IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-スクイズ容器 図1
  • 特開-スクイズ容器 図2
  • 特開-スクイズ容器 図3
  • 特開-スクイズ容器 図4
  • 特開-スクイズ容器 図5
  • 特開-スクイズ容器 図6
  • 特開-スクイズ容器 図7
  • 特開-スクイズ容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116660
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】スクイズ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20220803BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D83/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012957
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PB07
3E014PC04
3E014PD15
3E014PE17
3E014PF10
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB06
3E084AB09
3E084BA03
3E084CA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】吐出量を変更する。
【解決手段】スクイズ容器10は、内容物を収容するとともにスクイズ変形可能な容器本体11と、容器本体11に設けられた口部材12と、吐出孔27を有し、口部材12に対して進退可能に装着された吐出キャップ13と、口部材12に設けられ、容器本体11内と吐出孔27とを連通する連通孔40が形成された壁部材14と、を備え、吐出キャップ13は、壁部材14に対して進退することで連通孔40を拡縮させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容するとともにスクイズ変形可能な容器本体と、
前記容器本体に設けられた口部材と、
吐出孔を有し、前記口部材に対して進退可能に装着された吐出キャップと、
前記口部材に設けられ、前記容器本体内と前記吐出孔とを連通する連通孔が形成された壁部材と、を備え、
前記吐出キャップは、前記壁部材に対して進退することで前記連通孔を拡縮させる、スクイズ容器。
【請求項2】
前記吐出キャップは、前記口部材に対して容器軸方向に進退可能であり、
前記吐出キャップが下降端位置に位置するときに、前記連通孔の開口面積が最も小さい、請求項1に記載のスクイズ容器。
【請求項3】
前記壁部材は、前記口部材内に配置されるとともに、下端開口が前記容器本体内に開口し上端開口が前記連通孔とされた周壁状であり、
前記壁部材の上端には、前記壁部材の上端縁から下方に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置された複数のスリットが形成され、
前記壁部材の上端において、周方向に隣り合う前記スリットの間に位置する部分は、径方向の内側に弾性変形可能な弾性片とされ、
前記吐出キャップは、前記壁部材に対して進退して前記弾性片の弾性変形量を変化させることで、前記連通孔を拡縮させる、請求項2に記載のスクイズ容器。
【請求項4】
前記吐出キャップは、前記口部材に対して回転することで進退し、
前記スクイズ容器は、前記吐出キャップを覆うとともに前記口部材に対して着脱可能なオーバーキャップを更に備え、
前記オーバーキャップは、前記口部材に対して回転することで着脱され、
前記オーバーキャップには、前記口部材に対して離脱されていた前記オーバーキャップが前記口部材に装着されるときに前記吐出キャップに係止し、前記吐出キャップを前記オーバーキャップとともに前記口部材に対して回転させる係止部が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のスクイズ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクイズ容器では、一度のスクイズ操作で吐出される内容物の吐出量はほぼ一定である。近年、内容物の用途などによって、一度のスクイズ操作であっても吐出量を変更したい(例えば、多量の内容物、少量の内容物を吐出したい)という要望があった。
そこで例えば、下記特許文献1に記載の注出キャップをスクイズ容器に適用することが考えられる。この注出キャップでは、容器の胴部が押圧され、容器の内容物が加圧されたときに、内容物が注出される。この注出キャップは、スリットバルブと、ノズルと、を備えている。使用者は、注出キャップを操作し、内容物をスリットバルブから注出したり、内容物をノズルから注出したりする。その結果、この注出キャップでは、内容物の吐出量などが変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-70225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記注出キャップを適用したスクイズ容器のように、吐出量を変更することが求められている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、吐出量を変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係るスクイズ容器は、内容物を収容するとともにスクイズ変形可能な容器本体と、前記容器本体に設けられた口部材と、吐出孔を有し、前記口部材に対して進退可能に装着された吐出キャップと、前記口部材に設けられ、前記容器本体内と前記吐出孔とを連通する連通孔が形成された壁部材と、を備え、前記吐出キャップは、前記壁部材に対して進退することで前記連通孔を拡縮させる。
【0007】
このスクイズ容器によれば、使用者が内容物を吐出するときには、使用者が容器本体をスクイズ変形させる。すると、容器本体内の内容物が、連通孔を通り吐出孔から吐出される。そのため、内容物の吐出量は、連通孔の開口面積(流路断面積)によって変化する。
ここで吐出キャップが、壁部材に対して進退することで連通孔を拡縮させる。よって、吐出キャップが壁部材に対して進退し、連通孔の開口面積を変化させることで、内容物の吐出量を変化させることができる。例えば、吐出孔からの吐出量を使用者が少なくしたい場合には、使用者は、連通孔の開口面積が小さくなる位置に吐出キャップを位置させた状態で、容器本体をスクイズ変形させる。これにより、吐出孔から吐出される内容物の吐出量が少なくなる。一方、吐出孔からの吐出量を使用者が多くしたい場合には、使用者は、連通孔の開口面積が大きくなる位置に吐出キャップを位置させた状態で、容器本体をスクイズ変形させる。これにより、吐出孔から吐出される内容物の吐出量が多くなる。
以上より、このスクイズ容器によれば、吐出量を変更することができる。また、このスクイズ容器によれば、同一の吐出孔から異なる吐出量の内容物を吐出することができる。よって、例えば、複数の吐出孔を備えた上で所望する吐出量に応じて吐出孔を切り替える場合などと異なり、スクイズ容器において内容物の汚れがつく部分を1つの吐出孔周辺に集約させることができる。
【0008】
<2>上記<1>に係るスクイズ容器では、前記吐出キャップは、前記口部材に対して容器軸方向に進退可能であり、前記吐出キャップが下降端位置に位置するときに、前記連通孔の開口面積が最も小さい構成を採用してもよい。
【0009】
吐出キャップが下降端位置に位置するときに、連通孔の開口面積が最も小さい。よって、例えば、スクイズ容器が、吐出量が最も少ない状態であるか否かを、使用者が視認によって容易に確認すること等ができる。
【0010】
<3>上記<2>に係るスクイズ容器では、前記壁部材は、前記口部材内に配置されるとともに、下端開口が前記容器本体内に開口し上端開口が前記連通孔とされた周壁状であり、前記壁部材の上端には、前記壁部材の上端縁から下方に延びるとともに周方向に間隔をあけて配置された複数のスリットが形成され、前記壁部材の上端において、周方向に隣り合う前記スリットの間に位置する部分は、径方向の内側に弾性変形可能な弾性片とされ、前記吐出キャップは、前記壁部材に対して進退して前記弾性片の弾性変形量を変化させることで、前記連通孔を拡縮させる構成を採用してもよい。
【0011】
吐出キャップが、壁部材に対して進退して弾性片の弾性変形量を変化させることで、連通孔を拡縮させる。よって、連通孔の開口面積を確実に変形させることができる。
【0012】
<4>上記<1>から<3>のいずれか1項に係るスクイズ容器では、前記吐出キャップは、前記口部材に対して回転することで進退し、前記スクイズ容器は、前記吐出キャップを覆うとともに前記口部材に対して着脱可能なオーバーキャップを更に備え、前記オーバーキャップは、前記口部材に対して回転することで着脱され、前記オーバーキャップには、前記口部材に対して離脱されていた前記オーバーキャップが前記口部材に装着されるときに前記吐出キャップに係止し、前記吐出キャップを前記オーバーキャップとともに前記口部材に対して回転させる係止部が設けられている構成を採用してもよい。
【0013】
口部材に対して離脱されていたオーバーキャップが口部材に装着されるときに、オーバーキャップの係止部が吐出キャップに係止し、係止部が吐出キャップをオーバーキャップとともに口部材に対して回転させる。したがって、オーバーキャップを口部材に対して装着させるだけで、吐出キャップもオーバーキャップとともに口部材に対して移動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吐出量を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスクイズ容器の縦断面図である。
図2図1に示すスクイズ容器におけるかかり量Lを説明する拡大図である。
図3図1に示すスクイズ容器においてオーバーキャップを取り外した状態を説明する縦断面図である。
図4図3に示すスクイズ容器の平面図である。
図5図3に示すスクイズ容器における吐出キャップを上昇させた状態を説明する縦断面図である。
図6図5に示すスクイズ容器の平面図である。
図7図3に示すスクイズ容器に対してオーバーキャップを吐出キャップに被せ始める状態を説明する縦断面図である。
図8図7に示すスクイズ容器においてオーバーキャップを吐出キャップに被せ終わり、オーバーキャップを回転させる前の状態を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係るスクイズ容器10を説明する。
図1に示すように、スクイズ容器10は、容器本体11と、口部材12と、吐出キャップ13と、壁部材14と、オーバーキャップ15と、を備えている。
【0017】
ここで容器本体11、口部材12、吐出キャップ13、壁部材14およびオーバーキャップ15の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下では、前記共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ったオーバーキャップ15側を上側(一方側)といい、容器軸O方向に沿った容器本体11側を下側(他方側)という。容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器本体11は、内容物を収容する。容器本体11は、スクイズ変形可能である。内容物としては、例えば、はちみつなどの食品や、クリーム状の化粧品などが例示される。内容物は、一定の粘性を有する比較的、高粘度の内容物であることが好ましい。この種の高粘度の内容物は、スクイズ容器10を傾けただけではスクイズ容器10から吐出されず、容器本体11を傾けることでスクイズ容器10から吐出される。
容器本体11は、図示しない底部と、図示しない胴部と、口部21と、を備えている。胴部は、径方向の内側に向けてスクイズ変形可能(弾性変形)である。口部21は、胴部の上端に設けられている。
【0019】
口部材12は、容器本体11に設けられている。本実施形態では、口部材12は、容器本体11とは別部材である。口部材12は、多段の筒状である。口部材12は、大径部22と、中径部23と、小径部24と、を備えている。大径部22、中径部23、小径部24は、下方から上方に向けてこの順に配置されている。大径部22、中径部23、小径部24は、この順に段状に縮径している。
【0020】
大径部22は、容器本体11の口部21に装着されている。なお、大径部22が口部21に螺着されている場合、大径部22は、第1雄ネジ25や第2雄ネジ26とは逆ねじであることが好ましい。第1雄ネジ25は、中径部23の外周面に設けられている。第2雄ネジ26は、小径部24の外周面に設けられている。第1雄ネジ25および第2雄ネジ26は、順ねじである。
【0021】
小径部24の外周面には、凸部24aが更に設けられている。凸部24aは、第2雄ネジ26よりも上方に配置されている。凸部24aは、周条である。凸部24aは、周方向の全周にわたって延びている。凸部24aの突出量は、第2雄ネジ26のネジ山の突出量よりも小さい。
なお口部材12は、容器本体11と一体であってもよい。言い換えると、口部材12が容器本体11と一体成形されていてもよい。この場合、容器本体11の口部21が口部材12として機能可能である。
【0022】
吐出キャップ13は、吐出孔27を有する。吐出キャップ13は、口部材12に対して進退可能に装着されている。本実施形態では、吐出キャップ13は、口部材12に対して容器軸O方向に進退可能である。吐出キャップ13は、口部材12に対して回転することで進退する。
【0023】
なお本実施形態では、オーバーキャップ15が口部材12に対して装着された状態で、吐出キャップ13は、容器軸O方向への進退が規制される。この状態で、吐出キャップ13は、下降端位置に位置している。
一方、図3から図6に示すように、オーバーキャップ15が口部材12から離脱された状態では、前述の規制が解除される。この状態で、吐出キャップ13は、上昇端位置まで上昇(前進)する。
【0024】
図1に示すように、吐出キャップ13は、2段の筒状である。吐出キャップ13は、下筒28と、テーパー筒29と、上筒30と、を備えている。下筒28、テーパー筒29、上筒30は、下方から上方に向けてこの順に配置されている。上筒30は、下筒28よりも小径である。
下筒28は、小径部24に螺着される。下筒28の内周面には、第2雌ネジ31が設けられている。第2雌ネジ31は、第2雄ネジ26に螺合される。吐出キャップ13が下降端位置に位置する状態で、下筒28の下端は、口部材12の中径部23の上端に支持されている。これにより、吐出キャップ13の更なる下降(後退)が規制されている。
【0025】
下筒28の内周面には、第1凹部28aおよび第2凹部28bが更に設けられている。第1凹部28aおよび第2凹部28bはいずれも、第2雌ネジ31よりも上方に位置している。第1凹部28aは、第2凹部28bよりも上方に位置している。第1凹部28aおよび第2凹部28bはいずれも、周溝である。第1凹部28aおよび第2凹部28bはいずれも、周方向の全周にわたって延びている。第1凹部28aおよび第2凹部28bには、凸部24aが着脱自在に嵌合される。
【0026】
吐出キャップ13が下降端位置(後退端位置)に位置する状態で、凸部24aは第1凹部28aに嵌合している。これにより、吐出キャップ13の更なる下降(後退)が規制されている。
なお本実施形態では、(1)下筒28の下端が口部材12に支持されること、および、(2)凸部24aが第1凹部28aに嵌合すること、の両方によって、吐出キャップ13の更なる下降が規制されている。しかしながら、これらの(1)、(2)のうちの、少なくとも1つによって吐出キャップ13の下降が規制されている構成を採用することが可能である。
【0027】
一方、図5および図6に示すように、吐出キャップ13が上昇端位置(前進端位置)に位置する状態では、凸部24aは第2凹部28bに嵌合している。これにより、吐出キャップ13の更なる上昇(前進)が規制される。その結果、吐出キャップ13が口部材12に対して離脱することが規制される。
なお、吐出キャップ13が下降端位置と上昇端位置との間を進退するときには、凸部24aは、吐出キャップ13の内周面のうち、第1凹部28aと第2凹部28bとの間に位置する部分を摺動する。
【0028】
下筒28の外周面には、ローレットリブ32と、第1縦リブ33と、が設けられている。ローレットリブ32は、縦リブである。ローレットリブ32は、下筒28の全周にわたって複数(図示の例では3つ以上、より具体的には、2よりも大きい偶数個)、配置されている。第1縦リブ33は、ローレットリブ32よりも上方に配置されている。第1縦リブ33は、容器軸Oを間に挟んで2つ設けられている。各第1縦リブ33の下端は、複数のローレットリブ32のうちの1つのローレットリブ32の上端に連結されている。なおローレットリブ32がなくてもよい。
【0029】
テーパー筒29の下端は、下筒28の上端に連結されている。テーパー筒29は、下方から上方に向けて縮径している。テーパー筒29の上端の内径は、口部材12の小径部24の内径よりも小さい。テーパー筒29には、第1シール筒34が設けられている。第1シール筒34は、テーパー筒29の内周面から下方に延びている。第1シール筒34は、小径部24内に密に嵌合されている。第1シール筒34は、小径部24に対して摺動可能である。
上筒30の下端は、テーパー筒29の上端に連結されている。上筒30の内部が前記吐出孔27である。
【0030】
オーバーキャップ15は、吐出キャップ13を覆う。オーバーキャップ15は、口部材12に対して着脱可能である。オーバーキャップ15は、口部材12に対して回転することで着脱される。オーバーキャップ15は、口部材12に対して螺着されている。オーバーキャップ15は、口部材12に対して螺着された状態で、下降端位置に位置する。
オーバーキャップ15は、有頂筒状である。オーバーキャップ15は、周壁35と、頂壁36と、を備えている。
【0031】
周壁35は、吐出キャップ13を径方向の外側から覆う。周壁35は、下方から上方に向けて徐々に縮径している。周壁35は、テーパー状である。周壁35の下端は、吐出キャップ13から下方に突出している。周壁35の内周面には、第1雌ネジ37と、第2縦リブ38(係止部)と、が設けられている。
第1雌ネジ37は、第1雄ネジ25に螺合される。第1雄ネジ25は、周壁35の下端の内周面に設けられている。
【0032】
第2縦リブ38は、第1雄ネジ25よりも上方に配置されている。第2縦リブ38は、容器軸Oを間に挟んで2つ設けられている。第2縦リブ38は、第1縦リブ33に対して周方向に係止可能である。オーバーキャップ15の下降端位置において、第2縦リブ38は、第1縦リブ33に対して係止している。これにより、オーバーキャップ15が口部21に対して締め込み側に回転することが規制されている。その結果、オーバーキャップ15の更なる回転が規制されている。なお、オーバーキャップ15が口部21に対して緩み側に回転することは規制されていない。
【0033】
図2に示すように、オーバーキャップ15の下降端位置において、第1縦リブ33と第2縦リブ38との容器軸O方向のかかり量(オーバーラップ量)をLとする。かかり量Lは、第1縦リブ33の上端縁と、第2縦リブ38の下端縁と、の間の容器軸O方向の距離である。かかり量Lは、口部材12に対するオーバーキャップ15のねじピッチPよりも小さい。
【0034】
ねじピッチPは、同一の雄ネジまたは雌ネジにおいて、隣り合うネジ山(またはネジ谷)同士の間隔である。本実施形態では、ねじピッチPは、同一の雄ネジまたは雌ネジにおけるネジ山(またはネジ谷)のうち、周方向における所定の位置(同一の位置)に位置する部分であって、容器軸O方向に隣り合う部分同士の容器軸O方向に沿った距離である。
なお本実施形態では、第1雄ネジ25、第2雄ネジ26、第1雌ネジ37、第2雌ネジ31はいずれも2条ネジである。そのため、吐出キャップ13やオーバーキャップ15が口部材12に対して半周回転したとき、吐出キャップ13やオーバーキャップ15がねじピッチPと同等の距離、進退する。
【0035】
ここで本実施形態では、オーバーキャップ15の下降端位置において、第2縦リブ38が第1縦リブ33に対して係止していて、かつ、かかり量LがねじピッチPよりも小さい。そのため例えば、使用者が、オーバーキャップ15を下降端位置から上昇させる過程で半周させると、オーバーキャップ15が、かかり量Lよりも大きい距離であるねじピッチPの距離を上昇する。結果として、使用者がオーバーキャップ15を下降端位置から上昇させる過程で、第2縦リブ38が第1縦リブ33に再度、係止されることが無く、オーバーキャップ15が円滑に上昇する。
【0036】
このように、かかり量Lは、オーバーキャップ15を半周回したときにおけるオーバーキャップ15の進退量(容器軸O方向の移動量)よりも小さくなっている。
なお本実施形態では、第1縦リブ33および第2縦リブ38がそれぞれ2つであることから、かかり量Lの基準が、オーバーキャップ15を半周回、すなわち1/2周回したときであった。例えば、第1縦リブ33および第2縦リブ38が、周方向にn個、等間隔に配置されている場合、かかり量Lが、オーバーキャップ15を1/n周回したときにおけるオーバーキャップ15の進退量よりも小さく設定された構成を採用することが可能である。
【0037】
図1に示すように、頂壁36は、周壁35の上端を閉塞する。頂壁36は、吐出キャップ13を上方から覆う。頂壁36には、第2シール筒39が設けられている。第2シール筒39は、頂壁36から下方に延びている。第2シール筒39は、上筒30内(吐出孔27)に密に嵌合されている。第2シール筒39は、上筒30に対して摺動可能である。
【0038】
壁部材14は、口部材12に設けられている。壁部材14には、連通孔40が形成されている。連通孔40は、容器本体11内と吐出孔27とを連通する。壁部材14は、周壁状である。壁部材14の下端開口は、容器本体11内に開口している。壁部材14の上端開口が、連通孔40である。
【0039】
壁部材14は、口部材12内に配置されている。壁部材14の下端は、口部材12の小径部24内に配置されている。壁部材14の外周面と口部材12の内周面との間には、ブリッジ41が配置されている。ブリッジ41は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。壁部材14は、口部材12にブリッジ41を介して連結されている。本実施形態では、壁部材14は、口部材12と一体に形成されているが、壁部材14が、口部材12と別部材によって形成されていてもよい。
【0040】
壁部材14の上端は、小径部24から上方に突出している。壁部材14の上端は、吐出キャップ13内に配置されている。図示の例では、吐出キャップ13が下降端位置に位置するときに、壁部材14の上端は、吐出キャップ13の内周面に接し、弾性変形させられている。
【0041】
壁部材14の上端には、複数のスリット42が形成されている。各スリット42は、壁部材14の上端縁から下方に延びる。複数のスリット42は、周方向に間隔をあけて配置されている。壁部材14の上端において、周方向に隣り合うスリット42の間に位置する部分は、弾性片43とされている。弾性片43は、径方向の内側に弾性変形可能である。弾性片43は、周方向に複数設けられている。各弾性片43の周方向の大きさは、下方から上方に向けて大きくなっている。弾性片43が径方向の内側に変形すると、スリット42が周方向に狭められる。
【0042】
そして本実施形態では、図3から図6に示すように、吐出キャップ13は、壁部材14に対して進退することで連通孔40を拡縮させる。本実施形態では、吐出キャップ13は、壁部材14に対して進退して弾性片43の弾性変形量を変化させることで、連通孔40を拡縮させる。
【0043】
図3および図4に示すように、吐出キャップ13が下降端位置に位置するときに、連通孔40の開口面積が最も小さい。このとき連通孔40の開口面積は、吐出孔27の開口面積よりも小さい。連通孔40(弾性片43の上端縁)は、吐出キャップ13の上筒30内に位置している。またこのとき、弾性片43の外面(壁部材14の上端の外周面)は、テーパー筒29の内面に接している。弾性片43は、テーパー筒29の内周面の形状に倣い、径方向の内側に向けて弾性変形している。図示の例では、弾性片43は、下方から上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。その結果、スリット42が周方向に狭められている。
【0044】
図5および図6に示すように、吐出キャップ13が上昇端位置に位置するときに、連通孔40の開口面積が最も大きい。このとき連通孔40の開口面積は、吐出孔27の開口面積よりも大きい。連通孔40(弾性片43の上端縁)は、吐出キャップ13のテーパー筒29内に位置している。またこのとき、弾性片43の外面(壁部材14の上端の外周面)は、テーパー筒29の内面に接していない。弾性片43は、弾性変形されていない。スリット42は、周方向に狭められていない。スリット42は、上方から下方に向かうに従い周方向に小さくなっている。
【0045】
なお本実施形態では、吐出キャップ13が上昇端位置に位置するときに、吐出キャップ13が壁部材14から離れているが、吐出キャップ13が壁部材14に接触していてもよい。この場合であっても、例えば、上昇端位置に位置する吐出キャップ13が、下降端位置に位置する吐出キャップ13よりも、弾性片43を小さく弾性変形させることで、連通孔40の開口面積が小さくなる。
【0046】
次に、上記スクイズ容器10の使用方法について説明する。
【0047】
はじめに、使用者は、オーバーキャップ15を口部材12に対して緩み側に回転させ、オーバーキャップ15を口部材12から離脱させる。ここで本実施形態では、前述したようにかぶり量LがねじピッチPよりも小さい。そのため、オーバーキャップ15と口部材12との螺着が解除されるまで、オーバーキャップ15の第2縦リブ38が、吐出キャップ13の第1縦リブ33に係止することがない。よって、オーバーキャップ15のみが回転し、オーバーキャップ15が吐出キャップ13を回転させることなく、オーバーキャップ15が口部材12から離脱する。
【0048】
使用者が内容物を吐出するためには、オーバーキャップ15が口部材12から離脱した状態で、使用者が容器本体11をスクイズ変形させる。すると、容器本体11内の内容物が、連通孔40を通り吐出孔27から吐出される。そのため、内容物の吐出量は、連通孔40の開口面積(流路断面積)によって変化する。
【0049】
ここで吐出キャップ13が、壁部材14に対して進退することで連通孔40を拡縮させる。よって、吐出キャップ13が壁部材14に対して進退し、連通孔40の開口面積を変化させることで、内容物の吐出量を変化させることができる。なお使用者は、吐出キャップ13を壁部材14に対して進退させるとき、例えば、吐出キャップ13の下筒28(ローレットリブ32)を摘まみ、吐出キャップ13を回転させる。
【0050】
例えば、吐出孔27からの吐出量を使用者が少なくしたい場合には、使用者は、連通孔40の開口面積が小さくなる位置に吐出キャップ13を位置させた状態で、容器本体11をスクイズ変形させる。これにより、吐出孔27から吐出される内容物の吐出量が少なくなる。なお本実施形態では、図3および図4に示すように、吐出キャップ13が下降端位置に位置するときに、吐出孔27の開口面積は最も小さい。そのため、少量の内容物を吐出させるときには、使用者は、吐出キャップ13を下降端位置に位置させた状態で、容器本体11をスクイズ変形させる。
【0051】
一方、吐出孔27からの吐出量を使用者が多くしたい場合には、使用者は、連通孔40の開口面積が大きくなる位置に吐出キャップ13を位置させた状態で、容器本体11をスクイズ変形させる。これにより、吐出孔27から吐出される内容物の吐出量が多くなる。なお本実施形態では、図5および図6に示すように、吐出キャップ13が上昇端位置に位置するときに、吐出孔27の開口面積は最も大きい。そのため、多量の内容物を吐出させるときには、使用者は、吐出キャップ13を上昇端位置に位置させた状態で、容器本体11をスクイズ変形させる。
【0052】
内容物の吐出が完了した後、使用者は、オーバーキャップ15を口部材12に装着させる。
このとき図7に示すように、吐出キャップ13が上昇端位置に位置している場合には、まず、使用者は、オーバーキャップ15を吐出キャップ13に被せる。このとき図8に示すように、使用者は、オーバーキャップ15の第2シール筒39を吐出キャップ13の吐出孔27内に進入させ、オーバーキャップ15の第2縦リブ38を、吐出キャップ13において周方向に隣り合う2つの第1縦リブ33の間に進入させる。このときのかかり量Lは、前述したようにねじピッチPよりも小さい。
【0053】
その後、使用者は、オーバーキャップ15を口部材12に対して締め込み側に回転させる。すると、第2縦リブ38が第1縦リブ33に係止する。使用者が更にオーバーキャップ15を締め込み側に回転させると、第2縦リブ38が吐出キャップ13をオーバーキャップ15とともに口部材12に対して回転させ、オーバーキャップ15と吐出キャップ13とが供回りする。その結果、オーバーキャップ15および吐出キャップ13の両方が口部材12に対して絞め込まれ、オーバーキャップ15および吐出キャップ13の両方が下降端位置まで下降する。
なお本実施形態では、前述したようにかかり量Lが、ねじピッチPよりも小さい。そのため、オーバーキャップ15および吐出キャップ13を供回りさせる過程で、吐出キャップ13が下降端位置に到達したときに、オーバーキャップ15がまだ下降端位置に到達していないという状況が生じるおそれがない。
【0054】
一方、図示はしないものの、使用者は、オーバーキャップ15を口部材12に装着させるとき、オーバーキャップ15を口部材12に装着させる前に、吐出キャップ13が既に下降端位置に位置する場合も同様に、使用者は、オーバーキャップ15を吐出キャップ13に被せた後、オーバーキャップ15を口部材12に対して締め込み側に回転させる。このとき、オーバーキャップ15のみが口部材12に対して絞め込まれる。
なお本実施形態では、前述したようにかかり量Lが、ねじピッチPよりも小さい。そのため、オーバーキャップ15を回転させる過程で、オーバーキャップ15が下降端位置に到達する前に、第2縦リブ38が第1縦リブ33に係止するという状況が生じるおそれがない。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るスクイズ容器10によれば、吐出量を変更することができる。また、このスクイズ容器10によれば、同一の吐出孔27から異なる吐出量の内容物を吐出することができる。よって、例えば、複数の吐出孔を備えた上で所望する吐出量に応じて吐出孔を切り替える場合などと異なり、スクイズ容器10において内容物の汚れがつく部分を1つの吐出孔27周辺に集約させることができる。
【0056】
吐出キャップ13が下降端位置に位置するときに、連通孔40の開口面積が最も小さい。よって、例えば、スクイズ容器10が、吐出量が最も少ない状態であるか否かを、使用者が視認によって容易に確認すること等ができる。
【0057】
吐出キャップ13が、壁部材14に対して進退して弾性片43の弾性変形量を変化させることで、連通孔40を拡縮させる。よって、連通孔40の開口面積を確実に変形させることができる。
【0058】
口部材12に対して離脱されていたオーバーキャップ15が口部材12に装着されるときに、オーバーキャップ15の第2縦リブ38が吐出キャップ13に係止し、第2縦リブ38が吐出キャップ13をオーバーキャップ15とともに口部材12に対して回転させる。したがって、オーバーキャップ15を口部材12に対して装着させるだけで、吐出キャップ13もオーバーキャップ15とともに口部材12に対して移動させることができる。
【0059】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0060】
オーバーキャップ15がなくてもよい。
壁部材14は、前記実施形態に示した構成に限られない。例えば、壁部材14が周壁状でなくてもよい。例えば、壁部材14が、容器軸Oに直交する平板の壁状や、容器軸O上に中心が位置し上方に膨出する半球形の壁状などであってもよい。
吐出キャップ13が、口部材12に対して容器軸O方向に進退することに代えて、径方向に進退してもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 スクイズ容器
11 容器本体
12 口部材
13 吐出キャップ
14 壁部材
15 オーバーキャップ
27 吐出孔
35 周壁
40 連通孔
42 スリット
43 弾性片
O 容器軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8