(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116456
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】除草装置および過熱水蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
A01M 21/04 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
A01M21/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012625
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 義雄
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121DA43
2B121EA26
2B121FA05
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な除草装置および過熱水蒸気発生装置を提供する。
【解決手段】除草装置1は、貯水タンク3と、貯水タンク3に連通された配管4と、貯水タンク3及び配管4の一部を加熱する加熱部51であって、貯水タンク3の加熱により、貯水タンク3に貯まった水を加熱して水蒸気を生成し、配管4の一部の加熱により、貯水タンク3から配管4の一部に流入した水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する加熱部51と、配管4に連通し、配管4の一部で生成された過熱水蒸気を対象領域に向けて排出する排出部6とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の雑草を除草する除草装置であって、
貯水タンクと、
前記貯水タンクに連通された配管と、
前記貯水タンク、及び、前記配管の第1部分を加熱する加熱部であって、
前記貯水タンクの加熱により、前記貯水タンクに貯まった水を加熱して水蒸気を生成し、
前記配管の前記第1部分の加熱により、前記貯水タンクから前記配管の前記第1部分に流入した水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する
前記加熱部と、
前記配管に連通し、前記配管の前記第1部分で生成された過熱水蒸気を、前記対象領域に向けて排出する排出部と
を備えたことを特徴とする除草装置。
【請求項2】
前記配管の前記第1部分は、前記加熱部と前記貯水タンクとの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の除草装置。
【請求項3】
前記貯水タンクは、
中空部と、
前記中空部を覆う位置に設けられ、水を貯める貯水部と
を備え、
前記加熱部、及び前記配管の前記第1部分は、前記中空部に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の除草装置。
【請求項4】
前記配管の前記第1部分は螺旋状に延び、
前記加熱部は、
螺旋中心に沿って延びる仮想線と重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の除草装置。
【請求項5】
前記配管は、
前記加熱部に近接する部分に、前記排出部に連通する連通部を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の除草装置。
【請求項6】
前記排出部が固定される基部、及び、前記基部から突出する突出部を有し、前記対象領域に接地可能な接地部を更に備え、
前記対象領域に前記接地部が接地した状態で、前記基部及び前記突出部が前記対象領域を覆うことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の除草装置。
【請求項7】
前記基部は、前記加熱部に対して前記貯水タンクが配置される側と反対側に設けられ、
前記突出部は、前記基部に対して前記加熱部が設けられる側と反対側に突出する
ことを特徴とする請求項6に記載の除草装置。
【請求項8】
前記排出部の排出口は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に開口することを特徴とする請求項6又は7に記載の除草装置。
【請求項9】
前記排出部は、複数の排出口を有し、
前記複数の排出口は、何れも所定の排出位置に向けて開口することを特徴とする請求項8に記載の除草装置。
【請求項10】
前記配管は、
前記貯水タンクに連通し、前記加熱部による加熱がされず、前記貯水タンクから前記第1部分に向けて水蒸気を流す第2部分を更に有し、
前記第2部分の流路を開閉可能なバルブを更に備えたことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の除草装置。
【請求項11】
前記貯水タンクに連結され、前記貯水タンクの内部圧力に応じて開閉するリリーフ弁を更に備えたことを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の除草装置。
【請求項12】
貯水タンクと、
前記貯水タンクに連通された配管と、
前記貯水タンク、及び、前記配管の第1部分を加熱する加熱部であって、
前記貯水タンクの加熱により、前記貯水タンクに貯まった水を加熱して水蒸気を生成し、
前記配管の前記第1部分の加熱により、前記貯水タンクから前記配管の前記第1部分に流入した水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する
前記加熱部と
を備えたことを特徴とする過熱水蒸気発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草装置および過熱水蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水蒸気で雑草を除草する除草装置が知られている。特許文献1に記載の除草装置は、貯水タンク、水蒸気発生手段、再加熱手段、及び噴出ノズルを備える。水蒸気発生手段は、貯水タンクから供給される水を加熱して水蒸気を発生させる。再加熱手段は、蒸気発生手段で発生した水蒸気を再加熱する。噴出ノズルは、再加熱手段から排出される過熱水蒸気を対象領域に噴出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の除草装置では、水蒸気を発生させる為の水蒸気発生手段と、過熱水蒸気を発生させる為の再加熱手段とが別体で設けられるので、除草装置が大型化する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、小型化が可能な除草装置および過熱水蒸気発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る除草装置は、対象領域の雑草を除草する除草装置であって、貯水タンクと、前記貯水タンクに連通された配管と、前記貯水タンク、及び、前記配管の第1部分を加熱する加熱部であって、前記貯水タンクの加熱により、前記貯水タンクに貯まった水を加熱して水蒸気を生成し、前記配管の前記第1部分の加熱により、前記貯水タンクから前記配管の前記第1部分に流入した水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する前記加熱部と、前記配管に連通し、前記配管の前記第1部分で生成された過熱水蒸気を、前記対象領域に向けて排出する排出部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
除草装置は、1つの加熱部により水蒸気と過熱水蒸気とを生成できる。このため除草装置は、水蒸気と過熱水蒸気とを夫々生成するための2つの加熱部を必要としないので、小型化が可能となる。
【0008】
本発明において、前記配管の前記第1部分は、前記加熱部と前記貯水タンクとの間に配置されてもよい。この場合、除草装置は、加熱部と貯水タンクとの間に配管の第1部分が配置されない場合と比べて、装置を小型できる。
【0009】
本発明において、前記貯水タンクは、中空部と、前記中空部を覆う位置に設けられ、水を貯める貯水部とを備え、前記加熱部、及び前記配管の前記第1部分は、前記中空部に配置されてもよい。この場合、除草装置は、1つの加熱部により貯水タンクと配管とを効率よく加熱できる。
【0010】
本発明において、前記配管の前記第1部分は螺旋状に延び、前記加熱部は、螺旋中心に沿って延びる仮想線と重なる位置に配置されてもよい。この場合、除草装置は、配管の第1部分の水蒸気を加熱部により効率的に再加熱し、過熱水蒸気を生成できる。
【0011】
本発明において、前記配管は、前記加熱部に近接する部分に、前記排出部に連通する連通部を有してもよい。配管内の水蒸気は、加熱部に近接する連通部において高温に再加熱される。つまり、配管は、水蒸気が高温に再加熱される連通部において排出部に連通する。このため除草装置は、高温に再加熱された過熱水蒸気を排出部から排出できる。
【0012】
本発明において、前記排出部が固定される基部、及び、前記基部から突出する突出部を有し、前記対象領域に接地可能な接地部を更に備え、前記対象領域に前記接地部が接地した状態で、前記基部及び前記突出部が前記対象領域を覆ってもよい。この場合、除草装置は、接地部の基部及び突出部により覆われた対象領域を、排出部から排出される過熱水蒸気により効率的に加熱できる。
【0013】
本発明において、前記基部は、前記加熱部に対して前記貯水タンクが配置される側と反対側に設けられ、前記突出部は、前記基部に対して前記加熱部が設けられる側と反対側に突出してもよい。この場合、除草装置は、加熱部と接地部とを効率よく配置することができるので、装置を小型化できる。
【0014】
本発明において、前記排出部の排出口は、前記突出部の突出方向に対して交差する方向に開口してもよい。この場合、排出部は、突出部の突出方向と交差する方向に過熱水蒸気を排出し、突出方向に過熱水蒸気を排出しない。この場合、除草装置は、過熱水蒸気が突出方向に排出されることを抑制できる。
【0015】
本発明において、前記排出部は、複数の排出口を有し、前記複数の排出口は、何れも所定の排出位置に向けて開口してもよい。この場合、除草装置は、複数の排出口から排出される過熱水蒸気を排出位置に集中させることができるので、対象領域を効率よく加熱できる。
【0016】
本発明において、前記配管は、前記貯水タンクに連通し、前記加熱部による加熱がされず、前記貯水タンクから前記第1部分に向けて水蒸気を流す第2部分を更に有し、前記第2部分の流路を開閉可能なバルブを更に備えてもよい。例えばユーザは、除草装置の未使用時、バルブを閉塞することによって配管の第1部分への水蒸気の流入を防止できる。この場合、除草装置は、未使用時において配管の第1部分に水蒸気が流入し、加熱部により再加熱されることを防止できる。
【0017】
本発明において、前記貯水タンクに連結され、前記貯水タンクの内部圧力に応じて開閉するリリーフ弁を更に備えてもよい。リリーフ弁は、貯水タンクの内部圧力が高くなった場合、開放することによって水蒸気を外部に排出する。なお、リリーフ弁は貯水タンクに連結されるので、加熱部による再加熱前の水蒸気を、リリーフ弁によって貯水タンクから直接排出できる。
【0018】
本発明に係る過熱水蒸気発生装置は、貯水タンクと、前記貯水タンクに連通された配管と、前記貯水タンク、及び、前記配管の第1部分を加熱する加熱部であって、前記貯水タンクの加熱により、前記貯水タンクに貯まった水を加熱して水蒸気を生成し、前記配管の前記第1部分の加熱により、前記貯水タンクから前記配管の前記第1部分に流入した水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する前記加熱部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
過熱水蒸気発生装置は、1つの加熱部により水蒸気と過熱水蒸気とを生成できる。このため過熱水蒸気発生装置は、水蒸気と過熱水蒸気とを夫々生成するための2つの加熱部を必要としないので、小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】除草装置1を左斜め上方から視た斜視図である。
【
図2】除草装置1を左斜め下方から視た斜視図である。
【
図7】除草装置1Aを左斜め上方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る除草装置1の一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1の上方、下方、右下方、左上方、右上方、左下方を、各々、除草装置1の上方、下方、前方、後方、右方、左方とする。
【0022】
<除草装置1の概要>
除草装置1は、雑草の生えた対象領域に過熱水蒸気を排出して除草する為の装置である。
図1~
図3に示すように、除草装置1は、アーム部2A、本体部2B、及び装着部2Cを有する。
【0023】
図1、
図2に示すように、アーム部2Aは、各々が棒状を有する柄部21、保持部22、23、24、及び把持部25を有する。柄部21は上下方向に延びる。保持部22は、柄部21の下端に連結し、左右方向に延びる。保持部23、24は、保持部22の左右両端部から下方に延びる。把持部25は、柄部21の上端近傍から後方に延びる。
【0024】
保持部22~24は、後述する本体部2Bを保持する。把持部25は、ユーザが除草装置1を用いて作業を行う時に把持される。把持部25にはハンドル250が固定される。ハンドル250を握る操作が行われた場合、本体部2Bから対象領域に向けて過熱水蒸気が排出される。柄部21は、ユーザが立った状態で除草作業ができるように、把持部25から下方に離れた位置で保持部22~24を支持する。柄部21には、ハンドル250を握る操作に応じて移動するワイヤ251が固定される。
【0025】
本体部2Bは、夫々が屈曲もしくは平板状の板体からなる筐体27、28、29を有する。筐体27は略六角柱状であり、上下方向に延びる。筐体28は、筐体27の上斜め前側を覆う。筐体28は、上端部にて保持部22に連結され、保持される。筐体29は、筐体27の下端部に固定される。
【0026】
筐体27は、後述する貯水タンク3、配管4、及び加熱機構5(
図4、
図5参照)を内部に収容する。筐体28は、後述するバルブ8A及びリリーフ弁8B(
図5参照)を覆う。筐体29は、後述する排出部6、及び接地部7(
図4~
図6参照)を覆う。
【0027】
装着部2Cは、本体部2Bの後方に設けられる。装着部2Cにはガスボンベ26が着脱可能である。ガスボンベ26の燃料は、除草装置1において水蒸気及び過熱水蒸気を生成するために使用される。
【0028】
<貯水タンク3>
貯水タンク3は、水蒸気及び過熱水蒸気の元となる水を貯める。
図4、
図5に示すように、貯水タンク3は、外筒状体31及び内筒状体32を有する。外筒状体31は、円筒部31A、31C、及び湾曲部31Bを有する。円筒部31A、31Cは夫々円筒状を有し、上下方向に延びる。円筒部31A、31Cの夫々の中心は、上下方向に延びる仮想線Cに沿って配置される。湾曲部31Bは、円筒部31Aの上端部から上方に向けて、内側に湾曲しながら延びる。円筒部31Cは、湾曲部31Bの内端部から上方に延びる。
【0029】
内筒状体32は、外筒状体31の内側に設けられる。内筒状体32は、円筒部32A、32C、及び錐体部32Bを有する。円筒部32A、32Cは夫々円筒状を有し、上下方向に延びる。円筒部32A、32Cの夫々の中心は、仮想線Cに沿って配置される。つまり、外筒状体31の円筒部31A、31Cと、内筒状体32の円筒部32A、32Cは、上下方向から視たときに同心円状に配置される。錐体部32Bは、円筒部32Aの上端部から上方且つ内方に直線状に延びる。円筒部32Cは、錐体部32Bの上端部から上方に延びる。
【0030】
内筒状体32の円筒部32Aの外側面は、外筒状体31の円筒部31Aの下端部近傍の内側面に密着し、気密を保持する。円筒部31A、32Aの直径は略同一である。内筒状体32の円筒部32Cの外側面の上端部近傍は、外筒状体31の円筒部31Cの内側面に密着し、気密を保持する。円筒部31C、円筒部32Cの直径は略同一である。
【0031】
貯水タンク3には、上下方向に延びる空洞が内筒状体32によって形成される。この空洞を「中空部3B」という。中空部3Bは、上端の開口部30Uと下端の開口部30Lとの間に亘って貯水タンク3を貫通する。開口部30Uは蓋部300により覆われ、閉塞される。中空部3Bのうち、上下方向の位置が円筒部32Aと一致する空間部分を、「第1中空部301」という。中空部3Bのうち、上下方向の位置が錐体部32Bと一致する空間部分を、「第2中空部302」という。中空部3Bのうち、上下方向の位置が円筒部32Cと一致する空間部分を、「第3中空部303」という。
【0032】
又、貯水タンク3には、外筒状体31と内筒状体32とで囲まれた部分に密閉空間が形成される。以下、この密閉空間を「貯水部3A」という。水蒸気及び過熱水蒸気の元となる水は、貯水部3Aに貯められる。貯水部3Aは、上下方向と直交する方向において中空部3Bを覆う。
【0033】
<加熱機構5>
加熱機構5は、貯水タンク3の貯水部3Aに貯まった水Wを加熱して水蒸気を生成すると同時に、後述する配管4の一部を通過する水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成する。
図4、
図5に示すように、加熱機構5は、加熱部51、供給部52、及び非図示のスイッチを有する。
【0034】
加熱部51はバーナーであり、貯水タンク3の中空部3Bのうち第1中空部301に配置される。加熱部51は、貯水タンク3の貯水部3Aよりも上下方向において下側に位置する。加熱部51は、円形に並んだ複数の火口50を有する。加熱部51は、仮想線Cと重なる位置に配置される。より詳細には、加熱部51は、複数の火口50の中心Xにおいて、仮想線Cと重なる。以下、複数の火口50の中心Xを、加熱部51の中心Xという。加熱部51は、燃料に空気を混合して燃焼させる。燃料の燃焼により発生する炎は、複数の火口50から噴出する。供給部52は、加熱部51よりも下方に設けられる。供給部52は、装着部2Cに装着されたガスボンベ26の燃料を加熱部51に供給するための流路である。非図示のスイッチは、加熱部51にて点火/消化を行うために操作される。
【0035】
加熱部51の複数の火口50から噴出する炎の熱により、貯水タンク3は加熱される。これにより、貯水部3Aに貯まった水Wは加熱されて温度が上昇し、水蒸気が生成される。生成された水蒸気は、貯水部3Aに充満する。
【0036】
<配管4>
配管4は、貯水タンク3の貯水部3Aに貯まった水Wから生成された水蒸気を、貯水タンク3から後述の排出部6に向けて流す。又、配管4の一部が加熱機構5により加熱されることで、貯水タンク3から流入した水蒸気が再加熱され、過熱水蒸気が生成される。
図5に示すように、又、配管4は、夫々が管状の第1連結部41、第2連結部42、分岐部43、3つの延設部46(
図4参照)を有する。
【0037】
第1連結部41の一端部は、貯水タンク3の外筒状体31のうち湾曲部31Bの前端部に接続し、貯水部3Aに連通する。第1連結部41の他端部は、後述のバルブ8Aの入力口81に接続する。第1連結部41は、貯水タンク3が加熱されることにより生成された水蒸気を、貯水部3Aからバルブ8Aに向けて流す(矢印Y11、Y12)。第2連結部42の一端部は、バルブ8Aの出力口82に接続する。第2連結部42の他端部は、後述の分岐部43に接続する。第2連結部42は、バルブ8Aから出力される水蒸気を分岐部43に向けて流す(矢印Y13、Y14)。なお、第1連結部41及び第2連結部42は、貯水タンク3の中空部3Bの外部に配置されるため、加熱部51により加熱されない。
【0038】
図4に示すように、分岐部43は、貯水タンク3の上方、より詳細には、中空部3Bの開口部30Uを覆う蓋部300の上側に設けられる。分岐部43は、第2連結部42を介して流入した水蒸気を、後述の3つの延設部46に分岐する(矢印Y15、
図5参照)。
【0039】
図4に示すように、3つの延設部46は夫々、上端部において分岐部43と接続する。3つの延設部46は、分岐部43との接続部分から、蓋部300を貫通して下方に延びる。3つの延設部46は、各々、直線部4A、螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dを有する。直線部4A、螺旋部4B、及び第1連通部4Cは、貯水タンク3の中空部3Bに配置される。第2連通部4Dは、中空部3Bよりも下方に配置される。
【0040】
直線部4Aは、貯水タンク3の中空部3Bの第3中空部303に配置される。直線部4Aは、蓋部300を貫通する部分から下方に向けて、直線状に延びる。3つの延設部46の各々を上下方向から視た場合、直線部4Aは、正三角形の頂点に対応する位置に配置される。3つの延設部46が互いに隣接する間隔は、同一である。
【0041】
螺旋部4Bは、貯水タンク3の中空部3Bの第2中空部302に配置される。螺旋部4Bは、直線部4Aの下端部から下方に向けて、螺旋状に旋回しながら延びる。3つの延設部46の夫々の螺旋部4Bの螺旋中心は、仮想線Cに沿って延びる。螺旋部4Bの径は、下方に向かう程大きくなる。
【0042】
加熱部51の中心Xから螺旋部4Bの任意の点を通過して延びる仮想線分(例えば、仮想線分S1、S2、S3、S4等)を定義する。仮想線分は、貯水タンク3のうち内筒状体32の錐体部32Bと交差する。この場合、仮想線分(例えば、仮想線分S1~S4)の各々において螺旋部4Bと交差する点は、錐体部32Bと交差する点よりも、加熱部51の中心Xに近接する。つまり、螺旋部4Bは、貯水タンク3の錐体部32Bと加熱部51との間に配置される。
【0043】
第1連通部4Cは、貯水タンク3の中空部3Bのうち第1中空部301に配置される。第1連通部4Cは、螺旋部4Bの下端部から下方に向けて、仮想線Cから離隔する方向に傾斜して延びる。第1連通部4Cは、加熱部51の側方を通過する。第2連通部4Dは、第1連通部4Cの下端部から下方に向けて、仮想線Cから離隔する方向に傾斜して延びる。第2連通部4Dは、貯水タンク3の中空部3Bのうち第1中空部301の下端部よりも下方に配置される。第2連通部4Dの下端部は、後述の排出部6に連通する。第1連通部4C及び第2連通部4Dは、配管4のうち加熱部51に最も近接する部位に対応する。
【0044】
なお、螺旋部4Bは、加熱部51の上方に位置するため、加熱部51の複数の火口50の炎の熱によって強く加熱される。又、第1連通部4Cが配置される貯水タンク3の第1中空部301には、加熱部51が配置される。更に、第2連通部4Dは、加熱部51の下方近傍に配置される。このため、貯水タンク3から3つの延設部46に流入した水蒸気(矢印Y15)は、配管4のうち螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dを流れる過程(矢印Y16、
図5参照)において再加熱され、過熱水蒸気が生成される。生成された過熱水蒸気は、排出部6に向けて流れる。
【0045】
<接地部7>
図2、
図3に示すように、接地部7は筐体29の内側に固定される。接地部7の側面は筐体29により覆われる。
図4、
図5に示すように、接地部7は、筐体27に収容された貯水タンク3よりも下方に配置される。接地部7は、除草装置1の使用時、除草の対象となる対象領域に接地される。接地部7の材料は、シリコン製のスポンジである。
図6に示すように、接地部7は、基部7A及び突出部7Bを有する。
【0046】
図6に示すように、基部7Aは、六角形の板状を有し、上下方向と直交する。基部7Aのうち六角形の6つの辺に対応する部位を、各々、端部71、72、73、74、75、76という。端部71は前端部に配置され、端部74は後端部に配置される。端部71、74は、夫々左右方向に延びる。端部72は、端部71の右端部から右斜め後方に延びる。端部73は、端部72の後端部から左斜め後方に延び、端部74の右端部と連結する。端部76は、端部71の左端部から左斜め後方に延びる。端部75は、端部76の後端部から右斜め後方に延び、端部74の左端部と連結する。端部71、73、75の夫々の長さは同一である。端部72、74、76の夫々の長さは同一である。端部71、73、75の夫々の長さは、端部72、74、76の夫々の長さよりも短い。端部71、73、75の各々の内側近傍に、上下方向に貫通する貫通孔70が形成される。貫通孔70には、後述する排出部6が固定される。
【0047】
図4、
図5に示すように、基部7Aは、加熱部51の下方、言い換えれば、加熱部51に対して貯水タンク3の貯水部3Aが配置される側と反対側に位置する。
【0048】
図6に示すように、突出部7Bは、基部7Aの端部71~76から下方に突出する。言い換えれば、突出部7Bは、基部7Aに対して加熱部51が設けられる側と反対側に突出する。突出部7Bの下端部に、上方に向けて延びる複数のスリット78が形成される。突出部7Bの下端部は、複数のスリット78により細かく分断されている。
【0049】
図4、
図5に示すように、基部7Aの下方には、基部7A及び突出部7Bにより囲まれた空間7Cが形成される。対象領域に接地部7が接地された状態で、基部7A及び突出部7Bにより対象領域は覆われる。なお、接地部7の突出部7Bは複数のスリット78を有している為、例えば凹凸を有する対象領域に接地部7が接地された状態でも、突出部7Bの下端部を対象領域に良好に追従させることができる。このため接地部7は、空間7Cを対象領域に密着させることができ、過熱水蒸気を有効に使用することができる。
【0050】
<排出部6>
図4、
図5に示すように、排出部6は、配管4の第2連通部4Dの下端に連通する。排出部6は、配管4の螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dにて生成された過熱水蒸気を、接地部7の空間7Cに排出する(矢印Y17、Y18、
図5参照)。排出部6は、上下方向において加熱部51よりも下側に設けられる。
図4に示すように、排出部6は、夫々が管状の3つの延設部66を有する。3つの延設部66は、各々、配管4の3つの延設部46に連通する。3つの延設部66は、各々、湾曲部6A及び延伸部6Bを有する。
【0051】
図5に示すように、湾曲部6Aは、第2連通部4Dの下端部から下方に向けて、仮想線Cに近接する方向に湾曲しながら延びる。湾曲部6Aの一部は、接地部7の貫通孔70(
図6参照)を下方に通過する。延伸部6Bは、湾曲部6Aのうち第2連通部4Dと接続する側と反対側の端部から、仮想線Cに向けて延びる。延伸部6Bは、接地部7の基部7Aの下面に設けられた治具60によって接地部7に固定される。
【0052】
図4に示すように、延伸部6Bのうち湾曲部6Aと接続する側と反対側の端部は、排出部6の排出口6Cを形成する。排出口6Cは水平方向に開口する。言い換えれば、排出口6Cは、接地部7の突出部7Bが突出する方向(下方)と直交する方向に開口する。配管4から流入した過熱水蒸気は、排出口6Cを介して排出される(矢印Y18、
図5参照)。
【0053】
図3に示すように、排出部6のうち3つの延設部66の各々の排出口6Cは、接地部7の基部7Aのうち仮想線Cと交差する位置(以下、「排出位置Cxという。」)に向けて開口する。このため過熱水蒸気は、3つの排出口6Cを介して排出位置Cxに向けて排出される。
【0054】
<バルブ8A、リリーフ弁8B>
図5に示すように、バルブ8Aは、配管4の第1連結部41と第2連結部42との間に介在する。バルブ8Aは、第1連結部41及び第2連結部42の流路を開閉可能なゲートバルブである。バルブ8Aは、把持部25に設けられたハンドル250(
図1参照)を握る操作によってワイヤ251が引っ張られた場合、内部流路に設けられたゲートを開放する。この状態で、第1連結部41と第2連結部42との間で水蒸気が通流可能となる(矢印Y13)。一方、ハンドル250を握る操作が解消されることによってワイヤ251が元の状態に戻った場合、ゲートによって内部流路が閉塞される。この状態で、第1連結部41と第2連結部42との間の水蒸気の通流は禁止される。
【0055】
リリーフ弁8Bは、貯水タンク3の外筒状体31のうち湾曲部31Bの前端部に接続する連結部83に接続される。連結部83は管状を有し、貯水タンク3の貯水部3Aに連通する。連結部83は、貯水タンク3が加熱されることにより生成された水蒸気を、貯水部3Aからリリーフ弁8Bに向けて流す。リリーフ弁8Bは、貯水部3Aの内部圧力が過大となった場合に、自動的に圧力を開放する弁である。リリーフ弁8Bは、貯水部3Aの内部圧力が所定圧力(例えば、30Kpa)未満の時に閉塞し、所定圧力以上の時に開放する。
【0056】
<使用方法>
対象領域の除草作業を行うユーザは、はじめに貯水タンク3の貯水部3Aに水を貯める。次にユーザは、加熱機構5の非図示のスイッチを操作し、加熱部51に点火する。装着部2Cに装着されたガスボンベ26から供給される燃料は、加熱部51の複数の火口50にて燃焼される。これにより、貯水部3Aに貯まった水Wは加熱され、水蒸気が生成される。生成された水蒸気は、貯水部3Aに充満する。次にユーザは、アーム部2Aの柄部21及び把持部25を持ち、除草対象となる雑草の生えた対象領域に接地部7を接地させる。この状態で対象領域は、接地部7の基部7A及び突出部7Bによって覆われる。
【0057】
次にユーザは、把持部25のハンドル250を握る操作を行う。これにより、バルブ8Aは、配管4の第1連結部41及び第2連結部42の流路を開放する。貯水タンク3の貯水部3Aに貯まっている水から生成された水蒸気は、配管4内を第1連結部41及び第2連結部42から3つの延設部46に向けて流れる。3つの延設部46に流入した水蒸気は、各々の螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dにおいて加熱部51により再加熱され、過熱水蒸気が生成される。生成された過熱水蒸気は、3つの延設部46の各々の第2連通部4Dから排出部6に向けて流れる。排出部6に流入した過熱水蒸気は、3つの延設部66の各々の排出口6Cから、接地部7により覆われた状態の対象領域に向けて排出される。これにより、対象領域の雑草は、過熱水蒸気によって除草される。
【0058】
ある一定時間の開放後、ユーザは、把持部25のハンドル250を握る操作を解除する。これにより、バルブ8Aは、第1連結部41及び第2連結部42の流路を閉塞する。これにより、排出部6からの過熱水蒸気の排出は停止される。次にユーザは、加熱機構5の非図示のスイッチを操作し、加熱部51を消化する。以上により、対象領域の除草作業は終了する。
【0059】
<本実施形態の作用、効果>
例えば、野菜等を栽培中の畑の雑草を、従来の除草装置を用いて除草しようとした場合、装置が大型化する程、栽培中の野菜等が除草作業の障害となる可能性が高くなる。このため、除草装置から雑草に向けて過熱水蒸気を適切に排出するために、装置は小型であることが好ましい。これに対し、本実施形態における除草装置1は、1つの加熱部51により水蒸気と過熱水蒸気とを生成できる。このため除草装置1は、水蒸気と過熱水蒸気とを夫々生成するための2つの加熱部を必要としないので、小型化が可能となる。従って、除草装置1は、野菜等を栽培中の畑で使用される場合でも、過熱水蒸気を対象領域に適切に排出できる。
【0060】
配管4の螺旋部4Bは、貯水タンク3の錐体部32Bと加熱部51との間に配置される。このため除草装置1は、貯水タンク3と加熱部51との間に螺旋部4Bが配置されない場合と比べて、装置を小型できる。又、除草装置1は、貯水タンク3の貯水部3Aと配管4の螺旋部4Bとの両方に対して加熱部51の熱を効率よく伝達し、夫々を効率的に加熱できる。
【0061】
除草装置1において、配管4の螺旋部4B及び第1連通部4Cと加熱部51とは、何れも貯水タンク3の中空部3Bに配置される。又、貯水タンク3において中空部3Bは貯水部3Aにより覆われる。このため除草装置1は、1つの加熱部51の熱により、貯水タンク3と配管4とを効率よく加熱できる。
【0062】
配管4の螺旋部4Bは、仮想線Cを中心として螺旋状に延びる。この場合、除草装置1は、加熱部51により加熱される配管4の部位の長さを長くできるので、多くの水蒸気を再加熱して過熱水蒸気を生成できる。又、加熱部51は仮想線Cと重なる位置に設けられるので、除草装置1は、螺旋部4Bの水蒸気を加熱部51により効率的に再加熱して過熱水蒸気を生成できる。
【0063】
配管4は、加熱部51に近接する部分に第1連通部4C及び第2連通部4Dを有する。配管4内の水蒸気は、第1連結部41及び第2連通部4Dにおいて加熱部51により高温に再加熱される。つまり、配管4は、内部の水蒸気が高温に再加熱される第1連通部4C及び第2連通部4Dにおいて、排出部6に連通する。このため除草装置1は、高温に再加熱された過熱水蒸気を排出部6から排出できる。
【0064】
接地部7は、対象領域に接地した状態で、基部7A及び突出部7Bにより対象領域を覆う。この場合、除草装置1は、排出部6から排出される過熱水蒸気により、接地部7の空間7C内で対象領域を効率的に加熱できる。
【0065】
接地部7の基部7Aは、加熱部51に対して貯水タンク3が配置される側と反対側に設けられる。又、接地部7の突出部7Bは、基部7Aに対して加熱部51が設けられる側と反対側に突出する。このように、除草装置1は、加熱部51と接地部7とを効率よく配置することで、装置を小型化できる。
【0066】
排出部6の排出口6Cは、接地部7の突出部7Bの突出方向(下方)と直交する水平方向に開口する。この場合、排出部6から排出される過熱水蒸気は、接地部7の空間7Cに向けて水平方向に排出され、下方に排出されない。この場合、除草装置1は、過熱水蒸気が空間7Cから外方に向けて排出されることを抑制できる。又、排出部6の3つの排出口6Cは、何れも、接地部7の中心に対応する排出位置Cxに向けて開口する。つまり過熱水蒸気は、3つの排出口6Cから排出位置Cxに向けて排出される。このため除草装置1は、3つの排出口6Cから排出される過熱水蒸気を排出位置Cxに集中させることができるので、対象領域を効率よく加熱して除草することができる。具体的には、例えば排出口6Cから排出された直後の過熱水蒸気の温度を約350℃とした時、空間7Cのうち排出位置Cx近傍の温度を約200℃、空間7Cのうち突出部7B近傍の温度を約160℃とすることができる。
【0067】
除草装置1には、第1連結部41及び第2連結部42の流路を開閉可能なバルブ8Aが設けられる。このためユーザは、除草装置1の未使用時、ハンドル250を握る操作を解消することにより、第1連結部41及び第2連結部42の流路をバルブ8Aにより閉塞し、水蒸気の通流を禁止できる。この場合、除草装置1の未使用時において配管4の螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dに水蒸気が流入し、加熱部51により再加熱されることを防止できる。
【0068】
貯水タンク3に連結されたリリーフ弁8Bは、貯水タンク3の貯水部3Aの内部圧力が過大となった場合、自動的に開放して水蒸気を外部に排出する。この場合、除草装置1は、貯水部3A内で生成された水蒸気の圧力が過剰に増大することを抑制できる。なお、排出される水蒸気の温度の一例は約40℃であり、過熱水蒸気の温度よりも低い。このため、リリーフ弁8Bは、貯水部3Aの内部圧力を圧力調整するために、過熱水蒸気の温度よりも低い温度の水蒸気を排出できる。
【0069】
<変形例>
図7、
図8を参照し、変形例に係る除草装置1Aについて説明する。除草装置1Aでは、除草装置1(
図1等参照)における接地部7の代わりに接地部90を有し、且つ、操作管9を有する点で、除草装置1と相違する。除草装置1Aのその他の構成は、除草装置1と同一である。以下では、除草装置1と異なる構成のみ説明し、除草装置1と同一の構成については説明を省略する。
【0070】
図7に示すように、操作管9は管状を有し、継手9A、ホース9B、把持部9C、及び直管パイプ9Dを有する。継手9Aは、除草装置1Aの筐体27の前面に連結する。ホース9Bは湾曲可能であり、一端側が継手9Aに連通する。把持部9Cは、ユーザによる把持が可能な部位であり、ホース9Bの他端部に連結する。直管パイプ9Dは、把持部9Cから直線状に延びる。直管パイプ9Dの先端に接地部90が設けられる。接地部90は、除草装置1Aの使用時、除草の対象となる対象領域に接地される。接地部90の下端には、上方に向けて凹んだ凹部が形成される。又、凹部の底面及び側面には、過熱水蒸気を排出するための排出口が設けられる。排出口は操作管9に挿通される。接地部90は、上記実施形態の接地部7と同様に、シリコン製のスポンジで形成される。
【0071】
図8に示すように、排出部6の3つの延設部66は、各々、配管4の第2連通部4Dの下端と連通する部分から、前後方向において貯水タンク3よりも前方まで延びる。3つの延設部66は、各々の前端部にて連結し、筐体27内を上方に延び、上端部にて前方に曲折する。連結した3つの延設部66の前端部には、操作管9の継手9Aが連通される。
【0072】
対象領域の除草作業を行うユーザは、
図7に示すように、操作部86の把持部9Cを持ち、対象領域に接地部90を接地させる。この状態で対象領域は、接地部90の凹部にて囲まれた空間によって覆われる。ユーザが把持部25のハンドル250を握る操作を行うことにより、貯水タンク3の貯水部3Aにて生成された水蒸気は、配管4内に流入する。水蒸気は、配管4内を通過する過程で再加熱され、過熱水蒸気が生成される。生成された過熱水蒸気は排出部6に流入し、3つの延設部66を介して操作管9に向けて流れる。操作管9に流入した過熱水蒸気は接地部90に向けて流れ、接地部90の排出口から排出される。これにより、対象領域の雑草が過熱水蒸気によって除草される。
【0073】
なお、この変形例において、ハンドル250は、把持部25でなく把持部9Cに設けられてもよい。また、把持部25および把持部9Cの両方にハンドル250が設けられてもよい。更に、両方のハンドル250が操作された場合にバルブ8Aのゲートが解放され、何れか一方のハンドル250のみ操作された場合にバルブ8Aのゲートは閉塞状態で維持されてもよい。この場合、何れか一方のハンドル250のみの操作によって不用意に過熱水蒸気が排出されることを抑制でき、安全である。
【0074】
なお、除草装置1Aにおいて、ホース9B、把持部9C、および直管パイプ9Dに電熱線が設けられてもよい。ホース9B、把持部9C、および直管パイプ9Dを流れる過熱水蒸気は、電熱線により加熱、保温されてもよい。ホース9B、把持部9C、および直管パイプ9Dは、断熱材により覆われてもよい。ホース9Bは金属製でもよい。即ち、金属製のホース9Bが断熱材により覆われてもよい。
【0075】
<その他の変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。加熱部51はガスバーナに限定されず、他の熱源(例えば、木炭などの直下型の熱源、電熱線、ハロゲンランプ等)でもよい。配管4が分岐部43により分岐される場合の分岐数は、3つに限定されず、2、4以上でもよい。配管4は分岐部43にて分岐されず、1つの延設部のみに連通してもよい。配管4の螺旋部4Bの配置は、貯水タンク3の錐体部32Bと加熱部51との間に限定されない。例えば螺旋部4Bは、貯水タンク3を構成する別の任意の部位と加熱部51との間に配置されてもよい。又、貯水タンク3と加熱部51との間に配管4は配置されなくてもよい。例えば配管4の延設部46は、貯水タンク3の外側を通って下方に延び、貯水タンク3の円筒部31A、32Aを内側に貫通して中空部3Bの第1中空部301に進入してもよい。配管4は、第1中空部301でのみ再加熱され、過熱水蒸気が生成されてもよい。
【0076】
貯水タンク3は、水を貯める貯水部3Aのみ有していればよく、中空部3Bは有さなくてもよい。例えば貯水タンク3の貯水部3Aは、配管4を挟んで加熱部51と反対側にのみ設けられてもよい。
【0077】
配管4のうち第1連通部4C及び第2連通部4Dは、貯水タンク3の中空部3Bの外側に設けられてもよい。例えば螺旋部4Bの下端部は、貯水タンク3の円筒部31A、32Aを外側に貫通して延びてもよい、第1連結部41及び第2連結部42は、貯水タンク3の外側にて下方に延びていてもよい。この場合、第1連通部4C及び第2連通部4Dは、加熱部51により加熱されなくてもよい。
【0078】
接地部7の形状は、対象領域の形状や近傍の障害物(フェンス等)に応じて、適宜変更されてもよい。又、除草装置1は、接地部7を着脱可能としてもよい。ユーザは、対象領域の状態に応じて適切な接地部7を選択し、装着できるようにしてもよい。接地部7は、空間7Cを覆う吸水性部材(スポンジ等)を有していてもよい。排出部6は、吸水性部材内で過熱水蒸気を排出してもよい。この場合、接地部7は、吸水性部材が対象領域に接触することにより、雑草を除草してもよい。接地部7は、排出部6を保持する基部7Aのみ設けられ、突出部7Bは設けられなくてもよい。
【0079】
接地部7の向きを、対象領域の状態に応じて適宜調整可能としてもよい。この場合、接地部7の基部7Aの配置は、加熱部51に対して貯水タンク3が配置される側と反対側に限定されない。又、突出部7Bの突出する方向は下方に限定されず、適宜変更されてもよい。上記において、排出部6は、加熱部51よりも下側、言い換えれば、上下方向において、加熱部51に対して貯水タンク3が配置される側と反対側に対して貯水タンク3と反対側に配置された。貯水タンク3、加熱部51、及び排出部6の位置関係は、上記実施形態に限定されない。例えば排出部6は、加熱部51に対して前後左右何れかの方向に配置されてもよい。
【0080】
排出部6の3つの排出口6Cは、夫々異なる方向に開口し、異なる方向に過熱水蒸気を排出してもよい。排出位置Cxの位置は、接地部7の基部7Aの中心に限定されず、中心からずれた位置でもよい。排出部6の排出口6Cは、接地部7の突出部7Bの突出する方向と同一方向、即ち下方に開口してもよい。
【0081】
バルブ8Aは電磁バルブでもよい。又、バルブ8Aに安全装置が別途設けられてもよい。安全装置は、貯水タンク3の貯水部3A内の温度をサーミスタにより計測し、温度が所定温度よりも大きくなった場合、空焚きが発生したと判定してバルブ8Aを閉塞してもよい。リリーフ弁8Bは、第1連結部41に連結されてもよい。バルブ8A及びリリーフ弁8Bの少なくとも一方は、除草装置1に設けられなくてもよい。
【0082】
<その他>
なお、本実施形態の除草装置1は、過熱水蒸気により油汚れの除去等を目的とする過熱水蒸気発生装置に適用することもできる。この場合、過熱水蒸気発生装置は、除草装置1における排出部6及び接地部7に対応する機構を有さなくてもよい。代わりに、過熱水蒸気発生装置は、変形例に係る除草装置1A(
図7参照)における継手9Aに対応する機構を有してもよい。又、継手9Aに対応する機構には、噴射ノズルが着脱可能であってもよい。この場合、ユーザは、過熱水蒸気発生装置にて生成された過熱水蒸気を噴射ノズルから油汚れ等に向けて噴射させることにより、油汚れ等を容易に除去できる。
【0083】
配管4の螺旋部4B、第1連通部4C、及び第2連通部4Dは、本発明の「第1部分」の一例である。第1連通部4C及び第2連通部4Dは、本発明の「連通部」の一例である。第1連結部41及び第2連結部42は、本発明の「第2部分」の一例である。
【符号の説明】
【0084】
1 :除草装置
3 :貯水タンク
3A :貯水部
3B :中空部
4 :配管
4B :螺旋部
4C :第1連通部
4D :第2連通部
6 :排出部
6C :排出口
7 :接地部
7A :基部
7B :突出部
8A :バルブ
8B :リリーフ弁
41 :第1連結部
42 :第2連結部
51 :加熱部
C :仮想線