(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116501
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 19/50 20060101AFI20220803BHJP
B60Q 1/068 20060101ALI20220803BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20220803BHJP
B29C 45/37 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B60R19/50 Z
B60Q1/068 100
B29C45/26
B29C45/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012686
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】北郷 博也
【テーマコード(参考)】
3K339
4F202
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA13
3K339BA26
3K339CA02
3K339GA02
3K339GA14
3K339GB04
3K339GC05
3K339LA01
4F202AG21
4F202AG28
4F202AH17
4F202AH24
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK42
4F202CK83
(57)【要約】
【課題】エーミング孔を有する樹脂製の車両用外装部品のエーミング孔を、スライド型を用いることなく形成可能とする。
【解決手段】フォグランプの下方に配置されたエーミング孔4aを有する底壁部4を有すると共に樹脂によって形成されたバンパロア1において、底壁部4は、外壁面4b1が下方に向けられた下面であると共に内壁面4b2が上方に向けられた上壁部4bと、内壁面4c2が上壁部4bの外壁面4b1と同一高さあるいは下方に位置する下壁部4cと、上壁部4bと下壁部4cとが接続されることで形成された段差部5とを有し、エーミング孔4aの少なくとも一部が上壁部4bに形成されると共に、上壁部4bの外壁面4b1の法線方向から見てエーミング孔4aが段差部5の上壁部4bと下壁部4cとの境界である境界ラインに接続して設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーミング対象機器の下方に配置されたエーミング孔を有する底壁部を有すると共に樹脂によって形成された車両用外装部品であって、
前記底壁部は、
外壁面が下方に向けられた下面であると共に内壁面が上方に向けられた上壁部と、
内壁面が前記上壁部の外壁面と同一高さあるいは下方に位置する下壁部と、
前記上壁部と前記下壁部とが接続されることで形成された段差部と
を有し、
前記エーミング孔の少なくとも一部が前記上壁部に形成されると共に、前記上壁部の前記外壁面の法線方向から見て前記エーミング孔が前記段差部の前記上壁部と前記下壁部との境界に接続して設けられている
ことを特徴とする車両用外装部品。
【請求項2】
前記底壁部が複数の前記エーミング孔を有し、
単一の段差部の前記上壁部と前記下壁部との境界に、複数の前記エーミング孔が接続して設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記底壁部が複数の前記エーミング孔と、複数の前記段差部とを有し、
複数の前記エーミング孔は、各々が異なる前記段差部における前記上壁部と前記下壁部との境界に接続して設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項4】
エーミング対象機器の下方に配置されたエーミング孔を有すると共に樹脂によって形成された車両用外装部品の製造方法であって、
前記車両用外装部品は、
外壁面が下方に向けられた下面であると共に内壁面が上方に向けられた上壁部と、
内壁面が前記上壁部の外壁面と同一高さあるいは下方に位置する下壁部と、
前記上壁部と前記下壁部とが接続されることで形成された段差部と、
少なくとも一部が前記上壁部に形成されると共に、前記上壁部の前記外壁面の法線方向から見て前記段差部の前記上壁部と前記下壁部との境界に接続して設けられた前記エーミング孔と
を有し、
前記上壁部の外壁面及び前記下壁部の外壁面と成形するキャビティ型と、前記上壁部の内壁面及び前記下壁部の内壁面とを成形するコア型とを当接させて前記エーミング孔を形成する
ことを特徴とする車両用外装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両に対しては、様々な外装部品が設置されている。例えば、特許文献1においては、バンパフェイシアが車両用外装部品として車両の前部に設置されている。このような車両用外装部品には、車両に搭載される機器(例えばフォグランプ)のエーミングを行うためのエーミング孔が設けられる場合がある。このような場合には、エーミング孔から工具を差し込み、車両用外装部品の奥に配置された機器のエーミングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用外装部品の多くは、樹脂の射出成形によって形成されている。射出成形では、キャビティ型とコア型との間に形成されたキャビティ空間に溶融した樹脂を供給し、樹脂を冷却して硬化させて成形体とし、その後キャビティ型に対してコア型を離間させて成形体を取り出す。ところが、複雑な三次元形状に形成された成形体を貫通するように設けられるエーミング孔は、キャビティ型とコア型とで形成されず、金型に設けられたスライド型により形成される。このようなスライド型は、コア型の移動方向とは異なる方向に移動される。このため、スライド型を移動させる複雑な機構を金型に組み込む必要があり、金型の構造が複雑化することになる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、エーミング孔を有する樹脂製の車両用外装部品のエーミング孔を、スライド型を用いることなく形成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、エーミング対象機器の下方に配置されたエーミング孔を有する底壁部を有すると共に樹脂によって形成された車両用外装部品であって、上記底壁部が、外壁面が下方に向けられた下面であると共に内壁面が上方に向けられた上壁部と、内壁面が上記上壁部の外壁面と同一高さあるいは下方に位置する下壁部と、上記上壁部と上記下壁部とが接続されることで形成された段差部とを有し、上記エーミング孔の少なくとも一部が上記上壁部に形成されると共に、上記上壁部の上記外壁面の法線方向から見て上記エーミング孔が上記段差部の上記上壁部と上記下壁部との境界に接続して設けられているという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記底壁部が複数の上記エーミング孔を有し、単一の段差部の上記上壁部と上記下壁部との境界に、複数の上記エーミング孔が接続して設けられているという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、上記底壁部が複数の上記エーミング孔と、複数の上記段差部とを有し、複数の上記エーミング孔は、各々が異なる上記段差部における上記上壁部と上記下壁部との境界に接続して設けられているという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、エーミング対象機器の下方に配置されたエーミング孔を有すると共に樹脂によって形成された車両用外装部品の製造方法であって、上記車両用外装部品が、外壁面が下方に向けられた下面であると共に内壁面が上方に向けられた上壁部と、内壁面が上記上壁部の外壁面と同一高さあるいは下方に位置する下壁部と、上記上壁部と上記下壁部とが接続されることで形成された段差部と、少なくとも一部が上記上壁部に形成されると共に、上記上壁部の上記外壁面の法線方向から見て上記段差部の上記上壁部と上記下壁部との境界に接続して設けられた上記エーミング孔とを有し、上記上壁部の外壁面及び上記下壁部の外壁面と成形するキャビティ型と、上記上壁部の内壁面及び上記下壁部の内壁面とを成形するコア型とを当接させて上記エーミング孔を形成するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、車両用外装部品の底壁部が、相対的に上方に位置する上壁部と、相対的に下方に位置する下壁部と、これらの上壁部と下壁部とが接続されることで形成された段差部とを備えている。また、エーミング孔は、少なくとも一部が上壁部に設けられると共に段差部に対して接続されている。このようなエーミング孔は、底壁部の内壁面を成形するコア型と底壁部の外壁面を成形するキャビティ型とを当接させた状態で射出成形を行うことによって形成することが可能である。このため、本発明によれば、エーミング孔を有する樹脂製の車両用外装部品のエーミング孔を、スライド型を用いることなく形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるバンパロアを備える車両を前方から見た模式的な正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態におけるバンパロアを下方から見た模式的な斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態におけるバンパロアが備えるエーミング孔を含む部位を下方から見た要部拡大斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるバンパロアの製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態におけるバンパロアを下方から見た模式的な斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態におけるバンパロアが備えるエーミング孔を含む部位を下方から見た要部拡大斜視図である。
【
図8】エーミング孔を通る本発明の第3実施形態のバンパロアの模式的な要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の車両用外装部品を、車両の前部に設けられたバンパロアに適用した例について説明する。ただし、本発明の車両用外装部品は、これに限定されるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のバンパロア1を備える車両100を前方から見た模式的な正面図である。車両100には、バンパロア1を設置した後にエーミング(校正作業)が実施可能なフォグランプ101(エーミング対象機器)が備えられている。例えば、フォグランプ101の光軸が、エーミングによって調整される。このようなフォグランプ101は、
図1に示すように、車両100を前方から見て、車両100の左部と右部との各々に設けられている。
【0015】
また、
図1に示すように、車両100の前部の下部位置には、本実施形態のバンパロア1が設けられている。本実施形態のバンパロア1は、樹脂の射出成形品である。
図2は、本実施形態のバンパロア1を下方から見た模式的な斜視図である。この図に示すように、本実施形態のバンパロア1は、立壁部2と、格子部3と、底壁部4とを有している。
【0016】
立壁部2は、底壁部4の前縁から上方に向けて立設した壁部である。この立壁部2の外壁面は、車両100の外側に向けられており、外部から視認可能な意匠面とされている。この立壁部2は、外壁面が車両100の前方に向けられた中央部2aと、外壁面が車両100の側方に向けられた側部2bとを有している。
図2に示すように、本実施形態においては、車幅方向にて、中央部2aを間に挟み込むようにして、中央部2aの両側に側部2bが設けられている。
【0017】
中央部2aの中央には、車両の前後方向に貫通する開口2cが設けられている。この開口2cは、車両内部に外気を取り込み可能にしている。格子部3は、立壁部2の開口2cに配置された格子構造体であり、開口2cに外部から異物が侵入することを抑止する。
【0018】
また、立壁部2の中央部2aには、開口2cを間に挟むようにして、開口2cの側方の各々にフォグランプ用開口2dが設けられている。これらのフォグランプ用開口2dは、車体に対して固定されるフォグランプ101(
図1参照)を露出させる開口である。
【0019】
なお、バンパロア1は、このような立壁部2と、格子部3と、底壁部4とを備える構成に限定されるものではない。例えば、格子部3が設けられていない構成とすることも可能である。また、立壁部2は、必ずしも中央部2aと側部2bとを有する構成である必要はない。例えば、立壁部2は、中央部2aのみを備える構成であっても良い。また、立壁部2には、必ずしも開口2cを設ける必要はない。
【0020】
さらに、立壁部2には、必ずしもフォグランプ用開口2dを設ける必要はない。例えば、立壁部2が、フォグランプ101の前方を覆わない形状であることも可能である。このような場合には、立壁部2に対してフォグランプ用開口2dを設けない構成を採用することも可能である。
【0021】
底壁部4は、立壁部2の下縁から車両後方に延出する壁部であり、フォグランプ101の下方に配置されている。つまり、底壁部4は、エーミング対象機器であるフォグランプ101を下方から覆うように配置されている。
図2に示すように、このような底壁部4には、フォグランプ101をエーミングするための工具を挿入するためのエーミング孔4aが設けられている。
【0022】
本実施形態においては、上述のようにフォグランプ101が車両100の左右の各々に1つずつ配置されている。底壁部4は、これらの2つのフォグランプ101の両方を下方から覆う大きさに形成されている。各々のフォグランプ101をエーミング可能とするために、本実施形態のバンパロア1においては、底壁部4に対して2つのエーミング孔4aが設けられている。各々のエーミング孔4aは、フォグランプ101の直下に設けられている。
【0023】
図3は、エーミング孔4aを通る本実施形態のバンパロア1の模式的な縦断面図であり、
図2のA-A断面図である。
図3に示すように、本実施形態のバンパロア1は、立壁部2の下縁部から底壁部4が延出することによって、縦断面形状が略L字状となるように形成されている。このような本実施形態のバンパロア1において、立壁部2の前面(底壁部4の立壁部2からの延出方向と反対側方向に向けられた面)は立壁部2の外壁面(車両100の外側に向けられた面)であり、立壁部2の背面(底壁部4の立壁部2からの延出方向に向けられた面)は立壁部2の内壁面(車両100の内側に向けられた面)である。
【0024】
一方、底壁部4は、外壁面が下方に向けられ、内壁面が上方に向けられて配置された壁部である。つまり、底壁部4において、下面が外壁面(車両100の外側に向けられた面)であり、上面が内壁面(車両100の内側に向けられた面)である。
【0025】
このような底壁部4は、
図3に示すように、底壁部4は、上壁部4bと、下壁部4cとを有している。なお、上壁部4bは相対的に下壁部4cよりも上方に位置する部位であり、下壁部4cは相対的に上壁部4bよりも下方に位置する部位である。
【0026】
上壁部4bの外壁面4b1は、底壁部4の外壁面の一部を形成し、下方に向けられている。また、上壁部4bの内壁面4b2は、底壁部4の内壁面の一部を形成し、上方に向けられている。この上壁部4bの前端部は、
図3に示すように、立壁部2の下縁部に直接的に接続されている。
【0027】
下壁部4cの外壁面4c1は、底壁部4の外壁面の一部を形成し、下方に向けられている。また、下壁部4cの内壁面4c2は、底壁部4の内壁面の一部を形成し、上方に向けられている。この下壁部4cの前端部には上方に向けて突出する突部4c3が設けられている。下壁部4cは、突部4c3が上壁部4bの後端部に接続されている。
【0028】
本実施形態では、上壁部4bの外壁面4b1は、下壁部4cの内壁面4c2よりも上方に配置されている。つまり、下壁部4cは、内壁面4c2が上壁部4bの外壁面4b1よりも下方に位置する。このような上壁部4bと下壁部4cとが接続されることで、
図3に示すように、段差部5が形成されている。
【0029】
また、本実施形態では、下壁部4cが車幅方向(車両100の左右方向)に延伸して設けられている。このため、上壁部4bと下壁部4cとの境界ラインLも、車幅方向(車両100の左右方向)に延伸して設けられている。この境界ラインLは、本実施形態において2つ設けられたエーミング孔4aのいずれにも接続されるように延伸している。
【0030】
図4は、エーミング孔4aを含む部位を下方から見た要部拡大斜視図である。
図3及び
図4に示すように、エーミング孔4aは、底壁部4を上下方向に貫通して設けられている。本実施形態においては、エーミング孔4aは、上壁部4bに設けられており、段差部5にて上壁部4bと下壁部4cとの境界ラインLに接続されている。
【0031】
エーミング孔4aは、下壁部4c側の端部の境界ラインLに沿った方向の幅寸法daが他の部位と比較して最も大きい。つまり、エーミング孔4aは、境界ラインLに接続された部位にて最大寸法となる。エーミング孔4aは、境界ラインLから離れるに連れて幅寸法が小さくなる形状とされており、本実施形態においては、略半楕円形の形状に形成されている。
【0032】
このようなエーミング孔4aは、本実施形態のバンパロア1を樹脂の射出成形によって形成する場合に、キャビティ型とコア型とを当接させることによって形成され、スライド型を用いることなく形成することが可能である。続いて、このようなエーミング孔4aを有する本実施形態のバンパロア1の製造方法について、
図5を参照して説明する。
【0033】
図5は、本実施形態のバンパロア1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。本実施形態のバンパロア1は、金型20を用いた樹脂の射出成形によって形成される。金型20は、外部から視認可能な意匠面となるバンパロア1の外壁面(立壁部2の外壁面及び底壁部4の外壁面)を成形するキャビティ型21と、バンパロア1の内壁面(立壁部2の内壁面及び底壁部4の内壁面)とを成形するコア型22とを有している。
【0034】
キャビティ型21とコア型22とは脱離可能とされている。これらのキャビティ型21とコア型22とが合わさることでキャビティ型21とコア型22との間には、
図5(a)に示すように、溶融樹脂を供給する空間であるキャビティ空間23が設けられる。このキャビティ空間23に、不図示のゲートを介して溶融樹脂が供給され、冷却硬化されることで本実施形態のバンパロア1が形成される。
【0035】
ここで、
図5(a)に示すように、キャビティ型21とコア型22とは、エーミング孔4aを形成する箇所において当接されており、エーミング孔4aとなる部位に溶融樹脂が流れ込むことを防止する。このため、スライド型を用いることなく、エーミング孔4aが形成される。
【0036】
金型20の内部にてバンパロア1が形成されると、コア型22がキャビティ型21から離間され、コア型22に貼りついたバンパロア1が不図示のピンによってコア型22から脱離される。
【0037】
以上のような本実施形態のバンパロア1は、フォグランプ101の下方に配置されたエーミング孔4aを有する底壁部4を有すると共に樹脂によって形成されている。また、本実施形態のバンパロア1において、底壁部4は、外壁面4b1が下方に向けられた下面であると共に内壁面4b2が上方に向けられた上壁部4bと、内壁面4c2が上壁部4bの外壁面4b1と同一高さあるいは下方に位置する下壁部4cと、上壁部4bと下壁部4cとが接続されることで形成された段差部5とを有している。さらに、本実施形態のバンパロア1においては、エーミング孔4aの少なくとも一部が上壁部4bに形成されると共に、上壁部4bの外壁面4b1の法線方向から見てエーミング孔4aが段差部5の上壁部4bと下壁部4cとの境界である境界ラインLに接続して設けられている。
【0038】
このような本実施形態のバンパロア1では、バンパロア1の底壁部4が、相対的に上方に位置する上壁部4bと、相対的に下方に位置する下壁部4cと、これらの上壁部4bと下壁部4cとが接続されることで形成された段差部5とを備えている。また、エーミング孔4aは、少なくとも一部が上壁部4bに設けられると共に段差部5に対して接続されている。このようなエーミング孔4aは、底壁部4の内壁面を成形するコア型22と底壁部4の外壁面を成形するキャビティ型21とを当接させた状態で射出成形を行うことによって形成することが可能である。このため、本実施形態のバンパロア1によれば、エーミング孔4aを有する樹脂製のバンパロア1のエーミング孔4aを、スライド型を用いることなく形成することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態のバンパロア1においては、底壁部4が複数(2つ)のエーミング孔4aを有している。また、
図2に示すように、底壁部4には、単一の段差部5が設けられている。このような単一の段差部5における上壁部4bと下壁部4cとの境界ラインLに、2つのエーミング孔4aのいずれもが接続して設けられている。このような本実施形態のバンパロア1においては、境界ラインLが車幅方向に直線状に延伸され、バンパロア1の外観印象が向上する。このため、外部の者が車両100の下側を覗き込んだ場合であっても、バンパロア1さらには車両100の外観印象を良いものとすることが可能となる。
【0040】
また、本実施形態のバンパロア1の製造方法は、フォグランプ101の下方に配置されたエーミング孔4aを有すると共に樹脂によって形成されたバンパロア1の製造方法である。本実施形態のバンパロア1の製造方法によって製造されるバンパロア1は、上述のように、外壁面4b1が下方に向けられた下面であると共に内壁面4b2が上方に向けられた上壁部4bと、内壁面4c2が上壁部4bの外壁面4b1と同一高さあるいは下方に位置する下壁部4cと、上壁部4bと下壁部4cとが接続されることで形成された段差部5とを有している。さらにバンパロア1は、少なくとも一部が上壁部4bに形成されると共に、上壁部4bの外壁面の法線方向から見て段差部5の上壁部4bと下壁部4cとの境界ラインLに接続して設けられたエーミング孔4aを有している。
【0041】
本実施形態のバンパロア1の製造方法においては、上壁部4bの外壁面4b1及び下壁部4cの外壁面4c1と成形するキャビティ型21と、上壁部4bの内壁面4b2及び下壁部4cの内壁面4c2とを成形するコア型22とを当接させてエーミング孔4aを形成する。このような本実施形態のバンパロア1の製造方法によれば、エーミング孔4aを有する樹脂製のバンパロア1のエーミング孔4aを、スライド型を用いることなく形成することが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、
図6を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0043】
図6は、本実施形態のバンパロア1Aを下方から見た模式的な斜視図である。この図に示すように、本実施形態のバンパロア1Aにおいては、底壁部4に対して、2つの下壁部4cが設けられている。これらの下壁部4cは、各々のエーミング孔4aに接続されるように設けられている。
【0044】
この結果、本実施形態のバンパロア1Aの底壁部4には、エーミング孔4aごとに段差部5が設けられている。つまり、本実施形態のバンパロア1Aの底壁部4は、複数のエーミング孔4aと、複数の段差部5とを有している。また、各々のエーミング孔4aは、異なる境界ラインLに接続して設けられている。
【0045】
このような本実施形態のバンパロア1においては、段差部5がエーミング孔4aの各々に対して設けられており、各々のエーミング孔4aに接続された台状の部位(下壁部4cが上壁部4bよりも下方に突出するように配置されることで形成される部位)が形成される。このため、エーミング孔4aの周囲の強度を、上記第1実施形態のバンパロア1よりも向上させることが可能となる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0047】
図7は、本実施形態のバンパロア1Bが有するエーミング孔4dを含む部位を下方から見た要部拡大斜視図である。
図8は、エーミング孔4dを通る本実施形態のバンパロア1Bの模式的な要部拡大縦断面図である。
【0048】
これらの図に示すように、本実施形態のエーミング孔4dは、一部が上壁部4bに形成され、残部が下壁部4cに形成されている。つまり、本実施形態においてエーミング孔4dは、段差部5を跨ぐようにエーミング孔4dが形成されている。
【0049】
このようなエーミング孔4dは、上壁部4bの外壁面4b1の法線方向から見て、境界ラインLに接続されている。なお、エーミング孔4dを、上壁部4bに設けられた部位(上壁部側部位4d1)と、下壁部4cに設けられた部位(下壁部側部位4d2)とに分けて考える。この場合、上壁部側部位4d1は、下壁部4c側の端部の幅寸法が上壁部側部位4d1の他の部位と比較して最も大きい。つまり、上壁部側部位4d1は、境界ラインLに接続された部位にて最大寸法となる。
【0050】
また、下壁部側部位4d2は、上壁部4b側の端部の幅寸法が下壁部側部位4d2の他の部位と比較して最も大きい。つまり、下壁部側部位4d2も、上壁部側部位4d1と同様に、境界ラインLに接続された部位にて最大寸法となる。
【0051】
このようなエーミング孔4dは、上述のような上壁部側部位4d1と下壁部側部位4d2とが境界ラインL上で接続した形状とされており、本実施形態においては、略楕円形の形状に形成されている。
【0052】
このような本実施形態のバンパロア1Bにおいては、エーミング孔4dは、少なくとも一部が上壁部4bに設けられると共に段差部5に対して接続されている。このようなエーミング孔4dは、底壁部4の内壁面を成形するコア型22と底壁部4の外壁面を成形するキャビティ型21とを当接させた状態で射出成形を行うことによって形成することが可能である。このため、本実施形態のバンパロア1Bによれば、エーミング孔4dを有する樹脂製のバンパロアのエーミング孔4dを、スライド型を用いることなく形成することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態のバンパロア1Bにおいては、本実施形態においてエーミング孔4dは、段差部5を跨ぐようにエーミング孔4dが形成されている。このため、下壁部4cにもエーミング孔4dの一部を形成することができ、エーミング孔4dの開口面積を広く確保することが可能となる。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態においては、本発明の車両用外装部品を、車両の前部に設けられたバンパロアに適用した例について説明した。しかしながら、本発明の車両用外装部品は、これに限定されるものではない。他の車両用外装部品に外付けされるカバー状の車両用外装部品(例えばアンダーカバー)及びその製造方法に本発明を適用することも可能である。この場合には、カバー状の車両用外装部品の底壁部に対してエーミング孔が設けられることとなる。また、車両の後部に設けられた車両用外装部品及びその製造方法に本発明を適用することも可能である。
【0056】
また、上記実施形態においては、複数のエーミング孔を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。単一のエーミング孔を備える構成を採用することも可能である。
【0057】
また、上記実施形態においては、エーミング対象機器がフォグランプ101である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。他の機器をエーミングする際の工具等を差し入れる孔がエーミング孔として備えられた車両用外装部品及びその製造方法に本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1……バンパロア(車両用外装部品)、1A……バンパロア(車両用外装部品)、1B……バンパロア(車両用外装部品)、2……立壁部、3……格子部、4……底壁部、4a……エーミング孔、4b……上壁部、4b1……外壁面、4b2……内壁面、4c……下壁部、4c1……外壁面、4c2……内壁面、4c3……突部、4d……エーミング孔、4d1……上壁部側部位、4d2……下壁部側部位、5……段差部、20……金型、21……キャビティ型、22……コア型、23……キャビティ空間、100……車両、101……フォグランプ(エーミング対象機器)、L……境界ライン(境界)