(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116497
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】電話システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/62 20060101AFI20220803BHJP
H04M 3/436 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H04Q3/62
H04M3/436
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012681
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】生駒 勝幸
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049AA18
5K049BB04
5K049EE03
5K049FF01
5K049FF46
5K049FF47
5K201CC01
5K201CC10
5K201EC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端末を利用する担当者の状況に応じて、鳴動対象となる端末を柔軟に変化させることができる電話システム及び方法を提供する。
【解決手段】複数の電話端末と、電話交換機と、サーバ装置とが含まれる電話システム1であって、電話交換機20は、代表番号宛に着信があった場合に、電話端末に割り当てられた内線番号を持つ電話端末に対して、鳴動させるか否かを表す接続可否とを対応付けて第1の記憶部に記憶し、接続可となっている電話端末に対して、接続要求を送信する。また、電話端末を利用するユーザの状況に応じて、判定条件から、電話端末の接続可否を判定し、接続可否を判定した際に用いられた判定条件に対応付けられている内線番号とを用いて、第1の記憶部に記憶されている接続可否の更新要求を電話交換機に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話端末と、電話交換機と、サーバ装置とが含まれる電話システムであって、
前記電話交換機は、
代表番号と、前記電話端末に割り当てられた内線番号と、前記代表番号宛に着信があった場合に前記内線番号を持つ電話端末を鳴動させるか否かを表す接続可否とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記代表番号宛の着信があった場合、前記複数の電話端末のうち、前記代表番号に対応付けられている内線番号を持つ電話端末であって、かつ、接続可否が接続可となっている電話端末に対して、前記代表番号宛に発信した発信元端末との接続を要求する接続要求を送信する第1の送信部と、を有し、
前記サーバ装置は、
内線番号と、前記内線番号を持つ電話端末の接続可否を判定するための判定条件とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、
前記電話端末を利用するユーザの状況に応じて、前記判定条件から、前記電話端末の接続可否を判定する判定部と、
前記判定部により判定された接続可否と、前記接続可否を判定した際に用いられた判定条件に対応付けられている内線番号とを用いて、前記第1の記憶部に記憶されている接続可否の更新要求を前記電話交換機に送信する第2の送信部と、
を有する電話システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
前記電話端末を利用するユーザの情報を判定するための1以上の種類の情報を所定の時間間隔ごとに収集する収集部を有し、
前記判定部は、
前記収集部によって前記1以上の種類の情報が収集されると、前記1以上の種類の情報から前記ユーザの状況を特定し、特定された状況と前記判定条件とから、前記電話端末の接続可否を判定する、請求項1に記載の電話システム。
【請求項3】
前記ユーザの状況には、前記ユーザの位置、前記ユーザの勤務状況、前記ユーザのスケジュール、前記ユーザが業務で利用するPCのログイン状況、のうちの1つ以上が含まれる、請求項1又は2に記載の電話システム。
【請求項4】
前記判定条件は、前記ユーザが利用する電話端末の接続可否が接続可と判定される状況を表す条件式である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電話システム。
【請求項5】
複数の電話端末と、電話交換機と、サーバ装置とが含まれる電話システムに用いられる方法であって、
前記電話交換機が、
代表番号と、前記電話端末に割り当てられた内線番号と、前記代表番号宛に着信があった場合に前記内線番号を持つ電話端末を鳴動させるか否かを表す接続可否とを対応付けて第1の記憶部に記憶させる第1の記憶手順と、
前記代表番号宛の着信があった場合、前記複数の電話端末のうち、前記代表番号に対応付けられている内線番号を持つ電話端末であって、かつ、接続可否が接続可となっている電話端末に対して、前記代表番号宛に発信した発信元端末との接続を要求する接続要求を送信する第1の送信手順と、を実行し、
前記サーバ装置が、
内線番号と、前記内線番号を持つ電話端末の接続可否を判定するための判定条件とを対応付けて第2の記憶部に記憶させる第2の記憶手順と、
前記電話端末を利用するユーザの状況に応じて、前記判定条件から、前記電話端末の接続可否を判定する判定手順と、
前記判定手順により判定された接続可否と、前記接続可否を判定した際に用いられた判定条件に対応付けられている内線番号とを用いて、前記第1の記憶部に記憶されている接続可否の更新要求を前記電話交換機に送信する第2の送信手順と、
を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や部署等の代表番号に着信があった場合に、この代表番号と対応付けられている内線番号の端末のうち、各端末が位置する場所に応じて1以上の端末を選択的に鳴動させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、端末を利用する担当者の状況に応じて、鳴動対象の端末を柔軟に変化させることができなかった。
【0005】
特に、近年では、テレワークの普及により在宅での勤務が増えており、また、Web会議ツール等を利用して顧客とのミーティングが在宅で行われることもある。このため、在宅勤務か否かや会議中か否か等の様々な状況を考慮して、鳴動対象の端末を柔軟に変化させることが望ましい。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、端末を利用する担当者の状況に応じて、鳴動対象となる端末を柔軟に変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、一実施形態に係る電話システムは、複数の電話端末と、電話交換機と、サーバ装置とが含まれる電話システムであって、前記電話交換機は、代表番号と、前記電話端末に割り当てられた内線番号と、前記代表番号宛に着信があった場合に前記内線番号を持つ電話端末を鳴動させるか否かを表す接続可否とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、前記代表番号宛の着信があった場合、前記複数の電話端末のうち、前記代表番号に対応付けられている内線番号を持つ電話端末であって、かつ、接続可否が接続可となっている電話端末に対して、前記代表番号宛に発信した発信元端末との接続を要求する接続要求を送信する第1の送信部と、を有し、前記サーバ装置は、内線番号と、前記内線番号を持つ電話端末の接続可否を判定するための判定条件とを対応付けて記憶する第2の記憶部と、前記電話端末を利用するユーザの状況に応じて、前記判定条件から、前記電話端末の接続可否を判定する判定部と、前記判定部により判定された接続可否と、前記接続可否を判定した際に用いられた判定条件に対応付けられている内線番号とを用いて、前記第1の記憶部に記憶されている接続可否の更新要求を前記電話交換機に送信する第2の送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
端末を利用する担当者の状況に応じて、鳴動対象となる端末を柔軟に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る電話システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るPBXの機能構成の一例を示す図である。
【
図3】接続可否情報テーブルの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る更新要求サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】接続可否判定情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6】呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】接続可否情報の更新処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】接続可否判定情報の設定・更新処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、端末を利用する担当者(ユーザ)の状況に応じて、代表番号に着信があった際に鳴動対象となる端末を柔軟に変化させることができる電話システム1について説明する。なお、代表番号とは会社や部署等の組織に対して2以上の電話番号(外線番号)が存在する場合に、それらの代表として定めた1つの電話番号のことである。また、担当者とは代表番号への着信に対して電話応対が必要な業務に従事している者のことであり、例えば、営業担当者、商品に関する問い合わせ窓口担当者等が挙げられる。
【0011】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る電話システム1の全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電話システム1には、複数の電話端末10と、PBX20と、更新要求サーバ30と、管理者端末40と、各種の機器50とが含まれる。これらは、インターネットや公衆回線網等を含む通信ネットワーク60を介して通信可能に接続される。
【0012】
電話端末10は、例えばスマートフォン等の電話機能を備えた各種端末である。各電話端末10には企業や部署等の或る組織内で一意の内線番号が割り当てられており、この内線番号宛の呼接続要求に対して応答することが可能である。すなわち、電話端末10は、いわゆる「スマートフォン内線化」等により使用するスマートフォンである。ただし、電話端末10はスマートフォンに限られず、例えば、電話機能を備えたタブレット端末、ウェアラブルデバイス、PC(パーソナルコンピュータ)等であってもよい。
【0013】
なお、以下では、N台の電話端末10の各々を区別する場合は、「電話端末10-1」,・・・,「電話端末10-N」等と表す。また、電話端末10-1~電話端末10-Nに割り当てられている内線番号をそれぞれ「0001」~「000N」とする。例えば、N=10の場合、電話端末10-1~電話端末10-10の内線番号はそれぞれ「0001」~「0010」である。
【0014】
PBX20は、例えば、クラウド型のPBX(Private Branch eXchange)であり、各種の呼制御を行う電話交換機である。例えば、PBX20では各代表番号に対して鳴動候補となる電話端末10の内線番号とその電話端末10の接続可否とを対応付けた接続可否情報が管理されており、代表番号に着信があった場合は、この接続可否情報を用いて、鳴動候補となる電話端末10のうち接続可能な電話端末10に対して呼接続要求を送信する。これにより、電話端末10が鳴動する。なお、鳴動とは音、振動、光の明滅、音楽、記号・文字列の表示、又はそれらの組み合わせ等により着信していることを電話端末10のユーザに知らせることを意味する。
【0015】
更新要求サーバ30は、電話端末10を利用する担当者の状況(例えば、担当者の地理的な位置、勤務状況、スケジュール、業務用のPCのログイン状況等)に応じて当該担当者の電話端末10の接続可否を判定し、その判定結果によりPBX20で管理されている接続可否情報を動的に更新する。
【0016】
管理者端末40は、更新要求サーバ30を管理する管理者の端末である。管理者は、管理者端末40を用いて、更新要求サーバ30が接続可否を判定する際に参照する接続可否判定情報の設定や更新等を行うことができる。なお、後述するように、接続可否判定情報には、内線番号ごとに、どのような状況のときに接続可(又は接続否)と判定するかを示す判定条件が含まれる。
【0017】
機器50は、電話端末10を利用する担当者の状況を特定するための各種情報の収集対象となる機器である。本実施形態では、機器50として、担当者が業務に利用するPC端末51と、担当者の勤務状況を管理する勤務管理システム52と、担当者のスケジュールを管理するスケジューラシステム53とが存在するものとする。ただし、これらは一例であって、機器50には、担当者の状況を特定するための情報を収集可能な様々な機器が含まれ得る。また、電話端末10を利用する担当者の状況を特定するための各種情報は、機器50以外にも、例えば、クラウド上で提供されるサービス(例えば、スケジューラサービス)から収集されてもよい。
【0018】
<機能構成>
≪PBX20≫
図2は、本実施形態に係るPBX20の機能構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係るPBX20は、呼接続制御部201と、端末特定部202と、更新部203とを有する。これら各部は、PBX20にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0019】
また、本実施形態に係るPBX20は、接続可否情報記憶部204を有する。接続可否情報記憶部204は、各種記憶装置により実現される。
【0020】
呼接続制御部201は、代表番号が着信先として指定された呼接続要求(以下、第1の呼接続要求ともいう。)を受信する。また、呼接続制御部201は、第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10が端末特定部202によって特定された場合、これら特定された電話端末10に対して、第1の呼接続要求に指定された代表番号の発信元端末との接続を要求する呼接続要求(以下、第2の呼接続要求ともいう。)を送信する。更に、呼接続制御部201は、第2の呼接続要求に対して応答があった場合、この応答を行った電話端末10と発信元端末との呼接続を確立する。
【0021】
端末特定部202は、呼接続制御部201が第1の呼接続要求を受信した場合、接続可否情報記憶部204に記憶されている接続可否情報テーブルを参照して、当該第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10を特定する。このとき、端末特定部202は、第1の呼接続要求に指定されている代表番号に対応付けられている内線番号であって、かつ、接続可が対応付けられている内線番号を持つ電話端末10を、鳴動させる電話端末10として特定する。
【0022】
更新部203は、更新要求サーバ30から更新要求を受信した場合、この更新要求に応じて、接続可否情報記憶部204に記憶されている接続可否情報テーブルに含まれる接続可否を更新する。
【0023】
接続可否情報記憶部204は、各代表番号に対して鳴動候補となる電話端末10の内線番号とその電話端末10の接続可否とを対応付けた接続可否情報で構成される接続可否情報テーブルを記憶する。ここで、接続可否情報記憶部204に記憶されている接続可否情報テーブルの一例を
図3に示す。
図3に示す接続可否情報テーブルには、代表番号「03-1234-5678」と内線番号「0001」と接続可否「接続可」とを対応付けた接続可否情報~代表番号「03-1234-5678」と内線番号「0010」と接続可否「接続否」とを対応付けた接続可否情報等が含まれている。このように、接続可否情報テーブルには、代表番号に着信があった場合に鳴動候補となる電話端末10の内線番号と、実際に鳴動させるか否かを表す接続可否とが対応付けられている。
【0024】
なお、
図3に示す接続可否情報テーブルには1つの代表番号「03-1234-5678」のみが示されているが、これは一例であり、複数の代表番号が含まれていてもよい。例えば、1つの会社内に複数の部署があり、部署ごとに代表番号が存在するような場合には、接続可否情報テーブルには、各代表番号ごとに、代表番号と内線番号と接続可否とが対応付けられた接続可否情報が存在することになる。
【0025】
≪更新要求サーバ30≫
図4は、本実施形態に係る更新要求サーバ30の機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る更新要求サーバ30は、収集部301と、接続可否判定部302と、更新要求部303と、設定部304とを有する。これら各部は、更新要求サーバ30にインストールされたプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0026】
また、本実施形態に係る更新要求サーバ30は、接続可否判定情報記憶部305を有する。接続可否判定情報記憶部305は、各種記憶装置により実現される。
【0027】
収集部301は、電話端末10を利用する担当者の状況を特定するための各種情報を電話端末10や機器50から収集する。本実施形態では、これら情報として、例えば、各電話端末10から収集される位置情報、各PC端末51から収集されるログイン情報、勤務管理システム52から収集される勤務状況情報、及びスケジューラシステム53から収集されるスケジュール情報を想定する。また、担当者の状況としては、例えば、位置、勤務状況、PC利用状況、及びスケジュールを想定する。ここで、例えば、位置は「社内」や「社外」、「自宅」等といった値を取るものとし、位置情報からその値が特定されるものとする。また、勤務状況は「在宅勤務」や「社内勤務」、「休暇中」等といった値を取り、勤務状況情報からその値が特定されるものとする。PC利用状況は「ログイン中」や「ログオフ中」等といった値を取り、ログイン情報からその値が特定されるものとする。スケジュールは「会議中」や「外出中」等といった値を取り、スケジュール情報からその値が特定されるものとする。ただし、これらの状況とその取り得る値は一例であって、担当者の状況とその取り得る値は様々なものが利用可能である。
【0028】
なお、収集部301は所定の時間間隔ごとに各種情報を取得するが、その時間間隔は情報(又は情報の種類)ごとに異なっていてもよい。例えば、位置情報等の動的に変化する情報は数秒~数十秒程度の時間間隔ごとに取得する一方で、ログイン情報や勤務状況情報、スケジュール情報等の比較的変化が少ない情報は数分~十数分程度の時間間隔ごとに取得する等としてもよい。
【0029】
接続可否判定部302は、接続可否判定情報記憶部305に記憶されている接続可否判定情報テーブルを参照して、収集部301によって収集された情報から各電話端末10の接続可否を判定する。すなわち、例えば、接続可否判定部302は、収集部301によって収集された情報を用いて各担当者の状況を特定した上で、その状況が電話応対可能な状況であるか否か(つまり、当該担当者の電話端末10を接続可としてもよいか否か)を判定する。
【0030】
更新要求部303は、接続可否判定部302による判定結果に応じて、接続可否情報テーブルに含まれる接続可否を更新するための更新要求をPBX20に送信する。例えば、更新要求部303は、ある内線番号を持つ電話端末10の接続可否が変化した場合(つまり、接続可から接続否に変化した場合又は接続否から接続可に変化した場合)、当該内線番号と当該接続可否とを含む更新要求をPBX20に送信する。これにより、PBX20が管理する接続可否情報テーブルの接続可否のうち、当該内線番号に対応付けられている接続可否が更新される。
【0031】
設定部304は、管理者端末40から設定要求(又は更新要求)を受信すると、この設定要求(又は更新要求)に応じて接続可否判定情報テーブルを更新する。
【0032】
接続可否判定情報記憶部305は、内線番号ごとに、当該内線番号を持つ電話端末10の現在の接続可否と、当該電話端末10が接続可と判定される状況を表す判定条件とを対応付けた接続可否判定情報で構成される接続可否判定情報テーブルを記憶する。ここで、接続可否判定情報記憶部305に記憶されている接続可否判定情報テーブルの一例を
図5に示す。
図5に示す接続可否判定情報テーブルには、内線番号「0001」と現在の接続可否「接続可」と判定条件「((位置=社内)∧(勤務状況≠在宅勤務)∧(PC利用状況=ログイン中))∨((位置=社外)∧(勤務状況=在宅勤務)∧(スケジュール≠会議中))」とを対応付けた接続可否判定情報~内線番号「0010」と現在の接続可否「接続否」と判定条件「(勤務状況≠在宅勤務)∧(スケジュール≠会議中)」とを対応付けた接続可否判定情報が含まれている。
【0033】
上述したように、判定条件は該当の内線番号を持つ電話端末10が接続可と判定される状況を表す条件であり、
図5に示す接続可否判定情報テーブルでは論理式の形式で表現されている。例えば、判定条件「(勤務状況≠在宅勤務)∧(スケジュール≠会議中)」は、担当者の状況が、勤務状況が在宅勤務でなく、かつ、スケジュールが会議中でない場合に、該当の内線番号を持つ電話端末10が接続可と判定されることを意味している。同様に、例えば、判定条件「(位置=社内)∨(PC利用状況=ログイン中)」は、担当者の状況が、位置が社内又はPC利用状況がログイン中のいずれかである場合に、該当の内線番号を持つ電話端末10が接続可と判定されることを意味している。
【0034】
このように、判定条件は内線番号ごと(つまり、電話端末10を利用する担当者ごと)に設定される。このため、電話端末10が接続可と判定される状況を、担当者ごとにきめ細やかに設定することが可能となる。
【0035】
なお、
図5に示す接続可否判定情報テーブルでは判定条件が論理式の形式で表現されているが、これは一例であって、他の任意の形式で表現されていてもよい。例えば、位置、勤務状況、PC利用状況、及びスケジュール等の各状況が取り得る値を数値化した上で、それらの重み付け和が所定の閾値以上の場合に接続可と判定されるような判定条件であってもよい。この場合、位置、勤務状況、PC利用状況、及びスケジュール等の各状況の重みにより、どの状況を優先的に考慮するかを設定することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、判定条件が内線番号毎に設定されているが、これは一例であって、組織毎(例えば、部署毎やチーム毎等)に設定されてもよい。例えば、ある組織内で残業時間が制限されている社員は、17時以降は接続不可とする等である。
【0037】
<各種処理の流れ>
≪呼接続制御処理≫
以下、N=3として、代表番号「03-1234-5678」宛に着信があった場合における呼制御処理の流れを
図6に示す。
【0038】
まず、PBX20の呼接続制御部201は、代表番号「03-1234-5678」が指定された第1の呼接続要求を受信する(ステップS101)。
【0039】
次に、PBX20の端末特定部202は、接続可否情報記憶部204に記憶されている接続可否情報テーブルを参照して、第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10を特定する(ステップS102)。すなわち、端末特定部202は、代表番号「03-1234-5678」に対応付けられている内線番号であって、かつ、接続可が対応付けられている内線番号を持つ電話端末10を、第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10として特定する。例えば、
図3に示す接続可否情報テーブルでは、内線番号「0001」を持つ電話端末10-1と内線番号「0003」を持つ電話端末10-3が、第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10として特定される。一方で、内線番号「0002」を持つ電話端末10は、接続否であるため、第1の呼接続要求に対して鳴動させる電話端末10-2として特定されない。
【0040】
そして、PBX20の呼接続制御部201は、上記のステップS102で特定された電話端末10-1及び電話端末10-3に対して、第2の呼接続要求を送信する(ステップS103~ステップS104)。これにより、電話端末10-1と電話端末10-3が鳴動する。なお、複数の電話端末10を一斉に鳴動させるほか、例えば、予め定められた順番で各電話端末10を順次鳴動させてもよい。
【0041】
なお、その後、電話端末10-1又は電話端末10-3から応答があった場合、呼接続制御部201は、最初に応答があった電話端末10と、第1の呼接続要求に指定された代表番号の発信元端末との間で呼接続を確立する。これにより、最初に応答があった電話端末10と発信元端末との間で通話が可能となる。
【0042】
≪接続可否情報の更新処理≫
以下、接続可否情報の更新処理の流れを
図7に示す。この接続可否情報の更新処理は所定の時間間隔(例えば、数秒~数十秒程度の時間間隔)ごとに繰り返し実行される。これにより、PBX20が管理する接続可否情報が動的に更新される。
【0043】
まず、更新要求サーバ30の収集部301は、電話端末10を利用する担当者の状況を特定するための様々な情報を電話端末10及び機器50から収集する(ステップS201)。すなわち、収集部301は、各電話端末10の位置情報と、各PC端末51のログイン情報と、各担当者の勤務状況情報と、各担当者のスケジュール情報とを収集する。
【0044】
次に、更新要求サーバ30の接続可否判定部302は、接続可否判定情報記憶部305に記憶されている接続可否判定情報テーブルを参照して、上記のステップS201で収集された情報から各電話端末10の接続可否を判定する(ステップS202)。すなわち、例えば、接続可否判定部302は、上記のステップS201で収集された情報を用いて各担当者の状況(位置、勤務状況、PC利用状況、及びスケジュール)を特定した上で、その状況と、接続可否判定情報テーブルに含まれる判定条件とを用いて各内線番号をそれぞれ持つ各電話端末10の接続可否を判定する。
【0045】
なお、各担当者の位置は、例えば、位置情報に含まれる電話端末10の識別情報と緯度・経度情報から特定可能である。また、各担当者の勤務状況は、例えば、勤務状況に含まれる各担当者の識別情報と勤務状況を示す情報から特定可能である。各担当者のPC利用状況は、例えば、ログイン情報に含まれる各担当者の識別情報とログイン状況を示す状況から特定可能である。各担当者のスケジュールは、例えば、スケジュール情報に含まれる各担当者の識別情報とスケジュール内容と、現在時刻とから特定可能である。
【0046】
次に、更新要求サーバ30の接続可否判定部302は、接続可否判定情報テーブルに含まれる現在の接続可否と、上記のステップS202で判定された接続可否とを比較して、接続可否が変化した電話端末10があるか否かを判定する(ステップS203)。例えば、ある内線番号の電話端末10に関して、現在の接続可否が「接続可」、上記のステップS202で判定された接続可否が「接続否」である場合、接続可否が変化した場合に該当する。同様に、例えば、ある内線番号の電話端末10に関して、現在の接続可否が「接続否」、上記のステップS202で判定された接続可否が「接続可」である場合、接続可否が変化した場合に該当する。一方で、例えば、ある内線番号の電話端末10に関して、現在の接続可否が「接続可」、上記のステップS202で判定された接続可否が「接続可」である場合、又は、現在の接続可否が「接続否」、上記のステップS202で判定された接続可否が「接続否」である場合は、接続可否が変化した場合には該当しない。
【0047】
上記のステップS203で接続可否が変化した電話端末10があると判定された場合、更新要求サーバ30の更新要求部303は、この電話端末10の内線番号と、上記のステップS203で判定された接続可否とを含む更新要求をPBX20に送信する(ステップS204)。なお、上記のステップS203で接続可否が変化した電話端末10が複数存在すると判定された場合は、これら複数の電話端末10それぞれの内線番号及び接続可否を含む更新要求がPBX20に送信される。ただし、接続可否が変化した場合だけなく、常に更新要求を送信するようにしてもよい。
【0048】
PBX20の更新部203は、更新要求サーバ30から更新要求を受信すると、この更新要求に含まれる内線番号及び接続可否を用いて、接続可否情報テーブルに含まれる接続可否のうち、当該内線番号に対応する接続可否を更新する(ステップS205)。例えば、更新要求に含まれる内線番号が「0001」、接続可否が「接続否」である場合は、更新部203は、接続可否情報テーブルに含まれる接続可否のうち、内線番号「0001」に対応する接続可否を「接続否」に更新する。これにより、電話端末10を利用する担当者の状況に応じてその接続可否が変化した場合に、PBX20で管理する接続可否が動的に更新される。
【0049】
≪接続可否判定情報の設定・更新処理≫
以下、接続可否判定情報の設定・更新処理の流れを
図8に示す。この接続可否判定情報の設定・更新処理は、例えば、内線番号が新たに追加された場合、内線番号が削除された場合、接続可否判定情報に含まれる判定条件を変更したい場合等に、適宜実行される。なお、以下では、内線番号が新たに追加された場合に当該内線番号が含まれる接続可否判定情報を接続可否判定情報テーブルに新たに追加することを「設定」という。一方で、内線番号が削除された場合に当該内線番号が含まれる接続可否判定情報を削除すること、又は、接続可否判定情報テーブルを構成する接続可否判定情報に含まれる判定条件を変更することを「更新」という。
【0050】
管理者端末40は、設定又は更新対象の内線番号及び判定条件の入力を受け付ける(ステップS301)。ただし、内線番号が削除された場合は、更新対象の内線番号のみの入力を受け付ければよい。なお、内線番号や判定条件の入力は、更新要求サーバ30の管理者等によって行われる。
【0051】
次に、管理者端末40は、上記のステップS301で入力を受け付けた内線番号及び判定条件を含む設定要求又は更新要求を更新要求サーバ30に送信する(ステップS302)。ただし、内線番号が削除された場合は、内線番号のみを含む更新要求を送信すればよい。
【0052】
そして、更新要求サーバ30の設定部304は、設定要求又は更新要求を受信すると、それに応じて接続可否判定情報テーブルを更新する(ステップS303)。すなわち、設定要求を受信した場合、設定部304は、この設定要求に含まれる内線番号及び判定条件の接続可否判定情報を接続可否判定情報テーブルに追加する。なお、現在の接続可否は予め決めた値を設定すればよい。一方で、更新要求を受信した場合、設定部304は、この更新要求で、接続可否判定情報テーブルを構成する接続可否判定情報を更新する。例えば、更新要求に内線番号のみが含まれる場合は、設定部304は、当該内線番号が含まれる接続可否判定情報を接続可否判定情報テーブルから削除する。また、例えば、更新要求に内線番号と判定条件とが含まれる場合は、設定部304は、接続可否判定情報テーブルを構成する接続可否判定情報のうち、当該内線番号が含まれる接続可否判定情報の判定条件を、当該更新要求に含まれる判定条件に更新する。これにより、接続可否判定情報テーブルが更新される。
【0053】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る電話システム1は、代表番号に着信があった場合、この代表番号に対応付けられている内線番号を持つ電話端末10のうち、接続可否が「接続可」である電話端末10を鳴動させる。また、本実施形態に係る電話システム1は、電話端末10を利用する担当者の状況に応じて、当該電話端末10の接続可否を動的に変更させる。これにより、電話端末10の担当者の時々刻々の状況の変化に応じて、その接続可否を柔軟に変化させることが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係る電話システム1は、接続可否を判定するための判定条件として様々な条件を設定することが可能である。このため、担当者の個別的な事情等も考慮して、きめ細やかに接続可否を変化させることが可能となる。
【0055】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 電話システム
10 電話端末
20 PBX
30 更新要求サーバ
40 管理者端末
50 機器
60 通信ネットワーク
201 呼接続制御部
202 端末特定部
203 更新部
204 接続可否情報記憶部
301 収集部
302 接続可否判定部
303 更新要求部
304 設定部
305 接続可否判定情報記憶部