(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116619
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20220803BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012883
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナフィア ニンディタ
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353DD11
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ01
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】部品を部品供給テープから取り出す際のリスクを軽減することが可能な部品実装機を提供する。
【解決手段】複数の側壁22を有する凹部20から部品Wを取り出して基板PTに実装する部品実装機10であって、凹部20に収容された部品Wを撮像する基板認識カメラ65と、凹部20に収容された部品Wを取り出して基板PTに移動させるヘッド63と、基板認識カメラ65によって撮像された画像に基づいて、複数の側壁22のうち部品Wに最も近い近接側壁22Bと部品Wとの距離を算出する算出部31と、算出部31によって算出された距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部32と、判定部32によって距離が閾値以下であると判定された場合に、近接側壁22Bから部品Wが遠ざかる方向に部品Wが移動するようにヘッド63の動作を制御するヘッド制御部33と、を備えること。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側壁を有する凹部から部品を取り出して基板に実装する部品実装機であって、
前記凹部に収容された前記部品を撮像するカメラと、
前記凹部に収容された前記部品を取り出して前記基板に移動させるヘッドと、
前記カメラによって撮像された画像に基づいて、前記複数の側壁のうち前記部品に最も近い近接側壁と前記部品との距離を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記距離が閾値以下であると判定された場合に、前記近接側壁から前記部品が遠ざかる方向に前記部品が移動するように前記ヘッドの動作を制御するヘッド制御部と、を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッドが前記部品を吸着した状態で前記近接側壁から遠ざかる方向に前記ヘッドを移動させる、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記ヘッド制御部は、前記複数の側壁のうち前記部品を中心として前記近接側壁とは反対側に位置する反対側壁に、前記部品が接触しないように前記ヘッドを移動させる、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記凹部に入れた状態で前記ヘッドの吸着動作を開始させる、請求項2または請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記部品の中央部上に移動させた状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させる、請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記ヘッド制御部は、前記部品の中心を基準として前記近接側壁とは反対側に前記ヘッドを位置させると共に、前記ヘッドが前記部品に非接触な状態において、前記ヘッドの吸着動作を開始させる、請求項2または請求項3に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記凹部に入れない状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させる、請求項6に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッドを前記凹部の中心上に移動させた状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させる、請求項6または請求項7に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記算出部は、前記カメラによって撮像された前記画像に基づいて、前記凹部に収容された前記部品の回転角度を算出し、
前記ヘッド制御部は、前記判定部によって前記距離が閾値以下であると判定された場合に、前記近接側壁から前記部品が遠ざかる方向に前記部品が前記回転角度分回転するように前記ヘッドを回転させる、請求項1に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装機として、特許文献1に記載される技術が知られている。特許文献1に記載の部品実装機は、部品を所定位置に送り出すテープフィーダを複数有する部品供給部と、所定位置に送り出された部品をピックアップするヘッドと、を備えている。テープフィーダには、部品収納テープがセットされる。この部品収納テープは、所定間隔おきに設けられたポケット内に部品が格納されたベーステープを有している。そして、部品がヘッドによりピックアップされる毎に、部品が収納されたポケットが順次、所定位置に送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装機においては、部品が所定位置に送り出されるまでの部品に加わる慣性力および振動等により、部品が部品供給テープ(部品収納テープ)の凹部(ポケット)内でずれ、部品が凹部の側壁に近接することがある。特許文献1に開示される部品実装機では、部品をヘッドで吸着して取り出すときに、部品が凹部の側壁に接触する可能性がある。この部品の側壁への接触により、部品に負荷がかかったり、部品をうまくヘッドに吸着できなかったりするおそれがある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、部品を部品供給テープから取り出す際のリスクを軽減することが可能な部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の側壁を有する凹部から部品を取り出して基板に実装する部品実装機であって、前記凹部に収容された前記部品を撮像するカメラと、前記凹部に収容された前記部品を取り出して前記基板に移動させるヘッドと、前記カメラによって撮像された画像に基づいて、前記複数の側壁のうち前記部品に最も近い近接側壁と前記部品との距離を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記距離が閾値以下であると判定された場合に、前記近接側壁から前記部品が遠ざかる方向に前記部品が移動するように前記ヘッドの動作を制御するヘッド制御部と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
このような部品実装機によると、凹部の側壁に対する部品の相対的な位置や向きを変更することが可能となり、部品をヘッドで凹部から取り出すときに、凹部の側壁に部品が接触しないようにヘッドを動かすことができる。
【0008】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記ヘッドが前記部品を吸着した状態で前記近接側壁から遠ざかる方向に前記ヘッドを移動してもよい。このような部品実装機によると、ヘッドに吸着された部品を近接側壁から離間させて取り出すことができ、近接側壁に部品が接触することを抑制できる。
【0009】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記複数の側壁のうち前記部品を中心として前記近接側壁とは反対側に位置する反対側壁に、前記部品が接触しないように前記ヘッドを移動させてもよい。このような部品実装機によると、部品をヘッドで凹部から取り出すときに、部品を近接側壁から離間させ過ぎて反対側壁に接触させてしまうことを防止できる。
【0010】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記凹部に入れた状態で前記ヘッドの吸着動作を開始させてもよい。このような部品実装機によると、部品を安定してヘッドの先端に吸着させることができる。
【0011】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記部品の中央部上に移動させた状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させてもよい。このような部品実装機によると、部品が凹部の側壁に接触することを抑制しつつ部品を安定してヘッドの先端に吸着させることができる。
【0012】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記部品の中心を基準として前記近接側壁とは反対側に前記ヘッドを位置させると共に、前記ヘッドが前記部品に非接触な状態において、前記ヘッドの吸着動作を開始させてもよい。このような部品実装機によると、ヘッドによって吸引することで部品を引き寄せて吸着するときに部品が近接側壁に接触することを抑制しつつ、ヘッドの無駄な動きを低減した制御ができる。
【0013】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記ヘッドの先端を前記凹部に入れない状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させてもよい。このような部品実装機によると、近接側壁との接触を抑制しつつ部品を凹部から一気に取り出すことができ、ヘッドの無駄な動きをより低減した制御ができる。
【0014】
上記構成において、前記ヘッド制御部は、前記ヘッドを前記凹部の中心上に移動させた状態で、前記ヘッドの吸着動作を開始させてもよい。このような部品実装機によると、凹部自体が所定の位置からずれていたとしても、凹部の近接側壁に部品が接触することを抑制しつつ部品を凹部から取り出すことができる。そして、ヘッドの無駄な動きをさらに低減した制御ができる。
【0015】
上記構成において、前記算出部は、前記カメラによって撮像された前記画像に基づいて、前記凹部に収容された前記部品の回転角度を算出し、前記ヘッド制御部は、前記判定部によって前記距離が閾値以下であると判定された場合に、前記近接側壁から前記部品が遠ざかる方向に前記部品が前記回転角度分回転するように前記ヘッドを回転させてもよい。
【0016】
このような部品実装機によると、凹部に収容された部品が回転していたとしても、部品を凹部から取り出すときに、その回転を補正し、部品が凹部の側壁に接触することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、部品を部品供給テープから取り出す際のリスクを軽減することが可能な部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】凹部から部品を取り出す処理を示すフローチャート
【
図10】実施形態2において凹部の上方にヘッドを移動させる動作を示す説明図
【
図11】部品をヘッドで吸着して凹部から取り出す動作を示す説明図
【
図12】実施形態3においてカメラの撮像により得られた画像を示す図
【
図13】部品をヘッドで吸着して回転させる動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図9によって説明する。
図1に示すように、部品実装機10は、基台11と、基板PT(二点鎖線で示す)を搬送する搬送コンベア18と、ヘッドユニット60と、ヘッドユニット60を基台11上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置12と、を備えている。尚、以下の説明において、
図1の図示左右方向をX方向とし、図示上下方向をY方向とし、
図2の図示上下方向をZ方向とする。
【0020】
搬送コンベア18は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア18は、X方向に循環駆動する一対の搬送ベルト19を備えており、搬送ベルト19上の基板PTをX方向に搬送する。
【0021】
部品実装機10は、
図1に示す左側が、基板PTが搬入される入り口となっている。基板PTは、搬送コンベア18により当該入り口から機内へと搬入され、基台11中央の作業位置まで運ばれた後、作業位置で停止される。
【0022】
一方、基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、フィーダ装着部13が4箇所設けられている。これら各フィーダ装着部13には、部品Wを供給するフィーダ80が横並びに(X方向に沿って)多数設置されている。フィーダ80には、後述する部品供給テープ1が設けられている。
【0023】
作業位置では、ヘッドユニット60に搭載されたヘッド63(
図2参照)が、上記フィーダ80を通じて供給された部品Wを基板PT上に実装する実装処理を行う。実装処理後、基板PTは、搬送コンベア18によって
図1における図示右方向に運ばれ、機外に搬出される。
【0024】
駆動装置12は、一対の支持脚41、ヘッド支持体51、Y軸ボールねじ45、Y軸モータ47、X軸ボールねじ55、X軸モータ57を備える。基台11上には、一対の支持脚41が設置されている。一対の支持脚41は、作業位置の両側に位置しており、いずれもY方向に延びている。
【0025】
一対の支持脚41の上面には、Y方向に延びるガイドレール42が設けられている。ヘッド支持体51は、左右のガイドレール42に、長辺方向の両端部を嵌合させることで取り付けられている。
【0026】
右側の支持脚41には、Y方向に延びるY軸ボールねじ45が装着されている。Y軸ボールねじ45には、ボールナットが螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51とヘッドユニット60とがガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0027】
ヘッド支持体51は、X方向に延びている。
図2に示すように、ヘッド支持体51には、X方向に延びるガイド部材53が設けられている。ガイド部材53には、ヘッドユニット60が、ガイド部材53の軸に沿って移動自在に取り付けられている。ヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されている。X軸ボールねじ55には、ボールナットが螺合されている。
【0028】
X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されている。同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がガイド部材53に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0029】
従って、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を平面方向(XY方向)に移動操作できる。
【0030】
ヘッドユニット60には、部品の実装作業を行うヘッド63が列をなして複数個搭載されている。ヘッドユニット60は、R軸モータ77(
図5参照)の駆動により各ヘッド63の軸回りの回転と、Z軸モータ67の駆動により各ヘッド63の昇降(Z方向の移動)と、が可能な構成になっている。各ヘッド63は、その先端63A(
図8参照)から気体を吸引可能な構成とされ、フィーダ80を通じて供給される部品Wを吸着する動作(吸着動作)を行うことができる。尚、ヘッド63の先端63Aは、下面視円形状を呈している。
【0031】
部品実装機10は、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67、及びR軸モータ77を所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ80を通じて供給される部品Wに向かってヘッド63の先端63Aを移動させることができる。そして、部品実装機10は、ヘッド63の先端63Aで部品Wを吸引することによりフィーダ80から部品Wを取り出し、部品Wを基板PT上に実装する処理を実行することができる。
【0032】
図1及び
図2に示すように、部品実装機10は、基台11に固定され撮像面が上方に臨む部品認識カメラ17と、ヘッドユニット60に固定され撮像面が下方に臨む基板認識カメラ65と、を備える。部品認識カメラ17は、ヘッド63により取り出された部品Wの画像を撮像して、ヘッド63による部品Wの吸着姿勢を検出する機器である。
【0033】
基板認識カメラ65は、ヘッドユニット60とともに一体的に移動する構成とされている。基板認識カメラ65は、上記のX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構の駆動により、基板PT上の任意の位置の画像を撮像することができる。また、基板認識カメラ65は、フィーダ80の上方に移動することで、部品供給位置S(
図4参照)において後述する凹部20に収容された部品Wを撮像することもできる。尚、基板認識カメラ65は、本発明の「カメラ」に相当する。
【0034】
図3に示すように、フィーダ80に設けられた部品供給テープ1は、キャリアテープ2と、キャリアテープ2の上面2Bに貼着されたカバーテープ3と、を備える。キャリアテープ2の幅方向における片側の端部には、前後方向(キャリアテープ2が延びる方向)に沿って一定間隔で複数の係合孔2Aが開けられている。
図3では、基台11の中央側(
図4における部品供給位置S側)の方向を、前方向(送り方向)としている。
【0035】
キャリアテープ2は、前後方向に一定間隔で複数設けられ、上方に開口した空洞状の凹部20を備える。各凹部20には、例えば、チップ抵抗等の上面視長方形状の部品Wが収容されている。凹部20に収容された部品Wは、フィーダ80によって前方向に送り出される。なお、
図3に示す例では、上面視において、キャリアテープ2の幅方向を長辺とする長方形状の各凹部20が示されている。しかしながら、各凹部20は、キャリアテープ2が延びる方向(前後方向)を長辺とする矩形状を呈していてもよい。
【0036】
繰り返しになるが、凹部20は、上面視、前後方向を短辺とする長方形状をなしている。
図3、
図7及び
図8に示すように、凹部20は、部品Wが載置された底面21と、底面21の周縁から上方に立ち上がった4つの側壁22と、を備える。4つの側壁22は、底面21に対し前側に配された前側壁22Fと、後側に配された後側壁22Bと、右側に配された右側壁22Rと、左側に配された左側壁22Lと、からなる。
【0037】
図4は、フィーダ80とヘッドユニット60の側面図である。
図4では、フィーダ80を全体に見て、部品Wが供給される位置である部品供給位置Sが設けられた方向を前方とし、その反対側を後方として示す。フィーダ80は、基板PTの搬送方向であるX方向(
図1参照)に対し、フィーダ80が搬送する部品供給テープ1(部品W)の搬送方向が直交するようにフィーダ装着部13に組付けられている。言い換えると、フィーダ80は、基板PTの搬送方向であるX方向(
図1参照)に対して直交する向きとなるようにフィーダ装着部13に組付けられている。従って、フィーダ80の前後方向は、Y方向と一致している。
【0038】
フィーダ80は、フレーム81と、スプロケット82と、リール84とを備える。フレーム81は、前後方向を長辺とする形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フレーム81には、部品供給テープ1を通すためのテープ通路(図示せず)が設けられている。
【0039】
リール84は、フレーム81の後部に位置している。リール84には、部品供給テープ1が渦巻状に巻き付けられている。部品供給テープ1は、フィーダ80のリール84からスプロケット82に向けて送られる。
【0040】
スプロケット82は、フレーム81の前部に位置しており、モータ(図示せず)の駆動により回転する。スプロケット82の外周には、キャリアテープ2の係合孔2Aと係合する歯部(図示せず)が等ピッチで設けられている。モータを駆動させてスプロケット82を回転させると、リール84から部品供給テープ1を引き出して部品供給位置Sに送り出すことができる。
【0041】
上記にいう部品供給位置Sは、フィーダ80におけるスプロケット82の直上に位置している。部品供給テープ1のカバーテープ3は、部品供給位置Sの後側において、図示しない露出ユニットによって剥がされる(又は切り開かれる)。これにより、部品供給位置Sには、凹部20に収容された部品Wが露出した状態で送り出される。
【0042】
基板認識カメラ65は、ヘッドユニット60が部品供給位置Sの上方に移動すると、凹部20に収容された部品Wを撮像する。ヘッドユニット60は、ヘッド63によって部品Wを吸着して凹部20から部品Wを取り出すことができる。
【0043】
図5は、部品実装機10の電気的構成を示すブロック図である。部品実装機10は、コントローラ(制御部)30を有している。コントローラ30は、算出部31と、判定部32と、ヘッド制御部33と、メモリ34とを備える。
【0044】
コントローラ30には、バスBSを介して、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67、R軸モータ77、部品認識カメラ17、基板認識カメラ65及びフィーダ80が電気的に接続されている。コントローラ30は、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータ67及びR軸モータ77を制御することで、ヘッドユニット60およびヘッド63の位置制御を行う。
【0045】
コントローラ30は、ヘッドユニット60のヘッド63が、部品供給位置Sに移動するタイミングに合わせて、フィーダ80に部品Wの供給指令を送る。フィーダ80は、コントローラ30から部品Wの供給指令を受けると、部品供給位置Sに部品Wを供給する。
【0046】
続いて、コントローラ30がヘッド63を移動させて凹部20から部品Wを取り出す処理について、
図6に示すフローチャートに沿って説明する。コントローラ30は、部品供給位置Sの上方に基板認識カメラ65を移動させ(S10)、基板認識カメラ65を用いて凹部20に収容された部品Wを上方から撮像する(S20)。
【0047】
算出部31は、基板認識カメラ65の撮像により得られた画像に基づいて、凹部20の複数の側壁22と部品Wとの距離を算出する(S30)。具体的には、
図7に示すように、算出部31は、後側壁22Bと部品Wの後側面WBとの距離L1、前側壁22Fと部品Wの前側面WFとの距離L2、右側壁22Rと部品Wの右側面WRとの距離L3、及び左側壁22Lと部品Wの左側面WLとの距離L4を算出する。なお、
図7の凹部20は、本開示における技術の理解を容易にするため、部品Wに対する大きさが誇張して示されている。後述において本開示の技術を説明するために参照する
図8から
図13についても同様である。
【0048】
このような各距離は、例えば、部品Wの形状や中心、部品Wの各側面の中央の位置、部品Wの電極の位置等といった部品情報を予めメモリ34に記憶させておき、算出部31が、当該部品情報と各側壁22の位置とを比較することにより、算出されてもよい。各側壁22の位置は、例えば、コントローラ30が、基板認識カメラ65の撮像により得られた画像に基づいて、凹部20の輪郭線(4つの側壁22がなす上面視長方形状の線)を識別することにより取得されてもよい。
【0049】
尚、算出部31は、部品Wが上下方向を軸として右回り又は左回りに回転した角度(回転角度)を、上記画像と部品情報に基づいて算出してもよい。本実施形態において、部品Wは、右回り又は左回りに回転しておらず、その回転角度が0度である。
【0050】
本実施形態では、部品Wは、凹部20の中心からやや後側にずれており、後側壁22Bに近接している。コントローラ30は、上記算出部31による上記各距離L1,L2,L3,L4の比較により、4つの側壁22のうち、最も小さい距離である距離L1に対応する後側壁22Bを、部品Wに最も近い近接側壁として識別する。
【0051】
続いて、判定部32は、上記各距離L1,L2,L3,L4が、予めメモリ34に記憶された閾値以下となるか否かをそれぞれ判定する(S40)。このような閾値としては、各側壁22から凹部20の中央に向かって数十μmの位置となる値を採用する。尚、
図7において、各側壁22から閾値分離間した領域が、破線Tで囲まれることにより示されている。
【0052】
判定部32により、上記各距離L1,L2,L3,L4が閾値以下ではないと判定された場合、コントローラ30は、ヘッド63を凹部20に降下させ、吸着動作を開始し、部品Wを吸着する(S50)。そして、コントローラ30は、ヘッド63が部品Wを吸着した状態を維持しつつ、ヘッド63を上昇させることで、凹部20から部品Wを取り出す(S80)。
【0053】
一方、判定部32により、上記各距離L1,L2,L3,L4のうち、少なくともいずれか一つが閾値以下であると判定された場合(近接側壁22Bと部品Wとの距離L1が閾値以下であると判定された場合)、コントローラ30は、ヘッド63を凹部20に降下させ、部品Wを吸着する(S60)。このとき、
図8に示すように、ヘッド制御部33が、ヘッド63の先端63Aを部品Wの中心(中央部)WC上に移動させる。そして、当該先端63Aがキャリアテープ2の上面2Bよりも下方に移動するまで(凹部20に入るまで)、ヘッド63を降下させる。具体的には、ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aと部品Wとが近接する(先端63Aと部品Wとの距離をDとした場合、例えば、0<D≦100μm程度となるまで近づける)まで先端63Aを降下させることにより、先端63Aを凹部20内に位置させる。ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aを凹部20に入れて部品Wに近接した状態(僅かに離れた状態)で、その先端63Aに負圧を供給することで、ヘッド63の吸着動作を開始させる。これにより、部品Wは、ヘッド63の先端63Aに吸着される。
【0054】
ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aに部品Wを吸着した状態で近接側壁である後側壁22Bから遠ざかる方向に、ヘッド63を移動させる。具体的には、ヘッド制御部33は、部品Wが前方に移動し、部品Wの後側面WBと後側壁22Bとの距離L1(
図7参照)が上記閾値を超えるように、ヘッド63を前方に移動させる。なお、ヘッド制御部33は、部品Wが底面21から離間するようにヘッド63を上昇させながら、ヘッド63を前方に移動させてもよい。
【0055】
また、ヘッド制御部33は、4つの側壁22のうち、部品Wを中心として後側壁22Bとは反対側に位置する反対側壁としての前側壁22Fに、部品Wが接触しないように、ヘッド63を移動させる。このような動作は、例えば、算出部31が、前側壁22Fと部品Wの前側面WFとの距離L2(
図7参照)から上述した閾値を引いた値となる移動可能距離L5を算出し、部品Wの前側面WFが移動可能距離L5を超えないように、ヘッド制御部33がヘッド63を前方に移動させればよい。また、ヘッド制御部33は、部品Wの中心WCが凹部20の中心に移動したときに、ヘッド63の前方への移動を停止するようにしてもよい。
【0056】
図9に示すように、ヘッド制御部33は、部品Wが後側壁22Bから遠ざかる方向に移動し、領域T(
図7参照)よりも部品Wの前後左右側の面が中央側に移動した後に、キャリアテープ2の上面2Bよりも部品Wが上方に移動するようにヘッド63を上昇させ、凹部20から部品Wを取り出す(S80)。
図9では、このようなヘッド63による部品Wの吸着から取り出しまでの間、部品Wの中心WCが移動する軌跡を、一点鎖線の矢印で示す。
【0057】
コントローラ30は、凹部20から取り出した部品Wを、基板PT上に移動させて実装するようにヘッド63を移動させる。
【0058】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、複数の側壁22を有する凹部20から部品Wを取り出して基板PTに実装する部品実装機10であって、凹部20に収容された部品Wを撮像する基板認識カメラ65と、凹部20に収容された部品Wを取り出して基板PTに移動させるヘッド63と、基板認識カメラ65によって撮像された画像に基づいて、複数の側壁22のうち部品Wに最も近い近接側壁22Bと部品Wとの距離を算出する算出部31と、算出部31によって算出された距離が閾値以下であるか否かを判定する判定部32と、判定部32によって距離が閾値以下であると判定された場合に、近接側壁22Bから部品Wが遠ざかる方向に部品Wが移動するようにヘッド63の動作を制御するヘッド制御部33と、を備える部品実装機10を示した。
【0059】
このような部品実装機10によると、凹部20の側壁22に対する部品Wの相対的な位置や向きを変更することが可能となり、部品Wをヘッド63で凹部20から取り出すときに、凹部20の側壁22に部品Wが接触しないようにヘッド63を動かすことができる。
【0060】
ヘッド制御部33は、ヘッド63が部品Wを吸着した状態で近接側壁22Bから遠ざかる方向にヘッド63を移動させる。このような部品実装機10によると、ヘッド63に吸着された部品Wを近接側壁22Bから離間させて取り出すことができ、近接側壁22Bに部品Wが接触することを抑制できる。
【0061】
ヘッド制御部33は、複数の側壁22のうち部品Wを中心として近接側壁22Bとは反対側に位置する反対側壁22Fに、部品Wが接触しないようにヘッド63を移動させる。このような部品実装機10によると、部品Wをヘッド63で凹部20から取り出すときに、部品Wを近接側壁22Bから離間させ過ぎて反対側壁22Fに接触させてしまうことを防止できる。
【0062】
ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aを凹部20に入れた状態でヘッド63の吸着動作を開始させる。このような部品実装機10によると、部品Wを安定してヘッド63の先端63Aに吸着させることができる。
【0063】
ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aを部品Wの中心WC上に移動させた状態で、ヘッド63の吸着動作を開始させる。このような部品実装機10によると、部品Wが凹部20の側壁22に接触することを抑制しつつ部品Wを安定してヘッド63の先端63Aに吸着させることができる。
【0064】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図10および
図11によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。また、本実施形態では、算出部31が凹部20の複数の側壁22と部品Wとの距離を算出した後の処理について説明する。
【0065】
判定部32により、近接側壁22Bと部品Wの後側面WBとの距離L1が閾値以下であると判定された場合、コントローラ30は、ヘッド63を凹部20上に移動させる。このとき、
図10に示すように、ヘッド制御部33は、部品Wの中心を基準として近接側壁22Bとは反対側である前方にヘッド63を移動させる。ヘッド制御部33は、ヘッド63が部品Wに接触していない非接触な状態であり、ヘッド63の先端63Aをキャリアテープ2の上面2Bよりも上方に位置した状態(ヘッド63の先端63Aを凹部20に入れない状態)を維持させる。
【0066】
また、ヘッド制御部33は、ヘッド63を、凹部20の中心20C上に移動させる。凹部20の中心20Cは、凹部20において、前後方向、左右方向、及び上下方向における中央となる位置とされる。このような中心20Cは、例えば、コントローラ30が取得した凹部20の輪郭線や、コントローラ30が識別したキャリアテープ2の係合孔2A(
図3参照)の位置等に基づいて、算出部31によって算出されてもよい。
【0067】
この状態で、ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aに負圧を供給することで、ヘッド63の吸着動作を開始させる。これにより、
図11に示すように、部品Wは、凹部20の底面21から離間し、後側壁22Bから遠ざかる方向である前上方向に斜めに飛翔する。
【0068】
ヘッド制御部33は、部品Wが、キャリアテープ2の上面2Bよりも上方に飛翔するような位置でヘッド63の先端63Aに部品Wを吸着させ、凹部20から部品Wを取り出す。尚、
図11では、このようなヘッド63の吸着動作による部品Wの飛翔によって部品Wの中心WCが移動する軌跡を、一点鎖線の矢印で示す。
【0069】
このような部品実装機によると、ヘッド63によって吸引することで部品Wを引き寄せて吸着するときに部品Wが近接側壁22Bに接触することを抑制しつつ、ヘッド63の無駄な動きを低減した制御ができる。
【0070】
また、このような部品実装機によると、近接側壁22Bとの接触を抑制しつつ部品Wを凹部20から一気に取り出すことができ、ヘッド63の無駄な動きをより低減した制御ができる。
【0071】
また、このような部品実装機によると、ヘッド63を凹部20の中心20C上に移動させてから吸着動作を開始するので、凹部20自体が所定の位置からずれていたとしても、凹部20の近接側壁22Bに部品Wが接触することを抑制しつつ部品Wを凹部20から取り出すことができる。そして、ヘッド63の無駄な動きをさらに低減した制御ができる。
【0072】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3を
図12および
図13によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。本実施形態では、コントローラ30が基板認識カメラ65を用いて凹部20に収容された部品Wを撮像した後の処理について説明する。
【0073】
算出部31は、基板認識カメラ65の撮像により得られた画像に基づいて、凹部20の複数の側壁22と部品Wとの距離と、部品Wの回転角度と、を算出する。具体的には、
図12に示すように、算出部31は、後側壁22Bと部品Wの後側面WBとの距離L6、前側壁22Fと部品Wの前側面WFとの距離L7、右側壁22Rと部品Wの右側面WRとの距離L8、及び左側壁22Lと部品Wの左側面WLとの距離L9を算出する。
【0074】
尚、本実施形態のように、部品Wが回転している場合は、凹部20の複数の側壁22と部品Wの角部との距離を算出することにより、上記各距離を算出することとしてもよい。例えば、算出部31は、後側面WBと右側面WRとが交わる角部と、後側壁22Bとの距離を、上記距離L6とし、前側面WFと左側面WLとが交わる角部と、前側壁22Fとの距離を、上記距離L7とし、右側面WRと前側面WFとが交わる角部と、右側壁22Rとの距離を、上記距離L8とし、左側面WLと後側面WBとが交わる角部と、左側壁22Lとの距離を、上記距離L9として算出してもよい。
【0075】
また、算出部31は、例えば、メモリ34に予め記憶させた部品情報(部品Wの形状や中心、部品Wの各側面の中央の位置、部品Wの電極の位置等)と、基板認識カメラ65の撮像により得られた画像とを比較することにより、部品Wの回転角度を算出してもよい。本実施形態において、部品供給位置Sに送り出された部品Wは、実施形態1に示すような回転角度(
図7参照)から、上下方向(紙面奥手前方向)を軸として10度右回り(時計回り)に回転している。
【0076】
ヘッド制御部33は、判定部32により、上記各距離L6,L7,L8,L9のうち、少なくともいずれか一つが閾値以下であると判定された場合(近接側壁22Bと部品Wとの距離L6が閾値以下であると判定された場合)、ヘッド63を凹部20に降下させ、部品Wを吸着する。このとき、ヘッド制御部33は、ヘッド63の先端63Aが部品Wの中心WC上に位置するようにヘッド63を移動させ、部品Wに向けて降下させる。その後、ヘッド制御部33は、ヘッド63の吸着動作を開始させる。
【0077】
図13に示すように、ヘッド制御部33は、近接側壁22Bから部品Wが遠ざかる方向に部品Wが上記回転角度(10度)分、左回り(反時計回り)に回転するようにヘッド63を回転させる。近接側壁22Bから部品Wが遠ざかる方向とは、後側面WBと右側面WRとが交わる角部と、後側壁22Bとの距離L6が大きくなる方向(当該角部と後側壁22Bとが離間する方向)とすることができる。尚、このとき、ヘッド制御部33は、部品Wが底面21から離間するようにヘッド63を上昇させながら、ヘッド63を回転させてもよい。
【0078】
そして、ヘッド制御部33は、キャリアテープ2の上面2Bよりも部品Wが上方に移動するようにヘッド63を上昇させ、凹部20から部品Wを取り出す。
【0079】
このような部品実装機によると、凹部20に収容された部品Wが回転していたとしても、部品Wを凹部20から取り出すときに、その回転を補正し、部品Wが凹部20の側壁22に接触することを抑制することができる。
【0080】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0081】
(1)上記実施形態1から3では、部品の形状は、上面視長方形状としたが、これに限られない。例えば、部品の形状は、正方形状、多角形状、円形状、不定形状であってもよい。この場合、部品の形状に応じた部品情報をメモリに記憶させておくこととしてもよい。
【0082】
(2)上記実施形態1から3では、基板認識カメラは、ヘッドユニットに取り付けられているが、これに限らない。例えば、基板認識カメラは、基台やその他の部分に取り付けられており、ヘッドユニットとは独立していてもよい。即ち、基板認識カメラは、部品供給位置に送り出された部品であって凹部に収容された部品が撮像できる位置に配されていればよい。
【0083】
(3)上記実施形態1から3では、ヘッドの先端は、下面視円形状としたが、これに限られない。例えば、ヘッドの先端は、下面視四角形状の形、下面視十字状の形、又は下面視円形状が2つ隣り合うように並んだ形であってもよい。
【0084】
(4)上記実施形態1、3では、ヘッドは気体を吸引する吸引式としたが、これに限られない。例えば、ヘッドは、一対のアームで部品を把持するクランプ式でもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…部品実装機、20…凹部、22…側壁、22B…後側壁(近接側壁)、22F…前側壁(反対側壁)、22L…左側壁、22R…右側壁、30…コントローラ(制御部)、31…算出部、32…判定部、33…ヘッド制御部、63…ヘッド、63A…先端、65…基板認識カメラ(カメラ)、PT…基板、W…部品、WC…部品の中心(中央部)