(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011646
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】自動運転車両
(51)【国際特許分類】
B60W 50/04 20060101AFI20220107BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220107BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220107BHJP
B60W 50/023 20120101ALI20220107BHJP
【FI】
B60W50/04
H02J7/00 L
B60W60/00
B60W50/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112928
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
【テーマコード(参考)】
3D241
5G503
【Fターム(参考)】
3D241BA29
3D241BA63
3D241CD07
3D241DA69Z
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA16
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】バックアップ電源を有効に活用すること。
【解決手段】自動運転車両Ve1は、自動運転の際に使用される第1電装品21及び第3電装品23と、第1電装品21及び第3電装品23に電力を供給する車両電源13と、車両電源13とは異なるバックアップ電源40と、バックアップ電源40を着脱可能な装着部30と、車両側接続部32と、を備える。バックアップ電源40は、車両側接続部32と接続される第1接続部45と、第1接続部45に接続された蓄電装置41と、蓄電装置41から供給される電力を変換する双方向インバータ50と、双方向インバータ50で変換された電力を外部機器71へ出力する第2接続部49と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転の際に使用される電装品と、
前記電装品に電力を供給する車両電源と、
前記車両電源とは異なる電源であって前記電装品に電力を供給するバックアップ電源と、
前記バックアップ電源を着脱可能な装着部と、
前記装着部に前記バックアップ電源が装着されている状態で、前記バックアップ電源と前記電装品とを接続させる車両側接続部と、を備え、
前記バックアップ電源は、
前記車両側接続部と接続される第1接続部と、
前記第1接続部に接続された蓄電装置と、
前記蓄電装置から供給される電力を変換する電力変換器と、
前記電力変換器で変換された電力を外部機器へ出力する第2接続部と、を備える自動運転車両。
【請求項2】
前記自動運転車両は、
前記車両側接続部と前記第1接続部とが接続されているか否かを判定する接続判定部と、
前記接続判定部が前記車両側接続部と前記第1接続部とが接続されていないと判定した場合、自動運転の禁止を行う制御部と、を備える請求項1に記載の自動運転車両。
【請求項3】
前記電力変換器は、双方向電力変換器である請求項1又は請求項2に記載の自動運転車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両としては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の自動運転車両は、電装品と、車両電源と、バックアップ電源と、を備える。バックアップ電源は、蓄電装置を備える。自動運転時に車両電源が失陥した場合、バックアップ電源装置によって電装品が駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転車両に搭載されるバックアップ電源の蓄電装置は、車両電源に異常が生じた場合等、緊急時に使用されるもので、使用される頻度が低いのが現状である。
本発明の目的は、バックアップ電源を有効に活用できる自動運転車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する自動運転車両は、自動運転の際に使用される電装品と、前記電装品に電力を供給する車両電源と、前記車両電源とは異なる電源であって前記電装品に電力を供給するバックアップ電源と、前記バックアップ電源を着脱可能な装着部と、前記装着部に前記バックアップ電源が装着されている状態で、前記バックアップ電源と前記電装品とを接続させる車両側接続部と、を備え、前記バックアップ電源は、前記車両側接続部と接続される第1接続部と、前記第1接続部に接続された蓄電装置と、前記蓄電装置から供給される電力を変換する電力変換器と、前記電力変換器で変換された電力を外部機器へ出力する第2接続部と、を備える。
【0006】
バックアップ電源は、蓄電装置から供給される電力を、電力変換器を通じて第2接続部に出力する。第2接続部が外部機器と接続されているとき、バックアップ電源が出力する電力は、第2接続部に接続された外部機器に供給される。バックアップ電源を外部電源として利用できるため、バックアップ電源と有効に活用できる。
【0007】
上記自動運転車両について、前記車両側接続部と前記第1接続部とが接続されているか否かを検出する接続判定部と、前記接続判定部が前記車両接続部と前記第1接続部とが接続されていないと判定した場合、自動運転の禁止を行う制御部と、を備えていてもよい。
【0008】
上記自動運転車両について、前記電力変換器は、双方向電力変換器であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バックアップ電源を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】自動運転車両が停止状態から起動状態にされた場合に制御装置が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、自動運転車両の一実施形態について説明する。なお、自動運転車両には、自動運転レベル3~自動運転レベル5の自動運転車両に限られず、自動運転レベル1及び自動運転レベル2の自動運転車両も含まれる。即ち、自動運転車両には、搭乗者による運転操作を必要とせずに運転が行われる自動運転車両に限られず、搭乗者による運転操作を主体とし、搭乗者に対する運転支援が行われる自動運転車両も含む。自動運転車両は、搭乗者の運転操作による手動運転が行われる手動運転モードと、運転支援を含む自動運転が行われる自動運転モードとを切り替えることが可能である。
【0012】
図1に示すように、自動運転車両Ve1は、車両電気系統10と、バックアップ電源40と、を備える。
車両電気系統10は、スタートスイッチ11と、操作部12と、第1電装品21と、第2電装品22と、第3電装品23と、第1配線L1と、第2配線L2と、第2配線L2に設けられる切替スイッチSWと、車両電源13と、装着部30と、車両側接続部32と、昇圧部36と、降圧部38と、制御装置60と、を備える。
【0013】
スタートスイッチ11は、自動運転車両Ve1の起動状態と停止状態とを切り替えるためのスイッチである。スタートスイッチ11は、例えば、自動運転車両Ve1の搭乗者により操作される。起動状態とは、自動運転車両Ve1の走行が可能な状態である。停止状態とは、自動運転車両Ve1の走行を行えない状態である。スタートスイッチ11は、イグニッションスイッチやシステム起動スイッチ等と呼称されることもある。起動状態はイグニッションオン、停止状態はイグニッションオフと呼称されることもある。
【0014】
操作部12は、自動運転車両Ve1を自動運転モードに遷移させるための部材である。操作部12は、自動運転車両Ve1の搭乗者により操作される。スタートスイッチ11により自動運転車両Ve1を起動状態とした後に、操作部12を操作することで自動運転車両Ve1は自動運転モードに遷移する。
【0015】
第1電装品21は、自動運転の際に使用される電装品である。第1電装品21は、自動運転の際に使用される電装品のうち、自動運転車両Ve1の異常時に自動運転車両Ve1が退避走行を行うために必要となる電装品である。第1電装品21としては、例えば、ブレーキやパワーステアリングを挙げることができる。第1電装品21は、自動運転の際に使用されればよく、手動運転の際に使用されるものであっても、手動運転の際には使用されないものであってもよい。
【0016】
第2電装品22は、自動運転車両Ve1の異常時に、必ずしも電力の供給を行わなくてもよい電装品である。第2電装品22に電力供給が行われなくても、自動運転車両Ve1が退避走行を行うことができる。第2電装品22としては、例えば、カーナビゲーションシステムやオーディオを挙げることができる。
【0017】
第3電装品23は、第1電装品21と同一又は類似する機能を備える電装品である。第1電装品21及び第3電装品23の少なくともいずれかに電力が供給されることで、自動運転車両Ve1は自動運転可能である。
【0018】
第1配線L1は、車両電源13と第1電装品21及び第2電装品22とを接続する配線である。第1配線L1は、車両電源13から供給された電力を第1電装品21及び第2電装品22に供給する。これにより、第1電装品21及び第2電装品22が駆動する。
【0019】
第2配線L2は、車両電源13と第3電装品23とを接続する配線である。第2配線L2は、車両電源13から供給された電力を第3電装品23に供給する。これにより、第3電装品23が駆動する。
【0020】
切替スイッチSWは、第2配線L2に設けられている。切替スイッチSWのオンとオフとが切り替えられることで、車両電源13から第3電装品23への電力の供給と遮断とが切り替えられる。切替スイッチSWがオンの状態で、車両電源13から第3電装品23に電力が供給される。切替スイッチSWがオフの状態で、車両電源13から第3電装品23への電力の供給が遮断される。
【0021】
車両電源13は、バッテリBと、DC/DCコンバータ14と、鉛蓄電池15と、を備える。
バッテリBは、例えば、公称電圧が200[V]のバッテリである。バッテリBは、例えば、自動運転車両Ve1を走行させるモータの電力源となる。バッテリBとしては、例えば、充放電可能な蓄電装置を複数接続したものが挙げられる。
【0022】
DC/DCコンバータ14は、バッテリBから入力された電圧を降圧させて出力する。DC/DCコンバータ14の出力電圧は、例えば、12[V]である。DC/DCコンバータ14は、第1配線L1及び第2配線L2に接続されている。
【0023】
鉛蓄電池15は、第1配線L1及び第2配線L2に接続されている。鉛蓄電池15は、DC/DCコンバータ14が駆動していない場合などに、第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23に電力を供給する。鉛蓄電池15の出力電圧は、例えば、12[V]である。
【0024】
バックアップ電源40は、蓄電装置41と、BMS42と、第1接続部45と、第2接続部49と、電力変換器としての双方向インバータ50と、を備える。バックアップ電源40は、車両電源13とは異なる電源である。
【0025】
蓄電装置41としては、リチウムイオン蓄電池、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池など充放電可能なものであれば、どのようなものを採用してもよい。蓄電装置41は、単数であってもよいし、複数の蓄電装置を直列接続あるいは並列接続したユニットであってもよい。蓄電装置41は、車両電源13の出力電圧よりも低い電圧を出力する。蓄電装置41は、例えば、7[V]の電圧を出力する。
【0026】
BMS42は、蓄電装置41の状態を監視するためのバッテリマネジメントシステムである。BMS42は、蓄電装置41の状態を検出するセンサ43と、センサ43の検出結果から蓄電装置41の状態を監視する監視部44とを備える。センサ43は、少なくとも、蓄電装置41の充放電電流を検出する電流センサ及び蓄電装置41の端子間電圧を検出する電圧センサを含む。監視部44としては、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成される。監視部44が実行する処理は、記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより行われてもよいし、専用の電子回路が実行するハードウェア処理を通じて行われてもよい。監視部44は、センサ43の検出した結果から蓄電装置41の充電率を推定する。監視部44は、蓄電装置41の劣化判定を行う。劣化判定は、例えば、蓄電装置41の内部抵抗を測定することで行うことができる。
【0027】
第1接続部45は、第1電源端子46と、第2電源端子47と、電源通信端子48と、を備える。第1電源端子46は、蓄電装置41の正極と接続されている。第2電源端子47は、蓄電装置41の負極と接続されている。電源通信端子48は、監視部44に接続されている。
【0028】
第2接続部49は、外部機器71に接続される。本実施形態の外部機器71は、交流電力の入力によって駆動する機器である。第2接続部49には、外部交流電源72を接続することも可能である。外部交流電源72は、第2接続部49に対して交流電力を入力可能な電源である。外部交流電源72としては、例えば、家庭用の交流電源を用いることができる。
【0029】
第2接続部49が外部機器71と接続されている場合、バックアップ電源40は、第2接続部49を介して外部機器71に電力を出力する。第2接続部49が外部交流電源72と接続されている場合、外部交流電源72は、第2接続部49を介してバックアップ電源40に電力を供給する。
【0030】
双方向インバータ50は、第1DC入出力端子51と、第2DC入出力端子52と、第1AC入出力端子53と、第2AC入出力端子54と、変換部55と、センサ56と、インバータ制御部57と、を備える。
【0031】
第1DC入出力端子51は、蓄電装置41の正極に接続されている。第2DC入出力端子52は、蓄電装置41の負極に接続されている。第1AC入出力端子53及び第2AC入出力端子54は、第2接続部49に接続されている。
【0032】
変換部55は、DC入出力端子51,52から入力された直流電力を交流電力に変換してAC入出力端子53,54に出力することが可能であり、かつ、AC入出力端子53,54から入力された交流電力を直流電力に変換してDC入出力端子51,52に出力することが可能である。
【0033】
センサ56は、第2接続部49が外部交流電源72に接続されていることを検出するために設けられている。センサ56としては、例えば、外部交流電源72から第2接続部49に加えられる電圧を検出する電圧センサや、外部交流電源72から供給される電流を検出する電流センサが用いられる。
【0034】
インバータ制御部57は、CPUやGPU等のプロセッサと、RAM及びROM等の記憶部と、を備える。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。インバータ制御部57は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路であるインバータ制御部57は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0035】
インバータ制御部57は、センサ56の検出結果から第2接続部49が外部交流電源72に接続されていることの検出を行う。
インバータ制御部57は、変換部55を制御することで電力変換を行う。インバータ制御部57は、第2接続部49に外部交流電源72が接続されているか外部機器71が接続されているかによって、変換部55の制御を変える。インバータ制御部57は、第2接続部49に外部機器71が接続されていると判定した場合、DC入出力端子51,52から入力された直流電力を交流電力に変換するように変換部55を制御する。DC入出力端子51,52から変換部55に蓄電装置41からの直流電力が入力され、AC入出力端子53,54から交流電力が出力される。変換部55から出力された交流電力は第2接続部49を介して外部機器71に供給される。インバータ制御部57は、第2接続部49に外部交流電源72が接続されていると判定した場合、AC入出力端子53,54から入力された交流電力を直流電力に変換するように変換部55を制御する。AC入出力端子53,54から変換部55に外部交流電源72からの交流電力が入力され、DC入出力端子51,52から直流電力が出力される。この直流電力は、蓄電装置41に供給される。このように、変換部55は、DC入出力端子51,52に入力された電力をAC入出力端子53,54から出力することが可能であり、かつ、AC入出力端子53,54に入力された電力をDC入出力端子51,52から出力することが可能である。双方向インバータ50は、蓄電装置41から入力された電力を変換して出力することが可能であり、かつ、第2接続部49から入力された電力を変換して蓄電装置41に出力することも可能な双方向電力変換器といえる。
【0036】
装着部30は、バックアップ電源40を着脱可能に構成されている。装着部30は、例えば、車室内に露出した状態で設けられる。装着部30は、ロック機構31を備える。ロック機構31により、バックアップ電源40がロックされている状態では、装着部30からバックアップ電源40を取り外すことが禁止される。ロック機構31により、バックアップ電源40がロックされていない状態では、装着部30からバックアップ電源40を取り外すことが許容される。以下の説明において、バックアップ電源40がロック機構31によりロックされている状態をロック状態、バックアップ電源40がロックされていない状態をアンロック状態と称する。ロック機構31は、例えば、ソレノイドロックによりバックアップ電源40をロックする装置である。
【0037】
車両側接続部32は、第1車両端子33と、第2車両端子34と、車両通信端子35と、を備える。第2車両端子34は、グランドに接続されている。装着部30にバックアップ電源40が装着されている状態で、車両側接続部32には第1接続部45が装着される。装着部30からバックアップ電源40が取り外されている状態で、車両側接続部32からは第1接続部45が取り外されている。
【0038】
車両側接続部32に第1接続部45が装着されている状態で、第1車両端子33は、第1接続部45の第1電源端子46に接続される。車両側接続部32に第1接続部45が装着されている状態で、第2車両端子34は、第1接続部45の第2電源端子47に接続される。車両通信端子35は、制御装置60に接続されている。車両側接続部32に第1接続部45が装着されている状態で、電源通信端子48に接続される。
【0039】
昇圧部36は、昇圧スイッチング素子37を備える。昇圧部36は、昇圧スイッチング素子37のスイッチング動作により、第1車両端子33から入力される直流電圧を昇圧して出力する昇圧回路である。昇圧部36は、入力端から入力された直流電圧を昇圧させて出力端から出力する。昇圧部36の入力端は、第1車両端子33に接続されている。昇圧部36の出力端は、第2配線L2に接続されている。昇圧部36は、車両電源13の出力電圧よりも低い電圧であり、かつ、第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23を駆動できる電圧を出力する。昇圧部36は、例えば、10[V]~11[V]の電圧を出力する。
【0040】
装着部30にバックアップ電源40が装着されている状態で、車両側接続部32はバックアップ電源40と昇圧部36とを接続している。車両側接続部32は、昇圧部36を介してバックアップ電源40と第3電装品23とを接続させているといえる。
【0041】
降圧部38は、降圧スイッチング素子39を備える。降圧部38は、降圧スイッチング素子39のスイッチング動作により、車両電源13から入力される直流電圧を降圧して出力する降圧回路である。降圧部38は、入力端から入力された直流電圧を降圧させて出力端から出力する。降圧部38の入力端は、第2配線L2に接続されている。降圧部38の出力端は、第1車両端子33に接続されている。降圧部38は、蓄電装置41の端子間電圧よりも高い電圧を出力する。
【0042】
制御装置60は、CPUやGPU等のプロセッサと、RAM及びROM等の記憶部と、を備える。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置60は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置60は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0043】
制御装置60は、自動運転車両Ve1が起動状態の場合、DC/DCコンバータ14を駆動させることで第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23に電力を供給する。これにより、第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23が駆動する。第1電装品21及び第3電装品23で機能冗長を図っているため、自動運転車両Ve1が自動運転モードの場合に第1電装品21及び第3電装品23のいずれかに不具合が生じた場合であっても、自動運転を継続することができる。なお、本実施形態では、車両電源13に異常等が発生して、車両電源13から第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23に電力が供給できなくなった場合、切替スイッチSWをオフする。
【0044】
また、制御装置60は、自動運転車両Ve1が停止状態から起動状態に遷移した場合に以下の起動時制御を行う。
図2に示すように、ステップS1において、制御装置60は、第1接続部45と車両側接続部32とが接続されているか否か判定する。本実施形態において、制御装置60は、監視部44との通信が確立しているか否かを判定することで、第1接続部45と車両側接続部32との接続状態を判定する。バックアップ電源40が装着部30に正常に装着されている場合、電源通信端子48と車両通信端子35とが接続される。一方で、バックアップ電源40が装着部30から取り外されている場合や、バックアップ電源40が正常に装着部30に装着されていない場合、電源通信端子48と車両通信端子35とが接続されない。従って、制御装置60は、監視部44から情報を取得できるか否かにより、第1接続部45と車両側接続部32とが接続されているか否か判定することができる。制御装置60は、電源通信端子48及び車両通信端子35を介して監視部44から蓄電装置41に関する情報を取得できる場合、第1接続部45と車両側接続部32とが接続されていると判定する。一方、制御装置60は、監視部44から情報を取得できない場合、第1接続部45と車両側接続部32とが接続されていないと判定する。ステップS1の判定結果が否定の場合、制御装置60はステップS2の制御を行う。一方で、ステップS1の判定結果が肯定の場合、制御装置60はステップS3の制御を行う。
【0045】
ステップS2において、制御装置60は、自動運転を禁止する。制御装置60は、操作部12が操作されても、自動運転モードに遷移しないようにすることで、自動運転を禁止する。なお、制御装置60は、第1接続部45と車両側接続部32とが接続されていないと判定した場合、第1接続部45と車両側接続部32、即ち、バックアップ電源40と車両電気系統10とが接続されていないことを搭乗者に警告するようにしてもよい。例えば、制御装置60は、搭乗者が視認可能な位置に配置された表示部に、バックアップ電源40と車両電気系統10とが接続されていないことを警告する表示を行う。また、音や光による警告を行ってもよい。制御装置60は、ステップS2の処理を終えると、起動時制御を終了する。この場合、制御装置60は、手動運転モードによる手動運転を許容してもよい。
【0046】
ステップS3において、制御装置60は、自動運転を許容する。ステップS3の処理を終えると、制御装置60は起動時制御を終了する。操作部12が操作されることで、自動運転車両Ve1は自動運転モードに遷移し、自動運転が行われることになる。起動時制御は、自動運転車両Ve1の起動時に所定の制御周期で繰り返し行われてもよいし、自動運転車両Ve1の起動時に1回のみ行われてもよい。ステップS1の処理を行うことで、制御装置60は、接続判定部として機能している。ステップS2の処理を行うことで、制御装置60は、制御部として機能している。
【0047】
次に、自動運転車両Ve1が自動運転モードに遷移した後に制御装置60が行う制御について説明する。上記したように、自動運転モードの際には、バックアップ電源40が装着部30に装着されており、バックアップ電源40から車両電気系統10への電力の供給が可能な状態である。
【0048】
自動運転車両Ve1が自動運転モードに遷移すると、制御装置60はロック機構31を制御することで、バックアップ電源40をロック状態にする。これにより、自動運転モード中にバックアップ電源40が装着部30から取り外されることが禁止される。
【0049】
自動運転車両Ve1が自動運転モードに遷移すると、制御装置60は、昇圧部36を駆動させる。第1接続部45と車両側接続部32とが接続されている状態では、蓄電装置41と昇圧部36とが接続されることで、蓄電装置41の電力が昇圧部36に入力される。この状態で、昇圧部36が駆動することで、昇圧部36は蓄電装置41の電圧を昇圧させて第2配線L2に出力する。昇圧部36から出力される電圧は、車両電源13の電圧よりも低いため、車両電源13からの電力が第2配線L2に出力されている状態では、昇圧部36から出力される電力は第3電装品23に供給されない。
【0050】
制御装置60は、車両電源13に異常が生じた場合、切替スイッチSWをオフにすることで、車両電源13から第2配線L2への電力の供給を遮断する。切替スイッチSWがオフされることで、第3電装品23への車両電源13からの電力は失陥する。車両電源13から第2配線L2に電力が供給されなくなることで、昇圧部36から出力される電力が第2配線L2に加わる。これにより、車両電源13から第3電装品23に電力が供給されなくなっても第3電装品23は昇圧部36から供給される電力によって継続して駆動する。従って、自動運転車両Ve1の自動運転が継続されることになる。なお、切替スイッチSWのオフに限らず、車両電源13に異常が生じることで、車両電源13の電力が第3電装品23に供給不能となった場合であっても同様のことがいえる。このように、バックアップ電源40は、車両電源13が失陥した場合にも自動運転を継続させるためのバックアップとして機能している。なお、制御装置60は、自動運転車両Ve1が自動運転モードの際にバックアップ機能を発揮させることができればよい。従って、制御装置60は、自動運転車両Ve1が停止状態から起動状態になった際に昇圧部36を駆動させるようにしてもよい。
【0051】
制御装置60は、BMS42から蓄電装置41の充電率を示す情報を取得することで、蓄電装置41の充電率を把握可能である。制御装置60は、蓄電装置41の充電率が予め定められた閾値を下回っている場合、降圧部38を制御することで蓄電装置41に電力を供給する。これにより、蓄電装置41は充電される。
【0052】
自動運転車両Ve1の自動運転モードが解除されると、制御装置60は、ロック機構31をアンロック状態にする。これにより、自動運転車両Ve1が自動運転モードではない場合、バックアップ電源40を装着部30から取り外すことができる。
【0053】
本実施形態の作用について説明する。
第2接続部49に外部機器71が接続されると、バックアップ電源40は、蓄電装置41から供給される電力を、双方向インバータ50を通じて第2接続部49に出力する。これにより、バックアップ電源40を外部電源として用いて外部機器71を駆動させることができる。バックアップ電源40は、装着部30に装着されている場合であっても、装着部30から外されている場合であっても外部機器71に電力を供給可能である。バックアップ電源40が装着部30に装着されている場合、蓄電装置41の電力を外部機器71に供給するようにしてもよいし、降圧部38を駆動させることで、車両電源13の電力を外部機器71に供給しつつ、同時に蓄電装置41を充電することも可能である。
【0054】
バックアップ電源40は、蓄電装置41と双方向インバータ50とをユニット化したものであるため、バックアップ電源40を装着部30から取り外した状態であっても外部機器71に電力を供給可能である。バックアップ電源40を着脱可能とせず、第2接続部49を車室内に露出させることでバックアップ電源40から外部機器71に電力を供給することも考えられる。しかしながら、この場合には、バックアップ電源40を車室外に移動させることができないため、バックアップ電源40を外部電源として使用することに位置的な制限が加わる。第2接続部49を移動可能に設けた場合であっても、第2接続部49と双方向インバータ50を接続するケーブルの長さにより、第2接続部49の移動は制限されるため同様の課題が生じ得る。
【0055】
これに対し、本実施形態のように、バックアップ電源40を装着部30から取り外した状態であっても外部機器71に電力を供給可能にすることで、自動運転車両Ve1から離れた位置であってもバックアップ電源40を外部電源として使用することができる。
【0056】
本実施形態の効果について説明する。
(1)バックアップ電源40は、蓄電装置41から供給される電力を、双方向インバータ50を通じて第2接続部49に出力する。これにより、バックアップ電源40を外部電源として利用できるため、バックアップ電源40を有効に活用できる。
【0057】
(2)制御装置60は、車両側接続部32と第1接続部45とが接続されているか否かを判定している。制御装置60は、車両側接続部32と第1接続部45とが接続されていないと判定した場合、自動運転を禁止する。これにより、自動運転時に適切にバックアップ機能を発揮させることができる。
【0058】
(3)電力変換器として、双方向インバータ50を用いている。第2接続部49に外部交流電源72が接続された場合には、外部交流電源72によって蓄電装置41を充電することができる。鉛蓄電池15及び蓄電装置41の両方の充電が不足した場合、第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23に電力を供給できず、自動運転車両Ve1を起動状態にすることができないおそれがある。この際、外部交流電源72を用いて蓄電装置41を充電することで、蓄電装置41の電力を用いて第1電装品21、第2電装品22及び第3電装品23に電力を供給することができる。
【0059】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○電力変換器としては、蓄電装置41の電力を第2接続部49から外部機器71に供給できるものであればよく、第2接続部49に接続された外部交流電源72により蓄電装置41を充電できなくてもよい。即ち、電力変換器は、蓄電装置41を放電させることのみが可能なものでもよい。
【0060】
○電力変換器としては、蓄電装置41から入力された直流電力を異なる電圧の直流電力に変換して出力するDC/DCコンバータであってもよい。
○双方向電力変換器としては、双方向コンバータを用いてもよい。双方向電力変換器として双方向コンバータを用いる場合、第2接続部49には直流電力の供給によって駆動する外部機器が接続される。また、第2接続部49には外部直流電源が接続可能である。変換部55は蓄電装置41から入力された直流電力を異なる電圧の直流電力に変換して第2接続部49に出力する。変換部55は第2接続部49に接続された外部直流電源から入力された直流電力を異なる電圧の直流電力に変換して蓄電装置41に出力する。
【0061】
○車両側接続部32と第1接続部45とが接続されているか否かは、接触抵抗によって判定してもよい。例えば、制御装置60は、起動時制御において、降圧部38を制御することで、降圧部38からバックアップ電源40に電圧を出力させる。車両側接続部32と第1接続部45とが接続されていれば、第1電源端子46と第1車両端子33との接触抵抗により電圧降下が生じる。BMS42のセンサ43によって電圧降下が生じているか否かを確認することで、BMS42の監視部44は車両側接続部32と第1接続部45とが接続されているか否かを判定することができる。制御装置60は、監視部44から判定結果を示す情報を取得することで、車両側接続部32と第1接続部45とが接続されているか否かは判定することができる。
【0062】
○バックアップ電源40は、第2接続部49を複数備えていてもよい。これによれば、複数の外部機器71に対してバックアップ電源40から電力を供給することができる。
○BMS42は、車両電気系統10が備えていてもよい。
【0063】
○車両電源13は、DC/DCコンバータ14及び鉛蓄電池15のうちいずれかを備えていればよい。
○制御装置60は、起動時制御において、蓄電装置41の劣化状態に応じて自動運転モードへの遷移を許容するか否かを判定してもよい。制御装置60は、BMS42から蓄電装置41の劣化状態を示す情報を取得する。制御装置60は、蓄電装置41の劣化状態からバックアップ電源40としての機能を発揮させることができるか否かを判定する。制御装置60は、バックアップ電源40としての機能を発揮させることができると判定した場合には、自動運転モードへの遷移を許容する。制御装置60は、バックアップ電源40としての機能を発揮させることができないと判定した場合には、自動運転モードへの遷移を禁止する。
【0064】
○装着部30のロック機構31は、ソレノイドロックでなくともよい。例えば、メカニカルロックであってもよい。
○装着部30はロック機構31を備えていなくてもよい。
【0065】
○鉛蓄電池15に代えて、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などの蓄電池を採用してもよい。
○自動運転車両Ve1は、第3電装品23を備えていなくてもよい。即ち、自動運転車両Ve1は、機能冗長を図っていなくてもよい。この場合、バックアップ電源40は、車両電源13の失陥時には第1電装品21及び第2電装品22に電力を供給する。車両電源13が失陥した際に、切替スイッチSWがオンであれば、バックアップ電源40から第1電装品21及び第2電装品22に電力が供給される。また、この場合、車両電気系統10は切替スイッチSWを備えていなくてもよい。
【0066】
○第1接続部45及び第2接続部49は個別に設けられていなくてもよく、自動運転車両Ve1は、第1接続部45の機能及び第2接続部49の機能を備える単一の接続部を備えていてもよい。接続部は、蓄電装置41から車両電気系統10に電力を入力可能であり、かつ、双方向インバータ50の出力する電力を外部機器71に出力可能といえる。この場合、双方向インバータ50のDC入出力端子51,52と、AC入出力端子53,54とは接続部に接続される。バックアップ電源40は、リレーを備え、リレーによってDC入出力端子51,52が接続部に接続されるか、AC入出力端子53,54が接続部に接続されるかを切り替える。バックアップ電源40が装着部30に装着されている状態では接続部は車両側接続部32に接続される。バックアップ電源40が装着部30から取り外されている状態では接続部は外部機器71に接続される。
【0067】
○装着部30は車室内に露出していなくてもよく、車外に露出して設けられていてもよい。
○バックアップ電源40は、装着部30から取り外されている場合にのみ外部機器71に電力を供給可能にしてもよい。
【0068】
○制御装置60は、車両電源13に異常が生じたタイミングで昇圧部36を駆動させてもよい。この場合、制御装置60は、車両電源13に異常が生じたことを検出する機能を備える。制御装置60は、車両電源13に異常が生じたことを検出すると、昇圧部36を駆動させる。
【0069】
○切替スイッチSWは、第1配線L1に設けられていてもよい。例えば、切替スイッチSWは、第1配線L1において、第2配線L2との交点と車両電源13との間に設けられていてもよい。切替スイッチSWは、車両電源13の異常時にオフされる。この場合、切替スイッチSWがオフにされた場合であっても、バックアップ電源40の電力を第1電装品21及び第3電装品23の両方に供給することができる。
【0070】
○自動運転車両Ve1は、第2電装品22への電力の供給を遮断できるスイッチを備えていてもよい。スイッチは、例えば、第1配線L1において第1電装品21と第2電装品22との間に設けられる。スイッチは、車両電源13の異常時にオフされる。これにより、バックアップ電源40の電力が第2電装品22に供給されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0071】
Ve1…自動運転車両、13…車両電源、21…電装品としての第1電装品、23…電装品としての第3電装品、30…装着部、32…車両側接続部、40…バックアップ電源、41…蓄電装置、45…第1接続部、49…第2接続部、50…電力変換器及び双方向電力変換器としての双方向インバータ、60…接続判定部及び制御部としての制御装置、71…外部機器。