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特開2022-116712機器制御システム、機器、装着型端末およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116712
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】機器制御システム、機器、装着型端末およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220803BHJP
   E05F 15/76 20150101ALI20220803BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220803BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20220803BHJP
   B63H 21/22 20060101ALI20220803BHJP
   B63H 25/00 20060101ALI20220803BHJP
   B62K 5/01 20130101ALI20220803BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20220803BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20220803BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20220803BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20220803BHJP
【FI】
A61B5/00 G
E05F15/76
E05B49/00 R
E05B49/00 J
G06F21/32
B63H21/22 Z
B63H25/00 Z
B62K5/01
A61B5/1171 100
A61B5/1172
A61B5/1171 300
A61B5/1171 200
G06Q50/22
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013028
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】白田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】友永 忠
(72)【発明者】
【氏名】鎌森 隆明
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
3D011
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052EB01
2E052EC02
2E250AA01
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250DD08
2E250EE03
2E250FF08
2E250FF23
2E250FF36
3D011AD01
3D011AD05
3D011AD12
3D011AD18
4C038FF05
4C038VA07
4C038VB03
4C038VB04
4C038VB13
4C038VC05
4C117XA05
4C117XB02
4C117XB07
4C117XC12
4C117XD04
4C117XD06
4C117XD15
4C117XD17
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE37
4C117XE43
4C117XE54
4C117XF22
4C117XG12
4C117XG22
4C117XG54
4C117XH16
4C117XJ12
4C117XJ42
4C117XR02
4C117XR20
5L099AA13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】利用者の身体に装着される端末で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を適切に制御する技術を提供する。
【解決手段】機器制御システム10は、利用者の身体に装着される装着型端末12と、駆動機構40を有する機器14とを備える。装着型端末12は、自端末を装着する利用者の体調に関する生体情報と、利用者を識別する識別情報とを取得する。機器14は、装着型端末12により取得された利用者の生体情報と識別情報とに基づいて、機器14の動作内容を決定する。機器14は、決定した動作内容に基づいて駆動機構40の動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着型端末を身体に装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、駆動機構を有する機器の動作内容を決定する決定部と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
を備える機器制御システム。
【請求項2】
前記生体情報取得部は、前記利用者の身体と前記装着型端末との接触を利用して前記生体情報を取得する
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて設定された前記生体情報の値の基準範囲を取得し、
前記生体情報取得部により取得された生体情報の値が前記基準範囲内か否かに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記識別情報と対応付けて前記利用者の過去の生体情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて、前記利用者の過去の生体情報を前記記憶部から取得し、
前記生体情報取得部により取得された生体情報と前記過去の生体情報との比較結果に基づいて、前記機器の動作内容を決定する
請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて前記利用者を認証する第1認証と、前記生体情報に基づいて前記利用者を認証する第2認証を実行し、
前記第1認証の結果と前記第2認証の結果とに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項6】
前記決定部は、現在時刻および前記機器の周辺環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
請求項1から5のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項7】
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、前記決定部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記制御部が、前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記決定された動作内容を前記機器に送信する
請求項1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項8】
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記決定部と、前記制御部と、が前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記生体情報と前記識別情報とを前記機器に送信する
請求項1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項9】
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記決定部が、前記装着型端末と前記機器との通信を中継する中継器に設けられ、
前記制御部が、前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記生体情報と前記識別情報とを前記中継器に送信し、
前記中継器は、前記決定された動作内容を前記機器に送信する
請求項1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項10】
前記機器は、車輪をモータで駆動可能な電動車椅子であり、
前記利用者は、前記電動車椅子に乗る被介護者であり、
前記決定部は、前記被介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記モータの動作態様を決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項11】
前記機器は、車輪をモータで駆動可能な電動車椅子であり、
前記利用者は、前記電動車椅子を押す介護者であり、
前記決定部は、前記介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記モータの動作態様を決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項12】
前記機器は、制動部を備える電動歩行車であり、
前記利用者は、前記電動歩行車を使用する歩行者であり、
前記決定部は、前記歩行者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記制動部の作動態様を決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項13】
前記機器は、船舶の推進機または舵機を制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記制御装置の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記推進機または前記舵機の制御を制限することを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項14】
前記機器は、船舶の推進機または舵機を制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記制御装置の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、操作者の変更を促す内容を表示させることを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項15】
前記機器は、車両のエンジンまたはステアリングを制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記車両の運転者であり、
前記決定部は、前記運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記エンジンまたはステアリングの制御を制限することを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項16】
前記機器は、車両のエンジンまたはステアリングを制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記車両の運転者であり、
前記決定部は、前記運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、運転者の変更を促す内容を表示させることを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項17】
前記機器は、建設機械であり、
前記利用者は、前記建設機械の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記建設機械の動作を制限することを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項18】
前記機器は、自動ドア装置であり、
前記利用者は、前記自動ドア装置を通行する通行人であり、
前記決定部は、前記通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、ドアの開動作を禁止することを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項19】
前記機器は、複数の自動ドア装置を含み、
前記利用者は、前記複数の自動ドア装置を通行する通行人であり、
前記決定部は、前記通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、前記通行人を隔離するように前記複数の自動ドア装置それぞれのドアの開閉を決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項20】
前記識別情報をもとに前記利用者を認証する認証部をさらに備え、
前記機器は、ビーコン受信機であり、
前記決定部は、認証結果が成功の場合、前記利用者が所定の位置に存在することを示す情報をサーバへ送信することを決定し、
前記決定部は、認証結果が失敗の場合、前記利用者が所定の位置に存在しないことを示す情報をサーバへ送信することを決定する
請求項1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項21】
利用者の身体に装着される装着型端末から出力された情報に基づいて動作する駆動機構を有する機器であって、
前記装着型端末を装着している間の前記利用者の体調に関する生体情報と、前記利用者を識別する識別情報とを取得する取得部と、
取得された生体情報と識別情報とに基づいて、本機器の動作内容を決定する決定部と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
を備える機器。
【請求項22】
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、外部機器に対する動作指令を決定する決定部と、
決定された動作指令を前記外部機器へ送信する送信部と、
を備える装着型端末。
【請求項23】
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の生体情報を定期的に取得する生体情報取得部と、
取得された生体情報に基づいて、前記利用者を定期的に認証する認証部と、
認証が成功した場合に、外部機器の動作制御に用いられる所定の情報を送信する送信部と、
を備える装着型端末。
【請求項24】
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とを外部機器へ送信する送信部と、
本装着型端末が前記利用者の身体から取り外されたことを検知する検知部と、
本装着型端末が前記利用者の身体から取り外された場合、取り外される前に取得された生体情報と識別情報とを前記外部機器へ送信する送信部と、
を備える装着型端末。
【請求項25】
装着型端末を身体に装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する機能と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する機能と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、駆動機構を有する機器の動作内容を決定する機能と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特に機器制御システム、機器、装着型端末およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の手首に装着可能な端末装置であって、生体情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合、被装着部位から取得した筋電位情報に基づく所定の通信を行う端末装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-9002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、利用者の本人認証の確実性や利便性を向上させるための内容が主であり、利用者の身体に装着される端末において取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を制御する技術は、これまで十分に提案されていなかった。
【0005】
本発明は本発明者の上記課題認識に基づいてなされたものであり、1つの目的は、利用者の身体に装着される端末で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を適切に制御する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機器制御システムは、装着型端末を身体に装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、取得された生体情報と取得された識別情報とに基づいて、駆動機構を有する機器の動作内容を決定する決定部と、決定された動作内容に基づいて駆動機構の動作を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、機器である。この機器は、利用者の身体に装着される装着型端末から出力された情報に基づいて動作する駆動機構を有する機器であって、装着型端末を装着している間の利用者の体調に関する生体情報と、利用者を識別する識別情報とを取得する取得部と、取得された生体情報と識別情報とに基づいて、本機器の動作内容を決定する決定部と、決定された動作内容に基づいて駆動機構の動作を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、装着型端末である。この装着型端末は、利用者の身体に装着される装着型端末であって、装着型端末を装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、取得された生体情報と取得された識別情報とに基づいて、外部機器に対する動作指令を決定する決定部と、決定された動作指令を外部機器へ送信する送信部と、を備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様もまた、装着型端末である。この装着型端末は、利用者の身体に装着される装着型端末であって、装着型端末を装着する利用者の生体情報を定期的に取得する生体情報取得部と、取得された生体情報に基づいて、利用者を定期的に認証する認証部と、認証が成功した場合に、外部機器の動作制御に用いられる所定の情報を送信する送信部と、を備える。
【0010】
本発明のさらに別の態様もまた、装着型端末である。この装着型端末は、利用者の身体に装着される装着型端末であって、装着型端末を装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、取得された生体情報と取得された識別情報とを外部機器へ送信する送信部と、本装着型端末が利用者の身体から取り外されたことを検知する検知部と、本装着型端末が利用者の身体から取り外された場合、取り外される前に取得された生体情報と識別情報とを外部機器へ送信する送信部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者の身体に装着される端末で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施例の機器制御システムの構成を示す図である。
図2】機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
図3】電動車椅子の機能ブロックを示すブロック図である。
図4】電動歩行車の機能ブロックを示すブロック図である。
図5】船舶の機能ブロックを示すブロック図である。
図6】車両の機能ブロックを示すブロック図である。
図7】建設機械の機能ブロックを示すブロック図である。
図8】自動ドア装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図9】複数の自動ドア装置が設置された施設の例を示す。
図10】ビーコン受信機の機能ブロックを示すブロック図である。
図11】第2実施例の機器制御システムの構成を示す図である。
図12】第3実施例の機器制御システムの構成を示す図である。
図13】第1変形例の装着型端末の機能ブロックを示すブロック図である。
図14】第2変形例の装着型端末の機能ブロックを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施例>
図1は、第1実施例の機器制御システム10の構成を示す。機器制御システム10は、装着型端末を身につけた利用者の体調に基づいて機器の動作を制御する情報処理システムである。機器制御システム10は、装着型端末12と機器14を備える。装着型端末12と機器14は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)等の無線通信により接続される。
【0015】
装着型端末12は、利用者の身体(例えば手首)に装着される情報処理装置である。機器14は、装着型端末12から出力された情報に基づいて動作する駆動機構を有する。後述するように、機器14は、電動車椅子、電動歩行車、船舶の制御装置、車両の制御装置、建設機械、自動ドア装置、またはビーコン受信機であってもよい。
【0016】
図1は、装着型端末12および機器14の機能ブロックを示すブロック図を含む。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
装着型端末12は、センサ部20、利用者識別部22、生体情報取得部24、利用者情報送信部26、通信部28を備える。センサ部20は、複数種類のセンサを含む。実施例のセンサ部20は、(1)装着型端末12を装着した利用者を識別するために必要な情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)を取得し、出力する第1センサを含む。また、センサ部20は、(2)装着型端末12を装着している間の利用者の体調(言い換えれば健康状態)に関する生体情報(例えば心拍数、血圧、体温、血中酸素飽和度等)を取得し、出力する第2センサを含む。
【0018】
利用者識別部22は、センサ部20(第1センサ)から出力された情報に基づいて、装着型端末12を装着した利用者を識別し、言い換えれば、装着型端末12を装着した利用者が誰かを特定する。例えば、利用者識別部22は、装着型端末12を装着し得る1人以上の利用者に関する属性情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)を記憶してもよい。利用者識別部22は、センサ部20(第1センサ)から出力された情報と、予め記憶した利用者に関する属性情報とを比較することにより利用者を識別してもよい。
【0019】
利用者識別部22は、識別情報取得部として、装着型端末12を装着した利用者を識別する識別情報を取得する。例えば、(1)利用者識別部22は、装着型端末12を装着し得る複数の利用者に対応する複数の識別情報を各利用者の属性情報と対応付けて予め記憶してもよい。利用者識別部22は、センサ部20(第1センサ)から出力された情報に基づいて、複数の識別情報の中から、装着型端末12を装着した利用者の識別情報を取得してもよい。
【0020】
また、(2)センサ部20(第1センサ)は、装着型端末12が利用者の身体に装着されたことを検知する装着センサとも言える。利用者識別部22は、センサ部20(第1センサ)から出力された情報に基づいて装着型端末12が利用者の身体に装着されたことを検知すると、不図示の外部サーバにID発行リクエストを送信して、外部サーバから利用者の識別情報を取得し、その識別情報を記憶してもよい。また、(3)利用者識別部22は、装着型端末12の固有情報(MACアドレス等)をユーザの識別情報として読み出し、記憶してもよい。
【0021】
生体情報取得部24は、センサ部20(第2センサ)から出力された、装着型端末12を装着している間の利用者の体調に関する生体情報を取得する。実施例の装着型端末12は、利用者の身体(例えば手首)に接触する部位を備える。センサ部20(第2センサ)は、当該接触部位を介して、利用者の生体情報を検知する。すなわち、実施例の生体情報取得部24は、利用者の身体と装着型端末12との接触を利用して当該利用者の生体情報を精度よく取得する。変形例として、センサ部20(第2センサ)は、非接触型のセンサであってもよく、利用者の身体に接触することなく、当該利用者の生体情報を取得する構成であってもよい。
【0022】
通信部28は、所定の通信プロトコルで外部機器と通信する。実施例では、通信部28は、装着型端末12の近傍に存在する外部機器と近距離無線通信(Wi-Fi通信等)を行う機能を含む。利用者情報送信部26は、利用者識別部22により識別された利用者の識別情報であり、利用者識別部22により取得された利用者の識別情報(例えば氏名、識別番号、ID文字列等)と、生体情報取得部24により取得された利用者の生体情報の両方を含む利用者情報を、通信部28を介して機器14へ送信する。
【0023】
利用者識別部22、生体情報取得部24、利用者情報送信部26に対応するモジュールが実装されたコンピュータプログラムが、装着型端末12のストレージにインストールされてもよい。装着型端末12のCPUは、上記コンピュータプログラムを装着型端末12のメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0024】
また、図1には不図示だが、装着型端末12は、表示部、演算部、記憶部、電源部をさらに含んでもよい。表示部は、電子ペーパーまたは液晶ディスプレイであってもよい。演算部は、利用者識別部22、生体情報取得部24、利用者情報送信部26を含んでもよい。演算部は、利用者識別の成否や生体情報等を表示部に表示させてもよい。表示部は、LEDであってもよく、LEDの点灯態様で情報を簡易に表示するものであってもよい。
【0025】
記憶部は、利用者を識別するための利用者に関する属性情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)を記憶してもよい。また、記憶部は、複数の時点で取得された複数の生体情報、言い換えれば、利用者の生体情報の時系列データを記憶してもよい。
【0026】
電源部は、一次電池または環境発電部を含んでもよい。一次電池は、コイン型電池またはボタン型電池であってもよい。環境発電部は、公知の環境発電技術を用いて、Wi-Fi等の電波、ノイズ、振動、音、光等をもとに発電してもよい。環境発電部は、その発電原理に応じて、装着型端末12の最適な位置に配置されてよい。なお、環境発電部に二次電池を設けてもよい。環境発電の余剰分を二次電池に蓄えることで、環境発電ができない状況においても、二次電池からの電力供給により動作を継続させることができる。
【0027】
機器14は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38、駆動機構40を備える。駆動機構40は、モータ等の各種アクチュエータを含んでもよく、また、様々な情報処理を実行する処理部であり、例えば、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより実現される処理部を含んでもよい。利用者情報取得部34、決定部36、制御部38に対応するモジュールが実装されたコンピュータプログラムが、機器14のストレージにインストールされてもよい。機器14のCPUは、上記コンピュータプログラムを装着型端末12のメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0028】
通信部32は、所定の通信プロトコルで外部機器と通信する。実施例では、通信部32は、装着型端末12と近距離無線通信(Wi-Fi通信等)を行う機能を含む。利用者情報取得部34は、装着型端末12から送信された利用者情報を、通信部32を介して受け付ける。
【0029】
記憶部30は、装着型端末12を装着する利用者ごとに予め定められた生体情報の値の基準範囲を記憶する。記憶部30は、装着型端末12を装着する各利用者の識別情報(氏名、識別番号、ID文字列等)と、各利用者の生体情報の値の基準範囲を対応付けて記憶する。実施例では、記憶部30は、基準範囲として、利用者の体調が正常と判断される生体情報の値の範囲(以下「正常範囲」と呼ぶ。)を記憶する。正常範囲は、利用者の体調が良好と判断される生体情報の値の範囲であってもよい。
【0030】
基準範囲(正常範囲)は、利用者の体調に関する複数種類の生体情報(例えば心拍数、血圧、体温等)のうち少なくとも1つの正常範囲を示すものであってもよい。例えば、基準範囲は、体温の正常範囲と、血圧の正常範囲の一方または両方を含んでもよい。また、基準範囲(正常範囲)は、利用者ごと、または、利用者の属性(年齢、性別等)ごとに、異なる範囲が定められてもよい。また、基準範囲(正常範囲)は、複数の利用者に亘り同じ範囲が定められてもよい。
【0031】
決定部36は、利用者情報取得部34により取得された利用者情報、すなわち、装着型端末12を装着した利用者の識別情報と、当該利用者の体調に関する生体情報とに基づいて、機器14の動作内容を決定する。機器14の動作内容は、駆動機構40の動作内容とも言える。実施例では、決定部36は、装着型端末12から送信された利用者の識別情報と対応付けられた当該利用者の正常範囲のデータを記憶部30から取得する。決定部36は、利用者情報が示す利用者の生体情報の値が、記憶部30から取得した正常範囲内か否かに基づいて、機器14の動作内容を決定する。
【0032】
例えば、記憶部30は、予め定められた、利用者の体調が正常である場合の機器14の動作内容と、利用者の体調が異常である場合の機器14の動作内容とを記憶してもよい。前者の動作内容は、機器14の通常時の動作を定めたものであってもよい。後者の動作内容は、通常時の動作を禁止することを定めたものであってもよく、通常時とは異なる動作を定めたものであってもよい。決定部36は、利用者情報が示す利用者の生体情報の値が正常範囲内である場合、利用者の体調を正常と判断し、前者の動作内容を選択してもよい。一方、決定部36は、利用者情報が示す利用者の生体情報の値が正常範囲外である場合、利用者の体調を異常と判断し、後者の動作内容を選択してもよい。
【0033】
なお、決定部36は、利用者の識別情報と対応付けられた、複数種類の生体情報の正常範囲のデータを記憶部30から取得してもよい。決定部36は、利用者情報が示す複数種類の生体情報の値がいずれも正常範囲内である場合に、利用者の体調を正常と判断してもよい。一方、決定部36は、利用者情報が示す複数種類の生体情報の値の少なくとも1つが正常範囲外である場合、利用者の体調を異常と判断してもよい。
【0034】
制御部38は、決定部36により決定された動作内容に基づいて駆動機構40の動作を制御する。例えば、決定部36により通常時の動作内容が決定された場合、制御部38は、駆動機構40に通常時の動作を実行させる。一方、決定部36により通常時の動作が禁止された場合、制御部38は、駆動機構40に通常時の動作を禁止する。また、決定部36により通常時とは異なる動作内容が決定された場合、制御部38は、駆動機構40に通常時とは異なる動作を実行させる。
【0035】
実施例では、生体情報の値の基準範囲として、正常範囲が定められるとしたが、基準範囲はこれに限られない。変形例では、生体情報の値の基準範囲として、体調が異常と判断される生体情報の値の範囲(以下「異常範囲」と呼ぶ。)が予め定められてもよい。異常範囲は、利用者の体調が不良と判断される生体情報の値の範囲であってもよい。正常範囲と同様に異常範囲も、複数種類の生体情報(心拍数、体温、血圧等)のそれぞれについて定められてもよい。
【0036】
この変形例では、決定部36は、利用者情報が示す利用者の生体情報の値が異常範囲内である場合、利用者の体調を異常と判断し、記憶部30に記憶された、利用者の体調が異常である場合の機器14の動作内容を選択してもよい。また、決定部36は、利用者情報が示す利用者の生体情報の値が異常範囲外である場合、利用者の体調を正常と判断し、記憶部30に記憶された、利用者の体調が正常である場合の機器14の動作内容を選択してもよい。
【0037】
別の変形例を説明する。記憶部30は、利用者情報取得部34により取得された利用者情報を蓄積してもよい。具体的には、記憶部30は、利用者情報取得部34により利用者情報が取得される都度、その利用者情報が示す利用者の識別情報と生体情報とを対応付けて記憶してもよい。言い換えれば、記憶部30は、利用者情報取得部34により取得された利用者情報を蓄積することにより、利用者の識別情報と対応付けて当該利用者の過去の生体情報を記憶してもよい。決定部36は、装着型端末12から送信された利用者の識別情報と対応付けられた当該利用者の過去の生体情報を記憶部30から読み出してもよい。決定部36は、装着型端末12から送信された今回の生体情報と、記憶部30から読み出した過去の生体情報との比較結果に基づいて、機器14の動作内容を決定してもよい。
【0038】
例えば、決定部36は、今回の生体情報が示す値(例えば今回の体温)と、前回の生体情報が示す値(例えば前回の体温)との差が所定の閾値以上である場合、利用者の体調を異常と判断してもよい。決定部36は、今回の生体情報が示す値と、前回の生体情報が示す値との差が上記閾値未満である場合、利用者の体調を正常と判断してもよい。複数種類の生体情報(体温、血圧、心拍数等)のそれぞれを比較する場合、決定部36は、少なくとも1種類の生体情報について今回の値と前回の値との差が上記閾値以上であれば、利用者の体調を異常と判断してもよい。
【0039】
また、決定部36は、今回の生体情報が示す値と、過去の複数の生体情報の平均値(例えば相加平均値や移動平均値)との差が所定の閾値以上である場合、利用者の体調を異常と判断してもよい。決定部36は、今回の生体情報が示す値と、過去の複数の生体情報の平均値との差が上記閾値未満である場合、利用者の体調を正常と判断してもよい。複数種類の生体情報(体温、血圧、心拍数等)のそれぞれを比較する場合、決定部36は、少なくとも1種類の生体情報について今回の値と過去の平均値との差が上記閾値以上であれば、利用者の体調を異常と判断してもよい。
【0040】
機器制御システム10は、実施例の構成に代えて変形例の構成を備えてもよく、実施例の構成と変形例の構成の両方を備えてもよい。例えば、決定部36は、生体情報の値の基準範囲として、正常範囲と異常範囲の両方を用いて、利用者の体調の良否を判断してもよい。また、決定部36は、基準範囲と、過去の生体情報の両方を用いて、利用者の体調の良否を判断してもよい。複数の要素を用いて利用者の体調を判断する場合、少なくとも1つの要素で利用者の体調を異常と判断した場合、決定部36は、利用者の体調を異常と確定してもよい。言い換えれば、決定部36は、複数の要素のいずれでも利用者の体調が正常と判断される場合に、利用者の体調を正常と確定してもよい。
【0041】
以上の構成による機器制御システム10の動作を説明する。
図2は、機器制御システム10の動作を示すフローチャートである。装着型端末12は、利用者情報の送信タイミングに至るまで待機し(S10のN)、利用者情報の送信タイミングに至った場合、そのことを検出し、S12以降の一連の処理を開始する(S10のY)。
【0042】
送信タイミングは、(1)利用者が装着型端末12を装着したとき、(2)装着型端末12と機器14が近距離無線通信で接続されたとき、(3)前回の利用者情報の送信から所定時間(例えば1分)が経過したとき、のいずれかであってもよい。また、送信タイミングは、上記(1)~(3)の任意の組み合わせであってもよい。
【0043】
(1)について、装着型端末12は、温度や静電容量等の変化に基づいて人の身体との着脱を検知する着脱センサを備えてもよく、装着型端末12が利用者の身体に装着された場合、そのことを検知してもよい。(2)について、装着型端末12の通信部28は、機器14と接続した場合に、そのことを他の機能ブロックに通知してもよい。(3)について、装着型端末12は、時間を計測する計時部を備えてもよい。計時部は、上記所定時間が経過するたびに、そのことを他の機能ブロックに通知してもよい。
【0044】
装着型端末12の利用者識別部22は、センサ部20(第1センサ)で検知された情報に基づいて、装着型端末12を装着した利用者を識別し、言い換えれば、利用者の本人確認を行う(S12)。装着型端末12の生体情報取得部24は、センサ部20(第2センサ)で検知された情報に基づいて、利用者の体調に関する生体情報を取得する(S14)。装着型端末12の利用者情報送信部26は、利用者の識別情報と生体情報とを含む利用者情報を機器14へ送信する(S16)。
【0045】
機器14の利用者情報取得部34は、装着型端末12から送信された利用者情報を取得する(S18)。機器14の決定部36は、装着型端末12から送信された利用者情報(すなわち利用者の識別情報と生体情報)に基づいて、機器14の動作内容を決定する(S20)。機器14の制御部38は、決定部36により決定された動作内容に基づいて駆動機構40の動作を制御する(S22)。
【0046】
第1実施例の機器制御システム10によると、利用者の身体に装着される装着型端末12で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて、機器14(駆動機構40)の適切な動作内容を決定し、機器14(駆動機構40)の動作を適切に制御することができる。例えば、利用者の体調が正常である場合、機器14を通常の態様で動作させ、利用者の体調が異常(例えば体調不良)の場合、機器14を通常の態様で動作することを禁止し、または、機器14を通常とは異なる態様で動作させることができる。
【0047】
上述した機器14の構成を様々な機器に適用する例を説明する。以下の説明において、各機器の構成要素のうち機器14の構成要素と同一または対応するものは、同じ符号を付して示す。各機器の構成要素のうち機器14に関連して説明済みの内容は再度の説明を適宜省略する。
【0048】
電動車椅子への適用例:
上述した機器14の構成は、電動車椅子に適用可能である。図3は、電動車椅子の機能ブロックを示すブロック図である。電動車椅子50は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38、車輪52、モータ54を備える。電動車椅子50の車輪52とモータ54は、機器14の駆動機構40に対応する。モータ54は、車輪52を駆動する。電動車椅子50は、電動アシスト車椅子とも言える。
【0049】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、電動車椅子50に乗る被介護者とする。電動車椅子50の決定部36は、被介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、モータ54の動作態様を決定する。例えば、決定部36は、モータ54の回転速度を制限するよう決定することにより、電動車椅子50の駆動を制限する。これにより、電動車椅子50の安全性を高める。
【0050】
具体例を説明する。記憶部30は、被介護者の体調が正常である場合の電動車椅子50の動作内容として、モータ54を通常の回転速度にて動作させることで、電動車椅子50を通常の移動速度で移動させ、または通常のアシスト量とすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、被介護者の生体情報と識別情報とに基づいて被介護者の体調を正常と判断した場合、モータ54を通常の回転速度で動作させることを決定する。制御部38は、モータ54を通常の回転速度で動作するよう制御することで、電動車椅子50を通常の移動速度で移動させ、または、通常のアシスト量を提供させる。
【0051】
また、記憶部30は、被介護者の体調が異常である場合の電動車椅子50の動作内容として、モータ54を通常の回転速度より低速で動作させることで、電動車椅子50を通常より低速の移動速度で移動させ、または通常より小さいアシスト量とすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、被介護者の体調を異常と判断した場合、モータ54を通常より低速の回転速度で動作させることを決定する。制御部38は、モータ54を通常より低速の回転速度で動作するよう制御することで、電動車椅子50を通常より低速の移動速度で移動させ、または、通常より小さいアシスト量を提供させる。
【0052】
別の例として、記憶部30は、被介護者の体調が異常である場合の電動車椅子50の動作内容として、車輪52の回転を禁止することで、電動車椅子50の移動を禁止させることを定めた動作内容を記憶してもよい。決定部36は、被介護者の体調を異常と判断した場合、車輪52の回転を禁止することを決定してもよい。制御部38は、装着型端末12のロック機構(不図示)を作動させて車輪52の回転を禁止することで、電動車椅子50の移動を禁止してもよい。
【0053】
次に、装着型端末12を装着する利用者が、電動車椅子50(電動アシスト車椅子)を押す介護者である場合を説明する。電動車椅子50の決定部36は、介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、モータ54の動作態様を決定することにより、電動車椅子50の駆動量を調整する。これにより、電動車椅子の安全性および/または利便性を高めることができる。
【0054】
具体例を説明する。記憶部30は、基準範囲(正常範囲)として、介護者の体調が良好であることを示す生体情報の値の範囲を介護者毎に記憶する。決定部36は、装着型端末12から送信された介護者の識別情報をもとに当該介護者の基準範囲(正常範囲)を特定し、装着型端末12から送信された介護者の生体情報の値が当該介護者の基準範囲(正常範囲)内であれば、介護者の体調を良好と判断する。一方、装着型端末12から送信された介護者の生体情報が当該介護者の基準範囲(正常範囲)外であれば、決定部36は、介護者の体調を不良と判断する。
【0055】
また、記憶部30は、介護者の体調が良好である場合の電動車椅子50の動作内容として、モータ54の回転速度を相対的に低くすることで、電動車椅子50のアシスト量を相対的に小さくすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、介護者の体調を良好と判断した場合、モータ54の回転速度を相対的に低くすることを決定する。制御部38は、モータ54を回転速度が相対的に低くなるよう制御することで、電動車椅子50のアシスト量を相対的に小さくする。
【0056】
また、記憶部30は、介護者の体調が不良である場合の電動車椅子50の動作内容として、モータ54の回転速度を相対的に高くすることで、電動車椅子50のアシスト量を相対的に大きくすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、介護者の体調を不良と判断した場合、モータ54の回転速度を相対的に高くすることを決定する。制御部38は、モータ54を回転速度が相対的に高くなるよう制御することで、電動車椅子50のアシスト量を相対的に大きくする。
【0057】
電動歩行車への適用例:
上述した機器14の構成は、電動歩行車に適用可能である。図4は、電動歩行車の機能ブロックを示すブロック図である。電動歩行車60は、人の歩行を補助する福祉用具である。電動歩行車60は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38、車輪62、制動部64を備える。電動歩行車60の車輪62と制動部64は、機器14の駆動機構40に対応する。制動部64は、車輪62の回転を減速させ、または車輪62を停止させる。電動歩行車60は、モータ(不図示)を備える電動アシスト付き歩行車であってもよい。
【0058】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、電動歩行車60を使用する歩行者とする。例えば、歩行者は、電動歩行車60を押しながら歩行する。電動歩行車60の決定部36は、歩行者の生体情報と識別情報とに基づいて、制動部64の作動態様を決定する。これにより、電動歩行車60の安全性を高めることができる。
【0059】
具体例を説明する。記憶部30は、歩行者の体調が正常である場合の電動歩行車60の動作内容として、制動部64の制動力を相対的に小さくすることで、電動歩行車60の移動速度を相対的に高めることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、歩行者の生体情報と識別情報とに基づいて歩行者の体調を正常と判断した場合、制動部64の制動力を相対的に小さくすることを決定する。制御部38は、制動部64をその制動力が相対的に小さくなるよう制御することで、電動歩行車60の移動速度を相対的に高くする。
【0060】
また、記憶部30は、歩行者の体調が異常である場合の電動歩行車60の動作内容として、制動部64の制動力を相対的に大きくすることで、電動歩行車60の移動速度を相対的に低くすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、歩行者の生体情報と識別情報とに基づいて歩行者の体調を異常と判断した場合、制動部64の制動力を相対的に大きくすることを決定する。制御部38は、制動部64をその制動力が相対的に大きくなるよう制御することで、電動歩行車60の移動速度を相対的に低くする。なお、歩行者の体調が異常である場合の制動部64の制動力は、車輪62の回転を停止させる制動力であってもよい。これにより、歩行者の体調が異常であるときには電動歩行車60が移動しないように制御することができる。
【0061】
船舶(船舶の制御装置)への適用例:
上述した機器14の構成は、船舶(船舶の制御装置)に適用可能である。図5は、船舶の機能ブロックを示すブロック図である。船舶70は、制御装置72、推進機74、舵機76、表示部78を備える。船舶70の推進機74、舵機76、表示部78は、機器14の駆動機構40に対応する。推進機74は、船舶70に推進力を与える機器である。舵機76は、船舶70の舵を動かす機器である。表示部78は、船舶70の所定位置(例えば制御装置72の近傍)に設けられ、各種情報を表示する。
【0062】
制御装置72は、推進機74、舵機76、表示部78の動作を制御する。制御装置72は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38を備える。
【0063】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、制御装置72の操作者とする。第1の態様として、制御装置72の決定部36は、操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、推進機74または舵機76の制御を制限することを決定する。これにより、船舶70の安全性を高めることができる。
【0064】
具体例を説明する。記憶部30は、基準範囲(正常範囲)として、操作者の体調が正常であることを示す生体情報の値の範囲(例えば船舶70の操作者として許容される体温、心拍数、血圧の範囲)を操作者毎に記憶する。決定部36は、装着型端末12から送信された操作者の識別情報をもとに当該操作者の基準範囲(正常範囲)を取得し、装着型端末12から送信された操作者の生体情報の値が当該操作者の基準範囲(正常範囲)内であれば、操作者の体調を正常と判断する。一方、装着型端末12から送信された操作者の生体情報の値が当該操作者の基準範囲(正常範囲)外であれば、決定部36は、操作者の体調を異常と判断する。
【0065】
記憶部30は、操作者の体調が正常である場合の船舶70の動作内容として、推進機74と舵機76の両方を制御可能とすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調が正常であると判断した場合、推進機74と舵機76の両方を制御可能とすることを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、制御装置72の操作部(不図示)に入力された操作者の操作にしたがって、推進機74と舵機76を制御する。
【0066】
記憶部30は、操作者の体調が異常である場合の船舶70の動作内容として、推進機74と舵機76の少なくとも一方(ここでは両方とする)の制御を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調を異常と判断した場合、推進機74と舵機76の両方の制御を禁止することを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、操作部に入力された操作者の操作にしたがって推進機74と舵機76を制御することを抑制し、言い換えれば、操作部に入力された操作に応じた推進機74と舵機76の制御を拒否する。
【0067】
なお、記憶部30は、操作者の体調が異常である場合の船舶70の動作内容として、推進機74と舵機76の少なくとも一方に対する所定の操作を禁止することを定めた動作内容を記憶してもよい。決定部36は、操作者の体調を異常と判断した場合、推進機74と舵機76の少なくとも一方に対する所定の操作を禁止することを決定してもよい。制御部38は、操作部に入力された操作が上記所定の操作に該当する場合、入力された操作に応じた推進機74と舵機76の制御を拒否してもよい。上記所定の操作は、船舶70の安全性に問題を生じうる操作であってもよく、例えば、所定速度以上での航行を指示する操作や所定角度以上での旋回を指示する操作であってもよい。
【0068】
第2の態様として、決定部36は、操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、操作者の変更を促す内容を表示部78に表示させることを決定する。これにより、船舶70の安全性を高めることができる。なお、第2の態様は、上記第1の態様と組み合わせることも可能である。
【0069】
具体例を説明する。記憶部30は、操作者の体調が正常である場合の船舶70の動作内容として、操作者の体調が正常であることを示す情報の表示を定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調が正常であると判断した場合、上記情報を表示部78に表示させることを決定し、制御部38は、上記情報を表示部78に表示させる。
【0070】
また、記憶部30は、操作者の体調が異常である場合の船舶70の動作内容として、操作者の体調が異常であることを示す情報と、操作者の変更を促す情報(例えば「操作者を変更して下さい」を示す文字列や画像)の両方の表示を定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調が異常であると判断した場合、上記情報を表示部78に表示させることを決定し、制御部38は、上記情報を表示部78に表示させる。
【0071】
車両(車両の制御装置)への適用例:
上述した機器14の構成は、車両(車両の制御装置)に適用可能である。図6は、車両の機能ブロックを示すブロック図である。車両80は、制御装置82、エンジン84、ステアリング86、表示部88を備える。車両80のエンジン84、ステアリング86、表示部88は、機器14の駆動機構40に対応する。表示部78は、車両80の所定位置(例えば前席正面のダッシュボード)に設けられてもよい。
【0072】
制御装置82は、エンジン84、ステアリング86、表示部88の動作を制御する。制御装置82は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38を備える。制御装置82は、1つまたは複数のECU(Electronic Control Unit)により実現されてもよい。
【0073】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、車両80の運転者とする。第1の態様として、制御装置82の決定部36は、運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、エンジン84またはステアリング86の制御を制限することを決定する。これにより、車両80の安全性を高めることができる。
【0074】
具体例を説明する。記憶部30は、基準範囲(正常範囲)として、操作者の体調が正常であることを示す生体情報の値の範囲を(例えば車両80の運転者として許容される体温、心拍数、血圧の範囲)を運転者毎に記憶する。決定部36は、装着型端末12から送信された運転者の識別情報をもとに当該運転者の基準範囲(正常範囲)を取得し、装着型端末12から送信された運転者の生体情報の値が当該運転者の基準範囲(正常範囲)内であれば、運転者の体調を正常と判断する。一方、装着型端末12から送信された運転者の生体情報の値が当該運転者の基準範囲(正常範囲)外であれば、決定部36は、運転者の体調を異常と判断する。
【0075】
また、記憶部30は、運転者の体調が正常である場合の車両80の動作内容として、エンジン84とステアリング86の両方を制御可能とすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、運転者の体調を正常と判断した場合、エンジン84とステアリング86の両方を制御可能とすることを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、車両80の操作部(不図示のアクセルやハンドル等)に入力された運転者の操作にしたがって、エンジン84とステアリング86を制御する。
【0076】
また、記憶部30は、運転者の体調が異常である場合の車両80の動作内容として、エンジン84とステアリング86の少なくとも一方(ここでは両方とする)の制御を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、運転者の体調を異常と判断した場合、エンジン84とステアリング86の両方の制御を禁止することを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、操作部に入力された運転者の操作にしたがってエンジン84とステアリング86を制御することを抑制し、言い換えれば、操作部に入力された操作に応じたエンジン84とステアリング86の制御を拒否する。
【0077】
第2の態様として、決定部36は、運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、運転者の変更を促す内容を表示部88に表示させることを決定する。これにより、車両80の安全性を高めることができる。なお、第2の態様は、上記第1の態様と組み合わせることも可能である。
【0078】
具体例を説明する。記憶部30は、運転者の体調が正常である場合の車両80の動作内容として、運転者の体調が正常であることを示す情報の表示を定めた動作内容を記憶する。決定部36は、運転者の体調を正常と判断した場合、上記情報を表示部88に表示させることを決定し、制御部38は、上記情報を表示部88に表示させる。
【0079】
また、記憶部30は、運転者の体調が異常である場合の車両80の動作内容として、運転者の体調が異常であることを示す情報と、運転者の変更を促す情報(例えば「運転者を変更して下さい」を示す文字列や画像)の両方の表示を定めた動作内容を記憶する。決定部36は、運転者の体調を異常と判断した場合、上記情報を表示部88に表示させることを決定し、制御部38は、上記情報を表示部88に表示させる。
【0080】
建設機械への適用例:
上述した機器14の構成は、様々な建設機械(例えばブルドーザー、油圧ショベル、クレーン等)に適用可能である。図7は、建設機械の機能ブロックを示すブロック図である。建設機械90は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38、駆動機構40を備える。駆動機構40は、ブレードやショベル等を含む作業装置と、走行装置の少なくとも一方を含む。
【0081】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、建設機械90の操作者とする。建設機械90の決定部36は、操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、建設機械90の動作を制限することを決定する。これにより、建設機械90の安全性を高めることができる。
【0082】
具体例を説明する。記憶部30は、基準範囲(正常範囲)として、操作者の体調が正常であることを示す生体情報の値の範囲(例えば建設機械90の操作者として許容される体温、心拍数、血圧の範囲)を運転者毎に記憶する。決定部36は、装着型端末12から送信された操作者の識別情報をもとに当該操作者の基準範囲(正常範囲)を取得し、装着型端末12から送信された操作者の生体情報の値が当該操作者の基準範囲(正常範囲)内であれば、操作者の体調を正常と判断する。一方、装着型端末12から送信された操作者の生体情報の値が当該操作者の基準範囲(正常範囲)外であれば、決定部36は、操作者の体調を異常と判断する。
【0083】
記憶部30は、操作者の体調が正常である場合の建設機械90の動作内容として、建設機械90の操作部(不図示)により駆動機構40を制御可能とすることを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調を正常と判断した場合、操作部により駆動機構40を制御可能とすることを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、操作部に入力された操作者の操作にしたがって駆動機構40の動作を制御する。
【0084】
記憶部30は、操作者の体調が異常である場合の建設機械90の動作内容として、操作部による駆動機構40の制御を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、操作者の体調を異常と判断した場合、操作部による駆動機構40の制御を禁止することを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、操作部に入力された操作者の操作にしたがって駆動機構40を制御することを抑制し、言い換えれば、操作部に入力された操作に応じた駆動機構40の制御を拒否する。
【0085】
自動ドア装置への適用例1:
上述した機器14の構成は、自動ドア装置に適用可能である。図8は、自動ドア装置の機能ブロックを示すブロック図である。自動ドア装置100は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36、制御部38、センサ部102、ドアモータ104、ドア106を備える。自動ドア装置100のドアモータ104とドア106は、機器14の駆動機構40に対応する。センサ部102は、自動ドア装置100の近傍に通行人が存在する場合、そのことを検知する。制御部38は、センサ部102による検知結果に応じて、ドアモータ104に制御信号を送信することにより、ドア106の開動作および閉動作を制御する。
【0086】
ここでは、装着型端末12を装着する利用者が、自動ドア装置100を通行する通行人とし、言い換えれば、自動ドア装置100を通過しようとする通行人とする。自動ドア装置100の決定部36は、通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、ドア106の開動作を禁止することを決定する。これにより、体調が悪い通行人の移動を制限できるよう、自動ドア装置100の機能を向上させることができる。
【0087】
具体例を説明する。記憶部30は、通行人の体調が正常である場合の自動ドア装置100の動作内容として、ドア106の開動作を許可することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、通行人の生体情報と識別情報とに基づいて通行人の体調を正常と判断した場合、ドア106の開動作を許可することを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、センサ部102により通行人が検知された場合、ドア106を開くようドアモータ104を制御する。
【0088】
また、記憶部30は、通行人の体調が異常である場合の自動ドア装置100の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、通行人の生体情報と識別情報とに基づいて通行人の体調を異常と判断した場合、ドア106の開動作を禁止することを決定し、そのことを制御部38へ通知する。制御部38は、センサ部102により通行人が検知されても、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制する。すなわち、通行人の体調が異常である場合、ドア106が閉鎖された状態が維持される。
【0089】
自動ドア装置への適用例2:
機器制御システム10は、上述した機器14に対応する複数の自動ドア装置100を備えてもよい。複数の自動ドア装置100のそれぞれは、図8に示した複数の機能ブロックを含む。複数の自動ドア装置100それぞれの決定部36は、通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、通行人を隔離するように複数の自動ドア装置100それぞれのドア106の開閉を決定する。この態様によると、複数の自動ドア装置100を制御して、通行人(例えば体調不良の通行人)を隔離することができる。これにより例えば、複数の自動ドア装置100が設置された施設の安全性を高めることができる。
【0090】
具体例を説明する。図9は、複数の自動ドア装置100(図では自動ドア装置100a、自動ドア装置100b、自動ドア装置100c)が設置された施設の例を示す。図9の施設には、エリアA、エリアB、エリアC、エリアDが設けられ、このうちエリアCが、体調が異常な人を隔離する隔離エリアとして定められている。エリアAとエリアBとの間には自動ドア装置100aが設けられ、エリアAとエリアCの間には自動ドア装置100bが設けられ、エリアCとエリアDの間には自動ドア装置100cが設けられている。
【0091】
自動ドア装置100aの第1の動作を説明する。自動ドア装置100aの記憶部30は、エリアAからエリアBへ通行しようとする通行人の体調が正常である場合の動作内容として、ドア106の開動作を許可することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアAからエリアBへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を正常と判断した場合、ドア106の開動作を許可する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御する。
【0092】
自動ドア装置100aの第2の動作を説明する。自動ドア装置100aの記憶部30は、エリアAからエリアBへ通行しようとする通行人の体調が異常である場合の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアAからエリアBへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を異常と判断した場合、ドア106の開動作を禁止する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制し、ドア106の閉鎖状態を維持する。
【0093】
自動ドア装置100bの第1の動作を説明する。自動ドア装置100bの記憶部30は、エリアAからエリアCへ通行しようとする通行人の体調が正常である場合の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアAからエリアCへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を正常と判断した場合、ドア106の開動作を禁止する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制し、ドア106の閉鎖状態を維持する。
【0094】
自動ドア装置100bの第2の動作を説明する。自動ドア装置100bの記憶部30は、エリアAからエリアCへ通行しようとする通行人の体調が異常である場合の動作内容として、ドア106の開動作を許可することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアAからエリアCへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を異常と判断した場合、ドア106の開動作を許可する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御する。
【0095】
自動ドア装置100bの第3の動作を説明する。自動ドア装置100bの記憶部30は、エリアCからエリアAへ通行しようとする通行人が検知された場合の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアCからエリアAへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知された場合、その通行人の体調の良否に関わらず、ドア106の開動作を禁止する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制し、ドア106の閉鎖状態を維持する。
【0096】
自動ドア装置100cの第1の動作を説明する。自動ドア装置100cの記憶部30は、エリアDからエリアCへ通行しようとする通行人の体調が正常である場合の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアDからエリアCへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を正常と判断した場合、ドア106の開動作を禁止する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制し、ドア106の閉鎖状態を維持する。
【0097】
自動ドア装置100cの第2の動作を説明する。自動ドア装置100cの記憶部30は、エリアDからエリアCへ通行しようとする通行人の体調が異常である場合の自動ドア装置100cの動作内容として、ドア106の開動作を許可することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアDからエリアCへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知され、その通行人の体調を異常と判断した場合、ドア106の開動作を許可する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御する。
【0098】
自動ドア装置100cの第3の動作を説明する。自動ドア装置100cの記憶部30は、エリアCからエリアDへ通行しようとする通行人が検知された場合の動作内容として、ドア106の開動作を禁止することを定めた動作内容を記憶する。決定部36は、エリアCからエリアDへ通行しようとする通行人がセンサ部102により検知された場合、その通行人の体調の良否に関わらず、ドア106の開動作を禁止する。制御部38は、ドア106を開くようドアモータ104を制御することを抑制し、ドア106の閉鎖状態を維持する。このような自動ドア装置100a、自動ドア装置100b、自動ドア装置100cの動作により、エリアCを、体調が異常な人を隔離するエリアとすることができる。
【0099】
ビーコン受信機への適用例:
上述した機器14の構成は、ビーコン受信機に適用可能である。この場合、装着型端末12は、Wi-FiやBluetooth Low Energyを用いてビーコン信号を送信するビーコン送信機として機能する。装着型端末12は、装着型端末12を装着した利用者の生体情報と識別情報とを含むビーコン信号を送信する。
【0100】
図10は、ビーコン受信機の機能ブロックを示すブロック図である。ビーコン受信機110は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網116を介してサーバ118と接続される。サーバ118は、装着型端末12を装着した利用者に関する情報を管理する情報処理装置である。
【0101】
ビーコン受信機110は、記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、認証部112、決定部36、制御部38、情報送信部114を備える。記憶部30は、正当な利用者の識別情報を記憶する。認証部112は、記憶部30に記憶された正当な利用者の識別情報と、装着型端末12から送信された利用者(被認証者)の識別情報とを照合することにより利用者(被認証者)を認証する。言い換えれば、認証部112は、装着型端末12の装着者が正当な利用者であるか否かを判定する。
【0102】
認証部112は、予め定められた時間間隔(例えば数分)にて利用者の認証処理を定期的に実行する。装着型端末12から送信されたビーコン信号(利用者の生体情報と識別情報を含む)を未受信である場合、認証部112は、利用者の認証に失敗したと判定してもよい。
【0103】
決定部36は、認証部112による認証結果が成功の場合、すなわち、装着型端末12の装着者が正当な利用者と判定された場合、正当な利用者が所定位置(例えばビーコン受信機110の近傍)に存在することを示す情報をサーバ118へ送信することを決定する。制御部38は、情報送信部114に、正当な利用者が所定位置に存在することを示す情報をサーバ118へ送信させる。なお、制御部38は、情報送信部114に、正当な利用者が所定位置に存在することを示す情報とともに、装着型端末12から送信された当該利用者の生体情報と識別情報をサーバ118へ送信させてもよい。
【0104】
決定部36は、認証部112による認証結果が失敗の場合、すなわち、装着型端末12の装着者が正当な利用者でないと判定され、または、装着型端末12からビーコン信号を未受信の場合、正当な利用者が所定位置(例えばビーコン受信機110の近傍)に存在しないことを示す情報をサーバ118へ送信することを決定する。制御部38は、情報送信部114に、正当な利用者が所定の位置に存在しないことを示す情報をサーバ118へ送信させる。なお、制御部38は、情報送信部114に、正当な利用者が所定の位置に存在しないことを示す情報とともに、装着型端末12から送信された当該利用者の識別情報をサーバ118へ送信させてもよい。
【0105】
この構成によると、装着型端末12を装着した利用者の認証結果に応じて、正当な利用者の存否を外部装置へ通知するビーコン受信機110を実現することができる。これにより例えば、利用者(在宅勤務者等)に関する勤怠管理や健康管理を支援することができる。
【0106】
<第2実施例>
以下、第2実施例について、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第2実施例の特徴は、第1実施例および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。
【0107】
図11は、第2実施例の機器制御システムの構成を示す。第2実施例の機器制御システム200も、第1実施例の機器制御システム10と同様に、装着型端末12を身につける利用者の体調に基づいて機器14の動作を制御する情報処理システムである。第2実施例の機器制御システム200は、装着型端末12、クラウドサーバ204、機器14を備える。装着型端末12、クラウドサーバ204、機器14は、公知の有線通信または無線通信を含む通信網202を介して接続される。クラウドサーバ204は、装着型端末12と機器14との通信を中継する中継器と言える。
【0108】
第2実施例の装着型端末12の構成は、第1実施例の装着型端末12の構成と同じである。第2実施例の機器14は、通信部32、制御部38、駆動機構40を備える。第2実施例では、機器14の動作内容を決定する主体はクラウドサーバ204になる。クラウドサーバ204は、記憶部206、通信部208、利用者情報取得部210、決定部212、指令送信部214を備える。記憶部206、通信部208、利用者情報取得部210、決定部212は、第1実施例の記憶部30、通信部32、利用者情報取得部34、決定部36に対応する。
【0109】
クラウドサーバ204の利用者情報取得部210は、装着型端末12から送信された利用者情報(利用者の生体情報および識別情報)を通信部208を介して取得する。決定部212は、装着型端末12から送信された利用者情報に基づいて、機器14(駆動機構40)の動作内容を決定し、機器14に対してその動作内容を指示する動作指令(コマンドとも言える)を決定する。
【0110】
クラウドサーバ204の指令送信部214は、決定部212により決定された動作内容を機器14へ送信する。具体的には、指令送信部214は、決定部212により決定された動作指令のデータを機器14へ送信する。機器14の制御部38は、クラウドサーバ204から送信された動作指令のデータが示す動作を実行するよう駆動機構40を制御する。第2実施例の機器制御システム200も、第1実施例の機器制御システム10と同様の効果を奏する。
【0111】
<第3実施例>
以下、第3実施例について、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第3実施例の特徴は、第1実施例および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。
【0112】
図12は、第3実施例の機器制御システムの構成を示す。第3実施例の機器制御システム300も、第1実施例の機器制御システム10と同様に、装着型端末12を身につける利用者の体調に基づいて機器14の動作を制御する情報処理システムである。
【0113】
第3実施例では、機器14の動作内容を決定する主体は装着型端末12になる。第3実施例の装着型端末12は、センサ部20、利用者識別部22、生体情報取得部24、記憶部302、決定部304、指令送信部306、通信部28を備える。記憶部302、決定部304は、第1実施例の記憶部30、決定部36に対応する。第3実施例の機器14は、第2実施例の機器14と同様に、通信部32、制御部38、駆動機構40を備える。
【0114】
装着型端末12の決定部304は、利用者識別部22により取得された利用者の識別情報と、生体情報取得部24により取得された利用者の生体情報とに基づいて、機器14(駆動機構40)の動作内容を決定し、機器14に対してその動作内容を指示する動作指令(コマンドとも言える)を決定する。
【0115】
装着型端末12の指令送信部306は、決定部304により決定された動作内容を機器14へ送信する。具体的には、指令送信部306は、決定部304により決定された動作指令のデータを機器14へ送信する。機器14の制御部38は、装着型端末12から送信された動作指令のデータが示す動作を実行するよう駆動機構40を制御する。第3実施例の機器制御システム300も、第1実施例の機器制御システム10と同様の効果を奏する。
【0116】
以上、本発明を第1~第3実施例をもとに説明した。各実施例は例示であり、各実施例に記載の構成要素や処理プロセスの組合せにはいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0117】
第1変形例として、上述の各実施例の機器制御システムに適用可能な装着型端末12の変形例を説明する。
図13は、第1変形例の装着型端末12の機能ブロックを示すブロック図である。第1変形例の装着型端末12は、センサ部20、生体情報取得部24、認証部400、情報送信部402、通信部28を備える。
【0118】
センサ部20は、装着型端末12を装着している間の利用者の生体情報を定期的に取得して出力する。ここでの生体情報は、装着型端末12を装着した利用者を識別するために必要な情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)と、装着型端末12を装着している間の利用者の体調(言い換えれば健康状態)に関する生体情報(例えば心拍数、血圧、体温、血中酸素飽和度等)とを含む。生体情報取得部24は、センサ部20から出力された利用者の生体情報を定期的に取得する。
【0119】
認証部400は、生体情報取得部24により定期的に取得された生体情報であり、ここでは利用者の識別に必要な情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)に基づいて、装着型端末12を装着した利用者を定期的に認証する。言い換えれば、装着型端末12の装着者が正当な利用者か否かを定期的に判定する。認証部400は、正当な利用者の生体情報(例えば指紋情報、静脈パターン、虹彩パターン、顔画像等)と、生体情報取得部24により取得された生体情報とを照合することにより利用者を認証してもよい。
【0120】
情報送信部402は、認証部400による認証が成功した場合、すなわち、装着型端末12の装着者が正当な利用者であると判定された場合に、外部機器の動作制御に用いられる所定の情報を送信する。すなわち、情報送信部402は、認証部400による定期的な認証の成功に応じて、上記所定の情報を定期的に送信する。情報送信部402は、上記所定の情報として、実施例の装着型端末12と同様の情報を送信してもよい。例えば、上記所定の情報は、利用者の体調に関する生体情報と、認証に成功した利用者の識別情報とを含んでもよい。これにより、上述の各実施例と同様に機器14の動作を適切に制御することができる。
【0121】
本変形例の装着型端末12によると、装着型端末12の装着者が正当な利用者である場合に、外部機器(機器14等)に所定の動作を実行させ、装着型端末12の装着者が不正な人に変わった場合には外部機器の上記動作を抑制させることができる。なお、生体情報の取得から情報送信までの一連の処理を繰り返す時間間隔は、実験等により適切な値が定められてよく、例えば1分であってもよい。
【0122】
別の態様として、認証部400は、センサ部20により取得された利用者の体調に関する生体情報に基づいて利用者を認証してもよい。例えば、認証部400は、実施例で記載した生体情報の値の基準範囲(正常範囲または異常範囲)を予め記憶してもよい。認証部400は、予め記憶する基準範囲と、センサ部20により取得された利用者の体調に関する生体情報とを用いて、利用者の体調が正常か否かを判定し、利用者の体調が正常である場合に利用者の認証に成功したと判定してもよい。
【0123】
第2変形例として、上述の各実施例の機器制御システムに適用可能な装着型端末12の変形例を説明する。
図14は、第2変形例の装着型端末12の機能ブロックを示すブロック図である。第2変形例の装着型端末12は、センサ部20、利用者識別部22、生体情報取得部24、記憶部410、着脱検知部412、利用者情報送信部26、通信部28を備える。
【0124】
記憶部410は、利用者識別部22により識別された利用者の識別情報と、生体情報取得部24により取得された利用者の生体情報とを対応付けて記憶する。記憶部410は、利用者情報送信部26により送信済の利用者の識別情報と生体情報も記憶する。
【0125】
着脱検知部412は、温度や静電容量等の変化に基づいて人の身体との着脱を検知する着脱センサを含む。着脱検知部412は、装着型端末12が利用者の身体から取り外された場合、そのことを検知する。
【0126】
利用者情報送信部26は、装着型端末12が利用者の身体から取り外されたことが着脱検知部412により検知された場合、取り外される前に取得された生体情報と識別情報とを記憶部410から読み出して、外部機器(機器14等)へ送信する。例えば、利用者情報送信部26は、最も新しく取得された生体情報と識別情報であり、言い換えれば、記憶部410に最後に記憶された生体情報と識別情報を記憶部410から読み出して、外部機器(機器14等)へ送信してもよい。また、利用者情報送信部26は、取り外される前に取得された生体情報と識別情報とを外部機器(機器14等)へ送信する処理を所定回数繰り返してもよい。例えば、送信する処理を1分おきに30回実行してもよい。
【0127】
本変形例の装着型端末12によると、装着型端末12が利用者の身体から取り外された場合であっても、利用者の体調に関する生体情報に応じて、外部機器(機器14等)を適切に動作させることができる。
【0128】
第3変形例として、上述の各実施例の機器制御システムに適用可能な決定部36の変形例を説明する。
機器14(第2実施例ではクラウドサーバ204)の決定部36は、現在時刻と、機器14の周辺環境情報の少なくとも1つに基づいて、機器14の動作内容を決定してもよい。本変形例によると、現在時刻と、機器14の周辺環境情報の少なくとも1つを加味して、機器14の動作内容を一層適切に決定することができる。
【0129】
具体例を説明する。機器14(第2実施例ではクラウドサーバ204)は、時計部とセンサ部の少なくとも一方を備えてもよい。時計部は、現在時刻を取得し、現在時刻を示す時間情報を出力してもよい。センサ部は、機器14の周辺環境の状態(例えば温度、湿度、照度、音圧レベル等)を検知し、周辺環境の状態を示す周辺環境情報を出力してもよい。
【0130】
決定部36は、時計部から出力された時間情報が示す現在時刻が第1の条件を満たすこと(例えば現在時刻が特定の時間帯であること)と、センサ部から出力された周辺環境情報が示す周辺環境の状態が第2の条件を満たすこと(例えば照度が所定範囲であること)の一方または両方が成立する場合に、上述の各実施例で記載した処理を実行してもよい。これにより、例えば、夜間のみ利用者情報に応じて機器14を制御することや、温度、湿度、照度等の組み合わせが特定の条件を満たす場合にのみ利用者情報に応じて機器14を制御することを実現できる。
【0131】
第4変形例を説明する。装着型端末12のセンサ部20は、利用者の息が吹きかけられた場合に、呼気中のアルコール濃度を検知するアルコール検知器を含んでもよい。この場合、装着型端末12から機器14へ送信される利用者の生体情報には、呼気中アルコール濃度の値が含まれてもよい。
【0132】
機器14の記憶部30に記憶される基準範囲(正常範囲)は、利用者が酒酔いでないと判断される呼気中アルコール濃度の範囲が設定されてもよい。また、機器14の記憶部30に記憶される基準範囲(異常範囲)は、利用者が酒酔いであると判断される呼気中アルコール濃度の範囲が設定されてもよい。
【0133】
決定部36は、装着型端末12から送信された利用者の呼気中アルコール濃度の値が基準範囲(正常範囲)に含まれる場合、または、利用者の呼気中アルコール濃度の値が基準範囲(異常範囲)に含まれない場合に、利用者の体調を正常と判断し、利用者の体調が正常である場合の機器14(駆動機構40)の動作内容を決定してもよい。一方、決定部36は、装着型端末12から送信された利用者の呼気中アルコール濃度の値が基準範囲(正常範囲)に含まれない場合、または、利用者の呼気中アルコール濃度の値が基準範囲(異常範囲)に含まれる場合に、利用者の体調を異常(すなわち酒酔い状態)と判断し、利用者の体調が異常である場合の機器14(駆動機構40)の動作内容を決定してもよい。
【0134】
本変形例によると、例えば、利用者が酒酔い状態の場合に、機器14の動作や制御を制限することができ、機器14の安全性を高めることができる。
【0135】
第5変形例を説明する。機器14の決定部36(第2実施例のクラウドサーバ204の決定部212、第3実施例の装着型端末12の決定部304も同様)は、利用者の識別情報に基づいて利用者を認証する第1認証と、利用者の生体情報に基づいて利用者を認証する第2認証を実行してもよい。決定部36は、第1認証の結果と第2認証の結果とに基づいて、機器14の動作内容を決定してもよい。利用者の認証は、利用者の本人識別(種別やグループの識別等)を含んでもよく、体調の識別を含んでもよい。
【0136】
具体例として、装着型端末12は、病院の関係者(例えば患者や医療従事者(医師等))が身体に装着するバンドであってもよい。機器14は、病院の自動ドアであってもよい。決定部36は、第1認証として、装着型端末12から送信された利用者の識別情報に基づいて、利用者が患者と医療従事者のいずれであるかを識別してもよい。決定部36は、利用者を患者と識別した場合、機器14のドアを開放しないことを決定してもよい。決定部36は、利用者の認証に失敗し、例えば、利用者が患者と医療従事者のいずれであるかを識別できない場合、機器14のドアを開放しないことを決定してもよい。
【0137】
また、決定部36は、第2認証として、利用者の生体情報をもとに利用者の体調の良否を識別してもよい。決定部36は、利用者を医療従事者と識別し、かつ、利用者の生体情報の値が正常範囲外(または異常範囲内)である場合(例えば高熱の場合等)、機器14のドアを開放しないことを決定してもよい。決定部36は、利用者を医療従事者と識別し、利用者の生体情報の値が正常範囲内(良好な体調を示す範囲内)である場合、機器14のドアを開放することを決定してもよい。
【0138】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0139】
なお、実施例および変形例に記載の技術は、以下の態様によって特定されてもよい。
[項目1]
装着型端末を身体に装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、駆動機構を有する機器の動作内容を決定する決定部と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
を備える機器制御システム。
この機器制御システムによると、利用者の身体に装着される装着型端末で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を適切に制御することができる。
【0140】
[項目2]
前記生体情報取得部は、前記利用者の身体と前記装着型端末との接触を利用して前記生体情報を取得する
項目1に記載の機器制御システム。
この態様によると、利用者の体調に関する生体情報を精度よく取得することができる。
【0141】
[項目3]
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて設定された前記生体情報の値の基準範囲を取得し、
前記生体情報取得部により取得された生体情報の値が前記基準範囲内か否かに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
項目1または2に記載の機器制御システム。
この態様によると、利用者の体調に関する生体情報に応じて、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0142】
[項目4]
前記識別情報と対応付けて前記利用者の過去の生体情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて、前記利用者の過去の生体情報を前記記憶部から取得し、
前記生体情報取得部により取得された生体情報と前記過去の生体情報との比較結果に基づいて、前記機器の動作内容を決定する
項目1または2に記載の機器制御システム。
この態様によると、利用者の体調に関する生体情報に応じて、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0143】
[項目5]
前記決定部は、
前記識別情報に基づいて前記利用者を認証する第1認証と、前記生体情報に基づいて前記利用者を認証する第2認証を実行し、
前記第1認証の結果と前記第2認証の結果とに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
項目1または2に記載の機器制御システム。
この態様によると、識別情報に基づく認証結果と、生体情報に基づく認証結果の組み合わせにより、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0144】
[項目6]
前記決定部は、現在時刻および前記機器の周辺環境情報の少なくとも1つに基づいて、前記機器の動作内容を決定する
項目1から5のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、現在時刻と、機器の周辺環境情報の少なくとも1つを加味して、機器の動作内容を一層適切に決定することができる。
【0145】
[項目7]
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、前記決定部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記制御部が、前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記決定された動作内容を前記機器に送信する
項目1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、装着型端末と機器との連携により、利用者の体調に関する生体情報に応じて、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0146】
[項目8]
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記決定部と、前記制御部と、が前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記生体情報と前記識別情報とを前記機器に送信する
項目1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、装着型端末と機器との連携により、利用者の体調に関する生体情報に応じて、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0147】
[項目9]
前記生体情報取得部と、前記識別情報取得部と、が前記装着型端末に設けられ、
前記決定部が、前記装着型端末と前記機器との通信を中継する中継器に設けられ、
前記制御部が、前記機器に設けられ、
前記装着型端末は、前記生体情報と前記識別情報とを前記機器に送信し、
前記中継器は、前記決定された動作内容を前記機器に送信する
項目1から6のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、装着型端末と中継器と機器との連携により、利用者の体調に関する生体情報に応じて、機器の動作内容を適切に決定することができる。
【0148】
[項目10]
前記機器は、車輪をモータで駆動可能な電動車椅子であり、
前記利用者は、前記電動車椅子に乗る被介護者であり、
前記決定部は、前記被介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記モータの動作態様を決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、被介護者の体調に関する生体情報に応じて、電動車椅子の駆動を適切に制限することができる。これにより例えば、電動車椅子の安全性を高めることができる。
【0149】
[項目11]
前記機器は、車輪をモータで駆動可能な電動車椅子であり、
前記利用者は、前記電動車椅子を押す介護者であり、
前記決定部は、前記介護者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記モータの動作態様を決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、介護者の体調に関する生体情報に応じて、電動車椅子の駆動量を適切に調整することができる。これにより例えば、電動車椅子の安全性および/または利便性を高めることができる。
【0150】
[項目12]
前記機器は、制動部を備える電動歩行車であり、
前記利用者は、前記電動歩行車を使用する歩行者であり、
前記決定部は、前記歩行者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記制動部の作動態様を決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、電動歩行車の利用者の体調に関する生体情報に応じて、電動歩行車の制動部を適切に作動させることができる。これにより例えば、電動歩行車の安全性を高めることができる。
【0151】
[項目13]
前記機器は、船舶の推進機または舵機を制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記制御装置の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記推進機または前記舵機の制御を制限することを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、操作者の体調に関する生体情報に応じて、船舶の推進機または舵機の制御を適切に制限することができる。これにより例えば、船舶の安全性を高めることができる。
【0152】
[項目14]
前記機器は、船舶の推進機または舵機を制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記制御装置の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、操作者の変更を促す内容を表示させることを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、操作者の体調に関する生体情報に応じて操作者の変更を促すことにより、船舶の安全性を高めることができる。
【0153】
[項目15]
前記機器は、車両のエンジンまたはステアリングを制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記車両の運転者であり、
前記決定部は、前記運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記エンジンまたはステアリングの制御を制限することを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、運転者の体調に関する生体情報に応じて、車両のエンジンまたはステアリング制御を適切に制限することができる。これにより例えば、車両の安全性を高めることができる。
【0154】
[項目16]
前記機器は、車両のエンジンまたはステアリングを制御するための制御装置であり、
前記利用者は、前記車両の運転者であり、
前記決定部は、前記運転者の生体情報と識別情報とに基づいて、運転者の変更を促す内容を表示させることを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、運転者の体調に関する生体情報に応じて運転者の変更を促すことにより、車両の安全性を高めることができる。
【0155】
[項目17]
前記機器は、建設機械であり、
前記利用者は、前記建設機械の操作者であり、
前記決定部は、前記操作者の生体情報と識別情報とに基づいて、前記建設機械の動作を制限することを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、操作者の体調に関する生体情報に応じて、建設機械の動作を適切に制限することができる。これにより例えば、建設機械の安全性を高めることができる。
【0156】
[項目18]
前記機器は、自動ドア装置であり、
前記利用者は、前記自動ドア装置を通行する通行人であり、
前記決定部は、前記通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、ドアの開動作を禁止することを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、通行人の体調に関する生体情報に応じて、ドアの開動作を適切に禁止することができる。これにより例えば、体調が悪い通行人の移動を制限できる等、自動ドア装置の機能を向上させることができる。
【0157】
[項目19]
前記機器は、複数の自動ドア装置を含み、
前記利用者は、前記複数の自動ドア装置を通行する通行人であり、
前記決定部は、前記通行人の生体情報と識別情報とに基づいて、前記通行人を隔離するように前記複数の自動ドア装置それぞれのドアの開閉を決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、複数の自動ドア装置を制御して、通行人を隔離することができる。これにより例えば、複数の自動ドア装置が設置された施設の安全性を高めることができる。
【0158】
[項目20]
前記識別情報をもとに前記利用者を認証する認証部をさらに備え、
前記機器は、ビーコン受信機であり、
前記決定部は、認証結果が成功の場合、前記利用者が所定の位置に存在することを示す情報をサーバへ送信することを決定し、
前記決定部は、認証結果が失敗の場合、前記利用者が所定の位置に存在しないことを示す情報をサーバへ送信することを決定する
項目1から9のいずれかに記載の機器制御システム。
この態様によると、認証結果に応じて、利用者の存否を外部へ通知するビーコン受信機を実現することができる。これにより例えば、利用者に関する勤怠管理等を支援することができる。
【0159】
[項目21]
利用者の身体に装着される装着型端末から出力された情報に基づいて動作する駆動機構を有する機器であって、
前記装着型端末を装着している間の前記利用者の体調に関する生体情報と、前記利用者を識別する識別情報とを取得する取得部と、
取得された生体情報と識別情報とに基づいて、本機器の動作内容を決定する決定部と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する制御部と、
を備える機器。
この機器によると、装着型端末を装着している利用者の体調に関する生体情報に基づく適切な動作を実現できる。
【0160】
[項目22]
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、外部機器に対する動作指令を決定する決定部と、
決定された動作指令を前記外部機器へ送信する送信部と、
を備える装着型端末。
この装着型端末によると、当該端末を装着している利用者の体調に関する生体情報に基づいて外部機器の動作を適切に制御することができる。
【0161】
[項目23]
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の生体情報を定期的に取得する生体情報取得部と、
取得された生体情報に基づいて、前記利用者を定期的に認証する認証部と、
認証が成功した場合に、外部機器の動作制御に用いられる所定の情報を送信する送信部と、
を備える装着型端末。
この装着型端末によると、当該端末の装着者が正当な利用者である場合に、外部機器に所定の動作を実行させ、当該端末の装着者が不正な利用者である場合には、外部機器の上記動作を抑制させることができる。
【0162】
[項目24]
利用者の身体に装着される装着型端末であって、
前記装着型端末を装着する前記利用者の体調に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とを外部機器へ送信する送信部と、
本装着型端末が前記利用者の身体から取り外されたことを検知する検知部と、
本装着型端末が前記利用者の身体から取り外された場合、取り外される前に取得された生体情報と識別情報とを前記外部機器へ送信する送信部と、
を備える装着型端末。
この装着型端末によると、当該端末が利用者の身体から取り外されても、外部機器を適切に動作させることができる。
【0163】
[項目25]
装着型端末を身体に装着する利用者の体調に関する生体情報を取得する機能と、
前記利用者を識別する識別情報を取得する機能と、
取得された前記生体情報と取得された前記識別情報とに基づいて、駆動機構を有する機器の動作内容を決定する機能と、
決定された動作内容に基づいて前記駆動機構の動作を制御する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
このコンピュータプログラムによると、利用者の身体に装着される装着型端末で取得した利用者の体調に関する生体情報に基づいて機器の動作を適切に制御することができる。
【符号の説明】
【0164】
10 機器制御システム、 12 装着型端末、 14 機器、 22 利用者識別部、 24 生体情報取得部、 36 決定部、 38 制御部、 40 駆動機構、 50 電動車椅子、 60 電動歩行車、 70 船舶、 72 制御装置、 80 車両、 82 制御装置、 90 建設機械、 100 自動ドア装置、 110 ビーコン受信機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14