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  • 特開-ナースコールシステム 図1
  • 特開-ナースコールシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116434
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20220803BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220803BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220803BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61G12/00 E
G08B25/04 K
G08B21/02
H04M9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012597
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】橘 太
【テーマコード(参考)】
4C341
5C086
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
5C086AA22
5C086BA07
5C086CA30
5C086CB40
5C086DA01
5C086DA14
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD29
5C087DD30
5C087DD36
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5K038AA06
5K038BB01
5K038CC03
5K038DD13
5K038FF01
5K038FF03
(57)【要約】
【課題】 生体情報モニターからの呼び出しが行われている状態でナースコール子機による呼び出しが行われた場合に、患者が放置されることを防止する。
【解決手段】 生体情報モニター1とナースコール子機2とを病床ごとに子機インターフェース3に接続し、バイタルサインの値がしきい値を超えた場合に生体情報モニター1から出力される生体情報モニター信号を入力した場合と、ナースコール子機2が押下された場合に出力される呼出信号を入力した場合とで識別可能に報知部7を動作させるナースコールシステムにおいて、呼出信号と生体情報モニター信号とを重複して入力した場合に、子機インターフェース3が異なるものであるときには生体情報モニター信号による報知を呼出信号による報知よりも優先し、子機インターフェース3が同一のものであるときには呼出信号による報知を生体情報モニター信号による報知よりも優先するようにしている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の病床の近傍に設置され、呼出ボタンを押下することによって呼出信号を出力するナースコール子機と、
前記ナースコール子機を接続するとともに、前記患者のバイタルサインを測定する生体情報モニターを接続し、前記呼出信号および前記生体情報モニターが測定した値がしきい値を超えた場合に出力される生体情報モニター信号を入力する子機インターフェースと、
前記子機インターフェースに接続され、前記呼出信号および前記生体情報モニター信号を入力する親機インターフェースと、
前記親機インターフェースが前記呼出信号を入力した場合と前記生体情報モニター信号を入力した場合とで識別可能に報知を行うとともに、前記子機インターフェースごとに識別可能に報知を行う報知部と、
前記子機インターフェースが前記呼出信号と前記生体情報モニター信号とを重複して入力した場合に、前記子機インターフェースが異なるものであるときには、前記生体情報モニター信号による報知を前記呼出信号による報知よりも優先度を高く設定するとともに、前記子機インターフェースが同一のものであるときには、前記呼出信号による報知を前記生体情報モニター信号による報知よりも優先度を高く設定する制御部と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコール子機の呼出ボタンが押下されることによって医療従事者を呼び出すとともに生体モニターなどの機器によって患者の状態を検出して異常時に医療従事者を呼び出すナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナースコールシステムは、呼出ボタンなどの呼出操作部を有するナースコール子機を各病室内の各病床の近傍に設置するとともに、看護師などの医療従事者が常駐するナースステーションにナースコール親機を設置している。そして、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にて呼び出しを報知するように構成されている。ここで、ナースコールシステムは、病院だけではなく、介護施設などでも使用される。
【0003】
ナースコール親機には、LED(light-emitting diode)などのランプと患者の名前などを表示する表示欄とを備えた選局部を患者の数に応じて組み合わせたボード形のものが知られている。ボード形のナースコール親機は、ナースステーションの壁面などに取り付けられ、ナースステーション内の医療従事者がボード形親機に表示された情報を閲覧することが可能である。ここで、ナースコール子機から出力された呼出信号を入力したナースコール親機では、呼出信号に含まれ、ナースコール子機を識別するための子機識別情報により呼び出しを行った患者(実際にはナースコール子機)を特定する。そして、特定されたナースコール子機を使用している患者の表示欄に対応する選局部のランプを点灯または点滅させることで呼び出しの発生の報知を行っている。また、呼び出しの報知は、選局部のランプの点灯/点滅だけではなく、スピーカから出力される音声によっても行われる。
【0004】
ここで、ナースコール親機としては、上述したボード形のものだけではなく、卓上に設置される卓上形のものや、報知や各種情報をディスプレイ上に表示するPC(personal computer)形のものも知られている。
【0005】
このように、ナースコール親機にて呼び出しの報知が行われると、これに気付いた医療従事者が応答する必要がある。そのため、ナースコール親機には、呼び出しの報知に応答するためのハンドセットが設けられている。呼び出しの報知が行われている場合に、医療従事者がハンドセットをオフフックすると、呼び出しの報知が停止し、ナースコール親機とナースコール子機(またはナースコール子機が設置された病室)との間で通話路が形成される。ここで、ナースコール子機(または病室)には、通話用のスピーカやマイクが設けられているため、患者と医療従事者との間で通話が可能となる。
【0006】
ところで、上述した呼出ボタンを備えたナースコール子機だけではなく、患者のバイタルサイン(心電図、心拍数、血圧、体温など)を測定してこれらの数値がしきい値を超えた場合に患者の状態が異常となったとして警告音などで報知する生体情報モニターをナースコールシステムと連動し、患者の状態が異常となったときにナースコール親機でも報知を行うようにしたナースコールシステムも知られている。
【0007】
ここで、生体情報モニターをナースコールシステムに連動する場合、生体情報モニターの接点出力をナースコール子機の入力端子に接続している。また、患者が生体情報モニターを使用している場合でも、その患者の家族や巡視中の医療従事者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行う可能性があるため、生体情報モニターおよびナースコール子機をナースコール子機の入力端子に接続して、両方の呼び出しを有効とすることが行われている。
【0008】
このとき、生体情報モニターからの呼び出しの優先度をナースコール子機の呼出ボタンを押下による呼び出しの優先度よりも高くすることが知られている。なお、ナースコールシステムにおいて、ナースコール子機と患者状態検出機器との間で呼び出しの優先度を異ならせる技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-67822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した生体情報モニターからの呼び出しの場合、生体情報モニターの接点出力とナースコール子機の入力端子との接続不良により誤って呼び出しが行われてしまうことがあった。また、生体情報モニターからの呼び出しの場合、バイタルサイン(心電図、心拍数、血圧、体温など)のしきい値は患者による個人差があるため、しきい値を調整していないと、誤って呼び出しが行われてしまうことがあった。このような誤報が多くなると、ナースコールの呼び出しが報知されていても医療従事者が応答せずに放置されてしまうことがあった。
【0011】
ここで、生体情報モニターからの呼び出しが放置されている状態で、同じ患者に適用されるナースコール子機の呼出ボタンが家族や医療従事者などにより押下された場合、ナースコール子機の呼出ボタンによる呼び出しの優先度が生体情報モニターからの呼び出し優先度よりも低いため、ナースコール子機の呼出ボタンの押下による呼び出しも放置されてしまうという問題があった。なお、生体情報モニターからの呼び出しが行われている状態でナースコール子機の呼出ボタンによる呼び出しが行われている状態は、患者が重篤な状況である可能性が高いため、大きな問題になることがあった。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、生体情報モニターからの呼び出しが行われている状態でナースコール子機の呼出ボタンの押下による呼び出しが行われた場合に、呼び出しの報知が放置されることをできるだけ防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明では、呼出ボタンを備えたナースコール子機と患者のバイタルサインを測定する生体情報モニターとを病床ごとに接続する子機インターフェースを設け、バイタルサインの値がしきい値を超えた場合に生体情報モニターから出力される生体情報モニター信号を入力した場合と、ナースコール子機の呼出ボタンが押下された場合に出力される呼出信号を入力した場合とで識別可能に報知を行うナースコールシステムにおいて、呼出信号と生体情報モニター信号とを重複して入力した場合に、子機インターフェースが異なるものであるときには生体情報モニター信号による報知を呼出信号による報知よりも優先度を高くし、子機インターフェースが同一のものであるときには呼出信号による報知を生体情報モニター信号による報知よりも優先度を高くするようにしている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、ある病床の生体情報モニターからの呼び出しが行われている状態で、他の病床のナースコール子機から呼び出しが行われたときは、生体情報モニターからの呼び出しの報知の優先度を高くし、ある病床の生体情報モニターからの呼び出しが行われている状態で、同じ病床のナースコール子機から呼び出しが行われたときは、ナースコール子機からの呼び出しの報知の優先度を高くするようにしているので、生体情報モニター1が呼び出しの報知を行っている病床のナースコール子機による呼び出しの報知が放置されることをできるだけ防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるナースコールシステムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムを含む構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、患者のバイタルサイン(心電図、心拍数、血圧、体温など)を測定して、これらの数値がしきい値を超えた場合に患者の状態が異常となったとして警告音などで報知を行うとともに、生体情報モニター信号を出力する生体情報モニター1を接続している。ここで、生体情報モニター1は患者の病床の近傍に設置されている。また、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール子機2、子機インターフェース3、ナースコール親機4を備えて構成されている。
【0017】
図1において、ナースコール子機2は図示しない呼出ボタンを備えており、患者の病床の近傍に設置されている。ここで、呼出ボタンは通常患者によって操作されるが、ナースコール子機2とともに上述した生体情報モニター1を患者に使用している場合には、呼出ボタンは患者の家族や巡視中の医療従事者などによって操作される。ナースコール子機2は、呼出ボタンが操作されると呼出信号を生成して出力する。
【0018】
子機インターフェース3は、生体情報モニター1およびナースコール子機2と接続して通信を行うためのものである。子機インターフェース3は、生体情報モニター1によって生成された生体情報モニター信号やナースコール子機2によって生成された呼出信号を入力する。ここで、子機インターフェース3は、上述した生体情報モニター信号に生体情報モニター1を他の生体情報モニター1と区別するための識別情報を付加する。また、子機インターフェース3は、上述した呼出信号にナースコール子機2を他のナースコール子機2と区別するための識別情報を付加する。なお、上述した識別情報としては、病床番号などの情報が用いられる。また、同じ子機インターフェース3に接続された生体情報モニター1およびナースコール子機2については同一の識別情報が用いられる。
【0019】
ナースコール親機4は、医療従事者が常駐するナースステーションなどに設置されており、医療従事者によって使用される。ここで、ナースコール親機4は、制御部5、親機インターフェース6、報知部7、応答操作部8を備えて構成されている。制御部5は、ナースコール親機4の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。親機インターフェース6は、図示しない廊下灯を介して各子機インターフェース3に接続されており、ナースコール親機4と各子機インターフェース3とを電気的に接続する。また、親機インターフェース6は、生体情報モニター1から出力された生体情報モニター信号やナースコール子機2から出力された呼出信号を入力する。
【0020】
報知部7は、スピーカなどの音声出力装置やディスプレイなどの表示装置、ランプなどの点灯装置の少なくとも一つの装置により構成されている。ここで、親機インターフェース6が生体情報モニター1から子機インターフェース3を介して生体情報モニター信号を入力した場合には、制御部5は報知部7を動作させる。このとき、制御部5は、入力した生体情報モニター信号に含まれる識別情報に基づいて呼び出しが行われている場所(すなわち病床番号)を表示装置や点灯装置により報知しつつ、スピーカから報知音を出力する。
【0021】
同様に、親機インターフェース6がナースコール子機2から子機インターフェース3を介して呼出信号を入力した場合には、制御部5は報知部7を動作させる。このとき、制御部5は、入力した呼出信号に含まれる識別情報に基づいて呼び出しが行われている場所(すなわち病床番号)を表示装置や点灯装置により報知しつつ、スピーカから報知音を出力する。ここで、親機制御部5では、生体情報モニター信号を入力した場合と呼出信号を入力した場合とで、表示装置の表示内容や点灯装置の点灯パターン、スピーカから出力される報知音を異ならせることで、両者を識別可能としている。
【0022】
応答操作部8は、ハンドセットなどにより構成されており、医療従事者がハンドセットをオフフックすることで操作される。報知部7が動作している状態で応答操作部8が操作されると、制御部5は報知部7の動作を停止させる。
【0023】
このように構成されたナースコールシステムにおいて、ナースコール親機4の制御部5は、親機インターフェース6が子機インターフェース3から出力された呼出信号を入力すると、報知部7を動作させるが、この状態で親機インターフェース6が異なる識別情報の付加された生体情報モニター信号を入力した場合、制御部5はナースコール子機2による呼び出しよりも生体情報モニター1による呼び出しを優先して報知部7を動作させる。また、ナースコール子機2による呼び出しにより報知部7が動作している状態で親機インターフェース6が異なる識別情報の付加された呼出信号を入力した場合(すなわち、他の病床からの呼び出しが行われた場合)、制御部5は先に行われていた呼び出しを優先し、新たな呼び出しを次に配置する。
【0024】
一方、図2に示すように、ナースコール親機4の制御部5は、親機インターフェース6が子機インターフェース3から出力された生体情報モニター信号を入力すると、報知部7を動作させる(T1)。この状態で親機インターフェース6が同じ識別情報の付加された呼出信号を入力した場合、制御部5は生体情報モニター1による呼び出しよりもナースコール子機2による呼び出しを優先して報知部7を動作させる(T2)。この状態で応答操作部8が操作されると、制御部5は報知部7の動作を停止させる(T3)。
【0025】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、患者のバイタルサインを測定する生体情報モニター1と呼出ボタンを備えたナースコール子機2とを病床ごとに接続する子機インターフェース3を設け、バイタルサインの値がしきい値を超えた場合に生体情報モニター1から出力される生体情報モニター信号を入力した場合と、ナースコール子機2の呼出ボタンが押下された場合に出力される呼出信号を入力した場合とで識別可能に報知部7を動作させるナースコールシステムにおいて、親機インターフェース6が呼出信号と生体情報モニター信号とを重複して入力した場合に、制御部5は、子機インターフェース3が異なる(換言すると、異なる識別情報が付加されている)ものであるときには生体情報モニター信号による報知を呼出信号による報知よりも優先度を高くし、子機インターフェース3が同一の(換言すると、同一の識別情報が付加されている)ものであるときには呼出信号による報知を生体情報モニター信号による報知よりも優先度を高くするようにしている。
【0026】
これにより、ある病床の生体情報モニター1からの呼び出しの報知が行われている状態で、他の病床のナースコール子機2から呼び出しが行われたときは、生体情報モニターからの呼び出しの報知の優先度が高く設定され、ある病床の生体情報モニターからの呼び出しの報知が行われている状態で、同じ病床のナースコール子機2から呼び出しが行われたときは、ナースコール子機2からの呼び出しの報知の優先度が高く設定されるので、生体情報モニター1が呼び出しの報知を行っている病床のナースコール子機2による呼び出しの報知が放置されることをできるだけ防止することができる。
【0027】
なお、前述した実施形態では、同じ病床からの呼び出しが重複した場合の報知をナースコール親機4の制御部5にて制御しているが、これに限定されない。例えば、同じ病床からの呼び出しが重複した場合の報知の制御を子機インターフェース3にて行うようにしても良い。
【0028】
また、前述した実施形態では、ナースコール親機4はナースステーションに設置されているが、これに限定されない。例えば、医療従事者が携帯する携帯端末によって報知および応答を行うようにしても良い。
【0029】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 生体情報モニター
2 ナースコール子機
3 子機インターフェース
4 ナースコール親機
5 制御部
6 親機インターフェース
7 報知部
8 応答操作部
図1
図2