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特開2022-116457トリガー式液体噴出器用のレバーカバー
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  • 特開-トリガー式液体噴出器用のレバーカバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116457
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器用のレバーカバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012626
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB02
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FA07
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB02
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD21
(57)【要約】
【課題】 操作レバーに付着したウイルスや菌を消毒・除菌できるようにしたトリガー式液体噴出器用のレバーカバーを創出することを課題とする。
【解決手段】 容器体2に収容されている内容液を噴出孔35が設けられたノズル30に向けて圧送するポンプ10と、該ポンプ10を駆動させる操作レバー51と、を有するトリガー式液体噴出器A用のレバーカバーであって、
少なくとも前記操作レバー51の前面を覆う嵌合部61と、該嵌合部61から前記噴出孔35の前方位置まで延出されると共に前記噴出孔35から噴出された前記内容液の一部を前記嵌合部61の指掛け面62に導く誘導部63と、を有する構成とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(2)に収容されている内容液を噴出孔(35)が設けられたノズル(30)に向けて圧送するポンプ(10)と、該ポンプ(10)を駆動させる操作レバー(51)と、を有するトリガー式液体噴出器(A)用のレバーカバー(60)であって、
少なくとも前記操作レバー(51)の前面を覆う嵌合部(61)と、該嵌合部(61)から前記噴出孔(35)の前方位置まで延出されると共に前記噴出孔(35)から噴出された前記内容液の一部を前記嵌合部(61)の指掛け面(62)に導く誘導部(63)と、を有することを特徴とするトリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【請求項2】
誘導部(63)が、噴出した内容液の一部が付着する前壁(65)と、該前壁(65)に付着した内容液を嵌合部(61)に向けて流れ落とす傾斜面(64)と、該傾斜面(64)から嵌合部(61)の指掛け面(62)に内容液を通過させる誘導孔(67)とを有する請求項1記載の、トリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【請求項3】
前壁(65)の上端が、噴出孔(35)から噴出される内容液の噴出経路上に設けられている請求項2記載のトリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【請求項4】
指掛け面(62)上に、内容液を残留させる残留手段(70)が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【請求項5】
残留手段(70)が、複数の横長状の凸部又は凹部を所定の間隔で指掛け面(62)上に平行に配置することにより構成されている請求項4記載のトリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【請求項6】
残留手段(70)が、複数の傾斜状の凸部又は凹部を指掛け面(62)上にジグザグ状に連結配置することにより構成されている請求項4記載のトリガー式液体噴出器用のレバーカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーの操作によりポンプを作動させて容器体に収容されている内容液をノズルから噴出するトリガー式液体噴出器用のレバーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口部に装着される噴出器本体に、液体を送り出すポンプと、ポンプを作動させる操作レバーと、ポンプに液体を圧送する送出流路と、送出流路の出口端である送出口に設けられたノズルと、を備えるトリガー式液体噴出器が知られている。ノズルは、三角形や四角形等の断面形状を有する筒状の外周壁の内側に噴出孔を備えており、ポンプにより送出流路を経て送出口にまで圧送されてきた液体を噴出孔から外部に向けて噴出する。また、ノズルは、例えば外周壁への回転操作により、噴出孔の開閉状態を切り替え可能に構成されている。
このようなトリガー式液体噴出器では、指先で操作レバーを操作するとポンプが作動し、液体が容器体からノズルに圧送され、噴出孔から霧状、泡状、直噴射状等にして噴出させることが可能となっている(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-213495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インフルエンザ、新型コロナウイルスなどを始めとする感染症予防対策として、アルコールやエタノールなど液状の消毒剤・除菌剤を入れたトリガー式の液体噴出が店頭の入り口等に設置され、使用者自らが操作レバーを操作して消毒剤・除菌剤を手指に噴出することによる消毒・除菌が行われている。
【0005】
しかし、このようなトリガー式液体噴出器は、不特定多数の者が使用することになることから、ウイルスや菌が操作レバー自体に付着してしまった場合には、かえって感染を広げてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、操作レバーに付着したウイルスや菌を消毒・除菌できるようにしたトリガー式液体噴出器用のレバーカバーを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
容器体に収容されている内容液を噴出孔が設けられたノズルに向けて圧送するポンプと、該ポンプを駆動させる操作レバーと、を有するトリガー式液体噴出器用のレバーカバーであって、
少なくとも操作レバーに嵌合して前面を覆う嵌合部と、嵌合部から噴出孔の前方位置まで延出されると共に噴出孔から噴出された内容液の一部を嵌合部の指掛け面に案内する誘導部と、を有することを特徴とする、と云いうものである。
本発明の主たる手段では、レバーカバーを装着した操作レバーを操作する度に、噴出した内容液が誘導部を通じてレバーカバーの前面である指掛け面に流れ込むようになるため、指掛け面を消毒乃至は除菌することができる。
【0008】
また本発明の他の手段は、上記本発明の主たる手段に、誘導部が、噴出した内容液の一部が付着する前壁と、前壁に付着した内容液を嵌合部に向けて流れ落とす傾斜面と、傾斜面から嵌合部の指掛け面に内容液を通過させる誘導孔とを有する、との手段を加えたものである。
上記手段では、内容液を確実に嵌合部の指掛け面に案内することができる。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、前壁の上端が、噴出孔から噴出される内容液の噴出経路上に設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、噴出孔から噴出された内容液の一部を、確実に前壁に付着させることができる。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、指掛け面上に、内容液を残留させる残留手段が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、揮発性の高い内容液を指掛け面上に残留させることができる。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記手段に、残留手段が、複数の横長状の凸部又は凹部を所定の間隔で指掛け面上に平行に配置することにより構成されている、との手段を加えたものである。
あるいは、残留手段が、複数の傾斜状の凸部又は凹部を指掛け面上にジグザグ状に連結配置することにより構成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、誘導孔を通過して指掛け面に流れ出た内容液が、残留手段を構成する凸部又は凹部に残留されやすくできるため、指掛け面内容液で濡れる状態、すなわち消毒又は除菌状態を比較的長く保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、レバーカバーが装着された操作レバーの噴出操作を行うと、レバーカバーの表面である指掛け面に内容液が導かれて指掛け面を消毒乃至は除菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例としてレバーカバーを備えたトリガー式液体噴出器の一部を断面として示す側面図である。
図2】レバーカバーの第1実施形態を示す正面図である。
図3】(a)はレバーカバーの第2実施形態を示す正面図、(b)はレバーカバーの第3実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施例としてレバーカバーを備えたトリガー式液体噴出器の一部を断面として示す側面図、図2はレバーカバーの第1実施形態を示す正面図である。
初めにレバーカバーが装着されるトリガー式液体噴出器の構成について簡単に説明する。
尚、本実施形態では、容器体2の中心軸線を中心軸O1とし、この中心軸O1に沿って容器体2側を下側、その反対の装着キャップ5側を上側という。また、中心軸O1に沿った方向を上下方向又は鉛直方向といい、上下方向に直交し且つ紙面と平行を成なす一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0015】
図1に示すトリガー式液体噴出器Aは、例えば、アルコールやエタノールなどの液状の消毒剤又は除菌剤(以下、「内容液」という)を収容する容器体2の口部2aに対して装着キャップ5を介して取り付けて使用されるものであり、合成樹脂材料により形成されている。
【0016】
トリガー式液体噴出器Aは、容器体2内に収容されている内容液を吸い上げ、前方(図示左方向、以下同様)に噴出させるポンプ10と、内容液を噴出する噴出孔35が形成されたノズル30と、ポンプ10を駆動させるトリガー機構50を構成する操作レバー51と、主としてポンプ10で吸い上げた内容液をノズル30に送る噴出器本体(図示せず)を覆う本体カバー40と、有して構成されている。
【0017】
噴出器本体の詳細な説明は省略するが、ポンプ10の作用を受け、主に上下方向に沿って形成されて容器体2内に向けて垂下設されたパイプ6を介して内容液を吸い上げる吸い上げ筒部(図示せず)と、吸い上げ筒部から水平に延出される射出筒部(図示せず)と、後述するガイド部材20とを有して構成されている。
射出筒部の内側には、内容液をノズル30に送出するための送出流路(図示せず)が設けられている。
【0018】
ポンプ10は、筒状のシリンダ11と、このシリンダ11内を往復移動可能に設けられたプランジャ12とを有して構成されている。噴出器本体では、ポンプ10が駆動され、シリンダ11内が加圧されると、射出筒部と吸い上げ筒部との間が連通されると同時に吸い上げ筒部とパイプ6との連通が遮断される。またシリンダ11内が減圧されると、射出筒部と吸い上げ筒部との間の連通が遮断されると同時に吸い上げ筒部とパイプ6と間が連通される。尚、射出筒部と吸い上げ筒部との間の連通及びその遮断と、並びに吸い上げ筒部とパイプとの間の連通及びその遮断は、夫々に設けられた公知の逆止弁により行われる。
【0019】
本体カバー40の前方の位置には、図示しない射出筒部の前端部に組み付けられたガイド部材20が設けられている。ガイド部材20には、射出筒部の前端部に対向配置されるガイド隔壁(図示せず)から前方に向かって同軸状に延びる被装着筒部22及びガイド軸部23が一体に形成され、ガイド軸部23と被装着筒部22とが径方向に対向する筒状の環状空間24が設けられている。またガイド隔壁には、後方に向かって延びると共に射出筒部に嵌合する嵌合筒部(図示せず)が一体に形成され、更には射出筒部内の送出流路と環状空間24との間を連通する連通孔(図示せず)が設けられている。
【0020】
ノズル30は外周壁32を備え、外周壁32の内側には隔壁33が設けられている。外周壁32は断面略三角形の筒状となっており、ノズル30の外殻を構成している。隔壁33は外周壁32の中心軸O2に対して垂直な板状の部材で形成されており、被装着筒部22の開口端を覆っている。隔壁33には円筒状の装着筒34が一体に連設されている。装着筒34は被装着筒部22の外周を覆うと共に、その内周面に設けられた凸部が被装着筒部22の外周面に設けられた環状溝にアンダーカット係合することにより、ノズル30は被装着筒部22に対して回転可能に装着されている。
【0021】
隔壁33には中心軸O2に沿って貫通する噴出孔35が設けられている。噴出孔35は送出流路を形成する射出筒部よりも断面積が小さい小孔で形成されており、射出筒部内に圧送されてきた内容液を外部に向けて霧状に噴出させることが可能となっている。
【0022】
隔壁33の被装着筒部22の側(図示右側)を向く内側面には噴出孔35と同軸で且つ円筒状に形成された閉塞筒部36が一体に設けられ、閉塞筒部36が被装着筒部22の内周面に摺動可能に嵌合することで、被装着筒部22の開口端が隔壁33により液密に閉塞されている。また、隔壁33の内側面には閉塞筒部36とその中心軸O2を一致させ、且つその内側に位置する切替え筒部37が一体に設けられている。切替え筒部37はガイド軸部23の外側に摺動可能に嵌合している。閉塞筒部36及び切替え筒部37は、それぞれ被装着筒部22及びガイド軸部23に対して相対回転可能である。
【0023】
ガイド軸部23の前方の側壁面には中心軸O2に沿う方向に延びる一対の接続流路23aが中心軸O2を中心として対称に設けられている。一方、切替え筒部37の内周面には、その先端からガイド軸部23の接続流路23aに重複する位置にまで中心軸O2に沿う方向に延びる一対の接続流路37aが中心軸O2を中心として対称に設けられている。また隔壁33とガイド軸部23とが対向する空間にはスピン溝(室)27が形成されている。
【0024】
そして、ノズル30が図1に示す開位置にあるときには、切替え筒部37の接続流路37aと、ガイド軸部23の接続流路23aと、噴出孔35の内面側に設けたスピン溝(室)27とが連通し、これによりノズル30は噴出孔35が送出流路に連通されて内容液を噴出可能な開状態とされる。
【0025】
一方、詳細は図示しないが、ノズル30が開位置から中心軸O2回りに120度回転させた閉位置にすると、ガイド軸部23の接続流路23aと切替え筒部37の接続流路37aとが周方向にずれて非連通状態となり、ノズル30は噴出孔35が送出流路に対して遮断されて内容液を噴出できない閉状態とされる。このように、ノズル30を回転させて閉位置又は開位置に設定することにより、噴出孔35の開閉状態を切り替えることができるように構成されている。
【0026】
したがって、トリガー式液体噴出器Aの不使用時には、ノズル30を閉状態とすることで、誤操作等による液体の噴出を防止した状態で保管しておくことが可能となっている。
【0027】
トリガー機構50は、操作レバー51と、操作レバー51を前方に付勢する付勢部材52とを有して形成されている。操作レバー51は、ノズル30の下端近傍の位置に本体カバー40の下端から下方に延出された側面視略ノ字形状の部材である。
【0028】
操作レバー51は枢軸(図示せず)を介して噴出器本体に回動可能に支持されており、その中間部位においてプランジャ12の先端にピン部材13によって回動可能に連結されている。また、操作レバー51には、一端が噴出器本体に固定保持された付勢部材52が係止されており、この付勢部材52により、操作レバー51が手動で操作されたときに、操作レバー51を図1に実線で示す初期状態に復帰させる方向(図1中においては時計回り方向)に付勢することが可能となっている。付勢部材52は、例えば湾曲形状に形成された板ばねで構成とされているが、上記した機能を有するものであれば、他の構成であってもよい。
【0029】
そして、操作レバー51を実線で示す初期状態から後方に指で引いて二点鎖線に示す噴出状態にすると、プランジャ12が駆動されてシリンダ11内を加圧させることができ、また操作レバー51から指を離すと、付勢部材52が復帰し、操作レバー51が噴出状態から元の初期状態に戻され、シリンダ11内を減圧させることが可能となっている。
【0030】
この操作レバー51には着脱可能に設けられたレバーカバー60が装着されている。図2に示すように、レバーカバー60は、操作レバー51に嵌合する嵌合部61と、嵌合部61の前方の面である指掛け面62から噴出孔35の前方の位置までの間に設けられた誘導部63とを有して形成されている。
【0031】
本実施例では嵌合部61として、上端に操作レバー51が挿入される開口部を備えると共に下端部が閉塞された角筒状の部材であり、操作レバー51の外面に着脱可能に嵌合する構成として示しているが、少なくとも操作レバー51に嵌合した状態で操作レバー51の前方の面を覆う指掛け面62を備える構成であればよい。
【0032】
誘導部63は、指掛け面62の上部位置から斜め上方に向かって形成された傾斜面64と、傾斜面64の上端から上方に向かって延びる前壁65と、左右方向において対向配置された一対の側壁66と、傾斜面64の基端で且つ指掛け面62との連結部分に形成された誘導孔67とを有して形成されている。尚、図1に示すように、前壁65の上端は噴出孔35から噴出される内容液の噴出経路上、すなわち噴出孔35を通る中心軸O2の延長線上に位置するように設けられている。
【0033】
トリガー式液体噴出器Aを使用する際には、ノズル30を摘まんで閉位置から開位置へと回動操作させ、噴出孔35が送出流路に連通されて内容液を噴出可能な開状態に設定する。続いて、トリガー式液体噴出器Aを片手で保持した状態において、指掛け面62に当接させた指を後方に引いて操作レバー51を操作する。すると、操作レバー51が初期状態から噴出状態に向かって回動し、プランジャ12が移動してポンプ10が駆動され、シリンダ11内が加圧される。これにより、シリンダ11内の内容液が吸い上げ筒部内に導入され、図示しない逆止弁の作用により、射出筒部と吸い上げ筒部との間が開弁して連通し、且つ吸い上げ筒部とパイプ6との間の連通が閉弁して遮断されるため、吸い上げ筒部から射出筒部内に内容液が圧送供給される。すると、射出筒部の内圧が上昇するので、射出筒部の内容液を図示しない連通孔、環状空間24、接続流路37a、接続流路23a、スピン溝(室)27を通じて噴出孔35から前方に向けて霧状に噴出される。
この際、図1に示すように、レバーカバー60も操作レバー51と共に初期状態から噴出状態に回動するため、これに伴って誘導部63も実線に示す初期状態から破線で示す噴出状態に遷移することになる。
尚、レバーカバー60を操作レバー51に装着した状態では、嵌合部61を有する分だけ実質的に操作レバー51の長さを下方に延ばすことができるため、操作レバー51の操作性を向上させることが可能である。
【0034】
レバーカバー60の前壁65の上端は、噴出孔35を通る中心軸O2の延長線上に位置するように設けられているため、内容液の大部分は、噴出孔35から前方に向かって霧状に噴出されるが、一部の内容液については前壁65の内面に付着することになる。そして、操作レバー51を引く噴出操作を数回繰り返すと、前壁65の内面では内容液が雫となって流れ出し、前壁65から傾斜面64上を下方に向かって流れ落ちる。
【0035】
操作レバー51を引いた噴出状態では、傾斜面64が略水平姿勢に設定される。このため、傾斜面64、前壁65及び一対の側壁66によって囲まれる保持空間Sに傾斜面64上を流れ落ちた内容液を一時的に溜めることができ、ここで溜まった内容液は操作レバー51が初期状態に戻ったときに、誘導孔67を通過して指掛け面62上に流れ落ちることとなる。これにより、レバーカバー60の、特に指掛け面62を内容液(アルコールやエタノールなど)で濡らすことが可能となり、指掛け面62を消毒又は除菌することが可能となる。よって、不特定多数の者がトリガー式液体噴出器Aを使用したとしても、ウイルス又は菌の感染の広がりを抑制することが可能となる。
【0036】
尚、トリガー式液体噴出器Aのノズル30を下向きに向けて噴出させた場合にあっても上記同様に傾斜面64、前壁65及び一対の側壁66によって囲まれる保持空間Sにおいて内容液を一時的に溜めることが可能であり、トリガー式液体噴出器Aを元の正立姿勢(図1参照)に戻した時に内容液が指掛け面62上に流れ落ちることになる。
【0037】
ところで、消毒又は除菌状態を維持するには、指掛け面62が内容液で濡れた状態を可能な限り長く維持することが必要となる。そこで、以下においては比較的揮発性が高いアルコールやエタノールなどの内容液を指掛け面62上に留まらせる残留手段について説明する。
【0038】
図3(a)はレバーカバーの第2実施形態を示す正面図、図3(b)はレバーカバーの第3実施形態を示す正面図である。
図3(a)に示すレバーカバーの第2実施形態では、複数の横長状の凸部又は凹部を所定の間隔で指掛け面62上に平行に配置することで残留手段70としたものである。
他方、図3(b)に示すレバーカバーの第3実施形態では、複数の傾斜状の凸部又は凹部を指掛け面62上にジグザグ状に連結配置することで残留手段70としたものである。
【0039】
上記いずれの実施形態においても、誘導孔67を通過して指掛け面62に流れ出た内容液は、残留手段70を構成する凸部又は凹部において残留されやすくなる。よって、指掛け面62が内容液で濡れる状態、すなわち消毒又は除菌状態を比較的長く維持することが可能となる。
また残留手段70は、凸部又は凹部が滑り止めとしても機能する。このため、操作レバー51を後方に引くことによる噴出操作を確実に行うことが可能となる。
また上記においては、レバーカバー60を操作レバー51に着脱可能な構成としたことから、既存のトリガー式液体噴出器Aをそのまま使用することが可能である。
【0040】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0041】
上記実施例では、既存のトリガー式液体噴出器Aの操作レバー51にレバーカバー60を装着する場合を示して説明したが、操作レバー51自体をレバーカバーで形成することでその機能を持たせる構成としてもよい。
【0042】
また上記実施例では、傾斜面64の基端と指掛け面62との連結部分に形成した誘導孔67を通過することで内容液が嵌合部61の指掛け面62を下端に向かって流れる構成を示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、傾斜面64の基端と指掛け面62とが対向する部分に隙間を形成すると共にその隙間内に連結板を配置し、傾斜面64の基端と指掛け面62との間が連結板のみで連結される構成としても良い。この構成では、内容液は傾斜面64から連結板を流れて嵌合部61に達すことになるが、それと同時に連結板の両側の隙間から指掛け面62に向かって流れるようになるため、上記同様に指掛け面62を内容液で消毒乃至は除菌することが可能である。
【0043】
更に、上記レバーカバーの第2及び第3実施形態では、残留手段70として、横長状又は傾斜状の凸部又は凹部を指掛け面62上に形成した構成を示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、指掛け面62上に付着した内容液を一定時間保持することができる構成であれば、凸部又は凹部の組み合わせは適宜設定可能である。例えば、凸部又は凹部を交互に配置する構成、或いはシボ状の凹凸などからなる構成としてもよい。
【0044】
またレバーカバー60を装着するトリガー式液体噴出器Aは、上記実施例に限られるものはない。すなわち、操作レバー51を引くことでノズル30の噴出孔35から内容液が噴出するタイプのトリガー式液体噴出器であれば、ポンプ及びその他の内部の構成はどのようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、トリガー式液体噴出器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0046】
2 : 容器体
2a : 口部
5 : 装着キャップ
6 : パイプ
10 : ポンプ
11 : シリンダ
12 : プランジャ
13 : ピン部材
20 : ガイド部材
22 : 被装着筒部
23 : ガイド軸部
23a: 接続流路
24 : 環状空間
27 : スピン溝(室)
30 : ノズル
32 : 外周壁
33 : 隔壁
34 : 装着筒
35 : 噴出孔
36 : 閉塞筒部
37 : 切替え筒部
37a: 接続流路
40 : 本体カバー
50 : トリガー機構
51 : 操作レバー
52 : 付勢部材
60 : レバーカバー
61 : 嵌合部
62 : 指掛け面
63 : 誘導部
64 : 傾斜面
65 : 前壁
66 : 側壁
67 : 誘導孔
70 :残留手段
A : トリガー式液体噴出器
O1 : 中心軸
O2 : 中心軸
S : 保持空間
図1
図2
図3