(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116731
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/26 20060101AFI20220803BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20220803BHJP
E06B 1/16 20060101ALI20220803BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20220803BHJP
E06B 3/16 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
E06B3/26
E06B7/22 F
E06B1/16
E06B1/18 A
E06B3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013051
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 大輝
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BA08
2E014BB03
2E014BC00
2E014BD06
2E036AA02
2E036AA09
2E036BA01
2E036DA09
2E036EB08
2E036EC00
2E036EC03
2E036GA05
2E036HA01
2E036HB25
(57)【要約】
【課題】複数種類あっても、構成部材の点数を低減できる建具を提供すること。
【解決手段】障子3の枠体2に対する戸当たり位置が異なる複数種類の建具100の中から選択される建具は、障子3の框30の少なくとも一辺における室内側の面の形状が共通し、室内側の面は、それぞれ異なる戸当たり位置で枠体2が当接可能な当接部326を有する。室内側の面は、平坦な平坦面325を有し、当接部326は、平坦面325から室内側に向かって突出することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子の枠体に対する戸当たり位置が異なる複数種類の建具の中から選択される建具であって、
前記障子の框の少なくとも一辺における室内側の面の形状が共通し、
前記室内側の面は、それぞれ異なる前記戸当たり位置で前記枠体が当接可能な当接部を有する、建具。
【請求項2】
前記室内側の面は、平坦な平坦面を有し、
前記当接部は、前記平坦面から室内側に向かって突出する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記当接部は、前記平坦面から室内側に向かって突出するとともに見付方向又は上下方向に間を空けて配置される複数の突起部を有し、
前記複数の突起部は、前記平坦面から同じ長さ突出している、請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記当接部は、前記平坦面から室内側に向かって突出するとともに内部が中空のホロー構造部を有する、請求項2に記載の建具。
【請求項5】
前記当接部は、前記框における見付方向に延びる上框及び下框のいずれか、又は前記框における上下方向に延びる縦框に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記当接部は、前記下框に形成され、前記室内側の面の上下方向に一定範囲に亘って形成される、請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記枠体の室外側面には、前記当接部に接する気密材が設けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の建具。
【請求項8】
前記複数種類の建具は、カムラッチハンドルを有する開き窓及びオペレーターハンドルを有する開き窓である、請求項1~7のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される建具は、開口部に固定される枠体と、枠体内を開閉可能に取り付けられる障子を有する。障子が閉じた状態で枠体に当接する位置が、戸当たり位置となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建具の種類によって、戸当たり位置の位置が異なるため、建具ごとに異なる框を製造することとなる。建具が複数種類あっても、構成部材の点数を低減できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、障子の枠体に対する戸当たり位置が異なる複数種類の建具の中から選択される建具であって、前記障子の框の少なくとも一辺における室内側の面の形状が共通し、前記室内側の面は、それぞれ異なる前記戸当たり位置で前記枠体が当接可能な当接部を有する、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態のカムラッチ式の横すべり窓の縦断面を示す。
【
図2】本実施形態のカムラッチ式の横すべり窓の横断面を示す。
【
図3】本実施形態のオペレーター式の横すべり窓の縦断面を示す。
【
図4】本実施形態のアルミサッシ製の横すべり窓の縦断面を示す。
【
図5】本実施形態のアルミサッシ製の横すべり窓の横断面を示す。
【
図6】本実施形態の框の全体がアルミ製の横すべり窓の縦断面を示す。
【
図8】他の実施形態における框の樹脂下框部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の建具は、開き窓100であり、アルミニウムと樹脂により構成された樹脂複合サッシの横すべり窓1、1A、框のみがアルミニウムで枠体が複合材料の横すべり窓1C、及び全体がアルミニウム製の横すべり窓1B等、複数の種類の中から選択される。
【0008】
本明細書において、見付方向とは、開き窓100の正面に向き合って見た場合の左右方向を言い、見込方向とは、開き窓100の室内外方向、すなわち奥行方向を言う。上下方向とは、天地方向を言う。
【0009】
図1及び
図2に示す横すべり窓1は、樹脂複合サッシであり、室外側がアルミニウムで構成され、室内側が樹脂で構成される。アルミニウムの部分と樹脂の部分は互いに嵌合等によって接合されている。樹脂複合サッシの横すべり窓1は、枠体2と、障子3と、開閉機構4と、リンク機構5と、を有する。
図1及び
図2に示す横すべり窓1は、カムラッチハンドル41により開閉されるカムラッチ式の横すべり窓1である。
図1及び
図2の横すべり窓1には、室内側に室内側障子が配置されるが、説明の簡略化のため、図示を省略している。
【0010】
枠体2は、開き窓100が配置される略矩形状の開口部201の周囲に矩形状に組まれる枠である。枠体2は、それぞれが長尺状の上枠21と、下枠22と、一対の縦枠23(
図2参照)とを有する。
【0011】
上枠21は、開口部201の上縁に沿って見付方向の略水平方向に延びるように配置される型材である。上枠21は、アルミ上枠部21aと、樹脂上枠部21bと、を有する。アルミ上枠部21aは、下方に向かって突出する係合片211を有する。樹脂上枠部21bは、アルミ上枠部21aの係合片211に係合し、アルミ上枠部21aの室内側の下方を覆う。樹脂上枠部21bは、気密材92を介して後述する上框31の樹脂上框部31bと当接する。
【0012】
下枠22は、開口部201の下縁に沿って見付方向の略水平方向に延びるように配置される型材である。下枠22は、アルミ下枠部22aと、樹脂下枠部22bと、を有する。アルミ下枠部22aは、見付方向に沿って延びるアルミニウム製の型材であり、室外側部221と、室内側部222と、を有する。
【0013】
室外側部221は、下枠22の室外側に位置し、断面視略四角形のホロー構造部により構成される。室外側部221は、見付方向に延びる上面221aを有する。室内側部222は、室外側部221よりも室内側で、室外側部221の上面221aを越えて上方へ延びる。室内側部222は、室内側面222cと、係合片222dと、底部222eと、を有する。室内側面222cは、室内側部222の室内側で上下方向に延びる面である。係合片222dは、室内側部222の室外側で、上方に向かって延びる。係合片222dは、樹脂下枠部22bと係合する。底部222eは、係合片222dと室内側面222cとの間を接続する面である。
【0014】
樹脂下枠部22bは、アルミ下枠部22aの室内側の上部に配置される。樹脂下枠部22bは、見付方向に沿って略水平方向に延びる。樹脂下枠部22bの室外側の端部は、後述する下框32の室内側の端部と向き合って配置される。樹脂下枠部22bの室外側の端部に、気密材91が設けられている。樹脂下枠部22bと、アルミ上枠部21aの係合片222dと、室内側面222cと、及び底部222eとにより、下枠22の室内側で断面視略四角形のホロー構造部が形成されている。
【0015】
縦枠23は、
図2に示すように、開口部201の上下方向に延び、上枠21及び下枠22の両端で、上枠21及び下枠22を接続するように配置される。縦枠23は、アルミ縦枠部23aと、樹脂縦枠部23bとを有する。
【0016】
アルミ縦枠部23aは、見込部231と、係合部232と、を有する。見込部231は、開口部201の上下方向に延びる縁に沿うとともに開口部201の上下方向の縁を見込方向に覆う。係合部232は、係合片232a、232bを有する。係合片232a、232bは、見込部231における見込方向の略中央部及び室内側端部から、それぞれ枠体2の内周側に向かって見付方向に突出する。
【0017】
樹脂縦枠部23bは、枠体2の室内側で、アルミ縦枠部23aの見付方向内側に配置される。樹脂縦枠部23bは、アルミ縦枠部23aの係合片232a、232bの見付方向の端部に係合して接続され、見込方向に延びる。
【0018】
障子3は、後述するガラス部34の四周を囲み、枠体2の内周側に開閉可能に配置される。障子3は、框30と、ガラス部34と、を有する。框30は、それぞれが長尺状の上框31、下框32及び一対の縦框33を有する。框30は、内周側に向かって開口した断面視略コの字状に形成される。
【0019】
上框31は、
図1に示すように、上枠21の下方に配置され、見付方向に延びる。上框31はアルミ上框部31aと、樹脂上框部31bと、ガラス保持部31cと、を有する。アルミ上框部31aは、断面視T字状に形成され、室外側面311と、上框見込部312と、を有する。室外側面311は、アルミ上枠部21aの室外側の端部近傍から下方に延びる。上框見込部312は、室外側面311に対して直交する方向に突出し、アルミ上枠部21aの内周側で見込み方向に延びる。
【0020】
樹脂上框部31bは、上框見込部312の室内側の端部に係合し、室外側面311に対向して上下方向に延びる。室外側面311と、上框見込部312と、樹脂上框部31bによって下方に向かって開口する断面視略コの字状の上框31の断面が形成され、この断面視略コの字状の内側に形成される凹部がガラス保持部31cとなる。樹脂上框部31bは、室内側に向かって突出する上框当接部316を有する。上框当接部316は、上下方向に間を空けて複数の突起部3160を有する。
【0021】
下框32は、下枠22の上方に配置され、見付方向に延びる。下框32はアルミ下框部32aと、樹脂下框部32bと、ガラス保持部32cと、を有する。アルミ下框部32aは、室外側面321と、下框見込部322と、ホロー構造部324と、を有する。室外側面321は、下枠22の室外側の端部近傍から上方に延びる平坦な面を有する。下框見込部322は、室外側面321に対して直交する方向に突出し、アルミ下枠部22aの内周側で見込方向に延びる。ホロー構造部324は、下框見込部322の下方に配置され、下框見込部322に沿って形成される中空部である。ホロー構造部324は、室外側面321の一部と、下框見込部322と、下框見込部322に対向するホロー見込片3241と、室外側面321に対向するホロー室内側面3242により構成される。
【0022】
樹脂下框部32bは、ホロー構造部324のホロー室内側面3242に係合し、下框32の室内側面で上下方向に延びる。樹脂下框部32bは、ホロー室内側面3242から上方に突出して、室外側面321の一部に対向して配置される。樹脂下框部32bは、下框32の室内側の面を構成する。樹脂下框部32bは、平坦面325と、当接部326と、を有する。
【0023】
平坦面325は、樹脂下框部32bの上下方向に延びる平坦な部分である。当接部326は、平坦面325における下側に形成され、平坦面325から室内側に向かって突出する。当接部326は平坦面325の上下方向の一定範囲に亘って形成されている。当接部326は複数の突起部3260を有する。突起部3260は、平坦面325から室内側に向かって突出し、それぞれ上下方向に間を空けて配置される。突起部3260は、それぞれが平坦面325から室内側に同じ長さ突出し、突起部3260の室内側の端部は、平坦面325からの見込方向の距離が同じ位置に揃っている。突起部3260の一部は、障子3を閉じた状態で下枠22の樹脂下枠部22bにおける室外側面に設けられた気密材91に当接する。突起部3260の気密材91に当たる位置が、横すべり窓1における障子3の戸当たり位置となる。
【0024】
下框32の室外側面321と、下框見込部322と、樹脂下框部32bの平坦面325によって上方に向かって開口する断面視略コの字状の下框32の断面が形成され、この断面視略コの字状の内側に形成される凹部がガラス保持部32cとなる。
【0025】
縦框33は、
図2に示すように、縦枠23の内周側に配置され、上下方向に延びる。縦框33はアルミ縦框部33aと、樹脂縦框部33bと、ガラス保持部33cと、を有する。アルミ縦框部33aは、室外側面331と、縦框見込部332と、を有する。室外側面331は、アルミ縦枠部23aの室外側の端部の内周側から見付方向に延びる。縦框見込部332は、室外側面331から見込方向に延びる。樹脂縦框部33bは、縦框見込部332の室内側の端部に係合し、室外側面331に対向して見付方向に延びる。室外側面331と、縦框見込部332と、樹脂縦框部33bによって框30の内周側に向かって開口する断面視略コの字状の縦框33の断面が形成され、この断面視略コの字状の内側に形成される凹部がガラス保持部33cとなる。
【0026】
ガラス部34は、ガラス341と、グレーチングチャネル342と、を有する。ガラス341は、開口部201を塞ぐ面材である。ガラス部34は複層のガラス341を有し、室外側と室内側でスペーサー344を挟んでガラス341が2枚配置されている。グレーチングチャネル342は、2枚のガラス341を保持する断面視略コの字状のゴム製のパッキンである。グレーチングチャネル342は、框30のガラス保持部31c、32c、33cに挿入され、ガラス341の端面を保持する。
【0027】
開閉機構4は、カムラッチ式で構成され、カムラッチハンドル41と、受け部42と、を有する。カムラッチハンドル41は、障子3の下框32に回動可能に取り付けられる。カムラッチハンドル41は、ハンドル部411と、ラッチ部412と、回動軸413と、を有する。ハンドル部411は、使用者が掴んで回せる細長い取手である。回動軸413は、カムラッチハンドル41と下框32を接続するとともに、回動可能に取り付けられる軸である。ラッチ部412は、回動軸413からハンドル部411と反対方向に突出する。ハンドル部411の回動によってラッチ部412が受け部42に係合したり外れたりするようになっている。受け部42は、縦枠23側に配置され、ラッチ部412を受ける凹部を有する。受け部42は、樹脂下枠部22b内に配置されている。
【0028】
リンク機構5は、障子3と枠体2を連結する。リンク機構5は、平板状のステー等により構成される。リンク機構5は、縦枠23と縦框33との間に配置される。
【0029】
次に、樹脂複合サッシの横すべり窓1Aについて説明する。すでに説明した樹脂複合サッシの横すべり窓1と共通する部分については説明を省略し、共通する部分については同じ符号を用いて説明する。
図3に示す横すべり窓1Aは、オペレーターハンドル41Aにより開閉されるオペレーター式の横すべり窓1Aである。横すべり窓1Aは、枠体2Aと、障子3Aと、開閉機構4Aと、リンク機構5Aと、を有する。
【0030】
横すべり窓1Aにおける枠体2Aの上枠21A及び縦枠23Aは、上述した横すべり窓1の上枠21及び縦枠23の構成と概ね同様である。障子3Aの上框31Aの構成についても、横すべり窓1と横すべり窓1Aとは概ね同様である。
【0031】
オペレーター式の横すべり窓1Aにおける下枠22Aは、アルミ下枠部22aと、樹脂下枠部22bAと、を有する。アルミ下枠部22aは、見付方向に沿って延びるアルミ製の型材であり、室外側部221と、室内側部222と、を有する。
【0032】
室外側部221は、下枠22Aの室外側に位置し、見付方向に延びる上面221aを有する。室内側部222は、室外側部221よりも室内側で、室外側部221の上面221aを越えて上方へ延びる。室内側部222は、上面222aと、段差面222bと、室内側面222cと、接続片222fと、を有する。上面222aは、室外側部221の上面221aよりも高い位置にある。室外側部221の上面221aと室内側部222の上面222aとの間には段差があり、室内側部222における室外側との段差面222bは、室外側部221の上面221aから略直交する方向に延びている。段差面222bの上部は、樹脂下框部32bと向き合って配置されている。段差面222bの上部には気密材91が取り付けられている。段差面222bの上部と、樹脂下框部32bの当接部326Aの下側とは、気密材91を介して当接する。室内側面222cは、段差面222bに対向して室内側で上下方向に延びる面である。接続片222fは、上面222aから上方に突出する。接続片222fには、樹脂下枠部22bAが接続される。
【0033】
樹脂下枠部22bAは、断面視略L字状に形成される。樹脂下枠部22bAは、起立部223と、下枠上面部224と、を有する。起立部223は、室内側部222の接続片222fに接続され、上下方向に起立する。起立部223には、後述するオペレーターハンドル41Aが接続される。下枠上面部224は、起立部223と略直交する方向に延び、室内側部222の上面222aと略平行に延びる。
【0034】
リンク機構5Aは、平板状のアームにより構成される。リンク機構5は、上枠21Aと上框31Aとの間、及び下枠22Aと下框32Aとの間に配置される。
【0035】
開閉機構4Aは、オペレーターハンドル41Aと、接続部(図示省略)を有する。オペレーターハンドル41Aは、不図示のハンドルに接続され、ハンドルを回転することで障子3を開閉する。接続部は、オペレーターハンドル41Aと障子3とを接続する機構である。接続部は、オペレーターハンドル41Aを回動させる動きを、障子3と枠体をと接続するリンク機構5Aに伝えて障子3を開閉する。
【0036】
横すべり窓1Aにおける上框31A及び縦框33Aの構成は、カムラッチ式の横すべり窓1の構成と概ね共通する。横すべり窓1Aにおけるガラス部34がガラス保持部31c、32c、33cの内周側に保持される構成は、横すべり窓1と同じである。
【0037】
下框32Aでは、樹脂下框部32bの突起部3260Aは、下枠22Aの室内側部222における段差面222bと気密材91を介して当接する。
図1及び
図3を比較すると、オペレーター式の横すべり窓1Aの当接部326Aの上下方向の一定範囲のうち、気密材91に当たる戸当たり位置は、カムラッチ式の横すべり窓1と比べて低い位置になっている。樹脂下框部32bの形状自体は、横すべり窓1と横すべり窓1Aとで共通している。したがって、当接部326、326A及び突起部3260、3260Aの形状も共通している。
【0038】
図1及び
図3を比較すると、横すべり窓1では、開閉機構4の受け部42が、樹脂下枠部22bに配置されている。横すべり窓1では、下框32と下枠22との戸当たり位置が、樹脂下枠部22bの室外側の端部と、樹脂下框部32bの当接部326との間に形成されている。横すべり窓1Aでは、樹脂下枠部22bが起立部223と下枠上面部224とを有し、オペレーターハンドル41Aが起立部223に取り付けられている。横すべり窓1Aでは、下框32Aと下枠22Aとの戸当たり位置が、アルミ下枠部22aの室内側部222における段差面222bの上端側と、樹脂下框部32bの当接部326との間に形成されている。この結果、横すべり窓1と横すべり窓1Aとでは、横すべり窓1Aの戸当たり位置の方が、横すべり窓1の戸当たり位置よりも低い位置にある。しかし、樹脂下框部32bに上下方向の一定範囲に亘って当接部326、326Aが形成されているので、異なる戸当たり位置で枠体2、2Aが障子3、3Aに当接可能である。
【0039】
次に、枠体2及び障子3の全体が金属で構成されたアルミサッシ製の横すべり窓1Bについて説明する。すでに説明した樹脂複合サッシの横すべり窓1、1Aと共通する部分については説明を省略し、共通する部分については同じ符号を用いて説明する。
図4及び
図5に示す横すべり窓1Bは、カムラッチハンドル41Bより開閉されるカムラッチ式の横すべり窓1Bである。横すべり窓1Bは、枠体2Bと、障子3Bと、開閉機構4Bと、リンク機構5Bと、を有する。
図4及び
図5の横すべり窓1Bには、室内側に室内側障子が配置されるが、説明の簡略化のため、図示を省略している。
【0040】
図4に示すように、枠体2の上枠21Bは、上枠21Bの室内側を覆う樹脂上枠部21bを有していない。上枠21Bは、室外側及び室内側が一体で開口部201の上縁に沿って見付方向に延び、上枠21Bの見込方向における中央部から下方に向かって係合片211が突出している。係合片211は、気密材92を介して上框31の室内側面に当接する。
【0041】
下枠22Bは、下枠22Bの室内側を覆う樹脂下枠部22bを有していない。下枠22Bは、開口部201の下縁に沿って略水平方向に延びるように配置される型材である。下枠22Bは、見付方向に沿って延び、室外側部221と、室内側部222と、を有する。
【0042】
室外側部221は、下枠22Bの室外側に位置し、見付方向に延びる上面221aを有する。室内側部222は、室外側部221よりも室内側で、室外側部221の上面221aを越えて上方へ延びる。室内側部222は、上面222aと、段差面222bと、室内側面222cと、底部222eと、を有する。上面222aは、室外側部221の上面221aよりも高い位置にある。室外側部221と室内側部222との間には段差があり、室内側部222における室外側との段差面222bは、室外側部221の上面221aから略直交する方向に延びている。段差面222bの上部は、樹脂下框部32bと向き合って配置されている。段差面222bの上部には、気密材91が取り付けられている。室内側面222cは、段差面222bに対向して室内側で上下方向に延びる面である。底部222eは、段差面222bと室内側面222cとの間を接続する面である。室内側部222の上面222a、段差面222b、室内側面222c、底部222eにより、断面視略四角形のホロー構造部が形成されている。
【0043】
図5に示すように、縦枠23Bは、縦枠23の室内側を覆う樹脂縦枠部23bを有していないほかは、横すべり窓1の縦枠23と概ね同じ構成を有する。縦枠23Bでは、係合片232a、232bの間は、枠体2の内周側に向かって開放されている。
【0044】
上框31B及び縦框33Bの構成は、上框31Bが樹脂上框部31bを有していない点、及び縦框33Bが樹脂縦框部33bを有していないほかは、横すべり窓1の上框31及び縦框33と概ね同じ構成を有する。上框31B及び縦框33Bでは、樹脂上框部31b及び樹脂縦框部33bの代わりに、アルミニウム製の室内側面313、333が室外側面311、331に対向して配置される。アルミサッシ製の障子3Bは、上框31B及び縦框33Bの全体がアルミニウムで構成される。
【0045】
下框32Bは、樹脂下框部32bを有していない。下框32Bは、下枠22Bの上方に配置される。下框32Bは、室外側面321と、下框見込部322と、ホロー構造部324と、を有する。室外側面321は、下枠22の室外側の端部近傍から上方に延びる平坦な面を有する。下框見込部322は、室外側面321に対して直交する方向に突出し、下框32Bの内周側で見込方向に延びる。ホロー構造部324は、下框見込部322の下方に配置され、下框見込部322に沿って形成される中空部である。ホロー構造部324は、室外側面321の一部と、下框見込部322と、下框見込部322に対向するホロー見込片3241と、室外側面321に対向するホロー室内側面3242Bにより構成される。ホロー室内側面3242Bと、下枠22Bの段差面222bの上部とは、気密材91を介して当接する。
【0046】
横すべり窓1Bにおけるホロー室内側面3242Bは、下框32Bの室内側の面を構成する。ホロー室内側面3242Bは、室外側面321と対向して延び、その上端は、室外側面321の上端と同じ高さに配置される。ホロー室内側面3242Bは、平坦面325Bと、当接部326Bと、を有する。横すべり窓1Bでは、平坦面325Bと当接部326Bとが、下框32Bと一体に形成されている。
【0047】
平坦面325Bは、ホロー室内側面3242Bの上方に、上下方向に延びて形成される。当接部326Bは、ホロー室内側面3242Bの下方に形成され、上下方向の一定範囲に亘って形成されている。当接部326Bは、複数の突起部3260Bを有する。突起部3260Bは、平坦面325Bから室内側に向かって突出し、それぞれ上下方向に間を空けて配置される。突起部3260Bは、それぞれが平坦面325Bから室内側に同じ長さ突出し、突起部3260Bの室内側の端部は、平坦面325Bからの見込方向の距離が同じ位置に揃っている。突起部3260Bの一部は、障子3を閉じた状態で下枠22Bの段差面222bに設けられた気密材91に当接する。突起部3260Bの気密材91に当たる位置が、横すべり窓1Bにおける障子3Bの戸当たり位置となる。
【0048】
室外側面321と、下框見込部322と、ホロー室内側面3242Bによって上方に向かって開口する断面視略コの字状の下框32Bの断面が形成され、この断面視略コの字状の内側に形成される凹部がガラス保持部32cとなる。
【0049】
開閉機構4Bは、横すべり窓1と同じカムラッチ式のカムラッチハンドル41Bを有する。カムラッチハンドル41は、下框32Bにおけるホロー室内側面3242Bの上部に接続される。受け部42は、下枠22Bにおける室内側部222のホロー構造部の内部に配置される。受け部42の凹部の開口は、上面222aに配置される。
【0050】
次に、
図6を参照して、障子3Cにおける框30Cの全体がアルミサッシで構成され、枠体2Cがアルミニウムと樹脂の複合材料で構成された横すべり窓1Cについて説明する。すでに説明した樹脂複合サッシの横すべり窓1、1A及びアルミサッシ製の横すべり窓1Bと共通する部分については説明を省略し、共通する部分については同じ符号を用いて説明する。
図6に示す横すべり窓1Cは、オペレーターハンドル41Cにより開閉されるオペレーター式の横すべり窓1Cである。横すべり窓1Cは、枠体2Cと、障子3Cと、開閉機構4Cと、を有する。
【0051】
枠体2Cの構成は、
図3に示す樹脂複合サッシの横すべり窓1Aの枠体2Aの構成と概ね共通する。下枠22Cの樹脂下枠部22bCにおける起立部223には、横すべり窓1Aと同様に、オペレーターハンドル41Cが接続されている。
【0052】
横すべり窓1Cにおける障子3Cの構成は、
図4及び
図5に示す框30Bの全体がアルミサッシ製の障子3Bの構成と概ね共通する。
【0053】
オペレーター式の横すべり窓1Cの突起部3260Cのうち、気密材91に当たる戸当たり位置は、カムラッチ式の横すべり窓1、横すべり窓1Bと比べて低い位置になっている。ホロー室内側面3242Cの形状自体は、全体がアルミサッシ製の横すべり窓1Bと框30Cのみがアルミサッシ製の横すべり窓1Cとで共通している。したがって、横すべり窓1B及び横すべり窓1Cにおける平坦面325B,325C、当接部326B,326C、及び突起部3260B、3260Cの形状も共通している。
【0054】
図4及び
図6を比較すると、横すべり窓1Bでは、開閉機構4Bの受け部42が、カムラッチハンドル41のラッチ部412を受ける。横すべり窓1Bにおいて、ホロー室内側面3242Bの当接部326Bにおける突起部3260Bと、下枠22Bの段差面222bに設けられた気密材91との戸当たり位置は、横すべり窓1Cと比べて上方に位置している。横すべり窓1Cでは、オペレーターハンドル41Cが前方に向かって下がるように傾斜している。このため、ホロー室内側面3242Cの当接部326Cにおける突起部3260Cと、下枠22Cの段差面222bに設けられた気密材91との戸当たり位置が、横すべり窓1Bよりも低くなっている。すなわち、横すべり窓1Bと横すべり窓1Cとでは、同じ形状の当接部326B,326Cの上下方向の範囲の中で、横すべり窓1Cの戸当たり位置の方が、横すべり窓1Bの戸当たり位置よりも低い位置にある。
【0055】
しかし、横すべり窓1Bと横すべり窓1Cの戸当たり位置が上下に異なっても、ホロー室内側面3242B、3240Cの上下方向の一定範囲に亘って当接部326B,326Cが形成されている。このため、戸当たり位置、すなわち気密材91が当接部326に当たる位置を上下に変えることで、室内側の面が同じ形状の下框32B、32Cを用いることができる。
【0056】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。障子3、3A、3B、3Cの枠体2、2A、2B、2Cに対する戸当たり位置が異なる複数種類の横すべり窓1、1A、1B、1Cの中から選択される開き窓100を、障子3、3A、3B、3Cの框30、30A、30B、30Cの少なくとも一辺における室内側の面の形状を共通にした。室内側の面を、それぞれ異なる戸当たり位置で枠体2、2A、2B、2Cが当接可能な当接部326、326A、326B、326Cを含んで構成した。框30、30A、30B、30Cの室内側の面の形状を共通させたので、建具の種類が異なるごとに框30、30A、30B、30Cの種類や形状を変更する必要がない。よって、框30、30A、30B、30Cの形状を共通化することができる。よって、複数種類の建具の製造の際に、部材の点数を削減することができ、製造コストが低減できるとともに部品管理が容易になる。
【0057】
本実施形態によれば、室内側の面を、平坦な平坦面325、325A、325B、325Cを含んで構成し、当接部326、326A、326B、326Cを、平坦面325、325A、325B、325Cから室内側に向かって突出させた。これにより、戸当たりの見込方向の位置を調節する必要が生じた場合に、施工現場において調節しやすくなる。
【0058】
本実施形態によれば、当接部326、326A、326B、326Cを、平坦面325、325A、325B、325Cから室内側に向かって突出するともに上下方向に間を空けて配置される複数の突起部3260、3260A、3260B、3260Cを含んで構成した。複数の突起部3260、3260A、3260B、3260Cを、平坦面325、325A、325B、325Cから同じ長さ突出させた。突起部3260、3260A、3260B、3260Cが上下方向に間を空けて配置されていることで、戸当たり位置が横すべり窓1、1A、1B、1Cによって上下に異なった場合に、同じ部材を用いて戸当たり位置の違いに対応することが可能となる。複数の突起部3260、3260A、3260B、3260Cが平坦面325、325A、325B、325Cから間を空けて配置されていることで、必要な場合に、突起部3260、3260A、3260B、3260Cを切断する等、形状の調整を容易に行うことができ、利便性が高まる。
【0059】
本実施形態によれば、当接部326、326A、326B、326Cを、下框32、32A、32B、32Cに形成し、樹脂下框部32b、ホロー室内側面3242B、ホロー室内側面3242の上下方向に一定範囲に亘って形成した。横すべり窓1、1A、1B、1Cの下側に開閉機構4、4A、4B、4Cを設けた場合等に、部材の点数を低減することが容易になる。
【0060】
本実施形態によれば、枠体2、2A、2B、2Cの室外側面となる段差面222bに、当接部326、326A、326B、326Cに接する気密材91を設けた。枠体2、2A、2B、2Cに、当接部326、326A、326B、326Cと接する部分に気密材91を設けることで、枠体2、2A、2B、2Cと障子3、3A、3B、3C3戸当たり位置に形成される隙間を気密に保つことができるとともに、戸当たりの衝撃を和らげることができる。
【0061】
本実施形態によれば、複数種類の開き窓100を、カムラッチハンドルを有する横すべり窓1、1B及びオペレーターハンドルを有する横すべり窓1A、1Cとした。これにより、開閉形態及び開閉機構の異なる開き窓100の間で部材を共通化させることができ、部品点数を低減することが可能になる。
【0062】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。上記の実施形態では、下框32及び32Aの室内側の面の形状、下框32B及び下框32Bの室内側の面の形状が共通している。しかし、框30の少なくとも一辺における室内側の面の形状が共通していればよい。例えば、開き窓100の構成によっては、上框に当接部を形成し、室内側の面の形状を共通化してもよい。面の形状が共通する建具の種類は2種類に限らず、何種類の間で共通していてもよい。
【0063】
図7は、樹脂複合サッシの横すべり窓1Dにおいて縦框33Dの面の形状を共通化させる場合に、室内側の面を構成する樹脂縦框部33bに、平坦面325D及び当接部326Dを設けた例を示す。この例では、当接部326Aは、平坦面325Dから室内側に向かって突出するとともに、見付方向に間を空けて配置される複数の突起部3260Dを有する。障子3Dと枠体2Dとの戸当たり位置を縦框33D側に配置する。框30Dの少なくとも一辺の室内側の面の形状を共通化させることで、複数の建具の間で部品の共通化を図ることが可能となる。
【0064】
図8は、樹脂製の下框の樹脂下框部の他の形状を示す。当接部326Fは、平坦面325Fから室内側に向かって突出するとともに、内部が中空のホロー構造部327を有するように構成してもよい。ホロー構造部327の室内側の面を共通させることによっても、戸当たり位置の異なる複数種類の建具の間で部品を共通化させることができる。ホロー構造部327により、当接部326Fの強度を向上させることができる。
【0065】
上記実施形態では、枠体2及び障子3の金属や樹脂等の構成材料の違いや、開き窓100を開閉する開閉形態の違いによって異なる複数種類の建具を例に説明した。しかし、戸当たり位置が異なる建具の間であれば、他の構成が異なる建具を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、1A、1B,1C、 横すべり窓、 2、2A、2B、2C 枠体、 3、3A、3B、3C 障子、 30、30A、30B、30C 框、 31、31A、31B、31C 上框、 32、32A、32B、32C 下框、 33、33A、33B、33C 縦框、 41、41B カムラッチハンドル、 41A,41C オペレーターハンドル、 91 気密材、100 開き窓(建具) 325、325A、325B、325C、 平坦面、 326、326A、326B、326C、326D 当接部、 3260、3260A、3260B、3260C 突起部、 327 ホロー構造部