(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116640
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】光接続構造及び照明システム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20220803BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220803BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220803BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20220803BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220803BHJP
【FI】
G02B6/26 301
F21V8/00 300
F21S2/00 311
F21V9/32
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012919
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絵梨
【テーマコード(参考)】
2H137
3K244
【Fターム(参考)】
2H137AA10
2H137AB01
2H137AB06
2H137BA04
2H137BA06
2H137BB02
2H137BC02
2H137BC51
2H137BC52
2H137BC80
2H137DB12
2H137DB13
3K244AA04
3K244DA02
3K244DA24
(57)【要約】
【課題】波長変換部が発する光を効率良く光ファイバに入射することを可能にする技術を提供する。
【解決手段】波長変換部は、第1光ファイバが伝送する第1レーザ光の照射に応じて第1レーザ光の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する第1光を発する。波長変換部の表面は、第1光ファイバからレーザ光が直接照射される第1領域と、第1光を反射する第1部材上に位置する第2領域と、第1領域と非対向な第3領域とを有する。第2光ファイバは、第3領域に向いた入射面を有する。第1光は、波長変換部から直接出射される成分であって、第3領域から出射されて入射面に入射する第1成分と、第2領域から出射されて第1部材で反射して入射面に入射する第2成分とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を伝送する第1光ファイバと、
前記第1レーザ光が照射され、前記第1レーザ光の照射に応じて前記第1レーザ光の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する第1光を発する波長変換部と、
前記第1光が入射され、入射された前記第1光を伝送する第2光ファイバと、
前記第1光を反射する第1部材と
を備え、
前記波長変換部の表面は、
前記第1光ファイバから前記第1レーザ光が直接照射される第1領域と、
前記第1部材上に位置する第2領域と、
前記第1領域と非対向な第3領域と
を有し、
前記第2光ファイバは、前記第3領域に向いた入射面を有し、
前記第1光は、
前記波長変換部から直接出射される成分であって、前記第3領域から出射されて前記入射面に入射する第1成分と、
前記第2領域から出射されて前記第1部材で反射して前記入射面に入射する第2成分と
を含む、光接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の光接続構造であって、
前記第2光ファイバの前記入射面は、前記波長変換部に対して前記第1部材と反対側に位置する、光接続構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光接続構造であって、
前記第2領域は、前記第3領域と対向する第1対向領域を有する、光接続構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第1部材は、前記第1レーザ光を反射する部分を有する、光接続構造。
【請求項5】
請求項4に記載の光接続構造であって、
前記第2領域は、前記第1領域と対向する第2対向領域を有する、光接続構造。
【請求項6】
請求項5に記載の光接続構造であって、
前記第2領域は、前記第1領域の周辺に位置する周辺領域を有する、光接続構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第1光を反射する第2部材をさらに備え、
前記波長変換部の前記表面は、前記第2部材に位置する第4領域を有する、光接続構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第1光ファイバの出射面及び前記第2光ファイバの前記入射面の少なくとも一方は、前記波長変換部の前記表面に接触している、光接続構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第3領域は凹面である、光接続構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第3領域から出射される前記第1光の広がりを小さくして前記入射面に入射する光学部材をさらに備える、光接続構造。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記波長変換部は、前記第1レーザ光の照射に応じて、前記第1光を構成する蛍光を発する複数の蛍光体を含み、
前記波長変換部では、前記第1領域から遠ざかるほど、蛍光体の濃度が大きくなっている、光接続構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
第2レーザ光を伝送する第3光ファイバをさらに備え、
前記波長変換部は、前記第2レーザ光の照射に応じて前記第1光を発し、
前記第3光ファイバは、前記波長変換部の前記表面に対して、前記第1領域とは反対側から前記第2レーザ光を照射する、光接続構造。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記波長変換部は環状部材であって、
前記環状部材は、前記環状部材の周方向に並ぶ複数の部分を備え、
前記複数の部分のそれぞれは、前記第1レーザ光の照射に応じて前記第1光を発し、
前記複数の部分が発する前記第1光の波長スペクトルは互いに異なる、光接続構造。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第1部材の表面は、前記第2成分が照射される第5領域を有し、
前記第1部材の前記第5領域での光の反射率は、前記波長変換部の前記第2領域での光の反射率よりも大きい、光接続構造。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の光接続構造であって、
前記第1部材の熱伝導率は、前記波長変換部の熱伝導率よりも大きい、光接続構造。
【請求項16】
請求項15に記載の光接続構造であって、
前記第1部材が固定される放熱部材をさらに備え、
前記放熱部材の熱伝導率は、前記波長変換部の熱伝導率よりも大きい、光接続構造。
【請求項17】
第1レーザ光を伝送する第1光ファイバと、
前記第1レーザ光が照射され、前記第1レーザ光の照射に応じて前記第1レーザ光の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する第1光を発する波長変換部と、
前記第1光が入射され、入射された前記第1光を伝送する第2光ファイバと、
前記第1光を反射する第1部材と
を備え、
前記波長変換部の表面は、
前記第1光ファイバから前記第1レーザ光が直接照射される第1領域と、
前記第1部材上に位置する第2領域と
を有し、
前記第2光ファイバは、前記波長変換部の前記表面のうち、前記第1領域及び前記第2領域以外の第3領域に向いた入射面を有し、
前記入射面は、前記第1光ファイバの出射面と非平行であって、
前記第1光は、
前記波長変換部から直接出射される成分であって、前記波長変換部から出射されて前記入射面に入射する第1成分と、
前記第2領域から出射されて前記第1部材で反射して前記入射面に入射する第2成分と
を含む、光接続構造。
【請求項18】
第1レーザ光を伝送する第1光ファイバと、
前記第1レーザ光が照射され、前記第1レーザ光の照射に応じて前記第1レーザ光の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する第1光を発する波長変換部と、
前記第1光が入射され、入射された前記第1光を伝送する第2光ファイバと、
前記第1光を反射する第1部材と
を備え、
前記波長変換部の表面は、
前記第1光ファイバから前記第1レーザ光が直接照射される第1領域と、
前記第1部材上に位置する第2領域と
を有し、
前記第2光ファイバは、前記波長変換部の前記表面のうち、前記第1領域及び前記第2領域以外の第3領域に向いた入射面を有し、
前記入射面は、前記波長変換部に対して、前記第1光ファイバの出射面の反対側に位置せず、
前記第1光は、
前記波長変換部から直接出射される成分であって、前記波長変換部から出射されて前記入射面に入射する第1成分と、
前記第2領域から出射されて前記第1部材で反射して前記入射面に入射する第2成分と
を含む、光接続構造。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一つに記載の光接続構造を備え、前記光接続構造の前記波長変換部が発する前記第1光を照明光として放射する照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光の照射に応じて光を発する波長変換部が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長変換部が発する光を光ファイバで伝送する場合には、波長変換部が発する光を効率良く光ファイバに入射することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光接続構造及び照明システムが開示される。一の実施の形態では、光接続構造は、第1光ファイバと、波長変換部と、第2光ファイバと、第1部材とを備える。第1光ファイバは第1レーザ光を伝送する。波長変換部は、第1レーザ光が照射され、第1レーザ光の照射に応じて第1レーザ光の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する第1光を発する。第2光ファイバは、第1光が入射され、入射された第1光を伝送する。第1部材は第1光を反射する。波長変換部の表面は、第1光ファイバからレーザ光が直接照射される第1領域と、第1部材上に位置する第2領域と、第1領域と非対向な第3領域とを有する。第2光ファイバは、第3領域に向いた入射面を有する。第1光は、波長変換部から直接出射される成分であって、第3領域から出射されて入射面に入射する第1成分と、第2領域から出射されて第1部材で反射して入射面に入射する第2成分とを含む。
【0006】
また、一の実施の形態では、照明システムは、上記の光接続構造を備え、当該光接続構造の波長変換部が発する第1光を照明光として放射する。
【発明の効果】
【0007】
波長変換部が発する光を効率良く光ファイバに入射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図20】光接続構造を備えるシステムの一例を示す概略図である。
【
図21】光接続構造を備えるシステムの一例を示す概略図である。
【
図22】光接続構造を備えるシステムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は光接続構造1の一例を示す概略図である。以下では、
図1に示されるXYZ直交座標系を用いて光接続構造1について説明する。以下の説明では、-Z側を下側とし、+Z側を上側とする。
【0010】
図1に示されるように、光接続構造1は、例えば、光ファイバ2(第1光ファイバともいう)と、光ファイバ3(第2光ファイバともいう)と、波長変換部4と、基板5と、放熱部材6とを備える。光接続構造1は、光ファイバ2から出射されるレーザ光L1を波長変換部4に照射し、波長変換部4がレーザ光L1の照射に応じて出射する光L2を光ファイバ3に入射する。
図1には、光ファイバ2及び3の軸方向(光軸方向ともいう)に沿った断面が示されている。
【0011】
光ファイバ2は、レーザ光L1が入射され、入射されたレーザ光L1を伝送する。レーザ光L1は、光ファイバ2から波長変換部4に直接照射される。光ファイバ2の軸方向に垂直な方向の断面は、例えば円形をなしている。光ファイバ2は、例えば、波長変換部4よりも+X側に位置する。光ファイバ2は、例えばX軸方向に沿って延在している。
【0012】
光ファイバ2は、例えば、レーザ光L1を伝送するコア20と、当該コア20の周囲を覆うクラッド21とを備える。光ファイバ2は、例えば、石英ガラスから成る石英ファイバであってもよいし、プラスッチックから成るプラスチックファイバであってもよいし、他の材料から成る光ファイバであってもよい。光ファイバ2は、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。
【0013】
光ファイバ2はレーザ光L1が出射される出射面20aを有する。例えばコア20が出射面20aを有する。出射面20aは、例えば円形の平面であって、出射端面ともいえる。出射面20aは波長変換部4の近傍に位置する。出射面20aは波長変換部4の方を向いている。出射面20aから出射されるレーザ光L1は波長変換部4に直接照射される。レーザ光L1は、出射面20aから、例えば-X方向に沿って出射される。
【0014】
レーザ光L1としては、例えば、波長が460nm以下の短波長レーザ光が採用される。レーザ光L1は、440nm以下の短波長レーザ光であってもよい。この場合、レーザ光L1は、例えば405nmの紫色のレーザ光であってもよい。
【0015】
光ファイバ2は、クラッド21の周囲を覆う部材を備えてもよい。クラッド21の周囲を覆う部材は、1層で構成されてもよいし、複数層で構成されてもよい。クラッド21の周囲を覆う部材には保護層が含まれてもよい。
【0016】
波長変換部4は、光ファイバ2からのレーザ光L1の照射に応じて、当該レーザ光L1の波長スペクトルとは異なる波長スペクトルを有する光L2(第1光ともいう)を発することが可能である。光L2は例えば可視光である。波長変換部4の形状は例えば直方体である。
【0017】
波長変換部4の表面40は、例えば、互いに対向する平坦な上面45及び下面46を含む。上面45及び下面46のそれぞれは、例えばXY平面に沿って広がっている。上面45及び下面46のそれぞれは、例えばXY平面と平行をなしている。また、波長変換部4の表面40は、例えば、互いに対向する平坦な第1側面41及び第2側面42を含む。第1側面41及び第2側面42のそれぞれは、例えばYZ平面に沿って広がっている。第1側面41及び第2側面42のそれぞれは、例えばYZ平面と平行をなしている。また、波長変換部4の表面40は、例えば、互いに対向する平坦な第3側面43及び第4側面44を含む。第3側面43及び第4側面44のそれぞれは、例えばXZ平面に沿って広がっている。第3側面43及び第4側面44のそれぞれは、例えばXZ平面と平行をなしている。第1側面41、第2側面42、第3側面43及び第4側面44は、上面45と下面46を繋ぐ周側面48を構成する。本開示でいう平行とは、実質的に平行であればよく、誤差により平行からわずかにずれているもの、たとえば平行位置に対して数°傾いたものであってもよい。
【0018】
波長変換部4の表面40は、レーザ光L1が照射される被照射領域140(第1領域ともいう)を有する。
図1の例では、被照射領域140は、例えば波長変換部4の第1側面41に含まれる。レーザ光L1は第1側面41に直接照射される。被照射領域140は、光照射・受光計測装置等で画像の取得等をすることで特定することができる。第1側面41には、レーザ光L1のすべてが照射されてもよいし、レーザ光L1の一部だけが照射されてもよい。
【0019】
波長変換部4の表面40は、光L2を反射する部材がその上に位置する第2領域を有する。表面40に含まれる第2領域は、光L2を反射する部材に位置するとも言える。以後、波長変換部4の表面40上に位置し、かつ光L2を反射する部材を高反射率部材(第1部材あるいは第2部材ともいう)と呼ぶことがある。また、光L2を変換光L2と呼ぶことがある。本例では、高反射率部材として基板5が採用されている。高反射率部材は、変換光L2だけではなくレーザ光L1を反射することが可能であってもよい。
【0020】
高反射率部材に位置する第2領域には、例えば下面46が含まれる。
図1の例では、波長変換部4の表面40のうちの下面46上だけに基板5が位置することから、第2領域は下面46だけで構成されている。
【0021】
波長変換部4としては、例えば、蛍光体を含む蛍光体部分400が採用される。蛍光体部分400が含む蛍光体は、レーザ光L1の照射に応じて蛍光を発することができる。蛍光体が発する蛍光の波長スペクトルにおけるピークを示す波長(ピーク波長ともいう)は、レーザ光L1の波長スペクトルのピーク波長よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0022】
蛍光体部分400は例えば多数の蛍光体を含む。多数の蛍光体には、例えば1種類以上の蛍光体が含まれる。蛍光体部分400には、互いに異なるピーク波長を有する複数種類の蛍光体が含まれてもよい。この場合、蛍光体部分400には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて赤色(R)の蛍光を発する蛍光体(赤色蛍光体ともいう)と、レーザ光L1の照射に応じて緑色(G)の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体ともいう)と、レーザ光L1の照射に応じて青色(B)の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体ともいう)とが含まれてもよい。赤色蛍光体には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が620nmから750nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。緑色蛍光体には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が495nmから570nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。青色蛍光体には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が450nmから495nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。
【0023】
蛍光体部分400に複数種類の蛍光体が含まれる場合には、当該複数種類の蛍光体が発する蛍光が、蛍光体部分400が発する変換光L2を構成する。つまり、変換光L2は複数種類の色成分で構成される。蛍光体部分400に、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が含まれる場合には、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が発する蛍光が変換光L2を構成する。
【0024】
蛍光体部分400に複数種類の蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、互いに異なる複数の波長ピークを有する。例えば、蛍光体部分400に3種類以上の蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、互いに異なる3つ以上の波長ピークを有する。蛍光体部分400に、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が含まれる場合には、変換光L2の波長スペクトルは、赤色蛍光体が発する蛍光の波長ピークと、緑色蛍光体が発する蛍光の波長ピークと、青色蛍光体が発する蛍光の波長ピークとが含まれる。変換光L2は、疑似的な白色光であってもよいし、他の色温度の可視光であってもよい。
【0025】
なお、蛍光体部分400には、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体以外の蛍光体が含まれてもよい。蛍光体部分400には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて青緑色の蛍光を発する蛍光体(青緑色蛍光体ともいう)が含まれてもよい。また、蛍光体部分400には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて黄色の蛍光を発する蛍光体(黄色蛍光体ともいう)が含まれてもよい。蛍光体部分400には、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、青緑色蛍光体及び黄色蛍光体の少なくとも1種類の蛍光体が含まれてもよい。
【0026】
青緑色蛍光体には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が495nm程度の蛍光体が適用される。黄色蛍光体には、例えば、レーザ光L1の照射に応じて発する蛍光の波長スペクトルのピーク波長が570nmから590nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。
【0027】
波長変換部4(言い換えれば蛍光体部分400)での蛍光体の濃度は、第1側面41に照射されるレーザ光L1が、当該第1側面41に対向する第2側面42まで到達するように設定されてもよい。レーザ光L1が第2側面42まで届くことによって、変換光L2の発光領域を大きくすることができる。なお、波長変換部4での蛍光体の濃度が比較的低いときにはレーザ光L1は第2側面42まで届きやすく、波長変換部4での蛍光体の濃度が比較的高いときにはレーザ光L1は第2側面42まで届きにくくなる。
【0028】
蛍光体部分400は、例えば、多数の蛍光体を含む低融点ガラスで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分400は、多数の蛍光体を含む結晶化ガラスで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分400は、多数の蛍光体を含むセラミックで構成されてもよい。あるいは、蛍光体部分400は、蛍光性を有するバルク状のセラミックで構成されてもよい。この場合には、蛍光体部分400は蛍光体だけで構成されていると言える。
【0029】
基板5は、波長変換部4(言い換えれば蛍光体部分400)を支持する。基板5は、例えば、波長変換部4の下面46に接合されている。基板5は例えば直方体である。基板5の表面50は、互いに対向する平坦な上面51及び下面52と、上面51及び下面52を繋ぐ周側面53とを含む。波長変換部4は、例えば基板5の上面51に接合されている。上面51及び下面52は例えばXY平面と平行をなしている。
【0030】
高反射率部材としての基板5は、波長変換部4が発する変換光L2を反射することが可能である。また基板5は、例えばレーザ光L1を反射することが可能である。基板5は、変換光L2及びレーザ光L1を反射する部材として機能する。
【0031】
基板5は例えば金属で構成されている。基板5は、例えば、アルミニウムを主成分としたアルミニウム合金で構成されてもよいし、アルミニウムで構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。
【0032】
波長変換部4は、基板5に対して、直接接合されてもよいし、接合材が使用されて接合されてもよい。例えば、波長変換部4が多数の蛍光体を含む低融点ガラスで構成される場合、波長変換部4は基板5に対して酸素結合によって直接接合されてもよい。つまり、加熱により基板5の上面51に形成された酸化膜の酸素と、波長変換部4の低融点ガラス(言い換えれば酸化物ガラス)の酸素とが結合する酸化結合によって、波長変換部4は基板5に直接接合されてもよい。あるいは、基板5の上面51に例えば数μmの微小な凹凸が設けられて、当該凹凸が利用されたアンカー効果により、波長変換部4が基板5に直接接合されてもよい。つまり、波長変換部4の低融点ガラスが流動して基板5の上面51の凹凸に入り込んで硬化することによって、波長変換部4が基板5に直接接合されてもよい。また、波長変換部4は、例えば、レーザ光L1及び変換光L2が透過する透明樹脂から成る接合材が用いられて基板5に接合されてもよい。
【0033】
光ファイバ3は、入射される変換光L2を伝送する。光ファイバ3の軸方向に垂直な方向の断面は、例えば円形をなしている。光ファイバ3は、例えば、波長変換部4及び光ファイバ2よりも+Z側に位置する。光ファイバ3は、例えばZ軸方向に沿って延在している。光ファイバ2と光ファイバ3は、例えば互いに交差しないように配置されている。
【0034】
光ファイバ3は、例えば、コア30と、当該コア30の周囲を覆うクラッド31とを備える。コア30は、変換光L2が入射され、入射された変換光L2を伝送する。光ファイバ3は、例えば、石英ガラスから成る石英ファイバであってもよいし、プラスッチックから成るプラスチックファイバであってもよいし、他の材料から成る光ファイバであってもよい。光ファイバ3は、例えば、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。
【0035】
光ファイバ3は、変換光L2が入射される入射面30aを有する。例えばコア30が入射面30aを有する。入射面30aは、例えば円形の平面であって、入射端面ともいえる。入射面30aは波長変換部4の近傍に位置する。
【0036】
入射面30aは波長変換部4の方を向いている。入射面30aは、波長変換部4の表面40のうち、例えば、レーザ光L1が照射される被照射領域140と基板5に位置する下面46以外の領域に向いている。入射面30aは、波長変換部4の表面40のうち、例えば、被照射領域140(言い換えれば第1領域)と非対向な、つまり被照射領域140と対向していない第3領域に向いている。本例では、第3領域は例えば上面45である。入射面30aは、例えば、波長変換部4の上面45に向いている。入射面30aが向く第3領域(本例では上面45)の面積は、例えば、レーザ光L1が照射される被照射領域140の面積よりも大きくなっている。また、第2光ファイバ3の入射面30aが第3領域に向いているとは、例えば第3領域と入射面30aが平行な状態を、第3領域と入射面30aで成す角度を0度とすると、第3領域と入射面30aとの成す角度は、0度から60度程度であるものをいってもよい。また、第3領域から出射される光のうち、入射面30aに入る光の割合が他の箇所に入る割合よりも多いことをいってもよい。
【0037】
入射面30aは、例えば、波長変換部4の上面45の直上に位置する。入射面30aは、例えば上面45と対向している。入射面30aは例えば上面45と平行をなしている。入射面30aは例えばXY平面に平行をなしている。光ファイバ3は、例えば、波長変換部4の上面45に垂直な方向に沿って延びている。
【0038】
入射面30aは、光ファイバ2の出射面20aと非平行をなしている。つまり、光ファイバ3の入射面30aは、光ファイバ2の出射面20aと平行をなしていない。
図1の例では、入射面30aを含む平面と出射面20aを含む平面とは例えば直交する。
【0039】
入射面30aは、例えば、光ファイバ2からのレーザ光L1の出射方向(
図1の例では-X方向)に向いていない。入射面30aに垂直な方向(
図1の例ではZ軸方向)は、例えば、光ファイバ2からのレーザ光L1の出射方向(
図1の例では-X方向)と非平行をなしている。入射面30aは、例えば、光ファイバ2からレーザ光L1が直接入射されない位置に配置されている。入射面30aは、例えば、波長変換部4を透過したレーザ光L1が直接入射されない位置に配置されている。
【0040】
光ファイバ3は、クラッド31の周囲を覆う部材を備えてもよい。クラッド31の周囲を覆う部材は、1層で構成されてもよいし、複数層で構成されてもよい。クラッド31の周囲を覆う部材には保護層が含まれてもよい。
【0041】
光ファイバ3は、例えば、波長変換部4に対して基板5と反対側に位置する。光ファイバ3は、例えば、波長変換部4に対して上面45側に位置する。基板5は、例えば、波長変換部4に対して光ファイバ3と反対側に位置する。基板5は波長変換部4に対して下面46側に位置する。光ファイバ2は、波長変換部4に対して第1側面41側に位置する。
【0042】
本例では、波長変換部4の表面40において、光ファイバ3の入射面30aが向く上面45と対向する下面46上に基板5が位置する。波長変換部4の表面40において、入射面30aが向く第3領域と対向する第1対向領域上に高反射率部材が位置するといえる。
【0043】
波長変換部4が発する変換光L2は例えば第1成分L2aを含む。第1成分L2aは、波長変換部4から直接出射される成分であって、波長変換部4の表面40に含まれる、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域から出射されて光ファイバ3に入射する成分である。上述のように、本例では、第3領域は例えば上面45である。第1成分L2aは、変換光L2のうち、基板5で反射されずに波長変換部4の上面45から出射されて光ファイバ3に直接入射する成分であると言える。
【0044】
さらに、変換光L2は、波長変換部4の表面40に含まれる、基板5に位置する第2領域から出射されて基板5で反射して光ファイバ3に入射される第2成分L2bを含む。本例では、変換光L2のうち、波長変換部4の下面46から出射されて基板5で反射して光ファイバ3に入射される成分が第2成分L2bとなる。第2成分L2bは、基板5の上面51で反射され、その後、波長変換部4を透過して光ファイバ3に入射される。第2成分L2bには、波長変換部4を透過して上面45から出射されて光ファイバ3に直接入射する成分が含まれる。基板5の表面50は、第2成分L2bが照射される被照射領域150(第5領域ともいう)を有する。
図1の例では、被照射領域150は、基板5の上面51に含まれる。変換光L2は、第1成分L2a及び第2成分L2b以外にも、光ファイバ3に入射されない成分も含まれる。変換光L2は、第1成分L2a及び第2成分L2b以外の、光ファイバ3に入射される成分を含んでもよい。
【0045】
基板5の表面50での変換光L2の反射率は、例えば、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きい。被照射領域150は表面50に含まれ、基板5に位置する第2領域(本例では下面46)は表面40に含まれることから、被照射領域150での変換光L2の反射率は、波長変換部4の第2領域での変換光L2の反射率よりも大きいと言える。波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率は例えば数%である。基板5の表面50での変換光L2の反射率は、例えば35%以上である。基板5の表面50でのレーザ光L1の反射率は、これに限られず、例えば、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよいし、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0046】
なお、対象物での光の反射率は、当該光の波長にも依存し、当該光の波長が変化すれば当該反射率も変化する。また、反射率は、対象物の材料から特定することもできるし、測色計等で測定することもできる。
【0047】
基板5の表面50でのレーザ光L1の反射率は、例えば、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きい。被照射領域150は表面50に含まれ、基板5に位置する第2領域(本例では下面46)は表面40に含まれることから、被照射領域150でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の第2領域でのレーザ光L1の反射率よりも大きいと言える。波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率は例えば数%である。基板5の表面50でのレーザ光L1の反射率は例えば35%以上である。基板5の表面50でのレーザ光L1の反射率は、これに限られず、例えば、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよいし、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0048】
なお、基板5の表面50での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率以下であってもよい。また、基板5の表面50でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率以下であってもよい。
【0049】
放熱部材6は、波長変換部4で発生する熱を放出することが可能である。放熱部材6は、例えば、電源を不要とする部材で構成される。例えば、放熱部材6は、放熱フィンを有する金属製のヒートシンクで構成される。放熱部材6は、例えば、アルミニウムを主成分としたアルミニウム合金で構成されてもよいし、アルミニウムで構成されてもよいし、他の材料で構成されてもよい。放熱部材6は、基板5と同じ材料で構成されてもよいし、基板5と異なる材料で構成されてもよい。放熱部材6の熱伝導率は、例えば、波長変換部4の熱伝導率よりも大きい。また、基板5の熱伝導率は、例えば、波長変換部4の熱伝導率よりも大きい。本例では、放熱部材6だけではなく、基板5も、波長変換部4で発生する熱を放出することが可能である。放熱部材6の熱伝導率は、基板5の熱伝導率よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じであってもよい。なお、熱伝導率は、例えば、定常法と非定常法の2つの方法で測定できる。非定常法の中には、レーザフラッシュ法、ASTM E1530(準拠)の円板熱流計法、JIS R 2616(準拠)、ASTM D5930(準拠)の熱線(プローブ)法、ISO 22007-6の交流定常法等がある。
【0050】
放熱部材6には基板5が固定されている。波長変換部4が発する熱は、基板5を通じて放熱部材6に伝達し、放熱部材6から空間に放出される。基板5の放熱部材6への固定の方法としては様々な方法が考えられる。例えば、基板5と放熱部材6との間に放熱グリスを介在させた状態で基板5を放熱部材6にネジ止めしてもよい。あるいは、高熱伝導フィラーを含む接着剤で基板5を放熱部材6に固定してもよい。あるいは、シンタリングペーストで基板5を放熱部材6に固定してもよい。
【0051】
なお、放熱部材6は、電源を不要とする他の部材で構成されてもよい。例えば、放熱部材6は、ヒートシンクの一種であるヒートパイプで構成されてもよい。ヒートパイプでは、例えば、加熱部で作動液が蒸発して蒸気が発生し、その蒸気がヒートパイプの低温部に高速移動して当該低温部で凝縮し、その凝縮で得られた作動液が毛細管現象で加熱部に還流する。ヒートパイプでは、これらの相変化が連続的に行われることによって、放熱機能が実現される。また、放熱部材6は、電源を必要とする部材で構成されてもよい。例えば、放熱部材6は、ペルチェ素子で構成されてもよし、ファンで構成されてもよい。
【0052】
以上のように、本例の光接続構造1では、光ファイバ2からのレーザ光L1が波長変換部4に直接照射される。これにより、例えば、レーザ光L1を波長変換部4に照射するための、光学ミラー等を含む光学系(照射用光学系ともいう)が不要となる。本例とは異なり、光接続構造1が照射用光学系を備える場合、光接続構造1の組み上げ時に照射用光学系の各部品の位置調整が必要となり、光接続構造1の組み上げ作業が複雑となる。本例では、照射用光学系を不要にすることができることから、光接続構造1の組み上げ作業を簡素化することができる。また、光接続構造1の構成を簡素化することができる。
【0053】
また、本例の光接続構造1では、波長変換部4が発する変換光L2が光ファイバ3に直接入射する。これにより、例えば、変換光L2を光ファイバ3に入射するための、光学ミラー等を含む光学系(ファイバ入射用光学系ともいう)が不要となる。本例とは異なり、光接続構造1がファイバ入射用光学系を備える場合、光接続構造1の組み上げ時にファイバ入射用光学系の各部品の位置調整が必要となり、光接続構造1の組み上げ作業が複雑となる。本例では、ファイバ入射用光学系を不要にすることができることから、光接続構造1の組み上げ作業を簡素化することができる。また、光接続構造1の構成を簡素化することができる。
【0054】
なお、光接続構造1は、レーザ光L1のうち、波長変換部4の表面40で反射する成分を、波長変換部4に再度照射するための光学系を備えてもよい。また、光接続構造1は、変換光L2のうち光ファイバ3の入射面30aに向かって進まない成分を集光して光ファイバ3に入射するための光学系を備えてもよい。
【0055】
また、本例では、光ファイバ3の入射面30aが、波長変換部4の表面40において、レーザ光L1が照射される被照射領域140と異なる領域(
図1の例では上面45)に向いている。これに対して、例えば、光ファイバ3が、本例とは異なり、波長変換部4に対して第1側面41側に位置して、光ファイバ3の入射面30aが被照射領域140に向く場合、入射面30aを波長変換部4に近づける際に光ファイバ3が邪魔になる可能性がある。本例では、入射面30aが被照射領域140と異なるなる領域に向いていることから、入射面30aを波長変換部4に近づける際に光ファイバ3の干渉を受けにくくなる。よって、入射面30aを波長変換部4に近づけやすくなる。これにより、波長変換部4が発する変換光L2が光ファイバ3に入射されやすくなり、その結果、変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。
【0056】
また、本例では、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域(
図1の例では上面45)は、レーザ光L1が照射される被照射領域140とは非対向である。これに対して、例えば、光ファイバ3が、本例とは異なり、波長変換部4に対して第2側面42側に位置して、光ファイバ3の入射面30aが、被照射領域140と対向する第2側面42に向く場合、レーザ光L1のうち波長変換部4を透過した成分が入射面30aに入射しやすくなる。本例では、入射面30aは、波長変換部4の表面40において、被照射領域140と非対向な領域に向くことから、レーザ光L1が入射面30aに入射しにくくなる。よって、レーザ光L1が、変換光L2を伝送する光ファイバ3で意図せずに伝送される可能性が低減する。
【0057】
また、本例では、光ファイバ3の入射面30aが、波長変換部4に対して基板5と反対側に位置することから、光ファイバ3の入射面30aを波長変換部4に近づける場合に基板5の干渉を受けにくくなる。これにより、光ファイバ3の入射面30aを波長変換部4にさらに近づけやすくなる。
【0058】
また、本例では、波長変換部4の表面40に含まれる、高反射率部材(
図1の例では基板5)に位置する第2領域には、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域(
図1の例では上面45)に対向する第1対向領域(
図1の例では下面46)が含まれている。これにより、波長変換部4の表面40において、入射面30aが向く第3領域に対向する第1対向領域上に高反射率部材が位置することになる。変換光L2のうち、第1対向領域から出射されて高反射率部材で反射した成分は、第1対向領域と対向する第3領域から出射されて入射面30aに入射しやすいことから、入射面30aに入射する第2成分L2bの光量を大きくすることができる。その結果、波長変換部4が発する変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。
【0059】
また、本例では、波長変換部4の表面40において、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域(
図1の例では上面45)の面積は、被照射領域140の面積よりも大きくなっている。このように、第3領域の面積が大きい場合には、波長変換部4が発する変換光L2が光ファイバ3に入射されやすくなる。これにより、変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。なお、第3領域の面積は、被照射領域140の面積と同じであってもよいし、被照射領域140の面積よりも小さくてもよい。
【0060】
また、本例の光接続構造1では、高反射率部材としての基板5の被照射領域150での変換光L2の反射率が、波長変換部4の下面46での変換光L2の反射率よりも大きくなっている。このため、変換光L2のうち、波長変換部4の下面46から出射して基板5の被照射領域150で反射して光ファイバ3に入射する第2成分L2bの光量を大きくすることができる。これにより、波長変換部4が発する変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。その結果、接続ロスの少ない光接続構造1を実現することができる。
【0061】
また、本例の光接続構造1は、波長変換部4の熱伝導率よりも大きい基板5及び放熱部材6を備えることから、波長変換部4の発熱によりその性能が劣化する可能性を低減することができる。
【0062】
なお、光ファイバ2の出射面20a及び光ファイバ3の入射面30aの少なくとも一方は、波長変換部4の表面40に接触してもよい。
図2は、出射面20a及び入射面30aの両方が波長変換部4の表面40に接触している様子の一例を示す概略図である。出射面20a及び入射面30aの一方だけが波長変換部4の表面40に接触してもよい。このとき、光ファイバ2の出射面20a及び光ファイバ3の入射面30aは、一部が波長変換部4の表面40に接触してもよいし、全部が波長変換部4の表面40に接触してもよい。
【0063】
図2の例では、光ファイバ2の出射面20aは、例えば波長変換部4の第1側面41に接触している。出射面20aが波長変換部4の表面40に接触する場合、当該表面40での被照射領域140を小さくすることができる。よって、波長変換部4を小さくすることができる。
【0064】
図2の例では、光ファイバ3の入射面30aは、例えば波長変換部4の上面45に接触している。入射面30aが波長変換部4の表面40に接触する場合、波長変換部4が発する変換光L2が入射面30aに入射しやすくなる。これにより、波長変換部4が発する変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。
【0065】
光接続構造1は、複数の高反射率部材を備えてもよい。
図3は、光接続構造1が、基板5とは別に高反射率部材7を備える様子の一例を示す概略図である。高反射率部材7は、例えば金属膜である。高反射率部材7は、例えば、波長変換部4の表面40において、被照射領域140と対向する第2対向領域142上に位置する。
図3の例では、第2対向領域142は第2側面42に含まれる。第2対向領域142は、例えばX軸方向において被照射領域140と対向する。高反射率部材7は、例えば、第2側面42の全領域上に設けられている。高反射率部材7は、第2側面42に対して例えば蒸着されている。高反射率部材7は、例えば、銀、アルミニウム、チタンあるいはクロムで構成されてもよい。また、金属膜以外でも誘電体多層膜であってもよい。高反射率部材7が誘電体多層膜の場合には、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、フッ化マグネシウム等で構成されてもよい。このとき、透明で屈折率が高い膜(例えば、TiO
2、HfO
2)と透明で屈折率が低い膜(例えば、SiO
2、MgF
2)とが交互に積層される。
【0066】
高反射率部材7の表面での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きくてもよい。高反射率部材7の表面での変換光L2の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、高反射率部材7の表面での変換光L2の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0067】
図3の例のように、波長変換部4の表面40において、被照射領域140と対向する第2対向領域142上に高反射率部材7が位置することによって、変換光L2のうち第2対向領域142から出射される成分L2cを高反射率部材7で反射させて光ファイバ3に入射することができる。これにより、波長変換部4が発する変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。
【0068】
高反射率部材7は、レーザ光L1を反射する部材として機能してもよい。この場合、高反射率部材7の表面でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きくてもよい。高反射率部材7の表面でのレーザ光L1の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、高反射率部材7の表面でのレーザ光L1の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0069】
高反射率部材7がレーザ光L1を反射することが可能である場合、被照射領域140に照射されるレーザ光L1のうち、波長変換部4を透過して第2対向領域142から出射される透過成分を、高反射率部材7で反射させて波長変換部4に再度照射することができる。これにより、波長変換部4は、透過成分の照射に応じて光を発することから、波長変換部4の発光効率が向上する。
【0070】
なお、高反射率部材7の表面での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率以下であってもよい。また、高反射率部材7の表面でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率以下であってもよい。
【0071】
高反射率部材7は、第2側面42における第2対向領域142以外の領域に設けられなくてもよい。また、高反射率部材7は、波長変換部4の表面40において、第2側面42以外の領域に設けられてもよい。例えば、高反射率部材7は、第3側面43の少なくとも一部の上に設けられてもよいし、第4側面44の少なくとも一部の上に設けられてもよい。また、高反射率部材7は、上面45上に部分的に設けられてもよい。また、高反射率部材7は、波長変換部4の表面40のうち、被照射領域140の周辺に位置する周辺領域141に設けられてもよい。
図4は、高反射率部材7が周辺領域141に設けられている様子の一例を示す概略図である。
図4では、高反射率部材7が右上がりのハッチングで示されており、被照射領域140が右下がりのハッチングで示されている。周辺領域141は例えば第1側面41に含まれている。周辺領域141は、例えば、被照射領域140を取り囲んでいる。周辺領域141は、被照射領域140を取り囲んでいなくてもよい。
【0072】
波長変換部4の表面40には、複数の高反射率部材7が設けられてもよい。例えば、第2側面42と、第3側面43、第4側面44と、第1側面41に含まれる周辺領域141と、上面45のうちの少なくとも2つの領域に高反射率部材7が設けられてもよい。波長変換部4の表面40に設けられた複数の高反射率部材7には、互いに同じ材料からなる複数の高反射率部材7が含まれてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の高反射率部材7が含まれてもよい。
【0073】
図3の例のように、被照射領域140と対向する第2対向領域142に高反射率部材7が設けられる場合、
図4に示されるように被照射領域140の周辺に位置する周辺領域141にも高反射率部材7が設けられてもよい。この場合、レーザ光L1のうち、波長変換部4を透過して第2対向領域142から出射した透過成分が、第2対向領域142上の高反射率部材7で反射して波長変換部4に照射される。そして、波長変換部4に照射された当該透過成分のうち、波長変換部4を透過して、第2対向領域142の反対側の周辺領域141から出射した成分が、周辺領域141上の高反射率部材7で反射して波長変換部4に照射される。これにより、波長変換部4の発光効率が向上する。
【0074】
基板5の形状は上記の例に限られない。
図5は、上記の例とは異なる形状を有する基板5(基板5Aともいう)を備える光接続構造1の一例を示す概略図である。
図5には、基板5A及び波長変換部4の断面が斜線で示されている。
図6は、基板5A、波長変換部4及び光ファイバ2を+Z側から見た様子の一例を示す概略平面図である。
【0075】
図5及び6に示されるように、基板5Aは、例えば、波長変換部4の周側面48を取り囲んでいる。基板5Aは、例えば、波長変換部4の第1側面41、第2側面42、第3側面43及び第4側面44と対向している。基板5Aは、上面51に向かって開口する凹部55を有する。波長変換部4は凹部55内に収容されている。波長変換部4の第1側面41、第2側面42、第3側面43及び第4側面44は、例えば、凹部55の内面(内壁ともいう)に接合されている。波長変換部4は、凹部55の内面に対して、上記と同様にして直接接合されてもよいし接合材が使用されて接合されてもよい。凹部55の内面は、波長変換部4の周側面48の形状に応じた形状をなしている。
【0076】
波長変換部4の上面45は基板5の上面51から露出している。波長変換部4の上面45は、例えば、基板5の上面51と同一平面上に位置する。波長変換部4の上面45は、基板5の上面51よりも上側に位置してもよいし、下側に位置してもよい。
【0077】
基板5Aは、光ファイバ2が挿入される挿入孔56を有する、挿入孔56は、基板5Aの周側面53に向かって開口し、周側面53から凹部55内の空間まで達している。挿入孔56と凹部55内の空間とは繋がっている。挿入孔56は、例えば、波長変換部4の第1側面41を部分的に基板5Aから露出させている。光ファイバ2の少なくとも先端部は、挿入孔56に挿入されることによって、基板5Aに保持されている。光ファイバ2の出射面20aから出射されるレーザ光L1は、第1側面41のうち、挿入孔56によって基板5Aから露出した露出領域41aの少なくとも一部に照射される。したがって、被照射領域140は露出領域41aに含まれる。
【0078】
図5及び6の例では、波長変換部4の表面40に含まれる、高反射率部材としての基板5Aが位置する第2領域には、下面46だけではなく、第2側面42と、第3側面43と、第4側面44と、第1側面41に含まれる周辺領域141とが含まれる。
【0079】
ここで、変換光L2のうち、下面46から出射されて基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する成分を下面反射成分と呼び、第2側面42から出射されて基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する成分を第1側面反射成分と呼ぶ。また、変換光L2のうち、第3側面43から出射されて基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する成分を第3側面反射成分と呼び、第4側面44から出射されて基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する成分を第4側面反射成分と呼ぶ。そして、変換光L2のうち、第1側面41に含まれる周辺領域141から出射されて基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する成分を第1側面反射成分と呼ぶ。本例では、変換光L2に含まれる第2成分L2bには、下面反射成分、第1側面反射成分、第2側面反射成分、第3側面反射成分及び第4側面反射成分が含まれる。また、本例では、凹部55の内面が、基板5Aの表面50に含まれる、第2成分L2bが照射される被照射領域150を構成する。
【0080】
本例のように、基板5Aが、波長変換部4の表面40のうち、下面46だけではなく周側面48の上に位置することによって、光ファイバ3に入射する変換光L2の光量を大きくすることができる。よって、変換光L2を効率よく光ファイバ3に入射することができる。
【0081】
また、基板5Aが、波長変換部4の表面40のうち、下面46だけではなく周側面48の上に位置することによって、基板5A及び放熱部材6での放熱効果を向上することができる。よって、波長変換部4の発熱によりその性能が劣化する可能性を低減することができる。
【0082】
また、
図5及び6の例のように、基板5Aが第2側面42に含まれる第2対向領域142上に位置する場合には、レーザ光L1のうち波長変換部4を透過して第2対向領域142から出射される透過成分を基板5Aで反射させて波長変換部4に再度照射することができる。これにより、波長変換部4の発光効率が向上する。
【0083】
また、第2対向領域142及び周辺領域141の上に基板5Aが位置する場合には、レーザ光L1のうち、波長変換部4を透過して第2対向領域142から出射した透過成分が、第2対向領域142上の基板5Aで反射して波長変換部4に照射される。そして、波長変換部4に照射された当該透過成分のうち、波長変換部4を透過して周辺領域141から出射した成分が、周辺領域141上の基板5Aで反射して波長変換部4に照射される。これにより、波長変換部4の発光効率が向上する。
【0084】
なお、基板5は、第2側面42上に位置しなくてもよいし、第3側面43上に位置しなくてもよいし、第4側面44上に位置しなくてもよい。また、基板5は、周辺領域141上に位置しなくてもよい。また、基板5Aは、上面45上に部分的に位置してもよい。
【0085】
また、波長変換部4の周側面48を取り囲む基板5Aの形状は、上記の例に限られない。例えば、
図7に示されるように、基板5Aの上面51を凸状に形成し、それによって形成される凸部57に、波長変換部4を収容する凹部55を設けてもよい。
図7の例では、凸部57には、凹部55内の波長変換部4の第1側面41を部分的に露出させる露出孔58が設けられている。露出孔58を通じてレーザ光L1が第1側面41に照射される。
【0086】
上記の例では、レーザ光L1は、波長変換部4の周側面48に対して垂直に照射されているが、斜めに照射されてもよい。
図8及び9は、レーザ光L1が波長変換部4の周側面48に対して斜めに照射されている様子の一例を示す概略図である。
図8の例では、レーザ光L1は、第1側面41に対して、やや+Z側から(言い換えれば、やや上側から)斜めに照射されている。
図9の例では、レーザ光L1は、第1側面41に対して、やや-Z側から(言い換えれば、やや下側から)斜めに照射されている。レーザ光L1は、第1側面41に対して、+Y側から斜めに照射されてもよいし、-Y側から斜めに照射されてもよい。
【0087】
上記の例では、波長変換部4の形状は、直方体であったが、他の形状であってもよい。例えば、波長変換部4の形状は、立方体であってもよいし、円柱であってもよいし、角錐台であってもよいし、円錐台であってもよい。
図10は、円錐台状の波長変換部4(波長変換部4Aともいう)を備える光接続構造1の一例を示す概略図である。
図10には、基板5A及び波長変換部4Aの断面が斜線で示されている。
【0088】
円錐台状の波長変換部4Aの表面40(表面40Aともいう)は、互いに対向する平坦な上面145及び下面146と、上面145及び下面146を繋ぐ環状の周側面148とを有する。上面145及び下面146のそれぞれは、例えばXY平面と平行をなしている。上面145及び下面146は円形をなしている。上面145の半径は、例えば下面146の半径よりも大きい。よって、上面145の面積は下面146の面積よりも大きい。上面145の半径は、例えば下面146の半径よりも小さくてもよい。なお、上面145及び下面146の半径が同じである場合、波長変換部4Aは円柱状となる。
【0089】
波長変換部4Aは、基板5Aの凹部55に収容されている。凹部55の内面は、円錐台状の波長変換部4Aの表面40Aの形状に応じた形状となっている。波長変換部4Aの周側面148は、例えば凹部55の内面に接合されている。波長変換部4Aは、凹部55の内面に対して、直接接合されてもよいし、接合材が使用されて接合されてもよい。
【0090】
波長変換部4Aの周側面148の一部は、基板5Aに設けられた挿入孔56によって露出している。挿入孔56に挿入された光ファイバ2から出射されるレーザ光L1は、周側面148のうち、挿入孔56によって基板5Aから露出した露出領域148aの少なくとも一部に照射される。したがって、被照射領域140は露出領域148aに含まれる。
【0091】
波長変換部4Aの上面145は基板5Aから露出している。波長変換部4Aの上面145は、例えば、基板5Aの上面51と同一平面上に位置する。波長変換部4Aの上面145は、基板5Aの上面51よりも上側に位置してもよいし、下側に位置してもよい。
【0092】
光ファイバ3の入射面30aは上面145と対向している。入射面30aは上面145に向いており、上面145と例えば平行をなしている。被照射領域140は、光ファイバ3の入射面30aが向く上面145と非対向である。
図10の例では、波長変換部4Aの表面40Aに含まれる、高反射率部材としての基板5Aが位置する第2領域には、下面146と、周側面148のうち露出領域148a以外の領域とが含まれる。波長変換部4Aが発する変換光L2のうち第2領域から出射された成分は基板5Aで反射して光ファイバ3に入射する。
【0093】
図10の例では、波長変換部4Aの表面40Aでは、上面145の面積が、下面146の面積よりも大きくなっている。このように、波長変換部4Aの表面40Aにおいて、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域の面積を大きくすることによって、第3領域から出射される変換光L2が入射面30aに入りやすくなる。これにより、入射面30aに入射する変換光L2の光量を大きくすることができる。
【0094】
図10の例では、波長変換部4Aの表面40Aにおいて、被照射領域140とX軸方向で対向する第2対向領域142は周側面148に含まれる。また、被照射領域140の周辺に位置する周辺領域141は周側面148に含まれる。基板5Aは、第2対向領域142上に位置しているが、第2対向領域142上に位置しなくてもよい。また、基板5Aは、周辺領域141上に位置しているが、周辺領域141上に位置しなくてもよい。また、基板5Aは、上面145上に部分的に位置してもよい。また、上述の
図7と同様に、基板5Aの上面51を凸状に形成し、それによって形成される凸部57に、波長変換部4Aを収容する凹部55を設けてもよい。
【0095】
上記の例では、波長変換部4の表面40に含まれる、光ファイバ3の入射面30aが向く第3領域(例えば上面45)は、平面であったが、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。
図11は、第3領域が凹面である場合の光接続構造1の一例を示す概略図である。
【0096】
図11の例では、波長変換部4の上面45が凹面を構成している。上面45は、例えば凹状の部分球面を構成している。このように、上面45が凹面であることによって、平面である場合と比較して、上面45から出射される変換光L2の広がりを小さくすることができる。これにより、光ファイバ3に伝搬する変換光L2の光量を大きくすることができる。よって、変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。なお、変換光L2の広がりは、出射面の大きさあるいは、入射面の入射光の大きさ、被照射面でのスポット径等の大きさを画像、目視、入射光の割合等の測定で確認できる。このとき、広がりを小さくするとは、凹面がない場合と比較したときに、四方八方に放射する状態から集光する状態、あるいはスポット径を小さくすることをいう。
【0097】
なお、第3領域が構成する凹面の形状は上記の例に限られない。例えば、第3領域が構成する凹面は、円錐あるいは角錐の側面と同じ形状であってもよいし、部分回転楕円面であってもよい。また、第3領域が構成する凹面は、平面がU字状に曲げられたものであってもよい。
【0098】
光接続構造1は、第3領域から出射される変換光L2の広がりを小さくして光ファイバ3の入射面30aに入射する光学部材を備えてもよい。この光学部材は、レンズであってもよいし、ミラーであってもよい。
図12及び13は、この場合の光接続構造1の一例を示す概略図である。
図12の例では、波長変換部4の上面45と光ファイバ3の入射面30aとの間にレンズ8が設けられている。
図13の例では、波長変換部4の上面45と光ファイバ3の入射面30aとの間にミラー9が設けられている。
図13には、ミラー9の断面が斜線で示されている。
【0099】
レンズ8には、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2が入射する。レンズ8は、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2の広がりを小さくして光ファイバ3の入射面30aに入射する。レンズ8は、例えば、変換光L2が入射する入射面81と、変換光L2を出射する出射面80とを有する。入射面81は上面45と対向し、出射面80は入射面30aと対向する。入射面81は例えば平面を構成し、出射面80は例えば凸曲面を構成する。入射面81は凹曲面を構成してもよい。
【0100】
ミラー9は、レンズ8と同様に、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2の広がりを小さくして光ファイバ3の入射面30aに入射する。ミラー9は、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2を反射する反射面90を有する。反射面90は、例えば、仮想的な回転楕円面(仮想回転楕円面ともいう)に沿った形状を有する。このようなミラー9は楕円ミラーとも呼ばれる。仮想回転楕円面の一方の焦点は、例えば、上面45上あるいは上面45の近傍に位置する。仮想回転楕円面の他方の焦点は、例えば、入射面30a上あるいは入射面30aの近傍に位置する。
【0101】
図12及び13の例のように、光接続構造1が、第3領域から出射される変換光L2の広がりを小さくして入射面30aに入射する光学部材を備えることによって、光ファイバ3に伝搬する変換光L2の光量を大きくすることができる。よって、変換光L2を効率良く光ファイバ3に入射することができる。
【0102】
また、光接続構造1がレンズ8及びミラー9等の光学部材を備えていてもよい。この場合には、
図11に示されるように第3領域を凹面にすることによって、光ファイバ3に入射する変換光L2の光量を大きくすることができる。
【0103】
波長変換部4において、蛍光体の濃度は均一であってもよいし、不均一であってもよい。後者の場合、波長変換部4では、レーザ光L1が照射される被照射領域140からその反対側に向かうほど、蛍光体の濃度が大きくなってもよい。言い換えれば、波長変換部4では、被照射領域140からそれ対向する第2対向領域142に向かうほど、蛍光体の濃度が大きくなってもよい。
図14はこの様子の一例を示す儀略図である。
図14では、波長変換部4が有する複数の蛍光体401が模式的に円形で示されている。
【0104】
図14に示される波長変換部4では、被照射領域140からその反対側の第2側面42に向かうほど、あるいは被照射領域140から遠ざかるほど、蛍光体401の濃度が大きくなっている。波長変換部4では、被照射領域140側での蛍光体401の濃度が小さく、第2側面42側での蛍光体401の濃度が高くなっている。
図14の例では、波長変換部4での蛍光体401の濃度は、被照射領域140から、上面45に沿って奥側に向かうほど、大きくなっている。なお、蛍光体の濃度は、走査電子顕微鏡等を用いて断面画像から測定したり、部分的に分光蛍光光度計を用いることで測定したりできる。
【0105】
このような波長変換部4は、蛍光体401の濃度が互いに異なる複数の蛍光体部分が一列に接合されることによって実現されてもよいし、一つの蛍光体部分内において蛍光体401の濃度を変化させることによって実現されてもよい。複数の蛍光体部分を接合する方法として、様々な方法が考えられる。例えば、複数の蛍光体部分は、加熱下で加圧することによって接合されてもよい。また、複数の蛍光体部分は、蛍光体部分の接合面をコロナ放電処理した上で圧着することによって接合されてもよい。また、複数の蛍光体部分は透明接着剤が使用されて接合されてもよい。また、蛍光体部分の基材がガラスである場合、複数の蛍光体部分を溶融接合してもよい。また、蛍光体部分の基材がセラミックである場合、複数の蛍光体部分を積層して焼成することで接合してもよい。
【0106】
このように、波長変換部4において、被照射領域140からその反対側に向かうほど、蛍光体の濃度が大きくなることによって、波長変換部4での発光強度のはらつきを低減することができる。
【0107】
ここで、例えば、波長変換部4において蛍光体の濃度がほぼ均一である場合を考える。蛍光体401はレーザ光L1によって励起されることによって発光することから、波長変換部4内でのレーザ光L1の強度は、レーザ光L1が表面40から奥に進むほど低下する。つまり、波長変換部4内でのレーザ光L1の強度は、被照射領域140からその反対側に向かうほど低下する。したがって、波長変換部4において蛍光体の濃度がほぼ均一である場合、波長変換部4での発光強度は、被照射領域140からその反対側に向かうほど低下し、波長変換部4での発光強度にばらつきが発生する。これにより、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2の強度にむらが発生することがある。
【0108】
これに対して、
図14の例では、波長変換部4において、被照射領域140からその反対側に向かうほど、蛍光体401の濃度が大きくなっている。これにより、波長変換部4での発光強度のばらつきを低減することができる。その結果、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2の強度のむらを低減することができる。
【0109】
なお、例えば波長変換部4において蛍光体の濃度がほぼ均一である場合、
図15に示されるように、波長変換部4の表面40に対して、被照射領域140とは反対側からレーザ光L3を照射してもよい。
【0110】
図15の例では、光接続構造1に、レーザ光L3を出射する光ファイバ12が設けられている。光ファイバ12は、レーザ光L3が入射され、入射されたレーザ光L3を伝送する。レーザ光L3の波長は、例えばレーザ光L1の波長と同じである。光ファイバ12は、例えば、波長変換部4よりも-X側に位置する。光ファイバ12は、例えばX軸方向に沿って延在している。レーザ光L1及びレーザ光L3は、一つのレーザ光源から出力されるレーザ光が2つに分けられて生成されてもよい。あるいは、レーザ光L1を出力するレーザ光源と、レーザ光L3を出力するレーザ光源とが別々に設けられてもよい。
【0111】
光ファイバ12は、例えば、レーザ光L3を伝送するコア120と、当該コア120の周囲を覆うクラッド121とを備える。光ファイバ12は、例えば、石英ガラスから成る石英ファイバであってもよいし、プラスッチックから成るプラスチックファイバであってもよいし、他の材料から成る光ファイバであってもよい。光ファイバ12は、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。
【0112】
光ファイバ12は、レーザ光L3が出射される出射面120aを有する。例えばコア120が出射面120aを有する。出射面120aは例えば円形の平面である。出射面120aは、例えば、波長変換部4の第2側面42に向いている。出射面120aは、例えば第2側面42と平行をなしている。出射面120aから出射されるレーザ光L3は第2側面42に直接照射される。光ファイバ12からはレーザ光L3が例えば+X方向に沿って出射される。波長変換部4の表面40は、レーザ光L3が照射される被照射領域144を有する。被照射領域144は、例えば第2側面42に含まれる。
【0113】
光ファイバ12は、クラッド121の周囲を覆う部材を備えてもよい。クラッド121の周囲を覆う部材は、1層で構成されてもよいし、複数層で構成されてもよい。クラッド121の周囲を覆う部材には保護層が含まれてもよい。
【0114】
図15の例のように、波長変換部4の表面40に対して、レーザ光L1が照射される被照射領域140とは反対側からレーザ光L3が照射されることによって、例えば波長変換部4において蛍光体の濃度がほぼ均一である場合であっても、波長変換部4での発光強度のばらつきを低減することができる。その結果、波長変換部4の上面45から出射される変換光L2の強度のむらを低減することができる。
【0115】
波長変換部4を基板5に接合する方法は上記の例に限られない。例えば、波長変換部4の下面46に金属膜13を設けて、当該金属膜13に対して基板5をはんだ付けすることによって波長変換部4を基板5に接合してもよい。
図16はこの場合の光接続構造1の一例を示す概略図である。
【0116】
金属膜13は波長変換部4の下面46に対して例えば蒸着されている。金属膜13は下面46上に位置する。金属膜13と基板5との間にははんだ層14が存在し、金属膜13が基板5にはんだ付けされている。金属膜13は、例えば、銀、アルミニウム、チタンあるいはクロムで構成されてもよい。金属膜13の熱伝導率は、例えば、波長変換部4の熱伝導率よりも大きい。
【0117】
金属膜13は、高反射率部材として機能してもよい。この場合、金属膜13の表面での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きくてもよい。金属膜13の表面での変換光L2の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、金属膜13の表面での変換光L2の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0118】
また、金属膜13は、レーザ光L1を反射する部材として機能してもよい。この場合、金属膜13の表面でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きくてもよい。金属膜13の表面でのレーザ光L1の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、金属膜13の表面でのレーザ光L1の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0119】
なお、金属膜13の表面での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率以下であってもよい。また、金属膜13の表面でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率以下であってもよい。
【0120】
また、金属膜13は多層膜であってもよい。この場合、金属膜13は、例えば、波長変換部4側から、チタンから成る層、白金から成る層及び金から成る層がこの順で積層された多層膜であってもよい。あるいは、金属膜13は、クロムあるいは銀から成る層、白金から成る層及び金から成る層がこの順で積層された多層膜であってもよい。あるいは、金属膜13は、クロムあるいは銀から成る層、ニッケルから成る層及び金から成る層がこの順で積層された多層膜であってもよい。
【0121】
金属膜13での変換光L2の反射率が波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きい場合には、基板5での変換光L2の反射率は波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率以下であってもよい。また、金属膜13でのレーザ光L1の反射率が波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きい場合には、基板5でのレーザ光L1の反射率は波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率以下であってもよい。
【0122】
光接続構造1は、
図17に示されるように、基板5を備えなくてもよい。
図17の例では、波長変換部4の下面46上の金属膜13が放熱部材6にはんだ付けされている。金属膜13と放熱部材6との間にはんだ層14が存在する。
【0123】
光接続構造1が基板5を備えない場合には、
図18に示されるように、波長変換部4は、放熱部材6に対して、はんだ等の接合材が使用されずに直接接合されてもよい。
図18の例では、波長変換部4の下面46が放熱部材6に直接接合されている。放熱部材6は波長変換部4の下面46上に位置する。例えば、波長変換部4が基板5に接合されるときのように、波長変換部4は酸素結合によって放熱部材6に直接接合されてもよい。あるいは、放熱部材6の表面に例えば数μmの微小な凹凸が設けられて、当該凹凸が利用されたアンカー効果により、波長変換部4が放熱部材6に直接接合されてもよい。
【0124】
波長変換部4が放熱部材6に直接接合される場合には、放熱部材6は高反射率部材として機能してもよい。この場合、高反射率部材が、波長変換部4が発する熱を放出する放熱部材として機能すると言える。放熱部材6の表面での変換光L2の反射率は、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きくてもよい。放熱部材6の表面での変換光L2の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、放熱部材6の表面での変換光L2の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0125】
また、波長変換部4が直接接合される放熱部材6は、レーザ光L1を反射する部材として機能してもよい。この場合、放熱部材6の表面でのレーザ光L1の反射率は、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きくてもよい。放熱部材6の表面でのレーザ光L1の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、放熱部材6の表面でのレーザ光L1の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0126】
なお、波長変換部4は、放熱部材6に直接接合されるのではなく、例えば、レーザ光L1及び変換光L2が透過する透明樹脂から成る接合材が用いられて放熱部材6に接合されてもよい。
【0127】
高反射率部材の表面の全領域において、変換光L2の反射率が、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きくなくてもよい。例えば、高反射率部材の表面において、変換光L2の反射率が、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きい領域は、変換光L2の第2成分L2bが照射される領域だけであってもよい。
【0128】
また、高反射率部材の表面の全領域において、レーザ光L1の反射率が、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きくなくてもよい。例えば、高反射率部材の表面において、レーザ光L1の反射率が、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きい領域は、レーザ光L1のうち波長変換部4を透過した透過成分が照射される領域だけであってもよい。例えば、
図1等の例のように基板5が高反射率部材として機能し、基板5がアルミニウム合金あるいはアルミニウムで構成される場合、基板5の放熱性を高めるために、基板5の表面50のうち被照射領域150以外の領域に対して黒アルマイト処理が行われてもよい。黒アルマイト処理された領域は黒色となり、変換光L2及びレーザ光L1を吸収する。これにより、基板5の表面50において、変換光L2の反射率が、波長変換部4の表面40での変換光L2の反射率よりも大きい領域が被照射領域150だけとなる。また、基板5の表面50において、レーザ光L1の反射率が、波長変換部4の表面40でのレーザ光L1の反射率よりも大きい領域が被照射領域150だけとなる。高反射率部材7に対しても同様の処理が行われてもよいし、高反射率部材として機能する金属膜13に対しても同様の処理が行われてもよいし、高反射率部材として機能する放熱部材6に対しても同様の処理が行われてもよい。
【0129】
上記の各例では、光接続構造1は放熱部材6を備えているが、光接続構造1は放熱部材6を備えなくてもよい。また、上記の例では、レーザ光L1は第1側面41に照射されているが、波長変換部4の表面40においてレーザ光L1が照射される領域は第1側面41以外であってもよい。レーザ光L1は、例えば、第2側面42に照射されてもよいし、第3側面43に照射されてもよいし、第4側面44に照射されてもよい。
【0130】
波長変換部4は、
図19に示されるように、例えば環状部材4Bであってもよい。
図19の例では、環状部材4Bは、例えば、細長い直方体を円環状に曲げた形状を有している。環状部材4Bの表面40Bは、例えば、互いに対向する環状の外周面411及び内周面412と、互いに対向する平坦な環状側面413及び414とを有する。環状側面413及び414は、例えば互いに平行をなしている。
【0131】
環状部材4Bは、例えば、環状部材4Bの周方向(単に周方向ともいう)に並ぶ複数の波長変換部分450を備える。複数の波長変換部分450は環状に接合されている。各波長変換部分450は、レーザ光L1の照射に応じて変換光L2を発する。複数の波長変換部分450が発する変換光L2の波長スペクトルは、例えば互いに異なっている。複数の波長変換部分450が発する変換光L2の色温度は、例えば互いに異なっている。複数の波長変換部分450の発光色は、例えば互いに異なっている。各波長変換部分450は、例えば、上述の蛍光体部分400と同様の構成を有する。複数の波長変換部分450は、例えば、複数の蛍光体部分についての上述の接合方法と同様にして環状に接合することができる。
図19の例では、環状部材4Bは、例えば3つの波長変換部分450a,450b,450cを備える。環状部材4Bを環状側面413側から見ると、波長変換部分450a,450b,450cは、この順で反時計回りに並んでいる。
【0132】
各波長変換部分450の表面は、互いに対向する外側の面451及び内側の面452と、互いに対向する平坦な側面453及び454とを有する。側面453及び454は、例えば互いに平行をなしている。複数の波長変換部分450の外側の面451が、環状部材4Bの外周面411を構成する。複数の波長変換部分450の内側の面452が、環状部材4Bの内周面412を構成する。複数の波長変換部分450の側面453が、環状部材4Bの環状側面413を構成する。複数の波長変換部分450の側面454が、環状部材4Bの環状側面414を構成する。
【0133】
光ファイバ2の出射面20aは、例えば環状側面413に向いている。出射面20aから出射されるレーザ光L1は、例えば環状側面413に照射される。光ファイバ3の入射面30aは、例えば外周面411に向いている。入射面30aには、外周面411から出射される変換光L2が入射する。入射面30aが向く外周面411は、レーザ光L1が照射される環状側面413と非対向である。
【0134】
環状部材4Bの内側空間には、例えば高反射率部材18が配置されている。高反射率部材18の形状は例えば円形板状である。高反射率部材18は、例えば上述の基板5と同様の材料で構成されている。高反射率部材18の外周面180は、例えば、環状部材4Bの内周面412に接合されている。高反射率部材18の環状部材4Bに対する接合方法は、例えば、波長変換部4の基板5に対する上述の接合方法と同様である。
【0135】
高反射率部材18の表面での変換光L2の反射率は、環状部材4B(言い換えれば波長変換部4)の表面40Bでの変換光L2の反射率よりも大きくてもよい。高反射率部材18の表面での変換光L2の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、高反射率部材18の表面での変換光L2の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0136】
高反射率部材18は、レーザ光L1を反射する部材として機能してもよい。この場合、高反射率部材18の表面でのレーザ光L1の反射率は、環状部材4B(言い換えれば波長変換部4)の表面40Bでのレーザ光L1の反射率よりも大きくてもよい。高反射率部材18の表面でのレーザ光L1の反射率は、例えば35%以上であってもよいし、40%以上であってもよいし、50%以上であってもよい。あるいは、高反射率部材18の表面でのレーザ光L1の反射率は、60%以上であってもよいし、70%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0137】
環状部材4Bは、例えば、周方向に回転可能である。環状部材4Bは、例えば、回転駆動機構900によって周方向に回転させられる。回転駆動機構900は、モータ等を備えてもよい。環状部材4Bは、環状側面413側から見て時計回りに回転してもよいし、反時計回りに回転してもよいし、両方向に回転してもよい。
【0138】
本例では、光ファイバ2及び光ファイバ3についての環状部材4Bに対する相対的な位置及び姿勢は一定である。光ファイバ2の出射面20aは、環状部材4Bが回転することによって、各波長変換部分450の側面453に向くことができる。また、光ファイバ3の入射面30aは、環状部材4Bが回転することによって、各波長変換部分450の外側の面451に向くことができる。
【0139】
このような構成を備える光接続構造1では、環状部材4Bが回転することによって、各波長変換部分450の側面453にレーザ光L1を照射することが可能である。これにより、環状部材4B(言い換えれば波長変換部4)から、波長スペクトルが互いに異なる複数種類の変換光L2が出射される。複数種類の変換光L2のそれぞれは光ファイバ3に入射される。
【0140】
例えば、
図19に示されるように、光ファイバ2の出射面20aが、波長変換部分450aの側面453に向くときに、出射面20aからレーザ光L1が出射されると、波長変換部分450aの側面453にレーザ光L1が照射されて、波長変換部分450aは変換光L2を発する。波長変換部分450aの外側の面451から出射される変換光L2は、光ファイバ3の入射面30aに入射される。波長変換部分450aが発する変換光L2のうち、波長変換部分450aの内側の面452から出射した成分は高反射率部材18で反射して、波長変換部分450aを通って入射面30aに入射する。
【0141】
図19の状態から、環状部材4Bが環状側面413側から見て時計回りに回転すると、光ファイバ2の出射面20aが、波長変換部分450bの側面453に向くようになる。このとき、出射面20aからレーザ光L1が出射されると、波長変換部分450bの側面453にレーザ光L1が照射されて、波長変換部分450aは変換光L2を発する。波長変換部分450bの外側の面451から出射された変換光L2は、光ファイバ3の入射面30aに入射される。
【0142】
環状部材4Bが環状側面413側から見て時計回りにさらに回転すると、光ファイバ2の出射面20aが、波長変換部分450cの側面453に向くようになる。このとき、出射面20aからレーザ光L1が出射されると、波長変換部分450cの側面453にレーザ光L1が照射されて、波長変換部分450cは変換光L2を発する。波長変換部分450cの外側の面451から出射された変換光L2は、光ファイバ3の入射面30aに入射される。
【0143】
環状部材4Bが環状側面413側から見て時計回りにさらに回転すると、光ファイバ2の出射面20aが、再度、波長変換部分450aの側面453に向くようになる。このとき、出射面20aからレーザ光L1が出射されると、波長変換部分450aが変換光L2を発する。波長変換部分450aの外側の面451から出射された変換光L2は、光ファイバ3の入射面30aに入射される。以後、光接続構造1は同様に機能して、環状部材4Bの回転に応じて、入射面30aに入射される変換光L2の波長スペクトル(言い換えれば色温度あるいは発光色)が変化する。
【0144】
なお、高反射率部材18は、波長変換部分450の側面454上に位置してもよい。また、高反射率部材18は、波長変換部分450の側面453において、レーザ光L1が照射される領域の周辺の領域上に位置してもよい。また、高反射率部材18は、波長変換部分450の外側の面451上に部分的に位置してもよい。高反射率部材18の表面での変換光L2の反射率は、環状部材4Bの表面40Bでの変換光L2の反射率以下であってもよい。また、高反射率部材18の表面でのレーザ光L1の反射率は、環状部材4Bの表面40Bでのレーザ光L1の反射率以下であってもよい。
【0145】
以上のような光接続構造1は様々なシステムにおいて利用されることができる。以下に、光接続構造1を備えるシステムの構成例について説明する。
【0146】
図20は、光接続構造1を備えるシステム500Aの構成の一例を示す概略図である。
図20に示されるシステム500Aは、例えば、光接続構造1の波長変換部4が発する変換光L2を照明光L5として放射する照明システムである。システム500Aが放射する照明光L5は、室内で利用されてもよい、屋外で利用されてもよい。
【0147】
図20に示されるように、システム500Aは、例えば、レーザ装置510と、照明光L5を放射する放射部520と、上述の光ファイバ2とを備える。放射部520は、光接続構造1における光ファイバ2以外の構成を備える。レーザ装置510と放射部520とは光ファイバ2で接続されている。
【0148】
レーザ装置510は、レーザ光L1を生成して光ファイバ2に入射することが可能である。レーザ装置510は光源511を備える。光源511はレーザ光L1を生成して出力することが可能である。光源511は例えばレーザダイオード(laser diode:LD)である。レーザダイオードは半導体レーザとも呼ばれる。光源511が出力するレーザ光L1は光ファイバ2に入射される。
【0149】
レーザ装置510のレーザ光L1の出力電力は、例えば、数W以上10W以下である。レーザ光L1の出力電力はこの限りではない。レーザ装置510が複数の光源511を備える場合、レーザ装置510のレーザ光L1の出力電力は、例えば10W以上であってもよい。
【0150】
光ファイバ2は、光源511が出力するレーザ光L1を放射部520まで伝送することが可能である。光ファイバ2は、光源511が出力するレーザ光L1を伝送して出射面20aから出射する。光ファイバ2の一端はレーザ装置510と接続され、光ファイバ2の他端は放射部520と接続されている。光ファイバ2は、レーザ装置510とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。また、光ファイバ2は、放射部520とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。
【0151】
光ファイバ2は放射部520の内部にまで進入している。光ファイバ2の出射面20aは、
図1等に示されるように、放射部520内の波長変換部4の近傍に位置している。光ファイバ2の出射面20aから出射するレーザ光L1は、放射部520内の波長変換部4に照射される。放射部520には、例えば長さの短い光ファイバ3が設けられている。放射部520内の波長変換部4が発する変換光L2は、放射部520内の光ファイバ3に入射される。光ファイバ3は、その入射面30aに入射された変換光L2を、放射部520内で伝送する。光ファイバ3から出射される変換光L2は照明光L5として放射部520の外部に放射される。放射部520は、光ファイバ3から出射される変換光L2が入射する光学系を備えてもよい。この光学系には、レンズ、拡散板及びリフレクタの少なくとも一つが含まれてもよい。放射部520が光学系を備える場合には、放射部520は、照明光L5の配光を調整する機能を有してもよい。
【0152】
なお、
図15に示されるように、光接続構造1が光ファイバ12を備える場合には、光ファイバ2と同様に、光ファイバ12の一端はレーザ装置510と接続され、光ファイバ12の他端は放射部520と接続される。光ファイバ12には、光源511が出力するレーザ光が入射されてもよいし、光源511とは別にレーザ装置510に設けられた光源が出射するレーザ光が入射されてもよい。
【0153】
図21は、光接続構造1を備える他のシステム500Bの構成の一例を示す概略図である。システム500Bは、システム500Aと同様に、光接続構造1の波長変換部4が発する変換光L2を照明光L5として放射する照明システムである。
【0154】
図21に示されるように、システム500Bは、例えば、レーザ光L1を生成し、生成したレーザ光L1を光L2に変換する変換装置550と、照明光L5を放射する放射部560と、上述の光ファイバ3とを備える。変換装置550は、光接続構造1における光ファイバ3以外の構成を備える。変換装置550と放射部560とは光ファイバ3で接続されている。光ファイバ3の一端は変換装置550と接続され、光ファイバ3の他端は放射部560と接続されている。光ファイバ3は、変換装置550とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。また、光ファイバ3は、放射部560とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。
【0155】
変換装置550は上記の光源511を備える。変換装置550には、例えば長さの短い光ファイバ2が設けられている。光源511が出力するレーザ光L1は、変換装置550内の光ファイバ2に入射される。光ファイバ2は、入射されたレーザ光L1を変換装置550内で伝送し、その出射面20aからレーザ光L1を出射する。光ファイバ2から出射されたレーザ光L1は、変換装置550内の波長変換部4に照射される。
【0156】
光ファイバ3は変換装置550内部にまで進入している。光ファイバ3の入射面30aは、
図1等に示されるように、変換装置550内の波長変換部4の近傍に位置している。波長変換部4が発する変換光L2は光ファイバ3の入射面30aに入射される。光ファイバ3は、入射された変換光L2を放射部560まで伝送する。
【0157】
放射部560は、光ファイバ3から出射される変換光L2を照明光L5として外部に放射する。放射部560は、変換光L2が入射する光学系を備えてもよい。この光学系には、レンズ、拡散板及びリフレクタの少なくとも一つが含まれてもよい。放射部560が光学系を備える場合には、放射部560は、照明光L5の配光を調整する機能を有してもよい。
【0158】
なお、光接続構造1が光ファイバ12を備える場合には、光ファイバ2と同様に、光ファイバ12は変換装置550に設けられる。この場合、光ファイバ12には、変換装置550内の光源511が出力するレーザ光が入射されてもよいし、光源511とは別に変換装置550に設けられた光源が出射するレーザ光が入射されてもよい。
【0159】
図22は、光接続構造1を備える他のシステム500Cの構成の一例を示す概略図である。システム500Cは、システム500A及び500Bと同様に、光接続構造1の波長変換部4が発する変換光L2を照明光L5として放射する照明システムである。
【0160】
図22に示されるように、システム500Cは、例えば、上述のレーザ装置510及び放射部560と、中継器580と、光ファイバ2及び3とを備える。中継器580は、光接続構造1における光ファイバ2及び3以外の構成を備える。
【0161】
レーザ装置510と中継器580とは光ファイバ2で接続されている。光ファイバ2の一端はレーザ装置510と接続され、光ファイバ2の他端は中継器580と接続されている。光ファイバ2は、レーザ装置510とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。また、光ファイバ2は、中継器580とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。
【0162】
中継器580と放射部560とは光ファイバ3で接続されている。光ファイバ3の一端は中継器580と接続され、光ファイバ3の他端は放射部560と接続されている。光ファイバ3は、中継器580とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。また、光ファイバ3は、放射部560とコネクタ接続されてもよいし、他の方法で接続されてもよい。
【0163】
光ファイバ2は、レーザ装置510の光源511が出力するレーザ光L1を中継器580まで伝送する。光ファイバ2は中継器580の内部にまで進入している。光ファイバ2の出射面20aは、
図1等に示されるように、中継器580内の波長変換部4の近傍に位置している。光ファイバ2の出射面20aから出射するレーザ光L1は、中継器580内の波長変換部4に照射される。
【0164】
光ファイバ3は中継器580内部にまで進入している。光ファイバ3の入射面30aは、
図1等に示されるように、中継器580内の波長変換部4の近傍に位置している。波長変換部4が発する変換光L2は光ファイバ3の入射面30aに入射される。光ファイバ3は、入射された変換光L2を放射部560まで伝送する。放射部560は、光ファイバ3から出射される変換光L2を照明光L5として外部に放射する。
【0165】
なお、光接続構造1が光ファイバ12を備える場合には、光ファイバ2と同様に、光ファイバ12の一端はレーザ装置510と接続され、光ファイバ12の他端は中継器580と接続される。この場合、光ファイバ12には、光源511が出力するレーザ光が入射されてもよいし、光源511とは別にレーザ装置510に設けられた光源が出射するレーザ光が入射されてもよい。
【0166】
光接続構造1を備えるシステムは、上記の例に限られない。例えば、光接続構造1は、内視鏡システムにおいて使用されてもよい。この場合、波長変換部4が発する変換光L2は、胃腸内等の体内を照らす照明光として利用される。また、光接続構造1は、照明光L5を放射する照明システム以外で使用されてもよい。例えば、光接続構造1はプロジェクタで使用されてもよい。この場合、波長変換部4が発する変換光L2が、プロジェクタの光源の光として利用されてもよい。
【0167】
以上のように、光接続構造及びそれを備えるシステムは詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0168】
1 光接続構造
2,3,12 光ファイバ(第1光ファイバ、第2光ファイバ、第3光ファイバ)
4,4A 波長変換部
4B 環状部材
5,5A 基板
6 放熱部材
7,18 高反射率部材
13 金属膜
20,30 コア
20a 出射面
30a 入射面
140,150 被照射領域
L1,L3 レーザ光
L2 変換光
L2a 第1成分
L2b 第2成分