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特開2022-116383電子素子搭載用パッケージ及び電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116383
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】電子素子搭載用パッケージ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20220803BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20220803BHJP
   H01L 23/06 20060101ALI20220803BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220803BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20220803BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H01L23/02 H
H01L23/04 A
H01L23/06 B
H01L23/12 S
H01S5/022
H01L31/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019121096
(22)【出願日】2019-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】北原 光
【テーマコード(参考)】
5F173
5F849
【Fターム(参考)】
5F173MB01
5F173MC20
5F173ME03
5F173ME15
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME47
5F849AA01
5F849JA03
5F849JA07
5F849JA09
5F849XB02
(57)【要約】
【課題】信号の伝送特性の低下を抑えることができる電子素子搭載用パッケージ及び電子装置を提供する。
【解決手段】電子素子搭載用パッケージは、第1面を有する基部と、第1面から突出し、第2面を有する突出部と、を含む基体と、第2面上に位置する配線基板と、突出部及び配線基板を覆う蓋体と、を備え、突出部の表面のうち前記第2面を除く外面は、稜線を有しない形状、又は任意の稜線を形成する2つの面のなす角が鈍角である形状を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する基部と、前記第1面から突出し、第2面を有する突出部と、を含む基体と、
前記第2面上に位置する配線基板と、
前記突出部及び前記配線基板を覆う蓋体と、
を備え、
前記突出部の表面のうち前記第2面を除く外面は、稜線を有しない形状、又は任意の稜線を形成する2つの面のなす角が鈍角である形状を有する、
電子素子搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記突出部の前記外面は、
前記突出部の前記基部側とは反対側の端面と、
前記第1面と交差する方向に前記第1面から延び、前記第1面と前記端面とを繋ぐ側面と、
からなり、
前記端面のうち少なくとも前記側面に接続されている部分が曲面となっている、請求項1に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記端面と前記側面とが稜線を形成しない角度で接続されている、請求項2に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項4】
前記曲面の曲率半径は、前記第2面に垂直な方向についての前記突出部の厚さの1/3以上かつ2/3以下である、請求項2又は3に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項5】
前記曲面の曲率半径は、当該曲率半径をR、前記第2面に垂直な方向についての前記突出部の厚さをT、前記第2面に垂直な方向についての前記突出部と前記蓋体との間隔をDとした場合に、D+R>2T/3の関係が満たされるように定められている、請求項2~4のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項6】
前記突出部の前記外面は、
前記突出部の前記基部側とは反対側の端面と、
前記第1面と交差する方向に前記第1面から延び、前記第1面と前記端面とを繋ぐ側面と、
からなり、
前記端面及び前記側面により稜線が形成されており、前記端面及び前記側面のうち当該稜線を形成する部分同士のなす角が鈍角である、請求項1に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項7】
前記端面は、前記側面に接続されている第2副端面と、前記第2副端面の前記側面側とは反対側に接続されている第1副端面と、からなり、
前記第1副端面及び前記第2副端面により第1稜線が形成されており、前記第1副端面及び前記第2副端面のうち当該第1稜線を形成する部分同士のなす角が鈍角であり、
前記第2副端面及び前記側面により第2稜線が形成されており、前記第2副端面及び前記側面のうち当該第2稜線を形成する部分同士のなす角が鈍角である、請求項6に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項8】
前記側面は、円筒面の一部の形状、又は楕円筒面の一部の形状を有する、請求項2~7のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項9】
前記側面は、二以上の平面部分と、当該二以上の平面部分の間を繋ぐ曲面部分とからなる、請求項2~7のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項10】
前記鈍角は135度以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項11】
前記突出部と前記蓋体との間に位置する誘電体を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電子素子搭載用パッケージと、
前記配線基板と接合する電子素子と、
を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子素子搭載用パッケージ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円板状などの形状を有する基部と、当該基部から突出した突出部とを含む基体を有し、突出部の面上に、電子素子が接合される配線基板が載置された電子素子搭載用のパッケージがある(例えば、特許文献1、2)。このパッケージでは、基部を貫通する信号線から配線基板を介して電子素子に高周波信号を入力することで、電子素子を駆動することができる。また、このパッケージは、電子素子を保護するために、電子素子、配線基板及び突出部を覆う蓋体(キャップ)が基体に取り付けられた状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-335584号公報
【特許文献2】特開2018-186130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓋体が取り付けられた状態で電子素子に高周波信号を供給して駆動すると、蓋体と基体との間で電界結合が生じて特定の高周波帯域で共振が発生し、共振周波数における信号の伝送特性が低下するという課題がある。
【0005】
本開示の目的は、信号の伝送特性の低下を抑えることができる電子素子搭載用パッケージ及び電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、
第1面を有する基部と、前記第1面から突出し、第2面を有する突出部と、を含む基体と、
前記第2面上に位置する配線基板と、
前記突出部及び前記配線基板を覆う蓋体と、
を備え、
前記突出部の表面のうち前記第2面を除く外面は、稜線を有しない形状、又は任意の稜線を形成する2つの面のなす角が鈍角である形状を有する、
電子素子搭載用パッケージである。
【0007】
また、本開示の他の一の態様は、
上記の電子素子搭載用パッケージと、
前記配線基板と接合する電子素子と、
を備える、電子装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の内容によれば、電子素子搭載用パッケージにおいて、信号の伝送特性の低下を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子装置及び電子素子搭載用パッケージの全体斜視図である。
図2】電子装置及び電子素子搭載用パッケージの、基部に垂直な断面を示す図である。
図3】比較例に係る電子装置及び電子素子搭載用パッケージの構成を示す図である。
図4】実施例及び比較例の電子素子搭載用パッケージにおける、信号の周波数に対する挿入損失を計算したシミュレーションの結果を示す図である。
図5】実施例及び比較例の電子素子搭載用パッケージにおける、信号の周波数に対する反射損失を計算したシミュレーションの結果を示す図である。
図6】(a)は、変形例1の実施例に係る基体の形状を示す斜視図であり、(b)は、変形例1に対応する比較例に係る基体の形状を示す斜視図である。
図7】変形例1に係る実施例及び比較例の電子素子搭載用パッケージにおける挿入損失及び反射損失のシミュレーションの結果を示す図である。
図8】(a)は、変形例2の実施例に係る基体の形状を示す斜視図であり、(b)は、変形例2に対応する比較例に係る基体の形状を示す斜視図である。
図9】変形例2に係る実施例及び比較例の電子素子搭載用パッケージにおける挿入損失及び反射損失のシミュレーションの結果を示す図である。
図10】変形例3に係る電子装置及び電子素子搭載用パッケージの全体斜視図である。
図11】変形例3に係る電子装置及び電子素子搭載用パッケージの、基部に垂直な断面を示す図である。
図12】変形例3に係る電子装置及び電子素子搭載用パッケージの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(電子装置及び電子素子搭載用パッケージの構成)
まず、図1及び図2を参照して電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の構成について説明する。
図1は、本実施形態の電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の全体斜視図である。
図2は、電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の、基部111に垂直な断面を示す図である。
【0012】
電子装置1は、電子素子搭載用パッケージ100と、電子素子200とを備える。
電子素子搭載用パッケージ100は、基体11と、信号線12と、配線基板14と、絶縁部材15と、導電性接合材16と、蓋体20などを備える。
【0013】
基体11は、導電性の金属であり、接地面として機能する。これに加えて、基体11には、熱伝導性(放熱性)の高いものが用いられてよい。基体11は、基部111と、突出部112とを有する。基部111は、ここでは、例えば、直径が3~10mm、厚さが0.5~2mmの円板状形状を有するが、これには限られない。基部111は、貫通孔111bを有する。貫通孔111b内は、絶縁部材15により占められている。絶縁部材15の材質及び貫通孔111bの大きさは、所望の特性インピーダンスに応じて定められればよい。基部111と突出部112とは、一体形成されたものであってもよいし、別個に形成されて接合されたものであってもよい。基部111のうち突出部112が突出している面を、以下では第1面111aと記す。
【0014】
突出部112は、第1面111aに接し第1面111aに垂直な第2面112a(図2参照)を有する。この第2面112a上には、配線基板14が位置している。すなわち、突出部112は、配線基板14が載置されるステージとして機能する。突出部112は、蓋体20の内部に収まる大きさとされる。突出部112の具体的な大きさは、基体11及び蓋体20の大きさに応じて定められるが、例えば第2面112aの第1面111aに垂直な方向の長さは1~3mm程度とすることができ、第2面112aの第1面111aに平行な方向の長さは1.5~5mm程度とすることができる。また、第2面112aに垂直な方向についての突出部112の厚さは1~3mm程度とすることができる。
【0015】
突出部112の表面のうち第2面112aを除く外面Sは、端面S1及び側面S2からなる。このうち端面S1は、突出部112の基部111側とは反対側の面である。また、側面S2は、第1面111aと端面S1とを繋ぐ面であって、第1面111aに垂直な方向に第1面111aから延びている面である。
【0016】
側面S2は、円筒面の一部に相当する形状を有している。あるいは、側面S2は、楕円筒面の一部に相当する形状を有していてもよい。
【0017】
端面S1は、第1面111aに平行な平面である第1副端面S1aと、当該第1副端面S1aと側面S2とを繋ぐ曲面S1cと、を有する。すなわち、端面S1のうち少なくとも側面S2に接続されている部分が曲面S1cとなっている。
【0018】
詳しくは、曲面S1cは、側面S2及び第1面111aに垂直な断面の形状が、曲率半径Rの円弧をなす形状を有している。この曲率半径Rは、第2面112aに垂直な方向についての突出部112の厚さをT(厚さが均一でない場合は厚さの最大値)とすると、T/3以上かつ2T/3以下とすることができる。本実施形態では、厚さTは1mmであり、曲率半径Rは500μmである。
【0019】
また、曲面S1cの曲率半径Rは、第2面112aに垂直な方向についての突出部112と蓋体20との間隔をDとした場合に、D+R>2T/3の関係が満たされるように定められている。本実施形態では、間隔Dは300μmであり、間隔D、曲率半径R及び厚さTは上記の関係を満たす。
【0020】
図2に示すように、第1副端面S1aと曲面S1cとは、稜線が形成されない角度で滑らかに接続されている。同様に、曲面S1cと側面S2とは、稜線が形成されない角度で滑らかに接続されている。ここで、稜線とは、法線方向が互いに相違する2つの面の接続部に形成される線である。本実施形態においては、第1副端面S1aと曲面S1cの接続部、及び曲面S1cと側面S2の接続部において、隣接する部分の法線方向が一致する。すなわち、第1副端面S1aと曲面S1c、及び曲面S1cと側面S2は、接続部を挟んで隣接する部分の法線方向が一致する角度で接続されている。したがって、第1副端面S1aと曲面S1cと側面S2とは、稜線を有しない形状を有している。なお、図1では、第1副端面S1aと曲面S1cとの境界、及び曲面S1cと側面S2との境界が一点鎖線で示されているが、これは各面の境界の位置を示すためであり、稜線が形成されていることを意味するものではない。
【0021】
このような端面S1及び側面S2からなる突出部112の外面Sは、稜線を有しない形状となっている。外面Sをこのような形状とすることの効果については、後述する。
【0022】
配線基板14は、突出部112側とは反対側の面(以下では「上面」とも記す)に配線パターン141を有し、突出部112側の面(以下では「下面」とも記す)に配線パターン142を有する。ここでは、配線基板14は、例えば、高周波線路基板として用いられる。配線基板14は、絶縁基板であり、例えば、樹脂である。配線基板14の厚さ及び材質(比誘電率)は、所望の特性インピーダンスに応じて適宜決定されればよい。配線基板14の側面は、基部111の第1面111aに接合している。
【0023】
信号線12は、棒状の導体である。信号線12は、基部111の貫通孔111b内の絶縁部材15を貫通しており、第1面111aにおける貫通孔111bの開口部から露出している。信号線12の直径は、例えば、0.1~1.0mm程度である。絶縁部材15としては、例えば所定の誘電率を有するガラスを用いることができる。信号線12のうち少なくとも1本は、基体11の接地端子であり、基部111に直接接合している。その他の信号線12は、基部111の第1面111aとは反対の面の側で突出しており、外部配線などと電気的に接続されて、リード電極として用いられる。詳しくは、信号線12は、絶縁部材15の内部では、当該絶縁部材15により外側の基部111と隔てられている。このような構成の基部111(貫通孔111b)、絶縁部材15及び信号線12により、同軸線路L1が形成されている。基部111内では、この同軸線路L1により信号が伝送される。図1では、基部111の第1面111a側において、2本の信号線12が導電性接合材16を介して配線パターン141と接合している状態が示されている。
【0024】
配線基板14の上面に形成された配線パターン141は、電子素子200と電気的に接続されて、当該電子素子200に電力及び信号を供給する。配線パターン141は、端部(ここでは2箇所)が導電性接合材16を介して信号線12と接合している。配線パターン141の形状、長さ及び位置は、接続される電子素子200のサイズ及び端子位置に応じて適宜定められる。また、配線パターン142は、配線基板14の下面の全面に形成されており、突出部112と接合して接地電位とされる。配線パターン141、142は、抵抗の小さい導体金属膜、ここでは、金(Au)薄膜である。
【0025】
図1に示すように、配線パターン141のうち信号線12と接続される配線部分は、配線基板14上を第1面111aに対してほぼ垂直に、絶縁部材15の露出面直近まで伸びている。配線パターン141は、配線基板14により配線パターン142と隔てられている。このような構成の配線パターン141、142により、配線基板14ではマイクロストリップ線路L2が形成されており、このマイクロストリップ線路L2により信号が伝送される。
【0026】
導電性接合材16は、信号線12及び第1面111aと、配線パターン141及び配線基板14の上面との間に亘って位置している。これにより、導電性接合材16は、第1面111aで露出している信号線12と、配線基板14の上面の配線パターン141とを電気的に接合する。導電性接合材16としては、銀シンタリングペースト又は銅シンタリングペーストを用いることができる。シンタリングペーストは、銀又は銅といった導体金属と樹脂などの保護分子とが混在しており、加熱されて樹脂が反応を生じることで導体金属が結合して固着する。また、このときに樹脂成分が絶縁面とも接合する。したがって、導電性接合材16は、信号線12及び配線パターン141だけではなく、絶縁部材15及び配線基板14の絶縁面とも接合する。
【0027】
図1において破線で示されている電子素子200は、配線基板14の上面に位置しており、直接及び/又はワイヤボンディングなどにより配線パターン141と電気的に接続されて(接合して)いる。本実施形態の電子素子200は、入力信号に応じて光を射出するレーザーダイオードである。ただし、電子素子200はこれに限られず、フォトダイオード、LED(Light Emitting Diode)、ペルチェ素子、各種センサ素子などであってもよい。また、電子素子200は、半導体素子であってもよい。電子素子200の動作に伴って生じた熱は、基体11を介して排出される。
【0028】
蓋体20は、突出部112、配線基板14及び電子素子200を覆って外部から隔離し、これらの突出部112、配線基板14及び電子素子200を保護するカバー部材である。蓋体20は、上面が一部(開口部20a)を除いて塞がれている円筒形状を有し、円筒形状の下面に相当する部分が基部111の第1面111aに溶接されて接合されている。また、蓋体20は、基部111と同様の導電性の金属であり、基部111とともに接地電位とされている。蓋体20は、円筒形状の上面を塞ぐ面に、電子素子200から入射する光を通過させる開口部20aを有している。また、開口部20aは、蓋体20の内側からガラス30(誘電体)により覆われている。すなわち、蓋体20と、突出部112との間には、ガラス30が位置している。ガラス30は、蓋体20の内部の構成、すなわち突出部112、配線基板14及び電子素子200を保護する機能を有する。あるいは、ガラス30として、電子素子200から射出された光を集光する機能を備えたもの(集光レンズ)を用いてもよい。
【0029】
(突出部の外面形状が奏する効果)
次に、本実施形態の構成における、突出部の外面形状が奏する効果について、比較例と対比しつつ説明する。
【0030】
まず、図3を参照して、比較例としての従来の構成の電子素子搭載用パッケージ100aの構成を説明する。図3(a)は、比較例に係る電子装置1a及び電子素子搭載用パッケージ100aの斜視図であり、図3(b)は、比較例に係る電子装置1a及び電子素子搭載用パッケージ100aの、基部111に垂直な断面を示す図である。
【0031】
図3(a)及び図3(b)に示すように、比較例の電子素子搭載用パッケージ100は、突出部112の外面Sが、平面の端面S1と、円筒面の一部に相当する形状の側面S2と、からなり、端面S1と側面S2とが90度の角度をなして接続されて、エッジEを形成している。本明細書では、2つの面により形成される稜線であって、当該2つの面が90度以下の角度をなしているものをエッジEと記す。また、本明細書では、2つの面のなす角は、当該2つの面を形成している部材の内部における角度を指し、各面を延長した仮想的な面がなす角は含まないものとする。
【0032】
このように、突出部112にエッジEが形成されている比較例の電子素子搭載用パッケージ100aでは、突出部112及び蓋体20の形状等に応じた所定の共振周波数で信号が伝送されると、特にエッジEの周囲において突出部112と蓋体20との間に電界結合が生じやすく、電界が集中して発生する。以下では、共振周波数において突出部112と蓋体20との間に電界が集中して発生する現象を共振と記す。突出部112と蓋体20はグランドとしての役割を担うが、共振周波数ではグランド間で電位差が生じるため、安定したグランドとして機能せず、伝送信号の電力損失が生じるという問題がある。
【0033】
これに対し、本実施形態の電子素子搭載用パッケージ100では、突出部112の端面S1のうち側面S2との接続部分が曲面S1cとなっていることで、突出部112の外面SがエッジEを有しない形状となっているとともに、曲面S1cが、第1副端面S1a及び側面S2と、稜線を形成しない角度で滑らかに接続されている。また、これにより、電界結合が生じやすい位置(比較例におけるエッジEに対応する位置)において突出部112と蓋体20との間隔が広く確保されている。このように、突出部112の外面Sを、電界が集中しやすいエッジEを有しない形状とし、さらに突出部112と蓋体20との間隔を広く確保することで、突出部112と蓋体20との間の電界結合が生じにくく、また共振が発生しにくくなっている。この結果、共振周波数における電力損失が生じにくく、信号の伝送特性の低下が抑制される。
【0034】
図4は、本実施形態に係る実施例の電子素子搭載用パッケージ100、及び比較例の電子素子搭載用パッケージ100aにおける、信号の周波数に対する挿入損失を計算したシミュレーションの結果を示す図である。このうち図4(a)は、比較例の挿入損失を示し、図4(b)は、実施例の挿入損失を示す。
【0035】
図4(a)に示すように、比較例の電子素子搭載用パッケージ100aでは、鎖線の楕円で示した53GHz(共振周波数)付近の高周波帯域において、挿入損失(損失は値の絶対値が大きいほど大きい)が著しく大きくなっている。これに対し、図4(b)に示すように、実施例の電子素子搭載用パッケージ100では、共振周波数における挿入損失が、比較例に対して小さく抑えられていることが分かる。
【0036】
図5は、実施例の電子素子搭載用パッケージ100、及び比較例の電子素子搭載用パッケージ100aにおける、信号の周波数に対する反射損失を計算したシミュレーションの結果を示す図である。このうち図5(a)は、比較例の反射損失を示し、図5(b)は、実施例の反射損失を示す。
【0037】
図5(a)に示すように、比較例の電子素子搭載用パッケージ100aでは、鎖線の楕円で示した53GHz(共振周波数)付近の高周波帯域において、反射損失(0に近いほど入射に対して反射が大きく、損失が増大する)が大きくなっている。これに対し、図5(b)に示すように、実施例の電子素子搭載用パッケージ100では、共振周波数における挿入損失が、比較例に対して小さく抑えられていることが分かる。
【0038】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。本変形例は、突出部112の外面Sの形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0039】
図6(a)は、変形例1の実施例に係る基体11の形状を示す斜視図である。本変形例では、突出部112の側面S2は、90度の角度をなす2つの平面部分S2aと、この2つの平面部分S2aを、稜線が形成されない角度で滑らかに繋ぐ曲面部分S2bとからなる。したがって、突出部112の第1面111aに平行な断面は、曲面部分S2bに対応する頂点部分が曲線となっている直角二等辺三角形の形状を有している。また、突出部112の端面S1は、上記実施形態と同様、第1面111aに平行な平面である第1副端面S1aと、当該第1副端面S1aと側面S2とを稜線が形成されない角度で滑らかに繋ぐ曲面S1cと、を有する。
【0040】
このような構成の電子素子搭載用パッケージ100においても、突出部112にはエッジEが形成されておらず、突出部112と蓋体20との間隔が広く確保されているため、突出部112と蓋体20との間の電界結合が生じにくく、また共振が発生しにくくなっている。この結果、共振周波数における電力損失が生じにくく、信号の伝送特性の低下が抑制される。
【0041】
以下では、変形例1の構成における効果を、変形例1に対応する従来技術に係る比較例と対比して説明する。
図6(b)は、変形例1に対応する比較例に係る基体11の形状を示す斜視図である。この比較例では、突出部112の側面S2は、90度の角度をなす2つの平面部分がエッジEを形成するように90度の角度で接続された形状を有する。したがって、突出部112の第1面111aに平行な断面は、直角二等辺三角形の形状を有している。また、突出部112の端面S1は、第1面111aに平行な1つの平面からなる。よって、端面S1と側面S2とは、90度の角度をなして接続されて、エッジEを形成している。このような比較例の構成では、エッジEの周囲において突出部112と蓋体20との間に電界結合が生じやすく、共振が発生しやすい。
【0042】
図7は、変形例1に係る実施例の電子素子搭載用パッケージ100、及び比較例の電子素子搭載用パッケージ100aにおける挿入損失及び反射損失のシミュレーションの結果を示す図である。このうち図7(a)は、挿入損失を示し、図7(b)は、図7(a)における領域A1を拡大して示した図であり、図7(c)は、反射損失を示す。図7(a)及び図7(b)に示すように、53GHz(共振周波数)付近における共振による挿入損失の増大が、比較例よりも実施例において低く抑制されていることが分かる。また、図7(c)に示すように、比較例の電子素子搭載用パッケージ100aでは、53GHzの他に、39GHz付近の高周波帯域において反射損失が大きくなっている。これに対し、実施例の電子素子搭載用パッケージ100では、特に39GHz付近における反射損失が低く抑制されていることが分かる。
【0043】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。本変形例は、突出部112の外面Sの形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0044】
図8(a)は、変形例2の実施例に係る基体11の形状を示す斜視図である。本変形例では、突出部112の側面S2は、稜線rを形成するように接続された3つの平面部分からなる。ここで、各稜線rを形成する平面部分同士のなす角は、135度以上の鈍角となっている。したがって、突出部112の第1面111aに平行な断面は、2つの鈍角を有する四角形の形状を有している。また、突出部112の端面S1は、側面S2に対して稜線が形成されない角度で滑らかに接続された曲面S1cからなる。
【0045】
このような構成の電子素子搭載用パッケージ100においても、突出部112にはエッジEが形成されておらず、突出部112と蓋体20との間隔が広く確保されているため、突出部112と蓋体20との間の電界結合が生じにくく、また共振が発生しにくくなっている。この結果、共振周波数における電力損失が生じにくく、信号の伝送特性の低下が抑制される。なお、側面S2には稜線rが形成されているが、各稜線rを形成する平面部分同士が鈍角をなすように接続されているため、稜線rの周囲では、エッジEの周囲と比較して蓋体20との電界結合が生じにくくなっている。よって、変形例2の構成によっても、十分に共振の発生を抑制することができる。
【0046】
以下では、変形例2の構成における効果を、変形例2に対応する従来技術に係る比較例と対比して説明する。
図8(b)は、変形例2に対応する比較例に係る基体11の形状を示す斜視図である。この比較例では、突出部112の側面S2は、稜線rを形成するように接続された3つの平面部分からなる。また、突出部112の端面S1は、第1面111aに平行な1つの平面からなる。よって、端面S1と側面S2とは、90度の角度をなして接続されて、エッジEを形成している。このような比較例の構成では、エッジEの周囲において突出部112と蓋体20との間に電界結合が生じやすく、共振が発生しやすい。
【0047】
図9は、変形例2に係る実施例の電子素子搭載用パッケージ100、及び比較例の電子素子搭載用パッケージ100aにおける挿入損失及び反射損失のシミュレーションの結果を示す図である。このうち図9(a)は、挿入損失を示し、図9(b)は、図9(a)における領域A2を拡大して示した図であり、図9(c)は、反射損失を示す。図9(a)及び図9(b)に示すように、53GHz(共振周波数)付近における共振による挿入損失の増大が、比較例よりも実施例において低く抑制されていることが分かる。また、図9(c)に示すように、比較例の電子素子搭載用パッケージ100aでは、53GHzの他に、39GHz付近の高周波帯域において反射損失が大きくなっている。これに対し、実施例の電子素子搭載用パッケージ100では、特に39GHz付近における反射損失が低く抑制されていることが分かる。
【0048】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3について説明する。本変形例は、突出部112の外面Sの形状が上記実施形態と異なる。以下では、上記実施形態との相違点について説明する。
【0049】
図10は、変形例3に係る電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の全体斜視図である。
図11は、変形例3に係る電子装置1及び電子素子搭載用パッケージ100の、基部111に垂直な断面を示す図である。
【0050】
本変形例の突出部112のうち側面S2は、上記実施形態と同様、円筒面の一部に相当する形状を有している。また、端面S1は、第1面111aに平行な平面である第1副端面S1aと、当該第1副端面S1aと側面S2とを繋ぐ第2副端面S1bと、を有する。このうち第2副端面S1bは、蓋体20の方向に向かって突出するような丸みを帯びた曲面ではなく、90度の角度で接続された端面S1及び側面S2のエッジEを45度の角度で面取りして得られた面に相当する。よって、第1副端面S1aと第2副端面S1bとは、第1稜線r1を形成するように接続されており、第2副端面S1bと側面S2とは、第2稜線r2を形成するように接続されている。また、側面S2及び第1面111aに垂直な断面(例えば、図11に示すの断面)における第2副端面S1bは、第1副端面S1aと側面S2とを繋ぐ直線をなす。また、当該断面において、第1副端面S1aと第2副端面S1bとがなす角a1は、135度の鈍角であり、第2副端面S1bと側面S2とがなす角a2も、135度の鈍角である。
【0051】
このように、本変形例の突出部112の外面Sは、任意の稜線rを形成する2つの面のなす角が鈍角である形状を有している。ここで、各面がなす鈍角は135度の大きさを有している。このような稜線rの周囲では、90度以下の角度をなすエッジEの周囲と比較して、蓋体20との電界結合が生じにくくなっている。よって、変形例3の構成によっても、十分に共振の発生を抑制することができる。
【0052】
なお、図10及び図11では、側面S2と第1副端面S1aとの間に1つの面からなる第2副端面S1bが形成されている例を用いて説明したが、第2副端面S1bは、角度の異なる複数の面からなるものであってもよい。すなわち、第2副端面S1bの形状は、側面S2に対する傾斜角が徐々に大きくなるような複数の面で段階的に面取りを行った形状としてもよい。例えば、図12に示すように、第2副端面S1bは、側面S2に対して150度の鈍角をなす面と、第1副端面S1aに対して150度の鈍角をなす面とを有していてもよい。この場合には、外面Sに3つの稜線rが形成されることとなり、各稜線rを形成する2つの面は、150度の鈍角をなす角度で接続される。このように、第2副端面S1bが有する面の数を増大させることで、稜線rを形成する2つの面のなす鈍角をより大きくして、さらに電界結合を生じにくくすることができる。
【0053】
以上のように、本実施形態の電子素子搭載用パッケージ100は、第1面111aを有する基部111と、第1面111aから突出し、第2面112aを有する突出部112と、を含む基体11と、第2面112a上に位置する配線基板14と、突出部112及び配線基板14を覆う蓋体20と、を備え、突出部112の表面のうち第2面112aを除く外面Sは、稜線を有しない形状、又は任意の稜線を形成する2つの面のなす角が鈍角である形状を有する。
突出部112の外面SがエッジE(90度以下の角度をなす2つの面により形成される稜線)を有すると、共振周波数の信号が送信されたときに突出部112と蓋体20との間のうち当該エッジEの周囲に電界が集中して生じやすいところ、上記のような構成とすることで、突出部112の外面SがエッジEを有しないようにすることができる。これにより、突出部112と蓋体20との間に電界が集中して電界結合が生じるのを抑えることができ、共振の発生を抑制することができる。この結果、共振周波数における電力損失を生じにくくすることができ、信号の伝送特性の低下を抑制することができる。
【0054】
また、突出部112の外面Sは、突出部112の基部111側とは反対側の端面S1と、第1面111aと垂直な方向に第1面111aから延び、第1面111aと端面S1とを繋ぐ側面S2と、からなり、端面S1のうち少なくとも側面S2に接続されている部分が曲面S1cとなっている。端面S1と側面S2との接続部は、従来、エッジEを有する形状とされ、電界が集中して電界結合が生じやすかったところ、上記構成によれば、この接続部を曲面S1cとすることで電界結合を生じにくくすることができ、共振の発生を抑制することができる。これにより、共振周波数における信号の伝送特性の低下を効果的に抑制することができる。
【0055】
また、端面S1と側面S2とが稜線を形成しない角度で接続されている。これによれば、端面S1と側面S2との接続部において電界結合が生じるのをより確実に抑えることができるため、信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0056】
また、曲面S1cの曲率半径Rは、第2面112aに垂直な方向についての突出部112の厚さTの1/3以上かつ2/3以下である。端面S1のうち側面S2との接続部に、このような曲率半径Rを有する曲面S1cを設けることで、当該接続部において電界が集中して電界結合が生じるのをより効果的に抑えることができる。
【0057】
曲面S1cの曲率半径Rは、第2面112aに垂直な方向についての突出部112の厚さをT、第2面112aに垂直な方向についての突出部112と蓋体20との間隔をDとした場合に、D+R>2T/3の関係が満たされるように定められている。これによれば、突出部112と蓋体20との間隔Dを考慮した上で、曲面S1cの曲率半径Rを、電界の集中及び電界結合の発生を適切に抑えることが可能な大きさとすることができる。すなわち、上記関係式によれば、間隔Dが小さく、当該間隔Dにおいて電界結合が生じやすい場合に、曲率半径Rが大きく確保されて、より電界結合が生じにくい曲面S1cとされる。一方、間隔Dが大きいほど、当該間隔Dにおいて電界結合が生じにくくなるため、曲率半径Rを、電界結合が生じにくい範囲で小さくすることができる。
【0058】
また、変形例3に係る電子素子搭載用パッケージ100では、端面S1及び側面S2により稜線r2が形成されており、端面S1及び側面S2のうち当該稜線r2を形成する部分同士のなす角が鈍角である。このように、外面Sにおいて、稜線r2を形成する2つの面がなす角を鈍角とすることで、当該稜線r2の周囲における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。よって、このような構成によっても、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0059】
また、変形例3に係る電子素子搭載用パッケージ100では、端面S1は、側面S2に接続されている第2副端面S1bと、第2副端面S1bの側面S2側とは反対側に接続されている第1副端面S1aと、からなり、第1副端面S1a及び第2副端面S1bにより第1稜線r1が形成されており、第1副端面S1a及び第2副端面S1bのうち当該第1稜線r1を形成する部分同士のなす角が鈍角であり、第2副端面S1b及び側面S2により第2稜線r2が形成されており、第2副端面S1b及び側面S2のうち当該第2稜線を形成する部分同士のなす角が鈍角である。これによれば、端面S1と側面S2との接続部を面取りする簡易な構成により、当該接続部における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。よって、このような構成によっても、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0060】
また、側面S2は、円筒面の一部の形状、又は楕円筒面の一部の形状を有する。これによれば、側面S2が稜線を有しない形状となるため、側面S2における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。よって、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0061】
また、変形例1、2に係る電子素子搭載用パッケージ100では、側面S2は、二以上の平面部分S2aと、当該二以上の平面部分S2aの間を繋ぐ曲面部分S2bとからなる。これによれば、側面S2が平面部分S2aを有していても、側面S2にエッジEが生じないようにすることができるため、側面S2における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。よって、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0062】
また、上記鈍角を135度以上とすることで、稜線の周囲における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。よって、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0063】
また、電子素子搭載用パッケージ100は、突出部112と蓋体20との間に位置する誘電体としてのガラス30を備える。このように突出部112と蓋体20との間に誘電体が挟まれている構成では、誘電体を有しない構成と比較して電界結合が生じやすいところ、突出部112を上述した形状とすることで電界結合の発生を抑え、共振による信号の伝送特性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態の電子装置1は、上述の電子素子搭載用パッケージ100と、配線基板14と接合する電子素子200と、を備える。このような電子装置1では、共振による信号の伝送特性の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、上記実施の形態は例示であり、様々な変更が可能である。
例えば、突出部112の外面Sの形状は、上記実施形態及び各変形例に記載したものに限られず、稜線を有しない形状、又は任意の稜線を形成する2つの面のなす角が鈍角である形状であれば、任意の形状とすることができる。例えば、外面Sの全体が、滑らかな一繋がりの曲面からなっていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、端面S1が曲面S1cを有する構成(図1図2図6(a)、図8(a))において、曲面S1cと側面S2とが稜線を形成しない角度で滑らかに接続されている例を用いて説明したが、曲面S1cと側面S2とが稜線を形成する角度で接続されていてもよい。この場合には、稜線を形成する面同士がなす角を鈍角とすることで、当該稜線の周囲における電界の集中及び電界結合の発生を抑えることができる。
【0067】
また、突出部112の第2面112a及び側面S2の延在方向は、必ずしも第1面111aに垂直な方向でなくてもよく、第1面111aに対して交差する方向(垂直な方向から傾斜した方向)であってもよい。
【0068】
また、電子素子搭載用パッケージ100は、蓋体20の内側に、ガラス30等の誘電体を有していなくてもよい。
【0069】
また、蓋体20の形状は、上記実施形態に示した円筒形状のものに限られず、電子素子200の形状や用途等に応じて適宜変更されてもよい。
【0070】
また、配線基板14の上面の配線パターン141、及び金属の突出部112によってマイクロストリップ線路L2が構成できる場合には、配線パターン142は省略しても良い。
【0071】
また、上記実施の形態では、導電性接合材16として銀シンタリングペースト又は銅シンタリングペーストを用いることとして説明したが、配線基板14に接合する導電性の接合材であればその他のものであってもよい。
【0072】
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 電子装置
11 基体
111 基部
111a 第1面
111b 貫通孔
112 突出部
112a 第2面
12 信号線
14 配線基板
15 絶縁部材
16 導電性接合材
20 蓋体
20a 開口部
30 ガラス(誘電体)
100 電子素子搭載用パッケージ
141、142 配線パターン
200 電子素子
E エッジ
L1 同軸線路
L2 マイクロストリップ線路
S 外面
S1 端面
S1a 第1副端面
S1b 第2副端面
S1c 曲面
S2 側面
S2a 平面部分
S2b 曲面部分
r 稜線
r1 第1稜線
r2 第2稜線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12