(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116550
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20220803BHJP
G16Y 10/65 20200101ALI20220803BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20220803BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20220803BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G16Y10/65
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012771
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】執行 里恵
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA11
5D208CF03
5D208CG10
(57)【要約】
【課題】裏声歌唱に適した区間で裏声歌唱が行われた場合をより適切に判断して歌唱技法として評価する。
【解決手段】カラオケ装置1は、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声から裏声歌唱を検出する検出部21と、
検出部21で検出された裏声歌唱を歌唱技法として評価する評価部22と、
検出部21で検出された裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定し、音量情報が音量条件を満たす場合に、評価部22による裏声歌唱の評価を禁止する判定部23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声から裏声歌唱を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記裏声歌唱を歌唱技法として評価する評価部と、
前記検出部で検出された前記裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定し、前記音量情報が前記音量条件を満たす場合に、前記評価部による前記裏声歌唱の評価を禁止する判定部と、
を備えることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記検出部で検出された前記裏声歌唱に対応する前記カラオケ演奏の伴奏音信号の波高値を前記音量情報として取得することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記歌唱者が地声で歌唱可能な地声声域を取得する取得部と、
前記評価部による前記裏声歌唱の評価を前記判定部が禁止し、且つ前記裏声歌唱の音高が前記地声声域に含まれる場合に、前記裏声歌唱に代えて地声歌唱することを前記歌唱者に推奨する推奨部と、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置の利用者は、カラオケ演奏に合わせて歌唱をするときに、裏返った声、いわゆる裏声で歌唱することがある。また、カラオケ装置には、歌唱者の歌唱音声を評価するものがあり、例えば、裏声歌唱を歌唱技法として評価する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の歌唱評価装置は、歌唱者が歌唱した音声を表す音声データの倍音比率に基づいて裏声を表す音声データを検出する裏声検出手段を備えたる裏声検出装置を備える。歌唱評価装置は、歌唱対象となる楽曲の裏声フラグが付されている参照音声データに、裏声を表す音声データが対応している場合に高い評価を行う評価手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、裏声歌唱の音量は比較的小さくなるところ、カラオケ演奏の音量が大きくなるサビ等の区間では、裏声歌唱がカラオケ演奏にかき消され易いので、裏声歌唱すべきでない場合がある。そのため、従来技術のカラオケ装置では、裏声歌唱に適さない区間で歌唱者が行った裏声歌唱を歌唱技法として評価してしまう問題が生じる。また、これに応じてカラオケ歌唱の評価が低下し、更には、評価の低下に起因して、評価の利用の低下やカラオケの利用の低下をもたらすことがある。
【0006】
本発明の目的は、裏声歌唱に適した区間で裏声歌唱が行われた場合をより適切に判断して歌唱技法として評価することができるカラオケ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のカラオケ装置は、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声から裏声歌唱を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記裏声歌唱を歌唱技法として評価する評価部と、前記検出部で検出された前記裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定し、前記音量情報が前記音量条件を満たす場合に、前記評価部による前記裏声歌唱の評価を禁止する判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、裏声歌唱に適した区間で行った裏声歌唱を歌唱技法として評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態のカラオケ装置のカラオケ演奏動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施形態のカラオケ装置を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態において、歌唱者の地声声域の例を示す表である。
【
図5】本発明の第2の実施形態において、歌唱者の裏声歌唱の音高と地声声域との比較例を示す表である。
【
図6】本発明の第2の実施形態のカラオケ装置のカラオケ演奏動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1について説明する。
【0011】
[カラオケ装置]
図1は、第1の実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体2と、マイクロフォン3と、スピーカ4と、モニタ等の表示装置5と、リモコン装置6とを備えている。カラオケ装置1は、例えば、カラオケルーム等の設置場所に設置される。
【0012】
カラオケ本体2は、有線又は無線によりマイクロフォン3、スピーカ4、表示装置5及びリモコン装置6と接続されている。マイクロフォン3は、利用者の歌唱音声を音声信号に変換してカラオケ本体2に入力する。スピーカ4は、カラオケ本体2からの放音信号に基づいて、楽曲のカラオケ演奏と共に利用者の歌唱音声を放音する。表示装置5は、カラオケ本体2からの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップを表示する。
【0013】
リモコン装置6は、タッチパネルを主体に構成されている。リモコン装置6は、各種画面や各種操作ボタンをタッチパネルに表示すると共に、タッチパネルによってログイン操作や選曲(予約)操作を受け付けている。リモコン装置6とカラオケ本体2は無線通信を介してペアリングされることで、リモコン装置6とカラオケ本体2の間で各種情報が相互に送受信される。
【0014】
リモコン装置6は、利用者のログイン操作に応じて入力された利用者識別情報(利用者ID)等をカラオケ本体2へ送信する。リモコン装置6は、楽曲の検索や推奨楽曲の選択による選曲(予約)を受け付けて、利用者の選曲(予約)操作に応じて選曲(予約)された楽曲の楽曲識別情報(楽曲ID)を予約楽曲情報としてカラオケ本体2へ送信する。
【0015】
また、カラオケ本体2は、選曲(予約)された楽曲のカラオケ演奏を行う機能に加えて、歌唱者の歌唱音声を評価する機能を有する。
【0016】
カラオケ本体2は、制御部10と、記憶部11と、音源12と、音声入出力部13とを備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等を有して構成され、カラオケ本体2を統括制御する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶媒体を有して構成される。
【0017】
記憶部11は、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部11は、カラオケ装置1の各利用者の利用者IDを記憶して各利用者を識別している。また、記憶部11は、カラオケ装置1がカラオケ演奏可能な各楽曲について、楽曲ID、曲名、歌手名、ジャンル等の基本情報を記憶している。また、記憶部11は、楽曲毎に楽曲データを記憶し、楽曲データは、伴奏データやリファレンスデータを含んでいる。伴奏データは、カラオケ演奏の元となるMIDI形式のデータである。リファレンスデータは、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する際の基準として用いられるデータである。また、伴奏データは、カラオケ演奏のパート数、ノート数、パートのボリューム値、ノートオンベロシティ値等を含んでいてよい。
【0018】
また、記憶部11は、カラオケ装置1の各利用者について、所定期間の間にカラオケ演奏された楽曲の楽曲IDを利用者IDと対応付けて当該利用者の歌唱履歴情報として記憶する。
【0019】
音源12は、例えば、MIDI音源で構成され、楽曲データの伴奏データに基づいてカラオケ演奏の伴奏音信号を生成するカラオケ演奏手段である。
【0020】
音声入出力部13は、ミキサ(デジタルミキサ)やアンプ等から構成され、カラオケ演奏の伴奏音信号やカラオケ歌唱の歌唱音声信号をミキシングしたり、このミキシング信号をスピーカ4から放音するために増幅したりする。ミキシングされる伴奏音信号の音量レベルには利用者によるミュージックボリュームの設定が反映される。
【0021】
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御する。例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部20、検出部21、評価部22及び判定部23として動作する。
【0022】
ログイン処理部20は、利用者によるリモコン装置6のログイン操作に応じてリモコン装置6から利用者IDを受信して、利用者IDを記憶部11に記憶することで利用者IDに対応する利用者のログイン処理を行う。なお、リモコン装置6に代えてカラオケ本体2が利用者IDを入力する機能を有していてもよい。
【0023】
検出部21は、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声から裏声歌唱を検出する。具体的には、検出部21は、カラオケ本体2がマイクロフォン3から入力した歌唱音声の音声信号(歌唱音声信号)に基づいて裏声歌唱か否かをカラオケ演奏開始から所定区間毎に判定する。例えば、検出部21は、各区間の歌唱音声信号から算出した倍音比率及び音高に基づいて裏声歌唱を判定してよく、又は歌唱音声信号のスペクトル特性に基づいて裏声歌唱を判定してもよく、あるいは他の解析手段によって歌唱音声信号を解析することで裏声歌唱を判定してもよい。
【0024】
評価部22は、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声を評価して、その評価結果として採点情報を算出し、採点情報の表示装置5への出力や記憶部11への記憶を行う。具体的には、評価部22は、カラオケ本体2がマイクロフォン3から入力した歌唱音声信号を、記憶部11に記憶された楽曲のリファレンスデータと比較することで歌唱音声を評価する。
【0025】
評価部22は、歌唱音声を評価する際に、歌唱音声信号から検出された歌唱技法を高く評価して採点情報に加点する。例えば、評価部22は、検出部21で検出された裏声歌唱が適切な歌唱技法であるかを評価する。リファレンスデータでは、歌唱裏声すべきか否かを示す裏声フラグが各ノートに付されていて、評価部22は、検出部21で裏声歌唱が検出された場合、裏声歌唱が検出された区間と対応するリファレンスデータの区間に裏声フラグが付されている場合、その裏声歌唱を適切な歌唱技法として高く評価する。なお、評価部22は、しゃくり、フォール、こぶし、シャウト等の他の歌唱技法を歌唱音声信号から検出して高く評価してもよい。
【0026】
なお、評価部22は、検出部21で裏声歌唱を検出した区間のうち、後述する判定部23においてカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たしていないと判定した区間について、裏声歌唱の評価を行う。一方、評価部22は、検出部21で裏声歌唱を検出した区間であっても、後述する判定部23においてカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすと判定した区間については、裏声歌唱の評価を行わない。
【0027】
判定部23は、検出部21で検出された裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定し、音量情報が音量条件を満たす場合に、評価部22による裏声歌唱の評価を禁止する。具体的には、判定部23は、検出部21で裏声歌唱が検出された区間に対応するカラオケ演奏の伴奏音信号から音量情報を取得し、この音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定する。
【0028】
例えば、判定部23は、カラオケ本体2において音源12から音声入出力部13のミキサにおける伴奏音信号(デジタル信号)の波高値に基づいて音量情報を取得する。この場合、判定部23は、裏声歌唱に対応する区間の伴奏音信号において、所定期間(例えば、100msec)毎の波高値(絶対値)の平均値を算出して音量情報として取得する。判定部23は、波高値が所定の信号幅(例えば、24bit)を最大値とするデータで示される場合、音量情報として取得した波高値が所定の割合(例えば、80%)以上であることを所定の音量条件として、裏声歌唱の音量情報を判定する。
【0029】
なお、判定部23は、上記のようにカラオケ演奏の伴奏音信号の波高値である裏声歌唱の音量情報を判定する例に限定されず、他の音量情報に関する他の音量条件を判定するように構成されてもよい。
【0030】
例えば、判定部23は、カラオケ演奏の伴奏データのパート数を音量情報として取得してもよい。カラオケ演奏は、伴奏データに基づく楽音信号を生成するためのパート数が多い程、楽音の種類が多くなり、音量も大きくなる。そこで、判定部23は、カラオケ演奏の楽曲データから、裏声歌唱に対応する区間のパート数を音量情報として取得する。判定部23は、音量情報として取得したパート数が所定数(例えば、16パート)以上であることを所定の音量条件として、裏声歌唱の音量情報を判定する。
【0031】
あるいは、判定部23は、カラオケ演奏の伴奏データのノート数を音量情報として取得してもよい。カラオケ演奏は、伴奏データに基づく楽音信号を生成するためのノート数が多い程、演奏音の数が多くなり、音量も大きくなる。そこで、判定部23は、カラオケ演奏の楽曲データから、ノート数を音量情報として取得する。判定部23は、音量情報として取得したノート数が所定数(例えば、64ノート)以上であることを所定の音量条件として、裏声歌唱の音量情報を判定する。
【0032】
あるいは、判定部23は、カラオケ演奏の伴奏データのパートボリュームの平均値を音量情報として取得してもよい。カラオケ演奏は、伴奏データに基づく楽音信号の音量を調節するパートボリュームが各パートに設定されるところ、複数のパートのパートボリュームの平均値が大きい程、全体として音量が大きくなる。そこで、判定部23は、カラオケ演奏の楽曲データから、裏声歌唱に対応する区間のパートボリュームの平均値を音量情報として取得する。判定部23は、音量情報として取得したパートボリュームの平均値が所定値(例えば、MIDI形式の伴奏データにおいて最大値127に対して所定値120)以上であることを所定の音量条件として、裏声歌唱の音量情報を判定する。
【0033】
あるいは、判定部23は、カラオケ演奏の伴奏データのノートオンベロシティの平均値を音量情報として取得してもよい。カラオケ演奏は、伴奏データの複数のノートの音の強弱を示すノートオンベロシティの平均値が大きい程、各ノートが強音なので音量が大きくなる。そこで、判定部23は、カラオケ演奏の楽曲データから、裏声歌唱に対応する区間のノートオンベロシティの平均値を音量情報として取得する。判定部23は、音量情報として取得したノートオンベロシティの平均値が所定値(例えば、MIDI形式の伴奏データにおいて最大値127に対して所定値120)以上であることを所定の音量条件として、裏声歌唱の音量情報を判定する。
【0034】
なお、判定部23は、裏声歌唱に対応する区間における伴奏音信号の波高値の平均値、及び伴奏データのパート数、ノート数、パートのボリューム値の平均値、ノートオンベロシティ値の平均値のうち、少なくとも1つを音量情報として取得し、取得した音量情報に対応する音量条件の判定を行ってよい。若しくは、判定部23は、上記した音量情報を2つ以上組み合わせて、それぞれ対応する音量条件を満たすことを条件としてもよい。
【0035】
また、判定部23は、利用者のカラオケ歌唱について、裏声歌唱の評価を禁止した区間に関する情報や、この区間における裏声歌唱の音量情報及び音量条件に関する情報を、歌唱履歴に含んで記憶部11に記憶してもよい。
【0036】
[第1の実施形態のカラオケ演奏動作]
次に、第1の実施形態において、歌唱者がカラオケ歌唱を行うときのカラオケ装置1のカラオケ演奏動作について、
図2を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態のカラオケ装置1の演奏動作を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、利用者がリモコン装置6を操作して利用者IDを入力すると、カラオケ本体2では、ログイン処理部20がリモコン装置6から利用者IDを受信してログイン処理を行い、以降の動作は、ログインしている利用者IDに対応する利用者の動作とみなされる。
【0038】
利用者がリモコン装置6を操作して楽曲を予約すると、カラオケ本体2の制御部10は、リモコン装置6から受信した予約楽曲情報を利用者IDと対応付けて記憶部11の予約管理テーブルに登録する。記憶部11には、楽曲ID毎に楽曲データ等のカラオケ演奏に関する各種データが記憶されている。制御部10は、予約管理テーブルから登録順に予約楽曲情報を読み出し、この予約楽曲情報の楽曲IDに対応する楽曲データ等を記憶部11から読み出す。楽曲データには、カラオケ楽曲の伴奏音の元になる伴奏データ、歌唱の採点基準となるリファレンスデータ、表示装置5に表示される歌詞テロップの元になる歌詞データが含まれている。
【0039】
カラオケ本体2は、カラオケ演奏を開始すると(ステップS1)、音源12によって伴奏音信号を生成し、伴奏音信号の生成に同期して歌詞データ及び背景映像データに基づいて歌詞テロップ及び背景映像を表示装置5に表示する。また、カラオケ本体2は、音声入出力部13において、カラオケ演奏の伴奏音信号とマイクロフォン3から入力した歌唱音声信号とをミキサによって適切な比率でミキシングして、このミキシング信号をアンプによって増幅してスピーカ4から放音する。このとき、歌唱者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ4から伴奏音と共に歌唱音声が放音される。
【0040】
また、カラオケ本体2は、評価部22によって、歌唱音声をリファレンスデータに基づいて評価し、その評価結果である採点情報を算出する。このとき、カラオケ本体2は、カラオケ演奏開始から所定区間毎に、検出部21によって、マイクロフォン3から入力した歌唱音声信号に基づいて、歌唱音声が裏声歌唱か否かを判定する(ステップS2)。
【0041】
一の区間において裏声歌唱が検出されない場合(ステップS2:No)、カラオケ演奏が終了していなければ(ステップS3:No)、カラオケ本体2は、次の区間に対する検出部21による裏声の検出(ステップS2)に移行する。
【0042】
一方、一の区間において裏声歌唱が検出された場合(ステップS2:Yes)、カラオケ本体2は、判定部23によって、裏声歌唱に対応する区間の音量情報が音量条件を満たすか否かを判定する(ステップS4)。
【0043】
裏声歌唱の音量情報が音量条件を満たす場合(ステップS4:Yes)、評価部22によって、一の区間の裏声歌唱の評価を行うことなく歌唱音声の評価を行い、カラオケ本体2は、次の区間に対して検出部21による裏声の検出(ステップS2)に移行する。
【0044】
一方、裏声歌唱の音量情報が音量条件を満たしていない場合(ステップS4:No)、評価部22によって、一の区間の裏声歌唱の評価を行うと共に歌唱音声の評価を行い(ステップS5)、カラオケ本体2は、次の区間に対して検出部21による裏声の検出(ステップS2)に移行する。
【0045】
カラオケ演奏が終了すると(ステップS3:Yes)、カラオケ本体2は、評価部22によって、カラオケ歌唱を評価した採点情報を、表示装置5に出力して表示させ(ステップS6)、また、利用者ID及び楽曲IDに対応付けて記憶部11に記憶する。
【0046】
上記したように、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1は、楽曲のカラオケ演奏に合わせて歌唱者が歌唱した歌唱音声から裏声歌唱を検出する検出部21と、検出部21で検出された裏声歌唱を歌唱技法として評価する評価部22と、検出部21で検出された裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の音量情報が所定の音量条件を満たすか否かを判定し、音量情報が音量条件を満たす場合に、評価部22による裏声歌唱の評価を禁止する判定部23と、を備える。
【0047】
これにより、歌唱者が裏声歌唱を行った場合でも、カラオケ演奏の音量が大きい等、裏声歌唱に適した演奏区間でない場合には、その裏声歌唱を歌唱技法として評価せずにカラオケ歌唱の評価が行われる。換言すれば、裏声歌唱に適した演奏区間で裏声歌唱が行われた場合に、裏声歌唱を歌唱技法として評価することになるので、裏声歌唱の評価を適切に行うことができる。
【0048】
また、第1の実施形態のカラオケ装置1では、判定部23は、検出部21で検出された裏声歌唱に対応するカラオケ演奏の伴奏音信号の波高値の平均値、及び伴奏データのパート数、ノート数、パートのボリューム値の平均値、ノートオンベロシティ値の平均値のうち、少なくとも一つを音量情報として取得する。
【0049】
これにより、裏声歌唱に適した演奏区間であるか否かを、より適切に判定することができる。
【0050】
なお、上記の第1の実施形態では、判定部23によって、裏声歌唱に対応する伴奏音信号の波高値の平均値、及び伴奏データのパート数、ノート数、パートのボリューム値の平均値、ノートオンベロシティ値の平均値等の音量情報について、所定の割合、所定数、所定値等の条件閾値を用いた音量条件を判定するところ、条件閾値は、予め設定して記憶部11に記憶していてもよく、あるいは、任意に設定可能にして記憶部11に記憶してもよい。また、条件閾値は、歌唱者の性別や年齢に応じて変更してもよい。
【0051】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態のカラオケ装置1について説明する。
図3は、第2の実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の構成要素には第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態のカラオケ装置1は、第1の実施形態の構成に加えて、検出部21で検出された裏声歌唱の評価部22による評価を判定部23が禁止したとき、歌唱者の地声声域を取得し、検出された裏声歌唱の音高が地声声域に含まれる場合に、歌唱者に地声歌唱を推奨するものである。
【0053】
第2の実施形態において、カラオケ本体2は、カラオケ装置1を管理する外部のサーバ装置7と通信可能に接続されている。また、第2の実施形態において、制御部10は、第1の実施形態と同様に、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部20、検出部21、評価部22及び判定部23として動作し、更に、取得部24及び推奨部25として動作する。
【0054】
サーバ装置7は、カラオケ本体2の記憶部11と同様に、カラオケ装置1の各利用者の利用者IDを記憶して各利用者を識別している。また、サーバ装置7は、利用者IDと対応付けて各利用者の属性情報を記憶している。属性情報は、例えば、各利用者の歌唱可能な声域情報を含み、声域情報は、地声声域の最低音及び最高音を含む。
【0055】
なお、サーバ装置7は、例えば、カラオケ本体2が各利用者の歌唱履歴や採点情報を解析して取得した声域情報をカラオケ本体2から受信してもよく、又はカラオケ本体2から各利用者の歌唱履歴や採点情報を受信して、サーバ装置7が歌唱履歴や採点情報を解析して声域情報を取得してもよい。
【0056】
取得部24は、カラオケ歌唱を行った歌唱者が地声で歌唱可能な地声声域を取得する。具体的には、取得部24は、カラオケ本体2がカラオケ演奏を行った後、このカラオケ演奏に対してカラオケ歌唱を行った歌唱者の歌唱者IDに基づいて、サーバ装置7から当該歌唱者の属性情報を受信する。取得部24は、受信した属性情報から歌唱者の地声声域を取得する。
【0057】
なお、カラオケ本体2が、各利用者の属性情報を記憶部11に記憶している場合には、取得部24は、サーバ装置7と通信することなく、記憶部11から属性情報を取得してもよい。
【0058】
推奨部25は、評価部22による裏声歌唱の評価を判定部23が禁止し、且つ裏声歌唱の音高が地声声域に含まれる場合に、裏声歌唱に代えて地声歌唱することを歌唱者に推奨する。具体的には、推奨部25は、カラオケ本体2がカラオケ演奏を行った後、このカラオケ演奏に対してカラオケ歌唱を行った歌唱者の歌唱音声から検出部21によって裏声歌唱が検出されていたとき、この裏声歌唱の評価部22による評価を判定部23によって禁止されたことを第1推奨条件とする。
【0059】
また、第1推奨条件を満たす場合、推奨部25は、判定部23によって評価を禁止された裏声歌唱の音高を取得し、この裏声歌唱の音高が、取得部24によって取得した歌唱者の地声声域に含まれることを第2推奨条件とする。例えば、
図4に示すように、歌唱者ID「xxxxxx1」の歌唱者の地声領域の最低音がB3で最高音がG5であった場合に、
図5に示すように、当該歌唱者の裏声歌唱から音高E5、F5、G5、A5を取得した場合、裏声歌唱の音高E5、F5、G5が地声声域に含まれる。そのため、推奨部25は、この歌唱者の裏声歌唱の音高には地声声域に含まれる音高があると判定することができる。
【0060】
第1推奨条件及び第2推奨条件を満たす場合、この裏声歌唱の区間は、歌唱者が地声で歌唱できる声域の区間であったが、歌唱者が意図的に裏声歌唱した音高が含まれるものと判断できる。そのため、第1推奨条件及び第2推奨条件を満たす場合、推奨部25は、歌唱者が裏声歌唱した区間では、地声声域に含まれる音高を裏声歌唱に代えて地声歌唱することを歌唱者に推奨する。例えば、推奨部25は、地声歌唱の推奨を表示装置5に表示して行う。推奨部25による地声歌唱の推奨は、評価部22による採点情報と共に、表示装置5によって同画面に表示するとよい。
【0061】
なお、推奨部25は、地声歌唱の推奨と共に、採点情報に裏声歌唱が評価されなかったことの通知を表示装置5に表示するとよい。また、推奨部25は、楽曲において評価されなかった裏声歌唱の区間の通知や、当該区間における利用者の裏声歌唱の音高と地声声域とを比較可能な通知を表示装置5に表示するとよい。
【0062】
[第2の実施形態のカラオケ演奏動作]
次に、第2の実施形態において、歌唱者がカラオケ歌唱を行うときのカラオケ装置1のカラオケ演奏動作について、
図6を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態のカラオケ装置1の演奏動作を示すフローチャートである。
【0063】
第2の実施形態のカラオケ装置1のカラオケ演奏動作において、カラオケ演奏開始からカラオケ演奏終了までの動作(ステップS11~S15)は、第1の実施形態の動作(ステップS1~S5)と同様である。
【0064】
カラオケ演奏終了後、カラオケ本体2は、取得部24によって、このカラオケ演奏に合わせてカラオケ歌唱を行った歌唱者が地声で歌唱可能な地声声域を取得する(ステップS16)。
【0065】
次に、カラオケ本体2は、このカラオケ歌唱について、評価部22による裏声歌唱の評価を判定部23が禁止していた場合に、この裏声歌唱の音高がカラオケ歌唱を行った利用者の地声声域に含まれるか否かを、推奨部25によって判定する(ステップS17)。
【0066】
裏声歌唱の音高が利用者の地声声域に含まれる場合(ステップS17:Yes)、推奨部25によって、当該裏声歌唱に対応する音高での地声歌唱を推奨し(ステップS18)、評価部22による採点情報と共に表示装置5に表示させる(ステップS19)。なお、裏声歌唱の音高が利用者の地声声域に含まれない場合(ステップS17:No)、地声歌唱を推奨することなく、評価部22による採点情報を表示装置5に表示させる(ステップS19)。
【0067】
上記したように、本発明の第2の実施形態のカラオケ装置1は、第1の実施形態の構成に加えて、歌唱者が地声で歌唱可能な地声声域を取得する取得部24と、評価部22による裏声歌唱の評価を判定部23が禁止し、且つ裏声歌唱の音高が地声声域に含まれる場合に、裏声歌唱に代えて地声歌唱することを歌唱者に推奨する推奨部25と、を更に備える。
【0068】
これにより、カラオケ歌唱において裏声歌唱を評価しない音高については、地声歌唱を推奨することにより、歌唱者は、地声歌唱によってカラオケ歌唱を楽しむことができる。また、裏声歌唱を行った場合に比べて、地声歌唱を含むカラオケ歌唱の評価をより適切に行うことができる。
【0069】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカラオケ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 カラオケ装置
2 カラオケ本体
3 マイクロフォン
5 表示装置
10 制御部
11 記憶部
21 検出部
22 評価部
23 判定部