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特開2022-116563永久磁石埋込型モータ及びポンプ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116563
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】永久磁石埋込型モータ及びポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20220803BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20220803BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H02K1/27 501A
H02K1/27 501M
H02K1/27 501K
H02K1/22 A
H02K21/16 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012789
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(71)【出願人】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸
(72)【発明者】
【氏名】石川 赴夫
(72)【発明者】
【氏名】高田 晃多
【テーマコード(参考)】
5H601
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA22
5H601BB11
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE03
5H601EE18
5H601EE27
5H601FF02
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB22
5H601GB33
5H601GB48
5H621AA02
5H621BB07
5H621GA04
5H621HH01
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622PP10
(57)【要約】
【課題】構造の簡素化、低コスト化を図り、コギングトルクを低減できる永久磁石埋込型モータを提供する。
【解決手段】周方向に配列されたティース22及びスロット23を有する環状のステータコア20,ティースの周りに巻回されたコイル40を含むステータStと、ステータのティースに対向して配置されると共に周方向に配列された挿着孔51を有するロータコア50,挿着孔に挿着された永久磁石60を含むロータRtを備えた永久磁石埋込型モータにおいて、ロータコア50は、永久磁石に対応する磁極を生じる外周磁極部53を画定するべく周方向において挿着孔同士の間に形成された溝状凹部52と、外周磁極部の周方向における両端から中央側に亘って外周輪郭50aより内側に凹むように形成された一対の切欠き部53a,53aと、一対の切欠き部により挟まれた外周磁極面53bを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配列されたティース及びスロットを有する環状のステータコア,前記ティースの周りに巻回されたコイルを含むステータと、
前記ステータのティースに対向して配置されると共に周方向に配列された挿着孔を有するロータコア,前記挿着孔に挿着された永久磁石を含むロータと、を備え、
前記ロータコアは、前記永久磁石に対応する磁極を生じる外周磁極部を画定するべく周方向において前記挿着孔同士の間に形成された溝状凹部と、前記外周磁極部の周方向における両端から中央側に亘って外周輪郭より内側に凹むように形成された一対の切欠き部と、前記一対の切欠き部により挟まれた外周磁極面を含む、
ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
【請求項2】
前記挿着孔は、前記ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状をなし、
前記永久磁石は、前記垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、前記垂直方向の両端に空隙を設けて前記挿着孔に挿着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項3】
前記溝状凹部は、半円状断面の空隙をなすように形成され、
前記挿着孔は、前記ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状でかつ前記垂直方向の両端において前記溝状凹部の壁部に倣って内側に突出する凸状湾曲面をなし、
前記永久磁石は、前記垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、前記垂直方向の両端に空隙を設けて前記挿着孔に挿着されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項4】
前記外周磁極面の幅寸法をPw、前記永久磁石の前記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、Pw<Mwを満たす、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項5】
前記外周磁極面の幅寸法をPw、前記永久磁石の前記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、
(Mw-Pw)/2=Δwの値は3mm以下に設定されている、
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項6】
前記一対の切欠き部は、前記ロータの径方向に対して垂直方向に平行でかつ前記ロータの回転中心線と平行に延在する平坦面と、前記平坦面から前記外周磁極面に向けて立ち上がる立上り面を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項7】
前記平坦面を画定する壁部の肉厚寸法は、前記溝状凹部を画定する壁部の肉厚寸法と同等に形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項8】
前記ティースの先端幅寸法をTw、前記スロットの開口幅寸法をSw、前記外周磁極面の幅寸法をPwとするとき、
Tw:Sw:Pw=4.5~6.5:1~3:5~7の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項9】
前記ロータコアは、前記挿着孔よりも径方向の内側において、前記挿着孔に連通して形成され接着剤を充填する充填孔を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項10】
前記ロータの磁極の個数は、2n(nは自然数)であり、
前記ステータのティース及びスロットの個数は、それぞれ3n(nは自然数)である、
ことを特徴とする請求項1ないし9いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータ。
【請求項11】
流体の吸入及び吐出を行うポンプユニットと、
前記ポンプユニットに連結された回転軸と、
前記回転軸に駆動力を及ぼす駆動源と、を備えたポンプ装置であって、
前記駆動源は、請求項1ないし10いずれか一つに記載の永久磁石埋込型モータである、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項12】
前記ポンプユニットは、前記回転軸が連結されるインナーロータと、前記インナーロータと噛合うアウターロータを含むトロコイドポンプである、
ことを特徴とする請求項11に記載のポンプ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルが巻回されたステータ及び永久磁石が埋設されたロータを備えた永久磁石埋込型モータ及びそれを駆動源とするポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の永久磁石埋込型モータとしては、周方向に配列されたティース及びスロットを有する環状のステータと、ティースの周りに巻回されたコイルと、ステータの内側に回動自在に配置されると共に永久磁石を埋設するべく周方向に配列された埋設孔にスキューを持たせたロータを備え、ロータの埋設孔に対して、永久磁石を多段に埋設すると共に各段の永久磁石に角度差を設けてスキューを確保した永久磁石型モータが知られている(例えば、特許文献1)。
この永久磁石型モータでは、永久磁石にスキューを確保することで、外乱として作用するコギングトルクの低減を図るものであるが、複数の永久磁石が回転軸の軸線方向に多段に配置されるため、構造が複雑で、部品点数の増加、高コスト化を招く。
【0003】
また、他の永久磁石埋込型モータとしては、周方向に配列されたティース及びスロットを有する環状のステータと、ティースの周りに巻回されたコイルと、ステータの内側に回動自在に配置されると共に周方向に配列された埋設孔に主永久磁石を埋設したロータを備え、ロータに対して、主永久磁石とは別に複数の補助永久磁石を埋設して磁束を主永久磁石の中央寄り(ロータの磁極片の中央部に)に集めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2)。
この永久磁石埋込型モータでは、複数の補助永久磁石をロータに埋設することでコギングトルクの低減を図るものであるが、主永久磁石の他に複数の補助永久磁石が必要になるため、構造が複雑で、部品点数の増加、高コスト化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-110868号公報
【特許文献2】特許第6083640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、上記従来技術の問題点に鑑み、構造の簡素化、低コスト化を図りつつ、コギングトルクを低減できる永久磁石埋込型モータ及びそれを駆動源とするポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の永久磁石埋込型モータは、周方向に配列されたティース及びスロットを有する環状のステータコア,ティースの周りに巻回されたコイルを含むステータと、ステータのティースに対向して配置されると共に周方向に配列された挿着孔を有するロータコア,挿着孔に挿着された永久磁石を含むロータとを備え、ロータコアは、永久磁石に対応する磁極を生じる外周磁極部を画定するべく周方向において挿着孔同士の間に形成された溝状凹部と、外周磁極部の周方向における両端から中央側に亘って外周輪郭より内側に凹むように形成された一対の切欠き部と、一対の切欠き部により挟まれた外周磁極面を含む、構成となっている。
【0007】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、挿着孔は、ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状をなし、永久磁石は、垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、垂直方向の両端に空隙を設けて挿着孔に挿着されている、構成を採用してもよい。
【0008】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、溝状凹部は、半円状断面の空隙をなすように形成され、挿着孔は、ロータの径方向に対して垂直方向に長尺な断面形状でかつ垂直方向の両端において溝状凹部の壁部に倣って内側に突出する凸状湾曲面をなし、永久磁石は、垂直方向に長尺な矩形断面をなす平板状であり、垂直方向の両端に空隙を設けて挿着孔に挿着されている、構成を採用してもよい。
【0009】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、外周磁極面の幅寸法をPw、永久磁石の上記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、Pw<Mwを満たす、構成を採用してもよい。
【0010】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、外周磁極面の幅寸法をPw、永久磁石の上記垂直方向における幅寸法をMwとするとき、(Mw-Pw)/2=Δwの値は3mm以下に設定されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、一対の切欠き部は、ロータの径方向に対して垂直方向に平行でかつロータの回転中心線と平行に延在する平坦面と、平坦面から外周磁極面に向けて立ち上がる立上り面を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、平坦面を画定する壁部の肉厚寸法は、溝状凹部を画定する壁部の肉厚寸法と同等に形成されている、構成を採用してもよい。
【0013】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、ティースの先端幅寸法をTw、スロットの開口幅寸法をSw、外周磁極面の幅寸法をPwとするとき、Tw:Sw:Pw=4.5~6.5:1~3:5~7の関係を満たす、構成を採用してもよい。
【0014】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、ロータコアは、挿着孔よりも径方向の内側において、挿着孔に連通して形成され接着剤を充填する充填孔を含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記永久磁石埋込型モータにおいて、ロータの磁極の個数は、2n(nは自然数)であり、ステータのティース及びスロットの個数は、それぞれ3n(nは自然数)である、構成を採用してもよい。
【0016】
本発明のポンプ装置は、流体の吸入及び吐出を行うポンプユニットと、ポンプユニットに連結された回転軸と、回転軸に駆動力を及ぼす駆動源と、を備えたポンプ装置であって、駆動源は、上記構成をなすいずれか一つの永久磁石埋込型モータである、構成となっている。
【0017】
上記ポンプ装置において、ポンプユニットは、回転軸が連結されるインナーロータと、インナーロータと噛合うアウターロータを含むトロコイドポンプである、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成をなす永久磁石埋込型モータによれば、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。また、このような永久磁石埋込型モータを駆動源とすることで、振動や騒音の少ないポンプ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る永久磁石埋込型モータを備えたポンプ装置を示す外観斜視図である。
図2図1に示すポンプ装置の断面図である。
図3図1に示すポンプ装置の分解斜視図である。
図4図1に示すポンプ装置において、流体の吸入口及び吐出口を示すものであり、回転中心線に垂直な面での断面図である。
図5図1に示すポンプ装置に含まれる駆動源としての永久磁石埋込型モータを示す外観斜視図である。
図6図5に示す永久磁石埋込型モータの分解斜視図である。
図7図5に示す永久磁石埋込型モータの内部構造を示すものであり、回転中心線に垂直な面での断面図である。
図8図5に示す永久磁石埋込型モータの一部をなすロータを示す外観斜視図である。
図9図8に示すロータの一部をなすロータコアを示す正面図である。
図10】永久磁石埋込型モータの一部を部分的に拡大した拡大断面図である。
図11】ロータの外周磁極面の幅寸法及び切欠き部の平坦面を画定する壁部の肉厚寸法とコギングトルクの関係を示すグラフである。
図12】ロータの外周磁極面の幅寸法の好適な範囲とコギングトルクの関係を示すグラフである。
図13】ロータの切欠き部の平坦面を画定する壁部の肉厚寸法の好適な範囲とコギングトルクの関係を示すグラフである。
図14】ロータの外周磁極部に切欠き部を設けない比較例としての永久磁石埋込型モータにおいて、回転角度が0度のときの磁力線流れを部分的に示す磁力線分布図である。
図15】ロータの外周磁極部に切欠き部を設けない比較例としての永久磁石埋込型モータにおいて、回転角度が5度のときの磁力線流れを部分的に示す磁力線分布図である。
図16】ロータの外周磁極部に切欠き部を設けた永久磁石埋込型モータにおいて、回転角度が0度のときの磁力線流れを部分的に示す磁力線分布図である。
図17】ロータの外周磁極部に切欠き部を設けた永久磁石埋込型モータにおいて、回転角度が5度のときの磁力線流れを部分的に示す磁力線分布図である。
図18】永久磁石埋込型モータにおいて、ロータの外周磁極部に切欠き部を設けない比較例のコギングトルク(二点鎖線)と、ロータの外周磁極部に切欠き部を設けた実施例のコギングトルク(実線及び一点鎖線)を示すグラフである。
図19】ロータの外周磁極部に設ける切欠き部の他の実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係る永久磁石埋込型モータを備えたポンプ装置は、図1ないし図3に示すように、ハウジング本体1、ポンプカバー2、モータカバー3、基板カバー4、回転軸5、ポンプユニットU、駆動源としての永久磁石埋込型モータM、回路基板CB等を備えている。
【0021】
ポンプユニットUは、流体(ここでは、オイル)を吸入及び吐出するものであり、インナーロータ11、アウターロータ12を含むトロコイドポンプである。
永久磁石埋込型モータMは、図5及び図6に示すように、ステータコア20,ボビン30,及びコイル40を含むステータStと、ロータコア50及び永久磁石60を含むロータRtを備え、9つのスロット及び6つの磁極を有する三相のブラシレスモータである。
【0022】
ハウジング本体1は、アルミニウム材料等により形成され、図2及び図3に示すように、ポンプユニットUを収容する収容凹部1a、駆動源を収容する収容凹部1b、収容凹部1aと収容凹部1bを連通する連通路1c、環状凹部1d、環状凹部1e、端面1f、端面1gを備えている。
連通路1cは、永久磁石埋込型モータMの回転中心線Lを中心とする円筒状に形成され、回転軸5を所定の隙間をおいて挿通させる。
環状凹部1dは、リップ型シールLsが嵌め込まれるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。
環状凹部1eは、リップ型シールLsとの間にワッシャWを介在させて、回転軸5を回動自在に支持する軸受B1が嵌め込まれるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。
【0023】
ポンプカバー2は、アルミニウム材料等により形成され、図2及び図3に示すように、ハウジング本体1の端面1fに接合されて収容凹部1aを覆うものであり、流体を吸入する吸入口2a、加圧した流体を吐出する吐出口2bを備えている。
そして、ポンプカバー2は、ポンプユニットUが収容凹部1aに収容された状態で、ハウジング本体1の端面1fに接合されて、ネジb1により締結固定される。
【0024】
モータカバー3は、樹脂材料により形成され、ハウジング本体1の端面1gに接合されて収容凹部1bを覆うものであり、図2及び図3に示すように、回転中心線Lを中心とする貫通孔3a、環状凹部3b、回路基板CBを固定する固定部3c、外部に接続する端子を収容するコネクタ3dを備えている。
貫通孔3aは、回転軸5の端部に固定された被検出ユニット5bを挿通させるように形成されている。
環状凹部3bは、円筒状の金属製ホルダ3eが嵌合固定されるべく、回転中心線Lを中心とする円環状に形成されている。金属製ホルダ3eは、回転軸5を回動自在に支持する軸受B2を嵌合させて保持する。
そして、モータカバー3は、ハウジング本体1の端面1gに接合され、外側から基板カバー4が接合され、ネジb2により締結されることで両者の間に固定される。
【0025】
基板カバー4は、金属板又は樹脂材料等により形成され、回路基板CBを覆うべく、モータカバー3を挟み込んだ状態で、ネジb2により、ハウジング本体1の端面1gに締結固定される。
【0026】
回転軸5は、金属材料を用いて、回転中心線Lを中心とする円柱状に形成され、図3及び図9に示すように、一端側において二面幅を有する連結部5a、他端側に固定された被検出ユニット5b、外周においてキー溝5cを備えている。
そして、回転軸5は、永久磁石埋込型モータMに含まれるロータコア50の軸孔55に嵌合されると共に連結部5aがポンプユニットUのインナーロータ11に連結され、又、リップ型シールLsにより外周がシールされ、軸受B1,B2により回動自在に支持されて、ロータRtの回転力をインナーロータ11に伝達するようになっている。
【0027】
被検出ユニット5bは、環状のホルダに対して、回転中心線L回りにおいて6つのN極及びS極が交互に入れ替わるように永久磁石が嵌め込まれたものであり、図2に示すように、回路基板CBに実装された検出センサC1と対向するように配置される。
そして、被検出ユニット5bは、回転軸5すなわちロータRtの回転角度位置を検出する検出センサC1の検出対象として機能する。
【0028】
ポンプユニットUは、図2及び図3に示すように、インナーロータ11及びアウターロータ12を備えている。
インナーロータ11は、鋼又は焼結鋼等の材料を用いて、ハウジング本体1の収容凹部1aの底壁面とポンプカバー2の内壁面を摺動する端面を画定する略星形状に形成されている。インナーロータ11は、嵌合孔11a、5つの凸部(山)及び5つの凹部(谷)を備えたトロコイド曲線による歯形をもつ外歯車として形成されている。
嵌合孔11aは、回転軸5の連結部5aが嵌合されるように形成されている。
そして、インナーロータ11は、回転軸5により回転中心線Lを回転中心として、図1及び図2中の矢印A方向に回転する。
【0029】
アウターロータ12は、鋼又は焼結鋼等の材料を用いて、ハウジング本体1の収容凹部1aの底壁面とポンプカバー2の内壁面を摺動する端面を画定する円環状に形成されている。アウターロータ12は、円形の外周面12a、6つの凸部及び6つの凹部を備え、インナーロータ11に噛合し得る歯形をもつ内歯車として形成されている。
外周面12aは、収容凹部1aの内周面に接触して回転中心線Lから外れた軸線を中心として回動自在に支持される。
そして、アウターロータ12は、回転中心線Lを中心として回転するインナーロータ11の回転に連動しつつ、インナーロータ11よりも遅い速度で回転する。
インナーロータ11及びアウターロータ12により、流体を吸入口2aからポンプ室内に吸入して加圧しつつ吐出口2bから吐出するようになっている。
【0030】
回路基板CBは、永久磁石埋込型モータMの駆動を制御する部品を備えるものであり、配線がプリントされると共に制御回路を構成する種々の電子部品が実装され、又、図2に示すように、被検出ユニット5bと対向する検出センサC1が実装されている。
検出センサC1は、回転中心線Lを中心とする弧状に配列された3つのホール素子からなる。そして、検出センサC1は、回転軸5すなわちロータRtの回転方向における磁極位置(回転角度位置)を検出するようになっている。
【0031】
永久磁石埋込型モータMは、図5及び図6に示すように、ステータコア20,ボビン30,及びコイル40を含むステータStと、ロータコア50及び永久磁石60を含むロータRtを備えている。
ステータコア20は、磁性材料からなる鋼板を用いてプレス成形した後に積層した積層体として形成され、図6及び図7に示すように、円環状部21、円環状部21から中心(回転中心線L)に向けて突出すると共に周方向において等間隔で配列された突極としての9つのティース22、周方向において等間隔で配列された9つのスロット23を備えている。
9つのティース22は、回転中心線Lを中心として回転対称の同一形状に形成され、それぞれ、円弧面を画定する先端面22aを備えている。
9つの先端面22aは、所定の径寸法をなす円筒面上に配列され、ロータコア50の外周輪郭50a(外周磁極面53b)と所定の隙間をおいて対向するように配置される。
9つのスロット23は、回転中心線Lを中心として回転対称の同一形状に形成され、それぞれ、両側のティース22同士の間において、図10に示すように、開口幅寸法Swをなす開口23aを備えている。
【0032】
ボビン30は、電気的絶縁性を有する樹脂材料を用いて二分割構造に形成され、回転中心線L方向においてステータコア20を挟み込むように組み込まれる。
コイル40は、ボビン30を介して、9つのティース22の周りにそれぞれ巻回された集中巻構造が採用され、三相に分けて電気的に接続されている。
【0033】
ロータコア50は、磁性材料からなる鋼板を用いてプレス成形した後に積層した積層体からなり、図7に示すように、ステータコア20のティース22(先端面22a)と所定の隙間をおいて対向する円筒状の外周輪郭50aを画定するように形成されている。
ロータコア50は、図9に示すように、周方向に等間隔で配列された6つの挿着孔51、周方向に等間隔で配列された6つの溝状凹部52、周方向に等間隔で配列された6つの外周磁極部53、周方向に等間隔で配列された6つの充填孔54、回転軸5を嵌合させる軸孔55、周方向に等間隔で配列された6つの長孔56を備えている。
【0034】
ここで、6つの挿着孔51、6つの溝状凹部52、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、6つの長孔56は、それぞれ、回転中心線Lを中心とする回転対称に形成され、又、長孔56を除いて径方向の直線DLに対して線対称に形成されているため、以下では各々の一つについて説明する。
【0035】
挿着孔51は、永久磁石60を挿入して固着する領域すなわち永久磁石60の埋込領域であり、図9に示すように、ロータRtの径方向の直線DLに対して垂直方向Pdに長尺な断面形状をなすように形成されている。
具体的には、挿着孔51は、垂直方向Pdに平行な2つの平面51a,51bと、垂直方向Pdの両端において溝状凹部52の壁部52aに倣って内側に突出する2つの凸状湾曲面51cを含むように形成されている。
挿着孔51が2つの凸状湾曲面51cを備えることにより、永久磁石60が挿着孔51に挿入された際に、両側に空隙Gを設けつつも、永久磁石60の垂直方向Pdへのずれを抑制ないし防止することができる。
【0036】
溝状凹部52は、外周輪郭50aを周方向に区分けして、外周磁極部53を画定するべく、周方向において挿着孔51,51同士の間において、肉厚寸法Tgの壁部52aにより半円状断面の空隙をなすように形成されている。
そして、溝状凹部52は、磁力線の漏れ及び短絡を抑制ないし防止するフラックスバリアとして機能すると共に、永久磁石60を挿着孔51に組み付ける際に、ロータコア50を位置決めする治具を挿入する位置決め部の役割もなす。
ここで、壁部52aの肉厚寸法Tgは、機械的強度上の許容範囲内で比較的に薄く形成されているため、隣り合う永久磁石60,60同士で磁力線が短絡するのを抑制ないし防止することができる。
【0037】
外周磁極部53は、挿着孔51に挿着された永久磁石60に対応する磁極を生じる領域であり、図9に示すように、径方向の直線DLに対して線対称の形状をなし、一対の切欠き部53a、53aと、外周磁極面53bを備えている。
一対の切欠き部53a,53aは、直線DLに対して線対称であり、外周磁極部53の周方向における両端から中央(直線DL)側に亘って外周輪郭50aより内側に凹むように形成されている。
【0038】
具体的には、一対の切欠き部53a,53aは、図9及び図10に示すように、直線DLに対して垂直方向Pdに平行でかつ回転中心線Lと平行に延在する平坦面53aと、平坦面53aから外周磁極面53bに向けて立ち上がる立上り面53aを含む。
ここで、平坦面53aを画定する壁部53a12の肉厚寸法Tcは、溝状凹部52を画定する壁部52aの肉厚寸法Tgと同等に形成されている。
【0039】
そして、一対の切欠き部53a,53aは、ロータコア50とステータコア20のティース22(先端面22a)との間の隙間を広げるフラックスバリアとして機能し、外周磁極部53を流れる磁力線を中央寄りの外周磁極面53bに集めてティース22に向かう有効磁束を増加させる役割をなす。
外周磁極面53bは、周方向において一対の切欠き部53a,53aにより挟まれた領域であり、外周輪郭50aを画定する円筒状の湾曲面、すなわち、外周輪郭50aの外径寸法をDとするとき、2/Dの曲率をなす湾曲面をなし、ティース22の先端面22aと所定の隙間をおいて対向する。
【0040】
充填孔54は、永久磁石60を固着させるための接着剤を充填する領域であり、挿着孔51よりも径方向の内側において、挿着孔51に連通して形成されている。
すなわち、永久磁石60が挿着孔51に挿入された後に、充填孔54に接着剤が充填されることにより、永久磁石60の径方向内側を向く面と挿着孔51の平面51bとが接着される。
【0041】
軸孔55は、図9に示すように、回転軸5を嵌合するものであり、回転軸5のキー溝5cに嵌合する6つの突起55aを備えている。
長孔56は、軸孔55の径方向外側において、直線DLに対して傾斜した方向に伸長するように形成されている。そして、長孔56は、回転軸5が軸孔55に嵌合される際に、突起55aの周辺領域の弾性変形を許容する。これにより、回転軸5の嵌合作業をスムーズに行うことができる。
【0042】
6つの永久磁石60は、図7及び図10に示すように、同一の形状で垂直方向Pdに長尺な矩形断面をなす平板状に形成されている。そして、6つの永久磁石60は、図8に示すように、ロータコア50の径方向(直線DL方向)においてN極及びS極が対向するように方向付けられ、回転中心線L回りの周方向において等間隔でかつ外側を向く極が交互に入れ替わるように挿着されている。また、永久磁石60は、垂直方向Pdの両端に空隙Gを設けて、ロータコア50の挿着孔51に挿着されている。
【0043】
ここでは、永久磁石60の両側に空隙Gが設けられているため、磁力線が永久磁石60のN極からS極に向けて自己短絡するのを防止することができる。
また、一つの外周磁極部53に対応して平板状の単純形態をなす一つの永久磁石60が配置されるため、一つの外周磁極部53に対応して湾曲形状をなす永久磁石が配置される構成や、一つの外周磁極部53に対応して複数個の永久磁石が配置される構成に比べて、構造の簡素化、低コスト化を達成することができる。
【0044】
上記構成をなす永久磁石埋込型モータMにおいて、図10に示すように、垂直方向Pdにおける外周磁極面53bの幅寸法Pwと永久磁石60の垂直方向pdにおける幅寸法Mwとの関係は、Pw<Mwを満たすように設定されている。
このように設定されることにより、永久磁石60から出る磁力線が、外周磁極部53の両側から漏れるのを抑制しつつ、外周磁極面53bの中央(直線DL)側に集めることができる。
特に、(Mw-Pw)/2=Δwの値が、3mm以下に設定されるのが好ましい。これにより、コギングトルクを低減しつつ、回転トルクに寄与する有効磁束を増加させることができる。
【0045】
また、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMにおいて、外周磁極面53bの幅寸法Pw及び切欠き部53aを画定する壁部53a12の肉厚寸法Tcと、コギングトルクとの関係について、図11ないし図13を参照しつつ説明する。
図11は、切欠き部53aの肉厚寸法Tcを種々の値に設定して、外周磁極面53bの幅寸法Pwを変化させたときのコギングトルクの変化を示したシミュレーションの結果である。ここで、肉厚寸法Tcとしては、To,T,T,T(但し、To<T<T<T)を選択した。尚、Toの値は、例えば、溝状凹部52の壁部52aの肉厚寸法Tgと同等である。
【0046】
図11に示す結果から明らかなように、一対の切欠き部53a,53aを設けない比較例に比べて、一対の切欠き部53a,53aを設けた場合は、全ての仕様においてコギングトルクが小さくなっている。また、肉厚寸法Tcが大きくなると、幅寸法Pwを変化させてもコギングトルクはそれほど変化せず、肉厚寸法Tcが小さくなると、全体的にコギングトルクが小さくなると共に、特に肉厚寸法TcがToの仕様において、外周磁極面53bの幅寸法PwがPoの値でコギングトルクが最も小さくなっている。
すなわち、平坦面53aを画定する壁部53a12の肉厚寸法TcがToのとき、外周磁極面53bの幅寸法PwがPoの値の近傍でコギングトルクが最も小さくなり、幅寸法PwがPoよりも小さい仕様及び大きい仕様ではコギングトルクが増加するV字特性を示す。
【0047】
そこで、コギングトルクを効果的に低減するには、幅寸法Pwの値として、図12に示すように、Poの値を中央値(最適値)として、製造上許容される範囲を考慮して、例えば公差を±Δtpとするとき、Po-Δtp~Po+Δtpの範囲の値に設定するのが好ましい。
また、肉厚寸法Tcの値としては、図11に示すように、その値が小さいほどコギングトルクを低減できるため、機械的強度上の制約を考慮してできるだけ小さく設定される。
ここで、ここで、溝状凹部52の壁部52aの肉厚寸法Tgが、機械的強度上の制約から、例えば公差を±Δtとするとき、Tg-Δt~Tg+Δtの範囲の値に設定されるとした場合、肉厚寸法Tcの値としては、図13に示すように、Toの値を中央値として、To-Δt~To+Δtの範囲の値に設定されるのが好ましい。
すなわち、平坦面53aを画定する壁部53a12の肉厚寸法Tcは、溝状凹部52を画定する壁部52aの肉厚寸法Tgと同等に設定されるのが好ましい。
【0048】
上記構成をなす永久磁石埋込型モータMにおいて、永久磁石60による磁力線の分布状態をシミュレーションした結果について、図14ないし図17に基づいて説明する。
図14及び図15は、ロータコア50に一対の切欠き部53a,53aを設けない比較例における磁力線分布図であり、図16及び図17は、ロータコア50に一対の切欠き部53a,53aを設けた実施例における磁力線分布図である。
【0049】
比較例においては、図14に示すように、ロータRtが回転角0°の停止状態において、直線Eを挟んだ両側のティース22には同数の磁力線が流れている。
そこで、図14に示す状態から図15に示すように、ロータRtを反時計回りに回転角5°だけ回転させると、左側のティース22を流れる磁力線の数よりも右側のティース22を流れる磁力線の数が少なくなる。
その結果、磁気的に安定な状態に戻ろうとして、ロータRtを時計回りに回転させようとするコギングトルクが生じる。また、比較例においては、図14及び図15に示されるように、外周磁極部53の両端側から中央のティース22を経由して比較的多くの磁力線が隣り合う外周磁極部53,53同士で短絡している。
【0050】
一方、実施例においては、図16に示すように、ロータRtが回転角0°の停止状態において、直線Eを挟んだ両側のティース22には同数の磁力線が流れている。
そこで、図16に示す状態から図17に示すように、ロータRtを反時計回りに回転角5°だけ回転させると、図15に示す比較例に比べて、右側のティース22を流れる磁力線の数が増加し、左側のティース22を流れる磁力線の数に近づく。
その結果、磁気的に安定な状態に戻ろうとして、ロータRtを時計回りに回転させようとするコギングトルクは、比較例に比べて小さくなる。
また、実施例においては、図16及び図17に示されるように、比較例に比べて、外周磁極部53の両端側から中央のティース22を経由して隣り合う外周磁極部53,53同士で短絡する磁力線の数が減少している。その結果、回転トルクに効果的な有効磁束を増加させることができる。
【0051】
上記構成をなす実施例と比較例におけるコギングトルクは、図18に示されるような結果となる。図18中において、比較例のコギングトルクは二点鎖線で示され、実施例におけるコギングトルクは、幅寸法Pw及び肉厚寸法Tcが最適値(Po,To)の仕様における結果が実線で示され、公差の上下限値に対応する結果が一点鎖線で示される。
図18に示される結果から明らかなように、一対の切欠き部53a,53aを設けた実施例によれば、一対の切欠き部53a,53aを設けない比較例のコギングトルクに対して、コギングトルクを1/3~1/20に低減することができる。
【0052】
そこで、上記結果を踏まえて、永久磁石埋込型モータMにおいて、ティース22の先端幅寸法Tw、スロット23の開口幅寸法Sw、及び外周磁極面53bの幅寸法Pwの相互の寸法を変更してシミュレーションを行った結果では、Tw:Sw:Pw=4.5~6.5:1~3:5~7の関係を満たす相対的な形状関係の場合において、外周磁極部53の両端側からの磁束の漏れを抑制して、ティース22に向かう有効磁束を増加させることができ、コギングトルクを効果的に低減できることが確認された。
【0053】
以上述べたように、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMによれば、構造の簡素化、低コスト化を達成しつつ、コギングトルクを低減することができる。
また、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMがポンプ装置の駆動源として適用された場合、振動や騒音の少ないポンプ装置を得ることができる。さらに、このようなポンプ装置が、自動車等におけるオイルの供給及び循環のために適用された場合、自動車における振動や騒音を低減することができる。
尚、上記構成をなす永久磁石埋込型モータMの動作については、従来の永久磁石埋込型モータと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0054】
図19は、永久磁石埋込型モータMの一部をなすロータコア50に設ける一対の切欠き部の他の実施形態を示すものである。前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態において、ロータコア50は、6つの挿着孔51、6つの溝状凹部52、6つの外周磁極部53、6つの充填孔54、軸孔55、6つの長孔56を備えている。
外周磁極部53は、一対の切欠き部153a,153aと、外周磁極面53bを備えている。
一対の切欠き部153a,153aは、直線DLに対して線対称であり、外周磁極部53の周方向における両端から中央(直線DL)側に亘って外周輪郭50aより内側に凹むように形成されている。
【0055】
具体的には、一対の切欠き部153a,153aは、回転中心線Lと平行に延在し、外周輪郭50aに対して内側に凹むと共に両端から外周磁極面53bに繋がる凹状湾曲面として形成されている。
この実施形態においても、一対の切欠き部153a,153aを画定する壁部の肉厚寸法は小さくなっているため、前述同様に、一対の切欠き部53a,53aを設けない比較例に比べて、コギングトルクを低減することができる。
【0056】
上記実施形態においては、周方向に配列された複数のティース及びスロットを含むステータと、周方向に配列された複数の挿着孔及び各々の挿着孔に挿着された複数の永久磁石を含むロータとを備える永久磁石埋込型モータとして、9つのティース22及びスロット23を含むステータStと、6つの挿着孔51(すなわち6つ永久磁石60)を含むロータRtとを備える、すなわち、ロータRtの磁極の個数が6つでかつステータStのティース及びスロットの個数が9つである永久磁石埋込型モータMを示した。
しかしながら、上記構成に限定されるものではなく、ロータの磁極の個数が2n(nは自然数)で、かつ、ステータのティース及びスロットの個数がそれぞれ3n(nは自然数)の条件を満たす他の構成をなす永久磁石埋込型モータにおいても、同様に本発明を適用することができる。
【0057】
上記実施形態においては、ロータコア50に設ける溝状凹部として、半円状断面の空隙をなす溝状凹部52を示したが、これに限定されるものではなく、永久磁石に対応する磁極を生じる外周磁極部を画定するべく周方向において挿着孔同士の間に形成されるものであれば、その他の断面形状をなす溝状凹部を採用してもよい。
【0058】
上記実施形態においては、ロータコア50に設ける挿着孔として、両側に凸状湾曲面51cを備えた挿着孔51を示したが、これに限定されるものではなく、両側の壁面がその他の形態をなす挿着孔を採用してもよい。
【0059】
上記実施形態においては、永久磁石埋込型モータMを駆動源とするポンプ装置において、ポンプユニットとして、トロコイドポンプを採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、ベーンポンプ、その他の形式のポンプを採用してもよい。
【0060】
以上述べたように、本発明の永久磁石埋込型モータは、構造の簡素化、低コスト化、コギングトルクの低減を達成することができるため、ポンプ装置の駆動源として適用できるのは勿論のこと、種々の装置の駆動源として有用である。
【符号の説明】
【0061】
U ポンプユニット(トロコイドポンプ)
2a 吸入口
2b 吐出口
5 回転軸
11 インナーロータ(トロコイドポンプ)
12 アウターロータ(トロコイドポンプ)
M 永久磁石埋込型モータ(駆動源)
L 回転中心線
St ステータ
20 ステータコア
22 ティース
22a 先端面
Tw ティースの先端幅寸法
23 スロット
23a スロットの開口
Sw スロットの開口幅寸法
40 コイル
Rt ロータ
50 ロータコア
50a 外周輪郭
DL 直線(径方向)
Pd ロータの径方向に対して垂直方向
51 挿着孔
51c 凸状湾曲面
52 溝状凹部
52a 壁部
Tg 溝状凹部を画定する壁部の肉厚寸法
53 外周磁極部
53a 一対の切欠き部
53a 平坦面
53a12 平坦面を画定する壁部
Tc 平坦面を画定する壁部の肉厚寸法
53a 立上り面
53b 外周磁極面
54 充填孔
60 永久磁石
Mw 永久磁石の垂直方向における幅寸法
G 空隙
153a 一対の切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19