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特開2022-116487電池-コンデンサ間接続装置および電池-コンデンサ間接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116487
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】電池-コンデンサ間接続装置および電池-コンデンサ間接続方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20220803BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220803BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220803BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220803BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220803BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/10 P
H02J7/02 H
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02J7/10 J
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012669
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕明
(72)【発明者】
【氏名】上村 清
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA05
5G053BA04
5G053EB01
5G053FA04
5G503BA03
5G503BB01
5G503BB03
5G503CB06
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB03
5G503GC04
5G503HA02
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】SOCの異なる複数の電池の並列接続作業の安全性を確保する電池-コンデンサ間接続装置及び接続方法を提供する。
【解決手段】電池130、230、330と、電力変換装置の直流部2のコンデンサ90を接続する電池-コンデンサ間接続装置は、電池の正極端に、第1の抵抗Rb及び第1のスイッチS11、S21、S31を直列に接続した第1の直列回路と、第1の抵抗より抵抗値の大きい第2の抵抗Rc及び第2のスイッチS12、S22、S32を直列に接続した第2の直列回路と、第3のスイッチS13、S23、S33の各一端を接続し、第1の直列回路と第2の直列回路と第3のスイッチの各他端を正側共通接続点xpに共通接続してバンク100、200、300の正極端とし、電池の負極端に第4のスイッチS14、S24、S34の一端を接続し、各他端を負側共通接続点xnに共通接続してバンクの負極端として1組のバンクを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、電力変換装置の直流部のコンデンサを接続する電池-コンデンサ間接続装置であって、
電池の正極端に、第1の抵抗および第1のスイッチを直列に接続した第1の直列回路と、前記第1の抵抗よりも抵抗値の大きい第2の抵抗および第2のスイッチを直列に接続した第2の直列回路と、第3のスイッチの各一端を接続し、前記第1の直列回路と第2の直列回路と第3のスイッチの各他端を共通接続してバンクの正極端とし、前記電池の負極端に第4のスイッチの一端を接続し、前記第4のスイッチの他端をバンクの負極端として1組のバンクを構成し、
前記バンクを複数組設け、前記各バンクの正極端を正極側スイッチを介して前記コンデンサの正極端に接続し、前記各バンクの負極端を負極側スイッチを介して前記コンデンサの負極端に接続し、
前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧よりも大きいときに、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第1のスイッチおよび第4のスイッチをオンして電池間バランス処理を行い、
前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧以下になったら前記電池間バランス処理完了とみなし、前記オンされていた第1のスイッチおよび第4のスイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第2のスイッチおよび第4のスイッチをオンした後、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオンしてコンデンサプリチャージ処理を行い、
各接続されたバンク内の電池の電圧と前記コンデンサの端子電圧との差が第2の設定電圧以下となったら前記コンデンサプリチャージ処理完了とみなし、前記オンされていた第2のスイッチをオフした後に、前記第3のスイッチをオンする処理を行う制御部を設けたことを特徴とする電池-コンデンサ間接続装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電池間バランス処理が、設定した第1のタイムアウト時間を超えても完了しないときに、電池間バランス処理を中止しタイムアウト情報を出力する第1のタイムアウト処理と、
前記コンデンサプリチャージ処理が、設定した第2のタイムアウト時間を超えても完了しないときに、コンデンサプリチャージ処理を中止しタイムアウト情報を出力する第2のタイムアウト処理とを実行することを特徴とする請求項1に記載の電池-コンデンサ間接続装置。
【請求項3】
電池の正極端に、第1の抵抗および第1のスイッチを直列に接続した第1の直列回路と、前記第1の抵抗よりも抵抗値の大きい第2の抵抗および第2のスイッチを直列に接続した第2の直列回路と、第3のスイッチの各一端を接続し、前記第1の直列回路と第2の直列回路と第3のスイッチの各他端を共通接続してバンクの正極端とし、前記電池の負極端に第4のスイッチの一端を接続し、前記第4のスイッチの他端をバンクの負極端として1組のバンクを構成し、
前記バンクを複数組設け、前記各バンクの正極端を正極側スイッチを介して、電力変換装置の直流部のコンデンサの正極端に接続し、前記各バンクの負極端を負極側スイッチを介して前記コンデンサの負極端に接続して構成された電池-コンデンサ間接続装置において、
制御部が、前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧よりも大きいときに、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第1のスイッチおよび第4のスイッチをオンして電池間バランス処理を行い、
制御部が、前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧以下になったら前記電池間バランス処理完了とみなし、前記オンされていた第1のスイッチおよび第4のスイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第2のスイッチおよび第4のスイッチをオンした後、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオンしてコンデンサプリチャージ処理を行い、
制御部が、各接続されたバンク内の電池の電圧と前記コンデンサの端子電圧との差が第2の設定電圧以下となったら前記コンデンサプリチャージ処理完了とみなし、前記オンされていた第2のスイッチをオフした後に、前記第3のスイッチをオンする処理を行うことを特徴とする電池-コンデンサ間接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を並列接続する技術に係り、特にSOC(State Of Charge:電池残存容量)の異なる電池の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車(EV)又はハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載されるバッテリの充放電試験や特性評価を行うバッテリ試験システムにおいては、前記試験や評価を行うに際し、複数の電池を、インバータ等の電力変換装置の直流部のコンデンサと並列に接続する作業が実施される。
【0003】
複数の電池(もしくは直列接続した電池モジュール)を並列接続することにより、接続後の電池の内部抵抗値を接続数に反比例して設定することができる。これにより、車載された電池パックに近い抵抗値が選択可能となる。
【0004】
電池とコンデンサを接続する方法は、従来、例えば特許文献1に記載のものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5829567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)しかしながら、選択的に並列接続された電池と選択されず接続されなかった電池では、電池のSOC(電池残存容量)が異なり、電池電圧に違いがでることから、その後の両者間の並列接続時に、大電流が流れて電池を破損する恐れがある。
【0007】
特許文献1には、SOCの異なる(従って電圧の異なる)複数の電池を並列接続する利用方法は記載されていない。この場合、電池間に大電流が生じ、回路の発熱や破損を回避できない。
【0008】
もしくは、特許文献1の図2に記載されている抵抗器(スイッチS1でON/OFF)を、並列接続する各電池に設けたとすると、コンデンサ(340)の容量よりも電池(330)の容量の方が大きいため、電圧が揃う(SOCが等しくなる)までに膨大な時間が掛かるという問題がある。例えば、1500μFのコンデンサを10秒程度で充電する抵抗器を用いて400V、50Ahの電池を3並列で繋ぐ場合、一つの電池が空で残りの電池が満充電だと、SOCが等しくなるまでに3~4週間掛かる。
【0009】
(2)また、特許文献1では、前記電圧が揃うまでの膨大な時間の間、電池とコンデンサをスイッチ(91、92)で繋いでいると、電池の電圧がコンデンサに掛かり続けるので、製品の寿命上の問題や取り扱いの安全上の問題が生じる。
【0010】
(3)また、特許文献1には記載されていないが、特許文献1の図2の電池(330)とコンデンサ(340)を、抵抗器(スイッチS1でON/OFF)を介して接続する際、コンデンサもしくは接続回路の短絡により、電圧が揃わずに電池を放電し続けることを防ぐために、設計された充電時間に対してゆとりを持ったタイムアウト時間(TOc)を設け、タイムアウト時間を過ぎると抵抗器(スイッチS1でON/OFF)をOFFし、回路を切断する場合があるが、コンデンサ用のタイムアウト時間(TOc)は、並列接続された電池の電圧が揃う時間(上記SOCが等しくなる時間)より短いため、並列接続し電池の電圧が揃う前に回路が切断されてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、SOCの異なる複数の電池の並列接続作業の安全性を確保することができる電池-コンデンサ間接続装置および接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の電池-コンデンサ間接続装置は、
電池と、電力変換装置の直流部のコンデンサを接続する電池-コンデンサ間接続装置であって、
電池の正極端に、第1の抵抗および第1のスイッチを直列に接続した第1の直列回路と、前記第1の抵抗よりも抵抗値の大きい第2の抵抗および第2のスイッチを直列に接続した第2の直列回路と、第3のスイッチの各一端を接続し、前記第1の直列回路と第2の直列回路と第3のスイッチの各他端を共通接続してバンクの正極端とし、前記電池の負極端に第4のスイッチの一端を接続し、前記第4のスイッチの他端をバンクの負極端として1組のバンクを構成し、
前記バンクを複数組設け、前記各バンクの正極端を正極側スイッチを介して前記コンデンサの正極端に接続し、前記各バンクの負極端を負極側スイッチを介して前記コンデンサの負極端に接続し、
前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧よりも大きいときに、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第1のスイッチおよび第4のスイッチをオンして電池間バランス処理を行い、
前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧以下になったら前記電池間バランス処理完了とみなし、前記オンされていた第1のスイッチおよび第4のスイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第2のスイッチおよび第4のスイッチをオンした後、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオンしてコンデンサプリチャージ処理を行い、
各接続されたバンク内の電池の電圧と前記コンデンサの端子電圧との差が第2の設定電圧以下となったら前記コンデンサプリチャージ処理完了とみなし、前記オンされていた第2のスイッチをオフした後に、前記第3のスイッチをオンする処理を行う制御部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の電池-コンデンサ間接続装置は、請求項1において、
前記制御部は、前記電池間バランス処理が、設定した第1のタイムアウト時間を超えても完了しないときに、電池間バランス処理を中止しタイムアウト情報を出力する第1のタイムアウト処理と、
前記コンデンサプリチャージ処理が、設定した第2のタイムアウト時間を超えても完了しないときに、コンデンサプリチャージ処理を中止しタイムアウト情報を出力する第2のタイムアウト処理とを実行することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の電池-コンデンサ間接続方法は、
電池の正極端に、第1の抵抗および第1のスイッチを直列に接続した第1の直列回路と、前記第1の抵抗よりも抵抗値の大きい第2の抵抗および第2のスイッチを直列に接続した第2の直列回路と、第3のスイッチの各一端を接続し、前記第1の直列回路と第2の直列回路と第3のスイッチの各他端を共通接続してバンクの正極端とし、前記電池の負極端に第4のスイッチの一端を接続し、前記第4のスイッチの他端をバンクの負極端として1組のバンクを構成し、
前記バンクを複数組設け、前記各バンクの正極端を正極側スイッチを介して、電力変換装置の直流部のコンデンサの正極端に接続し、前記各バンクの負極端を負極側スイッチを介して前記コンデンサの負極端に接続して構成された電池-コンデンサ間接続装置において、
制御部が、前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧よりも大きいときに、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第1のスイッチおよび第4のスイッチをオンして電池間バランス処理を行い、
制御部が、前記各バンク内の電池間の電圧差が第1の設定電圧以下になったら前記電池間バランス処理完了とみなし、前記オンされていた第1のスイッチおよび第4のスイッチをオフし、前記各バンクのうちいずれかのバンクの第2のスイッチおよび第4のスイッチをオンした後、前記正極側スイッチおよび負極側スイッチをオンしてコンデンサプリチャージ処理を行い、
制御部が、各接続されたバンク内の電池の電圧と前記コンデンサの端子電圧との差が第2の設定電圧以下となったら前記コンデンサプリチャージ処理完了とみなし、前記オンされていた第2のスイッチをオフした後に、前記第3のスイッチをオンする処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
(1)請求項1~3に記載の発明によれば、電池間バランス処理時は、第1のスイッチのオンにより選択され、第2の抵抗よりも抵抗値の小さい第1の抵抗を介して行われるので、各電池間の電圧が揃う時間が短時間となり、長時間電圧がかかることは避けられ製品の寿命が延びる。
【0016】
またこの電池間バランス処理の実行中、各バンクとコンデンサの間は正極側スイッチおよび負極側スイッチをオフした状態であるので、抵抗値の小さい第1の抵抗を介してコンデンサに大電流が流れることはなく安全である。
【0017】
またコンデンサプリチャージ処理時は、第2のスイッチのオンにより選択される、抵抗値の大きい第2の抵抗に切り換えられるので、電池間バランス処理に要する時間とコンデンサプリチャージ処理に要する時間を独立に設定することができる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、電池間バランス処理を中止するための第1のタイムアウト時間と、コンデンサプリチャージ処理を中止するための第2のタイムアウト時間を切り換えられるので、電池間バランス処理とコンデンサプリチャージ処理の中止時間(回路の切断時間)を独立して設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態例による電池-コンデンサ間接続装置の構成図。
図2】本発明の実施形態例による電池-コンデンサ間接続方法の処理フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。図1は本実施形態例による電池-コンデンサ間接続装置の構成を示している。
【0020】
図1において、100は1組のバンクを示し、130は、複数の電池を直列に接続した組電池(電池モジュール)である。組電池130の正極端には、並列接続用抵抗器(第1の抵抗)Rbおよび第1のスイッチS11を直列に接続した第1の直列回路の一端(第1のスイッチS11側端)と、コンデンサプリチャージ用抵抗器(第2の抵抗)Rcおよび第2のスイッチS12を直列に接続した第2の直列回路の一端(第2のスイッチS12側端)と、正極側メインスイッチS13(第3のスイッチ)の一端とが接続されている。
【0021】
並列接続用抵抗器Rbとコンデンサプリチャージ用抵抗器Rcの抵抗値は、Rb<Rcに設定されている。例えばRcは通常の数kΩ、Rbは数十Ω程度としている。
【0022】
前記第1の直列回路の他端(並列接続用抵抗器Rb側端)と、第2の直列回路の他端(コンデンサプリチャージ用抵抗器Rc側端)と、正極側メインスイッチS13の他端は共通接続され、バンク100の正極端を構成している。
【0023】
組電池130の負極端には負極側メインスイッチS14(第4のスイッチ)の一端が接続され、該スイッチS14の他端にはヒューズ120の一端が接続され、該ヒューズ120の他端をバンク100の負極端としている。
【0024】
110は、バンク100外に設けられたコンタクタ制御器1が前記各スイッチS11~S14、91P、91Nのオン、オフ制御および後述の電池間バランス処理、コンデンサプリチャージ処理等を行うための組電池130の電圧情報をコンタクタ制御器1に提供する電池管理装置(BMU1)である。
【0025】
前記電池管理装置110、組電池130、前記各スイッチS11~S14、並列接続用抵抗器Rb、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcおよびヒューズ120によってバンク100が構成されている。
【0026】
バンク100は複数組設けられるが、図1の例では3組のバンク100、200、300が設けられている。
【0027】
バンク200は、バンク100と同様に構成された電池管理装置210(BMU2)、組電池230、各スイッチS21~S24、並列接続用抵抗器Rb、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcおよびヒューズ220を備えている。
【0028】
バンク300は、バンク100と同様に構成された電池管理装置310(BMU3)、組電池330、各スイッチS31~S34、並列接続用抵抗器Rb、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcおよびヒューズ320を備えている。
【0029】
バンク100、200、300の、各正極端は正側共通接続点xpに共通接続され、各負極端は負側共通接続点xnに共通接続されている。正側共通接続点xpは正極側スイッチ91Pを介して電力変換装置の直流部2(インバータ等のDC入力器)のコンデンサ90の正極端に接続され、負側共通接続点xnは負極側スイッチ91Nを介してコンデンサ90の負極端に接続されている。
【0030】
図中のV1、V2、V3は各組電池130、230、330の電圧、I1、I2、I3は各バンク100、200、300を流れる電流を示している。
【0031】
尚、バンクの組数は図1の3バンク100、200、300に限らず、それ以外の組数のバンクで構成してもよい。また組電池130、230、330は、各々複数の電池が並列に接続されていてもよく、また各々単体の電池で構成されていてもよい。
【0032】
前記コンタクタ制御器1および電池管理装置110、210、310によって、本発明の制御部を構成している。
【0033】
上記のように構成された装置の制御の概略は次のとおりである。
【0034】
すなわち、コンデンサ90の充電に先立ち、3バンク(100、200、300)を並列接続する際、バンク間の電圧差がΔVp(第1の設定電圧)より大きい場合は、初めにバンク間の電圧をバランスさせるために、コンタクタ制御器1により、コンデンサ90との接続スイッチ(91P、91N)を遮断し、並列接続用抵抗器Rbを介して接続する。電圧差がΔVp以下になったら並列接続用抵抗器Rbを遮断し、コンデンサ90をプリチャージするために、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcを接続するとともに、コンデンサ90との接続スイッチ91P、91Nをつなぐ。3バンクとコンデンサ90との電圧差がΔVc(第2の設定電圧)以下になったならば、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcを遮断して抵抗器Rcを介さないメインスイッチ(S13、S14)に切り替える。
【0035】
次にコンタクタ制御器1および電池管理装置110、210、310が行う制御の詳細を、図2のフローチャートとともに説明する。
【0036】
まずステップS1において、コンタクタ制御器1および電池管理装置110、210、310を起動する。
【0037】
次にステップS2において、電池管理装置110、210、310により、各組電池130、230、330の電圧V1、V2、V3を計測する(以下、継続的に測定する)。
【0038】
次にステップS3において、各組電池130、230、330間の電圧差がΔVp*(第1の設定電圧)以下か否かを判定する。ステップS3の判定結果がNOの場合は、ステップS4において電池電圧バランス用タイムアウト時間TOb(第1のタイムアウト時間)以内か否かを判定する。
【0039】
前記タイムアウト時間TOb以内である場合は、ステップS5において電池間バランス処理を行った後、ステップS3に戻る。
【0040】
この電池間バランス処理は、まず各組電池とコンデンサ90の間の正極側スイッチ91P、負極側スイッチ91Nを遮断(オフ)する(初期状態:Normal Open)。そして複数バンクのうちいずれかのバンクの組電池(電圧を揃えようとする組電池:電池間のバランスを取りたい組電池、本例では3組の組電池130、230、330)に接続されている第1のスイッチ(S11、S21、S31)および負極側メインスイッチ(S14、S24、S34)をオンし、並列接続用抵抗器Rbによって電流量を抑えて電池間のバランスをとる(2回目以降は状態を保持)。
【0041】
この電池間バランス処理時は、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcよりも抵抗値の小さい並列接続用抵抗器Rbを介して行われるので、各電池間の電圧が揃う時間が短時間となり、長時間電圧がかかることは避けられ製品の寿命が延びる。
【0042】
またこの電池間バランス処理の実行中、各バンク100,200,300とコンデンサ90の間は正極側スイッチ91Pおよび負極側スイッチ91Nをオフした状態であるので、抵抗値の小さい並列接続用抵抗器Rbを介してコンデンサ90に大電流が流れることはなく安全である。
【0043】
ステップS4の判定結果がNOである(電池電圧バランス用タイムアウト時間TObを超えた)場合は、ステップS6において第1のタイムアウト処理を行う。第1のタイムアウト処理は、前記電池間バランス処理を中止し、すなわち、第1のスイッチS11、S21、S31および負極側メインスイッチS14、S24、S34をオフし、タイムアウト情報を出力する。
【0044】
この第1のタイムアウト処理によって、各組電池の電圧が揃わず放電し続けてしまうことが防止される。
【0045】
前記ステップS3の判定結果がYESの場合(各組電池間の電圧差がΔVp*以下となった場合:電池間バランスが取れた場合)、ステップS7において、電池間バランス処理が完了したとして各バンク100,200,300内の第1のスイッチS11、S21、S31を遮断(オフ)する。
【0046】
次にステップS8においてコンデンサプリチャージ処理を行う。このコンデンサプリチャージ処理は、各組電池100,200,300の第2のスイッチS12、S22、S32をオンした後、正極側スイッチ91P、負極側スイッチ91Nをオンすることによって、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rcを介してコンデンサ90をプリチャージする。
【0047】
次にステップS9において、各組電池の電圧(V1、V2、V3)と電力変換装置の直流部2のコンデンサ90の両端間電圧との差がΔVc*(第2の設定電圧)以下か否かを判定する。
【0048】
ステップS9の判定結果がNOの場合はステップS10において、コンデンサプリチャージ用タイムアウト時間TOc(第2のタイムアウト時間)以内か否かを判定する。前記タイムアウト時間TOc以内である場合はステップS9に戻る。
【0049】
ステップS10の判定がNOである(コンデンサプリチャージ用タイムアウト時間TOcを超えた)場合は、ステップS11において第2のタイムアウト処理を行う。第2のタイムアウト処理は、前記コンデンサプリチャージ処理を中止し、すなわち第2のスイッチS12、S22、S32および正極側スイッチ91P、負極側スイッチ91Nをオフし、タイムアウト情報を出力する。
【0050】
この第2のタイムアウト処理によって、コンデンサのプリチャージに時間がかかりすぎて、製品の寿命が短くなったり、取り扱いの安全上の問題が生じるのを防ぐことができる。
【0051】
前記ステップS9の判定結果がYESの場合(各組電池の電圧とコンデンサ90の電圧の差がΔVc*以下になった場合)、ステップS12において、コンデンサプリチャージ処理が完了したとして、各組電池130,230,330の正極側メインスイッチS13、S23、S33とオンし、コンデンサプリチャージ用抵抗器Rc側の第2のスイッチS12、S22、S32をオフする。
【0052】
尚、第1の設定電圧ΔVp*、第2の設定電圧ΔVc*は、正極側メインスイッチS13、S23、S33を接続(オン)しても、ヒューズ120,220,320の電流容量に十分余裕をもった電流となる電圧差に設定するものである。
【0053】
以上のように本実施形態例によれば、第1のスイッチ(S11、S21、S31)および第2のスイッチ(S12、S22、S32)により、並列接続用抵抗器Rbとコンデンサプリチャージ用抵抗器Rcを切り換えることができるので、電池間バランス処理の時間とコンデンサプリチャージ処理の時間を独立して設定することができる。
【0054】
また、電池間バランス処理を中止するための第1のタイムアウト時間(電池電圧バランス用タイムアウト時間TOb)と、コンデンサプリチャージ処理を中止するための第2のタイムアウト時間(コンデンサプリチャージ用タイムアウト時間TOc)を切り換えられるので、電池間バランス処理とコンデンサプリチャージ処理の中止時間(回路の切断時間)を独立して設定することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…コンタクタ制御器
2…電力変換装置の直流部
S11、S21、S31…第1のスイッチ
S12、S22、S32…第2のスイッチ
S13、S23、S33…正極側メインスイッチ
S14、S24、S34…負極側メインスイッチ
Rb…並列接続用抵抗器
Rc…コンデンサプリチャージ用抵抗器
90…コンデンサ
91P…正極側スイッチ
91N…負極側スイッチ
100,200,300…バンク
110,210,310…電池管理装置
120,220,320…ヒューズ
130,230,330…組電池
図1
図2