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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116401
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 29/16 20060101AFI20220803BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G08B29/16
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012547
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】今井 大貴
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087BB71
5C087CC46
5C087DD04
5C087EE07
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG12
5C087GG22
5C087GG29
5C087GG36
5C087GG70
5G405AA06
5G405AD04
5G405CA18
5G405CA32
5G405CA50
5G405EA31
(57)【要約】
【課題】イベント情報を確実に送信することが可能となる通信システムを提供すること。
【解決手段】防災受信機101と、防災受信機101との間で通信可能となっている第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2とを備える通信システム100であって、防災受信機101は、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2に対して、共通のイベント情報を送信し、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2は、外部サーバ102との間で通信可能となっており、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2の内の一方のシステムは、主システムとして動作し、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2の内の他方のシステムは、副システムとして動作し、主システムは、少なくとも、イベント情報を外部サーバ102に対して送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災報知設備と、前記火災報知設備との間で通信可能となっている第1火災報知システム及び第2火災報知システムとを備える通信システムであって、
前記火災報知設備は、前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムに対して、共通のイベント情報を送信し、
前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムは、外部システムとの間で通信可能となっており、
前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の一方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、主システムとして動作し、
前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、副システムとして動作し、
前記主システムは、少なくとも、前記イベント情報を前記外部システムに対して送信する、
通信システム。
【請求項2】
前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、
前記主システムが動作不良であるか否かを判定し、動作不良であるものと判定した場合に、前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報を、前記外部システムに送信する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、
前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報があるか否かを判定し、当該イベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信する、
請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記主システムとして動作している前記一方のシステムは、前記イベント情報の内容を示す情報を前記外部システムに送信し、
前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報を受信したことを示す情報を、前記外部システムに送信する、
請求項1から3の何れか一項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災発生時に防災に関する処理を行う防災受信機が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-005312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防災受信機等の火災報知設備からのイベント情報(例えば、火災発生を示す情報等)を利用する技術が提案されていた。この技術においては、火災報知システムが、火災報知設備からのイベント情報を受信して、当該受信したイベント情報を外部システムへ送信していた。
【0005】
しかしながら、例えば、火災報知システムにおいて動作不良が発生した場合、イベント情報を外部システムへ送信することができずに、当該イベント情報を適切に利用することが困難となる可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、イベント情報を確実に送信することが可能となる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の通信システムは、火災報知設備と、前記火災報知設備との間で通信可能となっている第1火災報知システム及び第2火災報知システムとを備える通信システムであって、前記火災報知設備は、前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムに対して、共通のイベント情報を送信し、前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムは、外部システムとの間で通信可能となっており、前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の一方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、主システムとして動作し、前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、副システムとして動作し、前記主システムは、少なくとも、前記イベント情報を前記外部システムに対して送信する。
【0008】
また、請求項2に記載の通信システムは、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記主システムが動作不良であるか否かを判定し、動作不良であるものと判定した場合に、前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報を、前記外部システムに送信する。
【0009】
また、請求項3に記載の通信システムは、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報があるか否かを判定し、当該イベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信する。
【0010】
また、請求項4に記載の通信システムは、請求項1から3の何れか一項に記載の通信システムにおいて、前記主システムとして動作している前記一方のシステムは、前記イベント情報の内容を示す情報を前記外部システムに送信し、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報を受信したことを示す情報を、前記外部システムに送信する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の通信システムによれば、第1火災報知システム及び第2火災報知システムを備えることにより、例えば、火災報知システムを冗長化することができるので、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の通信システムによれば、副システムは、主システムが動作不良であるものと判定した場合に、未だ送信していない可能性があるイベント情報を、外部システムに送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の通信システムによれば、副システムは、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の通信システムによれば、主システムがイベント情報の内容を示す情報を送信し、副システムがイベント情報を受信したことを示す情報を送信することにより、例えば、主システム側からイベント情報の内容を示す情報が送信されなかったとしても、外部システム側に、イベント情報の存在自体を覚知させることが可能となる。例えば、外部システムが受信した情報に基づいて個人の端末に当該情報を報知させるようなシステムである場合、当該個人の端末にはイベント情報の内容及び又はイベント情報の発生を示す情報が報知されるため、情報量の多い「イベント情報の内容」が複数表示されることによるわずらわしさを避けることができるとともに、イベントの発生については「イベント情報の内容」・「イベント情報の存在自体」を示す情報いずれかに基づいて把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係る通信システムを示すブロック図である。
図2】動作を説明するための図である。
図3】動作を説明するための図である。
図4】副システム側動作監視処理のフローチャートである。
図5】動作を説明するための図である。
図6】副システム側送信監視処理のフローチャートである。
図7】動作を説明するための図である。
図8】動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、概略的に、通信システムに関するものである。
【0018】
「通信システム」とは、イベント情報を通信するシステムであり、例えば、火災報知設備、第1火災報知システム、及び第2火災報知システムを備える。
【0019】
「イベント情報」とは、例えば、火災報知設備が適用される対象領域で発生する事柄(例えば、火災等)、及び火災報知設備側自体で発生する事項(例えば、障害等)等を示す情報を含む概念である。また、これらの事項が「イベント」であるものと解釈してもよい。
【0020】
「対象領域」とは、火災報知設備が適用されて防災の対象となっている領域であり、例えば、建物内の任意の領域(例えば、部屋、廊下、階段室等)、あるいは、建物外の任意の領域(例えば、駐車場等)を含む概念である。
【0021】
「火災報知設備」とは、火災を報知するための設備であり、例えば、感知器による火災検出の結果に基づいて火災に関する各種処理を行う防災受信機、あるいは、対象領域の情報を表示する表示装置等を含む概念である。
【0022】
第1火災報知システム、及び第2火災報知システムは、火災報知設備から送信された共通のイベント情報を受信して各種処理を行うシステムであり、相互に同様な処理を実行可能に構成されており、冗長化されているシステムである。また、第1火災報知システム、及び第2火災報知システムは、一方のシステムが主システムとして動作し、また、他方が副システムとして動作するように構成されており、適宜のタイミングで、何れのシステムとして動作するかを切り替え可能となっている。
【0023】
そして、以下に示す実施の形態では、火災報知設備が防災受信機である場合について説明する。
【0024】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
(構成)
まず、本実施の形態に係る通信システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る通信システムを示すブロック図である。
【0026】
図1の通信システム100は、例えば、防災受信機101、第1火災報知サーバ1、第2火災報知サーバ2、及び外部サーバ102を備えている。
【0027】
なお、第1火災報知サーバ1、第2火災報知サーバ2、及び外部サーバ102各々については、複数のコンピュータを相互に通信可能に接続して実現されるクラウドコンピュータとして構成してもよい。
【0028】
(構成-防災受信機)
防災受信機101は、火災報知設備であり、例えば、共通のイベント情報を、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2に送信する装置である。防災受信機101は、例えば、不図示の感知器側から受信する各種信号に基づいて、防災に関する各種処理を行う装置である。防災受信機101は、例えば、不図示の通信部、記録部、及び制御部を備えている。なお、この防災受信機101の具体的な構成は、公知の構成を適用することができるので、詳細の説明を省略する。
【0029】
(構成-第1火災報知サーバ)
第1火災報知サーバ1は、第1火災報知システムであり、具体的には、他の装置(防災受信機101、第2火災報知サーバ2、及び外部サーバ102)との間で通信可能となっており、例えば、通信部11、記録部12、及び制御部13を備える。
【0030】
(構成-第1火災報知サーバ-通信部)
通信部11は、他の装置又はシステムとの間で通信を行う通信手段であり、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0031】
(構成-第1火災報知サーバ-記録部)
記録部12は、第1火災報知サーバ1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク又は各種メモリを用いて構成されている(他の装置の記録部も同様とする)。
【0032】
この記録部12には、イベント履歴情報が格納されている。「イベント履歴情報」とは、防災受信機101から受信したイベント情報の履歴を示す情報である。
【0033】
(構成-第1火災報知サーバ-制御部)
制御部13は、第1火災報知サーバ1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係るプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して第1火災報知サーバ1にインストールされることで、制御部13の各部を実質的に構成する(他の装置の制御部も同様とする)。なお、制御部13によって行われる処理については、後述する。
【0034】
(構成-第2火災報知サーバ)
第2火災報知サーバ2は、第2火災報知システムであり、具体的には、他の装置(防災受信機101、第1火災報知サーバ1、及び外部サーバ102)との間で通信可能となっており、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。なお、通信部21、記録部22、及び制御部23は、第1火災報知サーバ1の同一名称の構成要素と同様である。
【0035】
また、前述の第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2は、相互に同様な処理を実行可能に構成されており、冗長化されているシステムである。そして、第1火災報知サーバ1又は第2火災報知サーバ2の一方は、主システムとして動作し、他方は副システムとして動作し、適宜のタイミングで切り替わるように構成されている。
【0036】
(構成-外部サーバ)
外部サーバ102は、外部システムであり、例えば、防災受信機101から送信されたイベント情報を、第1火災報知サーバ1又は第2火災報知サーバを介して受信し、当該受信したイベント情報に基づく各種サービスを提供するための装置である。外部サーバ102は、例えば、不図示の通信部、記録部、及び制御部を備えている。
【0037】
なお、ここでの各種サービスとは、例えば、イベント情報に対応する情報をユーザに提供するサービス、あるいは、当該情報を格納するサービス等の任意のサービスを含む概念である。
【0038】
(動作)
次に、主システムとしての動作及び副システムとして動作について説明する。図2及び図3は、動作を説明するための図である。
【0039】
まず、防災受信機101は、イベントが発生した場合、相互に同じ防災側イベント信号を第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2に送信する。なお、「防災側イベント信号」とは、発生したイベントを示すイベント情報、及び当該イベント情報を一意に識別するための識別情報を含む信号である。
【0040】
例えば、建物の303号室で火災が発生し、当該303号室の感知器が火災を検出した場合、防災受信機101は、「303号室で火災発生」というイベント情報と、当該イベント情報を一意に識別する識別情報である「ID001」とを含む防災側イベント信号を、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2に送信する。
【0041】
(動作-第1火災報知サーバが主システムとして動作する場合)
図2に示すように、第1火災報知サーバ1が主システムとして動作する場合、主システムとして動作する第1火災報知サーバ1は、防災側イベント信号を受信し、受信した防災側イベント信号に含まれているイベント情報及び識別情報を取得し、取得したイベント情報及び識別情報と、現在の時刻を示す時刻情報とを相互に関連付けて、図1の記録部12にイベント履歴情報として格納して蓄積する。次に、主システムとして動作する第1火災報知サーバ1は、前述の受信した防災側イベント信号に含まれているイベント情報及び識別情報を含む報知側イベント信号を生成して外部サーバ102へ送信する。
【0042】
一方、図2に示すように、副システムとして動作する第2火災報知サーバ2は、防災側イベント信号を受信し、受信した防災側イベント信号に含まれているイベント情報及び識別情報を取得し、取得したイベント情報及び識別情報と、現在の時刻を示す時刻情報とを相互に関連付けて、図1の記録部22にイベント履歴情報として格納して蓄積する。
【0043】
すなわち、図2の例では、防災受信機101側からのイベント情報は、主システムとして動作する第1火災報知サーバ1を介して、外部サーバ102側へ送信されることになる。また、この例では、防災受信機101側からのイベント情報は、主システムとして動作する第1火災報知サーバ1及び副システムとして動作する第2火災報知サーバ2に格納されて蓄積されることになる。
【0044】
(動作-第2火災報知サーバが主システムとして動作する場合)
図3に示すように、第2火災報知サーバ2が主システムとして動作する場合、当該第2火災報知サーバ2が前述の主システムとしての動作を行い、一方、第1火災報知サーバ1が副システムとしての動作を行う。具体的な動作は前述した通りであるので、具体的な説明を省略する。
【0045】
(処理)
次に、このように構成される通信システム100によって実行される副システム側動作監視処理について説明する。
【0046】
図4は、副システム側動作監視処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。副システム側動作監視処理とは、副システムとして動作している火災報知サーバによって実行される処理であり、例えば、主システムの動作不良に基づいて、主システム又は副システムとしての動作を切り替えるための処理である。この副システム側動作監視処理の実行タイミングは任意であるが、例えば、副システムとして動作している火災報知サーバが繰り返し実行することとする(変形例で説明する副システム側送信監視処理も同様)。なお、以下の各ステップの処理主体は、各装置の制御部であることとする。
【0047】
ここでは、例えば、図2に示すように、第1火災報知サーバ1が主システムとして動作しており、また、第2火災報知サーバ2が副システムとして動作している場合において、主システムとして動作している第1火災報知サーバ1に動作不良が発生する場合を例示して説明する。
【0048】
まず、図4のSA1において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、主システムとして動作している第1火災報知サーバ1が動作不良であるか否かを判定する。
【0049】
具体的には、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2が、互いに対して死活信号(動作不良であるか否かを確認するための信号)を一定時間間隔(例えば、1分間隔等)で繰り返し送信するように構成されていることとする。そして、第1火災報知サーバ1又は第2火災報知サーバ2の一方の火災報知サーバは、他方の火災報知サーバからの死活信号を一定時間間隔で受信し続けることにより、当該他方の火災報知サーバが正常に動作している(つまり、動作不良でない)ものと確認することができるので、このことに基づいて判定する。
【0050】
詳細には、所定回数(例えば3回等)分の死活信号を連続して受信しなかった場合、動作不良であるものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行し、一方、所定回数(例えば3回等)分の死活信号を連続して受信しなかったわけではない場合(つまり、「SA1のYES」以外の場合)、動作不良でないものと判定し(SA1のNO)、処理を終了する。
【0051】
ここでは、例えば、主システムとして動作している第1火災報知サーバ1の一部の構成要素に不具合が発生して動作不良となって死活信号を送信できなくなった場合において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2が、所定回数分の死活信号を第1火災報知サーバ1から連続して受信しなかった場合に、第1火災報知サーバ1が動作不良であるものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0052】
次に、図4のSA2において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、自己が主システムに昇格するか否かを判定する。
【0053】
具体的には、副システムとして動作している火災報知サーバが、自己が主システムとして動作することの承認を要求するための昇格要求を送信し、主システム側からの応答に基づいて判定する。そして、所定時間以内(例えば、1秒~5秒等)以内に何らの応答もない場合、あるいは、承認する旨の応答があった場合、主システムに昇格するものと判定し(SA2のYES)、SA3に移行する。一方、主システム側が正常に動作可能な状況となっており当該主システム側から拒否する旨の応答があった場合、主システムに昇格しないものと判定(SA2のNO)、処理を終了する。なお、ここでの「応答がある」とは、承認又は拒否する旨を示す信号の送信を示すものと解釈してもよい。
【0054】
ここでは、例えば、第2火災報知サーバ2が昇格要求を送信し、所定時間以内に応答がなかった場合、主システムに昇格するものと判定し(SA2のYES)、SA3に移行する。
【0055】
次に、図4のSA3において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、過去のイベント情報を送信した後に、主システムとしての動作を開始する。
【0056】
具体的には、前述の死活信号を受信していない間は、主システムとして動作していた火災報知サーバが動作不良で、当該死活信号を受信していない間に受信してイベント情報については、外部サーバ102側に送信されていない可能性がある。従って、外部サーバ102側へのイベント情報の送信漏れを防止するために、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、記録部22にイベント履歴情報として記録されてイベント情報の内の、前述の死活信号を受信していない間に受信したイベント情報及び識別情報を特定し、当該特定したイベント情報及び識別情報を含む報知側イベント信号を生成して外部サーバ102へ送信する。
【0057】
なお、死活信号を受信していない間に、受信したイベント情報及び識別情報を特定する手法は任意であるが、例えば、イベント情報及び識別情報に関連付けられている時刻情報に着目して特定してもよい。
【0058】
図5は、動作を説明するための図である。例えば、図5に示すように、死活信号を所定回数分連続して受信していない場合において、イベント情報Aを受信した場合、当該イベント情報A及びイベント情報Aの識別情報を特定し、特定したイベント情報A及び識別情報を含む報知側イベント信号を生成して送信する。
【0059】
なお、死活信号を受信していない間に、イベント情報及び識別情報を受信しないことも想定されるが、この場合、何等の情報も送信しないこととする。
【0060】
そして、この後、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、自己を主システムに切り替えて、主システムとしての動作を開始する。
【0061】
なお、この後、第1火災報知サーバ1の動作不良が解消して復旧することも考えられるが、この復旧時に第1火災報知サーバ1が副システムとして動作するように、主システムとしての動作を開始した第2火災報知サーバ2は、第1火災報知サーバ1に対して副システムとしての動作を開始させるための信号を当該第1火災報知サーバ1へ送信し続けてもよい。これにて、副システム側動作監視処理の説明を終了する。
【0062】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2を備えることにより、例えば、火災報知サーバを冗長化することができるので、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0063】
また、副システムは、主システムが動作不良であるものと判定した場合に、未だ送信していない可能性があるイベント情報を、外部サーバ102に送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0064】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0065】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0066】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0067】
(副システム側送信監視処理について)
また、上記実施の形態の通信システム100において、副システム側送信監視処理を実行するように構成してもよい。
【0068】
図6は、副システム側送信監視処理のフローチャートである。副システム側送信監視処理とは、副システムとして動作している火災報知サーバによって実行される処理であり、例えば、主システムのイベント情報未送信に基づいて、主システム又は副システムとしての動作を切り替えるための処理である。
【0069】
ここでは、例えば、図2に示すように、第1火災報知サーバ1が主システムとして動作しており、また、第2火災報知サーバ2が副システムとして動作している場合において、主システムとして動作している第1火災報知サーバ1にイベント情報の未送信が発生する場合を例示して説明する。
【0070】
まず、図6のSB1において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、1回分の死活信号を未受信であるか否かを判定する。そして、死活信号を未受信であるものと判定した場合(SB1のYES)、SB2に移行し、一方、死活信号を未受信でないものと判定した場合(SB1のNO)、SB1を再度実行する。
【0071】
ここでは、例えば、主システムとして動作している第1火災報知サーバ1の一部の構成要素に不具合が発生して、1回分の死活信号を送信しなかった場合、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、第1火災報知サーバ1からの死活信号を未受信であるものと判定し(SB1のYES)、SB2に移行する。
【0072】
次に、図6のSB2において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、死活信号が未受信であった期間に、イベント情報を受信したか否かを判定する。
【0073】
具体的には、記録部22にイベント履歴情報として記録されてイベント情報において、前述の死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報が存在する場合、死活信号が未受信であった期間にイベント情報を受信したものと判定し(SB2のYES)、SB3に移行する。一方、イベント履歴情報として記録されてイベント情報において、前述の死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報が存在しない場合、死活信号が未受信であった期間にイベント情報を受信していないものと判定し(SB2のNO)、処理を終了する。なお、ここでの処理は、イベント情報に関連付けられている時刻情報に着目して行ってもよい。
【0074】
図7は、動作を説明するための図である。例えば、図7に示すように、死活信号を受信していない期間において、イベント情報Bを受信した場合、当該イベント情報Bがイベント履歴情報として記録されているので、死活信号が未受信であった期間にイベント情報を受信したものと判定し(SB2のYES)、SB3に移行する。
【0075】
次に、図6のSB3において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報を、主システムが送信したか否かを判定する(つまり、防災受信機101から過去に送信されたイベント情報の内の、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるか否かを判定する)。
【0076】
具体的には、各火災報知サーバは、イベント情報を送信したか否かの問い合わせを受信した場合に、当該イベント情報を送信したか否かを示す回答を送信するように構成されていることとする。そして、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、図7のイベント情報Bを識別する識別信号を含む問い合わせを第1火災報知サーバ1に対して行い、当該イベント情報Bを送信した旨の回答を受信した場合に、死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報を主システムが送信したものと判定し(SB3のYES)、処理を終了する。一方、イベント情報Bを送信した旨の回答を受信しなかった場合(つまり、何等の回答も受信なかった場合、あるいは、イベント情報Bを送信しなかった旨の回答を受信した場合)に、死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報を主システムが送信しなかったものと判定し(SB3のNO)、SB4に移行する。
【0077】
次に、図4のSB4において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、自己が主システムに昇格するか否かを判定する。具体的には、図4のSA2と同様な処理を行う。
【0078】
次に、図4のSB5において、副システムとして動作している第2火災報知サーバ2は、過去のイベント情報(具体的には、死活信号が未受信であった期間に受信したイベント情報)を送信した後に、主システムとしての動作を開始する。具体的には、図4のSA3と同様な処理を行う。ここでは、例えば、図7のイベント情報B及び識別情報を含む報知側イベント信号を生成して外部サーバ102に送信する。これにて、副システム側送信監視処理の説明を終了する。
【0079】
このように構成することにより、副システムは、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0080】
なお、例えば、図6のSB3の処理が、「防災受信機101から過去に送信されたイベント情報の内の、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるか否かを判定する処理」に対応するものと解釈してもよい。また、例えば、SB3のYESが、「防災受信機101から過去に送信されたイベント情報の内の、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報はないものと判定した場合」に対応するものと解釈してもよい。また、例えば、SB3のNOが、「防災受信機101から過去に送信されたイベント情報の内の、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるものと判定した場合」に対応するものと解釈してもよい。
【0081】
(報知側イベント信号について)
また、上記実施の形態の図2及び図3で説明した、主又は副システムとしての動作として、以下の動作を行うように構成してもよい。図8は、動作を説明するための図である。
【0082】
例えば、前述したように、防災受信機101が、「303号室で火災発生」というイベント情報と、当該イベント情報を一意に識別する識別情報である「ID001」とを含む防災側イベント信号を、第1火災報知サーバ1及び第2火災報知サーバ2に送信する。
【0083】
この場合、主システムとして動作する第1火災報知サーバ1は、イベント情報の内容を示す情報として「303号室で火災発生」というテキスト情報を、外部サーバ102に送信するように構成してもよい。
【0084】
また、この場合、副システムとして動作する第2火災報知サーバ2は、防災受信機101からのイベント情報を受信したことを示す情報として「♯」等の予め定められている情報(好ましくは、1文字の記号情報)を、外部サーバ102に送信するように構成してもよい。
【0085】
この場合、外部サーバ102側では、主システムのみに不具合が発生し、「303号室で火災発生」を受信しなかった場合でも、「♯」を受信することになるので、主システム側の不具合を覚知することが可能となる。一方、副システムのみに不具合が発生し、「♯」を受信しなかった場合でも、「303号室で火災発生」を受信することになるので、イベント情報の内容に基づいてサービスを提供することが可能となる。
【0086】
このように構成した場合、主システムがイベント情報の内容を示す情報を送信し、副システムがイベント情報を受信したことを示す情報を送信することにより、例えば、主システム側からイベント情報の内容を示す情報が送信されなかったとしても、外部サーバ102側に、イベント情報の存在自体を覚知させることが可能となる。
【0087】
(報知側イベント信号について)
また、上記実施の形態では、報知側イベント信号がイベント情報及び識別情報を含むものと説明したが、これに限らず、例えば、報知側イベント信号がイベント情報のみを含むものとしてもよい。
【0088】
(その他の特徴について)
また、上記実施の形態の主システム及び副システムを、他の任意の手法で自動的に切り替えるように構成してもよい。例えば、防災受信機101と各火災報知サーバとの間の回線品質を公知の手法で監視し、回線品質がより高い方を主システムに切り替えるように構成してもよい。なお、消防設備点検時等の発生するイベントが比較的多くなる期間においては、回線品質を監視する機能の動作を抑制することにより、イベント情報の通信に関するパフォーマンスを向上させてもよい。
【0089】
(構成要素について)
また、例えば、図1の通信システム100の構成要素が、防災受信機101、第1火災報知サーバ1、及び第2火災報知サーバ2であるものと解釈してもよい。すなわち、例えば、外部サーバ102は通信システム100の構成要素ではない、他のシステムの構成要素であるもの解釈してもよい。
【0090】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0091】
(付記)
付記1の通信システムは、火災報知設備と、前記火災報知設備との間で通信可能となっている第1火災報知システム及び第2火災報知システムとを備える通信システムであって、前記火災報知設備は、前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムに対して、共通のイベント情報を送信し、前記第1火災報知システム及び前記第2火災報知システムは、外部システムとの間で通信可能となっており、前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の一方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、主システムとして動作し、前記第1火災報知システム又は前記第2火災報知システムの内の他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報に基づいて、副システムとして動作し、前記主システムは、少なくとも、前記イベント情報を前記外部システムに対して送信する。
【0092】
付記2の通信システムは、付記1に記載の通信システムにおいて、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記主システムが動作不良であるか否かを判定し、動作不良であるものと判定した場合に、前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報を、前記外部システムに送信する。
【0093】
付記3の通信システムは、付記1又は2に記載の通信システムにおいて、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記火災報知設備から過去に送信された前記イベント情報の内の、前記主システムが未だ送信していない可能性がある前記イベント情報があるか否かを判定し、当該イベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信する。
【0094】
付記4の通信システムは、付記1から3の何れか一項に記載の通信システムにおいて、前記主システムとして動作している前記一方のシステムは、前記イベント情報の内容を示す情報を前記外部システムに送信し、前記副システムとして動作している前記他方のシステムは、前記火災報知設備からの前記イベント情報を受信したことを示す情報を、前記外部システムに送信する。
【0095】
(付記の効果)
付記1に記載の通信システムによれば、第1火災報知システム及び第2火災報知システムを備えることにより、例えば、火災報知システムを冗長化することができるので、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0096】
付記2に記載の通信システムによれば、副システムは、主システムが動作不良であるものと判定した場合に、未だ送信していない可能性があるイベント情報を、外部システムに送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0097】
付記3に記載の通信システムによれば、副システムは、主システムが未だ送信していない可能性があるイベント情報があるものと判定した場合に、当該イベント情報を送信することにより、例えば、イベント情報を確実に送信することが可能となる。
【0098】
付記4に記載の通信システムによれば、主システムがイベント情報の内容を示す情報を送信し、副システムがイベント情報を受信したことを示す情報を送信することにより、例えば、主システム側からイベント情報の内容を示す情報が送信されなかったとしても、外部システム側に、イベント情報の存在自体を覚知させることが可能となる。例えば、外部システムが受信した情報に基づいて個人の端末に当該情報を報知させるようなシステムである場合、当該個人の端末にはイベント情報の内容及び又はイベント情報の発生を示す情報が報知されるため、情報量の多い「イベント情報の内容」が複数表示されることによるわずらわしさを避けることができるとともに、イベントの発生については「イベント情報の内容」・「イベント情報の存在自体」を示す情報いずれかに基づいて把握することが可能となる。
【符号の説明】
【0099】
1 第1火災報知サーバ
2 第2火災報知サーバ
11 通信部
12 記録部
13 制御部
21 通信部
22 記録部
23 制御部
100 通信システム
101 防災受信機
102 外部サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8