(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022116806
(43)【公開日】2022-08-10
(54)【発明の名称】建物の給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20220803BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021013181
(22)【出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 健一
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA16
5G015GA11
5G015JA04
5G015JA21
5G015JA32
5G015JA34
5G015JA44
5G015JA52
5G015KA01
5G015KA08
5G015KA12
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】停電時に建物内の電気機器を速やかに使用できるようにするとともに、長期間にわたり安定して電気機器を使用可能とする建物の給電システムを提供する。
【解決手段】
建物10内には、複数の電気機器16~18を含むリビング回路15が設けられている。建物10は、車載バッテリ52を搭載した車両50と給電ケーブル57を介して接続される給電用接続部65と、車載バッテリ52の蓄電電力をリビング回路15に供給するための第1給電経路と、停電時に自立運転が可能な太陽光発電装置25と、太陽光発電装置25の自立運転による発電電力をリビング回路15に供給するための第2給電経路と、車載バッテリ52の蓄電電力と太陽光発電装置25の発電電力とのうちいずれをリビング回路15に供給するか切り替える第2切替スイッチ41と、を備え、停電時においても、太陽光発電装置25及び車両50のいずれかによってリビング回路15に電力を供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源からの給電が停止された停電時において、建物内に設けられた複数の電気機器を含む特定回路に前記系統電源以外からの給電を可能とした建物の給電システムであって、
車載バッテリを搭載した車両と給電ケーブルを介して接続される給電用接続部と、
前記給電用接続部に前記給電ケーブルを介して供給される前記車載バッテリの蓄電電力を前記特定回路に供給するための第1給電経路と、
前記建物に設置され、停電時に自立運転が可能とされた太陽光発電装置と、
前記太陽光発電装置の自立運転により発電された発電電力を前記特定回路に供給するための第2給電経路と、
前記車載バッテリの蓄電電力と前記太陽光発電装置の発電電力とのうちいずれを前記特定回路に供給するか切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする建物の給電システム。
【請求項2】
前記太陽光発電装置による発電電力を取得する発電電力取得手段と、
前記発電電力取得手段により取得された発電電力に基づいて、前記車載バッテリの蓄電電力と前記太陽光発電装置の発電電力とのうちいずれを前記特定回路に供給するか前記切替手段により切り替える切替制御手段と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の建物の給電システム。
【請求項3】
前記給電ケーブルにおいて地絡が生じたことを検出する地絡検出部と、
前記地絡検出部により前記給電ケーブルの地絡が検出された場合に、前記太陽光発電装置の発電電力を前記特定回路に供給するように前記切替手段を切替制御する切替制御手段と、を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物の給電システム。
【請求項4】
前記車載バッテリに蓄電された蓄電量を取得する蓄電量取得手段と、
前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量が所定の下限設定値まで低下した場合に、前記太陽光発電装置の発電電力を前記特定回路に供給するよう前記切替手段を切替制御する切替制御手段と、を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建物の給電システム。
【請求項5】
前記車両と充電ケーブルを介して接続される充電用接続部と、
前記太陽光発電装置の自立発電による発電電力を前記充電用接続部に供給する第3給電経路と、を備え、
前記充電用接続部に供給される発電電力は前記充電ケーブルを介して前記車載バッテリに供給されることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の建物の給電システム。
【請求項6】
前記太陽光発電装置の発電電力が前記特定回路に供給されるように前記切替手段が切り替えられた場合に、前記充電用接続部に前記車両を前記充電ケーブルを介して接続するよう促す報知処理を行う報知手段を備えることを特徴とする、請求項5に記載の建物の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車が実用化されており、それらの自動車に搭載された車載バッテリを用いて、自動車側から建物側に電力を供給する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる技術によれば、災害等に伴い、建物で停電が発生した場合に、自動車側から建物側に車載バッテリの蓄電電力を供給することにより、建物内の電気機器を使用することが可能となる。例えば、建物内のリビングに設けられた複数の電気機器を含むリビング回路に車載バッテリの電力を供給することで、リビング内の各電気機器を使用することが可能となる。
【0003】
また、建物には、ソーラパネルが設置されている場合がある。かかる建物では、停電になると、ソーラパネルが系統電源から切り離されて自立運転を行うようになっている。ソーラパネルには、非常用コンセントが接続されており、自立運転時にはソーラパネルによる発電電力が非常用コンセントに供給されるようになっている。これにより、停電時には、非常用コンセントに電気機器のプラグを接続することにより、電気機器の使用が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車載バッテリの蓄電電力を建物内のリビング回路に供給可能とした上記の給電システムでは、車載バッテリの蓄電電力がなくなると、給電を行えなくなってしまう。そのため、長期間にわたって停電が続く場合には、給電を行うことが困難になると考えられる。
【0006】
また、ソーラパネルの自立運転により発電された発電電力を非常用コンセントに供給する上記の構成では、雨天時や夜間等、ソーラパネルによる発電を十分行えないときには、非常用コンセントに必要な電力を供給できなくなってしまう。そのため、停電時に安定して給電を行うことが困難であると考えられる。
【0007】
また、非常用コンセントの場合、停電時に、使用する各電気機器をそれぞれ非常用コンセントに接続する必要がある。かかる接続作業は、延長コードを用いて接続したり、電気機器を非常用コンセント近くに移動して接続したり、といった面倒な作業になると考えられる。そのため、停電してから電気機器を使用するまでに時間がかかることが想定される。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、停電時に建物内の電気機器を速やかに使用できるようにするとともに、長期間にわたり安定して電気機器を使用可能とする建物の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の建物の給電設備は、系統電源からの給電が停止された停電時において、建物内に設けられた複数の電気機器を含む特定回路に前記系統電源以外からの給電を可能とした建物の給電システムであって、
車載バッテリを搭載した車両と給電ケーブルを介して接続される給電用接続部と、
前記給電用接続部に前記給電ケーブルを介して供給される前記車載バッテリの蓄電電力を前記特定回路に供給するための第1給電経路と、
前記建物に設置され、停電時に自立運転が可能とされた太陽光発電装置と、
前記太陽光発電装置の自立運転により発電された発電電力を前記特定回路に供給するための第2給電経路と、
前記車載バッテリの蓄電電力と前記太陽光発電装置の発電電力とのうちいずれを前記特定回路に供給するか切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第1の発明によれば、建物の停電時に、車両の車載バッテリに蓄えられた蓄電電力と、太陽光発電装置の自立運転により発電された発電電力とをそれぞれ建物内の特定回路に供給することができる。また、車載バッテリの蓄電電力と太陽光発電装置の発電電力とのうち、いずれの電力を特定回路に供給するかを切替手段により切り替えることができる。そのため、例えば車載バッテリの蓄電量(蓄電電力量)が少ない場合には、太陽光発電装置の発電電力を特定回路に供給したり、また、太陽光発電装置の発電電力が少ない場合には、車載バッテリの蓄電電力を特定回路に供給したりすることができる。そのため、停電時において、長期間にわたり安定して特定回路(電気機器)に給電を行うことができる。
【0011】
また、太陽光発電装置の自立運転により発電された発電電力を、複数の電気機器を含む特定回路に供給するようにしたため、停電時に、非常用コンセントに電気機器を接続する作業を行わなくて済む。そのため、停電時に速やかに電気機器を使用することが可能となる。
【0012】
第2の発明の建物の給電システムは、第1の発明において、前記太陽光発電装置による発電電力を取得する発電電力取得手段と、
前記発電電力取得手段により取得された発電電力に基づいて、前記車載バッテリの蓄電電力と前記太陽光発電装置の発電電力とのうちいずれを前記特定回路に供給するか前記切替手段により切り替える切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、太陽光発電装置の発電電力に基づいて、車載バッテリの蓄電電力と太陽光発電装置の発電電力とのうちいずれの電力を特定回路に供給するかが切り替えられる。この場合、例えば、晴天時等、太陽光発電装置の発電電力が大きい場合には、発電電力を特定回路に供給し、雨天時等、太陽光発電装置の発電電力が小さい場合には、車載バッテリの蓄電電力を特定回路に供給するようにすることができる。これにより、太陽光発電装置の発電電力に応じて、特定回路への給電元を好適に切り替えることができる。
【0014】
第3の発明の建物の給電システムは、第1又は第2の発明において、前記給電ケーブルにおいて地絡が生じたことを検出する地絡検出部と、
前記地絡検出部により前記給電ケーブルの地絡が検出された場合に、前記太陽光発電装置の発電電力を前記特定回路に供給するように前記切替手段を切替制御する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、給電ケーブルにおいて地絡が生じた場合には、太陽光発電装置の発電電力が特定回路に供給されるように切替手段が切り替えられる。したがって、給電ケーブルにおいて地絡が生じた場合には、車載バッテリの蓄電電力が給電ケーブルを介して特定回路に供給されることが停止される。そのため、地絡発生時に給電ケーブルに触れ感電してしまう等の事態を招くのを回避することができる。
【0016】
第4の発明の建物の給電システムは、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記車載バッテリに蓄電された蓄電量を取得する蓄電量取得手段と、
前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量が所定の下限設定値まで低下した場合に、前記太陽光発電装置の発電電力を前記特定回路に供給するよう前記切替手段を切替制御する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、車載バッテリの蓄電量が所定の下限設定値まで低下すると、太陽光発電装置の発電電力が特定回路に供給されるよう切替手段が切り替えられる。これにより、車載バッテリの蓄電量を一定以上確保しておくことができるため、車載バッテリの蓄電電力を使い過ぎて車両を走行させることができなくなるのを回避することができる。
【0018】
第5の発明の建物の給電システムは、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記車両と充電ケーブルを介して接続される充電用接続部と、
前記太陽光発電装置の自立発電による発電電力を前記充電用接続部に供給する第3給電経路と、を備え、
前記充電用接続部に供給される発電電力は前記充電ケーブルを介して前記車載バッテリに供給されることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、停電時に、太陽光発電装置の自立発電による発電電力を車両の車載バッテリに供給することで、車載バッテリを充電することができる。この場合、停電時に、より長期にわたって特定回路(電気機器)に給電を行うことができる。
【0020】
第6の発明の建物の給電システムは、第5の発明において、前記太陽光発電装置の発電電力が前記特定回路に供給されるように前記切替手段が切り替えられた場合に、前記充電用接続部に前記車両を前記充電ケーブルを介して接続するよう促す報知処理を行う報知手段を備えることを特徴とする。
【0021】
給電と充電との両方が可能な車両では、給電ケーブルを接続する接続口と、充電ケーブルを接続する接続口とが共通の接続口となっていることが多い。そのため、給電ケーブルを接続口に接続し、車載バッテリの蓄電電力を給電ケーブルを介して特定回路に供給している場合には、接続口に充電ケーブルを接続することができず、車載バッテリの充電を行うことができない。したがって、車載バッテリに充電を行うことができるのは、太陽光発電装置の発電電力が特定回路に供給されている場合に限られる。
【0022】
そこで、第6の発明では、この点に鑑み、太陽光発電装置の発電電力が特定回路に供給されるよう切替手段が切り替えられた場合に報知処理を行い、それにより、充電用接続部に車両を充電ケーブルを介して接続することを促すようにしている。この場合、車載バッテリの充電が可能となる適切なタイミングで、ユーザに車両と充電用接続部とを充電ケーブルにより接続する作業を行わせることができる。そのため、車載バッテリの充電を行う上で、好適な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】建物の給電システムの概略を示す全体構成図。
【
図2】
図1において、停電時に車両から給電を行う際の電力の流れを示す図。
【
図3】
図1において、停電時に太陽光発電装置から給電を行う際の電力の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態における給電システムの概略を示す全体構成図である。なお、
図1では、商用電力が供給されている通常時における電力の流れを矢印で示している。
【0025】
図1に示すように、建物10には分電盤11が設けられている。分電盤11には、商用電源(系統電源)13から送られる商用電力が引き込み線14を介して供給される。引き込み線14は、電柱に設けられた柱上トランス(図示略)から建物10側に引き込まれている。柱上トランスでは、配電線を流れるAC6600Vの高圧電力(商用電力)がAC100/200Vの低圧電圧に変換される。そして、その変換された低圧電力が引き込み線14を介して分電盤11に供給されるようになっている。
【0026】
分電盤11には、建物10において停電が発生しているか否かを検知する停電検知センサ21が設けられている。停電検知センサ21は、分電盤11に商用電力が供給されているか否かを検知する電力センサからなる。
【0027】
建物10の屋根上には、太陽光が照射されることで太陽光発電を行う太陽光発電装置25が設けられている。太陽光発電装置25は、電気配線35を介してパワーコンディショナー31に接続されている。太陽光発電装置25により発電された発電電力は電気配線35を介してパワーコンディショナー31に供給される。
【0028】
パワーコンディショナー31は、太陽光発電装置25により発電された発電電力(直流電力)を交流電力に変換するものである。パワーコンディショナー31は、建物10の外壁26に設けられている。パワーコンディショナー31により交流電力に変換された発電電力は、電気配線36を介して分電盤11に供給される。また、パワーコンディショナー31には、太陽光発電装置25による発電電力を検知する発電電力センサ33が設けられている。
【0029】
分電盤11に供給される商用電力及び太陽光発電装置25からの電力は、分電盤11から建物10内の複数の回路(分岐回路)に分配供給される。これら複数の回路には、リビング用の回路であるリビング回路15が含まれている。リビング回路15は、照明16、照明SW17及びコンセント18等の複数の電気機器と、これらの電気機器16~18に接続されたユニットケーブル19とを有しており、特定回路に相当するものである。なお、
図1では便宜上、建物10内の各回路のうち、リビング回路15以外の回路については図示を省略している。
【0030】
建物10には、第2切替スイッチ41が設けられている。分電盤11は電気配線43を介して第2切替スイッチ41に接続され、第2切替スイッチ41は電気配線47を介してリビング回路15に接続されている。
【0031】
分電盤11とリビング回路15とは第2切替スイッチ41を介して接続されている。分電盤11は電気配線43を介して第2切替スイッチ41に接続され、第2切替スイッチ41は電気配線47を介してリビング回路15に接続されている。分電盤11に供給される商用電力及び発電電力は、分電盤11から各電気配線43,47及び第2切替スイッチ41を介してリビング回路15に供給される。
【0032】
第2切替スイッチ41は、3位置切替式の切替スイッチである。第2切替スイッチ41は、C位置(C点)、D位置(D点)及びE位置(E点)に位置切替可能なスイッチ部41aを有している。分電盤11は、第2切替スイッチ41のC位置(C点)に電気配線43を介して接続されている。第2切替スイッチ41のスイッチ部41aが「C位置」に切り替えられると、電気配線43,47を介して分電盤11とリビング回路15とが接続される。これにより、分電盤11から電気配線43,47を介してリビング回路15に商用電力及び発電電力が供給されるようになっている。なお、第2切替スイッチ41(スイッチ部41a)は、通常C位置に位置している。また、第2切替スイッチ41の切り替えは、後述するコントローラ90により電気的に制御されるようになっているが、居住者が手動で行うことも可能となっている。
【0033】
建物10には、車両50に充電を行うための第1充電用接続部61が設けられている。詳しくは、屋外には、建物10に隣接して車両50の駐車スペース27が設けられ、その駐車スペース27に面した外壁26に第1充電用接続部61が設けられている。第1充電用接続部61は、電気配線62を介して分電盤11と接続されている。第1充電用接続部61には、分電盤11から商用電力又は太陽光発電装置25の発電電力が供給される。
【0034】
車両50は外部給電機能を有しており、例えば車載バッテリ52を搭載したプラグインハイブリッド自動車(PHV)となっている。車両50には、車体の側面部に充電ケーブル55を接続可能な接続口53が設けられている。接続口53は車載バッテリ52に電気的に接続されている。また、車両50には、車載バッテリ52の蓄電状態(残存容量SOC)を管理するECU(電子制御ユニット)54が設けられている。
【0035】
車両50は、充電ケーブル55を介して第1充電用接続部61と接続されるようになっている。充電ケーブル55は、その両端部に一対のコネクタ55a,55bを有している。これら各コネクタ55a,55bのうち、一方のコネクタ55aが車両50の接続口53に接続され、他方のコネクタ55bが第1充電用接続部61に接続されることで、車両50(車載バッテリ52)と建物10とが充電ケーブル55を介して電気的に接続されるようになっている。そして、その接続状態で、第1充電用接続部61から電力(商用電力又は発電電力)が充電ケーブル55を介して車載バッテリ52に供給され、その供給される電力により車載バッテリ52が充電されるようになっている。
【0036】
ここで、本実施形態の給電システムでは、災害等により建物10に停電が発生した場合(すなわち商用電力の供給が停止された場合)に、車両50及び太陽光発電装置25から建物10内のリビング回路15に電力を供給可能となっている。そこで、以下では、かかる給電に関する構成について説明する。
【0037】
まず、停電時に車両50からリビング回路15に給電するための構成について、
図1に加え
図2を参照しながら説明する。なお、
図2は、
図1において、停電時に車両50から給電を行う際の電力の流れを示す図である。
図2では、その電力の流れを矢印で示している。
【0038】
上述のとおり、車両50には接続口53が設けられている。この接続口53には、建物10内のリビング回路15に給電するための給電ケーブル57を接続することができる。つまり、接続口53には、充電ケーブル55及び給電ケーブル57の両方を接続することが可能となっており、接続口53が両ケーブル55,57共用の接続口となっている。
【0039】
車両50は、給電ケーブル57を介して給電用接続部65と接続されるようになっている。給電用接続部65は、駐車スペース27に面した外壁26に設けられている。給電ケーブル57は、その両端部に一対のコネクタ57a,57bを有している。これら各コネクタ57a,57bのうち、一方のコネクタ57aは車両50の接続口53に接続可能とされ、他方のコネクタ57bは給電用接続部65に接続可能とされている。これにより、給電ケーブル57のコネクタ57aが車両50の接続口53に接続され、かつ、コネクタ57bが建物10の給電用接続部65に接続されることで、車両50と建物10とが給電ケーブル57を介して電気的に接続されるようになっている。
【0040】
建物10の屋内側には、車両接続用装置71が設けられている。給電用接続部65と車両接続用装置71とは電気配線66により接続されている。車両接続用装置71は、地絡検出部72を有する。後述するように、車両50からリビング回路15には給電ケーブル57を介して給電を行うことが可能となっているが、地絡検出部72は、かかる給電を行う際に、給電ケーブル57において地絡が生じたことを検出するものである。また、電気配線66には、給電ケーブル57により車両50(接続口53)と給電用接続部65とが電気的に接続されたことを検知する接続検知センサ75が設けられている。
【0041】
車両接続用装置71は、第2切替スイッチ41と電気配線45により接続されている。車両接続用装置71は、第2切替スイッチ41のE位置(E点)に接続されている。
図2に示すように、第2切替スイッチ41のスイッチ部41aがE位置に切り替えられると、各電気配線45,47を介して車両接続用装置71とリビング回路15とが接続され、ひいては各電気配線45,47,66を介して給電用接続部65とリビング回路15とが接続される。このため、第2切替スイッチ41がE位置に切り替えられた状態で、車両50と給電用接続部65とを給電ケーブル57により接続すると、車両50(詳しくは、車載バッテリ52)とリビング回路15とが電気的に接続され、車載バッテリ52の電力(蓄電電力)が給電ケーブル57及び電気配線45,47,66を介してリビング回路15(電気機器16~18)に供給される。なお、この場合、各電気配線45,47,66を有して第1給電経路が構成されている。
【0042】
次に、停電時に太陽光発電装置25からリビング回路15に給電するための構成について、
図1に加え
図3を参照しながら説明する。なお、
図3は、
図1において、停電時に太陽光発電装置25から給電を行う際の電力の流れを示す図である。
図3では、その電力の流れを矢印で示している。
【0043】
図1に示すように、太陽光発電装置25のパワーコンディショナー31は、太陽光発電装置25が商用電源13と連携して運転を行う系統連系運転と、商用電源13から切り離された状態で運転を行う自立運転とに、運転状態を切り替えることが可能となっている。パワーコンディショナー31は、商用電力が供給されている通常時には系統連系運転を行い、停電時には自立運転を行うようになっている。
【0044】
パワーコンディショナー31は、第1切替スイッチ32と、発電電力センサ33とを有している。第1切替スイッチ32は、2位置切替式の切替装置であり、太陽光発電装置25と電気配線37を介して接続されている。第1切替スイッチ32は、A位置(A点)と、B位置(B点)とに位置切替可能なスイッチ部32aを有している。第1切替スイッチ32のA位置(A点)は、分電盤11と電気配線36を介して接続されている。第1切替スイッチ32のスイッチ部32aがA位置に切り替えられると、電気配線35,36を介して太陽光発電装置25と分電盤11とが接続される。これにより、太陽光発電装置25による発電電力が各電気配線35,36を介して分電盤11に供給される。したがって、第1切替スイッチ32(スイッチ部32a)がA位置に切り替えられた状態では、系統連系運転が行われる。なお、第1切替スイッチ32は、通常、A位置に位置している。
【0045】
第1切替スイッチ32のB位置(B点)は、第2切替スイッチ41のD位置(D点)と電気配線37を介して接続されている。
図3に示すように、第1切替スイッチ32のスイッチ部32aがB位置に切り替えられ、かつ、第2切替スイッチ41のスイッチ部41aがD位置に切り替えられると、各電気配線35,37,47を介して太陽光発電装置25とリビング回路15とが接続される。これにより、太陽光発電装置25による発電電力が各電気配線35,37,47を介してリビング回路15に供給される。したがって、第1切替スイッチ32(スイッチ部32a)がB位置に切り替えられた状態では、自立運転が行われる。なお、この場合、各電気配線35,37,47により第2給電経路が構成されている。
【0046】
建物10の屋内には、第1切替スイッチ32の切替操作を行うためのリモコン77が設けられている。リモコン77は、居住者が操作を行うためのタッチパネル78を有している。居住者は、このタッチパネル78を操作して、第1切替スイッチ32をA位置及びB位置のいずれかに切り替える。つまり、リモコン77は、パワーコンディショナー31の運転を系統連系運転及び自立運転のいずれかに切り替えるための操作部となっている。建物10が停電になった場合には、系統連系運転が自動停止される。そのため、居住者は、リモコン77を操作して第1切替スイッチ32をA位置からB位置に切り替え、自立運転を開始させることになる。
【0047】
建物10には、車両50に充電を行うための第2充電用接続部81が設けられている。第2充電用接続部81は、駐車スペース27に面した外壁26において、第1充電用接続部61と隣接した状態で設けられている。第1充電用接続部61が、系統運転時に車両50の充電を行うものであるのに対し、第2充電用接続部81は、自立運転時に車両50の充電を行うものとなっている。
【0048】
第2充電用接続部81には、電気配線37の中間部から分岐して延びる電気配線82が接続されている。第1切替スイッチ32がB位置に切り替えられた自立運転時には、電気配線35と、電気配線37の一部と、電気配線82と介して太陽光発電装置25と第2充電用接続部81とが接続される。これにより、第2充電用接続部81には、太陽光発電装置25による発電電力が、各電気配線35,37,82を介して第2充電用接続部81に供給される。なお、この場合、電気配線35と、電気配線37の一部と、電気配線82とにより第3給電経路が構成されている。
【0049】
第2充電用接続部81には、充電ケーブル55を接続可能となっている。したがって、充電ケーブル55は、第1充電用接続部61及び第2充電用接続部81にそれぞれ接続可能となっている。充電ケーブル55のコネクタ55aが車両50の接続口53に接続され、コネクタ55bが第2充電用接続部81に接続されることで、車両50(車載バッテリ52)と建物10とが充電ケーブル55を介して電気的に接続される。そして、その接続状態で、第2充電用接続部81から太陽光発電装置25の発電電力が充電ケーブル55を介して車載バッテリ52に供給され、その供給される電力により車載バッテリ52が充電されるようになっている。これにより、停電時においても、車載バッテリ52を充電することが可能となっている。
【0050】
その他の構成として、建物10には、報知手段としてのスピーカ85が設けられている。スピーカ85は、建物10内のリビングに設けられている。スピーカ85は、停電時に、居住者に対して充電ケーブル55や給電ケーブル57の接続を促す報知等を音声を出力することにより行うものである。
【0051】
次に、建物10の給電システムの電気的構成について説明する。
【0052】
建物10には、給電システムの制御を行うコントローラ90が設けられている。コントローラ90は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されている。なお、コントローラ90が切替制御手段に相当する。
【0053】
コントローラ90には、分電盤11が接続されている。コントローラ90には、停電検知センサ21より、建物10が停電しているか否かについての検知結果が逐次入力される。
【0054】
コントローラ90には、パワーコンディショナー31が接続されている。コントローラ90には、パワーコンディショナー31から、第1切替スイッチ32がA位置及びB位置のいずれの位置であるか(すなわち、系統連系運転及び自立運転のいずれの運転状態であるか)に関する切替情報が逐次入力される。また、コントローラ90には、発電電力センサ33から、太陽光発電装置25における発電電力の情報が逐次入力される。
【0055】
コントローラ90には、車両接続用装置71が接続されている。コントローラ90には、地絡検出部72から給電ケーブル57における地絡の発生についての検出結果が逐次入力される。
【0056】
コントローラ90には、接続検知センサ75が接続されている。コントローラ90には、給電ケーブル57により車両50と給電用接続部65とが電気的に接続されているか否かについての検知結果が逐次入力される。
【0057】
コントローラ90は、車両50のECU54との間で無線通信可能な通信部91を有している。コントローラ90は、通信部91により車両50のECU54に対してリクエスト信号を送信する。ECU54は無線通信機能を有しており、コントローラ90からのリクエスト信号を受信すると、コントローラ90(詳しくは、通信部91)に対して車載バッテリ52の蓄電量情報(残存容量情報)を逐次送信する。そして、ECU54から送信される蓄電量情報をコントローラ90は受信し、蓄電量情報を取得する(蓄電量取得手段に相当)。
【0058】
コントローラ90には、第2切替スイッチ41が接続されている。コントローラ90は、上述の各種センサ類から入力される情報に基づいて、第2切替スイッチ41を、C位置、D位置及びE位置のいずれかに切り替えるように制御する。
【0059】
コントローラ90には、スピーカ85が接続されている。コントローラ90は、各種センサ類から入力される情報に基づいて、スピーカ85に報知処理を実行させる。
【0060】
次に、コントローラ90により実行される制御処理について
図4に基づいて説明する。なお、
図4に示す制御処理は、所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0061】
ステップS11では、停電検知センサ21により停電が検知されたか否かを判定する。停電が検知された場合、YES判定してステップS12へ進む。停電が検知されていない(すなわち、商用電源13からの電力の供給が停止していない)場合、NO判定して本処理を終了する。
【0062】
上述したように、建物10で停電が発生した場合には、居住者がリモコン77を操作して第1切替スイッチ32をA位置からB位置に切り替えることになる。つまり、太陽光発電装置25の自立運転を開始させることになる。そこで、ステップS12では、太陽光発電装置25が自立運転状態になっているか否かを判定する。具体的には、第1切替スイッチ32がB位置に切り替えられているか否かを判定する。自立運転状態になっていない場合には、そのまま本処理を終了し、自立運転状態になっていれば、後続のステップS13に進む。
【0063】
ステップS13では、停電時処理を実行する。ステップS13における詳しい処理は後述する。
【0064】
続くステップS14では、停電検知センサ21からの検知結果に基づき、停電が復旧したか否かを判定する。停電が復旧していない場合、NO判定して本処理を終了する。停電が復旧した場合、YES判定してステップS15へ進む。
【0065】
ステップS15では、第2切替スイッチ41をC位置に切り替えて、分電盤11からリビング回路15に給電されるようにする。その後、本処理を終了する。
【0066】
次に、ステップS13において実行される停電時処理における処理手順について説明する。
図5は、停電時処理の手順を示すサブルーチンである。
【0067】
ステップS21では、発電電力センサ33から太陽光発電装置25による発電電力情報を取得する。続いてステップS22に進む。
【0068】
ステップS22では、太陽光発電装置25により供給される電力だけでリビング回路15における消費電力を賄うことができるか否かを判定する。具体的には、ステップS21で取得した発電電力が所定の消費電力以上であるか否かを判定する。所定の消費電力は、予めコントローラ90に記憶されたリビング回路15における消費電力の想定値に設定されている。太陽光発電装置25により供給可能な電力が所定の消費電力以上である場合には、YES判定してステップS23に進む。一方、太陽光発電装置25により供給可能な電力が所定の消費電力未満である場合には、NO判定して後述するステップS32に進む。
【0069】
ステップS23では、第2切替スイッチ41をD位置に切り替えて、太陽光発電装置25からリビング回路15に給電されるようにする。その後、ステップS24に進む。
【0070】
ステップS24では、スピーカ85に第1報知処理を実行させる。第1報知処理では、第2充電用接続部81に車両50(接続口53)を充電ケーブル55を介して接続するよう居住者に促すための音声をスピーカ85より出力させる。この報知に応じて、居住者が、第2充電用接続部81に車両50を充電ケーブル55を介して接続する作業を完了すると、車載バッテリ52の充電が開始される。この際、太陽光発電装置25の自立運転による発電電力のうち、電気機器16~18で消費されず余剰となった電力が、車載バッテリ52に供給され、その供給される余剰電力により車載バッテリ52の充電が行われる。その後、本停電時処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS32では、給電ケーブル57により車両50と給電用接続部65とが電気的に接続されているか否かを判定する。接続されていない場合には、NO判定してステップS33に進む。接続されている場合には、YES判定してステップS34に進む。
【0072】
ステップS33では、スピーカ85に第2報知処理を実行させる。第2報知処理では、給電用接続部65に車両50(接続口53)を給電ケーブル57を介して接続するよう居住者を促すための音声をスピーカ85より出力させる。この報知に応じて、居住者は、給電用接続部65に車両50を給電ケーブル57を介して接続する作業を行う。その後、本停電時処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS34では、第2切替スイッチ41をE位置に切り替えて、車両50からリビング回路15に給電されるようにする。その後、ステップS35に進む。
【0074】
ステップS35では、地絡検出部72からの検出結果に基づいて、給電ケーブル57における地絡の発生の有無について判定する。地絡が発生していない場合には、NO判定してステップS36に進む。地絡が発生している場合には、YES判定して後述するステップS38に進む。
【0075】
ステップS36では、車載バッテリ52の蓄電状態(蓄電量)についての情報を取得する。詳しくは、コントローラ90は通信部91により車両50のECU54に対してリクエスト信号を送信する。このリクエスト信号を受信したECU54は、車載バッテリ52の蓄電量情報をコントローラ90へ送信する。ECU54から送信される蓄電量情報をコントローラ90が受信することにより車載バッテリ52の蓄電量を取得する。続いてステップS37に進む。
【0076】
ステップS37では、ステップS36で取得した車載バッテリ52の蓄電量が所定の下限設定値以下であるか否かを判定する。ここで、下限設定値は、例えば、居住者が建物10から燃料スタンドまで車両50を移動させるために必要な蓄電量に所定の電力余裕を加えた値に設定されている。下限設定値は、コントローラ90に予め記憶されている。蓄電量が所定の下限設定値よりも大きい場合には、NO判定して本停電時処理を終了する。一方、蓄電量が所定の下限設定値以下である場合には、YES判定してステップS38に進む。
【0077】
ステップS38では、第2切替スイッチ41をE位置からD位置に切り替えて、太陽光発電装置25からリビング回路15に給電されるようにする。その後、本停電時処理を終了する。なお、この場合、太陽光発電装置25の発電電力がリビング回路15における消費電力の想定値未満であるため、太陽光発電装置25の発電電力による車載バッテリ52の充電は行わないこととしている。このため、第2切替スイッチ41がD位置に切り替えられたにもかかわらず、第1報知処理については実行しないようにしている。
【0078】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0079】
本実施形態によれば、建物10の停電時に、車両50の車載バッテリ52に蓄えられた蓄電電力と、太陽光発電装置25の自立運転により発電された発電電力とをそれぞれ建物10内のリビング回路15に供給することができる。また、車載バッテリ52の蓄電電力と太陽光発電装置25の発電電力とのうち、いずれの電力をリビング回路15に供給するかを第2切替スイッチ41により切り替えることができる。そのため、例えば車載バッテリ52の蓄電量(蓄電電力量)が少ない場合には、太陽光発電装置25の発電電力をリビング回路15に供給したり、また、太陽光発電装置25の発電電力が少ない場合には、車載バッテリ52の蓄電電力をリビング回路15に供給したりすることができる。そのため、停電時において、長期間にわたり安定してリビング回路15(電気機器16~18)に給電を行うことができる。
【0080】
また仮に、建物10に非常用コンセントを設け、太陽光発電装置25の自立運転により発電された電力を非常用コンセントに供給するような構成とした場合には、停電時に、使用する各電気機器をそれぞれ非常用コンセントに接続する必要がある。かかる接続作業は、延長コードを用いて接続したり、電気機器を非常用コンセント近くに移動して接続したり、といった面倒な作業になると考えられる。そのため、停電してから電気機器を使用するまでに時間がかかることが想定される。
【0081】
そこで、本実施形態によれば、太陽光発電装置25の自立運転により発電された発電電力を、複数の電気機器16~18を含むリビング回路15に供給するようにしたため、停電時に、非常用コンセントに電気機器を接続する作業を行わなくて済む。そのため、停電時に速やかに電気機器16~18を使用することが可能となる。
【0082】
本実施形態によれば、発電電力センサ33により取得した太陽光発電装置25の発電電力に基づいて、車載バッテリ52の蓄電電力と太陽光発電装置25の発電電力とのうちいずれの電力をリビング回路15に供給するかが切り替えられる。この場合、例えば、晴天時等、太陽光発電装置25の発電電力が大きく所定の下限設定値以上である場合には、発電電力をリビング回路15に供給し、雨天時等、太陽光発電装置25の発電電力が小さく所定の下限設定値未満である場合には、車載バッテリ52の蓄電電力をリビング回路15に供給するようにすることができる。これにより、太陽光発電装置25の発電電力に応じて、リビング回路15への給電元を好適に切り替えることができる。
【0083】
本実施形態によれば、地絡検出部72が給電ケーブル57における地絡を検出した場合には、太陽光発電装置25の発電電力がリビング回路15に供給されるように第2切替スイッチ41がD位置に切り替えられる。したがって、給電ケーブル57において地絡が生じた場合には、車載バッテリ52の蓄電電力が給電ケーブル57を介してリビング回路15に供給されることが停止される。そのため、地絡発生時に居住者等が給電ケーブル57に触れ感電してしまう等の事態を招くのを回避することができる。
【0084】
また、リビング回路15への電力供給は、太陽光発電装置25の自立発電による発電電力により継続されるため、居住者は、車載バッテリ52からリビング回路15への電力供給が停止されても、リビング回路15の複数の電気機器16~18を引き続き使用することができる。ただし、その場合には、太陽光発電装置25による発電電力がリビング回路15における消費電力の想定値未満となっているため、居住者は、電気機器16~18による消費電力が大きくなり過ぎないように注意する必要がある。
【0085】
本実施形態によれば、車載バッテリ52の蓄電量が所定の下限設定値以下まで低下すると、太陽光発電装置25の発電電力がリビング回路15に供給されるよう第2切替スイッチ41がD位置に切り替えられる。また、所定の下限設定値は、居住者が建物10から燃料スタンドまで車両50を移動させるために必要な蓄電量に所定の電力余裕を加えた値に設定されている。これにより、車載バッテリ52の蓄電量を一定以上確保しておくことができるため、車載バッテリ52の蓄電電力を使い過ぎて車両50を走行させることができなくなるのを回避することができる。
【0086】
本実施形態によれば、停電時に、太陽光発電装置25の自立発電による発電電力を車両50の車載バッテリ52に供給するための第2充電用接続部81が設けられている。これにより、停電時においても車載バッテリ52を充電することができる。この場合、停電時に、より長期にわたってリビング回路15(電気機器16~18)に給電を行うことができる。
【0087】
本実施形態において、車両50は給電と充電との両方が可能であるが、給電ケーブル57を接続する場合と、充電ケーブル55を接続する場合とで共通して接続口53を使用するようになっている。そのため、給電ケーブル57を接続口53に接続し、車載バッテリ52の蓄電電力を給電ケーブル57を介してリビング回路15に供給している場合には、接続口53に充電ケーブル55を接続することができず、車載バッテリ52の充電を行うことができない。したがって、車載バッテリ52に充電を行うことができるのは、太陽光発電装置25の発電電力がリビング回路15に供給されている場合に限られる。
【0088】
そこで、本実施形態によれば、太陽光発電装置25の発電電力がリビング回路15に供給されるよう第2切替スイッチ41が切り替えられた場合にスピーカ85により第1報知処理を行い、それにより、居住者が第2充電用接続部81に車両50を充電ケーブル55を介して接続することを促すようにしている。この場合、車載バッテリ52の充電が可能となる適切なタイミングで、居住者に車両50と第2充電用接続部81とを充電ケーブル55により接続する作業を行わせることができる。そのため、車載バッテリ52の充電を行う上で、好適な構成となっている。
【0089】
また、太陽光発電装置25の自立発電による発電電力が、リビング回路15における消費電力の想定値未満である場合には、原則、車載バッテリ52から建物10に給電を行う。この際、車両50と給電用接続部65とが給電ケーブル57を介して接続されていないと、車載バッテリ52から建物10に給電することができない。
【0090】
そこで、本実施形態によれば、太陽光発電装置25の自立発電による発電電力が、リビング回路15における消費電力の想定値よりも小さく、かつ車両50と建物10とが給電ケーブル57により接続されていない場合には、スピーカ85により第2報知処理を行い、それにより、居住者が給電用接続部65に車両50を給電ケーブル57を介して接続することを促すようにしている。かかる構成によれば、車両50と建物10とが給電ケーブル57を介して接続されていないことにより、車載バッテリ52から建物10に給電できなくなることを回避できる。
【0091】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0092】
(1)上記実施形態では、発電電力取得手段として、発電電力センサ33を用いたが、太陽光発電装置25の発電電力を取得する手段は必ずしもこれに限定されない。例えば、日照量を検出する日照センサを設け、コントローラ90が、日照センサにより検出された日照量に基づき、発電電力を算出(取得)するようにしてもよい。この場合、予め日照量と太陽光発電装置25の発電電力との関係を求めておき、その関係を用いて、日射センサにより検出された日射量に基づいて、発電電力を算出することが考えられる。
【0093】
(2)上記実施形態では、太陽光発電装置25により供給される電力だけでリビング回路15における消費電力を賄うことができるか否かの判定を、所定の下限設定値に基づいて行うこととした。そして、下限設定値については、リビング回路15における消費電力の想定値を固定値として設定した。しかし、これ以外にも、例えば昼間と夜間とではリビング回路15における消費電力が異なることを想定し、時間帯によって異なる下限設定値を設定するようにしてもよい。また、建物10内に、リビング回路15における消費電力を逐次取得する消費電力センサを設け、当該消費電力センサにより取得された消費電力値に基づいて、下限設定値を変動させるようにしてもよい。なお、下限設定値は、所定の電力余裕を加味した値を設定するようにしてもよい。
【0094】
(3)上記実施形態では、報知手段としてスピーカ85を設け、スピーカ85に音声を出力させることにより報知する構成としたが、報知手段はスピーカ85に限定されない。例えば、リモコン77のタッチパネル78の表示制御により報知してもよいし、建物10にランプを設け、ランプを点灯させる態様により報知してもよい。また、居住者が所持するスマートフォン等のモバイル端末に通知を送信してもよい。
【0095】
(4)上記実施形態では、車載バッテリ52の蓄電量が所定の下限設定値以下まで低下した場合に、第2切替スイッチ41をD位置に切り替えるようにしたが、車両50の燃料タンク(図示略)の残存容量(燃料量)を取得する手段を更に設け、燃料タンクの残存容量も加味して上記制御を実行するようにしてもよい。この場合、車載バッテリ52の蓄電電力が尽きたとしても、燃料タンクの残存容量が十分である場合には、車両50を燃料スタンドまで走行させることができるため、車載バッテリ52から建物10への給電をより長期間行うことができる。
【0096】
また、所定の下限設定値は、居住者が建物10から燃料スタンドまで車両50を移動させるために必要な蓄電量に所定の電力余裕を加えた値を固定値として設定したが、これに限定されない。例えば、コントローラ90に、インターネットなどの外部情報源から今後の気象に関する気象情報を取得する手段を設け、取得した気象情報に基づいて、下限設定値を変動させるようにしてもよい。この場合、太陽光発電装置25による発電が十分できなくなるような悪天候が予想される場合には、晴天が予想される場合よりも下限設定値をより大きく設定するようにして、車載バッテリ52により多くの電力を蓄えるようにすることが考えられる。つまり、所定の電力余裕については、適宜設定することができる。
【0097】
(5)上記実施形態では、3位置切替式の第2切替スイッチ41により、リビング回路15に商用電源13からの商用電力、太陽光発電装置25による発電電力及び車載バッテリ52の蓄電電力のうちいずれを供給するか切り替えるようにした。つまり、第2切替スイッチ41により、リビング回路15への給電元を、商用電源13、太陽光発電装置25及び車載バッテリ52のうちいずれにするか切り替えるようにした。ただし、リビング回路15への給電元の切り替えは、必ずしも3位置切替式の切替スイッチにより行う必要はなく、例えば、2位置切替式の切替スイッチを2つ設け、それら2つの切替スイッチを用いて行うようにしてもよい。この場合、一方の切替スイッチにより、リビング回路15への給電元を、商用電源13か商用電源13以外(つまり、太陽光発電装置25及び車載バッテリ52)にするか切り替えるようにし、他方の切替スイッチにより、リビング回路15への給電元を、商用電源13以外の各装置25,52のうちいずれにするか切り替えるようにすることが考えられる。
【0098】
(6)上記実施形態では、停電時に太陽光発電装置の自立運転による発電電力により車載バッテリ52を充電する第2充電用接続部81を設けたが、第2充電用接続部81は必須の構成ではない。ただし、上記実施形態の構成とすれば、昼間等に太陽光発電装置25による発電電力に余剰が発生した際に、その余剰分を車載バッテリ52に蓄えておくことができるため、太陽光発電装置25による発電電力を有効利用できる点でより好ましい。
【0099】
(7)上記実施形態では、太陽光発電装置25により供給される電力だけでリビング回路15における消費電力を賄うことができる場合には、車両50側の状態によらず太陽光発電装置25の発電電力をリビング回路15に供給するようにした。すなわち、太陽光発電装置25からの電力供給を車載バッテリ52からの電力供給よりも優先するようになっている。この場合、有限である車載バッテリ52の電力をなるべく消費しないようにできる点で好ましい。
【0100】
一方、車載バッテリ52からの電力供給を太陽光発電装置25からの電力供給よりも優先することも可能である。この場合、車載バッテリ52からの電力は、天候等により発電電力が変動しやすい太陽光発電装置25からの電力よりも、安定して建物10に供給されるため、急な天候変化等により発生し得る電力不足等の不具合をより確実に回避できる点で好ましい。
【0101】
(8)上記実施形態では、外部給電機能を有する車両としてプラグインハイブリッド自動車(PHV)を用いたが、電気自動車(EV)や燃料電池複合型自動車(FCHV)等、PHV以外の車両を用いてもよい。
【0102】
(9)上記実施形態では、車両50の接続口53は、1つの接続口を充電時と給電時とで兼用するものであるが、これに限定されない。例えば、2つの接続口を設け、一方を充電ケーブル55用の接続口とし、他方を給電ケーブル57用の接続口とするものであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…建物、13…商用電源(系統電源)、16…電気機器としての照明、17…電気機器としての照明SW、18…電気機器としてのコンセント、19…特定回路としてのリビング回路、25…太陽光発電装置、35…第2給電経路を構成する電気配線、37…第2給電経路を構成する電気配線、41…切替手段としての第2切替スイッチ、45…第1給電経路を構成する電気配線、47…第1給電経路及び第2給電経路を構成する電気配線、50…車両、52…車載バッテリ、57…給電ケーブル、65…給電用接続部、66…第1給電経路を構成する電気配線。