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特開2022-116551画像処理システムおよび画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116551
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】画像処理システムおよび画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220803BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
B41J29/38 201
B41J29/38 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012772
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平澤 由
(72)【発明者】
【氏名】谷本 智史
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN05
2C061HN15
2C061HN21
2C061HP00
2C061HP06
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC22
5C062AC34
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載した画像処理装置において、その特別な機能を試行させるための技術を提供すること。
【解決手段】MFP1のメモリ12には、工場出荷時には無効にされている追加機能の有効または無効を示す情報が記憶される。また、MFP1は、追加機能の試行を可能にする試行モードを開始し、試行モードの有効期間内において追加機能が有効になり、追加機能で用いられる設定情報の入力が可能であり、入力された設定情報をメモリ12に記憶し、メモリ12に記憶された設定情報に従って追加機能に関する処理を実行する。さらにMFP1は、試行モードを終了した場合に、追加機能の無効を示す情報が記憶されていれば、メモリ12に記憶される設定情報を初期化し、追加機能の有効を示す情報が記憶されていれば、メモリ12に記憶される設定情報を初期化しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と、サーバと、を備える画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は特別な機能を備え、前記画像処理装置のメモリには、前記特別な機能を有効にするか無効にするかを示す機能情報が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効であり、前記メモリには、前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されており、
前記画像処理装置は、
前記特別な機能を有効にする指示を受け付けた場合に、前記メモリに記憶される前記機能情報を前記特別な機能の有効を示す前記機能情報に変更することで前記特別な機能を有効にし、
前記サーバは、
前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始要求を受信し、前記開始要求には、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
さらに前記サーバは、
前記開始要求を受信すると、前記試行モードの有効期間を設定し、設定した前記試行モードの有効期間を示す期間情報を、受信した前記開始要求に含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けて記憶し、前記試行モードの開始を示す開始コマンドを出力し、
前記画像処理装置は、
前記開始コマンドが入力された場合、前記試行モードを開始し、前記試行モードの有効期間内において、前記特別な機能が有効になり、
さらに前記画像処理装置は、
前記特別な機能が有効な期間内において、前記画像処理装置のユーザインタフェースを用いた操作によって、前記特別な機能で用いられる設定情報の入力が可能であり、入力された前記設定情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記設定情報に従って前記特別な機能に関する処理を実行することが可能であり、
さらに前記画像処理装置は、
前記試行モードの有効期間内の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの期間を確認する確認コマンドを前記サーバに送信し、前記確認コマンドには、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
前記サーバは、
前記画像処理装置から前記確認コマンドを受信すると、受信した前記確認コマンドに含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けられた前記期間情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内であるか否かを判断し、判断結果を示すステータス情報を前記画像処理装置に応答し、
前記画像処理装置は、
前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了し、
さらに前記画像処理装置は、
前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する初期化処理を実行し、
前記メモリに前記特別な機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記設定情報に従って前記特別な機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記設定情報の入力が引き続き可能である、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、画像処理部を備え、
さらに前記画像処理装置は、
画像データを含む第1ジョブを受け付けた場合に、前記ユーザインタフェースへの入力操作に基づいて前記第1ジョブの実行条件を満たすまで前記第1ジョブの前記画像データを前記メモリに記憶し、前記第1ジョブの前記実行条件を満たした後、前記第1ジョブの前記画像データに基づいて前記画像処理部による処理を実行する蓄積ジョブ機能を有し、前記特別な機能には複数の種類があり、前記機能情報は、前記特別な機能の種類ごとに前記メモリに記憶され、さらに前記蓄積ジョブ機能には前記実行条件が異なる第1方式の前記蓄積ジョブ機能と第2方式の蓄積ジョブ機能とがあり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が有効になった場合、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が無効になり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が無効になった場合、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が有効になり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が有効であった場合、前記ユーザインタフェースへの前記入力操作によって第1入力情報の入力を受け付け、入力された前記第1入力情報が適正であることが前記実行条件となり、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が有効であった場合、前記ユーザインタフェースへの前記入力操作によって第2入力情報の入力を受け付け、入力された前記第2入力情報が適正であることが前記実行条件となり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれ、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれず、
さらに前記画像処理装置は、
前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、さらに前記メモリに記憶されている前記第1ジョブの前記画像データを消去する消去処理を実行し、
前記メモリに前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理および前記消去処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報に従って、前記メモリに記憶される前記第1ジョブに対して前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報の入力が引き続き可能である、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載する画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、他の画像処理装置とも接続可能な共有サーバと接続し、前記共有サーバは第2ジョブに含まれる画像データを記憶可能であり、
さらに前記画像処理装置は、
前記第2ジョブの実行指示を前記ユーザインタフェースを用いた操作によって受け付け、前記第2ジョブの前記実行指示を受け付けた場合に、前記共有サーバから前記第2ジョブの前記画像データを読み出した後、前記第2ジョブの前記画像データに基づいて前記画像処理部による処理を実行するサーバ蓄積ジョブ機能を有し、前記サーバ蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれ、
さらに前記画像処理装置は、
前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、
前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶された前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報に従って、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブに対して前記サーバ蓄積ジョブ機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報の入力が引き続き可能であり、
さらに前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されている場合であっても、前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されている場合であっても、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブの前記画像データについては消去せず、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブを、前記共有サーバに接続可能な他のデバイスからも利用可能である、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
画像処理部と、
ユーザインタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備える画像処理装置であって、
前記画像処理装置は特別な機能を備え、前記メモリには、前記特別な機能を有効にするか無効にするかを示す機能情報が記憶されており、工場出荷時、前記メモリには、前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されており、
前記コンピュータは、
前記特別な機能を有効にする指示を受け付けた場合に、前記メモリに記憶される前記機能情報を前記特別な機能の有効を示す前記機能情報に変更することで前記特別な機能を有効にする変更処理を実行し、
さらに前記コンピュータは、
前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始を示す開始コマンドの入力を受け付けた場合に、前記試行モードを開始する開始処理を実行し、前記試行モードには有効期間が設定されており、前記試行モードの有効期間内において、前記特別な機能が有効になり、
さらに前記コンピュータは、
前記特別な機能が有効な期間内において、前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記特別な機能で用いられる設定情報を入力する入力処理を実行可能であり、前記入力処理にて入力された前記設定情報を前記メモリに記憶し、さらに前記メモリに記憶された前記設定情報に従って前記特別な機能に関する処理を実行することが可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記試行モードの有効期間内の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断する判断処理と、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了する終了処理と、
を実行し、
さらに前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する初期化処理を実行し、
前記メモリに前記特別な機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記設定情報に従って前記特別な機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記入力処理が引き続き可能である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載する画像処理装置において、
前記画像処理装置は蓄積ジョブ機能を有し、
前記コンピュータは、
前記蓄積ジョブ機能として、画像データを含む第1ジョブを受け付けた場合に、前記ユーザインタフェースへの入力操作に基づいて前記第1ジョブの実行条件を満たすまで前記第1ジョブの前記画像データを前記メモリに記憶し、前記第1ジョブの前記実行条件を満たした後、前記第1ジョブの前記画像データに基づいて前記画像処理部による処理を実行し、前記特別な機能には複数の種類があり、前記機能情報は、前記特別な機能の種類ごとに前記メモリに記憶され、さらに前記蓄積ジョブ機能には前記実行条件が異なる第1方式の前記蓄積ジョブ機能と第2方式の前記蓄積ジョブ機能とがあり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が有効になった場合、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が無効になり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が無効になった場合、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が有効になり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能が有効であった場合、前記ユーザインタフェースへの前記入力操作によって第1入力情報の入力を受け付け、入力された前記第1入力情報が適正であることが前記実行条件となり、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能が有効であった場合、前記ユーザインタフェースへの前記入力操作によって第2入力情報の入力を受け付け、入力された前記第2入力情報が適正であることが前記実行条件となり、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれ、前記第2方式の前記蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれず、
さらに前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、さらに前記メモリに記憶されている前記第1ジョブの前記画像データを消去する消去処理を実行し、
前記メモリに前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理および前記消去処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報に従って、前記メモリに記憶される前記第1ジョブに対して前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記第1方式の前記蓄積ジョブ機能についての前記設定情報の入力が引き続き可能である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像処理装置において、
前記画像処理装置は、他の画像処理装置とも接続可能な共有サーバと接続し、前記共有サーバは第2ジョブに含まれる画像データを記憶可能であり、
前記画像処理装置はサーバ蓄積ジョブ機能を有し、
前記コンピュータは、
前記サーバ蓄積ジョブ機能として、前記第2ジョブの実行指示を前記ユーザインタフェースを用いた操作によって受け付け、前記第2ジョブの前記実行指示を受け付けた場合に、前記共有サーバから前記第2ジョブの前記画像データを読み出した後、前記第2ジョブの前記画像データに基づいて前記画像処理部による処理を実行し、前記サーバ蓄積ジョブ機能は前記特別な機能に含まれ、
さらに前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、
前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶された前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報に従って、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブに対して前記サーバ蓄積ジョブ機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記サーバ蓄積ジョブ機能についての前記設定情報の入力が引き続き可能であり、
さらに前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の有効を示す前記機能情報が記憶されている場合であっても、前記メモリに前記サーバ蓄積ジョブ機能の無効を示す前記機能情報が記憶されている場合であっても、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブの前記画像データについては消去せず、前記共有サーバに記憶される前記第2ジョブを、前記共有サーバに接続可能な他のデバイスからも利用可能である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項4に記載する画像処理装置において、
前記特別な機能には複数の種類があり、前記特別な機能として前記設定情報を共用する第1共用特別機能と第2共用特別機能とを備え、
前記メモリには、前記第1共用特別機能と前記第2共用特別機能とのそれぞれに対応する前記機能情報が記憶され、
前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記第1共用特別機能と前記第2共用特別機能との一方について無効を示す前記機能情報が記憶されている場合、前記メモリに前記第1共用特別機能と前記第2共用特別機能との他方についても無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、前記メモリに前記第1共用特別機能と前記第2共用特別機能との他方について有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記設定情報を初期化せず、前記試行モードの終了時の前記設定情報を引き継ぐ、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載する画像処理装置において、
前記特別な機能には複数の種類があり、前記特別な機能として排他的に有効になる第1排他特別機能および第2排他特別機能を備え、
前記コンピュータは、
前記試行モードの有効期間内において、前記第1排他特別機能と前記第2排他特別機能とのいずれか一方を有効にする選択を、前記ユーザインタフェースを用いて受け付け、前記第1排他特別機能が選択された場合には、前記第1排他特別機能を有効として前記第2排他特別機能を無効とし、前記第2排他特別機能が選択された場合には、前記第2排他特別機能を有効として前記第1排他特別機能を無効とし、無効にされた特別機能についての前記設定情報を初期化しない、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項4から請求項8のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
工場出荷時から有効な所定の機能を備え、前記所定の機能は、前記特別な機能と排他的に有効になる機能であり、
前記コンピュータは、
前記試行モードが開始された際、前記特別な機能を有効とし、前記所定の機能を無効とし、
さらに前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記所定の機能を有効とし、
前記メモリに前記特別な機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記所定の機能を無効のままとする、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項4から請求項9のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記メモリには、前記試行モードを有効にするか無効にするかを示す試行モード情報が記憶されており、工場出荷時、前記メモリには、前記試行モードの無効を示す前記試行モード情報が記憶されており、
前記コンピュータは、
前記特別な機能についての試行を可能にする前記試行モードの開始を示す前記開始コマンドの入力を受け付けた場合に、前記開始処理において、前記メモリに記憶される前記試行モード情報について有効を示す情報に変更することで、前記試行モードを開始し、
さらに前記コンピュータは、
前記判断処理において、前記試行モードの有効期間内の前記第1のタイミングに、前記試行モードの期間を確認する確認コマンドをサーバに送信し、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示すステータス情報を受信した場合、前記試行モードの有効期間外であると判断し、前記サーバは、前記画像処理装置から前記確認コマンドを受信すると、前記試行モードの有効期間内であるか否かを判断し、判断結果を示す前記ステータス情報を前記画像処理装置に応答し、
さらに前記コンピュータは、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後の前記第2のタイミングにおいて、前記メモリに記憶される前記試行モード情報について無効を示す情報に変更する前記終了処理を実行し、
さらに前記コンピュータは、
前記終了処理にて前記試行モードを終了した場合に、
前記メモリに前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行し、
前記メモリに前記特別な機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記設定情報に従って前記特別な機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記入力処理が引き続き可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記試行モードの有効期間内において、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信することなく、前記試行モード情報について無効を示す情報が前記メモリに記憶されている場合、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する前記初期化処理を実行せず、前記設定情報を前記メモリに保持する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信することなく、前記試行モード情報について無効を示す情報が前記メモリに記憶された後、前記試行モードの有効期間内の第3のタイミングにおいて、前記サーバにアクセスした場合、前記試行モード情報について有効を示す情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶される前記設定情報に従って前記特別な機能に関する前記処理を実行することが可能になり、さらに前記入力処理が可能になる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、画像処理システムおよび画像処理装置に関する。さらに詳細には、画像処理装置に搭載されている特別な機能の有効ないし無効の切り替えに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置には、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能(ソリューション)を搭載したものがある。特別な機能は、画像処理装置の工場出荷時には無効に設定されており、その後、例えば画像処理装置を購入したユーザがその特別な機能を利用する契約を画像処理装置の販売者と結んだ場合、その画像処理装置の販売者によってその特別な機能を有効にするコマンドがその画像処理装置に入力されることで、その特別な機能に基づく処理が実行可能になる。このように特別な機能を搭載する画像処理装置に関する技術を開示した文献としては、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-151700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによっては、その特別な機能を利用する契約を結ぶ前にその機能を試してみたいという要望がある。例えば、画像処理装置の販売者がその特別な機能を有効にし、ユーザがその機能を試し終えた後に、画像処理装置の販売者がその特別な機能を無効にする、といったことも考えられる。この場合、その特別な機能が一時的に利用可能な試し期間が設定されるが、その試し期間中、その特別な機能を利用するために入力されたデータの扱いが問題になる。特許文献1には特別な機能を試行させる技術については開示されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載した画像処理装置において、その特別な機能を試行させるための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた画像処理システムは、画像処理装置と、サーバと、を備える画像処理システムにおいて、前記画像処理装置は特別な機能を備え、前記画像処理装置のメモリには、前記特別な機能を有効にするか無効にするかを示す機能情報が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効であり、前記メモリには、前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されており、前記画像処理装置は、前記特別な機能を有効にする指示を受け付けた場合に、前記メモリに記憶される前記機能情報を前記特別な機能の有効を示す前記機能情報に変更することで前記特別な機能を有効にし、前記サーバは、前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始要求を受信し、前記開始要求には、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、さらに前記サーバは、前記開始要求を受信すると、前記試行モードの有効期間を設定し、設定した前記試行モードの有効期間を示す期間情報を、受信した前記開始要求に含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けて記憶し、前記試行モードの開始を示す開始コマンドを出力し、前記画像処理装置は、前記開始コマンドが入力された場合、前記試行モードを開始し、前記試行モードの有効期間内において、前記特別な機能が有効になり、さらに前記画像処理装置は、前記特別な機能が有効な期間内において、前記画像処理装置のユーザインタフェースを用いた操作によって、前記特別な機能で用いられる設定情報の入力が可能であり、入力された前記設定情報を前記メモリに記憶し、前記メモリに記憶された前記設定情報に従って前記特別な機能に関する処理を実行することが可能であり、さらに前記画像処理装置は、前記試行モードの有効期間内の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの期間を確認する確認コマンドを前記サーバに送信し、前記確認コマンドには、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、前記サーバは、前記画像処理装置から前記確認コマンドを受信すると、受信した前記確認コマンドに含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けられた前記期間情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内であるか否かを判断し、判断結果を示すステータス情報を前記画像処理装置に応答し、前記画像処理装置は、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了し、さらに前記画像処理装置は、前記試行モードを終了した場合に、前記メモリに前記特別な機能の無効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記メモリに記憶される前記設定情報を初期化する初期化処理を実行し、前記メモリに前記特別な機能の有効を示す前記機能情報が記憶されていれば、前記初期化処理を実行せず、前記メモリに記憶される前記設定情報に従って前記特別な機能に関する前記処理を実行することが引き続き可能であり、さらに前記ユーザインタフェースを用いた操作によって、前記設定情報の入力が引き続き可能である、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示される画像処理システムによれば、画像処理装置に試行モードが用意されており、画像処理装置は、試行モードである期間内において特別な機能が有効になり、試行モードの有効期間外になれば試行モードを終了することができる。従って、画像処理装置のユーザは、一時的に特別な機能を試行することができる。また、画像処理装置は、特別な機能を有効にする指示を受け付けると、試行モードの期間内であるか否かに関わらず、特別な機能を有効にする。さらに、画像処理装置は、試行モードの終了に基づいて、有効になっていない特別な機能で用いられる設定情報を初期化する。これにより、その設定情報の漏洩のリスクを低減できる。一方で、試行モードが終了した際に特別な機能が有効になっている場合は、画像処理装置は、設定情報を初期化しないので、設定情報を継続して利用でき、設定情報の再入力が不要になることから、ユーザの手間を軽減できる。
【0008】
上記システムの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、当該プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、当該プログラムを実行する画像処理装置や情報処理装置も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載した画像処理装置において、その特別な機能を試行させるための技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本形態のシステムの電気的構成を示すブロック図である。
図2】試行モード開始の手順の例を示すシーケンス図である。
図3】ホーム画面の例を示す説明図である。
図4】試行DBに記憶される情報の例を示す説明図である。
図5】試行モード開始の手順の例を示すシーケンス図である。
図6】試行モードの有効期間を確認する手順の例を示すシーケンス図である。
図7】試行モードの有効期間外の報知画面の例を示す説明図である。
図8】試行モードの有効期間外の報知の形態を変更した例を示す説明図である。
図9】試行モードの有効期間の終了間際の報知画面の例を示す説明図である。
図10】インターネットへの接続不良の報知画面の例を示す説明図である。
図11】追加機能の有効化の手順の例を示すシーケンス図である。
図12】試行終了処理の手順を示すフローチャートである。
図13】3種のSP機能の差異を示す説明図である。
図14】システムの概略構成を示すブロック図である。
図15】有効となっている機能と初期化または消去する情報との関係を示す説明図である。
図16】試行モードの有効期間内における保守作業時の手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態にかかるシステムについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、複合機(以下、「MFP」とする)と、サーバと、を含むシステムである。
【0012】
本形態のシステム100は、例えば、図1に示すように、MFP1と、サーバ3と、を含み、これらがそれぞれインターネット200に接続可能な構成となっている。システム100は、画像処理システムの一例である。MFP1は、ユーザのもとにあって、プリント、スキャン等の各種の画像処理機能を実行可能な装置である。MFP1は、画像処理装置の一例である。サーバ3は、例えば、MFP1のベンダによって管理され、MFP1等の各装置から、インターネット200を介してアクセス可能な装置である。
【0013】
本形態のMFP1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は、コンピュータの一例である。また、MFP1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、画像形成部15と、画像読取部16と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。画像形成部15と画像読取部16とは、いずれも、画像処理部の一例である。
【0014】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、図1に示すように、基本プログラム21と、複数の機能プログラム22~24と、複数の機能スイッチ25~27と、試行スイッチ28と、を含む、各種のプログラムや各種の情報が記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0015】
ユーザIF13は、例えば、タッチパネルであり、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、ディスプレイとボタン等の操作部との組であっても良い。
【0016】
通信IF14は、少なくともインターネット200に接続可能な構成を含み、サーバ3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。MFP1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0017】
画像形成部15は、シート等の印刷媒体に画像データに基づく画像を印刷する構成を含む。画像形成部15の画像形成方式は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式であり、カラー印刷が可能な構成でも、モノクロ印刷のみを行う構成でもよい。画像読取部16は、原稿の画像を読み取って、画像データを取得する構成を含む。
【0018】
本形態のMFP1は、基本プログラム21や機能プログラム22~24を実行することで、画像形成部15や画像読取部16を用いた各種の機能を実行可能である。基本プログラム21は、MFP1の工場出荷時から実行可能に設定されているプログラムであり、MFP1に基本的な機能である基本機能を実行させるためのプログラムである。基本機能には、コピー処理におけるカラーコピー、モノクロコピー、Nin1コピー、スキャン処理におけるカラースキャン、モノクロスキャン、などが含まれる。
【0019】
一方、機能プログラム22~24は、MFP1に特別な機能を追加するためのプログラムである。本形態のMFP1は、追加可能な特別な機能を複数搭載し、各機能プログラム22~24によってそれぞれ異なる追加機能が追加される。機能プログラム22~24にはそれぞれ対応する機能スイッチ25~27が設けられ、機能スイッチ25~27の状態によって、対応する機能プログラム22~24による追加機能が有効であるか無効であるかの設定が記憶されている。例えば、機能スイッチ25の状態がオンであれば、MFP1は、機能プログラム22による機能を実行する指示を受け付け可能であって、当該機能を実行可能であり、機能スイッチ25の状態がオフであれば、MFP1は、当該機能を実行する指示を受け付けない。
【0020】
MFP1の工場出荷時には、各機能スイッチ25~27は全てオフとなっており、追加機能は全て無効に設定されている。そして、工場出荷後に機能プログラム22~24の機能を有効化する指示を受け付けた場合、MFP1は、機能スイッチ25~27をオンに切り替えることで、追加機能を実行可能になる。追加機能のプログラムを予めMFP1に搭載し、有効化の指示を受け付け可能とすることで、MFP1に付加価値を加えることができ、追加機能の追加手順が簡便になる。また、MFP1を使用するユーザにとって必要な機能のみを有効にすることで、機能の煩雑化を防止できる。
【0021】
なお、MFP1のユーザは、機能プログラム22~24の機能を使用するためには、使用する機能ごとにベンダ等と契約する必要がある。例えば、ユーザが追加機能を利用する契約をベンダと結ぶことで、ベンダから、その機能を有効化する有効化コマンドが提供される。提供された有効化コマンドがMFP1に入力されることで、MFP1は、対応するスイッチをオンとし、その機能の実行指示を受け付け可能になる。
【0022】
機能プログラム22~24によって実行可能になる追加機能としては、例えば、セキュアプリント、カスタムUI、バーコード印刷、クラウド保存、がある。セキュアプリントは、画像データを受信した際に直ちに印刷を開始するのではなく、画像データを一旦メモリ12に記憶し、ユーザIF13へのユーザ操作等によって認証に成功した後に印刷を開始する機能である。カスタムUIは、ユーザIF13に表示させるソフトキー等の配列や表示形態をユーザの好みに応じて変更する機能である。バーコード印刷は、指定されたデータに基づいてバーコードを作成し、作成したバーコードを印刷する機能である。クラウド保存は、原稿の画像を読み取って取得した画像データを、通信IF14を介して送信し、クラウド上の記憶領域に保存させる機能である。なお、工場出荷時にMFP1に搭載される機能プログラムの種類は、MFP1のモデルごとにあらかじめ決まっているが、工場出荷後に追加でインストール可能な機能が提供されてもよい。
【0023】
試行スイッチ28は、メモリ12に記憶されている全ての機能プログラム22~24を、機能スイッチ25~27がオフとなっている機能についても、試行モードの期間内は有効にするためのスイッチである。試行スイッチ28がオンである期間内、MFP1は、試行モードとなり、各機能プログラム22~24による追加機能を実行可能となる。試行モードの期間内に限り、ユーザは、機能プログラム22~24の有効化の契約をすることなく、各追加機能を試行できる。
【0024】
なお、試行スイッチ28の状態には、オンの他、未実行、実行済み、がある。MFP1の工場出荷時には、試行スイッチ28は未実行となっている。試行モードは、装置ごとに1回のみ可能なモードであって、試行モードを終了した後には試行スイッチ28は実行済みとなる。試行スイッチ28の詳細については、後述する。
【0025】
本形態のサーバ3は、図1に示すように、CPU31と、メモリ32と、を含むコントローラ30を備えている。また、サーバ3は、ユーザIF33と、通信IF34と、を備え、これらがコントローラ30に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10、30は、MFP1やサーバ3の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にMFP1やサーバ3に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0026】
CPU31は、メモリ32から読み出したプログラムに従って、また、操作者の操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ32には、図1に示すように、OS41と、試行管理プログラム42と、試行データベース(以下、「試行DB」とする)43と、を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。OS41は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)である。CPU31が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0027】
メモリ12、32の一例は、MFP1やサーバ3に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11、31が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0028】
ユーザIF33は、情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF33は、ディスプレイとキーボード、マウス、トラックボール等の操作部との組であっても良いし、表示機能と操作受付機能とを共に備えるタッチパネルであっても良い。
【0029】
通信IF34は、インターネット200を介して、MFP1等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF34の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などである。サーバ3は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0030】
本形態のサーバ3は、試行管理プログラム42を実行することで、MFP1等の各装置における追加機能の試行を管理する。具体的には、サーバ3は、MFP1等から試行の開始要求を受け付け、試行スイッチ28等をオンとするためのコマンドを送信し、さらに、試行モードの有効期間を管理する。
【0031】
次に、追加機能を試行するための処理の手順について、シーケンス図を参照して説明する。なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11、31の処理を表している。各CPUによる処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0032】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11、31が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0033】
また、CPU11、31による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11、31による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0034】
以下、MFP1にて追加機能の試行を開始する開始手順について、図2のシーケンス図を参照して説明する。ユーザは、MFP1のユーザIF13にて、試行モードを開始する指示である開始指示を入力する(A01)。なお、図2のA01または後述する図5にて、試行モードの開始指示を入力するユーザは、MFP1を利用するユーザに限らず、例えば、サービス担当者、販売担当者であってもよい。
【0035】
MFP1は、開始指示の入力を受けて、サーバ3にアクセスし、試行モードの開始要求を送信する(A02)。MFP1は、A02にて、開始要求とともに、自装置の識別情報とモデル情報も送信する。
【0036】
サーバ3は、試行モードの開始要求を受けて、その時点での時刻に基づいてMFP1における試行モードの有効期間を設定する(A03)。なお、有効期間の長さは、全ての装置に対して一律でもよいし、モデル情報に応じて、または装置のユーザや設置地域等に応じて、異なっていてもよい。装置のユーザや設置地域等に応じて有効期間の長さが決定される場合、MFP1は、有効期間の決定に必要な情報を開始要求に付加して送信する。また、サーバ3は、試行モードの開始要求として、試行モードの開始日の指定を受け付けてもよく、その場合は指定された開始日を基準として有効期間を設定する。
【0037】
サーバ3は、設定した有効期間と試行モードの対象である装置の識別情報とを関連付けて、メモリ32の試行DB43に記憶する(A04)。試行DB43に記憶される情報の例を図4に示す。試行DB43には、例えば、連番の試行番号ごとに、装置ID、モデル名、試行開始日、試行終了日、の各情報が関連付けて記憶される。装置IDは、試行モードの対象である個々の装置を区別する識別情報であり、例えば、MACアドレス、シリアルナンバー、である。モデル名は、試行モードの対象である装置のモデルを示す情報である。試行開始日は、試行モードを開始する日付であり、試行終了日は、試行開始日から所定の有効期間後の日付である。つまり、この装置が試行モードとなる期間は、試行開始日から試行終了日までの期間である。試行開始日と試行終了日との情報は、期間情報の一例である。
【0038】
サーバ3は、A04にて、試行DB43に新たなレコードを追加し、MFP1の情報を記憶する。さらに、サーバ3は、開始要求の送信元であるMFP1に対して、試行モードを開始させるコマンドである開始コマンドを送信する(A05)。開始コマンドは、MFP1に試行スイッチ28をオンとさせる指示を含むコマンドである。開始コマンドには、試行を実行させる装置であるMFP1の識別情報が含まれていてもよい。MFP1は、開始コマンドを受信したことで、試行スイッチ28をオンとし(A06)、試行モードとなる。A06は、開始処理の一例である。これにより、前述したように、MFP1のユーザは、機能プログラム22~24による追加機能を試行可能となる。
【0039】
なお、MFP1は、試行スイッチ28の状態が未実行である場合にA06を実行する。MFP1にてすでに試行モードと実行したことがある場合、後述するように、試行スイッチ28の状態は、実行済みとなっている。その場合、MFP1は、試行スイッチ28の状態を変更することなく、サーバ3に試行終了の情報を送信する。サーバ3における試行終了時の処理については、後述する。
【0040】
MFP1は、MFP1の起動時、省電力モードからの復帰時、ユーザによる操作を受け付けていない状態が所定時間継続した場合、ユーザの操作による処理を終了した後に、例えば、図3に示すようなホーム画面50を、ユーザIF13に表示する。ホーム画面50は、コピー、スキャン、FAX送信等の処理の種類の選択を受け付けるボタン501~503等が含まれる画面である。そして、MFP1は、ホーム画面50にて処理の種類の選択を受け付けると、選択された処理の種類に応じて、詳細な設定を受け付ける設定画面をユーザIF13に表示する。
【0041】
MFP1は、ホーム画面50の表示に先立って、試行スイッチ28または機能スイッチ25~27がオンとなっているか否かを確認する(A10)。試行スイッチ28または機能スイッチ25~27によって追加される追加機能には、ホーム画面50に追加されて選択可能になる機能と、設定画面に追加されて選択可能になる機能とがある。ホーム画面50に追加される追加機能には、例えば、セキュアプリント、カスタムUIがあり、設定画面に追加される追加機能には、コピー処理の設定画面で選択可能になるバーコード印刷、スキャン処理の設定画面で選択可能になるクラウド保存、がある。
【0042】
MFP1は、A10にて確認した各スイッチの状態に基づいて、ホーム画面50の表示内容を決定し、決定したホーム画面50をユーザIF13に表示する(A11)。MFP1は、表示中のホーム画面50にて、ユーザIF13を介して、ユーザの選択を受け付ける(A12)。なお、A12の指示は、MFP1を利用するユーザ等によって行われる。そして、MFP1は、A10にて確認した各スイッチの状態に基づいて、A12で選択された処理の設定画面の表示内容を決定し、決定した設定画面をユーザIF13に表示する(A13)。
【0043】
MFP1は、ホーム画面50または各設定画面にて、基本機能と受け付け可能な追加機能とを選択可能に表示する(A14)。例えば、A06によって試行スイッチ28がオンとなっている場合、MFP1は、全ての追加機能を選択可能に表示する。また、試行スイッチ28がオフであっても、機能スイッチ25~27の少なくとも1つがオンとなっている場合、MFP1は、オンとなっているスイッチに対応する追加機能を選択可能に表示する。ユーザは、選択可能に表示された機能から実行させる機能を選択して、MFP1に実行指示を入力する(A15)。MFP1は、指示された機能を実行する(A16)。
【0044】
一方、MFP1は、試行スイッチ28がオフとなっている場合、対応する機能スイッチ25~27がオフとなっている追加機能を、ホーム画面50または各設定画面に表示しない(A17)。例えば、試行スイッチ28がオフであって、全ての機能スイッチ25~27がオフであれば、MFP1は、基本プログラム21による基本機能のみを選択可能に表示する。ユーザは、表示されない機能を選択することができないため、その追加機能を使用できない。なお、MFP1は、表示しない代わりに、選択不能に表示してもよい。
【0045】
次に、試行開始の手順の別の例について説明する。図2では、MFP1が自身で試行開始の指示を受け付け、サーバ3へ開始要求を送信して、サーバ3から開始コマンドを受信する例について説明した(A01~A06)。この手順を、MFP1自身ではなく、他の装置を介して実行することも可能である。以下では、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)を利用した試行開始の手順について、図5のシーケンス図を参照して説明する。図5のシーケンス図は、図2のA01~A06の手順に代えて、実行される手順である。
【0046】
図5中のPC5は、試行開始の処理を実行するためのアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を備える装置であり、MFP1ともサーバ3とも通信可能な装置である。なお、PC5に代えて、スマートフォン、タブレットコンピュータであってもよい。
【0047】
PC5のユーザは、PC5にてアプリを起動し(B01)、起動したアプリにて、試行モードを開始する処理の実行指示である開始指示を入力する(B02)。PC5は、試行の対象となる装置を検索する検索信号を送出する(B03)。MFP1は、PC5から送出された検索信号に応じて、応答信号をPC5に送信する(B04)。なお、MFP1以外にもPC5の検索信号に応答可能な装置があれば、その装置も応答信号を送信する。応答信号には、応答した装置の識別情報が含まれる。PC5は、MFP1等からの応答信号を受けて、応答信号を送信した全ての装置を一覧表示する(B05)。
【0048】
ユーザは、一覧表示された装置のうちから、試行を実行させる装置を選択する(B06)。PC5は、選択された装置を示す識別情報と、試行の開始要求とを、サーバ3に送信する(B07)。B07にて送信される情報は、図2のA02にて送信される情報と同様の情報である。サーバ3は、B07の情報を受けて、試行期間を設定し(B08)、設定した試行期間と試行対象の装置の識別情報とを関連付けて、メモリ32の試行DB43に記憶する(B09)。B08とB09は、A03とA04と同様の処理である。
【0049】
サーバ3は、開始要求を送信した装置であるPC5に対して、開始コマンドを含む情報を送信する(B10)。サーバ3から送信される情報には、PC5から送信された装置の識別情報が含まれる。PC5は、サーバ3から受信した情報に基づいて、識別情報によって示される装置に開始コマンドを送信する(B12)。これにより、MFP1に開始コマンドが入力される。開始コマンドが入力されたことで、MFP1は、試行スイッチ28をオンとし(B13)、試行モードとなる。B13は、図2のA06と同様の処理であり、開始処理の一例である。
【0050】
なお、PC5は、開始コマンドをMFP1に送信する前に、送信してよいかどうかをユーザに問い合わせても良い。また、受信した開始コマンドをPC5にてUSBメモリ等に記憶させ、記憶されている開始コマンドをMFP1に読み取らせることで、MFP1に開始コマンドを入力しても良い。
【0051】
また、PC5は、サーバ3から受信した情報に基づいて開始コマンドを表示し、サービス担当者等のユーザが、表示された開始コマンドをMFP1に入力しても良い。例えば、開始コマンドが数字列等のテキストであって、ユーザが、MFP1のユーザIF13を用いてそのテキストをMFP1に入力しても良い。
【0052】
本形態では、サーバ3から送信される開始コマンドに、試行モードを実行させる装置の識別情報が付加される。これにより、例えば、複数の装置で試行モードを開始するユーザであっても、各開始コマンドを入力する対象の装置を判別しやすい。また、開始コマンドに装置の識別情報が含まれていれば、ユーザが開始コマンドを入力する装置を間違えた場合でも、MFP1が自装置の開始コマンドであるか否かを判断できる。例えば、装置情報が自装置のものではない場合にMFP1がエラーを報知することで、ユーザは、間違いに直ちに気づくことができ、操作をやり直すことができる。
【0053】
次に、試行モードの有効期間の管理について説明する。試行モードは、装置ごとに所定の有効期間のみ使用できるモードであり、本形態では、試行モードの有効期間は、サーバ3によって管理される。試行モードの期間内における期間管理の手順について、図6のシーケンス図を参照して説明する。
【0054】
試行モードの期間内、すなわち、試行スイッチ28がオンとなっている場合、MFP1は、1日1回、数時間ごと、などの所定の定期的なタイミングで、インターネット200を介してサーバ3にアクセスし、有効期間内であるか否かを確認する確認コマンドをサーバ3に送信する(C01)。C01は、判断処理の一例である。MFP1がC01の送信を行うタイミングは、第1のタイミングの一例である。MFP1から送信される確認コマンドには、MFP1の識別情報が含まれる。
【0055】
サーバ3は、確認コマンドを受信した場合、確認コマンドに含まれる識別情報に関連付けて試行DB43に記憶されている試行開始日と試行終了日とを読み出し、読み出した日時と現在日時とを比較することで、試行モードの有効期間内であるか否かを判断する(C02)。そして、サーバ3は、C02の判断の判断結果を示すステータス情報を、確認コマンドを送信した装置であるMFP1に送信する。
【0056】
本形態のサーバ3は、確認コマンドに対して応答するステータス情報として、3種類のステータス情報を備えており、C02では、その3種類のステータス情報のうちのいずれを送信するかを判断する。サーバ3から送信されるステータス情報には、有効期間内を示すステータス情報と、有効期間が既に終了しており、有効期間外であることを示すステータス情報と、有効期間の残りが所定期間内であり、有効期間の期間切れ間際期間であることを示すステータス情報と、がある。
【0057】
サーバ3は、有効期間内であると判断した場合、有効期間内を示すステータス情報をMFP1に送信する(C03)。有効期間内であれば、MFP1はそのまま試行モードを維持し、MFP1のユーザは、全ての追加機能を何度でも試行できる。
【0058】
サーバ3は、有効期間が終了していると判断した場合、有効期間外を示すステータス情報をMFP1に送信する(C04)。MFP1は、有効期間外を示すステータス情報を受信した場合、試行モードの有効期間外を示す情報をメモリ12に記憶する(C05)。MFP1は、メモリ12に有効期間外を示す情報が記憶されている場合、例えば、ホーム画面50(図3参照)を表示する際に、試行モードが終了したことを示す情報を報知する(C06)。
【0059】
有効期間外の報知の例を図7に示す。C06では、MFP1は、例えば、図7(A)に示すように、有効期間が終了したことを報知する報知画面51を、ホーム画面50の多くの部分を覆うように表示する。
【0060】
報知画面51が表示されることで、ホーム画面50中の処理の種類の選択を受け付けるボタン501~503への操作が制限されている。例えば、報知画面51の表示によって、各ボタン501~503は選択不能であっても良い。ホーム画面50への操作を制限することで、ユーザに試行モードの有効期間が終了したことを確実に認識させることができる。なお、C06における報知は、報知画面51の表示の他、警告マークの表示、音声ガイダンスによる報知であっても良い。
【0061】
報知画面51には、図7(A)に示すように、再起動の指示を受け付けるボタン511と、報知をアイコン化する指示を受け付ける「×」ボタン512と、が含まれる。ユーザは、MFP1を使用するためには、これらのボタン511、512のいずれかをまず操作する必要がある。なお、再起動の指示は、試行モードを終了させる指示である。
【0062】
報知画面51にてボタン511への操作によって再起動の指示を受け付けた場合(C11)、MFP1は、メモリ12に蓄積ジョブを記憶しているか否かを判断する(C12)。蓄積ジョブは、ユーザIF13への操作を受け付けるまで処理を実行しない指示を含むジョブや、実行時刻が指定されたジョブである。MFP1は、蓄積ジョブを受信したのみで、その蓄積ジョブを実行していない場合、その蓄積ジョブをメモリ12に記憶したままとなっている。なお、MFP1は蓄積ジョブをRAM等の揮発性のメモリに記憶するため、再起動時には、記憶されている蓄積ジョブは消去される。
【0063】
MFP1は、蓄積ジョブを記憶していると判断した場合、蓄積ジョブが残っていることを示す報知を行う(C121)。MFP1は、例えば、C06にて表示させた報知画面51を、図7(B)に示すように、蓄積ジョブが残っていることを報知する報知画面52に変更する。報知画面52は、蓄積ジョブとして印刷ジョブが記憶されている場合の例であり、この報知画面52には、印刷して再起動する指示を受け付けるボタン521と、印刷せずに再起動する指示を受け付けるボタン522と、が含まれる。そして、MFP1は、ボタン521またはボタン522への指示を受け付けるまで待機する。
【0064】
MFP1は、ユーザによるボタン521への操作によって、蓄積ジョブの処理を実行して再起動する指示を受け付けた場合(C122)、メモリ12に記憶されている全ての蓄積ジョブの処理を実行する(C123)。C123の後、または、蓄積ジョブの処理を実行せずに再起動する指示を受け付けた場合、または、蓄積ジョブが記憶されていないと判断した場合、MFP1は、試行モードを終了させる。
【0065】
試行モードを終了させる手順として、MFP1は、自身の識別情報を含む試行終了の情報をサーバ3に送信する(C13)。サーバ3は、受信した試行終了の情報に基づいて、試行DB43に記憶されているMFP1の情報を削除する(C14)。また、MFP1は、試行スイッチ28を実行済みに変更する設定を行い、C05にて記憶した期間外であることを示す情報を削除する(C15)。C15は、終了処理の一例である。そして、MFP1は、再起動する(C16)。再起動によって、試行スイッチ28の変更が反映され、MFP1は、再度試行モードとなることはない。C13~C16による試行モードの終了手続きのタイミングは、第2のタイミングの一例である。
【0066】
報知画面51にて「×」ボタン512への操作によって報知のアイコン化の指示を受け付けた場合(C17)、MFP1は、報知画面51の表示を、例えば、図8に示すように、アイコン化した報知画面513を表示する(C18)。アイコン化した報知は、報知画面51よりも報知の度合いが弱い態様での報知である。「×」ボタン512への操作による報知のアイコン化の指示は、報知の態様を切り替える指示である。
【0067】
なお、「×」ボタン512は、蓄積ジョブがある場合の報知画面52にも表示されていても良く、報知画面52にてボタン512への操作を受け付けた場合にも、MFP1は、C18の処理を実行する。また、MFP1は、C18では、アイコン化して表示する代わりに、一旦報知画面51、52の表示を停止して、報知画面51、52を含まないホーム画面50を表示しても良い。報知をアイコン化または停止することで、ホーム画面50への操作の制限が解除され、ユーザは、ホーム画面50中のボタン501~503を操作して、MFP1に処理を実行させることが可能になる。なお、報知をアイコン化または停止する代わりに、例えば、メッセージの量を少なくする、メッセージのフォントサイズを小さくする、音声メッセージの音量を小さくする、としても良い。
【0068】
C18によって報知画面51,52をアイコン化または停止してホーム画面50の操作を受け付けた場合も、試行モードはまだ終了していないことから、ユーザは、各追加機能を試行できる。しかし、ユーザによって指示された処理の実行が終了した後など、再起動されることなく、再度ホーム画面50を表示する際には、MFP1は、図7に示したように、ホーム画面50中に大きく報知画面51を表示する。
【0069】
一方、サーバ3は、C02にて有効期間の期間切れ間際期間であると判断した場合、終了間際を示すステータス情報をMFP1に送信する(C21)。MFP1は、終了間際を示すステータス情報を受信した場合、例えば、ホーム画面50を表示する際に、試行モードが終了間際であることを示す情報を報知する(C22)。
【0070】
有効期間の終了間際の報知の例を図9に示す。MFP1は、ホーム画面50を表示する際に、例えば図9に示すように、有効期間が終了間際であることを報知する報知画面53を表示する。報知画面53では、例えば、具体的な試行モードの残り時間を表示しても良い。
【0071】
報知画面53には、試行終了の指示を受け付けるボタン531と、報知を停止する指示を受け付ける「×」ボタン532と、が含まれる。なお、報知画面53は、報知画面51とは異なり、ホーム画面50への操作を制限しない態様で表示されても良い。例えば、MFP1は、報知画面53を一定時間だけ表示したら自動的に表示を停止しても良い。ただし、見逃されることのないように、ホーム画面50の中央部に表示する、隅部に点滅表示する、等の目立つ態様で表示することが好ましい。
【0072】
MFP1は、ボタン531への操作にて試行モードの終了指示を受け付けた場合、有効期間外にて再起動の指示を受け付けた場合と同様に、終了手続きを実行する。具体的には、MFP1は、サーバ3に試行終了の情報を送信し、試行スイッチ28を実行済みに設定する。サーバ3は、試行DB43を更新する。この場合も、MFP1は、蓄積ジョブを記憶している場合には、前述したように、蓄積ジョブを報知する報知画面52を表示して、ユーザの指示を受け付けるとよい。
【0073】
また、MFP1は、報知画面53にて「×」ボタン532への操作によって報知の停止指示を受け付けた場合、報知画面53の表示を停止する。次回の有効期間の確認時、再度終了間際であれば、報知画面53が再度表示される。
【0074】
なお、MFP1がインターネット200に接続されていない場合、C01にて確認コマンドを送信できず、サーバ3からステータス情報を受信できない。この状態では、MFP1は、有効期間の確認が不可能である。MFP1は、確認コマンドをサーバ3に送信するタイミングにおいて、サーバ3からステータス情報を受信できなかった場合、試行モードの有効期間が不明であることを示す不明情報をメモリ12に記憶する(C31)。さらに、MFP1は、インターネット200への接続が不良であることを示す情報を報知する(C32)。
【0075】
接続不良の報知の例を図10に示す。MFP1は、ホーム画面50を表示する際に、例えば、図10に示すように、インターネット200に接続されていないことを報知する報知画面54を表示する。報知画面54には、試行終了の指示を受け付けるボタン541と、報知をアイコン化または停止する指示を受け付ける「×」ボタン542と、が含まれる。報知画面54は、報知画面51と同様に、ホーム画面50への操作を制限する態様で表示される。ユーザは、MFP1を使用するためには、これらのボタン541、542のいずれかを操作する必要がある。
【0076】
MFP1は、ボタン541への操作によって試行モードの終了指示を受け付けた場合、終了手続きを実行する。ただし、インターネット200に接続されていない状態であることから、MFP1は、終了指示を受け付けたことを記憶しておき、接続が回復した後にサーバ3へ試行終了の情報を送信するとよい。この場合も、MFP1は、蓄積ジョブを記憶している場合には、前述したように、蓄積ジョブを報知する報知画面52を表示して、ユーザの指示を受け付ける。さらに、MFP1は、C31にて記憶した不明情報を削除し、試行スイッチ28を実行済みに設定する。
【0077】
一方、MFP1は、報知画面54にて「×」ボタン542への操作によって報知のアイコン化または停止の指示を受け付けた場合、報知画面54の表示をアイコン化または停止する。これにより、ユーザは、ホーム画面50の操作を行うことができる。その後、MFP1は、ホーム画面50の表示を行う際に、C31にて記憶した不明情報が記憶されていれば報知画面54を、C05にて記憶した期間外情報が記憶されていれば報知画面51を、それぞれ表示する。
【0078】
なお、C31にて記憶した不明情報が記憶されている場合、MFP1は、定期的にインターネット200への接続を試行する。この場合、MFP1は、確認コマンドをサーバ3に送信する頻度よりも高頻度で接続を試行すると良い。そして、MFP1は、インターネット200への接続が回復した場合、予め決めた確認コマンドの送信タイミングに関わらず、確認コマンドをサーバ3に送信する。そして、サーバ3からステータス情報を受信できた場合、MFP1は、不明情報を消去し、受信したステータス情報の種類に応じた処理を実行する。
【0079】
なお、MFP1は、サーバ3からステータス情報を受信できない場合、試行モードの利用を制限し続けても良い。例えば、MFP1は、インターネット200への接続が回復するまで、報知画面54の「×」ボタン542への操作を受け付けないとしてもよい。また、C32にて表示する報知画面54では、インターネット200に接続されていない旨の報知に限らず、例えば、サーバ3との通信が異常である、試行モードの不具合が生じている、試行モードの利用を制限する、を報知しても良い。
【0080】
次に、MFP1の追加機能を有効化する手順について、図11のシーケンス図を参照して説明する。MFP1を使用するユーザが追加機能の有効化の契約を行うことにより、販売担当者等は、例えば、PC5を利用して、MFP1の追加機能を有効にする手続きを行う。図11のPC5は、追加機能を有効化するためのアプリを備えた装置であり、図5のPC5と同じ装置であってもよいし、異なる装置であってもよい。
【0081】
PC5のユーザは、PC5にて追加機能の有効化のためのアプリを起動し、有効化する追加機能の種類とMFP1の識別情報とを指定して、PC5のアプリに有効化指示を入力する(D01)。PC5は、サーバ3にアクセスし、受け付けた有効化指示の情報を送信する(D02)。サーバ3は、受信した有効化指示に基づいて、有効化コマンドを生成し、生成した有効化コマンドをPC5に送信する(D03)。有効化コマンドには、MFP1の識別情報が含まれる。なお、サーバ3は、有効化の情報をメモリ32に記憶してもよい。
【0082】
PC5のアプリは受信した有効化コマンドをMFP1に送信する(D05)。これにより、MFP1に有効化コマンドが入力される。MFP1は、入力された有効化コマンドに基づいて、対応する機能スイッチ25~27をオンとする(D06)。
【0083】
なお、D02~D06の手順は、試行モードの開始手順と同様に、有効化指示をMFP1からサーバ3に送信して、サーバ3がMFP1に有効化コマンドを送信してもよい。また、PC5が受信した有効化コマンドは、例えば、USBメモリ等を介してMFP1に入力されても良いし、担当者による手入力によってMFP1に入力されても良い。
【0084】
MFP1は、有効化コマンドの入力を受け付けると、試行モードの期間内であるか否かを判断する(D07)。試行モードの期間内であると判断した場合、MFP1は、今回の有効化によって、全ての追加機能の機能スイッチ25~27がオンとなったか否かを判断する(D08)。全ての追加機能がオンとなったと判断した場合、MFP1は、試行モードを終了する(D09)。具体的には、MFP1は、試行終了の情報をサーバ3に送信し、自装置の試行スイッチ28を実行済みに変更する。MFP1は、期間外情報や不明情報が記憶されている場合には、それらの情報も削除する。サーバ3は、試行DB43に記憶されている情報を削除する。
【0085】
全ての追加機能が有効化された場合、MFP1は、試行モードを終了し、以後は有効期間の確認を行わない。なお、有効化されていない追加機能が1つ以上ある場合には、MFP1は、試行モードを継続する。
【0086】
以上、詳細に説明したように、本形態のシステム100によれば、MFP1は、試行モードを備え、試行モードの期間内、全ての追加機能を試行可能なモードとなる。従って、MFP1のユーザは、追加機能を試すことができる。さらに、MFP1は、試行モードの期間外であると判断した場合、ホーム画面50に報知画面51を表示させるので、ユーザは試行モードの終了を認識でき、追加機能を不意に利用できなくなることを回避できる。
【0087】
さらに、本形態では、サーバ3が試行モードの有効期間を管理するので、MFP1の時刻設定の変更等による不正を防止し、有効期間を適切に設定できる。さらに、本形態では、サーバ3にて有効期間外であると判断された場合、ホーム画面50を表示する度に報知画面51を表示するので、試行モードの終了が頻繁に報知され、試行モードを終了させる操作を促すことが期待できる。
【0088】
さらに本形態では、試行モードによって複数の追加機能が全て試行できるので、個々の追加機能についての有効期間の管理が不要になり、期間管理の負荷が小さい。また、全ての追加機能が利用できることで、より多くの試行が可能になり、ユーザにとって便利である。また、本形態では、試行スイッチ28を機能スイッチ25~27とは別に設けたので、試行モード中であっても、各機能スイッチ25~27をそれぞれ単独で有効化することができる。また、一部の追加機能の有効化が指示されても試行モードを終了せず、有効化されていない追加機能について利用可能にし続けることができるので、ユーザが複数の追加機能を試し易い。
【0089】
さらに本形態では、MFP1またはPC5が開始要求をサーバ3に送信する。MFP1自身が開始要求を送信し、開始コマンドを受信すれば、サーバ3にアクセスするための専用アプリがインストールされたデバイスを別に用意することなく、MFP1に試行モードをセットアップできる。また、アプリを利用してPC5がサーバ3に開始要求を送信すれば、1台のPC5からMFP1を含む複数の装置に対する試行モードの開始要求が可能になり、試行モードの対象の装置が複数台ある場合のセットアップ作業の手間が小さい。
【0090】
さらに本形態では、各報知画面でユーザの終了指示を受け付けた場合に試行モードを終了するので、追加機能を利用するジョブの実行途中で試行モードが終了する可能性を低減できる。さらに、蓄積ジョブがメモリ12に記憶されている場合には、再起動の前に報知して蓄積ジョブを実行するか否かの指示を受け付けるので、蓄積ジョブが再起動によって消去されることをユーザが把握でき、試行モードを適切に終了することが期待できる。
【0091】
さらに本形態では、MFP1が定期的にサーバ3に有効期間を確認するので、試行モードの有効期間を厳密に管理できる。また、有効期間の終了が近い場合に、有効期間の終了間際を報知するので、試行モードの期限切れが迫っていることをユーザが把握できる。
【0092】
さらに本形態では、サーバ3からステータス情報を受信できなかった場合に、接続不良を示す報知画面54が報知されるので、ユーザは通信の異常を認識できる。さらに、本形態では、報知画面54を、ホーム画面50を表示する際に表示するので、通信異常が頻繁に報知され、通信異常を解消させる操作を促すことが期待できる。さらに、サーバ3との通信が異常であり、試行モードの有効期間が判断できない場合であっても、試行モードを維持するので、追加機能を利用するジョブの実行途中で試行モードが終了する可能性を低減できる。さらに、サーバ3との通信の異常を報知した後、サーバ3との通信が回復した場合には、報知画面54の報知を中止するので、ユーザは通信回復を認識できるとともに報知による煩わしさが無くなる。
【0093】
続いて、本形態のMFP1にて試行モードを終了させる際の手順について説明する。まず、試行モードの終了時の処理である試行終了処理の概略の手順について、図12のフローチャートを参照して説明する。試行終了処理は、有効期間外の状態で再起動の指示を受け付けたことを契機に、MFP1のCPU11にて実行される。図12の試行終了処理は、図6のC11とC12との間、または、C12~C123の後でC13の前に実行される。
【0094】
前述したように、試行モードを有効にすることで試行可能な追加機能は複数有り、例えば、セキュアプリント、カスタムUI、バーコード印刷、クラウド保存、がある。試行終了処理では、CPU11は、試行モードによって試行可能となった複数の追加機能について順に、終了のための各種の処理を行う。そのために、CPU11は、まず、追加機能の1つを選択する(S101)。
【0095】
そして、CPU11は、S101にて選択した追加機能について、有効化されているか否かを判断する(S103)。試行モードの有効期間内に追加機能が有効化された場合には、前述したように、機能スイッチ25~27のうち、その追加機能に対応するスイッチがオンとなっている。各機能スイッチ25~27の状態によって示される情報は、追加機能の種類ごとの機能情報の一例である。機能スイッチがオン状態であることを示す情報は、当該機能の有効を示す情報の一例であり、機能スイッチがオフ状態であることを示す情報は、当該機能の無効を示す情報の一例である。また、前述したように、ユーザによる有効化の指示を受け付けたことで、MFP1が該当する機能スイッチ25~27をオンとする処理(図11のD06)は、変更処理の一例である。
【0096】
選択した追加機能が有効化されていないと判断した場合(S103:NO)、CPU11は、その追加機能に固有の設定情報を初期化する(S104)。さらに、CPU11は、その追加機能に固有のデータを消去する(S105)。S104およびS105は、初期化処理の一例である。
【0097】
固有の設定情報は、選択した追加機能を利用するためだけに利用される情報であり、追加機能に対応付けてメモリ12に記憶される。MFP1は、例えば、図2に示したように、A14にて選択可能に表示した追加機能の実行指示を受け付けた場合、A15では、例えば、ユーザIF13への操作に基づいて、その追加機能にて利用される設定情報を設定する指示入力を受け付ける。図2のA15は、入力処理の一例である。MFP1は、受け付けた指示に基づいて、設定情報をメモリ12の不揮発性の領域に記憶し、追加機能の実行時(例えば、図2のA16)に、その追加機能に対応して記憶されている設定情報を読み出して利用する。
【0098】
また、追加機能によっては、ユーザ入力や外部デバイス等との通信によって、その追加機能だけで用いられる固有のデータを取得してメモリ12に記憶し、追加機能の実行時にそのデータを読み出して利用する。つまり、固有の設定情報や固有のデータは、選択した追加機能でのみ利用され、他の機能では利用されない情報である。固有の設定情報や固有のデータについての詳細は、後述する。
【0099】
有効化されていない機能は、試行モードの終了後には利用できなくなる。そのため、その機能に対応してメモリ12に記憶されている固有の設定情報や固有のデータも、以後は利用されない。利用されない情報がメモリ12に残ったままとなっていると、情報漏洩のリスクが高まることから、MFP1は、試行モードの終了時に有効とされていない機能に固有の設定情報を初期化し、固有のデータを消去する。また、MFP1は、固有のデータを消去することで、メモリ12の負荷を軽減する。
【0100】
次に、CPU11は、選択した追加機能が、他の機能と共用する設定情報を利用する機能であるか否かを判断する(S111)。設定情報には、複数の機能にて共用される情報がある。選択した追加機能が有効化されていなくても、情報を共用する他の機能が有効であれば、その設定情報は以後も使用される情報である。情報を共用する機能が有ると判断した場合(S111:YES)、CPU11は、その設定情報の共用相手の機能が有効となっているか否かを判断する(S112)。そして、共用相手の機能も有効ではないと判断した場合(S112:NO)、CPU11は、共用する設定情報や共用のデータを初期化する(S113)。S113は、初期化処理の一例である。
【0101】
S113の後、または、選択した機能が有効化されていると判断した場合(S103:YES)、または、情報を共用する機能が無いと判断した場合(S111:NO)、または、共用相手が有効であると判断した場合(S112:YES)、CPU11は、未選択の追加機能が有るか否かを判断する(S121)。そして、未選択の追加機能が有ると判断した場合には(S121:YES)、S101に戻って、次の追加機能を選択して同様に処理を行う。未選択の追加機能が無いと判断した場合(S121:NO)、すなわち、全ての追加機能についての処理が終了したと判断した場合、CPU11は、試行終了処理を終了する。
【0102】
有効となっている機能は試行モードの終了後も利用可能であり、例えば、試行モードの有効期間内に受け付けた設定情報は、試行モードの終了後も継続して利用可能であることが望ましい。また、設定情報を共用する機能が有り、その機能が有効であれば、その設定情報は、試行モードの終了後も継続して利用可能であることが望ましい。そのため、選択した追加機能が有効化されている場合や情報を共用する機能が有効である場合には、CPU11は、設定情報やデータがメモリ12に記憶されていてもS104やS105の処理を行わない。なお、追加機能が有効であれば、MFP1は、当該追加機能の実行指示を引き続き受け付け可能であるだけでなく、当該追加機能に対する設定情報の追加や変更を引き続き受け付け可能である。
【0103】
次に、各追加機能について、具体的に説明する。まず、「クラウド保存」について説明する。クラウド保存機能は、原稿の読み取りによって取得したスキャンデータを、クラウド等の指定された保存先に保存する機能である。MFP1は、試行モードの有効期間内にクラウド保存機能の利用指示を受け付けた場合、スキャンデータの保存先を示すアドレスや保存のための認証情報の入力を受け付け、これらの情報をメモリ12に記憶して、クラウド保存機能にて利用する。
【0104】
クラウド保存機能は、固有の設定情報や固有のデータを利用する機能である。試行終了処理にて、CPU11は、選択された追加機能がクラウド保存機能であって、クラウド保存機能が有効化されていない場合、S104やS105にて、保存先を示す情報を初期化する。具体的には、CPU11は、例えば、アドレスや認証情報を消去する、アドレスを予め定められている初期アドレスに変更する、等の処理を行う。
【0105】
次に、「カスタムUI」について説明する。カスタムUI機能は、ユーザの操作を受け付けるためにMFP1のユーザIF13に表示されるUI画面の表示形態を、デフォルトの表示形態から変更する機能である。MFP1は、カスタムUI機能の利用指示を受け付けた場合、例えば、ベンダによって提供されるカスタムUI用のデータを取得し、取得した情報をカスタムUI機能に固有の設定情報や固有のデータとしてメモリ12に記憶する。そして、MFP1は、UI画面の表示時にカスタムUI用のデータがメモリ12に記憶されていれば、そのデータを読み出して、読み出したデータを利用してUI画面を表示する。カスタムUI機能に固有のデータとしては、例えば、アイコンのデータ、背景画像のデータ、UI画面中に表示される文字のフォント、がある。
【0106】
試行終了処理にて、CPU11は、選択された追加機能がカスタムUI機能であって、カスタムUI機能が有効化されていない場合、S104やS105にて、メモリ12に記憶したカスタムUI用の設定情報を初期化し、カスタムUI用に取得した各種のデータを消去する。なお、カスタムUI機能では、例えば、複数種のアイコン等からユーザの選択を受け付けても良い。その場合、使用するアイコンの種類を示す情報は、カスタムUI機能に固有の設定情報である。カスタムUI機能が有効化されていない場合、S104にてCPU11は、使用するアイコンを示す情報を初期化することで、アイコンを初期設定に戻す、としても良い。
【0107】
次に、「セキュアプリント」について説明する。「セキュアプリント」は、認証のための情報が付加された印刷ジョブを蓄積して印刷する機能である。本形態のMFP1は、基本機能として、第1セキュアプリント機能(以下、「第1SP機能」とする)を備えており、追加機能として、第2セキュアプリント機能(以下、「第2SP機能」とする)と、第3セキュアプリント機能(以下、「第3SP機能」とする)と、を備えている。
【0108】
なお、これら3種のセキュアプリント機能は互いに排他的な関係にあり、MFP1は、いずれか1つのみを有効にする。第2SP機能と第3SP機能とは、第1排他特別機能と第2排他特別機能との一例であり、第1SP機能は、工場出荷時から有効な所定の機能の一例である。そして、試行モードの有効期間内には、MFP1は、第2SP機能と第3SP機能とのいずれをも利用可能とする。MFP1は、試行モードを開始した場合(例えば、図2のA06)、第2SP機能を有効にする情報をメモリ12の不揮発性の記憶領域に記憶し、第1SP機能と第3SP機能とを無効にする。そして、試行モードの有効期間内であれば、MFP1は、ユーザIF13への操作によって、第2SP機能と第3SP機能とのいずれか一方を有効にする切替の指示を受け付ける。そして、一方を有効にする選択を受け付けた場合、MFP1は、一方を有効にするとともに他方を無効にする。
【0109】
セキュアプリント機能を利用した印刷ジョブの処理では、MFP1は、ユーザIF13への入力操作に基づいて実行条件の判断を行い、実行条件を満たしたと判断した場合に、蓄積されている印刷ジョブに含まれる画像データに基づく印刷を実行可能となる。第1SP機能と第2SP機能と第3SP機能とは、例えば、図13に示すように、実行条件および印刷ジョブの蓄積場所が異なる。なお、この図13中の実行条件は、例えば、印刷ジョブの選択を受け付け可能となる条件であっても良い。MFP1は、図13中の実行条件を満たした後に、印刷ジョブの選択を受け付けるとしても良いし、印刷ジョブの選択を受け付けた後に、実行条件の判断を行っても良い。
【0110】
各セキュアプリント機能による印刷ジョブの蓄積場所について説明する。第1SP機能と第2SP機能とはいずれも、MFP1のメモリ12に記憶されている印刷ジョブを読み出して印刷する機能である。MFP1は、第1SP機能または第2SP機能が有効である状態で、その機能を利用する印刷ジョブを受け取った場合、その印刷ジョブをメモリ12に記憶し、実行条件を満たすまで印刷しない。第1SP機能と第2SP機能とは、蓄積ジョブ機能の一例である。第1SP機能または第2SP機能を利用してメモリ12に記憶される印刷ジョブは、第1ジョブの一例である。
【0111】
なお、第1SP機能または第2SP機能の印刷ジョブは、メモリ12のうち、揮発性の記憶領域に記憶される場合も、不揮発性の記憶領域に記憶される場合もある。また、MFP1は、印刷ジョブを、USBメモリ等のMFP1とローカル接続された外部装置に記憶する設定も受け付け可能である。MFP1は、第1SP機能または第2SP機能の設定情報として、印刷ジョブの記憶場所の設定、例えば、本体内のメモリ12に記憶するか、USBメモリに記憶するか、を示す保存先情報の設定を受け付ける。印刷ジョブの記憶場所を示す保存先情報は、第1SP機能と第2SP機能とで共用する設定情報である。
【0112】
一方、第3SP機能は、MFP1のメモリ12ではなく、ネットワークを介して接続される外部装置に記憶されている印刷ジョブを読み出して印刷する機能である。MFP1は、例えば、図14に示すように、共有サーバ300と接続可能である。共有サーバ300は、サーバ3とは異なる装置であり、MFP1のみでなく、他のMFPやPC等とも接続可能な装置であって、印刷ジョブを記憶可能な装置である。第3SP機能は、サーバ蓄積ジョブ機能の一例である。共有サーバ300に記憶される印刷ジョブは、第2ジョブの一例である。なお、第3SP機能を利用する印刷ジョブは、MFP1に直接渡されることはなく、例えば、共有サーバ300と接続するPC等から共有サーバ300に渡されて、共有サーバ300のメモリに記憶される。
【0113】
MFP1は、第3SP機能を有効にする指示を受け付けた場合、印刷ジョブの蓄積先である共有サーバ300との通信のための接続情報や印刷ジョブの記憶場所を示すアドレス情報の入力を受け付け、受け付けた情報をメモリ12に記憶する。MFP1と共有サーバ300との接続は、インターネット200を介して接続されていても良いし、ローカルネットワークを介して接続されていても良い。接続情報やアドレス情報を含む共有サーバ300のアクセス情報は、第1SP機能や第2SP機能では使用されない情報であり、第3SP機能に固有の設定情報の一例である。
【0114】
また、第1SP機能と第2SP機能と第3SP機能とで共用する設定情報として、印刷ジョブの保管期間を示す情報が有る。MFP1は、メモリ12中のRAM以外の記憶場所に蓄積されたままで実行条件を満たしていない印刷ジョブについて、保管する期間の設定を受け付け、受け付けた保管期間を示す情報をメモリ12に記憶する。MFP1は、印刷ジョブが蓄積されてからの経過時間が、設定された保管期間を超えたと判断した場合、その印刷ジョブを印刷せずに削除する。保管期間の情報を共用する第2SP機能と第3SP機能とは、第1共用特別機能と第2共用特別機能との一例である。
【0115】
次に、各セキュアプリント機能の実行条件について説明する。第1SP機能による印刷ジョブには、PINコード等のジョブごとに個別の認証情報が付加されている。MFP1は、第1SP機能が有効な状態で印刷指示を受け付けた印刷ジョブに認証情報が付加されている場合、MFP1のユーザIF13を用いてユーザによる認証情報の入力を受け付ける。MFP1は、印刷ジョブに付加されている認証情報と入力された認証情報とが一致している場合に、入力された認証情報が適正であると判断し、実行条件を満たすと判断する。認証情報は、第2入力情報の一例であり、第1SP機能は、第2方式の蓄積ジョブ機能の一例である。第1SP機能では、MFP1は、印刷ジョブの選択を受け付けた後、認証情報の入力を受け付け、認証情報が適正であると判断した場合に実行条件を満たすと判断する。
【0116】
第2SP機能または第3SP機能による印刷ジョブには、印刷を指示したユーザを示すユーザ情報が付加されている。第2SP機能または第3SP機能が有効な状態では、MFP1は、MFP1のユーザIF13を用いてユーザによるログイン入力を受け付ける。MFP1は、メモリ12の不揮発性の記憶領域に、ログイン認証のためのログイン情報、例えば、ユーザ名とパスワードの組み合わせ、を記憶し、受け付けたログイン入力とメモリ12に記憶されるログイン情報とに基づいて、ログイン認証を行う。第2SP機能が有効な状態で受け付けるログイン入力は、第1入力情報の一例であり、第2SP機能は、第1方式の蓄積ジョブ機能の一例である。
【0117】
MFP1は、ログイン認証に成功した場合、受け付けたログイン入力が適正であると判断する。MFP1は、第2SP機能が有効な状態でログイン認証に成功した場合、例えば、ログインユーザを示すユーザ情報が付加された印刷ジョブの選択や印刷実行の指示を受け付け可能となる。また、MFP1は、第3SP機能が有効な状態でログイン認証に成功した場合、例えば、共有サーバ300との通信を行い、ログインユーザを示すユーザ情報が付加された印刷ジョブの選択や読み出しの指示を受け付け可能となる。第2SP機能または第3SP機能では、MFP1は、ログイン認証に成功し、印刷ジョブの指定を受け付けた場合に実行条件を満たすと判断する。
【0118】
試行終了処理にて、CPU11は、S101にて選択された追加機能がセキュアプリント機能の1つである場合、S103では、選択されたセキュアプリント機能と他のセキュアプリント機能との両方について、有効とされているか否かを判断する。例えば、選択された追加機能が第2SP機能である場合、CPU11は、第2SP機能と第3SP機能とのいずれかが有効とされているか否かを判断する。なお、前述したように、各セキュアプリント機能が互いに排他的な関係にあることから、第2SP機能と第3SP機能とのいずれも有効とされていない場合は、工場出荷時の状態と同様に、第1SP機能が有効になっている。そして、CPU11は、S104以後の処理において、例えば、図15に示すように、情報の初期化やデータの消去を行う。
【0119】
試行終了処理の実行時に第2SP機能と第3SP機能とのいずれも有効とされていない場合、CPU11は、S104にて、第3SP機能に固有の設定情報である共有サーバ300のアクセス情報を初期化し、S105にて、第2SP機能に固有のデータである第2SP機能で蓄積された印刷ジョブを消去する。第2SP機能が有効にされておらず、第2SP機能を利用する印刷ジョブがメモリ12に蓄積されている場合、CPU11は、S105にて、当該印刷ジョブの画像データを消去する。この場合のS105は、消去処理の一例である。なお、MFP1は、前述したように、印刷ジョブを消去する前に報知を行って(例えば、図6のC121)、終了前に印刷を実行するか否かのユーザの指示を受け付けてもよい。また、MFP1は、消去対象となる印刷ジョブがUSBメモリ等の着脱可能な記憶装置に記憶されている場合には、消去しないとしても良い。
【0120】
また、試行終了処理の実行時に第2SP機能と第3SP機能とのいずれも有効とされていない場合、第1SP機能が有効であることから、CPU11は、第1SP機能と第2SP機能とで共用する設定情報である印刷ジョブの保存先情報については、S112にて共用相手の機能が有効であると判断し、初期化しない。
【0121】
なお、保存先情報によって示される印刷ジョブの蓄積場所がメモリ12のRAMである場合には、CPU11は、保管期間の情報を初期化しても良い。保管期間は、RAMに蓄積される印刷ジョブに対しては適用されないことから、以後は使用されない情報である可能性が高く、予め定められている期間、例えば、1日としても良い。また例えば、ログイン情報がセキュアプリント機能以外の機能にて使用されない場合には、第2SP機能も第3SP機能も有効にされていない場合、CPU11は、メモリ12に記憶されるログイン情報を消去しても良い。
【0122】
一方、第2SP機能が有効とされている場合、CPU11は、第3SP機能に固有の設定情報である共有サーバ300のアクセス情報を初期化し、第1SP機能に固有のデータである第1SP機能で蓄積された印刷ジョブを消去する。この場合、CPU11は、印刷ジョブの保存先情報や保管期間の情報を初期化しない。
【0123】
また、選択された追加機能である第2SP機能が有効とされていない場合であって、第3SP機能が有効とされている場合、CPU11は、第1SP機能と第2SP機能とで共用する設定情報である印刷ジョブの保存先情報については、S112にて共用相手の機能も有効ではないと判断することから、初期化する。CPU11は、保存先を、予め定められている記憶場所、例えば、メモリ12のRAMとする。さらに、CPU11は、第1SP機能または第2SP機能で蓄積された印刷ジョブを消去する。
【0124】
なお、試行終了処理では、CPU11は、いずれのセキュアプリント機能が有効とされている場合であっても、第3SP機能を利用する印刷ジョブが共有サーバ300に記憶されていても、その印刷ジョブを消去しない。試行モードの終了時に第3SP機能が有効にされていない場合、試行終了処理の実行によって、MFP1は、共有サーバ300のアクセス情報を初期化することから、以後は、共有サーバ300から印刷ジョブを読み出すことができなくなる。しかし、共有サーバ300はMFP1以外の装置とも接続可能であり、例えば、共有サーバ300に接続される他のMFPにて第3SP機能が有効となっていれば、他のMFPの第3SP機能を利用することで、共有サーバ300に記憶されている印刷ジョブの印刷は可能である。そのため、共有サーバ300に記憶されている印刷ジョブを消去しないことで、画像データを他の画像処理装置が利用できなくなる不具合が回避される。
【0125】
また、試行モードの有効期間内における第2SP機能と第3SP機能との切り替え時には、MFP1は、試行終了処理を実行せず、無効とした機能に固有の情報が有っても、設定情報の初期化や固有のデータの消去を行わない。例えば、試行モードの有効期間内の第3SP機能が有効である状態から、第2SP機能を有効にする指示を受け付けた場合、MFP1は、第3SP機能にて利用される共有サーバ300との接続情報やアドレス情報を消去しない。また、例えば、試行モードの有効期間内の第2SP機能が有効である状態から、第3SP機能を有効にする指示を受け付けた場合、MFP1は、第2SP機能を利用する印刷ジョブを消去しない。試行モードの有効期間内であれば、機能の切替指示を再度受け付ける可能性もあることから、情報を消去しないことで、ユーザの再入力の手間を省くことができる。
【0126】
次に、「バーコード印刷」について説明する。バーコード印刷機能は、指定された数字列に基づいてバーコード画像を生成し、生成したバーコード画像を印刷する機能である。バーコード印刷機能では、MFP1は、固有の設定情報やデータも共用の設定情報やデータも利用しない。MFP1は、試行モードの有効期間内にバーコード印刷機能の利用指示を受け付けた場合であっても、ユーザによる設定の指示等を受け付けることはなく、メモリ12に設定情報を記憶することもない。選択した追加機能がバーコード印刷機能等の設定情報を利用しない機能である場合、CPU11は、その機能が有効であるか否かに関わらず、設定情報の初期化やデータの消去を行わない。
【0127】
次に、試行モードの有効期間内に、例えば、保守作業員による作業のために、MFP1の試行スイッチ28(図1参照)の状態が変更された場合の処理について、図16のシーケンス図を参照して説明する。MFP1は、前述したように、試行モードを開始する開始コマンドを受け付けた場合(図2のA05)、試行スイッチ28をオフからオンに変更する(A06)。図16のシーケンス図の開始時は、試行モードの有効期間内であり、試行スイッチ28はオンとなっている。
【0128】
そして、MFP1は、例えば、作業員による操作等によって、試行モードの有効期間内であっても、試行スイッチ28の状態をオフに変更する指示を受け付ける場合がある(E01)。これにより、MFP1は、サーバ3から有効期間外であることを示す情報を受信していないにも関わらず、試行スイッチ28をオフとする(E02)。MFP1は、例えば、試行スイッチ28を強制的にオフにするコマンドを受け付けても良いし、内部的なハードスイッチへの操作を受け付けることで試行スイッチ28をオフにしても良い。試行スイッチ28の状態を示す情報は、試行モード情報の一例である。試行スイッチ28のオフ状態は、試行モードの無効を示す情報であり、試行スイッチ28のオン状態は、試行モードの有効を示す情報である。なお、MFP1は、ユーザIF13への操作や外部デバイスからのコマンドの受信によって、試行スイッチ28の状態を変更する指示を受け付け可能であっても良い。
【0129】
試行スイッチ28がオフである状態で再起動された場合、MFP1は、図2のA05にて、試行スイッチ28がオフであると判断することから、機能スイッチ25~27にて有効にされている機能以外の追加機能を利用できない状態となる。ただし、MFP1は、試行スイッチ28がオフとされている状態で再起動された場合であっても、試行モードの有効期間外を示す情報がメモリ12に記憶されていない場合、試行終了処理を実行しない。つまり、MFP1は、追加機能の設定情報を初期化せず、追加機能に関するデータを消去しないことで、追加機能の情報をメモリ12に保持する。試行モードの有効期間外を示す情報は、サーバ3から有効期間外であることを示す情報を受信した場合に、例えば、図6のC05にて、メモリ12に記憶される。
【0130】
MFP1は、前述したように、サーバ3から有効期間外であることを示す情報を受信していない場合、試行スイッチ28がオフであっても、所定の定期的なタイミングで、インターネット200を介してサーバ3にアクセスし、有効期間内であるか否かを確認する確認コマンドをサーバ3に送信する(E03)。E03は、図6のC01と同様の処理である。MFP1がE03の送信を行うタイミングは、第3のタイミングの一例である。
【0131】
そして、MFP1は、サーバ3からステータス情報を受信する(E04)。試行モードの有効期間内であれば、サーバ3は、前述したように、ステータス情報として期間内を示す情報を送信する。従って、MFP1は、E04にて、期間内を示すステータス情報を受信する。この場合、E04は、図6のC03と同様の処理である。そして、MFP1は、サーバ3から期間内を示す情報を受信した場合、試行スイッチ28がオフであれば、試行スイッチ28をオンとする(E05)。
【0132】
これにより、MFP1は、再び試行モード中となり、追加機能を利用できる状態となる。そして、MFP1は、追加機能の実行指示を受け付けた場合、メモリ12に記憶されている設定情報やデータを利用でき、また、設定情報やデータの変更や追加を受け付け可能となる。内部的な操作はユーザの意図ではない可能性が高いことから、設定情報を初期化しないことで、ユーザの利便性の低下が抑制される。
【0133】
MFP1は、例えば、保守作業員による作業の終了後、再度、試行スイッチ28の状態を変更する指示を受け付けても良い。これにより、試行スイッチ28がオンとなった場合でも、MFP1は、再び、追加機能を利用できる状態となる。あるいは、MFP1は、試行スイッチ28がオフとされている状態で再起動された後、再度の試行開始の指示を受け付け可能であってもよい。この場合、MFP1は、前述したように、試行モードの開始要求をサーバ3に送信する(図2のA02)。サーバ3は、MFP1の試行モードの有効期間の情報が既に記憶されていることから、有効期間内であれば新たに期間を設定することなく開始コマンドを送信する(A05)としても良い。この場合も、MFP1は、試行スイッチ28をオンとし、試行モードとなる。
【0134】
以上、詳細に説明したように、本形態のシステム100では、試行モードの終了後、MFP1は、有効にされていない追加機能の実行指示を受け付けないことから、有効にされていない追加機能で利用される設定情報は使用されない。この場合、ユーザがその設定情報を使用しなくなってその存在を意識しなくなったにもかかわらず、その設定情報がメモリ12に残ったままの状態となる可能性が高く、その設定情報が漏洩するリスクが高まる。本形態のMFP1は、試行終了処理において、有効にされていない追加機能で利用される設定情報を初期化するので、設定情報の漏洩のリスクを低減できる。一方、MFP1は、試行モードの終了時に有効にされている追加機能については、設定情報を初期化しないので、ユーザはその設定情報を継続して利用でき、設定情報の再入力が不要になることから、ユーザの手間を軽減できる。
【0135】
さらに、本形態のMFP1は、試行終了処理において、有効にされていない追加機能で利用される設定情報を初期化するので、メモリ12の負荷増大を軽減できる。
【0136】
さらに、本形態のMFP1は、試行終了処理にて、有効にされていない追加機能に固有の設定情報を初期化し、共用の設定情報については、共用相手の追加機能が有効にされている場合には初期化しない。従って、共用相手の追加機能を利用する際に設定情報を利用可能であり、再入力の手間が回避される。一方、共用相手の追加機能も有効にされていない場合には、設定情報を初期化するので、情報漏洩のリスクを低下できる。
【0137】
さらに、本形態のMFP1は、第2SP機能が有効にされていない場合であって、第2SP機能を利用する印刷ジョブがメモリ12に記憶されている場合、試行終了処理にてその印刷ジョブを消去する。第2SP機能を利用する印刷ジョブは、第1SP機能や第3SP機能では実行できないことから、印刷ジョブを消去することで、情報漏洩のリスクをさらに低下できる。一方、第2SP機能が有効にされている場合には、MFP1は、第2SP機能によって印刷される印刷ジョブを消去しないので、印刷ジョブを再投入するユーザの手間を軽減できる。また、本形態のMFP1は、第3SP機能が有効にされていない場合であって、第3SP機能を利用する印刷ジョブが共有サーバに記憶されている場合であっても、その印刷ジョブを消去しないことで、印刷ジョブの画像データを他の画像処理装置が利用できなくなる不具合を回避できる。
【0138】
さらに、本形態のMFP1は、保守作業等によって試行モードの有効期間内に試行スイッチ28がオフとされた場合には、試行終了処理を実行せず、設定情報を初期化しないので、ユーザの意図に反して情報が失われることが無い。
【0139】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、画像処理装置の一例は、MFPに限らず、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コンピュータミシン等、画像処理機能とインターネット200への接続機能とを備えるものであれば適用可能である。また、共有サーバ300とサーバ3とは同じ装置であっても良い。
【0140】
また、本明細書にて図示した報知画面の態様は、いずれも一例であり、各報知画面の配置や含まれる文言等はこれらの図の態様に限るものではない。例えば、本形態では、報知画面51を表示した後、蓄積ジョブの有無に応じて報知画面52を表示するとしたが、蓄積ジョブの有無に応じて、報知内容の異なる報知画面51を表示してもよい。また、期間切れ間際期間の報知や接続不良の報知はしなくても良い。この場合、サーバ3から送信されるステータス情報は、有効期間内か有効期間外かのみを示す情報であっても良い。
【0141】
また、例えば、本形態ではホーム画面50を表示する際に報知画面51、53、54を表示するとしたが、表示のタイミングはこれに限らない。例えば、定期的に表示しても良いし、ユーザIF13への操作を受け付けた場合に表示するとしても良い。また、各報知画面を、追加機能に関係する処理が選択された場合の設定画面に表示しても良い。設定画面に表示する場合も、報知画面によって、設定画面への各種の操作を制限しても良い。
【0142】
また、本形態では、報知画面51、52にて報知のアイコン化または停止の指示を受け付けるとしたが受け付けなくても良い。つまり、MFP1は、有効期間外であれば、再起動の指示のみを受け付けるとしても良い。また、報知画面51、52を表示した後、所定の待機時間が経過してもユーザの操作を受け付けなかった場合、MFP1は、自動的に再起動するとしても良い。また、例えば、再起動しなくても試行スイッチ28の状態を変更できるのであれば、MFP1は、試行スイッチ28の状態を変更するのみとして再起動しなくても良い。また、試行スイッチ28の状態を実行済みに変更する代わりに、MFP1は、試行スイッチ28を消去してもよい。また、例えば、MFP1は、試行モードを機能スイッチの状態で設定しても良い。例えば、機能スイッチの状態として、オフ、オンの他に、試行モード中の状態を設けても良い。また、試行モードの実行済みの情報は、サーバ3が記憶してもよい。
【0143】
また、例えば、有効期間の管理をMFP1にて行ってもよい。ただし、サーバ3で管理することで、適切な管理となる可能性が高い。また、本形態ではサーバ3との通信が異常であっても、自動的には試行モードを終了しないとしたが、所定回数連続してステータス情報を取得できなかった場合に、試行モードを強制的に終了してもよい。その場合、試行モードを終了した後にも、終了したことを報知するとよい。
【0144】
また、本形態では、追加機能の有効化の指示を受け付けた際に、試行モードの期間内であるか否かを判断するとしたが、しなくても良い。例えば、試行モードの有効期間外であると判断した場合に、追加機能の有効化状態を確認して、全ての追加機能が有効化されていれば、報知せずに試行モードを終了させるとしても良い。また、本形態では、MFP1は、複数の追加機能を有して個別に有効化できるとしたが、追加機能は1つでもよい。また、試行モードでは全ての追加機能が試行できるとしたが、機能ごとに試行を受け付けてもよい。
【0145】
また、本形態では、機能スイッチ25~27とは別に試行スイッチ28が設けられるとしたが、これに限らない。例えば、機能スイッチ25~27の状態として、オフとオン以外に試行モード中の状態があっても良い。そして、試行モードが開始された場合に、MFP1は、オンとなっていない機能スイッチ25~27を全て、試行モード中の状態に切り替えるとしてもよい。
【0146】
また、本形態では、MFP1は、3種類のセキュアプリントの機能を備えるとしたが、これに限らない。例えば、第1SP機能は無くても良い。あるいは、MFP1は、追加機能として第2SP機能と第3SP機能とのいずれか一方のみを備えるとしても良い。また、MFP1は、例えば、3種類以外に、さらに実行条件の異なるセキュアプリントの機能を備えていても良い。
【0147】
また、本形態では、MFP1は、第2SP機能や第3SP機能を利用した印刷ジョブの実行時には、ログイン認証に成功した場合に、そのユーザの印刷ジョブから実行対象の印刷ジョブの選択を受け付けるとしたが、逆順でも良い。つまり、選択された印刷ジョブが第2SP機能や第3SP機能を利用した印刷ジョブであった場合に、MFP1は、ログイン入力を要求するとしても良い。あるいは、認証に成功したユーザの印刷ジョブを全て実行するとしても良い。この場合でも、ログイン認証は実行条件に含まれ、MFP1は、ログイン認証に成功した後に印刷ジョブの印刷を実行可能となる。
【0148】
また、例えば、MFP1は、試行モードの有効期間内であっても、第1SP機能の選択を受け付け可能であっても良い。例えば、MFP1は、試行モードの開始時には第2SP機能を有効とせず、ユーザによる試行指示を受け付けない限り、第2SP機能と第3SP機能とのいずれも有効にしないとしても良い。あるいは、MFP1は、試行モードの開始時には第2SP機能を有効とし、試行モードの有効期間内であれば、第1SP機能も第2SP機能も第3SP機能も選択可能であるとしても良い。
【0149】
また、本形態では、試行モードの有効期間内の第2SP機能と第3SP機能との切り替え時には、設定情報の初期化を行わないとしたが、初期化しても良い。あるいは、初期化するか否かをユーザに問い合わせても良い。また、試行モードの有効期間内に第2SP機能から他のSP機能への切り替えの指示を受け付けた場合、第2SP機能で受け付けた印刷ジョブがメモリ12に残っていれば、その印刷ジョブを消去しても良いし、あるいは、その印刷ジョブの印刷ができなくなることを報知しても良い。
【0150】
また、例えば、本形態では、追加機能は、機能プログラム22~24として工場出荷時からMFP1に搭載されているとしたが、工場出荷後に搭載可能な機能が有ってもよい。例えば、MFP1は、ファームウェアのアップデートによって、新たな追加機能を搭載可能であってもよい。ファームウェアのアップデートが行われるタイミングは、試行モードの有効期間とは無関係であることから、例えば、試行モードの有効期間内に新たな追加機能が搭載される可能性がある。ファームウェアのアップデートによって、新たな追加機能を試行できる状態となった場合、MFP1は、その機能で利用される設定情報を初期化された状態として試行の指示を受け付ける。ただし、MFP1は、ファームウェアのアップデートの情報をサーバ3に送信することはなく、試行モードの有効期間は変更されない。
【0151】
また、実施の形態に開示されている任意のシーケンス図において、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0152】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 MFP
3 サーバ
11 CPU
12 メモリ
13 ユーザIF
15 画像形成部
16 画像読取部
100 システム
300 共有サーバ
図1
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