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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011672
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】構造物用枠材の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220107BHJP
   E04B 1/48 20060101ALI20220107BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
E04B1/58 506F
E04B1/48 D
F16B7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112969
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 史日呼
【テーマコード(参考)】
2E125
3J039
【Fターム(参考)】
2E125AA01
2E125AB16
2E125AC17
2E125AC19
2E125AG12
2E125BA22
2E125BA23
2E125BB08
2E125BD01
2E125BD02
2E125BD03
2E125BD04
2E125BE07
2E125BF06
2E125CA05
3J039AA07
3J039BB02
3J039GA01
3J039GA07
3J039GA11
(57)【要約】
【課題】2つの長尺の枠材相互を容易且つ適切に連結可能な構造物用枠材の連結構造を提供する。
【解決手段】2つの長尺の枠材1A,1B相互を直角に連結固定する構造物用枠材の連結構造であって、枠材1A,1B相互を連結する1組のボルト部材2およびナット部材3を備え、第1枠材1Aは、周面部10に沿って溝部12が延設され、且つ溝部12の内底部42に、第1枠材1Aの延長方向と直交する方向へ貫通するボルト挿通孔17が設けられ、第2枠材1Bは、周面部に沿って溝部12が延設され、且つ溝部12の内底部42に、第2枠材1Bの延長方向と直交する方向へ貫通するナット挿通孔18が設けられ、ナット部材3をナット挿通孔18に挿通掛合させるとともに、ボルト部材2をボルト挿通孔17に挿通掛合させ、第2枠材1Bの中心部に設けられた中空部13を通じてナット部材3のネジ孔33に螺合接続させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの長尺の枠材相互を直角に連結固定する構造物用枠材の連結構造であって、枠材相互を連結する1組のボルト部材およびナット部材を備え、
第1枠材は、周面部に沿って溝部が延設され、且つ前記溝部の内底部に、前記第1枠材の延長方向と直交する方向へ貫通するボルト挿通孔が設けられ、
第2枠材は、周面部に沿って溝部が延設され、且つ前記溝部の内底部に、前記第2枠材の延長方向と直交する方向へ貫通するナット挿通孔が設けられ、
前記ナット部材を前記ナット挿通孔に挿通掛合させるとともに、前記ボルト部材を前記ボルト挿通孔に挿通掛合させ、前記第2枠材の中心部に設けられた中空部を通じて前記ナット部材のネジ孔に螺合接続させる構成とした、構造物用枠材の連結構造。
【請求項2】
前記第2枠材は、前記溝部の内底部における少なくとも前記ナット挿通孔の周縁部に、前記第1枠材の延長方向に連続する被嵌合部が設けられ、
前記ナット部材は、前記被嵌合部に嵌合可能な位置決め用の嵌合部が設けられた、請求項1に記載の構造物用枠材の連結構造。
【請求項3】
前記ナット部材は、周面より外周側へ突出し、前記ナット挿通孔の周縁部に掛合可能な引掛け部が設けられ、
前記嵌合部は、前記引掛け部における前記周縁部との掛合面に設けられた、請求項2に記載の構造物用枠材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場の仕切壁や架台、棚などの構造物を組立形成するのに用いられる構造物用枠材の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
押出成形等により一方向に連続して形成される2つの長尺の枠材相互を直角に組み合わせて連結固定する構造として、一方の枠材にボルト部材を掛合させるとともに、他方の枠材の溝部にナット部材を挿通掛合させ、これらボルト部材およびナット部材を螺合接続させることによって、枠材相互を連結固定させるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
特許文献1および2の構造物用枠材の連結構造は、周面部に溝部が設けられた第1枠材および第2枠材と、半円柱状のジョイント部材と、板状のナット部材と、ボルト部材とを備えており、ジョイント部材は、第1枠材の溝部に形成された孔部に嵌挿され、ナット部材は、第2枠材の溝部に挿通掛合される。ボルト部材は、ナット部材に螺合接続させるとともに、ヘッド部をジョイント部材の孔部又は切欠部に掛合させる。そしてこの状態でボルト部材を締め付けることによって、両枠材をジョイント部材とナット部材とで挟み付け、第1枠材の端面部を第2枠材の周面部に押接させるように構成されている。
【0004】
特許文献3の構造物用枠材の連結構造は、周面部に溝部が設けられた第1枠材および第2枠材と、C字状のジョイント部材と、T字状のナット部材と、ボルト部材とを備えており、ジョイント部材は、第1枠材の溝部に形成された孔部に嵌挿され、ナット部材は、第2枠材の溝部に挿通掛合される。ボルト部材は、ナット部材に螺合接続させるとともに、ヘッド部をジョイント部材の孔部に掛合させる。そしてこの状態でボルト部材を締め付けることによって、両枠材をジョイント部材とナット部材とで挟み付け、第1枠材の端面部を第2枠材の周面部に押接させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-290771号
【特許文献2】特開2000-64437号
【特許文献3】特開平7-26636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3の構造物用枠材の連結構造は、第2枠材の溝部の内側に設けられたフランジ部にナット部材を掛合させて両枠材を挟持するように構成されているため、ナット部材とフランジ部との掛合部に応力が集中し易く、枠材連結部のガタツキの原因となるフランジ部の変形やナット部材のずれを生じさせる虞があった。しかも、このものでは、ボルト部材を締め付ける際、ボルト部材やナット部材が決められた位置で保持されないため、枠材の組み付け状態にばらつきが生じる問題もあった。またその際、ボルト部材を溝部の内側にてその延長方向から螺入させる必要があるため、両枠材の連結作業に手間もかかった。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、2つの長尺の枠材相互を容易且つ適切に連結可能な構造物用枠材の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の構造物用枠材の連結構造は、以下の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明は、2つの長尺の枠材相互を直角に連結固定する構造物用枠材の連結構造であって、枠材相互を連結する1組のボルト部材およびナット部材を備え、第1枠材は、周面部に沿って溝部が延設され、且つ前記溝部の内底部に、前記第1枠材の延長方向と直交する方向へ貫通するボルト挿通孔が設けられ、第2枠材は、周面部に沿って溝部が延設され、且つ前記溝部の内底部に、前記第2枠材の延長方向と直交する方向へ貫通するナット挿通孔が設けられ、前記ナット部材を前記ナット挿通孔に挿通掛合させるとともに、前記ボルト部材を前記ボルト挿通孔に挿通掛合させ、前記第2枠材の中心部に設けられた中空部を通じて前記ナット部材のネジ孔に螺合接続させる構成としたことを特徴としている。
【0010】
好ましくは、前記第2枠材は、前記溝部の内底部における少なくとも前記ナット挿通孔の周縁部に、前記第1枠材の延長方向に連続する被嵌合部が設けられ、前記ナット部材は、前記被嵌合部に嵌合可能な位置決め用の嵌合部が設けられる。
【0011】
好ましくは、前記ナット部材は、周面より外周側へ突出し、前記ナット挿通孔の周縁部に掛合可能な引掛け部が設けられ、前記嵌合部は、前記引掛け部における前記周縁部との掛合面に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構造物用枠材の連結構造によれば、ナット部材とナット挿通孔との掛合部に加わる応力は、第2枠材の延長方向に作用するから、ナット挿通孔の周縁部が変形したり、ナット部材がナット挿通孔からずれたりし難い。これにより、両枠材相互をガタツキなく適切に連結固定させることができる。また、このものでは、ボルト部材を第1枠材のボルト挿通孔に周面側から挿通させ、さらに第2枠材のナット挿通孔に挿通されたナット部材に螺合接続させれば、第2枠材の端面部が第1枠材の周面部に対して強固に押接固定されるから、両枠材の連結作業の手間も格段に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の構造物用枠材の連結構造を示す分解斜視図である。
図2】実施形態の構造物用枠材の連結構造を示す一部断面分解図である。
図3】第1枠材の正面図および平面図である。
図4】第2枠材の正面図および平面図である。
図5】第1枠材および第2枠材の側面図である。
図6】ナット部材の正面図、側面図、平面図、および底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る構造物用枠材の連結構造を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態の構造物用枠材の連結構造は、2つの長尺の第1枠材1Aおよび第2枠材1Bを直角に組み合わせて連結固定するものであって、それら枠材1A,1B相互を連結させるための1組のボルト部材2およびナット部材3を備えている。
【0016】
図1図4に示すように、枠材1A,1Bは、アルミニウムやマグネシウム合金などの金属材料を押出成形により一方向に連続して形成される側面視略正方形状の部材であり、
その正面、背面、平面、および底面の4つの周面部(以下、「枠周面」という)10にはそれぞれ、枠材1A,1Bの端面部(以下、「枠端面」という)11相互間に亘って、枠材1A,1Bの延長方向に連続する断面略コ字状の溝部12が形成されている。また、枠材1A,1Bの中央部には、枠端面11相互間に亘って、枠材1A,1Bの延長方向に連続する断面略円形状の中空部13が形成されている。
【0017】
なお、以降の説明においては、図3および図4に示す正面図の上下方向、即ち、枠材1A,1Bの中心軸線CLと直交する方向を枠材1A,1Bの上下方向、同正面図の左右方向、即ち、枠材1A,1Bの中心軸線CLの延長方向を枠材1A,1Bの左右方向、図3および図4に示す平面図の上下方向、即ち、枠材1A,1Bの中心軸線CLと直交する方向を枠材1A,1Bの前後方向とする。
【0018】
溝部12は、枠周面10の端縁相互間の中央部に沿って設けられている。溝部12の内側上縁部には、内向きに突出するフランジ部(以下、「内フランジ」という)14が形成されており、溝部12の内側に、内フランジ14相互の間隙より広幅の空間を画成している。なお、溝部12は、例えば、他の部材を連結させるためのナットやフックなどの連結具を掛合保持させるのに用いることができる。
【0019】
内フランジ14相互の間隙の幅寸法、即ち、溝部12の開口幅は、ボルト部材2のヘッド部(以下、「ボルトヘッド」という)22の外径やナット部材3の本体部(以下、「ナット本体」という)31の外径よりも小さい寸法に設定されている。従って、ボルト挿通孔17が設けられた枠材(以下、適宜「第1枠材」という)1Aでは、正面側の内フランジ14におけるボルト挿通孔17との対向位置に、ボルトヘッド22を溝部12内まで挿通可能とするための円弧状の切欠部41が形成されている。一方、ナット挿通孔18が設けられた枠材(以下、適宜「第2枠材」という)1Bでは、正面側および背面側の内フランジ14におけるナット挿通孔18との対向位置にそれぞれ、ナット本体31を溝部12内に挿通可能とするための円弧状の切欠部41が形成されている。なお、溝部12の開口幅がボルトヘッド22やナット本体31の外径よりも大きく、ボルトヘッド22やナット本体31を溝部12内に適切に挿通可能であれば、内フランジ14に切欠部41が設けられていなくてもよい。
【0020】
溝部12の内底部(以下、「溝底部」という)42は、枠周面10と平行な略平面状に形成されている。また、溝底部42は、中空部13を挟んで前後および上下にそれぞれ対向して設けられており、これら4つの溝底部42によって中空部13の周壁(以下、「内筒部」という)15が構成されている。
【0021】
溝底部42には、被嵌合部として、枠端面11相互間に亘って枠材1A,1Bの延長方向に連続する2つの断面略V字状の凹部(以下、「嵌合溝」という)16が平行に形成されている。嵌合溝16はそれぞれ、溝部12を開口側から見て、内フランジ14の端面内側に沿って配される位置に設けられている。
【0022】
第1枠材1Aの枠端面11寄りの位置には、ボルト部材2を挿通するための略円形のボルト挿通孔17が形成されている。ボルト挿通孔17は、正面側の溝底部42から中空部13を通ってその反対側(背面側)の溝底部42まで貫設されている。即ち、ボルト挿通孔17は、第1枠材1Aの内筒部15に中心軸線CLと直交する方向から貫通するように設けられており、ボルト部材2の軸部(以下、「ボルト軸」という)21を内筒部15に対して直交する向きで保持させる。従って、第2枠材1Bに対して曲げモーメントが作用したときに、ボルト軸21とボルト挿通孔17との掛合部に加わる応力の方向は、第1枠材1Aの内筒部15に対してその延長方向に作用する。
【0023】
ボルト挿通孔17の内径は、ボルト軸21の外径と略同一の寸法に形成されている。従って、ボルト軸21は、ボルト挿通孔17にガタツキなく保持される。
【0024】
第2枠材1Bの枠端面11寄りの位置には、ナット部材3を挿通するための略円形のナット挿通孔18が形成されている。ナット挿通孔18は、正面側または背面側の溝底部42から中空部13を通ってその反対側の溝底部42まで貫設されている。即ち、ナット挿通孔18は、内筒部15に中心軸線CLと直交する方向から貫通するように設けられており、ナット本体31を内筒部15に対して直交する向きで保持させる。従って、第2枠材1Bに対して曲げモーメントが作用したときに、ナット本体31とナット挿通孔18との掛合部に加わる応力の方向は、第2枠材1Bの内筒部15に対してその延長方向に作用する。
【0025】
なお、第2枠材1Bの正面側および背面側の嵌合溝16は、溝底部42における少なくともナット挿通孔18の周縁部上を通って枠端面11相互間に延設されている。
【0026】
ナット挿通孔18の内径は、ナット本体31の外径と略同一の寸法に形成されている。従って、ナット本体31は、ナット挿通孔18にガタツキなく保持される。
【0027】
図1および図2に示すように、ボルト部材2は、外周面の所定範囲にネジ山が形成された円柱状のボルト軸21と、ボルト軸21の一端に形成され、ボルト軸21より大径円柱状のボルトヘッド22とを備えており、ボルト軸21を第1枠材1Aのボルト挿通孔17に挿入させた際、ボルトヘッド22の基端側の面が溝底部42に当接掛合するように構成されている。
【0028】
本実施形態では、ボルト部材2は、JIS/B1176に規定されるM8の六角穴付きボルトが用いられるが、ナット部材3のネジ孔33に対応し、且つ第1枠材1Aに適切に取り付け可能であれば、他の形態のボルトが用いられてもよい。また、ボルト部材2は、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料により形成されるが、枠材1A,1B相互を所望の強度で連結固定可能であれば、高強度高弾性率を有する合成樹脂やセラミックなど、その形成材料に何ら限定されない。
【0029】
図6に示すように、ナット部材3は、略円柱状のナット本体31と、ナット本体31の周面部(以下、「ナット周面」という)30の一端寄りの位置から外周方向に突出する引掛け部32とを備えている。また、ナット本体31の周面部には、ナット本体31の軸線と直交する方向へ貫通するネジ孔33が形成されている。
【0030】
本実施形態では、ナット部材3は、ボルト部材2と同様、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料により形成されるが、枠材1A,1B相互を所望の強度で連結固定可能であれば、高強度高弾性率を有する合成樹脂やセラミックなど、その形成材料に何ら限定されない。
【0031】
引掛け部32は、ナット周面30から対角方向に一対突出形成されており、ナット本体31をナット挿通孔18に挿入させたとき、引掛け部32のナット本体31側の面がそれぞれ、ナット挿通孔18の周縁部(溝底部42)に当接掛合する。
【0032】
引掛け部32の幅は、溝部12の開口幅と略同一の寸法に設定されている。従って、ナット部材2をナット挿通孔18に挿入させる際、引掛け部32は、その両側縁部を内フランジ14の端面内側に沿わせた状態で溝部12内に挿通され、そのままの向きで溝底部42に当接される。即ち、内フランジ14相互の間隙によって、ナット部材2をナット挿通孔18に挿入させるときのナット部材2の向きが規制される。
【0033】
引掛け部32の高さは、溝部12の内側の空間高さより小さい寸法に設定されている。従って、上記のように溝部12に連結具などの部材を保持させて使用する場合に、それら部材が引掛け部32に干渉し難い。よって、溝部12を枠端面11まで有効に利用することができる。
【0034】
引掛け部32のナット本体31側の面、即ち、ナット挿通孔18の周縁部との掛合面には、位置決め用の嵌合部として、基端から先端に亘って引掛け部32の延出方向に連続する2つの断面略V字状の凸部(以下、「嵌合爪」という)36が平行に形成されている。嵌合爪36は、引掛け部32の側縁に沿って延設されており、上記のように引掛け部32を溝底部42に当接させたとき、溝底部42に設けられた2つの嵌合溝16にそれぞれ嵌合される。これにより、ナット部材3の周方向への回動が阻止される。よって、両枠材1A,1Bの連結部に回転モーメントが作用しても、ナット部材3とナット挿通孔18との掛合部にずれが生じ難い。
【0035】
ネジ孔33は、ナット本体31の両端相互間の略中央位置に設けられており、上記のように引掛け部32の嵌合爪36が溝底部42の嵌合溝16に嵌合する位置までナット部材2をナット挿通孔18に挿入させたとき、第2枠材1Bの中空部13と連通し、且つ中空部13と同軸線(中心軸線CL)上に配される。
【0036】
本実施形態の構造物用枠材の連結構造において、枠材1A,1B相互を連結固定させる手順について説明する。まず、ナット部材3を、第2枠材1Bのナット挿通孔18に正面側または背面側から、引掛け部32がナット挿通孔18の周縁部(溝底部42)に当接掛合する位置まで挿入させる。これにより、引掛け部32に設けられた嵌合爪36がそれぞれ、溝底部42の対応する嵌合溝16に嵌合され、ナット部材3がナット挿通孔18に対して回り止め状態で保持される。またこのとき、ナット部材3のネジ孔33は、第2枠材1Bの中空部13と同軸線上にて連通する。
【0037】
次に、第2枠材1Bの中空部13の中心が第1枠材1Aのボルト挿通孔17の中心と一致するように、第2枠材1Bの枠端面11を第1枠材1Aの背面側の枠周面10に当接させ、この状態で、ボルト部材2を、第1枠材1Aのボルト挿通孔17に正面側から、ボルトヘッド22がボルト挿通孔17の周縁部(溝底部42)に当接掛合する位置まで挿入させる。
【0038】
或いは、先にボルト部材2を第1枠材1Aのボルト挿通孔17に正面側から挿入させ、この状態で、第2枠材1Bの中空部13の中心が第1枠材1Aのボルト挿通孔17の中心と一致するように、第2枠材1Bの枠端面11を第1枠材1Aの背面側の枠周面10に当接させる。
【0039】
このとき、ナット部材3のネジ孔33は、ボルト挿通孔17と同様、第2枠材1Bの中空部13に中心を一致させた状態で連通しているため、ボルト部材2のボルト軸21は、上記中空部13を通じて円滑にネジ孔33に挿入される。
【0040】
そしてこの状態でボルト部材2を締め付ければ、ナット部材3は、ボルト軸21の基端側へ引き寄せられてナット挿通孔18の周縁部に押接し、第2枠材1Bを第1枠材1A側へ押圧する。一方、ボルト部材2は、ボルトヘッド22がボルト挿通孔17の周縁部に押接し、第1枠材1Aを第2枠材1B側へ押圧する。その結果、第1枠材1Aの背面側の枠周面10と第2枠材1Bの枠端面11とが互いに押接され、これにより、両枠材1A,1B相互が強固に連結固定される。
【0041】
このように、本実施形態の構造物用枠材の連結構造によれば、ナット本体31とナット挿通孔18との掛合部に加わる応力が第2枠材1Bの延長方向に作用するから、ナット挿通孔18の周縁部が変形したり、ナット部材3がナット挿通孔18からずれたりし難い。よって、両枠材1A,1B相互をガタツキなく適切に連結固定させることができる。
【0042】
しかも、このものでは、ナット周面30に設けられた引掛け部32がナット挿通孔18の周縁部に当接掛合する位置までナット部材3をナット挿通孔18に挿入させ、この状態でボルト部材2をボルト挿通孔17に枠周面10側から挿入させ、ナット部材3に螺合接続させれば、第2枠材1Bの枠端面11が第1枠材1Aの周面部に押接固定されるから、両枠材1A,1B相互を手間なく適切に連結固定させることができる。
【0043】
また、このものでは、ナット挿通孔18にナット部材3を挿通させる際、溝部12の内フランジ14相互の間隙によってナット部材2の向きが規制され、さらに引掛け部32の嵌合爪36と溝底部42の嵌合溝16とが嵌合することで、ナット部材3の周方向への回動が阻止され、且つネジ孔33と第2枠材1Bの中空部13とが同軸線上に配されるから、ネジ孔33と第2枠材1Bの中空部13との中心合わせをする作業の手間もかからない。さらにこの状態で、ボルト部材2をナット挿通孔18に挿通させれば、ボルト軸21がそのまま円滑にネジ孔33に挿入されるから、ボルト軸21とネジ孔33との中心合わせをする作業の手間もかからない。よって、両枠材1A,1Bの連結作業の手間が一層低減される。
【0044】
なお、上記実施形態では、第1枠材1Aの枠端面11寄りの位置にボルト挿通孔17が設けられ、第1枠材1Aの一端側の枠端面11に沿って第2枠材1Bを直角に連結固定させるように構成されたものを説明したが、第1枠材1Aの両端間の中間位置にボルト挿通孔17が設けられ、第1枠材1Aの中間位置に第2枠材1Bを直角に連結固定させるように構成されたものとしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、溝底部42に並設された2つの嵌合溝16と、引掛け部32に並設された2つの嵌合爪36とを嵌合させることによって、ナット部材3の周方向への回動が阻止されるように構成されたものを説明したが、嵌合溝16および嵌合爪36はそれぞれ、単数のみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。また、嵌合溝16および嵌合爪36は、ナット部材3の周方向への回動を適切に阻止可能であれば、円形状や矩形状、曲線状など、その凹凸形状に何ら限定されない。
【0046】
また、上記実施形態では、枠材1A,1Bの溝部12に嵌合溝16が設けられる一方、ナット部材3の引掛け部32に嵌合爪36が設けられ、それら嵌合溝16および嵌合爪36相互を嵌合させることで、ナット部材3の周方向への回動が阻止されるように構成されたものを説明したが、枠材1A,1Bの溝部12に、枠材1A,1Bの延長方向に連続する被嵌合部としての凸部が設けられる一方、ナット部材3の引掛け部32に、上記凹部に嵌合可能な位置決め用の嵌合部としての凹部が設けられ、それら凸部および凹部相互を嵌合させることで、ナット部材3の周方向への回動が阻止されるように構成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1A 第1枠材(枠材)
1B 第2枠材(枠材)
2 ボルト部材
3 ナット部材
10 枠周面(枠材の周面部)
11 枠端面(枠材の端面部)
12 溝部
13 中空部
14 内フランジ
15 内筒部
16 嵌合溝(被嵌合部)
17 ボルト挿通孔
18 ナット挿通孔
21 ボルト軸(軸部)
22 ボルトヘッド(ヘッド部)
30 ナット周面
31 ナット本体(本体部)
32 引掛け部
33 ネジ孔
36 嵌合爪(嵌合部)
41 切欠部
42 溝底部
CL 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6