IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IDレーザーの特許一覧

<>
  • 特開-カード媒体搬送装置 図1
  • 特開-カード媒体搬送装置 図2
  • 特開-カード媒体搬送装置 図3
  • 特開-カード媒体搬送装置 図4
  • 特開-カード媒体搬送装置 図5
  • 特開-カード媒体搬送装置 図6
  • 特開-カード媒体搬送装置 図7
  • 特開-カード媒体搬送装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116422
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】カード媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/12 20060101AFI20220803BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B65H5/12 A
B65H15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012581
(22)【出願日】2021-01-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】518332309
【氏名又は名称】株式会社IDレーザー
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 亮一
【テーマコード(参考)】
3F101
3F102
【Fターム(参考)】
3F101CA02
3F101CA14
3F101CB03
3F101CC01
3F101LA15
3F101LB09
3F102AB05
3F102BA11
3F102BB15
3F102DA10
3F102EA16
3F102EB01
(57)【要約】
【課題】装置構成の簡素化を通じて装置の小型化、低高価格化、シンプル構造による高信頼性化を容易に実現することができるカード媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】カード媒体の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体を支持するクランプ機構部10と、前記被処理領域を反転させる方向または傾ける方向に前記クランプ機構部10を回転させる回転機構部20と、前記クランプ機構部10および前記回転機構部20を一体で所定方向に移動させるキャリッジ機構部30と、を備えるカード媒体搬送装置1を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード媒体の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体を支持するクランプ機構部と、
前記被処理領域を反転させる方向または傾ける方向に前記クランプ機構部を回転させる回転機構部と、
前記クランプ機構部および前記回転機構部を一体で所定方向に移動させるキャリッジ機構部と、
を備えるカード媒体搬送装置。
【請求項2】
前記クランプ機構部は、前記カード媒体における対向する二辺を挟持することで当該カード媒体を支持するように構成されている
請求項1に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項3】
前記クランプ機構部は、前記カード媒体の一方の辺を支持する固定片と、前記カード媒体の他方の辺を支持する可動片と、を有する
請求項2に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項4】
前記クランプ機構部は、前記可動片を前記固定片の側に向けて付勢する弾性部材を有する
請求項3に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項5】
前記固定片および前記可動片には、前記カード媒体の厚さに対応する溝幅のガイド溝が設けられている
請求項3または4に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項6】
前記固定片には、前記カード媒体の被支持辺を接触支持する二つの凸状部が設けられている
請求項3から5のいずれか1項に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項7】
前記可動片には、前記カード媒体の被支持辺を接触支持する一つの凸状部が設けられている
請求項3から6のいずれか1項に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項8】
前記凸状部は、回転可能な回転体によって構成されている
請求項6または7に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項9】
前記回転機構部は、前記クランプ機構部が支持する前記カード媒体の中心点を回転中心として当該カード媒体を回転させるように構成されている
請求項1から8のいずれか1項に記載のカード媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード媒体を搬送するカード媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂製のカード媒体の表面(片面または両面)に対して、レーザ光を照射して文字や画像等を描画(エングレービング)するレーザマーキングを行って、高セキュリティのIDカード等として利用することが増えつつある。
【0003】
レーザマーキングを行うレーザマーカ装置は、そのレーザマーキングの対象となるカード媒体を搬送するカード媒体搬送装置を搭載しているか、またはカード媒体搬送装置と合わせて用いられることが一般的である。カード媒体搬送装置としては、カード媒体をローラで挟持して搬送しつつ、その搬送経路上にカード媒体の表裏を反転させる反転機構が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-235746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、レーザマーキングに対応するカード媒体が広く普及することが予想されるが、そのためには、カード媒体に対する処理を行う装置の小型化や低価格化等が必要不可欠である。しかしながら、従来のカード媒体搬送装置では、ローラによる搬送機構とは別に、その搬送経路上に反転機構を設ける必要があるため、装置構成の複雑化、大型化、高価格化等を招いてしまう。また、装置構成の複雑化は、故障等のトラブル発生による信頼性低下も招き得る。
【0006】
そこで、本発明は、装置構成の簡素化を通じて装置の小型化、低高価格化、シンプル構造による高信頼性化を容易に実現することができるカード媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
カード媒体の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体を支持するクランプ機構部と、
前記被処理領域を反転させる方向または傾ける方向に前記クランプ機構部を回転させる回転機構部と、
前記クランプ機構部および前記回転機構部を一体で所定方向に移動させるキャリッジ機構部と、
を備えるカード媒体搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カード媒体を搬送するカード媒体搬送装置において、装置構成の簡素化を通じて装置の小型化、低高価格化、シンプル構造による高信頼性化を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置の概略構成例を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置におけるクランプ機構部の構成例を示す斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置におけるクランプ機構部の要部構成例を示す平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置における回転機構部およびキャリッジ機構部の構成例を示す斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置のキャリッジ機構部による移動動作例を示す説明図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るカード媒体搬送装置のクランプ機構部によるクランプ動作例を示す説明図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るカード媒体搬送装置の概略構成例を模式的に示す斜視図である。
図8】本発明の第二実施形態に係るカード媒体搬送装置のキャリッジ機構部による移動動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態を説明する。
【0012】
(1)カード媒体搬送装置の概要
本実施形態に係るカード媒体搬送装置は、レーザマーカ装置に搭載されて用いられものであり、そのレーザマーカ装置の一部を構成するものである。ただし、カード媒体搬送装置は、レーザマーカ装置と合わせて用いられるものであれば、レーザマーカ装置とは別体に構成されたものであってもよい。
【0013】
レーザマーカ装置は、カード媒体の表面(片面または両面)にレーザ光を照射して、そのカード媒体に文字や画像等を描画するレーザマーキングを行うものである。なお、レーザマーカ装置は、公知技術を利用して構成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0014】
レーザマーキングの対象となるカード媒体は、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材料によって形成されており、国際標準化機構(ISO)で規定されたサイズの外形を有したカード状のものである。カード媒体は、その表面(片面または両面)へのレーザマーキングが行われて、高セキュリティのIDカード等として利用される。そのために、レーザマーキング前の未処理のカード媒体には、外縁近傍領域となる一部分を除き、その表面にレーザマーキングを行うための被処理領域が設定されているものとする。以下の説明では、カード媒体の表裏面の両方に被処理領域が設定されている場合を例に挙げる。
【0015】
本実施形態に係るカード媒体搬送装置は、カード媒体の搬送を行うように構成されたものである。さらに詳しくは、カード媒体搬送装置は、未処理のカード媒体をレーザマーカ装置におけるレーザマーキング位置へ搬入し、また処理済みのカード媒体をレーザマーキング位置から搬出するように構成されている。
【0016】
(2)カード媒体搬送装置の構成
続いて、本実施形態に係るカード媒体搬送装置の具体的な構成について説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1の概略構成例を模式的に示す斜視図である。図例のように、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1は、少なくとも、クランプ機構部10と、回転機構部20と、キャリッジ機構部30と、を備えて構成されている。以下、これらの各部について順に説明する。
【0018】
(クランプ機構部)
図2は、本実施形態に係るクランプ機構部10の構成例を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るクランプ機構部10の要部構成例を示す平面図である。
【0019】
クランプ機構部10は、搬送物であるカード媒体2を支持するものである。そのために、クランプ機構部10は、図2および図3に示すように、カード媒体2の一方の辺2aを支持する固定片11と、当該一方の辺2aと対向するカード媒体2の他方の辺2bを支持する可動片12と、を有している。そして、固定片11および可動片12により、カード媒体2における対向する二辺(すなわち、上述の一方の辺2aおよび他方の辺2b)を挟持することで、当該カード媒体2を支持するように構成されている。このような固定片11および可動片12は、例えば、エンジニアプラスチック等の樹脂材料を用いて形成することが考えられる。
【0020】
クランプ機構部10は、固定片11および可動片12に加えて、図2に示すように、固定片11および可動片12が取り付けられるベースプレート部13と、そのベースプレート部13を挟んで固定片11および可動片12とは反対側に取り付けられた回転軸14と、を有している。
【0021】
固定片11は、ベースプレート部13に対して固定的に取り付けられている。一方、可動片12は、ベースプレート部13に対して揺動可能に取り付けられている。そして、可動片12の揺動支点には、可動片12を固定片11の側に向けて付勢するトーションバネ等の弾性部材15が取り付けられている。つまり、クランプ機構部10は、可動片12を固定片11の側に向けて付勢する弾性部材15を有している。このような弾性部材15を有することで、クランプ機構部10は、可動片12がカード媒体2を固定片11の側に向けて押圧し、その固定片11にカード媒体2を押し付けて位置決めした状態で、固定片11および可動片12がカード媒体2を挟持するようになっている。なお、弾性部材15は、可動片12を付勢可能であれば、トーションバネ以外のものを用いても構わない。
【0022】
固定片11および可動片12には、それぞれに、カード媒体2の厚さに対応する溝幅のガイド溝11a,12aが設けられている。それぞれのガイド溝11a,12aが対向配置され、各ガイド溝11a,12aにカード媒体2の被支持辺2a,2bの端縁近傍が嵌入されることで、固定片11および可動片12は、カード媒体2を脱落させることなく、そのカード媒体2を挟持できるようになっている。また、ガイド溝11a,12aにカード媒体2の端縁近傍が嵌入しても、その端縁近傍以外は覆われることなく露出した状態となる。つまり、固定片11および可動片12は、カード媒体2を挟持した際に、そのカード媒体2の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態とするように構成されている。
【0023】
固定片11および可動片12はベースプレート部13に取り付けられているが、ベースプレート部13から遠い側の固定片11と可動片12との間は開放されている。したがって、固定片11と可動片12との間には、開放された側から、ガイド溝11a,12aにカード媒体2の被支持辺2a,2bの端縁近傍を案内させつつ、カード媒体2の挿抜を行い得るようになっている。
【0024】
固定片11のガイド溝11aの溝底には、図3(b)に示すように、カード媒体2の挿抜方向に沿って並ぶように、カード媒体2の被支持辺2aを接触支持する二つの凸状部11bが設けられていることが好ましい。二つの凸状部11bがカード媒体2の被支持辺2aを2点で接触支持すれば、面接触の場合に比べて、カード挿抜時の摺動箇所の低減により挿抜力を軽減できる。また、カード媒体2の位置決めにあたり、カード媒体2や固定片11等の精度(歪みの有無等)の影響を排除できる。
ただし、固定片11は、必ずしも凸状部11bが設けられている必要はなく、図3(c)に示すように、ガイド溝11aの溝底が直線状であっても構わない。
【0025】
可動片12のガイド溝12aの溝底には、図3(b)に示すように、カード媒体2の被支持辺2bを接触支持する一つの凸状部12bが設けられていることが好ましい。凸状部12bがカード媒体2の被支持辺2bを接触支持すれば、面接触の場合に比べて、カード挿抜時の摺動箇所の低減により挿抜力を軽減できる。また、被支持辺2bを1点で接触支持することで、可動片12が動く場合であっても、その動作方向の影響を排除しつつ、カード媒体2を固定片11の側に向けて付勢することができる。
このような可動片12における凸状部12bは、回転可能な回転体(例えばローラ)によって構成されていることが好ましい。回転体であれば、カード挿抜に応じて回転することで、カード媒体2の被支持辺2bと凸状部12bとの間が摺動せず、摩耗等の発生を抑制でき、支持姿勢の安定化も図れるようになる。
ただし、可動片12における凸状部12bは、必ずしも回転体である必要はなく、図3(a)に示すように、非回転体によって構成されたものであっても構わない。
【0026】
(回転機構部)
図4は、本実施形態に係る回転機構部20およびキャリッジ機構部30の構成例を示す斜視図である。
【0027】
回転機構部20は、クランプ機構部10が支持するカード媒体2における被処理領域を反転させる方向または傾ける方向に、そのクランプ機構部10を回転させるものである。そのために、回転機構部20は、図4に示すように、クランプ機構部10の回転軸14を回転可能に支持するホルダ部21と、ホルダ部21に取り付けられる電動モータ等の駆動源22と、駆動源22の駆動軸に取り付けられる駆動プーリ23と、クランプ機構部10の回転軸14に取り付けられる従動プーリ24と、駆動プーリ23と従動プーリ24に巻回される駆動ベルト25と、を有している。そして、駆動源22の駆動軸の回転を、駆動プーリ23、駆動ベルト25および従動プーリ24を介してクランプ機構部10の回転軸14へ伝えることで、ホルダ部21に支持されるクランプ機構部10を回転させるように構成されている。なお、ここでは、駆動ベルト25により駆動力が伝わる場合を例に挙げたが、これに限定されることはなく、ギヤ等の他の駆動伝達機構を利用して構成されたものであってもよい。また、駆動源22についても、クランプ機構部10を回転させ得るものであれば、電動モータ以外のものを用いてもよい。
【0028】
回転機構部20は、クランプ機構部10の回転軸14を回転中心として、そのクランプ機構部10を回転させるように構成されている。その場合に、クランプ機構部10の回転軸14は、その軸心が、クランプ機構部10の固定片11および可動片12が支持するカード媒体2の中心点(カードセンター)と一致するように配置されていることが好ましい。つまり、回転機構部20は、クランプ機構部10が支持するカード媒体2の中心点を回転中心として、そのカード媒体2を回転させるように構成されていることが好ましい。カード媒体2の中心点を回転中心とすれば、そのカード媒体2を回転させる場合に、その回転を最小スペースで行い得るようになる。しかも、例えば回転によりカード媒体2の表裏を反転させても、表裏でカード媒体2の被処理領域の位置が変化してしまうことがない。
【0029】
(キャリッジ機構部)
キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20を一体で所定方向に移動させるものである。所定方向は、例えば、クランプ機構部10におけるカード媒体2の挿抜方向と直交する方向である。そのために、キャリッジ機構部30は、図4に示すように、回転機構部20のホルダ部21を所定方向に移動可能に支持するスライドレール31と、ホルダ部21に連結される駆動ベルト32と、駆動ベルト32が巻回される駆動プーリ33および従動プーリ34と、駆動プーリ33を回転させる電動モータ等の駆動源35と、を有している。そして、駆動源35が駆動ベルト32を走行させることで、回転機構部20のホルダ部21をスライドレール31に沿って所定方向に移動させるように構成されている。なお、ここでは、駆動ベルト32により駆動力が伝わる場合を例に挙げたが、これに限定されることはなく、ギヤ等の他の駆動伝達機構を利用して構成されたものであってもよい。また、駆動源35についても、クランプ機構部10および回転機構部20を移動させ得るものであれば、電動モータ以外のものを用いてもよい。
【0030】
(3)カード媒体搬送装置における処理動作例
次に、上述した構成のカード媒体搬送装置1における処理動作例について説明する。
【0031】
図5は、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1のキャリッジ機構部30による移動動作例を示す説明図である。図6は、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1のクランプ機構部10によるクランプ動作例を示す説明図である。
【0032】
カード媒体搬送装置においては、図5に示すように、キャリッジ機構部30によるクランプ機構部10および回転機構部20の移動方向(図中の矢印Aの方向)に沿って並ぶように、カード挿入位置、マーキング位置およびカード排出位置が設定されている。カード挿入位置は、固定片11と可動片12との間に未処理のカード媒体2を挿入して(図中の矢印B参照)、そのカード媒体2をクランプ機構部10に支持させるための位置である。マーキング位置は、クランプ機構部10が支持するカード媒体2に対してレーザマーキングを行うための位置である。カード排出位置は、レーザマーキングがされた処理済みのカード媒体2をクランプ機構部10から離脱させるための位置である。キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20を移動させ、必要に応じてカード挿入位置、マーキング位置またはカード排出位置のいずれかにクランプ機構部10および回転機構部20を停止させる。
【0033】
(カード挿入位置での処理)
カード媒体2に対してレーザマーキングを行う場合に、キャリッジ機構部30は、まず、クランプ機構部10および回転機構部20をカード挿入位置に位置させる。これにより、クランプ機構部10にカード媒体2を支持させることが可能になる(図中の矢印B参照)。なお、カード挿入位置において、回転機構部20は、固定片11と可動片12とが所定方向(すなわち、クランプ機構部10および回転機構部20の移動方向)に沿って並んで配置された状態(以下、並置状態ともいう。)にしておくものとする。
【0034】
クランプ機構部10によるカード媒体2の支持は、図6に示す手順で行われる。
具体的には、まず、図6(a)に示すように、図示せぬハンドリングロボットや搬送コンベア等によって、未処理のカード媒体2をクランプ機構部10の固定片11と可動片12との間に挿入する(図中矢印参照)。このとき、カード媒体2の被支持辺2a,2bの端縁近傍が固定片11および可動片12のガイド溝11a,12aに嵌入されることで、カード媒体2を脱落させることなく、しかもガイド溝11a,12aにカード媒体2を案内させつつ、ハンドリングロボットや搬送コンベア等からの受け渡しを容易かつ確実に行うことができる。そして、固定片11と可動片12との間へのカード媒体2の挿入を続けると、カード媒体2における挿入先側の端縁が固定片11における挿入手前側の凸状部11bを越え、その凸状部11bによってカード媒体2における被支持辺2aの側の位置が規制される。
【0035】
さらにカード媒体2の挿入を続けると、図6(b)に示すように、カード媒体2における挿入先側の端縁が可動片12における凸状部12bに到達する。そして、カード媒体2のさらなる挿入により、カード媒体2における挿入先側の端縁が可動片12における凸状部12bを越える。これにより、カード媒体2は、凸状部12bによって被支持辺2bの側の位置が規制されるとともに、可動片12の弾性部材15の作用により固定片11の側に向けて付勢されることになる。このとき、可動片12における凸状部12bが回転体によって構成されていれば、カード媒体2の被支持辺2bと凸状部12bとの間が摺動しないので、摩耗等の発生を抑制でき、支持姿勢の安定化も図れるようになる。
【0036】
さらにカード媒体2の挿入を続けると、その後は、図6(c)に示すように、カード媒体2における挿入先側の端縁が固定片11における挿入奥側の凸状部11bに到達し、その凸状部11bを越える。これにより、カード媒体2は、可動片12の凸状部12bによって付勢されつつ、被支持辺2aの側の位置が固定片11における二つの凸状部11bによって規制されることになる。つまり、カード媒体2は、被支持辺2aの側が2点で接触支持され、被支持辺2bの側が1点で接触支持される。このように、カード媒体2が付勢される側である固定片11の側において、カード媒体2を2点で接触支持すれば、カード挿入時の摺動箇所の低減により挿入力を軽減でき、しかもカード媒体2や固定片11等の精度(歪みの有無等)の影響を排除しつつ、カード媒体2を支持した際の位置決めを確実に行うことができるようになる。また、カード媒体2を付勢する側である可動片12の側において、カード媒体2を1点で接触支持すれば、カード挿入時の摺動箇所の低減により挿入力を軽減できることに加え、可動片12の可動方向の影響を排除しつつ、カード媒体2を固定片11の側に向けて確実に付勢することができるようになる。
【0037】
そして、カード媒体2の挿入によって、図6(d)に示すように、そのカード媒体2のにおける挿入先側の端縁が固定片11に設けられたストッパ部11cに到達すると、その到達位置においてカード媒体2が固定片11と可動片12とによって挟持され、これによりカード媒体2がクランプ機構部10に支持された状態となる。つまり、クランプ機構部10は、固定片11および可動片12によりカード媒体2の各被支持辺2a,2bを挟持することで、カード媒体2の表裏面に設定される被処理領域を覆うことなく、それぞれの被処理領域を露出させた状態で、当該カード媒体2を支持するようになっている。
【0038】
(マーキング位置での処理)
クランプ機構部10が未処理のカード媒体2を支持した後は、続いて、そのカード媒体2に対してレーザマーキングを行う。そのために、キャリッジ機構部30は、図5に示すように、カード媒体2を支持した状態のクランプ機構部10および回転機構部20を移動させ(図中の矢印A参照)、これらをマーキング位置に位置させる。ここで、クランプ機構部10は、カード媒体2の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で、当該カード媒体2を支持している。したがって、マーキング位置に位置させると、クランプ機構部10がカード媒体2を支持した状態(すなわちクランプ状態)のまま、そのカード媒体2に対して、レーザマーカ装置によるレーザマーキングを行って、そのカード媒体2の被処理領域に文字や画像等を描画することが可能となる。
【0039】
このとき、カード挿入位置において固定片11および可動片12を並置状態にしておけば、回転機構部20は、マーキング位置への移動に際して、事前にクランプ機構部10を回転させる必要が生じることがない。つまり、マーキング位置への移動後に、直ちにレーザマーカ装置によるレーザマーキングを開始することが可能となる。
【0040】
マーキング位置において、カード媒体2の一方の面における被処理領域に対してレーザマーキングを行った後、その反対側の面における被処理領域に対してレーザマーキングを行う必要がある場合には、回転機構部20は、クランプ機構部10を180°回転させ、クランプ機構部10が支持するカード媒体2の表裏を反転させる。これにより、カード媒体2の両面に対して、レーザマーカ装置によるレーザマーキングを行って文字や画像等を描画することが可能となる。
【0041】
カード媒体2の表裏反転に際して、回転機構部20がカード媒体2の中心点を回転中心とするように構成されていれば、表裏でカード媒体2の被処理領域の位置が変化してしまうことがない。そのため、カード媒体2の表裏を反転させても、それぞれの被処理領域に対して、レーザマーカ装置が同様にレーザマーキングを行うことが可能となる。つまり、レーザマーカ装置は、レーザマーキングのための焦点位置調整やアライメント調整等を要することなく、カード媒体2の表裏面のそれぞれに対してレーザマーキングを行えるようになり、これによりレーザマーキングを行う処理系の構成の複雑化を抑制することができる。
【0042】
なお、カード媒体2へのレーザマーキングに際して、回転機構部20は、クランプ機構部10を180°回転させカード媒体2の表裏を反転させる他に、θ=0°の状態またはθ=180°反転させた状態からクランプ機構部10をθ=±30°の範囲で回転させて、レーザマーカ装置からのレーザ光に対してカード媒体2の被処理領域が傾いた状態でレーザマーキングを行うようにしてもよい。このようにすれば、カード媒体2の被処理領域に斜め方向からレーザ光を照射して、見る角度で異なるマーキング内容が視認されるようにする、いわゆるマルチレイヤーマーキング技術に対応することが可能となる。しかも、そのために、別途光学レンズを必要とすることがなく、レーザ照射方向を可変させる大掛かりな機構を要することもないので、レーザマーカ装置を含む装置構成が複雑化して高価なものとなるのを抑制できるようになる。
【0043】
つまり、回転機構部20がクランプ機構部10を回転させ得ることによって、マーキング位置では、カード媒体2の表裏面の両面に対してレーザマーキング処理を行ったり、そのカード媒体2を傾けた状態でレーザマーキング処理を行ったりすることが可能になる。
【0044】
(カード排出位置での処理)
マーキング位置でのレーザマーキングが完了すると、クランプ機構部10は、レーザマーキングがされた処理済みのカード媒体2を支持していることになる。そのカード媒体2をクランプ機構部10から離脱させるために、キャリッジ機構部30は、図5に示すように、クランプ機構部10および回転機構部20を移動させ(図中の矢印A参照)、これらをカード排出位置に位置させる。
【0045】
カード排出位置に移動すると、そのカード排出位置において、キャリッジ機構部30に設けられた図示せぬ突出片部によって、クランプ機構部10における可動片12の被押圧片部12cが押圧される(図中の矢印C参照)。被押圧片部12cが押圧されると、可動片12は、弾性部材15による付勢力に抗して、固定片11から離れる側に向けて揺動する(図中の矢印D参照)。つまり、固定片11と可動片12との間が広がるように開く。これにより、クランプ機構部10では、固定片11および可動片12によるカード媒体2の狭時状態が解除され、そのカード媒体2が固定片11と可動片12との間から離脱することになる。
【0046】
クランプ機構部10から離脱するカード媒体2の回収は、例えば、そのカード媒体2を受け取って搬送する図示せぬハンドリングロボットや搬送コンベア等を用いて行えばよい。ただし、これに限定されることはなく、例えば、カード排出位置の下方に配されたシューターを用い、カード媒体2の自然落下を使用して行うようにしてもよい。
【0047】
以上のような手順の処理を経ることで、未処理のカード媒体2の被処理領域に対してレーザマーキングが行われ、そのレーザマーキングが行われた処理済みのカード媒体2がカード媒体搬送装置1から排出される。
【0048】
(4)本実施形態における効果
本実施形態によれば、以下に述べる一つまたは複数の効果が得られる。
【0049】
(a)本実施形態において、(i)クランプ機構部10は、カード媒体2の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体2を支持する。そのため、クランプ機構部10がカード媒体2を支持するクランプ状態のまま、そのカード媒体2へのレーザマーキングを行うことが可能になる。また、(ii)回転機構部20は、カード媒体2の表裏を反転または傾ける方向にクランプ機構部10を回転させる。そのため、カード媒体2の表裏面の両面にレーザマーキングを行ったり、カード媒体2を傾けた状態でレーザマーキングを行ったりすることが可能になる。また、(iii)キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20を一体で所定方向に移動させる。このような一体での移動によって、カード媒体2の反転が必要な場合であっても、そのための反転機構と搬送機構とをそれぞれ別々に設置する必要がない。
【0050】
つまり、本実施形態によれば、上記の(i)~(iii)の構成を併せ持つことで、カード媒体2を搬送するカード媒体搬送装置1において、そのカード媒体2を反転させたり傾けたりする必要がある場合でも、従来に比べて装置構成の簡素化を図ることができる。したがって、装置構成の簡素化を通じて、装置の小型化、低高価格化、シンプル構造による高信頼性化を容易に実現することができ、レーザマーキングに対応するカード媒体を広く普及させる上で非常に好適なものとなる。
【0051】
(b)本実施形態において、クランプ機構部10は、カード媒体2における対向する二辺2a,2bを挟持することで、当該カード媒体2の支持を行う。そのため、本実施形態によれば、クランプ機構部10がカード媒体2を確実に支持しつつ、そのカード媒体2の表裏面の被処理面の露出状態を確保することができ、カード媒体2を反転させて表裏面の両面にレーザマーキングを行う場合に適用して非常に好適なものとなる。
【0052】
(c)本実施形態において、クランプ機構部10は、カード媒体2の一方の辺2aを支持する固定片11と、そのカード媒体2の他方の辺2bを支持する可動片12とを有している。そのため、本実施形態によれば、カード媒体2を挟持して支持する場合に、一方を固定的に取り付けられた固定片11とすることで、カード媒体2の支持位置の位置決めの容易化および高精度化が図れる。
【0053】
(d)本実施形態において、クランプ機構部10は、可動片12を固定片11の側に向けて付勢する弾性部材15を有している。そのため、本実施形態によれば、弾性部材15の付勢力を利用してカード媒体2を支持することになり、カード媒体2を挟持して支持する場合であっても、クランプ機構部10の可動片12を開閉動作させるための駆動源が不要であり、その結果としてクランプ機構部10の構成の簡素化が図れる。
【0054】
(e)本実施形態において、クランプ機構部10の固定片11および可動片12には、カード媒体2の厚さに対応する溝幅のガイド溝11a,12aが設けられている。そのため、本実施形態によれば、固定片11および可動片12の間の開放側からのカード媒体2の挿入の際に、カード媒体2を脱落させることなく、しかもガイド溝11a,12aにカード媒体2を案内させつつ、そのカード媒体2の受け渡しを容易かつ確実に行うことができる。しかも、そのために装置構成が複雑化してしまうことを抑制できる。
【0055】
(f)本実施形態で説明したように、クランプ機構部10の固定片11に二つの凸状部11bを設ければ、カード媒体2の被支持辺2aが2点で接触支持されるようになる。そのため、カード挿入時の摺動箇所の低減により挿入力を軽減でき、しかもカード媒体2や固定片11等の精度(歪みの有無等)の影響を排除しつつ、カード媒体2を支持した際の位置決めを確実に行うことができる。
【0056】
(g)本実施形態で説明したように、クランプ機構部10の可動片12に一つの凸状部12bを設ければ、カード媒体2の被支持辺2bが1点で接触支持されるようになる。そのため、カード挿入時の摺動箇所の低減により挿入力を軽減できることに加え、可動片12の可動方向の影響を排除しつつ、カード媒体2を固定片11の側に向けて確実に付勢することができる。
【0057】
(h)本実施形態で説明したように、クランプ機構部10の可動片12における凸状部12bが回転体によって構成されていれば、カード媒体2の被支持辺2bと凸状部12bとの間が摺動しないので、摩耗等の発生を抑制でき、支持姿勢の安定化も図れるようになる。
【0058】
(i)本実施形態において、回転機構部20は、クランプ機構部10が支持するカード媒体2の中心点に回転中心にして当該カード媒体2を回転させる。そのため、本実施形態によれば、カード媒体2の表裏を反転させる場合であっても、その反転を最も小さいスペースで行うことができ、しかも表裏でカード媒体2の被処理領域の位置が変化してしまうことがない。カード媒体2の表裏を反転させても被処理領域の位置が変化しなければ、それぞれの被処理領域に対して、レーザマーカ装置が同様にレーザマーキングを行うことが可能となる。つまり、レーザマーカ装置は、レーザマーキングのための焦点位置調整やアライメント調整等を要することなく、カード媒体2の表裏面のそれぞれに対してレーザマーキングを行えるようになり、これによりレーザマーキングを行う処理系の構成の複雑化を抑制することができる。
【0059】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。ここでは、主として、上述した第一実施形態との相違点について説明する。
【0060】
(全体構成)
図7は、本実施形態に係るカード媒体搬送装置の概略構成例を模式的に示す斜視図である。図例のように、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1は、少なくともクランプ機構部10、回転機構部20およびキャリッジ機構部30を備えて構成されている点で、上述した第一実施形態の場合と共通するが、キャリッジ機構部30による移動動作方向が第一実施形態の場合とは異なる。クランプ機構部10および回転機構部20の構成については、第一実施形態の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20を一体で所定方向に移動させるものである。所定方向は、例えば、クランプ機構部10におけるカード媒体2の挿抜方向に沿った方向である。所定方向への移動を行うための機構については、第一実施形態の場合と同様のものを用いることができる。
【0062】
また、本実施形態に係るカード媒体搬送装置1は、カード媒体2を搬送するカード搬送機構部40を備えている。カード搬送機構部40は、カード媒体2を挟む搬送ローラ41を有しており、搬送ローラ41の回転を利用してカード媒体2を搬送するように構成されている。カード搬送機構部40によるカード媒体2の搬送方向は、キャリッジ機構部30によるクランプ機構部10および回転機構部20の移動方向、すなわちクランプ機構部10におけるカード媒体2の挿抜方向と略直交する方向である。なお、カード搬送機構部40は、一部の搬送ローラ41の位置を移動可能に構成されており、これによりカード媒体2の上方側を開放空間とし得るようになっている。
【0063】
(処理動作例)
図8は、本実施形態に係るカード媒体搬送装置のキャリッジ機構部30による移動動作例を示す説明図である。
【0064】
本実施形態において、レーザマーキングを行う場合には、図8に示すように、未処理のカード媒体2がカード搬送機構部40によって搬送されてくる(図中の矢印E参照)。そして、カード媒体2がクランプ機構部10と正対する位置まで搬送されてくると、キャリッジ機構部30がクランプ機構部10および回転機構部20をカード媒体2に向けて移動させる(図中の矢印F参照)。
【0065】
これにより、カード媒体2は、クランプ機構部10における固定片11と可動片12との間に挿入されて、固定片11と可動片12とによって支持されることになる。つまり、本実施形態においては、クランプ機構部10の側を移動させることによって、そのクランプ機構部10にカード媒体2を支持させるようになっている。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、本実施形態においても、第一実施形態で説明したように、カード媒体2を移動させることによって、そのカード媒体2をクランプ機構部10に支持させるようにしてもよい。
【0066】
クランプ機構部10によるカード媒体2の支持にあたり、カード媒体2に反り等の変形が生じていると、後述するようにカード媒体2を移動させる際に、その変形箇所がカード搬送機構部40の構成部材(例えば、搬送ローラ41)と干渉してしまうおそれがある。そのため、クランプ機構部10については、カード媒体2の変形を考慮した構成とすることが好ましい。具体的には、例えば、カード媒体2の変形に起因する干渉が生じても、そのカード媒体2の支持位置が若干量(例えば、0.5mm程度)浮いて逃げるように、その逃げ分だけ固定片11および可動片12における各ガイド溝11a,12aの溝幅を幅広に形成しておく、といったことが考えられる。
【0067】
クランプ機構部10が未処理のカード媒体2を支持した後は、続いて、キャリッジ機構部30がクランプ機構部10および回転機構部20を戻る方向(すなわち、カード搬送機構部40から離れる方向)に向けて、所定距離(例えば、10mm~30mm程度)だけ移動させる(図中の矢印F参照)。そして、この移動によって、キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20をマーキング位置に位置させる。つまり、本実施形態において、マーキング位置は、カード搬送機構部40による搬送ラインから所定距離だけ離れた位置に設定されている。そのため、カード媒体2を搬送ラインから完全に外れる位置まで移動させる場合に比べると、搬送ラインからマーキング位置までの移動量を小さく抑えることができる。
【0068】
また、このとき、カード搬送機構部40は、一部の搬送ローラ41の位置を移動させて、カード媒体2の上方側を開放空間とする(図7参照)。搬送ローラ41の位置移動は、図示せぬ電動モータ等の駆動源を利用して行えばよい。
【0069】
これにより、クランプ機構部10が支持するカード媒体2に対して、そのカード媒体2の上方側からレーザマーカ装置によるレーザマーキングを行って、そのカード媒体2の被処理領域に文字や画像等を描画することが可能となる。なお、マーキング位置での処理動作については、第一実施形態の場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0070】
クランプ機構部10が支持するカード媒体2に対して、斜め方向からレーザ光を照射してレーザマーキングを行う必要がある場合には、マーキング位置において、回転機構部20がクランプ機構部10をθ=±30°の範囲で回転させる。
【0071】
一方、クランプ機構部10が支持するカード媒体2の表裏を反転させる場合には、そのカード媒体2の下方側に位置するカード搬送機構部40の構成部材との干渉を考慮して、カード媒体2が搬送ラインから完全に外れる位置まで、キャリッジ機構部30がクランプ機構部10および回転機構部20を移動させる。そして、その移動後の位置において、回転機構部20がクランプ機構部10を180°回転させる。
【0072】
マーキング位置でのレーザマーキングが完了すると、キャリッジ機構部30は、クランプ機構部10および回転機構部20を再びカード搬送機構部40の側に向けて移動させる(図中の矢印F参照)。そして、カード搬送機構部40によるカード媒体2の搬送ライン上において、クランプ機構部10は、例えば図示せぬ突出片部との当接による可動片12の揺動を利用して、レーザマーキングがされた処理済みのカード媒体2を離脱させる。クランプ機構部10からのカード媒体2の離脱後は、そのカード媒体2を図示せぬ搬送コンベア等が搬送する(図中の矢印G参照)。
【0073】
以上のような手順の処理を経ることで、未処理のカード媒体2の被処理領域に対してレーザマーキングが行われ、そのレーザマーキングが行われた処理済みのカード媒体2がカード搬送機構部40によって搬送され、カード媒体搬送装置から排出される。
【0074】
(効果)
本実施形態においても、第一実施形態で説明した一つまたは複数の効果が得られる。
【0075】
<変形例等>
以上、本発明の第一実施形態および第二実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0076】
第一実施形態では、キャリッジ機構部30による移動方向に沿ってカード挿入位置、マーキング位置およびカード排出位置が並ぶように設定されている場合を例に挙げたが、これに限定されることはなく、例えば、カード挿入位置およびカード排出位置が同じ位置に設定されていてもよい。また、第二実施形態では、カード挿入位置およびカード排出位置が同じ場合を例に挙げたが、これに限定されることはなく、例えば、それぞれが異なる位置に設定されていてもよい。つまり、キャリッジ機構部30によるクランプ機構部10および回転機構部20の移動態様については、上述の各実施形態で説明した態様に限定されることはなく、必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0077】
クランプ機構部10によるカード媒体2の支持態様についても、上述の各実施形態で説明した態様に限定されることはない。つまり、クランプ機構部10は、カード媒体2の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体2を支持するものであれば、カード媒体2の二辺ではなく三辺を支持するものであってもよい。また、固定片11と可動片12ではなく両側が可動片によって構成されていてもよい。また、弾性部材15による付勢力を利用したものではなく、何らかの駆動源を利用して可動片12を開閉するように構成されたものであってもよい。また、凸状部11b,12bについても必須な構成ではなく、これらが設けられていなくてもよい。
【0078】
上述の各実施形態では、レーザマーキングのためにカード媒体2を搬送する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、他の用途のためにカード媒体2を搬送する場合であっても、全く同様に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…カード媒体搬送装置、2…カード媒体、2a…被支持辺(一方の辺)、2b…被支持辺(他方の辺)、10…クランプ機構部、11…固定片、11a…ガイド溝、11b…凸状部、12…可動片、12a…ガイド溝、12b…凸状部、15…弾性部材、20…回転機構部、30…キャリッジ機構部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード媒体の表裏面に設定される被処理領域を露出させた状態で当該カード媒体を支持するクランプ機構部と、
前記被処理領域を反転させる方向または傾ける方向に前記クランプ機構部を回転させる回転機構部と、
前記クランプ機構部および前記回転機構部を一体で所定方向に移動させるキャリッジ機構部と、
を備え
前記クランプ機構部は、前記カード媒体の一方の辺を支持する固定片と、前記カード媒体の他方の辺を支持する可動片と、を有して、前記カード媒体における対向する二辺を挟持することで当該カード媒体を支持するように構成されており、
前記固定片および前記可動片には、前記カード媒体の厚さに対応する溝幅のガイド溝が設けられている
カード媒体搬送装置。
【請求項2】
前記クランプ機構部は、前記可動片を前記固定片の側に向けて付勢する弾性部材を有する
請求項に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項3】
前記固定片には、前記カード媒体の被支持辺を接触支持する二つの凸状部が設けられている
請求項1または2に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項4】
前記可動片には、前記カード媒体の被支持辺を接触支持する一つの凸状部が設けられている
請求項1から3のいずれか1項に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項5】
前記凸状部は、回転可能な回転体によって構成されている
請求項3または4に記載のカード媒体搬送装置。
【請求項6】
前記回転機構部は、前記クランプ機構部が支持する前記カード媒体の中心点を回転中心として当該カード媒体を回転させるように構成されている
請求項1からのいずれか1項に記載のカード媒体搬送装置。