(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116752
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】管継手構造
(51)【国際特許分類】
F16L 19/04 20060101AFI20220803BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F16L19/04
F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013088
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】霜村 潤
(72)【発明者】
【氏名】山室 成樹
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014EA01
3H014EA07
(57)【要約】
【課題】ライナ管で被覆された更生管を別の管体に接続する管継手構造において、相手方の管体の様々な仕様に容易に対応する。
【解決手段】既設管1と、既設管1の内面を被覆する被覆部2aと既設管1の管軸方向一方の端部から突出するライナ突出部2bとを連続して備えるライナ管2と、ライナ突出部2bの外側に配置されるガイド部材3と、ライナ突出部2bの内側に入り込むインナ部4aとインナ部4aから管軸方向一方へ突出する外方部4bとを備える接続治具4と、ライナ突出部2bの外面2cに接する基部5aを備えるアウタ部材5と、インナ部4aの外面4cとアウタ部材5の内面5dの少なくとも一方に設けられ管軸方向一方へ向かって拡径するテーパ部12と、接続治具4とアウタ部材5とを管軸方向へ引き寄せて接続治具4、ライナ突出部2b及びアウタ部材5を固定する締付手段20とを備える管継手構造とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管(1)と、
前記既設管(1)の内面を被覆する被覆部(2a)と前記既設管(1)の管軸方向一方の端部から突出するライナ突出部(2b)とを連続して備えるライナ管(2)と、
前記ライナ突出部(2b)の外側に配置されるガイド部材(3)と、
前記ライナ突出部(2b)の内側に入り込むインナ部(4a)と前記インナ部(4a)から管軸方向一方へ突出する外方部(4b)とを備える接続治具(4)と、
前記ライナ突出部(2b)の外面(2c)に接する基部(5a)を備えるアウタ部材(5)と、
前記インナ部(4a)の外面(4c)と前記アウタ部材(5)の内面(5d)の少なくとも一方に設けられ管軸方向へ向かって拡径するテーパ部(12)と、
前記接続治具(4)と前記アウタ部材(5)とを管軸方向へ引き寄せて前記接続治具(4)、前記ライナ突出部(2b)及び前記アウタ部材(5)を固定する締付手段(20)と、
を備える管継手構造。
【請求項2】
前記接続治具(4)は、前記インナ部(4a)と前記外方部(4b)との間に径変化部(4e)を備え、前記径変化部(4e)は管軸方向一方へ向かって拡径するものである請求項1に記載の管継手構造。
【請求項3】
前記インナ部(4a)の外面(4c)と前記ライナ突出部(2b)の内面(2d)との間に環状のシール部材(11)を備える請求項1又は2に記載の管継手構造。
【請求項4】
前記ガイド部材(3)はその外面(3c)が円筒面である環状部材で構成され、前記締付手段(20)による固定前の状態で、前記ガイド部材(3)の前記外面(3c)と前記アウタ部材(5)の前記内面(5d)とが摺接することで前記アウタ部材(5)の管軸方向への移動がガイドされている請求項1から3のいずれか一つに記載の管継手構造。
【請求項5】
前記締付手段(20)は、前記接続治具(4)に設けられ前記外方部(4b)から外側へ立ち上がる第1フランジ部(21)と、前記アウタ部材(5)に設けられ前記基部(5a)から外側へ立ち上がる第2フランジ部(22)と、前記第1フランジ部(21)及び前記第2フランジ部(22)に貫通するボルト(23)及び前記ボルト(23)にねじ込まれるナット(24)を備える請求項1から4のいずれか一つに記載の管継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管内面をライナ管で被覆した既設の管体と、それに対向する別の管体との接続部に用いられる管継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から送・配水管等の各種の管体(以下、既設管と称する)が老朽化した場合、既設管内に柔軟性を有する素材からなる管体を挿入して、それを既設管の内面へ密着させることで管路の更生を行っている。既設管の内面に密着させる管体をライナ管と称し、ライナ管によって内面が被覆された既設管を更生管と称する。ライナ管は、蒸気と圧縮空気により拡張されて既設管の内周面に密着し、その後、冷却固化させることで既設管に一体化される。また、更生管の管端部は、それに対向する別の管体の管端部に対して、管継手を介して接続される。この種の管継手構造として、例えば、特許文献1~4に記載のものがある。
【0003】
特許文献1の管継手構造では、内面にライナ管が被覆された更生管の管端部の端面に、パッキンを介在して当接する管端止水部材を備え、更生管の管端部の外周とそれに対向する別の管体の管端部の外周との間に継ぎ輪を嵌め込み、その嵌め込み面をくさび状のゴム輪で止水した構造としている
【0004】
また、特許文献2の管継手構造は、管体とその管体から管軸方向に突出するライナ管の外周にそれぞれゴムパッキンを配置し、そのゴムパッキンを固定フランジ管、連結フランジ管及びシールフランジ管で挟み込んでシールしている。シールフランジ管には延長フランジ管が接続されて管路が延長される。
【0005】
特許文献3の管継手構造は、その内周面に密着する可撓管を備えた対の管体と、管体の端部にそれぞれ設けられた鍔と、鍔の端面から管軸方向内側へ向かって縮径するテーパ状内周面と、テーパ状内周面に密着するテーパ状外周面を両端に備えた接続管とを備えている。対向する鍔同士をボルトとナットで締結することによって、可撓管の端部同士をテーパ状内周面とテーパ状外周面とで押圧挟持し、可撓管と管体との間の間隙の気密性を保持している。
【0006】
特許文献4の管継手構造は、更生管のライナ管(ライニングホース)が、その更生管の端部から管軸方向外側へ向かって突出している。更生管の端部の外周と、突出したライニングホースの外周との間に跨って案内管が設けられている。ライニングホースの外周部分において、案内管は、更生管の端部から遠ざかるほど内径が拡がるテーパ状内周面を備え、その先端にフランジを備えている。突出したライニングホースの内周に継手用管が挿入され、継手用管に設けたフランジと、案内管のフランジとをボルトとナットで締結することによって、ライナ管を備えた更生管と案内管、継手用管が接続される。また、継手用管の外周とそれに対向する別の管体の管端部の外周との間に継ぎ輪を嵌め込み、その嵌め込み面をくさび状のゴム輪で止水している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-17808号公報
【特許文献2】特開2015-3470号公報(明細書段落0020、
図3等参照)
【特許文献3】特開平5-272666号公報(明細書段落0023、
図5等参照)
【特許文献4】特公平2-29920号公報(
図2等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1~4の管継手構造では、更生管を対向する別の管体に接続するために、その口径や管種に対応した複数の構成部材を採用している。このため、接続の対象となる管体の口径や管種のバリエーションに対応して、多数の種類の構成部材を準備しなければならないという問題がある。多数の種類の構成部材を準備することはコストアップにつながるので好ましくなく、また、作業の煩雑化にもつながるので改善の余地がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、ライナ管で被覆された更生管を対向する別の管体に接続する管継手構造において、様々な仕様の管体に容易に対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、既設管と、前記既設管の内面を被覆する被覆部と前記既設管の管軸方向一方の端部から突出するライナ突出部とを連続して備えるライナ管と、前記ライナ突出部の外側に配置されるガイド部材と、前記ライナ突出部の内側に入り込むインナ部と前記インナ部から管軸方向一方へ突出する外方部とを備える接続治具と、前記ライナ突出部の外面に接する基部を備えるアウタ部材と、前記インナ部の外面と前記アウタ部材の内面の少なくとも一方に設けられ管軸方向一方へ向かって拡径するテーパ部と、前記接続治具と前記アウタ部材とを管軸方向へ引き寄せて前記接続治具、前記ライナ突出部及び前記アウタ部材を固定する締付手段とを備える管継手構造を採用した。
【0011】
ここで、前記接続治具は、前記インナ部と前記外方部との間に径変化部を備え、前記径変化部は管軸方向一方へ向かって拡径するものである構成を採用することができる。
【0012】
ここで、前記インナ部の外面と前記ライナ突出部の内面との間に環状のシール部材を備える構成を採用することができる。
【0013】
また、前記ガイド部材はその外面が円筒面である環状部材で構成され、前記締付手段による固定前の状態で、前記ガイド部材の前記外面と前記アウタ部材の前記内面とが摺接することで前記アウタ部材の管軸方向への移動がガイドされている構成を採用することができる。
【0014】
これらの各態様において、前記締付手段は、前記接続治具に設けられ前記外方部から外側へ立ち上がる第1フランジ部と、前記アウタ部材に設けられ前記基部から外側へ立ち上がる第2フランジ部と、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部に貫通するボルト及び前記ボルトにねじ込まれるナットを備える構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、ライナ管で被覆された更生管を別の管体に接続する管継手構造において、相手方の管体の様々な仕様に容易に対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、
図1に示すように、既に設置されている老朽化した既設管1の内面に柔軟性を有する素材からなるライナ管2を密着させた更生管に対して、その更生管の管端部に対向する別の管体Pの管端部p1を接続するために使用する管継手構造10、及び、その管継手構造10を用いた管体の接続方法である。既設管1や管体Pの材質としては、この実施形態では金属管の内面にモルタルライニングを施したモルタルライニング管としているが、他の素材からなる管体であってもよい。既設管1の用途としては、例えば、上水道、下水道、農業用水や工業用水等の各種の送・配水管、その他各種の流体を供給する流体供給管等が挙げられる。
【0018】
ライナ管2は、その既設管1の内面被覆する被覆部2aと、既設管1の管軸方向一方の端部から突出するライナ突出部2bとを連続して備えている。すなわち、ライナ管2は、既設管1の内部から伸びて、その既設管1の端部から外部へ突出した状態である。ライナ管2の素材は、例えば、熱硬化性プラスチックや熱可塑性プラスチック等の樹脂や、ゴム等の柔軟性のある素材からなるチューブが用いられる。ライナ管2の素材であるチューブを既設管1内に挿入し、そのチューブを蒸気と圧縮空気で拡張させて既設管1の内周面に密着させ、その後、冷却固化させて管の更生を行う。拡張したチューブで管の内面が被覆されることで、ライナ管2と一体となった既設管1が更生管となる。この更生は、老朽化した既設管1を所定の範囲で切断し、切断した既設管の端部からチューブを挿入することで行われる場合が多い。
図1は、更生管の端部(前述の既設管1の管軸方向一方の端部)付近を示している。
【0019】
管継手構造10は、ライナ突出部2bの外側(半径方向外側)に配置されるガイド部材3と、ライナ突出部2bの内側(半径方向内側)に入り込むインナ部4aと別の管体Pへの接続部となる外方部4bとを備える接続治具4と、ライナ突出部2bの外面2cに接する基部5aを備えるアウタ部材5とを備えている。また、インナ部4aの外面4cとアウタ部材5の内面5dの少なくとも一方には、管軸方向一方へ向かって、すなわち、既設管1の端部から遠ざかるにつれて拡径するとともにライナ突出部2bに接するテーパ部12を備えている。この実施形態では、テーパ部12として、インナ部4aの外面4cとアウタ部材5の内面5dの両方にテーパ部12を備えており、インナ部4aの外面4cのテーパ部12をライナ突出部2bの内面2dに接する外面テーパ部12bとし、アウタ部材5の内面5dのテーパ部12をライナ突出部2bの外面2cに接する内面テーパ部12aとしている。さらに、管継手構造10は、接続治具4とアウタ部材5とを管軸方向へ引き寄せて接続治具4、ライナ突出部2b及びアウタ部材5を互いに固定する締付手段20を備えている。
【0020】
ガイド部材3は、ライナ突出部2bの外面2cを覆う環状部材で構成される。ライナ管2が拡張される前の状態で、そのライナ管2の外周にガイド部材3を嵌めておくと装着の作業性がよい。ガイド部材3をライナ管2の外周に装着した状態で、ガイド部材3の内面3dはライナ突出部2bの外面2cに密着していることが好ましい。この実施形態では、ガイド部材3として円筒状を成す板状部材を採用している。ガイド部材3の外面3cが円筒面であり、その外面3cとアウタ部材5の内面5dとが摺接することでガイドリングとしての機能を発揮するようになっている。また、ガイド部材3は、ライナ突出部2bの外面2cを覆うことで、ライナ管2を保護する機能も発揮している。ガイド部材3の素材としては金属や硬質の樹脂を採用することができる。この実施形態では、ガイド部材3の素材としてステンレスを採用している。ガイド部材3を板状部材で構成すれば、部材を現場で切断して長さを調整することが容易である。
【0021】
接続治具4は、環状を成すインナ部(インナーコア)4aがライナ突出部2bの内側に入り込むように管軸方向他方側へ突出しており、また、環状を成す外方部4bがそのインナ部4aから管軸方向一方側へ突出している。外方部4bは、対向する別の管体Pの管端部p1への接続部となる。外方部4bと別の管体Pとの接続及び固定は、後述の接続手段30によって行われる。インナ部4aの先端の内面4dは、既設管1の管軸に一致する軸心を有する円筒面であることが望ましい。また、インナ部4aの先端の内面4dと被覆部2aの内面2dとの間は、できる限り段差が少なく、また、折れ点等が少ない状態で両者がスムーズに接続されていることが望ましい。
【0022】
外方部4bは、インナ部4aに接続されて管軸方向一方側へ向かうにつれて拡径する径変化部4eと、その径変化部4eに接続されて管軸方向一方側へ向かって円筒状に伸びる円筒状部4fとを備えている。この実施形態では、径変化部4eは内径が連続的に変化するテーパ面で構成されているが、内部の流体の流れに影響が少ない限りにおいて、径変化部4eを内径が段階的に変化する階段状の面で構成してもよい。径変化部4eを設けたことにより、接続治具4のみを仕様が異なるものに変更することで、様々な管体Pの管径に対応することができる。ここで、円筒状部4fの内面は、管体Pの管軸に一致する軸心を有する円筒面であることが望ましい。また、円筒状部4fの内面と管体Pの内面との接続部は、できる限り段差が少なく、また、折れ点等が少ない状態で両者がスムーズに接続されていることが望ましい。なお、
図1の実施形態では、径変化部4eの管軸方向への位置(範囲)は、インナ部4aのテーパ部12である外面テーパ部12bから外方部4bにかけて、両者間に跨って配置されている。このように、テーパ部12と径変化部4eとを管軸方向へ重複させることで、径変化部4eの管軸方向への距離を広く確保できる。これにより、径変化部4eの管軸方向に対する勾配を緩やかにすることが可能である。なお、径変化部4eは、必ずしもテーパ部12(外面テーパ部12b)と管軸方向に対して重複している態様には限定されず、例えば、径変化部4eを、テーパ部12(外面テーパ部12b)よりも管軸方向一方側の範囲内にのみ設定してもよい。また、逆に、径変化部4eの範囲と外方部4bの範囲とを管軸方向に対して重複させず、径変化部4eの管軸方向への範囲をテーパ部12(外面テーパ部12b)の管軸方向への範囲内にのみ設定してもよい。
【0023】
アウタ部材5は、ライナ突出部2bの外面2cに接する基部5aと、その基部5aから外側(半径方向外側)へ立ち上がるフランジ部22を備えている。アウタ部材5のフランジ部22は、締付手段20の第2フランジ部(以下、第2フランジ部22と称する)として機能する。アウタ部材5の内面5dは、インナ部4aの外面4cと平行な向きのテーパ面である。
【0024】
締付手段20は、接続治具4に設けられ外方部4bから外側(半径方向外側)へ立ち上がる第1フランジ部21と、アウタ部材5に設けられる第2フランジ部22と、第1フランジ部21及び第2フランジ部22に貫通するボルト23、及び、ボルト23にねじ込まれるナット24とを備えている。ボルト23にナット24を締め付けることで、第1フランジ部21と第2フランジ部22とが管軸方向に引き寄せられる。これにより、インナ部4aの外面テーパ部12bとアウタ部材5の内面テーパ部12aとの間でライナ突出部2bを厚さ方向に挟み込むことで、互いの部材間を液密に且つ気密に固定することができる。このとき、ガイド部材3の外面3cが円筒面であるので、ガイド部材3の外面3cとアウタ部材5の内面5dとが摺接して、アウタ部材5の管軸方向への移動がガイドされている。ボルト23及びナット24は、
図2に示すように、管軸回りの周方向に沿って等分方位に複数組設けられている。実施形態ではボルト23及びナット24を8組用いているが、この数は仕様に応じて増減できる。
【0025】
また、インナ部4aの外面4cとライナ突出部2bの内面2dとの間に環状のシール部材11を備えているので、その液密性、気密性がさらに高められている。この実施形態では、シール部材11として環状のOリング(シールリング)を採用している。シール部材11は、テーパ部12の途中に設けられていることが望ましい。なお、アウタ部材5は、ライナ管2が拡張される前の状態で、アウタ部材5を嵌めておくと装着の作業性が良い。また、アウタ部材5は、実施形態のような一体の円環状部材には限定されず、複数の円弧状部材を周方向に連結することにより円環状部を形成する態様、例えば、中心角180度の円弧状部材を2つ連結して円環状にする半割構造を採用すれば、ライナ管2が拡張された後でも容易に装着が可能であり、作業性が向上する。
【0026】
接続治具4と管体Pとは、接続手段30によって接続されるようになっている。接続手段30は、管体Pの管端部p1に設けられ外側(半径方向外側)へ立ち上がる第3フランジ部31と、管体Pとは別部材である押圧部材32に設けられる第4フランジ部32bと、第3フランジ部31及び第4フランジ部32bに貫通するボルト33、及び、ボルト33にねじ込まれるナット34とを備えている。ボルト33にナット34を締め付けることで、第3フランジ部31と第4フランジ部32bとが管軸方向に引き寄せられる。また、押圧部材32の内径寄りに位置する突出端32aは、ゴム輪35を管体Pの受口内へ押し込んでいく。これにより、接続治具4の円筒状部4fと管体Pの管端部p1とは、液密に且つ気密に固定される。
【0027】
他の実施形態を
図3に示す。この実施形態は、接続治具4の径変化部4eを、外方部4bのみに設けたものである。前述の実施形態では、接続治具4の径変化部4eを、インナ部4aと外方部4bに跨って配置していたが、使用できる接続治具4の長さに余裕がある場合は、このような態様を採用することも可能である。その他の基本構成は、前述の実施形態と共通であるので説明を省略する。
【0028】
上記の各実施形態では、インナ部4aの外面4cとアウタ部材5の内面5dの両方にテーパ部12を備えたが、テーパ部12は、インナ部4aの外面4c又はアウタ部材5の内面5dのいずれか一方のみであってもよい。例えば、インナ部4aの外面テーパ部12bのみをテーパ部12としてもよいし、アウタ部材5の内面テーパ部12aのみをテーパ部12としてもよい。
【0029】
また、上記の各実施形態では、径変化部4eとして管軸方向一方へ向かって、すなわち、既設管1の端部から遠ざかるにつれて拡径する構成としたが、逆に、径変化部4eを管軸方向一方へ向かって縮径する構成とすることもできる。このとき、テーパ部12として、インナ部4aの外面4cのテーパ部12(外面テーパ部12b)及びアウタ部材5の内面5dのテーパ部12(内面テーパ部12a)の両方を備える構成としてもよいし、いずれか一方のみを備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 既設管
2 ライナ管
2a 被覆部
2b ライナ突出部
2c,3c,4c 外面
2d,3d,4d,5d 内面
3 ガイド部材(ガイドリング)
4 接続治具
4a インナ部
4b 外方部
5 アウタ部材
5a 基部
10 管継手構造
11 シール部材
12 テーパ部
12a 内面テーパ部
12b 外面テーパ部
20 締付手段
21 第1フランジ部
22 第2フランジ部
23 ボルト
24 ナット
30 接続手段
P 管体