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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116481
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】冷却システムおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20220803BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H01L23/46 A
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012660
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】510304106
【氏名又は名称】株式会社ファナティック
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】内 義弘
(72)【発明者】
【氏名】高岡 啓吾
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322AB11
5E322DB01
5E322DB02
5E322FA01
5F136BA04
5F136CC32
5F136CC35
5F136DA25
(57)【要約】
【課題】液相の冷媒を用いるという特徴を効果的に利用して基板に実装された発熱部材の冷却効果を向上する。
【解決手段】冷却システム1は、筐体3と平板状の基板4とを備え、基板4にはCPU5が設けられ、筐体3には、液面31の上方に液面上方空間32が形成された状態で液相冷媒14が貯留され、筐体3は、幅よりも高さが大きく、奥行が高さと同程度或いは高さよりも大きい形状であり、基板4は、その面が筐体3の側面と平行となり、CPU5が液相冷媒14に浸漬された状態となるように筐体3内で固定され、筐体3の両側面には側面ヒートシンク9が設けられ、側面ヒートシンク9は、筐体3の側壁として機能する側壁部材22と、側壁部材22に設けられた側面フィンユニット23とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、平板状の基板とを備え、
前記基板には、前記基板の面に沿って延在する発熱部材が設けられ、
前記筐体には、液面の上方に空間が形成された状態で不活性の液相の冷媒が貯留され、
前記筐体は、幅よりも高さが大きく、奥行が高さと同程度或いは高さよりも大きい形状であり、
前記基板は、その面が前記筐体の側面と平行となり、前記発熱部材が前記筐体に貯留された液相の冷媒に浸漬された状態となるように前記筐体内で固定され、
前記筐体の両側面には、ヒートシンクとして機能する側面ヒートシンクが設けられ、
前記側面ヒートシンクは、一方の面が前記筐体の内側に臨み、前記筐体の側壁として機能する側壁部材と、前記側壁部材に立設された複数のフィンを有する側面フィンユニットとを備える
ことを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記発熱部材が前記筐体に貯留された液相の冷媒の高さ方向の中間位置よりも下方に位置した状態となるように前記筐体内で固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記筐体は、両側面に開口が形成された筐体本体の両側面の前記開口に、前記側面ヒートシンクが取り付けられることによって構成され、
前記筐体本体の両側面の前記開口のそれぞれには、前記開口から外側に向かって延在するフランジおよび前記開口の周囲を囲むシールド部材が設けられ、
前記側面ヒートシンクは、前記側壁部材が前記シールド部材を押し付けつつ前記フランジに固定されることによって、前記筐体本体に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記側面フィンユニットは、高さ方向に延在する板フィンが奥行方向に並んで構成される
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記発熱部材には、ヒートシンクとして機能する内部ヒートシンクが取り付けられることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記内部ヒートシンクは、高さ方向に延在する板フィンが奥行方向に並んで構成された内部フィンユニットを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記発熱部材の下方には、前記筐体に貯留された液相の冷媒内に上方に向かう液流を発生させる液流発生装置が設けられる
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記筐体の上面にヒートシンクが設けられる
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の冷却システム。
【請求項9】
筐体と、平板状の基板とを備え、
前記基板には、前記基板の面に沿って延在する発熱部材が設けられ、
前記筐体には、液面の上方に空間が形成された状態で不活性の液相の冷媒が貯留され、
前記筐体は、幅よりも高さが大きく、奥行が高さと同程度或いは高さよりも大きい形状であり、
前記基板は、その面が前記筐体の側面と平行となり、前記発熱部材が前記筐体に貯留された液相の冷媒に浸漬された状態となるように前記筐体内で固定され、
前記筐体の両側面には、ヒートシンクとして機能する側面ヒートシンクが設けられ、
前記側面ヒートシンクは、一方の面が前記筐体の内側に臨み、前記筐体の側壁として機能する側壁部材と、前記側壁部材に立設された複数のフィンを有する側面フィンユニットとを備える
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部材を冷却可能な冷却システム、および、発熱部材が実装された基板を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装されたCPU等の発熱部材を冷却する種々のシステムが提案されている。特に従来、空冷で発熱部材を冷却するシステムの他に、液相の冷媒を用いて空冷よりも強力に発熱部材を冷却するシステムが提案されている。例えば特許文献1には、プリント基板9に実装された発熱体7を、筐体2に貯留した液相の冷媒10に浸漬し、発熱体7の発熱による液相の冷媒の相変化を利用して発熱体7を冷却する冷却モジュール1が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-054248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液相の冷媒を用いて発熱部材を冷却する冷却システムでは、液相の冷媒を用いるという特徴を効果的に利用して、冷却効果をできるだけ向上したいというニーズが存在する。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、液相の冷媒を用いるという特徴を効果的に利用して冷却効果を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明の冷却システムおよび電子機器は、筐体と、平板状の基板とを備え、この基板には、基板の面に沿って延在する発熱部材が設けられている。そして筐体には、液面の上方に空間が形成された状態で不活性の液相の冷媒が貯留され、筐体は、幅よりも高さが大きく、奥行が高さと同程度或いは高さよりも大きい形状であり、基板は、その面が筐体の側面と平行となり、発熱部材が筐体に貯留された液相の冷媒に浸漬された状態となるように筐体内で固定され、筐体の両側面には、ヒートシンクとして機能する側面ヒートシンクが設けられ、側面ヒートシンクは、一方の面が筐体の内側に臨み、筐体の側壁として機能する側壁部材と、側壁部材に立設された複数のフィンを有する側面フィンユニットとを備える。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、筐体に貯留された液相の冷媒内で、基板の面および基板に実装された発熱部材の面が筐体の側面に平行(つまり水平面に対して垂直)に延在した状態となる。このため筐体に貯留された液相の冷媒内で、発熱部材の発熱に応じて、液相の冷媒の流れが基板に阻害されることなく、発熱部材の鉛直下方から発熱部材の表面付近を経由して鉛直上方へ向かう液流を形成することができる。これにより発熱部材の表面から冷媒への熱の移動を効率的に行うことができ、発熱部材の冷却効果を向上できる。なお液相の冷媒内で水平面に沿うように基板を配置した場合(この場合、液相冷媒の沸騰にともなう発熱部材の表面付近からの気泡の発生を考慮して、通常、基板の上面に発熱部材が位置した状態とされる)、発熱部材の鉛直下方から発熱部材に向かう液流の形成を基板が阻害することになる。
【0008】
更に本発明では、筐体は、幅よりも高さが大きく、奥行が高さと同程度或いは高さよりも大きい形状であるため、筐体の側面の面積が他の面の面積と比較して大きい。そして両側面(両方の側面)に、ヒートシンクとして機能する側面ヒートシンクが設けられるため、筐体の側面の面積が他の面の面積と比較して大きいという特徴を効果的に利用して、サイズの大きなヒートシンクを2体、筐体に設けることができ、冷却効果が高い。更に本発明では、側面ヒートシンクのベース部として機能する側壁部材が、筐体の側壁として機能する。つまり箱状の筐体があって、その側壁にヒートシンクのベース部が取り付けられているのではなく、ヒートシンクのベース部がそのまま、筐体の側壁として機能する。このため、液相冷媒(および液相冷媒が相変化して生成される気相の冷媒)に側面ヒートシンクの側壁部材を直接接触させることができ、従って液相冷媒(および気相冷媒)の熱を効率よく側面ヒートシンクに伝達することができる。これにより側面ヒートシンクにより液相冷媒(および気相冷媒)を効率的に冷却することができ、発熱部材の冷却効果を高めることができる。
【0009】
以上の通り本発明によれば、液相の冷媒を用いるという特徴を効果的に利用して冷却効果を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る冷却システム(電子機器)の斜視図である。
図2】筐体本体の斜視図である。
図3】筐体本体の右側面図、平面図および正面図である。
図4】右側面ヒートシンクの正面図および平面図である。
図5】Oリングがはめ込まれた筐体本体の側面図である。
図6】筐体の右側面図および断面図である。
図7】CPUの近傍を拡大して示す図である。
図8】CPUが水平面に沿って設置された様子を示す図である。
図9】側面板フィンが水平面に沿って設置された様子を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る冷却システム(電子機器)の断面図である。
図11】内部ヒートシンクを所定方向から見た図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る冷却システム(電子機器)の断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る筐体の右側面図および断面図である。
図14】液相冷媒の量(液面の高さ)およびCPUの位置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る冷却システム1(電子機器2)の斜視図である。以下の説明では、図1で矢印に示すように、冷却システム1の筐体3を通常の使用態様で設置場所に設置した状態(以下「通常使用時状態」という)で筐体3を正面視したときの上下方向を単に「上下方向」といい、上下方向において上へ向かう向きを単に「上」或いは「上方」といい、鉛直下方へ向かう向きを単に「下」或いは「下方」という。なお上下方向は鉛直方向と一致し、また特許請求の範囲の「高さ方向」に相当する。
【0012】
また通常使用時状態の冷却システム1の筐体3を正面視したときの左右方向を単に「左右方向」といい、左右方向において右へ向かう向きを単に「右」或いは「右方」、左へ向かう向きを単に「左」或いは「左方」という。また通常使用時状態の冷却システム1の筐体3を正面視したときの奥行方向を単に「前後方向」といい、前後方向において奥へ向かう向きを単に「後」或いは「後方」、手前へ向かう向きを単に「前」或いは「前方」という。前後方向は、特許請求の範囲の「奥行方向」に相当する。
【0013】
冷却システム1は、基板4(図6(B))に実装された発熱部材を冷却することを目的の1つとするシステムである。本実施形態において、冷却される対象となる発熱部材は、基板4に実装されたCPU5(図6(B))である。ただし発熱部材はCPU5に限られず、基板4に実装された発熱する部材であって、冷却されることが求められる部材であればよい。なお冷却システム1は、CPU5(後述)の機能により演算処理/情報処理を実行する電子機器2としても機能する。
【0014】
冷却システム1は、筐体3を備える。筐体3は、その内部に密閉された内部空間6(図6)が形成されたケース部材である。筐体3は、筐体本体8と、筐体本体8の右側面に取り付けられた右側面ヒートシンク9Rと、左側面に取り付けられた左側面ヒートシンク9Lとを備えている。以下、右側面ヒートシンク9Rおよび左側面ヒートシンク9Lを区別しない場合、「側面ヒートシンク9」という。以上のように本実施形態では、筐体3の両側面に一対の側面ヒートシンク9が設けられている。
【0015】
図2は、筐体本体8(後述)の斜視図である。図3(A)は筐体本体8の右側面図であり、図3(B)は筐体本体8の平面図であり、(C)は筐体本体8の正面図である。筐体本体8は、熱伝導率の高い物質によって構成される。図2で示すように筐体本体8は、筐体3の前壁として機能する筐体本体前壁10(図3(C)も併せて参照)と、この筐体本体前壁10の上端に接続され、筐体3の上壁として機能する筐体本体上壁11(図3(B)も併せて参照)と、この筐体本体上壁11の後端に接続され、筐体3の後壁として機能する筐体本体後壁12と、この筐体本体後壁12の下端に接続され、筐体3の下壁として機能する筐体本体下壁13とを備えている。
【0016】
なお以下の説明において筐体3の幅とは、通常使用時状態における筐体本体前壁10の左右方向の長さL1(=筐体本体上壁11、筐体本体後壁12および筐体本体下壁13の左右方向の長さ)(図3(C)参照)を意味する。また筐体3の高さとは、通常使用時状態における筐体本体前壁10の上下方向の長さL2(=筐体本体後壁12の上下方向の長さ)(図3(C)参照)を意味する。また筐体3の奥行とは、通常使用時状態における筐体本体上壁11の前後方向の長さL3(=筐体本体下壁13の前後方向の長さ)(図3(B)参照)を意味する。筐体3の幅、高さ、奥行をこのように定義する理由は、筐体の筐体3の幅、高さ、奥行を、液相冷媒14(後述)が貯留される内部空間6の幅、高さ、奥行と対応させるためである。
【0017】
図2で示すように、筐体本体前壁10には、上下方向に並んで4つの前壁貫通孔16が設けられている(図3(C)も併せて参照)。4つの前壁貫通孔16はそれぞれ、筐体本体前壁10を貫通する貫通孔である。図1で示すように、4つの前壁貫通孔16のうち、上から3つの前壁貫通孔16のそれぞれにはコネクタ17が設けられ、一番下の前壁貫通孔16には電源スイッチ15が設けられている。コネクタ17は例えば、LANポート、USBポート、COMポート、HDMIポートである。
【0018】
コネクタ17および電源スイッチ15は筒状の胴部を有しており、その胴部が前壁貫通孔16を挿通した状態で筐体本体前壁10に固定されることによって、筐体本体前壁10に取り付けられている。前壁貫通孔16の内周と、コネクタ17および電源スイッチ15の胴部の外周との隙間は、内部空間6から液体および気体が筐体3の外部に漏れないよう、密閉性の高い部材(例えばゴム製パッキン)によりシールドされている。またコネクタ17の内部或いは電源スイッチ15の内部から液体および気体が外部に漏れないよう、コネクタ17の内部および電源スイッチ15の内部はガラス、樹脂、ゴム等で埋められた状態とされている。
【0019】
図2で示すように筐体本体前壁10、筐体本体上壁11、筐体本体後壁12および筐体本体下壁13により、筐体本体8の右側面には開口たる右側開口18Rが形成され、筐体本体8の左側面には開口たる左側開口18Lが形成されている。筐体本体8の右側面には、右側開口18Rから外側に向かって延在する本体側右側面フランジ19Rが設けられている。後に明らかとなる通り、本体側右側面フランジ19Rはフランジとして機能する。本体側右側面フランジ19Rには、右側開口18Rを囲むように周回溝20が形成されている(図3(A)も併せて参照)。筐体本体8の左側面には、左側開口18Lから外側に向かって延在する本体側左側面フランジ19Lが設けられ、この本体側左側面フランジ19Lには左側開口18Lを囲むように周回溝20が形成されている。
【0020】
筐体本体8の右側面には、右側開口18Rを覆って右側面ヒートシンク9Rが取り付けられ、筐体本体8の左側面には、左側開口18Lを覆って左側面ヒートシンク9Lが取り付けられている。
【0021】
図4(A)は、右側面ヒートシンク9Rの正面図(筐体3の右側面図に対応する図)であり、図4(B)は、右側面ヒートシンク9Rの平面図である。以下の図4を用いた説明では、本実施形態における上下、左右、前後方向に対応させて、図4の矢印で示すように上下、左右、前後を定義する。他の図面についても、向きは、図中で矢印で示した向きに従うものとする。
【0022】
図4(A)、(B)で示すように、右側面ヒートシンク9Rは、右側壁部材22R(特許請求の範囲の「側壁部材」に相当)と、右側面フィンユニット23Rとを備えている。右側壁部材22Rは、熱伝導率の高い物質で構成された板状の部材である。右側壁部材22Rは、右側面ヒートシンク9Rが筐体本体8に取り付けられた状態において、一方の面が筐体3の内側に臨み、筐体3の右側壁(側壁)として機能する。
【0023】
図4(A)で示すように、右側壁部材22Rの前端部であって、右側面フィンユニット23Rが存在しない部位には、フランジとして機能するヒートシンク側前端部フランジ24が形成されている。同様に右側壁部材22Rの後端部であって、右側面フィンユニット23Rが存在しない部位には、フランジとして機能するヒートシンク側後端部フランジ26が形成されている。
【0024】
図4(A)、(B)で示すように、右側面フィンユニット23Rは、右側壁部材22Rに立設された複数の側面板フィン27を備えている。側面板フィン27のそれぞれは、熱伝導率の高い物質で構成された板フィンである。右側面フィンユニット23Rの側面板フィン27のそれぞれは、上下方向(高さ方向)に延在している。右側面フィンユニット23Rは、上下方向に延在する側面板フィン27が前後方向(奥行方向)に並んで構成されている。
【0025】
筐体本体8と右側面ヒートシンク9Rが以上の構造をしている中、右側面ヒートシンク9Rは、筐体本体8に以下の方法で取り付けられる。すなわち、まず筐体本体8の本体側右側面フランジ19Rの周回溝20にOリング28がはめ込まれる。つまりOリング28(シールド部材)が、右側開口18Rの周囲を囲むように設けられる。図5は、本体側右側面フランジ19Rの周回溝20にOリング28がはめ込まれた様子を示している。
【0026】
更に本体側右側面フランジ19Rと、右側壁部材22Rとの位置合わせがなされた状態で、右側壁部材22Rは、Oリング28を押し付けつつ、本体側右側面フランジ19Rに固定される。本体側右側面フランジ19Rに対する右側壁部材22Rの固定はどのような方法で行われてもよく、例えば、図示しないボルトおよびナットによる固定や、その他の固定具による固定により行われる。
【0027】
以上の方法で筐体本体8に対して右側面ヒートシンク9Rが取り付けられるため、筐体本体8の右側面に形成された右側開口18Rは、水密かつ気密な状態で右側面ヒートシンク9Rの右側壁部材22Rに覆われ、本体側右側面フランジ19Rと右側壁部材22Rとの間からは液体および気体の漏れが防止された状態となる。
【0028】
左側面ヒートシンク9Lは、右側面ヒートシンク9Rと同様の構造をしている。すなわち左側面ヒートシンク9Lは、右側壁部材22Rに対応する左側壁部材22Lと、右側面フィンユニット23Rに対応する左側面フィンユニット23Lとを備えている。左側面ヒートシンク9Lは、右側面ヒートシンク9Rと同様の方法で筐体本体8に取り付けられる。以下の説明において、右側面フィンユニット23Rと左側面フィンユニット23Lとを区別しない場合、「側面フィンユニット23」という。また右側壁部材22Rと左側壁部材22Lとを区別しない場合、「側壁部材22」という。
【0029】
右側面ヒートシンク9Rおよび左側面ヒートシンク9Lが筐体本体8に取り付けられると、筐体3の内部に筐体本体前壁10、筐体本体上壁11、筐体本体後壁12、筐体本体下壁13、右側壁部材22Rおよび左側壁部材22Lによって水密かつ気密に密閉された内部空間6(図6(B))が形成される。ここで本実施形態では、図3で示すように、筐体3の形状は、その幅よりも高さが十分大きく、更にその奥行が高さよりも大きい。筐体3の高さおよび奥行は、筐体3に収容されることが想定される基板4のサイズを考慮して設計されたものである。この筐体3の形状に準じて、筐体3の内部に形成される内部空間6は、幅よりも高さが十分大きく、更にその奥行が高さよりも大きい。
【0030】
図6(A)は、筐体3の右側面図であり、図6(B)は、図6(A)における6A-6A断面図である。ただし、図6(B)に関しては、説明の便宜のため、構成要素を単純化し、誇張して描画している。また図6(B)には説明に関連する要部の構成要素のみ描画している。
【0031】
図6(B)で示すように、筐体3の内部空間6には、平板状の基板4が設けられている。基板4は、その面が筐体3の側面(=右側壁部材22Rの面、左側壁部材22Lの面)と平行となるように内部空間6内(筐体3内)で固定されている。より詳述には、右側壁部材22Rの内側の面に複数の脚部材30が固定されており、基板4は、その面が筐体3の側面に平行な状態で、脚部材30に固定的に支持されている。
【0032】
筐体3の内部空間6には液相の冷媒である液相冷媒14が以下の態様で貯留される。すなわち図6(B)で示すように、内部空間6には、内部空間6の容積の50~90%を占めるように液相冷媒14が貯留される。この結果、内部空間6に貯留された液相冷媒14の液面31は、内部空間6の上下方向の高さの50~90%の部位に位置し、液面31の上方には液相冷媒14が存在しない空間である液面上方空間32(特許請求の範囲の「空間」に相当)が形成される。
【0033】
筐体3に貯留される液相冷媒14は、高い絶縁性を有し、化学的に安定した不活性の液体である。液相冷媒14のこの性質は、筐体3に貯留された液相冷媒14に基板4が浸漬されたときに、CPU5を含む電子部品や導電部材が実装された基板4への悪影響がないようにするためのものである。
【0034】
また、液相冷媒14は、その沸点が40度以上65度以下の液体であることが適している。液相冷媒14のこの性質は、以下を理由とするものである。すなわち液相冷媒14の沸点が65度を超えると、CPU5の温度が、熱によるCPU5への悪影響を考慮すべき温度である90度を超える恐れがあるからである。なお、沸点が40度から65度程度であれば、基板4に実装されたCPU5の温度は80度程度(液相冷媒14の沸点プラス15度程度の温度)までにしか上昇しない。
【0035】
図6で示すように、基板4の一方の面(基板4が筐体3内で固定された状態において、左側壁部材22Lに対向する面)には、基板4の面に沿って延在するCPU5(発熱部材)が設けられている。CPU5は、内部空間6内に液相冷媒14が貯留された状態において、内部空間6に貯留された液相冷媒14の上下方向(高さ方向)の中間位置T(図6(B))よりも下方に位置した状態とされる。つまり、CPU5が、内部空間6に貯留された液相冷媒14の上下方向(高さ方向)の中間位置Tよりも下方に位置した状態となるような態様で、基板4は筐体3内で固定される。
【0036】
なお詳細な説明および図示は省略するが、コネクタ17および電源スイッチ15は、基板4に実装されたコネクタ17とケーブルを介して電気的に接続されている。
【0037】
以上の構造の下、冷却システム1(電子機器2)は、以下の態様でCPU5を冷却する。すなわちCPU5の駆動に応じてCPU5が発熱すると、CPU5が浸漬された液相冷媒14がCPU5の発熱を拡散しつつ、その発熱を側面ヒートシンク9に伝達する。側面ヒートシンク9に伝わった熱は、側面フィンユニット23の機能により外気に放熱される。まずこのようなメカニズムで継続的にCPU5が冷却される。この場合、液相冷媒14は、CPU5からの熱を輸送するための熱伝達物質としての役割を果たす。
【0038】
またCPU5の発熱が一定以上進むと、液相冷媒14が沸騰、蒸発し、相変化によって気相の冷媒である気相冷媒が生成される。この相変化の際、CPU5の発熱が潜熱として冷媒に吸収され、これによりCPU5の冷却が促される。気相冷媒は、液面上方空間32に臨む各壁の面に近接し或いは接触し、各壁(或いは各壁がもたらす雰囲気)よって冷却される。各壁の面とは、筐体本体前壁10、筐体本体上壁11、筐体本体後壁12、筐体本体下壁13、右側壁部材22Rおよび左側壁部材22Lにおいて、液面上方空間32に臨む面のことである。冷却された気相冷媒は、液相冷媒14へと相変化する。相変化により生成された液相冷媒14は、落下して或いは各壁をつたって筐体3の内部空間6に貯留された液相冷媒14に戻される。このように冷媒の相変化を伴う循環が継続して行われることにより、CPU5が継続して冷却される。この場合、冷媒は、沸騰冷却(二相流伝熱)のための物質としての役割を果たす。
【0039】
以上のような2つのメカニズムでCPU5が冷却される中、本実施形態では、冷却システム1(電子機器2)の構造的特徴に由来して、飛躍的に冷却効果が高められている。以下、詳述する。
【0040】
図7は、CPU5の近傍を拡大して示す図である。図7で示すように、本実施形態では、筐体3に貯留された液相冷媒14内で、基板4の面および基板に実装されたCPU5の面が筐体3の側面に平行(つまり水平面に対して垂直)に延在した状態となる。ここでCPU5が高温になると、その表面で液相冷媒14は沸騰し、液体から気体に相変化して気泡が発生する。この気泡は浮力により液面31に向かって上昇する。この気泡の上昇に由来して、CPU5の表面付近には、上方(鉛直上方)へ向かう液流が形成される。
【0041】
そして本実施形態では、CPU5の面が水平面に対して垂直となっているため、CPU5の下方に基板4が位置しておらず、従ってCPU5の下方からCPU5の表面付近へ向かう液流(図7の矢印Y7参照)が基板4によって阻害されない。このため、CPU5の下方(鉛直下方)から、CPU5の表面付近を経由して上方(鉛直上方)へ向かう液流を形成することができ、CPU5の表面から液相冷媒への熱の移動を効率的に行うことができ、冷却効果を向上できる。特にCPU5の下方(内部空間6の底面側)に位置する液相冷媒14は、上方に位置する冷媒と比較して温度が低く、この温度の低い液相冷媒14がCPU5の表面付近に多く流れることになり、このことも冷却効果の向上に寄与する。
【0042】
更に本実施形態では、CPU5の下方からCPU5の表面付近へ向かう液流(図7の矢印Y7参照)が基板4によって阻害されないため、CPU5の下方からもCPU5の表面付近へ液相冷媒14が流入し、基板4が水平面に沿って延在している場合(この場合については図8を用いて後述する)と比較して、単位時間あたりにCPU5の表面付近を通過する液相冷媒14の量がより多くなり、ひいてはCPU5の表面付近における液相冷媒14の液流の速度がより速くなる。これにより、CPU5から液相冷媒14への熱の伝達が効率的に進み、冷却効果が向上する。
【0043】
図8は、基板4Xおよび基板4Xに実装されたCPU5Xが液相冷媒内で水平面に沿って設置された様子を模式的に示す図である。なお基板を、その面が水平面に平行となるように設置する場合、通常、液相冷媒の沸騰にともなうCPUの表面付近からの気泡の発生を考慮して、図8で例示するように基板の上面にCPUが位置した状態とされる。
【0044】
図8の例の場合、CPU5Xの発熱にともなう気泡の上昇により、CPU5Xの表面付近には、鉛直上方へ向かう液流が発生する(矢印Y81参照)。このとき、CPU5Xの下方には基板4Xが位置しているため、CPU5Xの下方からCPU5Xへ向かう液相冷媒の流れ(矢印Y82参照)が基板4Xによって阻害される。従って図8の例では、CPU5Xの鉛直下方から、CPU5Xの表面付近を経由して鉛直上方へ向かう液流を形成することができない。
【0045】
更に図8の例では、CPU5Xの表面付近から鉛直上方へ向かう液流に関し、CPU5Xの表面付近への液相冷媒の流入は、CPU5Xの側方からのみであり(矢印Y83参照)、CPU5Xの下方からは流入しない(矢印Y82参照)。このため単位時間あたりにCPU5Xの表面付近を通過する液相冷媒14の量が本実施形態より少なく、ひいてはCPU5の表面付近における液相冷媒14の液流の速度が本実施形態より遅くなる。なお、内部空間6においてCPU5の面を水平面に対して垂直とすることによりCPU5の面を水平面に対して平行とした場合と比較して、冷却効果が高まることは、発明者らの実験により確認された事項である。
【0046】
更に本実施形態では、筐体3に貯留された液相冷媒14の上下方向の中間位置T(図6(B))よりも下方にCPU5(発熱部材)が位置した状態となる。このため、以下の効果を奏する。すなわち筐体3に貯留された液相冷媒14内には、下方(鉛直下方)側の温度が低く上方(鉛直上方)側の温度が高くなるような温度勾配が形成される。そして筐体3に貯留された液相冷媒14の高さ方向の中間位置Tよりも下方にCPU5が位置した状態となるため、CPU5を、貯留された液相冷媒14に形成された温度勾配において温度の低い側に常に位置させることができ、CPU5の冷却効果を高めることができる。なおCPU5の位置を筐体3に貯留された液相冷媒14の上下方向の中間位置Tよりも下方にすることにより、そうしない場合と比較してCPU5の冷却効果を高めることができる点は、発明者らによって確認された事項である。
【0047】
特に本実施形態では、筐体3の形状(=内部空間6の形状)は、その幅よりも高さが十分大きく、更にその奥行が高さよりも大きい。このため、本実施形態に係る筐体3と奥行は同程度である一方、筐体3の形状とは逆に幅よりも高さが十分に小さい形状(以下、便宜的に「幅広縦短」という)の筐体を利用する場合と比較して、液相冷媒の量が同じであれば、筐体に貯留された液相冷媒の高さ(深さ)を大きく(深く)できる。このため、同程度の量の液相冷媒を使用することを想定する場合、本実施形態によれば、幅広縦短の筐体を利用する場合と比較して、液相冷媒14内に、下方(鉛直下方)側の温度が低く上方(鉛直上方)側の温度が高くなるような温度勾配を効果的に形成できる。そして筐体3の構造に由来するこのような特徴がある中、筐体3に貯留された液相冷媒の上下方向の中間位置よりも下方にCPU5が位置した状態となるため、CPU5の冷却効率をより効果的に高めることができる。なお、本実施形態体では、筐体3は、高さが奥行よりも大きいが、奥行が高さと同程度であっても、幅広縦短の筐体と比較して、同様の効果を奏する。
【0048】
更に本実施形態では、側面ヒートシンク9のベース部として機能する側壁部材22が、筐体3の側壁として機能する。つまり箱状の筐体があって、その側壁にベース部とフィン部とを有するヒートシンクのベース部が取り付けられているのではなく、ヒートシンクのベース部がそのまま、筐体の側壁となっている。このため、液相冷媒14および気相冷媒に側面ヒートシンク9の側壁部材22を直接接触させることができ、従って液相冷媒14の熱および気相冷媒の熱を効率よく側面ヒートシンク9に伝達することができる。これにより側面ヒートシンク9により液相冷媒14および気相冷媒を効率的に冷却することができる(つまりCPU5の冷却効果を高めることができる)。なおヒートシンクのベース部に相当する部材を筐体の側壁として機能させるためには、内部空間6の液体および気体の漏れを無くす構造的な工夫が必要となる。本実施形態では、上述した態様で側面ヒートシンク9が筐体本体8に取り付けられているため、側壁部材22を筐体3の側壁として機能させることに伴う液体および気体の漏れが的確に防止されている。
【0049】
更に本実施形態では、側面フィンユニット23において、側面板フィン27のそれぞれは、上下方向(鉛直方向)に延在している。これにより以下の効果を奏する。すなわち本実施形態では筐体3の内部空間6では全体的に、上下方向に温度の変化が大きい温度勾配が出現する。これを踏まえ、本実施形態では側面板フィン27のそれぞれが内部空間6の上下方向の全域に亘って延在しているため、側面板フィン27のそれぞれが、各側面板フィン27内での熱の移動により、内部空間6に出現した上下方向の温度の偏りを緩和するように機能し、効率的に冷媒の冷却、ひいてはCPU5の冷却を行うことができる。
【0050】
図9は、側面板フィン27Xを前後方向(水平面に沿った方向)に延在させた場合の筐体3Xを模式的に示す図である。図9の例の場合、各側面板フィン27Xは、上下方向に延在していない。このため、ある1つの側面板フィン27Xに注目したときに、内部空間6に出現した上下方向の温度の偏りを緩和する機能が本実施形態と比較して限定的にしか発揮されない。なお側面板フィンを上下方向に延在させた方が、前後方向に延在させるよりもCPU5の冷却効率が向上することは発明者らの実験により確認された事項である。
【0051】
更に本実施形態では、筐体3の形状(=内部空間6の形状)は、その幅よりも高さが十分大きく、更にその奥行が高さよりも大きい。そして本実施形態では、筐体3の両側面(両方の側面)に、ヒートシンクとして機能する側面ヒートシンク9が設けられるため、筐体3の側面の面積が他の面の面積と比較して大きいという特徴を効果的に利用して、サイズの大きなヒートシンクを2体、筐体3に設けることを実現しており、CPU5の冷却効果が高い。
【0052】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図10は、本実施形態に係る冷却システム1A(電子機器2A)の断面図である。図10は、図6(B)に対応する。図10で示すように本実施形態体は、CPU5(発熱部材)にヒートシンクとして機能する内部ヒートシンク34が取り付けられている点が第1実施形態と異なっている。
【0053】
図11は、内部ヒートシンク34を図10の矢印Y10に従って見た図である。図10、11で示すように、内部ヒートシンク34は、ベース部材35と、ベース部材35に設けられた内部フィンユニット36とを備えている。内部フィンユニット36は、上下方向(高さ方向)に延在する複数の板フィン37が前後方向に並んで構成されている。内部ヒートシンク34は、ベース部材35の裏面がCPU5の表面に接触した状態で、CPU5に固着される。
【0054】
本実施形態の構成によれば、内部ヒートシンク34の機能により、CPU5の発熱をより効率的に液相冷媒14に伝達でき、CPU5の冷却効果を更に向上できる。特に本実施形態では、板フィン37が上下方向に延在しているため以下の効果を奏する。すなわち上述したように、筐体3に貯留された液相冷媒14では、CPU5の下方(鉛直下方)から、CPU5の表面付近を経由して上方(鉛直上方)へ向かう液流が形成される。そして板フィン37が上下方向に延在している、つまり、板フィン37(および隣接する板フィン37間に形成される間隙)が当該液流に沿って延在しているため、液流における液相冷媒14の流れが板フィン37によって限定的にしか阻害されないと共に、隣接する板フィン37間に形成される間隙に効果的に水を通すことができる。これにより効率的にCPU5を冷却することが可能である。
【0055】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図12は、本実施形態に係る冷却システム1B(電子機器2B)の断面図である。図12は、図6に対応する。図12で示すように本実施形態は、CPU5(発熱部材)の下方に、液流発生装置38が設けられている。
【0056】
液流発生装置38は、筐体3に貯留された液相冷媒14内において、CPU5の下方(鉛直下方)から、CPU5の表面付近を経由して上方(鉛直上方)へ向かう液流を発生させる装置であり、一例として液流ポンプである。液流発生装置38の機能により、CPU5の下方(鉛直下方)から、CPU5の表面付近を経由して上方(鉛直上方)へ向かう液流の速さをより速くすることができ、より効率的にCPU5を冷却することができる。更に液流発生装置38の機能により液相冷媒14の対流(図12では矢印により対流を模式的に示している)を促進することができ、この点でもより効率的にCPU5を冷却することができる。
【0057】
なお第3実施形態と第2実施形態とを組み合わせた構成としてもよいことは勿論である。
【0058】
<第4実施形態>
次に第4実施形態について説明する。第4実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図13(A)は、本実施形態に係る冷却システム1C(電子機器2C)の筐体3の右側面図である。図13(A)は、図6(A)に対応する。図13(B)は、図13(A)における13A-13Aの断面図である。図13(B)は、図6(B)に対応する。
【0059】
図13で示すように本実施形態は、筐体本体上壁11にヒートシンク39が設けられている。詳述すると、筐体本体上壁11に沿ってヒートシンク39のベース部材40が設けられ、このベース部材40に複数の板フィン41を有するフィンユニット42が設けられている。
【0060】
本実施形態の構成によれば、筐体本体上壁11に設けられたヒートシンク39の機能により、筐体本体上壁11における放熱効果を向上することができ、筐体本体上壁11に接触或いは近接する気相冷媒の冷却効果を向上できる。これにより相変化を伴う冷媒の循環を促進することができ、ひいてはCPU5の冷却効果を向上することができる。
【0061】
なお第2実施形態と第3実施形態との少なくとも一方と、第4実施形態とを組み合わせた構成としてもよいことは勿論である。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記各実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0063】
例えば側面ヒートシンク9に関し、側面板フィン27の態様は各実施形態で示した態様に限られない。一例として図9のように水平面に沿った方向に板フィンが延在する構成でもよく、また、板状のフィンではなく、ピン状のフィンであってもよい。ただし上述したように、第1実施形態で示した態様で側面板フィン27を設けることにより効果的に冷却効果を向上できる。以上のことは、他の実施形態についても同様である。また、第2実施形態の内部ヒートシンク34の板フィンおよび第4実施形態のヒートシンク39の板フィンについても、各実施形態で示した態様と異なる態様であってもよい。
【0064】
また各実施形態について、Oリング28に代えて別のシールド部材を設ける構成でもよい。
【0065】
また液面上方空間32に専用の凝縮器が設けられていてもよい。
【0066】
また、図6、10~13では、内部空間6に、内部空間6の容積の80%程度を占めるように液相冷媒14が貯留された様子(この結果、液面31が内部空間6の上下方向の高さの80%程度の部位に位置した様子)が描画されていたが、上述したように、液相冷媒14が内部空間6の容積に占める割合(以下「充填率」という。充填率は、筐体3の高さ(=内部空間6の高さ)に対する液面31の高さの割合と同義である)は、50%程度から90%程度であればよい。また上記実施形態では、CPU5の位置を、内部空間6に貯留された液相冷媒14の上下方向(高さ方向)の中間位置T(図6(B))よりも下方としたが、CPU5の位置も実施形態で例示した高さに限られない(ただし、上述したように、CPU5の位置を中間位置Tよりも下方とすることにより、有益な効果を得ることができる)。例えば図14(A)で示すように、充填率が90%程度の状態において、CPU5の位置を、貯留された液相冷媒14の上部(位置P1)、中部(位置P2)、下部(位置P3)としてもよく、また、充填率が50%程度の状態において、CPU5の位置を、貯留された液相冷媒14の上部(位置P4)、中部(位置P5)、下部(位置P6)としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、1B、1C 冷却システム
2、2A、2B、2C 電子機器
3 筐体
4 基板
5 CPU(発熱部材)
8 筐体本体
9 側面ヒートシンク
9R 右側面ヒートシンク(側面ヒートシンク)
9L 左側面ヒートシンク(側面ヒートシンク)
14 液相冷媒
18R 右側開口
18L 左側開口
19R 本体側右側面フランジ(フランジ)
19L 本体側左側面フランジ(フランジ)
22 側壁部材
22R 右側壁部材(側壁部材)
22L 左側壁部材(側壁部材)
23 側面フィンユニット
23R 右側面フィンユニット(側面フィンユニット)
23L 左側面フィンユニット(側面フィンユニット)
27 側面板フィン27(板フィン)
28 Oリング(シールド部材)
31 液面
32 液面上方空間(空間)
34 内部ヒートシンク
36 内部フィンユニット
37 板フィン
38 液流発生装置
39 ヒートシンク
41 板フィン
42 フィンユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14