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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116543
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/12 20170101AFI20220803BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B60Q3/12
F21V21/34 100
F21V21/34 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012759
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川口 毅
(72)【発明者】
【氏名】赤川 祐太
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040BA05
3K040BA06
3K040BA08
3K040CA05
3K040EA03
3K040EB01
3K040FA01
3K040GA05
3K040HA01
3K040HA02
3K040HA04
(57)【要約】
【課題】照射位置を好適に調整できる照明装置を提供する。
【解決手段】本体20と、表示光を出射する照明ユニット30と、照明ユニット30を本体20に対して少なくとも一の回転軸回りに回転可能に支持し、回転軸回りの表示光の出射方向を調整する少なくとも一の調整機構と、本体20に対して回転可能に支持される少なくとも一の調整ボルト70、80と、調整ボルト70、80の回転に伴い調整ボルト70、80上を移動する少なくとも一の調整ナット90、100と、を備える。調整機構は、調整ナット90、100の移動を回転軸回りの回転に変換することにより、照明ユニット30を回転軸回りに回転させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
表示光を出射する照明ユニットと、
前記照明ユニットを前記本体に対して少なくとも一の回転軸回りに回転可能に支持し、前記回転軸回りの前記表示光の出射方向を調整する少なくとも一の調整機構と、
前記本体に対して回転可能に支持される少なくとも一の調整ボルトと、
前記調整ボルトの回転に伴い前記調整ボルト上を移動する少なくとも一の調整ナットと、を備え、
前記調整機構は、前記調整ナットの移動を前記回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記回転軸回りに回転させる、照明装置。
【請求項2】
前記調整機構は、
前記照明ユニットに固定される少なくとも一の回転部材と、
前記回転部材を前記回転軸回りに回転可能に支持する少なくとも一の支持部材と、を有し、
前記回転部材は、前記調整ナットの移動を前記回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記回転軸回りに回転させる、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記少なくとも一の調整機構は、前記本体上に規定される第一方向に沿う第一回転軸回りに前記照明ユニットを回転可能に支持する第一調整機構を含み、
前記少なくとも一の調整ボルトは、前記第一方向に直交する第二方向に沿う第二回転軸回りに前記本体に対して回転可能に支持される第一調整ボルトを含み、
前記少なくとも一の調整ナットは、前記第一調整ボルトの回転に伴い前記第一調整ボルト上を前記第二回転軸に沿って移動する第一調整ナットを含み、
前記第一調整機構は、前記第一調整ナットの移動を前記第一回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記第一回転軸回りに回転させる、請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記少なくとも一の調整機構は、前記第二方向に沿う第三回転軸回りに前記照明ユニットを回転可能に支持する第二調整機構を含み、
前記少なくとも一の調整ボルトは、前記第二方向に沿う第四回転軸回りに前記本体に対して回転可能に支持される第二調整ボルトを含み、
前記少なくとも一の調整ナットは、前記第二調整ボルトの回転に伴い前記第二調整ボルト上を前記第四回転軸に沿って移動する第二調整ナットを含み、
前記第二調整機構は、前記第二調整ナットの移動を前記第三回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記第三回転軸回りに回転させる、請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記第三回転軸は、前記第二回転軸と一致しており、
前記本体は、前記第一調整ボルトを前記第二回転軸回りに回転可能に支持する本体支持部を有し、
前記第一調整機構は、前記照明ユニットに固定される第一回転部材と、前記第一回転部材を前記第一回転軸回りに回転可能に支持する第一支持部材と、を有し、
前記第一回転部材は、前記第一調整ナットの移動を前記第一回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記第一回転軸回りに回転し、
前記第二調整機構は、前記第二回転軸回りに回転可能に前記本体支持部に支持される第二回転部材と、前記第二回転部材が前記第二回転軸回りに回転する際に前記第一回転部材に対して前記第二回転部材を固定する前記第一支持部材と、前記第一回転部材と、を有し、
前記第二回転部材は、前記第二調整ナットの移動を前記第四回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記第一支持部材及び前記第一回転部材を介して前記第二回転軸回りに回転させる、請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
前記第二調整機構が前記第二回転軸回りに回転する際、前記第二調整機構は前記第一調整ボルト及び前記第二調整ボルトと共に回転する、請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記調整ボルトを前記本体に対して支持するボルトカバーを更に備える、請求項1記載の照明装置。
【請求項8】
前記調整ボルトは、一端に配置される頭部と、前記頭部に配置され前記調整ボルトを前記回転軸回りに回転する力を受け付ける工具穴と、を有し、
前記ボルトカバーは、前記工具穴を露出させて前記調整ボルトを覆う、請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記本体は、車両のインストルメントパネルに直接又は間接的に固定されるように構成され、
前記照明ユニットは、前記インストルメントパネルを照明するように構成される、請求項1記載の照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両等に搭載される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストルメントパネル内に配置され、車両内の所定位置に光を照射する照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-122739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明装置が、設計された箇所に光を照射し、反射光を視認者に設計通りに視認させるためには、照明装置及び車両の取付側の部材が設計通りに製造され、互いに精度よく取り付けられることが求められる。しかしながら、照明装置及び車両の取付側の寸法や取付に意図しない誤差が生じた場合、照射位置はずれてしまう。特に、照明装置の位置と照射位置とが離れている場合、その誤差は顕著になり、視認性が更に低下してしまう。
【0005】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、照射位置を好適に調整できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の照明装置は、上述した課題を解決するために、本体と、表示光を出射する照明ユニットと、前記照明ユニットを前記本体に対して少なくとも一の回転軸回りに回転可能に支持し、前記回転軸回りの前記表示光の出射方向を調整する少なくとも一の調整機構と、前記本体に対して回転可能に支持される少なくとも一の調整ボルトと、前記調整ボルトの回転に伴い前記調整ボルト上を移動する少なくとも一の調整ナットと、を備え、前記調整機構は、前記調整ナットの移動を前記回転軸回りの回転に変換することにより、前記照明ユニットを前記回転軸回りに回転させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の照明装置においては、照射位置を好適に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の照明装置の実施形態である照明装置が自動車に搭載された場合の斜め後方視の説明図。
図2】照明装置の斜め前方視による説明図。
図3】照明装置の全体構成を示す斜め後方視による斜視図。
図4】ボルトカバーが取り外された照明装置の全体構成を示す斜め前方視による斜視図。
図5】照明装置の分解斜視図。
図6】バイザーの取付手順を示す説明図。
図7】上下軸回転部材の上ケースへの取付手順を示す説明図。
図8】前後軸調整ボルト及び前後軸調整ナットを示す説明図。
図9】前後軸調整機構の動作を示す説明図。
図10】上下軸調整機構の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の照明装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の照明装置は、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載される照明装置に適用することができる。
【0010】
図1は、本開示の照明装置の実施形態である照明装置10が自動車1に搭載された場合の斜め後方視による説明図である。
図2は、図1の照明装置10の斜め前方視による説明図である。
【0011】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、図1から図10における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。尚、前後方向は、自動車1の前進及び後進方向に対応する。また、照明装置10においては、本体20の上面22aに直交する方向を上下方向(第二方向)と規定する。また、上下方向に直交し、上面22aに含まれる自動車の前進及び後進方向に沿う方向を、前後方向(第一方向)と規定する。また、上面22aに含まれる前後方向に直交する方向を、左右方向と規定する。
【0012】
本実施形態においては、照明装置10が表示装置2の背面側(前方)に固定された上で、自動車1のインストルメントパネル3に間接的に固定される照明装置10である例を用いて説明する。また、照明装置10が、自動車1のインストルメントパネル3に、例えば意匠を表す表示光11を照射して反射し、その反射光を視認者に視認させる照明装置10である例を一例として用いて説明する。
【0013】
表示装置2は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)から取得した車速、エンジン回転数、各種車両情報、ナビゲーション情報等を、運転者等に対して表示する。表示装置2は、インストルメントパネル3に対してビス等で固定される。
【0014】
照明装置10は、表示装置2の背面2a側にビス等で固定されることにより、間接的にインストルメントパネル3に固定される。照明装置10は、インストルメントパネル3に向けて略左方向及び略右方向に表示光11を出射する。照明装置10は、インストルメントパネル3上の照射位置12で表示光11を運転者等の視認者に向けて反射させる。表示光11は、運転者等に情報を伝えるための意匠として運転者等に視認されたり、車内のアンビエント照明として作用したりする。
【0015】
図3は、照明装置10の全体構成を示す斜め後方視による斜視図である。
図4は、ボルトカバー110が取り外された照明装置10の全体構成を示す斜め前方視による斜視図である。
図5は、照明装置10の分解斜視図である。
【0016】
照明装置10は、本体20と、照明ユニット30と、前後軸回転部材40と、上下軸回転部材50と、連結ボルト60と、前後軸調整ボルト70(第一調整ボルト)と、上下軸調整ボルト80(第二調整ボルト)と、前後軸調整ナット90(第一調整ナット)と、上下軸調整ナット100(第二調整ナット)と、ボルトカバー110と、を有する。
【0017】
照明ユニット30は、本体20に対して左右対称に2つ配置され、これらは左右対称の構成を有する。また、照明ユニット30に対応して前後軸回転部材40、上下軸回転部材50、連結ボルト60、前後軸調整ボルト70、上下軸調整ボルト80、前後軸調整ナット90、及び上下軸調整ナット100も左右対称に2つ配置され、これらは左右対称の構成を有する。このため、以下においては、いずれか一方に配置される照明ユニット30、前後軸回転部材40、上下軸回転部材50、前後軸調整ボルト70、上下軸調整ボルト80、連結ボルト60、前後軸調整ナット90、及び上下軸調整ナット100について特に説明し、他方に配置される照明ユニット30等については説明を省略するが同様の説明が適用される。
【0018】
本体20は、照明装置10の土台となる部分であり、表示装置2に対して固定される。本体20は、下ケース21と、上ケース22と、回路基板29と、を有する。
【0019】
下ケース21は、上方に開口21aを有する箱状部材である。また、下ケース21は、表示装置2に固定するための固定構造(図示せず)を有する。上ケース22は、下ケース21の開口21aを覆い、下ケース21にビス22bによりビス止めされる。上ケース22は、回路基板29を水分や塵埃から保護する。上ケース22は、上面22aに、上下軸回転部材50、前後軸調整ボルト70、上下軸調整ボルト80、及びボルトカバー110を支持するための構造を有する(詳細は後述)。
【0020】
回路基板29は、下ケース21に収容され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する。回路基板29は、例えば、ROMに書き込まれたプログラムに従って照明ユニット30を制御する。
【0021】
照明ユニット30は、照明ケース31と、光源基板(図示せず)と、ヒートシンク35と、バイザー37と、を主に有する。
【0022】
照明ケース31は、光源基板及び光源基板に付随する所要の部材を保持し、収容する。照明ケース31は、左右方向に入射側開口及び出射側開口を有する箱状部材である。照明ケース31は、光源の数及び位置に応じて仕切られた複数の空間を有する。各空間は、光源基板(光源)に付随する部材として、例えば光学レンズを収容する。照明ケース31の出射側開口は、光源の数及び位置に対応した出射口32aを有するホルダー32により覆われる。照明ケース31は、バイザー37を保持するための一対の突起31aと、フック31bと、を有する。突起31aは、照明ケース31の前方及び後方に面する面から前方及び後方に突出する。フック31bは、照明ケース31の略上方に面する面に配置される。
【0023】
光源基板は、光源を搭載し、光源に電力を供給したり、光源の発光を制御したりする。光源基板は、FPC(Flexible Printed Circuits)34を介して、本体20の回路基板29に接続され、所要の制御信号を送受信する。
【0024】
光源は、例えば所要数(例えば4個)の、所要色に発光するLED(Light Emitting Diode)である。光源は、光源基板の制御に伴い表示内容に係る表示光11を発光することにより、出射口32aに形成された表示内容を表示する。表示内容は、例えば複数色からなる車内照明や、運転に必要な情報を形成する意匠等である。光源基板は、照明ケース31の各空間に対応して光源が配置されるように、照明ケース31の入射側の開口に配置される。
【0025】
ヒートシンク35は、放熱性を有する材料であって、例えばアルミニウム系、マグネシウム系の金属からなる。ヒートシンク35は、基部35aと、フィン35bと、を有する(図3)。基部35aは、光源基板の光源が配置される面と反対側の面と、例えば熱伝導部材を介して接触する。フィン35bは、基部35aから延びる複数の所謂冷却フィンである。
【0026】
バイザー37は、表示光11の出射方向に沿う方向に延びる筒状部材である。バイザー37は、照明ユニット30の不要な部分を覆い、また表示光11を所要の位置まで導き開口37gから出射させる。ここで、図6はバイザー37の取付手順を示す説明図である。バイザー37は、一対の切欠37aと、フック止め37bと、を有する。
【0027】
切欠37aは、バイザー37の後面37cの下端縁37d及び後面37cに対向する前面の下端縁であって、照明ケース31の一対の突起31aに対応する位置に設けられる。フック止め37bは、バイザー37の上面37eの左端縁37fであって、照明ケース31のフック31bに対応する位置に設けられる。バイザー37を照明ケース31に取り付ける場合、まずは突起31aに切欠37aが引っ掛けられ、この突起31aを軸にバイザー37が回転される。次に、フック止め37bがフック31bと掛かり合うことによりバイザー37は照明ケース31に固定される。
【0028】
バイザー37は、容易に着脱が可能な構成とすることで、照明装置10の製造者のみならず、照明装置10を表示装置2(車両)に取り付ける自動車1の販売者等が作業者になるような場合であっても、着脱が容易である。これにより、例えば表示装置2への背面2a側の限られた空間に照明装置10を取り付ける際には、左右方向に突出したバイザー37を取り外した状態で作業し、照明装置10の取付が終わった後には再度バイザー37を取り付けることができる。このようなバイザー37の着脱構造は、照明装置10における作業性及びメンテナンス性を向上させる。
【0029】
前後軸回転部材40は、固定部41と、変換部43と、を有し、上方視が略L字状の金属からなる部材である。
【0030】
固定部41は、照明ユニット30のヒートシンク35の基部35aのフィン35bが配置される面に対面する平板部分である。固定部41は、基部35aに面接触した状態でビス止めされ固定される。これにより、前後軸回転部材40は、照明ユニット30に固定される。
【0031】
変換部43は、固定部41の前端41aから左右方向外側に固定部41に略直交して延びる平板部分である。変換部43は、ナット孔44と、連結ボルト孔45と、を有する。ナット孔44は、上端44aが下端44bよりも左右方向に関して照明装置10の中心側に位置するよう、上下方向に関して傾いて円弧状に延びる長孔である。ナット孔44は、前後軸調整ナット90の可動範囲に応じて形成される。連結ボルト孔45は、ナット孔44の下方に配置され、連結ボルト60を貫通させる。
【0032】
上下軸回転部材50は、回転部51と、変換部55と、連結部58と、を有する金属からなる部材である。ここで、図7は、上下軸回転部材50の上ケース22への取付手順を示す説明図である。
【0033】
回転部51は、上ケース22の上面22aに対面する平板部分である。回転部51は、回転中心孔52と、上下軸調整ボルト貫通孔53と、規制用切欠54と、を有する。回転中心孔52は、上下軸回転部材50の回転軸と一致する軸(中心)を有する孔である。回転中心孔52は、外縁から径方向に延びるリブ孔52aを有する。上下軸調整ボルト貫通孔53は、上下軸回転部材50の回転時に上下軸調整ボルト80と干渉しないよう、上下軸回転部材50の可動範囲に応じて形成される長孔である。規制用切欠54は、回転部51の右端51aから左端51bに向って切り欠かれた部分である。
【0034】
変換部55は、回転部51の左端51bから上方に回転部51に略直交して延びる平板部分である。変換部55は、ナット孔56を有する。ナット孔56は、上端56aが下端56bよりも後方に位置するよう、上下方向に関して傾いて延びる長孔である。ナット孔56は、上下軸調整ナット100の可動範囲に応じて形成される。
【0035】
連結部58は、回転部51の後端51cから上方に回転部51に略直交して延びる平板部分である。連結部58は、連結ボルト孔59を有する。連結ボルト孔59は、連結ボルト60と同軸上に配置される。
【0036】
ここで、上ケース22は、図7に示すように、上下軸回転部材50を支持するための構造として、筒部23と、回転案内溝24と、規制用ビス25(図4)と、を有する。
【0037】
筒部23は、上面22aから上方に突出した筒状部材である。筒部23の下端は、閉じている。筒部23は、筒部23の軸方向に沿って形成される、前後軸調整ボルト70を支持するボルト支持孔28aを有する。筒部23は、筒部23の軸方向に亘って、筒部23の外縁から径方向外側に形成されるリブ27を有する。リブ27は、根元側であって上面22aとの間に、上下軸回転部材50を上下方向(厚さ方向)に関して収容可能な空間を形成する切欠27aを有する。回転案内溝24は、回転部51の回転する回転方向に沿う曲線状をなす前端51dと嵌まり合い、上下軸回転部材50を上下方向において規制しながら回転を案内する。規制用ビス25は、上ケース22から上方に突出し、規制用切欠54と嵌まり合う。
【0038】
上下軸回転部材50は、図7に示すような態様で上ケース22に取り付けられ、本体20に対しては筒部23回りの回転以外の動作を規制された状態で支持される。すなわち、リブ孔52aを筒部23のリブ27に合わせながら、回転中心孔52が筒部23に通される。その後、図7における反時計回りに回転されることにより、回転部51がリブ27の切欠27aに収容される。上下軸回転部材50は、前後左右方向の移動は筒部23に規制され、上下方向の移動はリブ27及び回転案内溝24に規制される。すなわち、上下軸回転部材50は、筒部23回りの回転動作以外は規制された状態で、上ケース22に支持される。上下軸回転部材50は、回転部51の前端51dで回転案内溝24に案内されながら、筒部23回りに回転する。更に、上下軸回転部材50は、規制用切欠54が規制用ビス25と掛かり合うことにより、設定された範囲以上の回転が規制される。
【0039】
連結ボルト60は、軸方向が前後方向に沿うように配置される。連結ボルト60は、前方から後方に向けて、前後軸回転部材40の変換部43の連結ボルト孔45、上下軸回転部材50の連結部58の連結ボルト孔59、を順次通り、ナット(図示せず)で締結される。このとき、上下軸回転部材50は、連結ボルト60に対して固定される。前後軸回転部材40は、連結ボルト60回りに回転可能に支持される。また、上下軸回転部材50は、前後軸回転部材40に対して、連結ボルト60回りの回転以外は固定されている。
【0040】
前後軸調整ボルト70は、上下方向に沿う軸(第二回転軸)回りに回転可能に本体20に対して支持される。ここで、図8は、前後軸調整ボルト70及び前後軸調整ナット90を示す説明図である。
【0041】
前後軸調整ボルト70は、上端70aに配置される頭部71を有する。頭部71は、前後軸調整ボルト70を回転軸回りに回転する力を受け付ける、六角形の工具穴72を有する。前後軸調整ボルト70は、上ケース22の筒部23(本体支持部)に形成される前後軸調整ボルト70用のボルト支持孔28a内に、本体20に対して回転可能に支持される。筒部23の下端は底面を有し、前後軸調整ボルト70の下端70bはこの底面に接し、前後軸調整ボルト70は下方に関して支持される。このように支持されることで、前後軸調整ボルト70の回転軸、筒部23(ボルト支持孔28a)の軸、及び筒部23に支持される上下軸回転部材50の回転軸は、略一致する。
【0042】
上下軸調整ボルト80は、上下方向に沿う軸(第四回転軸)回りに回転可能に本体20に対して支持される。上下軸調整ボルト80は、前後軸調整ボルト70とほぼ同様の構成を有するため、図8に対応する図を用いた頭部及び工具穴の説明を省略する。
【0043】
ここで、上ケース22は、上下軸調整ボルト80を支持するための構造として、上下軸調整ボルト用のボルト支持孔28bを有する(図7)。ボルト支持孔28bは、上ケース22の上面22aに設けられた底面を有する凹部である。上下軸調整ボルト80の下端は、この底面に接し、上下軸調整ボルト80は下方に関して支持される。
【0044】
前後軸調整ナット90は、前後軸調整ボルト70と組み合わされる。前後軸調整ナット90は、前後軸調整ボルト70の回転に伴い前後軸調整ボルト70上を前後軸調整ボルト70の回転軸に沿って移動する。前後軸調整ナット90は、前後軸調整ボルト70が回転していない場合には、前後軸調整ボルト70に対して静止している。図8に示すように、前後軸調整ナット90は、角ナット91と、ナットカバー92と、を有する。角ナット91は、雄ねじとしての前後軸調整ボルト70と組み合わされる雌ねじである。ナットカバー92は、収容部94と、被保持部95と、を有する。
【0045】
収容部94は、ナット収容部96と、ボルト貫通孔97と、を有する。ナット収容部96は、前方に開口し、角ナット91を収容可能な形状を有する。ボルト貫通孔97は、ナット収容部96に収容される角ナット91の軸方向に沿う軸を有する孔であり、前後軸調整ボルト70を貫通させる。
【0046】
被保持部95は、収容部94のナット収容部96の開口が設けられる面と反対の面に配置される。被保持部95は、根元側に前後軸回転部材40のナット孔44よりも小径を有する凸状部材である。被保持部95は、この小径部分においてナット孔44を介して前後軸回転部材40と嵌り合う。これにより、前後軸調整ナット90は前後軸回転部材40に支持される。
【0047】
上下軸調整ナット100は、上下軸調整ボルト80と組み合わされる。上下軸調整ナット100は、上下軸調整ボルト80の回転に伴い上下軸調整ボルト80上を上下軸調整ボルト80の回転軸に沿って移動する。上下軸調整ナット100は、上下軸調整ボルト80が回転していない場合には、上下軸調整ボルト80に対して静止している。上下軸調整ナット100の角ナット、ナットカバー、収容部及び被保持部については、前後軸調整ナット90の各部とほぼ同様の構成を有するため、図8に対応する図を用いた説明を省略する。
【0048】
ボルトカバー110は、前後軸回転部材40、上下軸回転部材50、前後軸調整ボルト70、上下軸調整ボルト80、前後軸調整ナット90及び上下軸調整ナット100を覆い、使用時においてこれらを隠す。また、ボルトカバー110は、前後軸調整ボルト70及び上下軸調整ボルト80を本体20に対して上方に関して支持する。ボルトカバー110は、上ケース22に対して、ビス112により固定される。ボルトカバー110は、上面110aに4個の調整孔111を有する。調整孔111は、前後軸調整ボルト70及び上下軸調整ボルト80の頭部71のうち、少なくとも工具穴72を露出させる。すなわち、調整孔111は、ボルトカバー110が装着された状態で、作業者が工具穴72にアクセス可能にする。
【0049】
次に、上述した照明装置10における、照明ユニット30を本体20に対して回転軸回りに回転可能に支持する調整機構について説明する。
【0050】
調整機構は、前後軸調整機構(第一調整機構)と、上下軸調整機構(第二調整機構)と、を有する。前後軸調整機構は、照明ユニット30を、前後方向に沿う回転軸である連結ボルト60回りに回転することで、前後方向に沿う軸回りの表示光11の出射方向を調整する。上下軸調整機構は、照明ユニット30を、上下方向に沿う回転軸である筒部23回りに回転することで、上下方向に沿う軸回りの表示光11の出射方向を調整する。
【0051】
前後軸調整機構は、前後軸回転部材40(回転部材、第一回転部材)と、支持部材としての連結ボルト60(第一支持部材)及び上下軸回転部材50と、により実現される。具体的には、前後軸回転部材40は、照明ユニット30に固定されると同時に、連結ボルト60に連結ボルト60の軸(回転軸、第一回転軸)回りに回転可能に支持されることにより、前後方向に沿う連結ボルト60回りに照明ユニット30を回転可能に支持する。このとき、連結ボルト60は、上下軸回転部材50に対して固定されており、また、上下軸回転部材50は、筒部23回りの回転動作以外は規制されているため、連結ボルト60は相対的に本体20に固定されている。
【0052】
前後軸調整機構は、前後軸回転部材40において前後軸調整ナット90の移動を、連結ボルト60回りの回転に変換することにより、照明ユニット30を連結ボルト60回りに回転させる。
【0053】
ここで、図9は、前後軸調整機構の動作を示す説明図である。図9(及び後述する図10)においては、ボルトカバー110の図示は省略されている。中央の図は、照明ユニット30が初期位置にある照明装置10aを示す図である。右側の図は、右方(図示左方)の照明ユニット30が初期位置に対して時計回りに回転した照明装置10bを示す図である。左側の図は、右方の照明ユニット30が初期位置に対して反時計回りに回転した照明装置10cを示す図である。
【0054】
前後軸調整ボルト70が作業者により回転されると、前後軸調整ボルト70は上下方向に関して支持されているため、前後軸調整ナット90が相対的に前後軸調整ボルト70上を移動する。前後軸調整ナット90は、前後軸回転部材40の変換部43のナット孔44を介して変換部43に保持されている。ナット孔44は、上下方向(前後軸調整ボルト70の軸方向)に関して傾いて延びている。このため、前後軸調整ナット90の前後軸調整ボルト70に沿う移動にナット孔44を沿わせるように、前後軸回転部材40が連結ボルト60回りに回転する。
【0055】
具体的には、前後軸調整ボルト70を反時計回りに回転すると、照明装置10bのように、前後軸調整ナット90が下降し、前後軸回転部材40が連結ボルト60回りに時計回りに回転する。これにより、照明ユニット30が時計回りに回転し、表示光11の出射方向が調整される。また、前後軸調整ボルト70を時計回りに回転すると、照明装置10cのように、前後軸調整ナット90が上昇し、前後軸回転部材40が連結ボルト60回りに反時計回りに回転する。これにより、照明ユニット30が反時計回りに回転し、表示光11の出射方向が調整される。
【0056】
上下軸調整機構は、上下軸回転部材50(回転部材、第二回転部材)と、支持部材としての筒部23、連結ボルト60及び前後軸回転部材40と、により実現される。具体的には、上下軸回転部材50は、連結ボルト60及び前後軸回転部材40を介して照明ユニット30に固定されると同時に、筒部23(回転軸、第二及び第三回転軸)回りに回転可能に筒部23に支持されることにより、上下方向に沿う筒部23回りに照明ユニット30を回転可能に支持する。尚、前後軸回転部材40は、前後軸調整ナット90の移動による力の付与以外には動作しない。このため、上下軸調整機構が筒部23回りに回転する際、前後軸調整ナット90が移動しない限りは前後軸回転部材40に対して上下軸回転部材50は連結ボルト60により固定されている。
【0057】
また、上下軸調整機構が筒部23回りに回転する際、上下軸調整機構は、前後軸調整ボルト70及び前後軸調整ナット90と共に回転する。すなわち、前後軸調整ボルト70が回転していない場合には、前後軸調整ナット90は前後軸調整ボルト70に対して静止している。また、前後軸調整ボルト70は、筒部23に対しては回転可能に支持されている。更に、前後軸調整ナット90は、ナット孔44を介して前後軸回転部材40に支持されている。これにより、前後軸調整ナット90及び前後軸調整ボルト70は、前後軸回転部材40(上下軸調整機構)と一体的に、筒部23回りに回転する。
【0058】
上下軸調整機構は、上下軸回転部材50において上下軸調整ナット100の移動を、上下軸回転部材50の筒部23回りの回転に変換することにより、照明ユニット30を筒部23回りに回転させる。
【0059】
ここで、図10は、上下軸調整機構の動作を示す説明図である。上段の図は、照明装置10を上方視で示す図である。下段の図は、照明装置10を前方視で示す図である。上段及び下段の各中央の図は、照明ユニット30が初期位置にある照明装置10dを示す図である。右側の図は、右方(図示左方)の照明ユニット30が初期位置に対して時計回りに回転した照明装置10eを示す図である。左側の図は、右方の照明ユニット30が初期位置に対して反時計回りに回転した照明装置10fを示す図である。
【0060】
上下軸調整ボルト80が作業者により回転されると、上下軸調整ボルト80は上下方向に関して支持されているため、上下軸調整ナット100が相対的に上下軸調整ボルト80上を移動する。上下軸調整ナット100は、上下軸回転部材50の変換部55のナット孔56を介して変換部55に保持されている。ナット孔56は、上下方向(上下軸調整ボルト80の軸方向)に関して傾いて延びている。このため、上下軸調整ナット100の上下軸調整ボルト80に沿う移動にナット孔56を沿わせるように、上下軸回転部材50も移動する。上下軸回転部材50は、筒部23で拘束されているため、筒部23回りに回転する。
【0061】
具体的には、上下軸調整ボルト80を時計回りに回転すると、照明装置10eのように、上下軸調整ナット100が上昇し、これに伴い上下軸回転部材50が筒部23回りに時計回りに回転する。これにより、連結ボルト60及び前後軸回転部材40を介して上下軸回転部材50に固定されている照明ユニット30が時計回りに回転し、表示光11の出射方向が調整される。また、上下軸調整ボルト80を反時計回りに回転すると、照明装置10fのように、上下軸調整ナット100が下降し、これに伴い上下軸回転部材50が筒部23回りに反時計回りに回転する。これにより、連結ボルト60及び前後軸回転部材40を介して上下軸回転部材50に固定されている照明ユニット30が反時計回りに回転し、表示光11の出射方向が調整される。
【0062】
ここで照明装置10は、表示光11を出射し、自動車1のインストルメントパネル3に照射する。その反射光を設計通りに視認者に視認させるためには、設計通りの照射位置12に表示光11を照射する必要がある。しかしながら、図1及び図2に示すように、照明装置10が照射位置12であるインストルメントパネル3に間接的に配置される場合、照射位置12に誤差が生じる虞がある。
【0063】
例えば、照明装置10は、表示装置2の背面2a側に取り付けられるため、照明装置10の表示装置2への取付精度、及び表示装置2のインストルメントパネル3への取付精度によっては、照射位置12に誤差が生じる虞がある。また、照射位置12の誤差は、照明装置10、表示装置2、自動車1側の寸法精度や組み立て精度に起因しても生じる虞がある。このため、照明装置10が自動車1に取り付けられた後に、表示光11の照射位置12が調整できることが好ましい。
【0064】
そこで、本実施形態の照明装置10は、上述したような構成を有することで、照射位置12を好適に調整できる。すなわち、作業者は、前後軸調整ボルト70の工具穴72を介して、工具で前後軸調整ボルト70を所要量回転させることにより、照明ユニット30の姿勢を前後方向に沿う連結ボルト60の軸回りに調整できる。これにより、バイザー37の開口37gから出射される表示光11の前後方向軸回りの向きが調整され、表示光11を適切な照射位置12に照射できる。また、作業者は、上下軸調整ボルト80の工具穴を介して、工具で上下軸調整ボルト80を所要量回転させることにより、照明ユニット30の姿勢を上下方向に沿う筒部23の軸回りに調整できる。これにより、バイザー37の開口37gから出射される表示光11の上下方向軸回りの向きが調整され、表示光11を適切な照射位置12に照射できる。
【0065】
また、照明装置10は、上下軸調整機構に前後軸調整機構の一部を兼ねて利用するため、照明ユニット30の姿勢を調整するための構造やスペースを低減できる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
例えば、調整ボルトの本数は一例であって、調整したい回転軸の本数に応じて調整ボルト及び調整機構等を所要数配置してもよい。照明装置10は、インストルメントパネル3に直接固定され、インストルメントパネル3を照明するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 自動車
2 表示装置
2a 背面
3 インストルメントパネル
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 照明装置
11 表示光
12 照射位置
20 本体
21 下ケース
21a 開口
22 上ケース
22a 上面
22b ビス
23 筒部
24 回転案内溝
25 規制用ビス
27 リブ
27a 切欠
28a、28b ボルト支持孔
29 回路基板
30 照明ユニット
31 照明ケース
31a 突起
31b フック
32 ホルダー
32a 出射口
34 FPC(Flexible Printed Circuits)
35 ヒートシンク
35a 基部
35b フィン
37 バイザー
37a 切欠
37b フック止め
37c 前面
37d 下端縁
37e 上面
37f 左端縁
37g 開口
40 前後軸回転部材
41 固定部
41a 前端
43 変換部
44 ナット孔
44a 上端
44b 下端
45 連結ボルト孔
50 上下軸回転部材
51 回転部
51a 右端
51b 左端
51c 後端
51d 前端
52 回転中心孔
52a リブ孔
53 上下軸調整ボルト貫通孔
54 規制用切欠
55 変換部
56 ナット孔
56a 上端
56b 下端
58 連結部
59 連結ボルト孔
60 連結ボルト
70 前後軸調整ボルト
70a 上端
70b 下端
71 頭部
72 工具穴
80 上下軸調整ボルト
90 前後軸調整ナット
91 角ナット
92 ナットカバー
94 収容部
95 被保持部
96 ナット収容部
97 ボルト貫通孔
100 上下軸調整ナット
110 ボルトカバー
110a 上面
111 調整孔
112 ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10