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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116398
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】印刷配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012544
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】朝野 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】馬場 愛
【テーマコード(参考)】
5E314
【Fターム(参考)】
5E314AA31
5E314AA32
5E314AA34
5E314AA36
5E314AA41
5E314AA42
5E314BB02
5E314BB06
5E314FF05
5E314GG21
(57)【要約】
【課題】反りが生じにくい印刷配線板を提供する。
【解決手段】印刷配線板は、絶縁層、導体層および被覆材を備える。導体層および被覆材は、絶縁層の第1面に位置する。被覆材は、第1の繊維質基材を含有する部材である。他の印刷配線板は、絶縁層、導体層および被覆材を備える。導体層は、絶縁層の第1面に位置する。被覆材は、基部および凸部を有する。基部は、導体層の少なくとも一部を被覆している。凸部は、第1の繊維質基材を含有し、第1面に接し、かつ、基部から第1面に向かって突出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層、導体層および被覆材を備え、
前記導体層および前記被覆材は、前記絶縁層の第1面に位置し、
前記被覆材は、第1の繊維質基材を含有する部材である、印刷配線板。
【請求項2】
絶縁層、導体層および被覆材を備え、
前記導体層は、前記絶縁層の第1面に位置し、
前記被覆材は、基部および凸部を有し、
前記基部は、前記導体層の少なくとも一部を被覆しており、
前記凸部は、第1の繊維質基材を含有し、前記第1面に接し、かつ、前記基部から前記第1面に向かって突出している、印刷配線板。
【請求項3】
前記基部は第2の繊維質基材を含有し、
前記第1の繊維質基材および前記第2の繊維質基材は織布であり、
前記第1の繊維質基材を構成している前記織布の繊維の向きと、前記第2の繊維質基材を構成している前記織布の繊維の向きとが、前記第1面に向かう平面視で直角以外の角度をなしている部分を有する、請求項2に記載の印刷配線板。
【請求項4】
前記被覆材は有機樹脂を含有しており、
前記第1面に向かう平面視で前記導体層と前記第1の繊維質基材との間に前記有機樹脂が位置している、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の印刷配線板。
【請求項5】
前記第1の繊維質基材は織布であり、
前記第1の繊維質基材を構成している前記織布の複数の繊維の端部が凹凸をなしている、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の印刷配線板。
【請求項6】
前記第1の繊維質基材の厚みは、前記導体層の厚み以下である、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の印刷配線板。
【請求項7】
前記第1の繊維質基材の厚みは、前記導体層の厚みと同一である、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の印刷配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁層の表面に導体層を有する印刷配線板が知られている。このような印刷配線板には、絶縁層の表面において導体層が粗密のある状態で分布しているものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-12703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導体層の分布に粗密があると、導体層の密な部分と疎な部分との間で印刷配線板の剛性に差が生じる。この剛性の差に起因して、電子部品の実装工程などにおいて印刷配線板に熱的な負荷がかかった場合に反りが生じるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の印刷配線板は、絶縁層、導体層および被覆材を備えている。前記導体層および前記被覆材は、前記絶縁層の第1面に位置している。前記被覆材は、第1の繊維質基材を含有する部材である。
【0006】
また、本開示の印刷配線板は、絶縁層、導体層および被覆材を備えている。前記導体層は、前記絶縁層の第1面に位置している。前記被覆材は、基部および凸部を有している。前記基部は、前記導体層の少なくとも一部を被覆している。前記凸部は、第1の繊維質基材を含有し、前記第1面に接し、かつ、前記基部から前記第1面に向かって突出している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷配線板は、反りが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る印刷配線板の断面図である。
図2】印刷配線板における第1領域および第2領域を示す模式平面図である。
図3】ガラスクロスのガラス繊維の端部を示す透視平面図である。
図4】第2の実施形態に係る印刷配線板の断面図である。
図5図4の印刷配線板の凸部を示す拡大図である。
図6】ガラスクロスのガラス繊維の向きを示す透視平面図である。
図7】印刷配線板の製造方法を説明する断面図である。
図8】印刷配線板の製造方法を説明する断面図である。
図9】印刷配線板の製造方法を説明する断面図である。
図10】印刷配線板の製造方法を説明する断面図である。
図11】複合基板の構成を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の印刷配線板1は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0010】
〔第1の実施形態〕
図1を参照して、第1の実施形態に係る印刷配線板1の構成について説明する。印刷配線板1は、絶縁層10、導体層20および被覆材30を備える。以下では、印刷配線板1の厚さ方向をZ方向とするXYZ直交座標系により印刷配線板1の各部の向きを説明する。また、印刷配線板1を構成する各層の+Z方向を向く面を「上面」とも記し、-Z方向を向く面を「下面」とも記す。また、Z方向を「厚み方向」とも記す。
【0011】
絶縁層10は、絶縁体からなる板状部材である。絶縁層10を構成する絶縁体は、誘電体であってもよい。絶縁層10は、複数の絶縁体がZ方向に積層された構成であってもよい。絶縁層10は、X方向およびY方向に平行な辺を有する直方体形状であってもよい。以下では、絶縁層10の上面を第1面S1とし、絶縁層10の下面(第1面S1とは反対側に位置する面)を第2面S2とする。また、第1面S1に向かう方向(第1面S1に垂直な方向)から見ることを、平面視と記す。また、第1面S1に向かう方向から一部の部材を透過させて見ることを、平面透視と記す。
【0012】
絶縁層10の材質は、絶縁性を有しているものであれば特に限定されない。絶縁層10の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、フェノール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ケイ素樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合してもよい。また、絶縁層10には、ガラスクロスなどの繊維質基材が配合されていてもよい。また、絶縁層10には、水酸化アルミニウム、シリカまたは硫酸バリウムなどの無機充填剤、もしくはフェノール樹脂またはメタクリル樹脂などの有機充填材が配合されてもよい。
【0013】
導体層20は、絶縁層10の第1面S1のうち、第2領域R2の範囲内に位置している。図1では、導体層20が第2領域R2内で所定の配線パターンを形成している構成が例示されている。ただし、これに限らず、導体層20は第2領域R2の全体にわたって一繋がりとなるように形成されていてもよい。導体層20の材質は、例えば銅とすることができるが、これに限らない。導体層20は、銅箔などの金属箔をパターニングして形成されたものであってもよい。また、導体層20は、サブトラクティブ法またはMSAP(Modified Semi-Additive Process)によりパターニングされためっき層であってもよい。
【0014】
被覆材30は、絶縁層10の第1面S1のうち、第1領域R1の範囲内に位置している。被覆材30は、第1面S1の一部を被覆している。平面視で第1領域R1を除いた領域が第2領域R2である。図2に示すように、本実施形態の第1領域R1は、平面視で矩形であるが、これに限らない。第2領域R2は、導体層形成領域Raと、印刷配線板1の外周から所定幅で設けられている額縁領域Rbとを有する。図2では、導体層形成領域Raにドットが付されている。導体層20は、この導体層形成領域Raの範囲内でパターニングされている。本実施形態では、第1領域R1には導体層20が形成されていない。言い換えると、導体層20は、平面視で第2領域R2の内部にのみ位置している。すなわち、被覆材30は、導体層20が配置されていない第1領域R1において、周囲の導体層20によって囲まれた凹部を埋めるように配置されている。図2では、第1領域R1が第2領域R2により囲まれているが、これに限らない。
【0015】
図1に示すように、被覆材30は、ガラスクロス31(第1の繊維質基材)と有機樹脂33とを含有する。ガラスクロス31は、複数のガラス繊維311(織布の繊維)からなる織布である。ガラス繊維311は、X方向に延在している。ガラスクロス31は、被覆材30の補強材として機能する。ガラスクロス31は、XY平面に沿って面状(平板状)に分布している。平面視でのガラスクロス31の配置範囲は、図2における第1領域R1の内側のガラスクロス形成領域Rcである。ガラスクロス形成領域Rcは、第1領域R1の外周から距離Dだけ内側に位置する矩形である。言い換えると、ガラスクロス形成領域Rcは、第2領域R2に位置する導体層20から距離D以上離間している。距離Dは、例えば100μmであってもよい。
【0016】
被覆材30のうちガラスクロス31を除いた部分は、有機樹脂33からなる。有機樹脂33は、平面視で第1領域R1の全体にわたって位置している。よって、有機樹脂33は、導体層20とガラスクロス31との間に位置している。また、有機樹脂33は、ガラスクロス31のガラス繊維311同士の間にも含浸されている。有機樹脂33は、第1領域R1の外周に沿って位置する全ての導体層20に接していてもよいし、これらの導体層20のうちの一部に接していてもよい。有機樹脂33の材質は、絶縁性を有するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、フェノール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ケイ素樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合してもよい。被覆材30には、上述の無機充填材または有機充填材が含まれていてもよい。
【0017】
図1に示すように、ガラスクロス31は、第1面S1に垂直な方向について導体層20の配置範囲内に位置しているのがよい。言い換えると、第1面S1からガラスクロス31の上面までの厚みT1は、導体層20の厚みT2以下である。本実施形態では、ガラスクロス31の厚みT1は、導体層20の厚みT2と同一である。ここで、厚みが同一であるとは、一方の厚みを1としたときに、他方の厚みが0.9以上1.1以下であることをいうものとする。また、この条件を満たさない場合であっても、厚みの差が5μm以下である場合には、厚みが同一であるものとする。
【0018】
また、図3に示すように、複数のガラス繊維311の端部は、符号Aで示す凹凸をなしている。言い換えると、複数のガラス繊維311の端部位置がXY平面内において一直線上に乗るように揃っておらず、1本(または複数本)のガラス繊維311の両側に隣り合うガラス繊維311の端部の位置がいずれも+X方向側にずれているか、いずれも-X方向側にずれている。
【0019】
本実施形態では、絶縁層10の第1面S1側のみに被覆材30が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。絶縁層10の第2面S2にも導体層20が設けられている場合には、第2面S2側に被覆材30をさらに設けてもよい。この場合において、第1面S1における第1領域R1と第2面S2における第1領域R1とは平面視で一致していなくてもよい。すなわち、第1領域R1および第2領域R2は、第1面S1側および第2面S2側でそれぞれ独立に設定されてもよい。
【0020】
以上のように、第1の実施形態に係る印刷配線板1は、絶縁層10、導体層20および被覆材30を備える。導体層20および被覆材30は、絶縁層10の第1面S1に位置する。被覆材30は、第1の繊維質基材としてのガラスクロス31を含有する部材である。
別の観点では、印刷配線板1は、絶縁層10、導体層20および被覆材30を備える。導体層20は、絶縁層10の第1面S1に位置する。被覆材30は、第1の繊維質基材としてのガラスクロス31を含有し、かつ、第1面S1の一部を被覆している。第1面S1に向かう平面視で、導体層20は、第1面S1のうち被覆材30が配置されている第1領域R1を除いた第2領域R2に位置している。
この構成によれば、導体層20が配置されていない第1領域R1の剛性が、被覆材30のガラスクロス31によって高まる。よって、剛性の高い導体層20が位置している第2領域R2と、第1領域R1との間で剛性の差が小さくなる。また、被覆材30を配置しない場合と比較して、第1領域R1と第2領域R2との間で熱膨張係数およびヤング率の差が小さくなる。これにより、例えば電子部品の実装工程などにおいて印刷配線板1に熱的な負荷がかかった場合であっても、印刷配線板1の反りを小さくすることができる。
【0021】
また、被覆材30は有機樹脂33を含有しており、平面視で導体層20とガラスクロス31との間に有機樹脂33が位置している。
この構成によれば、導体層20はガラスクロス31に接しないため、印刷配線板1が反ったときに導体層20がガラスクロス31から圧力を受けにくい。よって、導体層20の変形および損傷等に起因する電気的特性の低下を低減できる。また、印刷配線板1に生じる応力を緩和することができる。
【0022】
また、ガラスクロス31は織布であり、ガラスクロス31を構成している織布の複数のガラス繊維311の端部が凹凸をなしている。
この構成によれば、複数のガラス繊維311の端部の位置が一直線上に乗らないため、ガラスクロス31におけるガラス繊維311の密度が高い場合であっても、ガラス繊維311の端部近傍でガラス繊維311の間に有機樹脂33が入り込みやすくなる。よって、複数のガラス繊維311と有機樹脂33との間のアンカー効果が高まるため、被覆材30の剛性を高めることができ、また絶縁層10に対する密着性を高めることができる。
【0023】
〔第2の実施形態〕
次に、図4図6を参照して、第2の実施形態に係る印刷配線板1の構成について説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
図4および図5に示すように、印刷配線板1の被覆材30は、導体層20を被覆している平板状の基部30bと、基部30bから第1面S1に向かって、すなわち-Z方向に向かって突出している凸部30aとを有する。凸部30aは、ガラスクロス31(第1の繊維質基材)および有機樹脂33を含有しており、かつ、第1面S1に接している。基部30bは、ガラスクロス32(第2の繊維質基材)および有機樹脂33を含有している。凸部30aの有機樹脂33と基部30bの有機樹脂33とは、一体的に繋がっている。被覆材30の上面には、銅箔40が全面に設けられている。
【0025】
凸部30aは、平面視で図2の第1領域R1の範囲内に位置している。また、本実施形態においても第1領域R1には導体層20が形成されておらず、導体層20は、平面視で第2領域R2の内部にのみ位置している。よって、凸部30aは、導体層20が配置されていない第1領域R1において、周囲の導体層20によって囲まれた凹部の一部を埋めるように配置されている。言い換えると、凸部30aは、第1の実施形態における被覆材30の配置領域の一部に配置されている。被覆材30の有機樹脂33は、第1領域R1の外周に沿って位置する全ての導体層20の全てに接していてもよいし、これらの導体層20のうちの一部に接していてもよい。図5に示すように、有機樹脂33の一部が導体層20と第1の繊維質基材311との間に位置しているのがよい。
【0026】
また、凸部30aのガラスクロス31の材質および配置範囲は、第1の実施形態の被覆材30のガラスクロス31と同一である。したがって、図5に示すように、ガラスクロス31と導体層20とは、平面視で距離D以上離間している。また、ガラスクロス31は、第1面S1に垂直な厚み方向について導体層20の配置範囲内に位置している。言い換えると、第1面S1からガラスクロス31の上面までの厚みT1は、導体層20の厚みT2以下である。本実施形態では、ガラスクロス31の厚みT1は、導体層20の厚みT2と同一である。
【0027】
図4に示すように、基部30bは、平面視で第1面S1の全体にわたって配置されており、全ての導体層20を被覆している。また、基部30bの有機樹脂33は、第2領域R2において隣り合う導体層20同士の隙間を埋めている。基部30bのガラスクロス32は、平面視で第1面S1の全体にわたって面状に分布している。ガラスクロス32の材質は、ガラスクロス31と同様であり、複数のガラス繊維321(繊維)からなる織布である。ガラスクロス32は、基部30bの補強材として機能する。
なお、基部30bの配置範囲は図4に示したものに限らない。基部30bが導体層20の一部を被覆している構成であってもよい。
【0028】
図6に示すように、ガラスクロス31のガラス繊維311はX方向に延在しており、ガラスクロス32のガラス繊維321は、平面視でガラス繊維311の延在方向(X方向)に対して角度θをなしている。複数のガラス繊維311の延在方向、および複数のガラス繊維321の延在方向にばらつきがある場合には、複数のガラス繊維311の延在方向を代表する方向(例えば、平均の方向)と、複数のガラス繊維321の延在方向を代表する方向(例えば、平均の方向)とが角度θをなしていればよい。ここで、角度θは鋭角である。よって、ガラスクロス31を構成しているガラス繊維311の向きと、ガラスクロス32を構成しているガラス繊維321の向きとが、平面視で直角以外の角度をなしている。また、複数のガラス繊維311の端部は、符号Aで示す凹凸をなしている。また、複数のガラス繊維321の端部は、符号Bで示す凹凸をなしている。複数のガラス繊維311の延在方向を代表する方向(例えば、平均の方向)と、複数のガラス繊維321の延在方向を代表する方向(例えば、平均の方向)とが直角となる部分を有していてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、絶縁層10の第1面S1側のみに導体層20、被覆材30および銅箔40が設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、絶縁層10の第2面S2にも導体層20が設けられている場合において、第2面S2側に凸部30aおよび基部30bを有する被覆材30と銅箔40とをさらに設けてもよい。この場合において、第2面S2側の第1領域R1は、平面視で第1面S1側の第1領域R1と一致していなくてもよい。すなわち、第1領域R1および第2領域R2は、第1面S1側および第2面S2側でそれぞれ独立に設定されてもよい。また、第2面S2側の被覆材30は、基部30bのみを有し凸部30aを有しないものであってもよい。また、第2面S2側の被覆材30は、第1の実施形態のように第1領域R1内に選択的に形成されるものであってもよい。
【0030】
以上のように、第2の実施形態に係る印刷配線板1は、絶縁層10、導体層20および被覆材30を備える。導体層20は、絶縁層10の第1面S1に位置する。被覆材30は、基部30bおよび凸部30aを有する。基部30bは、導体層20の少なくとも一部を被覆している。凸部30aは、第1の繊維質基材としてのガラスクロス31を含有し、第1面S1に接し、かつ、基部30bから第1面S1に向かって突出している。
別の観点では、導体層20は、第1面S1に向かう平面視で、第1面S1のうち凸部30aが配置されている第1領域R1を除いた第2領域R2に位置している。
この構成によれば、導体層20が配置されていない第1領域R1の剛性が、凸部30aのガラスクロス32によって高まる。よって、剛性の高い導体層20が位置している第2領域R2と、第1領域R1との間で剛性の差が小さくなる。また、凸部30aを配置しない場合と比較して、第1領域R1と第2領域R2との間で熱膨張係数およびヤング率の差が小さくなる。これにより、例えば電子部品の実装工程などにおいて印刷配線板1に熱的な負荷がかかった場合であっても、印刷配線板1の反りを小さくすることができる。また、導体層20および凸部30aを覆うように基部30bが配置されていることにより、印刷配線板1の平面方向の全体にわたって反りをさらに小さくすることができる。
また、導体層20が配置されていない第1領域R1がある場合に、第1面S1の全面に直接基部30bのみからなる被覆材30を形成すると、第1領域R1において有機樹脂33が不足し、これによっても剛性の不均衡が生じて反りに繋がる。これに対し、上記構成のように第1領域R1に凸部30aを設けることで、第1領域R1に十分な量の有機樹脂33を配置できるため、合成の不均衡を低減して反りを小さくすることができる。また、有機樹脂33の不足に起因して被覆材30が剥離する不良を低減できる。
【0031】
また、基部30bは第2の繊維質基材としてのガラスクロス32を含有する。ガラスクロス31およびガラスクロス32は織布であり、ガラスクロス31を構成しているガラス繊維311の向きと、ガラスクロス32を構成しているガラスクロス32の向きとが、平面視で直角以外の角度をなしている部分を有する。
ガラスクロスはガラス繊維の方向に伸縮しやすい。よって、ガラスクロス31、32を、ガラス繊維311、321の向きが直交しない配置で設けることで、この向きが直交する場合と比較して、温度が変化したときに第1領域R1と第2領域R2との間に生じる歪みを小さくすることができる。よって、印刷配線板1に生じる反りをさらに小さくすることができる。
【0032】
また、ガラスクロス31の厚みは、導体層20の厚み以下である。特に、本実施形態では、ガラスクロス31の厚みは、導体層20の厚みと同一である。
これにより、導体層20および凸部30aを被覆する基部30bの平坦性を高めることができる。すなわち、第1領域R1から第2領域R2にかけて基部30bの変形量を小さくすることができる。この結果、絶縁層10上における凸部30aおよび基部30bに生じる応力が小さくなり、印刷配線板1に生じる反りをさらに小さくすることができる。
【0033】
〔印刷配線板の製造方法〕
次に、図7図10を参照して印刷配線板1の製造方法について説明する。以下では、+Z方向側の被覆材30の表面および-Z方向側の被覆材30の表面にそれぞれ銅箔40が形成された、いわゆる両面板と呼ばれる印刷配線板1の製造方法を例に挙げて説明する。ここでは、+Z方向側の被覆材30が第2の実施形態のように凸部30aおよび基部30bを有し、-Z方向側の被覆材30が凸部30aを有しない通常の被覆材30である印刷配線板1を製造するものとする。
【0034】
まず、図7に示すように、絶縁層10の両面に導体層20がパターニングされた内層基板を用意する。図7の内層基板は、絶縁層10の第1面S1のうち図2に示す第2領域R2に導体層20が形成され、第1領域R1には導体層20が形成されていない。また、絶縁層10の第2面S2には、ほぼ均等な密度分布で導体層20が形成されている。
【0035】
次に、図8に示すように、第1面S1のうち第1領域R1の内部に第1プリプレグP1を仮溶着させる。ここで、第1プリプレグP1は、ガラスクロス31に有機樹脂33を含浸させて半硬化させ、所定の大きさに切断した部材である。第1プリプレグP1は、図2のガラスクロス形成領域Rcに配置する。すなわち、第2領域R2の導体層20から距離D以上離れた位置に第1プリプレグP1を配置する。
【0036】
次に、図9に示すように、第1面S1側の導体層20および被覆材30の上面に、第2プリプレグP2および銅箔40をレイアップする。また、第2面S2側の導体層20の下面に、第2プリプレグP2および銅箔40をレイアップする。ここで、第2プリプレグP2は、第1プリプレグP1と同様の構成を有する部材である。すなわち、第2プリプレグP2は、ガラスクロス32に有機樹脂33を含浸させて半硬化させ、所定の大きさに切断した部材である。第1面S1側の第2プリプレグP2は、平面透視で、ガラスクロス32のガラス繊維321の延在方向がガラスクロス31のガラス繊維311の延在方向に対して直角の向きに配置する。この場合、ガラスクロス32のガラス繊維321の延在方向がガラスクロス31のガラス繊維311の延在方向に対して直角とならない向きの状態が含まれていてもよい。
【0037】
次に、図9に示す積層体を加熱するとともにZ方向に加圧して、第1プリプレグP1の有機樹脂33および第2プリプレグP2の有機樹脂33を溶融させる。その後、溶融した有機樹脂33を固化させる。これにより、図10に示すように、導体層20の隙間に有機樹脂33が充填される。また、第1プリプレグP1の有機樹脂33と第2プリプレグP2の有機樹脂33とが一繋がりとなり、第1面S1側に、凸部30aおよび基部30bを有する被覆材30が形成される。また、第2面S2側に、基部30bを有する被覆材30が形成される。
【0038】
以上の工程を経て印刷配線板1が完成する。完成した印刷配線板1は、上面および下面の全体に銅箔40が設けられている構成であるが、この印刷配線板1をさらに加工して、表面に配線パターンを形成してもよい。また、当該配線パターンと内部基板の導体層20とをビアおよび/またはスルーホールにより電気的に接続させてもよい。
【0039】
なお、第1の実施形態の印刷配線板1を製造する場合には、図8のように第1面S1に第1プリプレグP1を仮溶着した積層体を加熱、加圧して有機樹脂33を溶融させ、その後有機樹脂33を固化させればよい。
【0040】
また、図11に示すように、分割後に複数の印刷配線板1となる複合基板100を製造した後に、複合基板100を分割して印刷配線板1を製造してもよい。1枚の複合基板100に包含させる印刷配線板1の数は、例えば20以下とすることができる。図11では、8つの印刷配線板1を包含する複合基板100が例示されている。また、複合基板100の全体の面積に対する導体層20の配置面積の割合(面積率)は、例えば50%以下とすることができる。また、各印刷配線板1の面積に対する第1領域R1の面積の割合は、例えば30%以下とすることができる。
【0041】
〔その他〕
なお、上記実施の形態は例示であり、様々な変更が可能である。
例えば、第1の繊維質基材および第2の繊維質基材としてガラスの織布であるガラスクロスを例示したが、これに限らない。第1の繊維質基材および第2の繊維質基材としては、各種の繊維質を用いることができ、例えばガラスの不織布、アラミド繊維の織布もしくは不織布、またはポリエステル繊維などであってもよい。
【0042】
また、1つの印刷配線板1に1つの第1領域R1が設けられている構成を例示したが、これに限らず、1つの印刷配線板1に2以上の第1領域R1が設けられていてもよい。したがって、第1の実施形態において、1つの印刷配線板1に2以上の被覆材30が設けられていてもよい。また、第2の実施形態において、被覆材30が、ガラスクロス31を含有する凸部30aを2以上有していてもよい。
【0043】
また、2以上の被覆材30を積層させてもよい。
【0044】
その他、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状などの具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成、構造、位置関係及び形状を適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 印刷配線板
10 絶縁層
20 導体層
30 被覆材
30a 凸部
30b 基部
31 ガラスクロス(第1の繊維質基材)
32 ガラスクロス(第2の繊維質基材)
33 有機樹脂
40 銅箔
100 複合基板
311、321 ガラス繊維
P1 第1プリプレグ
P2 第2プリプレグ
Ra 導体層形成領域
Rb 額縁領域
Rc ガラスクロス形成領域
S1 第1面
S2 第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11