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特開2022-116499情報処理装置、電話システム、内線番号特定方法およびプログラム
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  • 特開-情報処理装置、電話システム、内線番号特定方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116499
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、電話システム、内線番号特定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20220803BHJP
   H04M 3/527 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H04M3/42 Z
H04M3/527
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012683
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】生駒 勝幸
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA13
5K201DC03
5K201EA01
5K201EA05
5K201EC03
5K201EC06
5K201ED01
(57)【要約】
【課題】発信元の状態に応じて、鳴動対象の端末を柔軟に変化させる。
【解決手段】電話の発信元を識別するための識別情報を電話交換機から受信する受信部と、前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定する内線番号特定部と、特定された前記内線番号を示す情報を前記電話交換機に送信する送信部と、を備える情報処理装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話の発信元を識別するための識別情報を電話交換機から受信する受信部と、
前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定する内線番号特定部と、
特定された前記内線番号を示す情報を前記電話交換機に送信する送信部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記内線番号特定部は、前記受信部が前記電話交換機から特定された内線番号に接続できない旨の指定を受信すると、指定された前記内線番号を除外して、前記発信元からの発信に対して応答すべき内線番号を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記内線番号特定部は、前記内線番号への接続可否を示す情報に基づく接続可能な内線番号の中から、前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電話は、前記発信元である企業の顧客から前記企業の代表番号への電話であって、
前記内線番号特定部は、前記発信元の前記顧客の状態を示す情報と、前記顧客の状態と前記企業の担当チームとの対応を示す情報と、に基づいて、前記担当チームに所属する担当者の内線番号を特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
互いに通信可能な電話交換機と情報処理装置とを備える電話システムであって、
前記電話交換機は、
代表番号への着信によって通知された発信者番号を前記情報処理装置に送信して内線番号の特定を要求し、特定された内線番号を示す情報を取得する内線番号取得部と、
前記内線番号取得部によって取得された情報に示される内線番号を有する端末に呼接続要求を送信する呼接続制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、
電話の発信元を識別するための識別情報を前記電話交換機から受信する受信部と、
前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定する内線番号特定部と、
特定された前記内線番号を示す情報を前記電話交換機に送信する送信部と、を備える、
電話システム。
【請求項6】
コンピュータが実行する方法であって、
電話の発信元を識別するための識別情報を電話交換機から受信するステップと、
前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定するステップと、
特定された前記内線番号を示す情報を前記電話交換機に送信するステップと、を備える、
内線番号特定方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、電話システム、内線番号特定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や部署等の代表番号に着信があった場合に、この代表番号と対応付けられている内線番号の端末のうち、各端末が位置する場所に応じて1以上の端末を選択的に鳴動させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-114476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、発信元の状態に応じて、鳴動対象の端末を柔軟に変化させることができなかった。例えば、顧客から企業の代表番号に着信した場合、顧客の状態に応じて鳴動対象の端末を変化させることができないと、商品購入が既に決まっている顧客からの着信に対して、営業担当(商品紹介を新規に行う担当)の端末を鳴動してしまうなどのように、不適切な端末を鳴動する恐れがある。
【0005】
開示の技術は、発信元の状態に応じて、鳴動対象の端末を柔軟に変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、電話の発信元を識別するための識別情報を電話交換機から受信する受信部と、前記識別情報によって識別される発信元の状態を示す情報に基づいて、前記発信元からの発信に応答すべき内線番号を特定する内線番号特定部と、特定された前記内線番号を示す情報を前記電話交換機に送信する送信部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
発信元の状態に応じて、鳴動対象の端末を柔軟に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電話システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】実施例1に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】内線番号情報の一例を示す図である。
図4】顧客情報の一例を示す図である。
図5】担当・顧客ステータス対応情報の一例を示す図である。
図6】実施例1に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7】実施例2に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図8】接続可否情報の一例を示す図である。
図9】実施例2に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図10】実施例3に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図11】実施例3に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。本実施の形態では、顧客から企業の代表番号に着信した場合に、顧客の状態に応じて鳴動対象の担当者の端末を変化させる電話システムについて説明する。
【0010】
なお、代表番号とは会社や部署等の組織に対して2以上の電話番号(外線番号)が存在する場合に、それらの代表として定めた1つの電話番号のことである。また、担当者とは代表番号への着信に対して顧客に対する電話応対が必要な業務に従事している者のことであり、例えば、営業担当者、商品に関する問い合わせ窓口担当者等が挙げられる。
【0011】
(電話システムの全体構成)
図1は、電話システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る電話システム1は、PBX10と、情報処理装置20と、顧客端末30と、担当端末40と、を備える。PBX10、情報処理装置20、顧客端末30および担当端末40は、インターネットや公衆回線網等を含む通信ネットワーク50を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0012】
PBX10は、例えば、クラウド型のPBX(Private Branch eXchange)であり、各種の呼制御を行う電話交換機である。例えば、PBX10は、各代表番号に着信があった場合は、鳴動させる内線番号を決定して、決定された内線番号の担当端末40に対して呼接続要求を送信する。これにより、担当端末40が鳴動する。ここで、PBX10は、内線番号の決定を情報処理装置20に要求し、応答された内線番号を鳴動対象に決定する。なお、鳴動とは音、振動、光の明滅、音楽、記号・文字列の表示、又はそれらの組み合わせ等により着信していることを、担当端末40を使用する担当者に知らせることを意味する。
【0013】
情報処理装置20は、発信元である顧客の状態を示す情報を記憶する装置である。情報処理装置20は、PBX10からの内線番号の送信要求を受けると、顧客の状態を示す情報に基づいて内線番号を決定して、決定した内線番号を示す情報をPBX10に送信する。
【0014】
顧客端末30は、複数の顧客が使用する端末の総称である。以下、各端末を区別する際は、第一顧客端末30a、第二顧客端末30b等と呼ぶ。顧客端末30は、例えばスマートフォン等の電話機能を備えている。
【0015】
担当端末40は、企業の担当者が使用する端末の総称である。以下、各端末を区別する際は、第一担当端末40a、第二担当端末40b等と呼ぶ。担当端末40は、例えばスマートフォン等の電話機能を備え、企業や部署等の或る組織内で一意の内線番号が割り当てられており、割り当てられた内線番号宛の呼接続要求に対して応答することが可能である。担当端末40は、いわゆる「スマートフォン内線化サービス」等により使用するスマートフォンである。
【0016】
顧客端末30および担当端末40は、スマートフォンに限られず、例えば、電話機能を備えたタブレット端末、ウェアラブルデバイス、PC(パーソナルコンピュータ)等であってもよい。
【0017】
以下では、本実施の形態として、実施例1、実施例2および実施例3について説明する。
【0018】
(実施例1)
まず、実施例1について説明する。実施例1では、代表番号への着信に対して、発信元の顧客の状態に応じて内線番号を決定する例を示す。
【0019】
(各装置の機能構成)
図2は、実施例1に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。PBX10は、呼接続制御部11と、内線番号取得部12と、を備える。
【0020】
呼接続制御部11は、代表番号が着信先として指定された呼接続要求(以下、第1の呼接続要求ともいう。)を受信する。また、呼接続制御部11は、第1の呼接続要求に対して鳴動させる担当端末40の内線番号が、内線番号取得部12によって取得された場合、取得された内線番号によって特定される担当端末40に対して、発信元の顧客端末30との接続を要求する呼接続要求(以下、第2の呼接続要求ともいう。)を送信する。更に、呼接続制御部11は、第2の呼接続要求に対して応答があった場合、応答を行った担当端末40と発信元の顧客端末30との呼接続を確立する。
【0021】
呼接続制御部11は、発信元から発信者番号通知を伴う着信があった場合、通知された発信者番号を示す情報を内線番号取得部12に引き渡す。発信者番号は、顧客を識別するための識別子(以下、顧客番号ともいう。)として使用する。呼接続制御部11は、PBX10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0022】
内線番号取得部12は、第2の呼接続要求を行う内線番号を取得する。具体的には、内線番号取得部12は、発信者番号を示す情報とともに、内線番号を特定する要求(以下、内線番号特定要求ともいう。)を情報処理装置20に送信し、応答として内線番号を示す情報を取得する。内線番号取得部12は、プロセッサ等の演算装置が、PBX10にインストールされた1以上のプログラムに規定された処理を実行して、通信装置を制御することによって実現される。
【0023】
情報処理装置20は、受信部21と、内線番号特定部22と、記憶部23と、送信部24と、を備える。
【0024】
受信部21は、PBX10から内線番号特定要求を受信する。内線番号特定部22は、受信部21が内線番号特定要求を受信すると、発信者番号を示す情報に基づいて、内線番号を特定する。内線番号特定部22は、記憶部23が記憶する内線番号情報901と、顧客情報902と、担当・顧客ステータス対応情報903と、を参照して、内線番号を特定する。内線番号特定部22は、情報処理装置20にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0025】
記憶部23は、各種情報を記憶し、具体的には、内線番号情報901と、顧客情報902と、担当・顧客ステータス対応情報903と、を記憶する。各種情報の具体例については後述する。記憶部23は、プロセッサ等の演算装置が、情報処理装置20にインストールされた1以上のプログラムに規定された処理を実行して、各種記憶装置を制御することによって実現される。
【0026】
送信部24は、内線番号特定部22によって特定された内線番号を示す情報を、PBX10に送信する。
【0027】
受信部21および送信部24は、プロセッサ等の演算装置が、情報処理装置20にインストールされた1以上のプログラムに規定された処理を実行して、通信装置を制御することによって実現される。
【0028】
(各種情報の具体例)
次に、実施例1で扱う各種情報について説明する。
【0029】
図3は、内線番号情報の一例を示す図である。内線番号情報901は、担当者ごとの内線番号を示す情報であって、項目として、内線番号と、担当者名と、担当チームと、チーム内優先順位と、を含む。
【0030】
項目「内線番号」の値は、各担当者の使用する担当端末40の内線番号である。
【0031】
項目「担当者名」の値は、各担当者の名称である。
【0032】
項目「担当チーム」の値は、各担当者の所属するチームの名称である。各担当者はその役割によって区分けされたいずれかのチームに所属する。なお、ここでは各担当者が1つのチームに所属する例を示したが、複数のチームに所属しても良い。
【0033】
項目「チーム内優先順位」の値は、チーム内における各担当者の優先順位である。この優先順位に従って、内線番号が特定される。
【0034】
図4は、顧客情報の一例を示す図である。顧客情報902は、顧客に関する情報であって、項目として、顧客番号と、顧客ステータスと、指定担当者名と、を含む。
【0035】
項目「顧客番号」の値は、各顧客の電話番号である。項目「顧客番号」の値は、顧客を識別するための識別子として機能し、企業の代表番号への着信の際には、発信者番号として通知される。なお、「顧客番号」は、顧客を識別できるものであれば電話番号でなくてもよい。
【0036】
項目「顧客ステータス」の値は、各顧客の状態を示す値である。項目「顧客ステータス」の取り得る値は、「新規顧客」、「商品購入済」等のようにあらかじめ定められていて、顧客の購買行動等に応じて随時更新されている。
【0037】
項目「指定担当者名」の値は、各顧客が指定する担当者、または、顧客に担当すべきと指定された担当者の名称である。項目「指定担当者名」の値が指定されている顧客からの着信に対しては、顧客の状態に関わらず、項目「指定担当者名」の値が示す名称の担当者の内線番号が呼び出される。
【0038】
図5は、担当・顧客ステータス対応情報の一例を示す図である。担当・顧客ステータス対応情報903は、顧客の状態と、担当者のチームとの対応を規定する情報である。担当・顧客ステータス対応情報903は、項目として、顧客ステータスと、担当チームと、優先順位と、を含む。
【0039】
項目「顧客ステータス」の値は、顧客情報902の項目「顧客ステータス」に対応する値である。
【0040】
項目「担当チーム」の値は、内線番号情報901の項目「担当チーム」に対応する値であって、各「顧客ステータス」に割り当てられた値である。例えば、項目「顧客ステータス」の値「新規顧客」と項目「担当チーム」の値「営業担当(商品紹介)」が対応付けられている。これらの対応付けは、顧客の状態に応じて、どの担当チームで応対するのが適切であるかを考慮して、あらかじめ設定される。
【0041】
項目「優先順位」の値は、項目「顧客ステータス」の値に対して、複数の項目「担当チーム」の値が対応付けられている場合に、どの担当チームを優先して応対させるかを示す値である。
【0042】
(電話システム1の動作概要)
次に、電話システム1の動作について説明する。図6は、実施例1に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0043】
呼接続制御処理の前処理として、各担当端末40(第一担当端末40a、第二担当端末40b等)は、それぞれ担当者を登録する処理を情報処理装置20に要求する(ステップS101およびステップS102)。例えば、各担当端末40は、情報処理装置20が生成する担当登録用の画面を表示し、各担当者から、担当者の名称、内線番号等の情報の入力を受けて、情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、入力された情報を、内線番号情報901として記憶部23に記憶させる。なお、各担当者が各自で登録しなくても良く、例えば、各担当の管理者が一括して登録することとしてもよい。
【0044】
また、各顧客端末30(第一顧客端末30a、第二顧客端末30b等)は、それぞれ顧客ステータスを登録する処理を情報処理装置20に要求する(ステップS103およびステップS104)。例えば、各顧客端末30は、情報処理装置20が生成する商品購入用の画面等を表示し、各顧客からの商品購入等の操作を受けて、操作内容を示す情報を情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、受信した情報に基づいて、顧客情報902の項目「顧客ステータス」の値を更新する。なお、情報処理装置20は、項目「顧客ステータス」の値を顧客端末30からの要求によって更新しなくても良く、例えば、担当端末40からの要求によって更新するか、商品購入システム等との連動によって更新するようにしてもよい。
【0045】
以下、前処理によって、内線番号情報901および顧客情報902が、記憶部23に格納されていることを前提として、呼接続制御処理の本処理について説明する。なお、担当・顧客ステータス対応情報903は、電話システム1の設計段階において設定されているものとする。
【0046】
PBX10の呼接続制御部11は、顧客端末30(例えば第二顧客端末30b)から代表番号への着信による呼接続要求を受ける(ステップS201)。呼接続制御部11は、第二顧客端末30bからの発信者番号の通知により、発信者番号すなわち顧客番号を特定する。
【0047】
内線番号取得部12は、顧客番号を示す情報を含む内線番号特定要求を情報処理装置20に送信する(ステップS202)。情報処理装置20の受信部21は、内線番号特定要求を受信する。内線番号特定部22は、内線番号特定要求に含まれる顧客番号を示す情報に基づいて、内線番号を特定する(ステップS203)。
【0048】
具体的には、内線番号特定部22は、顧客情報902を参照して、顧客番号に該当する顧客の項目「指定担当者名」に値が設定されているか否かを判定する。
【0049】
そして、内線番号特定部22は、項目「指定担当者名」に値が設定されていると判定すると、設定されている値に相当する担当者の内線番号を内線番号情報901から特定する。例えば、図4に示す顧客番号「090222223」の顧客の場合は、内線番号特定部22は、指定担当者名「A」が設定されていると判定し、図3に示す担当者名「A」の内線番号「0001」を特定する。
【0050】
また、内線番号特定部22は、項目「指定担当者名」に値が設定されていないと判定すると、顧客情報902を参照して、該当する顧客の項目「顧客ステータス」の値を特定する。例えば、図4に示す顧客番号「090222224」の顧客の場合は、内線番号特定部22は、項目「指定担当者名」の値が設定されていないと判定し、項目「顧客ステータス」の値を「未登録」と特定する。なお、内線番号特定部22は、顧客情報902に登録されていない顧客番号があった場合に、「未登録」と特定するようにしてもよい。
【0051】
そして、内線番号特定部22は、特定された項目「顧客ステータス」の値に対応する項目「担当チーム」の値のうち、優先順位の最も高い値を、担当・顧客ステータス対応情報903から特定する。例えば、内線番号特定部22は、図5に示す顧客ステータス「未登録」に対応する項目「担当チーム」の値である「サポート担当(料金説明)」および「サポート担当(機能説明)」のうち、優先順位の最も高い「サポート担当(料金説明)」を特定する。
【0052】
続いて、内線番号特定部22は、特定された担当チームに所属する担当者のうち、チーム内優先順位の最も高い担当者の内線番号を特定する。例えば、内線番号特定部22は、図3に示す担当チーム「サポート担当(料金説明)」に所属する担当者「C」および「D」のうち、チーム内優先順位の最も高い担当者「C」の内線番号「0003」を特定する。
【0053】
図6に戻り、送信部24は、特定された内線番号を示す内線番号情報をPBX10に送信する(ステップS204)。PBX10の内線番号取得部12は、取得した内線番号情報を呼接続制御部11に引き渡す。
【0054】
PBX10の呼接続制御部11は、内線番号取得部12が取得した内線番号情報に示される内線番号の担当端末(例えば第二担当端末40b)に、呼接続要求(第二の呼接続要求)を送信する(ステップS205)。
【0055】
実施例1に係る電話システム1によれば、企業の代表番号への着信に対して、発信元の顧客の状態に応じた担当者の使用する端末に接続させることができる。これによって、顧客にとっては、所謂たらい回しにされることが無いため、顧客満足度を向上させることができる。また、企業にとっては、電話を転送する等のような無駄な手間の発生を回避することができる。
【0056】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では、代表番号への着信に対して、発信元の顧客の状態に応じて内線番号を決定し、さらに当該内線番号への接続可否をPBX10にて判定する例を示す。以下の実施例2の説明では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と同様の機能構成を有するものには、実施例1の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0057】
図7は、実施例2に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。実施例2に係るPBX10は、実施例1に係るPBX10に、接続可否判定部13と、記憶部14と、が追加された構成である。
【0058】
接続可否判定部13は、記憶部14に記憶されている接続可否情報904を参照して、各担当端末40への接続可否を判定する。接続可否とは、担当端末40に接続してもよいか否かであって、各担当者のスケジュール、業務状況等に応じて随時更新される。接続可否判定部13は、PBX10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0059】
記憶部14は、各種情報を記憶し、具体的には、接続可否情報904を記憶する。接続可否情報904は、各担当者のスケジュール、業務状況等を示す情報を収集することによって、随時更新される情報であって、各担当端末40に接続可能な状況であるか否かを示す。記憶部14は、プロセッサ等の演算装置が、PBX10にインストールされた1以上のプログラムに規定された処理を実行して、各種記憶装置を制御することによって実現される。
【0060】
また、実施例2に係る情報処理装置20の内線番号特定部22は、受信部21がPBX10から、特定された内線番号に接続できない旨の通知を受信すると、特定された前記内線番号を除外して、顧客からの発信に対して応答すべき内線番号を特定する。
【0061】
図8は、接続可否情報の一例を示す図である。接続可否情報904は、項目として、内線番号と、接続可否と、を含む。
【0062】
項目「内線番号」の値は、内線番号情報901の項目「内線番号」の値に対応し、各担当端末40の呼び出しに使用される番号である。
【0063】
項目「接続可否」の値は、当該内線番号への接続可否を示す値である。
【0064】
図9は、実施例2に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0065】
実施例2に係る呼接続制御処理では、本処理のステップS204においてPBX10の内線番号取得部12が内線番号情報を取得すると、接続可否判定部13は、接続可否情報904を参照して、取得した内線番号情報が示す内線番号への接続可否を判定する(ステップS301)。
【0066】
接続可否判定部13が接続可と判定すると(例えば、図8の場合における内線番号「0002」のように、項目「接続可否」の値が「接続可」である場合)、呼接続制御部11は、当該内線番号の担当端末40(例えば第二担当端末40b)に呼接続要求を送信する(ステップS302)。
【0067】
また、接続可否判定部13が接続不可と判定すると(例えば、図8の場合における内線番号「0001」のように、項目「接続可否」の値が「接続否」である場合)、内線番号取得部12は、再び内線番号特定要求を情報処理装置20に送信する(ステップS303)。ここで、内線番号取得部12は、内線番号特定要求において、特定された内線番号に接続できない旨の通知を送信する。
【0068】
情報処理装置20の受信部21が内線番号特定要求であって、特定された内線番号に接続できない旨の通知を受信すると、内線番号特定部22は、再び内線番号を特定する(ステップS304)。ここで、内線番号特定部22は、ステップS203において特定した内線番号を除外して、最も優先順位の高い内線番号を特定する。そのため、内線番号特定部22は、特定した内線番号の履歴を記憶部23に記憶させておく。
【0069】
具体的には、例えば、内線番号特定部22は、ステップS203において、顧客情報902の項目「指定担当者名」で指定された内線番号を特定した場合は、ステップS304においては、項目「指定担当者名」が設定されていないものとみなして、顧客ステータスに応じた内線番号を特定する処理を実行する。
【0070】
また、内線番号特定部22は、ステップS203において、担当チームとして特定された担当者が複数該当した場合には、ステップS304においては、ステップS203で特定された担当者よりもチーム内優先順位が一つ下の担当者の内線番号を特定する。
【0071】
さらに、内線番号特定部22は、ステップS203において、担当チームとして特定された担当者が一人しか該当しなかった場合であって、顧客ステータスに対応する担当チームが複数該当した場合には、ステップS304においては、ステップS203で特定された担当チームよりも優先順位が一つ下の担当チームに所属する担当者の内線番号を特定する。
【0072】
このようにして、内線番号特定部22は、ステップS203において特定した内線番号を除く内線番号を特定する。送信部24は、特定された内線番号示す内線番号情報をPBX10に送信する(ステップS305)。
【0073】
PBX10の内線番号取得部12が内線番号情報を取得すると、接続可否判定部13は、接続可否情報904を参照して、取得した内線番号情報が示す内線番号への接続可否を判定する(ステップS306)。
【0074】
接続可否判定部13が接続可と判定すると、呼接続制御部11は、当該内線番号の担当端末40(例えば第一担当端末40a)に呼接続要求を送信する(ステップS307)。なお、ステップS306において、接続可否判定部13が接続不可と判定すると、ステップS303以下の処理を繰り返し実行する。その際、情報処理装置20の内線番号特定部22は、上述したステップS304の処理と同様に、これまでに特定した内線番号をすべて除く内線番号から、優先順位の最も高い内線番号を特定する。繰り返しの回数は、あらかじめ上限値を定めておいても良い。
【0075】
実施例2に係る電話システム1によれば、代表番号への着信に対して、発信元の顧客の状態に応じて内線番号を決定し、さらに当該内線番号への接続可否を判定する。これによって、発信元の顧客の状態に応じた内線番号のうち、接続可能な内線番号に接続することができる。
【0076】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では、代表番号への着信に対して、情報処理装置20が、発信元の顧客の状態に応じた内線番号を、接続可否を考慮して決定する例を示す。以下の実施例3の説明では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と同様の機能構成を有するものには、実施例1の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0077】
図10は、実施例3に係るPBXおよび情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。実施例3に係る情報処理装置20は、実施例1に係る情報処理装置20に加えて、記憶部23が接続可否情報904を記憶する。接続可否情報904は、実施例2において図8に示したものと同様である。
【0078】
実施例3に係る内線番号特定部22は、接続可否情報904に基づく接続可能な内線番号の中から、顧客番号によって識別される顧客の状態を示す顧客情報902に基づいて、当該顧客からの発信に応答すべき内線番号を特定する。
【0079】
図11は、実施例3に係る呼接続制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。実施例3に係る呼接続制御処理では、実施例1に係る呼接続制御処理のステップS203において、内線番号特定部22は、接続可否判定を含む内線番号の特定を行う。すなわち、内線番号特定部22は、接続可否情報904において項目「接続可否」の値が「接続可」となっている内線番号(図8の内線番号「0002」および「0003」等)の中から、顧客の状態に基づいて応答すべき内線番号を特定する。
【0080】
実施例3に係る電話システム1によれば、代表番号への着信に対して、発信元の顧客の状態に応じて内線番号を、接続可否を考慮して決定する。実施例2に係る電話システム1と比較して、内線番号が決定するまでの間に発生するPBX10と情報処理装置20との間の通信を減らすことができる。
【0081】
(変形例)
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0082】
本実施の形態において、内線番号特定部22が、顧客の状態に応じた担当チームを、担当・顧客ステータス対応情報903に基づいて特定する例を示した。本発明の範囲はこれに限られず、他の方法によって担当チームを特定しても良い。
【0083】
例えば、顧客情報902に、顧客の状態を示すテキストを格納しておき、内線番号特定部22が、テキストの内容を自然言語処理等によって分析して、担当チームを特定する処理を行っても良い。また、顧客情報902に、顧客の状態の時系列に沿った履歴の情報を含めておき、内線番号特定部22が、時系列に沿った履歴の情報に基づいて、担当チームを特定する処理を行っても良い。
【0084】
また、機械学習によって、顧客の状態と担当チームとの対応付けを行う学習モデルを構築し、内線番号特定部22が、構築された学習モデルを用いて、担当チームを特定しても良い。その場合、顧客からのフィードバック等を受けて教師データを生成し、生成された教師データによって当該学習モデルの精度を向上させるようにしても良い。
【0085】
本実施の形態において、顧客を識別するための識別情報として、発信者番号を使用する例を示したが、本発明の範囲はこれに限られず、他の識別情報によって発信元である顧客を特定しても良い。例えば、一般家庭における固定電話のように、複数人が同一の電話番号を利用する場合には、発信者番号だけでは個人を特定できない。そこで、音声ガイダンス等によって、家族内における個人を識別するための識別番号の入力を促し、入力された識別番号を発信者番号と組み合わせることによって、顧客を識別するようにしても良い。その場合、図4に示した顧客情報902に、当該識別番号を示す項目を追加する。
【0086】
また、情報処理装置20が表示制御するログイン済みのWeb画面等において、ログイン済みであることを示すセッション情報を引き渡して、代表番号に発信できるようにしても良い。その場合、PBX10は、発信されたセッション情報を情報処理装置20に引き渡す。情報処理装置20は、引き渡されたセッション情報に基づいて、顧客を識別する。
【0087】
このように、顧客を識別する識別子は、業種または業態に応じて適切に選択することができるようにしても良い。
【0088】
また、本実施の形態おいて、企業は、電話の着信先の一例であり、顧客は電話の発信元の一例である。本発明の範囲はこれに限られず、電話の着信に対し、発信元の状態に応じて内線番号を特定するための技術として広く利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 電話システム
10 PBX
11 呼接続制御部
12 内線番号取得部
13 接続可否判定部
14 記憶部
20 情報処理装置
21 受信部
22 内線番号特定部
23 記憶部
24 送信部
30 顧客端末
40 担当端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11