(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116737
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013058
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】720010855
【氏名又は名称】山佐ネクスト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐野 詳一
(72)【発明者】
【氏名】今田 直幸
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518AA02
2C518AC12
2C518AD01
2C518AD06
2C518AD08
2C518CA03
2C518CA08
2C518EA01
2C518EA03
2C518EA05
2C518EB01
2C518EB04
2C518EB16
(57)【要約】
【課題】リミッタまで継続する有利状態の抽選演出を効果的に実施することができる遊技機を提供する。
【解決手段】AT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、規定数到達AT状態211に移行する規定数を抽選して決定する。また、AT一般状態207において、AT状態が継続しAT中累計数が規定数まで残り一定数以下(例えば、規定数が1000であるときに、AT中累計数が800以上となり規定数までの残りが200以下)となったときに、規定数まで残り一定数以下AT一般状態210に移行し、背景態様が第1背景演出301と異なる第2背景演出302となる。第2背景演出302では規定数までの残りが遊技者に特定可能な残数表示401を併せて実行する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
所定の開始条件が成立してから所定の終了条件が成立するまで有利区間に制御する有利区間制御手段と、
前記有利区間中において通常状態と、前記通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である有利状態との移行制御を行う状態制御手段と、
表示手段と、を備え、
前記所定の終了条件には、終了条件が成立した第1の条件と、前記終了条件が成立することなく予め定められた上限条件が成立した第2の条件と、を含み、
前記有利区間の開始ではなく前記有利状態の移行に基づいて、当該有利区間において前記第2の条件まで前記有利状態が行われることが確定する基準値を決定する基準値決定手段と、を更に備え、
前記基準値は、一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量に関する有利量基準値を含み、
一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量と前記基準値決定手段で決定された前記有利量基準値との差分が所定量以下となったときに、前記表示手段にて前記差分を特定可能な表示を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量が前記有利量基準値に到達した後は前記表示手段における背景演出として第1到達背景演出となり、更に前記有利量基準値に到達した後であって、前記上限条件までの差分が特定量以下となった後は前記上限条件まで前記表示手段における背景演出として第2到達背景演出となるものであって、前記第1到達背景演出中においては、前記表示手段で前記有利状態の期間の上乗せを報知する上乗せ報知演出を実行可能である一方、前記第2到達背景演出中においては、前記表示手段で前記上乗せ報知演出を行わないことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例として、複数種類の図柄が配列されたリールを複数備え、メダル等を用いて賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることにより役抽選を行うとともにリールの回転を開始し、役抽選の結果とストップスイッチの操作態様(押し順、操作タイミング等)とに基づいてリールの回転を停止し、すべてのリールが停止したときの入賞ライン上の図柄の組合せに応じてメダル払出等を付与可能なスロットマシンが存在する。また、遊技者にとって特典(例えば有利な状態)として、所定の役(たとえば、小役あるいはリプレイ等)の当選確率を向上させるボーナスやRT(Replay Time)、役抽選の結果が複数の役に当選する結果となったときに特典がより大きな役を入賞させるための遊技者にとって有利となる操作情報を報知するAT(Assist Time)が設けられているスロットマシンも存在する。また、パチンコ球を遊技領域に発射して、遊技領域に設けられている始動入賞口に入賞することにより複数種類の図柄を可変表示させた後に停止させて図柄組合せを表示するパチンコ遊技機などが知られている。
【0003】
また、このような遊技機には、有利区間のリミッタ機能を搭載することで遊技者に対して過度に射幸心を煽ることを防止するとともに、リミッタまで継続する有利状態を設けることで興趣向上を図る遊技機(特許文献1参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-225598号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リミッタまで継続する有利状態の抽選や演出の実行に対して未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リミッタまで継続する有利状態の抽選演出を効果的に実施することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機であって、所定の開始条件が成立してから所定の終了条件が成立するまで有利区間に制御する有利区間制御手段と、前記有利区間中において通常状態と、前記通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である有利状態との移行制御を行う状態制御手段と、表示手段と、を備え、前記所定の終了条件には、終了条件が成立した第1の条件と、前記終了条件が成立することなく予め定められた上限条件が成立した第2の条件と、を含み、前記有利区間の開始ではなく前記有利状態の移行に基づいて、当該有利区間において前記第2の条件まで前記有利状態が行われることが確定する基準値を決定する基準値決定手段と、を更に備え、前記基準値は、一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量に関する有利量基準値を含み、前記表示手段において、一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量と前記基準値決定手段で決定された前記有利量基準値との差分が所定量以下となったときに、前記差分を特定可能な表示を行うことを特徴とする遊技機である。
【0008】
この構成によると、有利状態中に遊技者に付与された有利量が多くなると決定された有利量基準値までの差分が少なくなることにより表示手段にその旨が表示されるため、遊技者は有利状態の遊技を表示がでることを期待しながら進めることができ、表示されると上限条件まで有利状態が継続する目標が明確になることでより有利区間における有利量の獲得に意欲がわくことから、興趣向上を図ることができる。
【0009】
好ましくは、一の前記有利区間において遊技者に付与された有利量が前記有利量基準値に到達した後は前記表示手段における背景演出として第1到達背景演出となり、更に前記有利量基準値に到達した後であって、前記上限条件までの差分が特定量以下となった後は前記上限条件まで前記表示手段における背景演出として第2到達背景演出となるものであって、前記第1到達背景演出中においては、前記表示手段で前記有利状態の期間の上乗せを報知する上乗せ報知演出を実行可能である一方、前記第2到達背景演出中においては、前記表示手段で前記上乗せ報知演出を行わない遊技機である。
【0010】
この構成によると、決定された有利量基準値によらず上限条件までの差分が特定量以下となった後は上限条件まで所謂エンディング演出をじっくりと楽しむことができるとともに、それ以前の状態は上限条件まで有利区間が継続することを背景で報知するものの、有利量基準値到達前の有利状態でも行われる上乗せ報知演出を行うことが可能であるため、違和感なく演出を楽しみながら特定量以下となるまでの期間の遊技を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】スロットマシンの前面扉を開放した状態の斜視図である。
【
図3】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)リールの図柄配列である。(b)入賞ラインを示す図である。
【
図6】遊技状態の遷移について説明するための図である。
【
図7】当選役グループおよび操作態様に応じた入賞について説明するための図である。
【
図8】有利区間と有利区間内の状態の各々の遷移について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、
図1~
図10を参照して説明する。
【0013】
この実施形態におけるスロットマシン1は、予め設定された複数の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態において、メダルなどの遊技媒体が規定数投入されることを条件とする遊技者の操作に基づいて一回の遊技が実行されるものであって、例えば
図1に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシン1では、筐体3の前面が前面扉5により開閉自在に閉塞され、この前面扉5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設されると共に、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。
【0014】
そして、この正面板9には横長矩形の表示窓11が設けられている。また、表示窓11の内側には、
図1、
図2に示すように、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右リール13L,13M,13Rが配置されている。これら左・中・右リール13L,13M,13Rには、複数種類の図柄が合計20個、所定の配列でそれぞれ設けられている。また、各図柄には、0番から19番までの図柄番号が順に付されている。そして、例えば、図柄番号0番から20番までの図柄が印刷されたリールテープがリールの周面に貼り付けられて各リール13L,13M,13Rがそれぞれ形成される。また、各リール13L,13M,13Rが回転すると、図柄番号19番、18番、…、0番、19番、…の予め定められた順に複数の図柄がそれぞれ表示窓11に変動表示される。表示窓11からは、各リール13L,13M,13Rの回転が停止すると、図柄が上段、中段および下段にそれぞれ1個の合計3個ずつ覗くように設定されている。すなわち、3個すべてのリール13L,13M,13Rが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓11に停止表示されるようになっている。なお、例えば、予め定められたライン(例えば右上がりライン)が入賞ラインとして設定されている。
【0015】
また、各リール13L,13M,13Rをそれぞれ独立して回転駆動できるように、各リール13L,13M,13Rには、それぞれステッピングモータにより構成される
図3に示すリールモータ14L,14M,14Rが連結されている。
【0016】
更に、操作板7には、内部に貯留されているクレジットメダルから1枚ずつのメダル投入を指示するためのベットスイッチ15、クレジットメダルから1ゲーム(遊技)あたりの最大投入枚数(3枚に設定されている)のメダル投入を指示するための最大ベットスイッチ17、演出に関与するために操作する演出ボタン42、各リール13L,13M,13Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させるレバー状のスタートスイッチ19、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させる左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、クレジットメダルを払い出すための精算スイッチ23、およびメダル投入口25が設けられている。また、各リール13L,13M,13Rにより複数種類の図柄を可変表示する複数の可変表示列が形成されており、各ストップスイッチ21L,21M,21Rは、各リール13L,13M,13Rそれぞれに対応して設けられている。
【0017】
また、正面板9の上方のほぼ中央には、動画などを表示して遊技者に当選や入賞などを告知したり、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様を報知したりする演出を行うための液晶表示器27が設けられている。また、液晶表示器27のすぐ上方には、各種の入賞図柄が表示された説明パネル29が設けられ、液晶表示器27および説明パネル29の左右には、音楽や音声などによる演出を行うためのスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。なお、
図2に示すように、後述するメダル払出口39の左右にもスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。また、説明パネル29およびスピーカ31L,31Rの上辺には中央ランプ部33Mが配設され、その左右には左・右ランプ部33L,33Rがそれぞれ配設されている。各ランプ部33M,33L,33Rには、それぞれ発光ダイオードなどの光源が配設されている。これらのランプ部33M,33L,33Rは一体的に形成され、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行うための上部ランプ部33を構成している。
【0018】
また、操作板7の下方には、装飾画などが表示された下部パネル35が設けられ、この下部パネル35の左右には、それぞれ複数の光源が例えば2列に並んで配置された下部ランプ部37L,37Rが設けられている。また、下部パネル35の下方には、メダル払出口39や、このメダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。また、正面板9の右下隅には、3つのリールに対する入賞ラインの位置を示す図形(図示省略)が描かれ、正面板9の左下隅にはクレジットメダルの貯留枚数を表示するクレジット表示器45、メダルの払出枚数を表示する払出表示器46が配設されている。このクレジット表示器45は、例えば2個の7セグメントLEDで構成され、2桁の貯留枚数(最大で50枚)が表示可能になっている。また、払出表示器46は、例えば2個の7セグメントディスプレイで構成され、2桁の払出枚数が表示可能になっている。なお、7セグメントディスプレイは、棒状に形成されるとともに、「8」の字状に配列された7つのセグメントと、小数点となる小さな丸い1つのセグメント(DP)とが組み合わされた計8つのセグメントを有するものであり、各セグメントは発光ダイオードにより構成されている。なお、払出表示器46は発生したエラーに対応するエラーコードの表示や役抽選の結果など、メイン制御基板63の制御に関する情報を報知(表示)するための報知用表示器としても用いられることがある。また、払出表示器46の上方には、有利区間ランプ47が配設されている。有利区間は、遊技者の操作態様により有利な結果が得られる役が当選したときに操作態様を報知することが許容された区間であり、有利区間ランプ47の点灯により、有利区間であることが確定する。この実施形態では、有利区間中に必ず有利区間ランプ47が点灯する訳ではなく、有利区間に移行してから、所定の点灯条件が成立したときに点灯する。ただし、一旦有利区間ランプ47が点灯した後は、当該有利区間が終了して非有利区間に移行するまでは点灯が維持される。なお、有利区間ランプ47については、払出表示器46の小数点となるセグメントDPで代用してもよい。遊技者に有利な操作態様を報知しない遊技機については他の用途で用いる場合がある。
【0019】
また、
図2に示すように、各リール13L,13M,13Rを支持する支持枠体13が、筐体3内の後壁に固定されている。筐体3内の支持枠体13の下方には、
図2に示すように、メダルをメダル払出口39に排出するためのホッパーユニット43が配設されている。また、メダル投入口25付近の裏面側には、
図2に示すように、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導くメダルセレクタ48が配設されている。なお、筐体3内部には、メダル通路が設けられており、メダルセレクタ48において非正規のメダルとして排除されたメダルや、ホッパーユニット43から払い出されたメダルが、このメダル通路を通過してメダル払出口39から払い出される。また、ホッパーユニット43の左側には、
図2に示すように、操作ボックス49が筐体3内の左側壁に固定されている。この操作ボックス49には、電源のオンオフを切り替える電源スイッチ50(
図3参照)が設けられるとともに、オンとオフとが切り替えられる設定変更開始処理用のキーシリンダからなる変更処理開始スイッチ56(
図3参照)、設定変更時の設定値の切り替えを行うのに用いられるリセットスイッチ52(
図3参照)が設けられている。ただし、変更処理開始スイッチ56がオンの状態で電源スイッチ50がオンにされると、リセットスイッチ52を用いた設定変更処理が開始される。なお、リセットスイッチ52は、エラーが発生した際のエラーを解除するためのスイッチとしても用いられる。
【0020】
続いて、スロットマシン1の電気的な構成について
図3を参照して説明する。
図3はスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
図3において、投入センサ53は、筐体3内部のメダル投入口25近傍であってメダルセレクタ48部分に設けられ、メダル投入口25に投入されたメダルを1枚ずつ検出するものである。払出センサ54は、ホッパーユニット43の出口に設けられ、メダル払出口39に払い出されるメダルを1枚ずつ検出するものである。
【0022】
左・中・右位置センサ55L,55M,55Rは、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出するためのものであり、例えば左・中・右リール13L,13M,13Rにそれぞれ設けられた突起部を検出するフォトインタラプタからなり、左・中・右リール13L,13M,13Rが回転すると、一周ごとに突起部を検出してその検出信号をメイン制御基板63に出力する。この実施形態では、例えば左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが上記突起部を検出したときに、それぞれ図柄番号19番の図柄が表示窓11の中段に位置するように構成されている。
【0023】
ホッパーモータ57はホッパーユニット43に配設され、その駆動によりメダルをメダル払出口39に向けて払い出すものである。
【0024】
また、このスロットマシン1では、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と、メイン制御基板63に実装されたメインCPU61から送信された情報に基づき所定の演出(例えば、遊技の進行に合わせた演出)に関する制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられており、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。なお、メイン制御基板63は、外部から不正にアクセスすることができないように、基板ケース内に厳重に封印されている。また、基板ケースには、不正に解放されたことを確実に視認することができるように、種々の対策が講じられている。
【0025】
(メイン制御基板)
次に、メイン制御基板63について説明する。
【0026】
メイン制御基板63に実装されたメインCPU61は、ROM67に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアが制御されることにより実現される種々の機能を備えている。
【0027】
メインCPU61は、当選した当選役グループ(1または複数の役を構成役として有する。)の種類や役の入賞・非入賞等により、スロットマシン1が備える複数の遊技状態のうちいずれか一つの遊技状態にスロットマシン1の遊技を制御する。
【0028】
また、メインCPU61は、電源スイッチ50、変更処理開始スイッチ56、リセットスイッチ52に対する所定の設定変更操作に基づいて、出玉率(獲得メダル数÷投入メダル数×100[%])の調整をするための設定(設定1~設定6)を変更する。
【0029】
また、メインCPU61は、制御した遊技状態の種類、および、設定した設定値(設定1から設定6)に基づき、複数の役抽選テーブルから1つの役抽選テーブルを選択する。この役抽選テーブルには、予め設定された複数の当選役グループそれぞれについて、当選役グループと当該当選役グループが役抽選において当選となる抽選値の範囲とが対応づけて記憶されている。
【0030】
また、メインCPU61は、スタートスイッチ19が遊技者により操作されると、役抽選用の乱数を所定の範囲内で発生させ、発生させた乱数値を抽選値としてスタートスイッチ19が操作されたタイミングで抽出する。そして、メインCPU61は、選択した役抽選値テーブルと抽出した抽選値とを用いて当選役グループの当選かどうかの決定を行う。
【0031】
また、メインCPU61は、スタートスイッチ19が遊技者により操作されると、各リール13L,13M,13Rの回転を開始させ、左・中・右位置センサ55L,55M,55Rの検出信号と、左・中・右リール13L,13M,13Rを駆動する各リールモータ14L,14M,14Rへの供給パルス数とに基づき、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出する。メインCPU61は、全てのリール13L,13M,13Rが定速回転となったときに、各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作を有効操作として受付ける状態となる。この状態で各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作が遊技者により行われると、メインCPU61は、検出した各左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置と、遊技者による各ストップスイッチ21L,21M,21Rの操作態様(例えば押し順や操作タイミング)と、役抽選結果とに基づき、予め設定されているすべりコマ数(引き込み可能範囲:通常、最大4コマ)の範囲内で各リール13L,13M,13Rが停止するように停止制御を行う。
【0032】
全てのリール13L,13M,13Rの回転が停止した後、メインCPU61は、リール13L,13M,13Rの入賞ラインの図柄組合せが、役抽選により当選した当選役グループを構成する役に対応する図柄組合せであるかどうかの判定を行い、入賞ラインの図柄組合せが当該役に対応する図柄組合せである場合は、当該役に入賞したと判定し、そうでない場合はハズレと判定する。メインCPU61は、役抽選により当選した当選役グループを構成する役に入賞したと判定したときに、それがメダル払い出しのある役の入賞であれば、ホッパーユニット43を動作させて、入賞した役に対応した払出数だけメダルを払い出すものである。ただし、メインCPU61はクレジットメダルの貯留枚数が上限値(この実施形態では例えば50枚)に達していない場合は、払出数分だけクレジットメダルの枚数を増加させる。
【0033】
また、メインCPU61は、メダルセレクタ48の動作を制御することにより、メダル受入可と受入不可とを切り替える。
【0034】
また、メインCPU61は、設定値、遊技状態、役抽選結果に関する情報、図柄判定結果に関する情報、各リール13L,13M,13Rの回転・停止状態、メダルの払出状態、前面扉5の開放または閉塞の状態、スロットマシン1のエラー状態などスロットマシン1の状態を表すデータ、各ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報などの種々の情報をサブ制御基板73(サブCPU71)に送信するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをサブ制御基板73のサブCPU71に送信する。なお、コマンドはメイン制御基板63からサブ制御基板73に一方通行で送信される。
【0035】
(サブ制御基板)
次に、サブ制御基板73について説明する。サブ制御基板73は、メイン制御基板63から送信されたコマンドを受信し、メイン制御基板63の動作や状態に応じた演出を行うものである。サブ制御基板73に実装されたサブCPU71は、メモリ75に格納されたプログラムを実行することにより実現される種々の機能や、ハードウェアにより実現される種々の機能を備えている。
【0036】
サブCPU71は、メイン制御基板63(メインCPU61)により送信された種々のデータを含むコマンドを受信する。そして、サブCPU71は、受信したコマンドに応じて、演出の内容を決定し、決定した演出の内容に応じて、例えば、液晶表示器27に動画等の画像を表示する表示制御を行ったり、スピーカ31L,31Rからの音声の出力制御を行ったり、上部ランプ部33や下部ランプ部37L,37Rの光源を一斉にあるいは個別に点滅させる制御を行ったり、演出ボタン42の操作に基づいた演出の制御を行ったりする。
【0037】
次に、
図4を参照して、リール13L~13R各々の図柄配列の構成について説明する。リール13L~13Rには、各々、
図4(a)に示すとおり複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。複数種類の図柄は、絵柄により構成される。以下においては、複数種類の図柄各々を、
図4(a)において対応するように示されている名称(「G7」「BR」「DR」「BL」「R1」「R2」「BE」「WM1」「C1」「C2」)を用いて説明する。複数種類の図柄は、他の図柄と識別可能な態様であれば絵柄に限るものではなく、模様や、記号、数字など、どのようなものであってもよい。「R1」および「R2」は、絵柄中央に「Replay」と記載されており、形状や色合いが共通するものの、突出している箇所(R1:上下左右、R2:左上、左下、右上、右下)が異なる。このように、「R1」および「R2」は、外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「R」ともいう。同様に、「C1」および「C2」は、絵柄が「チェリー」を主体としており形状や色合いが共通するものの、一部箇所のデザイン異なる。このように、「C1」および「C2」は、外観が類似する絵柄により構成されているため、これらをまとめて「C」ともいう。
【0038】
図4においては、その左端に、リール13L~13R各々に図柄が配置されている図柄配置領域に対応させて図柄番号0~19を示している。図柄番号0~19は、本実施形態のリール13L~13R各々において、どの図柄配置領域の図柄であるかを特定するための番号である。
【0039】
本実施形態の場合、例えば、図柄番号0~19までの図柄が印刷されたリールテープがリール13L~13R各々の周面に貼り付けられている。このため、リール13L~13Rが回転すると、図柄番号…19→18→17→…2→1→0→19→18…といったように、予め定められた順に複数の図柄を表示窓7において可変表示させることができる。また、入賞ラインは、右上がりラインに定められている。
【0040】
<遊技制御処理>
メインCPU61は、ROM67に記憶されている遊技制御プログラムに基づいて、遊技の進行を制御するための遊技制御処理を行う。
図5は、遊技制御処理の一例を説明するための図であり、S100~S700までの処理で構成されている。
【0041】
(賭数設定処理)
S100の賭数設定処理では、投入センサ53からの検出信号、ベットスイッチ15あるいは最大ベットスイッチ17からの操作信号、および再遊技役の入賞時に設定される再遊技フグなどに応じて、賭数を設定するための処理が行われる。賭数設定処理では、賭数が設定されたときに賭数設定コマンドを出力する。設定された賭数が規定数に達しているときには、スタートスイッチ19への操作を有効に受け付ける回転開始可能な状態(有効化)にする。
【0042】
また、賭数設定処理では、精算スイッチ23からの操作信号に基づいて、ホッパーモータ57を駆動させる駆動信号を出力して、クレジット分あるいは設定済の賭数分に相当する枚数のメダルを払い出すための精算処理が行われる。賭数設定処理は、回転開始可能な状態においてスタートスイッチ19からの操作信号を受信することにより終了し、S200の内部抽選処理へ移行する。賭数設定処理では、スタートスイッチ19からの操作信号を受信して内部抽選処理へ移行する際に、実際に設定された賭数(メダル枚数)を特定可能なベットコマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においても1遊技に対して賭数設定されたメダル枚数を特定可能となる。
【0043】
(内部抽選処理)
S200の内部抽選処理では、所定範囲(例えば0~65535)で乱数値を更新する乱数回路から役抽選用の乱数値を抽出し、抽出した値(以下、抽出値という)に基づいて予め定められた複数種類の役のいずれかに当選するか否かを抽選する役抽選が行われる。
図7を参照して、スロットマシン1において設定されているグループ役について説明する。
【0044】
役の種別としては、ボーナス役と、再遊技役と、小役とが設けられている。ボーナス役は、小役の当選確率が高いボーナス状態への移行という特典を伴う移行役である。再遊技役(以下、リプレイともいう)は、入賞したときに前述の再遊技フラグを設定して再遊技を付与するという特典を伴う役である。賭数設定処理では、再遊技フラグが設定されている場合、遊技者所有のメダル(あるいはクレジット)を新たに用いることなく、次に(今から)開始される遊技(今回遊技)の規定数に対応した賭数を次回遊技の賭数として自動設定する。小役は、所定枚数のメダルを払い出す(あるいはクレジット加算)という特典を伴う役である。
【0045】
各役は有効ラインに予め設定された図柄組合せが停止することで対応する特典を付与するものであり、ボーナス役、再遊技役と及び小役の図柄組合せとして多数の図柄組合せが設定されており、役抽選においては予め複数の役をグループ化した役グループを抽選対象としている。
図7の一番左列である略称欄には抽選対象である役グループを記載している。また構成欄には役グループの構成を示しており、「上位」と「下位」から構成され、上位に「RBB1」「RBB2」が含まれているものはボーナス役に当選しており、下位に「SRP1」「SRP2」「DRP1」「DRP2」「WM」が含まれているものはリプレイに当選しており、下位に「HZ」と前述のリプレイを除くものが含まれているものは小役に当選している。なお「HZ」はハズレを示している。以降においてリプレイや小役に関する役グループの説明の中では略称欄や構成の下位に記載されている名称で説明することがある。
【0046】
「RBB1」や「RBB2」に対応する図柄組合せが有効ラインに停止(以下、入賞ともいう)したときには、ボーナス状態に制御される。ボーナス状態は、払出されたメダルの枚数が、入賞したボーナス役に対応するメダル枚数(
図6に記載のように「RBB1」は110枚、「RBB2」は5枚)を超えた遊技で終了する。
【0047】
再遊技役の図柄組合せとしては、主に「R」で構成する図柄組合せが表示窓11の5ライン(上、中、下、右下がり、右上がり)の中の特定ラインに停止することや、「WM」「DR」「G7」「BR」で構成する図柄組合せが表示窓11の5ラインの中の特定ラインに停止することや、5ラインの中の特定ラインにテンパイして停止しない図柄組合せ等がある。
【0048】
小役の図柄組合せとしては、主に「BE」で構成する図柄組合せが表示窓11の5ライン(上、中、下、右下がり、右上がり)の中の特定ラインに停止することや、表示窓11のリール13Lにおいて「C」が停止することや、後述する操作態様により有利度が異なる役グループ「押し順ベル」に当選したときの押し順不正解で出現する「BE」で構成する図柄組合せが特定ラインに停止しない(不正解出目の)図柄組合せ等がある。
【0049】
内部抽選処理では、
図7に示す役グループ毎に役抽選が行われる。
図7を参照して、本実施形態における役グループについて説明する。なお、
図7に記載の押し順出目については、遊技者が遊技を行うことが想定される遊技状態である後述のRBB2Fで賭数として3枚が設定された遊技における停止操作(左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21Rの停止順として6パターン、例えばM-L―Rは第1停止が中ストップスイッチ21M、第2停止が左ストップスイッチ21L、第3停止が右ストップスイッチ21Rを示す)での停止結果が記載されている。
【0050】
ボーナス役を含む役グループとしては、「ボーナス1」と「ボーナス2」が設けられている。なお、ボーナス役を含む役グループは、他の役グループ(構成の下位に「HZ」以外となっているリプレイや小役)と同時に当選するものであってもよい。
【0051】
再遊技役の役グループとしては、「リプレイ1~リプレイ4」と「スイカリプレイ」が設けられている。「リプレイ1~リプレイ4」は操作態様により出目が変化するもので、遊技状態に応じて停止操作の順序及び図柄を指定して報知を行うことで、遊技者が狙って停止操作すると「DR」「G7」「BR」を構成する図柄組合せが表示窓11の5ラインの中の特定ラインに停止することがあるようになっている。これにより、遊技者に何らかの有利付与がなされていることを報知する機能を備えている。また、「スイカリプレイ」は所謂レア役として取り扱うことで、「R」を構成する図柄組合せである通常リプレイに対してAT抽選等で優遇されるように構成されている。なお、いずれの再遊技役に当選しても、操作態様によらず必ずリプレイが入賞するようになっている。
【0052】
小役の当選役グループとしては、「弱チェリー」、「強チェリー」、「チャンス1」、「チャンス2」、「共通ベル」、「BB中小役1」、「BB中小役2」および、「押し順ベル」が設けられている。このうち、「弱チェリー」、「強チェリー」、「チャンス1」、「チャンス2」および、「共通ベル」は所謂レア役として取り扱うものであり、遊技履歴によらず当選した遊技において「押し順ベル」に比べてAT抽選等で優遇されるように構成されている。また、「BB中小役1」と「BB中小役2」はボーナス状態中しか当選しない小役である。また、「押し順ベル」は操作態様により有効ラインに優先して停止する図柄組合せが異なる役であり、遊技者にとっての有利度が異なる特定抽選結果に相当する。
【0053】
「押し順ベル」については左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21Rを停止順として6パターンがあり、15枚が払い出される操作態様と1枚が払い出される可能性のある操作態様とが設定されており、例えばAT1だとL-M-Rの順番で操作する操作態様(押し順正解の停止操作)だと15枚の払い出しが得られる一方、他の操作態様(押し順不正解の停止操作)では1枚の払い出しが得られる可能性がある。従って、「押し順ベル」に当選したときに下位構成の種類に応じて15枚の払い出しが得られる操作態様は異なるが、AT状態では種類に応じた有利操作態様を報知することがあり、遊技者は報知に従った停止操作により15枚の払い出しを得られるため遊技者に有利な状態となる。
【0054】
なお、15枚の払い出し得られる図柄組合せは「BE」で構成する図柄組合せが表示窓11の5ライン(上、中、下、右下がり、右上がり)の中の特定ラインに停止するものに設定され、1枚の払い出し得られる図柄組合せは上述のように「BE」で構成する図柄組合せが特定ラインに停止しない(不正解出目の)図柄組合せが設定されている。
【0055】
役抽選における当選確率にかかわる判定値は、役グループ、遊技状態、および設定されている設定値に応じて定められている。
【0056】
内部抽選処理では、現在の遊技状態において役抽選の対象となる役グループの判定値(設定されている設定値に応じた判定値)を読み出し、抽出値から減算した値(抽出値を更新)が所定値(例えば0)よりも小さい値になっているか否かを判定する判定処理を行い、小さい値になっていなければ(例えば0以上のとき)次の役グループについての判定処理を行うというサイクルを繰り返す。
【0057】
いずれかの役グループについての判定処理において所定値よりも小さい値になっていると判定したときには、この役グループに当選していると判定し、当該役グループに含まれる役の当選フラグをRAM65の所定領域に設定して役抽選を終了する。このため、役グループに当選する確率は、「役グループの判定値/65536」となる。役抽選において読み出される判定値が大きいほど所定値よりも小さい値になりやすくなるため、当選確率が高い役グループであるといえる。一方、役抽選の対象となるすべての役グループについて判定処理を行ったが所定値よりも小さい値になっていないと判定されたときには、いずれの当選役グループにも当選していない「ハズレ」であると判定する。
【0058】
内部抽選処理は、いずれかの役グループに当選していると判定されるか、いずれの役グループにも当選しておらず「ハズレ」であると判定されると役抽選を終了して、S300の有利区間関連処理に移行する。
【0059】
なお、内部抽選処理では、役抽選において当選した役グループの種別を特定可能な当選種別コマンドをサブ制御基板73に出力するための処理を行う。例えば、「RBB1」に当選したときにはボーナス役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、再遊技役を含む役グループのいずれかに当選したときにはいずれかの再遊技役に当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力し、「押し順ベル」のいずれかに当選したときには押し順ベルに当選していることを特定可能な当選種別コマンドを出力する。これにより、サブ制御基板73側においては、役グループの種別に応じた演出を実行可能となる。
【0060】
(有利区間関連処理)
S300の有利区間関連処理では、有利区間200(
図8参照)にかかわる処理を行う。本実施形態においては、非有利区間100の非有利状態101(
図8参照)において、所定の有利区間移行条件が成立することにより有利区間200に制御可能となる。有利区間200は、
図8に示すように複数の状態が設定されている。通常状態201は、CZ状態202や準備状態203への移行抽選を実行可能な期間である。CZ状態202は、準備状態203への移行抽選を実行可能な期間であり、通常状態201よりも準備状態203への移行期待度が高い状態である。準備状態203は、AT遊技を実行可能なAT開始状態206または特殊AT状態205に移行するか否かの移行抽選を実行可能なAT抽選状態204に移行するまでの準備期間として設定される。準備状態203においてはATが実行可能となっている。AT抽選状態204は、AT開始状態206または特殊AT状態205に移行するか否かの移行抽選を行い、移行しない場合は有利区間200の終了条件が成立したことになり非有利区間100の非有利状態101へ移行する。特殊AT状態205以降の遊技状態はAT状態と規定することができる。特殊AT状態205は、AT状態に移行すると決定したときの一部で移行することがある。AT開始状態206は、AT状態のうち滞在率が最も高いAT一般状態207へ移行する前に発生する状態である。なお、AT開始状態206を設けなくてもよく、その場合においては、AT抽選状態204にてAT一般状態207または特殊AT状態205に移行するか否かの移行抽選を行い、特殊AT状態205に移行した場合は、特殊AT状態205の終了後に特殊AT一般状態207に移行することとなる。特殊AT一般状態207は、AT状態において一番遊技される状態である。AT上乗せ特化A状態208やAT上乗せ特化B状態209は、ATの延長抽選が優遇されている状態である。規定数まで残り一定数以下AT一般状態210は、AT状態としてはAT一般状態207と同様であるが、背景演出が異なっている。規定数到達AT状態211は、後述するエンディングAT状態212への移行が確定する状態であり、エンディングAT状態212はAT状態が有利区間200の上限条件まで継続する状態である。上限条件に到達すると非有利区間100の非有利状態101へ移行する。引き戻し状態213は、AT一般状態207で付与されたAT権利が消化されたときに移行する状態であり、AT一般状態207への復帰抽選を行っている。AT一般状態207に復帰せずに引き戻し状態213が終了すると有利区間200の終了条件が成立したことになり非有利区間100の非有利状態101へ移行する。有利区間200内の各状態に関しては後述にて説明を行う。
【0061】
有利区間200のうちの通常状態201およびCZ状態202は、当該期間中の払出率が1を超えない期間(例えば、有利区間中非出玉期間ともいう)であるのに対し、AT抽選状態204にてAT開始状態206または特殊AT状態205に移行した以降の状態に対する期間については、有利区間200の終了まで基本的にAT遊技により払出率が1を超える期間(例えば、有利区間中出玉期間ともいう)である。
【0062】
所定の有利区間移行条件は、内部抽選処理における役抽選の結果に基づいて成立する条件であって、例えば
図7の「有利区間移行抽選の有無」で○とされている再遊技役や小役の役グループうちのいずれかに当選することにより成立する条件などを含む。有利区間200への移行条件は、当選確率に設定差が設けられている役グループに当選することによっても成立し、当選確率に設定差が設けられていない役グループに当選することによっても成立するようになっている。
【0063】
また、CZ状態202や準備状態203への移行抽選についても、例えば「チェリー」「スイカ」「チャンス目」等に当選することにより成立する条件や一定遊技数の消化等を含む。このため、例えば、「チェリー」「スイカ」「チャンス目」等に当選したときには、有利移行条件が成立するとともに、CZ状態202や準備状態203への移行抽選も成立する。有利区間移行条件、CZ状態202や準備状態203への移行抽選は、全く同じ条件であってもよく、また全く異なる条件であってもよく、さらには共通する条件を含むものであってもよい。
【0064】
有利区間200は、有利区間200の上限遊技数(例えば上限ゲーム数:1500ゲーム)到達により成立する遊技数上限条件や、有利区間200において賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数が有利区間200の上限累計数(例えば上限累計数:2400枚)に到達することにより成立する枚数上限条件という上限条件が成立する(第2の条件に相当)ことにより終了するか、上限条件よりも前に前述したように(1)AT抽選状態204でAT開始状態206または特殊AT状態205に移行しない場合、(2)引き戻し状態213でAT一般状態207に復帰せずに引き戻し状態213が終了する、という終了条件が成立(第1の条件に相当)すると有利区間200は終了され、非有利区間100の非有利状態101へ移行する。またエンディングAT状態212は必ずしも上限条件まで継続するものに限らず、エンディングAT状態212移行後に特定終了条件が成立すると上限条件よりも前に終了してもよい。また、終了条件は、上述した(1)や(2)の条件だけに限らず他の特定事象により成立し得る条件であってもよい。
【0065】
有利区間関連処理では、有利区間200中において、CZ状態202や準備状態203への移行抽選、AT開始状態206または特殊AT状態205に移行するか否かの移行抽選、および今回遊技の終了に伴って当該有利区間200が終了し得る状況(例えば今回遊技により有利区間の上限遊技回数(1500)あるいは上限累計数(2400)に到達等)であるか否かを判定し、状況に応じた処理を実行する。
【0066】
また、有利区間関連処理では、メインCPU61は成立する可能性がある条件を特定可能な条件関連コマンドをサブ制御基板73に出力する。このコマンドを受信したサブCPU71の制御に基づき液晶表示器27により対応する演出を報知することができる。このように、有利区間関連処理は、有利区間に200かかわる条件等が成立し得るか否かに応じた処理を実行するものである。実際に有利区間200に移行させるための処理、および有利区間200を終了させる条件が成立したか否かを判定して有利区間200を終了させるための処理等については、後述するS700の有利区間設定処理により行われる。
【0067】
また、有利区間関連処理では、有利区間200のうちのAT状態における役抽選の結果に応じて、遊技者に有利となる有利操作態様を払出表示器46により報知するための報知処理を実行可能とする。例えば、役グループのうち「押し順ベル」の下位「AT1」に当選しているときには、対応する押し順(L-M-R)に割り当てられている報知を払出表示器46にて行う。さらに、有利区間関連処理では、当該有利操作態様を特定可能な有利操作態様コマンドを出力する。このコマンドを受信したサブCPU71の制御に基づき有利操作態様を報知するための演出を液晶表示器27等において実行可能となる。有利区間関連処理が終了すると、S400のリール制御処理に移行する。
【0068】
(リール制御処理)
S400のリール制御処理では、リールモータ14L~14Rを駆動制御して、リール13L~リール13Rを回転させて停止させる処理が行われる。リール制御処理では、ウェイトタイムが経過しているか否かを判定する。ウェイトタイムは、例えば4.1秒に定められており、前回遊技のリール制御処理においてリール13L~13R各々の回転が開始されてから計測が開始される。
【0069】
リール制御処理では、ウェイトタイムが経過していると判定されたときに、リール13L~13Rの回転を開始させるリール回転処理が行われる。これにより、前回遊技においてリール13L~13R各々の回転が開始されてから少なくとも4.1秒経過するまで今回遊技におけるリール13L~13Rを回転開始させるタイミングを遅延させることができる。リール回転処理においては、リール13L~13Rの回転が開始すると、リール回転開始コマンドを出力する。
【0070】
リール制御処理では、リール13L~13R各々の回転を開始させて一定速度に到達した後(例えば、リールモータ14L~14Rの励磁パターンが一定速度となる励磁パターンとなった後)、リール13L~13R各々の突起部を検出位置センサ55L~55R各々により検出されることにより停止操作可能な状態となり、ストップスイッチ21L~21Rへの操作を有効に受け付ける状態(有効化)になる。
【0071】
また、リール制御処理では、停止操作可能な状態においてストップスイッチを操作したときに、例えば当該ストップスイッチに対応するリールの入賞ラインNL上に位置する図柄から予め定められた引込み可能範囲内に配列されている図柄のいずれかを入賞ラインNLに引き込んで当該リールを停止させるリール停止処理を行う。引込み可能範囲は、4図柄先までの範囲であって、ストップスイッチ21L~21Rが操作されたときに入賞ラインNL上にある図柄から4図柄先までに配列されている図柄を入賞ラインNL上に停止可能となる。
【0072】
役抽選においていずれかの役に当選している場合は、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ライン上に引き込むことができるときに、当該図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させる。これに対して、いずれの役にも当選していない場合は、いずれの役にも入賞しないはずれ図柄組合せとなる図柄を入賞ライン上に引き込み停止させる。このため、ストップスイッチ21L~21Rへの操作が行われたときに、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ラインNL上に引込み可能であれば当該図柄を引込んで入賞ラインNL上に停止させることができる一方、当選していない役の図柄組合せを入賞ラインNL上に停止させてしまうことがない。
【0073】
なお、本実施形態は、上述の通り、「役抽選においていずれかの役に当選している場合は、当選している役を構成する図柄を引込み可能範囲内で入賞ライン上に引き込むことができる」ものである。ここで、役抽選は「役グループ」毎に行われるものであるため、前記「当選している役」は、詳しくは、当選した「役グループ」を構成するいずれかの役に相当するものとなる。
【0074】
リール停止処理では、引込み可能範囲内の図柄を入賞ラインNL上に停止させることができるものの、引込み可能範囲外の図柄については入賞ラインNL上に停止させることができない。このため、リール13L~13Rの図柄配列において、役を構成する図柄が引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する役については、役抽選において当選していても、操作タイミングが合わなければ入賞ラインNL上に当該役を構成する図柄を引き込むことができずに、当該役を取りこぼしてしまう場合(非入賞)が生じる。
【0075】
「RBB1」および「RBB2」を構成する図柄は、リールの図柄配列において引込み可能範囲内に存在しない個所が存在する。このため、「RBB1」および「RBB2」は、当選していてもストップスイッチ21L~21Rの操作タイミングによっては入賞ラインにボーナス役を構成する図柄を引き込むことができない場合があり、取りこぼす可能性がある。よって、
図7に示すように、「RBB1」に当選しているときには、当選しているボーナス役を引込み可能範囲内で引込むリール制御を行うものの、いずれの役にも入賞しない場合が生じる。その場合は当該ボーナス役に入賞するまで当該ボーナス役の当選フラグを持ち越す処理が行われ、持ち越されている場合には新たなボーナス役の当選はされない。具体的には
図6に示すように役グループ「ボーナス1」に当選した遊技において「RBB1」を入賞させることができなかった場合は「RBB1F」に、役グループ「ボーナス2」に当選した遊技において「RBB2」を入賞させることができなかった場合は「RBB2F」に遊技状態を移行する。なお、本実施例では「RBB1」に対応する役グループ「ボーナス1」は賭数として3枚賭けが設定されたときのみ当選し、更に「RBB1F」において賭数として2枚賭けが設定された場合は「RBB1」は入賞することがない。また、本実施例では「RBB2」に対応する役グループ「ボーナス2」は賭数として2枚賭けが設定されたときのみ当選し、更に「RBB2F」において賭数として3枚賭けが設定された場合は「RBB2」は入賞することがないように構成されている。
【0076】
リール停止処理においては、リール13L~13Rのいずれかが停止する毎に、停止したリール、および停止位置(例えば、中段に停止されている図柄の図柄番号等)などを特定可能なリール停止コマンドを出力する。このコマンドを受信することでサブCPU71は、停止したリール、および停止位置が特定可能となり、液晶表示器27等により対応する演出を実行可能となる。リール13L~13Rすべてが停止すると、S500の出目判定処理に移行する。
【0077】
(出目判定処理)
S500の出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せに基づいて、当該図柄組合せに対応する処理を実行する。例えば、小役が入賞したときには、
図7に記載のメダルを払い出すか、あるいはクレジット加算するための払出処理を実行する。払出処理では、メダル払出あるいはクレジット加算により遊技者に付与されたメダル枚数(0枚を含む)を特定可能な払出コマンドを出力する。このコマンドを受信することでサブCPU71は、1遊技の結果として遊技者に付与されたメダル枚数を特定可能となる。また、再遊技役が入賞したときには、再遊技フラグを設定するための処理を実行する。出目判定処理では、入賞ラインNL上の図柄組合せ、入賞の有無、入賞した役の種類等を特定可能な遊技結果コマンドを出力する。このコマンドを受信することでサブCPU71は、入賞ラインNL上の図柄組合せに応じた演出を液晶表示器27等により実行可能となる。また、出目判定処理では、遊技の結果に応じて、有利区間滞在比率、役物比率、および役物等状態比率等の遊技履歴データを更新してRAM65の所定領域に記憶する。出目判定処理が終了すると、S600の遊技状態設定処理に移行する。
【0078】
(遊技状態設定処理)
S600の遊技状態設定処理では、役抽選あるいは遊技の結果等に基づいて、次回以降の遊技状態を特定可能な遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、RAM65の所定領域に記憶される。メインCPU61は、遊技状態フラグに基づいて、現在制御されている遊技状態を特定する。
図6には、遊技状態の遷移が示されている。
【0079】
遊技状態設定処理は、「NOM」、「RBB1」、「RBB2」、「RBB1F」、および「RBB2F」を特定する遊技状態フラグに基づき遊技状態を特定し、
図6に示す遊技状態の移行条件が成立すると矢印に沿った遊技状態の遊技状態フラグが設定され遊技状態が移行する。
【0080】
「RBB1」や「RBB2」において遊技状態設定処理は、対応する遊技状態中における払出枚数を計数し、払出枚数が所定枚数を超えたときに「NOM」を特定可能な遊技状態フラグを設定し、「NOM」へと移行する。また、「NOM」において役グループ「ボーナス1」に当選した遊技において「RBB1」を入賞させることができなかった場合は「RBB1F」を特定する遊技状態フラグを設定し、「RBB1F」へ移行する。また、役グループ「ボーナス2」に当選した遊技において「RBB2」を入賞させることができなかった場合は「RBB2F」を特定する遊技状態フラグを設定し、「RBB2F」へ移行する。また、スロットマシン1は、設定変更等により初期化されても「RBB2F」は維持される。遊技状態設定処理が終了すると、S700の有利区間設定処理に移行する。
【0081】
以下、
図6を参照して遊技状態の移行について説明する。「NOM」では、3枚賭けの場合は、「ボーナス1」は役抽選の対象となっているが、「ボーナス2」は役抽選の対象となっていない。また、ボーナスを持ち越している遊技状態(RBB1F,RBB2F)では新たなボーナス役の当選はない。なお、この実施形態では、各遊技状態において、複数の役で構成される当選役グループごとに、当選確率を規定する抽選値が設定されており、当選役グループごとに役抽選の当否が判定される(
図7参照)。
【0082】
図6に示すように、「NOM」おいて役グループ「ボーナス1」に当選(3枚賭けの遊技のみ当選可能)し、当該ゲームで「RBB1」が入賞した場合、遊技状態をボーナス遊技状態(RBB1)に設定し、遊技状態がボーナス遊技状態(RBB1)に移行する。ボーナス遊技状態(RBB1)では、再遊技役の当選確率が0の状態であって、役グループ「BB中小役1」と「BB中小役2」のみが役抽選の対象となっており、所定のRBB1終了条件が成立すると終了する。RBB1終了条件が成立すると、「NOM」を特定可能な遊技状態フラグを設定し、「NOM」へと移行する。なお、この実施形態では、所定のRBB1終了条件として、「110枚を超えるメダルの払い出し」が設定されているが、適宜変更可能である。
【0083】
図6に示すように、「NOM」おいて役グループ「ボーナス1」に当選し、当該ゲームで「RBB1」が入賞しなかった場合、遊技状態をボーナス持ち越し状態(RBB1F)に設定し、遊技状態がボーナス持ち越し状態(RBB1F)に移行する。ボーナス内部中(RBB1F)の3枚賭けにおいて、持ち越しているボーナス役(「「RBB1」)に入賞した場合、遊技状態をボーナス遊技状態(RBB1)に設定し、遊技状態がボーナス遊技状態(RBB1)に移行する。
【0084】
図6に示すように、「NOM」おいて役グループ「ボーナス2」に当選(2枚賭けの遊技のみ当選可能)し、当該ゲームで「RBB2」が入賞した場合、遊技状態をボーナス遊技状態(RBB2)に設定し、遊技状態がボーナス遊技状態(RBB2)に移行する。ボーナス遊技状態(RBB2)では、再遊技役の当選確率が0の状態であって、役グループ「BB中小役1」と「BB中小役2」のみが役抽選の対象となっており、所定のRBB2終了条件が成立すると終了する。RBB2終了条件が成立すると、「NOM」を特定可能な遊技状態フラグを設定し、「NOM」へと移行する。なお、この実施形態では、所定のRBB2終了条件として、「5枚を超えるメダルの払い出し」が設定されているが、適宜変更可能である。
【0085】
図6に示すように、「NOM」おいて役グループ「ボーナス2」に当選し、当該ゲームで「RBB2」が入賞しなかった場合、遊技状態をボーナス持ち越し状態(RBB2F)に設定し、遊技状態がボーナス持ち越し状態(RBB2F)に移行する。ボーナス内部中(RBB2F)の2枚賭けにおいて、持ち越しているボーナス役(「「RBB2」)に入賞した場合、遊技状態をボーナス遊技状態(RBB2)に設定し、遊技状態がボーナス遊技状態(RBB2)に移行する。なお、本実施形態では、「RBB2F」で3枚賭けの遊技を行うことが推奨される遊技となっている。
【0086】
また、この実施形態では、役グループ「押し順ベル」の当選時に有利な配当が得られる押し順(正解の押し順)が報知される、所謂AT機能が搭載されている。ATに関するゲーム性については後述にて説明する。
【0087】
(有利区間設定処理)
S700の有利区間設定処理では、非有利区間100の非有利状態101にて有利区間移行条件が成立したことに基づいて有利区間200に制御する。有利区間設定処理では、有利区間200中における状態の遷移を制御するための処理を実行する。有利区間200中においては、当該有利区間200が開始されてからの賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数(所謂MY値)や遊技回数がカウントされる。
【0088】
<演出制御処理>
サブCPU71は、メインCPU61からのコマンドに基づいて、ROM77に記憶されている演出制御プログラムを実行し、遊技の進行に応じて演出実行の有無および種類を乱数抽選により決定する演出抽選を行い、その抽選結果に基づいてサブ制御基板73に接続された液晶表示器27、スピーカ31L、31R、および上部ランプ33や下部ランプ37L、37Rを含む各種ランプ・LEDなどの演出手段を駆動制御するための演出制御処理を行う。所定の演出を実行するための演出実行手段は、サブCPU71により行われる演出制御処理に含まれる。
【0089】
次に上述した遊技制御処理および演出制御処理において実行される遊技について、特にAT状態における遊技を中心に説明を行う。
【0090】
図8において、AT遊技が実行される状態として、主にAT開始状態206、特殊AT状態205、AT一般状態207、AT上乗せ特化A状態208、AT上乗せ特化B状態209、規定数まで残り一定数以下AT一般状態210、規定数到達AT状態211、エンディングAT状態212、および引き戻し状態213がある。これらの期間が所謂AT状態となる。なお、本実施形態では準備状態203において4回のAT遊技が実行される状態ではあるが、準備状態203はその後に実行されるAT抽選状態204にて消費されるメダルを確保するための補償的な状態となっている。準備状態203はAT遊技が行われない状態であってもよい。
【0091】
図9は、AT状態である各状態における一遊技あたりの純増期待枚数と上乗せ期待値、および上乗せ報知演出実施可能性に関する一覧である。AT状態であってもATの実行頻度や実施するATの報知態様(例えば有利操作態様を全て報知する態様や一部だけ報知する態様等)等に応じて一遊技あたりの純増期待枚数は必ずしも同一ではない。
【0092】
AT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、有利区間200の開始からの遊技数が一定遊技数(例えば100ゲーム)を経過していないときには特殊AT状態205に移行し、特殊AT状態205の終了後にAT開始状態206を介してAT一般状態207に移行するが、一定遊技数を経過しているときは、特殊AT状態205に移行せずAT開始状態206を介してAT一般状態207に移行する。従って、特殊AT状態205は有利区間200が開始されてまだ遊技数がそれほど経過していない状態でAT状態となる場合に移行する状態である。前の有利区間200にて多量のメダルを獲得しており、更に有利区間200が開始されてまだ遊技数がそれほど経過していない状態でAT状態が発生すると有利区間200を跨いで短期間での過度のメダルの獲得は発生し得る状態となってしまう。従って、特殊AT状態205をAT開始状態206やAT一般状態207と比べて一遊技あたりの純増期待枚数が少ない状態としている(
図9におけるX2<X1、X2<X3)。これにより複数の有利区間200を跨いだ短期間での過度のメダルの獲得を防止することができる。なお、AT開始状態206については必ずしも必要ではなく、またAT一般状態207の準備期間的な役割であるため滞在期間が短いため、AT開始状態206の影響度は少なく、複数の有利区間200を跨いだ短期間での過度のメダルの獲得を防止するためには、少なくとも特殊AT状態205をAT一般状態207と比べて一遊技あたりの純増期待枚数が少ない状態(
図9におけるX2<X3)とする必要がある。
【0093】
なお、上記ではAT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、有利区間200の開始からの遊技数が一定遊技数を経過しているか否かを特殊AT状態205の判断基準としたが、必ずしもこの判断基準に限定されるものではなく、複数の有利区間200を跨いで短期間での過度のメダルの獲得は発生し得る状態であるかを判定できる基準であればよい。例えば、AT抽選状態204の移行前に実行された準備状態203の開始された遊技数が有利区間200の開始から一定遊技数以下であることを判断基準とし、この判断基準を満たすAT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、特殊AT状態205に移行し、特殊AT状態205の終了後にAT開始状態206を介してAT一般状態207に移行するが、判断基準を満たさないAT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、特殊AT状態205に移行せずAT開始状態206を介してAT一般状態207に移行するようにしてもよい。この場合は、準備状態203およびAT抽選状態204にて消化した遊技数によらずAT状態に移行したときの移行先が判明するため、遊技者は準備状態203およびAT抽選状態204で消化する遊技数を気にせずに遊技を楽しむことができる。また、AT抽選状態204の開始された遊技数が有利区間200の開始から一定遊技数以下であることを判断基準とすれば、少なくとも遊技者はAT抽選状態204で消化する遊技数を気にせずに遊技を楽しむことができる。
【0094】
また、特殊AT状態205は一遊技あたりの純増期待枚数がAT開始状態206やAT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210を含む)と比べて少ない状態であるものの、ATの上乗せ抽選(ATの延長抽選)は優遇されている状態で構成されている(
図9におけるY2>Y1、Y2>Y3)。これにより特殊AT状態205は上乗せの期待が持てるため遊技者は楽しみながら遊技を進めることができる。前述のように特殊AT状態205の終了後にAT開始状態206を介してAT一般状態207に移行するため、特殊AT状態205に移行したためにAT開始状態206を介して移行するAT一般状態207が消滅することはなく、この点においても遊技者は特殊AT状態205に不満を抱くことはない。
【0095】
AT一般状態207は一遊技あたりの純増期待枚数は低くない状態であり、遊技者は滞在率の多いAT一般状態207にてAT状態によるメダルの増加を期待して遊技を行うことができる。なお、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210を含む)については、役グループ「押し順ベル」が当選したときに必ず有利な操作態様を完全に報知するAT遊技とすることが好ましい。
【0096】
また、AT抽選状態204にてAT状態に移行するときに、規定数到達AT状態211に移行する規定数を抽選して決定する。この規定数はAT状態に移行してからのメダルの獲得数(賭数とメダル付与数とに基づく差数の累計数、以下AT中累計数ともいう)を対象とするものであり、有利区間200の終了条件が成立(前述のように引き戻し状態213でAT一般状態207に復帰せずに引き戻し状態213が終了する)する前に、AT中累計数が規定数以上となった場合は、規定数到達AT状態211に移行する。規定数到達AT状態211は、エンディングAT状態212への移行が確定する状態であり、エンディングAT状態212はAT状態が有利区間200の上限条件まで継続する状態であるため、実質規定数到達AT状態211に移行すると、有利区間200の上限条件まで継続することが確定する状態となる。従って、遊技者は一旦AT状態に移行すると、有利区間200の終了条件が成立する前に、AT中累計数を規定数に到達させることを目標として遊技を行うこととなる。
【0097】
図10にAT状態である一部の状態における液晶表示器27における背景演出と、上乗せ報知演出について示している。なお
図10に記載していないAT状態においても、各々の状態で異なる背景演出を実行することで、遊技者が状態を判別可能なように構成されている。
【0098】
AT一般状態207においては第1背景演出301を表示している。AT状態が継続しAT中累計数が規定数まで残り一定数以下(例えば、規定数が1000であるときに、AT中累計数が800以上となり規定数までの残りが200以下)となったときに、規定数まで残り一定数以下AT一般状態210に移行し、背景態様が第1背景演出301と異なる第2背景演出302となる。第2背景演出302では規定数までの残りが遊技者に特定可能な残数表示401を併せて実行するようになっており、遊技者は規定数まで近くなってきたことが背景変化で意識できるとともに、規定数到達AT状態211に移行するまでの残りを残数表示401で把握することができるため、背景演出の変化に期待感と面白味を感じることができ、AT状態を単調に感じることを防止できる。
【0099】
AT中累計数が規定数に到達すると、規定数到達AT状態211に移行し、背景態様が第2背景演出302と異なる第3背景演出303となる。第3背景演出303では到達確定表示402を併せて実行するようになっており、遊技者は規定数に到達したことが背景変化で意識できるとともに、到達確定表示402でも把握することができるため、エンディングAT状態212への移行が確定し、有利区間200の上限条件までAT状態を楽しむことが早期に把握できるため、背景演出の変化に期待感と面白味を感じることができ、AT状態を単調に感じることを防止できる。
【0100】
その後、エンディングAT状態212への移行条件を満たしエンディングAT状態212に移行すると、背景態様が第3背景演出303と異なる第4背景演出304となる。エンディングAT状態212への移行条件としては、例えば上限条件(例えば有利区間200において賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数が2400を超えること)までの残りが特定量以下(例えば、有利区間200において賭数とメダル付与数とに基づく差数を累計した累計数が最低となる最下値を0として基点とし、該基点からの現在の累計数が2000を超え、残り400以下)となることがあげられる。第3背景演出303ではエンディング中表示403を併せて実行するようになっている。エンディングAT状態212では第4背景演出304の前面で一連のエンディング動画を表示するようになっており、遊技者に対してエンディングAT状態212まで到達したことを祝福する。エンディングAT状態212においては一連のエンディング動画の表示を阻害することがないようにするため、第1背景演出301から第3背景演出303までにおいては実行可能であった上乗せ演出501が実行不可となっている。なお、第3背景演出303に対応する規定数到達AT状態211は、付与されているAT権利が消化された場合でも引き戻し状態213に移行することはなく、強制的にエンディングAT状態212への移行条件を満たすまで継続するものであるため、上乗せ抽選は実施しなくてもよい状態であるが、遊技者は一連のエンディング動画が表示されているわけではないので、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)と同様にAT状態の継続に着目するため、上乗せ演出発生によりAT権利を保持しており引き戻し状態213に移行せずに規定数到達AT状態211が継続すると認識することができるので、遊技状態の把握を違和感なくスムーズに行うことができ、一連のエンディング動画の表示により喜びを感じることができる。なお、規定数到達AT状態211では、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)と同様に上乗せ抽選を行い、当選したときに上乗せ報知し、AT権利が全て消化されたときにだけ強制的に上乗せを実行することで継続させるようにしてもよい。
【0101】
次に、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)から移行する可能性のあるATの延長抽選が優遇されている状態、即ちAT権利の付与期待度が高い上乗せ特化状態であるAT上乗せ特化A状態208及びAT上乗せ特化B状態209について説明する。
【0102】
AT上乗せ特化A状態208は、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)にてAT上乗せ特化A状態208の移行条件を満たすと移行する。AT上乗せ特化A状態208は「押し順ベル」に当選した一部の遊技でAT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)とは異なり、遊技者に有利な有利操作態様を報知しない操作態様予想遊技が発生する。当該操作態様予想遊技において遊技者が有利操作態様で停止操作すると上乗せ(AT権利の付与)がなされるようになっている。更に後述するAT上乗せ特化A状態208で設定される保障回数も付与されるようになっている。
【0103】
従って、
図9に示すようにAT上乗せ特化A状態208は、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)に比べて一遊技数あたりの純増期待枚数は低いものの(X4<X3)、一遊技あたりの上乗せ期待値は高くなっている(Y4>Y3)。
【0104】
また、AT上乗せ特化A状態208は、設定された保障期間を消化した後の遊技で操作態様予想遊技が発生し、当該操作態様予想遊技で遊技者が有利操作態様で停止操作できなかったことを条件に終了するように構成されている。これによりAT上乗せ特化A状態208が発生すると遊技者は必ず1回は操作態様予想遊技が発生するため、遊技者はAT上乗せ特化A状態208を楽しむことができる。更に有利操作態様で停止操作できれば上乗せが発生するとともに、保障回数も付与されAT上乗せ特化A状態208を継続させることができるため、遊技者は更なる上乗せを期待して遊技することができる。なお、保障回数については必ずしも付与されないようにしてもよく、保障回数付与抽選により当選したときにだけ付与するようにしてもよい。
【0105】
AT上乗せ特化A状態208は、操作態様予想遊技で遊技者が有利操作態様で停止操作し続けると長期間継続することがあり得るが、一遊技数あたりの純増期待枚数は低く抑えられており、短期間における過度の射幸性を抑制することができる。
【0106】
また、AT上乗せ特化A状態208が開始されて最初に「押し順ベル」に当選した遊技については、遊技者に有利な有利操作態様を報知し、操作態様予想遊技が発生しないようになっている。これは、AT上乗せ特化A状態208に移行し、仮に「押し順ベル」に当選した遊技全てが操作態様予想遊技となった場合で遊技者が有利操作態様で停止操作できなかったときに、当該AT上乗せ特化A状態208が単に有利操作態様を報知せずメダルの獲得ができない不利な状態であるという印象を遊技者が抱き、興趣低下する可能性があることを防止するためである。最初に「押し順ベル」に当選した遊技で遊技者に有利な有利操作態様を報知することで、メダルを獲得した状態でその後の操作態様予想遊技を迎えることができるため、遊技者は不利な状態であるという印象を抱くことを防止できる。
【0107】
AT上乗せ特化B状態209は、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)にてAT上乗せ特化A状態208の移行条件を満たすと移行する。AT上乗せ特化B状態209は、AT上乗せ特化A状態208とは異なり、予め定められた遊技数を消化すると終了する状態となっている。このように遊技者の停止操作によらず遊技数の消化で終了するAT上乗せ特化B状態209であればATの延長抽選が優遇されている状態の継続遊技数が限られているため、AT上乗せ特化A状態208のように一遊技数あたりの純増期待枚数を低くする必要は必ずしもなく、例えばAT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)と同様としてもよいし、一遊技数あたりの純増期待枚数を高くするように構成してもよい。
【0108】
このように終了条件の異なる複数の上乗せ特化状態を設け、上乗せ特化状態毎の一遊技数あたりの純増期待枚数を変更することで、遊技者はより面白みを感じて遊技を行うことができる。なお、上乗せ特化状態毎に一遊技あたりの上乗せ期待値は同様となるようにしてもよいし、異なっていてもよい。更にAT上乗せ特化A状態208及びAT上乗せ特化B状態209以外にもAT上乗せ特化状態を設けていてもよい。
【0109】
引き戻し状態213は、AT一般状態207で付与されたAT権利が消化されたときに移行する状態であり、AT一般状態207に復帰せずに引き戻し状態213が終了すると有利区間200の終了条件が成立したことになり非有利区間100の非有利状態101へ移行する。引き戻し状態213においては一旦AT権利が消化されている状態であり、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)よりも一遊技数あたりの純増期待枚数が低くなるようにATの報知態様を制御するほうが好ましい。
【0110】
次に、上記実施形態における規定数到達AT状態211での第3背景演出303に関する変形例について説明する。
【0111】
図10に変形例として記載している第3背景演出303は、規定数まで残り一定数以下AT一般状態210で実行される第2背景演出302と同様の態様である同態様背景演出303aと左右側に表示される帯背景演出303bから構成されている。これにより遊技者は規定数まで残り一定数以下AT一般状態210から規定数到達AT状態211に移行したことが把握できるとともに、第3背景演出303にて同態様背景演出303aがあることにより、AT一般状態207(規定数まで残り一定数以下AT一般状態210も含む)と同様に上乗せ演出が行われることに違和感がなく、興趣向上を図ることができる。なお、帯背景演出303bの領域内において、例えば「エンディング到達大チャンス中」等の文字表示を行うことで、遊技者はエンディングAT状態212を心待ちにしながら遊技を行うことができ、興趣向上を図ることができる。
【0112】
更に、上記実施形態では、規定数到達AT状態211に移行する規定数として、AT状態に移行してからのメダルの獲得数(賭数とメダル付与数とに基づく差数の累計数、以下AT中累計数ともいう)を対象としていたが、これに限られるものではなく、一定のAT状態の継続が行われることで達成することができる対象であって、規定数まで残り一定数以下AT一般状態210にて残数表示401を行うことのできるものであればよい。例えば有利区間の継続遊技数であったり、上乗せ特化状態の移行回数であったり、上乗せの実行回数であったり、AT状態をセット数管理している場合において一定のセット数継続することであったりという対象でもよい。
【0113】
上記実施形態や上記変形例等の内容を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 スロットマシン
3 筐体
27 液晶表示器
200 有利区間
205 特殊AT状態
206 AT開始状態
207 AT一般状態
208 AT上乗せ特化A状態
209 AT上乗せ特化B状態
210 規定数まで残り一定数以下AT一般状態
211 規定数到達AT状態
212 エンディングAT状態
301 第1背景演出
302 第2背景演出
303 第3背景演出
304 第4背景演出