(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116570
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】入浴装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20220803BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61H33/00 310P
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012796
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000182373
【氏名又は名称】酒井医療株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙次
(72)【発明者】
【氏名】八子 陽
【テーマコード(参考)】
2D132
4C094
【Fターム(参考)】
2D132FA05
2D132FB00
2D132FC01
2D132FC04
2D132FF04
2D132FJ22
2D132FK01
4C094AA01
4C094BB04
4C094BB16
4C094BC02
4C094BC12
4C094CC02
4C094GG05
(57)【要約】
【課題】車椅子に座る人にシャワーを浴びさせることができる入浴装置において、保温性と運搬性とを向上することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な入浴装置は、後方から前方に向かって車椅子を入れる開口部を有する筐体と、前記筐体内に配置される複数のシャワーノズルと、を備える。前記筐体は、前方に配置される前カバーと、前記前カバーの左端部と接続され、後方に延びる左カバーと、前記前カバーの右端部と接続され、後方に延びる右カバーと、前記左カバーと前記右カバーとに接続され、前記開口部の少なくとも一部を構成する後カバーと、を備える。前記前カバー、前記左カバー、前記右カバー、および、前記後カバーのうち、少なくともいずれか1つは、前記筐体の外面を構成する外壁部と、前記筐体の内面を構成する内壁部と、前記外壁部と前記内壁部との間に配置される気体層或いは発泡層と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方から前方に向かって車椅子を入れる開口部を有する筐体と、
前記筐体内に配置される複数のシャワーノズルと、
を備える入浴装置であって、
前記筐体は、
前方に配置される前カバーと、
前記前カバーの左端部と接続され、後方に延びる左カバーと、
前記前カバーの右端部と接続され、後方に延びる右カバーと、
前記左カバーと前記右カバーとに接続され、前記開口部の少なくとも一部を構成する後カバーと、
を備え、
前記前カバー、前記左カバー、前記右カバー、および、前記後カバーのうち、少なくともいずれか1つは、
前記筐体の外面を構成する外壁部と、
前記筐体の内面を構成する内壁部と、
前記外壁部と前記内壁部との間に配置される気体層或いは発泡層と、
を備える、入浴装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記前カバー、前記左カバー、前記右カバー、および、前記後カバーに囲まれる空間を上から覆う上カバーを更に備え、
前記上カバーは透明部材である、請求項1に記載の入浴装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記左カバーの下部と、前記右カバーの下部とを連結する下フレーム部材を更に備える、請求項1又は2に記載の入浴装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記前カバーの上部と、前記後カバーの上部とを連結する上フレーム部材を更に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の入浴装置。
【請求項5】
前記後カバーは、アーチ状であり、
前記後カバーの後面は、下方から上方に向かうにつれて前方に近づく傾斜部を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の入浴装置。
【請求項6】
前記前カバーと前記左カバーとの前後方向間、前記前カバーと前記右カバーとの前後方向間、前記後カバーと前記左カバーとの前後方向間、および、前記後カバーと前記右カバーとの前後方向間のうち少なくともいずれか1つにおいて、一方のカバーに設けられる係合凸部と、他方のカバーに設けられる係合凹部又は係合段差部とが係合している、請求項1から5のいずれか1項に記載の入浴装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記シャワーノズルに液体を供給する配管を有し、
前記筐体の内面に、内方に向けて突出する凸面が設けられ、
前記凸面に、外方に向けて凹み、前記配管の一部と前記シャワーノズルとが配置される溝部が形成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の入浴装置。
【請求項8】
前記筐体に設けられる配管に給液を行う給液ユニットを更に備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の入浴装置。
【請求項9】
前記シャワーノズルから直径1μm未満の微小な気泡を含む液体を噴射可能に設けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載の入浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子に座る人を入浴させるための入浴装置が知られている。このような入浴装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されるシャワー入浴装置は、背面及び下面を開口した閉塞容器体と、この背面部を片開きに閉塞するドアとからなる。閉塞容器体とドアとは、FRP樹脂で一体成形されていて、左右側面の内面と前面の内面とドアの内面に、各々多数の噴射ノズルが付設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャワー入浴装置においては、入浴者は浴槽に溜められた湯に浸かるわけではない。このために、上述の閉塞容器体の保温性が重要となる。また、シャワー入浴装置は、介護施設や病院等で使用されることが多く、場所の移動が行い易かったり、組立や解体を行い易易かったりすると便利である。
【0006】
本発明は、車椅子に座る人にシャワーを浴びさせることができる入浴装置において、保温性と運搬性とを向上することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な入浴装置は、後方から前方に向かって車椅子を入れる開口部を有する筐体と、前記筐体内に配置される複数のシャワーノズルと、を備える。前記筐体は、前方に配置される前カバーと、前記前カバーの左端部と接続され、後方に延びる左カバーと、前記前カバーの右端部と接続され、後方に延びる右カバーと、前記左カバーと前記右カバーとに接続され、前記開口部の少なくとも一部を構成する後カバーと、を備える。前記前カバー、前記左カバー、前記右カバー、および、前記後カバーのうち、少なくともいずれか1つは、前記筐体の外面を構成する外壁部と、前記筐体の内面を構成する内壁部と、前記外壁部と前記内壁部との間に配置される気体層或いは発泡層と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、車椅子に座る人にシャワーを浴びさせることができる入浴装置の、保温性と運搬性とを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6A】
図5の一点鎖線DL1で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図
【
図6B】
図5の一点鎖線DL2で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図
【
図6C】
図5の一点鎖線DL3で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図
【
図6D】
図5の一点鎖線DL4で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図
【
図7】前カバー、左カバー、右カバー、および、後カバーを用いて筐体を組み立てた状態を示す概略斜視図
【
図8】筐体が備える上フレーム部材を斜め下方から見た概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<1.入浴装置の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る入浴装置100の概略構成を示す斜視図である。入浴装置100は、車椅子Cを入れる開口部1aを有する筐体1を備える。本明細書では、車椅子Cの筐体1への進入方向と平行な方向を前後方向とし、進入時に進む方向を前方として前後を定義する。すなわち、筐体1は、後方から前方に向かって車椅子Cを入れる開口部1aを有する。また、入浴装置100が載置される平坦な床面F(後述の
図2参照)と直交する方向を上下方向とし、床面Fに対して入浴装置100が載置される側を上として上下を定義する。前後方向および上下方向と直交する方向を左右方向とし、後方から前方に向かって左側となる側を左、右側となる側を右と定義する。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0012】
筐体1内には、入浴者Pが座る車椅子Cを入れる入浴スペースBS(後述の
図7等参照)が形成されている。筐体1内には、詳細は後述する複数のシャワーノズル2(
図7、
図8、
図9等参照)が設けられる。すなわち、入浴装置100は、筐体1内に配置される複数のシャワーノズル2を備える。筐体1は、シャワーノズル2に液体を供給する配管を有する。
【0013】
入浴装置100は、シャワーノズル2から噴射される液を、車椅子Cに座った状態で入浴スペースBSに入れられた入浴者Pにかけることができる。すなわち、入浴装置100はシャワー入浴装置である。本実施形態では、好ましい形態として、シャワーノズル2から噴射された液はミスト状である。ミストの粒子径は、200~500μm程度であってよい。ただし、シャワーノズル2から放射状に、線状の液(水流)が噴射される構成であってもよい。
【0014】
シャワーノズル2から噴射される液の種類は、入浴装置100の利用シーンによって切り替えることができる。例えば、入浴時においては、シャワーノズル2から、湯、又は、湯に入浴者Pを洗うためのシャンプーが混ぜられたシャンプー液等が噴射される。例えば、最初に入浴者Pの身体を温めるために湯を噴射し、途中から洗身のためにシャンプー液を噴射し、その後、シャンプー液を洗い流すために湯を噴射するといった使い方ができる。また、例えば夏等の暑いシーズンには、シャワーノズル2から水や、水とシャンプーとが混ざれたシャンプー液が噴射されてもよい。また、筐体1の洗浄時には、シャワーノズル2から、例えば、水、湯、又は、水に殺菌液等が混ぜられた薬液等が噴射される。なお、以下においては、特に区別する必要がない場合には、シャワーノズル2から噴射される液体のことを単にシャワー液と表現することがある。
【0015】
図1に示すように、入浴装置100は、筐体1に設けられる配管に給液を行う給液ユニット3を更に備える。筐体1に設けられる配管については後述する。給液ユニット3内には、加圧ポンプ(不図示)が含まれている。当該加圧ポンプを利用して給液ユニット3から筐体1に給液が行われることにより、シャワーノズル2からシャワー液が噴射される。
【0016】
詳細には、給液ユニット3は、水道管(不図示)から水を供給可能に設けられ、給湯器(不図示)から湯を供給可能に設けられる。給液ユニット3は、水道管から供給される水と、給湯器から供給される湯とを混ぜて所定の温度に調整する電気ミキシングを含む。すなわち、給液ユニット3は、入浴者Pを介助する介助者等が設定する温度の液体を筐体1に供給することができる。
【0017】
また、給液ユニット3は、電気ミキシングから筐体1に向かって流れる液体に、シャンプーボトル3bからシャンプーを供給して混ぜるためのポンプを含む。また、給液ユニット3は、電気ミキシングから筐体1に向かって流れる液体に、薬剤ボトル3aから殺菌液等の薬剤を供給して混ぜるためのポンプを含む。これにより、給液ユニット3は、筐体1にシャンプー液および薬液を供給することができる。
【0018】
給液ユニット3は、その他、配管類、電磁弁、温度センサ、および、制御ボックス等を含む。給液ユニット3と、筐体1とは、内部に液体を流すことができる連結管(不図示)によって連結される。また、給液ユニット3が備える制御ボックスは、筐体1が備える操作スイッチ等の電気部品と適宜、電気的に接続される。本実施形態のように、筐体1とは別に給液ユニット3が設けられることにより、筐体1を軽量化することができる。また、筐体1の構造が複雑化することを抑制して、筐体1を組み立てたり解体したりし易くすることができる。すなわち、筐体1と給液ユニット3とを分離して構成することにより、入浴装置100の運搬性を向上することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る入浴装置100が備える筐体1の左側面図である。
図2には、理解を容易とするために、筐体1内に入れられる前の、入浴者Pが座る車椅子Cが示されている。
【0020】
本実施形態の車椅子Cは、車輪C10を有する走行部C1と、入浴者Pが座る座部C2と、を備える。座部C2は、左右方向に延びる軸部C3を中心とした回転を可能に、走行部C1に支持される。座部C2は、座面C20が水平となる(前後方向および左右方向と平行となる)通常姿勢と、通常姿勢に対して座部C2が傾くチルト姿勢とに切替可能である。チルト姿勢では、座面C20の前方が後方に対して上となる。入浴装置100を用いた入浴時には、車椅子Cはチルト姿勢とされる。
図1および
図2に示す車椅子Cはチルト姿勢となっている。
【0021】
チルト姿勢におけるチルト角度は、例えば25~35°程度である。チルト角度は、水平面に対する座面C20の角度である。チルト姿勢として入浴が行われることにより、入浴者Pは、入浴時の姿勢が安定し、楽に入浴を行うことができる。
【0022】
入浴装置100を使用するとき、入浴者Pの介助を担う介助者(不図示)は、入浴者Pが乗る車椅子Cを、筐体1内の予め設定された入浴位置まで進入させる。
図1は、車椅子Cが入浴位置まで進入した状態を示す。車椅子Cが入浴位置まで進入した状態で、入浴装置100による入浴が行われる。なお、車椅子Cに乗る入浴者Pの体の大きさ等に合わせて、車椅子Cの位置は、入浴位置から多少ずらして用いられてもよい。
【0023】
車椅子Cが入浴位置まで進入した状態では、座部C2のバックレストC21の一部(上部)が筐体1から外側に突出する。バックレストC21の上部には、入浴者Pの頭部がのせられる。したがって、入浴装置100の使用中、入浴者Pの頭部が筐体1から外側に出た状態となる(
図1参照)。
【0024】
入浴装置100は、入浴時において開口部1aを塞ぐ開口部カーテン4を備える。開口部カーテン4は、筐体1に対して着脱可能である。例えば、車椅子Cを筐体1に対して出し入れする際には、開口部カーテン4は、少なくとも一部が筐体1から取り外される。車椅子Cが入浴位置に入れられた段階で、開口部カーテンは筐体1に取り付けられる。
【0025】
開口部カーテン4が取り付けられることによって、入浴時において筐体1内(すなわち入浴スペース)の保温性を高めることができる。また、開口部1aを着脱可能な開口部カーテン4で塞ぐ構成とすることにより、開口部1aを開閉する扉を設ける必要がなく、入浴装置100の運搬性を向上することができる。開口部1aを開閉する扉が設けられないために、介助者が入浴者Pの頭部にアプローチし易くすることができる。
【0026】
筐体1の上面には、介助口1bが設けられる。介助者は、介助口1bを用いて入浴者Pの洗身等の介助を行うことができる。入浴装置100は、入浴時において介助口1bを塞ぐことができる介助口カーテン5を備える。介助口カーテン5は、好ましい形態として、筐体1に対して着脱可能である。介助口カーテン5が取り付けられることによって、入浴時において筐体1内の保温性を高めることができる。
【0027】
<2.筐体の詳細>
図3は、本発明の実施形態に係る入浴装置100が備える筐体1の右側面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る入浴装置100が備える筐体1の平面図である。
図5は、
図3のV-V位置における概略断面図である。なお、
図5は、筐体1を構成する部材(カバー)のみを示した図であり、
図5においては、筐体1の内側および外側に配置される部材は省略されている。また、
図5に示す断面部分は、詳細構成を省略した概略図である。断面部分の詳細例については、後述の
図6A、
図6B、
図6C、および、
図6Dに示される。
【0028】
図2から
図5に示すように、筐体1は、前カバー11と、左カバー12と、右カバー13と、後カバー14と、を備える。また、筐体1は、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14に囲まれる空間を上から覆う上カバー15を更に備える。前カバー11、左カバー12、右カバー13、後カバー14、および、上カバー15は、入浴スペースBSを覆う。前カバー11、左カバー12、右カバー13、後カバー14、および、上カバー15は、それぞれ別の部材であり、互いに分離することができる。
【0029】
前カバー11は、前方に配置される。すなわち、前カバー11は、筐体1の前方部分を構成する。
図5に示すように、前カバー11は、後方から前方に向けて凹む凹部を有するお椀状である。本実施形態においては、前カバー11の凹部内には、配管の一部が配置される。配管の一部は、給液ユニット3から供給された液体を、筐体1に配置される複数のシャワーノズル2に分配する分岐配管部10(後述の
図7参照)を含む。
【0030】
本実施形態では、前カバー11は、表示部8(
図4参照)を収容する表示部収容部111を有する。表示部8は、例えば、蛍光表示管又は液晶ディスプレイ等によって構成される。表示部8は、例えばシャワー液の設定温度、シャワー液の実温度、入浴時間等を表示する。表示部収容部111は、前カバー11の上部の左右方向の中央部に設けられる。表示部収容部111は、前カバー11の一部を外方に向けて突出させることにより形成された空間を有し、当該空間に表示部8が収容される。
【0031】
左カバー12は、前カバー11の左端部と接続され、後方に延びる。すなわち、左カバー12は、筐体1の左方部分を構成する。左カバー12は、平面視において概ね台形状である(
図2参照)。詳細には、左カバー12の後端面は、上部後端面121に対して下部後端面122が後方に突出した段差形状となっている。上部後端面121と下部後端面122とは前後方向に延びる段差連結面123によって連結されている。左カバー12の下面の前端部および後端部には、上下方向の高さ調整を可能とする調整脚6が設けられる。調整脚6は、詳細には、左カバー12の下部に取り付けられるL字状の受け金具61(後述の
図7も参照)を介して左カバー12に取り付けられる。
【0032】
右カバー13は、前カバー11の右端部と接続され、後方に延びる。すなわち、右カバー13は、筐体1の右方部分を構成する。右カバー13は、筐体1の左右方向を二等分する二等分面に対して左カバー12と対称となる位置に配置される。左カバー12の外側面(左面)と右カバー13の外側面(右面)とは、前述の二等分面に対して線対称である。右カバー13も、左カバー12と同様に、平面視において概ね台形状である(
図3参照)。詳細には、右カバー13の後端面は、上部後端面131に対して下部後端面132が後方に突出した段差形状となっている。上部後端面131と下部後端面132とは前後方向に延びる段差連結面133によって連結されている。
【0033】
なお、右カバー13の外面の後方寄りには、ハンドシャワー7が配置される。なお、ハンドシャワー7には、給液ユニット3から筐体1に設けられる配管を介して液体が供給される。一方、左カバー12の外面にはハンドシャワーは配置されない。この差のために、左カバー12と右カバー13とでは、配管構成に差があり、両者の内側の形状は異なっている。ただし、左カバー12にもハンドシャワーを配置してよく、左カバー12と右カバー13とは、前述の二等分面に対して対称な形状であってもよい。また、左カバー12にハンドシャワーを配置し、右カバー13にはハンドシャワーを配置しない構成としてもよい。更に、左カバー12と右カバー13との両方にハンドシャワーを配置しない構成としてもよい。
【0034】
また、右カバー13の下面の前端部および後端部には、左カバー12と同様に、上下方向高さの調整を可能とする調整脚6が設けられる。調整脚6は、詳細には、右カバー13の下部に取り付けられるL字状の受け金具61を介して右カバー13に取り付けられる。左カバー12に取り付けられる2つの調整脚6と、右カバー13に取り付けられる調整脚6とは、組になって筐体1の傾きを調整するアジャスターとして機能する。
【0035】
後カバー14は、左カバー12と右カバー13とに接続され、開口部1aの少なくとも一部を構成する。本実施形態では、後カバー14は、開口部1aの一部を構成する。後カバー14はアーチ状である。詳細には、後方から前方に向かう平面視において、後カバー14は、上方に凸となる逆U字状である。後カバー14は、左カバー12と前後方向に対向する部分を有する。後カバー14は、右カバー13と前後方向に対向する部分を有する。
【0036】
後カバー14をアーチ状(湾曲状)に構成することにより、車椅子Cに乗って入浴スペースBSに進入する入浴者Pに柔らかい印象を与え、安心感を与えることができる。また、後カバー14がアーチ状であることにより、入浴時に車椅子Cに乗る入浴者Pの頭部が位置する部分に対する筐体1の高さを最も高くすることができ、入浴者Pに対する窮屈感を低減することができる。
【0037】
後カバー14は、その左端部が左カバー12の段差連結面123上に配置され、その右端部が右カバー13の段差連結面133上に配置される。すなわち、後カバー14は、開口部1aの上部を形成する。開口部1aの下部は、左カバー12の下部と、右カバー13の下部との左右方向間の空間にて構成される。
【0038】
後カバー14の後面は、下方から上方に向かうにつれて前方に近づく傾斜部141を有する。このように構成することにより、入浴時において入浴者Pの視界を遮り難くすることができる。傾斜部(傾斜面)141の傾斜角度は、例えば、水平面(上下方向に直交する面)に対して40~50°程度とされる。当該傾斜角度は、チルト姿勢とされた場合の車椅子C3の背もたれ面(バックレストC21の入浴者Pと対向する面)に対して直交する角度であることが好ましい。なお、傾斜部141は、平面と曲面とのうちの少なくとも一方を含んで構成されてよい。
【0039】
後カバー14の後面には、操作スイッチ部9が設けられる(
図4参照)。本実施形態では、操作スイッチ部9は、後カバー14の左側に配置される左操作スイッチ部91と、後カバー14の右側に配置される右操作スイッチ部92とを含む。ただし、操作スイッチ部9は、後カバー14の左右のいずれか一方にのみ配置されてもよい。また、操作スイッチ部9は、筐体1の後カバー14以外の部分に設けられてもよい。操作スイッチ部9には、例えば、電源ボタン、シャワー液の温度設定ボタン、入浴の開始および停止を行うボタン、入浴工程をおまかせモードで行うボタン、筐体1の洗浄を開始させるボタン等が含まれる。操作ボタンの代わりに、タッチパネル、操作ダイヤル、操作レバー等が使用されてもよい。
【0040】
また、後カバー14の後面には、ハンドシャワー7用のシャワー操作部71が設けられる。シャワー操作部71には、例えば、ハンドシャワー7から吐出される湯の量を調節するためのつまみ、および、温度を調節するためのつまみが含まれる。シャワー操作部71は、ハンドシャワー7が設けられる位置の近くに配置するのが好ましい。本実施形態においては、ハンドシャワー7が右カバー13に配置されるために、シャワー操作部71は、後カバー14の右側に配置される。
【0041】
上カバー15は、透明部材である。上カバー15が透明であることにより、筐体1の上方から入浴スペースBSにおける入浴者Pの状態を観察することができる。本実施形態では、上カバー15には、上述した前後方向に延びる介助口1bが左右対称に2つ設けられる。上カバー15が透明であるために、介助者は、介助口1bを介助口カーテン5で覆った状態でも、筐体1の上方から筐体1内の入浴者Pを観察しながら介助を行うことができる。上カバー15は、例えば、塩化ビニル板等の樹脂製の部材で構成され、真空成形法等の樹脂成形手法を用いて製造することができる。なお、「透明」とは、無色透明だけでなく、有色透明および半透明を含む概念である。
【0042】
図6Aは、
図5の一点鎖線DL1で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図である。
図6Aに示すように、前カバー11は、外壁部11aと、内壁部11bと、気体層11cとを備える。外壁部11aは、筐体1の外面を構成する。詳細には、外壁部11aは、前カバー11の前壁を構成する。内壁部11bは、筐体1の内面を構成する。詳細には、内壁部11bは、前カバー11の後壁を構成する。気体層11cは、外壁部11aと内壁部11bとの間に配置される。詳細には、気体層11cは空気層である。なお、外壁部11aと内壁部11bとは、両者の端部同士を繋ぐ連結壁部(例えば左右の側壁部)によって連結されてもよいが、直接連結されてもよい。このような前カバー11は、例えばブロー成形により構成される。前カバー11は、例えばポリプロピレン等の樹脂で構成されるブロー成形体である。
【0043】
図6Bは、
図5の一点鎖線DL2で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図である。
図6Bに示すように、左カバー12は、外壁部12aと、内壁部12bと、気体層12cとを備える。外壁部12aは、筐体1の外面を構成する。詳細には、外壁部12aは、左カバー12の左壁を構成する。内壁部12bは、筐体1の内面を構成する。詳細には、内壁部12bは、左カバー12の右壁を構成する。気体層12cは、外壁部12aと内壁部12bとの間に配置される。詳細には、気体層11cは空気層である。なお、外壁部12aと内壁部12bとは、両者の端部同士を繋ぐ連結壁部(例えば前後の側壁部)によって連結されてもよいが、直接連結されてもよい。このような左カバー12は、例えばブロー成形により構成される。左カバー12は、例えばポリプロピレン等の樹脂で構成されるブロー成形体である。
【0044】
図6Cは、
図5の一点鎖線DL3で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図である。
図6Cに示すように、右カバー13は、外壁部13aと、内壁部13bと、気体層13cとを備える。外壁部13aは、筐体1の外面を構成する。詳細には、外壁部13aは、右カバー13の右壁を構成する。内壁部13bは、筐体1の内面を構成する。詳細には、内壁部13bは、右カバー13の左壁を構成する。気体層13cは、外壁部13aと内壁部13bとの間に配置される。詳細には、気体層13cは空気層である。なお、外壁部13aと内壁部13bとは、両者の端部同士を繋ぐ連結壁部(例えば前後の側壁部)によって連結されてもよいが、直接連結されてもよい。このような右カバー13は、例えばブロー成形により構成される。右カバー13は、例えばポリプロピレン等の樹脂で構成されるブロー成形体である。
【0045】
図6Dは、
図5の一点鎖線DL4で囲まれた断面部分の詳細構成を示す図である。
図6Dに示すように、後カバー14は、外壁部14aと、内壁部14bと、気体層14cとを備える。外壁部14aは、筐体1の外面を構成する。詳細には、外壁部14aは、後カバー14の後壁を構成する。内壁部14bは、筐体1の内面を構成する。詳細には、内壁部14bは、後カバー14の前壁を構成する。気体層14cは、外壁部14aと内壁部14bとの間に配置される。詳細には、気体層14cは空気層である。なお、外壁部14aと内壁部14bとは、両者の端部同士を繋ぐ連結壁部(例えば左右の側壁部)によって連結されてもよいが、直接連結されてもよい。このような後カバー14は、例えばブロー成形により構成される。後カバー14は、例えばポリプロピレン等の樹脂で構成されるブロー成形体である。
【0046】
本実施形態では、好ましい形態として、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14の全てがブロー成形体であるが、一部のみがブロー成形体であってもよい。また、以上で説明した気体層11c、12c、13c、14cは、発泡層とされてもよい。発泡層は、ブロー成形と同時に中空部内で発泡剤を発泡することにより形成される層であり、外壁部および内壁部と一体化された層であってよい。すなわち、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14のうちの少なくともいずれか1つは、いわゆるスーパーブロー成形体であってよい。なお、スーパーブロー成形体は、ブロー成形体の一種とみなしてもよい。
【0047】
以上説明したように、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14のうち、少なくともいずれか1つは、外壁部11a、12a、13a、14aと、内壁部11b、12b、13b、14bと、気体層11c、12c、13c、14c或いは発泡層と、を備える構成とすることが好ましい。このように構成することにより、入浴スペースBSを保温性の高い部材で囲むことができ、入浴装置100の保温性を向上することができる。また、筐体1を軽量な部材で構成することができるために運搬性を向上することができる。また、筐体1を軽量且つ少ない点数で構成できるために、組み立てたり解体したりし易く、運搬性を向上することができる。また、筐体1がブロー成形体で構成されるためにクッション性を有し、荷重をかけた場合に撓み易く、人に対する安全性を向上することができる。
【0048】
図7は、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14を用いて筐体1を組み立てた状態を示す概略斜視図である。
図7においては、上カバー15は組み立て対象に含まれていない。また、
図7においては、筐体1に取り付けられる配管関係の部材(ハンドシャワー7を含む)も含まれていない。
【0049】
図5および
図7に示すように、前カバー11と左カバー12とは、前カバー11の左端部後面と左カバー12の前面とを接触させ、L字状の連結金具16を用いて連結される。連結金具16は、L字を構成する一片を前カバー11の前面に、他片を左カバー12の右面に配置する姿勢とされ、ボルト161を用いて前カバー11および左カバー12に固定される。各カバー11、12には、ボルト161と組になって使用されるナット(不図示)がインサート成形により配置されている。本実施形態では、前カバー11と左カバー12とは、上下方向に並ぶ3つの連結金具16を用いて連結されているが、連結金具16の数は適宜変更されてよい。
【0050】
前カバー11と右カバー13とは、前カバー11の右端部後面と右カバー13の前面とを接触させ、L字状の連結金具16を用いて連結される。連結金具16は、L字を構成する一片を前カバー11の前面に、他片を右カバー13の左面に配置する姿勢とされ、ボルト161を用いて前カバー11および左カバー12に固定される。各カバー11、13には、ボルト161と組になって使用されるナットがインサート成形により配置されている。本実施形態では、前カバー11と右カバー13とは、前カバー11と左カバー12との場合と同様に、上下方向に並ぶ3つの連結金具16を用いて連結されているが、連結金具16の数は適宜変更されてよい。
【0051】
左カバー12と後カバー14とは、左カバー12の後面と後カバー14の左側の前面とを接触させ、L字状の連結金具16を用いて連結される。連結金具16は、L字を構成する一片を左カバー12の右面に、他片を後カバー14の前面に配置する姿勢とされ、ボルト161を用いて左カバー12および後カバー14に固定される。各カバー12、14には、ボルト161と組になって使用されるナットがインサート成形により配置されている。本実施形態では、左カバー12と後カバー14とは、1つの連結金具16を用いて連結されているが、連結金具16の数は適宜変更されてよい。また、本実施形態では、上述のように左カバー12の後端部は、段差形状となっている。後カバー14の左側の下面は、左カバー12の段差連結面123(
図2参照)と上下方向に向かい合い接触している。
【0052】
右カバー13と後カバー14とは、右カバー13の後面と後カバー14の右側の前面とを接触させ、L字状の連結金具16を用いて連結される。連結金具16は、L字を構成する一片を右カバー13の左面に、他片を後カバー14の前面に配置する姿勢とされ、ボルト161を用いて右カバー13および後カバー14に固定される。各カバー13、14には、ボルト161と組になって使用されるナットがインサート成形により配置されている。本実施形態では、右カバー13と後カバー14とは、1つの連結金具16を用いて連結されているが、連結金具16の数は適宜変更されてよい。また、本実施形態では、上述のように右カバー13の後端部は、段差形状となっている。後カバー14の右側の下面は、右カバー13の段差連結面133(
図3参照)と上下方向に向かい合い接触している。
【0053】
なお、本実施形態では、連結金具16とボルト161とを用いて各カバー11~14間の連結を行っているが、連結の手法は他の手法であってもよい。例えば、凹凸の嵌め合いを利用してカバー間を連結する構成等であってもよい。
【0054】
ここで、各カバー間の連結に関して、
図5を参照しながら更に詳細に説明する。本実施形態では、前カバー11と左カバー12との前後方向間、前カバー11と右カバー13との前後方向間、後カバー14と左カバー12との前後方向間、および、後カバー14と右カバー13との前後方向間のうち少なくともいずれか1つにおいて、一方のカバーに設けられる係合凸部と、他方のカバーに設けられる係合凹部又は係合段差部とが係合する構成としている。このように構成することにより、カバー間における筐体1の内部から外部に至るまでの距離を長くすることができ、筐体1内からシャワー液が外部に漏れ難くすることができる。シャワー液が外部に漏れ難いために、入浴スペースBS内の保温性を向上することができる。
【0055】
詳細には、前カバー11と左カバー12との前後方向間において、一方のカバーに設けられる係合凸部と、他方のカバーに設けられる係合段差部とが係合している。より詳細には、前カバー11に設けられる係合凸部112aと、左カバー12に設けられる係合段差部124とが係合している。係合凸部112aは、前カバー11の後面左寄りに位置し、後方に突出する。係合凸部112aは上下方向に延びる。係合段差部124は、左カバー12の右端部(内方の端部)の前面を、右端部よりも左方の前面よりも後方とする構造である。係合段差部124は、係合凸部112aが設けられる範囲に対応して設けられる。係合凸部112aと係合段差部124とが係合する状態では、前カバー11の係合凸部112aの後面と、左カバー12の右端部の前面とが、接するか、又は、互いに対向した状態で接近する。
【0056】
なお、左カバー12に設けられる係合段差部124に替えて、左カバー12の前面に設けられる、後方に凹む係合凹部(溝部)が利用されてもよい。また、前カバー11に係合凹部又は係合段差部が設けられ、左カバー12に係合凸部が設けられる構成としてもよい。また、前カバー11と左カバー12との前後方向間に設けられる、係合凸部と、係合凹部又は係合段差部との組み合わせの数は1つより多くてもよい。
【0057】
また、詳細には、前カバー11と右カバー13との前後方向間において、一方のカバーに設けられる係合凸部と、他方のカバーに設けられる係合段差部とが係合している。より詳細には、前カバー11に設けられる係合凸部112bと、右カバー13に設けられる係合段差部134とが係合している。係合凸部112bは、前カバー11の後面右寄りに位置し、後方に突出する。係合凸部112bは上下方向に延びる。係合段差部134は、右カバー13の左端部(内方の端部)の前面を、左端部よりも右方の前面よりも後方とする構造である。係合段差部134は、係合凸部112bが設けられる範囲に対応して設けられる。係合凸部112bと係合段差部134とが係合する状態では、前カバー11の係合凸部112bの後面と、右カバー13の左端部の前面とが、接するか、又は、互いに対向した状態で接近する。
【0058】
なお、右カバー13に設けられる係合段差部134に替えて、右カバー13の前面に設けられる後方に凹む係合凹部(溝部)が利用されてもよい。また、前カバー11に係合凹部又は係合段差部が設けられ、右カバー13に係合凸部が設けられる構成としてもよい。また、前カバー11と右カバー13との前後方向間に設けられる、係合凸部と、係合凹部又は係合段差部との組み合わせの数は1つより多くてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、左カバー12と後カバー14との前後方向間、および、右カバー13と後カバー14との前後方向間とには、上述の係合凸部と、係合凹部或いは係合段差部との組み合わせが設けられていないが、これらにも、係合凸部と、係合凹部或いは係合段差部との組み合わせが設けられてもよい。
【0060】
以上からわかるように、前カバー11、左カバー12、右カバー13、および、後カバー14を組み立て、上方に上カバー15を配置することによって、入浴スペースBSを有する筐体1を構成することができる。すなわち、フレームレスでの筐体1の構成が可能である。また、筐体1の下部は、入浴スペースBSを囲むカバーが配置されず、開放された構造である。このために、車椅子Cを入浴スペースBSに進入させるときに、車椅子Cを持ち上げることなくスムーズに進入させることができる。
【0061】
ただし、本実施形態では、
図7に示すように、筐体1は、左カバー12の下部と、右カバー13の下部とを連結する下フレーム部材17を更に備える。これにより、筐体1の強度を補強することができる。下フレーム部材17は、例えば左右方向に延びる柱状又は筒状である。本実施形態では、下フレーム部材17は角筒状であり、その数は1つである。これにより、筐体1の強度の向上を図りつつ、筐体1の重量の増加を抑制することができる。なお、下フレーム部材17は必須ではない。また、下フレーム部材の数は、場合によっては複数でもよい。
【0062】
本実施形態では、下フレーム部材17は、上述した入浴位置を決める部材としての機能も有する。すなわち、車椅子Cの前側の車輪C10が下フレーム部材17の後面に当接することによって車椅子Cは入浴位置に到達する。なお、本実施形態では、好ましい形態として、下フレーム部材17の後面には、車椅子Cとの接触時の衝撃を緩和する等の目的で、例えばゴム等の弾力性に富む部材で構成されたストッパー部材171が取り付けられている。このため、詳細には、車椅子Cの前側の車輪C10がストッパー部材171に当接することによって、車椅子Cは入浴位置に到達する。
【0063】
また、下フレーム部材17の上面には、前後方向に延びるノズルフレーム18が取り付けられる。ノズルフレーム18は、上下方向断面が逆U字状である。ノズルフレーム18は、筐体1の左右方向の中央部に配置される。ノズルフレーム18は、前端部が前カバー11に取り付けられ、後端部は下フレーム部材17よりも後方に突出している。すなわち、下フレーム部材17とノズルフレーム18とは十字状に交わる。なお、ノズルフレーム18の後端は、後カバー14の後端より前方に位置する。すなわち、ノズルフレーム18は、前後方向において筐体1の内部に位置する。
【0064】
ノズルフレーム18の、下フレーム部材17よりも後方側には2つのシャワーノズル2が前後方向に並んで配置されている。2つのシャワーノズル2のうち、前方側は車椅子Cに座る入浴者Pの陰部(股下)を洗浄するためのノズルであり、後方側は車椅子Cに座る入浴者Pの臀部を洗浄するためのノズルである。各シャワーノズル2には、前カバー11の凹部内に配置されるとともに、前カバー11の後面に取り付けられた配管カバー19に覆われた分岐配管部10から液体が供給される。
【0065】
なお、筐体1の下部にシャワーノズル2を配置しない場合には、ノズルフレーム18は設けられなくてよい。また、配管カバー19は必須ではない。ただし、配管カバー19が配置されることにより、入浴装置100の安全性および意匠性を向上することができる。配管カバー19は、耐熱性の樹脂で構成されることが好ましい。樹脂製のカバーとすることにより、金属製のカバーとする場合に比べて運搬性の低下を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、
図7に示すように、筐体1は、前カバー11の上部と、後カバー14の上部とを連結する上フレーム部材20を更に備える。これにより、筐体1の強度を補強することができる。上フレーム部材20は、例えば前後方向に延びる柱状又は筒状である。本実施形態では、上フレーム部材20は角筒状であり、その数は1つである。これにより、筐体1の強度の向上を図りつつ、筐体1の重量の増加を抑制することができる。なお、本実施形態では、詳細には、上フレーム部材20は、上下に重ねて配置される上部材と下部材との2つのパーツで構成される。また、上フレーム部材20は必須ではない。また、上フレーム部材の数は、場合によっては複数でもよい。
【0067】
図8は、筐体1が備える上フレーム部材20を斜め下方から見た概略図である。
図8に示すように、上フレーム部材20には、シャワーノズル2が配置されている。シャワーノズル2は、上フレーム部材20の内部に配置され、液体を噴射する部分が、上フレーム部材20の下面に設けられるシャワー孔201を介して露出する。シャワーノズル2には、分岐配管部10と繋がる上部ノズル用配管101を介して液体が供給される。上部ノズル用配管101は、筐体1に設けられる配管の一部を構成する。
【0068】
本実施形態では、上フレーム部材20には、6つのシャワーノズル2が配置される。6つのシャワーノズル2は、前後方向に3つのシャワーノズル2が並んだノズル列を左右方向に2列並べた配置となっている。上フレーム部材20に設けられる複数のシャワーノズル2により、車椅子Cに乗せられ、入浴スペースBS内に入れられた入浴者Pの胸、腹及び膝などに向けて液体を噴射することができる。なお、上フレーム部材20に配置されるシャワーノズル2の数および配置は適宜変更されてよい。
【0069】
本実施形態では、シャワーノズル2は、入浴スペースBSの下部と上部以外にも設けられる。すなわち、シャワーノズル2は、入浴スペースBSの左方および右方にも設けられる。詳細には、左カバー12および右カバー13にシャワーノズル2が設けられる。左カバー12および右カバー13には、シャワーノズル2に液体を供給する配管も設けられる。
【0070】
本実施形態において、左カバー12に設けられるシャワーノズル2と、右カバー13に設けられるシャワーノズル2とは、筐体1を左右方向に二等分する二等分面に対して対称に配置される。そして、左カバー12と右カバー13とで、シャワーノズル2に液体を供給する配管の構成は概ね同様である。このために、以下では、左カバー12の場合を代表例として説明し、右カバー13におけるシャワーノズル2の構成に関する説明は省略する。
【0071】
図9は、筐体1が備える左カバー12を右側(内側)から見た概略図である。
図10は、
図9に示すX-X位置における概略断面図である。
図10においても、
図5と同様に、断面部分の詳細構成は省略されている。
図9に示すように、左カバー12の右面(内面)には、シャワーノズル2が3つのエリアAR1、AR2、AR3に分けて配置されている。なお、以下に説明する、左カバー12に配置されるシャワーノズル2の数および配置は適宜変更されてよい。
【0072】
第1エリアAR1は、左カバー12の前方に位置する。第1エリアAR1には、2つのシャワーノズル2が配置される。左カバー12を右方から左方(内方から外方)に向かって平面視した場合に、これら2つのシャワーノズル2は、上方が下方よりも後方となる斜め方向に並ぶ。これら2つのシャワーノズル2により、車椅子Cに乗せられ、入浴スペースBS内に入れられた入浴者Pの膝及び足先などに向けて液体を噴射することができる。
【0073】
第1エリアAR1に配置される各シャワーノズル2は、左カバー12に固定されるノズル金具21に保持される。第1エリアAR1の2つのシャワーノズル2は、チューブ102を用いて連結される。本実施形態では、チューブ102は樹脂製であり、筐体1に設けられる配管の一部を構成する。なお、チューブは、樹脂に限らず、例えばゴムや金属等で構成されてもよい。2つのシャワーノズル2には、それぞれ、分岐配管部10からチューブ102を介して液体が供給される。
【0074】
第2エリアAR2は、左カバー12の前後方向のほぼ中央部に位置する。第2エリアAR2には、3つのシャワーノズル2が配置される。左カバー12を右方から左方(内方から外方)に向かって平面視した場合に、これら3つのシャワーノズル2は、上方が下方よりも後方となる斜め方向に一列に並ぶ。これら3つのシャワーノズル2により、車椅子Cに乗せられ、入浴スペースBS内に入れられた入浴者Pの肩、肘、及び、腰などに向けて液体を噴射することができる。
【0075】
第2エリアAR2に配置される各シャワーノズル2は、第1エリアAR1の場合と同様に、左カバー12に固定されるノズル金具21に保持される。第2エリアAR2の3つのシャワーノズル2のうち、上部のシャワーノズル2と、上部と下部のシャワーノズル2に挟まれる中間のシャワーノズル2とがチューブ102を用いて連結され、前述の中間のシャワーノズル2と下部のシャワーノズル2とがチューブ102を用いて連結される。3つのシャワーノズル2には、それぞれ、分岐配管部10からチューブ102を介して液体が供給される。
【0076】
第3エリアAR3は、左カバー12の後方に位置する。第3エリアAR3には、2つのシャワーノズル2が配置される。左カバー12を右方から左方(内方から外方)に向かって平面視した場合に、これら2つのシャワーノズル2は、上方が下方よりも後方となる斜め方向に並ぶ。これら2つのシャワーノズル2により、車椅子Cに乗せられ、入浴スペースBS内に入れられた入浴者Pの背中及び腰などに向けて液体を噴射することができる。第3エリアAR3に配置される各シャワーノズル2は、左カバー12に固定されるノズル金具21に保持される。第3エリアAR3に配置される2つのシャワーノズル2には、それぞれ、分岐配管部10からチューブ102を介して液体が供給される。
【0077】
本実施形態では、左カバー12に配置される各シャワーノズル2、各ノズル金具21、および、各チューブ102は、左カバー12の最内面(最も右側に位置する面)よりも外方(左方)に位置する。このために、入浴者Pの体がシャワーノズル2等に接触し難く、入浴者Pが怪我を生じる可能性を低くすることができる。
【0078】
そして、本実施形態では、筐体1の内面に、内方に向けて突出する凸面が設けられ、当該凸面に、外方に向けて凹む溝部が形成される。溝部には。配管の一部とシャワーノズル2とが配置される。このような構成が採用されることにより、筐体1の内面の広い範囲が入浴者Pに接近することを抑制しつつ、シャワーノズル2を安全な状態で入浴者Pに近づけことができる。詳細には、左カバー12および右カバー13に、このような構成が設けられている。以下、これについて、左カバー12の場合を例に、
図9および
図10を主に参照して説明する。
【0079】
上述の第1エリアAR1および第2エリアAR2は、右方(内方)に向けて突出する凸面125に設けられている。凸面125は山型状である。凸面125は、例えば、左カバー12の内壁部12b(
図6B参照)を湾曲形状とすることにより構成される。そして、凸面125には、左方(外方)に向けて凹む溝部126が形成される。溝部126は、凸面125を構成する内壁部12bの一部を外方に突出するように曲げた形状とすることで構成できる。第1エリアAR1と第2エリアAR2とのいずれにおいても、溝部126は、右方(内方)から左方(外方)に向く平面視において、上方が下方に対して後方となる斜め方向に延びる。シャワーノズル2、ノズル金具21、および、チューブ102は、溝部126に収容される。すなわち、シャワーノズル2等は、凸面125から右方(内方)に突出しない。このために、シャワーノズル2等が入浴者Pの体に触れることを避けることができる。
【0080】
その他、左カバー12に配置されるチューブ102の大部分は、凹んだ部分(溝)に配置され、チューブ102の位置をある程度位置決めした状態で配置することができる。1つのチューブ102の長さが長くなる部分については、左カバー12に固定されるクリップ104を用いてチューブ102の位置を位置決めする構成としている。なお、クリップ104に替えて、カバーと一体的に設けられる突起部によってチューブ102を押さえてチューブ102の位置決めを行ってもよい。このように構成することにより、組立時や解体時における工具の使用箇所を減らして、作業効率を良くすることができる。
【0081】
<3.気泡発生装置>
本実施形態では、
図1に示すように、給液ユニット3に気泡発生装置31が内蔵される。気泡発生装置31は、好ましい形態として、直径が1μm未満の微小な気泡を発生する。直径が1μm未満は、詳細には、等体積球相当径(体積相当の直径)が1μm未満であることを指す。直径が1μm未満の微小な気泡は、いわゆるウルトラファインバブル(登録商標)であってよい。
【0082】
なお、気泡発生装置31が設けられる箇所は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、給液ユニット3の外部に設けられてもよいし、筐体1内に設けられてもよい。また、例えば、気泡発生装置31の一部の構成要素が給液ユニット3に設けられ、残りの一部の構成要素が筐体1に設けられる構成等としてもよい。要は、給液ユニット3に液体を供給する供給部分(水道管や給湯器等)から各シャワーノズル2までの給液経路の途中で、微小な気泡を発生させることができる構成であればよい。
【0083】
気泡発生装置31が設けられるために、本実施形態の入浴装置100は、シャワーノズル2から直径1μm未満の微小な気泡を含む液体を噴射可能に設けられる。このような構成とすると、1μm未満の微小な気泡を含む液体(例えば湯)を入浴者Pにかけることができ、入浴者Pに対する洗浄効果を高めることができる。
【0084】
また、微小な気泡を含む液体の洗浄力により、例えば、入浴利用中、および、入浴利用後の筐体1の清掃段階において、筐体1内の洗浄を行うことができる。微小な気泡を含む液体の洗浄効果には、汚れの付着の抑制や、カビの発生の抑制効果を含む。特に、入浴利用中、および、入浴利用後の清掃作業中において、微小な気泡を含む液体を各カバー11~15間の結合隙間に流れ込ませることができるために、通常は分解しないと清掃できないような箇所も洗浄することができる。すなわち、本実施形態によれば、筐体1内の清潔な環境の維持を簡単に行うことができ、更には、筐体1の清掃作業の軽減を図ることができる。
【0085】
<4.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0086】
1・・・筐体
1a・・・開口部
2・・・シャワーノズル
3・・・給液ユニット
11・・・前カバー
11a、12a、13a、14a・・・外壁部
11b、12b、13b、14b・・・内壁部
11c、12c、13c、14c・・・気体層
12・・・左カバー
13・・・右カバー
14・・・後カバー
15・・・上カバー
17・・・下フレーム部材
20・・・上フレーム部材
100・・・入浴装置
102・・・チューブ(配管の一部)
112a、112b・・・係合凸部
124、134・・・係合段差部
125・・・凸面
126・・・溝部
141・・・傾斜部
C・・・車椅子