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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116349
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】皮内ジェット注射式電気穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/30 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A61M5/30 500
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093841
(22)【出願日】2022-06-09
(62)【分割の表示】P 2018553057の分割
【原出願日】2016-12-28
(31)【優先権主張番号】62/271,969
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ マッコイ
(72)【発明者】
【氏名】ケイト ブロデリック
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ケメアラー
(57)【要約】
【課題】本発明は、ジェット注射モジュールを提供する。
【解決手段】キャビティを画定するハウジングであって、前記キャビティが薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するハウジングと;前記キャビティ内で前記ハウジングに連結される取付け本体と;ノズルであって、前記ノズルが前記取付け本体に連結され、前記取付け本体が前記ハウジングに連結された時に、前記ノズルは、少なくとも部分的に前記ハウジング内に位置するように、前記取付け本体に取外し可能に連結されたノズルと、を含むジェット注射モジュールであって、前記ノズルの遠位端は、前記薬剤カートリッジから送達される薬剤のジェット注射を送達するように構成されたノズルチップを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気穿孔装置用のジェット注射モジュールであって、前記ジェット注射モジュールは、
キャビティを画定するハウジングであって、前記キャビティが薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するハウジングと;
前記キャビティ内で前記ハウジングに連結される取付け本体と;
ノズルであって、前記ノズルが前記取付け本体に連結され、前記取付け本体が前記ハウジングに連結された時に、前記ノズルは、少なくとも部分的に前記ハウジング内に位置するように、前記取付け本体に取外し可能に連結されたノズルと、
を含むジェット注射モジュールであって、
前記ノズルの遠位端は、前記薬剤カートリッジから送達される薬剤のジェット注射を送達するように構成されたノズルチップを含む、
ジェット注射モジュール。
【請求項2】
前記取付け本体は、前記ハウジングから取り外しが可能であり、且つ、前記ノズルは、前記取付け本体内の交換可能なノズルと交換可能であり、且つ、前記取付け本体は、前記ハウジングに再び連結できるように、前記取付け本体は、前記キャビティ内で前記ハウジングに開放可能に連結されている、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項3】
前記ノズルは、前記取付け本体において、異なる構成を有する種々のノズルと交換可能である、請求項2に記載のジェット注射モジュール。
【請求項4】
前記種々のノズルは、ジェット流を種々のパターンで組織表面に適用することを可能にするための異なるチップ構成を有する、請求項3に記載のジェット注射モジュール。
【請求項5】
前記種々のノズルは、前記ノズルチップと患者の組織表面との間を異なる距離で離間させる、請求項3に記載のジェット注射モジュール。
【請求項6】
前記距離は、約0.5cm~約2.0cmまで変わる、請求項5に記載のジェット注射モジュール。
【請求項7】
前記種々のノズルは、前記ノズルチップの異なる径を有する、請求項3に記載のジェット注射モジュール。
【請求項8】
前記種々のノズルは、異なる内部のファンネル構成を有する、請求項3に記載のジェット注射モジュール。
【請求項9】
前記内部のファンネル構成の少なくとも1つは、ジェット流が層流を有するようにする、請求項8に記載のジェット注射モジュール。
【請求項10】
前記内部のファンネル構成の少なくとも1つは、ジェット流が乱流を有するようにする、請求項8に記載のジェット注射モジュール。
【請求項11】
前記種々のノズルの少なくとも1つは、組織内の前記薬剤の分布を増加させるように構成された複数のオリフィス出口を有する、請求項3に記載のジェット注射モジュール。
【請求項12】
前記ハウジングのキャビティは、薬剤の容積部を含む薬剤カートリッジを受け入れるように構成され、前記ノズルの近位端は、前記薬剤カートリッジが前記キャビティに挿入された時に、前記薬剤カートリッジの隔壁を貫通するように構成される、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項13】
前記ノズルの近位端は、ベベリングされている、請求項12に記載のジェット注射モジュール。
【請求項14】
前記取付け本体は、前記キャビティ内で前記ハウジングに摩擦により連結される、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項15】
前記取付け本体は、前記ハウジングへの圧縮嵌めによって、前記ハウジングに摩擦により連結される、請求項14に記載のジェット注射モジュール。
【請求項16】
ジェット注射の際に、取付け本体は、摩擦による連結によって、前記ハウジングに対して実質的に定位置に保持される、請求項15に記載のジェット注射モジュール。
【請求項17】
前記取付け本体は、スパイダクランプである、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項18】
前記取付け本体は、ファスナによって、取外し可能に前記ハウジングに連結される、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項19】
更に、アレイを備える請求項1に記載のジェット注射モジュールであって、複数の電極が前記アレイから延び、前記アレイは、前記複数の電極が前記ハウジング内に配置される後退位置と、前記複数の電極の少なくとも一部が前記ハウジングの外側に配置される伸長位置との間で、前記ハウジング及び前記ノズルに対して軸方向に移動可能である支持スライドに取付けられる、請求項1に記載のジェット注射モジュール。
【請求項20】
更に、前記支持スライドを付勢するアレイばねを備える、請求項19に記載のジェット注射モジュール。
【請求項21】
前記アレイばねは、前記支持スライドを前記伸長位置に向かって付勢する、請求項20に記載のジェット注射モジュール。
【請求項22】
前記アレイばねの少なくとも一部が前記取付け本体の周りに配置され、前記アレイばねが前記ハウジングの一部に隣接するように構成される、請求項21に記載のジェット注射モジュール。
【請求項23】
前記アレイが前記ハウジングを解放可能に係動させるように構成された1つ以上のラッチを含み、前記1つ以上のラッチが前記アレイを前記後退位置に固定するように構成されている、請求項21に記載のジェット注射モジュール。
【請求項24】
前記ハウジングは、ラッチ戻り止めを各々含む1つ以上の内側凹部を画定し、前記1つ以上のラッチは、後退位置に固定された時に、関連するラッチ戻り止めを係動させるように構成されている、請求項23に記載のジェット注射モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2015年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/271,969号に対する優先権を主張する。先に示した出願は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、とりわけ、無針ジェット注射及び電気穿孔の組合せ装置を使用して薬剤を被検者に送達できる、携帯型手持ち式装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
無針ジェット注射は、侵襲性皮下注射針を使用せずに薬物を送達することを可能にするものであり、それによって液体のジェットを高速まで加速させる。その結果、ジェット注射は、液体が被検者の皮膚の角質層を貫通するのに十分な力を付与する。
【0004】
電気穿孔とは、膜貫通電場パルスを用いて生体膜内の微少経路(細孔)を誘導することである。これらの細孔は、一般に「電気細孔」と呼ばれている。それらの存在により、薬剤は膜の一方の側から他方の側へと通ることができる。したがって、電気穿孔は、薬物、DNAまたは他の分子を多細胞組織に導入するために使用されてきており、特定の疾患の治療に有効であることが判明する場合がある。
【0005】
ジェット注射によって薬剤を効果的に送達し、その後、単一の携帯型ハンドヘルド自己内蔵装置で電気穿孔することができる手段を提供する必要性が、当技術分野において存在している。
【0006】
一態様において、予め測定された用量の薬剤を中に含む容積部を画定する薬剤カートリッジと共に使用する電気穿孔装置がある。電気穿孔装置は、軸が貫通して延びるハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたノズルと、中に薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティであって、薬剤カートリッジが中に配置されるとノズルが薬剤カートリッジの容積部と流体連通するキャビティと、複数の電極がそこから延びるアレイと、薬剤カートリッジがキャビティ内に配置されると薬剤カートリッジを係動させるように動作するように構成された推進カートリッジと、アレイと電気通信する電源装置とを含む。
【0007】
別の態様では、予め測定された用量の薬剤を中に含む容積部を画定する薬剤カートリッジと共に使用する電気穿孔装置がある。電気穿孔装置は、中に薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティを画定するハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、カートリッジがキャビティ内に配置されると薬剤カートリッジと流体連通するノズルと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、ハウジングに対して装備位置と展開位置との間で移動可能である推進ロッドであって、装備位置から展開位置への移動によって、予め測定された用量の薬剤の少なくとも一部をノズルにより放出する推進ロッドと、推進ロッドとハウジングとの間に延在する推進ばねであって、推進ロッドを展開位置に向けて付勢するように構成された推進ばねと、1つ以上の電極がそこから延びるアレイと、電源装置と、トリガアセンブリとを含む。ここで、トリガアセンブリは、推進ロッドが装備位置に固定され、電源装置がアレイと電気通信しない第1の構成と、推進ロッドが装備位置と展開位置との間を自由に移動し、電源装置がアレイと電気通信する第2の位置との間で調整可能である。
【0008】
さらに別の態様では、電気穿孔装置は、予め測定された用量の薬剤を中に有する容積部を画定するカートリッジであって、容積部の少なくとも一部がプランジャによってシールされているカートリッジと、ジェット注射モジュールとを含む。ジェット注射モジュールは、中にカートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティを画定する第1のハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、カートリッジがキャビティ内に配置されるとカートリッジと流体連通するノズルと、1つ以上の電極がそこから延びるアレイであって、電極がハウジング内に配置される後退位置と、電極の少なくとも一部がハウジングの外側に配置される伸長位置との間で第1のハウジングに対して移動可能であるアレイとを含む。ジェット注射モジュールはまた、ジェット注射モジュールに取外し可能に連結可能なベースアセンブリを含む。ベースアセンブリは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、ハウジングに対して装備位置と展開位置との間で移動可能である推進ロッドであって、カートリッジを係動させるように動作するように構成された推進ロッドと、推進ロッドとハウジングとの間に延在する推進ばねであって、推進ロッドを展開位置に向けて付勢するように構成された推進ばねと、電源装置と、推進ロッドが装備位置に固定され、電源装置がアレイと電気通信しない第1の構成と、推進ロッドが装備位置と展開位置との間で自由に移動し、電源装置がアレイと電気通信する第2の位置との間で調節可能であるトリガアセンブリとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態によるジェット注射システムの分解側面図である。
図2】本開示の実施形態によるベースアセンブリ(及び推進カートリッジの実施形態)の分解側面図である。
図3】本開示の実施形態によるジェット注射モジュールの分解側面図である。
図4】本開示の実施形態による推進カートリッジの分解側面図である。
図5】本開示の実施形態によるジェット注射及び電気穿孔(EP)送達装置ならびにカートリッジの分解側面図である。
図6】本開示の実施形態によるジェット注射モジュール及びEPアレイアセンブリの組合せの分解側面図である。
図7図7Aは、本開示の実施形態によるアレイトリガ機構の断面の上部斜視図である。図7Bは、本開示の実施形態によるアレイトリガ機構の断面の上部斜視図である。
図8】本開示の実施形態によるベースアセンブリと組合せた電気穿孔モジュールの分解側面図である。
図9】本開示の実施形態によるジェット注射及びEP組合せ装置の上部断面図である。
図10図10Aは、本開示の実施形態によるアレイ電極に関する研削角度の側面図を示す。図10Bは、本開示の実施形態によるアレイ電極に関する研削角度の側面図を示す。図10Cは、本開示の実施形態によるアレイ電極に関する研削角度の側面図を示す。図10Dは、図10A図10Cのアレイ電極の正面図を示す。図10Eは、図10A図10Cのアレイ電極の正面図を示す。図10Fは、図10A図10Cのアレイ電極の正面図を示す。
図11】本開示の実施形態によるEP処置中に皮膚の表面を貫通するアレイ電極に関する異なる研削角度の断面側面図を示す。
図12】本開示の実施形態によるジェット注射及びEP組合せ装置の部分的な断面図である。
図13】本開示の実施形態によるジェット注射及びEP組合せ装置の部分的な断面図であり、組立てられた位置にあるプランジャを示している。
図14図13の円「A」の拡大図である。
図15】本開示の実施形態によるジェット注射及びEP組合せ装置の部分的な断面図であり、押し下げられた位置にあるプランジャを示す。
図16図15の円「B」の拡大図である。
図17】本開示の実施形態による推進カートリッジの斜視図である。
図18図17の線「A」の断面背面図である。
図19】本開示の実施形態による推進カートリッジの斜視図である。
図20図19の線「B」の断面正面図である。
図21図21Aは、ELISAにより評価した、15日目の核タンパク質IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、t検定により、評価時にp<0.01での統計的有意差があったこと(**)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。図21Bは、ELISAにより評価した、22日目の核タンパク質IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、t検定により、評価時にp<0.01での統計的有意差があったこと(**)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。
図22図22Aは、ELISAにより評価した、15日目のRSV-F抗原IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、スチューデントのt検定により、評価時にp<0.001での統計的有意差があったこと(***)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。図22Bは、ELISAにより評価した、22日目のRSV-F抗原IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、スチューデントのt検定により、評価時にp<0.001での統計的有意差があったこと(***)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。
図23図23Aは、ELISAにより評価した、15日目の核タンパク質IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、t検定により、評価時にp<0.01での統計的有意差があったこと(**)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。図23Bは、ELISAにより評価した、22日目の核タンパク質IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、t検定により、評価時にp<0.01での統計的有意差があったこと(**)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。
図24図24Aは、ELISAによって評価した、15日目のRSV-F抗原IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、スチューデントのt検定により、評価時にp<0.001での統計的有意差があったこと(***)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。図24Bは、ELISAによって評価した、22日目のRSV-F抗原IgGエンドポイント力価を示す。群間の線は、スチューデントのt検定により、評価時にp<0.001での統計的有意差があったこと(***)、または有意差のなかったこと(ns)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、実施可能な図解の実施形態により示される添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的または論理的変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0011】
以下の省略または短縮された定義は、本開示の好ましい実施形態の理解を促すためになされている。ここでなされている省略された定義は、決して網羅的でも、当分野または辞書の意味で理解されるような定義に矛盾するものでもない。ここでは、当技術分野で知られている定義を補足するか、より明確に定義するために、簡略化した定義がなされている。
【0012】
本明細書で使用される「電流」という用語は、一般にアンペアで表される、電位差を有する2つの点の間の導体または媒体における電荷の流れまたは流速を指す。
【0013】
本明細書で使用される「アンペア」という用語は、電流の強さを測定するための標準的な単位を指す。1秒間に1クーロンという、導体または導電性の媒体における電荷の流速である。
【0014】
本明細書で使用される「クーロン」という用語は、メートル・キログラム・秒の単位の、6.28×1018個の電子の電荷と等しい大きさの電荷、または1秒間に流れる1アンペアの電流が導体を介して運ぶ電荷を指す。
【0015】
本明細書で使用される「電圧」という用語は、ボルトで表した起電力または電位差を指し、1クーロンの正の電荷をより低い電位の点からより高い電位の点に移動させるのに1ジュールの仕事を必要とする、起電力または電位差における2点間の電位差の実用単位である。
【0016】
本明細書で使用される「力(power)」という用語は、「電力、水力」などの、仕事中であるか仕事させることができる物理的または機械的な力またはエネルギーの源を指す。
【0017】
本明細書で使用される「インピーダンス」という用語は、単一周波数の交流の流れに対する、電気回路により与えられる妨害全体を指す。これは抵抗とリアクタンスの組合せであり、オームで測定される。
【0018】
本明細書で使用される「場」という用語は、空間の領域全体の点で指定される物理量を指す。
【0019】
本明細書で使用される「振幅」という用語は、概して平均値から極値まで測定される、交流や振り子の揺れのような変動する量の極限範囲を指す。これは、物が広がる量または程度である。
【0020】
本明細書で使用される「周波数」という用語は、単位時間当たりの周期的な振動(oscillation、vibration)、または波の数を指す。通常、これはヘルツ(Hz)で表される。
【0021】
「薬剤」は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、小分子、高分子、またはそれらの任意の組合せを意味し得る。薬剤は、本明細書に参照として援用されるPCT/US2014/070188に詳述されているように、抗体、その断片、その変異体、またはそれらの組合せをコードする組換え核酸配列であり得る。小分子は、例えば薬物であり得る。薬物は化学的に合成されてもよい。「薬剤」は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、小分子、またはそれらの任意の組合せを含む組成物を意味し得る。組成物は、本明細書に参照として援用されるPCT/US2014/070188に詳述されているように、抗体、その断片、その変異体、またはそれらの組合せをコードする組換え核酸配列を含み得る。薬剤は、例えば、水または緩衝液中に処方することができる。緩衝液は、例えば、生理食塩水-クエン酸ナトリウム(SSC)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり得る。緩衝液のイオン含有量は、導電性を増加させ、標的組織における電流の流れを増加できる。処方されたポリヌクレオチドの濃度は、1μgと20mg/mlの間であり得る。処方されたポリヌクレオチドの濃度は、例えば1μg/ml、l0μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、l00μg/ml、250μg/ml、500μg/ml、750μg/ml、lmg/ml、l0mg/ml、15mg/ml、または20mg/mlであってよい。
【0022】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結する配列を意味することができ、天然、合成、または天然及び合成の変形または組合せであり得る。
【0023】
本明細書中で使用される「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」または「核酸」は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖か二本鎖であってもよいし、二本鎖と一本鎖の配列の両方の部分を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、DNA、ゲノム及びcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得る。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組合せと、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニン及び合成または非天然のヌクレオチド及びヌクレオシドを含む塩基の組合せとを含み得る。ポリヌクレオチドはベクターであってもよい。ポリヌクレオチドは、化学的合成法または組換えの方法によって得ることができる。ポリヌクレオチドはsiRNAであってもよい。
【0024】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製の起源を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。
【0025】
本明細書で使用される「高分子」という用語は、例えば、核酸配列、タンパク質、脂質、微小気泡(例えば、薬物を充填した小胞)、及び医薬品を指すことができる。
【0026】
本明細書で使用される「電気穿孔」(「EP」)という用語は、生体膜内の可逆的な微小経路(細孔)を誘導するための電場パルスの使用を指す。それらの存在により、薬剤は、細胞膜の一方の側から他方の側へと通ることが可能になる。
【0027】
本明細書で使用される「皮膚領域」という用語は、角質層と基底層との間の領域を含む、皮膚組織、真皮、表皮、及び皮内(「ID」)を指す。皮膚領域は筋肉組織を含まない。
【0028】
本明細書で使用される「無針注射」という用語は、薬剤を、針を使用せずに例えば小さな流れまたはジェットとして組織に注射することを指し、その力で薬剤が組織の表面を貫き、下にある組織に入る。一実施形態では、注射器は、実質的に無痛で組織を穿孔する、非常に高速の液体のジェットを生成する。このような無針注射器は市販されており、被験者の組織に薬剤を導入する(つまり注射による)ために当業者が使用し得る。
【0029】
本明細書で使用される「最小侵襲性」という用語は、電気穿孔装置の実施形態の針電極による限定された貫通を指し、非侵襲性電極(または非侵入性針)を含み得る。貫通は、角質層を貫通し、好ましくは最も外側の生体組織層である顆粒層に入り込むが、基底層には貫通しない程度までである。貫通する深さは1.0mmを超えてはならず、角質層を突き破るために約0.01mm~約1.0mm、特に約0.01mm~約0.04mmの範囲に亘る深さであり得る。これは、角質層を貫くことを可能にするが、深い貫通を回避する電極を使用して達成することができる。
【0030】
本開示は、治療される組織内への無針注射器を使用した直接的または間接的な電気的輸送に適した形態で(例えば、注射により)所望の薬剤を導入することに関し、通常、組織表面を注射器に接触させ、皮膚領域への薬剤の貫通を引き起こすのに十分な力で、例えば、角質層を貫通して真皮層に至るように、薬剤のジェットの送達を作動させることによりなされる。
【0031】
本開示はまた、電極針アレイを介して電場を供給し、身体、特に皮膚の選択された組織の細胞へ薬剤を導入するのを容易にするための、無針装置、特に手持ち式及び携帯型の装置に関する。無針装置は、プログラムされたシーケンスに従って電極針アレイの電極を通過して処置中に監視及び記録され得る電流波形(例えば、パルス列)を生成する。電極は、筋肉組織を実質的に貫通することなく皮膚領域に接触することができる。図1~11は、ジェット注射及び電気穿孔の形態で患者に医療処置を施すべく臨床及び商業環境の両方で使用するために動作可能な装置を示す。具体的には、図1及び図3は、ジェット注射の形態で患者に医療処置を施すために動作可能であり得る装置を示す。図5図6図7A図7B及び図9は、ジェット注射及び電気穿孔の形態で患者に医療処置を施すために動作可能であり得る組合せ装置を示す。ジェット注射モジュールと電気穿孔アレイアセンブリは同軸に整列されており、不正確な領域を電気穿孔する誤りの可能性を減少させる。加えて、本開示の電極アレイアセンブリは、後退可能であり、これは、ジェット注射の間の水疱/膨疹の形成を可能にしながら、水疱形成の直後の電気穿孔を可能にする。また、以下により詳細に説明するように、ジェット注射機能を利用せずに、電気穿孔モジュールとして組合せ装置を使用することも可能である。
【0032】
図1図20に示すように、本開示は、ベースアセンブリ10及びジェット注射モジュール40を含む無針注射システム1を含む。ベースアセンブリ10は、上端部12、下端部14、及びそれらの間に延びて第1の軸Aを画定する長手方向軸を有する。ベースアセンブリ10は、ハウジング16、トリガアセンブリ24、及び回転ノブ30を含む。ハウジング16は、以下により詳細に説明するように、推進カートリッジ60を受け入れるように構成されたキャビティ18を画定する。回転ノブ30は、ベースアセンブリ10の上端部12に配置されている。回転ノブ30は、ファスナ33によって連結されるように構成された上部32と下部34とを有する。図1及び図2に示しているが、上部32及び下部34は、以下でさらに詳細に説明するように、推進カートリッジ60に連結する動作が可能であるように構成された内側部分を画定するように連結してもよい。
【0033】
図2及び図12は、ベースアセンブリ10のトリガアセンブリ24を示す。トリガアセンブリ24は、ベースアセンブリ10の長さに沿ってどこにでも配置することができる。図1の示している実施形態で、トリガアセンブリ24は、ハウジング16の下端14に配置される。トリガアセンブリ24は、以下にさらに詳細に説明するように、システム1を作動させるように構成された、トリガスプリング28、トリガポスト27、及びプッシュボタン26を含む。プッシュボタン26は、ハウジング16内に嵌合するように構成されており、プッシュボタン26が、図1に示す第1の位置から第2の窪んだ位置(例えば、ハウジング16内に窪んでいる)に移動することができるようになっている。第1の位置から第2の位置への移動方向は、第2の軸Bを画定することができる。図1及び図2に示す実施形態で、第2の軸Bは、第1の軸Aに対してほぼ垂直である。トリガばね28は、プッシュボタン26を第1の位置に向けて付勢する。トリガポスト27は、以下でさらに詳細に説明するように、トリガアセンブリ24をトリガピン67のチャネル152に連結するように動作する。さらに、トリガアセンブリ24は、以下にさらに詳細に説明するように、電気穿孔構成要素と電気的に導通してもよい。トリガアセンブリ24は、人間工学的な感触及び流体浸入保護の両方を提供する保護的ダイアフラム(例えば、プラスチック及び/またはゲル被覆;図示せず)の後ろに配置され得る。
【0034】
図4図17及び図19に示すように、推進カートリッジ60は、推進ロッド62と、推進ロッド62の少なくとも一部の周りに配置された推進ばね66と、第1のハウジング68と、第2のハウジング70と、トリガピン67とを含み得る。推進カートリッジ60は、ベースアセンブリ10に取外し可能に連結させてもよい。例えば、図2の示された実施形態は、推進カートリッジ60をベースアセンブリ10に取外し可能連結するために「C」リング77が使用できることを示している。具体的には、「C」リング77は、推進カートリッジ60とベースアセンブリ10との間に配置して、推進カートリッジ60とベースアセンブリ10を摩擦により連結(例えば、圧縮嵌合により)することができる。他の実施形態では、推進カートリッジ60は、ファスナ、キャッチ、または当技術分野で知られている他の手段によってベースアセンブリ10に取外し可能に連結してもよい。他の実施形態では、「C」リング77を省略することができる。
【0035】
推進ばね66は、以下でより詳細に説明するように、ジェット注射を達成するためにそれに関連する圧力プロファイルを有する。推進ばね66は、約10~約50lb、約25~約45lb、及び約30lb~約40lbの範囲のばね定数を有することができる。特に、推進ばね66のばね定数は35lb(例えば、35ポンド/インチ)とすることができる。
【0036】
推進カートリッジ60はばねベースのシステムとして示されているが、推進カートリッジ60はCO2ベースのシステム、圧縮空気ベースのシステムなどを含むことができることを理解されたい。
【0037】
トリガピン67は、略管状であり、本体150を含む。本体150は、第1の部分154と、第2の部分156と、第2の部分156の底面から延びる突起155と、本体150を少なくとも部分的に貫通して延びるチャネル152とを有する。図4に示すように、第2の部分156の外径は、第1の部分154の外径よりも大きい。トリガピン67は、トリガポスト27によってトリガアセンブリ24に連結される動作が可能である。図12に示すように、トリガポスト27は、推進カートリッジ60の第1のハウジング68のアパーチャ182を介して、トリガピン67のチャネル152と係合する。チャネル152は、当技術分野で公知の任意の手段を用いて、トリガポスト27に連結できる動作が可能である。特に、トリガポスト27及びチャネル152は、ねじ山を付けられ、ねじ式に連結されるように構成される。
【0038】
図12及び図19に示しているが、板ばね69は、片持ち梁に構成され、第1の端部151及び第2の端部153を有する。第2の端部153は、トリガピン67の突起155を受け入れることができる、第2の端部153を貫通するオリフィス157を有する。板ばね69の第1の端部151は、推進カートリッジ60の第1のハウジング68に締結されている。板ばね69の第2の端部153はフリーフローティングであり、トリガピン67の第2の部分に隣接してハウジングアパーチャ182に対向して配置され、以下により詳細に説明するように、第2の軸Bに沿ってトリガピン67を係止位置に向けて付勢する。特に、トリガピン67は、第2の軸Bと平行な方向に摺動するように構成される。一実施形態では、トリガピン67は、第2の軸Bと同軸の方向に摺動することができる。したがって、トリガアセンブリ24は、押圧されると、トリガポスト27を介して、トリガピン67を、板ばね69が付勢する方向と反対の方向に作動させる。いくつかの実施形態では、以下でより詳細に説明するように、トリガピン67の突起は、マイクロスイッチ128を係動させてEPタイミングシーケンスを開始させる動作が可能である。
【0039】
推進カートリッジ60の第2のハウジング70の下端部73は、推進カートリッジ60の第1のハウジング68の一部158を受け入れるように構成され、その結果、第1及び第2のハウジング68、70は、軸方向に整列し、さらに第3の軸Cを画定する。図1の示された実施形態で、第3の軸Cは、第1の軸Aと同軸である。他の実施形態では、第3の軸Cは、第1の軸Aに平行であるが、同軸ではなくてもよい。一緒に連結されると、ハウジング68、70は、実質的に円筒形の内部を画定し、それは推進ロッド62が貫通して延びるように構成された通路160を有する。上端部71において、第2のハウジング70は、フランジ72と、フランジ72より小さい直径の延長部74とを含む。フランジ72は、推進カートリッジ60とハウジング16との間の堅い嵌合のために、ハウジング16の上端部12の凹部162内に嵌合するよう形作られる。延長部74は、以下にさらに詳細に説明するように、推進ロッド62を係動させる動作が可能である複数のスロット164を含む。第2のハウジング70はまた、図9に示すように、推進ばね66の第1の端部168用の第1の座部を備えるための内側リップ75を含むことができる。
【0040】
推進ロッド62は、下端部64及び上端部65を含む。推進ロッド62の上端部65は、推進ロッド62及びピン63が「T」の形状を有するようにピン63を含む。ピン63は、以下でさらに詳細に説明するように、推進ロッド62の回転を防止するために、第2のハウジング70の延長部74のスロット164内に嵌合するように構成される。下端部64は、リップ61と、トリガピン67が貫通して延在できるように推進ロッド62を貫いて延びるスロット78とを含む。リップ61は、推進ばね66の第2の端部170のための第2の座部を備える。スロット78は、トリガピン67と同様に、径が異なる2つの部分を含む。具体的には、スロット78の大きな部分172は、トリガピン67の第2の部分156の外径よりわずかに大きい直径を有し、トリガピン67の第2の部分156がスロット78の大きな部分172の内部に嵌合することができるようにする。同様に、スロット78の小さい部分174は、トリガピン67の第1の部分154の外径よりわずかに大きい径を有し、トリガピン67の第1の部分154が、スロット78の小さな部分174の内部に嵌合できるようにする。図7Bに示すように、トリガピン67の第2の部分156は、スロット78の小さな部分174内に嵌合するには過度に大きい外径を有する。
【0041】
推進カートリッジ60はまた、アーミングカム76及び戻しばね79を含む。アーミングカム76及び戻しばね79は、それぞれ、第2のハウジング70の延長部74上に配置されるように構成される。戻しばね79は、後でより詳細に説明するように、戻しばね79が回転ノブ30を時計方向または反時計方向に付勢するように、回転ノブ30を係動させる動作が可能であり得る。アーミングカム76は、推進ロッド62のピン63を係動させるように構成された螺旋状傾斜面176を含む。アーミングカム76はまた、図9に示すように、回転ノブ30を係動させるように構成された少なくとも2つの延長部178を含み得る。アーミングカム76は、図20に示す戻しばね79の端部を受け入れるための溝105を含むことができる。アーミングカム76に面するフランジ72の表面はまた、図18に示すように、戻しばね79の反対側の端部を受け入れるための溝103を有し得る。アーミングカム76及びフランジ72の溝は、戻しばね79がアーミングカム76、及びしたがって回転ノブ30をその静止位置に戻すことを可能にする。
【0042】
推進カートリッジ60は、組み立てられた状態で、図9に示すように、ハウジング16内に配置される。第1のハウジング68及び第2のハウジング70は、推進ロッド62が延びるように構成された通路160を備えるように連結される。推進ばね66は、推進ロッド62の周りであって、スロット78とピン63の間に配置される。特に、推進ばね66の第1の端部168は、第1のハウジング68の内側リップ75に当接して配置され、推進ばね66の第2の端部170は、推進ロッド62のリップ61に当接して配置される。トリガピン67は、推進ロッド62が第1の軸Aに平行な方向に動くことができるように、スロット78に配置される。特に、推進ロッド62は一般に、図7B及び図16に示すような弛緩位置と、図7A及び図14に示すような係止位置または装備位置との間を移動することができる。
【0043】
推進ばね66は、推進ロッド62をベースアセンブリ10の下端部14、または弛緩位置に向けて付勢する力を付与し、スロット78の大きな部分172が、第2の軸Bと平行な方向でトリガピン67と整列するようにする。弛緩位置では、図7Bに示しているが、トリガピン67の第1の部分154がスロット78内に配置される。簡単に上述したように、板ばね69はトリガピン67を軸Bに沿って付勢する力を付与し、スロット78の大きな部分172がトリガピン67に達すると、トリガピン67の第2の部分156が、スロット78内へと動くようにする。トリガピン67の第2の部分156は、スロット78の小さな部分174より大きい外径を有するので、推進ロッド62は、推進ばね66の付勢する力によって定位置に係止される。この係止位置では、図7Aに示しているが、推進ばね66は圧縮され、注射する力を付与するように構成される。トリガアセンブリ24をその第2の押し下げられた位置へと作動させると、トリガピン67は、板ばね69の力の方向とは反対の方向に移動する。トリガピン67の移動は、第2の部分156を移動させ、第2の部分156がもはやスロット78内に配置されず、第1の部分154がスロット78内に移動するようにする。トリガピン67の第1の部分154の外径は、スロット78の大きな部分172及び小さい部分174の両方よりも小さく、推進ロッド62の移動は制限されない。これにより、推進ばね66が緩み、推進ロッド62を弛緩位置に前進させて、注射する力を付与することが可能になる。
【0044】
さらに、回転ノブ30は、アーミングカム76の延長部178に連結されている。したがって、回転ノブ30が回転すると、アーミングカム76も回転する。アーミングカム76は、回転ノブ30によって生み出された回転力の変換を可能にして、推進ばね66を圧潰/圧縮する。アーミングカム76及び戻しばね79は、両方とも、第2のハウジング70の延長部74の周りであって、ピン63とフランジ72の間に配置される。アーミングカム76の螺旋状傾斜面176は、延長部74のスロット164内に位置決めされたピン63に当接して配置される。したがって、アーミングカム76が回転ノブ30により回転すると、螺旋状傾斜面176は、第1のハウジング68から離れるように軸Aに平行な方向(例えば、図9に関して左側)にピン63を押す。しかし、推進ロッド62は、ピン63が延長部74のスロット164内に配置されているため、アーミングカム76及び回転ノブ30と共に実質的に回転しない。ピン63に連結された推進ロッド62は、トリガピン67から離れるように動き出し、推進ばね66が内側リップ75に抗して圧縮し始める。回転ノブ30が約180度回転したとき、推進ロッド62は、スロット78の大きな部分172がトリガピン67に達するほどスロットの大きな部分172が十分に遠くまで移動しているため、トリガピン67の第2の部分156が、上述したようにスロット78内に移動することを可能にする。戻しばね79は、推進ロッド62を係止位置に移動させた後、回転ノブ30を元の(例えば、静止した)位置に向けて戻すように付勢してもよい。他の実施形態では、推進ノブ62を弛緩位置から係止位置に移動させるために、回転ノブ30を180度より大きく、または小さく回転させる必要があり得る。
【0045】
図1及び図3に示すように、ジェット注射モジュール40は、上端部44及び下端部46の両方に各開口部45、47を有する注射ハウジング42を含む。下端部46は、開口部47を取り囲む縁部43を画定する。上端部44は、カートリッジ120の一部を受け入れるように構成され、ベースアセンブリ10の下端部14においてハウジング16に取外し可能に連結され得る。図1に示すように、ジェット注射モジュール40は、ハウジング16の下端部14でキャビティ18に位置する溝39に連結するための戻り止め41を含むことができる。戻り止め41及び溝39は、使用者が、ジェット注射モジュール40をベースアセンブリ10から素早く取外して取付けることができるように構成される。さらに、注射ハウジング42は、カートリッジ120が中に配置されたときに支持するための様々な側壁、隆起部、戻り止めなどを含むことができる。より具体的には、注射ハウジング42は、カートリッジ120が受ける圧力を吸収または最小化するのに寄与する構成要素を含むことができる。
【0046】
図5及び図6に示すように、ハウジング42はまた、下端部46からハウジング42上の点まで延びる外側凹部55を、図5及び図6に示すように含むことができる。ハウジング42は、外側凹部55から延びる内側凹部57をさらに含むことができる。図7A図7B及び図13図16に示すように、内側凹部57は、外側凹部55よりも全体的に小さくてもよく、以下にさらに詳細に説明するように、それぞれの端部の各々にリリースピン91及びラッチ戻り止め93を含み得る。
【0047】
ジェット注射モジュール40は、全般に、ノズル48と、ノズル48を受け入れるように構成された取付けボス54とを含む。取付けボス54は、例えばスパイダクランプであってもよい。注射ハウジング42によって画定された容積部51は、そこに取付けボス54を取外し可能に受け入れるように構成される。取付けボス54は、以下にさらに詳細に説明するように、システム1の動作中に取付けボス54が実質的に定位置に保持されるように、注射ハウジング42に(例えば圧縮嵌めによって)摩擦により連結してもよい。他の実施形態では、取付けボス54は、ファスナ、キャッチ、または当技術分野で知られている他の手段により注射ハウジング42に取外し可能に連結してもよい。
【0048】
ノズル48は、近位端50と、遠位端52と、その間に延びる導管53とを有し、近位端50と遠位端52の各々は、導管53の開口部を含む。近位端50は、カートリッジ120がジェット注射モジュール40内に挿入されたときに、カートリッジ120の隔壁121を貫通することができるようにベベリングさせてよい。遠位端52は、以下にさらに詳細に述べるように、ジェット注射を患者に送達するように構成されたノズルチップ49を含む。ノズル48は、ノズル48がシステム1と軸方向に延びるように(例えば、ノズル48の長手方向軸が第1の軸Aと平行に延びるように)取付けボス54内に取外し可能に配置してもよい。開口部及び導管53の径は、採用されるジェット注射サイクルの必要性を満たすために必要な任意の構成に設計してもよい。一実施形態では、径は、約0.05mm~約0.064mmであってよく、以下に詳細に説明するように、皮膚の表面に約10,000~約30,000Psiの圧力を送達することができる。
【0049】
ノズル48は、様々な構成のノズルと交換できるように注射ハウジング42に取外し可能に連結されている取付けボスに、取外し可能に連結されている。ノズル48は、様々な先細り形状及び先端49の構成を有することができ、それによりジェット流を患者の皮膚の表面に多数の異なるパターンで適用することができる。ノズル48はまた、ジェット流が層流または乱流を有することを可能にし得る様々な内部のファンネル構成を有することができる。したがって、ノズルチップ49を変更することにより、液体の分布及び電気穿孔の適用範囲を増加させるように構成された複数のオリフィス出口などのものを非限定的に含めることによって、トランスフェクションを強化することができる。
【0050】
被験者の皮膚の表面とノズル48の遠位端52との間の距離は、限定されるものではないが、薬剤の粘度、推進ばね66のばね定数、及びノズルチップ49の径を含む複数の要因によって変わり得る。例えば、ノズルチップ49は、被験者の皮膚の表面から約0.5cm~約2.0cm上にあることができる。
【0051】
ベースアセンブリ10、ジェット注射モジュール40、及び推進カートリッジは、プラスチック(例えば、ポリカーボネート)、セラミック、及びステンレス鋼または他の金属を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている材料から製造することができる。
【0052】
図5及び図6に示すように、システム1は、EPアレイアセンブリ80をさらに含むことができる。EPアレイアセンブリ80は、全体的に、少なくとも2つの針電極110を有するアレイ82、フレックス回路83、取付け支持スライド84、及びアレイばね92を含む。EPアレイアセンブリ80は、以下により詳細に説明されるように、注射ハウジング42の下端部46において、容積部51に取外し可能に連結され、容積部51内に配置されてもよい。
【0053】
図10A図10Fに示すように、フレックス回路83は、中央に第1のオリフィス96を有するベースプレート94と、回路延長部98と、電気接点100とを含む。ベースプレート94は、アレイ82を受け入れて支持するように構成される。アレイ82は、電極110がベースプレート94から第1の方向に(例えば、図10D~10Fに関して左に)延びるように、ベースプレート94上に配置される。回路延長部98は、アレイ82と電気接点100とを電気により連結するように構成されている。回路延長部98は、ベースプレート94の側面95から、第1の方向にほぼ垂直な方向に(例えば、図10D図10Fに関して上側に)突き出し、ベースプレート94から第2の方向に延び続ける。第2の方向は、第1の方向と概ね反対方向である(例えば、図10D図10Fに関しては右側に向く)。
【0054】
取付け支持スライド84は、ベースプレート94の少なくとも一部を受け入れるように構成される窪み85を含む。一実施形態では、窪み85は、ベースプレート94の幅の約半分であってもよく、その結果、組立てられたときに、回路延長部98は、窪み85の外側からベースプレート94より突出する。他の実施形態では、窪み85は、ベースプレート94の周囲に延びるチャネル(図示せず)を含むことができ、これは、回路延長部98を中に配置できるよう形作られる。さらに他の実施形態では、取付け支持スライド84は、窪み85を含まなくてもよく、他の方法によって取付け支持スライド84上にベースプレート94を位置合わせする。
【0055】
取付け支持スライド84は、窪み85の中心に位置する第2のオリフィス86と、2つのアウトリガ延長部88とをさらに含む。ベースプレート94は、第1のオリフィス96と第2のオリフィス86を概ね整列するように取付け支持スライド84上に配置されている。図6に示すように、アウトリガ延長部88は取付け支持スライド84の反対側に配置されている。アウトリガ延長部88は、それぞれ、外側凹部55の高さとほぼ等しい高さを有する幅広部87と、内側凹部57の高さとほぼ等しい高さを有する狭幅部89とを含む。各アウトリガ延長部88は、内側凹部57の端部に位置するラッチ戻り止め93に連結するように構成された狭幅部89の端部に、ラッチ90を含む。
【0056】
EPアレイアセンブリ80は、組み立てられた状態で、注射ハウジング42の容積部51内の第1の(例えば、後退)位置から第2の(例えば、伸長)位置に軸方向に移動するように構成される。図7Aに示す第1の位置で、EPアレイアセンブリ80は、注射ハウジング42内に後退する。図7Bに示す第2の位置で、EPアレイアセンブリ80は、第1の位置から遠位方向に(例えば、図7A図7Bに関して右へ)移動して、以下でより詳細に説明するように、アレイ82が電気穿孔のために被験者の皮膚領域と接触することができるようにする。
【0057】
特に、アレイばね92は、図11に示すように、アレイばね92の少なくとも一部が取付けボス54の周りに配置されるように、注射ハウジング42の容積部51に挿入される。フレックス回路83は、第1のオリフィス96と第2のオリフィス86とが整列するように取付け支持スライド84に連結されている。次いで、フレックス回路83及び取付け支持スライド84のアセンブリを、注射ハウジング42の容積部51内に配置することができる。具体的には、図6に示すように、アウトリガ延長部88の幅広部87は、注射ハウジング42の内側凹部57に配置することができ、幅狭部89を外側凹部55内に配置して、取付け支持スライド84を配向でき、その結果アウトリガ延長部88のラッチ90はラッチ戻り止め93に連結することができる。図7Aに示すように、アレイばね92は、アウトリガ延長部88を凹部55、57内に挿入した後、取付け支持スライド84によって圧縮でき、それによって支持スライド84がアレイ82に展開力を付与する態勢が整う。ラッチ90は、図13図14に示すように、ラッチ戻り止め93との連結によってEPアレイアセンブリ80を後退位置に維持する(すなわち、アレイばね92が圧縮される)。ラッチ戻り止め93は、トリガアセンブリ24に連結でき、トリガアセンブリ24が作動されると、ラッチ戻り止め93が一対のリリースピン91を介してラッチ90を解放するようにする。ラッチ90とラッチ戻り止め93の連結解除は、アレイばね92を弛緩させ、取付け支持スライド84、ひいてはフレックス回路83を外側に(例えば、図9に関して右側に)押し付けて、図15及び図16に示すように、電気穿孔のためのアレイ82の展開力を付与する。リリースピン91は、図7A図7B図13図15に示すように、推進ロッド62に取付けてもよい。トリガアセンブリ24が作動されると、リリースピン91は推進ロッド62と共に前方に移動し、図13に示すようにラッチ戻り止め93を係動させる。リリースピン91がラッチ戻り止め93を押し、ラッチ戻り止め93を内側に(例えば、第1の軸Aに向かって)強制移動させ、アレイばね92を拡張させる。
【0058】
取付け支持スライド84及びフレックス回路83の展開力は、アレイばね92のばね定数により判定し得る。アレイばね92は、約1lb~約20lb、約2lb~約10lb、約4lb~約6lbの範囲のばね定数を有することができ、5lb(例えば、5lb/インチ)とすることができる。アレイばね92は、送達される薬剤及び投薬量に応じて、異なるばね定数間で異なるように、送達同士で変更することができる。他の実施形態では、システム1は、使用者によって被験者に配置されたときにEPアレイアセンブリ80に加えられる力を判定するためのセンサ(図示せず)も含むことができる。センサは、被験者の皮膚上にあるシステム1に使用者が加えている力の大きさを判定し、使用者が過度に大きい力または過度に小さい力をかけないように構成されてもよい。聴覚信号及び/または視覚信号(例えば、アナンシエータまたは照明LED)は、使用者が過度に大きい、または過度に小さい力を使用しているかどうかを示すことができる。あるいは、聴覚信号及び/または視覚信号は、使用者が正しい大きさの力を使用しているときを示すことができる。
【0059】
EPアレイアセンブリ80は、作動(例えば、アレイばね92が取付け支持スライド84を前進させる)の後に、EPアレイアセンブリ80を後退位置に押し戻すことによって、使用のため手動で再装備または再コックできる。他の実施形態では、ジェット注射モジュール40が使い捨てであってもよく、この場合、モジュール40がベースアセンブリ10に連結される動作が可能となる前にEPアレイアセンブリ80を係止位置とするように、モジュール40を使用準備する。
【0060】
上記で簡単に述べたように、フレックス回路83は、アレイ82の対応する電極110との電気的接続を形成するための電気接点100を含む。図6の示された実施形態では、アレイ82は、それぞれが各々の電極110と連結する2つの電気接点100を含む。しかし、代替の実施形態では、より多くまたはより少ない電気接点100が存在し得る。例えば、各々が異なる数の電極110を有する異なるサイズのアレイ(図示せず)の使用を可能にするために、設定された数の電気接点100が存在してもよい。例えば、図10D図10Fに示すように、アレイ82は、一組の24個の電極110(例えば、中央の電極が省略された5×5の電極の配置)と24個の電気接点100とを含むことができる。他の実施形態では、中央の電極を省略する必要がないようにアレイ82の電極110を離間させることができる。
【0061】
EPアレイアセンブリ80は、患者の電気穿孔のために少なくとも2つの電極110を配向させるように構成される。例えば、2つ以上の電極110が使用される場合、電極110は、アレイ82上に、または電極110が取付けられたベースプレート94上に、正方形、円形、三角形、または他のパターンで均等に分布するように配置される。別の例では、針電極110は正方形アレイ82の縁部の電極110を除いてほぼ同じ距離に離間する各隣接電極110を有する正方形様の配置で配置される。アレイ82は少なくとも2つの電極、2×2の電極、3×3の電極、4×4の電極、5×5の電極、6×6の電極、7×7の電極、8×8の電極、9×9の電極、10×10の電極、またはそれより多い場合を含み得る。特に、アレイ82は、4×4の電極または5×5の電極を含むことができる。さらに、各電極110は、各々隣の針電極110から、約150mm以下、約100mm~約1mm、約50mm~約1mm、約40mm~約1mm、約30mm~約1mm、約20mm~約1mm、約10mm~約1mm、約5mm~約1mm、約5mm~約1mm、約2.5mm~約1mm、約2.5mm~約0.5mmの距離で離間していてもよい。特に、電極110は、約2.5mm~約0.5mm、または約1.5mmの間隔で離間していてもよい。
【0062】
アレイ82は、当技術分野で知られているスタンピングまたはエッチングの方法を用いて形成することができる。電極110は、最小侵襲性であるように構成され、1.0mmを超えない深さで、約0.01mm~約1.0mmの範囲の深さで、特に約0.01mm~約0.04mmの範囲の深さで表皮組織を貫通するように構成される。
【0063】
電荷を供給できる様々な既知の電極110を、本開示の最小侵襲システム1の実施形態に組み込むことができる。例えば、電極110は、25ゲージの皮下注射針と実質的に同等であってもよい。アレイ82の少なくとも2つの電極110は、可撓性回路基板94から離れるように延在し、電極110の装填端部に、傾斜した縁部114を有する先端部112を画定する。図10A図10Cに示すように、電極のすくい角は、電極110の軸方向中心線と電極110の傾斜した縁部114との間の、画定された角度であり得る。例えば、すくい角は、約1~約90度、約10度~約45度の角度でよく、約10度、約18度、約30度、または約45度であり得る。特に、すくい角は電極110の中心線の軸から45度であってよい。同様に上述したように、電極110は、角質層と基底層との間の表皮組織の層を貫通するように構成され、以下でさらに詳細に説明するように、電圧発生器から表皮組織へ電位を供給するように構成される。例えば、電極110は、最小侵襲性の皮内電気穿孔に関連して典型的に使用される大きさであってもよい。
【0064】
また、図示の装置は、角質層と基底層との間の表皮組織の層を貫通するように構成された複数の電極110を伴って示されているが、電極が、板状電極、極微針、及び組織の様々な層の中に(例えば、骨格筋組織内に)延びるように構成された貫通針電極と非貫通針電極との双方を含み得るということも分かる。
【0065】
各電極110はまた、先端部112に対向する電極110から延在するリード線(図示せず)を含むことができる。各リード線は、対応する電極110と電気的に導通しており、電極110に電流を流して、装填端部に近接する電気的な相互作用を生み出す。アレイ82が設置されると、アレイ82の各電極110は、上述したように、フレックス回路83の対応する電気接点100と係合して電気的接続を形成するように構成される。
【0066】
図5に示すように、先に簡単に述べたプレフィルドのカートリッジ120は、選択した薬剤の使い捨ての1回分の用量を備えるように構成される。使い捨てカートリッジ120は、以下でさらに詳細に説明するように、注射モジュール40と共に使用するように構成される。カートリッジ120は、実質的に円筒形であり、図7A図7B図9、及び図15に示すように、注射モジュール40のノズル48と、ハウジング16及び注射ハウジング42内の推進カートリッジ60との間に位置するようなサイズにされている。カートリッジ120は、本体123を含む。本体123は、容積部126を画定し、プランジャ122によって第1の端部124において選択的にシールされ、中隔121により第2の端部125において選択的にシールされる。上述のように、中隔121は、ノズル48によって穿孔されるように構成される。カートリッジの本体123は、ガラス、プラスチック、または他の材料から形成され得ることを理解されたい。
【0067】
カートリッジ120はまた、容積部126内に配置された上述したプランジャ122を含み、本体123の第1の端部124に近接するとともに図7A図15及び図16に示された開始位置と、本体123の第2の端部125に近接するとともに図7B図13及び図14に示された終了位置との間で、軸方向に移動可能である。プランジャ122は、プランジャヘッド127において本体123の容積部126内にシールを形成するように形作られている。プランジャ122が開始位置から終了位置へ移動すると、カートリッジ120の容積部126が収縮し、それにより、そこに収容された任意の流体(例えば、薬剤)を、穿刺された中隔121から押し出すようになっている。
【0068】
無針注射システム1はまた、図5図8、及び図12に示す電気システム129を含むことができる。電気システム129は、全体的に、EPハウジング130と、EPハウジング130によって画定された容積部の中に配置された電気穿孔アセンブリとを含む。電気穿孔アセンブリは、とりわけ、プリント基板(PCB)136を有する制御器(図示せず)、制御器と電気通信する波形ロガー(図示せず)、制御器と電気通信するとともに電気パルスを送達するように構成された電気穿孔パルス発生器/モジュール(図示せず)、電気穿孔パルス発生器/モジュールと電気通信するとともにパルス発生器に電荷を送るように構成された電源装置142、及びフレックス回路83の電気接点100との電気的接続を形成するように構成された複数の電気リード線及び接点140を含む。
【0069】
EPハウジング130は、全体的に、第1のケース132と、第2のケース134と、第1のケース132と第2のケース134とを連結する複数のファスナ139とを含む。図8に示すように、ハウジング16は、第1のケース132及び第2のケース134に連結するように構成されたリップ138を有する下側突起137を含むことができる。第1のケース132及び第2のケース134は、それぞれ、下側突起137のリップ138を受け入れるように構成されたチャネル133、135を含む。第1のケース132と第2のケース134とがハウジング16に連結されたときに、EPハウジング130がハウジング16の下方に(例えば、第2の軸Bに平行な方向に)延びるように、第1のケース132と第2のケース134との上側に、チャネル133、135を配置する。第1のケース132及び第2のケース134をリップ138の周りに配置した後、ファスナ139を、第2のケース134の開口部131及び第1のケース132のねじ付き継手(図示せず)に挿入して、第1のケース132を第2のケース134に連結し得る。
【0070】
EPハウジング130はまた、全体的に、図5に示すように、第1のケース132と第2のケース134との間に配置することができる接点ハウジング146及び電気接点140を含む。例えば、接点ハウジング146は、第1のケース132と第2のケース134との間の空間によって画定されるスロット141内に配置してもよい。
【0071】
一実施形態では、電気接点140は支持体144を含む。電気リード線及び接点140は、一般に、システム1に亘って配置され、上述及び後述するように、様々な電気的構成要素が、互いに電気通信する/通信動作可能であるようにする。例えば、先に簡単に述べたように、EPアレイアセンブリ80及び電気穿孔パルスモジュールは、選択された電圧、電流、及び持続時間の電気パルスを、電源装置142から電気接点140に送達し、次いで取付け支持スライド84の電気接点100を介して電極110に送達するよう構成する。
【0072】
制御器は、とりわけ、ユーザインタフェースによって使用者からの入力を受信し、入力に従って所望の組織にエネルギーのパルスを送達するようにパルス発生器に指示し、送達するエネルギーのパルスに従って波形ロガーにデータを伝送するように構成される。制御器は、PCB136を含むことができ、電力及び動作の制御をもたらす複数の電気及び電子構成要素を実装することができる。いくつかの実施形態では、PCBは、処理ユニット(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の適切なプログラマブル装置)、メモリ、及びバスを含む。バスは、メモリを含むPCBの様々な構成要素を処理ユニットに接続する。メモリは、例えば、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、または他の適切な磁気的、光学的、物理的または電子的なメモリ装置を含む。処理ユニットは、メモリに接続され、RAM(例えば、実行中)、ROM(例えば、一般的に永続のベース)、または他の非一時的なコンピュータ可読媒体、例えば他のメモリやディスクに記憶できるソフトウェアを実行する。加えてまたは代わりに、メモリは処理ユニットに含まれる。制御器はまた、制御器内の構成要素とシステム1の他の構成要素との間で情報を転送するためのルーチンを含む入出力(「I/O」)ユニットを含む。制御器はまた、上で簡単に述べたマイクロスイッチ128と電気通信し、PCBと電気通信し、それがジェット注射の開始と電気穿孔との間で遅延をもたらすタイミングシーケンスを開始するためのマスターイネーブル信号を提供する。例えば、ジェット注射の開始と電気穿孔との間での遅延は、約100マイクロ秒であり得る。他の実施形態では、遅延は0秒と2ミリ秒との間であってもよい。また、マイクロスイッチ128は、以下にさらに詳細に説明するように、EPアレイアセンブリ80を介して電気パルス(複数可)の定期連続発射を発生する。マイクロスイッチ128は、以下により詳細に説明し、図12に示されているが、トリガアセンブリ24のプッシュボタン26を押すことによって作動する。
【0073】
システム1のいくつかの実装に含まれるソフトウェアは、制御器のメモリに格納される。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つまたは複数のアプリケーション、プログラムデータ、1つまたは複数のプログラムモジュール、及び他の実行可能な命令を含む。制御器は、とりわけ、上記及び下記の制御プロセス及び方法に関連する命令をメモリから読み出して実行するように構成される。いくつかの実施形態では、制御器は、追加の、より少ない、または異なる構成要素を含む。
【0074】
また、PCB136は、構成要素の中でもとりわけ、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、集積回路、及び増幅器などの複数の付加的な受動及び能動構成要素を含む。これらの構成要素は、とりわけ、フィルタリング、信号調整、または電圧調整を含む複数の電気的機能をPCB136に供給するように配置及び接続される。説明する目的のため、PCB136とPCB136に配置された電気的構成要素を、まとめて制御器と呼ぶ。
【0075】
システム1はまた、使用者に使用法またはステータスの情報を提供するために、簡単に上述したユーザインタフェースを用いて、無線で、または当技術分野で知られている他の方法によって通信することができる。ユーザインタフェースは、例えば、モバイルタブレット、基地局/スタンド、または別のタイプのディスプレイを含むことができる。本開示はまた、例えば、バッテリの充電状態やその他の情報に関する使用者に伝達するスピーカ(図示せず)及びLED(図示せず)を含むがこれらに限定されないアナンシエータを含むことができる。
【0076】
システム1は、実施形態のシステム1と通信するように構成された外部基地局/スタンド(図示せず)と対にできる。それは、無接続の手持ち式装置(例えば、無針注射システム1)の可撓性及び移動性を依然として維持しながら、大きなタッチスクリーンインターフェースの情報入力(すなわち、基地局を介して)の利点をすべて使用者に提供する。基地局では、使用者に、(タッチスクリーンディスプレイ上での)タイピング、またはフラッシュドライブへの情報のダウンロードを含む、情報入力のための複数のオプションを与えることができる。基地局は、手作業によるデータ入力を簡略化する段階的なグラフィックユーザインタフェースを含むこともできる。さらに、基地局は、とりわけ、処置を行っているときにリアルタイムで段階的な指示(すなわち、リアルタイム情報)を提供する別のグラフィックユーザインタフェースを表示するための画面を含むことができる。視覚的な支援に加えて、システム1及び基地局は、複雑な音声命令(例えば、単純なビープ音を越えるもの)を使用者に提供することを可能にするCODEC及びスピーカからなる高忠実度サウンドシステムを含むことができる。
【0077】
電源装置142は、公称ACまたはDC電圧をベースアセンブリに供給する。電源装置142はまた、ベースアセンブリ10内の回路及び構成要素を動作させるために、より低い電圧を供給するように構成されてもよい。いくつかの実装において、電源装置142は、図8に示しているように、1つ以上のバッテリまたはバッテリパックを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、バッテリは、交換可能なアルカリ電池(例えば、AAまたはAAA電池)または一種の充電式電池である。充電式電池は、例えば、リチウムイオン、鉛酸、ニッケルカドミウム、ニッケル金属水素化物などを含む。リチウムイオン電池は、一般に、従来の鉛蓄電池よりも小型軽量であり、それによって、システム1はより小型軽量にできる。他の実施形態では、電源装置142は、電源接続部(図示せず)を含む。電源接続部により、ベースアセンブリ10が外部電源装置に接続されたときに充電式電池が充電され得る。例えば、外部電源装置は、携帯型またはその他のコンセントまたは充電器であってもよい。あるいは、システム1は、給電接続が不要となるように、誘導充電を可能にするQI標準コイルを含むことができる。システム1がQI標準コイルを含む場合、ベースアセンブリ10は、1つまたは複数のバッテリを再充電するために基地局に配置してもよい。誘導充電方法を使用する結果として、システムは交差汚染をさらに抑制することができる。QI標準コイルはさらに、システム1及び/または基地局の外部にあってもよい別々の通信モジュール及びユーザインタフェースと通信することができる。例えば、信号は、とりわけ、情報、データ、シリアルデータ、及び/またはデータパケットを含むことができる。通信モジュールは、ワイヤ、ファイバ、及び/または無線を介して1つまたは複数の別個の通信モジュールに連結することができる。ワイヤ及び/またはファイバによる通信は、当業者に知られている任意の適切なネットワークトポロジであり得る。例えば、有線通信及び/または光ファイバ通信は、イーサネットを介して行われてもよい。無線通信は、当業者に知られている任意の適切な無線ネットワークトポロジとすることができる。例えば、ワイヤレス通信は、とりわけ、Wi-Fi、Bluetooth、Zig-Bee、Z-Wave、及び/またはANTを介して行われてもよい。
【0079】
電力を保存するために、システム1は、所定の非活動時間(例えば、装置とのユーザインタラクションなしで20分間)後にスリープタイマーを開始するように構成することができる。スリープタイマーが時間切れになると、装置は電源を切り、電力を保存することができる。
【0080】
皮膚組織における細胞のトランスフェクション(すなわち、電気穿孔)を行うためにシステム1が使用する電気パルスは、任意の既知のパルスのパターンである。特に、パルスのパターンは方形波パルスであってもよい。いくつかの実施形態では、電気穿孔パルス発生器は、約0.01V~約70V、約0.01V~約50V、約0.01V~約40V、約0.01V~約30V、約0.01V~約20V、約0.01V~約15V、約0.1V~約70V、約0.1V~約50V、約0.IV~約40V、約0.IV~約30V、約0.IV~約25V、及び約0.IV~約15Vの電圧レベルで所望の組織に電気パルスを送達することができる。特に、電気パルスは、約10V~約25Vであってもよい。いくつかの実施形態では、本開示は、約0.02mA~約100mA、約0.1mA~約100mA、約0.2mA~約100mA、約0.5mA~約100mA、約1mA~約100mA、約1mA~約80mA、約1mA~約60mA、約1mA~約50mA、約1mA~約40mA、及び約1mA~約30mAで所望の組織に電流を送達する電気パルスにより特徴付けられる電気エネルギーを送達する。特に、送達される電流は、約1mA~約100mA、または約1mA~約30mA、または10mAであり得る。
【0081】
本開示に関連する電気パルスは、一般に、5msec~約250msec、約10msec~約250msec、約20msec~約250msec、約40msec~約250msec、約60msec~約250msec、約80msec~約250msec、約100msec~約250msec、約20msec~約200msec、約40msec~約200msec、約60msec~約200msec、約80msec~約200msec、約100msec~約200msec、約20msec~約150msec、約40msec~約150msec、約60msec~約150msec、約80msec~約150msec、約100msec~約150msec、約100msec~約140msec、約100msec~約130msec、約100msec~約120msec、及び約100msec~約110msecのパルス長を含む各パルスの短い持続時間によって特徴付けられる。特に、電気パルスの長さは、約100msecであってもよい。電気パルスは、次のパルスの前に遅延が続くようにし得る。遅延は、約5msec~約250msec、約10msec~約250msecパルス、約20msec~約250msec、約40msec~約250msec、約60msec~約250msec、約80msec~約250msec、約100msec~約250msec、約20msec~約200msec、約40msec~約200msec、約60msec~約200msec、約80msec~約200msec、約100msec~約200msec、及び約150msec~約200msecであってよい。特に、遅延は約200msecであってもよい。送達される電気パルスは、ワクチン接種ごとに複数のパルスを送達するために反復される。例えば、送達される電気パルスの数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であってもよい。特に、電気パルスの数は、1~6パルス、または2もしくは3パルスであってもよい。
【0082】
カートリッジ120は、注射を行い得る前に、装置がカートリッジ120の内容物を確かめることを可能にする識別システムを含むことができる。具体的には、カートリッジ120は、カートリッジ120がアレイ82に設置される場合に制御器が読み取り可能な埋め込み型RFIDタグまたは他のラベル(図示せず)を含んでもよい。このような場合、制御器は、注射が行われる前に適切なカートリッジ120が定位置にあることを確かめる。いくつかの実施形態(例えば、スタンドアロンEPシステム)では、システム1は、カートリッジ120なしで機能することができる。
【0083】
本開示は、無処置の被験者について、少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約220%、約230%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、約300%、約310%、約320%、約330%、約340%、約350%、約360%、約370%、約380%、約390%、約400%、約410%、約420%、約430%、約440%、約450%、約460%、約470%、約480%、約490%、または約500%、約550%、約600%、約650%、約700%、約750%、約800%、約850%、約900%、約950%、約1000%、約1100%、約1200%、約1300%、約1400%、約1500%、約1600%、約1700%、約1800%、約1900%、約2000%、約2100%、約2200%、約2300%、約2400%、約2500%、約2600%、約2700%、約2800%、約2900%、または約3000%免疫反応を高めるように構成される。
【0084】
別の実施形態では、本開示は、無処置の被験者について、少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約8倍、及び少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、または少なくとも約30倍免疫反応を高めることができる。
【0085】
操作において、被験者を治療するために、使用者はまず、無針注射システム1と、適切な薬剤及び投与量を含むプレフィルドカートリッジ120の少なくとも1つを入手しなければならない。システム1を電源投入すると、システム1は、複数の自己テストを実行でき、それはシステム1が治療の準備ができていることを確実にするためのソフトウェアのテスト(例えば、スイッチングマトリクス内部試験負荷)や、注射を行わせる前に適切なカートリッジ120が適所にあることを確認することを含む。最初のセットアップが完了したら、使用者は次いでカートリッジ120を挿入し得る。カートリッジ120を挿入するために、使用者は新しい未使用ジェット注射モジュール40を得るか、ジェット注射モジュール40をベースアセンブリ10から取外して、ハウジング16の下端部14のキャビティ18と、注射モジュール40の注射ハウジング42の上端部44の開口部45へのアクセスを提供することができる。使用者は、カートリッジ120が注射モジュール40と同軸になり、第2の端部125をノズル48のベベリングされた近位端50に最も近接するように、カートリッジ120を配向する。使用者は、次いで、中隔121に接触し、最終的にノズル48のベベリングされた近位端50が穿孔するまで、カートリッジ120をジェット注射モジュール40内に軸方向に導入し、ノズル48が、カートリッジ120の容積部126と流体連通するようにする。カートリッジ120を用いてハウジング16に注射モジュール40を再び取付けて、プランジャ122を推進ロッド62と同軸に整列する前に、推進ロッド62は、以下に詳述するように、所定の位置に係止し得る。次いで、使用者は、ジェット注射及び電気穿孔処置を開始することができる。
【0086】
注射モジュール40をハウジング16に連結する動作が可能になる前に、使用者は回転ノブ30に回転力を加え、それによりスロット78の大きな部分172がトリガピン67上を移動するまで推進ばね66を圧縮する。前に説明したように、板ばね69はトリガピン67の第2の部分156をスロット78の大きな部分172へと付勢し、推進ロッド62を適所に係止する。次いで、使用者は、注射モジュール40をベースアセンブリ10に連結する動作が可能であり、ジェット注射及び電気穿孔を受け入れるべき被験者の所望の組織を特定し、注射モジュール40の縁部43を被験者の皮膚2と接触させることができる。その後、使用者は、トリガピン67を動かすプッシュボタン26を係動させて、その時に小さな部分154がスロット78内に位置するようにする。推進ばね66は、もはや規制されなくなると復元して、推進ロッド62がプランジャ122を係動させ、第1の軸Aと同軸の注射する力を付与する。プランジャヘッド127は、カートリッジ120の容量部126を通って移動し、最終的に、ノズル48、第1のオリフィス96、及び第2のオリフィス86を介して被験者の皮膚2に投薬量を配する。同時に、突起155はPCB136を係動させるマイクロスイッチ128と接触して、タイミングシーケンスを開始させ、タイミングシーケンスが完了すると(ジェット注射が完了することを可能にする)、電気穿孔が、その特定の治療のために処方するものとして開始される。上述したように、EPアレイアセンブリ80は、推進ロッド62によって展開される。リリースピン91はラッチ戻り止め93に接触し、EPアレイアセンブリ80を展開させる。電極110は、図11に示すように、被験者の皮膚2の表皮組織を約1.0mmまでの深さへと貫通する。タイマーが終了した後、制御器は、電源装置142が接点140に電流を送るための信号を発する。電流は、接点140からフレックス回路83の接点100へと、そして最後に電極110へと続き、そこにおいて被験者の皮膚2の電気穿孔が、所定のパラメータ(例えば、時間量及びパルス数)に従って開始する。上述したように、制御器は、被験者の皮膚2を電気穿孔し続けるために、電源装置142に信号を発し続けることができる。
【0087】
アナンシエータ及び/またはLED(図示せず)は電気穿孔の完了を示すことができ、システム1が被験者の皮膚2から取外され、その場合に使用者がジェット注射モジュール40を取外して新しいプリロックのモジュール40と交換してもよいし、使用者が使用のためにシステム1を手動で再装備またはリコックしてもよい。それは、ラッチ90がラッチ戻り止め93に連結するように、EPアレイアセンブリ80を後退位置に押し戻すことによって、行うことができる。
【0088】
当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、上で説明したEP装置の多くの変更及び修正を行うことができる旨を理解する。
【実施例0089】
実施例1
本実施例では、(1)皮膚電気穿孔(SEP)を併用するMantoux注射;(2)SEPを併用するジェット注射;(3)処置なし、により皮膚に送達されるインフルエンザpNP(pGX2013)及びRSV-F(pGX2303)を使用することによって発生させたラットB細胞応答を、比較している。
【0090】
方法
検討するために、3群のラットに免疫をもたせた。10匹のWistar系の雌ラット(8週齢)2群に、別々の腹部皮膚側面で、pGX2013及びpGX2303で免疫をもたせ、さらに2匹の無処置(処置をしない)のWistar系の雌ラット(8週齢)群があった。1日目及び15日目に免疫処置を行った。処置は、50μLのPBS ID中の50ugのpGx2303/15ugのpGX2013(腹部側面、各プラスミドについて別個の位置(左側腹部にpGx2303を注射し、右側腹部にpGX2013を注射した))をIDジェット注射装置(Bioject Medical Technologies,Inc、オレゴン州タイガードから入手可能なBiojector(登録商標)2000)、またはMantoux注射(29ゲージインスリン注射器を使用)のいずれかにより投与する注射により行い、各注射の直後にSEPを実施した。パルス(方形パルス波形)と電流との間で200msecの遅延を設けて、パルス当たり25V、100msecを用いて皮膚の電気穿孔を実施し、0.5Aでキャップした。
【0091】
ELISA:15日目及び22日目に頸静脈サンプリング術によりラットから採血した。96ウェルの平底プレート(Costar 3590)を、300ng/mlのインフルエンザNP(IMR-274、Novus Biologicalsから入手可能)またはHu RSV-F(11049-V08B、Sinobiologicalsから入手可能)で、4℃にて一晩覆った。プレートを自動プレート洗浄(0.05%のTween-20を含む洗浄溶液PBS)を用いてX4洗浄し、37℃で2時間3%BSA PBS、0.05% Tween-20緩衝液でブロッキングした。プレートを洗浄し、1%BSA PBS、0.05%Tween-20緩衝液における1:50の連続希釈で開始した100uLの血清のアリコートを3倍にして加え、37℃で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、1:10,000希釈のヤギ抗ラットIgG-HRP(Sigmaカタログ番号A9037)100uLを37℃で1時間添加した。プレートを洗浄し、室温で6分間、2成分(各50ul/ウェル)TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ系(カタログ番号50-76-00、Kirkegaard&Perry Laboratoriesから入手可能)を用いて発達させて、停止溶液(50ul)を加えた。Molecular Devices SpectraMax 384を使用してOD450測定値を取得し、PBSバックグラウンドの2倍のOD450の読出しに基づいて、エンドポイント力価カットオフを計算した。
【0092】
結果:図21A~B及び図22A~Bに示すように、ジェット注射と電気穿孔の併用により、より速い免疫応答に至った。それは、Mantoux注射と電気穿孔の場合と比較して、皮膚に送達されるインフルエンザpNP(pGX2013)及びRSV-F(pGX2303)双方の15日目及び/または22日目(免疫後)のより高い抗体応答によって示されるものとして明白である。
【0093】
実施例2
上記のように識別された群化した新たなWistar系のラットを用いて、実施例1に記載の免疫化、SEP及びELISAの方法にしたがって、第2の実験を行った。
【0094】
結果:図23A~B及び図24A~Bに示すように、ジェット注射と電気穿孔の併用により、より速い免疫応答に至った。それは、Mantoux注射と電気穿孔の場合と比較して、皮膚に送達されるインフルエンザpNP(pGX2013)及びRSV-F(pGX2303)双方の15日目及び/または22日目(免疫後)のより高い抗体応答によって示されるものとして明白である。
【0095】
完全性の理由から、本発明の様々な態様を、以下の番号の条項に記載する。
【0096】
条項1.予め測定された用量の薬剤を中に含む容積部を画定する薬剤カートリッジと共に使用する電気穿孔装置であって、
軸が貫通して延びるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されたノズルと、
中に前記薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティであって、前記薬剤カートリッジが中に配置されると前記ノズルが前記薬剤カートリッジの前記容積部と流体連通する前記キャビティと、
アレイであって、複数の電極が前記アレイから延びる前記アレイと、
前記薬剤カートリッジが前記キャビティ内に配置されると前記薬剤カートリッジを係動させるように動作するように構成された推進カートリッジと、
前記アレイと電気通信する電源装置と
を備える、前記電気穿孔装置。
【0097】
条項2.前記推進カートリッジが、装備構成と展開構成との間で調節可能であり、前記推進カートリッジが、前記展開構成に向かって付勢される、条項1に記載の電気穿孔装置。
【0098】
条項3.前記推進カートリッジを前記装備構成から前記展開構成に調節することが、前記予め測定された用量の薬剤の一部を前記ノズルを通して機械的に排出する、条項2に記載の電気穿孔装置。
【0099】
条項4.さらにトリガを含み、前記トリガが、前記推進カートリッジが前記装備構成において固定される第1の位置と、前記推進カートリッジが前記固定された構成と前記展開構成との間で調節可能である第2の位置との間で調節可能である、条項2に記載の電気穿孔装置。
【0100】
条項5.前記トリガが、前記アレイが前記電源装置と電気通信する前記第1の位置と、前記アレイが前記電源装置と電気通信しない前記第2の位置との間で調整可能である、条項4に記載の電気穿孔装置。
【0101】
条項6.前記アレイが、前記電極が前記ハウジングの内部に配置される後退位置と、前記電極の少なくとも一部が前記ハウジングの外側に配置される伸長位置との間で、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能である、条項1に記載の電気穿孔装置。
【0102】
条項7.前記アレイが前記伸長位置に向かって付勢される、条項6に記載の電気穿孔装置。
【0103】
条項8.さらにトリガを含み、前記トリガは、前記アレイが前記後退位置に固定される第1の位置と、前記アレイが前記後退位置と前記伸長位置との間で移動可能である第2の位置との間で調節可能である、条項6に記載の電気穿孔装置。
【0104】
条項9.前記推進カートリッジは、装備構成と展開構成との間で調整可能であり、前記トリガは、前記推進カートリッジが前記装備構成において固定される前記第1の位置と、前記推進カートリッジが前記装備構成と前記展開構成との間で調整可能である前記第2の位置との間で調整可能である、条項8に記載の電気穿孔装置。
【0105】
条項10.前記電源装置と前記アレイとの両方と電気通信する信号発生器をさらに備え、前記信号発生器は、前記電源装置から電力を受け取り、前記アレイに電気穿孔信号を出力するように構成されている、条項1に記載の電気穿孔装置。
【0106】
条項11.予め測定された用量の薬剤を中に含む容積部を画定する薬剤カートリッジと共に使用する電気穿孔装置であって、
中に前記薬剤カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、前記カートリッジが前記キャビティ内に配置されると前記薬剤カートリッジと流体連通するノズルと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、前記ハウジングに対して装備位置と展開位置との間で移動可能である推進ロッドであって、前記装備位置から前記展開位置への移動によって、前記予め測定された用量の薬剤の少なくとも一部を前記ノズルにより放出する前記推進ロッドと、
前記推進ロッドと前記ハウジングとの間に延在する推進ばねであって、前記推進ロッドを前記展開位置に向けて付勢するように構成された前記推進ばねと、
アレイであって、1つ以上の電極が前記アレイから延びる前記アレイと、
電源装置と、
前記推進ロッドが前記装備位置に固定され、前記電源装置が前記アレイと電気通信しない第1の構成と、前記推進ロッドが前記装備位置と前記展開位置との間を自由に移動し、前記電源装置が前記アレイと電気通信する第2の位置との間で調整可能であるトリガアセンブリと
を備える、前記電気穿孔装置。
【0107】
条項12.前記ノズルが、前記ハウジングの第1の端部に近接して配置された第1の端部と、前記薬剤カートリッジの前記容積部と流体連通する第2の端部とを含む、条項11に記載の電気穿孔装置。
【0108】
条項13.信号発生器及びスイッチをさらに備え、前記信号発生器が、前記スイッチによって少なくとも部分的に制御され、前記信号発生器が、前記電源装置から電力を受け取り、電気穿孔信号を前記アレイに出力するように構成されている、条項11に記載の電気穿孔装置。
【0109】
条項14.前記スイッチが、前記トリガアセンブリによって少なくとも部分的に制御される、条項13に記載の電気穿孔装置。
【0110】
条項15.前記アレイは、前記電極が前記ハウジングの内部に配置される後退位置と、前記電極の少なくとも一部が前記ハウジングの外側に配置される伸長位置との間で、前記ハウジングに対して移動可能である、条項11に記載の電気穿孔装置。
【0111】
条項16.前記アレイが前記ハウジングを解放可能に係動させる1つ以上のラッチを含み、前記ラッチが前記アレイを前記後退位置に固定するように構成されている、条項15に記載の電気穿孔装置。
【0112】
条項17.前記推進ロッドを前記弛緩位置から前記装備位置に移動させるように構成されたアーミングカムをさらに含む、条項11に記載の電気穿孔装置。
【0113】
条項18.前記アレイが、前記ハウジングを解放可能に係動させるように構成された1つ以上のラッチを含み、前記ラッチは前記アレイを前記後退位置に保持する、条項15に記載の電気穿孔装置。
【0114】
条項19.予め測定された用量の薬剤を中に有する容積部を画定するカートリッジであって、前記容積部の少なくとも一部がプランジャによってシールされている前記カートリッジと、
ジェット注射モジュールであって、
中に前記カートリッジの少なくとも一部を受け入れる寸法を有するキャビティを画定する第1のハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、前記カートリッジが前記キャビティ内に配置されると前記カートリッジと流体連通するノズルと、
アレイであって、1つ以上の電極が前記アレイから延びる前記アレイであって、前記電極が前記ハウジング内に配置される後退位置と、前記電極の少なくとも一部が前記ハウジングの外側に配置される伸長位置との間で前記第1のハウジングに対して移動可能である前記アレイと
を含む前記ジェット注射モジュールと、
前記ジェット注射モジュールに取外し可能に連結可能なベースアセンブリであって、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されており、前記ハウジングに対して装備位置と展開位置との間で移動可能である推進ロッドであって、前記カートリッジを係動させるように動作するように構成された前記推進ロッドと、
前記推進ロッドと前記ハウジングとの間に延在する推進ばねであって、前記推進ロッドを前記展開位置に向けて付勢するように構成された前記推進ばねと、
電源装置と、
前記推進ロッドが前記装備位置に固定され、前記電源装置が前記アレイと電気通信しない第1の構成と、前記推進ロッドが前記装備位置と前記展開位置との間で自由に移動し、前記電源装置が前記アレイと電気通信する第2の位置との間で調節可能であるトリガアセンブリと
を含む前記ベースアセンブリと
を備える、電気穿孔装置。
【0115】
条項20.前記トリガアセンブリは、前記アレイが前記後退位置に固定される前記第1の構成と、前記アレイが前記後退位置と前記伸長位置との間で移動可能な前記第2の構成との間で調整可能である、条項19に記載の電気穿孔装置。
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