(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116531
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】灯具及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20220803BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20220803BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20220803BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220803BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V17/00 154
F21V3/02 400
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012734
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011AA09
3K011BA06
3K011BA10
3K011EA01
3K011EB10
3K011EF08
3K011FA07
3K011GA02
(57)【要約】
【課題】スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる灯具を得る
【解決手段】灯具は、光源部と、前記光源部が取り付けられる台座と、前記光源部から照射された光が透過する透光部を有し、前記光源部を覆うように前記台座に取り付けられる外郭部と、を備え、前記台座に前記外郭部が取り付けられた状態においては、前記台座の台座側接触領域と前記外郭部の外郭部側接触領域とが接触する灯具であって、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域は、一方向に長い形状をしており、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの一方は、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触する少なくとも1つの接触部と、前記一方向に前記接触部に隣接され、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触しない少なくとも1つの非接触部と、を備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部が取り付けられる台座と、
前記光源部から照射された光が透過する透光部を有し、前記光源部を覆うように前記台座に取り付けられる外郭部と、
を備え、
前記台座に前記外郭部が取り付けられた状態においては、前記台座の台座側接触領域と前記外郭部の外郭部側接触領域とが接触する灯具であって、
前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域は、一方向に長い形状をしており、
前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの一方は、
前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触する少なくとも1つの接触部と、
前記一方向に前記接触部に隣接され、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触しない少なくとも1つの非接触部と、
を備えている灯具。
【請求項2】
前記一方向に沿って、複数の前記接触部が設けられている請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記接触部における前記一方向の寸法の合計は、前記台座側接触領域の前記一方向の寸法よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の灯具。
【請求項4】
前記接触部における前記一方向の寸法の合計は、前記外郭部側接触領域の前記一方向の寸法よりも小さい請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項5】
前記台座側接触領域の前記一方向に沿って、複数の前記非接触部が設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項6】
前記非接触部における前記一方向の寸法の合計は、前記台座側接触領域の前記一方向の寸法よりも小さい請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項7】
前記非接触部における前記一方向の寸法の合計は、前記外郭部側接触領域の前記一方向の寸法よりも小さい請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項8】
前記台座側接触領域が、前記接触部及び前記非接触部を備えている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の灯具。
【請求項9】
前記接触部は、前記外郭部側接触領域に向かって突出する凸部である請求項8に記載の灯具。
【請求項10】
前記接触部における前記外郭部側接触領域に向かって突出する高さは、前記台座における前記台座側接触領域を形成する部分の厚みの10倍以下の寸法である請求項9に記載の灯具。
【請求項11】
前記接触部における前記外郭部側接触領域に向かって突出する高さは、前記台座における前記台座側接触領域を形成する部分の厚み以下の寸法である請求項9又は請求項10に記載の灯具。
【請求項12】
前記非接触部は、前記外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって凹む凹部である請求項8に記載の灯具。
【請求項13】
前記非接触部における前記外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって凹む寸法は、前記台座における前記台座側接触領域を形成する部分の厚みの10倍以下の寸法である請求項12に記載の灯具。
【請求項14】
前記非接触部における前記外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって凹む寸法は、前記台座における前記台座側接触領域を形成する部分の厚み以下の寸法である請求項12又は請求項13に記載の灯具。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の灯具と、
前記灯具が着脱自在に取り付けられる器具と、を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異音の発生の抑制を図った灯具、及び該灯具を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード等を光源とする光源部を備えた灯具が提案されている。発光ダイオードは、Light Emitting Diodeとも称される。このような灯具は、光源が取り付けられる台座と、光源部を覆うように台座に取り付けられる外郭部とを備えている。外郭部は、光源部から照射された光が透過する透光部を有する。また、台座に外郭部が取り付けられた状態においては、台座の台座側接触領域と外郭部の外郭部側接触領域とが接触する。
【0003】
一般的に、台座と外郭部とは、熱膨張係数の異なる材料で形成される。このため、灯具の温度変化、及び灯具周辺の温度変化によって、台座と外郭部との接触箇所において、スティックスリップ現象による異音が発生する場合がある。このため、従来の灯具には、スティックスリップ現象による異音の発生の抑制を図ったものが提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の灯具は、外郭部の外郭部側接触領域に、該外郭部側接触領域の全域にわたって延びる少なくとも1つのリブを備えている。このため、特許文献1に記載の灯具においては、台座の台座側接触領域に接触する外郭部部分は、外郭部側接触領域に設けられた少なくとも1つのリブとなる。このように、特許文献1に記載の灯具は、台座と外郭部との接触面積を削減することにより、スティックスリップ現象による異音の発生の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載の灯具においては、外郭部側接触領域に設けられたリブは、外郭部側接触領域の全域にわたって延びている。すなわち、特許文献1に記載の灯具においては、外郭部側接触領域に設けられたリブは、一方向に長い形状となっている。このため、特許文献1に記載の灯具においては、リブの長手方向に台座及び外郭部が膨張又は収縮した際、スティックスリップ現象による異音の発生を十分に抑制できなかった。すなわち、従来の灯具は、スティックスリップ現象による異音の発生を十分に抑制できなかったという課題があった。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる灯具を得ることを第1の目的とする。また、本開示は、本開示に係る灯具を備えた照明装置を得ることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る灯具は、光源部と、前記光源部が取り付けられる台座と、前記光源部から照射された光が透過する透光部を有し、前記光源部を覆うように前記台座に取り付けられる外郭部と、を備え、前記台座に前記外郭部が取り付けられた状態においては、前記台座の台座側接触領域と前記外郭部の外郭部側接触領域とが接触する灯具であって、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域は、一方向に長い形状をしており、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの一方は、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触する少なくとも1つの接触部と、前記一方向に前記接触部に隣接され、前記台座側接触領域及び前記外郭部側接触領域のうちの他方に接触しない少なくとも1つの非接触部と、を備えている。
【0008】
本開示に係る照明装置は、本開示に係る灯具と、前記灯具が着脱自在に取り付けられる器具と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る灯具においては、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に対して、接触部で接触することとなる。このため、本開示に係る灯具は、台座側接触領域と外郭部側接触領域との間において、接触面積を削減することができる。また、本開示に係る灯具においては、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に接触しない非接触部が、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向に、接触部と隣接して設けられている。このため、本開示に係る灯具においては、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向の一部のみで、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に対して接触部で接触する。このため、本開示に係る灯具は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向において、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の接触長さを削減できる。したがって、本開示に係る灯具は、スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明装置において器具と灯具とを分割した分割斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る灯具を上方から視た斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る灯具の主要構成を示す分解斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る台座の斜視断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る灯具の斜視断面図である。
【
図7】
図6に示すA部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る灯具の別の一例を示す部分断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る灯具の別の一例を示す部分断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る灯具の別の一例を示す部分断面図である。
【
図13】
図6に示すD部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る台座の斜視断面図である。
【
図15】実施の形態2に係る灯具の斜視断面図である。
【
図16】
図15に示すE部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
【
図18】
図15に示すG部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
【
図19】実施の形態2に係る灯具の斜視断面図であり、長手方向Xにおいて
図15とは異なる位置で灯具を切断した図である。
【
図20】実施の形態3に係る台座の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る灯具及び照明装置の一例について、以下の各実施の形態において図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施の形態に示す灯具及び照明装置の各構成要素は、あくまで例示である。本開示に係る灯具及び照明装置の各構成要素は、これらの記載に限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものである。また、各図において、各構成要素の相対的な寸法の関係及び形状等は、本開示に係る灯具及び照明装置を実際に製造したものとは異なる場合がある。ここで、以下の説明において、理解を容易にするために、方向又は向き等を表す用語を適宜用いるが、それらの表記は説明の便宜上用いる記載である。以下の説明において示した方向又は向き等は、本開示に係る灯具及び照明装置の各構成要素の配置、方向及び向き等を限定するものではない。なお、方向又は向き等を表す用語とは、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」、「表」又は「裏」等である。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る照明装置において器具と灯具とを分割した分割斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る灯具を上方から視た斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る灯具の主要構成を示す分解斜視図である。
図5は、実施の形態1に係る台座の斜視断面図である。
図6は、実施の形態1に係る灯具の斜視断面図である。
【0013】
まず、
図1~
図6を用いて、本実施の形態1に係る灯具200及び照明装置1の概略構成について説明する。なお、以下の説明では、照明装置1の長手に沿った方向を、長手方向Xとする。また、長手方向Xに直交し、照明装置1の短手に沿った方向を、短手方向Yとする。そして、長手方向X及び短手方向Yのいずれとも直交する方向を、上下方向Zとする。また、上下方向Zにおいて、照明装置1が取り付けられる被取付部2の側への向きを、上向きZ1とする。上向きZ1と反対側への向きであり、照明装置1から光が照射される照射空間側への向きを、下向きZ2とする。換言すると、上向きZ1は、被取付部2に器具100が取り付けられる向きであり、器具100に灯具200が取り付けられる向きである。また、下向きZ2は、被取付部2から器具100が取り外される向きであり、器具100から灯具200が取り外される向きである。
【0014】
[照明装置1]
照明装置1は、照明空間を照明できる位置に設置され、照明空間を照らす装置である。照明空間とは、照明装置1が設置される空間であり、例えば、居住空間、倉庫、ビル又は公共施設等の内部空間である。また、例えば、照明空間とは、エレベータ又は廊下等の共有空間である。また、例えば、照明空間とは、電車又は船舶等の乗り物内の空間である。
【0015】
照明装置1は、器具100と、器具100に対して着脱自在に取り付けられる灯具200とを備えている。照明装置1は、灯具200を照明空間に向けた状態で、被取付部2に取り付けられる。被取付部2は、器具100が取り付けられる取付箇所であり、例えば、天井又は壁等である。照明装置1は、灯具200を点灯させることによって灯具200から光を照射させ、照明空間を照らす。実施の形態1に係る照明装置1は、長手方向Xの端部が逆富士山型をしている。換言すると、実施の形態1に係る照明装置1は、長手方向Xの端部がV字型をしている。このような照明装置1は、所謂逆富士型又はV字型の照明装置と称される。実施の形態1に係る照明装置1、器具100及び灯具200は、いずれも長尺状であり、何れも長手が長手方向Xに沿っている。
【0016】
なお、照明装置1は、逆富士型の照明装置に限定されない。例えば、照明装置1は、トラフ型又は笠付型といった被取付部2に直付けされる型の照明装置であってもよい。また、例えば、照明装置1は、被取付部2に少なくとも一部が埋め込まれる型の照明装置であってもよい。
【0017】
[器具100]
器具100は、被取付部2に直接取り付けられる、所謂直付け型の器具である。器具100は、例えば、被取付部2に設けられた吊ボルト等の取付具に取り付けられる。また、器具100は、灯具200が取り付けられる被取付部材である。このため、器具100は、灯具装着具とも称される。器具100は、器具100に取り付けられた灯具200を保持し、灯具200に電力を供給する。
【0018】
器具100は、長手方向Xに延びる長尺状の器具本体部110と、器具本体部110の長手方向Xにおける両端部に取り付けられた器具端部114とを有する。器具端部114は、上辺が下辺よりも長い台形形状を有している。すなわち、器具端部114は、台形形状の長い方の辺が被取付部2の側に、台形形状の短い方の辺が照明空間の側に配置されている。
【0019】
器具本体部110は、天面部111、一対の側面部112、及び一対の傾斜部113を有している。天面部111、一対の側面部112、及び一対の傾斜部113は、長手方向Xに沿って長尺かつ平板状に形成されている。天面部111は、器具本体部110の底面部とも称される。図示は省略するが、天面部111には、ネジ孔及び電線挿通孔が形成されている。器具100は、天井等の被取付部2に対して天面部111が略平行になるように取り付けられる。
【0020】
天面部111の短手方向Yにおける両端の側には、器具側部として、一対の側面部112と、一対の傾斜部113とがそれぞれ配置されている。器具本体部110の短手方向Yにおいて、一対の側面部112は一対の傾斜面部よりも内側に配置され、一対の傾斜部113は一対の側面部112よりも外側に配置されている。一対の側面部112の上下方向Zにおける両端のうち、天面部111の側に配置される一端は、天面部111の短手方向Yにおける端部の少し内側の部分と繋がっている。一対の側面部112の上下方向Zにおける両端のうち、天面部111と反対側の照明空間の側に配置される他端は、一対の傾斜部113の短手方向Yにおける内側の端部と繋がっている。
【0021】
一対の側面部112は、天面部111の長手方向Xに沿って、天面部111の全長にわたって設けられており、天面部111の側縁部周辺から、被取付部2と離れる向きに立ち上がっている。すなわち、一対の側面部112は、天面部111の側縁部周辺から、下向きZ2に突出している。
【0022】
一対の傾斜部113は、器具本体部110の傾斜部であり、照明装置1及び器具100の外観となる意匠部分である。一対の傾斜部113は、一対の側面部112の長手方向Xに沿って、側面部112の短手方向Yの一端の全長にわたって設けられている。一対の傾斜部113は、後述する灯具収容部116の短手方向Yにおける両側に設けられている。一対の傾斜部113は、天面部111に対して傾斜しており、器具100が取り付けられる天井等の被取付部2に対して傾斜している。一対の傾斜部113は、被取付部2に向かうにつれて、側面部112から離れるように形成されている。傾斜部113は、灯具200から照射される光の一部を反射させて側方に配光する機能を有していてもよい。器具本体部110は、それぞれ別体の部品として形成された天面部111、一対の側面部112、及び一対の傾斜部113を組み立てられたものでもよいし、これらの一部又は全てを一体で形成してもよい。
【0023】
器具端部114は、板状をしており、器具本体部110の長手方向Xにおける両端に配置されている。器具端部114は、天面部111、一対の側面部112及び一対の傾斜部113と接するように、器具本体部110に取り付けられている。また、器具端部114のそれぞれには、ノックアウト部115が形成されている。図示は省略するが、照明装置1に隣接して設置される照明装置等と照明装置1との間で外部電線を受け渡す場合等に、ノックアウト部115を打ち抜くことによって形成される貫通部は、受け渡される外部電線の挿入口として機能する。
【0024】
器具本体部110の天面部111と一対の側面部112とは、下面が開口した凹形状をなしており、器具端部114とともに灯具収容部116を形成している。灯具収容部116は、灯具200の一部分が収容される空間であり、箱状に形成されている。灯具収容部116には、2つのバネ117と、端子台118と、器具側電線119とが設けられている。
【0025】
器具側連結具であるバネ117が灯具200に設けられた灯具側連結具であるバネ受具341と連結することによって、灯具200は器具100に取り付けられる。実施の形態1では、2つのバネ117が、器具本体部110の長手方向Xに沿って互いに離間した状態で天面部111に取り付けられている。バネ117は、バネ受具341に対応した位置に設けられ、1つ、又は3つ以上設けられてもよい。
【0026】
端子台118は、外部電源から供給された電力を灯具200に供給する中継装置となる。器具側電線119は端子台118に電気的に接続されて、外部電源から供給された電力は、端子台118及び器具側電線119を経由して、灯具200の電源部330に供給される。なお、器具側電線119は、電力供給線の他に制御信号線等を含んでもよく、端子台118は、電力とともに制御信号を中継するものであってもよい。
【0027】
器具100は、例えば、金属製の板材を用いて、折り曲げ、ロールフォーミング又はプレス等の加工によって形成される。また、例えば、器具100は、金属材料又は樹脂材料等を用いた押出成形又は三次元造形等の製造方法で形成される。
【0028】
[灯具200]
灯具200は、器具100に取り付けられた状態で、照明空間に向かって光を照射する。灯具200は、照明具又はライトユニット等とも称される。灯具200は、器具100に取り付けられて使用され、器具100とともに照明装置1を構成する。灯具200は、器具100に対して着脱自在に装着される。灯具200は、主として、光源部210、台座220、外郭部270、電源部330、及びバネ受具341等を有している。
【0029】
光源部210は、光を発する発光ユニットである。光源部210は、発光部211と、発光部211の設けられた基板212とを有する。発光部211は、給電線310を介して電源部330から供給される点灯電力を用いて、光を出射する。
【0030】
発光部211は、面実装部品である。発光部211は、例えば、発光ダイオード等の発光素子である。発光部211は、はんだ等の接続部材を用いて、基板212の実装面である第1面213に実装される。なお、発光部211は、発光ダイオードに限らない。例えば、発光部211は、固体レーザ、半導体レーザ、有機EL又は無機EL等の素子を用いてもよい。また、例えば、発光部211は、発光ダイオード固体レーザ、半導体レーザ、有機EL又は無機EL等の素子の幾つかが組み合わされてもよい。なお、固体レーザは、Solid State Laserとも称される。半導体レーザは、Semiconductor Laserとも称される。有機ELは、Electro Luminescenceとも称される。
【0031】
基板212は、長手方向Xに沿って延びる長尺状に形成されている。基板212は矩形状の板状をなしており、発光部211の実装面となる第1面213に発光部211が列状に配置されている。第1面213の反対側の面である第2面214は、非実装面であり、接着部材を用いて台座220の第1面231に接着固定される接合面である。なお、発光部211の構成は、上述の構成に限定されるものではない。また、基板212における台座220への固定構成も、上述の構成に限定されるものではない。例えば、基板212は、台座220に対して、リベット又はネジ等の固定具を用いて固定されてもよい。また、例えば、基板212は、台座220の一部を切り起こす等の加工を施して形成された基板保持部によって固定されてもよい。基板212の第1面213は、照射空間の側を向く面であり、基板212の下面である。基板212の第2面214は、器具100の側を向く面であり、基板212の上面である。
【0032】
基板212としては、例えば、ガラス-エポキシ基板、ガラス-コンポジット基板、紙エポキシ基板、紙フェノール基板、又は金属ベース基板等が用いられる。また、基板212は、リジットタイプ、又はフレキシブルタイプの何れのものを採用してもよい。なお、ガラス-エポキシ基板は、FR-4と称される場合もある。ガラス-コンポジット基板は、CEM-3と称される場合もある。紙エポキシ基板は、FR-3と称される場合もある。紙フェノール基板は、XPCと称される場合もある。
【0033】
基板212には、電源部330から供給される点灯電力の供給経路となる給電線310が接続される。詳しくは、給電線310の一端部の側の導体は、はんだ等の接続部材を用いて、第1面213に設けられた受電部に接続される。受電部は、接続パッド等とも称される。給電線310は、基板212を貫く方向に設けられた貫通孔である給電線挿通部215、及び台座220の後述する基部230を貫く給電線挿通孔を経由して配置されており、光源部210と電源部330とを電気的に接続する。受電部は、基板212の第1面213又は第2面214のうち、少なくとも何れか一方に設けられていればよい。
【0034】
台座220は、長手方向Xに延びた基部230及び側部240を有する長尺状の構造体である。台座220は、基台又はシャーシとも称される。基部230は、第1面231の側に光源部210が配置され、第2面232の側に電源部330が配置される配置部である。第1面231は、台座220の表面であり、照射空間の側の面を構成し、外郭部270の後述する透光部281と対向する。また、第1面231は、下向きZ2の側を向く面であり、台座220の下面とも称される。第2面232は、台座220の裏面であり、被取付部2の側の面を構成し、灯具200が器具100に取り付けられた状態では器具本体部110の天面部111と対向する。また、第2面232は、上向きZ1の側を向く面であり、台座220の上面とも称される。
【0035】
基部230には、電源部330を固定するための電源固定部235が設けられている。電源固定部235は、概略円錐台状であり、第2面232から上下方向Zの上向きZ1に向かって突出するように形成されている。電源固定部235の中心部に形成されたネジ挿通孔236には、電源部330を台座220に固定するためのネジである固定具343が挿通される。
【0036】
また、基部230には、バネ受具341を取り付けるための連結具取付孔233と連結具固定部234が設けられている。
【0037】
側部240は、基部230のY方向における端部から器具100の側に向かって立ち上がっており、台座の剛性を向上させる機能を有する。実施の形態1において、台座220の長手方向Xを法線方向とする断面形状は、換言すると短手方向Yに沿った切断面の台座220の形状は、概略U字形状をなしている。
【0038】
台座220は、鋼板等の金属製の板材を折り曲げて形成されており、構造体としての剛性を得ている。台座220は、例えば、ロールフォーミング又はプレス成形等の加工方法等で曲げられる。ただし、台座220は、金属製の板材を折り曲げて形成されたものに限定するものではない。例えば、台座220は、樹脂又はセラミック等、金属以外の材料を用いて形成されたものでもよい。また、台座220は、押出成形又は三次元造形等の他の加工方法を用いて製造されてもよい。さらに、図示は省略するが、放熱効率(熱放射率)又は光の利用効率(反射率)等を向上させるために、台座220に表面処理を施してもよいし、台座220に機能部材を敷設してもよい。
【0039】
外郭部270は、灯具200の外郭を形成し、光源部210を覆うように台座220に取り付けられるカバーである。外郭部270は、灯具200の長手方向Xに延びる主部280と、主部280の長手方向Xにおける両端部に設けられた端部271とを有する。
【0040】
主部280は、光源部210から照射された光が透過する透光部281と、台座220に取り付けられる取付部290とを有する。外郭部270は、主部280の長手方向Xの端部の形状が概略U字形状になっている。しかしながら、主部280の長手方向Xの端部の形状は、概略V字形状等、他の形状であってもよい。
【0041】
灯具200が器具100に取り付けられた状態においては、透光部281は、少なくとも一部が器具100の外部に露出し、光源部210から発せられる光を透過するとともに外部に照射する部分となる。また、透光部281は、光源部210等を保護する部分となる。このため、透光部281は、光源部210と接触しないように、光源部210との間に空隙を設けた状態で、光源部210に対向するように配置される。
【0042】
取付部290は、台座220の短手方向Yにおける両端側から、基部230と側部240とを抱え込むようにして台座220に取り付けられる。取付部290は、第1取付部291と、第2取付部293とを有する。第1取付部291は、台座220の第1面231と対向して配置されて、基部230を支持する。第2取付部293は、台座220の側部240の外面241と対向して配置されて、側部240の先端部に係合される。第1取付部291は支持部とも称され、第2取付部293は係止部とも称される。
【0043】
端部271は、灯具200の長手方向Xにおける端部を覆う部分である。本実施の形態1では、端部271は、透光部281とは別部材として形成し、溶着又は接着等により透光部281に取り付けられるものとする。端部271は、外郭部270の透光部281と台座220の基部230とによって形成される空間の端面開口に嵌まり込み、その端面開口を塞ぐ。ただし、外郭部270の構成は、当該構成に限定されるものではない。外郭部270は、端部271、透光部281及び取付部290が一体成形されたものであってもよい。
【0044】
外郭部270は、透光性の材料を用いて形成される。外郭部270に用いられる材料は、例えば、ポリカーボネート、アクリル、又はポリプロピレン等の合成樹脂である。また、例えば、外郭部270に用いられる材料は、ガラス等、合成樹脂以外の材料でもよい。ポリカーボネートは、PCとも称される。アクリルは、PMMAとも称される。ポリプロピレンは、PPとも称される。外郭部270は、これらの材料を用いて、射出成形、ブロー成形、押出成形、又は3次元造形といった方法により形成される。外郭部270は、照明装置1の仕様に応じて、拡散機能を有したり、波長弁別機能を有したりしてもよい。
【0045】
電源部330は、電源装置331、及び、電源装置331を収納した状態で台座220の第2面232の側に取り付けられる電源ケース334を有する。電源装置331は器具側電線119が接続される入力端子332、及び給電線310が接続される出力端子333を有する。なお、本実施の形態1では、電源装置331の入力端子332は、電源部側電線335を介して、器具側電線119と接続される。電源装置331は、器具100に配置された端子台118及び器具側電線119を経由して供給される商用電源等の外部電源から、光源部210の発光部211を点灯させるための点灯電力を生成する。点灯電力は、給電線310を経由して光源部210に供給される。
【0046】
電源部330は、基部230の第2面232の側に取り付けられた保持具320に電源ケース334の一部が保持された状態で、電源固定部235のネジ挿通孔236に挿通されるネジ等の固定具343を用いて基部230の第2面232の側に固定される。電源部330は、灯具200が器具100に装着された状態では、台座220の第2面232と器具本体部110の天面部111との間に配置される。
【0047】
台座220の給電線挿通孔を貫通して光源部210と電源部330とを接続する給電線310は、給電線挿通孔と対向して設けられた保持具320に保持され、給電線挿通孔とは離間した状態で台座220に固定されている。これにより、給電線310と台座220との接触及び短絡を防止することができる。
【0048】
保持具320は、台座220の長手方向Xに沿って並んで配置される第1保持具321及び第2保持具322を備える。また、保持具320は、第1保持具321及び第2保持具322を相互に係合するための係合構造を有する。そして、保持具320は、第1保持具321と第2保持具322とが相互に係合された状態で、第1保持具321と第2保持具322との間で給電線310を保持する。
【0049】
バネ受具341は灯具側連結具である。バネ受具341と、器具側連結具であるバネ117とは、灯具200を器具100に取り付ける連結具を構成する。バネ受具341は、台座220の第2面232の側に配置される。バネ受具341は、その一部が基部230の連結具取付孔233と連結具固定部234とに挿入されることによって、基部230に固定される。バネ受具341は、基部230の第2面232から上下方向Zの上向きZ1に向かって立ち上がっており、灯具200を器具100に取りつけた状態では灯具収容部116に配置される。器具100のバネ117と、灯具200のバネ受具341とが連結することによって、灯具200は器具100に装着される。
【0050】
[台座220と外郭部270との接触箇所の詳細構成]
台座220に外郭部270が取り付けられた状態においては、台座220の台座側接触領域と外郭部270の外郭部側接触領域とが接触する。このような台座220と外郭部270との接触箇所は、少なくとも1つ存在する。例えば、本実施の形態1に係る灯具200においては、台座220の基部230における第1面231の一部が台座側接触領域となり、外郭部270の取付部290における第1取付部291の一部が外郭部側接触領域となる接触箇所が存在する。この接触箇所における台座側接触領域及び外郭部側接触領域は、一方向である長手方向Xに長い形状となる。また、本実施の形態1に係る灯具200においては、台座220の側部240における外面241の一部が台座側接触領域となり、外郭部270の取付部290における第2取付部293の一部が外郭部側接触領域となる接触箇所が存在する。この接触箇所における台座側接触領域及び外郭部側接触領域は、一方向である長手方向Xに長い形状となる。
【0051】
一般的に、台座220と外郭部270とは、熱膨張係数の異なる材料で形成されることが多い。このような構成においては、照明装置1の起動及び停止に伴って灯具200の温度変化及び灯具200周辺の温度変化が発生した場合、台座220と外郭部270との接触箇所において、スティックスリップ現象による異音が発生する場合がある。そこで、本実施の形態1に係る灯具200においては、台座220と外郭部270との接触箇所のうちの少なくとも1つにて、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方が少なくとも1つの接触部251及び少なくとも1つの非接触部252を後述するように備えることにより、スティックスリップ現象による異音の発生を抑制している。なお、接触部251は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方に設けられ、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に接触するものである。非接触部252は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方に接触部251と長手方向Xに隣接して設けられ、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方と接触しないものである。
【0052】
図7は、
図6に示すA部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
図8は、
図7のB-B断面図である。
図9は、
図8のC-C断面図である。
以下、
図5~
図9を用いて、台座220の基部230における第1面231の一部が台座側接触領域となり、外郭部270の取付部290における第1取付部291の一部が外郭部側接触領域となる接触箇所に、接触部251及び非接触部252を設けた例を説明する。
【0053】
取付部290の第1取付部291には、基部230の第1面231に向かって突出する先端部292が形成されている。先端部292は、取付部290の長手方向X全域にわたって形成されている。また、取付部290の第2取付部293の対向面部294には、台座220の側部240に向かって突出する補強部295が、取付部290の長手方向X全域にわたって形成されている。このため、取付部290は、形状が安定し剛性が向上する。したがって、外郭部270が台座220に取り付けられた状態で取付部290が変形することを抑制でき、外郭部270を台座220に確実に取り付けることができる。先端部292及び補強部295は、リブとも称される。
【0054】
ここで、取付部290の第1取付部291に形成された先端部292が、外郭部側接触領域となる。また、台座220の基部230における第1面231のうち、先端部292と対向する領域が、台座側接触領域となる。このように先端部292を外郭部側接触領域とすることにより、台座220と外郭部270との接触面積を削減でき、スティックスリップ現象による異音の発生の抑制を図ることができる。しかしながら、取付部290は押出成形等によって形成されるため、先端部292は、取付部290の全域にわたって形成される。すなわち、先端部292は、外郭部側接触領域の長手方向Xの全域にわたって延びている。このため、長手方向Xに台座220及び外郭部270が膨張又は収縮した際、スティックスリップ現象による異音の発生を十分に抑制できない。
【0055】
この課題を解決する1つの方法として、先端部292を、二次加工によって部分的に切除することが考えられる。この場合、先端部292における切除されていない部分が、接触部251となる。また、先端部292における切除された部分が、非接触部252となる。このように接触部251及び非接触部252を設けることにより、外郭部側接触領域は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向Xの一部のみで、台座側接触領域に対して接触部251で接触する。このため、スティックスリップ現象による異音の発生を抑制できることが期待される。しかしながら、この方法は、先端部292の加工に伴う主部280の変形、先端部292の加工部分の耐候性確保、先端部292の加工時間、及び先端部292の加工コスト等を考慮すると、灯具200及び照明装置1の量産に適する方法とは言い難い。
【0056】
そこで、本実施の形態1では、台座220の基部230における第1面231のうち、先端部292と対向する領域に、接触部251及び非接触部252を設けている。すなわち、台座側接触領域が、接触部251及び非接触部252を備えている。具体的には、台座220の基部230には、第1取付部291の先端部292に向かって突出する凸部が形成されている。この凸部が、外郭部側接触領域である先端部292と接触する接触部251となる。すなわち、接触部251は、下向きZ2に向かって突出するように形成されている。接触部251は、例えば、エンボス加工等により、概略楕円錐台状に形成されている。また、台座220の基部230には、接触部251と長手方向Xに隣接して、第1取付部291の先端部292に向かって突出していない部分が存在する。この部分が非接触部252となる。すなわち、接触部251及び非接触部252は、長手方向Xに沿った凸凹部を構成する。
【0057】
すなわち、接触部251における長手方向Xの寸法の合計は、台座側接触領域の長手方向Xの寸法よりも小さくなっている。換言すると、接触部251における長手方向Xの寸法の合計は、台座側接触領域と対向する領域である外郭部側接触領域の長手方向Xの寸法よりも小さくなっている。また、非接触部252における長手方向Xの寸法の合計は、台座側接触領域の長手方向Xの寸法よりも小さくなっている。換言すると、非接触部252における長手方向Xの寸法の合計は、台座側接触領域と対向する領域である外郭部側接触領域の長手方向Xの寸法よりも小さくなっている。なお、本実施の形態1では、長手方向Xに沿って、複数の接触部251が設けられている。また、長手方向Xに沿って、複数の非接触部252が設けられている。
【0058】
このように接触部251及び非接触部252を設けることによっても、台座側接触領域は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向Xの一部のみで、外郭部側接触領域に対して接触部251で接触する。このため、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。
【0059】
また、このように接触部251及び非接触部252を設けることにより、台座220の基部230と取付部290の先端部292とは、非接触部252の位置において離間するので、当該箇所を通って空気の移動が可能となる。このため、光源部210の発光部211の動作に伴って発生する動作熱を効率的に放散させることができ、発光部211の温度上昇を抑制できる効果も奏する。この結果、熱膨張係数の異なる材料どうしの接触箇所における、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。
【0060】
また、台座220の接触部251は、台座220を形成する際に同時に形成することができる。また、台座220に接触部251を設けることにより、台座220の剛性が向上する。上述の例では、台座220の基部230に接触部251を設けているため、基部230の剛性が向上する。このため、台座220の平坦部の平面度が維持されるため、灯具200の組み立て、照明装置1の輸送、又は照明装置1の施工等の際に、台座220に配置された光源部210にストレスが加わりにくい。この結果、灯具200及び照明装置1の信頼性が向上する。また、光源部210の周囲に接触部251を配置することにより、接触部251は、光源部210の位置決め部品としても機能する。このように、台座220に接触部251及び非接触部252を設けることは、灯具200及び照明装置1の量産にも適する。
【0061】
ここで、台座220に設けられた接触部251は、外郭部側接触領域に向かって僅かに突出していればよい。例えば、基部230に設けられた接触部251は、基部230の第1面231を基準にして、取付部290の先端部292に向かって僅かに突出していればよい。台座220の成形性の観点では、接触部251の破断を防止するために、接触部251における外郭部側接触領域に向かって突出する高さは、台座220における台座側接触領域を形成する部分の厚みの10倍以下の寸法であることが好ましい。基部230に設けられた接触部251の場合、
図8に示すように、接触部251における取付部290の先端部292に向かって突出する高さH1は、基部230の厚みTの10倍以下の寸法であることが好ましい。例えば、基部230の厚みTが0.5mmの場合は、高さH1は5.0mm以下であることが好ましい。
【0062】
また、虫、埃といった異物の侵入防止の観点では、接触部251における外郭部側接触領域に向かって突出する高さは、台座220における台座側接触領域を形成する部分の厚み以下の寸法であることが好ましい。基部230に設けられた接触部251の場合、接触部251における取付部290の先端部292に向かって突出する高さH1は、基部230の厚みT以下の寸法であることが好ましい。
【0063】
また、スティックスリップ現象による異音の発生確率を減少させる観点から、接触部251における長手方向Xの寸法の合計は、極力小さい方が好ましい。しかし、接触部251における長手方向Xの寸法の合計が小さいと、虫、埃といった異物が容易に侵入してしまう。このため、接触部251における長手方向Xの寸法の合計は、スティックスリップ現象による異音の発生確率と、虫、埃といった異物の侵入防止の観点とを考慮して決定される。また、台座220の製造バラツキ、外郭部270の製造バラツキ、及び灯具200の組み立てバラツキ等を考慮して、接触部251は、同一の台座側接触領域において、長手方向Xに沿って複数設けられることが好ましい。
【0064】
同一の台座側接触領域に複数の接触部251を設ける場合、長手方向Xにおける外郭部270と台座220との収縮の差の程度に対応して設けることが好ましい。つまり、外郭部270と台座220との収縮の差の程度が大きい部分は、外郭部270と台座220との収縮の差の程度が小さい部分よりも、外郭部270と台座220との摺動部が小さくなるように接触部251を設ける。
【0065】
例えば、外郭部270が、長手方向Xの中央部を基準にして両端部に近づくにしたがって外郭部270と台座220との収縮の差の程度が大きくなるように、台座220に取り付けられているとする。このような場合には、長手方向Xにおける中央部から両端部に近づくにしたがって、外郭部270と台座220との摺動部が小さくなるように、接触部251の数を少なくしたり、長手方向Xの規定長さ中における接触部251の寸法の合計を小さくしたりするように調整する。
【0066】
また、例えば、長手方向Xの一方の端部の側において、外郭部270と台座220とが固定されているとする。このような場合には、長手方向Xにおける一方の端部から他方の端部に近づくにしたがって、外郭部270と台座220との摺動部が小さくなるように、接触部251の数を少なくしたり、長手方向Xの規定長さ中における接触部251の寸法の合計を小さくしたりするように調整する。
【0067】
また、例えば、外郭部270と台座220との収縮の差を局所的に大きくしてしまうような熱源等の因子が配置されているとする。このような場合には、この因子に近づくにしたがって、外郭部270と台座220との摺動部が小さくなるように、接触部251の数を少なくしたり、長手方向Xの規定長さ中における接触部251の寸法の合計を小さくしたりするように調整する。例えば、電源部330は局所的な熱源となるため、外郭部270と台座220との収縮の差を局所的に大きくしてしまうような因子の例である。
【0068】
なお、上述した台座側接触領域の構成及び外郭部側接触領域の構成は、あくまでも一例である。例えば、台座側接触領域及び外郭部側接触領域を次のように構成してもよい。
【0069】
例えば、上述の説明では、台座側接触領域が備える接触部251は、概略楕円錐台状であった。これに限らず、例えば、接触部251は、円錐台状又は角錐台状等、概略楕円錐台状以外の概略錐台状に形成されていてもよい。また、例えば、接触部251は、楕円錐状、円錐状又は角錐状等、錐状に形成されていてもよい。また、例えば、接触部251は、ドーム状に形成されていてもよい。また、接触部251を形成する際の加工は、エンボス加工に限定されず、切り起こし加工又は切り絞り加工等の加工であってもよい。
【0070】
図10~
図12は、実施の形態1に係る灯具の別の一例を示す部分断面図である。これら
図10~
図12は、灯具200の別の一例において、
図6に示すA部と同位置を長手方向Xに観察した部分断面図である。
【0071】
図9以前の図で示した灯具200では、基部230の第1面231に向かって突出する先端部292が、外郭部側接触領域となっていた。これに限らず、
図10~
図12に示すように、基部230の第1面231と平行な先端部292が外郭部側接触領域であってもよい。換言すると、外郭部側接触領域が平坦面である構成であってもよい。このように先端部292を形成することにより、第2取付部293の形状が簡素なものとなり、外郭部270の成型性が向上する。また、第2取付部293を台座220の基部230に近接させて配置できるため、灯具200における短手方向Yの配光性能が向上する。
【0072】
なお、
図11には、ドーム状の接触部251を例示している。ドーム状の接触部251は、長手方向Xを法線方向とする断面形状がU字状となる。ドーム状の接触部251は、第1面231に平行な先端部292との組み合わせにおいても、台座220と外郭部270との接触面積を小さくすることができる。
【0073】
また、
図12には、錐状の接触部251を例示している。錐状の接触部251は、長手方向Xを法線方向とする断面形状がV字状となる。錐状の接触部251は、第1面231に平行な先端部292との組み合わせにおいても、台座220と外郭部270との接触面積を理論上の最小値とすることができる。
【0074】
ここで、台座220に外郭部270が取り付けられた状態において、台座220と外郭部270との接触箇所が複数ある場合、複数の接触箇所に、上述の接触部251及び非接触部252を設けることが好ましい。上述のように、本実施の形態1に係る灯具200においては、台座220の基部230と外郭部270の第1取付部291とが接触箇所となっていると共に、台座220の側部240と外郭部270の第2取付部293とも接触箇所となっている。本実施の形態1に係る灯具200では、台座220の側部240と外郭部270の第2取付部293との接触箇所にも、接触部251及び非接触部252を設けている。以下、上述の
図5及び
図6と共に後述の
図13を参照しながら、台座220の側部240と外郭部270の第2取付部293との接触箇所に接触部251及び非接触部252を設ける例を説明する。
【0075】
図13は、
図6に示すD部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
上述のように、取付部290の第2取付部293の対向面部294には、台座220の側部240に向かって突出する補強部295が、取付部290の長手方向X全域にわたって形成されている。この補強部295が、外郭部側接触領域となる。また、台座220の基部230における側部240のうち、補強部295と対向する領域が、台座側接触領域となる。本実施の形態1に係る灯具200においては、この台座側接触領域も、上述の接触部251及び非接触部252を備えている。台座220と外郭部270との接触箇所が複数ある場合、複数の接触箇所において上述の接触部251及び非接触部252を設けることにより、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。
【0076】
なお、本実施の形態1では、台座220そのものが加工され、台座220と一体の接触部251が形成されていた。しかしながら、これに限らず、別部品である接触部251を、台座220に配置してもよい。また、接触部251が台座220とは別部品である場合には、外郭部270の外郭部側接触領域に接触部251を取り付けてもよい。
【0077】
以上、本実施の形態1に係る灯具200は、光源部210と、光源部210が取り付けられる台座220と、光源部210から照射された光が透過する透光部281を有し、光源部210を覆うように台座220に取り付けられる外郭部270と、を備えている。また、台座220に外郭部270が取り付けられた状態においては、台座220の台座側接触領域と外郭部270の外郭部側接触領域とが接触する。台座側接触領域及び外郭部側接触領域は、一方向である長手方向Xに長い形状をしている。そして、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの一方は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に接触する少なくとも1つの接触部251と、長手方向Xに接触部251に隣接され、台座側接触領域及び外郭部側接触領域のうちの他方に接触しない少なくとも1つの非接触部252と、を備えている。
【0078】
このように構成された灯具200は、上述のように、スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる。
【0079】
実施の形態2.
接触部251及び非接触部252の形成の仕方は、実施の形態1に限定されるものではない。例えば、接触部251及び非接触部252を以下のように形成してもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、実施の形態1と同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べる。
【0080】
図14は、実施の形態2に係る台座の斜視断面図である。
図15は、実施の形態2に係る灯具の斜視断面図である。
図16は、
図15に示すE部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
図17は、
図16のF-F断面図である。
【0081】
本実施の形態2に係る灯具200においても、台座220の基部230における第1面231のうち、先端部292と対向する領域であるが、台座側接触領域となっている。この台座側接触領域は、接触部251及び非接触部252を備えている。ここで、本実施の形態2においては、台座220の基部230には、第1取付部291の先端部292から遠ざかる方向に向かって凹む凹部が形成されている。この凹部が、外郭部側接触領域である先端部292と接触しない非接触部252となる。また、台座220の基部230には、非接触部252と長手方向Xに隣接して、平坦部分が存在する。この部分が、外郭部側接触領域である先端部292と接触する接触部251となる。なお、非接触部252の加工方法及び形状は、突出する向きを除き、実施の形態1で示した接触部251と同様である。
【0082】
このように接触部251及び非接触部252を形成しても、台座側接触領域は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向Xの一部のみで、外郭部側接触領域に対して接触部251で接触する。このため、スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる。
【0083】
また、このように接触部251及び非接触部252を形成しても、台座220の基部230と取付部290の先端部292とは、非接触部252の位置において離間するので、当該箇所を通って空気の移動が可能となる。このため、光源部210の発光部211の動作に伴って発生する動作熱を効率的に放散させることができ、発光部211の温度上昇を抑制できる効果も奏する。この結果、熱膨張係数の異なる材料どうしの接触箇所における、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。
【0084】
ここで、台座220に設けられた非接触部252は、外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって僅かに後退していればよい。例えば、基部230に設けられた非接触部252は、基部230の第1面231を基準にして、取付部290の先端部292から遠ざかる方向に向かって僅かに後退していればよい。台座220の成形性の観点では、非接触部252の破断を防止するために、非接触部252における外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって凹む寸法は、台座220における台座側接触領域を形成する部分の厚みの10倍以下の寸法であることが好ましい。基部230に設けられた非接触部252の場合、
図17に示すように、取付部290の先端部292から遠ざかる方向に向かって凹む寸法H2は、基部230の厚みTの10倍以下の寸法であることが好ましい。例えば、基部230の厚みTが0.5mmの場合は、凹む寸法H2は5.0mm以下であることが好ましい。
【0085】
また、虫、埃といった異物の侵入防止の観点では、非接触部252と先端部292とが離間する寸法が極力小さいことが好ましい。例えば、非接触部252における外郭部側接触領域から遠ざかる方向に向かって凹む寸法は、台座220における台座側接触領域を形成する部分の厚み以下の寸法であることが好ましい。基部230に設けられた非接触部252の場合、取付部290の先端部292から遠ざかる方向に向かって凹む寸法H2は、基部230の厚みT以下の寸法であることが好ましい。
【0086】
図18は、
図15に示すG部を長手方向Xに観察した部分断面図である。
本実施の形態2に係る灯具200においても、台座220の基部230における側部240のうち、外郭部側接触領域である補強部295と対向する領域は、すなわち台座側接触領域は、接触部251及び非接触部252を備えている。側部240の台座側接触領域においても、外郭部側接触領域である補強部295から遠ざかる方向に向かって凹む凹部が、非接触部252となっている。また、非接触部252と長手方向Xに隣接して存在する平坦部分が、接触部251となっている。実施の形態1で示したように、台座220と外郭部270との接触箇所が複数ある場合、複数の接触箇所において接触部251及び非接触部252を設けることにより、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。
【0087】
図19は、実施の形態2に係る灯具の斜視断面図であり、長手方向Xにおいて
図15とは異なる位置で灯具を切断した図である。
本実施の形態2に係る灯具200においては、台座220における基部230と側部240との接続部である角部260が、外郭部270の第1取付部291の傾斜部に接触する構成となっている。すなわち、本実施の形態2においては、台座220の角部260が、台座側接触領域となっている。また、外郭部270の第1取付部291の傾斜部が、この台座側接触領域と接触する外郭部側接触領域となっている。そこで、
図14、
図15及び
図19からわかるように、本実施の形態2に係る灯具200においては、台座220の角部260の一部に、第1取付部291の傾斜部から遠ざかる方向に向かって凹む非接触部252が形成されている。なお、台座220の角部260において第1取付部291の傾斜部から遠ざかる方向に向かって凹んでいない箇所が、接触部251となっている。上述のように、台座220と外郭部270との接触箇所が複数ある場合、複数の接触箇所において接触部251及び非接触部252を設けることにより、スティックスリップ現象による異音の発生をさらに抑制できる。また、台座220の角部260にこのような非接触部252を形成することにより、基部230と側部240との間の曲げ角度を安定させることができ、台座220の剛性を向上させることもできる。
【0088】
実施の形態3.
また、例えば、接触部251及び非接触部252を本実施の形態3のように形成してもよい。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、実施の形態1又は実施の形態2と同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べる。
【0089】
図20は、実施の形態3に係る台座の斜視断面図である。
本実施の形態3に係る灯具200においては、台座220の台座側接触領域の一部に、貫通孔が形成されている。この貫通孔が、外郭部側接触領域と接触しない非接触部252となる。また、台座220の台座側接触領域には、非接触部252と長手方向Xに隣接して、平坦部分が存在する。この部分が、外郭部側接触領域と接触する接触部251となる。
【0090】
このように接触部251及び非接触部252を形成しても、台座側接触領域は、台座側接触領域及び外郭部側接触領域の長手方向Xの一部のみで、外郭部側接触領域に対して接触部251で接触する。このため、スティックスリップ現象による異音の発生を従来よりも抑制できる。
【0091】
なお、虫、埃といった異物の侵入防止を目的として、非接触部252である貫通孔は、外郭部側接触領域との対向面とは反対側の面から、シート部材等で塞いでもよい。
【0092】
実施の形態1から実施の形態3では、台座220と外郭部270とが熱膨張係数の異なる材料で形成される構成において、照明装置1の起動及び停止に伴って灯具200の温度変化及び灯具200周辺の温度変化が発生した場合に、台座220と外郭部270との接触箇所におけるスティックスリップ現象による異音を抑制する構成について述べたが、温度変化は照明装置1の起動及び停止に伴って発生するものに限定されるものではない。照明装置1の起動及び停止によらず、照明装置1が設置される空間の温度変化が発生した場合であっても、スティックスリップ現象による異音の発生を抑制できる。また、台座220と外郭部270との吸湿性が異なり、吸湿量に応じた膨張量又は収縮量が異なる材料で形成される構成において、照明装置1が設置される空間の湿度変化が発生した場合であっても、スティックスリップ現象による異音を抑制できる。
【0093】
以上、実施の形態1から実施の形態3について説明したが、これらの実施の形態の2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。また、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。或いは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。その他、これらの実施の形態を、全体として或いは部分的に、可能な限りどのように組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0094】
1 照明装置、2 被取付部、100 器具、110 器具本体部、111 天面部、112 側面部、113 傾斜部、114 器具端部、115 ノックアウト部、116 灯具収容部、117 バネ、118 端子台、119 器具側電線、200 灯具、210 光源部、211 発光部、212 基板、213 第1面、214 第2面、215 給電線挿通部、220 台座、230 基部、231 第1面、232 第2面、233 連結具取付孔、234 連結具固定部、235 電源固定部、236 ネジ挿通孔、240 側部、241 外面、251 接触部、252 非接触部、260 角部、270 外郭部、271 端部、280 主部、281 透光部、290 取付部、291 第1取付部、292 先端部、293 第2取付部、294 対向面部、295 補強部、310 給電線、320 保持具、321 第1保持具、322 第2保持具、330 電源部、331 電源装置、332 入力端子、333 出力端子、334 電源ケース、335 電源部側電線、341 バネ受具、343 固定具。