与、例えば、単回又は反復静脈内注入として、又は疾患の重症度に応じて「負荷投
薬」レジメンにおいて組み合わせられる反復皮下投与として投与することができる。次い
で、「負荷レジメン」の施与後、1種以上の追加の治療有効用量の抗CD40抗体又はそ
の抗原結合断片を対象に投与する(維持投薬/レジメン)。その後の治療有効維持用量は
、例えば、毎週の投薬スケジュールに従って又は2週に1回(隔週)、若しくは3週に1
回、若しくは4週に1回投与することができる。こうした実施形態では、その後の治療有
効用量は、一般に、より低い投薬範囲(すなわち約0.3mg/kg~約30mg/kg
、例えば約10mg/kg、例えば10mg/kg(IV)又は毎週、隔週若しくは4週
ごとに皮下に投与される、約150mg、約300mg若しくは約600mg)の範囲内
にある。
【0092】
代わりに、いくつかの実施形態では、「負荷レジメン」後、その後の治療有効用量の抗
CD40抗体又はタンパク質が「維持スケジュール」に従って投与され、ここで、治療有
効用量の抗体又はタンパク質は、1週に1回又は1か月に1回投与され、ここで、この治
療を、最大6週、10週、3か月、4か月、5か月、6か月など、最大12か月又はそれ
を超えて継続することができる。
【0093】
投薬のタイミングは、一般に、「ベースライン」としても公知である、活性な化合物(
例えばmAb1)の第1の投与の日から測定される。しかし、異なる医療提供者は、異な
る命名規則を使用する。
【0094】
特に、第0週は、医療提供者によって第1週とみなされる可能性がある一方、第0日は
、医療提供者によって第1日とみなされる可能性がある。したがって、異なる医師は、同
じ投薬スケジュールを指すのに、例えば3週の間/第21日、3週の間/第22日、4週
の間/第21日、4週の間/第22日にある用量が与えられると称することとなる可能性
がある。一貫性を保つために、投薬の最初の週は、本明細書では、第0週とみなすことと
するのに対して、投薬の最初の日は、第1日とみなすこととする。しかし、この命名規則
は、単に一貫性を保つために使用され、制限的なものと解釈されるべきではない、すなわ
ち、医師がある特定の週を「第1週」と呼ぶか「第2週」と呼ぶかにかかわらず、毎週の
投薬は、抗CD40抗体、例えばmAb1の毎週の用量の提供であることが当業者によっ
て理解されるであろう。ある用量が厳密な時点で提供される必要はないことが理解される
であろう。例えば、およそ第29日の予定である用量は、これが適切な週に提供されるの
であれば、例えば第24日~第34日、例えば第30日に提供される可能性がある。
【0095】
したがって、T1DM又は膵島炎の治療に使用するための、ADCC活性が抑制された
抗CD40抗体は、異なる様式で、例えば負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与す
ることができ、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又は皮下若しくは静脈内の組み合わ
せである。一実施形態では、ADCC活性が抑制された負荷用量の抗CD40抗体は、静
脈内注射を介して投与され、維持投薬は、皮下注射を介して投与される。
【0096】
別の特定の実施形態では、静脈内に投与されるADCC活性が抑制された負荷用量の抗
CD40抗体は、第1の用量であり、皮下に投与される維持用量は、第1の用量と異なる
第2の用量である。
【0097】
開示した方法は、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体(例えば、mAb1/CF
Z533、mAb2、ASKP1240)を使用してT1DM及び/又は膵島炎患者の治
療を提供することが理解されるが、これは、患者が最終的にこうした抗CD40抗体で治
療されることとなる場合、この療法が必然的に単剤療法であることを排除しない。実際、
患者が、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体での治療について選択される場合、A
DCC活性が抑制された抗CD40抗体(例えば、mAb1/CFZ533、mAb2、
ASKP1240)は、本開示の方法に従って単独で又は他の薬剤及び治療法と組み合わ
せて投与することができる。
【0098】
ある種のT1DM又は膵島炎患者、例えば抗CD40抗体又はその抗原結合断片(例え
ば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240
)での治療に対して不十分な反応を呈する患者にとって、レジメン変更が適切であり得る
ことが理解されるであろう。したがって、本明細書に記載した薬理学的に有効な血漿中濃
度を達成するための投与(例えば、mAb1/CFZ533又はmAb2)は、毎週の投
薬よりも高頻度であり得る。
【0099】
いくらかの患者は、負荷レジメン(例えば、数週間の毎週投与[例えば、1~4週、例
えば第0、1、2及び/又は3週、例えば2週での投薬、第0及び1週での負荷投薬レジ
メン])、それに続く例えば第3又は4週で開始する維持レジメン(ここで、ADCC活
性が抑制された抗CD40抗体(例えば、mAb1/CFZ533、mAb2、ASKP
1240)は、毎週、隔週又は4週ごとに数週間投与することができる)から恩恵を受け
る可能性が高い。抗CD40抗体の本明細書に記載した特定の血漿中濃度を達成するため
に必要とされる投与経路(例えば皮下-対-静脈内)及び注射体積が投薬レジメンの適合
を必要とする可能性があることが理解される。
【0100】
例えば、mAb1/CFZ533又はmAb2にとって適切なレジメンは、毎週、数週
間[例えば、1~4週、例えば第0、1、2及び3週での投薬]、それに続く毎月の維持
レジメンであり得る。
【0101】
別の例では、mAb1/CFZ533又はmAb2にとって適切なレジメンは、毎週、
数週間(例えば、2~8週、例えば3週、例えば第0、1、2週での投薬)、それに続く
隔週の維持レジメンであり得る。
【0102】
投与(例えば、mAb1/CFZ533又はmAb2について)は、毎月の投薬よりも
低頻度、例えば6週おき、8週おき(2か月おき)、年4回(3か月おき)の投薬などで
あり得ることも理解されるであろう。
【0103】
ある種のT1DM又は膵島炎患者、例えば、CD40経路アンタゴニスト、例えば抗C
D40抗体又はその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼
ばれる)、mAb2、ASKP1240)での治療に対して不十分な反応を呈する患者に
とって、疾患の重症度に基づいて用量漸増が適切であり得ることが理解されるであろう。
したがって、皮下(s.c.)投薬量(負荷又は維持用量)は、約50mg(s.c.)
、例えば約75mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、約2
50mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mgな
どよりも大きい可能性があり;同様に、静脈内(i.v.)投薬量(負荷又は維持用量)
は、約10mg/kg、例えば約11mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、2
0mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、4
5mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kgなどよりも大きい可能
性がある。ある種のT1DM及び/又は膵島炎患者、例えばADCC活性が抑制された抗
CD40抗体での治療に対する有害事象又は有害反応を呈する患者にとって、用量低下が
適切である可能性もあることも理解されるであろう。
【0104】
以下に記載する治療レジメンは、(i)標的組織(すなわち膵臓リンパ節)におけるC
D40受容体を急速に飽和させ、且つ診断の100日以内の疾患(膵島炎、膵島における
浸潤におけるB及びT-リンパ球、活性な異所性胚中心)の攻撃性が、高い組織CD40
発現と関連する可能性が高い状態におけるCFZ533のCD40介在性の排除を最小限
にし、且つ(ii)残存するβ細胞の侵襲性の自己免疫性破壊、膵島炎及び病原性の自己
反応性Bリンパ球の局所的浸潤を急速に遮断すると考えられている。したがって、本開示
の具体的実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体又はその抗原結合断片
(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1
240)は、患者がT1DM又は膵島炎と診断された後、最初の100日以内に前記患者
に投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体又はその抗原結合
断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASK
P1240)は、第1日(第0週)での3mg/kg~60mg/kgの体重補正した静
脈内(IV)負荷用量、例えば約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6
mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、1
1mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、3
0mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、5
5mg/kg又は60mg/kg、それに続いて、本明細書に開示した維持投薬量レジメ
ン、例えば維持用量レジメンI、II、III又はIVで患者に投与することができる。
【0106】
一実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体は、第1日(第0週)での
3mg/kg~30mg/kgの体重補正した静脈内(IV)負荷用量、それに続いて、
本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又は
IVで患者に投与される。
【0107】
一実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体は、第1日(第0週)での
10mg/kg~30mg/kgの体重補正した静脈内(IV)負荷用量、それに続いて
、本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又
はIVで患者に投与される。
【0108】
一実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体は、第1日(第0週)での
10mg/kg~30mg/kgの体重補正した静脈内(IV)負荷用量、それに続いて
、本明細書に開示した維持投薬量レジメンで患者に投与される。特に指定された実施形態
では、維持用量は、第52週まで週1回、患者にs.c.投与される。
【0109】
ある具体的実施形態では、3mg/kg CFZ533が、第1日(D1)に、それに
続いて、本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、I
II又はIVでi.v.投与される。
【0110】
具体的実施形態では、10mg/kg CFZ533が、第1日(D1)に、それに続
いて、本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、II
I又はIVでi.v.投与される。
【0111】
別の具体的実施形態では、30mg/kg CFZ533が、D1に、それに続いて、
本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又は
IVでi.v.投与される。
【0112】
別の具体的実施形態では、40mg/kg CFZ533が、D1に、それに続いて、
本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又は
IVでi.v.投与される。
【0113】
別の具体的実施形態では、50mg/kg CFZ533が、D1に、それに続いて、
本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又は
IVでi.v.投与される。
【0114】
別の具体的実施形態では、60mg/kg CFZ533が、D1に、それに続いて、
本明細書に開示した維持投薬量レジメン、例えば維持用量レジメンI、II、III又は
IVでi.v.投与される。
【0115】
したがって、一実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体(例えば、C
FZ533とも呼ばれるmAb1)又はその抗原結合断片は、i.v.送達される10m
g/kg又は30mg/kgの初回用量で患者に投与され、次いで維持用量が、第8日で
開始して週1回s.c.送達される100mg~350mgの固定用量に調整される(維
持用量レジメンI)。
【0116】
いくつかの実施形態では、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体(例えば、CFZ
533とも呼ばれるmAb1)又はその抗原結合断片は、D1にi.v.送達される10
mg/kg又は30mg/kgの初回用量で患者に投与することができ、維持用量は、週
1回s.c.送達される100mg~350mgの固定用量に調整され、ここで、小児患
者は、次の体重カテゴリー固定維持用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg(合わせて維持用量
レジメンII)
に従い、D1に開始して週1回投薬されるものとする。
【0117】
具体的実施形態では、体重クラスI~IIIの患者に投与される100~150mg、
150~250mg又は250~350mgの毎週のs.c.維持用量は、治療期間中の
体重増加又は減少を明らかにするために、第1日/第0週、第85日/第12週、第16
9日/第24週、第253日/第36週及び第337日/第48週で、3か月ごとに記録
される対象の体重に基づいて定義されることとなる。
【0118】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される10mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0119】
さらに別の具体的実施形態では、D1に患者にi.v.投与される10mg/kg C
FZ533の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0120】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される10mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg(合わせて維持用量レジメンIII)
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0121】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される20mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0122】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される20mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
iv.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
v.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
vi.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0123】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される20mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
ii.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
iii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
iv.体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0124】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される30mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0125】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される30mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0126】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される30mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0127】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される40mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0128】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される40mg/kg CFZ5
33の単位用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0129】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される40mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0130】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される50mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0131】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される50mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0132】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される50mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0133】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される60mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、週1回(Q1W)s.c.投与される100~350
mgの単位用量、すなわちD8からの週1回の300mg CFZ533(s.c.)を
含む維持用量が続く。
【0134】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される60mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):100~150mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):150~250mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):250~350mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0135】
さらに別の具体的実施形態では、D1にi.v.投与される60mg/kg CFZ5
33の単回用量を含む負荷用量後、次の体重カテゴリー固定用量:
i.体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg、
ii.体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg、
iii.体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg
を含む、D8からの週1回の(Q1W)維持用量(s.c.)が続く。
【0136】
特定の実施形態では、100~150mg(体重カテゴリーI)、150~250mg
(体重カテゴリーII)又は250~350mg(体重カテゴリーIII)の単位用量を
含む維持用量は、第52週まで週1回、患者にs.c.投与される。
【0137】
別の実施形態では、135mg(体重カテゴリーI)、195mg(体重カテゴリーI
I)又は300mg(体重カテゴリーIII)の単位用量を含む維持用量は、第52週ま
で、8日目から週1回、患者にs.c.投与される(合わせて維持用量レジメンIV)。
【0138】
本開示の一実施形態では、負荷投薬量は、100mg/ml~350mg/mlの濃度
のCFZ533を含む液体医薬組成物を使用してi.v.投与される。特定の実施形態で
は、i.v.投与のための液体医薬組成物は、150mg/mL又は300mg/mLの
濃度のCFZ533を含む。
【0139】
本開示の一実施形態では、維持投薬量(例えば、維持用量レジメンI~IV)は、10
0mg/ml~350mg/mlの濃度のCFZ533を含む液体医薬組成物を使用して
s.c.投与される。特定の実施形態では、液体医薬組成物は、150mg/mL又は3
00mg/mlの濃度のCFZ533を含む。このことから、次の投与レジメンが好まし
いことになる
a)体重カテゴリーIの患者:135mg=0.9mLの単回注射;
b)体重カテゴリーIIの患者:195mg=1.3mLの単回注射;
c)体重カテゴリーIIIの患者:300mg=2mLの1回の注射又は1mLの2回の
注射)。
【0140】
抗CD40抗体又はその抗原結合断片は、CFZ533、その機能性誘導体又はそのバ
イオ後続品であり得る。
【0141】
本明細書で定義される場合、「単位用量」は、約75mg~900mg、薬物の例えば
約150mg~約600mg、例えば約150mg~約600mg、例えば約300mg
~約600mg又は例えば約150mg~約300mgから構成され得る用量を指す。例
えば、単位s.c.用量は、薬物の約75mg、約150mg、約300mg、約350
mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mgである
。
【0142】
本開示の特定の実施形態では、T1DM又は膵島炎の治療に使用するための、ADCC
活性が抑制された抗CD40抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される。
【0143】
さらに別の具体的実施形態では、T1DM又は膵島炎の治療に使用するための、ADC
C活性が抑制された抗CD40抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10
の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミ
ノ酸配列を含む。
【0144】
別の好ましい実施形態では、T1DM又は膵島炎の治療に使用するための、ADCC活
性が抑制された抗CD40抗体は、CFZ533である。
【0145】
医薬組成物
治療用抗体は、典型的には、直ちに投与可能な水性の形態において又は投与前の好適な
希釈剤での再構成のための凍結乾燥物として製剤化される。開示された使用又は治療に従
う、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体は、凍結乾燥物として又は例えばプレフィ
ルドシリンジに入れた水性の組成物として製剤化することができる。製剤は、薬物製品(
DP)とも呼ばれる。
【0146】
好適な製剤は、再構成して、患者への送達のための高濃度の抗体活性成分且つ低レベル
の抗体凝集を伴う溶液を与えることができる、水性の医薬組成物又は凍結乾燥物を提供す
ることができる。高濃度の抗体は、これにより、患者に送達されなければならない材料の
量が減るため、有用である。投薬体積の低下により、患者に一定用量を送達するためにか
かる時間が最小限になる。高濃度の抗CD40抗体を含む水性組成物は、皮下又は静脈内
投与に特に適している。
【0147】
ADCC活性が抑制された抗CD40抗体は、薬学的に許容し得る担体と組み合わせた
場合、医薬組成物として使用することができる。こうした組成物は、mAb1又はmAb
2などの抗CD40抗体に加えて、担体、種々の希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、
可溶化剤及び当技術分野で周知の他の材料を含有することができる。担体の特性は、投与
経路に依存することとなる。開示した方法に使用するための医薬組成物は、標的とされる
特定の障害の治療のための追加の治療薬も含有することができる。
【0148】
ある具体的実施形態では、開示した治療及び方法(薬物製品(DP))に使用するため
の組成物は、6.0のpHを有し、且つ
(i)150mg/mL mAb1又はmAb2、
(ii)270mM スクロース(安定剤として)、
(iii)30mM L-ヒスチジン(緩衝剤として)、及び
(iv)0.06% ポリソルベート20(界面活性剤として)
を含む、水性製剤から調製される凍結乾燥製剤である。
【0149】
別の具体的実施形態では、医薬組成物(薬物製品(DP))は、6.0のpHを有し、
且つ
(i)150mg/mL mAb1又はmAb2、
(ii)270mM スクロース(安定剤として)、
(iii)30mM L-ヒスチジン(緩衝剤として)、及び
(iv)0.06% ポリソルベート20(界面活性剤として)
を含む、水性医薬組成物である。
【0150】
本明細書で開示したのは、患者におけるT1DM又は膵島炎の治療のための医薬品(こ
こで、医薬品は、容器を含むように製剤化され、各容器は、単位用量あたり少なくとも約
75mg、150mg、300mg又は600mgの抗CD40抗体又はその抗原結合断
片(例えばmAb1)の送達を可能にするのに十分な量の抗CD40抗体を有する)の製
造のための抗CD40抗体(例えば、mAb1)の使用である。
【0151】
本明細書で開示したのは、患者におけるT1DMの治療のための医薬品(ここで、医薬
品は、単位用量あたり75mg、150mg、300mg又は600mgの抗CD40抗
体又はその抗原結合断片(例えばmAb1)の全身送達(例えばi.v.又はs.c.送
達)を可能にするための投薬量で製剤化される)の製造のための抗CD40抗体(例えば
mAb1)の使用である。
【0152】
本開示は、(場合に応じて)ADCC活性が抑制された抗CD40抗体又はその抗原結
合断片、例えばmAb1で、T1DM又は膵島炎を有する患者を治療するためのキットも
包含する。こうしたキットは、(例えば、液体又は凍結乾燥形態の)抗CD40抗体又は
その抗原結合断片、例えばmAb1又は抗CD40抗体を含む医薬組成物を含む。さらに
、こうしたキットは、T1DM又は膵島炎に使用するための、抗CD40抗体を投与する
ための手段(例えば、シリンジ及びバイアル、プレフィルドシリンジ、プレフィルドペン
、パッチ/ポンプ)及び説明書を含むことができる。説明書は、具体的な投薬レジメンの
一部として、患者に抗CD40抗体(例えば、mAb1)を提供することを明らかにする
ことができる。これらのキットは、T1DM又は膵島炎を治療するための、例えば封入さ
れる抗CD40抗体、例えばmAb1と組み合わせた送達のための追加の治療薬も含有す
ることができる。
【0153】
本開示の一実施形態では、T1DM又は膵島炎を有する患者の治療のためのキットは、
a)治療有効量の本明細書に記載した抗CD40抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組
成物;b)抗CD40抗体又はその抗原結合断片を患者に投与するための手段;及びc)
本明細書に記載した抗CD40抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に、
D1でヒト対象の1キログラムあたり約3~約60mgの負荷用量として静脈内投与する
こと、それに続いて、例えば本明細書に開示した維持レジメンI~IVに従う、抗CD4
0抗体の週1回皮下投薬を提供する説明書を含む。
【0154】
ある具体的実施形態では、T1DM又は膵島炎の治療のための医薬品の製造のための、
抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物a)の使用が提供さ
れ、ここで、抗CD40抗体は、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
d)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
e)サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体:及び
f)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される。
【0155】
ある具体的実施形態では、T1DM又は膵島炎の治療のための医薬品の製造のための、
抗CD40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物a)の使用が提供さ
れ、ここで、抗CD40抗体は、
i)第1日での又は1週おきに2回若しくは3回、ヒト対象の1キログラムあたり約3~
約30mg、例えば10mgの活性成分の用量で患者に静脈内投与されることとなり;及
び
ii)その後、第8日で開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として、患
者に皮下投与されることとなり、
ここで、前記抗CD40抗体は、
g)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
h)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
i)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
j)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
k)サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体:及び
l)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される。
【0156】
定義
本明細書で使用する場合、CD40は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバ
ー5とも呼ばれる表面抗原分類40を指す。用語CD40は、別段の記述がない限り、配
列番号19において定義される通りのヒトCD40を指す。
【0157】
数値xに関する用語「約」は、例えば、+/-10%を意味する。数値範囲又は数の列
挙の前に使用される場合、用語「約」は、系列内のそれぞれの数に適用される。例えば、
表現「約1~5」は、「約1~約5」と解釈されるべきであるか、又は例えば、表現「約
1、2、3、4」は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈されるべきである。
【0158】
用語「含む」は、「包含する」並びに「からなる」を包含し、例えば、Xを「含む」組
成物は、専らXのみからなる可能性があるか、又は何らかの追加のものが含まれる(例え
ば、X+Y)可能性がある。
【0159】
AUC0-tは、時間0から時間「t」(ここで、tは、投与後の定義された時点であ
る)までの血漿中濃度-時間曲線下面積を示す[質量×時間/体積]。
【0160】
AUCtx-tyは、時間「x」から時間「y」(ここで、「時間x」及び「時間y」
は、投与後の定義された時点である)までの血漿中濃度-時間曲線下面積を表す。
【0161】
Cmaxは、薬物投与後に観察される最大血漿中濃度である[質量/体積]。
【0162】
Cminは、薬物投与後に観察される最小血漿中濃度である。Cトラフは、投薬期間の
開始の直前又は投薬間隔の最後に観察される血漿中濃度である。
【0163】
Tmaxは、薬物投与後に最大濃度に到達するまでの時間である[時間]。
【0164】
ss(下付き文字)は、パラメータが定常状態で定義されることを示す。
【0165】
本明細書で使用される用語「抗体」又は「抗CD40抗体」などは、CD40と(例え
ば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布によって)相互作用する抗体全体を指
す。天然起源の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2本の
重(H)鎖と2本の軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(
本明細書ではVHと略される)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメ
イン、CH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVL
と略される)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからな
る。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域
に割り込まれた、相補性決定領域(CDR)と称される高頻度可変性の領域にさらに細分
化することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序
:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される3つの
CDR及び4つのFRからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ド
メインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞
)及び古典的補体系の第1の成分(Clq)を含めた宿主組織又は因子への免疫グロブリ
ンの結合を媒介することができる。用語「抗体」には、例えば、モノクローナル抗体、ヒ
ト抗体、ヒト化抗体、ラクダ抗体又はキメラ抗体が含まれる。抗体は、あらゆるアイソタ
イプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば
、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスの
もの、好ましくはIgG、最も好ましくはIgG1であり得る。例示的な抗体としては、
表1に記述した通り、CFZ533(本明細書ではmAb1とも称される)及びmAb2
が挙げられる。
【0166】
軽鎖及び重鎖の両方は、構造的及び機能的相同性の領域に分けられる。用語「定常」及
び「可変」は、機能に関して使用される。この点に関して、軽(VL)鎖部分と重(VH
)鎖部分との両方の可変ドメインが抗原認識及び特異性を決定することを理解されたい。
逆に、軽鎖(CL)及び重鎖(CH1、CH2又はCH3)の定常ドメインは、分泌、経
胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的性質を与える。慣例により
、定常領域ドメインの付番は、抗体の抗原結合部位又はアミノ末端から遠位になるにつれ
て増加する。N末端は、可変領域であり、C末端は、定常領域であり、CH3及びCLド
メインは、それぞれ重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端を事実上含む。具体的には、用語「抗
体」には、特にIgG-scFv型が含まれる。
【0167】
「相補性決定領域」(「CDR」)は、Kabat et al.(1991),「S
equences of Proteins of Immunological In
terest,」5th Ed.Public Health Service,Nat
ional Institutes of Health,Bethesda,MD(「
Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al.,(19
97)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム)及
びImMunoGenTics(IMGT)ナンバリング(Lefranc,M.-P.
,The Immunologist,7,132-136(1999);Lefran
c,M.-P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77
(2003)(「IMGT」ナンバリングスキーム)によって記載されているものを含め
た、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して決定される境界を伴うアミノ酸配列
である。IMGTでは、抗体のCDR領域は、IMGT/DomainGap Alig
nプログラムを使用して決定することができる。
【0168】
本明細書で使用される用語「Fc領域」は、抗体の定常ドメインの、CH3、CH2及
びヒンジ領域の少なくとも一部分を含むポリペプチドを指す。任意選択により、Fc領域
には、いくつかの抗体クラスに存在するCH4ドメインが含まれる可能性がある。Fc領
域は、抗体の定常ドメインのヒンジ領域全体を含むことができる。一実施形態では、本発
明は、抗体のFc領域及びCH1領域を含む。一実施形態では、本発明は、抗体のFc領
域のCH3領域を含む。別の実施形態では、本発明は、抗体の定常ドメイン由来のFc領
域、CH1領域及びCκ/λ領域を含む。一実施形態では、本発明の結合分子は、定常領
域、例えば重鎖定常領域を含む。一実施形態では、こうした定常領域は、野生型の定常領
域と比較して改変される。すなわち、本明細書で開示した本発明のポリペプチドは、3つ
の重鎖定常ドメイン(CH1、CH2又はCH3)の1つ又は複数に対する且つ/又は軽
鎖定常領域ドメイン(CL)に対する変更又は改変を含むことができる。改変の例として
は、1つ又は複数のドメイン内の1つ又は複数のアミノ酸の付加、欠失又は置換が含まれ
る。こうした変更は、エフェクター機能、半減期などを最適化するために含めることがで
きる。
【0169】
本明細書で使用する場合、用語「親和性」は、単一の抗原部位での抗体と抗原との間の
相互作用の強さを指す。各抗原部位内では、抗体「アーム」の可変領域は、多数の部位で
弱い非共有結合性の力を通じて抗原と相互作用し、相互作用が多いほど親和性が強くなる
。本明細書で使用する場合、IgG抗体又はその断片(例えば、Fab断片)に関する用
語「高親和性」は、標的抗原に対する10-8M以下、10-9M以下、又は10-10
M、又は10-11M以下、又は10-12M以下、又は10-13M以下のKDを有す
る抗体を指す。しかし、高親和性結合は、他の抗体アイソタイプについて異なる可能性が
ある。例えば、IgMアイソタイプについての高親和性結合は、10-7M以下又は10
-8M以下のKDを有する抗体を指す。
【0170】
本明細書で使用する場合、「CD40ポリペプチドと特異的に結合する」抗体又はタン
パク質は、100nM以下、10nM以下、1nM以下のKDでヒトCD40ポリペプチ
ドと結合する抗体又はタンパク質を指すことが意図される。
【0171】
用語「KD」は、本明細書で使用する場合、Kaに対するKdの比(すなわちKd/K
a)から得られてモル濃度(M)として表される解離定数を指すことが意図される。抗体
についてのKD値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができ
る。抗体のKDを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用するか又はBiac
ore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるもので
ある。
【0172】
本明細書で使用する場合、用語「ADCC」又は「抗体依存性細胞傷害」活性は、細胞
枯渇活性を指す。ADCC活性は、当業者に周知のADCCアッセイによって測定するこ
とができる。
【0173】
本明細書で使用する場合、用語「サイレント」抗体は、ADCCアッセイにおいて測定
された場合にADCC活性を呈さないか又は低いADCC活性を呈する抗体を指す。
【0174】
一実施形態では、用語「ADCC活性なし又は低いADCC活性」は、サイレント抗体
が、標準のADCCアッセイにおいて測定された場合に50%未満の特異的細胞溶解、例
えば10%未満の特異的細胞溶解であるADCC活性を呈することを意味する。「ADC
C活性なし」は、サイレント抗体が、1%未満であるADCC活性(特異的細胞溶解)を
呈することを意味する。
【0175】
ADCCエフェクター機能の抑制は、抗体のFc領域内の変異によって得ることができ
、当技術分野において記載されている:LALA及びN297A(Strohl,W.,
2009,Curr.Opin.Biotechnol.vol.20(6):685-
691);並びにD265A(Baudino et al.,2008,J.lmmu
nol.181:6664-69;Strohl,W.,上記)。サイレントFc Ig
G1抗体の例は、IgG1 Fcアミノ酸配列内のL234A及びL235A変異を含む
、いわゆるLALA変異体を含む。サイレントIgG1抗体の別の例は、D265A変異
を含む。別のサイレントIgG1抗体は、グリコシル化/非グリコシル化抗体をもたらす
N297A変異を含む。
【0176】
用語「治療」又は「治療する」は、本明細書では、本開示による抗CD40抗体又はそ
の抗原結合断片、例えばmAb1又はmAb2抗体の対象への適用又は投与或いは本発明
の前記抗CD40抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物の、対象由来の単離された
組織若しくは細胞株への適用又は投与と定義され、ここで、対象は、自己免疫疾患及び/
又は炎症性疾患、自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患に随伴する症状又は自己免疫疾患及
び/又は炎症性疾患の発生の素因を有し、ここで、その目的は、特に、発症したT1DM
を有する又は膵島炎を患う患者における自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患、自己免疫疾
患及び/又は炎症性疾患のあらゆる随伴症状又は自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患の発
生の素因を軽減、回復又は改善することである。
【0177】
「治療」は、本発明の抗CD40抗体又はその抗原結合断片、例えばmAb1又はmA
b2抗体を含む医薬組成物の対象への適用又は投与又は本発明の前記抗CD40抗体又は
その抗原結合断片を含む医薬組成物の、対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適
用又は投与(ここで、対象は、自己免疫疾患及び/若しくは炎症性疾患、自己免疫疾患及
び/若しくは炎症性疾患に随伴する症状又は自己免疫疾患及び/若しくは炎症性疾患の発
症の素因を有し、その目的は、自己免疫疾患及び/若しくは炎症性疾患、自己免疫疾患及
び/若しくは炎症性疾患のあらゆる随伴症状又は自己免疫疾患及び/若しくは炎症性疾患
の発症の素因を軽減、回復又は改善することである)も意図する。
【0178】
用語「予防する」又は「予防すること」は、予防的又は防止的処置を指し;疾患、障害
及び/又はそれに随伴する症状の発症を遅らせること又はこれらの発症を予防することに
関する。
【0179】
本明細書で使用する場合、対象は、こうした対象が、こうした治療から生物学的に、医
学的に又は生活の質において恩恵を受ける場合、治療「を必要として」いる。
【0180】
用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を邪魔しない非毒性
の材料を意味する。
【0181】
本明細書で使用する場合、対象化合物の用語「投与」又は「投与すること」は、治療を
必要としている対象に対して本発明の化合物及びそのプロドラッグを提供することを意味
する。1つ又は複数のさらなる治療薬「と組み合わせた」投与には、任意の順序での任意
の投与経路での同時(並行)及び連続的投与が含まれる。1つの投与は、治療効果を達成
するためにどの程度の薬物物質が投与される必要があるかに応じて、単回注射又は互いに
併せて送達される複数回注射であり得る。
【0182】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、患者(ヒトなど)への単一用量又は反復
用量投与時、障害又は再発性の障害の少なくとも1つの症状を治療するか、予防するか、
発症を予防するか、治癒させるか、遅らせるか、重症度を低下させるか、回復させるか、
又は患者の生存をこうした治療が存在しない場合に予測される生存よりも延長させるのに
有効である、抗CD40抗体又はその抗原結合断片、例えばmAb1の量を指す。単独で
投与される個々の活性成分(例えば、抗CD40抗体、例えばmAb1)に適用される場
合、この用語は、その成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み
合わせで、連続的に又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分
の合わせた量を指す。
【0183】
表現「治療レジメン」は、病気を治療するために使用されるレジメン、例えばT1DM
の治療中に使用される投薬プロトコルを意味する。治療レジメンには、負荷レジメン(又
は負荷投薬)、それに続く維持レジメン(又は維持投薬)が含まれ得る。
【0184】
表現「負荷レジメン」又は「負荷期間」は、疾患の初期治療のために使用される治療レ
ジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。いくつかの実施形態では、開示される方法、
使用、キット、プロセス及びレジメン(例えば、T1DMを治療する方法)は、負荷レジ
メン(又は負荷投薬)を用いる。いくつかの場合、負荷期間は、最大の有効性に到達する
までの期間である。負荷レジメンの一般的目標は、治療レジメンの最初の期間中、患者に
対して高レベルの薬物を提供することである。負荷レジメンは、医師が維持レジメン中に
用いるであろうよりも多い用量の薬物を投与すること若しくは医師が維持レジメン中に薬
物を投与するであろうよりも頻繁に薬物を投与すること又はこれらの両方を含むことがで
きる。用量漸増は、負荷レジメン中又は後に行うことができる。
【0185】
表現「維持レジメン」又は「維持期間」は、病気の治療中の患者の維持のため、例えば
患者を負荷レジメン又は期間後に長期間(数か月又は数年)、寛解状態に維持するために
使用される治療レジメン(又は治療レジメンの一部)を指す。いくつかの実施形態では、
開示した方法、使用及びレジメンは、維持レジメンを用いる。維持レジメンは、継続療法
(例えば、一定の間隔で、例えば毎週、隔週又は毎月(4週おきに)、毎年などで薬物を
投与すること)又は間欠療法(例えば、断続的治療、間欠治療、再発時の治療又は特定の
あらかじめ定められた基準の到達[例えば、疼痛、疾患顕在化など]時の治療)を用いる
ことができる。用量漸増は、維持レジメン中に行うことができる。
【0186】
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル
及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチ式ポンプな
どを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために
使用される。こうしたものを用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち薬物を自分自
身のために投与する)ことができるか、又は医師が薬物を投与することができる。
【0187】
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の送達を可能にするのに十分な量
の抗CD40抗体を有する容器」は、所与の容器(例えば、バイアル、ペン、シリンジ)
が、所望される用量を提供するために使用することができる、(例えば、医薬組成物の一
部としての)ある体積の抗CD40抗体をその中に配置していることを意味するために使
用される。一例としては、所望される用量が500mgであるならば、臨床医は、250
mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から2ml、500mg/
mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から1ml、1000mg/ml
の濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から0.5mlなどを使用することが
できる。こうした各場合において、これらの容器は、所望される500mg用量の送達を
可能にするのに十分な量の抗CD40抗体を有する。
【0188】
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の[投与経路]送達を可能にする
ための投薬量で製剤化される」は、所与の医薬組成物が、指定された投与経路(例えば、
s.c.又はi.v.)を介して、所望される用量の抗CD40抗体、例えばmAb1を
提供するために使用することができることを意味するために使用される。一例としては、
所望される皮下用量が500mgであるならば、臨床医は、250mg/mlの濃度を有
する抗CD40抗体製剤の2ml、500mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤
の1ml、1000mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤の0.5mlなどを使
用することができる。こうした各場合において、これらの抗CD40抗体製剤は、抗CD
40抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、典型的には、
約2ml未満の体積、好ましくは約1mL以下の体積の送達を必要とする。しかし、例え
ばパッチ/ポンプ機構を使用して、時間をかけて、より高い体積を送達することができる
。
【0189】
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル
及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチ式ポンプな
どを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために
使用される。こうしたものを用いて、患者が、薬物を自己投与する(すなわち薬物を自分
自身のために投与する)ことができるか、又は介護者若しくは医師が薬物を投与すること
ができる。
【0190】
抗CD40抗体
ADCC活性が抑制された抗CD40 mAbは、米国特許第8828396号明細書
及び米国特許第9221913号明細書に開示されている。ADCC活性が抑制された抗
CD40 mAbは、他の抗CD40抗体と比較して改善された安全性プロフィールを有
することが予測され、特にT1DM及び/又は膵島炎などの非腫瘍性の適応症により適し
ている可能性がある。
【0191】
本発明者らの拘束力のない仮説によれば、mAb1及びmAb2と称される、米国特許
第8828396号明細書及び米国特許第9221913号明細書による2種のmAbは
、T1DM及び/又は膵島炎の治療に適した化合物であると考えられる。CFZ533と
も呼ばれる抗体mAb1が特に好ましい。CFZ533(イスカリマブ(iscalim
ab))は、組換え(r)CD154誘導性のCD40シグナル伝達を遮断し、且つCD
40発現細胞型の枯渇を引き起こさない(すなわちFc-サイレント;ADCC活性抑制
)、完全ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)抗CD40抗体である。
【0192】
mAb1は、インビトロでのCD154誘導性の活性化並びにインビボでのT細胞依存
性抗体形成及び胚中心形成を阻害する。T1DM又は膵島炎を有する患者では、mAb1
でのCD40遮断は、新規の治療モダリティを提供することが想定されている(実施例7
)。
【0193】
当業者が本発明を実施できるようにするために、mAb1及びmAb2のアミノ酸及び
ヌクレオチド配列を下の表1に提供する。
【0194】
当技術分野で公知の別の抗CD40 mAbは、例えば、米国特許第8568725B
2号明細書に記載されている通りの、Astellas Pharma/Kyowa H
akko Kirin CoからのASKP1240である。
【0195】
当技術分野で公知のさらに別の抗CD40 mAbは、例えば、米国特許第85919
00号明細書に記載されている通りの、Boehringer Ingelheimから
のBI655064である。
【0196】
当技術分野で公知のさらなる抗CD40 mAbは、例えば、米国特許第866935
2号明細書に記載されている通りの、Fast Forward Pharmaceut
icalsによるFFP104である。
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、上の随伴する説明に記述されている。本明細書
に記載したものと類似の又は均等なあらゆる方法及び材料を本開示の実施又は試験におい
て使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本開示の他の特徴
、目的及び利点は、この説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書及び添付
の特許請求の範囲では、単数形には、文脈によって他に明確に指示されない限り、複数の
指示内容が含まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科
学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有
する。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより十分に説明するために与えられ
る。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示した主題の範囲を
限定するものと決して解釈されるべきではない。
【実施例0206】
一般手法
実施例1:発現系
軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを標準の技術に
よって宿主細胞に遺伝子導入させる。様々な形式の用語「遺伝子導入」は、外来性DNA
の原核生物又は真核生物宿主細胞への導入のために一般に使用される非常に様々な技術、
例えば電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン遺伝子導入などを包含
することが意図される。本発明の抗体を原核生物宿主細胞又は真核生物宿主細胞のいずれ
かにおいて発現させることは、理論的に可能である。真核細胞、例えば哺乳類宿主細胞、
酵母又は糸状菌における抗体の発現が論じられている。なぜなら、こうした真核細胞、特
に哺乳類の細胞が、適切にフォールディングされた免疫学的に活性な抗体を構築及び分泌
する可能性は、原核細胞よりも高いからである。
【0207】
具体的には、クローニング又は発現ベクターは、好適なプロモーター配列に動作可能な
ように連結される、以下のコード配列(a)~(b):
(a)mAb1の全長重鎖及び軽鎖をそれぞれコードする配列番号15及び配列番号16
、又は
(b)mAb2の全長重鎖及び軽鎖をそれぞれコードする配列番号17及び配列番号18
のいずれかの少なくとも1つを含むことができる。
【0208】
本発明の組換え抗体を発現させるための哺乳類宿主細胞には、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO細胞)(例えば、R.J.Kaufman及びP.A.Sharp,198
2 Mol.Biol.159:601-621に記載されている通りのDH FR選択
可能マーカーと共に使用される、Urlaub及びChasin,1980 Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されているdh
fr-CHO細胞が含まれる)、CHOK1 dhfr+細胞株、NSO骨髄腫細胞、C
OS細胞及びSP2細胞が含まれる。特に、NSO骨髄腫細胞との使用のために、別の発
現系は、PCT公報国際公開第87/04462号パンフレット、国際公開第89/01
036号パンフレット及び欧州特許第0338841号明細書に示されているGS遺伝子
発現系である。
【0209】
抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳類宿主細胞に導入する場合、抗体は
、宿主細胞における抗体の発現又は宿主細胞が成長する培養培地への抗体の分泌を可能に
するのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準のタン
パク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる(例えば、Abhinav
et al.2007,Journal of Chromatography 84
8:28-37を参照されたい)。
【0210】
宿主細胞は、mAb1又はmAb2の発現及び産生に適した条件下で培養することがで
きる。
【0211】
実施例2.薬理学
1.第1の薬理学
mAb1は、ヒトCD40と高親和性(0.3nMのKd)で結合する。しかし、これ
は、Fcγ受容体(CD16が含まれる)と結合しないか、又は抗体依存性細胞傷害若し
くは補体依存性細胞傷害を媒介しない。mAb1は、ヒト白血球の組換えCD154(r
CD154)誘導性の活性化を阻害するが、単球由来樹状細胞(DC)によるPBMC増
殖又はサイトカイン産生を誘発しない。mAb1は、非常に類似の親和性でヒト及び非ヒ
ト霊長類CD40と結合する。
【0212】
mAb1は、インビボで一次及び二次T細胞依存性抗体反応(TDAR)を阻止し、非
ヒト霊長類における腎臓同種移植片の生存を延長させることができる(Cordoba
et al 2015)。さらに、mAb1は、構築された胚中心(GC)をインビボで
崩壊させることができる。
【0213】
CD40受容体占有率と機能活性を、ヒト全血培養を使用してインビトロで同時に評価
した。機能活性は、CD20陽性細胞(B細胞)上のCD69(活性化マーカー)のCD
154誘導性の発現を介して定量化し、CD40占有は、蛍光標識したmAb1を使用し
て観察した。rCD154誘導性のCD69発現の十分な阻害のために、mAb1による
ほぼ完全なCD40占有が必要であった。
【0214】
2.第2の薬理学
血小板機能及び止血に対するmAb1の効果を研究し、mAb1が血小板凝集反応を誘
発せず、むしろ、高濃度で血小板凝集に対するある種の穏やかな抑制効果を呈することが
示された。
【0215】
実施例3.非臨床の毒性学及び安全性薬理学
mAb1を用いる毒性研究は、抗CD154 mAbを用いる臨床試験において報告さ
れた場合に血栓塞栓症の証拠がなかったことを含めて、いずれの有意な臓器毒性も示さな
かった(Kawai et al 2000)。カニクイザルにおける26週の慢性毒性
研究では、有害なmAb1関連の所見は発見されなかった。これらのデータに基づいてN
OAELを150mg/kg(26週)に設定した。平均(全動物)Cmax,ssは、
1、50及び150(NOAEL)mg/kg(S.C.、毎週)でそれぞれ44、32
35及び9690μg/mLであった。26週のカニクイザル研究から得られたNOAE
Lは、臨床投薬レジメンを裏付けるために最も適切であると考えられる。
【0216】
T細胞依存性抗体反応(TDAR)の完全な阻害が原因で、KLH、すなわちmAb1
に対する抗薬物抗体(ADA)の形成が期待されず、したがってmAb1の濃度が継続的
に薬理学的レベルに維持される場合、ADA関連の副作用はなさそうであると考えられる
。
【0217】
組織交差反応性研究は、CD40が、免疫細胞上に存在するだけでなく、様々な組織内
にも存在することを示した。これは、主として、内皮及び上皮細胞(ここで、CD40は
、創傷治癒プロセスに反応することなどのシグナル伝達、ウイルス防御の上方調節及び炎
症関連メディエーターに関与する)上でのその発現に起因する。mAb1のような拮抗性
の抗CD40モノクローナル抗体は、炎症プロセスに寄与することが期待されず、これは
、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用するインビトロ研究によって確認された。
【0218】
結論として、この非臨床データは、原発性T1DMを有する患者におけるADCC活性
が抑制された抗CD40抗体を使用する研究を支持する。
【0219】
実施例4:研究デザイン
これは、新規発症1型糖尿病(T1DM)を有する小児及び若年成人における、CFZ
533の安全性、忍容性、薬物動態及び有効性を評価するための、研究者と対象に盲検化
された無作為化されたプラセボ対照研究である。
【0220】
1.目的及び理論的根拠
この研究の目的は、新規発症T1DMにおけるCFZ533の開発を可能にするための
臨床データを提供することである。
【0221】
2.主目的
有害事象(AE)及び標準の安全性検査を評価することにより、新規発症T1DMにお
けるCFZ533の安全性及び忍容性を評価すること。
【0222】
混合食負荷試験(MMTT)によって刺激時CペプチドAUCを評価することにより、
1年後の新規発症T1DMにおける膵β細胞機能に対するCFZ533の治療効果を評価
すること。
【0223】
混合食負荷試験(MMTT)は、残存インスリン分泌及びβ細胞機能を検出するための
適切な感度を有する。MMTTでは、体重に基づく流動食を6mL/kg(最大360m
L)の混合食として提供し、5分かけて摂取し、摂取の10分前(t=-10)、ベース
ライン時(t=0)及び流動食の摂取を完了した後15、30、60、90及び120分
の時点で、グルコース及びCペプチド決定のための決められた時間の血液サンプルを得た
(Leighton et al 2017)。
【0224】
血液サンプル収集により、曲線下面積(AUC0-2hr)及びピークCペプチド値の
測定が可能となることとなる。MMTTは、ベースラインで、治療中の第12、24、3
6及び52週及び治療後の第18、24及び36か月で収集されることとなる。有効性の
主要評価項目は、12か月での混合食負荷試験(MMTT)による、刺激時CペプチドA
UC0-2hrに対する治療効果である。検出可能なCペプチドを有する対象の割合、ベ
ースラインCペプチドからの低下率;検出不可能なCペプチドまでの時間が評価されるこ
ととなる。Cペプチド:クレアチニン比のための、決められた時間の尿もβ細胞機能の尺
度として評価されることとなる。
【0225】
3.第2の目的
ベースラインでの、治療中及び追跡調査期間中の、遊離CFZ533血漿中濃度を測定
することにより、新規発症T1DMにおけるCFZ533の薬物動態(PK)を評価する
こと。
【0226】
1年目の新規発症T1DMにおける、HbA1c≦6.5%(48mmol/mol)
且つ外因性インスリン使用なしによる完全寛解又は1日のインスリン用量合計<0.5単
位/kg/日を用いる、インスリン投与によって調節されるHbA1c(IDAA1c)
≦9.0又はHbA1c<7.0%(53mmol/mol)による部分寛解に対するC
FZ533の治療効果を評価すること。
【0227】
MMTTによる刺激時CペプチドAUCを評価することにより、最終投与の2年後での
、新規発症T1DMを有する対象における膵β細胞機能に対するCFZ533の効果の永
続性を評価すること。
【0228】
【0229】
4.研究デザインCCFZ533X2207
CCFZ533X2207(「研究)は、小児及び若年成人対象における新規発症T1
DMにおける残存する膵β細胞機能の維持に対する、CFZ533の安全性、忍容性、薬
物動態及び有効性を評価するための、非確証的な、研究者と対象に盲検化された無作為化
されたプラセボ対照の第2相研究である。
【0230】
新たに診断されるT1DM患者は、米国糖尿病学会(American diabet
es Association)診断基準及び英国国立医療技術評価機構(Nation
al Institute for Health and Care Excelle
nce)(NICE)(Johnston 2004)並びに下のセクション集合に明記
した通りの少なくとも1つの糖尿病関連自己抗体の存在に基づいて特定される。試験への
登録は、診断及び第1の試験薬投与時から2週以上且つ100日以内に行われるべきであ
る。登録は、スクリーニングとベースライン結果の両方に基づくこととなる。スクリーニ
ング来診は、(本明細書に記載した通りの)対象の体重に応じて1又は2回の来診で実施
することができる。
【0231】
6~21歳のおよそ102人の対象が登録されて、およそ81人の対象が確実に研究を
完了することとなる。5つの一連の研究コホート(年齢及び体重に基づく)が計画される
が、登録目標が達成されるまで、以前のコホートへの登録が継続することとなる。すべて
の体重及び年齢コホートへの適切な登録を可能にするために、コホート1への登録は、お
よそ50人の対象の後に中断されることとなる。
【0232】
コホートは、年齢及び体重群の降順に基づいている(
図1)。
【0233】
研究は、主要な有効性(12か月時)及び安全性評価項目(16か月時)について、1
6か月での81人の完了者について計画される。およそ102人の対象が登録されること
となる。
【0234】
適格の対象は、登録され、2:1の比で活性剤又はプラセボに無作為に割り付けられる
こととなる。
【0235】
研究タイムラインには、6週のスクリーニング期間、2週のベースライン期間、12か
月の治療期間及び4か月及び最大2年のCFZ533の最終投与後の追跡調査期間が含ま
れる。各対象は、最低でおよそ1.5年及び最大3年間、研究中であることとなる。
【0236】
この研究は、あらゆる徴候における小児集団におけるCFZ533を評価するための最
初の研究であることとなる。したがって、登録は、安全性及び忍容性を時差的方式で評価
し、また年齢がより若い及び体重がより軽い群の段階的な登録を可能にするために時間を
ずらすことになる。
【0237】
CFZ533のPKプロフィールは、研究全体を通して(第3、6及び9か月)評価さ
れることとなる。特に、コホート5(20kgという最も低い体重制限)についての投薬
量調整は、この集団における新たなPKデータ(PK中間解析)に基づいて導入すること
ができる。年齢及び体重(BW)カテゴリーによる一連の登録には、
・コホート1:年齢≧15~≦21歳(青年期後期~若年成人)、BW 40~125k
g
・コホート2:年齢≧8~≦21歳(青年期初期~若年成人)、BW 40~」95kg
が含まれる。コホート3~コホート5は、年齢及び体重の制限が異なる。
・コホート3:年齢≧8~≦21歳、BW≧40~<50kg。
・コホート4:年齢≧6~≦21歳、BW≧30~<40kg。
・コホート5:年齢≧6~≦21歳、BW≧20~<30kg。
【0238】
後続のコホート(コホート2、コホート3及びコホート4について)を開放することは
、4週での安全性及び忍容性再検討に基づくこととなる。後続のコホートを開放する前に
、コホート1における少なくとも6人の対象及び他のすべてのコホートにおける10人の
対象からの安全性及び忍容性データが、試験依頼者(Sponsor)及び研究責任者(
Lead Investigator)によって再検討され、続行しても安全であると判
断されなければならない。さらに、≧40~<50kgの体重を有する少なくとも10人
の対象は、コホート4に進む前に登録及び評価されなければならない。この体重範囲にお
ける10人の対象は、コホート1及び2で評価可能であるならば、コホート3は省略する
ことができる。コホート4とコホート5との間の移行は、30~40kgの体重の少なく
とも10人の対象が、最初の8週の治療(第8週での皮下(SC)投薬が含まれる)を完
了する場合に行われることとなり、8週での安全性及び忍容性並びにPKデータ(PK中
間解析)に基づくこととなる。コホート5における用量調整は、PK中間解析及び安全性
分析に基づいて実行することができる。登録目標が達成されるまで、以前のコホートへの
登録が継続することとなる。
【0239】
42日までのスクリーニング及びベースライン期間後、登録可能なコホートに適格の対
象は、無作為化されて、強化インスリン療法でのバックグラウンド標準治療に加えて、C
FZ533又はプラセボ(2:1の比)を1年間受けることとなるが、最重要目標は、T
1DMの診断後、できるだけ早く治療を開始することである。結果的に、対象は、地域の
指導によって推奨されるすべてのワクチン接種を受けておらず、これらのワクチン接種が
投与されることを可能にするために、スクリーニング期間を42日よりも長く延長するこ
とができるが、試験薬の初回投与は、T1DMの診断の100日以内に投与されなければ
ならない。
【0240】
治療は、初回負荷用量のCFZ533(第1日/第0週に末梢静脈(IV)ラインを介
して30mg/kgの用量で投与される;すべての対象は、mg/kgで同じ用量を受け
る)又は適合するプラセボを含む。第8日(第1週)~第365日(第52週;最終投与
)までの、CFZ533(又は適合するプラセボ)のその後のすべての投与は、体重に基
づく用量の皮下(SC)注射により、毎週の方式で投与される(用量/レジメン及び治療
期間の理論的根拠の詳細を参照されたい)。
【0241】
Cペプチドを使用してβ細胞機能を評価するための標準化された流動食MMTTを、本
明細書に記載した通りに、研究の過程中、ベースライン、第12、24、36、52週並
びに第18、24及び36か月(又は研究終了)時に実施することとなる。この研究中、
次の糖尿病関連の評価項目も観察されることとなる:HbA1c、尿中Cペプチドとクレ
アチニンの比、インスリンの1日の総用量、連続的且つ継続的なグルコース測定並びに糖
尿病性ケトアシドーシス及び低血糖イベント。
【0242】
結果的に、少なくとも81人の無作為化され且つ治療された対象がその1年の評価来診
を完了する場合に実施される一次分析は、β細胞機能に対する正の薬物効果を示し、すべ
ての対象は、β-細胞維持に対する有効性の永続性を評価するために、最大でさらに2年
の期間、追跡されることとなる。一次分析について、およそ1年の治療期間で正の薬物効
果が見られない場合、各対象に対する安全性モニタリングについての追跡調査評価をCF
Z533又はプラセボの最終投与の少なくとも4か月後に実施することとなる。
【0243】
コホート拡大は、以下に基づくこととなる。
・コホート2を開放すること:CFZ533又はプラセボで4週間治療されたコホート1
の少なくとも6人の対象(15~≦21歳)が、その時点までに登録されているすべての
対象についての安全性データと共に再検討され、満足なものであると判断されなければな
らない。このコホートにおける6人の対象の評価は、他のコホートにおける10人とは対
照的に、この年齢及び体重範囲集団における対象についての既存の安全性データがより頑
強であるためである。
・コホート3を開放すること:CFZ533又はプラセボで4週間治療されたコホート
2の少なくとも10人の青年期初期~若年成人(≧8~≦21歳)が、その時点までに登
録されているすべての対象についての安全性データと共に再検討され、満足なものである
と判断されなければならず、その後、コホート3(年齢≧8~≦21歳且つ体重(BW)
≧40~<50kg)は、登録のために開放することができる。しかし、この体重範囲に
おける10人の対象は、コホート1及び2で評価可能であるならば、コホート3は省略す
ることができる。
・コホート4を開放すること:CFZ533又はプラセボで4週間治療された少なくと
も10人の子供~若年成人(≧8~≦21歳、体重(BW)≧40~<50kg)が、そ
の時点までに登録されているすべての対象についての安全性データと共に再検討され、満
足なものであると判断されなければならず、その後、コホート4(年齢≧6~≦21歳且
つ体重(BW)≧30~≦40kg)は、登録のために開放することができる。
・コホート5を開放すること:8週の治療を完了した≧30~<40kg BWの少な
くとも10人の子供/若者(コホート4)からのPKデータが、その時点までに登録され
ているすべての対象についての安全性データと共に正式なPK中間解析をもたらすことと
なり(PK-IA;Section 4.4)、また再検討され、満足なものであると判
断されなければならず、その後、コホート5(年齢≧6~≦21歳且つ体重(BW)≧2
0~<30kg)は、登録のために開放することができる。
【0244】
研究全体を通して、以前のコホートへの登録が継続することとなり、コホート1(およ
そ50人の対象で上を覆われていることとなる)を除いて、次のコホートが登録のために
開放する場合、停止することにはならない。最低で10人の対象が各コホートに登録され
ることとなる。しかし、上に記述した通り、≧40~<50kgの体重範囲における10
人の対象は、コホート1及び2で評価可能であるならば、コホート3は省略することがで
きる。
【0245】
登録された対象の少なくとも50%が6か月の治療を完了したら、無益性についての中
間解析が計画される。登録された対象の少なくとも2/3が12か月の治療を完了したら
、無益性及び有効性についての中間解析を行うことができる。
【0246】
臨床的に妥当な期間にわたり、β細胞機能の低下に対する薬物効果(下降の減速)の可
能性を自然な疾患進行と区別することを可能にするために、1年の治療が必要とされる。
【0247】
5.集団
研究集団は、新規に診断されたT1DMの小児及び若年成人対象から構成されることと
なる。6~21歳(端値を含む)のおよそ102人の対象を、研究デザインに概説した通
りの順序でこの研究に登録し、無作為化することとなる。
【0248】
6.主な選択基準
・少なくとも1種の陽性の自己抗体:グルタミン酸デカルボキシラーゼ(抗GAD)、
タンパク質チロシンホスファターゼ様タンパク質(抗IA-2);亜鉛トランスポーター
8(抗ZnT8);島細胞(細胞質)(抗ICA)によって確認された、新規に診断され
た自己免疫性T1DM。
・無作為化前の1か月以内の標準の流動食MMTTに従う刺激時Cペプチドレベルのピ
ーク≧0.2pmol/mL(0.6ng/mL)
・研究参加者は、地域の予防接種ガイドラインに従い、試験薬での初回投与前、少なく
とも4週前に推奨されるすべての不活化(死菌)予防接種及び少なくとも4か月前に弱毒
化(生)予防接種を完了するべきである。
【0249】
7.主な除外基準
・若年発症成人型糖尿病(MODY)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、後
天性糖尿病(薬物適用又は手術に続発する)、2型糖尿病など、自己免疫性T1DM以外
の糖尿病型。
・ベースラインMMTT検査の2週以内の糖尿病性ケトアシドーシス。
・多腺性自己免疫疾患、アジソン病、悪性貧血、セリアック病の病歴。
・高IgM症候群などの免疫不全障害の病歴;免疫不全障害を示唆する再発性感染症の
病歴。
・CFZ533静脈内負荷投与の前の8日以内の重大な歯科治療;初回投与の前の48
時間以内の熱性疾患。
・登録時点での又は登録の半減期の5倍以内の若しくは期待される薬理学効果がベース
ラインに戻るまでの(いずれか長い方);又は地方条例によって必要とされるならばそれ
よりも長い間の他の被験薬の使用又は免疫抑制剤の使用。
・B型肝炎(HBV)又はC型肝炎(HCV)を伴う慢性感染症。HBV表面抗原(H
BsAg)検査陽性又は標準の地域診療ならばHBVコア抗原検査陽性は、対象を除外す
る。HCV抗体検査陽性である対象は、HCV RNAレベルが測定されるべきである。
(検出可能な)HCV RNA陽性である対象は、除外されるべきである。
・活動性感染症を示唆する検査閾値を超えるウイルス負荷によるエプスタイン-バーウ
イルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)又は単純ヘルペスウイルス(HSV
)の証拠。
・スクリーニング時の次の異常臨床検査値:1,500~15,000/mm3(1.
5~15.0×109/L)の範囲を超える総白血球数(WBC)
・好中球数(<1500/mm3)(<1.5×109/L)
・リンパ球数<500/mm3(<0.5×109/L)
・ヘモグロビン(Hgb)<8.0g/dL
・血小板<100,000/mm3(<100×109/L)
のいずれか。
【0250】
8.研究治療
対象を、2つの治療群、CFZ533又は適合するプラセボの1つに2:1の比で割り
当てることとなる。
【0251】
単回静脈内(IV)負荷投与について、すべての対象が研究第1日(第0週)に同じ用
量:CFZ533 30mg/kg(IV)を受ける。
【0252】
皮下(SC)維持レジメンについて、体重(BW)カテゴリーごとの固定されたCFZ
533用量が第8日(第1週)~第52週(最終投与)まで毎週投与されることとなる:
・BWカテゴリーI(≧20~<30kg):135mg(0.9mLの1回の注射)、
SC、毎週
・BWカテゴリーII(≧30~<50kg):195mg(1.3mLの1回の注射)
、SC、毎週
・BWカテゴリーIII(≧50kg):300mg(2mLの1回の注射又は1mLの
2回の注射)、SC、毎週。
【0253】
9.有効性評価
・MMTT中のCペプチド
【0254】
10.薬力学的評価
・ベースラインでの、治療中及び追跡調査期間中の、血漿中の可溶型CD40(sCD
40)濃度(全血における標的生物学及び標的結合)。
【0255】
11.薬物動態学的評価
・血漿中のCFZ533濃度(ベースラインでの、治療中及び追跡調査期間中)。
【0256】
12.他の評価
・継続的グルコースモニタリング。
・潜在的な作用様式、疾患及び早期有効性バイオマーカー(限定はされないが、濾胞性ヘ
ルパーT細胞、血清CXCL13、血清及び尿CD40におけるT1DM自己抗体の標的
パネルが含まれる)。
・CFZ533の免疫原性
(ベースラインでの、治療中及び追跡調査期間中の、血漿中の抗CFZ533抗体)。
【0257】
13.データ解析
少なくとも81人の対象が12か月の治療を完了した後、主要な安全性及び有効性分析
を行うこととなる。12か月での有効性のエビデンスが存在しないならば、すべての対象
は、投薬後の安全性及びウォッシュアウト評価を可能にするために、各対象が、最終投薬
から少なくとも4か月を経たときに研究終了来診を予定に入れることとなる。
【0258】
すべての分析について、対象は、受けた研究治療に従って分析されることとなる。安全
性分析集合には、いずれかの研究治療を受けたすべての対象が含まれることとなる。
【0259】
PK分析集合には、いずれかの試験薬を受けた且つPKデータに影響を与えるプロトコ
ル逸脱を有しない、少なくとも1つの利用可能な有効なCFZ533濃度測定値を有する
すべての対象が含まれることとなる。PD分析集合には、利用可能なPDデータを有し且
つPD結果に影響を与える重大なプロトコル逸脱を有しないすべての対象が含まれること
となる。
【0260】
14.用量/レジメン及び治療期間の理論的根拠
新規発症T1DM対象におけるCFZ533についての投薬の理論的根拠は、
・腎移植(腎臓Tx;研究CCFZ533X2201-パート2)、
・原発性シェーグレン症候群(pSS;研究CCFZ533X2203)、
・グレーブス病(GD;研究CCFZ533X2205)、
・重症筋無力症(MG;研究CCFZ533X2204)、
・関節リウマチ(RA)対象(ファーストインヒューマン研究CCFZ533X2101
)
においてCFZ533を用いる試験からの曝露、安全性及び忍容性データに基づいており
、また腎移植、原発性シェーグレン症候群及びグレーブス病における有効性データに基づ
いている、
【0261】
この投薬レジメンには、
・この試験におけるすべての対象に対する第1日(第0週)での30mg/kgの体重補
正した静脈内(IV)負荷投与、それに続く、
・第8日(第1週)~第52週(最終投与)まで毎週投与される固定された皮下(SC)
投与
が含まれ、これは、次の体重カテゴリー
・体重カテゴリーI(≧20~<30kg):135mg(0.9mLの1回の注射)
・体重カテゴリーII(≧30~<50kg):195mg(1.3mLの1回の注射)
・体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg(2mLの1回の注射又は1mLの
2回の注射
に基づいている。
【0262】
IV負荷用量は、研究医療機関で投与されることとなる。毎週のSC用量(135、1
95又は300mg)は、治療期間中の体重増減を考慮するために、第1日/第0週、第
85日/第12週、第169日/第24週、第253日/第36週及び第337日/第4
8週の医療機関来診時に3か月ごとに記録される対象の体重に基づいて定義されることと
なる。毎週のSC用量は、自宅で又は研究医療機関で投与することができる。
【0263】
体重カテゴリーごとの新規発症T1DM対象における予測されるPKプロフィール(3
つすべての体重カテゴリーについて、類似のCFZ533血漿中濃度が得られる)を
図2
に与える。
【0264】
第1日の静脈内(IV)負荷用量の理論的根拠
第1日の30mg/kgのIV負荷用量は、
・標的組織(すなわち膵臓リンパ節)におけるCD40受容体を急速に飽和させ、且つ診
断の100日以内の疾患(膵島炎、膵島における浸潤におけるB及びT-リンパ球、活性
な異所性胚中心)の攻撃性が、高い組織CD40発現と関連する可能性が高い状態におけ
るCFZ533のCD40介在性の排除を最小限にすること
・残存するβ細胞の侵襲性の自己免疫性破壊、膵島炎及び病原性の自己反応性Bリンパ球
の局所的浸潤を急速に遮断すること
が予測される。
【0265】
新規発症T1DM患者におけるCD40発現:
自己免疫疾患(T1DMが含まれる)を有する患者は、一般に、標的組織におけるCD
40発現増大及び血清/血漿の可溶型CD40(sCD40;シェディング受容体)レベ
ルの上昇を呈する。
【0266】
T1D患者では、血漿CD40レベルの上昇は、標的組織におけるCD40の発現上昇
を反映すると思われる。
【0267】
Chatzigeorgiou et al(2010a)では、
・小児のT1DM患者は、健康な対照(66pg/mL)と比較して有意に高い血漿sC
D40レベル(93pg/mL)を有しており、これは、血漿インターロイキン-6(I
L-6)、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)及びCRPレベルの上昇
と関係があった。
・T1DMでは、健康な対照と比較して尿CD40レベルも上昇し(それぞれ335pg
/mL及び150pg/mL)、これらの患者におけるsCD40の血漿中濃度の上昇は
、腎臓排泄減少ではなく、CD40産生増大を反映することを示唆していた。
・細胞性CD40(末梢血単核細胞)の上方調節も観察され、血漿sCD40、IL-6
、CRP並びにヘモグロビンA1c(HbA1c)と正の相関があった。
・血漿及び末梢血単核細胞(PBMC)のCD40レベルは、T1DMを有する小児患者
では上昇するように見え、炎症と正の相関がある。
【0268】
Chatzigeorgiou et al(2010b)では、血漿CD40濃度も
、糖尿病患者で健康な対照よりも有意に高く(約110pg/mL対55pg/mL)、
HbA1cと正の相関があった。さらに、<1か月、1~6か月又は>6か月の疾患期間
を有する患者について、血漿CD40は、それぞれ約75、190及び88pg/mLで
あった。
【0269】
IV負荷投与を通した治療(診断の100日以内の投薬)の開始時、膵島における飽和
及び効果的な状態を達成することが、残存するβ細胞機能を維持するのに有効な免疫介入
にとって重要である。
【0270】
CFZ533 30mg/kg IV負荷投与は、CFZ533がCD40介在性の薬
物消失(又は標的介在性薬物消失-TMDD;(用量に対して)かなりの割合の薬物がC
D40受容体に結合し、CFZ533クリアランスに影響を与えるプロセス)を受けるこ
とを考慮して、さらに妥当なものにされる。
【0271】
TMDDの程度は、組織中のCD40受容体のレベル及びこれらの受容体の飽和のレベ
ルによって決定される。CD40発現の上昇は、CD40が十分に飽和していなければ、
標的組織におけるCFZ533の高い排除率及び標的エンゲージメントの喪失と関連する
可能性がある。
【0272】
負荷レジメンは、治療の開始時に十分なCD40-CD154経路遮断を提供すること
が期待される。これらの条件では、CFZ533のクリアランス全体へのCD40の寄与
は、最小限であり、CFZ533の消失は、主としてFcRn受容体へのCFZ533結
合の結果である。
【0273】
組織におけるCD40発現が著しく亢進される状態においてCD40受容体を飽和でき
ないことは、臨床的有効性欠如につながる可能性がある。
【0274】
これは、抗CD40抗体ASKP1240で実証された (ブレセルマブ(blese
lumab);Goldwater et al 2013)。
【0275】
ブレセルマブは、腎移植(Tx)対象(第2相試験;Harland et al 2
017)において、また移植を受けたサル(Ma et al 2014)において調査
されている。
【0276】
ブレセルマブを用いる第2相試験では、カルシニューリン阻害剤なしの群における拒絶
反応の大部分は、第60日よりも前に発生した。本発明者らは、ブレセルマブが、最初の
1又は2か月にわたり、ブレセルマブの効率的なCD40介在性排除、最適以下の組織曝
露及び高い割合の移植不全をもたらす、組織におけるレベルが増大したCD40発現を十
分に飽和できない投薬状態に起因して、CNIなしのレジメンにおいて失敗したと仮説を
立てる。
【0277】
この仮説は、移植を受けたサルにおける前臨床データによって裏付けられる。移植を受
けたサルが同種腎移植を受けた場合、レシピエントの免疫系は、迅速に活性化され、Bリ
ンパ球、樹状細胞及びマクロファージにおける、また選択された同種移植片実質細胞上の
CD40発現レベルの増大がもたらされる。同種抗原に対する免疫応答の結果として、活
性化された細胞及び占有されていないCD40部位の数は、増加し、より高い用量及び/
又はより高頻度のブレセルマブの投与を必要とすることとなり、考えは、移植を受けた動
物において観察されたブレセルマブのクリアランスの増大によって裏付けられた。
【0278】
30mg/kg IV負荷投与後のCFZ533曝露
CFZ533 30mg/kg IV負荷投与は、関節リウマチ(RA)及び腎移植患
者に使用されている用量及びレジメンに相当する曝露に到達する(約826μg/mLの
Cmax中央値が含まれる)ことが期待される。
・関節リウマチ対象(N=4;ファーストインヒューマン研究)では、848μg/m
L(635~1120μg/mLの範囲)の平均Cmaxが観察された。この用量は、安
全であり且つ良好な耐容性を示した。
・腎移植(N=33、最大の解析対象集団;CCFZ533X2201-パート2)で
は、負荷レジメンは、第1、3、7(最初の週の間は高頻度)、15、29、43及び5
7での10mg/kg(IV)であり、その後、第57日から、維持レジメンは、4週ご
との10mg/kg(IV)であった。この負荷レジメンは、良好な耐容性を示しており
、CFZ533で治療された対象について、バックグラウンドの免疫抑制療法を受けてい
る対照と比較して、感染症の割合の増大を伴わず、好中球減少の報告もなかった。観察さ
れた最も高い平均トラフ血漿中CFZ533濃度は、負荷レジメンの最後の第57日の3
06μg/mL(161~419μg/mLの範囲)であった。
【0279】
アカゲザルにおけるCFZ533(150mg/kg/週、IV)での13週の毒性研
究では、Cmax(第1日)及び定常状態(ss)(第13週)でのCmaxは、それぞ
れ4060及び11650μg/mLであった。バックグラウンド感染症に起因すると考
えられる異なる器官の炎症性の変化により、この研究におけるNOAELを10mg/k
gに設定した。CFZ533の薬理学的特性に基づいて予想される可能性がある免疫抑制
関連の感染症を除いて、毒性研究における他の所見は存在しなかった。
【0280】
皮下(SC)維持レジメンの理論的根拠
IV負荷投与についての体重(BW)補正される手法とは対照的に、第8日に開始する
第52週の最終投与までの毎週のSC維持レジメンは、次の3つの体重カテゴリー
・体重カテゴリーI(20~<30kg):135mg、SC、毎週
・体重カテゴリーII(30~<50kg):195mg、SC、毎週
・体重カテゴリーIII(≧50kg):300mg、SC、毎週
に従って選択される固定されたSC用量に基づいている。
【0281】
固定された投薬戦略を仮定して、体重カテゴリーは、この研究における体重範囲全体に
わたるすべての対象について同様の曝露レベルを維持するために作成した。これは、CF
Z533のクリアランスに対する体重の予測される影響に基づいて妥当なものにされる。
これは、モノクローナルAb様CFZ533について典型的であり、固定用量戦略が使用
される場合のアロメトリーな原則と一致する(Wang et al 2009、Wan
g及びPrueksaritanont 2010)。
【0282】
3つの体重カテゴリーが提案される(20~<30kg、30~<50kg及び≧50
kg)。これは、各カテゴリー内の各対象のばらつき間で同様であることを確実にするた
めに、また体重カテゴリー内の各境界間の同様の曝露の差の何倍か(体重に対する0.7
5のアロメトリック係数を仮定すると1.4~1.6倍、これは、IgG1型抗体にも典
型的である)に基づいて妥当なものにされる。
【0283】
カテゴリーIII(≧50kg体重)では、定常状態で、予測される典型的なトラフC
FZ533血漿中濃度(Cトラフ,ss)は、約222μg/mLである(集団の90%
は140~344μg/mL;
図4-1)。カテゴリーI(20~<30kg)及びカテ
ゴリーII(30~<50kg)について、同様のCFZ533血漿定常状態(ss)C
トラフ値が予測される。
【0284】
T1DMにおける予測されるCFZ533血漿Cトラフ,ss値は、原発性シェーグレ
ン症候群、腎移植、グレーブス病及び重症筋無力症患者においてCFZ533を用いる進
行中の又は完了した臨床研究において、既に評価され、ここで、これらは、全般的に安全
であり且つ良好な耐容性を示した。
【0285】
体重カテゴリーIIIにおけるT1DM患者/対象についての予測されるCFZ533
血漿Cトラフ,ss値(カテゴリーI及びIIについて、同様のCトラフ,ssが予測さ
れる)を、
図3において、以前の臨床試験におけるCFZ533についての観察されたト
ラフ濃度についてのと比較する。また、上に言及した通り、腎移植(N=33;CCFZ
533X2201-パート2)では、負荷期間(非定常状態条件)後、第57日に観察さ
れた平均トラフ血漿中CFZ533濃度は、306μg/mL(161~419μg/m
Lの範囲;
図3に示されない)であった。
【0286】
体重≧50kg(カテゴリーIII)を有するT1DM患者のためのCFZ5533
300mg毎週SCレジメンは、研究CCFZ533X2203-コホート3(N=25
;IV負荷用量後又はSC負荷レジメン後)により、原発性シェーグレン症候群患者にお
いて最近評価されている。
【0287】
カテゴリーIIIにおけるT1DM患者/対象についての222μg/mLという予測
される定常状態CFZ533トラフ濃度の中央値は、
・研究CCFZ533X2203-コホート2(10mg/kg IVレジメン;
図3中
の(i))における原発性シェーグレン症候群対象において観察される平均トラフレベル
と同様であり、且つ
・研究CCFZ533X2203-コホート3(
図3中の(vi))におけるCFZ53
3について観察される平均Cトラフ値をわずかに超える。この予測される差は、T1DM
におけるCFZ533についての、原発性シェーグレン症候群と比較してわずかに高い、
予測される皮下バイオアベイラビリティの結果である。実際、(リンパ系のような全身を
巡る前の部分)におけるCD40レベルの上昇に起因して、原発性シェーグレン症候群対
象では、全身を巡る前のCFZ533のCD40介在性排除の結果として、より低いCF
Z533のSCバイオアベイラビリティが予測される。新規発症T1DM患者/対象では
、炎症を起こした膵臓における高いCD40発現が予測され、CD40受容体の全身を巡
る前のプールは、原発性シェーグレン症候群対象と比較して低い可能性が高い。
【0288】
カテゴリーI(135mg、SC、毎週)、II(195mg、SC、毎週)及びII
I(300mg、SC、毎週)について、CFZ533の同様の定常状態トラフ血漿中濃
度が予測される。
【0289】
定常状態での予測される最大CFZ533血漿中濃度(Cmax,ss中央値)は、約
294μg/mLである(体重カテゴリーIII;予測区間:207(5パーセンタイル
)~453(95パーセンタイル)μg/mL)。これらのCmaxは、非ヒト霊長類に
おける13週又は26週の毒性研究において測定されるCmax,ss値よりも少なくと
も19倍低い。
【0290】
T1DM患者/対象における予測される血漿CFZ533曝露は、原発性シェーグレン
症候群及び腎移植対象において効果的であると実証された観察された曝露の範囲内である
。
・原発性シェーグレン症候群対象では、研究CCFZ533X2203-コホート2(
10mg/kg(IV)レジメン)における約203μg/mL(第113日)及び13
5μg/mL(第141日;治療期間の最後)という平均トラフ血漿中濃度が、12及び
24週での臨床的有効性と関連していた(CFZ533で治療された対象における、プラ
セボと比較した場合の、欧州リウマチ学会(European League Agai
nst Rheumatism)シェーグレン症候群疾患活動性指標(ESSDAI)の
明らかな向上)。全体的に見ると、原発性シェーグレン症候群対象における10mg/k
g IV CFZ533の反復投与(21週にわたる合計8回の投与が含まれる)は、安
全であり且つ良好な耐容性を示している。
・研究CCFZ533X2201-パート2(第57日までの10mg/kg(IV)
負荷レジメン、次いで第337日の最終投与までの4週ごとの10mg/kg(IV)-
第337日でのおよそ156μg/mLの平均Cトラフ)では、CFZ533血漿中濃度
は、良好な耐容性を示し、且つ効果的であった。CFZ533で治療される群における対
象は、研究全体を通して有意に優れた腎機能を有しており(eGFRの差はおよそ10m
L/分であった)、急性拒絶反応のリスクは、タクロリムスで治療された対象(標準治療
群)のリスクと同様であった。
【0291】
実施例5.非臨床の薬物動態及び薬力学
1.薬物動態(PK)
IgG免疫グロブリンに典型的であるが、mAb1の排除の主要な経路は、血漿と平衡
状態にある部位で起こるタンパク質分解性の異化作用を介する可能性が高い。さらに、m
Ab1-CD40複合体の結合及び内在化は、迅速な飽和性のクリアランス経路をもたら
した。これは、約10~20μg/mLでの屈曲点を示す非線形のmAb1血清中濃度-
時間プロフィールによって示された。クリアランス全体に対するCD40介在性のクリア
ランスの寄与は、CD40発現、内在化及び受容体代謝回転速度のレベルと共にmAb1
濃度に依存する。mAb1>10~20μg/mLの血清中濃度について線形の動態が予
想されるのに対し、より低い濃度では非線形動態が明らかになる。
【0292】
2.薬力学(PD)
カニクイザルにおけるPK/PD研究では、PKプロフィールにおける屈曲点(約10
μg/mL)は、独立したリンパ球標的飽和アッセイにおいて決定される場合のCD40
飽和の低下と関係があった。したがって、この屈曲点は、CD40の飽和のレベルについ
てのマーカー及び標的エンゲージメントを示す証拠とみなされる。
【0293】
CD40占有率と薬力学的活性との関連を、KLHで免疫を受けたアカゲザルにおいて
さらに実証した。サルは、KLHで3回免疫を受けた(1回目は、投薬の約3週前であり
、2回目は、mAb1投与の2週後であり、3回目は、mAb1の完全なウォッシュアウ
ト後であった)。第2のKLHワクチン接種時の血漿中濃度>40μg/mLのmAb1
によるCD40占有は、リコール抗体反応を完全に予防した。mAb1がなくなると、す
べての動物は、第3のKLHに対する十分なメモリー抗体反応を開始した。これらの結果
は、既存のメモリーB細胞の機能が影響を受けなかったことを示唆する。mAb1の完全
な排除後、破傷風トキソイド(TTx)での免疫化は、治療されていない動物と同様の抗
TTx-IgG/IgM力価をもたらし、mAb1排除後に十分なTDARが回復したこ
とを実証した。
【0294】
3.免疫原性
免疫抑制薬から予測される通り、アカゲザル(単一用量)における免疫原性データは、
KLH-TDAR実験からの結果と一致しており、mAb1による十分なCD40占有下
ではmAb1に対する免疫応答が開始されない可能性があることを裏付けた。
【0295】
実施例6.CFZ533、すなわち遮断性の非細胞枯渇抗CD40モノクローナル抗体の
インビトロ及びインビボ特性の特徴
1.方法
CD40に対するCFZ533の親和性の表面プラズモン共鳴分析
組換えCFZ533の結合分析を、ランニング緩衝液としてHBS-EP+を用いて2
5℃で実施した。典型的な結合分析サイクルは、3つのステップ(i)チップ表面上に固
定されたタンパク質Aを介する抗体の捕捉、(ii)捕捉された抗CD40抗体へのCD
40抗原の結合、及び(iii)タンパク質A表面の再生から構成されていた。抗原-抗
体結合相互作用の反応速度定数を決定するために、ブランク注射からの反応を二重参照し
て、結合データを処理した。結合曲線を、Biacore T100 Evaluati
onソフトウェアの1:1相互作用モデルを使用して局所的に適合させて、反応速度定数
を決定した。平衡解離定数(KD)の値を速度定数kd/kaの比として算出した。すべ
ての結合測定は、2つの独立した実験で実施した。
【0296】
FcγRIIIAに対するCFZ533の親和性の表面プラズモン共鳴分析
4-アミノ酸精製タグ(4APP;Novartis)及びAviビオチン標識タグ(
GLNDIFEAQKIEWHE;Avidity)でタグ付けされたヒトFcγRII
IAの細胞外ドメインをGeneart:ヒトFcγRIIIA(CD16a)158V
(Uniprot:P08637、17-199)、ヒトFcγRIIIA 158F(
Uniprot:P08637、17-199)によって合成し、HEK293細胞にお
いて発現させ、抗4APP親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。受容体を、スト
レプトアビジンセンサーチップ(General Electric)に結合させたBi
rA(Avidity)を用いて部位特異的にビオチン標識し、異なるAbの平衡-結合
レベルを、記載されている通りに表面プラズモン共鳴(T100、General El
ectric)によって分析した(Warncke et al.2012)。平衡解離
定数(KD)は、1:1モデルによって算出した。
【0297】
ヒト白血球培養
全血バフィーコートは、健康なボランティアから採取された全血から得た。ヒト扁桃試
料は、Ergolz Klinik(Liestal,Switzerland)(研究
プロトコルNo.1000244 v.03;Ethikkommission bei
der Basel;EKBBによって承認されている)及びKantonspital
(Liestal,Switzerland)(研究プロトコルNo.TRI0149
v.01;EKNZによって承認されている)の両方から得た。インビトロ培養実験につ
いては、詳細な方法についての補足資料を参照されたい。簡単に言うと、全血、単離され
たPBMC、インビトロで得られた単球DC又はヒト扁桃B細胞を単一濃度の又は用量漸
増のCFZ533又は適切な対照抗体と共にインキュベートした。経路遮断実験について
、これらの培養物は、EC80濃度の組換えヒトCD154(5μg/ml)及びIL-
4(75ng/ml)も含んでいた。インビトロアッセイの読み取りには、チミジン取り
込み(3H-TdR)によって評価される増殖、B細胞上の活性化分子CD69の発現の
フローサイトメトリーに基づく評価及びELISAによって評価されるサイトカイン分泌
が含まれていた。NHP全血及びPBMCについて、同様のアッセイを使用した。いくつ
かのヒト全血実験では、蛍光的にタグ付けしたCFZ533を使用してCD40受容体占
有も調べた。適切な場合、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにお
ける線形回帰に基づく曲線適合を使用してIC50値を推定した。
【0298】
インビトロ細胞枯渇アッセイ
詳細な方法についての補足資料を参照されたい。簡単に言うと、CFZ533がCD2
0posB細胞の枯渇を媒介する能力を、B細胞枯渇抗体リツキシマブと比較して、3日
の期間にわたってヒト全血においてモニタリングした。CDCについて、CFZ533を
ウサギ補体の存在又は非存在下でRAJI B細胞と共にインキュベートし、細胞溶解を
発光によって評価した。
【0299】
CFZ533の内在化
蛍光的にタグ付けしたCFZ533及びrCD154の内在化を、ヒトB細胞株RI-
1(Th’ng et al,1987)を使用してインビトロで評価した。CFZ53
3内在化のCD40依存性は、CD40ノックアウトRI-1細胞株を使用して評価した
。内在化は、製造業者の指示書に従ってAmnis(登録商標)イメージフローサイトメ
ーター(image flow cytometer)(Merck KHaA,Dar
nstadt)を使用して評価し、データはImageStream(登録商標)Xソフ
トウェアを使用して解析した。
【0300】
インビボ研究
単一用量薬物動態/薬力学的(PK/PD)研究は、7.5~8.5歳(6.5±2.
6kg)の、フィリピン(Siconbrec,Makati City,Philip
pines)で飼育下繁殖された、生物製剤治療を受けていないカニクイザル(Maca
ca fascicularis)を利用した。この研究は、動物福祉法及び認められて
いる動物福祉の標準に関して国の法的規制の徹底順守で、認可された研究プロトコル及び
地域の標準の手術手順に従って実施した。
【0301】
PK研究では、CFZ533は、16.2(5532)、18.5(5531)及び2
0(5530)mg/kgの計算された単一用量で3匹の動物に投与された。CFZ53
3血清中濃度、末梢T及びBリンパ球の数及びCFZ533による末梢B細胞上のCD4
0占有の分析のために血液を採取した。リコールTDAR実験について、動物は、研究第
8日(初回抗原刺激)及び43日(リコール;CFZ533治療中)にそれぞれAlum
中のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で免疫を受けた。初回抗原刺激及びリ
コール免疫化の1日前並びに7、14及び21日後に血清を採取した。KLH特異的なI
gM/IgG力価は、標準としてカニクイザル抗KLH IgM/IgG標準血清を使用
するサンドイッチELISAを用いて決定した。PK評価は、上に記載している通りに実
施した。PK及びTDAR実験の追加的詳細については、補足資料を参照されたい。
【0302】
胚中心の組織学的分析
ホルマリン固定し、パラフィンワックスに包埋した(FFPE)脾臓及びリンパ節(腋
窩、下顎及び腸間膜)の切片を、ヘマトキシリン及びエオジンで、且つ以下のマーカー:
抗CD20抗体(M0755、Dako)、抗CD8抗体(RM-9116-SO、Me
dac)及びKi67(M7240、Dako)を用いる間接的な免疫ペルオキシダーゼ
方法(DakoによるHRP+DAB)で染色した。すべてのスライドを評価し、染色の
強度に従って(陰性~強度)等級分けした。さらに、組織内のあらゆる免疫組織化学的染
色された細胞の染色パターン及び分布も記載した。
【0303】
実施例7.CFZ533は、ヒトCD40と結合し、複数のCD40発現細胞型のrCD
154誘導性の活性化を阻害する。
表3は、組換えヒトCD40に対するCFZ533のKDが表面プラズモン共鳴によっ
て0.3nMと決定され、したがってその親抗体HCD122(CFZ533の野生型I
gG1バージョン)と非常に類似していたことを示す。
【0304】
【0305】
図4Aは、複数のドナー(それぞれ5、32及び6人のドナー)からのヒト全血培養物
、PBMC及び単離された扁桃B細胞のrCD154及びIL-4介在性の増殖(3H-
TdR)に対するCFZ533の効果を示す。データは、正規化されたcpmとして示す
(rCD154+IL-4=100;点線)。
図4Bは、CFZ533が、一晩の培養後
のrCD154刺激されたmoDCによるTNF-α産生を阻害したことを示す。
図4C
は、CFZ533の添加の遅延がrCD154+IL-4介在性のヒトPBMC増殖を阻
害したことを示す。rCD154+IL-4での刺激の1時間前、同時又は2及び6時間
後にCFZ533をヒトPBMCに添加し、その後の4日間の培養後に増殖(3H-Td
R)を評価した(点線及び破線は、rCD154+IL-4及び細胞+培地対照を表す)
。すべてのデータについて、rCD154誘導性の刺激の読み取りの平均値及びSDを、
対数変換したCFZ533濃度の関数としてグラフで示した。適切な場合、IC50値を
、線形回帰に基づく曲線適合を使用して決定した。
図4Dは、CFZ533によるCD4
0占有と経路遮断との関係を示す。10人のドナーからのヒト全血を用量漸増のCFZ5
33の存在下でrCD154と共に一晩培養した。経路活性化の程度(B細胞上の%CD
69pos)及びCD40占有の程度(CFZ533をAlexaFlour 488標
識して染色)を評価した。白丸及び黒丸は、それぞれCFZ533によって占有されるC
D40の割合及びCD20pos B細胞上のCD69pos発現細胞の割合を、対数変
換したCFZ533濃度の関数として示す(平均値及びSDを示す)。点線及び破線は、
すべてのドナーに対して正規化されたrCD154誘導性のCD69発現及び細胞+培地
対照培養物を表す。
【0306】
図4は、CFZ533が複数のドナーからのヒト全血培養物、PBMC並びに精製され
た扁桃B細胞のrCD154誘導性の増殖をそれぞれ0.024μg/ml(0.16n
M)、0.017μg/ml(0.12nM)及び0.071μg/ml(0.47nM
)の力価(IC50値)で完全に阻害したことを示す。さらに、本発明者らは、CFZ5
33が初代単球由来樹状細胞(moDC)によるrCD154誘導性のTNF産生を0.
04μg/ml(0.27nM)のIC50で完全に阻止したことを実証することができ
た(
図4B)。
【0307】
以前に公表されている通り、CFZ533は、カニクイザル由来のPBMCのrCD1
54誘導性の増殖を阻害した(Cordoba et al.,2015)。CFZ53
3は、ヒト、アカゲザル及びカニクイザル動物由来のPBMCのrCD154誘導性の増
殖を同様の力価(それぞれ0.02、0.03及び0.01μg/mlのIC50)で阻
害し、またこれらの種由来のB細胞上のCD40とおよそ0.2μg/mlのEC50値
で結合することができた(表4を参照されたい)。
【0308】
【0309】
上の細胞データは、CFZ533がrCD154の前に又はrCD154と同時に添加
される実験から得られ、この抗体が内在性リガンドの結合を妨げることができたことを示
している。本発明者らは、rCD154を含有する白血球培養の開始の最大6時間後のC
FZ533の添加が、最小限の力価の損失を伴って、細胞活性化の完全な阻害をもたらす
ことを実証することもでき、これは、CFZ533がCD40から内在性リガンドを外し
て取って代わることができることを示している(
図4C)。
【0310】
本発明者らは、CFZ533によるCD40占有の程度と、経路阻害の程度との間の関
係を評価することも望んでいた。それを行うために、本発明者らは、複数のドナーからの
全血において、CFZ533によるCD40受容体占有及びrCD154誘導性のCD6
9を同時に評価した。
図4Dは、CFZ533による少なくとも90%のCD40受容体
占有率がCD40経路活性化の完全な遮断のために必要とされていたことを示す。受容体
占有と経路阻害との間の同様の関係は、CD40経路活性化の読み取りとしてCD23及
びCD54を使用しても認められた(データは示さない)。
【0311】
実施例8:CFZ533は、インビトロで最小限の刺激の可能性を呈する
CFZ533がヒト白血球の活性化を刺激する能力を、全血におけるB細胞上の活性化
分子CD69の増殖及び上方調節を使用して評価した。
図5Aは、以下に関するデータを
示す。i.複数のドナー(n=13)からのヒト全血を用量漸増のCFZ533と共にイ
ンキュベートし、培養の3日後に増殖(
3H-TdR)を評価した。ii.複数のドナー
(n=26)からのヒトPBMCを用量漸増のCFZ533と共にインキュベートし、培
養の3日後に増殖(
3H-TdR)を評価した。いずれのグラフについても、データは、
対数変換したCFZ533濃度の関数として、正規化されたcpmの平均値及びSDとし
て示す(rCD154+IL-4=100;点線、細胞+培地=0;破線)。
図5Bは、
CFZ533が追加の刺激の存在下でヒトPBMC増殖を誘発しないことを示す。ヒトP
BMCをIL-4(i)又は抗IgM F(ab’)2.(ii)の存在下において用量
漸増のCFZ533で3日間刺激した。3H-TdR(cpm)の平均及びSDを、対数
変換したCFZ533濃度の関数として示す。
図5Cでは、ヒト全血(41人のドナー)
が、刺激なし、CFZ533、アイソタイプ対照又はrCD154と共にどのように一晩
培養されたか、またB細胞上のCD69発現がFACSによってどのように評価されたか
を示す。それぞれの点は、単一のドナーからのデータを表し、平均の%CD69値は、水
平な赤線によって示される。
【0312】
図5Aは、CFZ533が、rCD154と対照的に、ヒト全血(1:10希釈)又は
PBMCによるチミジン取り込みを誘発できなかったことを示す。CFZ533が増殖を
誘発できないことは、IL-4又は抗IgMなどの追加の共刺激物質の添加によって影響
を受けなかった(
図5B)。本発明者らは、CFZ533が、やはりrCD154と対照
的に、複数のドナーからの全血におけるB細胞上のCD69の上方調節を誘発できなかっ
たことを実証することもできた(
図5C)。最後に、CFZ533は、CD40を発現し
ている単球由来DC又はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)によるサイトカイン産生を
誘発できなかった(データは示さない)。
【0313】
実施例9:CFZ533は、細胞枯渇を媒介しない
CFZ533を、FcγR結合を阻止し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介でき
ないことをもたらすことが以前に示されているN297A変異を含有するように操作した
。CFZ533は、HCD122(野生型IgG1)と比較すると、FcγRIIIAと
結合することができず(表5)、本発明者らは、結合のこの欠如が、CFZ533が細胞
枯渇を媒介する能力にどのようにして影響を与えるかを調べることを望んでいた。
【0314】
【0315】
図6Aは、用量漸増のCFZ533又は50μg/mlリツキシマブの存在下で72時
間インキュベートされたヒト全血培養物からのデータを示す。B細胞数は、リンパ球FS
C/SSCゲートの範囲内にあるCD45pos及びCD19pos事象に基づいて決定
した。個々の抗体濃度についての結果を、治療していない試料に関して、残存するB細胞
(パーセント)として算出し、対数変換した抗体濃度の関数としてグラフで示した(10
0%に補正し、点線として示した)。データは、8人の独立したドナーの平均値及びSD
を表す。
図6Bは、異なる濃度のリツキシマブ又はCFZ533及び一定濃度のウサギ補
体と共にインキュベートしたRaji B細胞からの結果を示す。Raji細胞の濃度依
存性の死滅を2時間後に分析し、ここで、細胞の生存率を、ルシフェラーゼを使用する各
ウェル内のATP濃度の決定によって測定した。結果は、対数変換した抗体濃度の関数と
して、アイソタイプ対照に対して正規化された相対ルシフェラーゼ単位(RLU)として
示す。
【0316】
図6Aは、枯渇抗CD20抗体リツキシマブがヒト全血におけるB細胞のおよそ80%
を排除することができたのに対して、CFZ533が細胞枯渇を少しも媒介できなかった
ことを示す。さらに、CFZ533は、リツキシマブとは対照的に、Raji B細胞の
補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介することができなかった(
図6B)。
【0317】
実施例10:CFZ533は、B細胞によってCD40依存的に内在化される
本発明者らは、次に、CFZ533が、ヒトB細胞株RI-1において発現しているC
D40によって内在化される可能性があるかどうかを調べることを望んでいた。
図7Aは
、rCD154が、非許容条件(4℃)と比較して、許容条件(37℃)下で内在化され
た(ここで、rCD154の弱い染色を原形質膜上に観察することができた)ことを示す
。CFZ533も内在化されたが、37℃において残留する膜染色が確かにあるように見
えた。
図7Bは、rCD154の内在化の程度が、CFZ533について観察されるもの
よりも大きいように見えることを示した。本発明者らは、CD40ノックアウトRI-1
B細胞株を使用して、CFZ533(
図7C)及びrCD154(データは示さない)
の結合及び内在化がCD40依存性であることを実証することができた。
【0318】
図7Aは、AlexaFlour 488で標識したrCD154又はCFZ533と
共に37℃又は4℃で3時間培養した個々のRI-1 B細胞の代表的な画像を示す。図
7B.許容条件下でのCFZ533及びrCD154の相対的な内在化侵食(非許容侵食
値を引いたもの)。それぞれの点は、個々の実験からのデータを表し、集団平均は、水平
な赤線として示される。
図7C.Alexa488で標識したCFZ533と共に37℃
で3時間培養した個々のCD40発現又はCD40ノックアウトRI-1細胞の代表的な
画像。すべての実験において、細胞膜の境界を明確にするために、細胞は、AlexaF
lour 647標識されたCD45で共染色した。
【0319】
実施例11:非ヒト霊長類におけるCFZ533の薬物動態特性
図8A.16.2(5532)、18.5(5531)及び20(5530)mg/k
g(静脈内)の計算された用量での単一用量投与後の3匹のカニクイザルにおけるCFZ
533の血清中濃度。
図8B.CD40占有率:利用可能なCD40(パーセント)(i
)及び総CD40(パーセント)(ii)C.末梢B/T細胞:単回投与後の末梢血B細
胞の割合。第0日は、CFZ533が投与されたときである。
【0320】
上のデータは、CFZ533がNHP CD40に結合し、NHP B細胞のrCD1
54誘導性の活性化を同様の力価で阻害することができたことを示した。これは、カニク
イザル及びアカゲザルが、CFZ533 PKとPDとの間の関係を調べるインビボ研究
に適した種であろうことを示唆している。
図8A中のデータは、CFZ533の単回静脈
内投与(16.2、18.5及び20mg/kgの計算された用量)後の3匹のカニクイ
ザルのPKプロフィールを示す。内在化している膜結合型抗原を標的にするモノクローナ
ル抗体に典型的であるが(Mager et al.2006及びNg et al.2
006)、CFZ533濃度の時間経過は、明らかな標的介在性の消失を呈し、非線形P
Kプロフィール並びに濃度依存性のクリアランス速度及び半減期がもたらされた。PKプ
ロフィールにおいて観察される屈曲点は、標的エンゲージメントのマーカーであり、CF
Z533のクリアランス全体へのCD40の寄与の増大及びより短い半減期と関連してい
る。さらに、PKプロフィールにおける屈曲点は、CD40飽和の低下が観察される時間
と一致していた(
図8B、i)。これは、CFZ533がより急速な排除を受けた場合、
およそ10~20μg/mlで起こった。すべての動物において、細胞上のCD40受容
体発現の喪失は存在しなかった(
図8B、ii)。さらに、CFZ533は、研究全体を
通したいくつかの観察される変動にもかかわらず、末梢血B細胞(
図8C)又はT細胞(
データは示さない)を枯渇させなかった。
【0321】
実施例12:CFZ533は、リコールT細胞依存性抗体産生を阻害する
図9Aは、リコールTDARに対するCFZ533の効果を評価するための実験設計の
概略図を示す。x軸よりも下の矢印は、一次及び二次KLH免疫化を強調する。単一用量
の10mg/kg CFZ533のタイミングを上に示す。アスタリスクは、抗KLH
IgG及び/又はCFZ533濃度が測定された時点を示す。
図9B.各グラフは、個々
の動物についての抗KLH IgG(黒塗記号)及び血漿CFZ533濃度(対数スケー
ル;実線)を示す。対照動物からの平均抗KLH IgGレベル(白抜き記号)を比較目
的で各グラフに重ね合わせる。
図9C.CFZ533を使用する1mg/kg/週の皮下
反復投与(26週研究)から得られるアカゲザルからのmLNにおける胚中心(Ki67
染色)の組織学的分析。6匹の動物からの代表的なmLN切片を、(i)対照の画像、(
ii).iii.治療期間の最後の個々の動物からの投薬期間にわたる平均の定常状態C
FZ533血清中濃度と共に示す。
【0322】
CD40が遮断されることの予測される狙い通りのPD効果は、TDARの阻害である
(Kawabe et al.1994)。CFZ533は、NHP及びヒトにおける一
次TDARを阻害し、本発明者らは、リコールTDARに対するこの抗体の効果を調べる
ことも望んでいた。その実験設計の概要を
図9Aに示す。簡単に言うと、4匹のアカゲザ
ルは、研究第1日の10mg/kgでのCFZ533の単回静脈内投与前、研究第-28
日(初回抗原刺激)にAlum中のKLHで免疫を受け、それに続いて研究第15日に第
2のKLH免疫化を行った。
【0323】
図9Bは、4匹のそれぞれの動物における、免疫を受けた対照(CFZ533なし)か
らのデータと比較した、抗KLH IgGリコール反応に対するCFZ533の効果を示
す。CFZ533のPKプロフィールでは、動物間の変動性が存在しており、動物#1及
び#3では、より迅速なCFZ533の排除が観察された。動物#2及び#4では、より
長い期間、より高い血漿中濃度が観察された。興味深いことに、これらの動物は、研究第
15日での抗KLH IgG(及びIgM;データは示さない)リコール反応の完全な抑
制を示した(すべての動物は、KLHに対する一次TDARを開始したことに留意された
い)。対照的に、より迅速なCFZ533のクリアランスを有する動物(動物#1と比較
すると、動物#3がより大きい遅延)では、特に血清CFZ533濃度が第2のKLH免
疫化の時点でおよそ40μg/ml未満である場合、抗KLH IgG反応が(いくらか
の遅れを伴っているが)観察された。移植された(Cordoba et al.201
5)及び移植されていない(
図8B)動物における、CFZ533での以前のインビボ実
験で観察されている通り、末梢B細胞枯渇は、観察されなかった(データは示さない)。
【0324】
上の結果は、NHPにおけるリコールTDARの完全な抑制のためにおよそ40μg/
mlよりも高いCFZ533血清中濃度が必要であることを示した。本発明者らは、CF
Z533曝露とCD40経路関連の組織薬力学的効果との間の関係をさらに調べることを
望んでいた。1mg/kg/週のCFZ533(皮下)での26週の毒性研究の停止時、
本発明者らは、腸間膜リンパ節(mLN)におけるGCの組織学的及び分子的分析を実施
した。
図9C(i)は、本発明者らが、投与された6匹の動物のうち、3匹の個体におい
てGCの完全な抑制を観察することができたのに対して、残りの動物のmLNでは依然と
してGCが観察されたことを示す。
図9C(iii)は、少なくとも38μg/mLの血
清中濃度(投薬期間にわたる平均の定常状態濃度)がリンパ節の皮質B細胞領域における
GC発達の完全な抑制を伴っていたのに対して、全血CD20
posB細胞上の十分なC
D40占有にもかかわらず(動物26842及び26772;データは示さない)、GC
の不完全な抑制(動物26842)又は抑制なし(動物26772及び26837)が2
0μg/mL未満の血清中濃度で観察されたことを示す。末梢B細胞枯渇の証拠は存在し
なかった(データは示さない)。
【0325】
追加の好ましい実施形態
A.ADCC活性が抑制された抗CD40抗体であって、治療有効量の前記抗体を、そ
れを必要とする患者に投与することを含む、膵島炎の治療に使用するためのものであり、
負荷投薬、それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内
又は皮下若しくは静脈内の組み合わせである、抗CD40抗体。
【0326】
B.負荷投薬は、第1の用量として静脈内注射を介して投与され、且つ維持投薬は、第
1の用量と異なる第2の用量として皮下注射を介して投与される、実施形態Aに記載の使
用のための抗体。
【0327】
C.負荷用量は、患者の1キログラムあたり約3mg~約60mgの抗体である、実施
形態A又はBに記載の使用のための抗体。
【0328】
D.患者は、小児患者である、実施形態A~Cに記載の使用のための抗体。
【0329】
E.負荷用量は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgであり、且つ維持用量は
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される、
実施形態Dに記載の使用のための抗体。
【0330】
F.維持用量は、
a.20kg~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30kg~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;
及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する週1回の体重ごとの固定用量として皮下投与される、実施形
態Eに記載の使用のための抗体。
【0331】
G.a.体重カテゴリーIの患者は、0.9mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなり;及び
b.体重カテゴリーIIの患者は、1.3mlの単回注射の形式で各維持用量を受けるこ
ととなるか;又は
c.体重カテゴリーIIIの患者は、2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式で
各維持用量を受けることとなる、実施形態Fに記載の使用のための抗体。
【0332】
H.治療は、第1日後、52週まで継続される、実施形態A~Gに記載の使用のための
抗体。
【0333】
I.患者の年齢範囲は、6~21歳である、実施形態Dに記載の使用のための抗体。
【0334】
J.a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8
のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される、先の実施形態A~Iに記載の使用のための抗体。
【0335】
K.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番
号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態Jに記
載の使用のための抗体。
【0336】
L.CFZ533である、実施形態J又はKに記載の使用のための抗体。
【0337】
M.治療有効量の、実施形態A~Lのいずれかに記載の使用のための抗体と、1種以上
の薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【0338】
N.ヒト対象における膵島炎を治療する方法であって、治療有効用量の、ADCC活性
が抑制された抗CD40抗体を前記対象に投与することを含み、前記抗体は、負荷投薬、
それに続く維持投薬によって投与され、且つ投与経路は、皮下若しくは静脈内又は皮下若
しくは静脈内の組み合わせである、方法。
【0339】
O.負荷投薬は、第1の用量の静脈内注射を介して投与され、且つ維持投薬は、第1の
用量と異なる第2の用量の皮下注射を介して投与される、実施形態Nに記載の方法。
【0340】
P.負荷用量は、患者の1キログラムあたり約3mg~約60mgの抗体である、実施
形態Oに記載の方法。
【0341】
Q.患者は、小児患者である、実施形態N~Oに記載の方法。
【0342】
R.負荷用量は、第1日に静脈内に投与される30mg/kgであり、且つ維持用量は
、第8日に開始する週1回の100mg~350mgの固定用量として皮下投与される、
実施形態Qに記載の方法。
【0343】
S.維持用量は、
a.20~30kgの体重を有する体重カテゴリーIの患者について135mg;
b.30~50kgの体重を有する体重カテゴリーIIの患者について195mg;及び
c.50kgを超える体重を有する体重カテゴリーIIIの患者について300mg
の用量で、第8日に開始する毎週の体重ごとの固定用量として皮下投与される、実施形態
Rに記載の方法。
【0344】
T.a.体重カテゴリーIの患者は、0.9mlの単回注射の形式で各維持用量を受け
ることとなり;及び
b.体重カテゴリーIIの患者は、1.3mlの単回注射の形式で各維持用量を受けるこ
ととなるか;又は
c.体重カテゴリーIIIの患者は、2mlの単回注射又は1mlの2回の注射の形式で
各維持用量を受けることとなる、実施形態Sに記載の方法。
【0345】
U.治療は、第1日後、52週までにわたって継続される、実施形態Tに記載の方法。
【0346】
V.患者の年齢範囲は、6~21歳である、実施形態Q~Uに記載の方法。
【0347】
W.抗体は、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体
からなる群から選択される、実施形態N~Vに記載の方法。
【0348】
X.抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又
は配列番号11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形
態Wに記載の治療の方法。
【0349】
Y.抗体は、CFZ533である、実施形態W又はXに記載の治療の方法。
【0350】
Z.T1DMの治療のための医薬品の製造のための、ADCC活性が抑制された抗CD
40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用であって、抗CD4
0抗体は、
1.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
2.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
3.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
4.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
5.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される、使用。
【0351】
AA.膵島炎の治療のための医薬品の製造のための、ADCC活性が抑制された抗CD
40抗体、緩衝液、安定剤及び可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用であって、抗CD4
0抗体は、
1.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
2.配列番号1、配列番号2及び配列番号3として記述される高頻度可変領域を含む免疫
グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5及び配列番号6として記述される高
頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
3.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD
40抗体;
4.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミ
ノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD
40抗体;及び
5.配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;又は配列番号
11の重鎖アミノ酸配列及び配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される、使用。
【0352】
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