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特開2022-116357レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む眼科用組成物
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  • 特開-レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む眼科用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116357
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20220802BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 27/10 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K31/135
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/22
A61K31/46
A61K31/551
A61P25/00
A61P27/02
A61P27/10
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094850
(22)【出願日】2022-06-13
(62)【分割の表示】P 2018553929の分割
【原出願日】2017-04-10
(31)【優先権主張番号】2016901339
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】508188868
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・キャンベラ
【氏名又は名称原語表記】University of Canberra
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】リーガン アシュビー
(57)【要約】
【課題】糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に伴う視覚障害、及び近視を含む視覚障害の発症又は進行を阻害するための、レボドパ及び抗酸化剤を含む組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、抗酸化剤と組み合わせたレボドパの水性製剤が眼組織に浸透し、眼内ドーパミンレベルを有意に上昇させ、それにより対象における視覚障害、特に、糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に関連する視覚障害、又は近視などの眼におけるドーパミンレベルの低下を伴う視覚障害の発症又は進行を阻害することができる薬学的眼科用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それからなるか又は本質的にそれらからなる薬学的眼科用組成物。
【請求項2】
レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それらからなるか又は本質的にそれらからなる、視覚障害の進行又は発生を阻害するための組成物。
【請求項3】
抗酸化剤が、アスコルビン酸、フェノール酸、ソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、亜硝酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、α-チオグリセロール、エリソルビン酸、システイン塩酸塩、クエン酸、トコフェロール又はビタミンE、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、尿酸、メラトニン、チオ尿素、ならびにそれらの塩及び組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤が、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドーパ及びそれらの組み合わせから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤がカルビドパである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
レボドパと芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤の比が20:1~1:1の範囲である、請求項5~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
レボドパと芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤の比が4:1である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物がドーパミン受容体アゴニストをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ドーパミン受容体アゴニストが、キンピロール、アポモルヒネ、ロピニロール、プラミペキソール、デキサプラミペキソール、ピリビジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、リスリド、カベルゴリン、2-アミノ-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ペルゴリド、カリドパ、ジヒドレキシジン、ドキサトリン、プロピルノルアポモルヒネ、キナゴリド、ロキシンドール、スマニロール、フェノルドパム、エルゴコルミン、1-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-(1H)-3-ベンズアゼピン-7,8-ジオール、2-(N-フェネチル-N-プロピル)アミノ-5-ヒドロキシテトラリン、ジヒドロエルゴタミン、(1R,3S)-1-(アミノメチル)-3-フェニル-3,4-ジヒドロ-1H-イソクロメン-5,6-ジオール、カルモキシロール、フェノルドパム、ならびにそれらの塩及び組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、GABA受容体アンタゴニストをさらに含む、請求項1~11のいずれか項に記載の組成物。
【請求項13】
GABA受容体アンタゴニストが、ビククリン、フルマゼニル、ガバジン、フェニレンテトラゾール、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチルホスフィン酸、(3-アミノプロピル)(シクロヘキシルメチル)ホスフィン酸、ならびにそれらの塩及び組み合わせから選択される請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物がムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストが、アトロピン、ピレンゼピン、ヒンバシン、ヒヨスシン、シクロペントレート、イプラトロピウム、オキシトロピウム、トロピカミド、オキシブチニン、トルテロジン、ジフェンヒドラミン、ジシクロベリン、フラボキサート、チオトロピウム、トリヘキシフェニジル、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンズアトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム、ならびにそれらの塩及び組み合わせから選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
水性担体が、生理食塩水、水、水性緩衝液、水と混和性溶媒を含む水溶液、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
レボドパが可溶化形態である、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
組成物のpHが5~8の範囲である、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物のpHが5.2~7.4の範囲である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
組成物のpHが5.5~6の範囲である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
組成物が眼への局所投与のために処方される、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物が点眼剤の形態である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、角膜上皮を通したレボドパの浸透のために処方される、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、眼への直接注射のために処方される、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、硝子体内投与のために処方される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、対象における視覚障害の進行又は発生を阻害する方法。
【請求項27】
対象における視覚障害の進行又は発生を阻害するための、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項28】
対象における視覚障害の進行又は発生を阻害するのに使用するための、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法、使用又は組成物。
【請求項30】
視覚障害が近視である、請求項29に記載の方法、使用又は組成物。
【請求項31】
レボドパを0.5~2.5の範囲のpHで水性担体に溶解し、抗酸化剤を組成物に添加し、及び組成物のpHを約5~8の範囲に調整することを含む、請求項1又は2に記載の組成物を調製する方法。
【請求項32】
レボドパがpH2で水性担体に溶解される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
組成物のpHを5.5~6の範囲のpHに調整する、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それらからなるか又は本質的にそれらからなる、眼への局所投与のために処方される薬学的眼科用組成物。
【請求項35】
レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それらからなるか又は本質的にそれらからなる、視覚障害の進行又は発生を阻害するための局所用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月11日に出願されたオーストラリア特許仮出願第2016901339号(「組成物及び使用方法」と題する)の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に伴う視覚障害、及び近視を含む視覚障害の発症又は進行を阻害するためのレボドパ及び抗酸化剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書における任意の先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は公知の事項への言及は、承認及び自白ではなく、そのようにとるべきではなく、あるいはその先行刊行物(又はそれから由来する情報)又は公知の事項が、本明細書が関係する努力の分野における共通の一般知識の一部を形成するといういずれもの形態の示唆ではなく、そのようにとるべきではない。
【0004】
近視は、近視眼として一般に知られており、発生中の眼の過剰な伸長(軸方向の長さ)によって引き起こされる視覚障害である。近視は、低視力の主要原因であり、世界中で最も一般的な眼疾患であり、近視はこの10年の終わりまでに世界人口の3分の1に影響する可能性があると推定されている。蔓延率は都市部の東アジアで最も高く、多くの部署で学校出身者の約80~90%が近視眼である。
【0005】
近視の有病率は、明るい光で、屋外で過ごす時間の量と強く関連しているようである。具体的には、疫学的研究では、屋外で過ごす時間が小児の近視の発症に対して強力な保護因子であることが報告されている。動物の研究は、この保護効果が光誘導性の眼内のドーパミンレベルの増加に関連しているようであることを示している。
【0006】
子供が明るい光の中、屋外で過ごす時間の増加を含む、近視の発症及び進行を減少させる試みがなされている。しかし、世界の多くの地域では、地理的な場所や地方の気候の制限によって、光のレベルが十分に強くならないことや、曝露時間が近視から守られるのに十分長いことにより防止される場合がある。さらに、社会的及び文化的障壁は、教育や学術の進歩を妨げていると認識されているため、子供が屋外で過ごす時間を増加させない可能性がある。
【0007】
近視の進行を減少させるための現在の治療選択肢には、単一視野レンズ、多焦点レンズ、末梢レンズ及びオルソ角膜学のような光学的アプローチが含まれる。及びアトロピン及びピレンゼピンなどの医薬品が挙げられる。光学的アプローチに関して、臨床試験からの所見は混合されており、光学的アプローチの大部分は、近視進行の速度に長期間の効果がないことに限定されている。光学的アプローチはまた、近視の発症を予防することを目的とせず、その進行のみを目標とする。伝統的に、アトロピンなどの医薬品での治療は、近視の進行の速度を低下させるのに最も効果的であった。しかし、アトロピンの広範な使用は、治療後のリバウンド効果、ならびに短期及び長期の重大な副作用の懸念によって阻害されている。
【0008】
したがって、近視などの視覚障害の発症又は進行を阻害するための新しい治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、抗酸化剤と組み合わせたレボドパの水性製剤が眼組織に浸透し、眼内ドーパミンレベルを有意に上昇させ、それにより対象における視覚障害、特に、糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に関連する視覚障害、又は近視などの眼におけるドーパミンレベルの低下を伴う視覚障害の発症又は進行を阻害することができるという発見に部分的に基づいている。
【0010】
レボドパは、神経伝達物質であるドーパミン、エピネフリン及びノルエピネフリンに対する天然に存在する前駆体である。現在のところ、レボドパは、パーキンソン病の治療のために経口投与され、中枢神経系内及びより少ない程度で全身系でドーパミンレベルを上昇させる。しかしながら、視覚障害を有する対象の脳内でドーパミンレベルを有意に上昇させることは望ましくないため、レボドパの経口投与は視覚障害の治療には適用できず、経口投与は全身分布によるレボドパの大量投与を必要とする。
【0011】
レボドパ
一態様では、本発明は、レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる薬学的眼科用組成物を提供する。本発明者らは、レボドパが眼球組織に浸透し、眼内ドーパミンレベルを上昇させるのに利用できるように、レボドパを水性担体中に配合することが望ましいことを見出した。
【0012】
本発明の別の態様では、視覚障害の発症又は進行を阻害するための組成物であって、レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらから組成物が提供される。組成物はまた、視覚障害を治療又は予防するために使用され得る。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、本発明の組成物を対象に投与することを含む、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、視覚障害は対象において治療される。他の実施形態では、視覚障害は対象において予防される。
【0014】
本発明の別の態様は、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための本発明の組成物の使用を提供する。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するのに使用するための本発明の組成物を提供する。
【0016】
本発明はまた、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の態様では、本発明の組成物を調製する方法が提供され、この方法は、0.5~2の範囲のpHでレボドパを水性担体に溶解する工程、抗酸化剤を組成物に添加し、組成物のpHを5~8の範囲内のpHに調整することを含む。
【0018】
本発明の別の態様は、眼への局所投与のために処方され、レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなる薬学的眼科用組成物を提供する。
【0019】
さらに別の態様では、本発明は、視覚障害の進行又は発症を阻害するための、レボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む、本質的にそれからなる、又は本質的になる局所組成物を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、レボドパを含む、それからになる、又は本質的にそれからなる組成物を対象に投与することを含む、対象の視覚障害の進行又は発症を阻害する方法を提供する。ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0021】
さらに別の態様では、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するためのレボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物の使用が提供され、ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0022】
別の態様では、本発明は、対象の視覚障害の進行又は発症を阻害するのに使用するためのレボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物を提供し、ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0023】
さらに別の態様では、対象の視覚障害の進行又は発症を阻害するための医薬品の製造におけるレボドパ、抗酸化剤及び水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物の使用が提供され、ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、レボドパ又はその薬学的に許容される塩を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる組成物を対象に投与することを含む、対象の視覚障害の進行又は発症を阻害する方法を提供する。ここで、視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0025】
さらに別の態様では、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、抗酸化剤及び水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物の使用が提供され、ここで、視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0026】
別の態様では、本発明は、対象における視覚障害の進行又は発症の阻害に使用するための、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、抗酸化剤、及び水性担体を含む、それかなる、又は本質的にそれからなる組成物を提供し、ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0027】
さらに別の態様では、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害する薬剤の製造における、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、抗酸化剤及び水性担体を含む組成物の使用が提供され、ここで、視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0028】
特定の実施形態では、視覚障害は近視である。
【0029】
さらに別の態様では、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、及び薬学的に許容される水性担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物を対象に投与することを含む、対象の視覚障害の進行又は発症を阻害するための方法が提供される。ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0030】
さらなる態様において、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む、それからなる、又は本質的にそれからなる組成物の使用が提供される。ここで、視覚障害は、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0031】
別の態様では、本発明は、対象における障害の進行又は発症の阻害において使用するための、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む、それからなる、又は本質的になる組成物を提供し、ここで、視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0032】
さらに別の態様では、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害するための薬剤の製造における、レボドパ又はその薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物、又はそのプロドラッグ、及び薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が提供され、ここで、視覚障害が、糖尿病性網膜症に関連する視覚障害、パーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、レボドパ及び薬学的に許容される担体を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は水性担体である。
【0034】
特定の実施形態では、視覚障害は近視である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、ディフューザー装着(形態喪失近視の誘導)及びレボドパ/カルビドパ組成物による処置に応答する雛(chick)の眼における屈折発症を示す。
図2図2は、ディフューザー装着及びレボドパ/カルビドパ組成物による処置に応答する雛の眼における軸方向長さの変化を示す。
図3図3は、ディフューザー装着及びレボドパ又はレボドパ/カルビドパ組成物による処置に応答する雛の眼における屈折発症を示す図である。
図4図4は、ディフューザー装着及びレボドパ又はレボドパ/カルビドパ組成物による処置に応答する雛の眼における軸方向長さの変化を示す図である。
図5図5は、ディフューザー装着及びレボドパ又はレボドパ/カルビドパ組成物の硝子体内注入に応答する雛の眼における屈折発症を示す。G2(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001。
図6図6は、ディフューザー装着及びレボドパ又はレボドパ/カルビドパ組成物の硝子体内注入に応答する雛の眼における軸方向長さの変化を示す。G2(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001。
図7図7は、ディフューザー装着及びレボドパ、レボドパ/カルビドパ又はレボドパ/DMSO組成物の局所投与に応答する雛の眼における屈折発症を示す。G13(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001。
図8図8は、ディフューザー装着及びレボドパ、レボドパ/カルビドパ又はレボドパ/DMSO組成物の局所投与に応答する雛の眼における軸方向長さの変化を示す。G13(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001。
図9図9は、ディフューザー装着及びレボドパの局所投与に応答する、4週間の期間にわたる雛の眼における屈折発症を示す[三角=年齢が一致した未処置対照;四角=形態喪失近視;菱形=形態喪失近視及び局所的な0.3%w/v(15mM)レボドパ処置;丸形=未処理の眼(実験的な近視はない)に対する局所的な0.3%w/v(15mM)レボドパ処置]。
図10図10は、ディフューザー装着及びレボドパの局所投与に応答する、4週間の期間にわたる雛の眼における軸方向長さの変化を示す[三角=年齢が一致した未処置対照;四角=形態喪失近視;菱形=形態喪失近視及び局所的な0.3%w/v(15mM)レボドパ処置;丸形=未処理の眼(実験的な近視はない)に対する局所的な0.3%w/v(15mM)レボドパ処置]。
図11図11は、ディフューザー装着ならびにADTN、アトロピン及びピレンゼピンを伴うレボドパの局所投与に応答する雛の眼における屈折発症を示す図である。G2(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01。
図12図12は、ディフューザー装着ならびにADTN、アトロピン及びピレンゼピンを伴うレボドパの局所投与に応答する雛の眼における軸方向長さの変化を示す図である。G2(形態喪失近視のみ)と比較して、*=p<0.05;**=p<0.01;***=p<0.001。
図13図13は、ディフューザー装着、及び局所的なレボドパ処置の4週間後、1%トルイジンブルーで染色した雛の眼からの網膜の組織学的分析を示す。図13Aは、雛の対側対照眼からの染色された網膜を表し、他方の眼は、FDMを誘導するために半透明のディフューザーが装着されている。図13Bは、FDMを誘発するために半透明のディフューザーが装着された雛の眼からの染色された網膜を表す。図13Cは、雛の対側対照眼からの染色された網膜を表し、他方の眼は、FDMを誘導するために半透明のディフューザーが装着され、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与で処置される。図13Dは、FDMを誘導するために半透明のディフューザーが装着され、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与で処置された雛の眼からの染色された網膜を示す。図13Eは、雛の対側対照眼からの染色された網膜を表し、他方の眼は、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与によって処置される。図13Fは、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与で処置された雛の眼からの染色された網膜を表す。図13Gは、年齢が一致した未処置対照雛の眼からの染色された網膜を表す。
図14図14は、ディフューザー装着、及び局所レボドパ処置の4週間後、雛の眼からの網膜のTUNELアッセイ分析を示す。図14Aは陰性対照を表す。図14Bは陽性対照を表す。図14Cは、年齢が一致した未処理対照雛の眼からの網膜切片を表す。図14Dは、FDMを誘発するために半透明のディフューザーが装着された雛の眼からの網膜部分を表す。図14Eは、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与で処置された雛の眼からの網膜切片を示す。図14Fは、FDMを誘導するための半透明のディフューザーが装着され、0.3%w/vレボドパを含む組成物の毎日の局所投与で処置された雛の眼からの網膜切片を表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は等価な任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料が記載される。本発明の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0037】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書では、この文章の1つ又は複数の(すなわち、少なくとも1つの)文法的な目的語を指すために使用される。例として、「要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0038】
「約」とは、基準の量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量又は長さと比較して、基準の量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量又は長さが15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%の程度で変動することを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の可能な組み合わせのいずれか及びすべて、ならびに代替(又は)で解釈されるときの組み合わせの欠如を指し、これを包含する。
【0040】
「水性担体」という語句は、本明細書では、水性担体が、水、生理食塩水、水性緩衝液、及び水溶性又は水混和性添加剤、例えばグルコース又はグリセロールを指す。水性担体はまた、水中油型エマルションの形態であってもよい。
【0041】
本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、文脈が他を必要としない限り、「含む(comprise)」という単語及び「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載された整数又はステップ又は整数の群の包含を意味すると理解される他の整数又はステップ又は整数又はステップのグループを除外するものではない。したがって、用語「含む」などの使用は、列挙された整数が必要又は必須であるが、他の整数は任意であり、存在してもしなくてもよいことを示す。「からなる」とは、「からなる」という語句に続くものを含み、限定することを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必須であるか、又は強制的であることを示し、他の要素が存在しないことを示す。「本質的に~からなる」とは、語句の後に列挙される任意の要素を含み、列挙された要素の開示において特定された活性又は作用に干渉しないか又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「本誌的に~からなる」という表現は、列挙された要素が必須であるか、又は強制的であることを示すが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすかどうかに応じて存在してもよく又は存在しなくてもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「状態」は、身体の全体的な状態又はその部分の1つにおける身体状態の異常を指す。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「塩」及び「プロドラッグ」は、レシピエントへの投与の際に、所望の化合物、又はその活性な代謝物若しくは残基を(直接又は間接的に)提供することができる任意の医薬として許容される塩、エステル、水和物、溶媒和物又は任意の他の化合物を含む。適切な医薬として許容される塩には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、カルボン酸、ホウ酸、スルファミン酸及び臭化水素酸などの医薬として許容される無機酸の塩、又は酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸などの医薬として許容される有機酸の塩が含まれる。塩基性塩には、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムなどの医薬として許容されるカチオンで形成されるものが含まれる。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル及びブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルなどの硫酸ジアルキル;その他などの薬剤で四級化され得る。しかしながら、医薬として許容されない塩もまた、医薬として許容される塩の調製に有用であり得るため、本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。塩及びプロドラッグの調製は、当該技術分野で公知の方法によって実施することができる。例えば、金属塩は、所望の化合物と金属水酸化物との反応によって調製することができる。酸塩は、適切な酸を所望の化合物と反応させることによって調製することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「可溶化形態」という語句は、レボドパなどの化合物が、固体化合物を実質的に含まない、化合物の均一分布を含む溶液が得られるように、液体に溶解されている形態を指す。いくつかの実施形態では、液体は、本明細書に記載の水性担体である。
【0045】
本明細書で使用する用語「対象」は、治療又は予防が望まれる脊椎動物の対象、特に哺乳動物又は鳥類の対象を指す。適切な対象には、限定されないが、霊長類;鳥類;ヒツジ、ウシ、ウマ、シカ、ロバ及びブタなどの家畜;ウサギ、マウス、ラット、モルモット及びハムスターのなどの実験試験動物;ネコ及びイヌなどのコンパニオン動物;キツネ、シカ、ディンゴなどの野生の野生動物などが含まれる。特定の実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、約2歳から20歳までのヒトの小児又は若年成人である。しかしながら、前述の用語は症状が存在することを意味するものではないことが理解されるであろう。
【0046】
本明細書で使用する「視覚障害」という語句は、対象の視覚を変化させる状態を指す。特定の実施形態では、このような状態は、典型的には視力の衰弱又は明瞭さの低下又は減少に関連する「視力」の低下に関連する。したがって、「視力」の低下は、典型的には、眼内の網膜焦点の鮮明さ及び脳の解釈能力の感度に依存する、形態視覚の鋭さ又は鮮明度の任意の測定可能な低下又は減少を意味する。特定の実施形態において、視力は、スネレンの鋭敏度(例えば20/20)を指す。
【0047】
本明細書に記載の各実施形態は、特に断りのない限り、各実施形態に準用して適用される。
【0048】
2.組成物
本発明は、部分的には、レボドパ及び抗酸化剤を含む水性組成物が眼内ドーパミンレベルを有意に上昇させることができるという同定に基づいている。したがって、本発明者らは、レボドパ及び抗酸化剤を含む水性組成物が、眼のドーパミンレベルの低下を伴う視覚障害の発症又は進行を阻害するのに有用であり得ると考えた。
【0049】
組成物中のレボドパの量は、処置される視覚障害、対象の体重及び年齢などの特徴、及び投与経路に依存し得る。いくつかの実施形態では、組成物中のレボドパは、組成物の0.01%~60%w/v、0.02%~50%w/v、0.03%w/v~40%w/v、0.04%~30%w/v、0.05%~20%w/v、0.06%~10%w/v、0.065%~9%w/v、0.07%~8%w/v、0.075%~7%w/v、0.08~6%w/v、0.085~5%w/v、0.09~4%w/v、0.095~3%w/v、0.1~2%w/v又は0.105%~1%w/vの範囲(及びそれらの間のすべての整数);特に組成物の約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%又は1%w/vである。
【0050】
好ましい実施形態では、レボドパは組成物中に可溶化形態で存在する。当業者は、化合物の溶解度を決定するために、当該技術分野において日常的に使用されている手段、例えば、Goodwin(2006)Drug Discovery Today:Technologies,3(1):67-71;Jouyban(2010)Handbook of Solubility Data for Pharmaceuticals(CRC Press);又はHefter and Tomkins(2003)The Experimental Determination of Solubilities(John Wiley & Sons,Ltd)に記載されている手段をよく知っている。例えば、化合物の溶解度は、UV分光法又は高速液体クロマトグラフィーを用いて分析することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、レボドパは、医薬として許容される塩及び/又はその溶媒和物、又はそのプロドラッグなどの誘導体の形態であり得る。いくつかの実施形態では、レボドパは水和物の形態である。いくつかの実施形態では、レボドパの医薬として許容される塩は、米国特許出願公開第2007/0027216A1号に記載されているものなどの塩酸塩である。いくつかの実施形態では、レボドパのプロドラッグは、米国特許第2009/0156679号明細書に記載されている(2R)-2-フェニルカルボニルオキシプロピル(2S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパノアートメシレート;又はレボドパメチルエステル又はレボドパエチルエステルなどのレボドパエステル、レボドパアミド、レボドパカルボキサミド又はレボドパスルホンアミド、例えばUS2014/0088192A1に記載されているものなどである。
【0052】
理論に拘束されることを望むものではないが、人体によって天然に合成され、ヒト体内に存在するレボドパの使用は、天然に存在しない医薬品との治療に比べて副作用を低減すると考えられている。したがって、本発明は、長期間の使用に適している。さらに、天然に存在する化合物の使用は、近視などの視覚障害の治療及び/又は予防に使用される既存の医薬品で通常開発されていて、耐性の発生を減少させると考えられる。
【0053】
抗酸化剤は、本発明の組成物のいずれかの成分、特にレボドパの酸化を減速させ、阻害し、又は防止する任意の化合物であり得る。適切な抗酸化剤には、限定されないが、アスコルビン酸又はビタミンC、フェノール酸、ソルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、亜硝酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、α-チオグリセロール、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、トコフェロール又はビタミンE、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、尿酸、メラトニン、チオ尿素、又はそれらの塩若しくは組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸又はその塩である。
【0054】
抗酸化剤は、本発明の組成物のいずれかの成分、特にレボドパの酸化を実質的に減速、抑制又は防止するのに適した量で存在してもよい。例えば、抗酸化剤は、組成物の0.01%~10%w/v、0.01%~5%w/v、0.03%~4%w/v、0.05%~3%w/v、0.07%~2%w/v、0.09%~1%w/v又は0.1%~0.5%w/v;特に組成物の約0.1%w/vの量で存在し得る。
【0055】
水性担体は、好ましくは医薬として許容される水性担体である。当該技術分野で周知の種々の医薬として許容される水性担体を使用することができる。例えば、水性担体は、限定されないが、生理食塩水、水、水性緩衝液、水と混和性溶媒を含む水溶液、及びそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、水性担体は生理食塩水である。生理食塩水を使用する場合、好ましくは眼のような投与点で等張である。例えば、いくつかの実施形態では、生理食塩水は、0.15~8%w/vの塩化ナトリウム;特に0.18~7%w/v、0.22~5%w/v又は0.45~3%w/vの塩化ナトリウム;より特別には0.5~2%w/v又は0.65%~1.5%w/vの塩化ナトリウム;最も好ましくは約0.9%w/vの塩化ナトリウムを含む。
【0056】
水性担体が等張ではないいくつかの実施形態、例えば水では、組成物は等張化剤を含んでもよい。当該技術分野において周知の任意の医薬として許容される等張化剤を使用することができる。適切な等張化剤には、限定されないが、ホウ酸、リン酸ナトリウム緩衝剤、塩化ナトリウム、グルコース、トレハロース、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ポリプロピレングリコール、グリセロール、マンニトール、又はそれらの塩若しくは組合せが含まれる。等張化剤は、眼のような投与点に等張性を提供する量、例えば0.02~15%w/vの範囲で組成物中に存在してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、水性担体は、緩衝液であり、緩衝液は、5~8、5.2~7.4、5.5~7.4又は5.5~6の範囲のpHを維持する。いくつかの実施形態において、緩衝液は、pHを5.5~6.5、特に5.5~6又は6~6.5の範囲に維持する。適切な緩衝剤としては、限定されないが、酢酸、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ヒスチジン、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、アルカリ金属リン酸塩、リン酸塩又はクエン酸塩緩衝液、又はそれらの組み合わせが挙げられる。緩衝剤は、所望のpHを維持するのに適した量で組成物中に存在し得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、組成物のpHは、5~8、5.2~7.4、5.5~7.4、又は5.5~6の範囲である。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、5.5~6.5、特に5.5~6又は6~6.5の範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、5.5~6の範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、6~6.5の範囲である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤をさらに含む。芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の適切な阻害剤としては、限定されないが、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドーパ、又はそれらの塩若しくは組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤はカルビドパである。理論に縛られることを望むものではないが、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤は、非ニューロン組織内のレボドパのドーパミンへの変換を減少させ、従って、本発明の組成物中のレボドパのバイオアベイラビリティーを増加させると考えられる。
【0060】
本発明の組成物中の芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤の量は、治療される状態、組成物の投与経路及び組成物中のレボドパの量に依存する。芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤は、レボドパの脱カルボキシル化を実質的に阻害するのに十分な量で存在すべきである。いくつかの実施形態では、レボドパと芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤の比は、20:1~1:1、15:1~1:1、10:1~1:1、9:1~1:1、8:1~1:1、7:1~1:1、6:1~2:1又は5:1~3:1である。いくつかの実施形態では、レボドパと芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤の比は約4:1である。
【0061】
いくつかの実施形態では、組成物中の芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤は、組成物の0.0005%~30%w/v、0.0025%~15%w/v、0.005%~12.5%w/v、0.0075~10%w/v、0.01%~7.5%w/v、0.0125%~5%w/v、0.015%~2.5%w/v、0.0163%~2.25%w/v、0.0175~2%w/v、0.0188~1.75%w/v、0.02~1.5%w/v、0.0213~1.25%w/v、0.0225~1%w/v、0.0238~0.75%w/v、0.025%~0.5%w/v、0.0263%~0.25%w/v(及びそれらの間の全ての整数)の範囲;特に組成物の約0.025%、0.03%、0.035%、0.04%、0.045%、0.05%、0.055%、0.06%、0.065%、0.07%、0.075%、0.08%、0.085%、0.09%、0.095%、0.1%、0.125%、0.15%、0.175%、0.2%、0.225%又は0.25%w/vの量である。
【0062】
組成物はまた、1種以上の補助的な医薬として活性な薬剤を含み得、あるいは別々に、同時に又は連続して含むか、又はそれと連続して投与され得る。いくつかの実施形態では、補助的な医薬として活性な薬剤は、ドーパミン作動系の活性化を増加させることができる。典型的な補助的な医薬として活性な薬剤には、限定されないが、ドーパミン受容体アゴニスト、ガンマアミノ酪酸(GABA)受容体アンタゴニスト及び/又はムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストが含まれる。いくつかの実施形態では、医薬として活性な薬剤は、視覚障害、特に、近視などの眼におけるドーパミンレベルの低下を伴う視覚障害の発症又は進行を阻害するために使用される薬剤である。
【0063】
理論に縛られることを望むものではないが、1を超える医薬として活性な薬剤の投与は、特に、医薬として活性な薬剤が異なる作用機序を有する場合、及び/又は異なる分子標的を有する場合、1つの医薬として活性な薬剤単独による治療に対する耐性の発生を低下させることができると考えられる。例えば、視覚障害用の既存の医薬治療薬、例えばアトロピンを含む本発明の組成物の投与は、既存の医薬治療薬に応答した受容体の脱感作の発生を減少させる可能性がある。1を超える医薬として活性な薬剤の投与はまた、有効性の増加、副作用の減少及び/又は耐性の低下など、各薬剤単独の投与よりも大きな治療効果をもたらし得るとも考えられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ドーパミン受容体アゴニストをさらに含む。ドーパミン受容体アゴニストは、限定されないが、受容体のD1様(D1及びD5受容体)及びD2様(D2、D3及びD4受容体)ファミリーからの任意の受容体サブタイプ、及びドーパミン受容体ヘテロ二量体を含む、任意のドーパミン受容体サブタイプでアゴニスト活性を有し得る。適切なドーパミン受容体アゴニストには、限定されないが、キンピロール、アポモルヒネ、ロピニロール、プラミペキソール、デクスプラミペキソール、ピリビジル、ロチゴチン、ブロモクリプチン、リスリド、カベルゴリン、2-アミノ-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(ADTN)、ペルゴリド、カリドパ、ジヒドレキシジン、ドキサトリン、プロピルノルアポルヒネ、キナゴリド、ロキシンドール、スマニロール、フェノルドパム、エルゴコルミン、1-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-(1H)-3-ベンズアゼピン-7,8-ジオール(SKF-38393としても知られている)、2-(N-フェネチル-N-プロピル)アミノ-5-ヒドロキシテトラリン(PPHT;N-0434としても知られている)、ジヒドロエルゴタミン、(1R,3S)-1-(アミノメチル)-(ジフェニルメチル)-3-フェニル-3,4-ジヒドロ-1H-インクロメン-5,6-ジオール(SKF-38393としても知られる)、カルモキリロール、フェノルドパム、又はその塩若しくは組み合わせたが含まれる。いくつかの実施形態において、ドーパミン受容体アゴニストは、酒石酸ジヒドロエルゴタミン、2-(N-フェネチル-N-プロピル)アミノ-5-ヒドロキシテトラリン塩酸塩又は(1R,3S)-1-(アミノメチル)-3-フェニル-3,4-ジヒドロ-1H-イソクロメン-5,6-ジオール塩酸塩である。いくつかの実施形態では、ドーパミン受容体アゴニストは、ADTN、キンピロール、アポモルヒネ、それらの塩及び組合せ、特にADTN及びその塩から選択される。
【0065】
組成物中のドーパミン受容体アゴニストの量は、治療される状態及び投与経路に依存し得る。いくつかの実施形態では、組成物中のドーパミン受容体アゴニストは、組成物の0.01%~20%w/v、0.01%~10%w/v、0.01%~5%w/v、0.03%~3%w/v、0.033%~2.7%w/v、0.038%~2.4%w/v、0.043%~2.1%w/v、0.05%~1.8%w/v、0.06%~1.5%w/v、0.075~1.2%w/v、0.1%~0.9%w/v又は0.15~0.6%w/v(及びそれらの間のすべての整数)の範囲にある量;特に組成物の0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、又は0.4%w/vの量である。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、GABA受容体アンタゴニストをさらに含む。GABA受容体アンタゴニストは、限定されないが、GABAA、GABAB及び/又はGABAA-rho(以前のGABAC)受容体を含む、任意のGABA受容体サブタイプでアンタゴニスト活性を有し得る。適切なGABA受容体アンタゴニストには、限定されないが、ビククリン、フルマゼニル、ガバジン、フェニレンテトラゾール、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチルホスフィン酸(TPMPA)、(3-アミノプロピル)(シクロヘキシルメチル)ホスフィン酸(CGP-46381としても知られる)、4-イミダゾール酢酸、ピクロトキシン、ピペリジン-4-イルホスフィン酸(PPA)、ピペリジン-4-イルセレニン酸(SEPI)、3-アミノプロピル-N-ブチルホスフィン酸(CGP-36742としても知られている)、(ピペリジン-4-イル)メチルホスフィン酸(P4MPA)、又はそれらの塩若しくは組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、GABA受容体アンタゴニストは、TPMPA、ビククリン及びその塩及びそれらの組み合わせから選択される。
【0067】
組成物中のGABA受容体アンタゴニストの量は、治療される状態及び投与経路に依存し得る。いくつかの実施形態では、組成物中のGABA受容体アンタゴニストは、組成物の0.01%~20%w/v、0.01%~10%w/v、0.01%~5%w/v、0.03%~3%w/v、0.033%~2.7%w/v、0.038%~2.4%w/v、0.043%~2.1%w/v、0.05%~1.8%w/v、0.06%~1.5%w/v、0.075~1.2%w/v、0.1%~0.9%w/v又は0.15~0.6%w/vの範囲(及びそれらの間のすべての整数)にある量;特に組成物の0.2%、0.21%、0.22%、0.23%、0.24%、0.25%、0.26%、0.27%、0.28%、0.29%、0.3%、0.31%、0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%、0.39%、又は0.4%w/vの量である。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストをさらに含む。ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストは、限定されないが、M1、M2、M3、M4及びM5受容体などのムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプにおいてアンタゴニスト活性を有し得る。適切なムスカリン受容体アンタゴニストには、限定されないが、アトロピン、ピレンゼピン、ヒンバシン、ヒオスシン、シクロペントラート、イプラトロピウム、オキシトロピウム、トロピカミド、オキシブチニン、トルテロジン、ジフェンヒドラミン、ジシクロベリン、フラボキサート、チオトロピウム、トリヘキシフェニジル、ソリフェナシン、ダリフェナシン、ベンザトロピン、メベベリン、プロシクリジン、アクリジニウム、ムスカリン性毒素1(MT1)、ムスカリン性毒素2(MT2)、ムスカリン性毒素3(MT3)、ムスカリン性毒素4(MT4)、ムスカリン性毒素7(MT7)、又はそれらの塩若しくは組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストは、アトロピン、ピレンゼピン、ヒンバシン、ならびにそれらの塩及び組み合わせ、特にアトロピン及びピレンゼピンならびにそれらの塩及び組み合わせから選択される。
【0069】
組成物中のムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストの量は、処置される状態及び投与経路に依存し得る。いくつかの実施形態では、組成物中のムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストは、組成物の0.01%~30%w/v、0.2%~20%w/v、0.22%~18%w/v、0.25%~16w/v、0.29%~14%w/v、0.33%~12%w/v、0.4%~10%w/v、0.5%~8%w/v、0.67%~6%w/v又は1%~4%w/vの範囲(及びその間のすべての整数)にある量;特に好ましくは組成物の約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%又は4%w/vの量である。特定の実施形態では、組成物中のムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストは、組成物の0.0001%~30%w/v、0.0003%~20%w/v、0.0005%~10%w/v、0.0007%~5%w/v、0.0009%~2%w/v、0.001%~1%w/v、0.003%~0.5%、0.005%~0.2%、0.007%~0.15%w/v、又は0.009%~0.1%の範囲(及びその間のすべての整数)にある量;特に組成物の約0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.011%、0.012%、0.013%、0.014%、0.015%、0.016%、0.017%、0.018%、0.019%又は0.02%w/vの量;最も好ましくは組成物の約0.01%w/vの量である。
【0070】
本発明の組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。当該技術分野で周知の種々の医薬として許容される界面活性剤を使用することができる。例示的な界面活性剤としては、限定されないが、以下の種類の界面活性剤が挙げられる:アルコール;アミンオキシド;ブロックポリマー;カルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレート;カルボン酸/脂肪酸;エトキシル化アリールフェノール;エトキシル化脂肪エステル、油、脂肪アミン又はセチルアルコールのような脂肪族アルコール;脂肪エステル;脂肪酸メチルエステルエトキシレート;グリセロールモノステアレートなどのグリセロールエステル;グリコールエステル;ラノリンベースの誘導体;レシチン又はその誘導体;リグニン又はその誘導体;メチルエステル;モノグリセリド又はその誘導体;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;アルキルフェノールポリエチレングリコール;アルキルメルカプタンポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコールエトキシレート;ポリエチレングリコールエーテル、例えばCetomacrogol 1000;高分子界面活性剤;プロポキシル化及び/又はエトキシル化脂肪酸、アルコール又はアルキルフェノール;タンパク質ベースの界面活性剤;サルコシン誘導体;ソルビタン誘導体、例えばポリソルベート;ソルビトールエステル;ソルビトールポリグリコールエーテルのエステル;脂肪酸アルキロールアミド;N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド;N-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド;アルキルポリグリコシド;塩化ベンザアルコニウムのなどの第四級アンモニウム化合物;α-、β-又はγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;スクロース又はグルコースエステル又はその誘導体;ジオクチルスルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどのスルホコハク酸塩;又はそれらの組み合わせ。理論に束縛されることを望まないが、界面活性剤の存在は、油が組成物に含まれる場合、水性担体を油で乳化するのに有用であり得、角膜上皮を通じて、レボドパなどの活性成分の浸透を増加させ得る。界面活性剤は、組成物の約0.1%~30%w/vの範囲の量で存在してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物はレオロジー調整剤をさらに含む。レオロジー調整剤は、組成物の表面張力及び流れを変えるために使用されてもよく、また、局所投与のために製剤化された場合、眼の表面上の組成物の滞留時間に寄与し得る。好適なレオロジー調整剤は当該技術分野において周知である。例えば、レオロジー調整剤は、限定されないが、ヒアルロン酸、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デキストラン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、アクリレート、例えばカルボポールポリマー、ポロキサマー、アラビアゴム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ又は小麦由来)、カラゲナン、コンニャク、アロエベラゲル、アガロース、ペクチン、トラガカント、カードランガム、ジェランガム、スクレログルカン、ならびにそれらの誘導体及び組み合わせが挙げられる。レオロジー調整剤は、組成物の所望の粘度を得るのに十分な量で存在すべきである。レオロジー調整剤は、組成物の約0.5%~5%w/vの範囲の量で存在してもよい。
【0072】
本発明の組成物は、防腐剤をさらに含むことができる。防腐剤は、例えば、本発明の組成物が複数回投与形態での局所投与のために製剤化される場合、同じ容器から複数回使用に供される組成物中の微生物汚染を防止するのに特に有用であり得る。適切な防腐剤は、組成物中の微生物汚染を防止するために当該技術分野において日常的に使用される任意の医薬として許容される防腐剤を含む。非制限的な例として、オルト過ホウ酸塩、安定化オキシクロロ錯体、ポリクオタニウム-1、フェニル水銀酸、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、フェニル水銀アセテート、フェニル水銀硝酸塩、クロルヘキシジン、臭化ベンゾドデシニウム、塩化セトリモニウム、チオメルサール、メチルパラヒドロキシベンゾエート、プロピルパラヒドロキシベンゾエート、ポリクオタニウムアンモニウムクロライド、ポリアミノプロピルビグアニド、過酸化水素、安息香酸、フェノール酸、ソルビン酸、ベンジルアルコール又はそれらの塩又は組み合わせが挙げられる。防腐剤は、十分な保存活性を提供する量で存在すべきである。例えば、防腐剤は、組成物の約0.001%~1%w/vの範囲の量で存在し得る。
【0073】
組成物の眼への浸透を増加させることが望ましい場合がある。これは、組成物が局所投与のために処方される場合に特に有用であり得る。したがって、本発明の組成物はまた、浸透促進剤も含むことができる。これに関して、本発明の組成物は、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO);α-、β-又はγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;EDTA;デカメトニウム;グリココール酸塩;コール酸塩;サポニン;フシデート;タウロコラート;ポリエチレングリコールエーテル;ポリソルベート;又はそれらの塩、誘導体もしくは組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、浸透促進剤はジメチルスルホキシドである。他の浸透促進剤には、いくつかの実施形態ではレボドパをカプセル化するナノ粒子、リポソーム又はミセルが含まれる。浸透促進剤は、角膜上皮を横切るレボドパの透過を促進する量で存在すべきである。例えば、浸透促進剤は、組成物の約0.1%~30%w/vの範囲の量で存在してもよい。
【0074】
特定の実施形態では、透過増強剤はミセルである。適切なミセルには、限定されないが、Triton X-100ミセル、例えば、Jodko-Piorecka及びLitwinienko(2015)Free Radical Biology and Medicine,83:1-11に記載されているミセル;界面活性剤ナノミセル、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、n-ドデシルテトラ(エチレンオキシド)、ビタミンE、TGPS、オクトキシノール-40及び/又はジオクタノイルホスファチジルコリンで形成されたナノミセル;高分子ミセル、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β-ベンジル-1-アスパルテート)、メトキシポリ(エチレングリコール)-ヘキシル置換ポリ(ラクチド)、プルロニックF127ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)/ポリ(オキシエチレン)、F68、F127、ポリ(ヒドロキシエチルアスパルトアミド)-ポリエチレングリコール-ヘキサデシルアミン、ポリオキシル40ステアレート、N,N’-メチレンビス-アクリルアミドで架橋されたビニルピロリドン及びアクリル酸を有するN-イソプロピルアクリルアミド、プルロニックF127及びキトサン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、N-フタロイルカルボキシメチルキトサン、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)-b-ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸tert-ブチル)-b-ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(エチレンオキシド)-b-ポリカプロラクトン、ポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(メタクリル酸)、ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(カプロラクトン-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(アスパラギン酸)-b-ポリラクチド、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(アスパルテート-ヒドラジド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド-co-メタクリル酸)-g-ポリ(D、L-ラクチド)及び/又はステアリン酸グラフト化キトサンオリゴ糖で形成されたミセル;又はUS2009/0092665A1に開示されているミセルが含まれる。特定の実施形態では、ミセルは、組成物中にレボドパを封入する。
【0075】
本発明の組成物はまた、キレート剤をさらに含み得る。適切なキレート剤としては、限定されないが、アミノカルボン酸又はその塩、例えば、EDTA、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、ジエチレントリアミン五酢酸、2-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン-トリ酢酸、1,6-ジアミノ-ヘキサメチレン-四酢酸、1,2-ジアミノ-シクロヘキサン四酢酸、O,O’-ビス(2-アミノエチル)-エチレングリコール-四酢酸、1,3-ジアミノプロパン-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、エチレンジアミン-N,N’-二酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジプロピオン酸、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、7,19,30-トリオキサ-1,4,10,13,16,22,27,33-オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタン(O-ビス-トレン)、エチレンジアミン-N,N’-ビス(メチレンホスホン酸)、イミノ二酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、1,2-ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミン-テトラキス(メチレンホスホン酸)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、又はそれらの組合せ若しくは塩;特に、又は二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、リチウム、ジリチウム、アンモニウム、二アンモニウム、カルシウム又はカルシウム-二ナトリウムなどの医薬として許容される塩又はEDTAの混合塩;最も特にEDTAの二ナトリウムが含まれる。キレート剤は、組成物の約0.01%~1%w/vの範囲の量で存在し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、油をさらに含み得る。好適な油としては、限定されないが、アーモンド油;ヒマシ油;鉱油;オリーブ油;ピーナッツ油;ココナッツ油;大豆油;コーン油;アニス油;丁子油;カッシア油;シナモン油;ラッカセイ油;トウモロコシ油;キャロウェイ油;ローズマリーオイル;ハッカ油;ユーカリ油;種子油、例えば、キャノーラ油、綿実油、アマニ油、ベニバナ油、ゴマ油又はヒマワリ油;シリコーン油;又はそれらの組み合わせが含まれる。このような油は、水中油型エマルションの形態で、場合により界面活性剤とともに、水性担体とともに組成物中に含まれてもよい。油は、組成物の約0.1%~20%w/vの範囲の量で存在し得る。
【0077】
本発明の組成物は、眼科用製剤に通常存在する任意の他の医薬として許容される賦形剤をさらに含み得る。例えば、組成物は、アルコール、例えば、イソプロパノール、ベンジルアルコール、セテアリルアルコール又はエタノール;潤滑剤、例えば、グルコース、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はその誘導体;多糖類、例えば、キトサン、キチン、デルマタン、ヒアルロン酸、ヘパリン、デルマタン、コンドロイチン、シクロデキストリン又はその誘導体;又はそれらの組み合わせをさらに含み得る。適切な医薬として許容される担体は、限定されないが、本明細書に記載の水性担体、本明細書に記載の油、脂肪酸、シリコーン液体担体、例えば、US6458376B1に記載されているようなペルフルオロカーボン又はフッ素化液体担体、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組成物は抗酸化剤を含まない。
【0078】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、眼への局所投与用に製剤化され得る。これに関して、本発明の組成物は、点眼剤又はゲル剤の形態、特に点眼剤であり得る。理論に縛られることを望むものではないが、眼への局所投与のための組成物を処方することは、特に組成物が予防又は対照尺度として使用される場合、使用者のコンプライアンスを高めると考えられる。これは、組成物が小児対象に投与される場合に特に重要であり得る。さらに、そのような製剤は、レボドパの標的外効果の発生率を低下させる可能性がある。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、レボドパの角膜上皮を介した浸透のために製剤化される。好ましい実施形態では、レボドパの投与量の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が角膜上皮に浸透する。
【0080】
点眼剤又はゲル剤として処方される場合、本発明の組成物は、単一の単位用量形態又は複数の単位用量形態、好ましくは複数の単位用量形態であり得る。
【0081】
代替の実施形態では、本発明の組成物は、眼への直接注射のために製剤化される。特定の実施形態では、本発明の組成物は、硝子体内、結膜下、前房内、強膜内、角膜内又は網膜下注射用に処方される;特に硝子体内、強膜内又は角膜内注射用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、脈絡膜上注射用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、マイクロニードルによる注射、例えば、強膜内又は角膜内投与による注入用に製剤化される。
【0082】
組成物の他の賦形剤及び成分は、当業者によって容易に決定され得る。処方及び投与の技術は、例えば、Remington(1980)Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.,Easton、Pa.(最新版)に見出すことができ;適切な賦形剤は、例えば、例えば、Katdare及びChaubel(2006)Excipient Development for Pharmaceutical,Biotechnology and Drug Delivery Systems(CRC Press)に見出すことができる。
【0083】
当業者は、本発明の組成物の成分に精通しており、したがって、例えば、Sigma Aldrich Co.LLCなどから、成分を容易に合成又は供給することができる。例えば、レボドパは、Sigma-Aldrich Co.LLCなどの多くの供給元から市販されており、合成経路は、例えば、Vandanyan and Hruby(2006)Synthesis of Essential Drugs(Elsevier)p.136-137;Vandanyan and Hruby(2016)Synthesis of Best-Seller Drugs(Academic Press)p.180-182;及び米国特許第4,962,223号において利用可能であり、それらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
3.組成物の製造方法
本発明者らは、本発明の組成物は、レボドパを水性担体中に0.5~2.5の範囲のpHで溶解させ、抗酸化剤を組成物に添加し、組成物のpHをpHは5~8の範囲に調整することによって調製され得ることを見出した。
【0085】
レボドパが水性担体に溶解されるpHは、0.5~2.5、好ましくは1~2、最も好ましくは1.5~2の範囲である。いくつかの実施形態では、レボドパは、約2のpHで水性担体に溶解される。理論に拘泥するものではないが、酸性pHでの水性担体の維持は、水性担体中のレボドパの溶解度を増加させると考えられる。
【0086】
最終組成物のpHは、5~8、好ましくは5.5~7.5、特に5.5~7.4、最も好ましくは5.5~6の範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、5.5~6.5、特に5.5~6又は6~6.5の範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、5.5~6の範囲のpHに調整される。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、6~6.5の範囲のpHに調整される。
【0087】
組成物のpHは、塩酸、水酸化ナトリウムなどの当該技術分野で日常的に使用される任意の医薬として許容されるpH調整剤を用いて調節することができる。当業者は、適切な薬剤をよく知っている。
【0088】
芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤、賦形剤及び本発明の組成物の他の成分は、本方法のいずれの段階においても組成物に添加することができる。例えば、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤は、組成物のpHを5~8の範囲のpHに調整する前に、0.5~2.5の範囲のpHでレボドパと水性担体の溶液に添加されてもよく、又は組成物のpHを5~8の範囲に調整した後に組成物に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の阻害剤及びレボドパは、0.5~2.5の範囲のpHで水性担体に同時に溶解される。
【0089】
本発明の組成物はまた、使用前に、例えば濾過、オートクレーブ及び/又はガンマ線照射によって滅菌することもできる。
【0090】
理論に縛られることを望むものではないが、この方法を使用する本発明の組成物の調製は、水性担体へのレボドパの溶解性を増大させ、それによって、組成物においてレボドパの溶解性を高める有機担体又は薬剤の存在の必要性を除去する。
【0091】
4.視覚障害の予防及び治療の方法
本発明の組成物は、対象の視覚障害、特に糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に関連する視覚障害、又は近視などの、眼のドーパミンレベルの低下を伴う視覚障害の進行又は発症を阻害するために有用である。したがって、本発明の組成物は、対象における視覚障害の進行又は発症を阻害する方法において使用され得る。本発明の組成物はまた、本明細書に記載の使用のための医薬品の製造に使用することができる。
【0092】
本発明の組成物は、対象における視覚障害の進行を阻害するために有用である。これに関して、本発明の組成物は、視覚障害を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、対象における視覚障害の進行を遅らせることができる。
【0093】
本発明の組成物はまた、対象の視覚障害の発症を阻害するためにも有用である。したがって、本発明の組成物は、対象の視覚障害を予防するために有用である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、対象の視覚障害の発症を遅らせる、すなわち視覚障害が発症する対象の年齢を高め、したがって視覚障害の重篤度を高めることができる。
【0094】
視覚障害は、眼におけるドーパミンレベルの低下、特に網膜におけるドーパミンレベルの低下を伴う任意の視覚障害であり得る。したがって、視覚障害は、眼、特に網膜におけるドーパミン濃度の上昇が視覚障害の進行又は発症の有効な抑制と関連する任意の視覚障害であり得る。
【0095】
眼におけるドーパミンレベルの低下を伴う多くの視覚障害が存在する。例えば、視覚障害は、限定されないが、糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に関連した視覚障害、近視、増大した眼成長、空間的及び一時的なコントラスト感度の低下、弱視、眼のかすみ又は二重視力、眼の緊張、自発的に目を開くことを伴うトラブル(失行)、瞼の発作(眼瞼痙攣)、過度の瞬き、色知覚の変化、奥行き知覚の減少又は視覚幻覚であり得る。いくつかの実施形態では、視覚障害は、糖尿病性網膜症又はパーキンソン病に関連する視覚障害、及び近視から選択される。特定の実施形態では、視覚障害は近視である。
【0096】
いくつかの実施形態では、視覚障害はパーキンソン病と関連していない。
【0097】
この方法は、本発明の組成物を対象に投与することを含む。本発明の組成物は、眼の表面への局所投与を介して、又は眼への直接的な注入により局所的に投与することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば点眼剤又はゲル剤の形態で、眼に局所投与される。好ましい実施形態では、組成物は点眼剤として適用される。本発明の組成物は、眼の任意の表面、好ましくは角膜/強膜に適用され、それによって組成物中に存在する成分、特にレボドパが眼内に浸透することを可能にする。いくつかの実施形態では、組成物は、レボドパが角膜上皮を貫通するように処方される。
【0099】
他の実施形態では、組成物は、注射により眼に投与される。例えば、組成物は、強膜、前房又は硝子体に直接注射されてもよく、又は結膜下、眼球周囲、眼球後部又は脈絡膜上の腔内に注入されてもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、硝子体内、結膜下、前房内、強膜内、角膜内又は網膜下の注射;特に硝子体内、強膜内又は角膜内の注射によって投与される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、脈絡膜上腔内注射によって投与される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、硝子体内注射によって投与される。他の実施形態では、本発明の組成物は、例えば強膜内又は経鼻投与によるマイクロニードルを用いて注入される。これらの経路を介する投与のために、本発明の組成物は、滅菌注射溶液の形態であってもよい。
【0100】
本発明の組成物が好ましくは投与される目の部分は、成分、特にレボドパの眼への、好ましくは網膜への浸透を可能にする部分である。好ましくは、局所投与のために角膜/強膜及び結膜上で投与が行われるか、又は組成物は結膜下、眼球周囲、眼球後方又は脈絡膜上の空間、又は強膜、角膜、前房又は硝子体に注入され得る。
【0101】
局所的に適用する場合、本発明の組成物は、硬質及び軟質のコンタクトレンズの両方に使用することができる。
【0102】
投薬レジメンは、当業者に周知の方法論に従って異なる適応症について確立することができる。組成物の投与量は、治療すべき状態、対象の年齢及び投与経路に依存する。
【0103】
本発明の組成物は、0.001mg/kg/日~12mg/kg/日、特に0.001mg/kg/日~4mg/kg/日、より特に0.001mg/kg/日~2mg/kg/日の範囲のレボドパの用量を提供するように、適切な量で局所的に又は注射によって投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、0.001mg/kg/日~30mg/kg/日、特に0.001mg/kg/日~12mg/kg/日の、より特に0.001mg/kg/日~4mg/kg/日、最も特に0.001mg/kg/日~2mg/kg/日の範囲でレボドパの用量を提供するように、適切な量で投与される。
【0104】
点眼剤として局所投与される場合、本発明の組成物は、眼あたり1~6滴の範囲(及びその間のすべての整数)の量で投与することができ、これは、例えば、約0.04mL~0.24mL/眼の範囲(及びそれらの間の全ての整数)と同じであり得る。1日1回から4回まで、各眼に滴を適用することができる。本発明の組成物がゲルとして処方される場合、同等の用量が提供される。当業者は、本発明の組成物の局所適用に適したディスペンサーを知っている。
【0105】
注射によって投与する場合、本発明の組成物は、0.001mL~0.5mLの範囲(及びその間の全ての整数)、特に約0.01mLの量で投与することができる。本発明の組成物は、1週間に1回~1日1回の頻度で投与することができる。
【0106】
本発明を容易に理解し、実際的な効果をもたらすために、特定の好ましい実施形態を、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例0107】
以下の実施例で使用される全ての物質は、他に指示がない限り、例えばSigma-Aldrich Co.LLCから市販されている。
【0108】
(実施例1)0.3%W/Vのレボドパ組成物の製造方法
0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(溶液は約pH2)を含む溶液に、12mgのレボドパ(Sigma-Aldrich Co.LLCから市販されている)を溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0109】
(実施例2)0.3%W/Vのレボドパ、0.08%W/Vのカルビドパ組成物の製造方法
12mgのレボドパを0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBS(溶液は約pH2)を含む溶液に溶解した。レボドパが溶解すると、3mgのカルビドパ(Sigma-Aldrich Co.LLCから市販されている)を溶液に添加した。水酸化ナトリウムを用いて溶液をpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0110】
(実施例3)0.03%W/Vのレボドパ、0.008%W/Vのカルビドパ組成物の製造方法
1.2mgのレボドパを0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBS(溶液は約pH2)を含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、0.3mgのカルビドパを溶液に加えた。水酸化ナトリウムを用いて溶液をpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0111】
(実施例4)形態喪失近視の予防におけるレボドパ組成物の有効性
44匹のオスの白色コッカレルニワトリを、以下に定義する11の処置群の1つに無作為に割り当て(n=4匹/群)、5日間処置した。G1~G11は、図1及び図2で使用される標識システムを表す。
G1.年齢が一致した未処置対照群
G2.形態喪失近視(FDM)を誘発するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着した雛
G3.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例2の組成物の毎日の硝子体内注射した雛
G4.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例2の組成物の毎日の局所投与した雛
G5.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び10mg/kgのレボドパ、2.5mg/kgのカルビドパを粉末として毎日経口投与した雛
G6.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例3の組成物の毎日の硝子体内注射した雛
G7.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例3の組成物の毎日の局所投与した雛
G8.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及びビヒクル溶液(1×PBS中の0.1%アスコルビン酸を緩衝した溶液)の毎日の硝子体内注射した雛
G9.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及びビヒクル溶液(1×PBS中0.1%アスコルビン酸を緩衝した溶液)の毎日の局所投与した雛
G10.実施例2の組成物の毎日の硝子体内注射
G11.実施例2の組成物の毎日の局所投与。
【0112】
薬物治療のために、組成物を、硝子体内注射又は局所投与を用いて、軽いイソフルラン麻酔下で投与した。
【0113】
硝子体内注射は以下のように行った:ハミルトンシリンジに取り付けた30ゲージの針を用いて、10μL(0.01mL)の試験組成物を毎日1回、眼の硝子体腔に注入した。
【0114】
局所投与は以下のように行った:40μLの2滴(2敵の0.04mL、又は計0.08mL)の試験組成物を点眼ディスペンサーを用いて眼の角膜表面に適用した。1日2回、雛に液滴を適用した。
【0115】
眼の成長の速度の変化及び近視の発症の変化を決定するために、軸方向の長さ及び屈折の変化を評価した。近視は、正常な成長速度と比較して軸方向に目が過剰に伸びることに関連する。そのような軸方向の過剰な伸長は、屈折における相対的な近視的変化をもたらす。軸索の長さ及び屈折は、Aスキャン超音波検査(Biometer AL-100;Tomey Corporation、Nagoya、Japan)及び自動赤外線光-網膜鏡検査を用いてそれぞれ測定した。群間の屈折及び軸方向の長さの両方の変化の統計的解析には、一方向ANOVA検定に続いてボンフェローニ補正を用いたスチューデントT検定が関与した。すべてのデータは、平均値±標準偏差(SEM)として示される。
【0116】
結果
結果を図1及び2に示す。左眼の上への半透明のディフューザーを装着は、対側対照眼(G2、図1及び2;屈折、p<0.001;軸方向長さp<0.001)又は年齢が一致した未処置対照眼(G1、図1及び2;屈折、p<0.001;軸方向長さp<0.001)に見られるものと比較して、過度の軸方向の伸び(G2、図2)に関連した、5日間の期間にわたる屈折の著しい近視眼的な変化(G2、図1)を誘導した。互いに比較した異なる治療群の対側対照眼(屈折p=0.34;軸方向の長さp=0.39)間又は年齢が一致した未処置眼(屈折p=0.54;軸方向長さp=0.42)間で、屈折の発生又は軸方向の長さにおいて相違はなかった。
【0117】
硝子体内注射又は局所投与のいずれかによるレボドパ/カルビドパ組成物の毎日の投与は、5日間にわたる形態喪失近視の発症を排除した(G3、G4、G6及びG7、図1及び2)。具体的には、硝子体内注射又は局所適用によってレボドパ/カルビドパ組成物を毎日投与したディフューザー処置眼の軸方向の長さ(G3、G4、G6及びG7、図2)は、対測対照眼(実施例2の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.38;実施例3の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.22;実施例2のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.33;実施例3のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.24)、及び年齢が一致した対照眼(実施例2の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.27;実施例3の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.18;実施例2のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.26;実施例3のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.19)に見られるものと相違しなかった。同様に、対側対照(実施例2の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.26;実施例3の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.19;実施例2のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.23;実施例3のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.16)、及び年齢が一致した未処置対照(実施例2の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.19;実施例3の注入レボドパ/カルビドパ組成物、p=0.16;実施例2のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.16;実施例3のレボドパ/カルビドパ組成物の液滴、p=0.15)と比較して、ディフューザー+レボドパ/カルビドパ組成物を用いて処理された眼(G3、G4、G6及びG7、図1)の間の屈折の発生において有意差はなかった。したがって、レボドパ及びカルビドパを含む組成物で処理された眼は、軸方向伸長の増加も、ディフューザー装着に応答する屈折の近視的変化も示さなかった。
【0118】
局所適用(10mg/kg/日のレボドパ及び2.5mg/kg/日のカルビドパ)により提供される量に等しい量でレボドパ及びカルビドパを5日間、毎日経口投与(G5、図1及び2)することにより、FDMのみの群(G2)(軸方向の長さ、p<0.05;屈折、p<0.05)に見られるものに対して、約50%のFDMの発達を減少させた。この保護は、レボドパ/カルビドパ組成物の硝子体内注射又は局所投与のいずれかに応答して見られるものよりも有意に少なく、眼への直接的適用がより効果的な投与経路であることを示している。
【0119】
ディフューザーで処理した眼にビヒクル溶液を5日間注入又は局所投与しても、FDMの発生は変化しなかった(G8及びG9、図1及び2)。さらに、レボドパ/カルビドパ組成物を未処置眼(G10及びG11、図1及び2)に注射又は局所適用しても、年齢が一致した未処置対照眼に見られるものと比較して、軸成長(注射、p=0.63;液滴、p=0.57)又は屈折発生(注射、p=0.71;液滴、p=0.62)に変化はなかった。
【0120】
(実施例5)形態喪失症の予防におけるレボドパ組成物の有効性
32匹のオスの白コッカレルニワトリを、以下に定義されるように8つの処置群(n=4匹/群)のうちの1つにランダムに割り当て、5日間処置した。G1~G8は、図3及び図4で使用される標識システムを表す。
G1.年齢が一致した未処置対照群
G2.FDMを誘発するために左目の上に半透明のディフューザーを装着した雛
G3.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例2の組成物の毎日の硝子体内注射した雛
G4.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例1の組成物の毎日の硝子体内注射した雛
G5.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例2の組成物の毎日の局所投与した雛
G6.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例1の組成物の毎日の局所投与した雛
G7.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び10mg/kgのレボドパ、2.5mg/kgのカルビドパを粉末として毎日経口投与した雛
G8.左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び10mg/kgのレボドパの毎日の経口投与した雛。
【0121】
試験組成物の投与及びその活性の分析は、実施例4に記載した通りであった。
【0122】
結果
この結果を図3及び図4に示す。再度、左眼の上に半透明のディフューザーを装着することにより、対側対照眼(G2、図3及び4;屈折、p<0.001;軸方向長さ、p<0.001)又は年齢が一致した未処置対照(G1、図3及び4;屈折、p<0.001;軸方向長さ、p<0.001)において見られるものと比較して、過度の軸方向の伸び(G2、図4)と関連した屈折(G2、図3)における有意な近視シフトを誘導した。互いに(p=0.27)又は年齢が一致した未処置対照(p=0.21)と比較して、異なる処置群の対側対照眼の間の屈折発生又は軸方向長さに差はなかった。
【0123】
レボドパ/カルビドパ組成物の毎日の投与は、FDMの発生を無効にした。そのため、対側対照眼(屈折、p<0.01;軸方向長さ、p<0.01)又は年齢が一致した未処置対照(折、p<0.01;軸方向長さ、p<0.01)眼(G3及びG5、図3及び4)と比較した場合、ディフューザー装着に応答した軸伸長及び屈折発生において差異は見られなかった。レボドパ組成物の日常投与は、陽性対照(G2、図3及び4;屈折、p<0.05;軸方向長さ、p<0.05)と比較した場合、FDMの発生を減少させた。しかしながら、この阻害は、レボドパとカルビドパとの組み合わせを含む組成物よりも著しく低い程度であった。
【0124】
(実施例6)0.003%w/vのレボドパ組成物の製造方法
0.15Mの塩酸、0.1%のアスコルビン酸及び1×PBS(溶液は約pH2である)を含む溶液に0.12mgのレボドパを溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0125】
(実施例7)0.03%w/vのレボドパ組成物の製造方法
1.2mgのレボドパを0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBS(溶液は約pH2)を含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0126】
(実施例8)0.03%w/vのレボドパ、10%v/vのDMSO組成物の製造方法
1.2mgのレボドパを0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸、10%DMSO及び1×PBSを含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0127】
(実施例9)0.3%w/vのレボドパ、10%v/vのDMSO組成物の製造方法
0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸、10%DMSO及び1×PBSを含有する溶液に12mgのレボドパを溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整して最終容量4mLを得た。
【0128】
(実施例10)0.03%w/vのレボドパ、0.03%w/vの2-アミノ-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフラレンヒドロブロミド(ADTN)組成物の製造方法
1.2mgのレボドパ(1.5mM)を0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBSを含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整し、1.2mgのADTN(1mM;2-アミノ-6,7-ジヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン臭化水素酸塩;Sigma Aldrich Co.LLCから市販されている)をこの溶液に溶解して最終容量4mLとした。
【0129】
(実施例11)0.03%w/vのレボドパ、0.14%w/vのアトロピン組成物の製造方法
1.2mgのレボドパ(1.5mM)を0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBSを含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整し、5.6mのアトロピン(2mM;アトロピン硫酸塩一水和物の形態、Sigma Aldrich Co.LLCから市販されている)を溶液に溶解し、最終容量を4mLとした。
【0130】
(実施例12)0.03%w/vのレボドパ、0.7%w/vのピレンゼピン組成物の製造方法
1.2mgのレボドパ(1.5mM)を0.15M塩酸、0.1%アスコルビン酸及び1×PBSを含む溶液に溶解した。レボドパが溶解したら、溶液を水酸化ナトリウムを用いてpH6に調整し、ピレンゼピン(16mM;ピレンゼピン二塩酸塩の形態、Sigma Aldrich Co.LLCから市販されている)28mgを溶液に溶解して、最終容量を4mLとした。
【0131】
(実施例13)形態喪失近視の予防におけるレボドパ投与量及びDMSOの存在の効果
120匹のオスの白コッカレルニワトリを、以下に定義するように24の処置群の1つ(n=5匹/群)に無作為に割り当て、5日間処置した。G1~G24は、図5~8で使用される標識システムを表す。
G1.年齢が一致した未処置対照群
G2.FDMを誘発するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着した雛
G3.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び20mg/kgレボドパの粉末としての毎日の経口投与を受ける雛
G4.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び20mg/kgレボドパ及び5mg/kgカルビドパの粉末としての毎日の経口投与を受ける雛
G5.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例6の組成物(0.003%w/vレボドパ)の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G6.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例7の組成物(0.03%w/vレボドパ)の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G5.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G8.実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の硝子体内注射
G9.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例3の組成物(0.03%w/vレボドパ、0.008%w/vカルビドパ)の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G10.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例2の組成物(0.3%w/vレボドパ、0.008%w/vカルビドパ)の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G11.実施例2の組成物(0.3%w/vレボドパ、0.08%w/vカルビドパ)の毎日の硝子体内注射
G12.年齢が一致した未処置対照群
G13.FDMを誘発するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着した雛
G14.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び20mg/kgレボドパの粉末としての毎日の経口投与を受けた雛
G15.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び20mg/kgレボドパ及び5mg/kgカルビドパを粉末として毎日の経口投与を受けた雛
G16.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例6の組成物(0.003%w/vレボドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G17.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例7の組成物(0.03%w/vレボドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G18.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G19.実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の局所投与
G20.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例3の組成物(0.03%w/vレボドパ、0.008%w/vカルビドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G21.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例2の組成物(0.3%w/vレボドパ、0.08%w/vカルビドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G22.実施例2の組成物(0.3%w/vレボドパ、0.08%w/vカルビドパ)の毎日の局所投与
G23.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例8の組成物(0.03%w/vレボドパ、10%DMSO)の毎日の局所投与を受けた雛
G24.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、及び実施例9の組成物(0.3%w/vレボドパ、10%DMSO)の毎日の局所投与を受けた雛。
【0132】
試験組成物の投与及びそれらの活性の分析は、実施例4に記載の通りであった。
【0133】
結果
結果を図5~8に示す。左眼の上の半透明のディフューザーの装着は、年齢が一致した未処置対照眼(G1、図5及び6;G12、図7及び8)と比較して、過度の軸方向の伸び(G2、図6;G13、図8;p<0.001)に関連する屈折(G2、図5;G13、図7;p<0.001)における顕著な近視眼シフトを誘導した。
【0134】
レボドパ組成物の毎日の硝子体内注射は、最大効果を有する0.3%w/vレボドパ組成物の投与でFDMの発症を有意に阻害した(G5、p<0.01;G6、p<0.01;及びG7、p<0.001;図5;及びG5、p<0.01;G6、p<0.001;G7、p<0.001;図6)。この効果は、レボドパの経口投与よりも有意に大きかった(G3、図5及び6)。芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤カルビドパの添加は、レボドパ単独を含む組成物と比較して、組成物の阻害効果を増加させた(G9、p<0.01;及びG10、p<0.01;図5;及びG9、p<0.001;及びG10、p<0.001;図6)。
【0135】
レボドパ組成物の毎日の局所投与は、FDMの発症を有意に阻害し(G16、p<0.05;G17、p<0.01;及びG18、p<0.01;図7;及びG16、p<0.01;G17、p<0.01;及びG18、p<0.01;図8)、経口レボドパ投与よりも強い効果を示した(G14、図7及び8)。再度、組成物にカルビドパを添加すると、レボドパ単独を含む組成物と比較して、阻害効果を増加させた(G20、p<0.01;及びG21、p<0.01;図7;及びG20、p<0.001;及びG21、p<0.001;図8)。
【0136】
局所レボドパ組成物への10%DMSOの添加は、レボドパを単独で含む対応する組成物と比較して、FDMの発症に対する阻害効果を有意に増加させた(G23、p<0.01;及びG24、p<0.01;図7;及びG23、p<0.001;及びG24、p<0.001;図8)。
【0137】
(実施例14)4週間にわたる局所レボドパ投与の安全性及び有効性
レボドパの局所治療の安全性及び有効性を評価するために、15mM(0.3%w/v)レボドパ組成物(実施例1に従って調製した)の1日2回の点眼投与を4週間にわたって試験した。雄の白コッカレルニワトリを、通常の実験室照明(500ルクス、蛍光灯)の下、午前9時30分に点灯し、午後9時30分に消灯させて、12:12時間の明暗サイクルに維持した。すべての雛において、左眼は実験的に処置され、右眼は対側対照として機能するように未処置のままであった。雛を無作為に4つのグループの1つに割り当て(n=6匹/群)、4週間の期間にわたって以下の実験条件下で処置した。
1.年齢が一致した未処置対照:雛は未処置のままであり、眼及びレボドパ処置を受けていない
2.形態喪失近視(FDM):左眼に半透明のディフューザーを装着して、FDMを誘導し、さらなる治療を受けない
3.形態喪失近視及び局所0.3%w/v(15mM)レボドパ処置:雛に、左眼の上にFDMを誘導するために半透明のディフューザーを装着し、実施例1の組成物を1日2回、局所投与した(午前9:30と午後2時)
4.他の未処置の眼に対する局所的な0.3%w/v(15mM)レボドパ処置:雛は、実施例1の組成物を1日2回(午前9時30分と午後2時)投与された。
【0138】
試験組成物の投与は、実施例4に記載のものに従って実施された。
【0139】
眼の成長速度及び近視の発症の変化を決定するために、Aスキャン超音波検査(Biometer AL-100;Tomey Corporation、Nagoya、Japan)及び自動赤外線写真-網膜鏡検査を用いて軸長及び屈折を測定した。眼の測定(軸方向の長さ及び屈折)は、1日目(実験の開始前)及び4週間で7日間ごとに行った。
【0140】
結果
結果を図9及び図10に示す。反復測定設計を用いた多変量解析(MANOVA)を用いて、異なる治療レジメンの経時的な効果を比較した。半透明のディフューザーが装着され、局所レボドパで処置された動物は、レボドパ処置なしで半透明のディフューザーが装着された動物と比較して、屈折において有意に小さい近視眼シフトを示した(図9;F(3,21)=191.013;p<0.001)。さらに、半透明のディフューザーが装着され、局所レボドパで処置された動物は、レボドパ処置なしで半透明のディフューザーが装着された動物と比較して、軸伸長の減少を示した(図10;(F3,21)=34.129;p<0.001)。
【0141】
(実施例15)形態喪失近視の発症におけるADTN、アトロピン及びピレンゼピンを伴うレボドパの併用療法の効果
70匹のオスの白コッカレルニワトリを、以下に定義する14の処置群の1つ(n=5匹/群)の1つに無作為に割り当て、5日間処置した。G1~G14は、図11及び図12で使用される標識システムを表す。
G1.年齢が一致した未処置対照群
G2.FDMを誘発するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着した雛
G3.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、1×PBS(pH7)中に1mMのADTN(0.03%w/v)及び0.1%アスコルビン酸を含有する組成物の毎日の硝子体内注射を受けた雛
G4.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、1×PBS(pH7)中に1mM ADTN(0.03%w/v)及び0.1%アスコルビン酸を含有する組成物の毎日の局所投与を受けた雛
G5、G9及びG13.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例7の組成物(0.03%w/vレボドパ)の毎日の局所投与を受けた雛
G6.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例10の組成物(0.03%w/vレボドパ、0.03%w/vのADTN)の毎日の局所投与を受けた雛
G7.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、蒸留水(pH7)中の2mMアトロピンを含有する組成物(0.14%w/v;アトロピン硫酸塩一水和物の形態)の毎日の硝子体内投与を受けた雛
G8.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、蒸留水(pH7)中の2mMアトロピンを含有する組成物(0.14%w/v;アトロピン硫酸塩一水和物の形態)の毎日の局所投与を受けた雛
G10.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例11の組成物(0.03%w/vレボドパ、0.14%w/vアトロピン)の毎日の局所投与を受けた雛
G11.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、蒸留水(pH7)中の16mMピレンゼピンを含有する組成物(0.7%w/v;レンゼピン二塩酸塩の形態)の毎日の硝子体内投与を受けた雛
G12.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、蒸留水(pH7)中の16mMピレンゼピンを含有する組成物(0.7%w/v;レンゼピン二塩酸塩の形態)の毎日の局所内投与を受けた雛
G14.FDMを誘導するために左眼の上に半透明のディフューザーを装着し、実施例12の組成物(0.03%w/vレボドパ、0.7%w/vピレンゼピン)の毎日の局所投与を受けた雛。
【0142】
ADTN組成物は、最終濃度1mM(0.03%w/v)となるように1×PBS中の0.1%アスコルビン酸を含む溶液にADTNを溶解され、pHを7に調整することによって調製された。アトロピン及びピレンゼピン組成物は、それぞれ2mM(0.14%w/v)及び16mM(0.7%w/v)の最終濃度になるように、蒸留水にアトロピン(アトロピン硫酸塩一水和物の形態で)又はピレンゼピン(ピレンゼピン二塩酸塩の形態で)溶解させ、pHを7に調整することによって調製された。
【0143】
試験組成物の投与及び眼パラメータの測定は、実施例4に記載のものに従って実施した。
【0144】
結果
結果を図11及び12に示す。ドーパミンD2受容体アゴニストであるADTN(G3及びG4)の毎日の投与は、半透明のディフューザーのみが装備された動物(G2)と比較して、屈折における近視眼シフト及び軸方向の伸長を有意に阻害し、硝子体内注射は局所投与よりも効果が大きかった(G3、p<0.01;及びG4、p<0.05;図11;G3、p<0.001;及びG4、p<0.05;図12)。顕著には、ADTNとレボドパの両方を含む組成物の局所投与は、いずれかの化合物単独(それぞれG4及びG5;図11及び12)よりも大きな程度で、屈折の近視眼シフトを阻害し(G6、p<0.01;図11)及び軸方向伸長を減少させた(G6、p<0.01;図12)。
【0145】
ムスカリン作動性アセチルコリン受容体アンタゴニストであるアトロピンの毎日の投与(G7及びG8、図11及び12)は、半透明のディフューザーのみ(G2)を装着した動物と比較して、屈折における近視眼シフトを有意に阻害し、軸方向伸長を有意に減少させた。硝子体内注射は、局所投与より大きな効果を有した(G7、p<0.01;及びG8、p<0.05;図11;G7、p<0.001;及びG8、p<0.05;図12)。アトロピンとレボドパの両方を含む組成物の局所投与は、いずれかの化合物単独(それぞれG8及びG9;図11及び12)よりも大きな程度で、屈折における近視眼シフトを阻害し(G10、p<0.01;図11)、軸索伸長を減少させた(G10、p<0.01;図12)。
【0146】
M1ムスカリン作動性アセチルコリン受容体アンタゴニストであるピレンゼピン(G11及びG12、図11及び12)は、半透明のディフューザーのみを装着した動物と比較して、屈折発症における近視眼シフトを有意に阻害し、軸方向伸長を有意に減少させた(G11、p<0.01;及びG12、p<0.05;図11;G11、p<0.001;及びG12、p<0.05;図12)。ピレンゼピンの効果は、硝子体内投与したときより大きかった(G11、図11及び12)。ピレンゼピンとレボドパの組み合わせの局所投与(G14、図11及び12)は、屈折の発症(G14、p<0.01;図11)及び軸方向伸長(G14、p<0.01;図12)における化合物単独のいずれかの局所投与よりも大きな阻害効果を有した。
【0147】
(実施例16)形態喪失近視の発症における局所レボドパ投与の効果の組織学的分析
トルイジンブルー染色を用いた塩基性組織学的分析のために、パラホルムアルデヒド固定網膜切片を1%トルイジンブルー(Sigma Aldrich、カタログ番号89640)水溶液に1.5分間浸漬した後、2分間蒸留水ですすいだ。その後、切片をスリッピングする前に切片をグリセロールにマウントした。切片は、40倍の倍率でMotic BA410光学顕微鏡で観察され、Motic Liveイメージングモジュールと共にMoticam 10.0メガピクセルのカメラによって取り込まれた。
【0148】
網膜切片は、以下のようにオスの白コッカレルニワトリの眼から得た:
A.雛の対側対照眼、ここで、他の眼は、FDMを誘導するために半透明のディフューザーが装着される
B.FDMを誘発するための半透明のディフューザーが装着した雛の眼
C.雛の対側対照眼、ここで、他の眼は、FDMを誘導するために半透明のディフューザーが装着され、実施例1の組成物(0.3%w/vのレボドパ)の毎日の局所投与で処置される
D.FDMを誘導するために半透明のディフューザーを装着し、実施例1の組成物(0.3%w/vのレボドパ)の毎日の局所投与で処置される雛の眼
E.雛の対側対照眼、ここで、他の眼は、実施例1の組成物(0.3%w/vのレボドパ)の毎日の局所投与で処置される
F.実施例1の組成物(0.3%w/vのレボドパ)の毎日の局所投与で処置される雛の眼
G.年齢が一致した未処理対照雛の眼。
【0149】
レボドパ組成物の投与は、実施例4に記載のものに従って実施した。
【0150】
結果
結果を図13に示す。図13に見られるように、網膜構造及び細胞密度の変化は、以下の群の眼に見られなかった:年齢が一致した未処置対照(図13G)、形態喪失(図13B)、全ての条件の対側未処置対照眼(図13A、13C及び13E)、形態喪失及び0.3%w/vのレボドパを含む組成物の毎日の局所投与(図13D)、及び他には未処置動物内への0.3w/vのレボドパを含む組成物の毎日の局所投与(図13F)。したがって、レボドパ組成物は網膜毒性を示さない。
【0151】
(実施例17)形態喪失近視の発症に対する局所レボドパ投与の効果のTUNEL染色分析
Roche In Situ細胞死検出キット、AP(Sigma Aldrich、カタログ番号11684795910)を用いてTUNEL染色を行った。オスの白コッカレルニワトリから網膜切片を染色するために使用されたプロトコールは、Denton及びKumar(2015)Cold Spring Harb Protoc;doi:10.1101/pdb.prot086199の作業から適合された。手短に言えば、0.1%Triton X-100の1×PBS(1×PBST)中で3回交換して洗浄し、0.1%クエン酸ナトリウム中で氷上で5分間浸透させ、続いて1×PBSTの3回のさらなる洗浄で網膜切片を調製した。次いで、切片をTUNEL反応混合物中で製造業者の説明書に従ってインキュベートした(陰性対照をLabeling Mixtureのみでインキュベートし、TUNELラベリング前にポジティブコントロールをDNアーゼ1(100U/mL)中で10分間インキュベートして、そのようなDNA断片化を誘導したアポトーシスで観察される)。TUNELラベリングの後、切片を1×PBSの3回の変更で暗所で洗浄し、Leica DMIL蛍光顕微鏡を用いて20倍の倍率で視覚化し、Leica DFC425カメラによりLeica Application Suiteバージョン4.8を用いて画像を捕捉した。
【0152】
分析した試料は以下の通りであった:
A.陰性対照(標識溶液のみで処理した網膜切片)
B.陽性対照(アポトーシスの指標である、DNA鎖切断を誘導するためのDNアーゼ1で処理した網膜切片)
C.年齢が一致した未処理対照雛の眼からの網膜切片
D.FDMを誘発するための半透明ディフューザーを装着した雛の眼からの網膜切片
E.実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の局所投与で処置した雛の眼からの網膜切片
F.FDMを誘発するために半透明のディフューザーを装着し、実施例1の組成物(0.3%w/vレボドパ)の毎日の局所投与で処理した雛の眼からの網膜切片。
【0153】
レボドパ組成物の投与は、実施例4に記載のものに従って実施された。
【0154】
結果
図14に見られるように、網膜細胞は、DNAニック及びゲノム変性を誘導するためのDNase1で処理された陽性対照網膜組織(図14B)と比較した場合、形態喪失(図14D)又はレボドパ処置(図14E及び14F)に応答してアポトーシスの兆候を示さない。染色が存在しないため、陽性対照の網膜切片以外のすべての曝露上に視覚化が必要とされ、より明るい外観が観察された。
【0155】
本明細書に引用された全ての特許、特許出願及び刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
本明細書中の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本出願に対する「先行技術」として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0157】
本明細書を通して、目的は、本発明を任意の1つの実施形態又は特徴の特定の集合に限定することなく、本発明の好ましい実施形態を記載することであった。したがって、当業者は、本開示の観点から、本発明の範囲から逸脱することなく例示された特定の実施形態において様々な修正及び変更を行うことができることを認識する。そのような改変及び変更のすべては、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
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図11
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図13
図14